加圧過熱蒸気調理器
【課題】過熱蒸気によって加圧状態で加熱調理を行う。
【解決手段】蒸気調理器11の加熱室12の側壁12aに、過熱蒸気発生装置4と調理容器5とを接続するための接続部13を取り付ける。調理容器5を加熱室12内に配置して接続部13に装着すると、接続部13は、過熱蒸気発生装置4と調理容器5とを連通させて、過熱蒸気発生装置4からの加圧過熱蒸気を調理容器5に導く。一方、調理容器5を接続部13から離脱させて加熱室12から取り出すと、接続部13は、過熱蒸気発生装置4と調理容器5との間を遮断して、過熱蒸気発生装置4からの加圧過熱蒸気を加熱室12側に導く。こうして、調理容器5において被加熱物6に対する過熱蒸気による加圧状態での焼き調理を行うことができ、水分が少なくなることによる常圧状態での焼き調理とは違った食感が得られ、食材が軟らかくなる。
【解決手段】蒸気調理器11の加熱室12の側壁12aに、過熱蒸気発生装置4と調理容器5とを接続するための接続部13を取り付ける。調理容器5を加熱室12内に配置して接続部13に装着すると、接続部13は、過熱蒸気発生装置4と調理容器5とを連通させて、過熱蒸気発生装置4からの加圧過熱蒸気を調理容器5に導く。一方、調理容器5を接続部13から離脱させて加熱室12から取り出すと、接続部13は、過熱蒸気発生装置4と調理容器5との間を遮断して、過熱蒸気発生装置4からの加圧過熱蒸気を加熱室12側に導く。こうして、調理容器5において被加熱物6に対する過熱蒸気による加圧状態での焼き調理を行うことができ、水分が少なくなることによる常圧状態での焼き調理とは違った食感が得られ、食材が軟らかくなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、過熱蒸気により加圧状態で加熱調理を行う加圧過熱蒸気調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
加圧しながら被加熱物を加熱調理する器具として、特開平3‐68313号公報(特許文献1)に開示されているように、耐圧鍋内に水と調理物とを入れ、マイクロウェーブで加熱する調理器具がある。
【0003】
上記特許文献1に開示された調理器具では、耐圧鍋と密閉蓋とでなる調理器具本体の上記耐圧鍋の載置部下方に水を入れると共に、上記載置部上に調理物を載置して上記密閉蓋を装着する。そして、この調理器具本体を電子レンジの調理部に収容して、電子レンジのスイッチを入れる。そうすると、上記耐圧鍋の外方より照射されるマイクロウェーブは、マイクロウェーブの透過性材質で形成された上記耐圧鍋内に殆ど吸収損失を受けることなく浸透して、上記耐圧鍋内の調理物を内部から加熱する。
【0004】
それと共に、上記耐圧鍋内に浸透したマイクロウェーブによって上記耐圧鍋内の水が沸騰蒸発され、上記沸騰蒸発した蒸気が上記耐圧鍋内に充満して上記調理器具本体内が加圧されると共に、内圧調節弁によって所定圧力に調節されて、上記調理物からの水分の蒸発が防がれる。こうして、上記調理物の表皮における皺の発生が防止され、外観的美観の喪失が無くなる。また、マイクロウェーブを用いることによって、調理時間の短縮が図られる。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された従来の調理器具では、飽くまでも上記調理物を加熱するための熱源はマイクロウェーブであり、上記耐圧鍋内の水が沸騰蒸発した蒸気は、上記調理物からの水分の蒸発を防ぐためのものであり、上記調理物の加熱調理における補助的な機能しか持たない。したがって、上記耐圧鍋内の水が蒸発した蒸気では、蒸し調理や煮込み調理はできないという問題がある。
【0006】
さらに、調理時に補助的に使用される上記蒸気は、上記調理器具本体の上記耐圧鍋に入れた水を、マイクロウェーブによって間接的に加熱することによって発生される。そのため、上記沸騰蒸発した蒸気は、上記耐圧鍋内に充満するもののそれ以上に加熱されることが無く、過熱蒸気とはなり得ない。したがって、上記調理器具では、過熱蒸気によって上記調理物を焼くことにより、焼き調理時に焼き色を付けると共にしっとりとした仕上がり状態を得ることができないという問題がある。
【0007】
尚、上記特許文献1に開示された調理器具において、加圧過熱蒸気を発生させるには、マイクロウェーブだけでは熱量が不足し、上記電子レンジの調理庫内に、上記調理器具本体内の蒸気を加熱するためのヒータを設置し、上記調理器具本体の外から上記調理器具本体を加熱する必要がある。但し、その場合には、上記ヒータは、上記調理器具本体内の水および蒸気を間接的に加熱することになり、過熱蒸気を得るための多量の水を確保し、大きな熱容量を得るために、上記調理器具本体の容量を大きくする必要があるという問題がある。また、上記マイクロウェーブによって上記調理物を直接加熱する場合に比して、調理時間が長くなってしまうという問題もある。
【0008】
さらには、上記調理器具本体内に予め水が入っているため、調理中に調理の内容に応じて水の量や吸排動作を制御することは不可能であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平3‐68313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、この発明の課題は、過熱蒸気によって加圧状態で被加熱物を加熱調理できる加圧過熱蒸気調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、この発明の加圧過熱蒸気調理器は、
加熱調理を行うための加熱室と、
上記加熱室内に配置されると共に、上記加熱室の外部から加圧過熱蒸気が供給されて、加圧過熱蒸気による加熱調理を行うための調理容器と、
上記加熱室の外部に設置されると共に、加圧過熱蒸気を生成する加圧過熱蒸気生成装置と、
上記加熱室に取り付けられると共に、上記加熱室内に配置された上記調理容器の接続部材が着脱可能になっており、上記接続部材が装着されると上記加圧過熱蒸気生成装置と上記調理容器とを連通させる一方、上記接続部材が離脱すると上記加圧過熱蒸気生成装置と上記調理容器との間を遮断する接続部と
を備えたことを特徴としている。
【0012】
上記構成によれば、被加熱物が収納された調理容器を加熱室内に配置すると共に、上記加熱室に取り付けられた接続部に上記調理容器の接続部材を装着すると、上記加熱室の外部に設置された加圧過熱蒸気生成装置と上記調理容器とが連通されて、上記加圧過熱蒸気生成装置で生成された加圧過熱蒸気が上記調理容器に供給される。したがって、上記調理容器において、上記被加熱物に対する過熱蒸気による加圧状態での焼き調理を行うことができる。
【0013】
その場合、上記被加熱物の水分が少なくなることによって常圧での焼き調理とは違った食感を得ることができると共に、食材が軟らかくなる等の効果を奏することができる。
【0014】
また、1実施の形態の加圧過熱蒸気調理器では、
上記調理容器あるいは上記加圧過熱蒸気生成装置には、内部における加圧過熱蒸気の圧力が予め設定された第1設定圧力に至ると開放して内部の加圧過熱蒸気を逃がす第1安全弁が設けられている。
【0015】
この実施の形態によれば、上記調理容器内あるいは上記加圧過熱蒸気生成装置内の圧力が予め設定された第1設定圧力に至ると、上記第1安全弁によって上記調理容器および上記加圧過熱蒸気生成装置の内部の加圧過熱蒸気が逃がされる。こうして、上記調理容器あるいは上記加圧過熱蒸気生成装置の破損等が無く、安全に過熱蒸気による加圧状態での焼き調理を行うことができる。
【0016】
また、1実施の形態の加圧過熱蒸気調理器では、
上記調理容器には、内部における加圧過熱蒸気の圧力が、予め上記第1設定圧力よりも低く設定された第2設定圧力に至ったことを示すインジケータが設けられている。
【0017】
この実施の形態によれば、使用者は、上記インジケータによって上記調理容器内の圧力が所望の上記第2設定圧力に至ったことを知ることができ、所望の圧力での加圧過熱蒸気による焼き調理が正しく行われていることを確認できる。
【0018】
また、1実施の形態の加圧過熱蒸気調理器では、
上記調理容器あるいは上記加圧過熱蒸気生成装置には、外部からの制御信号によって強制的に開放されて内部の加圧過熱蒸気を逃がす第2安全弁が設けられている。
【0019】
この実施の形態によれば、上記第2安全弁の機能によって、加圧過熱蒸気による調理が終了した際に、外部から制御信号を上記第2安全弁に与えて上記調理容器および上記加圧過熱蒸気生成装置の内部の加圧過熱蒸気を逃がすことによって、上記調理容器内の圧力を急激に下げることができる。こうして、被加熱物の焼き過ぎを防止することができる。
【0020】
また、1実施の形態の加圧過熱蒸気調理器では、
上記加圧過熱蒸気生成装置における上記第1安全弁よりも上流側には、上記加圧過熱蒸気生成装置内の圧力が予め上記第1設定圧力よりも高く設定された第3設定圧力に至ると開放する第3安全弁が設けられている。
【0021】
この実施の形態によれば、上記加圧過熱蒸気生成装置内の圧力が、上記第1設定圧力よりも高く設定された第3設定圧力に至ると、上記第3安全弁によって内部の蒸気が逃がされる。こうして、上記第1安全弁と上記第3安全弁とで二段階に過加圧防止を行うことによって、過熱蒸気による加圧状態での焼き調理を行う際の安全性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上より明らかなように、この発明の加圧過熱蒸気調理器は、被加熱物が収納された調理容器を加熱室内に配置すると共に、上記加熱室の壁に取り付けられた接続部に上記調理容器の接続部材を装着すると、上記加熱室の外部に設置された加圧過熱蒸気生成装置と上記調理容器とが連通されるので、上記加圧過熱蒸気生成装置で生成された加圧過熱蒸気を上記調理容器に供給することができる。したがって、上記調理容器において、上記被加熱物に対する過熱蒸気による加圧状態での焼き調理を行うことができる。
【0023】
