内視鏡装置および計測方法
【課題】計測により適した位置をユーザに知らせることができる内視鏡装置および計測方法を提供する。
【解決手段】CPU18は、被写体の表面の曲率情報に基づいて、その表面を近似する平面とその表面との交点のうち2つの交点間の空間距離を算出する。映像信号処理回路12は、映像信号に基づく画像上に、2つの交点間の空間距離分の幅を示す目印を表示するための表示信号を生成する。CPU18は、画像上で指定された点の空間座標を算出し、少なくとも3点の空間座標で決まる平面と1点の空間座標との空間距離を算出する。
【解決手段】CPU18は、被写体の表面の曲率情報に基づいて、その表面を近似する平面とその表面との交点のうち2つの交点間の空間距離を算出する。映像信号処理回路12は、映像信号に基づく画像上に、2つの交点間の空間距離分の幅を示す目印を表示するための表示信号を生成する。CPU18は、画像上で指定された点の空間座標を算出し、少なくとも3点の空間座標で決まる平面と1点の空間座標との空間距離を算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡により被写体を撮像して得られた映像信号を処理する内視鏡装置および計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工業用内視鏡は、ボイラー、タービン、エンジン、パイプ等の内部の傷や腐食等の観察や検査に使用されている。また、内視鏡で撮像された画像上で指定された計測点をもとに長さや面積などの計測を行う機能を備えた工業用内視鏡がある(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−66536号公報
【特許文献2】特開2003−70719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
工業用内視鏡が備える計測機能の一つに、面基準計測と呼ばれる機能がある。面基準計測では、ユーザが画像上で指定した3点の空間座標で決まる仮想的な平面(基準面)と、ユーザが画像上で指定した1点の空間座標との空間距離(3次元距離)が算出される。面基準計測を行うことにより、例えば計測対象物の表面に存在する凹部の深さや凸部の高さを知ることができる。
【0005】
しかし、パイプのように曲面を有する物体に対して面基準計測を行う場合、基準面を決定するための3点の位置に応じて計測結果の誤差が異なるという問題が発生する。以下、図12を参照しながら、この問題の詳細を説明する。
【0006】
図12に示すように、内視鏡がパイプの内側の表面を撮像したときの画像120上に、計測対象となる凹部121が存在しているものとする。また、画像120の上下方向がパイプの軸方向であるものとする。図12の下部は、パイプの断面を示している。面基準計測を行う場合、ユーザは、パイプの内側の表面122を近似する基準面を決定する3点と、凹部121の深さを計測する位置を指定する1点とを画像120上で指定する。
【0007】
例えば、基準面を決定する3点として点A,B1,C1が指定され、凹部121の深さを計測する位置を指定する1点として点Dが指定された場合、凹部121の深さはd1となる。一方、基準面を決定する3点として点A,B2,C2が指定され、凹部121の深さを計測する位置を指定する1点として点Dが指定された場合、凹部121の深さはd2となる。
【0008】
基準面を決定する3点として点A,B1,C1が指定された場合、これらの点を通る基準面S1はパイプの内側の表面122を比較的良く近似しているため、計測結果として得られる深さd1の、実際の深さに対する誤差は小さい。しかし、基準面を決定する3点として点A,B2,C2が指定された場合、これらの点を通る基準面S2は、基準面S1と比較すると、パイプの内側の表面122に対する近似度が低いため、計測結果として得られる深さd2の、実際の深さに対する誤差は大きくなる。
【0009】
上記のように、基準面を決定する3点の位置に応じて計測結果の誤差が異なる。このため、基準面を決定する3点が、計測結果の誤差の小さくなる位置に指定されることが望ましい。
【0010】
そこで、計測により適した位置をユーザに知らせることができる内視鏡装置および計測方法を提供することが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本実施態様にかかる内視鏡装置によれば、被写体を撮像し撮像信号を生成する内視鏡と、前記撮像信号に基づいて映像信号を生成する映像信号生成部と、前記被写体の表面の曲率情報に基づいて、前記表面を近似する平面と前記表面との交点のうち2つの交点間の空間距離を算出する第1の距離算出部と、前記映像信号に基づく画像上に、前記交点間の空間距離分の幅を示す目印を表示するための表示信号を生成する表示信号生成部と、前記画像上で指定された点の空間座標を算出し、少なくとも3点の空間座標で決まる平面と1点の空間座標との空間距離を算出する第2の距離算出部と、を備えたものである。
【0012】
また、前記被写体はパイプであり、前記第1の距離算出部は、前記パイプの内側の表面の曲率情報に基づいて、前記表面を近似する平面と前記表面との交点のうち2つの交点間の空間距離を算出することが好ましい。
【0013】
また、前記表示信号生成部は、前記映像信号に基づく画像上に、前記交点間の空間距離分の幅と前記パイプの軸方向とを示す目印を表示するための前記表示信号を生成することが好ましい。
【0014】
また、前記表示信号生成部は、前記映像信号に基づく画像上において、前記1点の空間座標に対応する位置に、前記交点間の空間距離を示す目印を表示するための表示信号を生成することが好ましい。
【0015】
本実施態様にかかる計測方法は、内視鏡が撮像する被写体の表面の曲率情報に基づいて、前記表面を近似する平面と前記表面との交点のうち2つの交点間の空間距離を算出する第1のステップと、前記内視鏡が前記被写体を撮像して生成した撮像信号から生成された映像信号に基づく画像上に、前記交点間の空間距離分の幅を示す目印を表示するための表示信号を生成する第2のステップと、前記画像上の点を入力する第3のステップと、前記第3のステップで入力された少なくとも3点の空間座標で決まる平面と1点の空間座標との空間距離を算出する第4のステップと、を備えたものである。
【発明の効果】
【0016】
本実施態様にかかる内視鏡装置によれば、映像信号に基づく画像上に、被写体の表面の曲率情報に基づく空間距離分の幅を示す目印を表示することが可能となる。被写体の表面を近似する平面を決定する点の位置がこの幅に収まる場合には、その他の場合と比較して、平面によって被写体の表面が良く近似され、計測結果の誤差が小さくなる。したがって、この目印を表示することによって、計測により適した位置をユーザに知らせることができる。
【0017】
また、本実施態様にかかる計測方法によれば、映像信号に基づく画像上に、被写体の表面の曲率情報に基づく空間距離分の幅を示す目印を表示することが可能となる。被写体の表面を近似する平面を決定する点の位置がこの幅に収まる場合には、その他の場合と比較して、平面によって被写体の表面が良く近似され、計測結果の誤差が小さくなる。したがって、この目印を表示することによって、計測により適した位置をユーザに知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態による内視鏡装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態による内視鏡装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態における計測点の3次元座標の求め方を説明するための参考図である。
【図4】本発明の一実施形態における計測処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態における計測画面を示す参考図である。
【図6】本発明の一実施形態における計測画面を示す参考図である。
【図7】本発明の一実施形態におけるガイド幅の算出方法を説明するための参考図である。
