説明

円筒状芯体およびその製造方法、ベルト管状体および画像形成装置

【課題】脱型性の信頼性向上を図る。
【解決手段】円筒状芯体は、円筒状基体と前記円筒状基体の表面に形成された離型層とを有し、前記離型層の表面に存在する凹凸の凸部が研磨され、研磨後の離型層の表面粗さRaが0.1μm以上1.5μm以下であり、研磨後の離型層の凸部の平均間隔Smが20μm以上500μm以下であり、前記離型層の水に対する接触角が50°以上90°以下の範囲である。また、ベルト管状体は、上記円筒状芯体を円筒状金型として用い、前記円筒状金型の表面に、樹脂を含有する樹脂溶液を塗布して形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒状芯体およびその製造方法、ベルト管状体および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には、回転体が使用されていることが多いが、装置の小型化や高性能化のために、回転体は変形可能なものが好ましい場合があり、肉厚の薄い樹脂製ベルトが用いられる。この場合、高画質化のためにはベルトに継ぎ目のないベルト管状体が好ましく、材料としては、強度や寸法安定性、耐熱性の観点からポリイミド樹脂が好ましい。ベルト管状体を用いる定着装置については、いくつか知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、ベルト管状体を用いる転写装置については、例えばカーボンブラックやグラファイト等の導電性粉体を分散して半導電性にしたポリイミド樹脂から成る転写ベルトを複数のロールに張架して回転させ、トナー像を感光体から用紙に転写する装置が挙げられる(例えば、特許文献2)。
【0004】
ポリイミド樹脂のベルト管状体を作製する方法には、例えば、芯体の表面に、浸漬塗布法によってポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥し、加熱した後、ポリイミド樹脂皮膜を剥離する方法もある(例えば、特許文献3)。この方法では、芯体の外面から溶剤を乾燥させるので、乾燥時間は短縮できる利点があるほか、芯体外面の形状がベルト管状体の内面に型取られる。
【0005】
ここでポリイミド前駆体溶液の溶剤としては、非プロトン系極性溶剤が用いられ、沸点が高く乾燥が非常に遅いという性質がある。またポリイミド樹脂皮膜はガス透過性が低い為に、溶剤を乾燥させようとしても一部が残留しやすい。
【0006】
芯体表面にポリイミド樹脂皮膜を形成した後で剥離する方法では、皮膜の加熱工程において、残留溶剤や、イミド化反応が進行する段階で発生する水が、皮膜内部や芯体と皮膜との間に滞留すると、熱で膨張して高圧のガスとなり、ポリイミド樹脂皮膜に膨れが生じて変形する場合がある。これは皮膜の膜厚が50μmを越えるような厚い膜の場合に顕著である。
【0007】
一方、一般的にポリイミド樹脂を含む皮膜と芯体との離型性を向上させるために、金型である円筒状芯体に離型層を形成する方法が提案されている。例えば、特許文献4には、離型層としてフッ素樹脂を含む材料を用いることが提案されている。また、特許文献5には、離型性被覆層としてガラスコーティング層やセラミック被覆層、フッ素樹脂被覆層が円筒状芯体上に形成することが提案されている。
【0008】
しかしながら、上記離型層を有する円筒状芯体は、ポリイミド前駆体との密着性または接着性が低いため、さらにイミド転化時の硬化の際に、ポリイミド樹脂は加熱反応時の収縮力が大きいため、芯体の外周面に形成されたポリイミド樹脂を含む皮膜は、ベルト管状体の形成に際し収縮する。このような収縮は不均一に起こるものであり、ベルト管状体の膜厚ムラを引き起こす。また導電性粉体を分散させた半導電性ベルト管状体では、それにより抵抗ムラを引き起こす場合もあった。なお、抵抗ムラは、転写ベルトとして使用する場合は転写するトナー濃度のムラとなるので、画像形成上問題があり、このため、従来のベルト管状体の製造に際しては、特に半導電性ベルト管状体において抵抗ムラを極力小さくすることが求められており、また、膜厚ムラの無いベルト管状体の要望も高い。
【0009】
そこで、特許文献6には、ポリイミド樹脂製のベルト管状体を製造するに際し、ベルト管状体の材料のポリイミド前駆体と密着性を有するポリイミド樹脂と、管状体に対して脱離性を有する無機コーティング材とを有する離型層を有する金型を用いることが提案されている。しかし、離型の際に、金型の離型層のポリイミド樹脂とポリイミド樹脂製管状体とが一部接着してしまうおそれがある。
【0010】
【特許文献1】特開平5−150679号公報
【特許文献2】特開平10−218850号公報
【特許文献3】特開昭61−273919号公報
【特許文献4】特開平10−323840号公報
【特許文献5】特開平9−76361号公報
【特許文献6】特開平11−58423号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、脱離性(または脱型性)の信頼性向上を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の円筒状芯体およびその製造方法とベルト管状体、画像形成装置は、以下の特徴を有する。
【0013】
(1)円筒状基体と前記円筒状基体の表面に形成された離型層とを有し、前記離型層の表面に存在する凹凸の凸部が研磨されてなる円筒状芯体である。
【0014】
(2)上記(1)に記載の円筒状芯体において、前記離型層の表面粗さRaが0.1μm以上1.5μm以下である。
【0015】
(3)上記(1)または(2)に記載の円筒状芯体において、前記凸部の平均間隔Smが20μm以上500μm以下である。
【0016】
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の円筒状芯体において、前記離型層の水に対する接触角が50°以上90°以下の範囲である。
【0017】
(5)上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の円筒状芯体において、前記離型層は耐熱性樹脂が含有されてなる。
【0018】
(6)上記(5)に記載の円筒状芯体において、前記耐熱性樹脂がシリコーン樹脂またはフッ素樹脂である。
【0019】
(7)上記(1)から(6)のいずれか1つに記載の円筒状芯体を円筒状金型とし、前記円筒状金型の表面に、樹脂を含有する樹脂溶液を塗布して形成されるベルト管状体である。
【0020】
(8)像担持体と、該像担持体表面を帯電する帯電手段と、前記像担持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像をトナーにより現像してトナー像とする現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記トナー像を記録媒体に定着する定着手段とを有し、前記転写手段に、上記(7)に記載のベルト管状体を備える画像形成装置である。