その場合、上記被加熱物の水分が少なくなることによって常圧での焼き調理とは違った食感を得ることができると共に、食材が軟らかくなる等の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の加圧過熱蒸気調理器における基本構成を示す概念図である。
【図2】第1実施の形態の加圧過熱蒸気調理器における正面図である。
【図3】図2に関する側面図である。
【図4】図2および図3における接続部の動作説明図であり、調理容器が接続部に装着された状態を示す図である。
【図5】図4において調理容器が接続部から離脱した状態を示す図である。
【図6】図2および図3における接続部の図4および図5とは異なる動作説明図であり、調理容器が接続部から離脱した状態を示す図である。
【図7】図6において調理容器が接続部に装着された状態を示す図である。
【図8】第2実施の形態の加圧過熱蒸気調理器における正面図である。
【図9】図8に関する側面図である。
【図10】図8及び図9に示す加圧過熱蒸気調理器の変形例における側面図である。
【図11】図8〜図10における排気ダクトの構成例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0026】
図1は、本実施の形態の加圧過熱蒸気調理器における基本構成を示す概念図である。図1において、1は水タンク、2はポンプ、3は蒸気発生装置、4は過熱蒸気発生装置、5は調理容器である。水タンク1からポンプ2で蒸気発生装置3に供給された水3aは、蒸気発生装置3内のヒータ(図示せず)によって加熱沸騰されて、飽和蒸気が発生する。この飽和蒸気は、蒸気発生装置3内に充満させることによって加圧され、蒸気圧によって過熱蒸気発生装置4に流れ込む。過熱蒸気発生装置4内にはヒータ(図示せず)が設置されており、供給された高圧の飽和蒸気が上記ヒータによって加熱され、高圧の過熱蒸気となる。そして、この高圧の過熱蒸気は、蒸気圧によって調理容器5に流れ込む。尚、過熱蒸気発生装置4内の上記ヒータを停止させれば、調理容器5には、蒸気発生装置3で発生された高圧の飽和蒸気がそのまま供給されることになる。
【0027】
上記調理容器5内には、被加熱物6を載置するための網7が設置されており、供給された高圧の過熱蒸気あるいは高圧の飽和蒸気によって、被加熱物6が加圧状態で加熱調理される。例えば、高圧の過熱蒸気が供給された場合には、上記過熱蒸気による加圧状態での焼き調理が行われ、高圧の飽和蒸気が供給された場合には、上記飽和蒸気による加圧状態での蒸し調理あるいは加圧状態での煮込み調理が行われる。
【0028】
また、上記調理容器5には、開閉可能な扉(図示せず)が設けられている。この扉は、開放することによって調理容器5の内部に被加熱物6を入れることができ、閉鎖することによって調理容器5の内部を密閉できる構造になっている。また、上記扉を含めて調理容器5は、耐圧構造を有している。
【0029】
ここで、上記高圧の過熱蒸気によって焼き調理を行った場合には、少ない水分で焼き調理が行われるため、常圧の過熱蒸気によって焼き調理を行った場合とは違った食感が得られるという特徴がある。例えば、1.8気圧の過熱蒸気によってジャガイモを焼いた場合には、常圧(1気圧)の過熱蒸気で焼いた場合に比して、水分が少ないためホクホクして栗に似た食感が得られ、甘みが増した感じになる。尚、高圧化による食材の水分減少の程度は、1気圧の過熱蒸気によって焼き調理を行った場合には0.5%の水分減少であるのに対し、1.8気圧の過熱蒸気によって焼き調理を行った場合には1.6パーセントの水分減少である。さらに加えて、食材が軟らかくなり、食材内部の昇温速度が速くなるという特徴がある。
【0030】
また、上記高圧の飽和蒸気によって蒸し調理あるいは煮込み調理を行った場合には、加圧によって被加熱物の沸点が上がるので、短時間で調理が終了し、食材が軟らかくなるという特徴がある。
【0031】
ところで、上記構成において、圧力変化に対して不安定となるジョイント数を減らすために、過熱蒸気発生装置4は独立した構造とはせずに、蒸気発生装置3から調理容器5までの経路自体を加熱する構造とすることが望ましい。つまり、蒸気発生装置3と、過熱蒸気発生装置4と、調理容器5と、蒸気発生装置3および過熱蒸気発生装置4を接続する蒸気経路と、過熱蒸気発生装置4および調理容器5を接続する過熱蒸気経路とを、一体に構成することが望ましい。また、ポンプ2は圧力に強いチューブポンプとし、ポンプ2から調理容器5までが同一圧力に加圧される。
【0032】
さらに、上記蒸気発生装置3と調理容器5とには、内部圧が一定圧を超えないようにする安全弁8および安全弁9が取り付けられている。また、調理容器5には、調理容器5内が所定圧力以上になると持ち上がって、調理容器5内が所定圧力に達したことを調理者に知らせる上記インジケータとしての高圧ピン10が取り付けられている。
【0033】
ここで、上記蒸気発生装置3の安全弁8と調理容器5の安全弁9とは、異なる圧力(例えば、安全弁8>安全弁9)で動作するように構成されている。このように、二段階に過加圧防止を行うことによって、安全性の向上を図ることができる。
【0034】
以下、上述のような基本構成を有する加圧過熱蒸気調理器の具体的な実施の形態について、説明する。
【0035】
・第1実施の形態
図2は、本実施の形態の加圧過熱蒸気調理器における概略構成を示す正面図であり、図3は側面図である。本実施の形態における加圧過熱蒸気調理器は、図1に示す基本構成の場合と同様に、水タンク1,ポンプ2,蒸気発生装置3,過熱蒸気発生装置4および調理容器5が、順次連結されて配置されている。尚、蒸気発生装置3,過熱蒸気発生装置4,後述する接続部13および接続経路は、溶接等によって一体に構成されている。そして、ポンプ2から調理容器5までが耐圧構造になっている。また、調理容器5には扉(図示せず)が設けられており、この扉を閉鎖することによって内部を密閉できる構造になっている。
【0036】
本実施の形態においては、上記調理容器5は、過熱蒸気によって被加熱物を加熱調理することができる蒸気調理器11の加熱室12内に配置可能になっている。そして、蒸気発生装置3および過熱蒸気発生装置4は、本実施の形態の加圧過熱蒸気調理器における加圧過熱蒸気生成装置として機能すると共に、蒸気調理器11における過熱蒸気生成装置としても機能することができるように、水タンク1およびポンプ2と共に加熱室12の横に設置されている。尚、図2および図3では、本実施の形態における加圧過熱蒸気調理器の構成を分かり易くするために、加熱室12を包み込んで外殻を成すケーシングは省略あるいは破線で示している。
【0037】
また、上記蒸気調理器11の加熱室12における過熱蒸気発生装置4が設置されている側の側壁12aの外面には、過熱蒸気発生装置4と調理容器5とを接続して連通させる接続部13を設置している。この接続部13は、ドア14を開けて、調理容器5を加熱室12内に配置して接続部13に装着した場合には、加熱室12の横に設置されている過熱蒸気発生装置4と調理容器5とを連通させて、過熱蒸気発生装置4からの加圧過熱蒸気を調理容器5に導く一方、調理容器5を加熱室12から取り出した場合には、過熱蒸気発生装置4と調理容器5との間を遮断して、過熱蒸気発生装置4からの加圧過熱蒸気が調理容器5に導かれないようにする。
【0038】
上記接続部13の上部には、過熱蒸気発生装置4からの加圧過熱蒸気を供給する供給口13aが設けられている。一方、加熱室12の側壁12aには、接続部13から供給される加圧過熱蒸気を加熱室12内に吹き出すための吹出口15が設けられている。そして、接続部13の供給口13aと加熱室12の吹出口15とを、内部に循環ファン16が配置された循環ダクト17で接続している。さらに、加熱室12の側壁12aには、加熱室12内の加圧過熱蒸気を含む気体が吸い出される吸出口18が設けられている。一方、循環ダクト17における循環ファン16よりも上流側に、加熱室12からの上記気体を吸い込む吸入口19が設けられている。そして、加熱室12の吸出口18と循環ダクト17の吸入口19とを、連結ダクト20で接続している。
【0039】
したがって、上記調理容器5を加熱室12から取り出した場合には、循環ファン16を駆動することによって、過熱蒸気発生装置4から接続部13に供給された過熱蒸気が、循環ダクト17および連結ダクト20を介して、加熱室12内を循環することになる。そのため、加熱室12内のトレイ(図示せず)上に被加熱物を置くことによって、被加熱物を過熱蒸気によって焼く等の加熱調理が可能になる。その場合には、加熱室12内は完全な密閉状態とはならない。
【0040】
図4は、上記接続部13の動作を説明するための模式図である。図4において、過熱蒸気発生装置4と接続部13とは、接続経路21によって接続されている。そして、接続部13の側壁13bは、加熱室12の側壁12aの外面に密着して取り付けられており、接続部13の側壁13bと加熱室12の側壁12aとには、調理容器5の上記接続部材としての接続管5aが挿通される略同一半径の挿通孔12b,13cが穿たれている。一方、接続部13には、挿通孔13cの中心を通り、且つ加熱室12の側壁12aに対して垂直方向に、弾性力を作用させる弾性体22が縮装されており、弾性体22における加熱室12側の先端には、例えば円錐形の弁座を有する弁体23が取り付けられている。
【0041】
図4の構成において、上記調理容器5が加熱室12内に配置され、調理容器5の接続管5aが加熱室12の挿通孔12bと接続部13の挿通孔13cとに挿通されると、円形断面を有する接続管5aの先端部が弁体23の円錐形の弁座に当接し、さらに弾性体22の弾性力に抗して弁体23を調理容器5の接続管5aで押し込むことによって、弁体23が接続部13の挿通孔13cから離間する。ここで、接続管5aの先端側には、スリットあるいは孔(共に図示せず)が設けられている。したがって、過熱蒸気発生装置4から接続部13に供給された加圧過熱蒸気は、矢印(A)で示すように、離間した弁体23と挿通孔13cとの間に位置している接続管5aの上記スリットあるいは上記孔を通って接続管5a内に流入し、調理容器5内に供給されるのである。
【0042】
