説明

動力付き車両用ブレーキシステム

【解決手段】 本発明は、自動車のブレーキシステムに関し、システムは主ブレーキシリンダ(20)をアンチロック装置(16)により、車両の車輪に取り付けられるブレーキ装置(12)に接続する2つの独立ライン回路(14、18)と共に設けられる流体動作ブレーキと、パーキングブレーキとを備える。本発明によれば、補助シリンダ(26)は、アンチロック装置(16)と主ブレーキシリンダ(20)との間の少なくとも1つのライン回路(18)に配設され、作動装置(48)により変位され、ライン回路内の液柱という手段により移動するあいだブレーキ装置(12)に作用する補助ピストン(32)、及び主ブレーキシリンダ(20)とそれぞれのブレーキ装置(12)との間のライン接続を閉鎖するためのバルブ(42)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンチロック装置を介して車両の車輪に取り付けられるブレーキ装置に主ブレーキシリンダを接続する2つの別系統の回路を含む流体動作ブレーキと、パーキングブレーキとを有する自動車用ブレーキシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
パーキングブレーキを通常作動するブレーキシステムに集約するために、多くの試みが既になされている。例えばドイツ特許第102 36 686号明細書から、ピストンとハウジングとを有する、車両の車輪に回転自在に取り付けられるブレーキディスクを挟むように取り付けられるブレーキキャリパが知られている。ピストンは第1及び第2のピストンを有し、第1ピストンはハウジング内部に摺動可能に案内され、車両のブレーキ装置を動作させる方法によってディスク軸に対し平行に移動可能である。そして、第2ピストンはハウジング内部でディスク軸に対して平行に移動可能であり、ブレーキディスクと係合するためにブレーキパッド上で動作する。2つのピストンは、その間に、接続溝によって車両のパーキングブレーキの圧力流体回路と接続されうる圧力室を含む。調整弁手段により圧力液が2つのピストンの間の圧力室へ導かれるのであれば、第2ピストンは動き、それによりパーキングブレーキを作動させる。ブレーキの動作が開始されると、圧力室の圧力は、第1及び第2ピストンの間の規制された液柱と互いに同期する第1及び第2ピストンが、ブレーキを動作させ、そして作動させるように、調整弁により制限される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この解決手段は、ブレーキ付き車両用車輪のそれぞれにある、それぞれのブレーキ装置における更なる出費につながる。
【0004】
本発明の基本的な目的は、わずかな追加の出費でパーキングブレーキの統合を前述の種類のブレーキシステムで可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、補助シリンダがアンチロック装置と主ブレーキシリンダとの間にあるライン回路の少なくとも1つに配設され、補助シリンダは、第1の接続開口部と第1のラインセクションを介して主ブレーキシリンダと接続され、第2の接続開口部と第2のラインセクションによりアンチロック装置と接続され、そしてブレーキ装置のライン回路内の液柱を介して自らの移動により動作する作動装置により移動可能である補助ピストンを有し、補助シリンダ内のバルブは主ブレーキシリンダと取り付けられるブレーキ装置との間のライン接続を閉鎖するために設けられる、本発明に従って解決される。
【0006】
主ブレーキシリンダとブレーキ装置との間のライン接続を閉鎖することにより、及びブレーキ装置で圧力増加の方向に補助ピストンを作動することにより、関係するライン回路と関連付けられる車輪の全てにあるブレーキ装置の全ては、アンチロック装置を介して作動される。従来の解決策と対照的に、1つだけの補助シリンダ、及びライン回路と関連付けられる車輪でのパーキングブレーキの作動のためのライン回路において関連付けられるピストンを必要とする。さらに、この補助シリンダは、ブレーキキャリパによって要求される空間により非常に限定されうるものとは異なり、より多くの空間が利用できる位置に置かれる。それゆえに、パーキングブレーキを流体動作ブレーキシステムに統一することに対する費用はかなり減少され、ブレーキキャリパの重量もまた減らされる。
