説明

冷却装置及び車両

【課題】 蓄電ユニットを収納したケースを熱伝達部材に接触させたままでは、熱伝達部材を介してケース(蓄電ユニット)を過冷却してしまうことがある。
【解決手段】 蓄電ユニットを収納するケースと、ケースと当接可能な熱伝達部材と、ケース及び熱伝達部材を相対的に移動させて、ケース及び熱伝達部材を当接状態とさせる第1の状態と、ケース及び熱伝達部材を非当接状態とさせる第2の状態との間で動作可能な駆動機構とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電ユニットの温度上昇を抑制しつつ、蓄電ユニットが過度に冷却されるのを抑制することのできる冷却装置及び、この冷却装置を備えた車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電気モータからの駆動力により走行するハイブリッド自動車、燃料電池車および電気自動車などがある。これらの自動車では、電気モータに供給される電力を蓄えるバッテリ又はキャパシタ(コンデンサ)が搭載されている。ここで、バッテリ等の性能や寿命は、環境温度に大きく依存し、特に、高温時に充放電を行うと、バッテリ等が著しく劣化してしまうことがある。そこで、バッテリ等の劣化を抑制するために、バッテリ等を冷却する必要がある。
【0003】
ここで、複数のバッテリを収納するバッテリケースにおいて、このバッテリケースとバッテリとの間に熱伝達部材(伝熱板や熱伝導シート)を配置したものがある(例えば、特許文献1、2参照)。この構成では、バッテリで発生した熱を、熱伝達部材を介してバッテリケースに伝達することができ、バッテリの温度上昇を抑制することができる。ここで、バッテリケースは、車両本体に固定されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−291656号公報(段落番号0014、図1、図2等)
【特許文献2】特開2000−58016号公報(特許請求の範囲、段落番号0017、0027、0032、図1、図5等)
【特許文献3】特開2001−229663号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1、2に記載の構成では、熱伝達部材がバッテリに常に当接しているため、以下に説明する不具合が生じてしまう。
【0006】
すなわち、熱伝達部材がバッテリに当接したままの構成では、バッテリで発生した熱を外部に放熱できるものの、環境温度によっては、バッテリが過度に冷却されてしまうことがある。
【0007】
例えば、冬においては、車両本体の温度が氷点下に到達してしまうことがあり、この場合には、車両本体に固定(連結)されたバッテリケースや熱伝達部材が過度に冷却されるとともに、バッテリも過度に冷却されてしまうことがある。
【0008】
ここで、バッテリにおいては、所定の温度範囲内において、十分な電池特性を得ることができ、バッテリの温度が上記温度範囲の下限値よりも低かったり、上限値よりも高かったりする場合には、十分な電池特性を得ることができない。
【0009】
したがって、熱伝達部材をバッテリに当接させたままの構成では、バッテリを過度に冷却してしまうことがあり、十分な電池性能を得ることができないことがある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、蓄電ユニットの温度上昇を抑制しつつ、蓄電ユニットが過度に冷却されるのを抑制することのできる冷却装置と、この冷却装置を備えた車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明である冷却装置は、蓄電ユニットを収納するケースと、ケースと当接可能な熱伝達部材と、ケース及び熱伝達部材を相対的に移動させて、ケース及び熱伝達部材を当接状態とさせる第1の状態と、ケース及び熱伝達部材を非当接状態とさせる第2の状態との間で動作可能な駆動機構とを有することを特徴とする。
【0012】
ここで、駆動機構として、ケース及び熱伝達部材のうち少なくとも一方を移動させる昇降機を用いることができる。また、駆動機構を、ケース及び熱伝達部材のうち少なくとも一方に設けられたギアと、ギアと係合し、ギアを介して少なくとも一方の部材を支持する支持部材とで構成し、支持部材に対するギアの係合位置を変化させることにより、少なくとも一方の部材を当接状態及び非当接状態間で移動させることもできる。
【0013】
一方、蓄電ユニットの温度を検出するための検出センサと、駆動機構の駆動を制御する制御手段とを設けておき、制御手段により、検出センサの検出温度に基づいて、駆動機構を第1及び第2の状態間で駆動することができる。具体的には、検出センサの検出温度が閾値以上である場合には、駆動機構を第1の状態に駆動し、検出温度が閾値よりも低い場合には、駆動機構を第2の状態に駆動することができる。
【0014】
また、駆動機構として、ケース外の温度に応じて伸縮可能な伸縮部材を用いることもできる。この伸縮部材としては、例えば、弾性体と、弾性体内に収容された低沸点溶剤とで構成したり、バイメタル又は形状記憶合金で構成したりすることができる。また、駆動機構として、上述した昇降機及び伸縮部材を併用することもできる。
【0015】
さらに、ケース及び熱伝達部材の当接面のうち、少なくとも一方の当接面に、熱伝導材を設けたり、ケース内に、蓄電ユニットの冷却に用いられる液体を充填したりすることもできる。ここで、ケース内に充填する液体として、例えば、フッ素系不活性液体を用いることができる。
【0016】
