説明

内線電話システム、着信制御方法および着信制御プログラム

【課題】携帯電話機もしくはPHS端末等の無線電話機に着信があった際に、最寄りのIP電話機もしくはデジタル電話機等の固定電話機によっても応答することが可能な内線電話システムを提供する。
【解決手段】内線電話システム1の制御部2は、無線電波により接続した1ないし複数の無線電話機31のいずれかの無線電話機に着信があった際に、着信があった無線電話機31の音声生成部33にて音声情報として内線番号付きの着信音もしくは着信メロディを生成してスピーカー34から出力することを指示し、かつ、当該無線電話機31が出力した音声情報を受信した1ないし複数のIP電話機11やデジタル電話機21等の固定電話機から該音声情報の音量レベルを受け取り、各固定電話機から受け取った音声情報の音量レベルに基づいて、1ないし複数の固定電話機のうち当該無線電話機31の近傍に位置する固定電話機を特定し、特定した固定電話機に対して着信を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内線電話システム、着信制御方法および着信制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
多機能ボタン電話システム(キーテレホンシステム)や構内電話交換機等の内線電話システムに接続可能な無線電話機は、外出先では、通常の携帯電話機もしくはPHS(Personal Handy-Phone System)端末等の無線電話機として利用し、社内などにおいては、そのまま内線電話機として利用するケースが増える一方、内線電話システム用として卓上に設置されるIP(Internet Protocol)電話機やデジタル電話機等の固定電話機も、サーバ、PC(Personal Computer)連携、インターネット対応など高機能化している。
【0003】
内線電話システムに収容された携帯電話機もしくはPHS端末等の無線電話機と卓上に設置されたIP電話機もしくはデジタル電話機等の固定電話機との両方を使用して、移動先では、携帯電話機もしくはPHS端末等の無線電話機を利用し、社内などにおいてはIP電話機やデジタル電話機等の固定電話機を利用するという利用者も多い。このように、携帯電話機もしくはPHS端末等の無線電話機とIP電話機もしくはデジタル電話機等の固定電話機との両方を利用している場合、利用者にとっては、着信があった場合には、着信があった方の電話端末で応答することが必要であり、応答した際に、着信がなかった方の電話端末の機能やサービスを利用することができなかった。
【0004】
携帯電話機もしくはPHS端末等の無線電話機とIP電話機もしくはデジタル電話機等の固定電話機との両方を利用している場合におけるかくのごとき問題を解決するために、例えば、PHS端末または携帯電話機等の無線電話機を携行した利用者が社内に居る状況において、当該携帯電話機もしくはPHS端末等の無線電話機に着信があった場合には、当該携帯電話機もしくはPHS端末等の無線電話機の位置を特定することによって、より高機能化したもう一方のIP電話機もしくはデジタル電話機等の固定電話機によって当該着信に応答することを可能にする技術が提案されるようになってきている。
【0005】
例えば、特許文献1の特開平07−240960号公報「電話システム」には、着信先の携帯電話機が通話中の場合に、当該携帯電話機が位置登録している無線基地局のエリア内に存在している固定電話機に自動転送する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平07−240960号公報(第2−3頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、内線電話システムに接続可能な携帯電話機もしくはPHS端末等の無線電話機と内線電話システム用として卓上に設置されたIP電話機もしくはデジタル電話機等の固定電話機との両方を使用している場合、前記特許文献1の自動転送技術を適用しようとしても、携帯電話機もしくはPHS端末等の無線電話機の無線基地局の範囲は広い領域に及ぶものであり、携帯電話機もしくはPHS端末等の無線電話機とIP電話機もしくはデジタル電話機等の固定電話機との間の距離が離れている場合が一般的であり、固定電話機が位置する場所まで長い距離を移動することが必要になり、利便性を損なう結果を招くことになる。
【0008】
さらには、携帯電話機もしくはPHS端末等の無線電話機の位置登録している基地局エリア内に複数のIP電話機もしくはデジタル電話機等の固定電話機が存在していた場合に、どのIP電話機もしくはデジタル電話機等の固定電話機が着信があった携帯電話機もしくはPHS端末等の無線電話機の最も近傍に存在している固定電話機であるかということを特定することも困難である。
