説明

処理システム及び処理システムを運転する方法

コーティングシステム1は、スイングモジュール及びチャンバ配列を含むスイングステーション2を含む。チャンバ配列は、ロックチャンバ3及び第1コーティングチャンバ4を含む。ロックチャンバ3は、結合されたロックイン/ロックアウトチャンバとして構成される。チャンバ配列は、破線で示される第1実質的直線搬送経路T1及び破線で示される第2実質的直線搬送経路T2を有する。経路T1、T2の配置は、デュアルトラックを確立する。システム1は、矢印で示されるように、チャンバ配列3、4を通って、第1搬送経路T1に沿って、及び/又は、第2搬送経路T2に沿って、基板を移動させるための搬送システムを含む。1又は特に両方のチャンバ3、4は、デュアル又はトリプルトラックセクションの横移動によって、第1経路T1から第2経路T2へ、及び/又は、第2経路T2から第1経路T1へ基板/キャリヤを移動させるための移動手段を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板を処理する処理システムに関し、この処理システムは、基板を処理するための第1プロセスチャンバ、基板を処理するための第2プロセスチャンバ、及び/又は、搬送チャンバを少なくとも含むチャンバ配列と、基板をチャンバ配列内に閉じ込める、及び/又は、基板をチャンバ配列外に締め出すために構成される少なくともロックチャンバと、基板をロックチャンバから第1プロセスチャンバ内へ移動するための第1実質的直線搬送経路と、チャンバ配列を通して基板を移動するための第2搬送経路を含む。第2搬送経路は、第1搬送経路に対して横方向にオフセットされ、第1搬送経路に隣接して配置してもよい。
【従来技術】
【0002】
多くの技術アプリケーションにおいて、多レイヤスタックが連続するコーティングステップ内で基板上に堆積される。例えば、TFT(薄膜トランジスタ)金属化プロセスでは、2つ又は3つの異なる金属がスパッタリングプロセスで堆積される。異なるプロセスステップではコーティング速度が異なるため、そして層の厚みが異なるため、異なる層を堆積するためのコーティングステーション内での処理時間はかなり異なるかもしれない。
【0003】
多レイヤスタックを堆積するために、コーティング及び処理チャンバの多くの構成が提唱されてきた。例えば、コーティングチャンバのインライン配置はコーティングチャンバのクラスタ配置と同様に使用される。典型的なクラスタ配置は、中央ハンドリングチャンバと、それに接続された多くのコーティングチャンバを含む。同じ又は異なるコーティングプロセスを実行するために、コーティングチャンバを備えてもよい。しかしながら、インラインシステムではプロセスの取り扱いはかなり簡単ではあるが、処理時間は最も長い処理時間で決定される。従って、プロセスの効率は影響を受ける。他方、クラスタツールは異なるサイクルタイムを許容する。しかしながら、取り扱いはかなり複雑であり、中央ハンドリングチャンバに提供された精巧な搬送システムを必要とするかもしれない。
【0004】
インライン及びクラスタ概念を組み合わせた代替概念がEP1801843A1内で説明されており、その内容は参照として本明細書に組み込まれる。この文献は、ロックインチャンバと、第1金属化のプロセスのための金属化ステーションと、中央ハンドリングチャンバと、第2金属化のプロセスのための2つの金属化ステーションと、第1プロセスのための第2金属化ステーションを有するTFTレイヤスタックを堆積するためのコーティングシステムを記述している。第2プロセスのための金属化チャンバは、互いに平行に配置され、交互に使用される。第1金属化プロセスのためのプロセスチャンバは、インラインで配置されるので、各基板は両方のチャンバ内で処理される。インラインとクラスタ概念の組み合わせは、スループットを向上させながらハンドリングの複雑さを最小にするので、インラインとクラスタ概念の組み合わせによってシステムのサイクルタイムは削減される。
【0005】
その内容が本明細書に参照として組み込まれる欧州特許出願第EP07002828.7号(非公開)は、搬送位置に交互に位置するかもしれない組み合わせセグメントとして搬送セグメントが構成されるコーティングステーション内に提供された移動(搬送)手段が示されている。セグメントのうちの1つは、もう1つのセグメントが搬送位置に移動している間、処理位置に移動してもよい。
【0006】
更に、基板が連続して異なるコーティングステーションで処理されるインラインシステムが提案されている。スループットを向上させるために、少なくともいくつかのコーティングチャンバが、第1基板のための処理位置及び処理位置から横にオフセットした搬送経路を含んでいる。その結果、別の基板が第1基板を通過する又は追い越すために、いくらかの空間をチャンバ内に残すことができる。その内容が本明細書に参照によって組み込まれる欧州特許出願第EP1956111A1号では、組み合わせセグメントが搬送セグメントを構成しているコーティングステーション内に提供された移動手段が示されている。
【0007】
その内容も本明細書に参照によって組み込まれる米国特許出願第12/163,498号(非公開)では、第1実質的直線搬送経路及び第2実質的直線搬送経路を有するコーティングシステムが開示されており、そこでは第2搬送経路は第1搬送経路に対して横方向にオフセットしている。従って、第1基板は、第1及び第2搬送経路上で第2基板を夫々通過する又は追い越すことができる。
【0008】
しかしながら、上述のシステムのすべてには、いくつかの欠点がある。第1に、システムは、例えば回転モジュールのようなかなり複雑で高価なモジュールを必要とする。第2に、システムのスルーアウト及び効率はそれらのデザインによって制限される。
【本発明の目的】
【0009】
本発明の目的は、コーティングシステム全体のスループット及び効率を増加させ、高価で複雑なコンポーネントの使用を回避しながら効率的にコンポーネントを使用する基板処理方法を提供することである。
【技術的解決】
【0010】
この目的は、請求項1に係る処理システム及び請求項15に係る処理システムを運転する方法を提供することによって解決される。従属項は、本発明の好ましい構成を示す。
【0011】
本発明は基板を処理する処理システムに関しており、この処理システムは、基板を処理するための第1プロセスチャンバ、基板を処理するための第2プロセスチャンバ、及び/又は、搬送チャンバを少なくとも含むチャンバ配列と、少なくとも基板をチャンバ配列内に閉じ込める、及び/又は、基板をチャンバ配列外に締め出すために構成されるロックチャンバと、基板をロックチャンバから第1プロセスチャンバ内へ移動するための第1実質的直線搬送経路と、チャンバ配列を通して基板を移動するための第2搬送経路を含む。第2搬送経路は、第1搬送経路に対して横方向にオフセットし、第1搬送経路に隣接して配置してもよい。第1プロセスチャンバ、第2プロセスチャンバ、搬送チャンバのうちの少なくとも1つは、第1搬送経路から第2搬送経路まで、及び/又は第2搬送経路から第1搬送経路まで、基板を移動するための手段を含む。基板を移動するための手段は、少なくとも第1ガイダンスセクションと第2ガイダンスセクションの組み合わせを含み、第1ガイダンスセクションは第2ガイダンスセクションと平行に配置される。
【0012】
例えば、処理システムは、基板上に1又は複数の層を堆積するコーティングシステムである。基板は処理のために、キャリヤ無しで又はキャリヤに取り付けてシステムを通して移動してもよい。本発明のコーティングシステムでは、実質的に直線的な2つの搬送経路を有する。直線搬送経路は、基板、基板キャリヤ(特に基板をそこに取り付けている基板キャリヤ)が、基板/キャリヤの横方向の位置を変えるために、又は基板/キャリヤを横方向に置き換えるために、基板/キャリヤを回転させる必要無しに移動できるインラインパスを意味する。他方、直線経路は直線から搬送経路の方向の逸脱を含んでいてもよい。ロックチャンバ、第1プロセスチャンバ、第2プロセスチャンバは、互いにインラインに配置してもよい。
【0013】
第1搬送経路及び第2搬送経路は、平行に配置してもよい。第1搬送経路及び第2搬送経路は、ロックチャンバの内部から第1プロセスチャンバ内へ延びている。それらは実質的に直線的な経路であってもよい。第1搬送経路及び第2搬送経路が、横方向にオフセットしているのが、本発明の構成である。それらは交差せず、例えば回転モジュールによって接続されない。基板は横方向の動きによって搬送経路間を移動するだけであってもよい。言い換えれば、コーティングされる基板表面は、常にインラインシステムの同じ側に調整される。その結果、処理ツールは第1搬送経路及び第2搬送経路に対して同じ側に配置される。
