説明

円盤状基板の検査装置

【課題】円盤状基板の表面に形成された膜層の状態を検査するに際して、精度を犠牲にすることなく、より効率的に処理することのできる円盤状基板の検査装置を提供するこ。
【解決手段】表示ユニットに表示された撮影画像上に検査エリアを設定し(S21)、撮影画像データから、撮影画像上の前記検査エリア内における膜層画像部分の縁線を検出して、当該検査エリアZ1内における該縁線の前記周方向の各位置でのエリア内縦方向位置情報を生成し(S22〜S27)、前記膜層画像部分のエリア内縦方向位置情報と、前記検査エリアの前記撮影画像上での設定位置を表すエリア縦方向位置情報と、基準縦方向位置情報Ysとに基づいて、基準部分を基準とした前記撮影画像上における前記膜層画像部分の縁線の膜層縁位置情報を生成し(S28)、該膜層縁位置情報に基づいて前記膜層についての評価情報を生成するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に膜層の形成された半導体ウエーハ等の円盤状基板の前記膜層の形成状態を評価し得る検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエーハ(円盤状基板)は、成膜プロセスやエッチングプロセスを経て表面に例えば同心的に絶縁膜や導電膜等の各種膜層が形成される。従来、この半導体ウエーハに形成された膜層の縁部がめくれ上がり等のない正規の仕上がり状態となっているか否かを検出する検査装置が提案されている(特許文献1参照)。この検査装置では、半導体ウエーハにおける外縁部の複数箇所を撮影し、その撮影によって得られた画像から半導体ウエーハの複数箇所における外周縁と膜層の縁との間の露出幅を計測し、そして、その複数箇所での露出幅の状態から前記膜層の縁部がめくれ上がり等のない正規の仕上がり状態となっているか否かを判定するようにしている。
【特許文献1】特開2002−134575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前述した検査装置では、半導体ウエーハの周方向における複数箇所のそれぞれにて得られた撮影画像を処理するものであるが、更に、その膜層の状態を詳細に評価する場合には、半導体ウエーハの外周部分の全周にわたって撮影して得られる撮影画像を対象として処理する必要がある。また、精度のよい検査を行うためには、比較的高い解像度での撮影画像を得なければならない。
【0004】
このような状況のもとで、表面に膜層の形成された半導体ウエーハ等の円盤状基板の検査装置にあっては、撮影画像を表す画像データが増大する傾向にあり、効率的な処理が望まれている。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、円盤状基板の表面に形成された膜層の状態を検査するに際して、精度を犠牲にすることなく、より効率的に処理することのできる円盤状基板の検査装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る円盤状基板の検査装置は、表面に膜層の形成された円盤状基板の検査装置であって、前記円盤状基板の前記膜層の形成された表面を前記円盤状基板の周方向に順次撮影して画像信号を出力する撮影部と、該撮影部から順次出力される画像信号を処理する画像処理部とを有し、前記画像処理部は、前記画像信号から前記円盤状基板の周方向に対応して延びる撮影画像を表す撮影画像データを生成する画像データ生成手段と、前記撮影画像データに基づいて前記撮影画像を表示ユニットに表示させる表示制御手段と、前記表示ユニットに表示された前記撮影画像上に前記周方向に延びる検査エリアを設定する検査エリア設定手段と、前記撮影画像データから、前記撮影画像上の前記検査エリア内における前記膜層に対応した膜層画像部分の縁線を検出して、当該検査エリア内における該縁線の前記周方向の各位置での該周方向を横切る方向の位置となる縦方向位置を表すエリア内縦方向位置情報を生成するエリア内膜層縁位置検出手段と、前記エリア内縦方向位置情報と、前記検査エリアの前記撮影画像上での設定位置を表す検査エリア縦方向位置情報と、前記撮影画像内で決められた基準部分の前記周方向での各位置での縦方向位置を表す基準縦方向位置情報とに基づいて、前記基準部分を基準とした前記撮影画像上における前記膜層画像部分の縁線の前記周方向の各位置での縦方向位置を表す膜層縁位置情報を生成する膜層縁位置情報生成手段と、前記膜層縁位置情報に基づいて前記円盤状基板の表面に形成された前記膜層についての評価情報を生成する評価情報生成手段とを有する構成となる。
【0007】
このような構成により、撮影画像上に設定された検査エリア内において膜層画像部分の縁線の周方向の各位置での縦方向位置を表すエリア内縦方向位置情報と、当該検査エリアの前記撮影画像上での設定位置を表す検査エリア縦方向位置情報と、前記撮影画像内で決められた基準部分の前記周方向の各位置での縦方向位置を表す基準縦方向位置情報とに基づいて、前記基準部分を基準とした前記撮影画像上における前記膜層画像部分の縁線の前記周方向の各位置での縦方向位置を表す膜層縁位置情報を生成し、該膜層縁位置情報に基づいて円盤状基板の表面に形成された膜層についての評価情報を得るようにしているので、膜層画像部分の縁線を検出するために、撮影画像に対応した撮影画像データ全てを処理しなくても、検査エリア内の画像部分を表す画像データを処理するだけで、円盤状基板の表面に形成された膜層についての評価情報の基礎となる膜層縁位置情報が得られるようになる。
【0008】
また、本発明に係る円盤状基板の検査装置において、前記基準部分は、前記撮影画像上における前記円盤状基板の表面画像部分の縁線であって、前記撮影画像上における前記円盤状基板の表面画像部分の縁線の前記周方向の各位置での縦方向位置の情報を前記基準縦方向位置情報とするように構成することができる。
【0009】
このような構成により、円盤状基板の表面画像部分の縁線を基準として膜層画像部分の縁線に対する膜層縁位置情報が得られるので、該膜層縁位置情報に基づいて得られた評価情報によって、前記表面画像部分の縁線に対応した円盤状基板の外周縁部を基準とした当該膜層の外周縁部の位置(円盤状基板の外周縁部と膜層の外周縁部との間の距離)に基づいた当該膜層の評価を行うことができるようになる。
【0010】
撮影画像上に設定される検査エリアは、検査対象となる円盤状基板の表面に形成される膜層の形成位置についての規格等に基づいて自動的に設定することも、また、オペレータによる手動にて設定することができる。後者の場合、本発明に係る円盤状基板の検査装置において、前記検査エリア設定手段は、操作ユニットでの所定設定操作に応じて前記検査エリアを設定するように設定することもできる。
【0011】
このような構成により、円盤状基板の表面に形成された膜層の状態に応じて適切な検査エリアを撮影画像上に設定することができるようになる。
【0012】
更に、本発明に係る円盤状基板の検査装置において、前記エリア内膜層縁位置検出手段は、前記検査エリア内の画像を前記周方向の各位置にて当該周方向を横切る方向に走査し、所定の条件に従って、各走査線上において前記膜層画像部分の縁線を検出するものであって、前記縁線検出のための前記条件を可変とするように構成することができる。
【0013】
このような構成により、検査エリアを周方向の各位置に対してその周方向を横切る方向に操作して当該検査エリア内の膜層画像部分の縁線を検出するための条件が可変となるので、検査エリア内における膜層画像の状態及び膜層画像の背景部分の状態に応じて、前記膜層画像とその背景部分との境界となる当該膜層画像部分の縁線を検出するための最適な条件を設定することができるようになる。
【0014】
前記膜層画像部分の縁線を検出するための条件は、膜層画像部分の濃度(輝度)状態やその背景部分の濃度(輝度)状態等に応じて自動的に変えることも、オペレータによる手動にて変えることもできる。後者の場合、本発明に係る円盤状基板の検査装置において、前記エリア内膜層位置検出手段は、操作ユニットでの所定設定操作に応じて前記縁線検出のための前記条件を可変設定するように構成することができる。