【図8】本発明の一実施形態における計測画面を示す参考図である。
【図9】本発明の一実施形態におけるガイドの表示例を示す参考図である。
【図10】本発明の一実施形態における計測処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明の一実施形態における計測画面を示す参考図である。
【図12】面基準計測における問題点を説明するための参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態による内視鏡装置の全体構成を示している。図1に示すように、内視鏡装置1は、内視鏡2と、この内視鏡2に接続された装置本体3とを備えている。内視鏡2は、細長な挿入部20と、装置全体の各種動作制御を実行する際に必要な操作を行うための操作部6とを備えている。装置本体3は、内視鏡2で撮像された被写体の画像や操作制御内容(例えば処理メニュー)等の表示を行う表示装置であるモニタ4(液晶モニタ)と、内部に制御ユニット10(図2参照)を有する筐体5とを備えている。
【0020】
挿入部20は、硬質な先端部21と、例えば上下左右に湾曲可能な湾曲部22と、柔軟性を有する可撓管部23とを先端側から順に連設して構成されている。先端部21には、観察視野を2つ有するステレオ光学アダプタや観察視野が1つの通常観察光学アダプタ等、各種光学アダプタが着脱自在になっている。
【0021】
図2に示すように筐体5内には、内視鏡ユニット8、CCU9(カメラコントロールユニット)、および制御ユニット10が設けられており、挿入部20の基端部は内視鏡ユニット8に接続されている。内視鏡ユニット8は、観察時に必要な照明光を供給する光源装置(不図示)と、挿入部20を構成する湾曲部22を湾曲させる湾曲装置(不図示)とを備えて構成されている。
【0022】
挿入部20の先端部21には撮像素子28が内蔵されている。撮像素子28は、光学アダプタを介して結像された被写体像を光電変換し、撮像信号を生成する。CCU9には、撮像素子28から出力された撮像信号が入力される。この撮像信号は、CCU9内で例えばNTSC信号等の映像信号(画像データ)に変換されて、制御ユニット10へ供給される。
【0023】
制御ユニット10内には、映像信号が入力される映像信号処理回路12、ROM13、RAM14、カードI/F15(カードインターフェイス)、USB I/F16(USBインターフェイス)、およびRS−232C I/F17(RS−232Cインターフェイス)と、これら各種機能を主要プログラムに基づいて実行し動作制御を行うCPU18とが設けられている。
【0024】
RS−232C I/F17には、CCU9および内視鏡ユニット8が接続されると共に、これらCCU9や内視鏡ユニット8等の制御および動作指示を行う操作部6が接続されている。ユーザが操作部6を操作すると、その操作内容に基づいて、CCU9および内視鏡ユニット8を動作制御する際に必要な通信が行われる。
【0025】
USB I/F16は、制御ユニット10とパーソナルコンピュータ31とを電気的に接続するためのインターフェイスである。このUSB I/F16を介して制御ユニット10とパーソナルコンピュータ31とを接続することによって、パーソナルコンピュータ31側で内視鏡画像の表示指示や、計測時における画像処理等の各種の指示制御を行うことが可能になると共に、制御ユニット10とパーソナルコンピュータ31との間での各種の処理に必要な制御情報やデータ等の入出力を行うことが可能になる。
【0026】
また、カードI/F15には、メモリカード32を自由に着脱することができるようになっている。メモリカード32をカードI/F15に装着することにより、CPU18による制御に従って、このメモリカード32に記憶されている制御処理情報や画像情報等のデータの制御ユニット10への取り込み、あるいは制御処理情報や画像情報等のデータのメモリカード32への記録を行うことが可能になる。
【0027】
映像信号処理回路12は、CCU9から供給された内視鏡画像と、グラフィックによる操作メニューとを合成した合成画像を表示するため、CPU18の制御により生成される、操作メニューに基づくグラフィック画像信号とCCU9からの映像信号を合成する処理や、モニタ4の画面上に表示するのに必要な処理等を行い、表示信号をモニタ4に供給する。また、この映像信号処理回路12は、単に内視鏡画像、あるいは操作メニュー等の画像を単独で表示するための処理を行うことも可能である。したがって、モニタ4の画面上には、内視鏡画像、操作メニュー画像、内視鏡画像と操作メニュー画像との合成画像等が表示される。
【0028】
CPU18は、ROM13に格納されているプログラムを実行することによって、目的に応じた処理を行うように各種回路部等を制御して、内視鏡装置1全体の動作制御を行う。RAM14は、CPU18によって、データの一時格納用の作業領域として使用される。
【0029】
次に、本実施形態の計測の原理を説明する。観察光学系に左右2つの視野を形成するステレオ光学アダプタを使用し、被写体像を左右の光学系で捉えたときの左右の光学測距点の座標に基づいて、三角測量の原理を使用して被写体の3次元空間座標を求めることで、各種計測(ステレオ計測)が可能となる。
【0030】
図3は、ステレオ計測による計測点の3次元座標の求め方を示している。左側および右側の光学系で撮像された画像に対して、三角測量の方法により、点60の3次元座標(X,Y,Z)が以下の(1)式〜(3)式で計算される。ただし、歪み補正が施された左右の画像上の点61,62の座標をそれぞれ(XL,YL)、(XR,YR)とし、左側と右側の光学中心63,64の距離をDとし、焦点距離をFとし、t=D/(XL−XR)とする。
X=t×XR+D/2 ・・・(1)
Y=t×YR ・・・(2)
Z=t×F ・・・(3)
【0031】
上記のように元画像上の点61,62の座標が決定されると、パラメータDおよびFを用いて点60の3次元座標が求まる。いくつかの点の3次元座標を求めることによって、2点間の距離、2点を結ぶ線と1点の距離、面積、深さ、表面形状等の様々な計測が可能である。また、左側の光学中心63または右側の光学中心64から被写体までの距離(物体距離)を求めることも可能となる。上記のステレオ計測を行うためには、内視鏡先端部21とステレオ光学アダプタを含む光学系の特性を示す光学データが必要である。なお、光学データの詳細は、例えば特開2004−49638号公報に記載されているので、その説明を省略する。
【0032】
次に、計測時の内視鏡装置の動作を説明する。以下では、2種類の動作例を説明する。また、以下では、計測対象となる被写体がパイプであり、挿入部20を挿入する方向に直交する方向の観察を可能とする側視タイプのステレオ光学アダプタを用いるものとする。
【0033】
(第1の動作例)
まず、第1の動作例を説明する。図4は、第1の動作例における計測処理の流れを示している。計測処理が開始されると、CPU18は計測モードの選択を行う。計測モードの選択は、モニタ4に表示される画面(以下、計測画面とする)の内容を見ながらユーザが操作部6を操作することで入力した計測モードの情報に基づいて行われる(ステップS100)。
【0034】
以降の処理は、ステップS100で選択された計測モードに応じて分岐する。2点間の距離を計測する2点間計測や、基準線と1点との距離を計測する線基準計測など、面基準計測以外の計測モードが選択された場合、CPU18は、その計測モードに応じた計測処理を実行する(ステップS145)。本明細書では、面基準計測以外の計測モードに関する計測処理の詳細な説明は省略する。計測処理の実行後、計測処理は終了する。
【0035】
一方、面基準計測が選択された場合、計測条件の入力が行われる。このとき入力される計測条件とは、パイプの表面の曲率情報(例えばパイプ径)や、必要な計測精度(許容誤差範囲)である。また、計測条件の入力は、モニタ4に表示される計測画面の内容を見ながらユーザが操作部6を操作することにより行われる。入力された計測条件の情報は、CPU18によってRAM14に格納される(ステップS110)。RAM14に格納された計測条件の情報は、以降の処理で適宜読み出されて使用される。