【0021】
(9)円筒状基材上に離型層を形成する工程と、前記離型層表面に存在する凹凸の凸部を研磨部材を用いて研磨する工程とを有し、前記研磨部材の表面の粗さRaが前記円筒状基材の表面の粗さRaよりも小さい円筒状芯体の製造方法である。
【発明の効果】
【0022】
本発明における円筒状芯体によれば、前記離型層の表面に存在する凹凸の凸部が研磨されているので、円筒状芯体の表面に島状に点在する凸部(金型粗さ曲線上の凸部)を選択的に研磨することで、その研磨部分において塗膜との密着性を向上させ、凹部部分では離型性が高いため塗膜と円筒状芯体との密着性を担保しつつ塗膜と芯体の間に隙間を作り出し、ベルト管状体成型時に発生するガスを積極的に逃し、さらに円筒状芯体から加熱硬化後のベルト管状体の離型性も向上する。
【0023】
また、本発明の円筒状芯体によれば、膨らみや膜厚ムラ等のベルト管状体の品質欠陥が抑制される。また、本発明のベルト管状体を用いた画像形成装置によれば、印刷のずれやオフセット現象を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施の形態について以下説明する。
【0025】
本実施の形態の円筒状芯体は、円筒状基体と前記円筒状基体の表面に形成された離型層とを有し、前記離型層の表面に存在する凹凸の凸部が研磨されてなる。研磨面としては、凹凸の凸部が重点的に研磨されていることが求められ、研磨方法は、一般的に使用される研磨機、例えば、遠心式研磨機であるスーパーフィニッシャー(大洋マシナリー(株)製)などを用いて研磨する。
【0026】
円筒状基体の材質は、金属からなるものであればよく、アルミニウムや亜鉛、銅、ステンレス、ニッケル等の金属が好ましい。芯体の材質がアルミニウムや亜鉛、銅の場合、外周面が傷つきにくいよう、クロムやニッケルでメッキされていてもよい。また、円筒状芯体は、熱膨張率の関係から管状体の脱型が容易となることを考慮すると、アルミニウムまたはアルミニウム系合金が好適であり、例えば、アルミニウム(JIS H4080 合金番号1000系純アルミニウム)、JIS H4080 合金番号3000系アルミニウム−マンガン(Al−Mn)系合金、JIS H4080 合金番号5000系アルミニウム−マグネシウム(Al−Mg)系合金、JIS H4080 合金番号6000系アルミニウム−マグネシウム−ケイ素(Al−Mg−Si)系合金が挙げられるが、高温での形状保持性および加工性に優れるという観点からJIS H4080 合金番号3000系アルミニウム−マンガン系合金、JIS H4080 合金番号5000系アルミニウム−マグネシウム系合金がより好ましい。さらに、円筒状基体は、その表面はブラスト処理による凹凸形状が設けられている。
【0027】
本実施の形態における円筒状芯体の前記離型層は耐熱性樹脂が含有され、耐熱性樹脂としては、シリコーン樹脂またはフッ素樹脂が好ましく、具体的にはシリコーン樹脂(SEPA-COAT(信越化学社製))が挙げられる。
【0028】
また、本実施の形態における円筒状芯体の離型層の表面粗さRaは、0.1μm以上1.5μm以下である。表面粗さRaが1.5μmを超える場合には、円筒状芯体と塗膜との密着性が損なわれ、得られるベルト管状体の膜厚ムラが発生する場合があり、一方、表面粗さRaが0.1μm未満の場合には、金型である円筒状芯体と塗膜との密着性が高すぎで、ベルト管状体製造時の加熱硬化時に発生する高圧ガスの逃げ道が確保しづらく、得られたベルト管状体に膨れが生じる場合がある。
【0029】
ここで、表面粗さRaとは、粗さの尺度の一つである算術平均粗さであり、JIS B0601に準拠し、公知の触針式表面粗さRa測定機(例えば、サーフコム1400A:東京精密社製)を使用して測定することができる。
【0030】
また、本実施の形態における円筒状芯体の離型層の凸部の平均間隔Smは、20μm以上500μm以下である。凸部の平均間隔Smが20μm未満の場合には、凸部の研磨が足りず、円筒状芯体と塗膜との密着性が損なわれ、得られるベルト管状体の膜厚ムラが発生する場合があり、一方、凸部の平均間隔Smが500μmを超えると、凸部を研磨しすぎたため、金型である円筒状芯体と塗膜との密着性が高すぎで、ベルト管状体製造時の加熱硬化時に発生する高圧ガスの逃げ道が確保しづらく、得られたベルト管状体に膨れが生じる場合がある。
【0031】
平均間隔Smの測定はJIS B0601に準拠し、サーフコム1400Aにて、算術表面粗さRaと平均山間隔Smを測定する。
【0032】
また、本実施の形態における円筒状芯体の離型層は、水に対する接触角が50°以上90°以下の範囲であり、好ましくは60°以上80°以下の範囲である。上記接触角が50°未満の場合には、円筒状芯体表面の親水性が高くなりすぎて、円筒状芯体と塗膜との密着性が高くなりすぎる為、ベルト管状体製造時の加熱硬化時に発生する高圧ガスの逃げ道が確保しづらく、得られたベルト管状体に膨れが生じる場合がある。上記接触角が90°を超える場合には円筒状芯体と塗膜との密着性が低くなりすぎて、塗膜を均一に塗布することが困難になる。
【0033】
表面処理の接触角の測定は、全自動接触角計「DM700」(協和界面科学株式会社製)を用いて、純水100μlを用いて接触角θを測定した。接触角θは0°に近づくほど水濡れ性が高く、逆に180°に近づくほど撥水性が高い、すなわち水濡れ性が低いことを示す。
【0034】
上述したように、円筒状芯体の研磨された部分(主に凸部)は、ベルト管状体の製造に用いる塗液および塗膜と密着性が高いので、塗膜の膨れや浮き上がりが防止され、得られるベルト管状体の膨れや膜厚ムラを抑制することができる。また、研磨が施されていない(主に凹部)は、上記塗膜との離型性が高いので、ベルト管状体との脱型性を確保できる。これらにより、本実施の形態の円筒状芯体とベルト環状体との離型度、および、得られるベルト管状体の平面度および膜厚を制御することができる。
【0035】
また、本実施の形態の円筒状芯体の製造方法は、円筒状基材上に離型層を形成する工程と、前記離型層表面に存在する凹凸の凸部を研磨部材を用いて研磨する工程とを有し、前記研磨部材の表面の粗さRaが前記円筒状基材表面の粗さRaよりも小さい。研磨部材の表面の粗さRaが前記円筒状基材表面の粗さRaより大きい場合には、円筒状基体の離型層の凸部を研磨しすぎてしまい、金型である円筒状芯体と塗膜との密着性が高すぎで、ベルト管状体製造時の加熱硬化時に発生する高圧ガスの逃げ道が確保しづらく、得られたベルト管状体に膨れが生じる場合がある。
【0036】
