説明

動力伝達制御装置

【課題】エンジン始動時間のばらつきを抑えること。
【解決手段】エンジン10及びモータ/ジェネレータ20の内の少なくとも一方の動力を駆動輪WL,WR側へと伝達可能な動力伝達経路上に、エンジン10とモータ/ジェネレータ20との間の動力伝達を断接可能な係合部を有するクラッチ30を備え、且つ、モータ/ジェネレータ20の回転軸22の回転中にその動力でエンジン10を始動させる際、クラッチ30を当該始動時の目標係合制御量に応じて係合すると共に、その係合に伴う動力伝達経路上でのトルク変動が抑制されるようモータ/ジェネレータ20の動力を制御する車両の動力伝達制御装置において、前記始動時のクラッチ30の係合に伴うエンジン10の目標クランキング期間経過時の回転数に応じて前記始動時の目標係合制御量又は当該目標係合制御量の補正値を求めること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械エネルギを動力にして駆動力を発生させる機械動力源と、電気エネルギを変換した機械エネルギを動力にして駆動力を発生させる電気動力源と、その機械動力源と電気動力源との間の動力伝達を断接可能な係合部を有する動力断接装置と、を備えた車両の動力伝達制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機械動力源としてのエンジンと電気動力源としてのモータとの間にクラッチを設けたハイブリッド車両の駆動制御装置であって、そのクラッチの係合によってモータの回転をエンジンに伝え、これによりエンジンを始動させる技術が下記の特許文献1に開示されている。この駆動制御装置においては、モータの動力(モータ力行トルク)のみで走行(所謂EV走行)している状態からエンジンの始動を行う際、クラッチを係合させ、そのときのクラッチのトルク容量の分だけモータ力行トルクを増加させている。この駆動制御装置は、そのモータ力行トルクの増加分によって、クラッチの係合に伴う駆動力の低下、つまりクラッチの係合に伴う車速の引き込み(減速)の抑制を図り、また、このエンジン始動の際のトルクショックの抑制をも図る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−200758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、そのモータ力行トルクによるトルク補償(以下、「MGトルク補償」という。)は、クランキング時のエンジン回転数について考慮していない。これが為、EV走行状態からエンジンの始動を行う際には、エンジン回転数を燃料噴射等に要する所定の目標エンジン回転数へと上昇させるまでのクランキング動作に要する期間(以下、「クランキング期間」という。)が目標クランキング期間に対してずれる虞がある。換言するならば、このエンジン始動の際には、目標クランキング期間が経過したときのエンジン回転数が目標エンジン回転数に対してずれてしまう虞がある。従って、このEV走行状態からのエンジン始動時には、エンジンが完爆するまでの時間(以下、「エンジン始動時間」という。)にばらつきを発生させてしまう可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、電気動力源の回転軸の回転中に当該電気動力源の動力で機械動力源の始動を行う際の始動時間のばらつきを抑制させる動力伝達制御装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する為、本発明は、機械エネルギを動力にして駆動力を発生させる機械動力源及び電気エネルギを変換した機械エネルギを動力にして駆動力を発生させる電気動力源の内の少なくとも一方の動力を駆動輪側へと伝達可能な動力伝達経路上に、前記機械動力源と前記電気動力源との間の動力伝達を断接可能な係合部を有する動力断接装置を備え、且つ、前記電気動力源の回転軸の回転中に当該電気動力源の動力で前記機械動力源を始動させる際、前記動力断接装置を当該始動時の目標係合制御量に応じて係合すると共に、その係合に伴う前記動力伝達経路上でのトルク変動が抑制されるよう当該電気動力源の動力を制御する車両の動力伝達制御装置において、前記始動時の前記動力断接装置の係合に伴う前記機械動力源の目標クランキング期間経過時の回転数に応じて前記始動時の目標係合制御量又は当該目標係合制御量の補正値を求めることを特徴としている。
【0007】
ここで、前記始動時の目標係合制御量又は当該目標係合制御量の補正値は、前記目標クランキング期間経過時の回転数が目標クランキング回転数となるような値を求めることが望ましい。
【0008】
また、前記始動時の目標係合制御量又は当該目標係合制御量の補正値は、学習値として記憶することが望ましい。
【0009】
