説明

分散剤

本発明は、粒子状固体を、ミルベース、塗料およびインクのために分散させるための分散剤に関する。本発明は、粒子状固体と、極性有機媒体と、式1の化合物またはその塩を含有する組成物を提供する。式(1)T−(A)(B)−X−Z−Q(0−p)において、Tは、水素または重合停止基であり;Aは、ヒドロキシカルボン酸またはそのラクトンの残基であり;Bは、アミノカルボン酸の残基であり;Xは、直接結合または二価の基であり;Zは、酸性基もしくは塩基性基、または酸性基もしくは塩基性基を含む部分であり;Qは、オキシド、尿素または二塩基酸もしくはその無水物の任意の残基であり;mおよびnは、正の整数であり;そしてpは、Zにおいて残っているアミノ基および/またはイミノ基の数を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2005年4月13日に出願された、米国仮出願番号60/671,010の優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、粒子状固体(例えば、顔料または充填剤)を、極性媒体に分散させるための分散剤、ならびにミルベース(millbase)、塗料およびインクに関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
分散剤を記載する、特許文献の多数の公開公報が存在し、これらの分散剤は、末端ヒドロキシ基を含むポリエステル鎖のリン酸エステルであるか、または末端カルボン酸基を有するポリエステル鎖をポリアミンもしくはポリイミン(例えば、ポリエチレンイミン)と反応させることによって得られるポリエステルアミンであるかの、いずれかである。例えば、特許文献1は、カルボラクトンから誘導されたポリエステル鎖を有するポリエチレンイミン残基と、少なくとも1種の他の特定のラクトンまたはヒドロキシカルボン酸とを含有する、分散剤を開示する。特許文献2は、ポリエステル鎖が2種以上の異なる直鎖ヒドロキシカルボン酸またはそのラクトンと、エチレン性不飽和基の残基とから誘導される、類似のアミン分散剤を開示する。特許文献3は、式T−(A)−(B)−Zの分散剤を開示し、この式において、AおよびBは、各々独立して、種々のラクトンから誘導可能な、オキシアルキレンカルボニル基であり、そしてZは、酸性基または塩基性基(例えば、ポリエチレンイミンまたはホスフェート)である。このような分散剤は、極性液体媒体または非極性液体媒体中で使用されるために調整され得るが、極性液体媒体中でのさらに改善された性能が、ポリエステル鎖をポリエステル/ポリアミン鎖で置き換えることによって得られ得ることが、ここで発見された。
【特許文献1】国際公開第94/21368号パンフレット
【特許文献2】国際公開第99/55763号パンフレット
【特許文献3】国際公開第98/19784号パンフレット
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の開示)
本発明の第一の局面によれば、式1:
T−(A)(B)−X−Z−Q(0−p) 式(1)
の塩を含めた式1の分散剤が提供され、
式1において、
Tは、水素または重合停止基であり;
Aは、ヒドロキシカルボン酸またはそのラクトンの残基であり;
Bは、アミノカルボン酸の残基であり;
Xは、直接結合または二価の基であり;
Zは、酸性基もしくは塩基性基、または酸性基もしくは塩基性基を含む部分であり;
Qは、オキシド、尿素、または二塩基酸もしくはその無水物であり、塩基性基、またはZによって表される塩基性基を含む部分に結合しており;
mおよびnは、正の整数(望ましくは、0ではない)であり;
m+nは、4〜2000であり;
記号(0−p)は、値0〜値pを意味し;そして
pは、基T−(A)(B)−X−を有さないZにおけるアミノ基および/またはイミノ基の、最大の利用可能な数を表す。
【0005】
Zが多価である場合、Zに結合した1個より多くの基T−(A)(B)−X−が存在し得、そしてこのような基は、同じであっても異なっていてもよい。AまたはBのいずれかが、Tに結合し得ることもまた、理解されるべきである。
【0006】
Tが重合停止基である場合、Tは、好ましくは、カルボン酸R−COOHまたはアルコールR−OHの残基であり、ここで、RはC1−50−ヒドロカルビルであり、必要に応じて置換されている。
【0007】
好ましくは、Rは、40個以下、より好ましくは、30個以下、そして特に、20個以下の炭素原子を含む。
【0008】
Rは、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、および特にアルキ(アルケニ)ルであり得、これらは、直鎖であっても分枝鎖であってもよい。Rがアルキルであることは、非常に好ましい。
【0009】
Rがアリールである場合、Rは、好ましくは、フェニルまたはナフチルであり、このフェニルまたはナフチルは、C1−20−アルキル、C1−20−アルコキシ、ハロゲン、ニトリルまたはフェノキシによって必要に応じて置換される。R−OHの具体的な例は、フェノール、2−ナフトール、4−オクチルフェノールおよび4−ノニルフェノールである。R−COOHの具体的な例は、安息香酸およびナフタレン−2−カルボン酸である。
【0010】
Rがアラルキルである場合、Rは、好ましくは、ベンジルアルコール、2−ヒドロキシエチルフェニルまたは2−カルボキシエチルフェニルである。
【0011】
Rがヘテロアリールである場合、Rは、好ましくは、チエニルである。
【0012】
Rがシクロアルキルである場合、Rは、好ましくは、C3−8−シクロアルキル(例えば、シクロプロピルおよび特にシクロヘキシル)であり、このC3−8−シクロアルキルは、1個以上のC1−6−アルキル基によって必要に応じて置換される。
【0013】
本明細書中で上に記載されたように、Rは、必要に応じて置換されたアルキルであり、特に、1個以上のエーテル基を含むアルキルであることが、特に好ましい。R−COOHの具体的な例は、メトキシ酢酸、プロピオン酸、酪酸、ヘキサン酸、オクタン酸、ラウリン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、2−エチル酪酸、2−エチルヘキサン酸、2−ブチルオクタン酸、2−ヘキシルデカン酸、2−オクチルドデカン酸および2−ドデシルテトラデカン酸である。この型の分枝アルキルカルボン酸は、商品名Isocarb(例えば、Condea GmbH)のもとで入手可能であり、そして具体的な例は、Isocarb 12、Isocarb 16、Isocarb 20、Isocarb 28、Isocarb 32、Isocarb 34TおよびIsocarb 36である。カルボン酸の多くは、混合物として市販されている。
【0014】
Rが置換されている場合、Rは、好ましくは、R−COOH中に1個以上のエーテル基、そして特に、少なくとも1個のエーテル基を含む。これらのエーテル基は、プロポキシ基、エトキシ基またはブトキシ基(これらの混合物を含む)を含む、ポリC1−4−アルキレンオキシド鎖を構成し得る。好ましい混合物は、プロポキシ/エトキシポリエーテル鎖である。このポリエーテル鎖が1種より多くの異なるアルキレン単位を含む場合、エチレンオキシドの量は、ポリエーテル鎖の50重量%以上、より好ましくは、70重量%以上、そして特に、90重量%以上であることが好ましい。しかし、このポリエーテル鎖が、完全にエチレンオキシドからなることが、より好ましい。
【0015】
R−COOHがポリエーテル鎖を含む場合、このポリエーテル鎖は、好ましくは、ポリアルキレンオキシモノC1−24−アルキルエーテルである。このポリエチレンオキシモノアルキルエーテルの重量平均分子量は、好ましくは、2000以下、より好ましくは、1000以下、そして特に、600以下である。式R−O−(CHCH−CH−COOHのモノアルキルエーテルカルボン酸は、Kao Chemicals GmbHの商品名AkypoTMのもとで入手可能である。具体的な例は、AkypoTM LF1(RはCであり、q=5である)、AkypoTM LF2(RはCであり、q=8である)、AkypoTM RLM 25(RはC12/C14であり、q=2.5である)、AkypoTM RLM 45 CA(RはC12/C14であり、n=4.5である)、AkypoTM RO 20 VG(RはC16/C18であり、n=2である)およびAkypoTM RO 50 VG(RはC16/C18であり、n=5である)である。
【0016】
R−OHの例は、メタノール、ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、n−デカノール、n−ドデカノール、n−テトラデカノール、n−ヘキサデカノール、n−オクタデカノール、オレイルアルコール、イソプロパノール、イソブタノール、tertブタノール、2−エチルブタノール、3−ヘプタノール、2−エチルヘキサノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、3,7−ジメチルオクタノールおよびいわゆるGuerbetアルコール(例えば、Isofol(例えば、Condea GmbH)の商品名で市販されているもの)であり、これらの混合物を含む。Guerbetアルコールの具体的な例は、Isofol 12、Isofol 14T、Isofol 16、Isofol 18T、Isofol 18E、Isofol 20、Isofol 24、Isofol 28、Isofol 32、Isofol 32TおよびIsofol 36である。
【0017】
R−OH中のRが、置換されたアルキルである場合、この置換されたアルキルは、好ましくは、1個以上のエーテル基を含み、そして特に、2個以上のエーテル基を含む。これらのエーテル基は、プロポキシ反復単位、エチレンオキシ反復単位、またはブチレンオキシ反復単位(これらの混合物を含む)を含む、ポリC1−4−アルキレンオキシ鎖を構成し得る。このポリエーテル鎖が、1種より多くの異なるアルキレンオキシ反復単位を含む場合、このポリエーテル鎖の50重量%以上、より好ましくは、70重量%以上、そして特に、90重量%以上が、エチレンオキシ単位からなることが好ましい。このポリエーテル鎖が、エチレンオキシ単位のみを含むことは、特に好ましい。この型の好ましいアルコールは、ポリエチレンオキシモノC1−24−アルキルエーテルであり、好ましくは、C1−12−モノアルキルエーテルであり、そして特に、C1−6−モノアルキルエーテルである。容易に入手可能であるので、モノメチルエーテルが、非常に好ましい。ポリアルキレンオキシモノアルキルエーテルの重量平均分子量は、好ましくは、2000以下であり、そして特に、1000以下である。ポリエチレンオキシモノメチルエーテルの具体的な例は、350、550および750という、重量平均分子量を有する。ポリエーテルモノアルキルエーテルの他の例は、エチレンオキシドと反応したGuerbetアルコールであり、特に、250〜750の重量平均分子量を有するものである。