これに対し、上記ドア14を開けて、調理容器5を加熱室12から取り出す場合には、図5に示すように、調理容器5の接続管5aが加熱室12の挿通孔12bと接続部13の挿通孔13cとから抜けるため、弁体23が弾性体22の弾性力によって前進し、やがて弁体23の円錐形の弁座が接続部13の挿通孔13cに当接し、挿通孔13cが密閉される。その結果、過熱蒸気発生装置4から接続部13に供給された加圧過熱蒸気は、接続部13の供給口13aから循環ダクト17側に供給されることになる。
【0043】
ここで、上記接続部13の挿通孔13cの壁面には、パッキン13dが埋め込まれあるいは覆われて設置されている。こうして、調理容器5の接続管5aと接続部13の挿通孔13cとの間は、パッキン13dによって、調理容器5の接続部13に対する着脱を繰り返しても供給された加圧過熱蒸気が抜けない構造になっている。
【0044】
尚、上記接続部13の構造は、図4および図5に示す構造に限定されるものではない。例えば、図6および図7に示すように、接続部13内には、支点36aを中心として略90度回動して接続部13の供給口13aと挿通孔13cとに切り換え当接して、パッキン36b,36cによって密閉する切換弁36を設置している。この切換弁36は、常時挿通孔13c側に付勢部(図示せず)によって付勢されている。そして、調理容器5が加熱室12から取り出されると、図6に示すように、切換弁36が、上記付勢部によって挿通孔13c側に付勢されて挿通孔13cをパッキン36cによって密閉する。これに対して、調理容器5が加熱室12内に配置され、調理容器5の接続管5aが接続部13の挿通孔13cに挿通されると、図7に示すように、切換弁36が、接続管5aによって押圧されて上記付勢部の付勢力に抗して回動し、供給口13a側に押し上げられて供給口13aをパッキン36bによって密閉する。一方、接続管5aの先端部の端面には、パッキン37が埋め込まれあるいは覆われて設置されている。そして、パッキン37によって、接続経路21および接続管5aの内部と接続部13の内部との間が密閉される。
【0045】
この場合、上記切換弁36の切り換え動作を調理容器5の接続管5aと上記付勢部とによって行っているが、接続管5aの挿通孔13cへの挿通を電気的に検知し、電磁動作によって切換弁36の切り換えを行うようにしても構わない。要は、調理容器5を加熱室12内に配置して、調理容器5の接続部材を接続部13に装着した場合には、過熱蒸気発生装置4と調理容器5とを連通させて加圧過熱蒸気を調理容器5に導く。一方、調理容器5を加熱室12から取り出した場合には、過熱蒸気発生装置4と調理容器5との間を遮断して加圧過熱蒸気を循環ダクト17側に導く構造であればよいのである。
【0046】
上記調理容器5には、図1に示す基本構成で説明したように、安全弁9と高圧ピン10とが取り付けられている。ここで、安全弁9は、過熱蒸気圧が設定圧力を超えると自動的に過熱蒸気圧を逃がす通常の安全弁としての機能に加えて、蒸気発生装置3や過熱蒸気発生装置4の動作を制御する制御装置(図示せず)からの電気的な制御によって開閉する機能を有している。こうすることによって、調理容器5内での加圧過熱蒸気による調理が終了した際に、上記制御装置による制御の下に安全弁9を開放することによって、調理容器5内の加圧過熱蒸気を短時間に逃がして圧力を急激に下げることができる。したがって、調理容器5内の被加熱物を素早く取り出して、被加熱物(食品)の焼け過ぎを防止することができる。
【0047】
すなわち、本実施の形態においては、特許請求の範囲における上記第1安全弁と上記第2安全弁とを、一つの安全弁9で構成しているのである。
【0048】
尚、図2および図3には開示されてはいないが、図1に示す基本構成から明らかなように、蒸気発生装置3にも安全弁8が取り付けられている。但し、この安全弁8の構成を、安全弁9の場合と同様に、上記制御装置からの電気的な制御によって開閉する機能を持つように構成する必要はない。その理由は、調理容器5内での加圧過熱蒸気による調理が終了した際に、上記制御装置による制御の下に安全弁8が開放されると、蒸気発生装置3よりも上流側に在る加圧過熱蒸気が総て逆流して安全弁8から放出されることになり、非常に危険であるからである。
【0049】
また、上記安全弁8が自動的に蒸気圧を逃がす設定圧力は、安全弁9が自動的に過熱蒸気圧を逃がす上記設定圧力よりも高く設定されている。
【0050】
上記調理容器5内には、複数段にトレイ24a,24bを配設し、トレイ24a,24b上に被加熱物6を載置することによって、被加熱物6に対する加圧状態での焼き調理が行われる。
【0051】
以上のごとく、本実施の形態においては、過熱蒸気によって被加熱物を加熱調理することができる蒸気調理器11の蒸気発生装置3,過熱蒸気発生装置4,接続部13および接続経路を、溶接等によって一体に構成することによって、ポンプ2から調理容器5までを耐圧構造にする。そして、加熱室12における過熱蒸気発生装置4側の側壁12aに、接続部13を取り付ける。この接続部13は、調理容器5を加熱室12内に設置し、調理容器5の接続管5aを接続部13の挿通孔13cに装着すると、過熱蒸気発生装置4と調理容器5とを連通させて、過熱蒸気発生装置4からの加圧過熱蒸気を調理容器5に導く一方、調理容器5を加熱室12から取り出し、調理容器5の接続管5aを接続部13の挿通孔13cから離脱させると、過熱蒸気発生装置4と調理容器5との間を遮断して、過熱蒸気発生装置4からの加圧過熱蒸気を循環ダクト17側に導くようになっている。
【0052】
したがって、本実施の形態によれば、上記トレイ24a,24b上に被加熱物6を載置した調理容器5の接続管5aを接続部13の挿通孔13cに装着すれば、被加熱物6に対する過熱蒸気による加圧状態での焼き調理を行うことができるのである。
【0053】
また、上記調理容器5の接続管5aを接続部13の挿通孔13cから離脱させれば、加熱室12内の被加熱物に対して過熱蒸気による常圧での焼き調理を行うことができるのである。
【0054】
また、本実施の形態においては、上記調理容器5には、安全弁9と高圧ピン10とを取り付けている。そして、安全弁9には、通常の安全弁としての機能に加えて、上記制御装置の制御によって開閉する機能を持たせている。したがって、調理容器5内での加圧過熱蒸気による調理が終了した際に安全弁9を開放することが可能になり、調理容器5内の圧力を急激に下げることができる。そのために、調理容器5内の被加熱物を素早く取り出して、被加熱物(食品)の焼け過ぎを防止したりできる。
【0055】
さらに、調理者は、上記高圧ピン10の状態をドア14の透明窓を通して監視することによって、調理容器5内が所望の圧力に達したことを知ることができ、確実に所望の圧力での加圧過熱蒸気による焼き調理を行うことができる。
【0056】
尚、以上においては詳述していないが、上記基本構成で述べたように、上記制御装置によって過熱蒸気発生装置4内の上記ヒータを停止させれば、調理容器5には、蒸気発生装置3で発生された高圧の飽和蒸気がそのまま供給されて、飽和蒸気による加圧状態での蒸し調理あるいは加圧状態での煮込み調理を行うことができる。この場合における安全弁8,安全弁9および高圧ピン10の動作は、加圧過熱蒸気の場合と同様である。一方、加熱室12には、蒸気発生装置3で発生された高圧の飽和蒸気が供給されて、飽和蒸気による蒸し調理あるいは常圧での煮込み調理を行うことができる。
【0057】
また、上述したように、上記調理容器5内に加圧過熱蒸気だけを供給しても被加熱物6に焦げ目を付けることができる。しかしながら、調理容器5の熱容量もあるので加圧過熱蒸気だけでは熱量が不足する場合がある。そのような場合を想定して、蒸気調理器11の加熱室12内にシーズヒータ等を設け、上記制御装置による制御の下に循環ファン16を駆動することによって加熱室12を循環する熱風を発生させ、この熱風によって上記不足する熱量を補助するようにすることが望ましい。例えば、蒸し調理あるいは煮込み調理を行う場合には、調理容器5内の沸点(1.8気圧の場合は120℃)近傍の温度の上記熱風を調理容器5に吹き付ける。また、焼き調理を行う場合には、もう少し温度を上げて150℃〜160℃近傍の温度の上記熱風を調理容器5に吹き付けるのである。
【0058】
ところで、本実施の形態においては、上記蒸気発生装置3,過熱蒸気発生装置4,接続部13および接続経路を、溶接等によって一体に構成するようにしている。この場合、「溶接」によって一体に構成することが最も確実であって安全である。しかしながら、蒸気発生装置3,過熱蒸気発生装置4および接続部13の夫々に接続用パイプを設け、各接続用パイプの間を上記接続経路としてのシリコンチューブで接続し、上記シリコンチューブを少なくとも上記接続用パイプと同等の径の金属製ホースバンドで固定しても、圧力変化にも十分に耐えて安全性を保つことができる。この場合、上述のように溶接で一体に構成する場合よりも、生産性を向上させることができる。
【0059】
・第2実施の形態
図8は、本実施の形態の加圧過熱蒸気調理器における概略構成を示す正面図であり、図9は側面図である。図8および図9においても、本実施の形態における加圧過熱蒸気調理器の構成を分かり易くするために、加熱室12を包み込んで外殻を成すケーシングは省略あるいは破線で示している。
【0060】
図2に示す第1実施の形態においては、上記安全弁9は調理容器5に取り付けられている。したがって、安全弁9による調圧の結果、排気蒸気は加熱室12内に排出される。そのため、加熱室12内が排出された蒸気の結露水によって濡れることになり、加熱室12内の手入れが面倒である。そこで、本実施の形態においては、調圧の蒸気を加熱室の庫外に出すような構造にしている。
【0061】
本実施の形態において、水タンク1,ポンプ2,蒸気発生装置3,過熱蒸気発生装置4および調理容器5は、第1実施の形態の場合と全く同じ構成を有しており、詳細な説明は省略する。さらに、蒸気調理器11,加熱室12,接続部13,循環ファン16,循環ダクト17および連結ダクト20も、第1実施の形態の場合と全く同じ構成を有しており、詳細な説明は省略する。但し、図8においては、循環ファン16,循環ダクト17および連結ダクト20を省略している。
【0062】