【0009】
(本発明の目的)
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、携帯電話機もしくはPHS端末等の無線電話機に着信があった際に、最寄りのIP電話機もしくはデジタル電話機等の固定電話機によっても応答することが可能な内線電話システム、着信制御方法および着信制御プログラムを提供することを、その目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の課題を解決するため、本発明による内線電話システム、着信制御方法および着信制御プログラムは、主に、次のような特徴的な構成を採用している。
【0011】
(1)本発明による内線電話システムは、内線接続した1ないし複数の固定電話機および無線電波により接続した1ないし複数の無線電話機を収容している内線電話システムであって、1ないし複数の前記無線電話機のいずれかの無線電話機に着信があった際に、着信があった前記無線電話機から音声情報として着信音もしくは着信メロディを出力することを指示し、かつ、当該無線電話機が出力した前記音声情報を1ないし複数の前記固定電話機それぞれにおいて受信した際の該音声情報の音量レベルに関する情報を各前記固定電話機から受け取ることによって、各前記固定電話機それぞれから受け取った前記音声情報の音量レベルに基づいて、1ないし複数の前記固定電話機のうち前記無線電話機の近傍に位置する固定電話機を特定し、特定した前記固定電話機に対して着信を行うことを特徴とする。
【0012】
(2)本発明による着信制御方法は、内線接続した1ないし複数の固定電話機および無線電波により接続した1ないし複数の無線電話機を収容している内線電話システムにおける着信制御方法であって、1ないし複数の前記無線電話機のいずれかの無線電話機に着信があった際に、着信があった前記無線電話機から音声情報として着信音もしくは着信メロディを出力し、かつ、当該無線電話機が出力した前記音声情報を1ないし複数の前記固定電話機それぞれにおいて受信した際の該音声情報の音量レベルに基づいて、1ないし複数の前記固定電話機のうち前記無線電話機の近傍に位置する固定電話機を特定し、特定した前記固定電話機に対して着信を行うことを特徴とする。
【0013】
(3)本発明による着信制御プログラムは、少なくとも前記(2)に記載の着信制御方法を、コンピュータによって実行可能なプログラムとして実施していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の内線電話システム、着信制御方法および着信制御プログラムによれば、以下のような効果を奏することができる。
【0015】
すなわち、本発明による主要な効果は、内線電話システムに収容された携帯電話機もしくはPHS端末等の無線電話機に着信があった場合に、当該無線電話機に近接して設置されているIP電話機やデジタル電話機等の固定電話機であっても、当該無線電話機の代わりに、当該無線電話機への着信に応答して、該固定電話機が有する高度な機能を使用することが可能になることにある。
【0016】
その理由は、着信があった無線電話機から着信音もしくは着信メロディとして出力する音声情報を、当該無線電話機の周辺に位置している各固定電話機が受信して、それぞれが受信した音声情報の音量レベルを内線電話システムに対して通知してくるので、内線電話システムは、当該無線電話機に近接して設置されている固定電話機を特定することができ、特定した固定電話機に対して着信動作を行うことができるからである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による内線電話システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
【図2】図1に示す内線電話システムの動作の流れの一例を説明するためのフローチャートである。
【図3】図1に示す内線電話システムに収容された無線電話機に着信があった際に当該無線電話機と各固定電話機それぞれとの間の相対的な位置関係を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明による内線電話システム、着信制御方法および着信制御プログラムの好適な実施形態について添付図を参照して説明する。なお、以下の説明においては、本発明による内線電話システムおよび着信制御方法について説明するが、かかる着信制御方法をコンピュータにより実行可能な着信制御プログラムとして実施するようにしても良いし、あるいは、着信制御プログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録するようにしても良いことは言うまでもない。ここで、内線電話システムとは、公衆網と接続されて、組織内の電話サービスを実施する私設電話設備を構成するものであり、構内電話交換機(PBX:Private Branch Exchange)やキーテレホンシステム(または多機能ボタン電話システム)等からなっている。