【0014】
第1搬送経路及び第2搬送経路は、デュアルパス又はデュアルトラックを形成する。デュアルトラックは、結合したロックイン/ロックアウトチャンバから処理チャンバ内へ延びており、それは例えば、TFT装置のNo層を堆積するためのコーティングチャンバであってもよい。
【0015】
ロックチャンバは、結合したロックイン及びロックアウトチャンバである。ロックチャンバは、ダブルトラックロード/アンロードロックモジュールである。基板は、コーティングされる基板をロードするためのロードステーション(例えば、スウィングステーション)からのみならずコーティング/プロセスチャンバ配列からロードロック内へ移動してもよい。ロードロックは夫々排気及び通気されてもよい。例えば、基板がコーティング/プロセスチャンバ配列からロードロック内に移動する前に、ロックイン/ロックアウトチャンバは排気される。基板をロードするためのロードステーションからロードロック内に基板を移動する前に、ロックイン/ロックアウトチャンバは通気される。基板がロードロックチャンバからコーティング/プロセスチャンバ配列及び基板をロードするためのロードステーション内に夫々移動するとき、同じことが起こる。
【0016】
ロックイン/ロックアウトチャンバ/モジュールは、チャンバ内で受け取る基板に対して2、3、又は複数の位置を提供する、デュアルトラックモジュール、トリプルトラックモジュール、又はマルチトラックモジュールであってもよい。それは、バッファチャンバ、及び/又は、真空システムによって排気可能なロックチャンバであってもよい。
【0017】
第1プロセスチャンバ、第2プロセスチャンバ、搬送チャンバのうちの少なくとも1つは、第1搬送経路から第2搬送経路まで、及び/又は、第2搬送経路から第1搬送経路まで基板を移動するための手段を含んでいる。その手段は、ローラー駆動装置、歯車駆動装置、水力又は空圧駆動装置等が含んでもよい。搬送運動は、垂直又は水平運動であってもよい。それは、基板/キャリヤが回転しない並進運動である。
【0018】
基板移動手段は、第1搬送経路から第2搬送経路まで、及び/又は、第2搬送経路から第1搬送経路まで、基板を横に置き換えるための移動装置を含んでもよい。移動装置は、例えば昇降装置を含んでもよい。プロセスチャンバ、及び/又は、ロックチャンバ、及び/又は、搬送チャンバは、移動装置を含んでもよい。このように、複雑で高価な回転モジュールは省いてもよい。結合したロックイン/ロックアウトチャンバからシステムを通って結合したロックイン/ロックアウトチャンバ内へ戻るまで基板/キャリヤの全搬送中において、基板/キャリヤの配置は不変のままである。
【0019】
基板移動手段は、第1搬送経路から第2搬送経路まで、及び/又は、第2搬送経路から第1搬送経路まで、ガイダンスセクションを横に置き換えるための移動装置を含んでもよい。これは、第1搬送経路及び第2搬送経路のうちの1つを完成させるために、第1搬送経路内か第2搬送経路内のいずれかにガイダンスセクションが配置されることを意味する。ガイダンスセクションは、横に置き換え可能なレールセクションであってもよい。セクションはチャンバのうちの1つに配置される。基板移動手段は、基板、基板キャリヤ、及び/又は、レールセクションを第1搬送経路から第2搬送経路まで移動するために構成される。
【0020】
基板移動手段は、少なくとも第1ガイダンスセクション及び第2ガイダンスセクションの組み合わせを含み、第1ガイダンスセクションは、第1搬送経路と第2搬送経路の間の距離に対応する距離で第2ガイダンスセクションと平行に配置されており、基板移動手段は、第1搬送経路から第2搬送経路まで及びその逆に基板を移動させるための組み合わせを横に置き換えるための移動装置を更に含むのが望ましい。この組み合わせは、少なくとも2つの平行搬送セグメントとして構成されてもよく、そのうちの一方は第1搬送経路又は第2搬送経路に配置され、第2搬送経路内の他の一方は、第1搬送経路及び第3位置に夫々配置されてもよい。一方のレールセグメントは、他方のセグメントが第2搬送経路に沿った位置に移動している間、第1搬送経路に沿った位置に移動してもよい。この組み合わせは、互いの他に平行に配置された2つのトラックセクションをもつデュアルトラックセクションであってもよい。本発明のこの実施形態において、デュアルトラックセクションは横移動可能であり、特に横向きに、及び/又は、搬送経路に対して垂直方向に移動可能である。
【0021】
本発明の好ましい実施形態では、チャンバ配列は第1プロセスチャンバとインラインに結合された第2プロセスチャンバを含む。第1実質的直線搬送経路は、第1プロセスチャンバから第2プロセスチャンバ内へ、又は第2プロセスチャンバから第1プロセスチャンバ内へ基板を移動するために、第1プロセスチャンバから第2プロセスチャンバ内へと延びている。また、第2実質的直線搬送経路は、第2プロセスチャンバから第1プロセスチャンバ内へ、又は第1プロセスチャンバから第2プロセスチャンバ内へ基板を移動するために、第1プロセスチャンバから第2プロセスチャンバ内へと延びている。
【0022】
第1プロセスチャンバは、例えばMoコーティングステーションであってもよく、第2プロセスチャンバは、例えばAlコーティングステーションであってもよい。第1プロセスチャンバと第2プロセスチャンバの間に、1又は様々な他のプロセスチャンバ、バッファチャンバ、搬送チャンバ等があってもよい。しかしながら、第1搬送経路及び第2搬送経路は共に、これらの中間チャンバを通して直線的に延びている。
【0023】
本発明の好ましい実施形態では、第1実質的直線搬送経路は、第2プロセスチャンバから搬送チャンバ内へ、又は搬送チャンバから第2プロセスチャンバ内へ基板を移動するために、第2プロセスチャンバから搬送チャンバへと延びている。第2実質的直線搬送経路は、搬送チャンバから第2プロセスチャンバ内へ、又は第2プロセスチャンバから搬送チャンバ内へ基板を移動するために、搬送チャンバから第2プロセスチャンバへと延びている。この構成において、搬送チャンバは、第1プロセスチャンバと第2プロセスチャンバの間に配置されるか、又は第2プロセスチャンバの第1プロセスチャンバとは反対側に結合することが可能である。
【0024】
第1実質的直線搬送経路は、第1プロセスチャンバから搬送チャンバ内へ、又は搬送チャンバから第1プロセスチャンバ内へ基板を移動するために、第1プロセスチャンバから搬送チャンバへと延びており、第2実質的直線搬送経路は、搬送チャンバから第1プロセスチャンバ内へ、又は搬送チャンバから第1プロセスチャンバ内へ基板を移動するために、搬送チャンバから第1プロセスチャンバへと延びているのが好ましい。この構成において、搬送チャンバは、第1プロセスチャンバのロックチャンバとは反対側に結合してもよく、もしも第2プロセスチャンバがあるならば、第1プロセスチャンバと第2プロセスチャンバの間に配置してもよい。
【0025】
基板移動手段は、第1ガイダンスセクション及び第2ガイダンスセクションに平行に配置された第3ガイダンスセクションを含むのが好ましい。
【0026】
少なくともロックチャンバ、及び/又は、第1プロセスチャンバは、少なくとも3つのトラックセクションが互いに隣接して配置された第1トリプルトラックモジュールを含み、トリプルトラックモジュールは、トリプルトラックモジュールの少なくとも第2トラックセクションを、少なくとも第1搬送経路に配置された位置と第2搬送経路に配置された位置の間で移動させるために、第1搬送経路及び第2搬送経路に対して横移動可能に配置される。
【0027】
言い換えれば、トリプルトラックモジュールの第1トラックセクション及び第2トラックセクションは、第1搬送経路に配置してもよい。そして、トリプルトラックモジュールの第1トラックセクション及び第2トラックセクションは、第2搬送経路に配置してもよい。そして、トリプルトラックモジュールの第3トラックセクションは、第1搬送経路及び第2搬送経路のうちの少なくとも1つに配置してもよい。
【0028】
第1トラックセクション及び第2トラックセクションと共に横移動可能な第3トラックセクションが提供されると、2つのチャンバ間で2つの基板の同時及び連動した交換を促進する。これは、第1搬送経路から第2搬送経路まで及びその逆に、基板を横移動可能にする2つのトラックセクションを有するデュアルモジュールの代わりに、本発明に係るトリプルトラックモジュールは、トリプルトラックモジュールの横移動が少なくとも処理システムのチャンバ配列のインライン部の間で基板の同時交換を可能にするため制御され得ることを確実にして、その結果、システムの効率が向上するという事実のためである。