【0036】
ステップS110の直後から、計測を行うことが可能となる。図5は、ステップS110直後の計測画面を示している。計測画面には、ステレオ光学アダプタで捉えられた左右の被写体像に対応する左画像50aと右画像50bが表示される。左画像50aと右画像50bには、パイプ表面の凹部51a,51bが映っている。また、計測画面には、ユーザが計測に必要な点(以下、計測点とする)を指定するための照準52a,52b(カーソル)が表示される。挿入部20を挿入する方向がパイプの軸方向とほぼ等しいため、側視タイプのステレオ光学アダプタを用いて撮像した左画像50aと右画像50bの上下方向はパイプの軸方向とほぼ等しい。
【0037】
図5に示す計測画面の表示は以下のようにして行われる。CPU18は、照準52a,52bを含むグラフィック画像信号を生成し、映像信号処理回路12へ出力する。映像信号処理回路12は、CCU9からの映像信号とCPU18からのグラフィック画像信号とを合成して表示信号を生成し、LCD5へ出力する。LCD5は、表示信号に基づいて計測画面を表示する。
【0038】
ユーザが操作部6を操作して照準52aの移動を指示することにより、照準52aはユーザが指示する場所に移動する。また、左画像50aと右画像50bのパターンマッチングにより、左画像50a上の照準52aの位置に対応する右画像50b上の位置が算出され、照準52bはその位置に表示される。ユーザが照準52aの移動を指示したなどの理由により計測画面を更新する必要が生じた場合、上記と同様の動作により、計測画面が更新される。
【0039】
ステップS110に続いて、CPU18は、CCU9から供給された映像信号に基づく画像データを映像信号処理回路12から取得し、その画像データに基づいて物体距離を算出する。物体距離を算出するための計測点の位置は、例えば左画像50aの中心位置または照準52aの位置である(ステップS115)。CPU18が映像信号処理回路12から取得した画像データはRAM14に格納され、以降の処理で適宜読み出されて使用される。
【0040】
続いて、CPU18は、計測に適した位置をユーザに知らせるためのガイド(目印)の幅を算出する(ステップS120)。ステップS120におけるガイドの幅の算出方法を説明する前に、まずガイドについて説明する。
【0041】
図12を参照して説明したように、パイプの内側の表面を近似する基準面を決定する3点の位置に応じて計測結果の誤差が異なる。特に、点A以外の点B1,B2,C1,C2の位置が計測結果の誤差に与える影響が大きい。つまり、パイプの軸方向に直交する方向(図12の左右方向)に計測点が広がるほど、パイプの内側の表面と基準面とが乖離する度合いが大きくなり、計測結果の誤差が大きくなる。一方、パイプの軸方向に平行な方向(図12の上下方向)に計測点が移動しても、基準面はあまり変わらないので、計測結果の誤差はあまり変わらない。そこで、パイプの軸方向に直交する方向に計測点が広がりすぎないようにユーザに促すため、目印となるガイドが表示される。
【0042】
図6は、ガイドが表示されたときの計測画面を示している。図6に示すように、ガイド53は、上下方向に引かれた2本の直線53a,53bで構成される。直線53a,53bによって挟まれた領域の中で、基準面を決定する3つの計測点が指定された場合には、パイプの内側の表面と基準面とが近似する度合いが大きくなり、計測結果の誤差は小さくなる。
【0043】
以下、図7を参照しながら、ステップS120におけるガイドの幅の算出方法を説明する。なお、第1の動作例では、ガイドは左画像の中央に固定的に表示され、ガイドの幅(直線53a,53bの間隔)が、パイプ径に応じて変化するものとする。図7の上部は、内視鏡がパイプの内側の表面を撮像したときの画像を示しており、図7の下部はパイプの断面を示している。まず、CPU18は、パイプの表面70を近似する平面Sがパイプの表面70と交わる点P1,P2の空間距離dを算出する。この空間距離dがガイドの幅となる。
【0044】
空間距離dは、パイプの曲率半径rと許容誤差範囲xから求められる。まず、以下の(4)式を満たすθが算出される。
x=r−r・cosθ ・・・(4)
続いて、以下の(5)式により上記の空間距離dが算出される。
d=2r・sinθ ・・・(5)
【0045】
ステップS120に続いて、CPU18は、ステップS115で算出した物体距離に基づいて、空間距離dに相当する画像上の距離を算出する。物体距離が大きいほど、空間距離dに対応する画像上の距離は小さくなる。本実施形態では、既知の長さ(空間距離)を有する物体を撮像したときの画像における物体の長さ(平面距離)と物体距離を予め計測し、物体距離に応じた、空間距離と平面距離との関係を示す情報を生成しておくものとする。
【0046】
なお、パイプの内側の表面の曲率情報は、作業者側で容易に把握することができる。すなわち、プラントを例に挙げると、作業者は、パイプの種類を、プラント設計図面から容易に認識することができる。
【0047】
また、上述したROM13に、パイプの種類とそれに対応するパイプの曲率半径rとを格納すれば、CPU18の負荷を抑制することができる。その結果、目印の表示速度を早め、以って、作業効率を向上させた内視鏡装置を提供することができる。
【0048】
CPU18は、上記の情報と、ステップS115で算出した物体距離とに基づいて、空間距離dに相当する画像上の平面距離を算出する。ガイドを構成する2本の直線は、左画像52aの中心位置を基準とし、この平面距離だけ離れた位置に表示される。CPU18は、照準およびガイドを含むグラフィック画像信号を生成し、映像信号処理回路12へ出力する。これ以降、前述した動作と同様の動作が実行され、計測画面にガイドが表示される(ステップS125)。
【0049】
続いて、ユーザによって4つの計測点が入力される。このとき、ユーザは、計測画面を見ながら操作部6を操作して計測点の位置を順次指定する(ステップS130)。ステップS130では、具体的には以下のようにして計測点が指定される。まず、基準面を決定する3つの計測点が左画像上で指定される。図8(a)は、計測点80a,80b,80cが指定された後の計測画面を示している。本実施形態では、計測点は×印のアイコンで計測画面に表示される。ユーザが3つの計測点を指定する際、ガイドを構成する2本の直線53a,53bに挟まれた領域内で各計測点を指定することが望ましい。直線53a,53bに挟まれた領域内で3つの計測点が指定された場合、それらの計測点を通る基準面はパイプの表面を良く近似しているため、計測結果の誤差は小さい。本実施形態では、基準面を決定する点として3つの計測点を用いるが、4つ以上の計測点を用いてもよい。
【0050】
3つの計測点が指定された後、パイプ表面の凹部の深さを計測する位置を指定する1つの計測点が左画像上で指定される。図8(b)は、計測点80dが指定された後の計測画面を示している。パイプ表面の凹部51aのほぼ中心位置に計測点80dが指定されている。
【0051】
計測点の入力と並行して、CPU18は、左画像50aと右画像50bのパターンマッチングにより、左画像50a上の各計測点の位置に対応する右画像50b上の位置(マッチング点)を算出し、各計測点と各マッチング点の平面座標から、各計測点に対応する空間座標を算出する。算出された空間座標はRAM14に格納され、以降の処理で適宜読み出されて使用される。また、計測点のアイコンを計測画面に表示する処理も、照準やガイドを表示する処理と同様に実行される。
【0052】
ステップS130に続いて、CPU18は、基準面を決定する3つの計測点の空間座標を通る平面を算出し、その平面と、深さを計測する位置を指定する1つの計測点との空間距離を算出する(ステップS135)。
【0053】
続いて、CPU18は、ステップS135で算出した空間距離を計測結果として計測画面に表示するため、計測画面を更新する処理を実行する。これによって、計測画面に計測結果が表示される(ステップS140)。図8(b)に示すように、4つの計測点が指定されると、即座に計測結果81が表示される。計測結果が表示されると、計測処理は終了する。