【0019】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。本発明は、内線電話システムに収容された携帯電話機もしくはPHS端末等の無線電話機に着信があった場合に、該無線電話きの代わりに応答可能な固定電話機として、音量を用いて、着信があった該無線電話機の近傍の卓上などに設置されている内線電話システム用のIP電話機やデジタル電話機等の固定電話機を特定し、特定したIP電話機やデジタル電話機等の固定電話機に対して着信することを主要な特徴としている。而して、IP電話機やデジタル電話機等の固定電話機を用いて着信に応答することにより、応答したIP電話機やデジタル電話機等の固定電話機のより高度な電話機能を使用することが可能になる。
【0020】
(本発明の実施形態の構成)
次に、本発明の実施形態の構成例について、図1を用いて詳細に説明する。図1は、本発明による内線電話システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。図1に示す本実施形態の内線電話システム1は、構内電話交換機(PBX)もしくはキーテレホンシステム(または多機能ボタン電話システム)から構成されている。図1に示す内線電話システム1においては、卓上等に設置される固定電話機としてIP(Internet Protocol)電話機11もしくはデジタル電話機21を用いている場合を示している。さらに、図1に示す内線電話システム1は、卓上等に設置される固定電話機として、1ないし複数のIP電話機11を、LAN(Local Area Network)を介して接続したり、1ないし複数のデジタル電話機21を、デジタル通信ケーブル(2芯または4芯)を介して接続したりするのみならず、移動通信用として利用される携帯電話機もしくはPHS(Personal Handy-Phone System)端末等の無線電話機31も、無線電波によって1ないし複数接続することができる。
【0021】
ここで、構内電話交換機(PBX)もしくはキーテレホンシステム(または多機能ボタン電話システム)からなる内線電話システム1は、制御部2、IP電話機制御部3、デジタル電話機制御部4、無線電話機制御部5、記憶部6、出力部7を、少なくとも含んで構成されている。
【0022】
制御部2は、内線電話システム1全体の動作を制御する部位である。また、IP電話機制御部3は、IP電話機11に対する指示およびIP電話機11からの情報取得等の制御を行う部位である。また、デジタル電話機制御部4は、デジタル電話機21に対する指示およびデジタル電話機21からの情報取得等の制御を行う部位である。また、無線電話機制御部5は、携帯電話機もしくはPHS端末等の無線電話機31に対する指示および無線電話機31からの情報取得等の制御を行う部位である。
【0023】
また、記憶部6は、内線着信時の応答動作を制御する着信制御プログラム等の内線電話システム1の動作用の制御プログラムを格納したり、各種のデータを記憶したりする部位であり、記憶する各種のデータの一つとして、1ないし複数の無線電話機31のいずれかに着信した際に、当該内線電話システム1の制御に基づいて、内線接続している1ないし複数のIP電話機11や1ないし複数のデジタル電話機21の各固定電話機それぞれから通知されてくる音声情報の音量レベルに関する情報も含まれている。また、出力部7は、1ないし複数のIP電話機11や1ないし複数のデジタル電話機21の各固定電話機それぞれから通知されてくる音声情報の音量レベルに基づいて、着信があった無線電話機31と、各IP電話機11や各デジタル電話機21の各固定電話機それぞれとの間の、相対的な位置関係を示す情報を利用者に対して出力する部位である。
【0024】
一方、1ないし複数のIP電話機11は、いずれも、IP電話機制御部12、音声生成部13、スピーカー14、マイク15を少なくとも含んで構成されている。IP電話機制御部12は、内線電話システム1と連携して、自IP電話機11の制御を行う部位であり、音声生成部13は、IP電話機制御部12の制御に基づいて着信音や着信メロディ等の音声情報を生成する部位であり、スピーカー14は、音声生成部13が生成した音声情報を出力する部位であり、マイク15は、外部からの音声情報を取り込む部位である。
【0025】