【0029】
本発明に係る処理システムのチャンバ内に配置されたトリプルトラックモジュールは、同時に第1及び第2搬送経路に沿って、すなわち、チャンバ内に、チャンバを通って、及びチャンバ外へ基板を移動するための搬送システムを有する搬送モジュールである。 第1基板(チャンバ配列を通って移動する間、通常基板キャリヤ内に配置される)は、第1、第2、第3トラックセクション内の第1搬送経路又は第2搬送経路に沿って移動してもよく、一方、(チャンバ配列を通って移動する間、通常基板キャリヤ内に配置される)第2基板も、第1、第2、第3トラックセクションのうちの別の1つ内にある第1搬送経路及び第2搬送経路のうちの別の1つに沿って第1基板と独立して移動してもよい。
【0030】
第1トラックセクションは、トリプルトラックモジュールの少なくとも第1トラックセクションを少なくとも第1搬送経路に配置された位置に移動するために、第1搬送経路及び第2搬送経路に対して横移動可能に配置され、及び/又は、トリプルトラックモジュールの第3トラックセクションは、トリプルトラックモジュールの第3トラックセクションを少なくとも第1搬送経路及び第2搬送経路のうちの1つに配置された位置に移動するために、第1搬送経路及び第2搬送経路に対して横移動可能に配置するのが好ましい。
【0031】
特に、ロックチャンバ及び第1プロセスチャンバは、インラインに配置してもよい。ロックチャンバ及び第1プロセスチャンバのうちの1つ又は両方は、3つのトラックセクションを有するトリプルトラックモジュールを含む。
【0032】
第1搬送経路及び第2搬送経路は、互いに隣接して配置されており、特に互いに平行に配置されており、本発明に係るチャンバ配列を通って延びている。言い換えれば、ある特定の基板は、第1搬送経路上か、第2搬送経路上か、第1搬送経路及び第2搬送経路の一部に沿ったルート上のいずれかのチャンバ配列を通ってチャンバ配列の外部から移動してもよい。
【0033】
トリプルトラックモジュールの少なくとも3つのトラックセクションは、3つの独立して駆動されるトラックセクションを含む。従って、第1基板及び第2基板は、特定のチャンバ内において同時に、第1搬送経路及び第2搬送経路に沿って夫々移動してもよい。トリプルトラックモジュールは、第1トラックセクションと第2トラックセクションの夫々が第1搬送経路及び第2搬送経路内に夫々位置することができるように移動してもよい。第3トラックセクションは、少なくとも第1搬送経路又は第2搬送経路内を移動してもよい。
【0034】
2つだけの搬送トラックセクションをデュアルトラックモジュール内に配置する従来システムにおけるシステム分析によると、第1プロセスチャンバと第2プロセスチャンバの間における同時交換は、2プロセスサイクル毎でのみ可能である。デュアルパスシステム内にデュアルトラックレイアウトを提供するだけのときは、2つのチャンバ間での基板の同時交換は全処理サイクル内で常に可能であるわけではないことをシステム分析で示すことができる。
【0035】
第1トリプルトラックモジュールのトラックセクションが、第1搬送経路又は第2搬送経路に沿って互いに独立して2つの異なる基板を移動させるために独立して駆動されるように構成するのは好ましい。従って、互いの隣に配置された2つのチャンバ間で基板を同時に交換することが可能である。夫々を駆動させることによって、第1搬送経路に沿って及び/又は第2搬送経路に沿って順方向か逆方向のどちらかに基板を移動することができる。
【0036】
本発明の好ましい実施形態では、ロックチャンバ及び第1プロセスチャンバは、夫々トリプルトラックモジュール、すなわち、第1トリプルトラックモジュール及び第2トリプルトラックモジュールを夫々含む。
【0037】
チャンバ配列は、ロックチャンバ及び/又は第1プロセスチャンバにインラインに配置された第2プロセスチャンバを少なくとも含むのが好ましい。特に、ロックチャンバ、第1プロセスチャンバ、及び第2プロセスチャンバを含むインライン配置を形成するために、第2プロセスチャンバは第1プロセスチャンバに接続し、第1プロセスチャンバはロックチャンバに接続してもよい。チャンバ配列は、第1プロセスチャンバ及び/又は第2プロセスチャンバにインラインに結合された第3プロセスチャンバを少なくとも含んでもよい。
【0038】
本発明の好ましい実施形態では、第2プロセスチャンバは、独立に駆動可能で、互いに平行に配置される、少なくとも2つのトラックセクションを有するデュアルトラックモジュールを含んでおり、デュアルトラックモジュールは、少なくともデュアルトラックモジュールの第2トラックセクションが、第1搬送経路及び第2搬送経路に配置されるように、第1搬送経路及び第2搬送経路に対して横移動可能に配置される。
【0039】
更に、コーティングシステムは、基板をチャンバ配列内へ供給し、基板をチャンバ配列から受け取るためのフィードモジュールに接続してもよい。フィードモジュールは、チャンバ配列のロックチャンバに接続される。フィードモジュールは、第1搬送経路と第2搬送経路の間を横移動可能なシングルトラックセクションを含んでもよく、又はそれは、第1搬送経路に沿って固定して配置された第1トラックセクション、及び第2搬送経路に沿って固定して配置された第2トラックセクションを含んでもよい。フィードモジュールは、スイングモジュールを含んでもよい。
【0040】
デュアルトラックモジュール及び/又はトリプルトラックモジュールは、互いに対して固定して配置された、2つのトラックセクションと3つのトラックセクションを夫々含むのが好ましい。固定して配置されるとは、夫々のトラックセクションが常に互いに一定の距離に配置されることを意味する。これは、トラックセクションの動作の適切な制御やトラックセクション間の接続などによって実現してもよい。
【0041】
本発明の別の好ましい実施形態では、デュアルトラックモジュールの2つのトラックセクション間の横方向距離、及び/又は、トリプルトラックモジュールの隣接するトラックセクション間の横方向距離は、第1搬送経路と第2搬送経路の間の横方向距離に一致している。
第1搬送経路及び第2搬送経路は、互いに平行に配置され、及び/又は、チャンバ配列を通って実質的に直線的に延びるのが好ましい。直線的配置とは、第1搬送経路及び第2搬送経路が交差しないことを意味する。基板(キャリヤ)は、デュアルトラックモジュール又はトリプルトラックモジュールを横移動させることによって、第1搬送経路と第2搬送経路の間を移動してもよい。
【0042】
本発明の別の好ましい実施形態では、第1プロセスチャンバ及び/又は第2プロセスチャンバは、処理位置に配置される基板を処理するための処理ツールを含む。基板の処理は、実質的に基板表面にコーティング層を堆積することを含む。通常、異なるプロセスチャンバでの処理は、レイヤスタックを基板表面に形成するために基板の最上面に異なるコーティング層を堆積することを意味する。従って、プロセスチャンバは、夫々のプロセスチャンバの少なくとも一側に提供されたコーティングツールを含んでもよい。コーティング方法は、化学気相成長法(CVD)のいかなる方法、スパッタリングや蒸着法等のような物理的気相成長法(PVD)による方法であってもよい。通常、コーティングツールは、チャンバ配列内で基板を回転させる必要なしに基板の片面にコーティングを提供するために、チャンバのインライン配置の特定の側に配置される。第1搬送経路及び/又は第2搬送経路に対して、基板の第1面が第1側に、基板の第2面が第2側に面しながら、基板は第1搬送経路及び第2搬送経路に沿って移動する。
【0043】
第1プロセスチャンバ及び/又は第2プロセスチャンバ内の基板の処理位置は、第1搬送経路に隣接して配置されるのが好ましい。
【0044】
特に、基板移動手段は、第1搬送経路から第2搬送経路まで及びその逆に基板を移動させるための組み合わせを横に置き換えるための移動装置を含む。
【0045】
第1ガイダンスセクション、第2ガイダンスセクション、及び/又は、第3ガイダンスセクションは、第1搬送経路と第2搬送経路の間の距離に対応する距離で互いに配置されるのが好ましい。
【0046】
第1プロセスチャンバ、第2プロセスチャンバ、及び/又は、搬送チャンバは、インラインに結合してもよい。
【0047】
