説明

加熱装置、基板処理装置及び半導体装置の製造方法

【課題】処理される基板の面内偏差を低減できる加熱装置を提供する。
【解決手段】加熱空間を囲う壁体と、壁体内部に設けられる発熱体と、発熱体からの熱線を反射する複数の反射体91とを有する。複数の反射体91それぞれの一端側に接続され複数の反射体91を可動させる可動部93を有する。少なくとも複数の反射体91それぞれの一端側より他端側に接続され、可動部93が動作する際に反射体91の動きを支軸として規制する複数の支軸体95とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造技術、特に、被処理基板を処理室に収容して発熱体により加熱した状態で処理を施す熱処理技術に関し、加熱装置、基板処理装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に従来の加熱装置を用いた処理炉500の概略断面図を示す。加熱装置は、略円筒形状で上端が蓋された金属製のケーシング501と、このケーシング501の内側に設けられた略円筒形状の断熱材502と、この断熱材502の内壁に設けられた発熱線503とを有する。この加熱装置の内側に、均熱管504及び処理室を形成する反応管505が設けられ、この反応管505中でウエハ506に所望の熱処理が施される。
【0003】
近年、メタル配線プロセス(Cuアニールなど)で、プロセス温度の低温化(300℃以下)と、さらなるスループット向上が求められている。よって、ウエハの昇降温時間の短縮が重要とされている。しかし、かかる要請に図1に記載の如き加熱装置で応じると、現状のヒータは中高温領域で使用できるように大容量の断熱材を持っているため、昇降温特性が悪く、スループットの向上が困難であった。したがって、熱容量が少なく、高応答性の加熱装置が必要とされている。
【0004】
また、特許文献1に係る基板処理装置では、発熱体に複数のピンを貫通させ、このピンから加熱空間に冷却ガスを送り込むことで、急激な冷却を可能としている。そして、冷却特性に着目することで、加熱装置の応答性を向上させている。
【0005】
近年、ウエハ処理の微細化に伴い、ウエハの面内偏差(ウエハ面内における温度偏差や膜厚偏差等)をさらに少なくする必要がある。そこで、特許文献2では、処理室の上端部に反射鏡を設け、周部ヒータの輻射熱線をウエハの中央部に集光させることで、面内偏差を低減させている。
【0006】
しかし、反射鏡の姿勢が固定されており、ウエハ中央部の温度調整はウエハ周部と独立に調整できず、面内偏差の問題は解消されていない。
【0007】
特許文献3に係る熱処理装置では、基板より上方に基板周縁部に設けたヒータからの放射熱を基板に向けて反射させる反射体を移動可能に設けている。しかし、反射体を基板に対し上下動させて熱処理温度を調節しているに過ぎず、面内偏差の問題を解消するものではない。
【0008】
特許文献4に記載の熱処理装置では、基板と対向する位置に紫外線ランプを設置し、基板と該ランプとの間に反射体を移動又は反射面の角度を変更可能に複数設けて、基板上への紫外線を均一に照射している。しかし、面内偏差に関して開示も示唆もされていない。
【0009】
また、特許文献5に記載の熱処理装置では、最上段の基板の周縁部と基板の中心部の温度を測定可能な温度センサを設け、この温度センサの情報により異なる位置に複数の加熱手段を制御している。しかし、複数の加熱手段の制御は煩雑となり、面内偏差を十分に解消させるに至っていない。
【特許文献1】WO2007/023855
【特許文献2】特開2005−32883号
【特許文献3】特開平7−321059号
【特許文献4】特開2006−114848号
【特許文献5】特開2004−119510号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
かかる従来の実情に鑑みて、本発明は、処理される基板の面内偏差をさらに低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る加熱装置は、加熱空間を囲う壁体と、該壁体内部に設けられる発熱体と、該発熱体からの熱線を反射する複数の反射体と、該複数の反射体それぞれの一端側に接続され該複数の反射体を可動させる可動部と、少なくとも前記複数の反射体それぞれの一端側より他端側に接続され、前記可動部が動作する際に前記反射体の動きを支軸として規制する複数の支軸体とを備えたことにある。
【発明の効果】
【0012】
上記本発明に係る基板処理装置の特徴によれば、面内偏差に基づき移動機構により反射状態を変更させるので、さらに基板の面内偏差を低減させることが可能になった。
【0013】
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、適宜添付図面を参照しながら、本発明をさらに詳しく説明する。
以下、図面を参照しつつ本発明を実施する為の最良の形態としての第一の実施形態を説明する。
【0015】
図2〜7に示すように、基板処理装置1は、大略、処理室308を形成する反応容器309と、この反応容器の外周に配置された加熱装置3と、主制御装置4とを備えている。
【0016】
加熱装置3は、大略、天井部10、円筒状の中間部11、下部12及び端子ケース13を有し、中間部11には発熱体20が支持されている。天井部10には下面と側面に開口するエルボ状の排気導路81が形成され、さらにその下部に反射装置90を有している。中間部11は、発熱体20を支持するインナシェル50を絶縁状態でアウタシェル60により包囲し、さらに外周を化粧パネル70で包囲している。インナシェル50とアウタシェル60とは導電性の材料から構成されており、例えば、ステンレス材等の金属材から構成されている。
【0017】