すなわち、本実施の形態においても、上記調理容器5を加熱室12から取り出した場合には、循環ファン16を駆動することによって、過熱蒸気発生装置4から接続部13に供給された過熱蒸気が、循環ダクト17および連結ダクト20を介して加熱室12内を循環することになり、加熱室12内の被加熱物を過熱蒸気によって焼く等の加熱調理が可能である。
【0063】
本実施の形態においては、上記過熱蒸気発生装置4の下流側に、過熱蒸気発生装置4に連通する調圧室25を設け、その調圧室25には、安全弁26を内装すると共に、上端面がケーシングの天板29から外部に露出した排気ダクト27を取り付けている。そして、過熱蒸気圧が設定圧力を超えて、安全弁26が過熱蒸気圧を逃がした場合、あるいは、上記制御装置の制御によって安全弁26が開放した場合には、過熱蒸気発生装置4から調理容器5までの経路中の高圧過熱蒸気が排気ダクト27内に放出され、排気ダクト27の上記上端面に設けられた排出口28から、蒸気調理器11の外に排気されるのである。
【0064】
図10は、本実施の形態における変形例を示す側面図である。但し、図10では、循環ファン16,循環ダクト17および連結ダクト20を省略している。上述した図8および図9においては、排気ダクト27をケーシング内における加熱室12の横の空間に収納して、蒸気調理器11の製品見栄えを良くしている。しかしながら、排気ダクト27からの蒸気はケーシングの天板29から排気されることになり、ケーシングの天板29の上部に棚等がある場合には不利になる。
【0065】
そこで、本変形例では、蒸気調理器11の背面に露出させて排気ダクト27を設けて、排気ダクト27の排出口28の位置を低くしている。すなわち、調理容器5は加熱室12内の後壁に設置されるようになっており、接続部13は、蒸気調理器11の背面に露出させて設置されている。そして、調圧室25は接続部13に連通するように蒸気調理器11の背面に露出させて設けられており、この調圧室25には排気ダクト27が蒸気調理器11の背面に露出させて取り付けられている。したがって、排気ダクト27の高さは内装される安全弁26の高さまで低めることができ、排気ダクト27の上端面と上部に位置する棚等までの距離を稼ぐことができる。すなわち、本変形例によれば、排気ダクト27の上記上端面に設けられた排出口28から排気された蒸気が上記棚等に触れて結露することを低減することが可能になる。
【0066】
次に、上記安全弁26の構成例について説明する。図11は、安全弁26の一例を示す排気ダクト27の縦断面図である。排気ダクト27の内部は、垂直方向に延在する仕切板30によって二つの空間に仕切られており、一方の空間内には一端が調圧室25の第1排気口25aに接続された円筒状の排気管31が配設されている。そして、この排気管31の他端には球状の弁体32が乗せられており、弁体32の重さで排気管31の他端は密閉されている。ここで、弁体32の重量は、加圧過熱蒸気の最大許容圧と釣り合うように設定されている。また、排気ダクト27の側壁における弁体32と対向する箇所には、上記制御装置からの制御信号に応じて水平方向に進退するプランジャを有するソレノイド33を設置している。
【0067】
こうすることによって、加圧過熱蒸気による調理が終了して上記制御装置からソレノイド33に対して制御信号が出力されると、ソレノイド33のプランジャが突出して球状の弁体32が水平方向に押され、排気管31の上記他端に対する球状の弁体32の位置が破線で示すようにずれて、排気管31の上記他端から、調圧室25および接続部13を介して、調理容器5内の高圧過熱蒸気が排気ダクト27内に放出されるのである。その場合、破線で示すように、弁体32の重心は平面視において排気管31内にある。したがって、調理容器5内の排気動作が終了した後に、上記制御装置からの制御信号によってソレノイド33のプランジャが引き込まれると、弁体32は自重によって排気管31の上記他端における元の位置に納まり、上記他端は密閉されるのである。
【0068】
一方、上記排気ダクト27における仕切板30で仕切られた他方の空間に面する調圧室25には、第2排気口25bが設けられている。そして、排気ダクト27における上記他方の空間の下端部には第2排気口25bを塞ぐ薄膜34が張設されており、薄膜34上には板状の重し35が乗せられている。そして、薄膜34は、加圧過熱蒸気の最大許容圧で破断するように形成されている。また、重し35の重量は、加圧過熱蒸気の最大許容圧と釣り合うように設定されている。したがって、過熱蒸気の圧力が上記最大許容圧を超えると、加圧過熱蒸気が薄膜34を押し破ると共に重し35を持ち上げて、過熱蒸気発生装置4,接続部13,および調理容器5内の加圧過熱蒸気圧が排気ダクト27内に放出されるのである。
【0069】
こうして、上記排気管31から排気ダクト27内に放出された高圧過熱蒸気および第2排気口25bから重し35を押し退けて排気ダクト27内に放出された高圧過熱蒸気は、排気ダクト27の上記上端面に設けられた排出口28から、蒸気調理器11の外に排気されるのである。
【0070】
すなわち、本実施の形態では、上記「弁体32およびソレノイド33」と「薄膜34および重し35」とで、上記安全弁26を構成しているのである。
【0071】
尚、上記安全弁26は、過熱蒸気発生装置4内の上記ヒータを停止させて、飽和蒸気による加圧状態での蒸し調理あるいは加圧状態での煮込み調理を行う場合にも、上述した加圧過熱蒸気の場合と同様に動作することができる。
【0072】
以上のごとく、本実施の形態においては、上記過熱蒸気発生装置4の下流側に、過熱蒸気発生装置4に連通する調圧室25を設け、その調圧室25には安全弁26を内装する排気ダクト27を取り付けている。したがって、過熱蒸気圧が安全弁26の設定圧力を超えた場合あるいは上記制御装置による制御によって安全弁26が開放した場合には、過熱蒸気発生装置4から調理容器5までの経路中の過熱蒸気を、排気ダクト27の排出口28から蒸気調理器11の外に排気することができる。すなわち、本実施の形態によれば、排出された蒸気の結露水によって加熱室12内が濡れることがなく、加熱室12内の手入れが簡単になる。
【0073】
その場合、上記排気ダクト27をケーシング内における加熱室12の横の空間に収納すると共に、排気ダクト27の排出口28を上記ケーシングの天板29から外部に露出させれば、蒸気調理器11の製品見栄えを良くすることができる。これに対し、排気ダクト27を蒸気調理器11の背面に露出させて設ければ、排気ダクト27の高さを内装される安全弁26の高さまで低めることができ、排気ダクト27の排出口28の位置を低くすることができる。したがって、排気ダクト27の排出口28から上部の棚等までの距離を稼ぐことができ、排出口28から排気された蒸気が上記棚等に触れて結露するのを低減することが可能になる。
【0074】
上述したように、上記各実施の形態においては、耐圧構造を有する調理容器5を過熱蒸気で調理を行う蒸気調理器11の加熱室12内に配置し、調理容器5には、加熱室12の外部から、加圧過熱蒸気生成装置で生成された加圧過熱蒸気を供給するようにしている。したがって、過熱蒸気によって加圧状態で焼き調理を行うことが可能になり、水分が少なくなることによって常圧状態での焼き調理の場合とは違った食感が得られ、食材が軟らかくなって食材内部の昇温速度が速くなる等の特徴を得ることができる。
【0075】
尚、上記各実施の形態では、上記接続部13を加熱室12の側壁12aの外面に取り付けるようにしている。しかしながら、この発明はこれに限定されるものではなく、側壁12aの内面に取り付けても一向に差し支えない。また、加熱室12における側壁12a以外の箇所に取り付けても構わない。
【0076】
また、上記各実施の形態では、上記安全弁9と協働して二段階に過加圧防止を行う安全弁8を蒸気発生装置3に取り付けているが、これに限定されるものではない。要は、蒸気発生装置3から調理容器5までの蒸気経路における安全弁9よりも上流側に取り付ければよいのである。
【符号の説明】
【0077】
1…水タンク、
2…ポンプ、
3…蒸気発生装置、
4…過熱蒸気発生装置、
5…調理容器、
5a…調理容器の接続管、
6…被加熱物、
8,9,26…安全弁、
10…高圧ピン、
11…蒸気調理器、
12…加熱室、
13…接続部、
13c…接続部の挿通孔、
13d,37…パッキン、
14…ドア、
16…循環ファン、
17…循環ダクト、
20…連結ダクト、
22…弾性体、
23,32…弁体、
25…調圧室、
27…排気ダクト、
28…排気ダクトの排出口、
30…仕切板、
31…排気管、
33…ソレノイド、
34…薄膜、
35…重し、
36…切換弁。
【技術分野】
【0001】
この発明は、過熱蒸気により加圧状態で加熱調理を行う加圧過熱蒸気調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
加圧しながら被加熱物を加熱調理する器具として、特開平3‐68313号公報(特許文献1)に開示されているように、耐圧鍋内に水と調理物とを入れ、マイクロウェーブで加熱する調理器具がある。
【0003】
上記特許文献1に開示された調理器具では、耐圧鍋と密閉蓋とでなる調理器具本体の上記耐圧鍋の載置部下方に水を入れると共に、上記載置部上に調理物を載置して上記密閉蓋を装着する。そして、この調理器具本体を電子レンジの調理部に収容して、電子レンジのスイッチを入れる。そうすると、上記耐圧鍋の外方より照射されるマイクロウェーブは、マイクロウェーブの透過性材質で形成された上記耐圧鍋内に殆ど吸収損失を受けることなく浸透して、上記耐圧鍋内の調理物を内部から加熱する。
【0004】
それと共に、上記耐圧鍋内に浸透したマイクロウェーブによって上記耐圧鍋内の水が沸騰蒸発され、上記沸騰蒸発した蒸気が上記耐圧鍋内に充満して上記調理器具本体内が加圧されると共に、内圧調節弁によって所定圧力に調節されて、上記調理物からの水分の蒸発が防がれる。こうして、上記調理物の表皮における皺の発生が防止され、外観的美観の喪失が無くなる。また、マイクロウェーブを用いることによって、調理時間の短縮が図られる。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された従来の調理器具では、飽くまでも上記調理物を加熱するための熱源はマイクロウェーブであり、上記耐圧鍋内の水が沸騰蒸発した蒸気は、上記調理物からの水分の蒸発を防ぐためのものであり、上記調理物の加熱調理における補助的な機能しか持たない。したがって、上記耐圧鍋内の水が蒸発した蒸気では、蒸し調理や煮込み調理はできないという問題がある。