また、前記動力断接装置の係合部の特性値の学習と前記始動時の目標係合制御量又は当該目標係合制御量の補正値の学習とは、同時に実施させないことが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る動力伝達制御装置は、求めた機械動力源の始動時の目標係合制御量又は当該目標係合制御量の補正値を次回の始動時に用いることで、その次回の始動時における目標クランキング期間経過時の回転数を目標値(目標クランキング回転数)にすることができる。これが為、この動力伝達制御装置は、動力断接装置の係合に伴うトルク変動を抑制して、車速の引き込み(減速)やトルクショックの発生を抑えつつ、機械動力源を所定の目標始動時間で始動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明に係る動力伝達制御装置とその適用車両の一例を示す図である。
【図2】図2は、エンジンの始動動作について説明するフローチャートである。
【図3】図3は、エンジン始動時のエンジン回転数と目標クラッチ係合油圧との関係の一例を示すタイムチャートである。
【図4】図4は、エンジン始動時のエンジン回転数と目標クラッチ係合油圧との関係の他の例を示すタイムチャートである。
【図5】図5は、実施例1のクラッチ係合油圧補正値の学習動作について説明するフローチャートである。
【図6】図6は、実施例2のクラッチ係合油圧補正値の学習動作について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る動力伝達制御装置は、機械エネルギを動力にして駆動力を発生させる機械動力源及び電気エネルギを変換した機械エネルギを動力にして駆動力を発生させる電気動力源の内の少なくとも一方の動力を駆動輪側へと伝達可能な動力伝達経路上に、その機械動力源と電気動力源との間の動力伝達を断接可能な係合部を有する動力断接装置を備え、且つ、その電気動力源の回転軸の回転中に当該電気動力源の動力で機械動力源を始動させる際、動力断接装置を当該始動時の目標係合制御量に応じて係合すると共に、その係合に伴う動力伝達経路上でのトルク変動が抑制されるよう当該電気動力源の動力を制御する。そして、この動力伝達制御装置は、その機械動力源の始動時の動力断接装置の係合に伴う機械動力源の目標クランキング期間経過時の回転数に応じて前記始動時の目標係合制御量又は当該目標係合制御量の補正値を求めるものである。以下に、本発明に係る動力伝達制御装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
[実施例1]
本発明に係る動力伝達制御装置の実施例1を図1から図5に基づいて説明する。
【0014】
最初に、本実施例1の動力伝達制御装置の適用対象となる動力伝達システムが搭載された車両の一例について図1に基づき説明する。その図1の符号1は、機械エネルギを動力とする機械動力源と、電気エネルギを変換した機械エネルギを動力とする電気動力源と、その機械動力源と電気動力源との間の動力伝達を断接可能な動力断接装置を有する動力伝達システムと、を備えたハイブリッド車両について示す。
【0015】
このハイブリッド車両1は、機械動力源として、出力軸(クランクシャフト)11から機械的な動力(エンジントルク)を出力するエンジン10を備える。そのエンジン10としては、内燃機関や外燃機関等が考えられる。このエンジン10は、その動作がエンジン用の電子制御装置(以下、「エンジンECU」という。)101のエンジン制御部によって制御される。このエンジン10においては、出力軸11の回転角位置を検出する回転センサ(所謂クランク角センサ12)が設けられており、そのクランク角センサ12が検出信号をエンジンECU101に送信する。
【0016】
また、このハイブリッド車両1は、電気動力源として、モータ、力行駆動可能なジェネレータ又は力行及び回生の双方の駆動が可能なモータ/ジェネレータを備える。ここでは、モータ/ジェネレータ20を例に挙げて説明する。このモータ/ジェネレータ20は、例えば永久磁石型交流同期電動機として構成されたものであり、その動作がモータ/ジェネレータ用の電子制御装置(以下、「モータ/ジェネレータECU」という。)102によって制御される。力行駆動時には、モータ(電動機)として機能して、図示しないバッテリから供給された電気エネルギを機械エネルギに変換し、ロータ21と同軸上の回転軸22から機械的な動力(モータ力行トルク)を出力する。一方、回生駆動時には、ジェネレータ(発電機)として機能して、回転軸22から機械的な動力(モータ回生トルク)が入力された際に機械エネルギを電気エネルギに変換し、図示しないインバータを介して電力としてバッテリに蓄える。
【0017】
また、このハイブリッド車両1には、そのエンジン10やモータ/ジェネレータ20の動力(エンジントルクやモータ力行トルク)を駆動力として駆動輪WL,WRに伝える動力伝達システムが設けられている。
【0018】