中間部11の上部と吸気アタッチメント7xとの間には冷却ガス導入ダクト7yが取り付けられる。吸気アタッチメント7xの開口には開閉バルブ7aとして例えばバタフライバルブが装着され、流路が開閉できるようになっている。吸気アタッチメント7xは冷却ガス供給ライン7に接続される。インナシェル50及びアウタシェル60の間に円筒状の冷却媒体流通通路としての気道14が形成される。冷却ガス導入ダクト7yは環状に略均等に配置された複数のパイプ61により気道14と連通している。一方、排気導路81には強制排気を行う排気ブロア8aを備えた強制排気ライン8が接続され、加熱装置3の内部空間である加熱空間の強制排気が行われる。そして、冷却ガス供給ライン7から導入された空気若しくは不活性ガス等のガスは気道14及び後述の複数の碍子孔から加熱空間18に冷却ガスとして供給され、強制排気ライン8から排気される。
【0018】
反応容器309は、加熱空間18に順次同心に配置される均熱管315及び反応管310を備え、この反応管310内に処理室308が形成される。この処理室308にはウェーハ305を水平多段に保持するボート300が収納される。このボート300は図示しないボートエレベータにより、処理室内308へ装入、引出し可能である。
【0019】
反応管310内には反応ガス導入管5x及び排気管6xが連通される。反応ガス導入管5xには流量制御器5aが設けられ、排気管6xには圧力制御器6aが設けられる。反応ガスが所定流量で導入されると共に前記反応管310内が所定圧力に維持される様に、排出口6yから内部ガスが排気され、排気管6xを通じて処理室外に排出される。
【0020】
他の冷却ガス供給ライン5yは、均熱管315と反応管310との間に形成される均熱管内空間317に連通される。前記冷却ガス供給ライン5yには流量制御器5bが設けられる。また、吸気アタッチメント7xには開閉バルブ7aが設けられる。強制排気ライン8には排気装置としての排気ブロア8aが設けられる。すなわち、均熱管内空間317と加熱空間18の双方に対して冷却ガスを適宜導入・調整することが可能である。
【0021】
発熱体20は中間部11の円筒の軸心方向に対し、所要のゾーンZ1〜Z5に複数段に区分けされ、ゾーン制御が可能となっている。各ゾーンには各ゾーンの加熱温度を検出する温度検出器が設けられている。なお、発熱体20は各ゾーンそれぞれの成形パターンを同じにすることにより、発熱量を各ゾーンとも均一にする様にしてもよい。
【0022】
基板処理装置1の各部は主制御装置4によって制御され、例えば、反応管310内で処理されるウェーハ305の処理状態は、主制御装置4によって制御される。この主制御装置4は、温度モニタ部4a、加熱制御部(加熱制御装置)4b、反射制御部4c、第一流量制御部4d、反応管310内の圧力を制御する圧力制御部4e、第二流量制御部4f、排気制御部4g及び前記ボートエレベータ等の機構部を制御する駆動制御部4hを備えている。
【0023】
温度モニタ部4aは第一〜第三温度検出器TC1〜TC3の温度を検出する。ここで、第一温度検出器TC1は発熱体20近傍で各ゾーンZ1〜Z5毎に設けられる。第二温度検出器TC2は反応管310内の周部における前記各ゾーンZ1〜Z5毎に設けられる。さらに、第3温度検出器TC3は反応管310より上方若しくは反応管310の上部中央を含む範囲に設けられている。
【0024】
加熱制御部4bは、温度モニタ部4aの検出結果に基づき各ゾーンZ1〜Z5の発熱体20の発熱量を制御する。また、反射制御部4cは、温度モニタ部4aの検出結果に基づき反射装置90の駆動装置としてのアクチュエータ99を制御する。そして、下面が鏡面仕上げされた反射体(リフレクタ)91を適宜傾斜させて発熱体20から反応管310の上部中央に対する集光度を変更し、同部分の温度制御を行う。
【0025】
第一流量制御部4dは流量制御器5aを制御し、圧力制御部4eは圧力制御器6aを制御し、反応ガスの導入と圧力を制御する。また、第二流量制御部4fは流量制御器5bを制御し、排気制御部4gは開閉バルブ7a及び排気ブロア8aを制御し、冷却ガスの導入と排出とを制御する。
【0026】
図4に図2中のA部の拡大図を示す。発熱体(ヒータ素線)20は、アルミナ等の絶縁素材としての吊り碍子30によりインナシェル50に固定されている。前記発熱体20には急速加熱が可能である発熱材料、例えばFe−Al−Cr合金が用いられ、発熱表面積が大きくなる様に、断面は平板形状等の形状が採用され、面状発熱体として構成されている。発熱体20は上下に蛇行状の折返部21,22を有しており、中間部は上折返部21と下折返部22とをそれぞれ半ピッチずらして接続する素線部23と、各素線部23間に位置する隙間24から構成されている。また、発熱体20の上部は吊り碍子30に保持される折曲部20aとして折り曲げ加工がなされている。インナシェル50内面は鏡面仕上げされており、発熱体の素線部23裏面から輻射される熱線を前記内面で反射させ、隙間24から加熱空間18に向かって放射する。
【0027】
絶縁材料としての吊り碍子30はアルミナ等の耐熱絶縁材料よりなる上碍子31及び下碍子32からなり、上金具33と下金具34で発熱体20の上部における折曲部20aを挟んで、ピン35で溶着固定されている。下金具34は二カ所の折曲部においてボルト36によりインナシェル50に取り付けられる。
【0028】
インナシェル50には中央に貫通孔40aを有し気道14内の冷却ガスをインナシェル50内部に供給する複数の急冷パイプ40がインナシェル50の内壁から加熱空間18側に向かって突出するように設けられている。急冷パイプ40はアルミナ等の絶縁耐熱材料により形成されている。この急冷パイプ40は、隙間24において発熱体20を貫通する貫通部40dと、この貫通部40dが発熱体20を貫通する貫通方向Vに交差する方向にこの貫通部40dよりも突出する突出部としての略円形の鍔40b、40cにより発熱体20の中腹の動きを制限する。すなわち、一対の鍔40b、40c間の貫通部40dに溝を形成する。さらに発熱体20の下端を下段の吊り碍子30の上端位置に重なる位置に設け、発熱体20の下端の急冷パイプ40の突出方向に対する動きを制限する。