【0015】
また、本発明に係る円盤状基板の検査装置は、前記膜層画像部分の縁線が前記検査エリアから逸脱しているか否かを判定するエリア逸脱判定手段を有し、前記評価情報生成手段が、前記エリア逸脱判定手段での判定結果に基づいた評価情報を生成するように構成することができる。
【0016】
このような構成により、膜層の外周縁部の円盤状基板の周方向を横切る方向における変動幅が、検査エリアの幅(周方向を横切る方向の長さ)に対応した範囲に収まっているものであるか否か等の当該膜層に対する評価を行うことができるようになる。
【0017】
更に、本発明に係る円盤状基板の検査装置において、前記検査エリア内に、前記周方向に延びる許容エリアを設定する許容エリア設定手段と、前記膜層画像部分の縁線が前記許容エリアから逸脱しているか否かを判定する許容エリア逸脱判定手段とを有し、前記評価情報生成手段は、前記許容エリア逸脱判定手段での判定結果に基づいた評価情報を生成するように形成するように構成することができる。
【0018】
このような構成により、膜層の外周縁部の円盤状基板の周方向を横切る方向における変動幅が、検査エリア内に設定された許容エリアの幅(周方向を横切る方向の長さ)に対応した範囲に収まっているものであるか否か等の当該膜層に対する評価を行うことができるようになる。
【0019】
前記許容エリアは、設定された検査エリアの広さ等に応じて自動的に設定することも、オペレータによる手動にて設定することも可能である。後者の場合、本発明に係る円盤状基板において、前記許容エリア設定手段は、操作ユニットでの所定設定操作に応じて前記許容エリアを設定するように構成することができる。
【0020】
また、本発明に係る円盤状基板の検査装置は、前記許容エリア逸脱判定手段にて、前記膜層画像部分の縁線が当該許容エリアから逸脱しているとの判定がなされたときに、前記膜層画像部分の縁線の前記許容エリアから逸脱した部分についての膜層縁位置情報が得られているか否かを判定する手段を有し、前記評価情報生成手段が、前記膜層画像部分の縁線の前記許容エリアから逸脱した部分についての膜層縁位置情報が得られているとの判定がなされたときに、当該膜層縁位置情報を前記評価情報の生成のために用いるように構成することができる。
【0021】
このような構成により、膜層の外周縁部の円盤状基板の周方向を横切る方向における変動幅が、検査エリア内に設定された許容エリアの幅(周方向を横切る方向の長さ)に対応した範囲に収まっていなかった場合であっても、その変動幅がどの程度であるか等を評価することができるようになる。
【0022】
更に、本発明に係る円盤状基板の検査装置は、前記許容エリア逸脱判定手段にて、前記膜層画像部分の縁線が前記許容エリアから逸脱しているとの判定がなされたときに、前記膜層画像部分の縁線の前記許容エリアから逸脱している部分が、前記円盤状基板の表面に形成された欠陥部分にて覆われた部分であるか否かを判定する欠陥マスク判定手段を有し、前記評価情報生成手段が、欠陥マスク判定手段での判定結果に基づいた評価情報を生成するように形成することができる。
【0023】
このような構成により、画像処理によってなされた、膜層画像部分の縁線が許容エリアから逸脱しているとの判定が、真に前記縁線が許容エリアから逸脱しているのか、円盤状基板に生じている欠陥に起因したものかを区別することができるようになる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る円盤状基板の検査装置によれば、膜層画像部分の縁線を検出するために、撮影画像に対応した撮影画像データ全てを処理しなくても、検査エリア内の画像部分を表す画像データを処理するだけで、円盤状基板の表面に形成された膜層についての評価情報の基礎となる膜層縁位置情報が得られるようになり、また、この膜層縁位置情報が、膜層画像部分の縁線の撮影画像上で決められた基準部分を基準とした周方向の各位置での縦方向位置を表すものであるので、円盤状基板の表面に形成された膜層の状態を検査するに際して、精度を犠牲にすることなく、より効率的に処理することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0026】
本発明の実施の形態に係る円盤状基板の検査装置は、例えば、半導体ウエーハの表面検査装置にて実現される。この半導体ウエーハの表面検査装置の撮影系は、例えば、図1に示すように構成される。
【0027】
図1において、ステージ100が、回転駆動モータ110の回転軸110aに保持され、一定方向に連続回転するようになっている。ステージ100には円盤状基板となる半導体ウエーハ(以下、単にウエーハという)10が水平状態にセットされている。なお、ステージ100にはアライメント機構(図示略)が設けられており、ウエーハ10の中心がステージ100の回転中心(回転軸110aの軸心)に極力合致するように当該ウエーハ10のステージ100上での位置が調整されるようになっている。
【0028】
ステージ100にセットされたウエーハ10の表面外周部分に対向するようにカメラユニット130(撮影部)が設置されている。図2に示すように、カメラユニット130は、撮像素子としてラインセンサ130aを有し、そのラインセンサ130aがウエーハ10の外周縁を横切るように(周方向に直交する方向に延びるように)配置されている。これにより、ステージ100の回転に伴ってウエーハ10が一定方向Drに回転する際に、カメラユニット130がウエーハ10の表面外周部分をその周方向Dsに順次撮影するようになる。なお、ラインセンサ130aは、1024個の素子(画素)が一列に並んだ構造となっている。
【0029】
図2とともに図3を参照するに、ウエーハ10の表面には第1膜層21が形成され、その第1膜層21上に更に第2膜層22が形成されている。第1膜層21及び第2膜層22の正規の状態において、周方向Dsのいずれの位置(θi)においても、下側の第1膜層21の外周縁部(以下、第1膜層外周縁部という)21eが上側の第2膜層22の外周縁部(以下、第2膜層外周縁部という)22eよりウエーハ10の外周縁部(以下、ウエーハ外周縁部という)10eに近づいた側に位置している。
【0030】
カメラユニット130(ラインセンサ130a)の撮影視野範囲Fは、第1膜層外周縁部21e、第2膜層外周縁部22e及びウエーハ外周縁部10eを含むウエーハ10の外周部分から更にウエーハ外周縁部10eの僅かに外側にまで達している。これにより、カメラユニット130により得られる撮影画像に、ウエーハ外周縁部10e、第1膜層外周縁21e及び第2膜層縁部22eが写り込むようになる。
【0031】
なお、図1及び図2には、照明系については示されていないが、実際には、カメラユニット130により適切な撮影画像が得られるように、撮影視野範囲Fに含まれるウエーハ10の外周部分を照明する照明装置が設けられている。
【0032】
前述した表面検査装置の処理系は、図4に示すように構成される。
図4において、カメラユニット130は、コンピュータにて構成される処理ユニット200(画像処理部)に接続されている。処理ユニット200は、ウエーハ10がセットされたステージ100を一定方向Drに所定の速度にて回転させるように回転駆動モータ110の駆動制御を行う。また、ステージ100の回転に伴ってウエーハ10が回転する過程でウエーハ10の外周部分を撮影するカメラユニット130(ラインセンサ130a)からは画素単位の画像信号が出力されており、処理ユニット200が所定のタイミングにて前記画像信を順次取り込んで処理する。処理ユニット200は、操作ユニット210及び表示ユニット220が接続されており、オペレータにて操作される操作ユニット210からの信号に基づいた処理を実行し、また、入力した画像信号から撮影画像を表す撮影画像データを生成し、撮影画像や撮影画像データを処理して得られる種々の情報を表示ユニット220に表示させる。
【0033】
撮影視野範囲Fが図2に示すように設定されたカメラユニット130から出力される画像信号を順次入力する処理ユニット200は、図5乃至図7に示す手順に従って処理を実行する。
