説明

内燃機関の排気再循環装置

【課題】還流排気ガス中への異物侵入を阻止するフィルタに水膜が形成されるのを抑制するとともに排気浄化装置等の損傷を防止できる内燃機関の排気再循環装置を提供する。
【解決手段】排気ガス通路42wの途中にPM捕集フィルタ部52を収納する筒状ケース部51を有する排気管42と、その特定通路部分53から吸気通路32w側に排気ガスを還流させる排気還流管71と、その上流端部71uの近傍に装着され還流排気ガス中の異物を捕集する異物捕集フィルタ80とを備えており、特定通路部分53は、筒状ケース部51の内部のうちPM捕集フィルタ部52より下流側の空間で形成され、異物捕集フィルタ80が、筒状ケース部51の内部の特定通路部分53に突出する突面形状部82を有するとともにその突出方向が排気方向下流側に傾斜するよう方向付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気再循環装置に関し、特に排気再循環経路中に異物捕集フィルタを設けた内燃機関の排気再循環装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用のエンジン(内燃機関)においては、NOx(窒素酸化物)の低減に効果的な排気再循環(以下、EGR(Exhaust Gas Recirculation)ともいう)を行うべく、排気再循環装置を装備するものが多くなっているが、高温の排気ガスの一部を吸気側に還流させるHPL(High Pressure Loop)−EGR方式に対して、ターボ過給機の排気タービンや排気後処理装置を通過した後の排気ガスをターボ過給機のコンプレッサより上流側に還流させることで低温かつ大量の排気再循環を可能にしたLPL(Low Pressure Loop)−EGR方式の排気再循環装置が普及してきている。
【0003】
このようなEGRシステムにおいては、排気ガスを吸気通路側に還流させる排気管中にスパッタ(溶接時の飛散物)や排気浄化装置からの脱落片等の異物が生じ得るため、そのような異物がターボ過給機のコンプレッサに入ってダメージを与えたりすることがないよう、排気還流経路中に異物捕集フィルタ(所謂FODフィルタ)が設けられている。
【0004】
この異物捕集フィルタを備えたLPL−EGRシステムとしては、例えば低圧EGR通路を流通するEGRガス中の排気系異物を捕集するEGRフィルタと、そのEGRフィルタを低圧EGR管に対しがたつく状態で保持する保持部と、EGRフィルタから振り落とされた排気系異物を捕獲する捕獲部とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、ターボ過給機の排気タービンの下流側であってDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルタ)装置内のフィルタ部より上流側に、異物捕集フィルタを設置したEGRガスのピックアップ管を挿入するとともに軸方向に向け、DPFユニットのフィルタ部により得られる背圧を利用してEGRガスをターボ過給機のコンプレッサより上流側に還流させるようにしたものも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−138745号公報
【特許文献2】特開2003−535264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のような従来の内燃機関の排気再循環装置にあっては、低圧EGR配管内の異物捕集フィルタが網目の細かいメッシュ状で水膜を形成し易いため、排気還流通路が水膜を形成した異物捕集フィルタによって閉塞され易くなり、所要量の排気ガスが排気再循環されないためにNOx低減効果が低下してしまう可能性があった。
【0008】
また、EGRクーラ等で発生した酸性の凝縮水が吸気系に入り難い構造とした場合であっても、その凝縮水が排気管内に逆流して排気浄化装置におけるセラミック製の触媒基材等を急冷してしまい、排気浄化装置を損傷させてしまう懸念があった。
【0009】
そこで、本発明は、還流排気ガス中への異物の侵入を阻止する異物捕集フィルタに水膜が形成されるのを有効に抑制するとともに、排気浄化装置等の損傷を確実に防止できる内燃機関の排気再循環装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る内燃機関の排気再循環装置は、上記課題解決のため、(1)内燃機関の排気ガスを通す排気ガス通路を形成するとともに該排気ガス通路の途中で排気浄化ユニットを収納する筒状ケース部を有する排気管と、前記排気ガス通路のうち特定通路部分から前記内燃機関の吸気通路側に前記排気ガスを還流させる排気還流管と、前記排気還流管の上流端部の近傍に装着され、前記特定通路部分から前記吸気通路側に還流する排気ガス中の異物を捕集する異物捕集フィルタと、を備えた内燃機関の排気再循環装置であって、前記特定通路部分が、前記筒状ケース部の内部のうち前記排気浄化ユニットより下流側の内部空間によって形成され、前記異物捕集フィルタが、前記筒状ケース部の内壁面より前記内部空間側に突出する突面形状部を有するとともに、該突面形状部の突出方向が前記排気ガス通路の下流側に傾斜するよう方向付けられていることを特徴とする。