【0029】
インナシェル50の裏面には冷却媒体流通通路としての水冷管59が設けられている。この水冷管59は、インナシェル50の外面に軸心方向に螺旋状に巻き付けられて溶着される。例えば給・排水経路59a,59bを介して冷却水等の冷却媒体を流すことによりインナシェル50の温度上昇を防ぎ、ほぼ一定に保つ。
【0030】
インナシェル50の外側には複数の接続碍子51を介して絶縁状態でアウタシェル60が取り付けられる。接続碍子51は絶縁性と耐熱性を有するアルミナ材で製作されているため、不測に発熱体20とインナシェル50とが接触し、インナシェル50に電流が伝わる等により例えば短絡しても、接続碍子51により電流がアウタシェル60に伝わることはない。
【0031】
接続碍子51の内側はインナシェル50に対し第一のボルト52で固定される。一方、接続碍子51の外側はアウタシェル60に対し絶縁耐熱材料としての環状中空状のカラー53を介して第二のボルト54で固定される。カラー53はアウタシェルの取付孔を貫通して設けられ、アウタシェル60の肉厚よりも厚く形成され、第二のボルト54の頭部下面と接続碍子51外面との間にクリアランス(隙間)を設けている。インナシェル50が熱膨張によって膨らんでも、その変形分をこのクリアランスにより吸収し、アウタシェル60に熱応力が作用することを防ぎ、アウタシェル60の変形を防止している。
【0032】
アウタシェル60のさらに外側には柱62を介して最外殻である側壁外層としての化粧パネル70が設けられている。この化粧パネル70はフランジを有する柱62を介してアウタシェル60と例えば金属製のリべット62aにより固定アウタシェル60の上部には円筒状の前記気道14に連通する開口61aが設けられ、この開口61aにパイプ61の一端が溶接される。パイプ61は化粧パネル70を貫通し、その他端が冷却ガス導入ダクト7yに連通している。なお、柱62、化粧パネル70は導電性を有する材料から構成されており、例えば、ステンレス材料等の金属材料から構成されている。このため、化粧パネル70とアウタシェル60とは柱62を介して導電する状態で接続されている。なお、アウタシェル60や化粧パネル70に対する導電を上述の如く防ぐことで基板処理装置全体への導電を防止し、作業時の感電等や基板処理装置内の電装品が破損することを防いでいる。
【0033】
図4に示すように、インナシェル50は上下に複数分割されている。分割された上側のシェルとこれに隣接する下側のシェルとの間には隙間50sが設けられている。そして、インナシェル50のうち上側のシェルである上側シェルに設けられた第一フランジ50tと下側シェルの水冷管59との間にセラミックファイバー等の断熱部材よりなる断熱ブランケット50aを介在させ、隙間50sからの熱逃げを防ぎ、熱的に上下のシェルを分断している。
【0034】
図7に示すように、中間部11の下部では、インナシェル50の外側に張り出した第二フランジ50xとアウタシェル60の内側に張り出した第三フランジ60xとの間に断熱及び絶縁部材としての断熱ブランケット50yを介在させてある。これにより、インナシェル50とアウタシェル60との間は絶縁されると共に断熱ブランケット50yにより気密状態が保たれる。また、第三フランジ60xと底蓋72aとの間に断熱部材としての断熱ブランケット60yを設け、インナシェル50内部空間の気密を保っている。中間部11と天井部10との間にも同趣旨の構造が採用され、絶縁状態と気密状態が保たれる。最下段の発熱体20の下部は発熱体20の中腹の動きを制限する急冷パイプ40とは別に設けられた急冷パイプ42により支持されている。
【0035】
近年、ウエハ処理の微細化が進み、ウエハの面内偏差をさらに低減させる必要が生じてきた。特に、ボート300の上部に位置するウエハ305は、天井ユニット10からの放熱の影響で、ウエハ305中心部の温度が周縁部に比べて低くなり易い。これでは、ウエハの中心部と周縁部での均一な熱処理が行なえない。また、CVD処理では、処理ガスはボートの周縁部から供給されるため、ボート中心部での処理ガス濃度が低下し、ウエハ中心部の膜厚が周縁部に比べてさらに薄くなる問題を生じていた。
【0036】
このため、CVD処理では、処理ガス濃度の低下に伴う反応速度の低下を補うために、ウエハ中心部の温度を周縁部に比べて高くする要請があった。そして、この問題を解決するために、上記従来技術の如く反射体を固定的に設け、周部発熱体の熱線をボート中心部に集光させ、ウエハ中心部の加熱量を増やすことで、ウエハ面内の温度偏差を調整するという手法も考えられる。
【0037】
しかし、ヒータの昇温時と安定時ではヒータ出力が異なるため、単一の反射体角度では、ウエハ面内偏差を適切に制御できない。昇温時は安定時に比べて大きな出力を出すため、反射体の角度を安定時の状態で調整すると、昇温時には中央部が周部よりも高温となる。逆に、反射体の角度を昇温時の状態で調整すると、安定時(アニール処理、成膜処理)に中央部が周部よりも低温になる。
【0038】
また、プロセス・シーケンスによっては、プロセス時間の削減のため昇温終盤からウエハ処理を開始するものもある。従って、ウエハの面内偏差を随時コントロールする必要がある。
【0039】
図8,9に示すように、天井部10における本発明の反射装置90は、ウエハ面内温度に応じてこの反射体91を移動機構92により移動させることにより反射体91の角度を調整し、ウエハ面内偏差を低減させる。
【0040】
天井ユニット10は加熱空間18の雰囲気を排出するための排気導路81を有する。天井ユニット10も下部12の構造と同様に、フランジと断熱クッション(断熱ブランケット)との組合せで、インナシェル50との絶縁性・気密性を確保すると同時に、インナシェル50の膨張収縮を吸収する構造としてある。