【0054】
次に、ガイドの他の表示例を説明する。図9(a)では、ガイドは矢印90で構成されている。この図9(a)では、画像の上下方向がパイプの軸方向であることをユーザが知っていることを前提としている。矢印90は、計測点の水平位置の望ましい範囲を示している。ユーザは計測点を指定するとき、計測点の垂直位置は任意で良いが、計測点の水平位置が矢印90の示す範囲内に収まるようにすることが望ましい。
【0055】
図9(b)では、ガイドは2本の矢印91a,91bで構成されている。矢印91aは、図9(a)の矢印90と同様に計測点の水平位置の望ましい範囲を示している。また、矢印91bは、パイプの軸方向を示している。ユーザは計測点を指定するとき、矢印91bが示す方向の計測点の位置は任意で良いが、計測点の水平位置が矢印91aの示す範囲内に収まるようにすることが望ましい。
【0056】
図9(c)では、ガイドは楕円92で構成されている。楕円92の短軸は、計測点の水平位置の望ましい範囲を示している。また、楕円92の長軸の方向は、パイプの軸方向を示している。ユーザは計測点を指定するとき、楕円92の長軸が示す方向の計測点の位置は任意で良いが、計測点の水平位置が楕円92の短軸の示す範囲内に収まるようにすることが望ましい。
【0057】
ガイドの形状は、上記の形状以外であってもよい。また、ガイドを太くしたり、ガイドに色をつけたり、ガイドを点滅表示させたりなど、各種の強調表示を行ってもよい。
【0058】
(第2の動作例)
次に、第2の動作例を説明する。図10は、第2の動作例における計測処理の流れを示している。以下では、第1の動作例と異なる部分のみを説明する。
【0059】
ステップS110で計測条件が入力された後、基準点がユーザによって入力される。この基準点とは、パイプ表面の凹部の深さを計測する位置を指定する計測点であると共にガイドの表示位置の基準となる点である。基準点が入力されたとき、第1の動作例と同様に、左画像上で指定された基準点に対応する右画像上のマッチング点が算出される(ステップS111)。
【0060】
続いて、CPU18は、ステップS111で入力された基準点における物体距離を算出する(ステップS116)。続いて、第1の動作例と同様にガイドの幅が算出され(ステップS120)、計測画面にガイドが表示される(ステップS126)。ステップS126では、ステップS111で入力された基準点の位置を基準とした位置にガイドが表示される。
【0061】
図11(a)は、ステップS126でガイドが表示された後の計測画面を示している。ステップS111で基準点110が入力されると、基準点110の位置を基準とし、パイプ径と許容誤差範囲に応じた距離だけ離れた位置に、ガイド53を構成する2本の直線53a,53bが表示される。
【0062】
ステップS126に続いて、ユーザによって3つの計測点が入力される(ステップS131)。ステップS131で入力される3つの計測点は、パイプの内側の表面を近似する基準面を決定する計測点である。図11(b)は、計測点111a,111b,111cが指定された後の計測画面を示している。ユーザが3つの計測点を指定する際、ガイド53を構成する2本の直線53a,53bに挟まれた領域内で各計測点を指定することが望ましい。
【0063】
ステップS131で3つの計測点が入力された後、第1の動作例と同様に基準面と基準点の空間距離が算出され(ステップS135)、その空間距離が計測結果として計測画面に表示される(ステップS140)。図11(b)に示すように、基準点が指定された後、3つの計測点が指定されると、即座に計測結果112が表示される。
【0064】
上記の説明では、パイプ表面の凹部の深さを計測する位置を指定する計測点の指定が、ガイドの表示位置の基準となる点の指定を兼ねているが、基準面を決定する3つの計測点のうちいずれかの指定が、ガイドの表示位置の基準となる点の指定を兼ねるようにしてもよい。
【0065】
第1の動作例では、ガイドが画像内の中央に固定的に表示されるため、パイプの凹部がなるべく画像の中央にくるように調節を行うことが望ましい。これに対して、第2の動作例では、ユーザがガイドの表示位置を指定することが可能なので、上記の調整を行う必要がなくなり、画像内の任意の位置に映っている被写体の計測に適したガイドを表示することができる。
【0066】
上述したように、本実施形態によれば、ガイドを表示することによって、計測により適した位置をユーザに知らせることができる。特に、計測対象の被写体がパイプである場合には、(4)式および(5)式によりガイドの幅を簡単な方法で計算することができる。
【0067】
また、内視鏡が撮像した画像におけるパイプの軸方向をユーザが知っている場合、図9(a)に示したように、所定方向における計測点の位置の望ましい範囲を示すガイド(矢印90)のみを表示すればよい。これに対して、パイプの軸方向も示すガイドを表示する場合には、ユーザが、計測点を指定する位置として推奨される範囲をより明確にイメージすることができ、計測点を指定しやすくなる。
【0068】
また、第2の動作例で説明したように、1つの計測点の指定が、ガイドの表示位置の基準となる点の指定を兼ねることによって、点を指定する操作の回数を増加することなく、画像内の任意の位置に映っている被写体の計測に適したガイドを表示することができる。
【0069】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、上記では、側視タイプの光学アダプタを用いているが、挿入部20を挿入する方向の観察を可能とする直視タイプの光学アダプタを用いてもよい。また、計測対象の被写体はパイプでなくてもよく、曲面を有するタービンブレードなどでもよい。
【符号の説明】
【0070】
1・・・内視鏡装置、2・・・内視鏡、3・・・装置本体、4・・・モニタ、5・・・筐体、6・・・操作部、8・・・内視鏡ユニット、9・・・CCU(映像信号生成部)、10・・・制御ユニット、12・・・映像信号処理回路(表示信号生成部)、18・・・CPU(距離算出部)、20・・・挿入部、21・・・先端部、22・・・湾曲部、23・・・可撓管部、28・・・撮像素子
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡により被写体を撮像して得られた映像信号を処理する内視鏡装置および計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工業用内視鏡は、ボイラー、タービン、エンジン、パイプ等の内部の傷や腐食等の観察や検査に使用されている。また、内視鏡で撮像された画像上で指定された計測点をもとに長さや面積などの計測を行う機能を備えた工業用内視鏡がある(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−66536号公報
【特許文献2】特開2003−70719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
工業用内視鏡が備える計測機能の一つに、面基準計測と呼ばれる機能がある。面基準計測では、ユーザが画像上で指定した3点の空間座標で決まる仮想的な平面(基準面)と、ユーザが画像上で指定した1点の空間座標との空間距離(3次元距離)が算出される。面基準計測を行うことにより、例えば計測対象物の表面に存在する凹部の深さや凸部の高さを知ることができる。
【0005】
しかし、パイプのように曲面を有する物体に対して面基準計測を行う場合、基準面を決定するための3点の位置に応じて計測結果の誤差が異なるという問題が発生する。以下、図12を参照しながら、この問題の詳細を説明する。
【0006】
図12に示すように、内視鏡がパイプの内側の表面を撮像したときの画像120上に、計測対象となる凹部121が存在しているものとする。また、画像120の上下方向がパイプの軸方向であるものとする。図12の下部は、パイプの断面を示している。面基準計測を行う場合、ユーザは、パイプの内側の表面122を近似する基準面を決定する3点と、凹部121の深さを計測する位置を指定する1点とを画像120上で指定する。
【0007】