動力伝達システムは、そのエンジン10とモータ/ジェネレータ20の内の少なくとも一方の動力を駆動輪WL,WR側へと伝達し得るものであり、その動力の伝達経路を構成する。
【0019】
この動力伝達システムは、そのエンジン10とモータ/ジェネレータ20との間に動力断接装置を備える。その動力断接装置は、エンジン10と駆動輪WL,WR側との間でのトルクの伝達を断接させるものであると共に、そのエンジン10とモータ/ジェネレータ20との間でのトルクの伝達を断接させるものでもある。これが為、この動力断接装置は、エンジン10の出力軸11とモータ/ジェネレータ20の回転軸22とを係合させた係合状態と、これらを係合状態から解放(非係合)させた解放状態(非係合状態)と、の切り替えを可能にする。
【0020】
例えば、この動力断接装置としては、所謂摩擦クラッチ装置であり、対向させて配置した第1係合部31と第2係合部32の間隔を調整することで係合状態と解放状態とを切り替えるクラッチ30を用いる。そのクラッチ30は、第1係合部31を出力軸11に一体となって回転させるよう連結すると共に、第2係合部32を回転軸22に一体となって回転させるよう連結する。このクラッチ30は、第1係合部31と第2係合部32が相互間の間隔の短縮によって圧着し、出力軸11と回転軸22とを連結させる係合状態となる。その係合状態は、第1係合部31と第2係合部32との間の圧着力に応じた状態であって、その間に滑りが発生している半係合状態と、圧着力の増加に伴い第1係合部31と第2係合部32とが一体になって回転している完全係合状態と、に大別される。一方、このクラッチ30は、例えば第1係合部31と第2係合部32の間隔が縮まるにつれて弾発力を発生させる弾性部(図示略)を備えており、その間の圧着方向の力が弾性部の弾発力を下回っているときに、第1係合部31と第2係合部32とが離間している解放状態となる。
【0021】
このクラッチ30は、アクチュエータ40によって動作させられるものであり、その動作をクラッチ用の電子制御装置(以下、「クラッチECU」という。)103によって制御する。そのアクチュエータ40は、係合制御量に応じて第1係合部31と第2係合部32の間隔や係合時の圧着力(即ち係合状態)を変えるものであり、その係合制御量を所望の目標係合制御量に調整することによって、その間隔や係合時の圧着力(係合状態)を目標係合制御量に応じたものへと制御する。その際、係合状態のクラッチ30は、その目標係合制御量に応じたクラッチトルク容量となる。一方、このアクチュエータ40は、係合制御量を調整し、その係合制御量に応じた圧着方向の力を弾発力よりも下回らせることによって、クラッチ30を解放状態にする。
【0022】
例えば、本実施例1のアクチュエータ40は、作動流体によって動作させられるものとする。この場合には、その作動流体の圧力が係合制御量となる。このアクチュエータ40は、作動流体供給装置41とクラッチ駆動装置42とを備える。その作動流体供給装置41は、モータ41aの駆動力によって作動流体を圧送する電動ポンプ41bと、クラッチ駆動装置42に作動流体を送る作動流体流路41cと、を備える。また、クラッチ駆動装置42は、図示しないが、作動流体供給装置41から供給された作動流体の圧力を目標圧力(目標係合制御量)に調整する係合制御量調整部と、調整された目標圧力に応じてクラッチ30を動作させ、上記の間隔や係合時の圧着力(係合状態)を調整するクラッチ駆動部と、を備える。その係合制御量調整部としては、作動流体の流量調整により圧力の調整が可能な流量調整弁を用いればよい。
【0023】
その作動流体供給装置41は、後述する自動変速機50への作動流体の作動流体流路41dも備えているものとする。これが為、ここでは、その作動流体供給装置41を後述するハイブリッドECU100に制御させることにする。そのハイブリッドECU100は、作動流体供給装置41から供給する作動流体について、少なくともクラッチ30における作動流体の目標圧力(目標係合制御量)と自動変速機50における作動流体の目標圧力よりも高圧のものを供給する。このように、作動流体は、クラッチ30と自動変速機50とで共用しているので、ATF(Automatic Transmission Fluid)等の作動油を用いればよい。この場合には、係合制御量調整部で調整される作動油の油圧がアクチュエータ40の係合制御量としてのクラッチ係合油圧となる。
【0024】
ここで、その作動流体供給装置41がクラッチ30の専用のものとして用意されている場合には、クラッチ駆動装置42の係合制御量調整部が不要となる。この場合には、クラッチECU103がその作動流体供給装置41から供給する作動流体の圧力を目標圧力(目標係合制御量)に調整すればよい。また、ここでは作動流体によって動作するクラッチ30を例に挙げているが、例えば所謂電磁クラッチと云われるものを用いるならば、係合制御量は、アクチュエータたるクラッチ駆動装置の電磁石への印加電流のことを指す。また、アクチュエータたるクラッチ駆動装置が電動モータの駆動力を利用して上記の間隔等を調整するものならば、係合制御量は、その電動モータへの印加電流のことを指す。