処理システムは、第1搬送経路に沿って及び第2搬送経路に沿って基板を移動する搬送システムを含んでもよい。搬送経路に沿った移動の間、基板は基板キャリヤ内で支持してもよい。基板は基板キャリヤに取り付けてもよい。別の実施形態では、基板はキャリヤ無しで、例えばエアークッション搬送システムによって、コーティングシステムを通過してもよい。搬送システムは、少なくともロックチャンバ、第1コーティングチャンバ、第2コーティングチャンバ、及び/又は、搬送チャンバの間で、搬送経路に沿って基板及び/又は基板キャリヤを移動するために構成される。搬送システムは、デュアルトラックモジュール及びトリプルトラックモジュールに夫々統合してもよい。例えば、搬送システムは、デュアルトラックモジュール及びトリプルトラックモジュールのトラックセクションに沿って夫々配置されたドライブローラーを含む。ドライブローラー(例えば、キャリヤドライブローラー)は、第1搬送経路及び第2搬送経路に対して横移動可能である。基板を運ぶ基板/基板キャリヤは、コーティングシステムを通して連続的に移動する。
【0048】
搬送システムは、第1搬送経路に沿って及び/又は第2搬送経路に沿って基板を案内するためのガイダンスを少なくとも含んでもよい。基板という語句は、基板に対して及び/又は基板キャリヤに対して使用される。ガイダンスは、(処理システムを通る移動中に、基板を垂直に配置し又は少なくとも傾けるならば、通常チャンバの底部及び/又は上部に配置される)レールを含んでもよい。ガイダンスは、垂直に配置された基板の先端に通常配置される磁気案内システムを含んでもよい。しかしながら、いかなる他の搬送システムが本発明に関して使用されてもよい。更に、基板はどんな配置で移動してもよい。
【0049】
本発明の好ましい実施形態では、搬送システムは第1搬送経路に沿って基板を案内するための第1ガイダンスと第2搬送経路に沿って基板を案内するための第2ガイダンスを含む。
【0050】
本発明の好ましい実施形態では、第1プロセスチャンバ及び/又は第2プロセスチャンバは、第1搬送経路以外に夫々のプロセスチャンバに横に配置された処理ツールを含んでいる。この配置は、第1搬送経路及び第2搬送経路に沿って移動する基板の第1面が、第1搬送経路又は第2搬送経路に沿って移動するか否かに関係なく、常に処理ツールに向いた方向に配置されるという事実の結果である。この配置では、処理/コーティングツールは、インライン配置の1側に配置され、この側だけに処理/コーティングが行われる。基板/キャリヤはチャンバ配列内を移動するとき、決して回転しない。従って、インライン配置の反対側に処理/コーティングツールを提供する必要はない。
【0051】
デュアルトラックモジュール及びトリプルトラックモジュールのトラックセクションは、第1搬送経路又は第2搬送経路に沿って互いに独立して2つの異なる基板を移動させるために、独立駆動するように構成するのが好ましい。
【0052】
本発明の好ましい実施形態では、ロックチャンバは第1トリプルトラックモジュールを含み、第1プロセスチャンバは第2トリプルトラックモジュールを含み、第2プロセスチャンバはデュアルトラックモジュールを含む。
【0053】
第1ガイダンスセクション及び第2ガイダンスセクションの組み合わせは、デュアルトラックモジュールを形成し、第1ガイダンスセクション、第2ガイダンスセクション、及び第3ガイダンスセクションの組み合わせは、トリプルトラックモジュールを形成するのが好ましい。
【0054】
デュアルトラックモジュール及び/又はトリプルトラックモジュールは、互いに対して固定して配置された、2つのトラックセクション及び3つのトラックセクションを夫々含んでもよい。
【0055】
デュアルトラックモジュール及び/又はトリプルトラックモジュールのトラックセクションは、第1基板を第1搬送経路に沿って第1方向へ、第2基板を第2搬送経路に沿って第2方向へ移動させるために、互いに独立して駆動してもよい。第1方向及び第2方向は、一致している又は異なっていてもよい。
【0056】
本発明によると、上述のような処理システムを運転する方法は、a)第1基板をロックチャンバから第1搬送経路に沿って第1プロセスチャンバ内に移動し、第1基板に第1層を堆積させるステップと、b)第1搬送経路から第2搬送経路まで第1基板を横移動するステップと、c)第2搬送経路に沿ってロックチャンバ内に第1基板を移動するステップと、この方法のステップc)の間に、ロックチャンバから第1搬送経路に沿って第1プロセスチャンバ内に第2基板を移動するステップとを含む。
【0057】
本発明に係る基板を処理するための方法は、a)上述のようなコーティングシステムを提供するステップと、b)第1プロセスチャンバ内の第1基板上に第1層を堆積するステップと、c)第2プロセスチャンバ内の基板上に第2層を堆積するステップとを含む。
【0058】
本発明の好ましい実施形態では、この方法は、d)第1プロセスチャンバ内の基板上に第3層を堆積する更なるステップを含む。
【0059】
基板/キャリヤは、ロックチャンバ、第1プロセスチャンバ、第2プロセスチャンバ、第1プロセスチャンバ及びロックチャンバ内に連続して移動するのが好ましい。
【0060】
特に、プロセスの間、チャンバ配列内に少なくとも3つの基板が常に配置される。
【0061】
基板の第1面は、全プロセスの間、インライン配置の同じ側に向けられる。
【0062】
この方法は、第2基板が第1搬送経路に沿って第1基板を通過するのを可能にするために、処理される第1基板を第1搬送経路から第2搬送経路まで移動するプロセスを少なくとも一度含んでもよい。チャンバ配列は、第1搬送経路から第2搬送経路まで及びその逆に基板を移動するための搬送チャンバを少なくとも含んでもよい。
【0063】
上述の構成における別のプロセスを、以下の通り概説することができる。ロックイン/ロックアウトモジュールを通ってコーティングシステム内に第1基板が閉じ込められる。その後、基板は第1プロセスチャンバ内で、例えばMo1層のような第1層を受け取るために処理される。次に、基板は、例えばMo2層のような第3層を第2層の上に得るために第1チャンバ内に移動して戻る前に、例えばAl層のような第2層を得るために第2プロセスチャンバ内に移動する。第2層は第1及び第3層よりはるかに厚い。従って、第1チャンバは、第2プロセスチャンバがプロセス中に一度使用される間、1つの基板を処理する際に二度使用される。Alコーティングプロセスの後に、第1チャンバから来る第2基板は、第1基板を通過して、第2層にAl層を得て、第1基板は第1チャンバ内でMo2層を得る。
【0064】
上述した方法は、連続して繰り返される。基板はプロセスステーションを連続して通過する。
【0065】
短いプロセスタイムを必要とする第1層及びかなり長いプロセス時間を必要とする第2層を有するプロセスに対して、このチャンバ配列及び方法は特に有利である。第1コーティング層と同じ材料の短いプロセスタイムを必要とする第3層は、第1プロセスチャンバ内で第2層の上に堆積してもよい。
【0066】
上述の構成及び方法は、最適化されたプロセスを提供し、それゆえチャンバの優れたスループット及び利便性を提供することを、システム分析で示すことができる。更に、この構成では、チャンバ配列を通して大量の基板を同時に移動することができる。説明したようなトリプルトラックモジュールを使用することによって、プロセスチャンバの数を減らしてもよい。
【0067】
本発明によって、複雑な構造と複雑な回転モジュールの包含を避けることができるので、コーティングシステムの高いスループットが達成されるかもしれない。更に、コーティングシステムの配置に必要な設置スペースは、縮小するかもしれない。
【0068】
デュアルトラックモジュール及びトリプルトラックモジュールを有する説明されたような構成は、プロセス/ハンドリングモジュールの複数の異なる配置レイアウトに適用してもよい。上述の構成は、そのどんな組み合わせにおいてもそれ自体で権利請求される。
【図面の簡単な説明】
【0069】
本発明の更なる構成及び利点は、添付の図面を参照して以下の好ましい実施形態の説明から明らかとなるだろう。図面は以下を示している。
【0070】
【図1】本発明に係る処理システムの第1実施形態を示す図である。
【図2】本発明に係る処理システムの第2実施形態を示す図である。
【図3】第1動作モードにおける本発明に係る処理システムの第3実施形態を示す図である。
【図4】第2動作モードにおける図3の第3実施形態を示す図である。
【図5】本発明に係る処理システムの第4実施形態を示す図である。
【図6】本発明に係る処理システムの第5実施形態を示す図である。
【図7】本発明に係る処理システムの第6実施形態を示す図である。
【図8】本発明に係るコーティングシステムの第1実施形態を示す図である。
【図9】図1のシステム内で基板を処理する方法におけるステップを示す図である。
【図10】本発明に係るトリプルトラックモジュールの断面図を示す図である。
【好ましい実施形態の詳細な説明】