【0034】
図5において、処理ユニット200は、ウエーハ10の外周部分をその周方向Dsに順次撮影するカメラユニット130からの画像信号から、該周方向Dsに対応して延びる撮影画像を表す撮影画像データを生成し、その撮影画像データを所定のメモリに格納する(S1)。そして、処理ユニット200は、得られた撮影画像データに基づいて前記撮影画像を表示ユニット220に表示させる(S1)。表示ユニット220には、例えば、図8に示すような、カメラユニット130の撮影視野範囲F(図3参照)に対応する撮影画像Iが表示される。この撮影画像Iは、ウエーハ10の外周部分の1周分(基準位置(例えば、ノッチ)0度から360度の回転角度範囲)に相当するものであって、ウエーハ10の外周部分に対応した表面画像部分I10を含み、更に、この表面画像部分I10に第1膜層21に対応した第1膜層画像部分I21及び第2膜層22に対応した第2膜層画像部分I22が含まれている。そして、この撮影画像Iには、表面画像部分I10と背景部分との境界となる表面画像部分I10の縁線E10、第1膜層画像部分I21と表面画像部分I10との境界となる第1膜層画像部分I21の縁線E21、及び第2膜層画像部分I22と第1膜層画像部分I21との境界となる第2膜層画像部分I22の縁線E22が形成されている。
【0035】
表面画像部分I10の縁線E10はウエーハ10の外周縁部10e(図2参照)に対応し、第1膜層画像部分I21の縁線E21は第1膜層21の外周縁部21e(図2参照)に対応し、また、第2膜層画像部分I22の縁線E22は第2膜層22の外周縁部22e(図2参照)に対応している。なお、ウエーハ10の外周縁部10eに対応する表面画像部分I10の縁線E10は、本来直線となるべきである。しかし、ウエーハ10の端面の加工精度や加工プロセスの成否等によってその外周縁部10eがウエーハ10の径方向に変動(直径変動)し得ることから、撮影画像I上における表面画像部分I10の縁線E10は、図8に示すように、周方向(0度〜360度)にわたって該周方向に対して直交する方向(以下、縦方向という)に変動し得るものとなる。
【0036】
前述したようにして、図8に示すような撮影画像Iが表示ユニット220に表示されると、処理ユニット200は、膜層画像部分(第1膜層画像部分I21、第2膜層画像部分I22)の縁線(E21、E22)の検出処理(S2)を実行する。この膜層画像部分の縁線検出処理は、具体的に、図6に示すようになされる。
【0037】
図6において、処理ユニット200は、操作ユニット210において検査エリアの設定操作がなされると、その設定操作に応じて、表示ユニット220に表示された撮影画像I上にウエーハ10の周方向(0度〜360度)に延びる検査エリアを設定する(S21)。例えば、図9に示すように、第1膜層画像部分I21の縁線E21を含む第1検査エリアZ1及び第2膜層画像部分I22の縁線E22を含む第2検査エリアZ2が設定される。なお、図6は、1つの検査エリアについての処理を示している。また、この例では、検査エリアZ1、Z2とともに、表面画像部分I10の縁線E10を含む基準検出エリアZ0が設定される。この基準検出エリアZ0についても、後述するように、各検査エリアZ1、Z2と略同様の処理がなされる。
【0038】
この各検査エリアZ1、Z2の設定では、処理ユニット200は、前記設定操作に応じて操作ユニット210から入力される信号に基づいて、撮影画像I上での各検査エリアZ1、Z2の設定位置とその幅(縦方向の長さ)を取得する。例えば、図9に示すように、第1検査エリアZ1の設定位置として、当該第1検査エリアZ1の縦方向における下限位置が取得される。この第1検査エリアZ1の下限位置(設定位置)を表す情報を第1検査エリア縦方向位置情報YZ11という。また、第2検査エリアZ2の設定位置として、当該第2検査エリアZ2の縦方向における下限位置が取得される。この第2検出エリアZ2の下限位置(設定位置)を表す情報を第2検査エリア縦方向位置情報YZ21という。なお、処理ユニット200は、この設定位置(下限位置)とともに取得した各検査エリアの幅に基づいて、第1検査エリアZ1の縦方向における上限位置YZ12、及び第2検査エリアZ2の縦方向における上限位置YZ22を認識することができる。
【0039】
また、基準検出エリアZ0についても、同様に、撮影画像I上での設定位置として、当該基準検出エリアZ0の縦方向における下限位置(基準エリア縦方向位置情報YZ0)が取得される。
【0040】
処理ユニット200は、各検査エリアZ1、Z2の設定位置及びその幅を取得すると、撮影画像データIからその設定位置及び幅にて特定される各検査エリアZ1、Z2内の画像データを抽出し、図10(a)、(b)に示すような各検査エリアZ1、Z2内の画像に対して個別的に処理を行う。処理ユニット200は、まず、周(θ)方向における平均化(積分)処理を実行する(S22)。具体的には、注目画素を周方向(横方向)に1画素ずつ移動させつつ、各注目画素及びそれを周方向において挟む所定数の画素の各濃淡値を平均化し、その平均化濃淡値を注目画素の濃淡値とする処理がなされる。このような周方向(θ)における平均化処理により、膜層に例えばパターン模様(例えば、チップパターン等)が形成されていたとしても、膜層画像部分(検査エリア内)では、そのパターン模様に対応した濃淡模様が平滑化され、画像上でのノイズが除去される。次いで、処理ユニット200は、各検査エリアZ1、Z2の画像上の周方向の位置(θi)を所定幅ずつ(例えば、1度ずつ)ずらしながら、その各位置(θi)にて縦方向に走査して当該画像上のエッジ検出を行う(S23)。
【0041】
このエッジ検出処理は、基本的に微分処理であって、例えば、注目画素を縦方向に1画素ずつ移動させつつ、各注目画素の縦方向の上方に位置する所定数の画素の濃淡値の合計とその下方に位置する所定数の画素の濃淡値の合計との差分を当該注目画素の微分値として算出している。このような処理により、縦方向において濃淡値が急激に変動する位置の注目画素では、前記差分が大きくなり、濃淡値の変動が少ない位置の注目画素では、前記差分が小さくなる。このような微分処理の結果、例えば、図11(a)に示すように、第1膜層画像部分I21と第2膜層画像部分I22との境界(第1膜層画像部分I21の縁線E21)のように濃度(輝度)が変化する位置で、図11(b)に示すようにその1次微分波形や、図11(c)に示すように2次微分波形が変化する。このような画像の微分波形が周方向の各位置(θi)にて得られると、処理ユニット200は、指定された周方向の位置(θi)におけるその微分波形を表示ユニット220に表示させる(S24)。オペレータは、周方向の各位置(θi)での微分波形のピーク変動の状態を見ながら、膜層画像部分の縁線を検出するための各検査エリアZ1、Z2の走査方向(下限位置から上限位置に向かう方向、上限位置から下界位置に向かう方向のいずれか)及び縁線として検出すべき閾値レベル(これらは縁線検出のための条件である)を操作ユニット210の操作によって設定する(S25、S26)。
【0042】
このように、各検査エリアZ1、Z2において膜層画像部分I21、I22の縁線E21、E22を検出するための条件設定がなされると、処理ユニット200は、設定された条件に従って、微分画像(1次微分波形情報または2次微分波形情報)を周方向の位置(θi)を所定幅ずつ(例えば、1度ずつ)ずらしながら縦方向に走査し、前記閾値を基準にして、周方向の各位置(θi)にて当該縁線E21、E22を検出する(S27)。具体的には、第1膜層画像部分I21の縁線E21の検出処理においては、図10(b)に示すように、周方向の各位置(θi)における縁線E21の位置を第1検査エリアZ1の下限位置からの距離として表す第1エリア内縦方向位置情報yZ1(θi)が生成され、また、第2膜層画像部分I22の縁線E22の検出処理においては、図10(a)に示すように、周方向の各位置(θi)における縁線E22の位置を第2検査エリアZ2の下限位置からの距離として表す第2エリア内縦方向位置情報yZ2(θi)が生成される。
【0043】