【0011】
この発明では、異物捕集フィルタが筒状ケース部の内部に突出する突面形状部を有しているから、排気還流通路内に還流排気ガスが流れないときでも、異物捕集フィルタが突面形状部側の比較的広い面積で排気ガス通路内を通る排気ガスに常にさらされるとともに、排気ガス通路内の排気ガスの流れの方向に対して交差することになる。したがって、異物捕集フィルタに付着する水分の蒸発が促進され、異物捕集フィルタに水膜が形成されることが有効に抑制されて、排気還流管内の通路が異物捕集フィルタによって閉塞されることが防止されることになる。しかも、異物捕集フィルタの突面形状部の突出方向が排気方向の下流側に傾斜するように方向付けられているので、排気還流管の内部から筒状ケース部の内方に凝縮水が逆流したとしても、その凝縮水の流れは排気方向の下流側に向かうものとなり、排気浄化ユニットが凝縮水により急冷される懸念が払拭されるとともに、異物捕集フィルタがその面積が広くなる上流側フィルタ面側で十分に加熱されることで、異物捕集フィルタに水膜が形成されるのを有効に抑制できることとなる。
【0012】
本発明に係る内燃機関の排気再循環装置においては、(2)前記異物捕集フィルタの前記突面形状部が、前記排気ガス通路の上流側部分に面して配置された上流側フィルタ面と、前記排気ガス通路の下流側部分に面して配置されるとともに前記上流側フィルタ面より鉛直方向の下方側に偏倚するように配置された下流側フィルタ面と、を有し、前記上流側フィルタ面における前記異物捕集フィルタの流体抵抗が、前記下流側フィルタ面における前記異物捕集フィルタの流体抵抗より大きくなっていることが望ましい。
【0013】
この場合、排気還流管内を逆流して排気ガス通路側に向かう凝縮水は、下流側フィルタ面を通過し易くなり、排気浄化ユニットを通過した排気ガスは、異物捕集フィルタの上流側フィルタ面を熱し易くなる。したがって、凝縮水の流れが排気方向の下流側に向かい易くなるとともに、異物捕集フィルタの上流側フィルタ面側が十分に加熱され、異物捕集フィルタに付着する水分の蒸発が促進される。
【0014】
上記(2)に記載の構成を有する場合、好ましくは、(3)前記上流側フィルタ面における前記異物捕集フィルタの網目が、前記下流側フィルタ面における前記異物捕集フィルタの網目より細かくなっている。これにより、排気還流管または筒状ケース部への装着の方向性はあるものの、簡素な異物捕集フィルタを採用可能となる。
【0015】
本発明に係る内燃機関の排気再循環装置においては、(4)前記特定通路部分より下流側の排気ガス通路部分が前記筒状ケース部の内部に開口する開口位置が、前記筒状ケース部の内壁面からの前記異物捕集フィルタの前記突面形状部の突出位置より鉛直方向の下方側に位置していることが好ましい。
【0016】
この構成により、排気還流管から逆流する凝縮水が排気方向下流側に容易に流下することとなり、酸性の凝縮水が筒状ケース部内に溜まり難くなる。
【0017】
上記(4)に記載の構成を有する内燃機関の排気再循環装置においては、(5)前記異物捕集フィルタが、前記突面形状部の突出方向を前記特定通路部分より下流側の排気ガス通路部分の開口位置に指向させて配置されていることが好ましい。これにより、排気還流管から筒状ケース部内に逆流する凝縮水が排気方向下流側に排出され易くなる。
【0018】
上記(5)に記載の構成を有する場合、(6)前記筒状ケース部が、前記排気浄化ユニットの出口側に前記特定通路部分を形成するコーン形状部分を有し、前記排気浄化ユニットの出口から前記突出位置側に向かって前記特定通路部分内に入る前記排気ガスの流れが、前記筒状ケース部の前記コーン形状部分に沿って前記突出位置側から前記開口位置側に向かって折り返されることが好ましい。この場合、筒状ケース部内に入った凝縮水の排出経路を容易に確保できるとともに、組立てやメンテナンスの容易な排気管構造にできる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、異物捕集フィルタに筒状ケース部の内部に突出する突面形状部を設けるとともに、その突出方向を排気方向下流側に傾斜するように方向付けているので、排気還流通路内に還流排気ガスが流れないときでも、異物捕集フィルタを突面形状部側の比較的広い面積で排気ガス通路内を通る排気ガス中に常にさらすことができるとともに、その面積が広くなる上流側フィルタ面側で十分に加熱することができ、しかも、排気還流管の内部から筒状ケース部の内方に凝縮水が逆流したとしても、その凝縮水の流れを排気方向の下流側に方向付けることができる。その結果、還流排気ガス中への異物の侵入を阻止する異物捕集フィルタに水膜が形成されるのを有効に抑制するとともに、排気浄化装置等の損傷を確実に防止できる内燃機関の排気再循環装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る内燃機関の排気再循環装置の全体の概略構成図で、配管内を透視状態で示している。