【0071】
図1は、本発明に係るコーティングシステム1の第1実施形態を示す。システム1は、チャンバ配列内に基板を供給し、及び/又は、チャンバ配列からコーティングシステム1内で処理された基板を受け取るため大気圧下で運転されるスイングモジュールを含む基板供給・受取ステーション(例えば、スイングステーション)2を含む。
【0072】
本発明の第1実施形態は、ロックチャンバ3及び第1コーティングチャンバ4を含むチャンバ配列に対応している。ロックチャンバ3は、結合したロックイン/ロックアウトチャンバとして構成される。第1コーティングチャンバ4は、基板に層を堆積させるためにコーティングツール4aを備えている。
【0073】
ロックチャンバ3及び第1コーティングチャンバ4から成るチャンバ配列は、破線によって示される第1実質的直線搬送経路T1及び破線によって示される第2実質的直線搬送経路T2を有する。第1搬送経路T1及び第2搬送経路T2は、それらの間で交差することなく平行に配置される。経路T1及びT2の配置は、デュアルトラックを確立する。
【0074】
システム1は、矢印で示されるように、第1搬送経路T1に沿って及び/又は第2搬送経路T2に沿ってチャンバ配列3、4を通って基板を移動させる搬送システムを含む。特に、基板は、スイングステーション2から第1経路T1に沿ってロックチャンバ3内へ、その後第1経路T1に沿って第1コーティングチャンバ4内へ移動する。この第1位置では、コーティングツール4aは、基板上に材料層を堆積するために作動する。その後、第1置換え装置(両向き矢印で示される)によって、基板は第1コーティングチャンバ4内の第2位置へ移動する。第2位置は第2搬送経路T2上に位置する。その後、基板はロックチャンバ3内へ移動して戻り、第2置換え装置(両向き矢印で示される)によってロックチャンバ3内の第3位置内へ、そして更にウィングステーション2内へ移動する。
【0075】
第3位置は、第1搬送経路T1上に位置する。
【0076】
第2搬送経路T2に沿って位置する位置へ基板が移動するとすぐに、第2基板は、処理するためにチャンバ配列3、4、及び特にコーティングチャンバ4に入ってもよい。このシーケンスは連続的に繰り返され、その結果、システム1を通した基板の連続的な流れを提供してもよい。
【0077】
1又は特に両方のチャンバ3及び4は、横移動によって第1経路T1から第2経路T2まで及び/又は第2経路T2から第1経路T1まで基板/キャリヤを移動するための移動手段を含む。
【0078】
移動手段は、第1経路T1と第2経路T2の間のチャンバ3又は4のうちの1つに提供されたシングルトラックセクション(例えば、レールセクション)を移動させるアクチュエータを含んでもよい。あるいはまた、移動手段は、第1トラックT1及び第2トラックT2の一部を夫々形成するために離れて配置される2つのトラックセクションの組み合わせとして構成されるデュアルトラックセクション(デュアルレールセクション)を含む。この組み合わせは、第1搬送経路T1に対応するトラックセクションを第2搬送経路T2に沿った位置に移動できるように横移動可能である。本発明の別の実施形態では、移動手段は、第1搬送経路T1に沿った位置から第2搬送経路T2に沿った位置へ基板を横に持ち上げるための昇降装置を含んでもよい。本発明は、特定の移動手段に限定されることを意図しない。
【0079】
図2は、本発明の第2実施形態を開示しており、同じ参照番号及び記号は、第1実施形態に関して説明された同じ要素を示す。
【0080】
第2実施形態に係るシステム1は、ロックチャンバ3と第1コーティングチャンバ4の間に配置されたバッファチャンバ5を含む。更に、それは、搬送チャンバ6と、第2層を基板に堆積させるための第2コーティングツール7aを有する第2コーティングチャンバ7とを含む。搬送チャンバ6及び第2コーティングチャンバ7は、ロックチャンバ3、バッファチャンバ5、及び第1コーティングチャンバ4と共にチャンバの直線配置を形成している。第1コーティングツール4a及び第2コーティングツール7aの両方は、第1搬送経路T1に沿ってシステム1のインライン配置の同じ側に配置される。
【0081】
システム1を運転する方法は、第1基板を第1搬送経路T1に沿ってロックチャンバ3からバッファチャンバ5に、及び第1材料層を第1基板の第1面に堆積させる第1プロセスチャンバ4に移動することを含んでもよい。そして、第1基板は搬送チャンバ6内へ及び第2コーティングチャンバ7内へ移動する。第2コーティングチャンバ7内では、第2材料層は第1材料層の上に堆積される。その後、基板は搬送チャンバ6に移動して戻される。搬送チャンバ6では、第1基板は第1搬送経路T1上の位置から第2搬送経路T2上の位置まで上述の移動手段によって移動する。これは搬送チャンバ6中の両向き矢印によって示されている。その後、搬送チャンバ6内で第1コーティングチャンバ4からの第2基板を受け取り、第1搬送経路T1に沿って第2コーティングチャンバ7内へ移動する。その後、第1基板は、第2搬送経路T2に沿った位置から第1搬送経路T1に沿った位置及び第1コーティングチャンバ4内へ移動して戻される。第1コーティングチャンバ4では、第1基板は、第1材料層及び第2材料層の上に第3材料層を受け取る。その後、基板はバッファチャンバ5へ移動し、それは第3基板が第1搬送経路T1に沿って第1コーティングチャンバ4に入ることができるように、第2搬送経路T2に沿った位置に移動する。第1基板は、第2搬送経路T2に沿ったロックチャンバ3を通って処理システム1を離れる。第1、第2、第3基板に関して説明されたシーケンスは、連続プロセスを提供するために絶え間なく繰り返される。
【0082】
図3は、本発明に係るコーティングシステム1の第3実施形態を示す。2つの層を基板に堆積するための動作モードでは、第1基板は第1搬送経路T1に沿ったロックチャンバ3を通って第1コーティングチャンバ4に移動する。第1コーティングチャンバ4では、第1層が第1基板の表面に堆積される。その後、第1層の上に第2層を堆積するために、第1基板は第2コーティングチャンバ7へ移動する。その後、第2基板が第1搬送経路T1に沿って第2コーティングチャンバ7に入るための空間を作るために、第2搬送経路T2に沿った位置に第1基板を移動する。第1基板は、第2搬送経路T2に沿った第1プロセスチャンバ4及びロックチャンバ3を通って移動して戻る。ロックチャンバ3では、チャンバ配列からスイングステーション2へ出るために、第2搬送経路T2に沿った位置から第1搬送経路T1に沿った位置へ第1基板を移動する。
【0083】
同じチャンバ配置が図4に開示されている。しかしながら、別の動作モードで、3つの層が基板表面に堆積されてもよい。第1基板は、第1基板の第1面上に第1コーティング層を堆積するためにロックチャンバ3を通って第1プロセスチャンバ4に移動する。その後、第1基板は、第1層の上に第2層を堆積させるために、第2プロセスチャンバに移動する。その後、第2基板が第1搬送経路T1に沿って第2コーティングチャンバ7に入るための空間を作るために、第2搬送経路T2に沿った位置に基板を移動する。その後、第1基板は、第1コーティングチャンバ4に移動して戻り、その中で第2搬送経路T2に沿った位置から第1搬送経路T1に沿った位置へ移動する。第1基板のこの位置において、第3層が第2層の上に堆積される。その後、第1基板は、第3基板が第1搬送経路T1に沿って第1コーティングチャンバ4に入るための空間を作るために、第1搬送経路T1に沿った位置から第2搬送経路T2に沿った位置に移動して戻される。第1基板は、ロックチャンバ3に移動して戻され、チャンバ配列がスイングステーション2に抜け出すために第1搬送経路T1に横に置き換え戻される。第2基板、第3基板等は、システム1を通って基板の連続的な流れを作り出すように第1基板に続く。
【0084】
図3及び4に示される第3実施形態と比較して、図5に本発明の第4実施形態が示されている。システム1は、ロックチャンバ3、第1プロセスチャンバ4、第2プロセスチャンバ7及び搬送チャンバ6のインライン配置を形成するために第2プロセスチャンバと結合された追加搬送チャンバ6を含む。
【0085】
2つの層が基板の表面に堆積される動作モードにおいて、第1基板は第1プロセスチャンバ4及び第2プロセスチャンバ7内で第1材料層及び第2材料層を夫々受け取るために、第1搬送経路T1に沿って移動する。その後、第1基板は搬送チャンバ6内において、第1搬送経路T1に沿った位置から第2搬送経路T2に沿った位置へ移動する。第2基板は、第1搬送経路T1に沿って搬送チャンバ6内へ第1基板に続いてもよい。第1基板は、第2搬送経路T2に沿ってロックチャンバ3に移動して戻され、その後、スイングステーション2を通ってシステムを出るために第1搬送経路T1上の位置に移動する。