例えば、基準面を決定する3点として点A,B1,C1が指定され、凹部121の深さを計測する位置を指定する1点として点Dが指定された場合、凹部121の深さはd1となる。一方、基準面を決定する3点として点A,B2,C2が指定され、凹部121の深さを計測する位置を指定する1点として点Dが指定された場合、凹部121の深さはd2となる。
【0008】
基準面を決定する3点として点A,B1,C1が指定された場合、これらの点を通る基準面S1はパイプの内側の表面122を比較的良く近似しているため、計測結果として得られる深さd1の、実際の深さに対する誤差は小さい。しかし、基準面を決定する3点として点A,B2,C2が指定された場合、これらの点を通る基準面S2は、基準面S1と比較すると、パイプの内側の表面122に対する近似度が低いため、計測結果として得られる深さd2の、実際の深さに対する誤差は大きくなる。
【0009】
上記のように、基準面を決定する3点の位置に応じて計測結果の誤差が異なる。このため、基準面を決定する3点が、計測結果の誤差の小さくなる位置に指定されることが望ましい。
【0010】
そこで、計測により適した位置をユーザに知らせることができる内視鏡装置および計測方法を提供することが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本実施態様にかかる内視鏡装置によれば、被写体を撮像し撮像信号を生成する内視鏡と、前記撮像信号に基づいて映像信号を生成する映像信号生成部と、前記被写体の表面の曲率情報に基づいて、前記表面を近似する平面と前記表面との交点のうち2つの交点間の空間距離を算出する第1の距離算出部と、前記映像信号に基づく画像上に、前記交点間の空間距離分の幅を示す目印を表示するための表示信号を生成する表示信号生成部と、前記画像上で指定された点の空間座標を算出し、少なくとも3点の空間座標で決まる平面と1点の空間座標との空間距離を算出する第2の距離算出部と、を備えたものである。
【0012】
また、前記被写体はパイプであり、前記第1の距離算出部は、前記パイプの内側の表面の曲率情報に基づいて、前記表面を近似する平面と前記表面との交点のうち2つの交点間の空間距離を算出することが好ましい。
【0013】
また、前記表示信号生成部は、前記映像信号に基づく画像上に、前記交点間の空間距離分の幅と前記パイプの軸方向とを示す目印を表示するための前記表示信号を生成することが好ましい。
【0014】
また、前記表示信号生成部は、前記映像信号に基づく画像上において、前記1点の空間座標に対応する位置に、前記交点間の空間距離を示す目印を表示するための表示信号を生成することが好ましい。
【0015】
本実施態様にかかる計測方法は、内視鏡が撮像する被写体の表面の曲率情報に基づいて、前記表面を近似する平面と前記表面との交点のうち2つの交点間の空間距離を算出する第1のステップと、前記内視鏡が前記被写体を撮像して生成した撮像信号から生成された映像信号に基づく画像上に、前記交点間の空間距離分の幅を示す目印を表示するための表示信号を生成する第2のステップと、前記画像上の点を入力する第3のステップと、前記第3のステップで入力された少なくとも3点の空間座標で決まる平面と1点の空間座標との空間距離を算出する第4のステップと、を備えたものである。
【発明の効果】
【0016】
本実施態様にかかる内視鏡装置によれば、映像信号に基づく画像上に、被写体の表面の曲率情報に基づく空間距離分の幅を示す目印を表示することが可能となる。被写体の表面を近似する平面を決定する点の位置がこの幅に収まる場合には、その他の場合と比較して、平面によって被写体の表面が良く近似され、計測結果の誤差が小さくなる。したがって、この目印を表示することによって、計測により適した位置をユーザに知らせることができる。
【0017】
また、本実施態様にかかる計測方法によれば、映像信号に基づく画像上に、被写体の表面の曲率情報に基づく空間距離分の幅を示す目印を表示することが可能となる。被写体の表面を近似する平面を決定する点の位置がこの幅に収まる場合には、その他の場合と比較して、平面によって被写体の表面が良く近似され、計測結果の誤差が小さくなる。したがって、この目印を表示することによって、計測により適した位置をユーザに知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態による内視鏡装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態による内視鏡装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態における計測点の3次元座標の求め方を説明するための参考図である。
【図4】本発明の一実施形態における計測処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態における計測画面を示す参考図である。
【図6】本発明の一実施形態における計測画面を示す参考図である。
【図7】本発明の一実施形態におけるガイド幅の算出方法を説明するための参考図である。
【図8】本発明の一実施形態における計測画面を示す参考図である。
【図9】本発明の一実施形態におけるガイドの表示例を示す参考図である。
【図10】本発明の一実施形態における計測処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明の一実施形態における計測画面を示す参考図である。
【図12】面基準計測における問題点を説明するための参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態による内視鏡装置の全体構成を示している。図1に示すように、内視鏡装置1は、内視鏡2と、この内視鏡2に接続された装置本体3とを備えている。内視鏡2は、細長な挿入部20と、装置全体の各種動作制御を実行する際に必要な操作を行うための操作部6とを備えている。装置本体3は、内視鏡2で撮像された被写体の画像や操作制御内容(例えば処理メニュー)等の表示を行う表示装置であるモニタ4(液晶モニタ)と、内部に制御ユニット10(図2参照)を有する筐体5とを備えている。
【0020】
挿入部20は、硬質な先端部21と、例えば上下左右に湾曲可能な湾曲部22と、柔軟性を有する可撓管部23とを先端側から順に連設して構成されている。先端部21には、観察視野を2つ有するステレオ光学アダプタや観察視野が1つの通常観察光学アダプタ等、各種光学アダプタが着脱自在になっている。
【0021】
図2に示すように筐体5内には、内視鏡ユニット8、CCU9(カメラコントロールユニット)、および制御ユニット10が設けられており、挿入部20の基端部は内視鏡ユニット8に接続されている。内視鏡ユニット8は、観察時に必要な照明光を供給する光源装置(不図示)と、挿入部20を構成する湾曲部22を湾曲させる湾曲装置(不図示)とを備えて構成されている。
【0022】
挿入部20の先端部21には撮像素子28が内蔵されている。撮像素子28は、光学アダプタを介して結像された被写体像を光電変換し、撮像信号を生成する。CCU9には、撮像素子28から出力された撮像信号が入力される。この撮像信号は、CCU9内で例えばNTSC信号等の映像信号(画像データ)に変換されて、制御ユニット10へ供給される。
【0023】
制御ユニット10内には、映像信号が入力される映像信号処理回路12、ROM13、RAM14、カードI/F15(カードインターフェイス)、USB I/F16(USBインターフェイス)、およびRS−232C I/F17(RS−232Cインターフェイス)と、これら各種機能を主要プログラムに基づいて実行し動作制御を行うCPU18とが設けられている。
【0024】
RS−232C I/F17には、CCU9および内視鏡ユニット8が接続されると共に、これらCCU9や内視鏡ユニット8等の制御および動作指示を行う操作部6が接続されている。ユーザが操作部6を操作すると、その操作内容に基づいて、CCU9および内視鏡ユニット8を動作制御する際に必要な通信が行われる。
【0025】