本発明の冷却装置は、車両に搭載することができる。ここで、熱伝達部材を、車両本体として用いる場合には、駆動機構により、車両本体に対して、ケースを移動させることができる。また、熱伝達部材及び駆動機構を支持する車両本体と、車両本体の表面から離れた位置でケースを保持する保持部材とを有する場合には、駆動機構により、ケースに対して、熱伝達部材を移動させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の冷却装置によれば、駆動機構によって、ケース及び熱伝達部材を当接状態と非当接状態との間で切り換えることで、ケース(蓄電ユニット)の温度上昇を抑制しつつ、ケース(蓄電ユニット)の過度の冷却を抑制することができる。
【0018】
すなわち、熱伝達部材及びケースを当接状態にすれば、ケースの熱(言い換えれば、蓄電ユニットで発生した熱)を、熱伝達部材を介して外部(ケース外)に放熱することができ、ケース(蓄電ユニット)の温度上昇を抑制することができる。また、熱伝達部材及びケースを非当接状態にすれば、環境温度によって冷却された熱伝達部材によって、ケース(蓄電ユニット)が過度に冷却されてしまうのを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0020】
まず、本発明の実施例1である冷却装置の構成について、図1を用いて説明する。本実施例の冷却装置は、車両に搭載されている。ここで、車両における冷却装置を配置する位置は、適宜設定することができる。
【0021】
図1において、電池ケース1は、電池ユニット(不図示)を収納しており、固定部材2を介して車両本体3に固定されている。ここで、電池ユニットは、複数の電池(二次電池)が電気的に直列に接続されたものである。また、電池ケース1は、車両本体3に固定された固定部材2によって支持されることで、車両本体3の表面から離れた位置に配置されている。
【0022】
ここで、本実施例では、蓄電ユニットとしての二次電池を用いた場合について説明するが、二次電池の代わりに、蓄電ユニットとしての電気二重層キャパシタ(コンデンサ)を用いることもできる。
【0023】
また、電池ケース1内において、電池ユニットの他に、電池ユニットの冷却に用いられる液体を充填することもできる。この液体としては、例えば、フッ素系不活性液体、より具体的には、スリーエム社製のフロリナート、Novec HFE(hydrofluoroether)、Novec1230を用いることができる。このように電池ケース1内に冷却用の液体を充填すれば、電池ユニットの充放電によって発生した熱を電池ケース1に効率良く伝達することができ、電池ユニットの放熱性を向上させることができる。
【0024】
また、電池ユニットの放熱性を更に向上させるために、電池ケース1内で冷却用液体を循環させてもよい。具体的には、電池ケース1に冷却用液体の循環通路を接続し、循環通路上に設けられたポンプを用いて冷却用液体を循環させることができる。
【0025】
電池ケース1と車両本体3との間に形成されたスペースには、昇降機5が配置されている。昇降機5の一端は、車両本体3に固定されており、昇降機5の他端には、熱伝達部材としての熱伝達板4が固定されている。図1(A)、(B)に示すように、昇降機5は、複数のリンクが回転軸を介して連結された構造(いわゆるパンタグラフ式のリンク機構)であり、図1の上下方向(熱伝達板4の移動方向)に伸縮可能となっている。
【0026】
図1(A)に示すように、昇降機5が伸びた状態にあるときには、熱伝達板4を電池ケース1の底面に当接させる。また、図1(B)に示すように、昇降機5が縮んだ状態にあるときには、熱伝達板4を電池ケース1の底面から離している。
【0027】
ここで、熱伝達板4は、熱伝導性の高い材料で形成することができる。また、熱伝達板4の形状は適宜設定することができるが、電池ケース1の底面全体と概ね当接する形状であれば、後述するように、電池ケース1に当接した際の放熱効果を向上させることができる。
【0028】
電池ケース1内に収納された電池ユニットでは、充放電によって発熱し、この熱が電池ケース1に伝達される。ここで、図1(A)に示すように、熱伝達板4が電池ケース1に当接している場合には、電池ケース1の熱が熱伝達板4に伝達されることになり、電池ケース1外への放熱が効率良く行われることになる。
【0029】
ここで、電池ケース1の熱は、電池ケース1から直接大気中に放熱される成分もあるが、熱伝達板4を電池ケース1に当接させると、大気中への放熱効率よりも高い効率で電池ケース1の熱を熱伝達板4に伝達させることができる。これにより、電池ケース1の放熱効果を向上させることができる。そして、電池ケース1(電池ユニット)の温度上昇を抑制することができる。
【0030】
なお、熱伝達板4に伝達された熱は、熱伝達板4から直接大気中に放熱されたり、昇降機5を介して車両本体3に伝達されたりする。また、電池ケース1は、固定部材2によって支持されているため、電池ケース1の熱は固定部材2にも伝達される。
【0031】
一方、図1(B)に示すように、熱伝達板4が電池ケース1から離れている場合には、電池ケース1で発生した熱は熱伝達板4には伝達されない。
【0032】
次に、図2を用いて、本実施例の冷却装置の動作を制御する構成(回路構成及び機械的構成)について説明する。ここで、図2中の実線で示す矢印は電気的な接続を示し、点線で示す矢印は機械的な接続を示す。
【0033】
温度センサ7は、電池ケース1の温度を検出し、この検出情報を制御回路6に出力する。本実施例では、電池ケース1の温度を検出することによって、間接的に電池ケース1内の電池ユニットの温度を検出するようにしているが、電池ユニットの温度を直接検出するようにしてもよい。
【0034】
制御回路6は、温度センサ7の出力に基づいて、モータ8の駆動を制御する。ここで、制御回路6は、本実施例で説明する動作の他に、本実施例の冷却装置を搭載した車が所望の運転状態となるように車に搭載された機器類を制御することができる。