【0006】
さらに、調理時に補助的に使用される上記蒸気は、上記調理器具本体の上記耐圧鍋に入れた水を、マイクロウェーブによって間接的に加熱することによって発生される。そのため、上記沸騰蒸発した蒸気は、上記耐圧鍋内に充満するもののそれ以上に加熱されることが無く、過熱蒸気とはなり得ない。したがって、上記調理器具では、過熱蒸気によって上記調理物を焼くことにより、焼き調理時に焼き色を付けると共にしっとりとした仕上がり状態を得ることができないという問題がある。
【0007】
尚、上記特許文献1に開示された調理器具において、加圧過熱蒸気を発生させるには、マイクロウェーブだけでは熱量が不足し、上記電子レンジの調理庫内に、上記調理器具本体内の蒸気を加熱するためのヒータを設置し、上記調理器具本体の外から上記調理器具本体を加熱する必要がある。但し、その場合には、上記ヒータは、上記調理器具本体内の水および蒸気を間接的に加熱することになり、過熱蒸気を得るための多量の水を確保し、大きな熱容量を得るために、上記調理器具本体の容量を大きくする必要があるという問題がある。また、上記マイクロウェーブによって上記調理物を直接加熱する場合に比して、調理時間が長くなってしまうという問題もある。
【0008】
さらには、上記調理器具本体内に予め水が入っているため、調理中に調理の内容に応じて水の量や吸排動作を制御することは不可能であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平3‐68313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、この発明の課題は、過熱蒸気によって加圧状態で被加熱物を加熱調理できる加圧過熱蒸気調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、この発明の加圧過熱蒸気調理器は、
加熱調理を行うための加熱室と、
上記加熱室内に配置されると共に、上記加熱室の外部から加圧過熱蒸気が供給されて、加圧過熱蒸気による加熱調理を行うための調理容器と、
上記加熱室の外部に設置されると共に、加圧過熱蒸気を生成する加圧過熱蒸気生成装置と、
上記加熱室に取り付けられると共に、上記加熱室内に配置された上記調理容器の接続部材が着脱可能になっており、上記接続部材が装着されると上記加圧過熱蒸気生成装置と上記調理容器とを連通させる一方、上記接続部材が離脱すると上記加圧過熱蒸気生成装置と上記調理容器との間を遮断する接続部と
を備えたことを特徴としている。
【0012】
上記構成によれば、被加熱物が収納された調理容器を加熱室内に配置すると共に、上記加熱室に取り付けられた接続部に上記調理容器の接続部材を装着すると、上記加熱室の外部に設置された加圧過熱蒸気生成装置と上記調理容器とが連通されて、上記加圧過熱蒸気生成装置で生成された加圧過熱蒸気が上記調理容器に供給される。したがって、上記調理容器において、上記被加熱物に対する過熱蒸気による加圧状態での焼き調理を行うことができる。
【0013】
その場合、上記被加熱物の水分が少なくなることによって常圧での焼き調理とは違った食感を得ることができると共に、食材が軟らかくなる等の効果を奏することができる。
【0014】
また、1実施の形態の加圧過熱蒸気調理器では、
上記調理容器あるいは上記加圧過熱蒸気生成装置には、内部における加圧過熱蒸気の圧力が予め設定された第1設定圧力に至ると開放して内部の加圧過熱蒸気を逃がす第1安全弁が設けられている。
【0015】
この実施の形態によれば、上記調理容器内あるいは上記加圧過熱蒸気生成装置内の圧力が予め設定された第1設定圧力に至ると、上記第1安全弁によって上記調理容器および上記加圧過熱蒸気生成装置の内部の加圧過熱蒸気が逃がされる。こうして、上記調理容器あるいは上記加圧過熱蒸気生成装置の破損等が無く、安全に過熱蒸気による加圧状態での焼き調理を行うことができる。
【0016】
また、1実施の形態の加圧過熱蒸気調理器では、
上記調理容器には、内部における加圧過熱蒸気の圧力が、予め上記第1設定圧力よりも低く設定された第2設定圧力に至ったことを示すインジケータが設けられている。
【0017】
この実施の形態によれば、使用者は、上記インジケータによって上記調理容器内の圧力が所望の上記第2設定圧力に至ったことを知ることができ、所望の圧力での加圧過熱蒸気による焼き調理が正しく行われていることを確認できる。
【0018】
また、1実施の形態の加圧過熱蒸気調理器では、
上記調理容器あるいは上記加圧過熱蒸気生成装置には、外部からの制御信号によって強制的に開放されて内部の加圧過熱蒸気を逃がす第2安全弁が設けられている。
【0019】
この実施の形態によれば、上記第2安全弁の機能によって、加圧過熱蒸気による調理が終了した際に、外部から制御信号を上記第2安全弁に与えて上記調理容器および上記加圧過熱蒸気生成装置の内部の加圧過熱蒸気を逃がすことによって、上記調理容器内の圧力を急激に下げることができる。こうして、被加熱物の焼き過ぎを防止することができる。
【0020】
また、1実施の形態の加圧過熱蒸気調理器では、
上記加圧過熱蒸気生成装置における上記第1安全弁よりも上流側には、上記加圧過熱蒸気生成装置内の圧力が予め上記第1設定圧力よりも高く設定された第3設定圧力に至ると開放する第3安全弁が設けられている。
【0021】
この実施の形態によれば、上記加圧過熱蒸気生成装置内の圧力が、上記第1設定圧力よりも高く設定された第3設定圧力に至ると、上記第3安全弁によって内部の蒸気が逃がされる。こうして、上記第1安全弁と上記第3安全弁とで二段階に過加圧防止を行うことによって、過熱蒸気による加圧状態での焼き調理を行う際の安全性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上より明らかなように、この発明の加圧過熱蒸気調理器は、被加熱物が収納された調理容器を加熱室内に配置すると共に、上記加熱室の壁に取り付けられた接続部に上記調理容器の接続部材を装着すると、上記加熱室の外部に設置された加圧過熱蒸気生成装置と上記調理容器とが連通されるので、上記加圧過熱蒸気生成装置で生成された加圧過熱蒸気を上記調理容器に供給することができる。したがって、上記調理容器において、上記被加熱物に対する過熱蒸気による加圧状態での焼き調理を行うことができる。
【0023】
その場合、上記被加熱物の水分が少なくなることによって常圧での焼き調理とは違った食感を得ることができると共に、食材が軟らかくなる等の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の加圧過熱蒸気調理器における基本構成を示す概念図である。
【図2】第1実施の形態の加圧過熱蒸気調理器における正面図である。
【図3】図2に関する側面図である。
【図4】図2および図3における接続部の動作説明図であり、調理容器が接続部に装着された状態を示す図である。
【図5】図4において調理容器が接続部から離脱した状態を示す図である。
【図6】図2および図3における接続部の図4および図5とは異なる動作説明図であり、調理容器が接続部から離脱した状態を示す図である。
【図7】図6において調理容器が接続部に装着された状態を示す図である。
【図8】第2実施の形態の加圧過熱蒸気調理器における正面図である。
【図9】図8に関する側面図である。
【図10】図8及び図9に示す加圧過熱蒸気調理器の変形例における側面図である。
【図11】図8〜図10における排気ダクトの構成例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0026】
図1は、本実施の形態の加圧過熱蒸気調理器における基本構成を示す概念図である。図1において、1は水タンク、2はポンプ、3は蒸気発生装置、4は過熱蒸気発生装置、5は調理容器である。水タンク1からポンプ2で蒸気発生装置3に供給された水3aは、蒸気発生装置3内のヒータ(図示せず)によって加熱沸騰されて、飽和蒸気が発生する。この飽和蒸気は、蒸気発生装置3内に充満させることによって加圧され、蒸気圧によって過熱蒸気発生装置4に流れ込む。過熱蒸気発生装置4内にはヒータ(図示せず)が設置されており、供給された高圧の飽和蒸気が上記ヒータによって加熱され、高圧の過熱蒸気となる。そして、この高圧の過熱蒸気は、蒸気圧によって調理容器5に流れ込む。尚、過熱蒸気発生装置4内の上記ヒータを停止させれば、調理容器5には、蒸気発生装置3で発生された高圧の飽和蒸気がそのまま供給されることになる。
【0027】
上記調理容器5内には、被加熱物6を載置するための網7が設置されており、供給された高圧の過熱蒸気あるいは高圧の飽和蒸気によって、被加熱物6が加圧状態で加熱調理される。例えば、高圧の過熱蒸気が供給された場合には、上記過熱蒸気による加圧状態での焼き調理が行われ、高圧の飽和蒸気が供給された場合には、上記飽和蒸気による加圧状態での蒸し調理あるいは加圧状態での煮込み調理が行われる。
【0028】
また、上記調理容器5には、開閉可能な扉(図示せず)が設けられている。この扉は、開放することによって調理容器5の内部に被加熱物6を入れることができ、閉鎖することによって調理容器5の内部を密閉できる構造になっている。また、上記扉を含めて調理容器5は、耐圧構造を有している。
【0029】
ここで、上記高圧の過熱蒸気によって焼き調理を行った場合には、少ない水分で焼き調理が行われるため、常圧の過熱蒸気によって焼き調理を行った場合とは違った食感が得られるという特徴がある。例えば、1.8気圧の過熱蒸気によってジャガイモを焼いた場合には、常圧(1気圧)の過熱蒸気で焼いた場合に比して、水分が少ないためホクホクして栗に似た食感が得られ、甘みが増した感じになる。尚、高圧化による食材の水分減少の程度は、1気圧の過熱蒸気によって焼き調理を行った場合には0.5%の水分減少であるのに対し、1.8気圧の過熱蒸気によって焼き調理を行った場合には1.6パーセントの水分減少である。さらに加えて、食材が軟らかくなり、食材内部の昇温速度が速くなるという特徴がある。