上述したように、研磨に用いられる研磨紙に求められるものは、その粗さが研磨される金型表面の粗さよりも小さいことである。これを満たさないと金型表面凹凸の凹凸全体を研磨してしまい、凸部の離型層を選択的に研磨できないこと、場合によっては凹凸部全体の離型層が消失してしまい、狙いである凸部の密着機能と凹部の離型機能の両立が出来なくなり、膨れが発生してしまう。そこで、上記研磨部材としては、如何なるものを用いてもよいが、例えば、酸化アルミニウムまたはシリコンカーバイが砥粒であって、硬度・グレードを適宜選定し用いることが好ましく、例えば、住友スリーエム株式会社製のラッピングフィルムシート#8000、#10000、#15000を用いることができる。
【0037】
本実施の形態におけるベルト管状体は、ベルト本体は、周長変動の少ない、すなわちヤング率が3,000N/mm以上の樹脂材料が好ましい。ヤング率が3,000N/mm以上の樹脂材料として、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などをあげることができるが、特に高ヤング率の樹脂材料であるポリイミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂がベルト材料としては好ましく、例えば、ポリイミド樹脂として宇部興産(株)のユーピレックスSなどのポリビフェニルテトラカルボン酸イミド系樹脂材料にカーボンブラックを分散した場合のヤング率は、6,200N/mmであり、ベルト基材の厚み70μmから100μmでベルト基材としての機械特性を満足することができる。
【0038】
− 引張り弾性率 −
上記ヤング率(引張り弾性率)は、JIS K6301に準拠し、ベルト管状体からダンベル3号打ち抜き試験片(幅5mm)を作製して測定した。
【0039】
次に、円筒状芯体を用いたベルト管状体の作製方法について、以下に説明する。
【0040】
本発明は、円筒状芯体を用いて、離型剤層形成工程、塗膜形成工程、皮膜形成工程、および剥離・抜き取り工程の4つの工程を少なくとも経て、ベルト管状体が作製され、必要に応じて他の工程を有していてもよい。また、本発明を利用して作製されるベルト管状体は、少なくともポリイミド樹脂層等の熱収縮をするフィルムを基材にしたベルト管状体であり、単層でも前記フィルム基材を含む2層以上から構成されていてもよい。なお、後者の場合は、必ず円筒状芯体外周に前記フィルム層となる皮膜が形成されるようにベルト管状体が作製される。以下の説明は単層の場合を前提にして個々の工程を説明していく。
【0041】
― 離型剤層形成工程 ―
離型剤層は、ベルト管状体の円筒状芯体外周面形成または円筒状芯体内周面形成に応じて、円筒状芯体の少なくとも中央部の外周面もしくは内周面に形成されていればよいが、端部におけるポリイミド樹脂皮膜の剥離を容易にするために、いずれか一方の端部あるいは両端にも形成されていることが望ましい。離型剤層の形成には、上述した通りである。
【0042】
― 塗膜形成工程(ポリイミド前駆体塗布工程) ―
離型剤層形成工程の後には、筒状芯体の中央部および両端部の外周面に、例えば、ポリイミド前駆体溶液を塗布することにより、塗膜を形成する塗膜形成工程を行う。ポリイミド前駆体としては従来公知のものを用いるができる。以下、ポリイミド前駆体を用いた塗膜形成方法について述べるが、前述したポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などを用いてもよいことは言うまでもない。
【0043】
ポリイミド前駆体溶液は、以下のように調製される。まず、ポリアミック酸溶液は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを有機極性溶媒中で重合反応させて得られる。
【0044】
[テトラカルボン酸二無水物]
ポリアミック酸の製造に用いられ得るテトラカルボン酸二無水物としては、特に制限はなく、芳香族系、脂肪族系いずれの化合物も使用できる。
【0045】
芳香族系テトラカルボン酸としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物等を挙げることができる。
【0046】
脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族又は脂環式テトラカルボン酸二無水物;1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン等の芳香環を有する脂肪族テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。
【0047】
テトラカルボン酸二無水物としては、芳香族系テトラカルボン酸二無水物が好ましく、さらに、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、が最適に使用される。
【0048】
これらのテトラカルボン酸二無水物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0049】
[ジアミン化合物]
次にポリアミック酸の製造に用いられ得るジアミン化合物は、分子構造中に2つのアミノ基を有するジアミン化合物であれば特に限定されない。
【0050】
例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,5−ジアミノ−3’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,5−ジアミノ−4’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,7−ジアミノフルオレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)−ビフェニル、1,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル等の芳香族ジアミン;ジアミノテトラフェニルチオフェン等の芳香環に結合された2個のアミノ基と当該アミノ基の窒素原子以外のヘテロ原子を有する芳香族ジアミン;1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソフォロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂肪族ジアミン及び脂環式ジアミン等を挙げることができる。
【0051】
ジアミン化合物としては、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、が好ましい。
【0052】
これらのジアミン化合物は単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0053】
[テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との組み合わせ]
ポリアミック酸としては、好ましくは、成型体の強度の観点から、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族系ジアミンとからなるものが好ましい。