【0035】
昇降機5は、動力伝達機構9を介してモータ8に連結されており、モータ8の駆動力が伝達されるようになっている。
【0036】
上述した構成において、制御回路6は、モータ8の駆動を制御することにより、昇降機5を図1(A)に示す状態(第1の状態)と図1(B)に示す状態(第2の状態)との間で動作させることができる。
【0037】
次に、制御回路6の動作について、図3に示すフローチャートを用いて説明する。
【0038】
ステップS10において、制御回路6は、温度センサ7の出力に基づいて、電池ケース1(電池ケース1内の電池ユニット)の温度を検出する。ステップS11において、制御回路6は、ステップS10で検出された温度が閾値以上であるか否かを判別する。ここで、検出温度が閾値以上である場合には、ステップS12に進み、検出温度が閾値よりも低い場合には、ステップS13に進む。
【0039】
ここで、閾値とは、電池ケース1の過度の冷却や温度上昇を抑制するための判断指標となる温度であって、予め設定された温度である。すなわち、電池ケース1の温度が閾値よりも低い場合には、電池ケース1が過度に冷却されるおそれがあり、電池ケース1の温度が閾値以上である場合には、電池ユニットの温度上昇によって電池ユニットの性能が低下するおそれがある。この閾値の具体的な値は、上述した点を踏まえて、適宜設定することができる。
【0040】
ステップS12において、制御回路6は、モータ8の駆動を制御することによって、昇降機5を動作させ、電池ケース1に当接する第1の位置まで熱伝達板4を移動させる。このように、熱伝達板4を電池ケース1に当接させることで、電池ケース1内で発生した熱を、熱伝達板4を介して電池ケース1外に逃がすことができる。これにより、電池ケース1(電池ユニット)での温度上昇を抑制することができる。
【0041】
ステップS13において、制御回路6は、モータ8の駆動を制御することによって、昇降機5を動作させ、電池ケース1から離れる第2の位置まで熱伝達板4を移動させる。ここで、第2の位置(言い換えれば、電池ケース1の底面からの距離)は、熱伝達板4を電池ケース1の底面から離した位置であればよく、適宜設定することができる。
【0042】
上述したように、熱伝達板4を電池ケース1から離すことによって、熱伝達板4を介して電池ケース1が必要以上に冷却されてしまうのを抑制することができる。
【0043】
すなわち、電池ユニットの温度が閾値よりも低い場合において、熱伝達板4を電池ケース1に当接させると、熱伝達板4を介して電池ケース1が必要以上に冷却されてしまうことがある。このように、電池ケース1が過度に冷却されると、電池ケース1内の電池ユニットの性能を低下させてしまうことがある。
【0044】
そこで、本実施例では、上述したように、熱伝達板4を電池ケース1から離れた位置まで移動させることで、熱伝達板4を介した電池ケース1の過度の冷却を抑制するようにしている。ここで、本実施例では、固定部材2を用いて電池ケース1を車両本体3の表面から離れた位置に配置しているため、環境温度によって過度に冷却された車両本体3によって、電池ケース1が過度に冷却されてしまうのを抑制することができる。
【0045】
なお、車両本体3が過度に冷却されると、固定部材2を介して電池ケース1も冷却されるおそれがある。しかし、電池ケース1は、この一部の領域において固定部材2によって支持されているため、電池ケース1の底面全体を車両本体3に当接させた構成に比べて、接触面積が小さくなり、電池ケース1が過度に冷却されるのを抑制することができる。
【0046】
ここで、固定部材2を断熱性材料で形成すれば、固定部材2を介して電池ケース1が冷却されるのを更に抑制することができる。
【0047】
なお、本実施例では、温度センサ7の検出情報に基づいて、モータ8の駆動を制御しているが、これに限るものではない。例えば、操作パネル等の操作手段を設けておき、この操作手段での操作に応じて、モータ8を駆動することもできる。すなわち、操作手段の操作によって、熱伝達板4を電池ケース1に当接させたり、電池ケース1から離したりすることができる。
【0048】
また、電池ケース1及び熱伝達板4の当接面のうち、少なくとも一方の当接面に、熱伝導性を向上させるための熱伝導性材料(例えば、熱伝導性グリス)を塗布したり、熱伝導性シートを形成したりしてもよい。これにより、電池ケース1の放熱性を向上させることができる。
【0049】
次に、本実施例の変形例について、図4を用いて説明する。図4において、実施例1(図1)で説明した部材と同一の部材については、同一符号を用いている。
【0050】
本変形例では、実施例1の昇降機5の代わりにバネ50を用いている。バネ50の一端は、車両本体3に固定されており、バネ50の他端には、熱伝達板4が固定されている。また、車両本体3側には、熱伝達板4と当接可能なレバー部材51が設けられている。
【0051】
レバー部材51は、動力伝達機構9を介してモータ8と連結されており、モータ8からの駆動力を受けることによって、図4中の矢印A1方向及び矢印A2方向に移動可能となっている。ここで、車両本体3には、レバー部材51の移動を許容するための開口部(不図示)が形成されている。
【0052】
レバー部材51が図4(A)に示す位置にある場合には、熱伝達板4がバネ50の付勢力を受けることによって、電池ケース1の底面に圧接している。図4(A)に示す状態において、モータ8からの駆動力を受けると、レバー部材51は、バネ50の付勢力に抗して矢印A2方向に移動する。これにより、熱伝達板4は、レバー部材51によって押し込まれることで、電池ケース1の底面から離れ、図4(B)に示す状態となる。