【0018】
1つの実施形態において、Aが誘導されるヒドロキシカルボン酸は、ヒドロキシ−C2−20−アルケニレンカルボン酸を形成し、そして特に、ヒドロキシ−C1−20−アルキレンカルボン酸を形成する。アルキ(アルケニ)レン基(ここで(アルケニ)は、アルキレンまたはアルケニレンのいずれか一方であることを示す)は、直鎖であっても分枝鎖であってもよい。ヒドロキシカルボン酸の例は、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、5−ヒドロキシ吉草酸、12−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒドロキシデカン酸、4−ヒドロキシデカン酸、10−ヒドロキシウンデカン(undedanoic)酸、乳酸およびグリコール酸である。
【0019】
本明細書中で上に記載されたように、Aは、ラクトンから誘導され得る。適切なラクトンの例は、β−プロピオラクトン、必要に応じてアルキル置換されたε−カプロラクトンおよび必要に応じてアルキル置換されたδ−バレロラクトンである。ε−カプロラクトンおよびδ−バレロラクトンにおけるアルキル置換基は、好ましくは、C1−6−アルキルであり、そして特に、C1−4−アルキルであり、直鎖であっても分枝鎖であってもよい。適切なラクトンの例は、ε−カプロラクトンおよびその7−メチルアナログ、3−メチルアナログ、5−メチルアナログ、6−メチルアナログ、4−メチルアナログ、5−tertブチルアナログ、4,4,6−トリメチルアナログおよび4,6,6−トリメチルアナログである。
【0020】
ヒドロキシカルボン酸および/またはラクトンの混合物が、使用され得る。
【0021】
Aが、必要に応じて置換されたε−カプロラクトンおよび1種以上の他のラクトンから誘導される場合、このε−カプロラクトンは、好ましくは、ラクトンの総量の50重量%以上、より好ましくは、70重量%以上、そして特に、90重量%以上で存在する。Aは、ε−カプロラクトン自体から誘導されることが、非常に好ましい。
【0022】
Bが誘導されるアミノカルボン酸は、好ましくは、アミノ−C2−20−アルケニレンカルボン酸であり、そして特に、アミノ−C1−20−アルキレンカルボン酸である。そのアルキ(アルケニ)レン基は、直鎖であっても分枝鎖であってもよい。好ましくは、アミノカルボン酸のアルキ(アルケニ)レン基は、12個以下の炭素原子を含む。具体的な例は、11−アミノウンデカン酸であり、そして特に、6−アミノカプロン酸、4−アミノ酪酸、β−アラニンおよびサルコシンである。アミノカルボン酸の混合物が、使用され得る。
【0023】
Xが二価の結合である場合、この結合は、好ましくは、Zが塩基性基または塩基性基を含む部分である場合、エチレン性不飽和基の残基である。エチレン性不飽和基を含む好ましい残基は、ヒドロキシ基を含み、そして好ましくは、(メタ)アクリル酸から誘導される。エチレン性不飽和基およびヒドロキシ基を含む化合物の例は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレートおよびプロピレングリコールポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート(例えば、Nihon Yushi Co.Ltd製のBlemmerTM PE,BlemmerTM PP)である。好ましくは、エチレン性不飽和基は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートから誘導される。
【0024】
Zが、酸性基または酸性基を含む部分である場合、この酸性基は、好ましくは、スルホネート、スルフェート、ホスホネートまたはホスフェート(ピロホスフェートを含む)である。1つの好ましい実施形態において、Zは、オルトホスフェート基である。
【0025】
Zが、塩基性基または塩基性基を含む部分である場合、この塩基性基は、好ましくは、アミン、ポリアミンまたはポリイミンである。適切なアミンの例は、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−ジメチル−ピペラジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、イソホロンジアミン、ポリオキシプロピルエチレンジアミン、ポリオキシエチレンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、m−キシリレンジアミン、α−(m−アミノフェニル)−エチルアミン、α−(p−アミノフェニル)エチルアミン、m−フェニレンジアミン、ジアミノ−ジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンおよびノルボルナンジアミンである。
【0026】
Zはまた、置換された脂肪族第三級アミン(例えば、3−ジメチルアミノプロピルアミンおよびN,N−ジメチルエタノールアミン)の残基であり得る。
【0027】
ポリアミンの例は、ポリビニルアミンおよびポリアリルアミンである。
【0028】
ポリイミンは、好ましくは、ポリ(C2−6−アルキレンイミン)であり、特に、ポリエチレンイミン(本明細書中以下で、PEI)である。ポリイミンは、直鎖であっても、好ましくは分枝鎖であってもよい。直鎖ポリエチレンイミンは、例えば、Takeo SaegusaらによってMacromolecules,1972,第5巻,4470頁に記載されるように、ポリ(N−アシル)アルキレンイミンの加水分解によって、調製され得る。様々な分子量の分枝鎖ポリエチレンイミンは、BASFおよびNihon Shokubaiから、市販されている。様々な分子量のポリアリルアミンおよびポリ−(N−アルキル)アリルアミンは、Nitto Bosekiから市販されている。様々な分子量のポリビニルアミンは、Mitsubishi Kasaiから市販されている。ポリ(プロピレンイミン)デンドリマーは、DSM Fine Chemicalsから市販されており、そしてポリ(アミドアミン)デンドリマーは、「Starburst」デンドリマーとして、Aldrich Chemical Coから入手可能である。
【0029】
Zが、塩基性基または塩基性基を含む部分である場合、Zは、好ましくは、ポリアリルアミン、ポリビニルアミンおよび特に、ポリアルキレンイミン(例えば、PEI)の残基である。
【0030】
ポリアミンまたはポリイミンの数平均分子量は、好ましくは、500〜600,000であり、より好ましくは、1,000〜200,000であり、なおより好ましくは、1,000〜100,000であり、そして特に、1200〜100,000である。
【0031】
Qが、二塩基酸またはその無水物の残基である場合、その二塩基酸または無水物は、C1−6−アルキルまたはハロゲンによって必要に応じて置換された、芳香族であっても脂肪族であってもよい。好ましくは、このQは、500未満の重量平均分子量を有する。適切な二塩基酸または無水物の例は、無水コハク酸、無水マレイン酸、リンゴ酸無水物、無水フタル酸、グルタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、コハク酸およびテレフタル酸である。
【0032】
好ましくは、m+nは、1000以下であり、より好ましくは、100以下であり、なおより好ましくは、50以下であり、そして特に、20以下である。
【0033】
Zが、ポリアミンまたはポリイミンである場合、任意の遊離イミノ基またはアミノ基は、酸素または過酸化物、尿素または二塩基酸または無水物と反応し得る。Qが、尿素の残基である場合、アミノ尿素と反応する場合のZにおける遊離イミノ基またはアミノ基の数は、基T−(A)(B)−X−を有さない最大の利用可能な窒素原子まで、広範な限度にわたって変動し得る。同様に、Qが、二塩基酸または無水物の残基である場合、二塩基酸または無水物と反応するZにおける遊離アミノ基またはイミノ基の数もまた、広範な限度にわたって変動し得る。この例においては、基T−(A)(B)−X−を有さないZにおける窒素原子の大部分が、二塩基酸または無水物と反応することが非常に好ましい。
【0034】
Qがオキシドの残基である場合、基T−(A)(B)−X−を有さないZにおける任意のアミノ基またはイミノ基は、酸素(空気を含む)または過酸化物(例えば、過酸化水素もしくは過硫酸アンモニウム)との反応によって、N−オキシドに転換され得る。
【0035】
Tが、酸R−COOHの残基であり、そしてXが、直接結合である場合、その分散剤は、好ましくは、式2:
R−CO(A)(B)−OH 式(2)
の酸から誘導される。これは、本明細書中以下で、TPOAC酸と称される。
【0036】
Tが、アルコールT−OHの残基であり、そしてXが、直接結合である場合、その分散剤は、好ましくは、式3:
RO(A)(B)−H 式(3)
のアルコールから誘導される。これは、本明細書中以下で、TPOACアルコールと称される。
【0037】
本発明の第一の局面によれば、上記分散剤は、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、または特に、式4:
T−(A)(B)− 式(4)
の少なくとも2つの鎖を有するポリ(C2−4−アルキレンイミン)(本明細書中以下で、PAI)を含有し、式4において、T、A、B、mおよびnは、本明細書中で先に定義されたとおりである。
【0038】
式4によって表される鎖の各々は、ポリアリルアミン、ポリビニルアミンまたはPAIに、共有アミド結合−CON<(TPOAC酸の末端カルボニル基と、ポリビニルアミン、ポリアリルアミンまたはPAIにおける第一級窒素原子または第二級窒素原子との間に形成される)を介してか、あるいはイオン結合−COOHN=(TPOAC酸の末端−COOH基と、ポリアリルアミン、ポリビニルアミンまたはPAIにおける置換アンモニウム基の正に荷電した窒素原子との間に形成される)を介してかのいずれかで、結合され得る。この分散剤は、2つ以上の鎖T−(A)(B)−を含むので、この分散剤は、その調製において使用される反応条件に依存して、アミド結合と塩結合との混合物を含み得る。
【0039】
本発明の第一の局面の分散剤は、好都合には、式5:
【0040】
【化6】