【0025】
更に、動力伝達システムは、入出力間の回転数(トルク)を変速比に応じて変える変速機であって、エンジン10又は/及びモータ/ジェネレータ20の動力が入力される有段の変速機を備える。ここでは、有段の自動変速機50を例示する。その自動変速機50は、夫々の変速段を成す歯車群等からなる変速機本体51と、入力軸50aに入力された動力を変速機本体51の歯車群等に伝達するトルクコンバータ55と、を備えている。その入力軸50aは、モータ/ジェネレータ20の回転軸22に一体となって回転し得るよう連結している。これが為、この入力軸50aには、エンジン10やモータ/ジェネレータ20の動力が入力される。
【0026】
その変速機本体51には、変速段の切り替え時に断接させて制御対象の変速段に応じた歯車群の組み合わせとする周知の複数の変速クラッチ(ブレーキと呼ばれる場合もある)52が設けられている。尚、図1においては、図示の便宜上、変速クラッチ52を1つしか記載していない。その変速クラッチ52は、供給された作動流体の圧力により動作して、制御対象の変速段に応じた歯車へのエンジン10又は/及びモータ/ジェネレータ20からの動力伝達が可能な状態と不能な状態とを切り替えるものである。具体的に、変速クラッチ52は、夫々に対向させて配置した第1係合部52aと第2係合部52bとを備えており、その対向する各々の間隔を作動流体供給装置41から供給された作動流体で調整して係合状態と解放状態とを作り出す例えば摩擦クラッチである。この変速クラッチ52の動作は、変速機用の電子制御装置(以下、「変速機ECU」という。)104によって制御する。
【0027】
トルクコンバータ55のタービンランナ55aには、変速機本体51の入力軸51aが一体になって回転するよう接続されている。また、このトルクコンバータ55のポンプインペラ55bには、自動変速機50の入力軸50aが一体になって回転するよう接続されている。これが為、スリップ制御中のトルクコンバータ55においては、入力軸50aの回転に伴って入力軸51aが回転する。
【0028】
また、このトルクコンバータ55には、係合状態にてタービンランナ55aとポンプインペラ55bとを一体回転させるロックアップクラッチ56が設けられている。このロックアップクラッチ56は、所謂摩擦クラッチ装置であり、入力軸50aに一体となって回転するよう接続された第1係合部56aと、入力軸51aに一体となって回転するよう接続された第2係合部56bと、を備える。このロックアップクラッチ56は、その第1係合部56aと第2係合部56bとの間の作動状態(係合状態又は解放状態)の切り替えが変速機ECU104によって実行される。
【0029】
このハイブリッド車両1には、車両全体の動作を統括的に制御する電子制御装置(以下、「ハイブリッドECU」という。)100が設けられている。このハイブリッドECU100は、エンジンECU101、モータ/ジェネレータECU102、クラッチECU103及び変速機ECU104との間で夫々に各種センサの検出信号や制御指令等の情報の授受ができる。本実施例1においては、少なくともそのハイブリッドECU100、エンジンECU101、モータ/ジェネレータECU102及びクラッチECU103によって、動力伝達制御装置が構成されている。
【0030】
このハイブリッド車両1においては、エンジン10の動力のみで走行するエンジン走行モードと、モータ/ジェネレータ20の動力のみで走行するEV走行モードと、エンジン10及びモータ/ジェネレータ20の双方の動力で走行するハイブリッド走行モードと、が用意されている。
【0031】
ここで、EV走行モードにおいては、燃費を向上させるべく、エンジン10を停止させている。これが為、EV走行モードからエンジン10の動力を使用するエンジン走行モード又はハイブリッド走行モードに切り替える場合には、停止中のエンジン10を始動させる必要がある。そのエンジン10の始動には、駆動中のモータ/ジェネレータ20の回転トルク(モータ力行トルク)をクランキング動作に利用する。従って、そのエンジン始動時には、解放状態にあるクラッチ30を係合して、モータ力行トルクをエンジン10の出力軸11に伝える。これにより、エンジン10は、クランキング動作を開始するので、エンジン回転数Neが所定の目標エンジン回転数(以下、「目標クランキング回転数」という。)Neckまで上昇したときに燃料噴射等によって始動する。動力伝達経路上においては、そのクラッチ30の係合に伴いトルク変動が生じる。例えば、その係合に伴い駆動輪WL,WRにおける駆動トルクが変動し、車速の引き込み(減速)が発生する。また、例えば、その係合によって動力伝達経路上の回転差のある係合部材間でトルク変動が起こり、所謂トルクショックが発生する。そこで、そのエンジン始動の際には、クラッチ30のクラッチトルク容量Tcを推定し、その推定クラッチトルク容量Tc1の分だけモータ/ジェネレータ20のモータ力行トルクを増加させることによって、クラッチ30の係合に伴うトルク変動を抑制し、車速の引き込み(減速)やトルクショックの発生を抑える。