【0054】
[有機極性溶媒]
このポリアミック酸の生成反応に使用される有機極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、アセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−、又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができ、これらを単独又は混合物として用いるのが望ましいが、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素も使用可能である。溶媒は、ポリアミック酸及びポリアミック酸−ポリイミド共重合体を溶解するものであれば特に限定されない。従来公知の非プロトン系極性溶剤を用い、ポリアミック酸溶液の濃度、粘度等は、適宜選択される。
【0055】
上述した方法において調製したポリアミック酸溶液にさらに、導電性微粒子を添加し、分散させ、分散液を調製する。分散液を、図2に示す衝突型分散機に通す。図2は、衝突型分散機の説明図であり、上流から下流に向かって一点に連結された2つの第1流路管50と、連結部を構成する連結管52、この連結管52の一端から2つ以上に分岐した第2流路管54、とから構成された流路に、溶液を流すことにより、分散するものである。
【0056】
[導電性微粒子]
導電性微粒子としては、導電性もしくは半導電性の微粉末が使用でき、所望の電気抵抗を安定して得ることができれば、特に制限はないが、ケッチエンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、アルミニウムやニッケル等の金属、酸化錫等の酸化金属化合物、チタン酸カリウム等が例示できる。そしてこれらを単独、あるいは併用して使用してもよい。本発明では、樹脂中への分散性、分散安定性、半導電性ポリイミドベルト管状体の抵抗バラツキ、電界依存性、電気抵抗の経時での安定性を考慮して、pH5以下の酸化処理カーボンブラックを好ましくは添加することがよい。
【0057】
分散方法としては公知の方法が適用でき、ポールミル、サンドミル、バスケットミル、超音波分散等が挙げられる。
【0058】
[酸化処理カーボンブラック]
酸化処理カーボンブラックは、カーボンブラックを酸化処理することで、表面にカルボキシル基、キノン基、ラクトン基、水酸基等を付与して製造することができる。この酸化処理は、高温雰囲気下で、空気と接触され、反応させる空気酸化法、常温下で窒素酸化物やオゾンと反応させる方法、及び高温下での空気酸化後、低い温度下でオゾン酸化する方法などにより行うことができる。具体的には、酸化処理カーボンブラックは、コンタクト法により製造することができる。このコンタクト法としては、チャネル法、ガスブラック法等が挙げられる。また、酸化処理カーボンブラックは、ガス又はオイルを原料とするファーネスブラック法により製造することもできる。必要に応じて、これらの処理を施した後、硝酸などで液相酸化処理を行ってもよい。なお、酸性カーボンブラックは、コンタクト法で製造することができるが、密閉式のファーネス法によって製造するのが通常である。ファーネス法では通常高pH・低揮発分のカーボンブラックしか製造されないが、これに上述の液相酸処理を施してpHを調整することができる。このためファーネス法製造により得られるカーボンブラックで、後工程処理によりpHが5以下となるように調節されたカーボンブラックも、本発明に含まれるとみなす。
【0059】
酸化処理カーボンブラックのpH値は、pH5.0以下であるが、好ましくはpH4.5以下であり、より好ましくはpH4.0以下である。pH5.0以下の酸化処理カーボンは、表面にカルボキシル基、水酸基、キノン基、ラクトン基などの酸素含有官能基があるので、樹脂中への分散性がよいので、良好な分散安定性が得られ、半導電性ポリイミドベルト管状体の抵抗バラツキを小さくすることができるとともに、電界依存性も小さくなり、転写電圧による電界集中がおきづらくなる。
【0060】
ここで、pHは、カーボンブラックの水性懸濁液を調整し、ガラス電極で測定することで求められる。また、酸性カーボンブラックのpHは、酸化処理工程での処理温度、処理時間等の条件によって、調整することができる。
【0061】
酸化処理カーボンブラックは、その揮発成分が1〜25重量%、好ましくは2〜20重量%、より好ましくは、3.5〜15重量%含まれていることが好適である。揮発分が1重量%未満である場合には、表面に付着する酸素含有官能基の効果がなくなり、結着樹脂への分散性が低下することがある。一方、25重量%より高い場合には、結着樹脂に分散させる際に、分解してしまう、或いは、表面の酸素含有官能基に吸着された水などが多くなるなどによって、得られる成形品の外観が悪くなるなどの問題が生じることがある。従って、揮発分を上記範囲とすることで、結着樹脂中への分散をより良好とすることができる。この揮発分は、カーボンブラックを950℃で7分間加熱したときに、出てくる有機揮発成分(カルボキシル基、水酸基、キノン基、ラクトン基等)の割合により求めることができる。
【0062】
酸化処理カーボンブラックとして、具体的には、デグサ社製の「プリンテックス150T」(pH4.5、揮発分10.0重量%)、同「スペシャルブラック350」(pH3.5、揮発分2.2重量%)、同「スペシャルブラック100」(pH3.3、揮発分2.2重量%)、同「スペシャルブラック250」(pH3.1、揮発分2.0重量%)、同「スペシャルブラック5」(pH3.0、揮発分15.0重量%)、同「スペシャルブラック4」(pH3.0、揮発分14.0重量%)、同「スペシャルブラック4A」(pH3.0、揮発分14.0重量%)、同「スペシャルブラック550」(pH2.8、揮発分2.5重量%)、同「スペシャルブラック6」(pH2.5、揮発分18.0重量%)、同「カラーブラックFW200」(pH2.5、揮発分20.0重量%)、同「カラーブラックFW2」(pH2.5、揮発分16.5重量%)、同「カラーブラックFW2V」(pH2.5、揮発分16.5重量%)、キャボット社製「MONARCH1000」(pH2.5、揮発分9.5重量%)、キャボット社製「MONARCH1300」(pH2.5、揮発分9.5重量%)、キャボット社製「MONARCH1400」(pH2.5、揮発分9.0重量%)、同「MOGUL−L」(pH2.5、揮発分5.0重量%)、同「REGAL400R」(pH4.0、揮発分3.5重量%)等が挙げられる。
【0063】
有機極性溶媒100重量部に対して、ポリアミック酸5〜40重量部、カーボンブラック2〜16重量部になるように反応させポリアミック酸を合成することにより、ポリイミド前駆体溶液である導電性微粒子分散ポリアミック酸組成物を得た。
【0064】