によって表され得る。式5において、
X−*−*−Xは、ポリビニルアミン、ポリアリルアミンまたはPAIを表し;
Yは、鎖T−(A)(B)−を表し、この鎖は、アミド結合および/または塩結合を介して結合し;
rは、4〜2000であり;そして
T、A、B、mおよびnは、本明細書中で先に定義されたとおりである。
【0041】
Yによって表される鎖は、同じであっても異なっていてもよい。
【0042】
好ましくは、rは、10以上である。rが1000以下であること、特に、500以下であることもまた、好ましい。
【0043】
Y対X−*−*−Xの重量比が、30:1〜1:1であること、より好ましくは、20:1〜5:1であること、そして特に、17:1〜7:1であることもまた、好ましい。
【0044】
PAIは、好ましくは、ポリエチレンイミン(PEI)であり、このPEIは、直鎖であっても、好ましくは分枝鎖であってもよい。
【0045】
PAIは、好ましくは、500〜600,000、より好ましくは、1,000〜200,000、なおより好ましくは、1,000〜100,000、そして特に、1,200〜50,000の、数平均分子量を有する。
【0046】
好ましくは、Aは、ε−カプロラクトンの残基であり、そしてBは、6−アミノカプロン酸、4−アミノ酪酸、β−アラニンまたはサルコシンの残基である。
【0047】
本発明の第一の局面の特に有用な分散剤は、3:1〜1:3のm:nの比を有し、ここで、m+nは、20以下である。
【0048】
式5の分散剤に関するさらなる改変物として、式6:
【0049】
【化7】

の分散剤が提供される。式6において、
X−*−*−XおよびYは、本明細書中で先に定義されたとおりであり;そして
は、鎖T−(A)−X−を表し、この鎖において、T、A、X、およびmは、本明細書中で先に定義されたとおりである。rは、正の0ではない整数である。
【0050】
においてAによって表されるポリエステル鎖は、1種より多くの異なるヒドロキシカルボン酸またはそのラクトンから誘導され得る。T−(A)−X−が、必要に応じてアルキル置換されたε−カプロラクトン、置換されたδ−バレロラクトン、12−ヒドロキシステアリン酸、またはリシノール酸、およびこれらの混合物から誘導されることが、特に好ましい。
【0051】
本発明の第一の局面の分散剤は、好ましくは、予め形成されたTPOAC酸と、ポリアリルアミン、ポリビニルアミンまたはPAIとを、100℃〜150℃の温度で、好ましくは、不活性雰囲気で反応させることによって、作製される。
【0052】
TPOAC酸は、好ましくは、少なくとも1種のヒドロキシカルボン酸またはそのラクトンを、少なくとも1種のアミノカルボン酸と、50℃〜250℃の温度で、必要に応じて、カルボン酸R−COOHの存在下で、そして必要に応じて、エステル化触媒の存在下で反応させることによって、調製される。この温度は、100℃以上であること、そして特に、150℃以上であることが、好ましい。最終生成物のあらゆる炭化を最小にする目的で、この温度は、200℃以下であることが好ましい。不活性雰囲気は、周期表の任意の不活性気体によって提供され得るが、好ましくは、窒素である。
【0053】
エステル化触媒は、当該分野において以前から公知である任意のものであり得、そしてテトラアルキルチタネート(例えば、テトラブチルチタネート)、有機酸の亜鉛塩(例えば、酢酸亜鉛)、脂肪族アルコールのジルコニウム塩(例えば、ジルコニウムイソプロポキシド)、トルエンスルホン酸または強い有機酸(例えば、トリフルオロ酢酸)が挙げられる。
【0054】
本発明の別の好ましい局面において、Yが式7:
【0055】
【化8】