また、1ないし複数のデジタル電話機21は、IP電話機11と同様の構成を備えており、いずれも、デジタル電話機制御部22、音声生成部23、スピーカー24、マイク25を少なくとも含んで構成されている。デジタル電話機制御部22は、内線電話システム1と連携して、自デジタル電話機21の制御を行う部位であり、音声生成部23は、デジタル電話機制御部22の制御に基づいて着信音や着信メロディ等の音声情報を生成する部位であり、スピーカー24は、音声生成部23が生成した音声情報を出力する部位であり、マイク25は、外部からの音声情報を取り込む部位である。
【0026】
また、1ないし複数の無線電話機31も、IP電話機11と同様の構成を備えており、いずれも、無線電話機制御部32、音声生成部33、スピーカー34、マイク35を少なくとも含んで構成されている。無線電話機制御部32は、内線電話システム1と連携して、自無線電話機31の制御を行う部位であり、音声生成部33は、無線電話機制御部32の制御に基づいて着信音や着信メロディ等の音声情報を生成する部位であり、スピーカー34は、音声生成部33が生成した音声情報を出力する部位であり、マイク35は、外部からの音声情報を取り込む部位である。
【0027】
(本発明の実施形態の動作の説明)
次に、図1に示す内線電話システム1の動作について、その一例を、図2のフローチャートおよび図3の説明図を用いて説明する。図2は、図1に示す内線電話システム1の動作の流れの一例を説明するためのフローチャートである。また、図3は、図1に示す内線電話システム1に収容された無線電話機31に着信があった際に当該無線電話機31と各IP電話機11、各デジタル電話機21等の各固定電話機それぞれとの間の相対的な位置関係を説明するための説明図である。
【0028】
図2のフローチャートにおいて、まず、内線電話システム1に収容されている1ないし複数のIP電話機11またはデジタル電話機21または無線電話機31のいずれかの内線電話機に対して外線または内線から電話着信すると(ステップS1)、内線電話システム1の制御部2は、着信があった着信先の内線番号の電話機が、携帯電話機もしくはPHS端末等の無線電話機31であるか否かを判別する(ステップS2)。
【0029】
着信先の内線番号の電話機が、無線電話機31ではなかった場合は(ステップS2の「いいえ」の場合)、着信先の電話機は、IP電話機11またはデジタル電話機21等のいずれかの、卓上等に設置された高機能の固定電話機であるので、着信先の固定電話機すなわちIP電話機11またはデジタル電話機21にそのまま着信するように、着信先の固定電話機のスピーカーすなわちIP電話機11のスピーカー14またはデジタル電話機21のスピーカー24から着信音もしくは着信メロディを出力して、当該固定電話機の利用者に対する呼び出しを行う。
【0030】
一方、着信先の内線番号の電話機が、無線電話機31であった場合は(ステップS2の「はい」の場合)、当該無線電話機31から最も近傍に位置している固定電話機すなわちIP電話機11もしくはデジタル電話機21を特定して、特定した該固定電話機に対して、当該無線電話機31に代わって着信して、応答することができる状態に移行するための処理に移行する。例えば、図3の説明図に示す無線電話機31に対する着信があった場合、当該無線電話機31に最も近い位置関係にある第7固定電話機41gに対して着信を行うための処理に移行する。
【0031】
ここで、図3に示す説明図には、卓上に設定されているIP電話機11もしくはデジタル電話機21を第n固定電話機(n=1〜8の整数)と表記して示しており、第1固定電話機41a、第2固定電話機41b、…、第8固定電話機41hの8台の固定電話機がそれぞれの卓上に分散して配置されている。図3に示すように、着信があった携帯電話機もしくはPHS端末等の無線電話機31を携行する利用者が位置している場所に最も近い位置にあるIP電話機11もしくはデジタル電話機21の固定電話機は、第7固定電話機41gが該当している。
【0032】
図2のフローチャートのステップS2において、無線電話機31に対する着信であった場合、まず、内線電話システム1の制御部2は、IP電話機制御部3、デジタル電話機制御部4を駆動して、当該内線電話システム1に収容されている各固定電話機すなわち各IP電話機11および各デジタル電話機21(つまり図3の第1固定電話機41a、…、第8固定電話機41h)に対して、それぞれのマイクすなわちマイク15もしくはマイク25をONにして、着信先として指定されている無線電話機31からの音声情報を受信して入力する準備を行うことを指示する(ステップS3)。
【0033】