なお、ウエーハ10の外周縁部10e(図2参照)に対応する表面画像部分I10の縁線E10を含む基準検出エリアZ0についても、前記各検査エリアZ1、Z2に対する処理(S22〜S27)と同様の処理がなされ、図10(c)に示すように、周方向の各位置(θi)における表面画像部分I10の縁線E10の位置を基準検出エリアZ0の下限位置からの距離として表す基準エリア内縦方向位置情報yZ0(θi)が生成される。
【0044】
次いで、処理ユニット200は、撮影画像I上における各膜層画像部分I21、I22の縁線E21、E22の周方向の各位置(θi)での縦方向位置を表す膜層縁位置情報Y(θi)を生成する(S28)。
【0045】
具体的には、まず、撮影画像Iにおける表面像部分I10の縁線E10の周方向の各位置(θi)での縦方向位置を表す基準縦方向位置Ys(θi)が、前記基準検出エリアZ0の設置位置を表す基準エリア縦方向位置情報YZ0(θi)と、表面画像部分I10の縁線E10の前記基準エリア内縦方向位置情報yZ0(θi)とを用い、
Ys(θi)=YZ0(θi)+yz0(θi)
に従って演算される(図9及び図10(c)参照)。
【0046】
次いで、この基準縦方向位置情報Ys(θi)を用いて、各膜層画像部分I21、I22の縁線E21、E22についての周方向の各位置(θi)での縦方向位置を表わす膜層縁位置情報Y1(θi)、Y2(θi)が演算される。
【0047】
第1膜層画像部分I21の縁線E21については、その第1エリア内縦方向位値情報yZ1(θi)と、第1検査エリアZ1の設定位置を表す第1検査エリア縦方向位置情報YZ11(θi)と、前記基準縦方向位置情報Ys(θi)とを用いて、膜層縁位置情報Y1(θi)が、
1(θi)=YZ11(θi)+yZ1(θi)−Ys(θi)
に従って演算される。
【0048】
また、第2膜層画像部分I22の縁線E22については、その第2エリア内縦方向位置情報yZ2(θi)と、第2検査エリアZ2の設定位置を表す第2検査エリア縦方向位置情報YZ21(θi)と、前記基準縦方向位置情報Ys(θi)とを用いて、膜層縁位置情報Y2(θi)が、
2(θi)=YZ21(θi)+yZ2(θi)−Ys(θi)
に従って演算される。
【0049】
上記各式に従って演算される各膜層画像部分I21、I22の縁線E21、E22についての膜層縁位置情報Y1(θi)、Y2(θi)は、撮影画像I上における表面画像I10の縁線E10を基準とした縦方向位置、すなわち、表面画像I10の縁線E10からの距離を表している。
【0050】
前述したようにして、表面画像部分I10の縁線E10を基準とした撮影画像I上における第1膜層画像部分I21の縁線E21及び第2膜層画像部分I22の縁線E22それぞれの周方向の各位置(θi)での縦方向位置を表す膜層縁位置情報Y1(θi)、Y2(θi)が得られると、処理ユニット200は、図5に戻って、前記膜層縁位置情報Y(θi)に基づいて対応する膜層についての評価情報を生成する(S3)。この評価情報生成処理は、具体的に、図7に示すようになされる。
【0051】
例えば、第1検査エリアZ1内の第1膜層画像部分I21に対応した第1膜層21につての評価処理を例に説明する。図7において、処理ユニット200は、第1膜層画像部分I21の縁線E21に対する第1エリア内縦方向位置情報yZ1(θi)(図10(b)参照)が得られていない周方向の位置(θi)が存在するか否かを判定することにより、第1膜層画像部分I21の縁線E21が第1検査エリアZ1を越えているか(逸脱しているか)否かを判定する(S31)。第1膜層画像部分I21の縁線E21が周方向の全ての位置(θ)にわたって、第1検査エリアZ1内にある(図9及び図10(b)参照)との判定(S31でYES)がなされると、処理ユニット200は、周方向の全ての位置(θi)における膜層縁位置情報Y1(θi)のうちの最大値Ymax及びそれらのうちの最小値Yminを抽出する(S33、S34)。また、処理ユニット200は、周方向の全ての位置(θi)における膜層縁位置情報Y1(θi)の平均値Yave及びその標準偏差値Ystdを算出する(S36)。そして、処理ユニット200は、前記最大値Ymax、最小値Ymin、平均値Yave、標準偏差値Ystdを第1膜層21の評価情報として表示ユニット220に表示させる(S37)。
【0052】
オペレータは、表示ユニット220に表示される第1膜層21の評価情報としての前記最大値Ymax、最小値Ymin、平均値Yave、標準偏差値Ystdから、第1膜層21の外周縁部21eとウエーハ10の外周縁部10eとの間隔の最大値、最小値、平均値、及び標準偏差値を知ることができ、それに基づいて、第1膜層21の形成位置や形状、更にその膜形成プロセスの適否を判断することができる。
【0053】
例えば、図12及び図13に示すように、第2膜層画像部分I22の縁線E22が第2検査エリアZ2から逸脱している場合、第2膜層画像部分I22の縁線E22に対して、周方向の位置範囲(角度範囲)θi〜θjにおいて、第2エリア内縦方向位置情報yZ2(θ)が得られていない(図6におけるS27参照)。この場合、処理ユニット200は、第2膜層画像部分I22に対応した第2膜層22についての評価情報生成処理の過程で、2膜層画像部分I22の縁線E22に対する第2エリア内縦方向位置情報yZ2(θi)が得られていない周方向の位置θi〜θjが存在するとの判定、即ち、第2膜層画像部分I22の縁線E22が第2検査エリアZ2を越えている(逸脱している)との判定を行う(S31でYES)。すると、処理ユニット200は、第2膜層画像部分I22の縁線E22が周方向の位置範囲θi〜θjの範囲で第2検査エリアZ2を越えているというステータス情報STを保存するとともに、第2膜層画像部分I22の縁線E22が逸脱していたその周方向における位置(箇所)の数n(θi〜θjの範囲に対応)を保存する(S32)。そして、処理ユニット200は、その縁線E22が第2検査エリアZ2を逸脱していない範囲で得られている膜層縁位置情報Y2(θi)を用いてその最大値Ymax及び最小値Yminを抽出し(S33、S34)、その得られている膜層縁位置情報Y2(θi)と、周方向の全ての位置(360度分)の数Nから縁線E22が逸脱していたその周方向における位置(箇所)の数nを差し引いた数を用いて、膜層縁位置情報Y2(θi)の平均値Yave及びその標準偏差値Ystdを算出する(S35、S36)。処理ユニット200は、得られた最大値Ymax、最小値Ymin、平均値Yave、標準偏差値Ystdとともに、第2膜層画像部分I22の縁線E22が周方向の位置範囲θi〜θjで第2検査エリアZ2を越えているというステータス情報STを第2膜層22の評価情報として表示ユニット220に表示させる(S37)。
【0054】
オペレータは、表示ユニット220に表示されるステータス情報STに基づいて第2膜層22が正規の範囲内に形成されていない部分(θi〜θj)があることを知ることができ、また、それを除いた範囲における第2膜層22の外周縁部22eとウエーハ10の外周縁部10eとの間隔の最大値、最小値、平均値、及び標準偏差値を知ることができる。そして、これらの評価情報に基づいて、第2膜層22の形成位置や形状、更にその膜形成プロセスの適否を判断することができる。
【0055】
上述したようなウエーハ10の表面検査装置によれば、膜層画像部分I21、I22の縁線E21、E22を検出するために、撮影画像Iに対応した撮影画像データ全てを処理しなくても、検査エリアZ1、Z2内の画像部分を表す画像データを処理するだけで、ウエーハ10の表面に形成された膜層21、22についての評価情報の基礎となる膜層縁位置情報Y1(θi)、Y2(θi)が得られるようになり、また、この膜層縁位置情報Y1(θi)、Y2(θi)が、膜層画像部分I21、I22の縁線E21、E22の撮影画像I上における表面画像部分I10の縁線E10を基準とした周方向の各位置での縦方向位置(各膜層21、22の外周縁部21e、22eとウエーハ10の外周縁部10eとの間の間隔)を表すものとなるので、ウエーハ10の表面に形成された各膜層21、22の状態を検査するに際して、精度を犠牲にすることなく、より効率的に処理することができるようになる。