の鎖残基を表す、式5および式6の分散剤が提供される。式7において、
A、B、R、mおよびnは、本明細書中で先に定義されたとおりであり;そして
は、水素またはC1−4−アルキルであり;そして
は、10個までの炭素原子を含む脂肪族残基または芳香族残基であり、この脂肪族残基または芳香族残基は、プロピレンオキシドおよび/またはエチレンオキシドから誘導されるポリエーテル残基を必要に応じて含む。
【0056】
がC1−4−アルキルである場合、このRは、好ましくは、メチルである。
【0057】
は、好ましくは、C2−6−アルキレンであり、そして特に、C2−4−アルキレンである。
【0058】
式7の鎖残基を含む分散剤は、アミン、ポリアミンまたはポリイミンの、式8:
【0059】
【化9】

の化合物(式8において、A、B、R、R、R、mおよびnは、本明細書中で先に定義されたとおりである。)へのMichael付加反応によって、好都合に調製され得る。
【0060】
式8の化合物は、ヒドロキシ基を含む(アルキル)アクリル酸誘導体を、予め形成された式2のTPOAC酸と、50℃〜150℃、好ましくは、80℃〜120℃の温度で、空気または酸素の存在下で反応させることによって、好都合に調製され得る。好ましくは、この反応は、エステル化触媒(例えば、テトラアルキルチタネート(例えば、テトラブチルチタネート)、金属アルコキシド(例えば、テトライソプロピルチタネート)、スズ触媒(例えば、塩化スズ、オクチル酸スズまたはモノブチルスズオキシド)あるいは酸触媒(例えば、トルエンスルホン酸またはトリフルオロ酢酸))の存在下で実施される。この反応はまた、好ましくは、式8の化合物または(アルキル)アクリル酸誘導体の自己重合反応を抑止するための重合防止剤の存在下で実施される。重合防止剤の例は、(メチル)ヒドロキノンおよびフェノチアジンである。酸素もまた、重合防止剤として働く。
【0061】
アミン、ポリアミンまたはポリイミンと、式8の化合物との間の反応は、好ましくは、10℃と130℃との間、特に、20℃と100℃との間で加熱することによって、実施される。化学量論的量のアミンおよび式8の化合物が使用され得るが、式8の化合物を、ポリアミンまたはポリイミン、特に、PEIと反応させることが、好ましい。
【0062】
式8の化合物と、アミン、ポリアミンまたはポリイミンとの間の反応は、必要に応じて、これらの反応物質に対して不活性である溶媒の存在下で実施され得る。適切な溶媒の例は、炭化水素(例えば、トルエン、キシレンおよびsolvesso)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン)、アルカノール(例えば、n−ブタノールおよびイソプロパノール)ならびにエステル(例えば、酢酸ブチル、アジピン酸ジメチル、コハク酸ジメチルおよびグルタル酸ジメチル)である。
【0063】
本発明の第一の局面の分散剤が、遊離アミノ基または遊離イミノ基を含む場合、これらの基は、有機酸または好ましくは無機酸(例えば、酢酸、硫酸、塩酸、アルキルスルホン酸、硫酸水素アルキルおよびアリールスルホン酸(陰イオン性染料の塩を含む))との反応によって、塩に転換され得る。遊離アミノ基または遊離イミノ基はまた、ジアルキル硫酸エステル(例えば、硫酸ジメチル)、アルキルハロゲン化物(例えば、臭化エチル)またはベンジルハロゲン化物(例えば、ベンジルクロリド)との反応によって、第四級アンモニウム塩に転換され得る。
【0064】
本明細書中で先に開示されたように、分散剤中の遊離アミノ基および/または遊離イミノ基はまた、酸素(空気)、尿素あるいは二塩基酸またはその無水物と反応し得る。
【0065】
第四級アンモニウム形態の分散剤と、水素、尿素および二塩基酸または無水物との反応生成物の形態の分散剤との混合物もまた、使用され得る。
【0066】
本発明の第二の局面によれば、式3のTPOACアルコールのリン酸エステルである分散剤が提供される。このリン酸エステルは、オルトリン酸のエステルであってもピロリン酸のエステルであってもよく、これらの混合物を含み得る。
【0067】
本発明の第二の局面の好ましい実施形態において、この分散剤は、式9の化合物:
【0068】
【化10】