【0041】
天井ユニット10の下部には発熱体20から輻射される熱線(光)を反射する反射装置90が設けられている。この反射装置90は、熱線を反射する複数の湾曲した板状の反射体(リフレクタ)91を移動機構92とアクチュエータ99により傾斜させ、反射方向を変更することで温度制御を行う。
【0042】
反射体91は底面視で三角形を呈すると共に、側面視で略円弧状の形状をなし、図8及び9に示す如く、ウエハ305の中心部から周縁部を越える大きさで湾曲している。すなわち、反射体91は加熱空間18の中心部から加熱空間18の周縁部近傍までを覆うように設けられる。好ましくは、図8及び9に示す如く、ウエハ305の中心部から周縁部を越える大きさで天井壁体側に凸となるように湾曲しているとよい。これにより、反射体91の先端部と周縁部との間のほぼ全面で熱線の反射に利用することができ、熱線の反射効果を増大させ、熱線の集光状態を向上させることが可能となる。しかも、熱線の反射効果によって、天井部10の断熱効果をも向上させることができる。なお、好ましくは、反射体91をウエハ305の中心部から発熱体20が保持される円周位置に直交する鉛直方向位置まで延在されるとよい。このように構成することにより、反射面が増大し、より一層反射効果を増大させ、熱線の集光状態を向上させ、しかも天井部10の断熱効果をも向上させることができる。
【0043】
この複数の反射体91を隙間91aを隔てて環状に配置してある。上述の如く、反射体91は、三角形状(扇状)に形成してあるので、複数の反射体91を環状に容易に配置することができる。なお、好ましくは、複数の反射体91を同一形状で形成し、実質的に円周方向に均等配置するとよい。これにより、隙間91aにより、加熱空間18からの排気の流れを円周方向で均等に分けることができ、円周方向でのウエハ面内での温度差を減少させることが可能となる。なお、好ましくは、隙間91aの円周方向の幅も均等の大きさとするとより一層均等に排気の流れを円周方向で分けることができ、ウエハ面内の温度差を減少させることが可能となる。
【0044】
移動機構92は、可動部としてのシャフト93で上下移動可能に支持されている中央板94に各反射体91の一端側となる頂点を支持し、各反射体91の他端側となる周部を支軸体としての二本のボルト95により支持してなる。これにより、シャフト93で環状に配置された複数の反射体91の角度を同時に調整することが可能となり、いずれの角度に調整しても加熱空間18の周方向で均一な反射状態とすることができる。しかも、角度調整はシャフト93を駆動させればよく、移動機構92の構造が簡素となる。また、シャフト93を中心にウエハ305に対し点対称に熱線の反射を行うことができ、ウエハ全体を均一に加熱することができる。
【0045】
アクチュエータ99は反射制御部4cからの信号に基づきシャフト93を上下移動させ、シャフト93の位置で反射体91の角度を調整することにより、反射体91による反射状態を制御することができる。なお、好ましくは、複数の反射体91の一端が接続される中央板94は、最も下方に移動した際に、複数の反射体91の他端側が接続されるボルト95より鉛直方向下方に位置可能なように設けるとよい。これにより、天井部10が鉛直方向に大きくならずにすむため、加熱装置に基板処理装置の鉛直方向の大きさを増大させなくて済む。
【0046】
加熱空間18内の雰囲気は、先の隙間91a又は反射体91の周縁を経て、ヒータの周辺に等配されている4つの第一の開口82から吸気される。そして、ヒータの中心軸線上にある第二の開口83で纏められた後、排気口81aから加熱装置3の外部に排出される。なお、好ましくは、隙間91aの幅は、第一の開口82における開口面の直径より小さく、すなわち隙間91の方が狭小とするとよい。これにより、第一の開口82は、図9に示すように、上述の複数の隙間91aの一部に対向して設けられている箇所であっても、隙間91aからの排気量を抑制することができ、加熱空間18からの排気の流れを円周方向で均等に分けることができる。
【0047】
反応容器309には、SiCや石英材からなる均熱管315、SiCや石英材からなる反応容器としての反応管310が設置される。この反応管310内に基板保持具としてのボート300に載置された基板としてのウエーハ305が配置される。
【0048】
反応管310内の周縁部には先の第二温度検出器TC2としての温度センサ330が設置され、温度検出体としての熱電対の接点が前記各ゾーンZ1〜Z5毎に設置される。また、反応管310内には、先端がL型に曲げられた先の第三温度検出器TC3としてのL型温度センサ320が設置される。L型温度センサ320は、反応管310内のボート300より上方でL型に屈曲されている。L型温度センサ320は、ウエハ(ボート天板)の中心に位置する部分に温度検出体としての熱電対接点321が配置され、周縁に位置する部分に温度検出体としての熱電対接点322が設けられ、ウエハ(ボート天板)の中心部と周縁部の温度を検出することができる。
【0049】
温度センサ330により検知された温度に基づき、発熱体制御部4bが発熱体出力を各ゾーン毎に制御する。また、L型温度センサ320によって検知された中心部と周縁部の温度データは、温度モニタ部4aに送信される。反射制御部(制御装置)4cは、この中心部と周縁部の温度データから現在のウエハの面内偏差(温度偏差)を計算し、目標値の面内偏差との差に応じてアクチュエータ99に信号を送り、シャフト93を動作させて反射体91の角度を変更し、フィードバック制御を行う。なお、好ましくは、L型温度センサ320によって検知された中心部と周縁部の温度との偏差があらかじめ設定された面内偏差の許容範囲内より大きい場合に、面内偏差を小さくするようシャフト93を動作させて反射体91の角度を変更し、フィードバック制御を行うようにするとよい。これにより、ウエハの中心部への集光状態を自動で変化させることができ、ウエハの面内偏差を最適に制御することができる。