【図2】本発明の一実施形態に係る内燃機関の排気再循環装置の要部構成図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図3のB−B断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る内燃機関の排気再循環装置における異物捕集フィルタの複数の変形態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0022】
(一実施形態)
図1〜図4は、本発明に係る内燃機関の排気再循環装置の一実施形態を示している。
【0023】
この実施形態は、本発明を多気筒内燃機関である直列4気筒のディーゼルエンジン10(以下、単にエンジン10という)に適用したものである。
【0024】
図1に示すように、本実施形態のエンジン10は、その本体ブロック10Mに複数の気筒11を有しており、このエンジン10には、各気筒11内の燃焼室(詳細を図示していない)に燃料を噴射するコモンレール型の燃料噴射装置12と、燃焼室に空気を吸入させる吸気装置13と、燃焼室からの排気ガスを排気させる排気装置14と、排気装置14内の排気エネルギを利用して吸気装置13内で吸入空気を圧縮し燃焼室に空気を過給するターボ過給機15と、このターボ過給機15より上流側の高圧側の排気ガスの一部を吸気側に還流させ再循環させる高圧側の排気再循環装置であるHPL(High Pressure Loop)−EGR装置16と、このターボ過給機15より下流側の低圧側の排気ガスの一部を吸気側に還流させ再循環させる低圧側の排気再循環装置であるLPL(Low Pressure Loop)−EGR装置17とが装備されている。
【0025】
燃料噴射装置12は、図外の燃料タンクから燃料を汲み上げて高圧の燃圧(燃料圧力)に加圧し吐出するサプライポンプ21と、このサプライポンプ21からの燃料が導入されるコモンレール22と、このコモンレール22を通して供給される燃料を図示しないECU(電子制御ユニット)からの噴射指令信号に対応するタイミングおよび開度(デューティー比)で燃焼室内に噴射する燃料噴射弁23とを含んで構成されている。なお、サプライポンプ21は、例えばエンジン10の回転動力を利用して駆動され、コモンレール22は、サプライポンプ21から供給された高圧燃料を均等に保ちながら複数の燃料噴射弁23に分配・供給する。燃料噴射弁23は、電磁駆動される公知のニードル弁で構成され、噴射指令信号に応じてその開弁時間を制御されることにより噴射指令信号に応じた燃料噴射量の燃料(例えば軽油)を燃焼室内に噴射・供給することができるようになっている。
【0026】
吸気装置13には、吸気マニホールド31と、この吸気マニホールド31より上流側の吸気管32と、吸気管32の最上流部でフィルタにより吸入空気を清浄化するエアクリーナ33と、ターボ過給機15より下流側の吸気通路部分32wb内で吸入空気コンプレッサ15aによる圧縮・過給により昇温した吸入空気を通し冷却するインタークーラ34と、新気の吸入流量を検出するエアフローメータ35と、エンジン10内への吸気量を調整するスロットルバルブ36と、吸気温度を検出する吸気温度センサ37と、吸気マニホールド31の入口付近でエンジン10の過給圧を検出する吸気管内圧力センサ38とが、それぞれ設けられている。
【0027】
排気装置14は、排気マニホールド41と、排気マニホールド41より下流側の排気管42と、排気管42内の排気ガス通路42wをその下流側の所定位置で絞ることによりアイドル時や軽負荷時に排気温度を上げることができるとともにLPL−EGR装置17の背圧を制御することができる排気絞り弁43と、ターボ過給機15より下流側の排気管42に装着された公知の酸化触媒コンバータ44およびDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルタ)ユニット45からなる排気後処理装置46(排気浄化装置)と、を含んで構成されている。
【0028】
ターボ過給機15は、詳細な構成を図示しないが、互いに回転方向一体に結合された吸入空気コンプレッサ15aおよび排気タービン15bを有し、排気エネルギにより排気タービン15bを回転させるとともに吸入空気コンプレッサ15aを回転させることで、この吸入空気コンプレッサ15aにより吸入空気を圧縮してエンジン10内に正圧の空気を供給することができる。
【0029】
HPL−EGR装置16は、排気マニホールド41および吸気管32の間に介装されたHPL−EGRパイプ61と、このHPL−EGRパイプ61の途中に装着されて排気ガスの還流量を調整することができるHPL−EGRバルブ62と、HPL−EGRパイプ61内を通る排気ガスをその途中で冷却することができるHPL−EGRクーラ63と、を有している。HPL−EGRパイプ61は、エンジン10内の燃焼室をバイパスして、排気管42内の排気ガス通路42wのうち排気タービン15bより上流側の排気ガス通路部分42waまたは排気マニホールド41内の排気ガス通路部分と、吸気管32内の吸気通路32wのうち吸入空気コンプレッサ15aより下流側の吸気通路部分32wbとを連通させる高圧側排気還流通路P1を形成している。また、HPL−EGRバルブ62は、高圧側排気還流通路P1を開通させる開弁状態と、この高圧側排気還流通路P1の開通を制限する、例えば高圧側排気還流通路P1を遮断する閉弁状態とに切替え可能になっている。HPL−EGRクーラ63は、詳細を図示しないが、高圧側排気還流通路P1の一部を形成するケース部内にEGRガスに接触する冷却水管部を設けて、その冷却水管部内に導入される冷却用流体(例えば、エンジン冷却水)とケース部内を通る高圧側の還流排気ガスとの間における熱交換によって、高圧側の還流排気ガスを冷却できるようになっている。