【0056】
また、更に、前述した例では、各検査エリアZ1、Z2毎に、対応する膜層画像部分I21、I22の縁線E21、E22を検出するための条件(走査方向、閾値レベル)を設定することができるので、膜層画像部分I21、I22の縁線E21、E22それぞれを含む画像領域の状態(膜層画像部分とその背景部分とのコントラストの状態、ノイズの状態等)が異なっていてもしても、それら膜層画像部分I21、I22の縁線E21、E22のいずれも適切な条件に従って検出することができるようになる。即ち、その検出精度を向上させることができるようになる。
【0057】
図5に示す膜層画像部分の縁線検出処理(S2)は、図14に示す手順に従って行うことができる。この処理は、各検査エリアZ1、Z2内に許容エリアが設定される点で、前述した処理(図6)と異なる。この場合、評価情報生成処理(S3)は、例えば、図15に示すようになされる。
【0058】
図14において、処理ユニット200は、操作ユニット210において検査エリアの設定操作がなされると、その設定操作に応じて、表示ユニット220に表示された撮影画像I上に検査エリアZ1、Z2を設定し(S21)、更に、各検査エリアZ1、Z2に対して、それぞれ周方向に延びる2つの判定ラインLZn1、LZn2を設定する(S211)。具体的には、図16に示すように、第1検査エリアZ1の縦方向における略中央部分に周方向に延びる2つの判定ラインLZ11、LZ12が設定される。また、第2検査エリアZ2の縦方向における略中央部分に周方向に延びる2つの判定ラインLZ21、LZ22が設定される。各検査エリアZ1、Z2における2つの判定ラインLZn1、LZn2に挟まれた領域が許容エリアとなる。
【0059】
以後、処理ユニット200は、撮影画像データから設定された各検査エリアZ1、Z2内の画像データを抽出し、図17(a)、(b)に示すような各検査エリアZ1、Z2内の画像に対して個別的に前述した例と同様の処理(図6におけるS22〜S28参照)を行う。その結果、処理ユニット200は、第1膜層画像部分I21の縁線E21についての膜層縁位置情報Y1(θi)を、第1エリア内縦方向位置情報yZ1(θi)と、第1検査エリアZ1の設定位置を表す第1検査エリア縦方向位置情報YZ11(θi)と、前記基準縦方向位置情報Ys(θi)とを用いて、
1(θi)=YZ11(θi)+yZ1(θi)−Ys(θi)
に従って算出し、第2膜層画像部分I22の縁線E22についての膜層縁位置情報Y2(θi)を、その第2エリア内縦方向位置情報yZ2(θi)と、第2検査エリアZ2の設定位置を表す第2検査エリア縦方向位置情報YZ21(θi)と、前記基準縦方向位置情報Ys(θi)とを用いて、
2(θi)=YZ21(θi)+yZ2(θi)−Ys(θi)
に従って算出する。
【0060】
なお、この例では、各検査エリアZ1、Z2の縦方向における幅は、前述した例(図9及び図10参照)におけるそれらの幅より広く設定される。そして、許容エリアの縦方向における幅(2つの判定ラインLZn1、LZn2の間隔)を前述した例における検査エリアZ1、Z2の幅と同程度に設定することができる。
【0061】
第1膜層画像部分I21の縁線E21及び第2膜層画像部分I22の縁線E22それぞれの膜層縁位置情報Y1(θi)、Y2(θi)が得られると、処理ユニット200は、図15に示す手順に従って評価情報処理を実行する。
【0062】
図15において、処理ユニット200は、各エリア内縦方向位置情報yZ1(θi)、yZ2(θi)に基づいて、各検査エリアZ1、Z2において、膜層画像部分I21、I22の縁線E21、E22が判定ラインLZn1、LZn2を越えているか否かを判定する(S311)。例えば、図16及び図17(a)に示すように、第2膜層画像部分I22の縁線E22が周方向の位置範囲θi〜θjで、判定ラインLZ21を超えている場合、処理ユニット200は、第2膜層画像部分I22に対応した第2膜層22についての評価情報処理の過程で、第2膜層画像部分I22の縁線E22が判定ラインLZ21を超えている(許容エリアを逸脱している)との判定を行う(S311でYES)。すると、処理ユニット200は、第2膜層画像部分I22の縁線E22が周方向の位置範囲(角度範囲)θi〜θjの範囲で判定ラインLZ21を越えているというステータス情報STを保存するとともに、第2膜層画像部分I22の縁線E22が逸脱していたその周方向における位置(箇所)の数n(j−i)を保存する(S312)。その後、処理ユニット200は、第2膜層画像部分I22の縁線E22が判定ラインLZ21を超えている位置範囲θi〜θjにおける縁線E22についての膜層縁位置情報Y2(θi)〜Y2(θj)を補うことができるか否か、即ち、当該位置範囲θi〜θjにおける縁線E22についての膜層縁位置情報Y2(θi)〜Y2(θj)が既に取得されているか否かを判定する(S313)。そして、当該位置範囲θi〜θjにおける縁線E22が検査エリアZ2内にあって、その位置範囲θi〜θjにおける縁線E22についての膜層縁位置情報Y2(θi)〜Y2(θj)が既に取得されている場合(S313でYES)、処理ユニット200は、第2膜層画像部分I22の縁線E22が判定ラインLZ21を超えている位置範囲θi〜θjの膜層縁位置情報Y2(θi)〜Y2(θj)を評価情報の基礎情報として補う(S314)。
【0063】
そして、処理ユニット200は、第2膜層画像部分I22の縁線E22が逸脱していた位置(箇所)の数n(θi〜θjの範囲に対応)をゼロにリセットした後(S315)、得られている周方向の全ての位置(θi)における膜層縁位置情報Y2(θi)のうちの最大値Ymax及びそれらのうちの最小値Yminを抽出し(S33、S34)、その周方向の全ての位置(θi)における膜層縁位置情報Y2(θi)の平均値Yave及びその標準偏差値Ystdを算出する(S36)。そして、処理ユニット200は、前記最大値Ymax、最小値Ymin、平均値Yave、標準偏差値Ystd及び第2膜層画像部分I22の縁線E22が周方向の位置範囲(角度範囲)θi〜θjの範囲で判定ラインLZ21を越えているというステータス情報STを評価情報として表示ユニット220に表示させる(S37)。
【0064】
オペレータは、表示ユニット220に表示される評価情報としてのステータス情報STに基づいて第2膜層22が許容範囲内に形成されていない部分(θi〜θj)があることを知ることができる。また、オペレータは、第2膜層22がその許容範囲を超えて形成されていることを前提に、表示ユニット220に表示される第2膜層22の評価情報としての前記最大値Ymax、最小値Ymin、平均値Yave、標準偏差値Ystdから、第2膜層22の外周縁部22eとウエーハ10の外周縁部10eとの間隔の最大値、最小値、平均値、及び標準偏差値を知ることができる。従って、第2膜層22が許容範囲を超えて形成されていたとしても、ウエーハ10の全周にわたって第2膜層22の形成位置や形状、更にその膜形成プロセスの適否を判断することができるようになる。
【0065】
なお、例えば、第1膜層画像部分I21に対応した第1膜層21についての評価情報処理の過程で、第1膜層画像部分I21の縁線E21が図17(b)に示すように判定ラインLZ11、LZ12を越えていない(許容エリアを逸脱していない)との判定がなされると(S311でNO)、前記ステータス情報STは生成されることなく、周方向の全ての位置(θi)における膜層縁位置情報Y1(θi)のうちの最大値Ymax及びそれらのうちの最小値Yminが、また、その周方向の全ての位置(θi)における膜層縁位置情報Y1(θi)の平均値Yave及びその標準偏差値Ystdがそれぞれ評価情報として得られる(S33〜S36)。そして、その評価情報が表示ユニット220に表示される(S37)。
【0066】