【0053】
一方、図4(B)に示す状態において、モータ8の駆動によってレバー部材51を矢印A1方向に移動させると、熱伝達板4がバネ50の付勢力を受けることによって、矢印A1方向に移動する。そして、電池ケース1の底面に当接した位置で停止する。ここで、レバー部材51は、図4(A)に示すように、電池ケース1の側面側に形成されたスペースに退避する。
【0054】
ここで、レバー部材51を矢印A2方向に移動させて停止させる位置は、適宜設定することができる。すなわち、熱伝達板4を電池ケース1の底面から離れた位置まで移動させれば、いかなる位置でレバー部材51を停止させてもよい。
【0055】
本変形例において、レバー部材51の駆動の制御は、実施例1と同様に制御回路6(図2)によって行うことができ、この制御動作は、実施例1で説明した制御動作(図3参照)と同様である。そして、本変形例においても、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0056】
なお、本実施例及び変形例では、1つの部材である熱伝達板4を電池ケース1の底面全体に当接させる構成であるが、複数の熱伝達板を設け、これらの熱伝達板を電池ケース1の底面における異なる領域に当接させる構成とすることもできる。この構成では、電池ケース1の底面における部分的な放熱を行うことができる。
【実施例2】
【0057】
次に、本発明の実施例2である冷却装置の構成について、図5を用いて説明する。本実施例の冷却装置も実施例1と同様に車両に搭載されている。
【0058】
図5において、電池ケース11は、実施例1と同様に電池ユニット(不図示)を収納している。ここで、実施例1と同様に、電池ケース11内に冷却用液体を充填させてもよい。
【0059】
電池ケース11のうち互いに向かい合う側面11a、11bには、腕部14が設けられている。各腕部14は、この先端において、ギア15を回転可能に支持している。ギア15は、実施例1(図2)で説明した動力伝達機構9に連結されており、モータ8からの駆動力を受けることによって、回転可能となっている。
【0060】
また、車両本体13には、支持部材12が設けられており、支持部材12は、ギア15と噛み合うギア部12aを有している。ギア部12aは、後述する電池ケース11の移動方向に延びている。
【0061】
ここで、本実施例においては、車両本体13が、特許請求の範囲に記載の熱伝達部材に相当する。すなわち、後述するように、電池ケース11が車両本体13に当接している場合には、電池ケース11の熱が車両本体13に伝達されることになる。
【0062】
上述した冷却装置の構成において、ギア15がモータ8からの駆動力を受けて回転すると、ギア部12aに沿って移動することで、電池ケース11も移動する。すなわち、図5(A)に示す状態(第1の状態)において、各ギア15を矢印R1方向に回転させると、電池ケース11は、車両本体13から離れる方向に移動する。
【0063】
そして、ギア15の回転を停止させれば、電池ケース11を図5(B)に示す状態(第2の状態)に保持することができる。図5(B)に示す状態において、支持部材12は、ギア15及び腕部14を介して電池ケース11を保持している。
【0064】
一方、図5(B)に示す状態において、モータ8の駆動によってギア15を矢印R2方向に回転させると、電池ケース11は、車両本体13に近づく方向に移動する。そして、電池ケース11が車両本体13に当接したときに、ギア15の回転を停止させれば、図5(A)に示す状態となる。
【0065】
ここで、電池ケース11を車両本体13から離れた位置で停止さたり、車両本体13に当接した位置で停止させたりする制御方法については、様々な制御方法を用いることができる。
【0066】
具体的には、電池ケース11の位置を検出するセンサを設けておき、このセンサの出力に基づいて、電池ケース11の移動を停止させることができる。また、モータ8の駆動量(例えば、動力伝達機構9内に設けられたパルス発生器で得られたパルス数)をカウントしておき、このカウント値が所定値に到達したタイミングで、電池ケース11の移動を停止させることもできる。さらに、ギア15を支持部材12(ギア部12a)の端部まで移動させて、ギア15を介した過負荷状態を検出することで、電池ケース11の移動を停止させることもできる。
【0067】
次に、本実施例における制御回路の動作について、図6に示すフローチャートを用いて説明する。ここで、本実施例の冷却装置の駆動を制御するための構成は、実施例1(図2)と同様であり、同一部材については同一符号を用いて説明する。
【0068】
ステップS20において、制御回路6は、温度センサ7の出力に基づいて、電池ケース11の温度を検出する。ステップS21において、制御回路6は、温度センサ7によって検出された温度が閾値以上であるか否かを判別する。ここで、検出温度が閾値以上である場合には、ステップS22に進み、検出温度が閾値よりも低い場合には、ステップS23に進む。
【0069】
ここで、閾値とは、電池ケース11(電池ケース11内の電池ユニット)の過度の冷却や温度上昇を抑制するための判断指標となる温度であって、予め設定された温度である。すなわち、電池ケース11の温度が閾値よりも低い場合には、電池ケース11(電池ユニット)が過度に冷却されるおそれがあり、電池ケース11の温度が閾値以上である場合には、電池ケース11(電池ユニット)の温度上昇によって電池ユニットの動作に不具合が発生してしまう。この閾値の具体的な値は、上述した点を踏まえて、適宜設定することができる。
【0070】