【0030】
LPL−EGR装置17は、排気管42および吸気管32の間に介装されたLPL−EGRパイプ71と、このLPL−EGRパイプ71の途中に装着されて排気ガスの還流量を調整することができるLPL−EGRバルブ72と、LPL−EGRパイプ71内を通る排気ガスをその途中で冷却することができる排気冷却器としてのLPL−EGRクーラ73と、下流側の排気管42内の排気ガス通路42wのうちDPFユニット45より下流側の排気ガス通路部分でその通路断面積を絞るように開度を縮小させることができる前述の排気絞り弁43とを有している。
【0031】
LPL−EGRパイプ71は、エンジン10内の燃焼室をバイパスして、排気管42内の排気ガス通路42wのうち排気タービン15bより下流側の低圧排気ガス通路部分42wbと吸気管32内の吸気通路32wのうち吸入空気コンプレッサ15aより上流側の吸気通路部分32waとを連通させる低圧側排気還流通路P2(低圧側の排気再循環経路)を形成し、酸化触媒コンバータ44およびDPFユニット45により浄化された排気ガスを排気ガス通路42w側から吸気通路32w側に還流させる低圧側の排気還流管を構成している。また、LPL−EGRバルブ72は、低圧側排気還流通路P2を開通させる開弁状態と、この低圧側排気還流通路P2の開通を制限する、例えば低圧側排気還流通路P2を遮断する閉弁状態とに切替え可能になっている。さらに、LPL−EGRクーラ73は、低圧側排気還流通路P2の一部を形成するケース部73aと、そのケース部73a内を通るEGRガスに接触するとともに冷却用流体通路を形成する冷却水管部73bとを有しており、冷却水管部73b内に導入される冷却用流体(例えば、エンジン冷却水)とケース部73a内を通る還流排気ガスとの間における熱交換によって、低圧側の還流排気ガスを冷却できるようになっている。そして、低圧側排気還流通路P2は、吸気管32内の吸気通路32wのうちLPL−EGRパイプ71が吸気管32に接続する接続位置jより下流側の部分と共に、LPL−EGR装置17内における低圧側の排気再循環経路を構成している。
【0032】
一方、酸化触媒コンバータ44およびDPFユニット45は、エンジン10の排気管42の途中に配置され内部を通る排気ガスを浄化する排気浄化ユニットとなっている。すなわち、酸化触媒コンバータ44は、例えば炭化水素(HC)と一酸化炭素(CO)を二酸化炭素(CO)と水(HO)に変化させることができる酸化触媒機能を有している。また、DPFユニット45は、例えば多孔質セラミックス基材を有するハニカム構造のもので、エンジン10の排気ガス中に含まれる粒子状物質(PM)を捕集するとともにその捕集により堆積するPMを燃焼させる再生処理ができるようになっている。
【0033】
図2〜図4に示すように、DPFユニット45は、具体的には、排気管42の途中に配置されて排気ガス通路42wを特定の通路区間において拡張させる筒状ケース部51の内部に収納されており、その筒状ケース部51内の特定の通路区間を通る排気ガス中のPMを捕集して排気ガスを浄化するよう、筒状ケース部51内に収納されたPM捕集フィルタ部52(排気浄化ユニット)を有している。
【0034】
筒状ケース部51は、PM捕集フィルタ部52の下流側に、排気ガス通路42wの拡張された通路区間のうちPM捕集フィルタ部52より下流側でその通路断面積を徐々に減少させるよう、PM捕集フィルタ部52の周囲の筒状壁部51bに対して縮径方向(径が縮小する方向)に傾斜し交差する内壁面51a(傾斜内壁面)を有している。
【0035】
また、PM捕集フィルタ部52より下流側の筒状ケース部51の内部には、PM捕集フィルタ部52に対応して拡張された通路区間の下流側部分に位置する特定通路部分としての排気ガス分配室53が画成されており、排気ガス通路42wのうち排気ガス分配室53より下流側の排気ガス通路部分42wc(以下、単に下流側の排気ガス通路部分42wcという)がこの排気ガス分配室53から例えば車両後方側(図1中の下方側)に延びるとともに、低圧側排気還流通路P2が排気ガス分配室53から例えば鉛直方向上方側である図2中の上方側に延びつつ湾曲している。
【0036】
一方、低圧側排気還流通路P2を形成するLPL−EGRパイプ71の上流端部71uの近傍には、この上流端部71uの内壁面または近傍の排気管42の一部を構成する筒状ケース部51の内壁面51aから排気ガス通路42w内に突出する異物捕集フィルタ80が設けられている。
【0037】