内線電話システム1からの該指示を受け取った各固定電話機の制御部すなわち各IP電話機11のIP電話機制御部12および各デジタル電話機21のデジタル電話機制御部22(つまり図3の第1固定電話機41a、…、第8固定電話機41hの各固定電話機制御部)は、それぞれのマイクすなわちマイク15もしくはマイク25をONにして、着信先として指定されている無線電話機31のスピーカー34が着信音もしくは着信メロディとして出力する音声情報を、それぞれのマイクすなわちマイク15もしくはマイク25を介して受信するための準備を行う。
【0034】
次に、内線電話システム1の制御部2は、無線電話機制御部5を駆動して、着信先として指定されている無線電話機31に対して、内線番号を重畳したあらかじめ定めた鳴動周期の着信音もしくは着信メロディからなる音声情報を出力することを指示する(ステップS4)。内線電話システム1からの該指示を受け取った当該無線電話機31の無線電話機制御部32は、音声生成部33を駆動して、内線番号を重畳したあらかじめ定めた鳴動周期の着信音もしくは着信メロディからなる音声情報を生成して、スピーカー34から出力することによって、当該無線電話機31を携行している利用者に対して着信を通知する。
【0035】
一方、着信先として指定されている無線電話機31からの音声情報を受信する準備を行っていた各固定電話機の制御部すなわち各IP電話機11のIP電話機制御部12および各デジタル電話機21のデジタル電話機制御部22(つまり図3の第1固定電話機41a、…、第8固定電話機41hの各固定電話機制御部)は、それぞれのマイクから入力されてくる音声情報を受け取り、着信先として指定されていた無線電話機31からの音声情報であるか否かを、受け取った音声情報に含まれている内線番号を解析することによって判別する(ステップS5)。
【0036】
各固定電話機の制御部すなわち各IP電話機11のIP電話機制御部12および各デジタル電話機21のデジタル電話機制御部22(つまり図3の第1固定電話機41a、…、第8固定電話機41hの各固定電話機制御部)は、それぞれ、受け取った音声情報の解析結果として、着信先として指定されていた無線電話機31からの音声情報であることを判別すると、当該音声情報の受信レベル(音量レベル)の測定結果に関する情報を、当該音声情報に含まれていた無線電話機31の内線番号を付して、内線電話システム1に送信する。
【0037】
各固定電話機すなわち各IP電話機11および各デジタル電話機21(つまり図3の第1固定電話機41a、…、第8固定電話機41h)それぞれから送信されてきた音量レベルと内線番号とを受信した内線電話システム1の制御部2は、各固定電話機から受信した音量レベルと内線番号とを記憶部6に保存する(ステップS6)。
【0038】
しかる後、内線電話システム1の制御部2は、記憶部6に保存した各固定電話機すなわち各IP電話機11および各デジタル電話機21(つまり図3の第1固定電話機41a、…、第8固定電話機41h)それぞれから送信されてきた音量レベルを比較する。さらに、内線電話システム1の制御部2は、それぞれの音量レベルを比較した結果に基づいて、各固定電話機すなわち各IP電話機11および各デジタル電話機21(つまり図3の第1固定電話機41a、…、第8固定電話機41h)それぞれが存在する位置と、着信があった無線電話機31との間の位置関係を判別して、出力部7を介して利用者に対して通知する。
【0039】
さらに、内線電話システム1の制御部2は、着信があった無線電話機31が出力した音声情報の音量レベルを最も高く受信していた固定電話機すなわちIP電話機11もしくはデジタル電話機21を、当該無線電話機31の最も近い位置に存在している固定電話機すなわちIP電話機11もしくはデジタル電話機21として特定する(ステップS7)。すなわち、図3に示す説明図においては、第7固定電話機41gが、着信があった無線電話機31の最も近い位置に存在している固定電話機すなわちIP電話機11もしくはデジタル電話機21であるものとして決定する。
【0040】
しかる後、内線電話システム1の制御部2は、着信があった無線電話機31の最も近い位置に存在している固定電話機として決定した固定電話機すなわちIP電話機11もしくはデジタル電話機21(図3に示す第7固定電話機41g)を、着信があった無線電話機31に代わって応答することが可能な固定電話機として、着信動作を行うことを指示する。
【0041】
つまり、IP電話機制御部3もしくはデジタル電話機制御部4を駆動して、当該固定電話機すなわちIP電話機11もしくはデジタル電話機21(つまり図3の第7固定電話機41g)に対して指示を行い、着信先のIP電話機11のスピーカー14もしくはデジタル電話機21のスピーカー24(つまり図3の第7固定電話機41gのスピーカー)からあらかじめ定めた鳴動周期の着信音もしくは着信メロディを出力させて、利用者に対する呼び出しを行わせる。(ステップS8)。なお、ここで出力する着信音もしくは着信メロディは、着信があった無線電話機31に代わって応答することが可能な着信動作であることを示すために定めた特定の音声情報(例えば、着信があった無線電話機の内線番号を重畳した着信音もしくは着信メロディ)を用いるようにしても良い。