【0032】
具体的には、エンジン10の始動が要求されたときに、図2のフローチャートに示す如く、ハイブリッドECU100がクラッチECU103に対してクラッチ30の係合開始を指令する(ステップST1)。
【0033】
ハイブリッドECU100は、クランク角センサ12の検出信号により得たエンジン回転数Neに基づいて、クラッチ30の係合に伴いエンジン10のクランキング動作が開始されたのか否かを判定する(ステップST2)。
【0034】
このハイブリッドECU100とクラッチECU103は、クランキング動作が開始されると、アクチュエータ40の係合制御量(作動流体の圧力であってクラッチ係合油圧Pc)を制御する(ステップST3)。その際、クラッチ係合油圧Pcは、目標クラッチ係合油圧Pctgt(=Pc0+Pc1(n))に調整する。「Pc0」は、図3に破線で示す基準クラッチ係合油圧である。この基準クラッチ係合油圧Pc0とは、従来のエンジン始動時におけるクラッチ係合油圧Pcの制御指令値に相当するものである。「Pc1(n)」は、後述するクラッチ係合油圧補正値である(n=0,1,2,…)。ここで、「Pc1(0)=0」と定義する。後述する最初のクラッチ係合油圧補正値Pc1(n)の演算が行われるまでは、「n=0」とし、基準クラッチ係合油圧Pc0を目標クラッチ係合油圧Pctgtにする。
【0035】
続いて、ハイブリッドECU100は、クラッチ30の推定クラッチトルク容量Tc1を演算する(ステップST4)。その推定クラッチトルク容量Tc1は、下記の式1の如く、第1係合部31と第2係合部32の摩擦材の摩擦係数μ、その夫々の摩擦材同士が触れ合う箇所の総面積A、目標クラッチ係合油圧Pctgtによる面圧P1tgt、弾性部の弾発力による面圧P2及び摩擦材同士が触れ合う箇所の外径dによって求めることができる。
【0036】
Tc1←μ*A*(P1tgt−P2)*d/2 … (1)
【0037】
エンジン始動時にはその推定クラッチトルク容量Tc1の分だけモータ力行トルクを増加させるので、ハイブリッドECU100は、その推定クラッチトルク容量Tc1をモータ力行トルクの増加分(MGトルク補償量Tmg1)とする(ステップST5)。
【0038】
また、ハイブリッドECU100は、現在のモータ力行トルク(以下、「現MGトルク」という。)Tmgnを求める(ステップST6)。その現MGトルクTmgnは、現在のEV走行の為に必要なモータ力行トルクであって、現状におけるモータ/ジェネレータ20へのモータ力行トルクの指令値(以下、「目標MGトルク」という。)Tmgtgtを用いればよい。
【0039】
そして、このハイブリッドECU100は、MGトルク補償量Tmg1と現MGトルクTmgnとから新たな目標MGトルクTmgtgt(=Tmgn+Tmg1)を演算し(ステップST7)、これに基づいてモータ/ジェネレータECU102にモータ/ジェネレータ20を駆動制御させる(ステップST8)。
【0040】
クランキング動作は、これらの繰り返しにより実行される。
【0041】
ハイブリッドECU100は、そのクランキング動作が終了したのか否かを判定する(ステップST9)。この判定は、エンジン回転数Neが目標クランキング回転数Neckまで上昇したのか否かを観ることで行える。このハイブリッドECU100は、エンジン回転数Neが目標クランキング回転数Neckまで上昇したときに、燃料噴射等を開始するようエンジンECU101に指令を送り、エンジン10を始動させる(ステップST10)。
【0042】
尚、クラッチ30の推定クラッチトルク容量Tc1が実際の値に対してずれている場合には、モータ力行トルクの増加分(MGトルク補償量Tmg1)がクラッチ30の係合に伴うトルク変動の抑制に適した大きさにならないので、適切なモータ力行トルクによるトルク補償(MGトルク補償)が実行されない。従って、その推定クラッチトルク容量Tc1又はMGトルク補償量Tmg1については、遅くとも次回のエンジン始動時に適切な大きさとなるよう補正することが望ましい。例えば、今回のエンジン始動時に、自動変速機50の入力軸50aにおける実際の入力トルク(以下、「実AT入力トルク」という。)と推定した入力トルク(以下、「推定AT入力トルク」という。)との差を求める。その実AT入力トルクは、トルクコンバータ55の容量係数とモータ/ジェネレータ20の回転数(以下、「MG回転数」という。)Nmgとから演算できる。一方、推定AT入力トルクは、目標MGトルクTmgtgt(=Tmgn+Tmg1)に基づき推定できる。その実AT入力トルクと推定AT入力トルクとの差は、推定クラッチトルク容量Tc1と実際のクラッチトルク容量Tcrとの差に相当するものであり、MGトルク補償量Tmg1の今回使った値と本来使うべき値との差になる。これが為、この実AT入力トルクと推定AT入力トルクとの差又はこの差に基づき決めた値を補正値として設定し、その補正値を用いて次回のエンジン始動時に推定クラッチトルク容量Tc1又はMGトルク補償量Tmg1を補正して、適切なMGトルク補償を実行させる。