この異物捕集フィルタ80は、DPFユニット45のハニカム状のPM捕集フィルタ部52の複数の平行な通路孔52hよりも十分に細かい網目を有する金属メッシュ(金属線からなる網、多孔を有する椀状体等でもよい)で構成されており、排気管42中に存在するスパッタ(溶接時の飛散物)、PM捕集フィルタ部52からの脱落片、あるいはPM捕集フィルタ部52より上流側から排気ガスと共に移動してくる異物が生じたときにその異物を捕捉し、そのような異物がターボ過給機15の吸入空気コンプレッサ15aに入ってダメージを与えたりすることを防止するようになっている。
【0038】
また、異物捕集フィルタ80は、LPL−EGRパイプ71の上流端部71uの近傍で、DPFユニット45のPM捕集フィルタ部52より下流側の筒状ケース部51の内壁面51aから排気ガス通路42wの一部である排気ガス分配室53内に突出している。
【0039】
具体的には、異物捕集フィルタ80は、筒状ケース部51とLPL−EGRパイプ71との接続部付近でこれらの少なくとも一方により支持された環状基端部81と、外周側で環状基端部81に支持されるとともに排気ガス分配室53内に略円錐状に突出した突面形状部82と、によって構成されている。
【0040】
また、環状基端部81は、例えば予めLPL−EGRパイプ71の上流端部71uに溶接され、その状態で、LPL−EGRパイプ71の上流端部71uが筒状ケース部51に連結されるときに、筒状ケース部51に支持されるようになっている。
【0041】
ところで、本実施形態のエンジン10においては、HPL−EGR装置16によって形成される高圧側排気還流通路P1内の還流排気ガスに対して、LPL−EGR装置17によって形成される低圧側排気還流通路P2内の還流排気ガスの方が低圧・低温となることに加えて、低圧側排気還流通路P2中のその低圧・低温の還流排気ガスがLPL−EGRクーラ73により冷却されることから、LPL−EGRクーラ73内で酸性の凝縮水が発生し易くなる。また、異物捕集フィルタ80は、金属製で網目が細かいため、異物捕集フィルタ80の表面に表面張力により水膜が張り易い。
【0042】
そこで、本実施形態においては、筒状ケース部51の内部のうちPM捕集フィルタ部52より下流側の内部空間によって排気ガス分配室53が形成されるとともに、異物捕集フィルタ80が、筒状ケース部51の内壁面51aより内部空間側に突出する突面形状部82を有しており、さらに、その突面形状部82の突出方向が、排気ガス通路42wの下流側に傾斜するよう方向付けられている。
【0043】
具体的には、図3および図4に示すように、排気管42の一部を構成する筒状ケース部51は、PM捕集フィルタ部52の出口52e側に排気ガス分配室53を形成するコーン形状部分51cを有しており、排気ガス分配室53より下流側の排気ガス通路部分42wcが排気ガス分配室53内に開口する開口位置C1は、筒状ケース部51の内壁面51aからの異物捕集フィルタ80の突面形状部82の突出位置C2に対し鉛直方向(図3中の上下方向)の下方側に位置している。
【0044】
また、異物捕集フィルタ80は、突面形状部82の突出方向が、排気ガス分配室53より下流側の排気ガス通路部分42wcの排気ガス分配室53内への開口位置である開口位置C1に向かうよう、その突面形状部82の突出方向を開口位置C1側に傾斜させる指向に方向付けて配置されている。
【0045】
一方、PM捕集フィルタ部52の出口52eから排気ガス分配室53内に入る排気ガスの流れが、筒状ケース部51のコーン形状部分51cに沿って突面形状部82の突出位置C2側から下流側の排気ガス通路部分42wcの開口位置C1側に向かって折り返されて流れるように、下流側の排気ガス通路部分42wcは、PM捕集フィルタ部52(通路孔52hと平行な通路軸線)に対してスペーサ88を介して側方に平行に離間している。
【0046】
より具体的には、異物捕集フィルタ80の突面形状部82は、排気ガス通路42wの上流側部分に面して配置された上流側フィルタ面83と、排気ガス通路の下流側部分に面して配置されるとともに上流側フィルタ面83より鉛直方向の下方側に偏倚するように配置された下流側フィルタ面84と、を有している。
【0047】
そして、上流側フィルタ面83における異物捕集フィルタ80のろ過時の流体抵抗(ろ過抵抗)が、下流側フィルタ面84における異物捕集フィルタ80のろ過時の流体抵抗より大きくなるように、異物捕集フィルタ80の上流側フィルタ面83における網目(メッシュサイズ)が、異物捕集フィルタ80の下流側フィルタ面84における網目より細かくなっている。
【0048】
なお、LPL−EGRパイプ71は、LPL−EGRクーラ73内で発生する凝縮水をその上流端部71u側から異物捕集フィルタ80を通してPM捕集フィルタ部52より下流側の排気ガス通路42w内、すなわち、排気ガス分配室53内に排出するように、LPL−EGRクーラ73の図示しない入口部からPM捕集フィルタ部52より下流側の筒状ケース部51の内壁面51a側に向かって下降するように、少なくとも鉛直方向の上下に延びている。
【0049】