であり得、式9において、R、A、B、mおよびnは、本明細書中で先に定義されたとおりであり;
Lは、スルフェート、ピロホスフェートまたは特に、オルトホスフェートであり;
mは、陽イオンであり;そして
wは、1または2であり、
これらの混合物を含む。
【0069】
Rは、好ましくは、式9の分散剤における必要に応じて置換されたアルキルである。Rが置換されている場合、この置換基は、好ましくは、1個以上のエーテル基であり、そしてRO−は、特に、ポリアルキレンエーテルの残基、モノアルキルエーテルの残基、そして特に、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルの残基である。
【0070】
式9の分散剤は、式3のTPOACアルコールを、硫酸化剤またはリン酸化剤と反応させることによって、好都合に作製され得る。この反応は、不活性溶媒中で実施され得るが、好ましくは、溶媒の非存在下で、無水条件下で、そして好ましくは、不活性(例えば、窒素)雰囲気で実施される。リン酸化剤または硫酸化剤との反応は、好ましくは、50℃〜150℃の温度で、そして特に、80℃より高い温度で、実施される。最終分散剤の炭化を回避する目的で、この温度は、好ましくは、100℃以下である。
【0071】
式9の分散剤が、リン酸エステルの形態である場合、式3のTPOACアルコール対リン酸化剤の各リン原子の比は、代表的に、1:3〜3:1であり、そしてこの分散剤は、オルトリン酸エステルとピロリン酸エステルとの混合物であり得る。式9の分散剤の特定の場合において、この分散剤がオルトリン酸のモノエステルとジエステルとの混合物である場合、TPOACアルコール対リン酸化剤の各リン原子の比は、1:1〜3:1であること、そして特に、1:1〜2:1であることもまた、好ましい。
【0072】
好ましい硫酸化剤は、クロロスルホン酸、発煙硫酸、および特に、濃硫酸である。好ましいリン酸化剤は、POCl、P、および特に、ポリリン酸である。
【0073】
本発明の第二の局面の分散剤は、遊離酸、または金属の塩、有機アミンもしくは第四級アンモニウム塩の形態であり得る。この金属は、好ましくは、アルカリ金属(例えば、リチウム、カリウムおよびナトリウム)であり、これらの混合物を含む。適切な有機アミンとしては、アルキルアミン、および特に、アルカノールアミン(例えば、モノエタノールアミンおよびジエタノールアミン)が挙げられる。
【0074】
本発明の第一の局面の分散剤を式2のTPOAC酸から作製することは好ましいが、式3のTPOACアルコールから開始することもまた可能である。このTPOACアルコールは、二塩基酸または無水物との反応によって、カルボン酸末端を有するポリマーに転換され、このポリマーは、引き続いて、アミン、ポリアミンまたはポリイミンと反応し得る。このような分散剤は、Xが二塩基酸または無水物の残基である、式1の分散剤である。同様の様式で、式2のTPOAC酸から出発して、硫酸エステル分散剤またはリン酸エステル分散剤を調製することもまた、可能である。これには、式2のTPOAC酸を最初にジオール(例えば、エチレングリコール)と反応させて、ヒドロキシ末端を有するポリマーを得、このポリマーは、引き続いて、硫酸化剤またはリン酸化剤と反応し得る。このような分散剤は、Xがジオールの残基である、式1に対応する。
【0075】
式1においてTが水素である特定の場合において、−(A)(B)−によって表されるポリマー鎖は、末端のヒドロキシ基およびカルボン酸基を有する。このカルボン酸基は、ジオールとの反応によって、末端ヒドロキシ基に転換され得る。その結果、ポリマー鎖−(A)(B)−を含むジオールが得られ、このジオールは、硫酸化剤またはリン酸化剤と反応すると、−(A)(B)−の並びを含む鎖の両端に、硫酸エステル基またはリン酸エステル基を有し得る。
【0076】
本発明の分散剤を作製するために使用される中間体のうちのいくつかは、新規である。従って、本発明のさらなる局面として、式2、式3および式8の化合物が提供される。
【0077】
本明細書中で上に記載されたように、これらの分散剤は、粒子状固体を、有機媒体中、特に、極性有機媒体中に分散させるために、特に有用である。
【0078】
本発明のさらなる局面によれば、粒子状固体と式1の分散剤とを含有する組成物が提供される。
【0079】
本発明のなおさらなる局面によれば、式1の分散剤と、粒子状固体と、有機媒体とを含有する分散組成物が提供される。
【0080】
この分散剤中に存在する固体は、考慮される温度において有機媒体に実質的に不溶性であり、そして微細に分割された形態でその媒体中で安定化することが望ましい、任意の無機固体物質または有機固体物質であり得る。
【0081】
適切な固体の例は、溶媒インクのための顔料;塗料およびプラスチック材料のための顔料、増量剤および充填剤;色素(特に、分散色素);溶媒染浴、インクおよび他の溶媒適用システムのための光学光沢剤および繊維助剤;オイルベースのインバートエマルジョン掘穿泥水のための固体;ドライクリーニング流体中のごみおよび固体;粒子状のセラミック材料;磁性材料および磁気記録媒体;難燃剤(例えば、プラスチック材料において使用されるもの)ならびに有機媒体中の分散物として適用される殺虫剤、農薬および薬剤である。
【0082】
好ましい固体は、例えば、Colour Index(1971)の第3版およびその後の版、ならびにその補遺の、「Pigments」との表題が付いている章に記載される顔料の認識されたクラスのいずれかに基づく顔料である。無機顔料の例は、二酸化チタン、酸化亜鉛、紺青、硫化カドミウム、鉄の酸化物、朱、ウルトラマリン顔料およびクロム顔料(鉛、亜鉛、バリウム、カルシウムおよび混合物の、クロム酸塩、モリブデン酸塩およびクロム酸塩と硫酸塩との混合塩、ならびにその修飾物を含み、これらは、緑色がかった黄色から赤色までの顔料として、プリムローズクロム、レモンクロム、ミドルクロム、オレンジクロム、スカーレットクロム、およびレッドクロムの名称で市販されている)である。有機顔料の例は、アゾ系、ジアゾ系、縮合アゾ系、チオインジゴ系、インダントロン系、イソインダントロン系、アンタントロン系、アントラキノン系、ナトリオベンゾアントロン(sodibenzanthrone)系、トリフェンジオキサジン系、キナクリドン系およびフタロシアニン系から得られるもの(特に、銅フタロシアニンおよびその核ハロゲン化誘導体)、ならびにまた、酸のレーキ、塩基性色素および媒染染料である。カーボンブラックは、厳密には無機物であるが、その分散特性は、有機顔料とかなり類似して挙動する。好ましい有機顔料は、フタロシアニン(特に、銅フタロシアニン)、モノアゾ、ジアゾ、インダントロン、アントラントロン、キナクリドンおよびカーボンブラックである。
【0083】
他の好ましい固体は、増量剤および充填剤(例えば、滑石、カオリン、シリカ、重晶石およびチョーク);粒子状セラミック材料(例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素と窒化アルミニウムとの混合物および金属のチタン酸塩)粒子状の磁性材料(例えば、遷移金属(特に、鉄およびクロム)の磁性酸化物(例えば、γ−Fe、Fe)、およびコバルトをドープされた鉄の酸化物、酸化カルシウム、フェライト(特に、バリウムフェライト);ならびに金属粒子(特に、金属の鉄、ニッケル、コバルトおよびこれらの合金);農薬(例えば、殺真菌剤であるフルトリアフェン(flutriafen)、カルベンダジム、クロロタロニルおよびマンコゼブ(mancozeb))ならびに難燃剤(例えば、アルミニウム三水和物および水酸化マグネシウム)である。
【0084】
本発明の分散剤中に存在する有機媒体は、好ましくは、極性有機媒体、または実質的に非極性の芳香族炭化水素もしくはハロゲン化炭化水素である。用語「極性」とは、有機媒体に関して、Crowleyらによる、表題「A Three Dimensional Approach to Solubility」,Journal of Paint Technology,第38巻,1966,269頁の論文中に記載されるような、中程度から強い結合を形成し得る有機性液体または樹脂を意味する。このような有機媒体は、一般に、上記論文中で定義される場合、5以上の水素結合数を有する。
【0085】
適切な極性有機性液体の例は、アミン、エーテル(特に、低級アルキルエーテル)、有機酸、エステル、ケトン、グリコール、アルコールおよびアミドである。このような中程度に強い水素結合性液体の多数の具体的な例は、Ibert Mellanによる、表題「Compatibility and Solubility」の著書(1968にNoyes Development Corporationにより出版された)の、39−40頁の表2.14に与えられており、そしてこれらの液体の全ては、本明細書中で使用される場合の極性有機性液体との用語の範囲内に入る。
【0086】