【0050】
次に、上記基板処理装置1の動作について説明する。
ウェーハ305の処理は、このウェーハ305が装填された前記ボート300がボートエレベータにより前記反応管310に装入され、前記加熱装置3の加熱により所定温度迄急速加熱される。この加熱装置3により前記ウェーハ305を所定温度に加熱した状態で前記反応ガス導入管5xより反応ガスが導入され、前記排気管6xを介して排気ガスが排出され、前記ウェーハ305に所要の熱処理がなされる。
【0051】
通常、前記ボート300の装入前は所要の温度、例えば550℃に保温しておき、このボート300が装入された後はウェーハ処理温度、例えば850℃迄昇温保持される。尚、装入前の温度、処理温度は基板処理装置での処理内容に応じて適切な温度が選択される。
【0052】
前記発熱体20の各段の発熱体20は温度モニタ部4aによって独立したゾーン毎に測定され、発熱体20及び反射装置90により温度制御される。各ゾーンの発熱体20は連続した1つの発熱体であるので、この発熱体20に異常があった場合、例えば断線があった場合も直ちに発見でき、各段の発熱体の劣化状態も容易に把握することができる。
【0053】
処理が完了すると、ウェーハ出炉温度、例えば550℃迄急速冷却される。このウェーハ305処理後の冷却は、前記流量制御器5a及びエアバルブ7aが開かれ、空気或は窒素ガス等不活性ガスが冷却ガスとして前記冷却ガス供給ライン5y、7より供給される。前記冷却ガス供給ラインから供給された冷却ガスは急冷パイプ40の貫通孔40aを通じて加熱空間18に流入し、発熱体20を外面、内面の両側から急速に冷却する。
【0054】
このような冷却パイプ40を用いた構成では、ヒータの冷却速度、延いてはウェーハの冷却速度を向上させることができ、ウェーハ処理のスループットを向上させることができる。また、冷却パイプ40は発熱体押さえと冷却ガス供給管とを兼ねているため、別途ヒータ冷却用のガス管を設ける必要がなく、それ故、ヒータ内壁における発熱体面積を向上させることができる。さらに、冷却パイプ40の貫通孔40aの開口部は発熱体20よりも内側にて開口しているので、冷却ガスにより発熱体20が局所的に冷却されることを防止する。その結果、発熱体20の局所的な変形、捩れ、亀裂を抑制し、延いては、発熱体20の断線、反応管310との接触を防止できる。
【0055】
円筒状の気道14に導入される冷却ガスは、容積の大きな冷却ガス導入ダクト7yを経て分散されることで、気道14に均一に冷却ガスが流入し、冷却むらの発生が防止される。その後、冷却ガスは、複数のパイプ61、気道14、複数の急冷パイプ40を介して加熱空間18に吹き込まれ、加熱空間18を上昇して排気導路81より排気される。インナシェル50内面は加熱空間18を上昇する冷却ガスにより冷却され、均熱管315及び反応管310は加熱空間18及び均熱管内空間317を上昇する冷却ガスにより急速に冷却される。これらにより反応管310内のウェーハ305は急速冷却される。発熱体20にFe−Cr−Alやカーボン、SiC等の発熱体を採用することで、急速加熱、高温加熱が可能となり、更に冷却ガスによる加熱装置3の冷却により急速冷却が可能となっている。
【0056】
冷却が完了すると、ボートエレベータによりボート300が降下され、このボート300から処理済のウェーハ305が払出される。尚、減圧処理の場合は、反応室を大気圧迄復帰させた後、ボート300が降下される。
【0057】
本明細書は以下の発明をも含むものとする。
1)前記制御装置は、前記反応容器内の基板の周縁部(周縁)の温度を検出する第1の温度検出体と前記反応容器内の基板の中心部(中心)の温度を検出する第2の温度検出体との検出結果に基づき前記基板の周縁部と中心部との温度偏差を求め、この求めた温度偏差に基づき前記移動機構を制御するものである基板処理装置。
【0058】
2)前記反射体はこの加熱装置内の上部に設けられている前記基板処理装置。
【0059】
3)反応容器内に基板を搬入する基板搬入工程と、この反応容器内を加熱装置により加熱して基板を処理する基板処理工程と、基板を前記反応容器内から搬出する基板搬出工程とを備え、前記基板処理工程において、前記基板の周縁部と中心部との面内偏差に基づき制御装置が移動機構を制御し前記反応容器内の熱線を反射する反射体を移動させて前記熱線の反射状態を変更する半導体装置の製造方法。
【0060】
4)前記基板処理工程において、前記制御装置は、前記反応容器内の基板の周縁部の温度を検出する第1の温度検出体と前記反応容器内の基板の中心部の温度を検出する第2の温度検出体との検出結果に基づき前記基板の周縁部と中心部との温度偏差を求め、この求めた温度偏差に基づき前記移動機構を制御する半導体装置の製造方法。
【0061】
5)筒状に形成された側壁と、複数の隙間を有する板状の発熱体とを備え、側壁の内面は熱線を反射可能に仕上げられ、前記側壁の筒状の内面に沿って発熱体を設け、発熱体の素線部表面は加熱空間に向かって熱線を輻射し、前記素線部裏面から輻射される熱線は前記内面により反射され前記隙間を通過して前記加熱空間に輻射される加熱装置、基板処理装置及び発熱体の保持構造。この構造では、素線部23の幅に比較して隙間24の幅を十分にとり、内面からの反射による熱線を有効活用できる幅としてある。この筒状の中心軸に沿って隙間を形成し、中心軸上側を前記保持部材により支持すると、輻射熱を尤も有効に活用すると共に発熱体の面密度を向上させることができるし、発熱体の線量を減少させて熱応答性を向上させることができる。また、筒状の内面を凹曲面とすることで、反射された熱線が隙間を通過して加熱空間内に輻射される効率を向上させることができ、この凹曲面は円弧面であることが望ましい。