また、前述した第2膜層画像部分I22に対応した第2膜層22についての評価情報処理の過程で、第2膜層画像部分I22の縁線E22が判定ラインLZ21を超えている位置範囲θi〜θjにおける縁線E22についての膜層縁位置情報Y2(θi)〜Y2(θj)を補うことができない、即ち、第2膜層画像部分I22の縁線E22が当該位置範囲θi〜θjにおいて第2検査エリアZ2までも逸脱してその範囲についての膜層縁位置情報Y2(θi)〜Y2(θj)が得られていないとの判定がなされた場合(S313でNO)、その縁線E22が判定ラインLZ21を超えていない範囲で得られている膜層縁位置情報Y(θi)を用いてその最大値Ymax及び最小値Yminが抽出され(S33、S34)、その得られている膜層縁位置情報Y(θi)と、周方向の全ての位置(360度分)の数Nから前記縁線E22が判定ラインLZ21を超えていたその周方向における位置(箇所)の数nを差し引いた数を用いて、前記膜層縁位置情報Y(θi)の平均値Yave及びその標準偏差値Ystdが算出される(S35、S36)。
【0067】
各検査エリアZ1、Z2に判定ラインLZn1Zn2(許容エリア)を設定する場合(図14に示す膜層画像部分の縁線検査処理を実行する場合)、処理ユニット200は、評価情報生成処理(S3)を図18及び図19に示す手順に従って実行することができる。この処理は、例えば、図20に示すように、検査エリアZ1に欠陥D(M)が存在する場合であっても、膜層に対する適正な評価情報を得ることができるようになっている。
【0068】
例えば、図20に示すように、第1検査エリアZ1における周方向の位置範囲θm〜θnに判定ラインLZ11、LZ12にかかる欠陥画像部分D(M)がある場合、処理ユニット200は、第1膜層画像部分I21対応した第1膜層21についての評価情報処理の過程で、前記位置範囲θm〜θnの欠陥画像部分D(M)に影響されて第1膜層画像部分I21の縁線E21が判定ラインLZ11及びLZ12を超えている(許容エリアを逸脱している)との判定を行う(S311でYES)。すると、処理ユニット200は、第1膜層画像部分I21の縁線E21の周方向の位置範囲(角度範囲)θm〜θnの範囲で判定ラインLZ11、LZ12を越えているというステータス情報STを保存するとともに、第1膜層画像部分I21の縁線E22が逸脱していたその周方向における位置(箇所)の数n(θm〜θnの範囲に対応)を保存する(S312)。次いで、処理ユニット200は、第1膜層画像部分I21の縁線E21が判定ラインLZ11、LZ12を超えている位置範囲θm〜θnにおける縁線E21についての膜層縁位置情報Y1(θm)〜Y1(θn)を補うことができない、即ち、当該位置範囲θm〜θnにおける縁線E21についての膜層縁位置情報Y1(θm)〜Y1(θn)が既に取得されていないとの判定をすると(S313でNO)、図19に示す処理に移行する。
【0069】
図19において、処理ユニット200は、第1検査エリアZ1の判定ラインLZ11、LZ12上の欠陥画像を無視するというマスク指定がなされているか否かを判定する(S316)。このマスク指定がなされているとの判定がなされると(S316でYES)、処理ユニット200は、欠陥画像部分D(M)に対応したマスク箇所についてのステータスSTmを保存する(S317)。その後、処理ユニット200は、図18に示す処理に復帰して、その縁線E21が判定ラインLZ11、LZ12を越えていないとされる範囲で得られている膜層縁位置情報Y1(θi)を用いてその最大値Ymax及び最小値Yminを抽出し(S33、S34)、その得られている膜層縁位置情報Y1(θi)と、周方向の全ての位置(360度分)の数Nから前記縁線E21が判定ラインLZ11、LZ12を超えていたとされるその周方向における位置(箇所)の数nを差し引いた数を用いて、前記膜層縁位置情報Y(θi)の平均値Yave及びその標準偏差値Ystdを算出する(S35、S36)。
【0070】
そして、処理ユニット200は、最大値Ymax、最小値Ymin、平均値Yave、標準偏差値Ystd及び第1膜層画像部分I21の縁線E21が周方向の位置範囲(角度範囲)θm〜θnの範囲で判定ラインLZ11、LZ12を越えているというステータス情報ST及び欠陥画像部分D(M)に対応したマスク箇所についてのステータスSTmを評価情報として表示ユニット220に表示させる(S37)。
【0071】
オペレータは、表示ユニット220に表示される評価情報としてのステータス情報ST及びSTmに基づいて第1膜層21が許容範囲内に形成されていない部分(θm〜θn)があることを知ることができるとともに、それが欠陥に起因してそのように判断されていることを知ることができる。また、オペレータは、欠陥によって第2膜層22が影響されていることを前提に、表示ユニット220に表示される第1膜層21の評価情報としての前記最大値Ymax、最小値Ymin、平均値Yave、標準偏差値Ystdから、第1膜層21の外周縁部21eとウエーハ10の外周縁部10eとの間隔の最大値、最小値、平均値、及び標準偏差値を知ることができる。それらの評価情報に基づいて第1膜層21の形成位置や形状、更にその膜形成プロセスの適否を判断することができるようになる。
【0072】
なお、前述した各例においては、第1検査エリアZ1、第2検査エリアZ2及び基準検出エリアZ0は矩形形状であったが、それらに限定されるものではない。それらのエリアは、撮影画像上において傾いて設定されても、また、楕円形状等、任意の形状とすることができる。また、本発明は、前述した半導体ウエーハの検査装置に限られず、例えば、DVD等の他の円盤状基板の検査装置に適用することができる。
【0073】
前述したウエーハ10の表面検査装置においては、各検査エリアZ1、Z2及び基準検出エリアZ0は、オペレータによる操作ユニット210の操作に従って設定するものであったが(図6及び図14におけるS21での処理参照)、ウエーハ10の形状的な規格及び膜層の形成仕様等に基づいて、処理ユニット200が自動的に設定するようにしてもよい。
【0074】
この場合、撮影画像I上において周方向の所定角度おきに縦方向に走査してエッジ検出がなされる。このエッジ検出の処理により、例えば、図21に示すように、第2膜層画像部分I22の縁線E22の縦方向位置Y(θ)が所定角度間隔にて得られる。そして、その縦方向位置の最小値、例えば、角度位置θiでの縁線E22の縦方向位置YMINから第2膜層画像部分I22の外側に所定量だけ広げた縦方向位置が、第2検査エリアZ2の下限位置YZ21として認識される。また、前記縁線E22の縦方向位置の最大値、例えば、角度位置θ=360°での縁線E22の縦方向位置YMAXから第2膜層画像部分I22の内側に所定量だけ広げた縦方向位置が、第2検査エリアZ2の上限位置YZ22として認識される。
【0075】
各膜層の縁線の縦方向位置の変動周期は、その製膜プロセスから一般には非常に大きいものである(小さいものとはならない)。従って、前記検査エリアを設定するためになされるエッジ検出は、比較的大きい角度間隔にて行うことができる。従って、処理量を極端に増大させることなく、自動的に検査エリアの設定が可能になる。
【0076】
また、図6及び図14に示す具体的な膜層画像部分の縁線検出処理では、撮影画像Iの全体に対して周方向における平均化(積分)処理(S22)を行った後に、その平均化処理済の撮影画像に対して各周方向位置(θi)でのエッジ検出(微分)処理がなされるものであったが、撮影画像Iの画素(注目画素)毎に周方向における平均化処理及びエッジ検出処理を行うようにすることもできる。
【0077】
この場合、図22に示すように、撮影画像I上にn×m(画素)のウィンドウWが設定され、そのウィンドウWを縦方向及び横方向に移動させつつ、ウィンドウWの中央に位置する注目画素に対し、周囲の画素の濃淡値Dを用いて、横方向(ウエーハ10の周方向)の平均化(積分)処理を行うとともに、縦方向にエッジ検出処理を行う。図23乃至図26を参照して、5×7のウィンドウWの場合を例に、具体的な処理について説明する。
【0078】
図23において、注目画素(斜線部分)の濃淡値D0とその横方向における前後2画素ずつの濃淡値D-2、D-1、D+1、D+2とを平均化して注目画素の平均化濃淡値が得られる。平均化濃淡値は、例えば、