好ましい極性有機性液体は、ジアルキルケトン、アルカンカルボン酸とアルカノールとのアルキルエステル(特に、合計6個まで(6個を含む)の炭素原子を含む液体)である。好ましい液体および特に好ましい液体の例として、ジアルキルケトンおよびシクロアルキルケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルn−アミルケトンおよびシクロヘキサノン);アルキルエステル(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、ギ酸エチル、プロピオン酸メチル、メトキシプロピルアセテートおよび酪酸エチル);グリコールならびにグリコールのエステルおよびグリコールのエーテル(例えば、エチレングリコール、2−エトキシエタノール、3−メトキシプロピルプロパノール、3−エトキシプロピルプロパノール、酢酸2−ブトキシエチル、酢酸3−メトキシプロピル、酢酸3−エトキシプロピルおよび酢酸2−エトキシエチル);アルカノール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールおよびイソブタノール)ならびにジアルキルエーテルおよび環状エーテル(例えば、ジエチルエーテルおよびテトラヒドロフラン)が挙げられ得る。
【0087】
単独でかまたは上記極性溶媒との混合物中で使用され得る、実質的に非極性の有機性液体は、炭化水素(例えば、トルエンおよびキシレン)、脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン)、石油蒸留物(例えば、石油エーテル、鉱油)、植物油、ならびにハロゲン化脂肪族炭化水素およびハロゲン化芳香族炭化水素(例えば、トリクロロエチレン、パークロロエチレンおよびクロロベンゼン)である。
【0088】
本発明の分散形態のための媒体として適切な極性樹脂の例は、フィルム形成樹脂(例えば、インク、塗料ならびに種々の用途(例えば、塗料およびインク)において使用するためのチップの調製のために適切なもの)である。このような樹脂の例としては、ポリアミド(例えば、VersamidTMおよびWolfamidTM)、ならびにセルロースエーテル(例えば、エチルセルロースおよびエチルヒドロキシエチルセルロース)が挙げられる。塗料樹脂の例としては、短油アルキド/メラミン−ホルムアルデヒド、ポリエステル/メラミン−ホルムアルデヒド、熱硬化性アクリル/メラミン−ホルムアルデヒド、ロングオイルアルキドおよびマルチメディア樹脂(multi−media resin)(例えば、アクリルおよび尿素/アルデヒド)が挙げられる。
【0089】
この樹脂はまた、不飽和ポリエステル樹脂(強化繊維および充填剤を用いて処方され得る、いわゆるシートモールディングコンパウンドおよびバルクモールディングコンパウンドが挙げられる)であり得る。このようなモールディングコンパウンドは、独国特許第3,643,007号およびP F Bruinsによる、表題「Unsaturated Polyester Technology」のモノグラフ,Gordon and Breach Science publishers,1976,211−238頁に記載されている。
【0090】
所望であれば、これらの分散物は、他の成分(例えば、樹脂(これらの樹脂が有機媒体をまだ構築していない場合)、結合剤、流動化剤(例えば、英国特許出願公開第1508576号および英国特許出願公開第2108143号に記載されるもの)、沈降防止剤、可塑剤、レベリング剤および防腐剤)を含有し得る。
【0091】
これらの分散物は、代表的に、5重量%〜95重量%の固体を含有し、その正確な量は、その固体の性質に依存し、そしてその量は、その固体の性質、およびその固体と有機媒体との相対密度に依存する。例えば、固体が有機物質(例えば、有機顔料)である分散物は、好ましくは、この分散物の総重量に基づいて、15重量%〜60重量%の固体を含有し、一方で、固体が無機物質(例えば、無機顔料、充填剤または増量剤)である分散物は、好ましくは、この分散物の総重量に基づいて、40重量%〜90重量%の固体を含有する。
【0092】
この分散物は、分散物を調製するための公知の従来の方法のいずれかによって、得られ得る。従って、固体、有機媒体および分散剤は、任意の順序で混合され得、次いで、この混合物は、分散物が形成されるまで、機械的処理(例えば、ボールミル、ビーズミル(bead milling)、礫ミル(gravel milling)またはプラスチックミル)に供されて、固体の粒子を適切なサイズまで縮小させる。あるいは、この固体は、その粒子サイズを減少させるために、独立して処理されても、有機媒体または分散剤いずれかとの混合物として処理されてもよく、その後、他の成分が添加されて、この混合物が攪拌され、分散物を提供する。
【0093】
乾燥形態の組成物が必要とされる場合、液体媒体は、好ましくは、揮発性であり、その結果、この液体媒体は、単純な分離手段(例えば、蒸発)によって、固体状粒子から容易に除去され得る。しかし、この分散物は、液体媒体を含有することが好ましい。
【0094】
乾燥組成物が、分散剤と固体状粒子とから本質的になる場合、粒子状固体の重量に基づいて、好ましくは、少なくとも0.2%、より好ましくは、少なくとも0.5%、そして特に、少なくとも1.0%の分散剤を含有する。好ましくは、この乾燥組成物は、粒子状固体の重量に基づいて、100重量%以下、好ましくは、50重量%以下、より好ましくは、20重量%以下、そして特に、10重量%以下を含有する。
【0095】
本明細書中で先に記載されたように、本発明の分散剤は、粒子状固体とフィルム形成樹脂結合剤との両方の存在下で、粒子状固体が液体媒体中で粉砕される、ミルベースを調製するために特に適切である。
【0096】
従って、本発明のなおさらなる局面によれば、粒子状固体と、分散剤と、フィルム形成樹脂とを含有する、ミルベースが提供される。
【0097】
代表的に、ミルベースは、このミルベースの総重量に基づいて、20重量%〜70重量%の粒子状固体を含有する。好ましくは、この粒子状固体は、このミルベースの30重量%以上、そして特に、50重量%以上である。
【0098】
ミルベース中の樹脂の量は、広い限度にわたって変動し得るが、好ましくは、このミルベースの連続相/液相の10重量%以上、そして特に、20重量%以上である。好ましくは、樹脂の量は、このミルベースの連続相/液相の50重量%以下、そして特に、40重量%以下である。
【0099】
ミルベース中の分散剤の量は、粒子状固体の量に依存するが、好ましくは、このミルベースの0.5重量%〜5重量%である。
【0100】
本発明の分散剤を含有する分散物およびミルベースは、塗料(特に、固形分が多い塗料)、インク(特に、フレキソグラフ印刷のインク、グラビア印刷のインク、およびスクリーン印刷のインク)、ならびに非水性セラミックプロセス(特に、テープコーティング、ドクターブレード、押出し成形および射出成形型のプロセス)において使用するために、特に適切である。
【0101】
本発明の分散剤は、ポリエステル/ポリアミド鎖の代わりにポリエステル鎖を含む類似の分散剤より優れた利点を示す。これらの利点としては、粒子状固体と、分散剤と、極性有機媒体とを含有する分散物(特に、粒子状固体が有機顔料である場合)の改善された流動性が挙げられる。
【0102】
本発明は、以下の実施例によって、さらに説明される。この実施例において、量に対する全ての言及は、逆のことが示されない限り、重量部である。
【実施例】
【0103】
(ベース分散剤)
(実施例1 LA1,Cap 6,ACA 6,PEI(13:1))
6−アミノカプロン酸(26.24部、0.2M(例えば、Aldrich))およびε−カプロラクトン(22.83部、0.2M(例えば、Aldrich))を、190℃まで加熱し、そして窒素下で15分間攪拌した。得られたポリエステル/ポリアミンは、216.03mg KOH/gの酸価を有した。ラウリン酸(6.67部、0.033M(例えば、Aldrich))を、109℃で添加し、次いで、酪酸ジルコニウム(0.2部)を添加した。200℃で4時間攪拌することによって、この反応を続け、36.52mg KOH/gの酸価を有するTPOAC酸を得た。次いで、この温度を120℃まで低下させ、そしてポリエチレンイミン(3.2部、SP 200,MW 10,000(例えば、Nippon Shokubai))を添加し、そしてその反応物質を、120℃で6時間、窒素下で攪拌した。この生成物は、淡黄色の液体として得られ、この生成物は、20℃まで冷却した後に、淡黄色の蝋(44部)を与えた。これは、分散剤1である。
【0104】
(実施例2〜6)
以下の表1に示される出発物質を、実施例1において使用されたアミノカプロン酸、ラウリン酸およびε−カプロラクトンの代わりに使用したことを除いて、実施例1を繰り返した。これらの成分のモル比は、表1に示されている。表1における分散剤の全ては、TPOAC酸対PEIの重量比が13:1である、ポリエチレンイミンSP 200(PEI)を使用した。
【0105】
(表1)
【0106】
【表1】