【0043】
ところで、MGトルク補償の実行時には、クランキング期間中のエンジン回転数Neについて考慮されていない。これが為、上記のようなエンジン始動の際には、図3の1点鎖線又は図4の2点鎖線に示す如く、目標クランキング期間tckが経過した時のエンジン回転数Neが目標クランキング回転数Neckに対してずれてしまい、エンジン始動時間にばらつきを生じさせる虞がある。尚、図3の1点鎖線は、エンジン始動時間が目標エンジン始動時間よりも早まってしまう場合の例示である。一方、図4の2点鎖線は、エンジン始動時間が目標エンジン始動時間よりも遅れてしまう場合の例示である。
【0044】
そこで、本実施例1の動力伝達制御装置は、クラッチ30のクラッチトルク容量Tcを調整し、目標クランキング期間経過時にエンジン回転数Neが目標クランキング回転数Neckとなるよう構成する。目標クランキング期間経過時のエンジン回転数Neが目標クランキング回転数Neckよりも高回転の場合には、図3に示す如くエンジン始動時間が早まってしまうので、そのエンジン回転数Neと目標クランキング回転数Neckの差が大きいほどクラッチトルク容量Tcを大きく減少させる。これにより、この場合には、目標クランキング期間経過時のエンジン回転数Neが目標クランキング回転数Neckとなり、エンジン10を目標エンジン始動時間で始動させることができる。一方、目標クランキング期間経過時のエンジン回転数Neが目標クランキング回転数Neckよりも低回転の場合には、図4に示す如くエンジン始動時間が遅くなってしまうので、そのエンジン回転数Neと目標クランキング回転数Neckの差が大きいほどクラッチトルク容量Tcを大きく増加させる。これにより、この場合には、目標クランキング期間経過時にエンジン回転数Neを目標クランキング回転数Neckまで上昇させ、エンジン10を目標エンジン始動時間で始動させることができる。
【0045】
そのクラッチトルク容量Tcの調整は、上述した式1からも明らかなように、目標クラッチ係合油圧Pctgtによる面圧P1tgtを変えることで為し得る。これが為、ハイブリッドECU100には、目標クランキング期間経過時のエンジン回転数Neと目標クランキング回転数Neckとの差に応じたクラッチ係合油圧Pcの補正値(以下、「クラッチ係合油圧補正値」という。)Pc1(n){n=0,1,2,…}を求めさせ、これを用いて次回の同様のエンジン始動時における目標クラッチ係合油圧Pctgtを補正させる。そのクラッチ係合油圧補正値Pc1(n)は、目標係合制御量としての目標クラッチ係合油圧Pctgtに対する補正値である。
【0046】
その一連の制御動作について図5のフローチャートに基づき説明する。
【0047】
先ず、ハイブリッドECU100は、図2の制御動作によってクランキングが開始され(ステップST11)、そして、そのクランキング動作が終わった後に(ステップST12)、目標クランキング期間経過時のエンジン回転数Neを求める(ステップST13)。
【0048】
ハイブリッドECU100は、そのエンジン回転数Neと目標クランキング回転数Neckの差の絶対値を求め、その絶対値が所定回転数Nexよりも高いのか否かを判定する(ステップST14)。その所定回転数Nexは、例えば、エンジン始動時間が目標エンジン始動時間に対してずれないとき又は許容し得る範囲内のずれのときの回転差の絶対値であって、その中で最大のものを設定すればよい。従って、その求めた差の絶対値が所定回転数Nex以下と判定されたならば、ハイブリッドECU100は、エンジン始動時間に大きなずれが生じないと判断して、本制御動作を終わらせる。
【0049】
このステップST14において絶対値が所定回転数Nexよりも高いと判定された場合、ハイブリッドECU100は、nに1を加える(ステップST15)。ステップST14で初めて肯定判定されたときには、n=1となる。
【0050】