USB I/F16は、制御ユニット10とパーソナルコンピュータ31とを電気的に接続するためのインターフェイスである。このUSB I/F16を介して制御ユニット10とパーソナルコンピュータ31とを接続することによって、パーソナルコンピュータ31側で内視鏡画像の表示指示や、計測時における画像処理等の各種の指示制御を行うことが可能になると共に、制御ユニット10とパーソナルコンピュータ31との間での各種の処理に必要な制御情報やデータ等の入出力を行うことが可能になる。
【0026】
また、カードI/F15には、メモリカード32を自由に着脱することができるようになっている。メモリカード32をカードI/F15に装着することにより、CPU18による制御に従って、このメモリカード32に記憶されている制御処理情報や画像情報等のデータの制御ユニット10への取り込み、あるいは制御処理情報や画像情報等のデータのメモリカード32への記録を行うことが可能になる。
【0027】
映像信号処理回路12は、CCU9から供給された内視鏡画像と、グラフィックによる操作メニューとを合成した合成画像を表示するため、CPU18の制御により生成される、操作メニューに基づくグラフィック画像信号とCCU9からの映像信号を合成する処理や、モニタ4の画面上に表示するのに必要な処理等を行い、表示信号をモニタ4に供給する。また、この映像信号処理回路12は、単に内視鏡画像、あるいは操作メニュー等の画像を単独で表示するための処理を行うことも可能である。したがって、モニタ4の画面上には、内視鏡画像、操作メニュー画像、内視鏡画像と操作メニュー画像との合成画像等が表示される。
【0028】
CPU18は、ROM13に格納されているプログラムを実行することによって、目的に応じた処理を行うように各種回路部等を制御して、内視鏡装置1全体の動作制御を行う。RAM14は、CPU18によって、データの一時格納用の作業領域として使用される。
【0029】
次に、本実施形態の計測の原理を説明する。観察光学系に左右2つの視野を形成するステレオ光学アダプタを使用し、被写体像を左右の光学系で捉えたときの左右の光学測距点の座標に基づいて、三角測量の原理を使用して被写体の3次元空間座標を求めることで、各種計測(ステレオ計測)が可能となる。
【0030】
図3は、ステレオ計測による計測点の3次元座標の求め方を示している。左側および右側の光学系で撮像された画像に対して、三角測量の方法により、点60の3次元座標(X,Y,Z)が以下の(1)式〜(3)式で計算される。ただし、歪み補正が施された左右の画像上の点61,62の座標をそれぞれ(XL,YL)、(XR,YR)とし、左側と右側の光学中心63,64の距離をDとし、焦点距離をFとし、t=D/(XL−XR)とする。
X=t×XR+D/2 ・・・(1)
Y=t×YR ・・・(2)
Z=t×F ・・・(3)
【0031】
上記のように元画像上の点61,62の座標が決定されると、パラメータDおよびFを用いて点60の3次元座標が求まる。いくつかの点の3次元座標を求めることによって、2点間の距離、2点を結ぶ線と1点の距離、面積、深さ、表面形状等の様々な計測が可能である。また、左側の光学中心63または右側の光学中心64から被写体までの距離(物体距離)を求めることも可能となる。上記のステレオ計測を行うためには、内視鏡先端部21とステレオ光学アダプタを含む光学系の特性を示す光学データが必要である。なお、光学データの詳細は、例えば特開2004−49638号公報に記載されているので、その説明を省略する。
【0032】
次に、計測時の内視鏡装置の動作を説明する。以下では、2種類の動作例を説明する。また、以下では、計測対象となる被写体がパイプであり、挿入部20を挿入する方向に直交する方向の観察を可能とする側視タイプのステレオ光学アダプタを用いるものとする。
【0033】
(第1の動作例)
まず、第1の動作例を説明する。図4は、第1の動作例における計測処理の流れを示している。計測処理が開始されると、CPU18は計測モードの選択を行う。計測モードの選択は、モニタ4に表示される画面(以下、計測画面とする)の内容を見ながらユーザが操作部6を操作することで入力した計測モードの情報に基づいて行われる(ステップS100)。
【0034】
以降の処理は、ステップS100で選択された計測モードに応じて分岐する。2点間の距離を計測する2点間計測や、基準線と1点との距離を計測する線基準計測など、面基準計測以外の計測モードが選択された場合、CPU18は、その計測モードに応じた計測処理を実行する(ステップS145)。本明細書では、面基準計測以外の計測モードに関する計測処理の詳細な説明は省略する。計測処理の実行後、計測処理は終了する。
【0035】
一方、面基準計測が選択された場合、計測条件の入力が行われる。このとき入力される計測条件とは、パイプの表面の曲率情報(例えばパイプ径)や、必要な計測精度(許容誤差範囲)である。また、計測条件の入力は、モニタ4に表示される計測画面の内容を見ながらユーザが操作部6を操作することにより行われる。入力された計測条件の情報は、CPU18によってRAM14に格納される(ステップS110)。RAM14に格納された計測条件の情報は、以降の処理で適宜読み出されて使用される。
【0036】
ステップS110の直後から、計測を行うことが可能となる。図5は、ステップS110直後の計測画面を示している。計測画面には、ステレオ光学アダプタで捉えられた左右の被写体像に対応する左画像50aと右画像50bが表示される。左画像50aと右画像50bには、パイプ表面の凹部51a,51bが映っている。また、計測画面には、ユーザが計測に必要な点(以下、計測点とする)を指定するための照準52a,52b(カーソル)が表示される。挿入部20を挿入する方向がパイプの軸方向とほぼ等しいため、側視タイプのステレオ光学アダプタを用いて撮像した左画像50aと右画像50bの上下方向はパイプの軸方向とほぼ等しい。
【0037】
図5に示す計測画面の表示は以下のようにして行われる。CPU18は、照準52a,52bを含むグラフィック画像信号を生成し、映像信号処理回路12へ出力する。映像信号処理回路12は、CCU9からの映像信号とCPU18からのグラフィック画像信号とを合成して表示信号を生成し、LCD5へ出力する。LCD5は、表示信号に基づいて計測画面を表示する。
【0038】
ユーザが操作部6を操作して照準52aの移動を指示することにより、照準52aはユーザが指示する場所に移動する。また、左画像50aと右画像50bのパターンマッチングにより、左画像50a上の照準52aの位置に対応する右画像50b上の位置が算出され、照準52bはその位置に表示される。ユーザが照準52aの移動を指示したなどの理由により計測画面を更新する必要が生じた場合、上記と同様の動作により、計測画面が更新される。
【0039】
ステップS110に続いて、CPU18は、CCU9から供給された映像信号に基づく画像データを映像信号処理回路12から取得し、その画像データに基づいて物体距離を算出する。物体距離を算出するための計測点の位置は、例えば左画像50aの中心位置または照準52aの位置である(ステップS115)。CPU18が映像信号処理回路12から取得した画像データはRAM14に格納され、以降の処理で適宜読み出されて使用される。
【0040】
続いて、CPU18は、計測に適した位置をユーザに知らせるためのガイド(目印)の幅を算出する(ステップS120)。ステップS120におけるガイドの幅の算出方法を説明する前に、まずガイドについて説明する。
【0041】
図12を参照して説明したように、パイプの内側の表面を近似する基準面を決定する3点の位置に応じて計測結果の誤差が異なる。特に、点A以外の点B1,B2,C1,C2の位置が計測結果の誤差に与える影響が大きい。つまり、パイプの軸方向に直交する方向(図12の左右方向)に計測点が広がるほど、パイプの内側の表面と基準面とが乖離する度合いが大きくなり、計測結果の誤差が大きくなる。一方、パイプの軸方向に平行な方向(図12の上下方向)に計測点が移動しても、基準面はあまり変わらないので、計測結果の誤差はあまり変わらない。そこで、パイプの軸方向に直交する方向に計測点が広がりすぎないようにユーザに促すため、目印となるガイドが表示される。