表1の脚注
LAは、ラウリン酸(例えば、Aldrich)である。
capは、ε−カプロラクトン(例えば、Aldrich)である。
4−ABAは、4−アミノ酪酸(例えば、Aldrich)である。
11−AUDAは、11−アミノウンデカン酸(例えば、Aldrich)である。
ALは、β−アラニン(例えば、Aldrich)である。
SAは、サルコシン(例えば、Aldrich)である。
【0107】
(実施例7〜10 適用)
分散剤(0.45部)を、攪拌および必要に応じて加熱しながら溶媒(7.55部)に溶解した。20℃まで冷却した後に、顔料(2部、Monolite Rubine 3B(例えば、Heubach))および直径3mmのガラスビーズ(16部)を添加し、そしてこの分散剤を、水平振盪器で16時間粉砕した。その流動性を、手での振盪によって、任意の尺度A(良好)〜E(乏しい)を使用して評価した。
【0108】
これらの結果を、以下の表2に与える。
【0109】
(表2)
(流動性)
【0110】
【表2】

表2の脚注
溶媒Aは、メトキシプロピルアセテート/n−ブタノール(4:1)である。
溶媒Bは、トルエンである。
溶媒Cは、メトキシプロピルアセテート/n−ブタノール(1:4)である。
溶媒Dは、エタノールである。
コントロール1は、ラウリン酸と重合し、PEI(MW 10,000)と反応した、ε−カプロラクトンである。
コントロール2には、薬剤が添加されておらず、そしてその処方物は、過剰の溶媒を用いて量を合わせられている。
【0111】
(実施例11)
6−アミノカプロン酸(201部、1.53M(例えば、Aldrich))およびε−カプロラクトン(175部、1.53M(例えば、Aldrich))を、190℃まで加熱し、そして窒素下で30分間攪拌した。得られたポリエステル/ポリアミンは、179mg KOH/gの酸価を有した。ラウリン酸(51.24部、0.25M(例えば、Aldrich))を、109℃で添加し、次いで、酪酸ジルコニウム(1部)を添加した。185℃で6時間攪拌することによって、この反応を続け、39.15mg KOH/gの酸価を有するTPOAC酸を得た。次いで、この温度を120℃まで低下させ、そしてポリエチレンイミン(101部、SP 200,MW 10,000(例えば、Nippon Shokubai))を添加し、そしてその反応物質を、120℃で6時間、窒素下で攪拌した。その生成物は、淡黄色の液体として得られ、この生成物は、20℃まで冷却した後に、褐色のガム状物(500部)を与えた。これは、分散剤7である。
【0112】
(実施例12〜15)
以下の表3に示される出発物質を、実施例1において使用されたアミノカプロン酸、ラウリン酸、ε−カプロラクトンおよびポリエチレンイミンSP 200(PEI)の代わりに使用したことを除いて、実施例1を繰り返した。これらの成分のモル比、およびポリエステルポリアミド(TPOAC酸)対PEIの重量比は、以下の表3に示されるとおりである。
【0113】
(表3)
【0114】
【表3】

表3の脚注
MAAは、メトキシ酢酸(例えば、Aldrich)である。
capは、ε−カプロラクトン(例えば、Aldrich)である。
6−ACAは、6−アミノカプロン酸(例えば、Aldrich)である。
4−ABAは、4−アミノ酪酸(例えば、Aldrich)である。
HDAは、Isocarb 16(2−ヘキシルデカン酸)(例えば、Sasol)である。
SP030およびSP075は、それぞれ、3000および7500のMnを有するポリエチレンイミン(例えば、Nippon Shokubai)である。
PAA15は、MW 15000を有するポリアリルアミン(例えば、Nitto Boseki Co Ltd.)である。
【0115】
(実施例16)
分散剤10(32部)を、無水コハク酸(0.8部)と一緒に、80℃で、窒素雰囲気下で3時間攪拌し、金色の液体(31部)を得た。これは、分散剤12である。
【0116】
(実施例17)
分散剤10(HDA1,cap 5,4−ABA 5)のTPOAC酸(40部)と、リシノール酸およびカプロラクトンを含むポリエステル鎖(10部)(米国特許第6,787,600号のポリエステル11に概説される方法によって調製した)とを、90℃で10分間、窒素雰囲気下で一緒に攪拌し、次いで、ポリエチレンイミンSP050(Mn 5000,(例えば、Nippon Shokubai))(3.85部)を添加した。この混合物全体を、120℃で6時間攪拌して、金色の粘性の液体を得た。これは、分散剤13である。
【0117】
(実施例18)
6−アミノカプロン酸(52.24部、0.398M(例えば、Aldrich))およびε−カプロラクトン(45.45部、0.398M(例えば、Aldrich))を、190℃まで加熱し、そして窒素下で30分間攪拌した。得られたポリエステル/ポリアミンは、179mg KOH/gの酸価を有した。ラウリン酸(13.29部、0.066M(例えば、Aldrich))を、109℃で添加し、次いで、酪酸ジルコニウム(1部)を添加した。185℃で6時間攪拌することによって、この反応を続け、36.9mg KOH/gの酸価を有するTPOAC酸を得た。次いで、この温度を115℃まで低下させ、そして3−ジメチルアミノプロピルアミン(3.35部、0.033M)を添加し、そしてその反応物質を、185℃で8時間、窒素下で攪拌した。冷却すると、その生成物が、ベージュ色の蝋として得られ、これは、20.3mg KOH/gの酸価を有した。これは、分散剤14である。
【0118】
(実施例19)
分散剤14(50部)および硫酸ジメチル(1.63部、0.013M(例えば、Aldrich))を、90℃で6時間、窒素雰囲気下で攪拌して、冷却すると、ベージュ色の蝋(50部)が得られた。これは、分散剤15である。
【0119】
(実施例20)
ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(105部、0.3M(例えば、Aldrich))、4−アミノ酪酸(55.68部、0.54M(例えば、Aldrich))およびε−カプロラクトン(61.63部、0.54M(例えば、Aldrich))190℃で20分間、窒素雰囲気下で攪拌して、69.1mg KOH/gの酸価および16135の塩基当量を有する、金色の液体を得た。温度を150℃まで低下させ、そして酪酸ジルコニウム(0.5部)を添加した。この混合物の温度を190℃まで上昇させ、そして6時間攪拌した。淡褐色の液体(210部)が得られ、これは、1.1mg KOH/gの酸価を有した。これは、中間体1である。
【0120】
ポリリン酸(3.85部)を、中間体1(50部)に添加し、そしてその混合物全体を、90℃で6時間、窒素雰囲気下で攪拌して、褐色の液体(53部)を得た。これは、分散剤16である。
【0121】
ポリリン酸(6.46部)を、中間体1(42部)に添加し、そしてその混合物全体を、90℃で6時間、窒素雰囲気下で攪拌して、褐色の液体(53部)を得た。これは、分散剤17である。
【0122】
(実施例21〜29)
(適用)
上記分散剤(0.45部)を、攪拌および必要に応じて加熱しながら、溶媒(7.55部)に溶解した。20℃まで冷却した後に、顔料(2部、Monolite Rubine 3B(例えば、Heubach))および直径3mmのガラスビーズ(16部)を添加し、そしてこの分散剤を、水平振盪器で16時間粉砕した。その流動性を、手での振盪によって、任意の尺度A(良好)〜E(乏しい)を使用して評価した。
【0123】
これらの結果を、以下の表4に与える。
【0124】
(表4)
(流動性)
【0125】
【表4】

(実施例30〜31)
(適用)
上記分散剤(0.25部)を、必要に応じて攪拌しながら、エタノール74OP(6.75部)に溶解した。べんがら顔料(3部、Sicotrans Red L2817(例えば、BASF))および直径3mmのガラスビーズ(16部)を添加し、そしてこの分散剤を、水平振盪器で16時間粉砕した。その流動性を、手での振盪によって、任意の尺度A(良好)〜E(乏しい)を使用して評価した。
【0126】
これらの結果を、以下の表5に与える。
【0127】
上記分散剤(0.2部)を、必要に応じて攪拌しながら、エタノール74OP(2.3部)に溶解した。二酸化チタン顔料(7.5部、Tioxide TR92(例えば、Huntsman))および直径3mmのガラスビーズ(16部)を添加し、そしてこの分散剤を、水平振盪器で16時間粉砕した。その流動性を、手での振盪によって、任意の尺度A(良好)〜E(乏しい)を使用して評価した。
【0128】
これらの結果を、以下の表5に与える。
【0129】
(表5)
(流動性)
【0130】
【表5】