【0042】
かくのごとき動作を行うことによって、着信があった無線電話機31の利用者は、当該利用者の所在場所に最も近い位置に設置されている固定電話機すなわちIP電話機11もしくはデジタル電話機21(つまり図3の第7固定電話機41g)を使って応答することができ、当該固定電話機に備えられている高機能の電話機能を用いて通話相手との通話を行うことが可能になる。
【0043】
以上の実施形態においては、図2のステップS4において、着信があった無線電話機31の音声生成部33が生成して出力する音声情報として、内線番号を重畳したあらかじめ定めた着信音もしくは着信メロディを用いる場合を示したが、本発明はかかる場合に限るものではなく、どの無線電話機31からの音声情報であるかを、各IP電話機11や各デジタル電話機21等の各固定電話機が識別することが可能な音声情報であれば、着信があった無線電話機31の内線番号を重畳しなくても構わない。
【0044】
例えば、音声情報として出力する着信音の鳴動周期や着信メロディについて、各無線電話機31ごとに着信音の鳴動周期や着信メロディが異なるように、各無線電話機31それぞれに固有にあらかじめ割り当てておき、それぞれの無線電話機31から音声情報として出力される着信音の鳴動周期や着信メロディの違いによって、該音声情報を受信した各IP電話機11や各デジタル電話機21等の各固定電話機が、どの無線電話機31からの音声情報であるかを識別することを可能にするようにしても良い。
【0045】
また、前述した実施形態においては、図2のステップS5、S6において、内線番号を重畳したあらかじめ定めた鳴動周期の着信音もしくは着信メロディを受信した各IP電話機11や各デジタル電話機等の各固定電話機が、着信音もしくは着信メロディに重畳されている内線番号を解析して、指定されていた無線電話機31からの音声情報であることを判別する場合について説明したが、本発明はかかる場合に限るものではない。例えば、各固定電話機は、受信した音声情報に関するかくのごとき解析処理を行うことなく、固定電話機のマイクすなわちIP電話機11のマイク15もしくはデジタル電話機21のマイク25から入力されてきた音声情報をそのまま内線電話システム1に送信して、内線電話システム1の制御部2によって、内線番号の解析処理を行うようにしても良い。
【0046】
また、前述した実施形態においては、図2のステップS3において、無線電話機31に着信があった際に、内線電話システム1に収容されている各固定電話機すなわち各IP電話機11および各デジタル電話機21(つまり図3の第1固定電話機41a、…、第8固定電話機41h)に対して、それぞれのマイクすなわちマイク15もしくはマイク25をONにして、着信先として指定されている無線電話機31からの音声情報を受信して入力する準備を行うことを指示している場合を示したが、本発明はかかる場合に限るものではない。
【0047】
例えば、各固定電話機すなわち各IP電話機11および各デジタル電話機21のマイク15もしくはマイク25を常時ON状態に設定しておき、必要に応じて、例えば、ステップS3のような内線電話システム1からの指示があった場合に、着信先として指定されている無線電話機31からの音声情報が受信されてくることを監視する状態に移行するようにしても良いし、あるいは、ステップS3の内線電話システム1からの指示を行うことなく、常時、着信先として指定されている無線電話機31からの音声情報が受信されてくるか否かを監視する状態に設定するようにしても良い。
【0048】
さらに、場合によっては、内線電話システム1に収容されているすべての固定電話機のうち空き状態にある固定電話機すべてに対して、無線電話機31からの音声情報を受信して入力する準備を行うための指示を内線電話システム1から行うことにしなくても良い。例えば、マイクをONに設定する固定電話機すなわちIP電話機11やデジタル電話機21は、着信先として指定された無線電話機31が位置登録されている無線基地局の近傍すなわち当該無線基地局のあらかじめ定めた領域内に存在し、かつ、空き状態にある固定電話機のみに限って、指示を行うようにしても構わない。
【0049】
また、前述した実施形態においては、図2のステップS7において、着信があった無線電話機31の代わりに着信することが可能な固定電話機として、当該無線電話機31の最も近い位置に存在している固定電話機すなわちIP電話機11もしくはデジタル電話機21を特定する場合について説明したが、本発明はかかる場合のみに限るものではない。例えば、着信があった無線電話機31から受信した音声情報の音量レベルが、あらかじめ定めたレベル閾値以上になっているすべての固定電話機すなわちIP電話機11もしくはデジタル電話機21を、着信があった無線電話機31の代わりに着信することが可能な固定電話機として特定して、着信音もしくは着信メロディを出力するようにしても良い。