そして、このハイブリッドECU100は、そのエンジン回転数Neから目標クランキング回転数Neckを減算した値に基づいて、目標クラッチ係合油圧Pctgtにおける今回使用した値と目標エンジン始動時間にする為に本来使用すべきであった値との差(以下、「クラッチ係合油圧差分値」という。)Pc1xを求める(ステップST16)。クラッチ係合油圧差分値Pc1xは、その減算値(Ne−Neck)の分だけエンジン回転数Neを上昇又は下降させる為に必要なクラッチ係合油圧Pcである。エンジン10は、このクラッチ係合油圧差分値Pc1xの大きさ分だけ目標クラッチ係合油圧Pctgtを増加又は減少させることで、クラッチ30のクラッチトルク容量Tcが増加又は減少するので、その減算値分だけエンジン回転数Neが上昇又は下降する。このクラッチ係合油圧差分値Pc1xの演算は、下記の式2を利用する。「C」は、その減算値分のエンジン回転数Neに対応するクラッチ係合油圧Pcを導く為の換算係数であり、エンジン回転数Neとクラッチ係合油圧Pcとの対応関係によって求められる。
【0051】
Pc1x←(Ne−Neck)*C … (2)
【0052】
続いて、このハイブリッドECU100は、クラッチ係合油圧補正値Pc1(n)を下記の式3に基づき求める(ステップST17)。ステップST14で初めて肯定判定されたときには、Pc1(1)=Pc1(0)+Pc1x=Pc1xとなり、上記ステップST16で求めたクラッチ係合油圧差分値Pc1xがそのままクラッチ係合油圧補正値Pc1(1)となる。
【0053】
Pc1(n)←Pc1(n−1)+Pc1x … (3)
【0054】
ハイブリッドECU100は、そのクラッチ係合油圧補正値Pc1(n)を学習値として記憶装置に記憶させる(ステップST18)。その学習値は、次回のエンジン始動時のステップST3で利用される。例えば、図3の例示においては、クラッチ係合油圧補正値Pc1(n)がマイナスの値になるので(Ne−Neck<0)、次回のステップST3における目標クラッチ係合油圧Pctgtが減少し、推定クラッチトルク容量Tc1やMGトルク補償量Tmg1が小さくなる。これにより、目標MGトルクTmgtgtも小さくなるので、エンジン10は、その始動時間を遅らせることができ、目標エンジン始動時間で始動させることができる。一方、図4の例示においては、クラッチ係合油圧補正値Pc1(n)がプラスの値になるので(Ne−Neck>0)、次回のステップST3における目標クラッチ係合油圧Pctgtが増加し、推定クラッチトルク容量Tc1やMGトルク補償量Tmg1が大きくなる。これにより、目標MGトルクTmgtgtも大きくなるので、エンジン10は、その始動時間を早めることができ、目標エンジン始動時間で始動させることができる。
【0055】
ここで、本制御動作は、EV走行中のエンジン始動時だけでなく、モータ/ジェネレータ20の回転軸22の回転中にエンジン10を始動させるときにも利用できる。例えば、この種のハイブリッド車両1は、停車中において、エンジン10を停止させる一方、空気調和機の圧縮機等の動作の為にモータ/ジェネレータ20を駆動させる場合もある。このような状態でのエンジン始動時に本制御動作を用いることによって、エンジン10は、その始動時間のばらつきを抑えることができる。尚、この場合のステップST6における現MGトルクTmgnは、その圧縮機等の動作に要するモータ力行トルクである。
【0056】
以上示したように、本実施例1の動力伝達制御装置は、モータ/ジェネレータ20の回転軸22の回転中にエンジン10を始動させる際、クラッチ30の係合に伴うトルク変動を抑制して、車速の引き込み(減速)やトルクショックの発生を抑えつつ、目標エンジン始動時間での始動を可能にする。
【0057】
ところで、本実施例1においては、目標クランキング期間経過時のエンジン回転数Neに応じてクラッチ係合油圧補正値Pc1(n)の学習を行っているが、そのクラッチ係合油圧補正値Pc1(n)が加味された目標クラッチ係合油圧Pctgtを学習させてもよい。その学習後の目標クラッチ係合油圧Pctgtは、上記のステップST3で用いられる目標クランキング期間中の目標クラッチ係合油圧Pctgtと同じものである。このように、目標係合制御量としての目標クラッチ係合油圧Pctgtを学習させるように構成したとしても、本実施例1の動力伝達制御装置は、目標係合制御量の補正値を学習させたときと同様の効果を得ることができる。
【0058】
[実施例2]
本発明に係る動力伝達制御装置の実施例2を図6に基づいて説明する。
【0059】
前述したハイブリッド車両1のクラッチ30においては、その使用と共に第1係合部31と第2係合部32の摩擦材の特性値たる摩擦係数μが変化することもある。これが為、その摩擦係数μに変化が生じたときには、そのクラッチ30の推定クラッチトルク容量Tc1の推定精度が悪化する。従って、ハイブリッドECU100は、例えば、その推定クラッチトルク容量Tc1と実際のクラッチトルク容量Tcrとの差、詳しくは実AT入力トルクと推定AT入力トルクとの差に基づいて、その摩擦材の摩擦係数μのずれを推定し、その摩擦係数μの真の値を学習させるように構成される場合がある。
【0060】