ステップS22において、制御回路6は、モータ8の駆動を制御することによって、ギア15を回転させて、車両本体13に当接する第1の位置まで電池ケース11を移動させる。このように、熱伝達部材としての車両本体13に電池ケース11を当接させることで、電池ケース11の熱を車両本体13に逃がすことができ、電池ケース11での温度上昇を抑制することができる。
【0071】
ステップS23において、制御回路6は、モータ8の駆動を制御することによって、ギア15を回転させて、車両本体13から離れた第2の位置まで電池ケース11を移動させる。このように、電池ケース11を車両本体13から離すことによって、車両本体13を介して電池ケース11が必要以上に冷却されてしまうのを抑制することができる。
【0072】
すなわち、環境温度によって車両本体13が過度に冷却された場合において、電池ケース11を車両本体13に当接させると、車両本体13を介して電池ケース11が必要以上に冷却されてしまう。このように、電池ケース11が過度に冷却されると、電池ケース11内に設けられた電池ユニットの性能が低下してしまうことがある。
【0073】
そこで、本実施例では、上述したように、電池ケース11を車両本体13から離れた位置まで移動させることで、車両本体13を介した電池ケース11の過度の冷却を抑制するようにしている。
【0074】
なお、本実施例では、ギア15の回転によって、電池ケース11を移動させているが、これに限るものではない。具体的には、実施例1(図1)で説明した構成と同様に、電池ケース11を、固定部材を介して車両本体13に固定し、電池ケース11に当接可能な熱伝達板(実施例1の熱伝達板4に相当する)を本実施例の駆動機構(ギア15及び支持部材12を含む)によって移動させることができる。すなわち、熱伝達板にギアを設け、ギアの回転によって熱伝達板を移動させることができる。
【0075】
また、本実施例の駆動機構を用いて、電池ケース11及び熱伝達板(実施例1の熱伝達板4に相当する)を移動させるようにしてもよい。具体的には、図5に示す構成に加えて、熱伝達板に腕部(腕部14に相当する)及びギア(ギア15に相当する)を設け、このギアを支持部材12のギア部12aに係合させることができる。
【0076】
この構成では、電池ケース11及び熱伝達板のうち一方を移動させたり、両方を移動させたりすることができる。そして、この構成であっても、電池ケース11及び熱伝達板を当接状態及び非当接状態間で移動させればよい。
【0077】
このような構成であっても、熱伝達板を電池ケース11に当接させた状態と、電池ケース11から離した状態との間で切り換えることができ、電池ケース11の温度上昇を抑制することができるとともに、電池ケース11の過度の冷却を抑制することができる。
【0078】
また、本実施例においても、熱伝導性を向上させるために、電池ケース11及び車両本体13の当接面のうち、少なくとも一方の面に、熱伝導性材料(例えば、熱伝導性グリス)を塗布したり、熱伝導性シートを形成したりすることができる。
【実施例3】
【0079】
次に、本発明の実施例3である冷却装置の構成について、図7を用いて説明する。
【0080】
図7において、電池ケース21は、実施例1と同様に電池ユニット(不図示)を収納している。ここで、実施例1と同様に、電池ケース21内に冷却用液体を充填してもよい。また、電池ケース21のうち互いに向かい合う側面21a、21bには、これらの側面21a、21bから突出した腕部23が設けられている。各腕部23には、後述する伸縮部材24の一部が固定されている。
【0081】
一方、車両本体25には、電池ケース21を囲む外装ケース22が固定されている。この外装ケース22の内側面(上面)には、伸縮部材24の一部が固定されている。このため、電池ケース21は、腕部23及び伸縮部材24を介して外装ケース22に支持されている。
【0082】
ここで、本実施例においては、車両本体25が、特許請求の範囲に記載の熱伝達部材に相当する。すなわち、後述するように、電池ケース21が車両本体25に当接している場合には、電池ケース21の熱が車両本体25に伝達されることになる。
【0083】
なお、本実施例では、電池ケース21を支持するための外装ケース22を設けているが、この外装ケース22の代わりに、本実施例の冷却装置が搭載される車両の一部を用いて電池ケース21を支持するようにしてもよい。
【0084】
伸縮部材24は、低沸点溶剤24bを収容した弾性体24aで構成されている。ここで、低沸点溶剤24bとしては、例えば、シクロアルカン(より具体的には、沸点13℃のシクロブタン)、ジクロルメタン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、アセトン、ヘキサン、イソペンタンを用いることができる。なお、低沸点溶剤24bは、上述した材料に限るものではなく、所定温度(実施例1、2で説明した閾値に対応した温度)の沸点を有する材料であれば、いかなる材料を用いることもできる。また、弾性体24aとしては、伸縮可能なものであればよく、例えば、エラストマ等の高分子樹脂を用いることができる。
【0085】
また、本実施例では、伸縮部材24として、低沸点溶剤24bを含む弾性体24aを用いているが、これに限るものではなく、温度変化によって形状が変化する部材を用いることができる。具体的には、バイメタル(熱膨張率が異なる複数の金属を貼り合わせたもの)や形状記憶合金を用いることもできる。
【0086】
上述した冷却装置の構成において、環境温度(電池ケース21外の温度)が所定値以上(低沸点溶剤24bの沸点以上)である場合には、伸縮部材24の低沸点溶剤24bが気化することによって、弾性体24aが伸張状態となる。このとき、腕部23は、伸縮部材24の伸張作用を受けることによって、図7中の矢印B1方向(言い換えれば、車両本体25の表面に近づく方向)に移動する。
【0087】