【0086】
図6は本発明に係るコーティングシステム1の第5実施形態によるチャンバ配列を示している。第4実施形態に加えて、コーティングシステム1は、第3プロセスツール8aを有する第3プロセスチャンバ8を含む。第3プロセスチャンバ8は、第2プロセスチャンバ7と搬送チャンバ6の間に配置される。従って、基板は第1搬送経路T1に沿ってシステム1を通り抜け、その結果、3つの材料層を受け取ってもよい。搬送チャンバ6では、基板は、第2搬送経路T2に沿ってロックチャンバ3へ移動して戻るために第1搬送経路T1から第2搬送経路T2まで移動し、それはシステム1を出る前に第1搬送経路T1に移動して戻される。
【0087】
図7に係るシステム1は、2つの独立した枝路1a及び1bから成り、それらの夫々は、第1搬送経路T1a及び第2搬送経路T2aとT2bを夫々有している。
【0088】
各枝路は、スイングステーション2と、ロックチャンバ3と、第1プロセスチャンバ4と、搬送チャンバ6と、プロセスチャンバ7がインライン配置されることを含む。枝路の夫々1a、1bは、基板上に2層又は3層を提供するための方法によって運転される。
【0089】
2層動作モードでは、第1材料層と第2材料層を受け取った後に、第1搬送経路T1a、T1bに沿った位置から第2搬送経路T2a、T2bに沿った位置へ第1基板を移動する。そして、第2基板が第1搬送経路T1上を第1基板に続く一方、第1基板は第2搬送経路T2a及びT2bに沿って夫々移動して戻される。
【0090】
3層動作モードでは、第2基板は搬送チャンバ6内で第1基板を通過する。その後、第1基板は、第1搬送経路T1a、T1b上に、及び第2材料層の上に第3材料層を堆積させるために第1コーティングチャンバ4内に移動して戻される。その後、基板は、ロックチャンバ3及びスイングステーション2を通ってシステム1を出るために、第1コーティングチャンバ4内の第2搬送経路T2a、T2b上に移動してもよい。差し当たり、第3基板は、第1搬送経路T1に沿って第1プロセスチャンバ4内を通過してもよい。
【0091】
基板上にレイヤスタックを堆積させる典型的なアプリケーションは、(例としてだけだが)、基板上に400Åの厚さの第1Mo層を堆積させ、第1層の上に3500Åの厚さの第2Al層を堆積させ、第2層の上に700Åの厚さの第3Mo層を堆積させることを含む。第3層は、第1コーティングチャンバ4か第3コーティングチャンバ8のいずれかの中で堆積される。
【0092】
様々な他のチャンバ構成が、少なくともロックチャンバ3及び第1プロセスチャンバ4を通って延びるインライン配置全体を通って延びる2つの搬送経路T1及びT2を少なくとも有することを含む本発明に係る概念から逸脱すること無しに実現されてもよい。そのようなシステム構成によって、コーティングシステム1の効率を増加させるために異なる動作モードを提供することが可能である。デュアルトラックシステム1を使用する別の利点は、通気/排気ステップの数を減らすことができ、その結果、排気プロセスのために利用可能な時間を増やす。これは、ロード/アンロードロックチャンバ3が第1基板をロードして第2基板をアンロードするために一度だけ通気及び排気しなければならない事実のためである。
【0093】
図8は、本発明の実施形態に係るコーティングシステム1を示す。コーティングシステム1は、ロックチャンバ20と、第1プロセスチャンバ30と、第2プロセスチャンバ40を含む。スイングモジュール50は、通常基板キャリヤに取り付けられた基板60a、60b、60cをコーティングシステム1内に供給するために、及びコーティングサイクル後に処理された基板60a、60b、60cをコーティングシステム1から受け取るためにロックチャンバ20に接続される。
【0094】
スイングモジュール50、ロックチャンバ20、第1プロセスチャンバ30、及び第2プロセスチャンバ40は、モジュールのインライン配置として構成される。この配置は、システムを通って延びる第1搬送経路T1及びを第2搬送経路T2を含み、第1搬送経路T1上か、第2搬送経路T2上か、又は第1搬送経路T1及び第2搬送経路T2の両方の部分を含む経路上のいずれかにあるシステムを通って基板が移動することを可能にする。
【0095】
ロックチャンバ20は、第1トラックセクション22aと、第2トラックセクション22bと、第3トラックセクション22cとを含むトリプルトラックモジュール21を含む。トラックセクション22a、22b、22cは、トラックセクション22a、22b、22cを横移動させるための移動システム23に接続される。トラックセクション22a、22b、22cの横移動によって、トラックセクション22a、22b、22cのうちの1つに配置された基板キャリヤを、第1搬送経路T1に沿った位置又は第2搬送経路T2に沿った位置のいずれかに配置することができる。言い換えれば、第1トラックセクション22a、第2トラックセクション22b、第3トラックセクション22cのうちの少なくとも1つは、第1搬送経路T1か第2搬送経路T2のいずれかに配置してもよい。特に、少なくとも第2トラックセクション22bは、第1搬送経路T1か第2搬送経路T2のいずれかに配置してもよい。
【0096】
第1プロセスチャンバ30は、例えば可回転スパッタカソードのようなコーティングツール32を有するコーティング装置31を含む。プロセスチャンバ30のコーティング装置31は、第1搬送経路T1側に配置される。
【0097】
更に、第1プロセスチャンバ30は、第1トラックセクション34a、第2トラックセクション34b、第3トラックセクション34cを有する第1トリプルトラックモジュール33を含む。トラックセクション34a、34b、34cは、搬送システム35によって横移動してもよい。少なくともトラックセクション34bは、第1搬送経路T1か第2搬送経路T2に配置されてもよく、第3トラックセクション34cは、第1搬送経路T1か第2搬送経路T2のいずれかに配置されてもよい。トラックセクション34a、34b、34cの夫々も、コーティング位置36に位置していてもよく、基板60aは、基板60a上にコーティング層を堆積させるためのコーティング装置31及びコーティングツール32に向き合う。
【0098】
第2プロセスチャンバ40は、例えば可回転スパッタカソードのようなコーティングツール42を有するコーティング装置41を含む。第2プロセスチャンバ40内で堆積されたコーティング層は、第1プロセスチャンバ30内で堆積されたコーティング層とは異なる。特に、コーティングシステム1では、第1プロセスチャンバ30内で層を堆積させるための処理時間は、第2プロセスチャンバ40内で層を堆積させるための処理時間よりもはるかに短い。従って、基板60上に異なる材料層を提供するために、第2コーティングチャンバ40の第2コーティングツール42は、第1プロセスチャンバ30の第1コーティングツール32とは通常異なる。第2プロセスチャンバ40のコーティング装置41は、第1搬送経路T1側に配置される。
【0099】
第2プロセスチャンバ40は、第1トラックセクション44a及び第2トラックセクション44bを有するデュアルトラックモジュール43を含む。少なくとも第2トラックセクション44bは、第1搬送経路T1、第2搬送経路T2のいずれかに配置されてもよく、又は基板60bがコーティング装置41に向き合うコーティング位置46に位置していてもよい。少なくとも第1トラックセクション44aは、第1搬送経路T1に沿って又はコーティング位置46に配置してもよい。
【0100】
スイングモジュール50は、コーティングシステム1内に基板60dを供給する又はコーティングシステム1から基板を受け取るために、第1搬送経路T1に沿った位置と第2搬送経路T2に沿った位置の間で可動であるシングルトラックセクション51を含む。
【0101】
本発明は、ロックチャンバ及びプロセスチャンバのこの特定の構成に制限されないことを強調しなければならない。しかしながら、ロックチャンバ、バッファチャンバ、搬送チャンバ、及び必要数のプロセスチャンバはインライン配置を満たしてもよい。
【0102】
図9は、図8に係るコーティングシステム1内の全コーティングサイクル間に、多くの基板60a,...,60eを処理する方法におけるステップを示す。
【0103】