【0062】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0063】
上記実施形態において、反射体の制御は、L型温度センサ320によって検知された中心部と周縁部の温度データを用いて、ウエハの面内偏差を計算し、目標値の面内偏差との差に応じて反射体91の角度を変更するフィードバック制御を行っていた。しかし、反射体の制御は、フィードバック制御に限られるものではなく、プログラムにより制御することも可能である。
【0064】
ウエハ処理(温度の昇降やガスの制御等)は、レシピと呼ばれるプログラムにより制御される。このレシピは、昇温、安定、降温等の複数のイベントよりなり、各イベントは「実行時間」「ヒータ温度」「バルブ開閉時間」「ガス流量」等のプロセス条件から構成されている。このプロセス条件に反射体の角度を調整する「反射体角度情報」を追加し、プログラム制御を行うようにしてもよい。例えば、「昇温イベント時には、リフレクタ角度をA状態」、「安定(処理、成膜)イベント時には、リフレクタ角度をB状態」となるように設定する。
【0065】
上述したように、ヒータの昇温時と安定時ではヒータ出力が異なり、昇温時はウエハ全体を均一に素早く加熱するために安定時に比べて大きな出力が必要となる。安定時は、昇温時に比べて小さい出力となるため、天井部10の排気導路81によりウエハ中央部の温度がウエハ周部より低温となりやすく、ウエハの面内偏差が生じやすい。そこで、昇温イベント時には、図10に示すように、シャフト93をウエハ全体を素早く加熱する角度に設定し、ウエハ全体を均一に加熱する。一方、安定イベント時は、図11に示すように、ウエハ中央部に熱線を集中する角度に設定する。昇温時は熱輻射量が多いので、輻射熱を分散させたとしても、ウエハ中央部の面内偏差は生じにくくなりウエハ全体を加熱することにより加熱速度を促進させる。一方、安定時は熱輻射量が少ないので、輻射熱をウエハ中央部に集光させ、面内偏差を生じにくくさせる。このように、イベントに応じた反射体角度を設定することで、面内偏差を低減することができる。
【0066】
また、イベントにおいて、反射体角度は1の状態に限られず、複数の状態となるように設定することも可能である。例えば、昇温イベントの前半時は、図10に示すように、ウエハ全体を広く均一に素早く加熱するように輻射熱を分散させる角度に設定する。また、後半時は、図11に示すように、ウエハ中央近傍に集光するように角度に設定する。このように、より緻密な角度調整も可能である。
【0067】
このような角度の条件設定は、製品ウエハを処理する前の基板処理装置の稼動初期段階(立ち上げ時)や基板処理装置のメンテナンス後(直後)にL型温度センサ320を用いて行ってもよい。また、試験用ウエハで成膜(アニール)テストを行い、成膜具合(アニール具合)を基に、角度条件を設定しても構わない。なお、昇温イベントを例に説明したが、安定時や降温時等のイベントにおいても、各イベントに応じて上述の如く設定すればよい。
【0068】
上記実施形態では、ウエハ面内偏差を計算するために、2つの温度検出体としての熱電対接点(接点321と接点322)を用いたが、温度検出体は種々の改変が可能である。例えば、温度センサ330のゾーンZ1の温度検出体とL型温度センサ320(例えば、接点321等を含む)とを用いてもよい。また、3点以上の温度検出体を用いてウエハ面内偏差を算出しても良い。
【0069】
また、上記実施形態では、ボート300の上にウエハ面内を測定するための熱電対接点を設けたが、その位置も種々の改変が可能である。例えば、ボート300の天板に熱電対接点を貼り付けても良いし、天板内に埋め込んでも良い。さらに、ボート300とウエハ305の間に熱電対接点を設けても良いし、ウエハに熱電対接点を貼り付けても良い。
【0070】
例えば、制御装置が、あらかじめウエハ面内における中心部と周縁部との膜厚偏差を求めた結果を記憶し、この膜厚偏差に基づき、反射体を移動させて発熱体の熱線の反射具合を調整し、膜厚偏差を無くすように移動機構を制御してもよい。なお、好ましくは、予めウエハに成膜した結果、ウエハ面内における中心部と周縁部との膜厚の偏差を計算し、予め設定された面内偏差の許容範囲内より大きい場合に内面偏差を小さくするようにシャフト93を動作させると良い。
【0071】
上記実施形態では、第二、第三温度検出器TC2,TC3として温度センサ320,330を設けた。しかし、これらの第二、第三温度検出器TC2,TC3としては、温度検出体としての各熱電対接点が独立の温度センサを用いても構わない。
【0072】
温度検出体は熱電対の接点のみならず、放射温度計などでもよく、温度を検出できるものであればその形式や構成は問わない。
【0073】
反射体91の形状や移動機構92は種々の改変が可能である。例えば、反射体91の周縁側を上下させたり、反射体91の水平位置を変更することにより、反射体91による反射状態を変更することが可能である。但し、反射体91の中央を中間部11の軸心に沿って移動させる上記実施形態は、機構が簡素となる点、周縁部の発熱体20からの熱線をウエハ中央部に集光させるための反射体91先端部と周縁部との間を反射に利用することができる点、反射をシャフト93を中心とする点対称的に行える点で優れている。
【0074】
反射体の形状は、例えば図12に示すように、反射体91’は平坦面を形成すると共に屈曲させて一部に斜面を形成してある。また、屈曲は一カ所に限られず複数箇所設けても構わない。なお、反射体の一端側を保持する中央板の形状等も反射体の形状等に合わせて改変可能である。
【0075】
反射装置90は、筒状に配置された発熱体20の筒状端部に配置すれば良く、加熱装置3の上部のみならず下部に設けてもよい。但し、下部はボートを移動させるために開口することが必要であり、また、上部には排気口が設けられて温度が低下し易いことから、上部に設けることが望ましい。