【0042】
図6は、ガイドが表示されたときの計測画面を示している。図6に示すように、ガイド53は、上下方向に引かれた2本の直線53a,53bで構成される。直線53a,53bによって挟まれた領域の中で、基準面を決定する3つの計測点が指定された場合には、パイプの内側の表面と基準面とが近似する度合いが大きくなり、計測結果の誤差は小さくなる。
【0043】
以下、図7を参照しながら、ステップS120におけるガイドの幅の算出方法を説明する。なお、第1の動作例では、ガイドは左画像の中央に固定的に表示され、ガイドの幅(直線53a,53bの間隔)が、パイプ径に応じて変化するものとする。図7の上部は、内視鏡がパイプの内側の表面を撮像したときの画像を示しており、図7の下部はパイプの断面を示している。まず、CPU18は、パイプの表面70を近似する平面Sがパイプの表面70と交わる点P1,P2の空間距離dを算出する。この空間距離dがガイドの幅となる。
【0044】
空間距離dは、パイプの曲率半径rと許容誤差範囲xから求められる。まず、以下の(4)式を満たすθが算出される。
x=r−r・cosθ ・・・(4)
続いて、以下の(5)式により上記の空間距離dが算出される。
d=2r・sinθ ・・・(5)
【0045】
ステップS120に続いて、CPU18は、ステップS115で算出した物体距離に基づいて、空間距離dに相当する画像上の距離を算出する。物体距離が大きいほど、空間距離dに対応する画像上の距離は小さくなる。本実施形態では、既知の長さ(空間距離)を有する物体を撮像したときの画像における物体の長さ(平面距離)と物体距離を予め計測し、物体距離に応じた、空間距離と平面距離との関係を示す情報を生成しておくものとする。
【0046】
なお、パイプの内側の表面の曲率情報は、作業者側で容易に把握することができる。すなわち、プラントを例に挙げると、作業者は、パイプの種類を、プラント設計図面から容易に認識することができる。
【0047】
また、上述したROM13に、パイプの種類とそれに対応するパイプの曲率半径rとを格納すれば、CPU18の負荷を抑制することができる。その結果、目印の表示速度を早め、以って、作業効率を向上させた内視鏡装置を提供することができる。
【0048】
CPU18は、上記の情報と、ステップS115で算出した物体距離とに基づいて、空間距離dに相当する画像上の平面距離を算出する。ガイドを構成する2本の直線は、左画像52aの中心位置を基準とし、この平面距離だけ離れた位置に表示される。CPU18は、照準およびガイドを含むグラフィック画像信号を生成し、映像信号処理回路12へ出力する。これ以降、前述した動作と同様の動作が実行され、計測画面にガイドが表示される(ステップS125)。
【0049】
続いて、ユーザによって4つの計測点が入力される。このとき、ユーザは、計測画面を見ながら操作部6を操作して計測点の位置を順次指定する(ステップS130)。ステップS130では、具体的には以下のようにして計測点が指定される。まず、基準面を決定する3つの計測点が左画像上で指定される。図8(a)は、計測点80a,80b,80cが指定された後の計測画面を示している。本実施形態では、計測点は×印のアイコンで計測画面に表示される。ユーザが3つの計測点を指定する際、ガイドを構成する2本の直線53a,53bに挟まれた領域内で各計測点を指定することが望ましい。直線53a,53bに挟まれた領域内で3つの計測点が指定された場合、それらの計測点を通る基準面はパイプの表面を良く近似しているため、計測結果の誤差は小さい。本実施形態では、基準面を決定する点として3つの計測点を用いるが、4つ以上の計測点を用いてもよい。
【0050】
3つの計測点が指定された後、パイプ表面の凹部の深さを計測する位置を指定する1つの計測点が左画像上で指定される。図8(b)は、計測点80dが指定された後の計測画面を示している。パイプ表面の凹部51aのほぼ中心位置に計測点80dが指定されている。
【0051】
計測点の入力と並行して、CPU18は、左画像50aと右画像50bのパターンマッチングにより、左画像50a上の各計測点の位置に対応する右画像50b上の位置(マッチング点)を算出し、各計測点と各マッチング点の平面座標から、各計測点に対応する空間座標を算出する。算出された空間座標はRAM14に格納され、以降の処理で適宜読み出されて使用される。また、計測点のアイコンを計測画面に表示する処理も、照準やガイドを表示する処理と同様に実行される。
【0052】
ステップS130に続いて、CPU18は、基準面を決定する3つの計測点の空間座標を通る平面を算出し、その平面と、深さを計測する位置を指定する1つの計測点との空間距離を算出する(ステップS135)。
【0053】
続いて、CPU18は、ステップS135で算出した空間距離を計測結果として計測画面に表示するため、計測画面を更新する処理を実行する。これによって、計測画面に計測結果が表示される(ステップS140)。図8(b)に示すように、4つの計測点が指定されると、即座に計測結果81が表示される。計測結果が表示されると、計測処理は終了する。
【0054】
次に、ガイドの他の表示例を説明する。図9(a)では、ガイドは矢印90で構成されている。この図9(a)では、画像の上下方向がパイプの軸方向であることをユーザが知っていることを前提としている。矢印90は、計測点の水平位置の望ましい範囲を示している。ユーザは計測点を指定するとき、計測点の垂直位置は任意で良いが、計測点の水平位置が矢印90の示す範囲内に収まるようにすることが望ましい。
【0055】
図9(b)では、ガイドは2本の矢印91a,91bで構成されている。矢印91aは、図9(a)の矢印90と同様に計測点の水平位置の望ましい範囲を示している。また、矢印91bは、パイプの軸方向を示している。ユーザは計測点を指定するとき、矢印91bが示す方向の計測点の位置は任意で良いが、計測点の水平位置が矢印91aの示す範囲内に収まるようにすることが望ましい。
【0056】
図9(c)では、ガイドは楕円92で構成されている。楕円92の短軸は、計測点の水平位置の望ましい範囲を示している。また、楕円92の長軸の方向は、パイプの軸方向を示している。ユーザは計測点を指定するとき、楕円92の長軸が示す方向の計測点の位置は任意で良いが、計測点の水平位置が楕円92の短軸の示す範囲内に収まるようにすることが望ましい。
【0057】
ガイドの形状は、上記の形状以外であってもよい。また、ガイドを太くしたり、ガイドに色をつけたり、ガイドを点滅表示させたりなど、各種の強調表示を行ってもよい。
【0058】
(第2の動作例)
次に、第2の動作例を説明する。図10は、第2の動作例における計測処理の流れを示している。以下では、第1の動作例と異なる部分のみを説明する。
【0059】
ステップS110で計測条件が入力された後、基準点がユーザによって入力される。この基準点とは、パイプ表面の凹部の深さを計測する位置を指定する計測点であると共にガイドの表示位置の基準となる点である。基準点が入力されたとき、第1の動作例と同様に、左画像上で指定された基準点に対応する右画像上のマッチング点が算出される(ステップS111)。
【0060】
続いて、CPU18は、ステップS111で入力された基準点における物体距離を算出する(ステップS116)。続いて、第1の動作例と同様にガイドの幅が算出され(ステップS120)、計測画面にガイドが表示される(ステップS126)。ステップS126では、ステップS111で入力された基準点の位置を基準とした位置にガイドが表示される。
【0061】
図11(a)は、ステップS126でガイドが表示された後の計測画面を示している。ステップS111で基準点110が入力されると、基準点110の位置を基準とし、パイプ径と許容誤差範囲に応じた距離だけ離れた位置に、ガイド53を構成する2本の直線53a,53bが表示される。
【0062】
ステップS126に続いて、ユーザによって3つの計測点が入力される(ステップS131)。ステップS131で入力される3つの計測点は、パイプの内側の表面を近似する基準面を決定する計測点である。図11(b)は、計測点111a,111b,111cが指定された後の計測画面を示している。ユーザが3つの計測点を指定する際、ガイド53を構成する2本の直線53a,53bに挟まれた領域内で各計測点を指定することが望ましい。