また、エンジン10は、図示しないECU(電子制御ユニット)により各種センサ群のセンサ情報に基づいて運転制御されるようになっており、例えばサプライポンプ21の吐出制御(例えば、その電磁スピル弁の制御)、燃料噴射弁23による燃料噴射量制御、スロットルバルブ36の開度制御、HPL−EGRバルブ62やLPL−EGRバルブ72の開度(EGR率)制御、排気絞り弁43の開度制御の開閉制御等が実行されるようになっている。ここにいう各種センサ群とは、例えば図1に示す公知のエアフローメータ35、吸気温度センサ37、吸気管内圧力センサ38、排気酸素濃度センサ47、排気温度センサ48a、48b、排気温度センサ49、DPF前後差圧センサ91、低圧EGR差圧センサ92等に加え、図示しないアクセル開度センサ、スロットル開度センサ、クランク角センサ、水温センサ、車速センサ等である。また、排気絞り弁43に代えて、あるいは排気絞り弁43と併せて、上流側の吸気通路部分32wa内に低圧EGR用吸気絞り弁93を設けることもできる。
【0050】
次に、作用について説明する。
【0051】
上述のように構成された本実施形態の内燃機関の排気再循環装置においては、異物捕集フィルタ80が筒状ケース部51の内部に突出する突面形状部82を有していることによって、低圧側の排気還流通路P2内に還流排気ガスが流れないときであっても、異物捕集フィルタ80が、突面形状部82側の比較的広い面積で排気ガス通路42w内を通る排気ガスに常にさらされることになり、しかも、その上流側フィルタ面83および下流側フィルタ面84が、排気ガス通路42w内の排気ガスの流れの方向に対して交差することになる。したがって、異物捕集フィルタ80に付着する水分の蒸発が促進され、異物捕集フィルタ80に水膜が形成されることが有効に抑制されて、LPL−EGRパイプ71内の排気還流通路P2が異物捕集フィルタ80によって閉塞されることが防止される。
【0052】
また、異物捕集フィルタ80の突面形状部82の突出方向が、排気方向の下流側に傾斜するように方向付けられているので、LPL−EGRパイプ71の内部から筒状ケース部51の内方に凝縮水が逆流したとしても、その凝縮水の流れは排気方向の下流側に向かうものとなる。したがって、LPL−EGRパイプ71の内部から筒状ケース部51の内方に逆流した凝縮水によってPM捕集フィルタ部52が急冷され、損傷するというような懸念が払拭されるとともに、異物捕集フィルタ80がその面積が広くなる上流側フィルタ面83側で十分に加熱されることで、異物捕集フィルタ80に水膜が形成されることが有効に抑制されることになる。
【0053】
しかも、本実施形態においては、異物捕集フィルタ80の突面形状部82が網目の大きさが異なる上流側フィルタ面83および下流側フィルタ面84を有し、上流側フィルタ面83におけるその流体抵抗が、下流側フィルタ面84における流体抵抗より大きくなっているので、LPL−EGRパイプ71内を逆流して排気ガス通路42w側に向かう凝縮水が下流側フィルタ面84を通過して流下し易く、PM捕集フィルタ部52を通過した排気ガスが上流側フィルタ面83を熱し易くなる。したがって、凝縮水の流れが排気方向の下流側に向かい易くなるとともに、異物捕集フィルタ80の上流側フィルタ面83側が十分に加熱され、異物捕集フィルタ80に付着する水分の蒸発が促進される。
【0054】
さらに、上流側フィルタ面83の網目が下流側フィルタ面84の網目より細かくなっているので、異物捕集フィルタ80のLPL−EGRパイプ71または筒状ケース部51への装着姿勢に方向性があるものの、簡素な異物捕集フィルタ80を採用しつつ、水膜形成を抑制できることになる。
【0055】
加えて、排気ガス分配室53より下流側の排気ガス通路部分42wcが筒状ケース部51の内部に開口する開口位置C1が、筒状ケース部51の内壁面51aからの異物捕集フィルタ80の突面形状部82の突出位置C2より鉛直方向の下方側に位置しているので、LPL−EGRパイプ71から逆流する凝縮水が排気方向下流側に容易に流下することとなり、酸性の凝縮水が筒状ケース部51内に溜まり難くなる。
【0056】
また、異物捕集フィルタ80が、突面形状部82の突出方向を排気ガス分配室53より下流側の排気ガス通路部分42wcの開口位置に指向させて配置されているので、LPL−EGRパイプ71から筒状ケース部51内に逆流する凝縮水が排気方向下流側に排出され易くなる。
【0057】
さらに、本実施形態では、筒状ケース部51が、PM捕集フィルタ部52の出口52e側に排気ガス分配室53を形成するコーン形状部分51cを有し、PM捕集フィルタ部52の出口52eから突出位置C2側に向かって排気ガス分配室53内に入る排気ガスの流れが、筒状ケース部51のコーン形状部分51cに沿って突出位置C2側から開口位置C1側に向かって折り返される。したがって、筒状ケース部51内に入った凝縮水の排出経路をPM捕集フィルタ部52の出口から離れる経路に容易に確保できるとともに、コーン形状部分51cをPM捕集フィルタ部52の周囲の筒状壁部51bに対して切り離し容易に分割可能となり、排気管42の筒状ケース部51を組立てやメンテナンスの容易な排気管構造にできる。
【0058】