【0007】
好ましくは、補助シリンダは自動車の全ての車輪がパーキングブレーキにより止められるように、それぞれのライン回路に配設される。これは、補助ピストンと共に動作する作動装置に対する出費を減少することに繋がる、必要なブレーキ圧が減少されるという有利な点を有する。補助シリンダの2つの接続開口部は、補助ピストンの移動によって開口部を通じてバルブにより開かれ、又は閉じられる、ブレーキ液のための軸方向に貫通する開口部を有する補助ピストンと共に、補助ピストンの端部が2つの接続開口部の間に軸方向に延びるように配設される。
【0008】
好ましい実施形態において、2つの接続開口部は、ブレーキの開放に対応して補助ピストン内の終端位置において他端と流体接続の状態にあり、補助ピストンの終端位置における流体接続は、遮断圧力の発揮に対応して、同じ補助ピストンの壁部により遮断されるように配設される。
【0009】
補助シリンダはそれぞれのライン回路に配設され、2つの補助シリンダの補助ピストンは、自ら備える作動装置により独立して、又は公知の作動装置により、動かされる。補助ピストンの作動は、電磁的に、機械的に、圧力流体、すなわち液体又は気体により、又は流体機械的に成し遂げられる。後者の場合において、好ましい解決手段における作動装置は、補助ピストンと連結され、ブレーキの作動に対応する動作位置に向けた方向にスプリングにより付勢され、ブレーキの開放に対応する休止位置に圧力流体により帰還可能である、作動シリンダを有する。本実施形態は、圧力流体において圧力低下を伴いながら、スプリングによりブレーキが自動的に作動されるという有利な効果と、パーキングブレーキを保持するためにエネルギーの供給が必要とされないという有利な効果とを有する。
【0010】
作動シリンダに圧力流体を給送するため、作動シリンダは、少なくとも1つのバルブを含む圧力ラインによって、従来公知である手段によりポンプにより一定の圧力に常に保持される圧力流体コンテナへ好都合に接続される。この作動バルブの作動により、パーキングブレーキが引かれ、あるいは開放される。
【0011】
本発明における更に有利な改良は、従属項において与えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下の説明は、付随する図面を用い、典型的な実施形態を通じて本発明を明らかにする。
【0013】
図1において、自動車の4つの車輪の4つのブレーキディスクが10で示され、ホイールは文字FL(front left)、FR(front Right)、RL(Rear Left)、及びRR(Rear Right)で示される。それぞれのブレーキディスク10は、アンチロック装置(ABS)16に対応する接続を伴うライン14により接続されたキャリパ12と協働する。アンチロック装置は、別個のブレーキライン18により、模式的に示されたブレーキペダル22のみにより操作可能であって、ブレーキフルードコンテナ24に接続される主ブレーキシリンダ20と接続される。ブレーキライン18の1つはブレーキキャリパFL及びRRに繋がるライン14と共に第1のブレーキライン回路を形成し、そしてもう一つのブレーキライン18はブレーキキャリパRL及びFRに繋がるライン14と共に第2のブレーキライン回路を形成する。双方のブレーキライン回路は他方から完全に分離される。これまで説明されたブレーキシステムの動作における課題は、自動車の通常稼働するブレーキシステムのそれである。
【0014】
主ブレーキシリンダ20を作動させずに、ブレーキ圧がブレーキキャリパに加えられ固定状態に保持されうるように働くパーキングブレーキが、この動作するブレーキシステムに組み合わされる。これに対し、2つのブレーキライン18のそれぞれにおいて、補助シリンダ26は、図2を参照してより詳細に示されるように配設される。補助シリンダ26は、その一端の近くに主ブレーキシリンダ20に繋がる配管18.1の1つと接続するためのコネクタ28を有し、そして、他端の近傍はアンチロック装置16に繋がるブレーキライン18の配管18.2と接続するためのコネクタ30を有する。補助シリンダ26内、かつ2つのコネクタ28及び30の間には、摺動自在に支持される補助ピストン32がピストンロッド34に接続される。ピストンロッド34は管状であって、補助シリンダ26の壁部に固定された径方向に向けられたピン38が貫通する、径方向に対向して軸と平行な2つのスロット36を有し、ピンはピストンロッド34及び補助ピストン32の変位動作を制限する。