【0050】
つまり、図3の説明図において、着信があった無線電話機31からの音声情報を前記レベル閾値以上の音量レベルで受信可能な範囲が、例えば、最外周のサークルで示す着信通知領域51の範囲内にあるとした場合には、該無線電話機31から最短の位置にある第7固定電話機41gのみならず、着信通知領域51内に位置している第3固定電話機41c、第6固定電話機41fに対しても着信音もしくは着信メロディを出力するようにする。この結果、着信があった無線電話機31の利用者は、着信音もしくは着信メロディが出力された第3固定電話機41c、第6固定電話機41f、第7固定電話機41gのいずれでも、任意の固定電話機を用いて応答することが可能になる。
【0051】
(実施形態の効果の説明)
以上に詳細に説明したように、本発明の実施形態においては、以下のような効果が得られる。
【0052】
第1の効果は、内線電話システム1に収容された携帯電話機もしくはPHS端末等の無線電話機31に着信があった場合に、当該無線電話機31に近接して設置されているIP電話機11やデジタル電話機21等の固定電話機であっても、当該無線電話機31の代わりに、当該着信に応答して、該固定電話機が有する高度な機能を使用することが可能になることにある。その理由は、着信があった無線電話機31から着信音もしくは着信メロディとして出力する音声情報を、当該無線電話機31の周辺に位置しているIP電話機11やデジタル電話機21等の各固定電話機が受信して、それぞれが受信した音声情報の音量レベルを内線電話システム1に対して通知してくるので、内線電話システム1は、当該無線電話機31に近接して設置されている固定電話機を特定することができ、特定した固定電話機に対して着信動作を行うことができるからである。
【0053】
第2の効果は、着信があった無線電話機31に近接して設置されているIP電話機11やデジタル電話機21等の固定電話機を確実に特定することができることにある。その理由は、着信があった無線電話機31から出力する音声情報として、当該無線電話機31の内線番号を重畳した着信音もしくは着信メロディ、または、当該無線電話機31にあらかじめ割り当てられた鳴動周期の着信音もしくは着信メロディを用いているので、かかる音声情報を受信する各固定電話機もしくは内線電話システム1は、着信があった無線電話機31から出力された音声情報であることを確実に判別することができるからである。
【0054】
第3の効果は、着信があった無線電話機31の利用者が、1ないし複数の固定電話機のうち、最も利用し易い固定電話機を選択して応答操作を行うことができることにある。その理由は、着信があった無線電話機31に最も近い位置に設置されている固定電話機のみに限らず、無線電話機31から受信した音声情報の音量レベルがあらかじめ定めたレベル閾値以上であったすべての固定電話機に対して、着信音もしくは着信メロディを出力して呼び出すようにすることも可能としているからである。
【0055】
以上、本発明の好適な実施形態の構成を説明した。しかし、かかる実施形態は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。
【符号の説明】
【0056】
1 内線電話システム
2 制御部
3 IP電話機制御部
4 デジタル電話機制御部
5 無線電話機制御部
6 記憶部
7 出力部
11 IP(Internet Protocol)電話機
12 IP電話機制御部
13 音声生成部
14 スピーカー
15 マイク
21 デジタル電話機
22 デジタル電話機制御部
23 音声生成部
24 スピーカー
25 マイク
31 無線電話機
32 無線電話機制御部
33 音声生成部
34 スピーカー
35 マイク
41a 第1固定電話機
41b 第2固定電話機
41c 第3固定電話機
41d 第4固定電話機
41e 第5固定電話機
41f 第6固定電話機
41g 第7固定電話機
41h 第8固定電話機
51 着信通知領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内線接続した1ないし複数の固定電話機および無線電波により接続した1ないし複数の無線電話機を収容している内線電話システムであって、1ないし複数の前記無線電話機のいずれかの無線電話機に着信があった際に、着信があった前記無線電話機から音声情報として着信音もしくは着信メロディを出力することを指示し、かつ、当該無線電話機が出力した前記音声情報を1ないし複数の前記固定電話機それぞれにおいて受信した際の該音声情報の音量レベルに関する情報を各前記固定電話機から受け取ることによって、各前記固定電話機それぞれから受け取った前記音声情報の音量レベルに基づいて、1ないし複数の前記固定電話機のうち前記無線電話機の近傍に位置する固定電話機を特定し、特定した前記固定電話機に対して着信を行うことを特徴とする内線電話システム。