第1プロセスステップ01において、第1基板60aは、第1搬送経路T1に沿って位置する第1プロセスチャンバ30のトリプルトラックモジュール33の第1トラックセクション34a内の第1プロセスチャンバ30内に配置される。第2基板60bは第2搬送経路T2に沿って位置する第2プロセスチャンバ40のデュアルトラックモジュール43の第2トラックセクション44b内に配置される。第3基板60cは、第2搬送経路T2に沿って位置するロックチャンバ20のトリプルトラックモジュール21の第2トラックセクション20bに配置される。
【0104】
プロセスステップ02において、第1基板60aは、第1基板60a上にコーティング層を堆積するためにコーティング位置36に移動する。第1基板60aは、以前に第1コーティング層及び第2コーティング層を既にコーティングされているので、コーティング層は第3コーティング層である。また、第2基板60bは、第2基板60bに層を堆積させるために、第2コーティングチャンバ40内のコーティング位置46に配置される。 第2基板60bは、以前に第1層が既にコーティングされているので、第2基板60b上に堆積される層は、第2層である。第3基板60cは、プロセスステップ01内と同一位置に留まっている。
【0105】
プロセスステップ03において、第1基板60aは、コーティングプロセスを終えた後に、第1搬送経路T1に沿った位置に引っ込められる。そして、それはロックチャンバのトリプルトラックモジュール21の第1トラックセクション22a内に移動され、第3基板60cが同時に第1プロセスチャンバ30のトリプルトラックモジュール33の第2トラックセクション33bに移動する。言い換えれば、基板の60a及び60cは、同時にチャンバを変える。第2基板60bは、依然として第2プロセスチャンバ40内で処理される。
【0106】
プロセスステップ04において、ロックチャンバ20が注入された後に、プロセスステップ03でスイングモジュール50に提供された第4基板60dは、第2搬送経路T2に沿って位置するロックチャンバ20のトリプルトラックモジュールの第2トラックセクション22b内のロックチャンバ20内へ移動する。第3基板60cは、第3基板60c上に第1コーティング層を堆積させるために、第1プロセスチャンバ30内のコーティング位置36に移動する。従って、第1プロセスチャンバ30のトリプルトラックモジュール33のトラックセクションは、第2トラックセクション34bがコーティング位置36に着くまで、コーティング装置31に向かって移動する。第2基板60bは、依然として第2プロセスチャンバ40内で処理される。
【0107】
プロセスステップ05において、第4基板60dが第2搬送経路T2に沿って位置するロックチャンバ20のトリプルトラックモジュール21の第2トラックセクション22b内に留まっている間、第1基板60aはコーティングシステム1からスイングモジュール50へ取り外される。第2基板60bは、第2プロセスチャンバ40内でのコーティングプロセスが終了した後に、第2搬送経路T2に沿った位置に移動し、第1プロセスチャンバ30のトリプルトラックモジュール33の第3トラックセクション34c上の第1プロセスチャンバ30内に移動する。同時に、第3基板60cは、トリプルトラックモジュール33の第2トラックセクション34bからデュアルトラックモジュール43の第1トラックセクション44aまで第1搬送経路T1に沿って移動する。基板60b及び60cは、チャンバを同時に変える。
【0108】
プロセスステップ06において、第1プロセスチャンバ30のトリプルトラックモジュール33の第3トラックセクション34c内に配置された第2基板60bは、基板60b上に第3層を堆積するためにコーティング位置36に移動する。従って、第1プロセスチャンバ30のトリプルトラックモジュール33のトラックセクション34a、34b、34cは、コーティング装置31に向かって横移動する。更に、第2プロセスチャンバ40のデュアルトラックモジュール43の第1トラックセクション44a内に配置された第3基板60cは、第3基板60c上に第2コーティング層を堆積するために、第2プロセスチャンバ40のデュアルトラックモジュール43のトラックセクション44a、44bを横移動することによって、コーティング位置46へ移動する。ロックチャンバ20内の第4基板60dの位置は、ロックチャンバ20を排気している間、不変のままである。
【0109】
プロセスステップ07において、第2基板60bは、第2搬送経路T2に沿った第3トラックセクション34cに位置するコーティング位置36から取り外され、第1プロセスチャンバ30からロックチャンバ20へ移動する。同時に、第4基板60dは、ロックチャンバのトリプルトラックモジュール21の第2トラックセクション22bから、第1プロセスチャンバ30のトリプルトラックモジュール33の第2トラックセクション34bへ移動する。プロセスステップ07の間、第3基板60cは、基板60c上に第2コーティング層を堆積するために、依然として第2プロセスチャンバ40内のコーティング位置46にいる。
【0110】
プロセスステップ08において、第2基板60bがその位置に留まっている間、プロセスステップ07でスイングモジュールに提供された第5基板60eは、第1搬送経路T1に沿ってロックチャンバ20のトリプルトラックモジュール21の第2トラックセクション22bに移動する。第1プロセスチャンバ30のトリプルトラックモジュール33の第2トラックセクション34bに提供された第4基板60dは、第4基板60d上に第1コーティング層を堆積するためにコーティング位置36へ移動する。第2プロセスチャンバ40では、第2プロセスチャンバ40内の第3基板60cのためのコーティングプロセスが続く。
【0111】
プロセスステップ09において、第2基板60bは、コーティングシステム1からスイングモジュール50へ取り外され、第5基板60eは、ロックチャンバ20内の第1搬送経路T1に沿ったその位置に留まっている。更に、第4基板60dは、第1プロセスチャンバ30内の第2搬送経路T2に沿った位置に移動され、第3基板60cは、第2プロセスチャンバ40内の第1搬送経路T1に沿った位置に移動する。その後、第3基板60cは、第1プロセスチャンバ30のトリプルトラックモジュール33の第1トラックセクション33a上へ移動され、第4基板60dは、第2プロセスチャンバ40のデュアルトラックモジュール43の第2トラック44b上へ同時に移動する。言い換えれば、基板60c及び60dは、第1プロセスチャンバ30と第2プロセスチャンバ40の間で同時に交換される。
【0112】
プロセスステップ10において、第5基板60eは、第1搬送経路T1に沿った位置から第2搬送経路T2に沿った位置へ、ロックチャンバ20のトリプルトラックモジュール21の横移動で移動する。更に、第1プロセスチャンバ30のトリプルトラックモジュール33の第1トラックセクション34aに配置された第3基板60cは、第3基板60c上に第3コーティング層を堆積するためにコーティング位置36へ移動する。第2プロセスチャンバ40のデュアルトラックモジュール43の第2トラックセクション44bに配置された第4基板60dは、第4基板60d上に第2層を堆積するためにコーティング位置46へ横移動する。
【0113】
プロセスステップ10は、プロセスステップ02内のような状況に対応している。従って、プロセスステップ11は、nの代わりにn+2(例えば、基板1の代わりに基板3)である基板番号をもつプロセスステップ03に対応している。システム中に少なくとも3つの基板が常にあり、コーティングサイクル間の各時間ポイントに、ロックチャンバ20、第1プロセスチャンバ30、第2プロセスチャンバ40の間で基板の同時交換が夫々可能であるという事実のため、システムのスループットを向上させることができる。
【0114】
ロックチャンバ20及び第1プロセスチャンバ30内に提供されるトリプルトラックモジュールの代わりにデュアルトラックモジュールを使用すると、ある特定のチャンバ内に基板を入れることができるトラックセクションが無いという事実のため、コーティングサイクル内でハンドリング時間が失われた状況を引き起こすことが、システム分析によって示されている。
【0115】
複数の基板を処理するために処理サイクル間において常に隣接したチャンバ間で基板の同時交換を促進するために必要なトリプルトラックモジュールを含むことは、ハンドリング時間を減らし、その結果、スループットが増す。
【0116】
図10は、プロセスチャンバ30に提供されたトリプルトラックモジュール33の概略断面図を示す。
【0117】
プロセスチャンバ30は、真空チャンバ38と、例えば可回転スパッタカソードのようなコーティングツール32を有するコーティング装置31とを含む。
【0118】