【0015】
補助ピストン32はバルブプレート42によって閉じられ得る中心開口部40を有する。一端部で補助シリンダ26のカバー面と係合し、他端で補助ピストン32と係合する圧縮コイルスプリング44により、補助ピストン32は図2において右側に付勢される。バルブプレート42は、補助ピストン32の開口部40を貫通するタペット46に接続される。タペットの長さは、図2に示すように補助ピストン32が右限界位置にあるとき、タペットがピン38を押してバルブプレート42を補助ピストン32から持ち上げるように設計される。それゆえこの位置では、ブレーキ液は、補助シリンダ26を介してコネクタ28から、スロット36を介してピストンロッド34内部に、ピストン32の開口部40を介してコネクタ開口部30に、そしてその逆に流れる。補助ピストン32のこの位置におけるブレーキライン18の区間18.1及び18.2は、それゆえ、互いに接続される。そして、補助ピストンのこの位置において動作するブレーキは、公知の手段で用いられ得る。
【0016】
補助ピストン32は、以下に説明される作動装置48により動かされる。作動装置48は、図示した実施形態において、補助シリンダ26と一体的に形成され、そして中間壁部52により補助シリンダから分離される作動シリンダ50を含む。ロッド54は、この中間壁部52を貫通し、そして、その一端でピストンロッド34の閉鎖端部に位置し、その他端で作動シリンダ50内において摺動自在に支持される作動ピストン56に接続される。作動ピストン56は、一方はピストン底部60と係合し他方は作動シリンダ50のシリンダカバー62と係合する圧縮コイルスプリング58により、又は任意の板スプリングにより付勢され、これにより、ピストン56は中間壁部52の方向に付勢される。中間壁部52近傍において、作動シリンダ50は、2つのバルブ68、70により圧力流体タンク72と接続される、圧力流体管66(図1参照)のためのコネクタ64を有し、圧力流体タンク72はポンプ74により加圧される。バルブ68、70、及び流体ライン66を経て、圧力流体は作動シリンダ50に送られ、又は作動シリンダ50から除去される。第1の実施形態において、作動ピストン56は図2に示される位置に置かれ、圧縮コイルスプリング58の付勢に対抗して支持される。バルブ70が開放され、圧力流体が作動シリンダ50から流出するのであれば、作動ピストン56は無負荷となって圧縮コイルスプリング58により中間壁部52の方向である図2において左方向に動かされる。それにより、作動ピストン56は、ロッド54及び補助ピストン32のピストンロッド34を経ることにより圧縮コイルスプリング44の付勢に対抗して、図2において左に移動する。これは、バルブプレート42がタペット46により補助ピストン32からもはや持ち上げられないため、バルブプレート42が図示しないスプリングにより補助ピストン32に対して押圧されることになる。それにより、補助ピストン32の開口部40は閉じられ、そしてラインセクション18.2、同様にABS装置16を通じて結合されるライン14におけるブレーキ圧力が高められ、維持される。このように、パーキングブレーキが引かれる。ブレーキ圧力は保持されつづけ、更なるエネルギー伝達なくして維持される。その後、バルブ68がその中を通じる流れに切り替えられ、圧力流体が圧力流体ライン66を介して作動シリンダ50へ導かれ、それにより作動ピストン56が図2に示した位置へ押されて、パーキングブレーキは初めに再度開放される。補助ピストン32はその後、バルブプレート42が開口部40から持ち上げられ、圧力流体がラインセクション14、ABS及びブレーキライン18を介してブレーキキャリパ12から流出するまで、圧縮コイルスプリング42の影響の下で動作する。
【0017】
パーキングブレーキは、関連するライン回路に接続されるブレーキ装置の数とは無関係に、それぞれのライン回路に対して1つの補助シリンダだけ必要とすることがわかる。それゆえ、公知の解決手段とは異なり、補助シリンダ及び関連する補助ピストンは独立したブレーキキャリパごとに提供される必要がない。
【0018】