このように、本実施系形態の内燃機関の排気再循環装置によれば、異物捕集フィルタ80に筒状ケース部51の内部に突出する突面形状部82を設けるとともに、その突出方向を排気方向下流側に傾斜するように方向付けているので、LPL−EGRバルブ72の閉弁中で低圧側の排気還流通路P2内に還流排気ガスが流れないときでも、異物捕集フィルタ80を突面形状部82側の比較的広い面積で排気ガス通路42w内を通る排気ガス中に常にさらすことができるとともに、その面積が広くなる上流側フィルタ面83側で十分に加熱することができ、しかも、LPL−EGRパイプ71の内部から筒状ケース部51の内方に凝縮水が逆流したとしても、その凝縮水の流れを排気方向の下流側に的確に方向付けることができる。その結果、還流排気ガス中への異物の侵入を阻止する網目の細かい異物捕集フィルタ80に水膜が形成されるのを有効に抑制するとともに、逆流した凝縮水によりPM捕集フィルタ部52が急冷されて損傷するといった問題を確実に防止できる内燃機関の排気再循環装置を提供することができる。
【0059】
図5(a)および図5(b)は、本発明の一実施形態に係る内燃機関の排気再循環装置における異物捕集フィルタの複数の変形態様を示している。
【0060】
図5(a)に示す異物捕集フィルタ80M1は、略円錐台形状の突面形状部82を有しており、その突面形状部82は、排気ガス通路42wの上流側部分に面して配置された上流側フィルタ面83と、排気ガス通路の下流側部分に面して配置されるとともに上流側フィルタ面83より鉛直方向の下方側に偏倚するように配置された下流側フィルタ面84とは、互いにメッシュサイズの異なる金属製のメッシュ材で構成され、互いに結合されている。
【0061】
あるいは、異物捕集フィルタ80の突面形状部82が、その略円錐台形状の一部でメッシュ材が重なるように同一のメッシュ材で構成され、その重なり部分に網目の細かい上流側フィルタ面83が形成され、単層部分に網目の大きい下流側フィルタ面84が形成されてもよい。勿論、異なるメッシュ材を重ねて上流側フィルタ面83が構成されてもよいし、上流側フィルタ面83の形成範囲内でメッシュ材の網目を部分的に塞いでもよい。なお、網目がスリット等であってもよいことはいうまでもない。
【0062】
図5(b)に示す異物捕集フィルタ80M2は、筒状ケース部51のコーン形状部分51cの一部に設けられた鉛直壁面51dから排気ガス分配室53内に突出する略円錐形状の突面形状部82を有しており、その突面形状部82は、排気ガス通路42wの上流側部分に面して配置された面積の大きい上流側フィルタ面83と、排気ガス通路の下流側部分に面して配置されるとともに上流側フィルタ面83より鉛直方向の下方側に配置された面積の狭い下流側フィルタ面84とによって構成されている。ここで、上流側フィルタ面83は、網目の細かいメッシュ材で構成され、下流側フィルタ面84は、網目の大きいメッシュ材で構成されている。
【0063】
このような変形態様の異物捕集フィルタ80M1、80M2を用いても、上述のような作用および効果が期待できる。
【0064】
なお、図5(a)および図5(b)に示す異物捕集フィルタ80M1、80M2のいずれにおいても、その突面形状部82は、全体として角錐形状や半球状等であってもよい。
【0065】
また、上述の一実施形態においては、LPL−EGRパイプ71の上流端部71uが筒状ケース部51のコーン形状部分51cの開口の周辺部に接合されるフランジ部を有していてもよいし、筒状ケース部51が、コーン形状部分51cの一部を外方に突出させ、その先端部にLPL−EGRパイプ71の上流端部71uに結合するケース側フランジ部を有していてもよい。
【0066】
本実施形態においては、LPL−EGRパイプ71を筒状ケース部51に連結する際に、異物捕集フィルタ80の環状基端部81を両者間(両者のフランジ部の間)に挟まるように配置しておくだけでよい。あるいは、異物捕集フィルタ80の環状基端部81をLPL−EGRパイプ71の上流端部71uに予め固着させておいてもよいし、異物捕集フィルタ80の環状基端部81を筒状ケース部51の内壁面51a側に予め溶接等により固着させておいてもよい。いずれの場合にも、異物捕集フィルタ80が、排気ガス分配室53内に突出する突面形状部82を有することで、LPL−EGRパイプ71に流入する排気ガスを広いガス通過面積で通過させることができる。環状基端部81をガスケットとして機能させてもよい。異物捕集フィルタの凸面形状が略円錐形状、半球面状、錐台形状等に限定されるものでないことはいうまでない。
【0067】
以上説明したように、本発明に係る内燃機関の排気再循環装置は、異物捕集フィルタに筒状ケース部の内部に突出する突面形状部を設けるとともに、その突出方向を排気方向下流側に傾斜するように方向付けているので、排気還流通路内に還流排気ガスが流れないときでも、異物捕集フィルタを突面形状部側の比較的広い面積で排気ガス通路内を通る排気ガス中に常にさらすことができるとともに、その面積が広くなる上流側フィルタ面側で十分に加熱することができ、しかも、排気還流管の内部から筒状ケース部の内方に凝縮水が逆流したとしても、その凝縮水の流れを排気方向の下流側に方向付けることができ、その結果、還流排気ガス中への異物の侵入を阻止する異物捕集フィルタに水膜が形成されるのを有効に抑制するとともに、排気浄化装置等の損傷を確実に防止できる内燃機関の排気再循環装置を提供することができるという効果を奏するものであり、排気再循環経路中に異物捕集フィルタを設けた内燃機関の排気再循環装置全般に有用である。