(D-2+D-1+D0+D+1+D+2)/5
のように演算される。ここで、ウィンドウW内の注目画素(D0)の行における各画素の濃淡値の総和D-2+D-1+D0+D+1+D+2をΣ0と記述する。
【0079】
なお、同様の手法に従って、前記ウィンドウW内の注目画素(D0)の列における各画素(D-3、D-2、D-1、D+1、D+2、D+3)についての平均化濃淡値が得られているものとする。その過程で、注目画素及びそれを挟んだ横方向における5つの画素の濃淡値の総和Σ-3、Σ-2、Σ-1、Σ+1、Σ+2、Σ+3が得られている。
【0080】
このような状況において、エッジ検出(微分)処理がなされる。具体的には、注目画素(D0)の縦方向における上方に位置する3つの画素(D+1、D+2、D+3)の平均化濃淡値の総和ΣA0が演算され、当該注目画素(D0)の縦方向における下方に位置する3つの画素(D-1、D-2、D-3)の平均化濃淡値の総和ΣB0が演算される。そして、
ΣA0−ΣB0
が注目画素(Do)の微分値として算出される。なお、この微分値の絶対値が所定値以上となる場合、注目画素(D0)を境にして大きな濃淡変動があるということになる(注目画素がエッジ部分に対応する)。
【0081】
次に、ウィンドウWを縦方向における上方に1画素分ずらす。すると、ウィンドウWと各画素との関係は、図24に示すようになる。図24において、新たにウィンドウW内に入った1行分の画素の濃淡値に基づいてその中央に位置する画素(D+4)の平均化濃淡値が演算される。そして、ウィンドウWの中央に位置する画素(D+1)(斜線部分)が注目画素となり、当該画素に対して前記注目画素(D0)に対するのと同様の処理がなされる。
【0082】
注目画素(D+1)の平均化濃淡値は既に得られているので、エッジ検出(微分)処理がなされる。具体的には、注目画素(D+1)の縦方向における上方に位置する3つの画素(D+2、D+3、D+4)の平均化濃淡値の総和ΣA1が演算され、当該注目画素(D+1)の縦方向における下方に位置する3つの画素(D0、D-1、D-2)の平均化濃淡値の総和ΣB1が演算される。そして、
ΣA1−ΣB1
が注目画素(D+1)の微分値として得られる。
【0083】
上記3つの画素の平均化濃淡値の総和ΣA1は、各画素の平均化濃淡値を加算するのではなく、前回得られた総和ΣA0に画素(D+4)の平均化濃淡値E+4を加算して、今注目画素となった画素(D+1)の平均化濃淡値E+1を減算することにより得られる(下記式参照)。
ΣA1=ΣA0+E+4−E+1
上記縦方向において注目画素(D+1)の下方に並ぶ3つの画素の平均化濃淡値の総和ΣB1についても、同様に、前回得られた総和ΣB0に画素(D0)の平均化濃淡値E0を加算して、画素(D-3)の平均化濃淡値E-3を減算することにより得られる。
ΣB1=ΣB0+E0−E-3
【0084】
更に、ウィンドウWを縦方向における上方に1画素分ずらす。すると、ウィンドウWと各画素との関係は、図25に示すようになる。図25において、新たにウィンドウW内に入った1行分の画素の濃淡値に基づいてその中央に位置する画素(D+5)の平均化濃淡値が演算される。そして、ウィンドウWの中央に位置する画素(D+2)(斜線部分)が注目画素となり、当該注目画素に対して、前回の注目画素D+1に対するのと同様のエッジ検出処理がなされる。即ち、注目画素(D+2)の縦方向における上方に位置する3つの画素(D+3、D+4、D+5)の平均化濃淡値の総和ΣA2が演算され、当該注目画素(D+2)の縦方向における下方に位置する3つの画素(D+1、D0、D-1)の平均化濃淡値の総和ΣB2が演算される。そして、
ΣA2−ΣB2
が注目画素(D+2)の微分値として得られる。
前記総和ΣA2及びΣB2は、前述したのと同様に、前回得られた総和を用いた演算により取得される。
【0085】
上述したように、ウィンドウWを1画素ずつ縦方向に移動させながら、1行分の平均化(積分)処理及び注目画素についてのエッジ検出(微分)処理繰り返され、検査エリアの縦方向における縁に達すると、ウィンドウWが横方向(ウエーハ10の周方向に対応)に1画素分ずらされる。例えば、図23の状態のウィンドウWが横方向に1画素分ずらされると、ウィンドウWと各画素との関係は、図26に示すようになる。図26において、新たにウィンドウW内に入った1列分(D+3の列)の各画素の濃淡値を加味して、ウィンドウW内の各行の中央に位置する画素(例えば、D+1等)の平均化濃淡値が演算される。例えば、画素(D+1)を注目画素とした場合、その平均化濃淡値は、
(D-1+D0+D+1+D+2+D+3)/5
に従って得られる。
【0086】
ここで、ウィンドウW内の注目画素(D+1)の行における各画素の濃淡値の総和D-1+D0+D+1+D+2+D+3をΣ01と記述すると、前述した総和ΣA1、ΣB1の場合と同様に、前回得られた総和Σ0と、ウィンドウWを1画素分のずらしにより、新たにウィンドウ内Wに入ってきた画素(D+3)の濃淡値D+3と、ウィンドウWから出た画素(D-2)の濃淡値D-2とを用いて、
Σ01=Σ0+D+3−D-2
に従って演算される。
【0087】
このようにしてウィンドウW内の画素(D+1)を含む列における各画素についての平均化濃淡値が得られると、図23乃至図25を参照して説明したのと同様にして、画素(D+1)を含む列(縦方向)でのエッジ検出処理がなされる。以後、ウィンドウWを横方向に1画素ずつずらす毎に、上述したのと同様の濃淡値の平均化(積分処理)及びエッジ検出(微分)処理がなされる。
【0088】
前述したような撮影画像Iに対する周方向における平均化処理及び縦方向におけるエッジ検出(微分)処理を行うようにすると、二次元的に処理を進めることが可能となって、高速な処理が可能となる(縦横二次元演算フィルタ)。また、その濃淡値の平均化処理及びエッジ検出(微分)処理において、並ぶ複数の画素の濃淡値(平均化濃淡値)の総和Σを演算する際に、前回の総和Σを用いて、ウィンドウWの移動によって入ってきた画素の濃淡値(平均化濃淡値)を前回の総和Σに加算するとともに、ウィンドウWの移動によって出た画素の濃淡値(平均化濃淡値)を前回の総和Σから減算するようにしたので、平均化処理及びエッジ検出処理個々についても高速化を図ることができるようになる。特に、平均化する濃淡値(平均化濃淡値)の数(演算対象の画素の数)が多いほど、その効果は大きいものとなる。
【0089】
更に、各膜層画像部分I21、I22の縁線E21、E22を検出するための条件(走査方向、閾値レベル等)も、処理ユニット200が各検査エリアZ1、Z2及び基準検出エリアZ0内の画像状態を走査して、その結果に基づいて自動的に設定することもできる。例えば、処理ユニット200は、各角度位置(θi)で閾値レベルを設定しつつその設定された閾値レベルに基づいて縁線位置(縦方向位置)を検出することができる。
【0090】
この場合、例えば、処理ユニット200は、各角度位置(θi)において検査エリアの下限位置から上限位置まで(または上限位置から下限位置まで)微分画像(波形)を走査して、そのピーク値の位置(縦方向位置)を検出し、そのピーク値の所定割合(例えば、70%)の閾値レベルを設定する。そして、処理ユニット100は、前記閾値レベルにてスライスされる微分画像(波形)の幅の中心点を縁線位置(縦方向位置)として決定する。
【0091】
このように角度位置(θi)毎に微分波形のピーク値に基づいて閾値レベルを設定しつつその設定された閾値レベルに基づいて縁線位置を検出するようにしているので、撮影画像Iの全体的な明暗状態が部分的に変化するものであっても、その明暗状態に応じた閾値レベルに基づいて縁線位置の検出ができるようになるので、精度良く縁線位置を検出することができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
以上、説明したように、本発明に係る円盤状基板の検査装置は、円盤状基板の表面に形成された膜層の状態を検査するに際して、精度を犠牲にすることなく、より効率的に処理することのできるという効果を有し、表面に膜層の形成された半導体ウエーハ等の円盤状基板の前記膜層の形成状態を評価し得る検査装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施の形態に係る円盤状基板の検査装置としての半導体ウエーハの表面検査装置における撮影系の主要部を模式的に示す図である。