【0076】
反応容器は、均熱管及び反応管の双方を備えるように説明したが、均熱管を備えずに反応管のみであってもよい。その他、2重管のみならず、1管や3重管以上の管数に構成されていてもよい。
【0077】
上記熱処理は酸化処理や拡散処理及び拡散だけでなくイオン打ち込み後のキャリア活性化や平坦化のためのリフローおよびアニール処理等に限らず、成膜処理等の熱処理であってもよい。基板はウエハに限らず、ホトマスクやプリント配線基板、液晶パネル、光ディスクおよび磁気ディスク等であってもよい。バッチ式熱処理装置および枚葉式熱処理装置に限らず、ヒータユニットを備えた半導体製造装置全般に適用することができる。上記インナシェル50及び反射体91の鏡面仕上げ部は、ステンレス鋼の研磨により鏡面とする他、金、白金等の貴金属によるメッキを施しても構わない。
【0078】
本発明の実施形態は上記の如く構成されるが、さらに包括的には次に列挙するような構成を備えてもよい。
本発明に係る加熱装置は、加熱空間を囲う壁体と、該壁体内部に設けられる発熱体と、該発熱体からの熱線を反射する複数の反射体と、該複数の反射体それぞれの一端側に接続され該複数の反射体を可動させる可動部と、少なくとも前記複数の反射体それぞれの一端側より他端側に接続され、前記可動部が動作する際に前記反射体の動きを支軸として規制する複数の支軸体とを備える。係る場合、前記複数の反射体は環状に配置されており、前記可動部は前記環状の中央で前記複数の反射体に接続され、前記可動部の動作により、前記支軸体を支軸として前記複数の反射体の可動を調整可能に構成するとよい。
また、前記複数の反射体間には隙間を形成するとよい。前記反射体は、前記環状の中央を基部とした三角形状に形成しても構わない。前記複数の反射体は実質的に円周方向に均等配置されている。
前記壁体は筒状の側壁体と該側壁体の上端側に配置される天井壁体とで少なくとも形成されており、前記発熱体は前記側壁体に保持され、前記可動部は前記天井壁体に保持しても構わない。係る場合、前記天井壁体には、前記加熱空間内を排気する排気口に連通する開口が設けられており、前記複数の反射体間に形成されている隙間のうちの少なくとも一つは前記開口における開口面の直径より狭小であるとよい。前記壁体には、前記加熱空間内を排気する排気口が設けられており、この排気口は前記可動部を中心として円周方向に配置された複数の開口と連通してあり、前記反射体は三角形状に形成されており、該三角形状の基部を中央として前記複数の反射体が環状に隙間を形成して配置されており、該隙間のうちの少なくとも一つは前記開口における開口面の直径より狭小である。前記可動部の動作により前記支軸体を支軸として前記発熱体に対する前記複数の反射体における反射面の角度を変化させることで前記熱線の反射状態を変化させる移動機構を具備するとよい。前記反射体は前記加熱空間の中心部から前記加熱空間の周縁部近傍までを覆う大きさで湾曲して形成されているとよい。
また、前記複数の反射体は、前記側壁体の軸心位置から前記発熱体が保持される円周位置に直交する鉛直方向位置までそれぞれ延在させても構わない。前記反射体は、前記天井壁体側が凸となるように湾曲させるとよい。
本発明の基板処理装置は、上記態様の前記加熱装置の内部の加熱空間に内部で基板を処理する反応容器を設けてある。係る場合、前記基板の周縁部と中心部との温度もしくは膜厚の偏差が所定の偏差より大きい場合に前記可動部を動作させる制御部をさらに備えてもよく、前記反応容器内の基板の周縁部の温度を検出する第1の温度検出体と前記反応容器内の基板の中心部の温度を検出する第2の温度検出体との検出結果に基づき、前記基板の周縁部と中心部の温度偏差を求め、この求めた温度偏差が所定の偏差より大きい場合に前記可動部を動作させる制御部をさらに備えても構わない。また、前記反射体は前記基板の中心部から前記基板の周縁部を越える大きさで湾曲して形成することが望ましい。本発明の基板処理装置の他の態様は、基板を処理する反応容器と、この反応容器の外周に配置され反応容器内の基板を加熱する加熱装置とを備え、この加熱装置は、発熱体と、この発熱体の熱線を反射する反射体とを備え、この反射体を移動させて前記熱線の反射状態を変更させるための移動機構と、前記基板の周縁部と中心部との面内偏差に基づきこの移動機構を制御する制御装置とを備えることにある。
本発明に係る半導体装置の製造方法は、加熱装置の内部の加熱空間に設けられる反応容器内に基板を搬入する工程と、前記加熱装置は、前記加熱空間を囲う壁体と、該壁体内部に設けられる発熱体と、該発熱体からの熱線を反射する複数の反射体と、該複数の反射体それぞれの一端側に接続され該複数の反射体を可動させる可動部と、少なくとも前記複数の反射体それぞれの一端側より他端側に接続され、前記可動部が動作する際に前記反射体の動きを支軸として規制する複数の支軸体とを備え、前記発熱体と前記複数の反射体から反射される熱線とで前記反応容器内を加熱し前記基板を処理する工程とを有する。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、例えば、半導体集積回路装置(半導体デバイス)が作り込まれる半導体ウエハに酸化処理や拡散処理、イオン打ち込み後のキャリア活性化や平坦化のためのリフローやアニール及び熱CVD反応による成膜処理などに使用される基板処理装置に利用することができる。本発明は、このような基板処理装置のうち、特に低温領域でプロセスに対して有効なものである。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】従来の加熱装置を用いた処理炉の概略断面図である。
【図2】本発明における基板処理装置の概略を示す縦断面図である。
【図3】図2の天井部近傍における横断面図である。
【図4】図2におけるA部拡大図である。