次に、ポリイミド前駆体溶液を円筒状芯体外周面に塗布する方法としては、円筒状芯体をポリイミド前駆体溶剤に浸漬して引上げる浸漬塗布法、芯体を水平方向に回転させながらその表面に溶剤を吐出する流し塗り法、その際にブレードで塗膜をメタリングするブレード塗布法、ほか既存の公知の方法が採用できる。
【0065】
― 皮膜形成工程 ―
皮膜形成工程は、ポリイミド前駆体溶液を乾燥する乾燥工程と、加熱焼成する加熱工程とからなる。芯体外周面に形成されたポリイミド前駆体塗膜の乾燥は、乾燥温度が50〜100℃、乾燥時間が30〜200分で行うことが好ましい。乾燥までの間に重力の影響により、ポリイミド前駆体塗膜に垂れが生じる場合には、芯体の軸方向を水平にして、10〜500rpmで回転させるのがよい。
【0066】
乾燥後の時点では、ポリイミド前駆体塗膜には、溶剤が最初の含有量の10〜40%程度は含まれ、塗膜はまだ柔軟性を有している。そのため、塗膜は芯体から取り外せず、管状物としての強度を保持していない。
【0067】
次いで、ポリイミド前駆体塗膜を加熱焼成して縮合反応させることにより、ポリイミド前駆体皮膜を形成するための加熱条件は、350〜450℃温度で20〜60分間行われることが好ましい。その際に、皮膜に膨れが生じにくいよう、その温度に達するまでに、温度をすぐに上昇させるのではなく、段階的に上昇させるか、もしくは徐々に一定速度で上昇させる事が好ましい。
【0068】
ポリイミド樹脂は、加熱して縮合反応する時点で、強い力で収縮する。本発明は、前記収縮を使って、加熱時に発生するガスのガス抜け通路を確保することが特徴である。よってベルト管状体のベルト膨らみや膜厚ムラ等の外径異常を抑制できる。
【0069】
― 剥離・抜き取り工程等 ―
芯体の冷却後には、芯体から皮膜を取り出してから皮膜の両端部を切断するか、あるいは、芯体上の皮膜の両端部を切除してから芯体から皮膜を取り外すことによってベルト管状体得ることができる。または、金型から樹脂を取り外し、得られたベルト管状体には、更に必要に応じて端部のスリット加工、パンチング穴あけ加工、テープ巻き付け加工等が施されることもある。
【0070】
― ベルト管状体の層構成・用途 ―
本発明を利用して作製されたベルト管状体を転写体として使用する場合、ポリイミド材料の中に導電性粒子を分散させる。導電性粒子としては、例えばカーボンブラック、カーボンファイバー、グラファイト等が考えられる。
【0071】
またベルト管状体を定着体として使用する場合は、表面(外周面)に付着するトナーの融着防止のために、ベルト表面に非粘着性の樹脂層を形成することが有効である。材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンーパーフルオロアルキビニルエーテル共重合体(PFA)等のフッ素樹脂が挙げられる。非粘着層には、耐磨耗性や静電オフセット向上、トナー付着防止用オイルとの親和性等のために、カーボン粉末や酸化チタン、硫酸バリウム等の無機化合物粉体等の材料を含んでもよい。定着ベルトとして好ましいポリイミド樹脂層の厚さは25〜200μm、非粘着層の厚さは5〜50μmの範囲である。
【0072】
(表面抵抗率)
本実施の形態のポリイミド樹脂製ベルト管状体は、22℃55RH%の条件下において、100Vの電圧を印加した時の表面抵抗率の常用対数値が8〜13(logΩ/□)であり、好ましくは9〜12である。表面抵抗率が低すぎると、転写電流の広がりや横流れにより転写画像が乱れることがあり、一方、表面抵抗率が高すぎると、汚れ防止のために表面電位の除電機構が必要になる場合がある。
【0073】
なお、表面抵抗率は、図1に示す円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPのHRプローブ)を用い、JIS K6911(1995)に従い、特に指定が無い場合は電圧100Vを印加し、10秒後の電流値から求めた値である。図1は、円形電極の例を示す概略平面図(a)及び概略断面図(b)であり、円形電極は、第一電圧印加電極Aと板状絶縁体Bとを備える。第一電圧印加電極Aは、円柱状電極部Cと、該円柱状電極部Cの外径よりも大きい内径を有し、かつ円柱状電極部Cを一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部Dとを備える。第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部C及びリング状電極部Dと板状絶縁体Bとの間に試験片Tを挟持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cとリング状電極部Dとの間に電圧V(V)を印加したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式(1)により、表面抵抗率ρs(Ω/□)を算出することができる。ここで、下記式(1)中、d(mm)は円柱状電極部Cの外径を示し、D(mm)はリング状電極部Dの内径を示す。
【0074】
式(1) ρs=π×(D+d)/(D−d)×(V/I)
【0075】
(表面抵抗率の電界依存性)
また、本実施の形態のポリイミド樹脂製ベルト管状体は、22℃、55RH%の条件下において100V及び1000Vの電圧を印加した時の表面抵抗率の常用対数値の差が0.3(logΩ/□)以下である。
【0076】
以上、本発明のベルト管状体の製造方法について説明したが、本発明はこれらの実施の態様のみに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づき、種々なる改良、変更、修正を加えた態様で実施しうるものである。
【0077】
<画像形成装置>
本発明の画像形成装置は、本発明のベルト管状体と、前記ベルト管状体が巻き掛けられ、前記ベルト管状体を張架搬送する複数の支持ロールと、を備えたことを特徴とする。具体的には、本発明の上記説明したベルト管状体10を用いた用紙搬送ベルト方式の画像形成装置および本発明のベルト管状体を用いた中間転写体方式の画像形成装置が挙げられる。
【0078】
以下に、本発明の画像形成装置の1例として、一次転写を繰り返すカラー画像形成装置を示す。図3は、本発明の画像形成装置の1例を示す概略構成図である。
【0079】
図3に示す画像形成装置100は、像担持体としての感光体ドラム101、中間転写体としての中間転写ベルト102、転写電極であるバイアスローラ103、被転写体である用紙を供給する用紙トレイ104、K(ブラック)トナーによる現像装置105、Y(イエロー)トナーによる現像装置106、M(マゼンタ)トナーによる現像装置107、C(シアン)トナーによる現像装置108、ベルトクリーナー109、剥離爪113、支持ロール121、支持ロール123、及び支持ロール124、バックアップローラ122、導電性ローラ125、電極ローラ126、クリーニングブレード131、用紙141、ピックアップローラ142、並びにフィードローラ143を含んで構成される。なお、上記中間転写ベルト102として、本発明のベルト管状体10が用いられる。