【0030】
また、上記高圧の飽和蒸気によって蒸し調理あるいは煮込み調理を行った場合には、加圧によって被加熱物の沸点が上がるので、短時間で調理が終了し、食材が軟らかくなるという特徴がある。
【0031】
ところで、上記構成において、圧力変化に対して不安定となるジョイント数を減らすために、過熱蒸気発生装置4は独立した構造とはせずに、蒸気発生装置3から調理容器5までの経路自体を加熱する構造とすることが望ましい。つまり、蒸気発生装置3と、過熱蒸気発生装置4と、調理容器5と、蒸気発生装置3および過熱蒸気発生装置4を接続する蒸気経路と、過熱蒸気発生装置4および調理容器5を接続する過熱蒸気経路とを、一体に構成することが望ましい。また、ポンプ2は圧力に強いチューブポンプとし、ポンプ2から調理容器5までが同一圧力に加圧される。
【0032】
さらに、上記蒸気発生装置3と調理容器5とには、内部圧が一定圧を超えないようにする安全弁8および安全弁9が取り付けられている。また、調理容器5には、調理容器5内が所定圧力以上になると持ち上がって、調理容器5内が所定圧力に達したことを調理者に知らせる上記インジケータとしての高圧ピン10が取り付けられている。
【0033】
ここで、上記蒸気発生装置3の安全弁8と調理容器5の安全弁9とは、異なる圧力(例えば、安全弁8>安全弁9)で動作するように構成されている。このように、二段階に過加圧防止を行うことによって、安全性の向上を図ることができる。
【0034】
以下、上述のような基本構成を有する加圧過熱蒸気調理器の具体的な実施の形態について、説明する。
【0035】
・第1実施の形態
図2は、本実施の形態の加圧過熱蒸気調理器における概略構成を示す正面図であり、図3は側面図である。本実施の形態における加圧過熱蒸気調理器は、図1に示す基本構成の場合と同様に、水タンク1,ポンプ2,蒸気発生装置3,過熱蒸気発生装置4および調理容器5が、順次連結されて配置されている。尚、蒸気発生装置3,過熱蒸気発生装置4,後述する接続部13および接続経路は、溶接等によって一体に構成されている。そして、ポンプ2から調理容器5までが耐圧構造になっている。また、調理容器5には扉(図示せず)が設けられており、この扉を閉鎖することによって内部を密閉できる構造になっている。
【0036】
本実施の形態においては、上記調理容器5は、過熱蒸気によって被加熱物を加熱調理することができる蒸気調理器11の加熱室12内に配置可能になっている。そして、蒸気発生装置3および過熱蒸気発生装置4は、本実施の形態の加圧過熱蒸気調理器における加圧過熱蒸気生成装置として機能すると共に、蒸気調理器11における過熱蒸気生成装置としても機能することができるように、水タンク1およびポンプ2と共に加熱室12の横に設置されている。尚、図2および図3では、本実施の形態における加圧過熱蒸気調理器の構成を分かり易くするために、加熱室12を包み込んで外殻を成すケーシングは省略あるいは破線で示している。
【0037】
また、上記蒸気調理器11の加熱室12における過熱蒸気発生装置4が設置されている側の側壁12aの外面には、過熱蒸気発生装置4と調理容器5とを接続して連通させる接続部13を設置している。この接続部13は、ドア14を開けて、調理容器5を加熱室12内に配置して接続部13に装着した場合には、加熱室12の横に設置されている過熱蒸気発生装置4と調理容器5とを連通させて、過熱蒸気発生装置4からの加圧過熱蒸気を調理容器5に導く一方、調理容器5を加熱室12から取り出した場合には、過熱蒸気発生装置4と調理容器5との間を遮断して、過熱蒸気発生装置4からの加圧過熱蒸気が調理容器5に導かれないようにする。
【0038】
上記接続部13の上部には、過熱蒸気発生装置4からの加圧過熱蒸気を供給する供給口13aが設けられている。一方、加熱室12の側壁12aには、接続部13から供給される加圧過熱蒸気を加熱室12内に吹き出すための吹出口15が設けられている。そして、接続部13の供給口13aと加熱室12の吹出口15とを、内部に循環ファン16が配置された循環ダクト17で接続している。さらに、加熱室12の側壁12aには、加熱室12内の加圧過熱蒸気を含む気体が吸い出される吸出口18が設けられている。一方、循環ダクト17における循環ファン16よりも上流側に、加熱室12からの上記気体を吸い込む吸入口19が設けられている。そして、加熱室12の吸出口18と循環ダクト17の吸入口19とを、連結ダクト20で接続している。
【0039】
したがって、上記調理容器5を加熱室12から取り出した場合には、循環ファン16を駆動することによって、過熱蒸気発生装置4から接続部13に供給された過熱蒸気が、循環ダクト17および連結ダクト20を介して、加熱室12内を循環することになる。そのため、加熱室12内のトレイ(図示せず)上に被加熱物を置くことによって、被加熱物を過熱蒸気によって焼く等の加熱調理が可能になる。その場合には、加熱室12内は完全な密閉状態とはならない。
【0040】
図4は、上記接続部13の動作を説明するための模式図である。図4において、過熱蒸気発生装置4と接続部13とは、接続経路21によって接続されている。そして、接続部13の側壁13bは、加熱室12の側壁12aの外面に密着して取り付けられており、接続部13の側壁13bと加熱室12の側壁12aとには、調理容器5の上記接続部材としての接続管5aが挿通される略同一半径の挿通孔12b,13cが穿たれている。一方、接続部13には、挿通孔13cの中心を通り、且つ加熱室12の側壁12aに対して垂直方向に、弾性力を作用させる弾性体22が縮装されており、弾性体22における加熱室12側の先端には、例えば円錐形の弁座を有する弁体23が取り付けられている。
【0041】
図4の構成において、上記調理容器5が加熱室12内に配置され、調理容器5の接続管5aが加熱室12の挿通孔12bと接続部13の挿通孔13cとに挿通されると、円形断面を有する接続管5aの先端部が弁体23の円錐形の弁座に当接し、さらに弾性体22の弾性力に抗して弁体23を調理容器5の接続管5aで押し込むことによって、弁体23が接続部13の挿通孔13cから離間する。ここで、接続管5aの先端側には、スリットあるいは孔(共に図示せず)が設けられている。したがって、過熱蒸気発生装置4から接続部13に供給された加圧過熱蒸気は、矢印(A)で示すように、離間した弁体23と挿通孔13cとの間に位置している接続管5aの上記スリットあるいは上記孔を通って接続管5a内に流入し、調理容器5内に供給されるのである。
【0042】
これに対し、上記ドア14を開けて、調理容器5を加熱室12から取り出す場合には、図5に示すように、調理容器5の接続管5aが加熱室12の挿通孔12bと接続部13の挿通孔13cとから抜けるため、弁体23が弾性体22の弾性力によって前進し、やがて弁体23の円錐形の弁座が接続部13の挿通孔13cに当接し、挿通孔13cが密閉される。その結果、過熱蒸気発生装置4から接続部13に供給された加圧過熱蒸気は、接続部13の供給口13aから循環ダクト17側に供給されることになる。
【0043】
ここで、上記接続部13の挿通孔13cの壁面には、パッキン13dが埋め込まれあるいは覆われて設置されている。こうして、調理容器5の接続管5aと接続部13の挿通孔13cとの間は、パッキン13dによって、調理容器5の接続部13に対する着脱を繰り返しても供給された加圧過熱蒸気が抜けない構造になっている。
【0044】
尚、上記接続部13の構造は、図4および図5に示す構造に限定されるものではない。例えば、図6および図7に示すように、接続部13内には、支点36aを中心として略90度回動して接続部13の供給口13aと挿通孔13cとに切り換え当接して、パッキン36b,36cによって密閉する切換弁36を設置している。この切換弁36は、常時挿通孔13c側に付勢部(図示せず)によって付勢されている。そして、調理容器5が加熱室12から取り出されると、図6に示すように、切換弁36が、上記付勢部によって挿通孔13c側に付勢されて挿通孔13cをパッキン36cによって密閉する。これに対して、調理容器5が加熱室12内に配置され、調理容器5の接続管5aが接続部13の挿通孔13cに挿通されると、図7に示すように、切換弁36が、接続管5aによって押圧されて上記付勢部の付勢力に抗して回動し、供給口13a側に押し上げられて供給口13aをパッキン36bによって密閉する。一方、接続管5aの先端部の端面には、パッキン37が埋め込まれあるいは覆われて設置されている。そして、パッキン37によって、接続経路21および接続管5aの内部と接続部13の内部との間が密閉される。
【0045】
この場合、上記切換弁36の切り換え動作を調理容器5の接続管5aと上記付勢部とによって行っているが、接続管5aの挿通孔13cへの挿通を電気的に検知し、電磁動作によって切換弁36の切り換えを行うようにしても構わない。要は、調理容器5を加熱室12内に配置して、調理容器5の接続部材を接続部13に装着した場合には、過熱蒸気発生装置4と調理容器5とを連通させて加圧過熱蒸気を調理容器5に導く。一方、調理容器5を加熱室12から取り出した場合には、過熱蒸気発生装置4と調理容器5との間を遮断して加圧過熱蒸気を循環ダクト17側に導く構造であればよいのである。
【0046】
上記調理容器5には、図1に示す基本構成で説明したように、安全弁9と高圧ピン10とが取り付けられている。ここで、安全弁9は、過熱蒸気圧が設定圧力を超えると自動的に過熱蒸気圧を逃がす通常の安全弁としての機能に加えて、蒸気発生装置3や過熱蒸気発生装置4の動作を制御する制御装置(図示せず)からの電気的な制御によって開閉する機能を有している。こうすることによって、調理容器5内での加圧過熱蒸気による調理が終了した際に、上記制御装置による制御の下に安全弁9を開放することによって、調理容器5内の加圧過熱蒸気を短時間に逃がして圧力を急激に下げることができる。したがって、調理容器5内の被加熱物を素早く取り出して、被加熱物(食品)の焼け過ぎを防止することができる。