図3及び4に示される実施形態は、作動装置の改良形態として図1及び2による解決手段とは異なる。同様の部品は同様の参照番号が再度与えられる。単独作動ピストンの代わりに、図3及び4による本実施形態では、2つの作動ピストン56.1及び56.2が作動シリンダ50内に配列される。さらに、作動シリンダ50は、追加圧力流体ライン76(図3参照)及び2つの追加バルブ80、82を介して圧力流体タンク72に接続される追加コネクタ76を有する。この手段では、ピストン56.2の後面はコネクタ76を通じて圧力流体が供給され、これにより、ピストン56.1、56.2は、圧縮コイルスプリング58のスプリング力だけでなく、圧力流体タンク72からの作動液の圧力によっても、パーキングブレーキのブレーキ位置に保持される。簡単に言うと、これにより、これが必要となる場合により高いブレーキ圧力が得られ、その一方で図3及び4による配列は図1及び2による配列と同様の手段で作動する。ブレーキシステムの2つのライン回路が、そしてまた2つの補助シリンダ及び2つのブレーキライン18の作動装置もが完全に同一に作られることがまた述べられる。
【0019】
図5から7に示された実施形態は、その特に単純な構成によって優れていると認められる。再び、同様の参照番号が同様の部品に対して用いられる。
【0020】
2つの独立した補助シリンダ26の代わりに、2つのシリンダボア86を有し、それぞれのボアがクロージャーエレメント88により閉鎖され、そして補助ピストン32を受けるために設計される従来のハウジング84が設けられる。補助ピストン32は、ピストン底部90及びピストン壁部92によるポット形状である。圧縮コイルスプリング94はそれぞれの補助ピストン32の凹部に受容され、スプリングは一端で対応するクロージャーエレメント88と係合し、他端でポット底部90の内面と係合し、そして円筒ボア86の対応する底部に向いた方向へ補助ピストン32を付勢する。
【0021】
それぞれの円筒ボア86は3つの軸方向分散接続開口部95、96、98を有する。中間接続開口部96は、シリンダボア86を主ブレーキシリンダ20と接続するラインセクション18.1に接続される。クロージャーエレメント88に最も近づいて横たわる接続開口部98は、ラインセクション18.2によりABS装置16に接続される。シリンダ底部86に最も近づいて横たわる接続開口部95は、ライン99により供給コンテナ72と直接接続される。
【0022】
円筒ボア86の底部と対応するピストン底部90との間の空間は、従来公知のコネクタ100により圧力流体ライン66と接続される。図6を特に参照すると、それぞれの補助ピストン32のピストン底部90は、コネクタ100を介して流入する圧力流体が、補助ピストン32が図5に示すような終端位置にあるときですら、シリンダボア86の底部と補助ピストン32の底部90との間に到達するように、その外面上にバンプ102を有する。従って、補助ピストン32は、圧力流体ライン66を介した圧力流体の給送により、対応するクロージャーエレメント88の方向へ、圧縮コイルスプリング94の付勢力に対抗して動かされ得る。
【0023】
2つの接続開口部96及び98との間には、環状溝がシリンダボア86の壁に形成され、第1のシーリングリング104を受容する。2つの接続開口部95及び96の間と、接続開口部95及びシリンダボア86の底部の間には、第2及び第3のシーリングリング106及び108が、環状溝に対応して配設される。
【0024】
補助ピストン32の軸方向長さは、図5に示される終端位置において、接続開口部96及び98が、シリンダボア86の内部空間を通じて他の接続開口部と流体で接続される状態にあるように、接続開口部96が少なくとも部分的に開かれるように選択される。関係する補助ピストン32が、ライン66を介した圧力流体の給送により対応するクロージャーエレメント88の方向へ押圧される場合、ピストン壁部92の開口端はシーリングリング106を通過して、これによりクロージャー開口部96及び98との間の流体結合を遮断する。それゆえに、遮断圧力が関連するライン回路において増加され、そして対応する遮断信号がABS装置に送信される。バルブ68と70が閉じられると、圧力流体ライン66内の圧力は、補助ピストン32がそのブレーキ圧及び遮断信号生成位置に固定されるよう、固定される。すなわち、動作中のそれぞれの補助ピストン32は、シーリングリング106に停滞したままとならないよう、図6及び7に明確に示されるように、クロージャーエレメント88と対向する開口端の領域における補助ピストン32は、その外側で傾斜する。傾斜角はボア壁部に対して約20°の値である。本実施形態によれば、パーキングブレーキは主ブレーキシリンダの作動と独立に作動されうる。