【0063】
ステップS131で3つの計測点が入力された後、第1の動作例と同様に基準面と基準点の空間距離が算出され(ステップS135)、その空間距離が計測結果として計測画面に表示される(ステップS140)。図11(b)に示すように、基準点が指定された後、3つの計測点が指定されると、即座に計測結果112が表示される。
【0064】
上記の説明では、パイプ表面の凹部の深さを計測する位置を指定する計測点の指定が、ガイドの表示位置の基準となる点の指定を兼ねているが、基準面を決定する3つの計測点のうちいずれかの指定が、ガイドの表示位置の基準となる点の指定を兼ねるようにしてもよい。
【0065】
第1の動作例では、ガイドが画像内の中央に固定的に表示されるため、パイプの凹部がなるべく画像の中央にくるように調節を行うことが望ましい。これに対して、第2の動作例では、ユーザがガイドの表示位置を指定することが可能なので、上記の調整を行う必要がなくなり、画像内の任意の位置に映っている被写体の計測に適したガイドを表示することができる。
【0066】
上述したように、本実施形態によれば、ガイドを表示することによって、計測により適した位置をユーザに知らせることができる。特に、計測対象の被写体がパイプである場合には、(4)式および(5)式によりガイドの幅を簡単な方法で計算することができる。
【0067】
また、内視鏡が撮像した画像におけるパイプの軸方向をユーザが知っている場合、図9(a)に示したように、所定方向における計測点の位置の望ましい範囲を示すガイド(矢印90)のみを表示すればよい。これに対して、パイプの軸方向も示すガイドを表示する場合には、ユーザが、計測点を指定する位置として推奨される範囲をより明確にイメージすることができ、計測点を指定しやすくなる。
【0068】
また、第2の動作例で説明したように、1つの計測点の指定が、ガイドの表示位置の基準となる点の指定を兼ねることによって、点を指定する操作の回数を増加することなく、画像内の任意の位置に映っている被写体の計測に適したガイドを表示することができる。
【0069】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、上記では、側視タイプの光学アダプタを用いているが、挿入部20を挿入する方向の観察を可能とする直視タイプの光学アダプタを用いてもよい。また、計測対象の被写体はパイプでなくてもよく、曲面を有するタービンブレードなどでもよい。
【符号の説明】
【0070】
1・・・内視鏡装置、2・・・内視鏡、3・・・装置本体、4・・・モニタ、5・・・筐体、6・・・操作部、8・・・内視鏡ユニット、9・・・CCU(映像信号生成部)、10・・・制御ユニット、12・・・映像信号処理回路(表示信号生成部)、18・・・CPU(距離算出部)、20・・・挿入部、21・・・先端部、22・・・湾曲部、23・・・可撓管部、28・・・撮像素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像し撮像信号を生成する内視鏡と、
前記撮像信号に基づいて映像信号を生成する映像信号生成部と、
前記被写体の表面の曲率情報に基づいて、前記表面を近似する平面と前記表面との交点のうち2つの交点間の空間距離を算出する第1の距離算出部と、
前記映像信号に基づく画像上に、前記交点間の空間距離分の幅を示す目印を表示するための表示信号を生成する表示信号生成部と、
前記画像上で指定された点の空間座標を算出し、少なくとも3点の空間座標で決まる平面と1点の空間座標との空間距離を算出する第2の距離算出部と、
を備えたことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記被写体はパイプであり、
前記第1の距離算出部は、前記パイプの内側の表面の曲率情報に基づいて、前記表面を近似する平面と前記表面との交点のうち2つの交点間の空間距離を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記表示信号生成部は、前記映像信号に基づく画像上に、前記交点間の空間距離分の幅と前記パイプの軸方向とを示す目印を表示するための前記表示信号を生成することを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記表示信号生成部は、前記映像信号に基づく画像上において、前記1点の空間座標に対応する位置に、前記交点間の空間距離を示す目印を表示するための表示信号を生成することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の内視鏡装置。
【請求項5】
内視鏡が撮像する被写体の表面の曲率情報に基づいて、前記表面を近似する平面と前記表面との交点のうち2つの交点間の空間距離を算出する第1のステップと、
前記内視鏡が前記被写体を撮像して生成した撮像信号から生成された映像信号に基づく画像上に、前記交点間の空間距離分の幅を示す目印を表示するための表示信号を生成する第2のステップと、
前記画像上の点を入力する第3のステップと、
前記第3のステップで入力された少なくとも3点の空間座標で決まる平面と1点の空間座標との空間距離を算出する第4のステップと、
を備えたことを特徴とする計測方法。
【請求項1】
被写体を撮像し撮像信号を生成する内視鏡と、
前記撮像信号に基づいて映像信号を生成する映像信号生成部と、
前記被写体の表面の曲率情報に基づいて、前記表面を近似する平面と前記表面との交点のうち2つの交点間の空間距離を算出する第1の距離算出部と、
前記映像信号に基づく画像上に、前記交点間の空間距離分の幅を示す目印を表示するための表示信号を生成する表示信号生成部と、
前記画像上で指定された点の空間座標を算出し、少なくとも3点の空間座標で決まる平面と1点の空間座標との空間距離を算出する第2の距離算出部と、
を備えたことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記被写体はパイプであり、
前記第1の距離算出部は、前記パイプの内側の表面の曲率情報に基づいて、前記表面を近似する平面と前記表面との交点のうち2つの交点間の空間距離を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記表示信号生成部は、前記映像信号に基づく画像上に、前記交点間の空間距離分の幅と前記パイプの軸方向とを示す目印を表示するための前記表示信号を生成することを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記表示信号生成部は、前記映像信号に基づく画像上において、前記1点の空間座標に対応する位置に、前記交点間の空間距離を示す目印を表示するための表示信号を生成することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の内視鏡装置。
【請求項5】
内視鏡が撮像する被写体の表面の曲率情報に基づいて、前記表面を近似する平面と前記表面との交点のうち2つの交点間の空間距離を算出する第1のステップと、
前記内視鏡が前記被写体を撮像して生成した撮像信号から生成された映像信号に基づく画像上に、前記交点間の空間距離分の幅を示す目印を表示するための表示信号を生成する第2のステップと、
前記画像上の点を入力する第3のステップと、
前記第3のステップで入力された少なくとも3点の空間座標で決まる平面と1点の空間座標との空間距離を算出する第4のステップと、
を備えたことを特徴とする計測方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−256247(P2010−256247A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−108397(P2009−108397)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]