これにより、電池ケース21も矢印B1方向に移動することで、電池ケース21の底面が車両本体25に当接する(図7(A)参照)。そして、電池ケース21は、車両本体25に当接したままの状態で保持される。
【0088】
一方、図7(A)に示す状態において、環境温度が所定値(低沸点溶剤24bの沸点)よりも低くなった場合には、気体状態にある低沸点溶剤24bが液体状態に変化する。このとき、気化した低沸点溶剤24bによって膨張していた弾性体24aが縮むことによって、腕部23を矢印B2方向(言い換えると、車両本体25の表面から離れる方向)に移動させる。
【0089】
これにより、電池ケース21も矢印B2方向に移動することで、電池ケース21の底面が車両本体25から離れることになる。
【0090】
ここで、図7(B)に示す状態における電池ケース21の底面及び車両本体25の表面の間隔Bdは、伸縮部材24の伸縮時の長さ(矢印B方向の長さ)に基づいて決定される。すなわち、間隔Bdは、伸縮部材24が伸縮するときの変化量(長さ)Blに対して、Bd≦Blの関係を満たすように設定される。これにより、伸縮部材24が伸張状態において、電池ケース21の底面を車両本体25に確実に当接させることができる。
【0091】
本実施例の冷却装置によれば、環境温度が所定値(実施例1、2で説明した閾値に対応した値)以上の場合には、伸縮部材24が伸張状態となって電池ケース21を熱伝達部材としての車両本体25に当接させることで、電池ケース21の放熱を効率良く行うことができる。これにより、電池ケース21内の電池ユニットが充放電によって発熱しても、電池ケース21の熱が車両本体25に逃げやすくなり、電池ケース21(電池ユニット)の温度上昇を抑制することができる。
【0092】
一方、環境温度が所定値よりも低い場合には、伸縮部材24が縮んだ状態となって電池ケース21を車両本体25から離すことにより、電池ケース21の過度の冷却を抑制することができる。すなわち、環境温度によって車両本体25が過度に冷却された場合において、電池ケース21が車両本体25に当接したままでは、車両本体25を介して電池ケース21が過度に冷却されてしまい、電池ケース21内の電池ユニットの性能が低下してしまうことがある。そこで、上述したように、電池ケース21を車両本体25から離すことによって、車両本体25によって電池ケース21が過度に冷却されるのを抑制することができる。
【0093】
ここで、本実施例では、環境温度によって形状が変化する伸縮部材24を用いているため、電池ケース21を移動させるための制御機構を省略することができる。これにより、本実施例の冷却装置を備えた車両の小型化やコストダウンを図ることができる。
【0094】
なお、本実施例において、電池ケース21の位置を検出するためのセンサを設けることができる。このように検出センサを設けておけば、電池ケース21が車両本体25に確実に当接したり、電池ケース21が車両本体25から確実に離れたりしているのを監視することができる。具体的には、腕部23が図7(A)に示す位置に到達したことを検出するためのセンサと、腕部23が図7(B)に示す位置に到達したことを検出するためのセンサとを、外装ケース22に設けておくことができる。
【0095】
次に、本実施例の変形例である冷却装置について、図8を用いて説明する。本実施例では、伸縮部材24の伸縮動作によって電池ケース21を移動させる構成について説明したが、本変形例は、伸縮部材の伸縮動作によって熱伝達板を移動させるものである。
【0096】
図8において、電池ケース31は、実施例1と同様に電池ユニット(不図示)を収納している。ここで、実施例1と同様に、電池ケース31内に冷却用液体を充填してもよい。また、電池ケース31は、固定部材32を介して車両本体33に固定されている。すなわち、電池ケース31は、固定部材32によって車両本体33の表面から離れた位置に配置されている。
【0097】
電池ケース31と車両本体33との間のスペースには、伸縮部材35が配置されている。伸縮部材35は、一部の領域において、車両本体33の表面及び熱伝達板34に固定されている。また、伸縮部材35は、本実施例と同様に、弾性体35aと、弾性体35a内に収容された低沸点溶剤35bとで構成されている。なお、伸縮部材35の数は、適宜設定することができる。例えば、熱伝達板34の4つの角部近傍に、伸縮部材35をそれぞれ配置することができる。
【0098】
環境温度が所定値以上(低沸点溶剤35bの沸点以上)の場合には、伸縮部材35(弾性体35a)が伸張することによって、熱伝達板34が電池ケース31の底面に当接する。一方、環境温度が所定値よりも低い場合には、伸縮部材35(弾性体35a)が縮むことによって、熱伝達板34が電池ケース31の底面から離れる。
【0099】
ここで、本変形例においても、伸縮部材として、バイメタルや形状記憶合金を用いることができる。
【0100】
本変形例においても、上述した本実施例の効果と同様の効果を得ることができる。また、本変形例では、電池ケース31よりも重量の軽い熱伝達板34を移動させる構成であるため、伸縮部材35を小型化することができる。
【0101】
なお、本変形例において、熱伝達板34の位置を検出するためのセンサを設けることができる。このように検出センサを設けておけば、熱伝達板34が電池ケース21に確実に当接したり、熱伝達板34が電池ケース21から確実に離れたりしているのを監視することができる。具体的には、熱伝達板34が図8(A)に示す位置に到達したことを検出するためのセンサと、熱伝達板34が図8(B)に示す位置に当接したことを検出するためのセンサとを、車両本体33に設けておくことができる。
【0102】