【0025】
圧力液を冷却又は加熱することにより、その体積はかなり変化する。これは、シリンダボア86内の補助ピストンの移動につながる。この体積及び対応する圧力変化に対処するため、圧力流体ライン66は、スプリング補償器、膜補償器、あるいは類似のものとして作られうる、圧力補償器110に接続される。システムの非常に大きな冷却、あるいは漏出によって、対応する接続開口部95が補助ピストン32の後方端部(つまり、シリンダボア86の底部に対向する部位)により開放されるように補助ピストンの1つが大きく移動する場合、ピストン底部とシリンダボア86の底部との間の空間が供給コンテナ72と直接接続され、それにより圧力が補助ピストンを残し、補助ピストンによって作られるブレーキ圧が維持される。システムが再度暖かくなると、補助ピストンは後方に向けて再度移動し、接続開口部95を閉塞する。それにより圧力流体ライン66にもたらされる体積変化は、圧力補償器110により再度補償される。
【0026】
この動作によりシーリングリング108が損傷されないよう、図6に明確に示されるように、後方のピストン端部は前方のピストン端部と同様に傾斜が付けられる。
【0027】
接続開口部95が開かれ、ユーザがリリースバルブ70でパーキングブレーキを開放しようとすることが起こるのであれば、ユーザはこの場合において、供給コンテナ72から圧力を除去しなければならない。これは、言いかえると、パーキングブレーキの新たな作動の瞬間に、ブレーキ圧が用いられる状態にないことを意味する。ハプニングからこれを回避するために、ダイアフラムあるいは絞り弁(スロットル)が接続開口部95への経路に配置され、それらの直径は非常に小さいために圧力流体は接続開口部95を通じてシリンダボア86へ実質的により緩やかに流れ、そして、圧力流体はコネクタ100、流体ライン66、及びリリースバルブ70を通じてシリンダボア86から流出する。それゆえに、補助ピストンはスプリング94の影響の下でシリンダボア86の底部に向けた方向に動かされ、接続開口部95が再度閉じられる。そして、蓄積された圧力は、リリースバルブ70を介して供給コンテナ72へ、全く正常に給送される。
【0028】
図5から7に示された実施形態は、主ブレーキシリンダとABS装置との間のライン接続の閉塞のために設けられるバルブが、それ自身のバルブ要素を有さず、代わりに接続開口部96及び補助ピストン32のピストン壁部によって形成される、という有利な効果を有する。従って、図1から4による実施形態において設けられる可動バルブ要素42はもはや存在しない。さらに、作動シリンダ48自身が図1から4による解決手段におけるそれのようにはもはや存在しないため、補助ピストン32はその動作に対し圧力流体によって直接加圧されない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明によるブレーキシステムの概略図である。
【図2】補助シリンダ及び関連する作動シリンダの軸方向断面図である。
【図3】本発明の変更された実施形態の図1に対応した図である。
【図4】本発明の変更された実施形態の図2に対応した図である。
【図5】本発明の更なる実施形態の図1に対応した図である。
【図6】補助ピストン単独の部分断面図である。
【図7】図5に示された補助シリンダの線形接続の拡大図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車輪に関連付けられるブレーキ装置(12)に、アンチロック装置(16)を介して主ブレーキシリンダ(20)を接続する2つの独立ライン回路(14、18)を有する流体動作ブレーキと、
パーキングブレーキとを備え、
補助シリンダ(26)は、前記アンチロック装置(16)と前記主ブレーキシリンダ(20)との間にある前記ライン回路(18)の少なくとも1つに配設され、第1の接続開口部(96)と第1のラインセクション(18.1)を介して前記主ブレーキシリンダ(20)と接続され、第2の接続開口部(98)と第2のラインセクション(18.2)により前記アンチロック装置(16)と接続され、そして前記ブレーキ装置(12)のライン回路内の液柱を介して自らの移動により動作する作動装置(48)により移動可能である補助ピストン(32)を有し、