【0047】
すなわち、本実施の形態においては、特許請求の範囲における上記第1安全弁と上記第2安全弁とを、一つの安全弁9で構成しているのである。
【0048】
尚、図2および図3には開示されてはいないが、図1に示す基本構成から明らかなように、蒸気発生装置3にも安全弁8が取り付けられている。但し、この安全弁8の構成を、安全弁9の場合と同様に、上記制御装置からの電気的な制御によって開閉する機能を持つように構成する必要はない。その理由は、調理容器5内での加圧過熱蒸気による調理が終了した際に、上記制御装置による制御の下に安全弁8が開放されると、蒸気発生装置3よりも上流側に在る加圧過熱蒸気が総て逆流して安全弁8から放出されることになり、非常に危険であるからである。
【0049】
また、上記安全弁8が自動的に蒸気圧を逃がす設定圧力は、安全弁9が自動的に過熱蒸気圧を逃がす上記設定圧力よりも高く設定されている。
【0050】
上記調理容器5内には、複数段にトレイ24a,24bを配設し、トレイ24a,24b上に被加熱物6を載置することによって、被加熱物6に対する加圧状態での焼き調理が行われる。
【0051】
以上のごとく、本実施の形態においては、過熱蒸気によって被加熱物を加熱調理することができる蒸気調理器11の蒸気発生装置3,過熱蒸気発生装置4,接続部13および接続経路を、溶接等によって一体に構成することによって、ポンプ2から調理容器5までを耐圧構造にする。そして、加熱室12における過熱蒸気発生装置4側の側壁12aに、接続部13を取り付ける。この接続部13は、調理容器5を加熱室12内に設置し、調理容器5の接続管5aを接続部13の挿通孔13cに装着すると、過熱蒸気発生装置4と調理容器5とを連通させて、過熱蒸気発生装置4からの加圧過熱蒸気を調理容器5に導く一方、調理容器5を加熱室12から取り出し、調理容器5の接続管5aを接続部13の挿通孔13cから離脱させると、過熱蒸気発生装置4と調理容器5との間を遮断して、過熱蒸気発生装置4からの加圧過熱蒸気を循環ダクト17側に導くようになっている。
【0052】
したがって、本実施の形態によれば、上記トレイ24a,24b上に被加熱物6を載置した調理容器5の接続管5aを接続部13の挿通孔13cに装着すれば、被加熱物6に対する過熱蒸気による加圧状態での焼き調理を行うことができるのである。
【0053】
また、上記調理容器5の接続管5aを接続部13の挿通孔13cから離脱させれば、加熱室12内の被加熱物に対して過熱蒸気による常圧での焼き調理を行うことができるのである。
【0054】
また、本実施の形態においては、上記調理容器5には、安全弁9と高圧ピン10とを取り付けている。そして、安全弁9には、通常の安全弁としての機能に加えて、上記制御装置の制御によって開閉する機能を持たせている。したがって、調理容器5内での加圧過熱蒸気による調理が終了した際に安全弁9を開放することが可能になり、調理容器5内の圧力を急激に下げることができる。そのために、調理容器5内の被加熱物を素早く取り出して、被加熱物(食品)の焼け過ぎを防止したりできる。
【0055】
さらに、調理者は、上記高圧ピン10の状態をドア14の透明窓を通して監視することによって、調理容器5内が所望の圧力に達したことを知ることができ、確実に所望の圧力での加圧過熱蒸気による焼き調理を行うことができる。
【0056】
尚、以上においては詳述していないが、上記基本構成で述べたように、上記制御装置によって過熱蒸気発生装置4内の上記ヒータを停止させれば、調理容器5には、蒸気発生装置3で発生された高圧の飽和蒸気がそのまま供給されて、飽和蒸気による加圧状態での蒸し調理あるいは加圧状態での煮込み調理を行うことができる。この場合における安全弁8,安全弁9および高圧ピン10の動作は、加圧過熱蒸気の場合と同様である。一方、加熱室12には、蒸気発生装置3で発生された高圧の飽和蒸気が供給されて、飽和蒸気による蒸し調理あるいは常圧での煮込み調理を行うことができる。
【0057】
また、上述したように、上記調理容器5内に加圧過熱蒸気だけを供給しても被加熱物6に焦げ目を付けることができる。しかしながら、調理容器5の熱容量もあるので加圧過熱蒸気だけでは熱量が不足する場合がある。そのような場合を想定して、蒸気調理器11の加熱室12内にシーズヒータ等を設け、上記制御装置による制御の下に循環ファン16を駆動することによって加熱室12を循環する熱風を発生させ、この熱風によって上記不足する熱量を補助するようにすることが望ましい。例えば、蒸し調理あるいは煮込み調理を行う場合には、調理容器5内の沸点(1.8気圧の場合は120℃)近傍の温度の上記熱風を調理容器5に吹き付ける。また、焼き調理を行う場合には、もう少し温度を上げて150℃〜160℃近傍の温度の上記熱風を調理容器5に吹き付けるのである。
【0058】
ところで、本実施の形態においては、上記蒸気発生装置3,過熱蒸気発生装置4,接続部13および接続経路を、溶接等によって一体に構成するようにしている。この場合、「溶接」によって一体に構成することが最も確実であって安全である。しかしながら、蒸気発生装置3,過熱蒸気発生装置4および接続部13の夫々に接続用パイプを設け、各接続用パイプの間を上記接続経路としてのシリコンチューブで接続し、上記シリコンチューブを少なくとも上記接続用パイプと同等の径の金属製ホースバンドで固定しても、圧力変化にも十分に耐えて安全性を保つことができる。この場合、上述のように溶接で一体に構成する場合よりも、生産性を向上させることができる。
【0059】
・第2実施の形態
図8は、本実施の形態の加圧過熱蒸気調理器における概略構成を示す正面図であり、図9は側面図である。図8および図9においても、本実施の形態における加圧過熱蒸気調理器の構成を分かり易くするために、加熱室12を包み込んで外殻を成すケーシングは省略あるいは破線で示している。
【0060】
図2に示す第1実施の形態においては、上記安全弁9は調理容器5に取り付けられている。したがって、安全弁9による調圧の結果、排気蒸気は加熱室12内に排出される。そのため、加熱室12内が排出された蒸気の結露水によって濡れることになり、加熱室12内の手入れが面倒である。そこで、本実施の形態においては、調圧の蒸気を加熱室の庫外に出すような構造にしている。
【0061】
本実施の形態において、水タンク1,ポンプ2,蒸気発生装置3,過熱蒸気発生装置4および調理容器5は、第1実施の形態の場合と全く同じ構成を有しており、詳細な説明は省略する。さらに、蒸気調理器11,加熱室12,接続部13,循環ファン16,循環ダクト17および連結ダクト20も、第1実施の形態の場合と全く同じ構成を有しており、詳細な説明は省略する。但し、図8においては、循環ファン16,循環ダクト17および連結ダクト20を省略している。
【0062】
すなわち、本実施の形態においても、上記調理容器5を加熱室12から取り出した場合には、循環ファン16を駆動することによって、過熱蒸気発生装置4から接続部13に供給された過熱蒸気が、循環ダクト17および連結ダクト20を介して加熱室12内を循環することになり、加熱室12内の被加熱物を過熱蒸気によって焼く等の加熱調理が可能である。
【0063】
本実施の形態においては、上記過熱蒸気発生装置4の下流側に、過熱蒸気発生装置4に連通する調圧室25を設け、その調圧室25には、安全弁26を内装すると共に、上端面がケーシングの天板29から外部に露出した排気ダクト27を取り付けている。そして、過熱蒸気圧が設定圧力を超えて、安全弁26が過熱蒸気圧を逃がした場合、あるいは、上記制御装置の制御によって安全弁26が開放した場合には、過熱蒸気発生装置4から調理容器5までの経路中の高圧過熱蒸気が排気ダクト27内に放出され、排気ダクト27の上記上端面に設けられた排出口28から、蒸気調理器11の外に排気されるのである。
【0064】
図10は、本実施の形態における変形例を示す側面図である。但し、図10では、循環ファン16,循環ダクト17および連結ダクト20を省略している。上述した図8および図9においては、排気ダクト27をケーシング内における加熱室12の横の空間に収納して、蒸気調理器11の製品見栄えを良くしている。しかしながら、排気ダクト27からの蒸気はケーシングの天板29から排気されることになり、ケーシングの天板29の上部に棚等がある場合には不利になる。
【0065】
そこで、本変形例では、蒸気調理器11の背面に露出させて排気ダクト27を設けて、排気ダクト27の排出口28の位置を低くしている。すなわち、調理容器5は加熱室12内の後壁に設置されるようになっており、接続部13は、蒸気調理器11の背面に露出させて設置されている。そして、調圧室25は接続部13に連通するように蒸気調理器11の背面に露出させて設けられており、この調圧室25には排気ダクト27が蒸気調理器11の背面に露出させて取り付けられている。したがって、排気ダクト27の高さは内装される安全弁26の高さまで低めることができ、排気ダクト27の上端面と上部に位置する棚等までの距離を稼ぐことができる。すなわち、本変形例によれば、排気ダクト27の上記上端面に設けられた排出口28から排気された蒸気が上記棚等に触れて結露することを低減することが可能になる。
【0066】
次に、上記安全弁26の構成例について説明する。図11は、安全弁26の一例を示す排気ダクト27の縦断面図である。排気ダクト27の内部は、垂直方向に延在する仕切板30によって二つの空間に仕切られており、一方の空間内には一端が調圧室25の第1排気口25aに接続された円筒状の排気管31が配設されている。そして、この排気管31の他端には球状の弁体32が乗せられており、弁体32の重さで排気管31の他端は密閉されている。ここで、弁体32の重量は、加圧過熱蒸気の最大許容圧と釣り合うように設定されている。また、排気ダクト27の側壁における弁体32と対向する箇所には、上記制御装置からの制御信号に応じて水平方向に進退するプランジャを有するソレノイド33を設置している。
【0067】