また、本実施例及び変形例においても、熱伝導性を向上させるために、電池ケース21及び車両本体25(又は、電池ケース31及び熱伝達板34)の当接面のうち、少なくとも一方の面に、熱伝導性材料(例えば、熱伝導性グリス)を塗布したり、熱伝導性シートを形成したりすることができる。
【実施例4】
【0103】
次に、本発明の実施例4である冷却装置の構成について、図9を用いて説明する。
【0104】
本実施例の冷却装置では、実施例1で説明した冷却装置の構成(図1参照)に加えて、実施例3で説明した伸縮部材(図8参照)を用いたものである。以下、本実施例の冷却装置について、具体的に説明する。なお、図9において、実施例1(図1)及び実施例3(図8)で説明した部材と同一の部材については、同一符号を用いている。
【0105】
図9において、昇降機5は、実施例1(図1)と同様に、一端が車両本体3に固定されており、他端が熱伝達板4に固定されている。
【0106】
また、伸縮部材35は、一部が車両本体3に固定されているとともに、他の一部が熱伝達板4に固定されている。具体的には、伸縮部材35は、接着剤等によって車両本体3及び熱伝達板4に固定されている。
【0107】
伸縮部材35は、実施例3(図8)と同様に、弾性体35aと、弾性体35a内に収容された低沸点溶剤35bとで構成されている。なお、弾性体35a及び低沸点溶剤35bとしては、実施例3で説明した材料を用いることができる。
【0108】
本実施例において、環境温度が所定値以上(低沸点溶剤35bの沸点以上)の場合には、低沸点溶剤35bの気化によって伸縮部材35(弾性体35a)が伸張するとともに、この伸張に伴って、昇降機5が伸びた状態となる(図9(A)参照)。これにより、熱伝達板4が電池ケース1の底面に当接する。この状態においては、電池ケース1の熱が熱伝達板4に伝達されることになり、電池ケース1外への放熱が効率良く行われることになる。
【0109】
一方、環境温度が上記所定値よりも低い場合には、低沸点溶剤35bの液化によって伸縮部材35(弾性体35a)が縮むとともに、この縮みに伴って、昇降機5が縮んだ状態となる(図9(B)参照)。これにより、熱伝達板4が電池ケース1の底面から離れる。この状態においては、電池ケース1が固定部材2によって車両本体3の表面から離れているため、冷却された車両本体3によって電池ケース1が冷却されてしまうのを抑制することができる。
【0110】
本実施例においても、上述した実施例の効果と同様の効果を得ることができる。すなわち、電池ケース1の温度上昇を抑制することができるとともに、電池ケース1の過度の冷却を抑制することができる。しかも、環境温度の変化に伴う伸縮部材35の伸縮によって熱伝達板4を移動させているため、熱伝達板4を移動させるための制御機構を省略することができる。
【0111】
また、本実施例では、昇降機5を併用しているため、実施例3(図8)で説明した構成に比べて、伸縮部材35の数を減らすことができる。例えば、図9に示すように、2つの昇降機5の間に、1つの伸縮部材35を配置するだけでもよい。
【0112】
なお、本実施例においても、実施例3と同様に、熱伝達板4の位置を検出するためのセンサを設けることができる。このように検出センサを設けておけば、熱伝達板4が電池ケース1に確実に当接したり、熱伝達板4が電池ケース1から確実に離れたりしているのを監視することができる。具体的には、少なくとも、熱伝達板4が図9(A)に示す位置に到達したことを検出するためのセンサを車両本体3に設けておくことができる。
【0113】
また、本実施例においても、熱伝導性を向上させるために、電池ケース1及び熱伝達板4の当接面のうち、少なくとも一方の面に、熱伝導性材料(例えば、熱伝導性グリス)を塗布したり、熱伝導性シートを形成したりすることができる。
【0114】
さらに、本実施例では、1つの伸縮部材35を用いた場合について説明したが、伸縮部材35の数は適宜設定することができる。また、伸縮部材35の代わりに、又は、伸縮部材35とともに、他の伸縮部材としてのバイメタルや形状記憶合金を用いることができる。
【0115】
なお、本発明の冷却装置の構成は、上述した実施例1〜4で説明した構成に限られるものではない。すなわち、電池ケース及び熱伝達板の少なくとも一方を移動させて、当接状態及び非当接状態の間で切り換える機構であれば、いかなる機構を用いることもできる。
【0116】
また、上述した実施例1〜4では、電池ケースの底面に熱伝達板や車両本体を当接させているが、これに限るものではない。すなわち、電池ケースとの当接によって、電池ケースの熱を放熱させればよく、電池ケースの底面以外の面に熱伝達板や車両本体を当接させてもよい。具体的には、以下に説明する構成とすることができる。
【0117】
まず、電池ケースの底面と車両本体との間に断熱部材を設け、電池ケースを、断熱部材を介して車両本体に固定する。ここで、電池ケースと車両本体との間に断熱部材を配置することで、過度に冷却された車両本体によって電池ケースが必要以上に冷却されるのを抑制することができる。
【0118】
そして、電池ケースの側面と対向する面を有する熱伝達板を、電池ケースの側面に対して移動させる駆動機構を設ける。この構成において、熱伝達板を電池ケースの側面に当接させれば、電池ケースの熱を外部に逃がすことができ、電池ケース(電池ユニット)の温度上昇を抑制することができる。また、熱伝達板を電池ケースの側面から離せば、過度に冷却された車両本体によって電池ケースが必要以上に冷却されるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の実施例1である冷却装置の構成を示す概略図であって、熱伝達板及び電池ケースの当接状態(A)及び非当接状態(B)を示す図である。
【図2】実施例1の冷却装置の駆動を制御する構成を示す図である。