【符号の説明】
【0068】
10 エンジン(ディーゼルエンジン、内燃機関)
15 ターボ過給機
15a 吸入空気コンプレッサ
15b 排気タービン
16 HPL−EGR装置(高圧EGR装置)
17 LPL−EGR装置(低圧EGR装置)
32 吸気管
32w 吸気通路
32wa 上流側の吸気通路部分
32wb 下流側の吸気通路部分
42 排気管
42w 排気ガス通路
42wa 上流側の排気ガス通路部分
42wb 低圧排気ガス通路部分
42wc 下流側の排気ガス通路部分
43 排気絞り弁
51 筒状ケース部
51a 内壁面
51b 筒状壁部
51c コーン形状部分
51d 鉛直壁面
52 PM捕集フィルタ部(排気浄化ユニット)
53 排気ガス分配室(特定通路部分)
71 LPL−EGRパイプ(排気還流管)
72 LPL−EGRバルブ(排気還流制御弁)
73 LPL−EGRクーラ(排気冷却器)
80,80M1,80M2 異物捕集フィルタ
81 環状基端部
82 突面形状部
83 上流側フィルタ面
84 下流側フィルタ面
C1 開口位置
C2 突出位置
P2 低圧側排気還流通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気ガスを通す排気ガス通路を形成するとともに該排気ガス通路の途中で排気浄化ユニットを収納する筒状ケース部を有する排気管と、
前記排気ガス通路のうち特定通路部分から前記内燃機関の吸気通路側に前記排気ガスを還流させる排気還流管と、
前記排気還流管の上流端部の近傍に装着され、前記特定通路部分から前記吸気通路側に還流する排気ガス中の異物を捕集する異物捕集フィルタと、を備えた内燃機関の排気再循環装置であって、
前記特定通路部分が、前記筒状ケース部の内部のうち前記排気浄化ユニットより下流側の内部空間によって形成され、
前記異物捕集フィルタが、前記筒状ケース部の内壁面より前記内部空間側に突出する突面形状部を有するとともに、該突面形状部の突出方向が前記排気ガス通路の下流側に傾斜するよう方向付けられていることを特徴とする内燃機関の排気再循環装置。
【請求項2】
前記異物捕集フィルタの前記突面形状部が、前記排気ガス通路の上流側部分に面して配置された上流側フィルタ面と、前記排気ガス通路の下流側部分に面して配置されるとともに前記上流側フィルタ面より鉛直方向の下方側に偏倚するように配置された下流側フィルタ面と、を有し、
前記上流側フィルタ面における前記異物捕集フィルタの流体抵抗が、前記下流側フィルタ面における前記異物捕集フィルタの流体抵抗より大きくなっていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気再循環装置。
【請求項3】
前記上流側フィルタ面における前記異物捕集フィルタの網目が、前記下流側フィルタ面における前記異物捕集フィルタの網目より細かくなっていることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の排気再循環装置。
【請求項4】
前記特定通路部分より下流側の排気ガス通路部分が前記筒状ケース部の内部に開口する開口位置が、前記筒状ケース部の内壁面からの前記異物捕集フィルタの前記突面形状部の突出位置より鉛直方向の下方側に位置していることを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちいずれか1の請求項に記載の内燃機関の排気再循環装置。
【請求項5】
前記異物捕集フィルタが、前記突面形状部の突出方向を前記特定通路部分より下流側の排気ガス通路部分の開口位置に指向させて配置されていることを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の排気再循環装置。
【請求項6】
前記筒状ケース部が、前記排気浄化ユニットの出口側に前記特定通路部分を形成するコーン形状部分を有し、
前記排気浄化ユニットの出口から前記突出位置側に向かって前記特定通路部分内に入る前記排気ガスの流れが、前記筒状ケース部の前記コーン形状部分に沿って前記突出位置側から前記開口位置側に向かって折り返されることを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の排気再循環装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−237236(P2012−237236A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106427(P2011−106427)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】