こうすることによって、加圧過熱蒸気による調理が終了して上記制御装置からソレノイド33に対して制御信号が出力されると、ソレノイド33のプランジャが突出して球状の弁体32が水平方向に押され、排気管31の上記他端に対する球状の弁体32の位置が破線で示すようにずれて、排気管31の上記他端から、調圧室25および接続部13を介して、調理容器5内の高圧過熱蒸気が排気ダクト27内に放出されるのである。その場合、破線で示すように、弁体32の重心は平面視において排気管31内にある。したがって、調理容器5内の排気動作が終了した後に、上記制御装置からの制御信号によってソレノイド33のプランジャが引き込まれると、弁体32は自重によって排気管31の上記他端における元の位置に納まり、上記他端は密閉されるのである。
【0068】
一方、上記排気ダクト27における仕切板30で仕切られた他方の空間に面する調圧室25には、第2排気口25bが設けられている。そして、排気ダクト27における上記他方の空間の下端部には第2排気口25bを塞ぐ薄膜34が張設されており、薄膜34上には板状の重し35が乗せられている。そして、薄膜34は、加圧過熱蒸気の最大許容圧で破断するように形成されている。また、重し35の重量は、加圧過熱蒸気の最大許容圧と釣り合うように設定されている。したがって、過熱蒸気の圧力が上記最大許容圧を超えると、加圧過熱蒸気が薄膜34を押し破ると共に重し35を持ち上げて、過熱蒸気発生装置4,接続部13,および調理容器5内の加圧過熱蒸気圧が排気ダクト27内に放出されるのである。
【0069】
こうして、上記排気管31から排気ダクト27内に放出された高圧過熱蒸気および第2排気口25bから重し35を押し退けて排気ダクト27内に放出された高圧過熱蒸気は、排気ダクト27の上記上端面に設けられた排出口28から、蒸気調理器11の外に排気されるのである。
【0070】
すなわち、本実施の形態では、上記「弁体32およびソレノイド33」と「薄膜34および重し35」とで、上記安全弁26を構成しているのである。
【0071】
尚、上記安全弁26は、過熱蒸気発生装置4内の上記ヒータを停止させて、飽和蒸気による加圧状態での蒸し調理あるいは加圧状態での煮込み調理を行う場合にも、上述した加圧過熱蒸気の場合と同様に動作することができる。
【0072】
以上のごとく、本実施の形態においては、上記過熱蒸気発生装置4の下流側に、過熱蒸気発生装置4に連通する調圧室25を設け、その調圧室25には安全弁26を内装する排気ダクト27を取り付けている。したがって、過熱蒸気圧が安全弁26の設定圧力を超えた場合あるいは上記制御装置による制御によって安全弁26が開放した場合には、過熱蒸気発生装置4から調理容器5までの経路中の過熱蒸気を、排気ダクト27の排出口28から蒸気調理器11の外に排気することができる。すなわち、本実施の形態によれば、排出された蒸気の結露水によって加熱室12内が濡れることがなく、加熱室12内の手入れが簡単になる。
【0073】
その場合、上記排気ダクト27をケーシング内における加熱室12の横の空間に収納すると共に、排気ダクト27の排出口28を上記ケーシングの天板29から外部に露出させれば、蒸気調理器11の製品見栄えを良くすることができる。これに対し、排気ダクト27を蒸気調理器11の背面に露出させて設ければ、排気ダクト27の高さを内装される安全弁26の高さまで低めることができ、排気ダクト27の排出口28の位置を低くすることができる。したがって、排気ダクト27の排出口28から上部の棚等までの距離を稼ぐことができ、排出口28から排気された蒸気が上記棚等に触れて結露するのを低減することが可能になる。
【0074】
上述したように、上記各実施の形態においては、耐圧構造を有する調理容器5を過熱蒸気で調理を行う蒸気調理器11の加熱室12内に配置し、調理容器5には、加熱室12の外部から、加圧過熱蒸気生成装置で生成された加圧過熱蒸気を供給するようにしている。したがって、過熱蒸気によって加圧状態で焼き調理を行うことが可能になり、水分が少なくなることによって常圧状態での焼き調理の場合とは違った食感が得られ、食材が軟らかくなって食材内部の昇温速度が速くなる等の特徴を得ることができる。
【0075】
尚、上記各実施の形態では、上記接続部13を加熱室12の側壁12aの外面に取り付けるようにしている。しかしながら、この発明はこれに限定されるものではなく、側壁12aの内面に取り付けても一向に差し支えない。また、加熱室12における側壁12a以外の箇所に取り付けても構わない。
【0076】
また、上記各実施の形態では、上記安全弁9と協働して二段階に過加圧防止を行う安全弁8を蒸気発生装置3に取り付けているが、これに限定されるものではない。要は、蒸気発生装置3から調理容器5までの蒸気経路における安全弁9よりも上流側に取り付ければよいのである。
【符号の説明】
【0077】
1…水タンク、
2…ポンプ、
3…蒸気発生装置、
4…過熱蒸気発生装置、
5…調理容器、
5a…調理容器の接続管、
6…被加熱物、
8,9,26…安全弁、
10…高圧ピン、
11…蒸気調理器、
12…加熱室、
13…接続部、
13c…接続部の挿通孔、
13d,37…パッキン、
14…ドア、
16…循環ファン、
17…循環ダクト、
20…連結ダクト、
22…弾性体、
23,32…弁体、
25…調圧室、
27…排気ダクト、
28…排気ダクトの排出口、
30…仕切板、
31…排気管、
33…ソレノイド、
34…薄膜、
35…重し、
36…切換弁。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱調理を行うための加熱室と、
上記加熱室内に配置されると共に、上記加熱室の外部から加圧過熱蒸気が供給されて、加圧過熱蒸気による加熱調理を行うための調理容器と、
上記加熱室の外部に設置されると共に、加圧過熱蒸気を生成する加圧過熱蒸気生成装置と、
上記加熱室に取り付けられると共に、上記加熱室内に配置された上記調理容器の接続部材が着脱可能になっており、上記接続部材が装着されると上記加圧過熱蒸気生成装置と上記調理容器とを連通させる一方、上記接続部材が離脱すると上記加圧過熱蒸気生成装置と上記調理容器との間を遮断する接続部と
を備えたことを特徴とする加圧過熱蒸気調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の加圧過熱蒸気調理器において、
上記調理容器あるいは上記加圧過熱蒸気生成装置には、内部における加圧過熱蒸気の圧力が予め設定された第1設定圧力に至ると開放して内部の加圧過熱蒸気を逃がす第1安全弁が設けられている
ことを特徴とする加圧過熱蒸気調理器。
【請求項3】
請求項1あるいは請求項2に記載の加圧過熱蒸気調理器において、
上記調理容器には、内部における加圧過熱蒸気の圧力が、予め上記第1設定圧力よりも低く設定された第2設定圧力に至ったことを示すインジケータが設けられている
ことを特徴とする加圧過熱蒸気調理器。
【請求項4】
請求項2あるいは請求項3に記載の加圧過熱蒸気調理器において、
上記調理容器あるいは上記加圧過熱蒸気生成装置には、外部からの制御信号によって強制的に開放されて内部の加圧過熱蒸気を逃がす第2安全弁が設けられている
ことを特徴とする加圧過熱蒸気調理器。
【請求項5】
請求項2から請求項4までの何れか一つに記載の加圧過熱蒸気調理器において、
上記加圧過熱蒸気生成装置における上記第1安全弁よりも上流側には、上記加圧過熱蒸気生成装置内の圧力が予め上記第1設定圧力よりも高く設定された第3設定圧力に至ると開放する第3安全弁が設けられている
ことを特徴とする加圧過熱蒸気調理器。
【請求項1】
加熱調理を行うための加熱室と、
上記加熱室内に配置されると共に、上記加熱室の外部から加圧過熱蒸気が供給されて、加圧過熱蒸気による加熱調理を行うための調理容器と、
上記加熱室の外部に設置されると共に、加圧過熱蒸気を生成する加圧過熱蒸気生成装置と、
上記加熱室に取り付けられると共に、上記加熱室内に配置された上記調理容器の接続部材が着脱可能になっており、上記接続部材が装着されると上記加圧過熱蒸気生成装置と上記調理容器とを連通させる一方、上記接続部材が離脱すると上記加圧過熱蒸気生成装置と上記調理容器との間を遮断する接続部と
を備えたことを特徴とする加圧過熱蒸気調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の加圧過熱蒸気調理器において、
上記調理容器あるいは上記加圧過熱蒸気生成装置には、内部における加圧過熱蒸気の圧力が予め設定された第1設定圧力に至ると開放して内部の加圧過熱蒸気を逃がす第1安全弁が設けられている
ことを特徴とする加圧過熱蒸気調理器。
【請求項3】
請求項1あるいは請求項2に記載の加圧過熱蒸気調理器において、
上記調理容器には、内部における加圧過熱蒸気の圧力が、予め上記第1設定圧力よりも低く設定された第2設定圧力に至ったことを示すインジケータが設けられている
ことを特徴とする加圧過熱蒸気調理器。
【請求項4】
請求項2あるいは請求項3に記載の加圧過熱蒸気調理器において、
上記調理容器あるいは上記加圧過熱蒸気生成装置には、外部からの制御信号によって強制的に開放されて内部の加圧過熱蒸気を逃がす第2安全弁が設けられている
ことを特徴とする加圧過熱蒸気調理器。
【請求項5】
請求項2から請求項4までの何れか一つに記載の加圧過熱蒸気調理器において、
上記加圧過熱蒸気生成装置における上記第1安全弁よりも上流側には、上記加圧過熱蒸気生成装置内の圧力が予め上記第1設定圧力よりも高く設定された第3設定圧力に至ると開放する第3安全弁が設けられている
ことを特徴とする加圧過熱蒸気調理器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−247430(P2011−247430A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117582(P2010−117582)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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