【図3】実施例1における冷却装置の制御動作を示すフローチャートである。
【図4】実施例1の変形例である冷却装置の構成を示す概略図であって、熱伝達板及び電池ケースの当接状態(A)及び非当接状態(B)を示す図である。
【図5】本発明の実施例2である冷却装置の構成を示す概略図であって、車両本体及び電池ケースの当接状態(A)及び非当接状態(B)を示す図である。
【図6】実施例2における冷却装置の制御動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施例3である冷却装置の構成を示す概略図であって、車両本体及び電池ケースの当接状態(A)及び非当接状態(B)を示す図である。
【図8】実施例3の変形例である冷却装置の構成を示す概略図であって、熱伝達板及び電池ケースの当接状態(A)及び非当接状態(B)を示す図である。
【図9】本発明の実施例4である冷却装置の構成を示す概略図であって、車両本体及び電池ケースの当接状態(A)及び非当接状態(B)を示す図である。
【符号の説明】
【0120】
1,11,21,31:電池ケース
2,32:固定部材
3,13,25,33:車両本体
4,34:熱伝達板
5:昇降機
6:制御回路
7:温度センサ
8:モータ
9:動力伝達機構
12:支持部材
14:
15:ギア
22:支持ケース
23:支持腕
24,35:伸縮部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電ユニットを収納するケースと、
該ケースと当接可能な熱伝達部材と、
前記ケース及び前記熱伝達部材を相対的に移動させて、前記ケース及び前記熱伝達部材を当接状態とさせる第1の状態と、前記ケース及び前記熱伝達部材を非当接状態とさせる第2の状態との間で動作可能な駆動機構とを有することを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記駆動機構は、前記ケース及び前記熱伝達部材のうち少なくとも一方を移動させる昇降機を有することを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記駆動機構は、
前記ケース及び前記熱伝達部材のうち少なくとも一方に設けられたギアと、
該ギアと係合し、前記ギアを介して前記少なくとも一方の部材を支持する支持部材とを有し、
前記支持部材に対する前記ギアの係合位置を変化させることにより、前記少なくとも一方の部材を前記当接状態及び前記非当接状態間で移動させることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記蓄電ユニットの温度を検出するための検出センサと、
前記駆動機構の駆動を制御する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記検出センサの検出温度に基づいて、前記駆動機構を前記第1及び第2の状態間で駆動することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の冷却装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記検出センサの検出温度が閾値以上である場合には、前記駆動機構を前記第1の状態に駆動し、前記検出温度が前記閾値よりも低い場合には、前記駆動機構を前記第2の状態に駆動することを特徴とする請求項4に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記駆動機構は、前記ケース外の温度に応じて伸縮可能な伸縮部材を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記伸縮部材は、低沸点溶剤を収容し、弾性変形が可能な弾性体であることを特徴とする請求項6に記載の冷却装置。
【請求項8】
前記駆動機構は、
前記熱伝達部材を移動させる昇降機と、
前記熱伝達部材に連結され、低沸点溶剤を収容した弾性変形が可能な弾性体とを有することを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項9】
前記ケース及び前記熱伝達部材の当接面のうち、少なくとも一方の当接面に、熱伝導材が設けられていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載の冷却装置。
【請求項10】
前記ケース内には、前記蓄電ユニットの冷却に用いられる液体が充填されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1つに記載の冷却装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1つに記載の冷却装置を備えたことを特徴とする車両。
【請求項12】
前記熱伝達部材が、車両本体であり、
前記駆動機構は、前記車両本体に対して、前記ケースを移動させることを特徴とする請求項11に記載の車両。
【請求項13】
前記熱伝達部材及び前記駆動機構を支持する車両本体と、
該車両本体の表面から離れた位置で前記ケースを保持する保持部材とを有し、
前記駆動機構は、前記ケースに対して、前記熱伝達部材を移動させることを特徴とする請求項11に記載の車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−135191(P2008−135191A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−316974(P2006−316974)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】