前記補助シリンダ(26)内のバルブ(42)は、前記主ブレーキシリンダ(20)と前記関連付けられるブレーキ装置(12)との間のライン接続を閉鎖するために設けられることを特徴とする自動車用ブレーキシステム。
【請求項2】
前記補助シリンダ(26)の前記第1及び第2の接続開口部は、ブレーキ液のための軸方向貫通開口部(40)を有する前記補助ピストン(32)と共に、前記補助ピストンの端部が前記第1及び第2の接続開口部の間に軸方向に延びるように配設され、
前記貫通開口部(40)は、前記補助ピストン(32)の移動によってバルブ(42)により開かれ、又は閉じられることを特徴とする請求項1に記載のブレーキシステム。
【請求項3】
前記第1及び第2の接続開口部(96、98)は、前記ブレーキの開放に対応して前記補助ピストン内の終端位置において他端と流体接続の状態にあり、前記補助ピストン(32)の終端位置における前記流体接続は、遮断圧力の適用に対応して、同じ補助ピストンの壁部(92)により遮断可能であるように配設されることを特徴とする請求項1に記載のブレーキシステム。
【請求項4】
それぞれのライン回路(18.1、18.2)は補助シリンダ(26)に配設されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のブレーキシステム。
【請求項5】
前記2つの補助シリンダ(26)の前記補助ピストン(32)は、公知の作動装置により動かされることを特徴とする請求項4に記載のブレーキシステム。
【請求項6】
それぞれの補助ピストン(32)は、自らが有する作動装置により動かされることを特徴とする請求項4に記載のブレーキシステム。
【請求項7】
前記作動装置は電磁的に動かされる作動装置として形成されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のブレーキシステム。
【請求項8】
前記作動装置は圧力媒体により動かされる作動装置として形成されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のブレーキシステム。
【請求項9】
前記作動装置は機械的に動かされる作動装置として形成されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のブレーキシステム。
【請求項10】
前記作動装置は流体機構により動かされる作動装置として形成されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のブレーキシステム。
【請求項11】
前記作動装置(48)は、前記補助シリンダ(26)の前記補助ピストン(32)と連結される作動ピストン(56)を伴う作動シリンダ(50)を有し、
前記作動ピストン(56)は、スプリング(58)によりブレーキの作動に対応した動作位置へ向けた方向に付勢され、そして前記ブレーキの開放に対応した休止位置に圧力流体により帰還可能であることを特徴とする請求項10に記載のブレーキシステム。
【請求項12】
前記補助ピストンは、その終端位置に向けてスプリング(94)により付勢され、圧力媒体によりその終端位置へ前記スプリングの付勢に対抗して動作可能であることを特徴とする請求項8に記載のブレーキシステム。
【請求項13】
前記作動シリンダ(48)及び補助シリンダは、少なくとも1つの作動バルブ(68、70)を含む圧力ライン(68)により圧力流体コンテナ(72)に接続されることを特徴とする請求項11又は12に記載のブレーキシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−513274(P2008−513274A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531698(P2007−531698)
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010030
【国際公開番号】WO2006/032417
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(507089012)
【氏名又は名称原語表記】EVALOR ANSTALT
【Fターム(参考)】