しかしながら、その推定クラッチトルク容量Tc1は、実施例1でも示したように、目標クラッチ係合油圧Pctgtに係る面圧P1tgtによっても変化する。従って、この推定クラッチトルク容量Tc1の推定精度の悪化については、その目標クラッチ係合油圧Pctgtに起因するのか、それとも第1係合部31と第2係合部32の摩擦材の摩擦係数μの変化に起因するのか判別し難い。故に、実施例1のクラッチ係合油圧補正値Pc1(n)の学習と摩擦係数μの学習とが同時に実行されると、その夫々の学習が安定せず、正しい学習結果を得られない可能性がある。
【0061】
そこで、本実施例2の動力伝達制御装置は、その夫々の学習が同時に実行されぬように、何れか一方の学習制御が収束した後で他方の学習が為されるよう構成する。図6のフローチャートには、その一例を示す。尚、そのフローチャートにおける制御動作の大半は、実施例1の図5のフローチャートにおける制御動作と同じなので、ここで必要とされる部分のみ説明を行うことにする。
【0062】
本実施例2のハイブリッドECU100には、ステップST14において絶対値が所定回転数Nexよりも高いと判定した場合、先ず摩擦材の摩擦係数μの学習を禁止してから(ステップST15a)、nに1を加えさせる(ステップST15b)。これにより、その摩擦係数μの学習は、クラッチ係合油圧補正値Pc1(n)の学習の際に実施されなくなる。
【0063】
一方、このハイブリッドECU100には、ステップST14において絶対値が所定回転数Nex以下と判定した場合に、摩擦材の摩擦係数μの学習を実施させる(ステップST19)。これにより、その摩擦係数μの学習の最中には、クラッチ係合油圧補正値Pc1(n)の学習が実施されなくなる。
【0064】
尚、ステップST14で用いる所定回転数Nexは、例えば、エンジン始動時間が目標エンジン始動時間に対してずれないとき又は許容し得る範囲内のずれのときで、且つ、摩擦係数μが不変のときの回転差の絶対値であって、その中で最大のものを設定してもよい。
【0065】
以上示したように、本実施例2の動力伝達制御装置は、実施例1と同様の効果を得られるだけでなく、クラッチ係合油圧補正値Pc1(n)の学習と摩擦材の摩擦係数μの学習の同時進行を回避できるので、各々の学習精度を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上のように、本発明に係る動力伝達制御装置は、電気動力源の回転中に機械動力源を始動させる際の始動時間のばらつきを抑制させる技術に有用である。
【符号の説明】
【0067】
1 ハイブリッド車両
10 エンジン(機械動力源)
20 モータ/ジェネレータ(電気動力源)
30 クラッチ
40 アクチュエータ
50 自動変速機
55 トルクコンバータ
100 ハイブリッドECU
101 エンジンECU
102 モータ/ジェネレータECU
103 クラッチECU
104 変速機ECU
WL,WR 駆動輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械エネルギを動力にして駆動力を発生させる機械動力源及び電気エネルギを変換した機械エネルギを動力にして駆動力を発生させる電気動力源の内の少なくとも一方の動力を駆動輪側へと伝達可能な動力伝達経路上に、前記機械動力源と前記電気動力源との間の動力伝達を断接可能な係合部を有する動力断接装置を備え、且つ、前記電気動力源の回転軸の回転中に当該電気動力源の動力で前記機械動力源を始動させる際、前記動力断接装置を当該始動時の目標係合制御量に応じて係合すると共に、該係合に伴う前記動力伝達経路上でのトルク変動が抑制されるよう当該電気動力源の動力を制御する車両の動力伝達制御装置において、
前記始動時の前記動力断接装置の係合に伴う前記機械動力源の目標クランキング期間経過時の回転数に応じて前記始動時の目標係合制御量又は当該目標係合制御量の補正値を求めることを特徴とした動力伝達制御装置。
【請求項2】
前記始動時の目標係合制御量又は当該目標係合制御量の補正値は、前記目標クランキング期間経過時の回転数が目標クランキング回転数となるような値を求めることを特徴とした請求項1記載の動力伝達制御装置。
【請求項3】
前記始動時の目標係合制御量又は当該目標係合制御量の補正値を学習値として記憶することを特徴とした請求項1又は2に記載の動力伝達制御装置。
【請求項4】
前記動力断接装置の係合部の特性値の学習と前記始動時の目標係合制御量又は当該目標係合制御量の補正値の学習とを同時に実施しないことを特徴とした請求項3記載の動力伝達制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−178285(P2011−178285A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44717(P2010−44717)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】