【0080】
中間転写ベルト102は、複数の支持ロールとして、支持ロール121、支持ロール123、バックアップローラ122、及び支持ロール124に架け渡されて、張架された状態で画像形成装置100に搭載される。
【0081】
中間転写ベルト102は、複数の支持ロール(支持ロール121、支持ロール123、バックアップローラ122、及び支持ロール124)によって張架搬送されることにより、所定方向(図3中、矢印G方向)に回転搬送される。
【0082】
ここで、中間転写ベルト102が、複数の支持ロールとして、支持ロール121、支持ロール123、バックアップローラ122、及び支持ロール124に架け渡されて張架搬送されるときにおいて、上記ベルト管状体10としての中間転写ベルト102の内周面側に備えられた蛇行防止リブガイド14は、支持ロール121、支持ロール123、バックアップローラ122、及び支持ロール124の側縁部もしくは支持ロール121、支持ロール123、バックアップローラ122、及び支持ロール124表面の周方向に設けられた不図示の溝に当接するように位置される。このため、ベルト走行時、中間転写ベルト102は蛇行防止リブガイド14に案内される。そのため、中間転写ベルト102は、張架搬送時に蛇行する問題を起こさない。
【0083】
画像形成装置100では、感光体ドラム101は、所定方向(図4中矢印F方向)に回転される。感光体ドラム101が回転されると、図示を省略する帯電装置によって感光体ドラム101表面が一様に帯電される。表面を一様に帯電された感光体ドラム101上には、レーザ書込み装置等の露光装置(図示省略)によって形成する画像の画像データに含まれる第1色(例えばBK)応じて変調されたレーザ光が走査露光されて、黒色の画像データに応じた静電潜像が形成される。この静電潜像はブラックトナーにより現像を行う現像装置105から供給されたブラックトナーによって可視化されることで、感光体ドラム101上に黒色トナー像Tが形成される。トナー像Tは感光体ドラム101の回転によって導電性ローラ125との対向領域(一次転写部)に到ると、導電性ローラ125からトナー像Tに逆極性の電界が作用されることにより静電的に中間転写ベルト102に吸着されることで、中間転写ベルト102に一次転写される。
【0084】
以下、同様にして第2色(例えば、Y色)のトナー像、第3色(例えば、M色)のトナー像、第4色(例えば、C色)のトナー像が順次形成され中間転写ベルト102において重合せられて、多重トナー像が形成される。
【0085】
中間転写ベルト102に転写された多重トナー像は、中間転写ベルト102の張架搬送により、バイアスローラ103との対向領域(二次転写部)に到る。この二次転写部は、中間転写ベルト102の外周面に対向配置されたバイアスローラ103と、バイアスローラ103との間で中間転写ベルト102を挟持搬送するように配置されたバックアップローラ122、及びこのバックアップローラ122に圧接して回転する電極ローラ126を含んで構成されている。
【0086】
用紙141は、用紙トレイ104に収容された用紙束からピックアップローラ142で一枚ずつ取り出され、フィードローラ143で二次転写部の中間転写ベルト102とバイアスローラ103との対向領域に所定のタイミングで給送される。給送された用紙141には、バイアスローラ103及びバックアップローラ122による圧接搬送と中間転写ベルト102の回転により、該中間転写ベルト102に担持されたトナー像が転写される。
【0087】
トナー像が転写された用紙141は、最終トナー像の一次転写終了まで退避位置にある剥離爪113を作動せることにより中間転写ベルト102から剥離され、図示しない定着装置に搬送され、加圧/加熱処理でトナー像を固定して永久画像とされる。なお、多重トナー像の用紙141への転写の終了した中間転写ベルト102は、二次転写部の下流に設けたベルトクリーナー109で残留トナーの除去が行われて次の転写に備える。また、バイアスローラ103は、ポリウレタン等からなるクリーニングブレード131が常時当接するごとくとりつけられており、転写で付着したトナー粒子や紙紛等の異物が除去される。
【0088】
単色画像の転写の場合、一次転写されたトナー像Tを直ちに二次転写して定着装置に搬送するが、複数色の重ね合わせによる多色画像の転写の場合、各色のトナー像が一次転写部で正確に一致するように中間転写ベルト102と感光体ドラム101との回転を同期させて各色のトナー像がずれないようにする。上記二次転写部では、バイアスローラ103と中間転写ベルト102を介して対向配置したバックアップローラ122に圧接した電極ローラ126にトナー像の極性と同極性の出圧(転写電圧)を印加することで該トナー像を用紙141に静電反発で転写する。以上のようにして、画像を形成することができる。
【0089】
次に、本発明の画像形成装置の他の一例を示す。図4に示す画像形成装置200は、Y色のトナー像を形成するための画像形成ユニット201Y、M色のトナー像を形成するための画像形成ユニット201M、C色のトナー像を形成するための画像形成ユニット201C、及び黒色(BK)のトナー像を形成するための画像形成ユニット201BKと、表面に用紙を担持して搬送する用紙搬送ベルト206と、用紙を上記各画像形成ユニット201へ搬送する用紙搬送ロール208と、用紙上に形成されたトナー像を該用紙へ定着させる定着装置209と、を含んで構成されている。なお、上記Y色のトナー像を形成するための画像形成ユニット201Y、M色のトナー像を形成するための画像形成ユニット201M、C色のトナー像を形成するための画像形成ユニット201C、及び黒色(BK)のトナー像を形成するための画像形成ユニット201BKを総称する場合には、画像形成ユニット201と称して説明する。用紙搬送ベルト206として、本発明のベルト管状体が用いられる。
【0090】
用紙搬送ベルト206は、複数の支持ロールとして、支持ロール213、支持ロール212、支持ロール210、及び支持ロール211に架け渡されて、張架された状態で画像形成装置200に搭載されている。
【0091】
用紙搬送ベルト206は、上記複数の支持ロール(支持ロール213、支持ロール212、支持ロール210、及び支持ロール211)によって張架搬送されることにより、所定方向(図4中、矢印H方向)に回転搬送される。
【0092】
ここで、用紙搬送ベルト206が、複数の支持ロールとして、支持ロール213、支持ロール212、支持ロール210、及び支持ロール211に架け渡されて張架搬送されるときにおいて、上記ベルト管状体10としての用紙搬送ベルト206の内周面側に備えられた蛇行防止リブガイド14は、支持ロール213、支持ロール212、支持ロール210、及び支持ロール211の側縁部もしくは支持ロール213、支持ロール212、支持ロール210、及び支持ロール211表面の周方向に設けられた不図示の溝に当接するように位置される。このため、ベルト走行時、用紙搬送ベルト206は蛇行防止リブガイド14に案内される。そのため、用紙搬送ベルト206は、張架搬送時に蛇行する問題を起こさない。