【図2】半導体ウエーハに対するカメラユニットの配置関係を示す平面図である。
【図3】半導体ウエーハの表面に形成された膜層の例を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の一形態に係る円盤状基板の検査装置としての半導体ウエーハの表面検査装置における処理系の主要部を模式的に示すブロック図である。
【図5】図4に示す処理系における処理ユニットにて実行される処理を示すフローチャートである。
【図6】図5に示す処理における膜層画像部分の縁線検出処理の第1の具体例を示すフローチャートである。
【図7】図5に示す処理における評価情報生成処理の第1の具体例を示すフローチャートである。
【図8】撮影画像の一例を示す図である。
【図9】撮影画像上に検査エリアが設定された例を示す図である。
【図10】図9に示す検査エリア(a)、(b)、及び基準検出エリア(c)を個別的に示す図である。
【図11】膜層画像の縁線を検出するための処理の原理を示す図である。
【図12】膜層画像部分の縁線が大きく蛇行した状態の撮影画像上に検査エリアが設定された例を示す図である。
【図13】図12に示す検査エリアを個別的に示す図である。
【図14】図5に示す処理における膜層画像部分の縁線検出処理の第2の具体例を示すフローチャートである。
【図15】図5に示す処理における評価情報生成処理の第2の具体例を示すフローチャートである。
【図16】撮影画像上に許容エリアを含む検査エリアが設定された例を示す図である。
【図17】図16に示す許容エリアを含む検査エリア(a)、(b)を個別的に示す図である。
【図18】図5に示す処理における評価情報生成処理の第3の具体例を示すフローチャート(その1)である。
【図19】図5に示す処理における評価情報生成処理の第3の例を示すフローチャート(その2)である。
【図20】検査エリア内に欠陥に対応した画像部分がある例を示す図である。
【図21】検査エリアの自動設定の手法原理を表す図である。
【図22】撮影画像の周方向における平均化(積分)処理と、エッジ検出(微分)処理に用いられるウィンドウを示す図である。
【図23】図22に示すウィンドウの具体例を示す図である。
【図24】ウィンドウを縦方向に1画素分ずらした状態を示す図である。
【図25】ウィンドウを縦方向に更に1画素分ずらした状態を示す図である。
【図26】ウィンドウを横方向に1画素分ずらした状態を示す図である。
【符号の説明】
【0094】
10 半導体ウエーハ(円盤状基板)
10e ウエーハ外周縁部
21 第1膜層
21e 第1膜層外周縁部
22 第2膜層
22e 第2膜層外周縁部
100 ステージ
110 回転駆動モータ
110a 回転軸
130 カメラユニット
200 処理ユニット
210 操作ユニット
220 表示ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に膜層の形成された円盤状基板の検査装置であって、
前記円盤状基板の前記膜層の形成された表面を前記円盤状基板の周方向に順次撮影して画像信号を出力する撮影部と、
該撮影部から順次出力される画像信号を処理する画像処理部とを有し、
前記画像処理部は、
前記画像信号から前記円盤状基板の周方向に対応して延びる撮影画像を表す撮影画像データを生成する画像データ生成手段と、
前記撮影画像データに基づいて前記撮影画像を表示ユニットに表示させる表示制御手段と、
前記表示ユニットに表示された前記撮影画像上に前記周方向に延びる検査エリアを設定する検査エリア設定手段と、
前記撮影画像データから、前記撮影画像上の前記検査エリア内における前記膜層に対応した膜層画像部分の縁線を検出して、当該検査エリア内における該縁線の前記周方向の各位置での該周方向を横切る方向の位置となる縦方向位置を表すエリア内縦方向位置情報を生成するエリア内膜層縁位置検出手段と、
前記エリア内縦方向位置情報と、前記検査エリアの前記撮影画像上での設定位置を表す検査エリア縦方向位置情報と、前記撮影画像内で決められた基準部分の前記周方向での各位置での縦方向位置を表す基準縦方向位置情報とに基づいて、前記基準部分を基準とした前記撮影画像上における前記膜層画像部分の縁線の前記周方向の各位置での縦方向位置を表す膜層縁位置情報を生成する膜層縁位置情報生成手段と、
前記膜層縁位置情報に基づいて前記円盤状基板の表面に形成された前記膜層についての評価情報を生成する評価情報生成手段とを有する円盤状基板の検査装置。
【請求項2】
前記基準部分は、前記撮影画像上における前記円盤状基板の表面画像部分の縁線であって、
前記撮影画像上における前記円盤状基板の表面画像部分の縁線の前記周方向の各位置での縦方向位置の情報を前記基準縦方向位置情報とする請求項1記載の円盤状基板の検査装置。
【請求項3】
前記検査エリア設定手段は、操作ユニットでの所定設定操作に応じて前記検査エリアを設定する請求項1または2記載の円盤状基板の検査装置。
【請求項4】
前記エリア内膜層縁位置検出手段は、前記検査エリア内の画像を前記周方向の各位置にて当該周方向を横切る方向に走査し、所定の条件に従って、各走査線上において前記膜層画像部分の縁線を検出するものであって、
前記縁線検出のための前記条件を可変とする請求項1乃至3のいずれかに記載の円盤状基板の検査装置。
【請求項5】
前記エリア内膜層位置検出手段は、前記操作ユニットでの所定設定操作に応じて前記縁線検出のための前記条件を可変設定する請求項4記載の円盤状基板の検査装置。
【請求項6】
前記膜層画像部分の縁線が前記検査エリアから逸脱しているか否かを判定するエリア逸脱判定手段を有し、
前記評価情報生成手段は、前記エリア逸脱判定手段での判定結果に基づいた評価情報を生成する請求項1乃至5のいずれかに記載の円盤状基板の検査装置。
【請求項7】
前記検査エリア内に、前記周方向に延びる許容エリアを設定する許容エリア設定手段と、
前記膜層画像部分の縁線が前記許容エリアから逸脱しているか否かを判定する許容エリア逸脱判定手段とを有し、
前記評価情報生成手段は、前記許容エリア逸脱判定手段での判定結果に基づいた評価情報を生成する請求項1乃至5のいずれかに記載の円盤状基板の検査装置。
【請求項8】
前記許容エリア設定手段は、前記操作ユニットでの所定設定操作に応じて前記許容エリアを設定する請求項7記載の円盤状基板の検査装置。
【請求項9】
前記許容エリア逸脱判定手段にて、前記膜層画像部分の縁線が当該許容エリアから逸脱しているとの判定がなされたときに、前記膜層画像部分の縁線の前記許容エリアから逸脱した部分についての膜層縁位置情報が得られているか否かを判定する手段を有し、
前記評価情報生成手段は、前記膜層画像部分の縁線の前記許容エリアから逸脱した部分についての膜層縁位置情報が得られているとの判定がなされたときに、当該膜層縁位置情報を前記評価情報の生成のために用いる請求項7または8記載の円盤状基板の検査装置。
【請求項10】
前記許容エリア逸脱判定手段にて、前記膜層画像部分の縁線が前記許容エリアから逸脱しているとの判定がなされたときに、前記膜層画像部分の縁線の前記許容エリアから逸脱している部分が、前記円盤状基板の表面に形成された欠陥部分にて覆われた部分であるか否かを判定する欠陥マスク判定手段を有し、
前記評価情報生成手段は、欠陥マスク判定手段での判定結果に基づいた評価情報を生成する請求項7乃至9のいずれかに記載の円盤状基板の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2009−124132(P2009−124132A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273473(P2008−273473)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】