【図5】図3におけるB部拡大図である。
【図6】図2におけるC部拡大図である。
【図7】図2におけるD部拡大図である。
【図8】図2における天井部の拡大図である。
【図9】図8におけるE−E断面図である。
【図10】昇温開始当初の反射体の状態の一例を示す図2におけるD部拡大図である。
【図11】昇温完了直前の反射体の状態の一例を示す図2におけるD部拡大図である。
【図12】本発明に係る他の実施形態の反射体形状を示す図8におけるE−E断面図である。
【符号の説明】
【0081】
1:基板処理装置,3:加熱装置,4:主制御装置,4a:温度モニタ部,4b:加熱制御部,4c:反射制御部,4d:第一流量制御部,4e:圧力制御部,4f:第二流量制御部,4g:排気制御部,4h:駆動制御部,5a:流量制御器,5b:流量制御器,5x:反応ガス導入管,5y:冷却ガス供給ライン,6a:圧力制御器,6x:反応ガス排気管,7:冷却ガス供給ライン,7a:開閉バルブ,7b:急冷パイプ,7x:吸気アタッチメント,7y:冷却ガス導入ダクト,8:強制排気ライン,8a:排気ブロア,10:天井部,11:中間部,12:下部,13:端子ケース,14:気道(冷却媒体流通通路),18:加熱空間,20:発熱体,20a:折曲部,21:上折返部,22:下折返部,23:素線部,24:隙間,30:吊り碍子,31:上碍子,32:下碍子,33:上金具,34:下金具,34a:隙間,35:ピン,36:ボルト,40:急冷パイプ,40a:貫通孔,40b:鍔,40c:鍔,40d:貫通部,42:急冷パイプ,50:インナシェル(側壁内層),50s:隙間,50t:第一フランジ,50u:断熱ブランケット,50x:第二フランジ,50y:断熱ブランケット,51:接続碍子,52:第一のボルト,53:カラー,54:第二のボルト,55a:開口(第一の開口),55b:箱(隔壁体),55c:鍔,55x:ねじ,59:水冷管,60:アウタシェル(側壁中層),60x:第三フランジ,60y:断熱ブランケット,61:パイプ,61a:開口,62:柱,62a:リベット,65:開口(第二の開口),65a:隙間,70:化粧パネル(側壁外層),71:ネジ,72a:底蓋,72b:コイルウケ,81:排気導路,81a:排気口,82:第一の開口,83:第二の開口,90:反射装置,91:反射体,91a:隙間,92:移動機構,93:シャフト,94:中央板,95:ボルト,99:アクチュエーター,100:取付構造,101:温度センサ(温度検出器),102:熱電対接点(温度検出体),103:保護管,103x:隙間,103y:隙間,104:碍子管,105:内鍔,106:外鍔,107:碍子,108:端子,109a:金属管,109b:止めねじ,111:第一パッキン,111a:孔,112:第二パッキン,112a:孔,120a〜c:ねじ,121:温度センサ(温度検出器),125:内鍔,126:外鍔,127:内箱,128:外箱,129:パッキン,131:温度センサ(温度検出器),132:温度センサ(温度検出器),133:保護管,135a〜c:鍔,300:ボート,305:ウエハ,308:処理室,309:反応容器,310:反応管,315:均熱管,317:均熱管内空間,320:L型温度センサ(温度検出器),321:接点(温度検出体),322:接点(温度検出体),330:温度センサ(温度検出器),Z1〜Z5:ゾーン,H1〜H3:貫通孔,R:円弧方向,V:貫通方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱空間を囲う壁体と、
該壁体内部に設けられる発熱体と、
該発熱体からの熱線を反射する複数の反射体と、
該複数の反射体それぞれの一端側に接続され該複数の反射体を可動させる可動部と、
少なくとも前記複数の反射体それぞれの一端側より他端側に接続され、前記可動部が動作する際に前記反射体の動きを支軸として規制する複数の支軸体と
を備える加熱装置。
【請求項2】
前記複数の反射体は環状に配置されており、前記可動部は前記環状の中央で前記複数の反射体に接続され、前記可動部の動作により、前記支軸体を支軸として前記複数の反射体の可動を調整可能に構成されている請求項1記載の加熱装置。
【請求項3】
請求項1記載の前記加熱装置の内部の加熱空間に内部で基板を処理する反応容器を設けた基板処理装置。
【請求項4】
基板を処理する反応容器と、この反応容器の外周に配置され反応容器内の基板を加熱する加熱装置とを備え、この加熱装置は、発熱体と、この発熱体の熱線を反射する反射体とを備え、この反射体を移動させて前記熱線の反射状態を変更させるための移動機構と、前記基板の周縁部と中心部との面内偏差に基づきこの移動機構を制御する制御装置とを備える基板処理装置。
【請求項5】
加熱装置の内部の加熱空間に設けられる反応容器内に基板を搬入する工程と、前記加熱装置は、前記加熱空間を囲う壁体と、該壁体内部に設けられる発熱体と、該発熱体からの熱線を反射する複数の反射体と、
該複数の反射体それぞれの一端側に接続され該複数の反射体を可動させる可動部と、
少なくとも前記複数の反射体それぞれの一端側より他端側に接続され、前記可動部が動作する際に前記反射体の動きを支軸として規制する複数の支軸体とを備え、前記発熱体と前記複数の反射体から反射される熱線とで前記反応容器内を加熱し前記基板を処理する工程とを有する半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−33116(P2009−33116A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−154369(P2008−154369)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【出願人】(393000571)貞徳舎株式会社 (18)
【Fターム(参考)】