【0093】
なお、これらの複数の支持ロールとしては、例えば、外径12〜18mmの金属ロールを用いることができる。
【0094】
上記画像形成ユニット201Y、画像形成ユニット201M、画像形成ユニット201C、及び画像形成ユニット201BK各々は、所定方向(図4中、矢印I方向)に所定の周速度をもって回転する感光体ドラム221Y、感光体ドラム221M、感光体ドラム221C、及び感光体ドラム221BK各々が備えられている。
【0095】
感光体ドラム221Y、感光体ドラム221M、感光体ドラム221C、及び感光体ドラム221BK各々の近傍には、各々の感光体ドラムの回転方向にそって、感光体ドラムを帯電するための帯電装置(帯電装置202Y、帯電装置202M、帯電装置202C、及び帯電装置202BK)、画像データに応じた静電潜像を感光体ドラム上に形成するための露光器(露光器203Y、露光器203M、露光器203C、及び露光器203BK)、感光体ドラム上に形成された静電潜像をトナーによって現像する現像装置(イエロー現像装置204Y、マゼンタ現像装置204M、シアン現像装置204C、ブラック現像装置204BK)、感光体上の残留トナー等の付着物を除去するためのクリーニングブレード(クリーニングブレード205Y、クリーニングブレード205M、クリーニングブレード205C、及びクリーニングブレード205BK)、及び用紙搬送ベルト206と感光体ドラムとの間に搬送された用紙216に感光体ドラム上のトナー像を転写するための転写ロール(転写ロール207Y、転写ロール207M、転写ロール207C、転写ロール207BK)が順に設けられている。
【0096】
転写ロール207Y、転写ロール207M、転写ロール207C、及び転写ロール207BKは、用紙搬送ベルト206の内周側に設けられると共に、感光体ドラム221Y、感光体ドラム221M、感光体ドラム221C、及び感光体ドラム221BK各々との間で用紙搬送ベルト206を挟持するように設けられている。
【0097】
なお、上記画像形成ユニット201BK、画像形成ユニット201C、画像形成ユニット201M、及び画像形成ユニット201Y各々は、用紙搬送ベルト206の搬送方向上流側から下流側に向かって、該用紙搬送ベルト206に沿って並列に順に配列されているが、このような順に限られるものではなく、画像形成方法に合わせて適当な順序を設定することができる。
【0098】
定着装置209は、画像形成ユニット201Y、画像形成ユニット201M、画像形成ユニット201C、及び画像形成ユニット201BK各々は、これらの画像形成ユニットによって各色トナー像を転写された用紙にトナー像を定着させるとともに、画像形成装置200外部に用紙を排出する。
【0099】
画像形成装置200では、まず、画像形成ユニット201BKの感光体ドラム221BK表面が、帯電装置202BKによって一様に帯電された後に、露光器203BKによって画像データに応じて変調された光ビームが走査露光されて静電潜像が形成される。この静電潜像は、ブラック現像装置204BKによって現像されることで、BKトナーによるトナー像が形成される。なお、トナーは一成分系のものでもよいし二成分系のものでもよい。
【0100】
この感光体ドラム221BK上に形成された黒色のトナー画像は、感光体ドラム221BKと用紙搬送ベルト206との対向領域を通過すると同時に、用紙216が静電的に用紙搬送ベルト206に吸着してこの対向領域まで搬送されて、転写ロール207BKから印加される転写バイアスにより形成される電界により、用紙216の外周面に転写される。
【0101】
次に、画像形成ユニット201C、画像形成ユニット201M、及び画像形成ユニット201Yにおいて、上記画像形成ユニット201BKと同様の処理が行われることによって、用紙216に順にC色、M色、及びY色のトナー像が順に転写される。
【0102】
BK色、C色、M色、及びY色のトナー画像を転写された用紙216は、用紙搬送ベルト206の搬送によって定着装置209の設置位置まで搬送されることにより、定着装置209によってトナー画像が定着された後に、画像形成装置200の外部へと排出される。
【0103】
なお、上記画像形成装置の例では、複数の支持ロールによってベルト管状体10が巻掛けられて張架搬送される場合を説明したが、本発明のベルト管状体10によれば、図5に示すように、一対の支持ロールとして、支持ロール300及び支持ロール302に巻掛けられて張架搬送されるようにしてもよい。
【実施例】
【0104】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、各実施例は、本発明を制限するものではない。
【0105】
実施例1〜6:
シリコーン樹脂溶液(SEPA_COAT:信越化学社製、固形分:2質量%、主溶剤;酢酸エチル)をスプレーコート機を用いて、直径168mm、厚さ3mm、長さ450mmで表面に表面粗さRa0.82μmになるように、ガラスビーズを用いブラスト処理が施されたアルミ製の円筒状基体の表面にスプレー塗布し、被塗物を熱風乾燥炉に入れ、150℃まで30分間で温度上昇させ、150℃で60分間保持し、室温に戻して研磨処理前の円筒状芯体を得た。次に、上記研磨処理前の円筒状芯体に対して、表1に示す粗さを有する研磨紙を採用し、スーパーフィニッシャー(大洋マシナリー(株)製)を用いて、研磨処理前の円筒状芯体の表面における凹凸の凸部を重点的に研磨し、円筒状芯体を得た。
【0106】
比較例1:
離型層形成後であって研磨処理前の円筒状芯体の表面の凹凸の凸部を研磨しない以外は、上記実施例1〜6に準じて円筒状芯体を得た。
【0107】
<ポリイミド前駆体溶液へのカーボンブラック分散液>
3,3‘,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミン(PDA)とからなるポリアミド酸のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液(宇部興産製ユーワニスSに乾燥した酸化処理カーボンブラック(SPEDIAL BLACK4)Degussa社製)をポリイミド系樹脂固形分100質量部に対して、23質量部になるように添加して、図2に示す衝突型分散機(ジーナス製GeanusPY)を用い、圧力200MPaで最小面積が1.4mmで2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて、混合して粘度150ポイズのカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を得た。
【0108】
<分散液の金型上への塗布>