表5の脚注
コントロール2には、薬剤が添加されておらず、そしてその処方物は、過剰の溶媒を用いて量を合わせられている。
コントロール3は、ドデカノールと重合し、そして互酸化リンと反応したε−カプロラクトンである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1:
T−(A)(B)−X−Z−Q(0−p) 式(1)
の塩を含めた、式1の分散剤であって、式1において、
Tは、水素または重合停止基であり;
Aは、ヒドロキシカルボン酸またはそのラクトンの残基であり;
Bは、アミノカルボン酸の残基であり;
Xは、直接結合または二価の連結基であり;
Zは、酸性基または塩基性基、あるいは酸性基または塩基性基を含む部分であり;
Qは、オキシド、尿素、または二塩基酸もしくはその無水物であり、Zによって表される塩基性基または塩基性基を含む部分に結合しており;
mおよびnは、正の整数であり、
m+nは、4〜2000であり;
(0−p)は、値0〜値pを意味し;
pは、基T−(A)(B)−X−を有さないZにおけるアミノ基および/またはイミノ基の、最大の利用可能な数を表し;
そしてZが多価である場合、Zに結合した1個より多くの基T−(A)(B)−X−が存在し得、そして該1個より多くの基は、化学的に同一であっても異なっていてもよい、分散剤。
【請求項2】
Tが、カルボン酸R−COOHまたはアルコールR−OHの残基であり、ここで、Rは、必要に応じて置換されたC1−50−ヒドロカルビルである、請求項1に記載の分散剤。
【請求項3】
Rは、直鎖であっても分枝鎖であってもよい、必要に応じて置換されたアルキルである、請求項2に記載の分散剤。
【請求項4】
Rが1個以上のエーテル基を含む、請求項2または請求項3のいずれか1項に記載の分散剤。
【請求項5】
Aが、ヒドロキシ−C2−20−アルケニレンカルボン酸もしくは好ましくはヒドロキシ−C1−20−アルキレンカルボン酸、またはそのラクトンの残基である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の分散剤。
【請求項6】
前記ラクトンが、ε−カプロラクトンである、請求項5に記載の分散剤。
【請求項7】
Bが、アミノ−C2−20−アルケニレンカルボン酸または好ましくはアミノ−C1−20−アルキレンカルボン酸の残基である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の分散剤。
【請求項8】
前記アミノ−C1−20−アルキレンカルボン酸が、6−アミノカプロン酸、4−アミノ酪酸、β−アラニンまたはサルコシンである、請求項7に記載の分散剤。
【請求項9】
m+nが、20以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の分散剤。
【請求項10】
mがn以下である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の分散剤。
【請求項11】
前記分散剤が、式4:
T−(A)(B)− 式(4)
の少なくとも2つの鎖を有する、ポリビニルアミン、ポリアリルアミンまたは特にポリ(C2−4−アルキレンイミン)を含み、式4において、T、A、B、mおよびnは、請求項1において定義されたとおりである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の分散剤。
【請求項12】
前記分散剤が、式5:
【化1】

によって表され、式5において、
X−*−*−Xは、ポリビニルアミン、ポリアリルアミンまたはポリ(C2−4−アルキレンイミン)を表し;
Yは、鎖T−(A)−(B)−を表し、該鎖は、アミド結合および/または塩結合を介して結合しており;
T、A、B、mおよびnは、請求項1において定義されたとおりであり;そして
rは、4〜2000である、
請求項1〜11のいずれか1項に記載の分散剤。
【請求項13】
X−*−*−X対Yの重量比が、20:1〜5:1である、請求項12に記載の分散剤。
【請求項14】
Yが、式7:
【化2】

によって表される鎖残基を表し、式7において、
は、水素またはC1−4−アルキルであり;そして
は、10個までの炭素原子を含む脂肪族残基または芳香族残基であり、該脂肪族残基または芳香族残基は、プロピレンオキシドおよび/またはエチレンオキシドから誘導されるポリエーテル残基を必要に応じて含む、
請求項12に記載の分散剤。
【請求項15】
式9:
【化3】

によって表される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の分散剤であって、式9において、
Rは、必要に応じて置換されたC1−50−ヒドロカルビルであり;
A、B、mおよびnは、請求項1において定義されたとおりであり;
Lは、スルフェート、ピロホスフェートまたは特に、オルトホスフェートであり;
Mは、陽イオンであり;そして
wは、1または2であり、
これらの混合物を含む、分散剤。
【請求項16】
請求項1〜13のうちのいずれか1項に記載される分散剤を作製するためのプロセスであって、該プロセスは、式2:
R−CO(A)(B)−OH 式(2)
のTPOAC酸を、ポリアリルアミン、ポリビニルアミンまたはポリ(C2−4−アルキレンイミン)と、50℃〜250℃の温度で、好ましくは、不活性雰囲気で、反応させる工程を包含する、プロセス。
【請求項17】
請求項14に記載の分散剤を作製するためのプロセスであって、該プロセスは、式8:
【化4】

の化合物を、ポリビニルアミン、ポリアリルアミンまたはポリ(C2−4−アルキレンイミン)と、10℃〜130℃の温度で反応させる工程を包含する、プロセス。
【請求項18】
請求項15に記載の分散剤を作製するためのプロセスであって、該プロセスは、式3:
RO(A)(B)−H 式(3)
のTPOACアルコールを、リン酸化剤と、25℃〜150℃の温度で、不活性雰囲気で反応させる工程を包含し、TPOACアルコール対該リン酸化剤の各リン原子の比は、3:1〜1:3である、プロセス。
【請求項19】
粒子状固体と、請求項1〜15のうちのいずれか1項に記載の分散剤とを含有する、組成物。
【請求項20】
有機性液体をさらに含有する、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
粒子状固体と、有機性液体と、フィルム形成結合剤樹脂と、請求項1〜15のいずれか1項に記載の分散剤とを含有する、ミルベース、塗料またはインク。
【請求項22】
前記有機性液体が、極性有機性液体である、請求項20に記載の組成物あるいは請求項21に記載のミルベース、塗料またはインク。
【請求項23】
式2:
R−CO(A)(B)−OH 式(2)
のTPOAC酸であって、式2において、
Rは、必要に応じて置換されたC1−50−ヒドロカルビルであり;
Aは、ヒドロキシカルボン酸またはそのラクトンの残基であり;
Bは、アミノカルボン酸の残基であり;
mおよびnは、正の整数であり;そして
m+nは、4〜2000である、
TPOAC酸。
【請求項24】
式3:
RO(A)(B)−H 式(3)
のTPOACアルコールであって、式3において、
Rは、必要に応じて置換されたC1−50−ヒドロカルビルであり;
Aは、ヒドロキシカルボン酸またはそのラクトンの残基であり;
Bは、アミノカルボン酸の残基であり;
mおよびnは、正の整数であり;そして
m+nは、4〜2000である、
TPOACアルコール。
【請求項25】
式8:
【化5】

の化合物であって、式8において、
は、水素またはC1−4−アルキルであり;
は、10個までの炭素原子を含む脂肪族残基または芳香族残基であり、該脂肪族残基または芳香族残基は、プロピレンオキシドおよび/またはエチレンオキシドから誘導されるポリエーテル残基を必要に応じて含み;
Rは、必要に応じて置換されたC1−50−ヒドロカルビルであり;
Aは、ヒドロキシカルボン酸またはそのラクトンの残基であり;
Bは、アミノカルボン酸の残基であり;
mおよびnは、正の整数であり;そして
m+nは、4〜2000である、
化合物。

【公表番号】特表2008−536664(P2008−536664A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−506622(P2008−506622)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/013604
【国際公開番号】WO2006/113258
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(506347528)ルブリゾル アドバンスド マテリアルズ, インコーポレイテッド (74)
【Fターム(参考)】