【請求項2】
前記無線電話機が音声情報として出力する着信音もしくは着信メロディは、当該無線電話機の内線番号に関する情報を重畳しているか、あるいは、各前記無線電話機ごとに固有にあらかじめ割り当てられた鳴動周期の着信音もしくは着信メロディであることを特徴とする請求項1に記載の内線電話システム。
【請求項3】
各前記固定電話機それぞれから受け取った前記音声情報の音量レベルに基づいて、前記無線電話機の近傍に位置する前記固定電話機を特定する場合、前記音声情報を受信した1ないし複数の前記固定電話機のうち、前記音声情報の音量レベルが最も高い音量レベルの前記固定電話機を選択して特定するか、あるいは、前記音声情報の音量レベルがあらかじめ定めたレベル閾値以上の1ないし複数の前記固定電話機を選択して特定することを特徴とする請求項1または2に記載の内線電話システム。
【請求項4】
着信があった前記無線電話機が出力した前記音声情報を受信する1ないし複数の前記固定電話機は、内線接続したすべての前記固定電話機のうち、空き状態にある固定電話機、あるいは、当該無線電話機が位置登録されている無線基地局のあらかじめ定めた領域内に存在し、かつ、空き状態にある固定電話機とすることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の内線電話システム。
【請求項5】
着信があった前記無線電話機が出力した前記音声情報を受信する1ないし複数の前記固定電話機は、内線接続したすべての前記固定電話機のうち、当該無線電話機が出力する前記音声情報を受信するための準備をあらかじめ指示された固定電話機とすることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の内線電話システム。
【請求項6】
前記固定電話機は、IP(Internet Protocol)電話機もしくはデジタル電話機であり、前記無線電話機は、携帯電話機もしくはPHS(Personal Handy−Phone System)端末であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の内線電話システム。
【請求項7】
内線接続した1ないし複数の固定電話機および無線電波により接続した1ないし複数の無線電話機を収容している内線電話システムにおける着信制御方法であって、1ないし複数の前記無線電話機のいずれかの無線電話機に着信があった際に、着信があった前記無線電話機から音声情報として着信音もしくは着信メロディを出力し、かつ、当該無線電話機が出力した前記音声情報を1ないし複数の前記固定電話機それぞれにおいて受信した際の該音声情報の音量レベルに基づいて、1ないし複数の前記固定電話機のうち前記無線電話機の近傍に位置する固定電話機を特定し、特定した前記固定電話機に対して着信を行うことを特徴とする着信制御方法。
【請求項8】
前記無線電話機が音声情報として出力する着信音もしくは着信メロディは、当該無線電話機の内線番号に関する情報を重畳しているか、あるいは、各前記無線電話機ごとに固有にあらかじめ割り当てられた鳴動周期の着信音もしくは着信メロディであることを特徴とする請求項7に記載の着信制御方法。
【請求項9】
各前記固定電話機それぞれから受け取った前記音声情報の音量レベルに基づいて、前記無線電話機の近傍に位置する前記固定電話機を特定する場合、前記音声情報を受信した1ないし複数の前記固定電話機のうち、前記音声情報の音量レベルが最も高い音量レベルの前記固定電話機を選択して特定するか、あるいは、前記音声情報の音量レベルがあらかじめ定めたレベル閾値以上の1ないし複数の前記固定電話機を選択して特定することを特徴とする請求項7または8に記載の着信制御方法。
【請求項10】
請求項7ないし9のいずれかに記載の着信制御方法を、コンピュータによって実行可能なプログラムとして実施していることを特徴とする着信制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−12812(P2013−12812A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142619(P2011−142619)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】