上記実施例および比較例の円筒状芯体を100rpmで回転させ、外周面にディスペンサーとスクレイパーを速度150min/minで移動させながら、厚み0.5mmで熱硬化樹脂原液塗布した後、5rpmで回転させながら、120℃で30分間加熱し、常温に冷却後、320℃まで2時間加熱することにより、溶媒除去とともにイミド転化を行い、最後に常温まで冷却してから、円筒状芯体からポリイミドベルト管状体を、エア挿入を行い、円筒状芯体と分離(脱型)した。
【0109】
[評価]
(ベルト管状体の膨れ)
得られたベルト管状体の膨れは、目視により判定した。
【0110】
(脱型性)
円筒状芯体からのベルト管状体の脱離性について以下の基準で判定した。
○:エア挿入を行うことにより容易に脱型した。
△:脱型時にベルト管状体が円筒状芯体に貼り付くものの、脱型可能であった。
×:脱型時にベルト管状体が円筒状芯体に貼り付き、脱型したベルト管状体は使用不可能。
【0111】
(転写画質の評価)
図3に示す富士ゼロックス(株)Docu Centre Color400CPの改造機を用い、得られた半導電性ベルトを交換しながら、転写画質を評価した。なお改造した点は速度を120mm/sにした点である。用紙は、富士ゼロックスオフィスサプライ社製の商品名「レザック66(151g/m)」を用いた。用紙サイズはA3であった。なお出力は200枚を1サイクルとして5サイクル、1000枚まで行った。
【0112】
(カラーレジ評価)
図6に示すレジずれの発生状況について、以下の基準により評価した。
◎:レジずれなく画像は良好。
○:A3の端部で線画の500μm未満のずれが発生しているが、画質上の問題なし。
△:A3の端部で線画の500μm以上のずれが発生し、カラー画像においては画質上問題がある。
【0113】
(ベルト管状体の平面度)
得られたベルト管状体の平面度を測定した。ここで平面度は、富士ゼロックス社製レーザー平面度測定を用いて測定した。この時の測定値にて、1.3mmよりも大きい値を示すと画像上に乱れを生じ、画像上の線画にて500μmのずれが生じる。
【0114】
(円筒状芯体の研磨後の表面粗さRaおよび凸部の平均間隔Sm)
円筒状芯体の研磨後の表面粗さRaおよび凸部の平均間隔Smは、サーフコム1400A:東京精密社製を使用して任意の10点について測定し、その平均値を数値とした。
【0115】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明の活用例として、耐熱性、高強度および導電性を必要とするベルト用途への適用、例えば、帯電防止部材、電磁波遮蔽部材へ適用することができ、また、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置に用いられるベルトへの適用もある。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】表面抵抗率および体積抵抗率を測定する円形電極の一例を示す概略平面図(a)及び概略断面図(b)である。
【図2】衝突型分散機の一例の構造を説明する図である。
【図3】本実施の形態ベルト管状体を中間転写ベルトとして備えた画像形成装置の概略構成図である。
【図4】本実施の形態のベルト管状体を用紙搬送ベルトとして備えた画像形成装置の概略構成図である。
【図5】ベルト管状体の図4とは異なる張架状態を示す概略構成図である。
【図6】カラーレジずれを説明する線画の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0118】
100 画像形成装置、101 感光体ドラム、102 中間転写ベルト、103 バイアスローラ、104 用紙トレイ、105 現像装置、106 現像装置、107 現像装置、108 現像装置、109 ベルトクリーナー、113 剥離爪、121 支持ロール、122 バックアップローラ、123 支持ロール、124 支持ロール、125 導電性ローラ、126 電極ローラ、131 クリーニングブレード、141 用紙、142 ピックアップローラ、143 フィードローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状基体と前記円筒状基体の表面に形成された離型層とを有し、
前記離型層の表面に存在する凹凸の凸部が研磨されてなることを特徴とする円筒状芯体。
【請求項2】
請求項1に記載の円筒状芯体において、
前記離型層の表面粗さRaが0.1μm以上1.5μm以下であることを特徴とする円筒状芯体。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の円筒状芯体において、
前記凸部の平均間隔Smが20μm以上500μm以下であることを特徴とする円筒状芯体。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の円筒状芯体において、
前記離型層の水に対する接触角が50°以上90°以下の範囲であることを特徴とする円筒状芯体。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の円筒状芯体において、
前記離型層は耐熱性樹脂が含有されてなることを特徴とする円筒状芯体。
【請求項6】
請求項5に記載の円筒状芯体において、
前記耐熱性樹脂がシリコーン樹脂またはフッ素樹脂であることを特徴とする円筒状芯体。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の円筒状芯体を金型として用い、前記金型の表面に、樹脂を含有する樹脂溶液を塗布して形成されることを特徴とするベルト管状体。
【請求項8】
像担持体と、該像担持体表面を帯電する帯電手段と、前記像担持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像をトナーにより現像してトナー像とする現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記トナー像を記録媒体に定着する定着手段とを有し、
前記転写手段に、請求項7に記載のベルト管状体を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
円筒状基材上に離型層を形成する工程と、前記離型層表面に存在する凹凸の凸部を研磨部材を用いて研磨する工程とを有し、前記研磨部材の表面の粗さRaが前記円筒状基材の表面の粗さRaよりも小さいことを特徴とする円筒状芯体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−12307(P2009−12307A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−177009(P2007−177009)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】