コーティングされる基板60は、基板キャリヤ61内に配置される。基板キャリヤ61は、トリプルトラックモジュール33のキャリヤドライブローラー34a、34b、34cと相互作用する下部ガイドレール62を含む。先端領域において、キャリヤ61は、基板60を直立位置に保つために磁気案内37a、37b、37cと相互作用する。
【0119】
トリプルトラックモジュール33は、第1搬送経路T1又は第2搬送経路T2に沿ったコーティングチャンバ30を通って基板を移動するために、3つのトラック34a/37a、34b/37b、34c/37cを含む。移動は、駆動装置によってキャリヤドライブローラー34a、34b、34cを回転させることによって促進される。
【0120】
更に、矢印Tで示されるように、トリプルトラックモジュール33は、搬送システム35の作動によって搬送方向に対して横に移動してもよい。従って、トラックセクション34a/37a、34b/37b、34c/37cは、コーティングシステムを通って延びる第1搬送経路T1及び/又は搬送システムを通って延びる第2搬送経路T2に配置されてもよい(T1及びT2は方向Tに対して垂直に配置される)。更に、トラックセクション34a/37a、34b/37b、34c/37cの夫々は、コーティング装置31を用いて夫々のトラックセクション34a/37a、34b/37b、34c/37cに配置された基板60をコーティングするために、コーティング位置36に夫々移動してもよい。
【0121】
示されるようなトリプルトラックモジュール31は、プロセスサイクルの全時間において隣接するチャンバの各組間で基板の同時交換が促進されるときはいつも、デュアルトラックコーティングシステム内の1又は複数のコーティングチャンバ内に提供されてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理するための処理システム(1)であって、
チャンバ配列を含み、
前記チャンバ配列は、少なくとも前記基板を処理するための第1プロセスチャンバ(4、30)、前記基板を処理するための第2プロセスチャンバ(7、40)、及び/又は、搬送チャンバ(6)と、
少なくとも前記チャンバ配列内に前記基板を閉じ込め、及び/又は、前記チャンバ配列外に基板を締め出すために構成されたロックチャンバ(3、20)と、
前記チャンバ配列を通って前記基板を移動するための第1搬送経路(T1)と、
前記チャンバ配列を通って前記基板を移動するための第2搬送経路(T2)とを含み、
前記第2搬送経路(T2)は前記第1搬送経路(T1)に対して横にオフセットされており、
前記第1プロセスチャンバ(4、30)、前記第2プロセスチャンバ(7、40)、及び搬送チャンバ(6)のうちの少なくとも1つは、前記第1搬送経路(T1)から前記第2搬送経路(T2)まで、及び/又は、前記第2搬送経路(T2)から前記第1搬送経路(T1)まで前記基板を移動するための手段を含み、
前記基板を移動するための前記手段は、少なくとも第1ガイダンスセクション及び第2ガイダンスセクションの組み合わせを含み、前記第1ガイダンスセクションは、前記第2ガイダンスセクションと平行に配置されることを特徴とする処理システム。
【請求項2】
前記基板を移動するための前記手段は、前記第1ガイダンスセクション及び前記第2ガイダンスセクションと平行に配置された第3ガイダンスセクションを含むことを特徴とする請求項1記載の処理システム(1)。
【請求項3】
前記基板を移動するための前記手段は、前記第1搬送経路(T1)から前記第2搬送経路(T2)まで及びその逆に基板を移動するための前記組み合わせを横に置き換えるための移動装置を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の処理システム(1)。
【請求項4】
前記第1ガイダンスセクション、前記第2ガイダンスセクション、及び/又は、前記第3ガイダンスセクションは、前記第1搬送経路(T1)と前記第2搬送経路(T2)の間の距離に対応する距離で互いに対して配置されることを特徴とする前記請求項のいずれか1項記載の処理システム(1)。
【請求項5】
前記第1プロセスチャンバ(4、30)、前記第2プロセスチャンバ(7、40)、及び/又は、前記搬送チャンバ(6)は、インラインに結合されることを特徴とする前記請求項のいずれか1項記載の処理システム(1)。
【請求項6】
前記処理システム(1)は、前記第1搬送経路(T1)に沿って及び前記第2搬送経路(T2)に沿って基板を移動するための搬送システムを含むことを特徴とする前記請求項のいずれか1項記載の処理システム(1)。
【請求項7】
前記搬送システムは、前記第1搬送経路(T1)に沿って及び/又は前記第2搬送経路(T2)に沿って基板を案内するためのガイダンスを少なくとも含むことを特徴とする請求項6記載の処理システム(1)。
【請求項8】
前記搬送システムは、前記第1搬送経路(T1)に沿って前記基板を案内するための第1ガイダンス及び第2搬送経路(T2)に沿って前記基板を案内するための第2ガイダンスを含むことを特徴とする請求項7記載の処理システム(1)。
【請求項9】
前記第1プロセスチャンバ(4、30)、及び/又は、前記第2プロセスチャンバ(7、40)は、前記第1搬送経路(T1)以外に前記夫々のプロセスチャンバに横に配置された処理ツールを含むことを特徴とする前記請求項のいずれか1項記載の処理システム(1)。
【請求項10】
デュアルトラックモジュール及びトリプルトラックモジュール(21;33)のトラックセクション(22a、22b、22c)は、前記第1搬送経路(T1)又は前記第2搬送経路(T2)に沿って互いに独立して2つの異なる基板を移動させるために独立して駆動されるように構成されることを特徴とする前記請求項のいずれか1項記載の処理システム(1)。
【請求項11】
ロックチャンバ(20)は第1トリプルトラックモジュール(21)を含み、第1プロセスチャンバ(30)は第2トリプルトラックモジュール(33)を含み、第2プロセスチャンバ(40)はデュアルトラックモジュール(43)を含むことを特徴とする前記請求項のいずれか1項記載の処理システム(1)。
【請求項12】
第1ガイダンスセクション及び第2ガイダンスセクションの組み合わせは、デュアルトラックモジュール(43)を形成し、第1ガイダンスセクション、第2ガイダンスセクション及び第3ガイダンスセクションの前記組み合わせは、トリプルトラックモジュール(21、33)を形成することを特徴とする前記請求項のいずれか1項記載の処理システム(1)。
【請求項13】
デュアルトラックモジュール(43)、及び/又は、トリプルトラックモジュール(21、33)は、互いに対して固定して配置された2つのトラックセクション(44a、44b)と3つのトラックセクション(22a、22b、22c;34a、34b、34c)を夫々含むことを特徴とする請求項12記載の処理システム(1)。
【請求項14】
前記デュアルトラックモジュール(43)、及び/又は、前記トリプルトラックモジュール(21、33)の前記トラックセクションは、第1基板を第1搬送経路(T1)に沿って第1方向へ及び第2基板を第2搬送経路(T2)に沿って第2方向へ移動させるために互いに独立して駆動されることを特徴とする請求項13記載の処理システム(1)。
【請求項15】
前記請求項のいずれか1つに記載の処理システム(1)を運転する方法であって、
a)第1基板を前記ロックチャンバ(3)から前記第1搬送経路に沿って前記第1プロセスチャンバ(4)に移動し、前記第1基板に第1層を堆積するステップと、
b)前記第1搬送経路(T1)から前記第2搬送経路(T2)まで前記第1基板を横に移動するステップと、
c)前記第2搬送経路(T2)に沿って前記ロックチャンバに前記第1基板を移動するステップとを含み、
前記方法は、前記方法のステップc)の間に、前記ロックチャンバ(3)から前記第1搬送経路(T1)に沿って前記第1プロセスチャンバ(4)に第2基板を移動するステップを更に含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図9−3】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−525712(P2011−525712A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515255(P2011−515255)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【国際出願番号】PCT/EP2009/054149
【国際公開番号】WO2009/156196
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】