説明

医用画像処理装置および方法ならびにプログラム

【課題】効率的に精度良く機能画像に基づく画像診断を行う。
【解決手段】形態画像SIとそれに対応する機能画像FIとが画像データベースDBから選択される。その後、形態画像SIと機能画像FIとの位置合わせが手動もしくは自動で行われる。部位特定手段30において形態画像SI内に映し出された部位の抽出が行われる。その後、画像解析手段40により、形態画像SIから抽出された部位の位置に基づいて形態画像SIの解析が行われるとともに、形態画像SIから抽出された部位の位置と形態画像SIに対する機能画像FIの対応位置情報とに基づいて機能画像FIの解析が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形態画像と機能画像とを用いて特定部位の解析を行う医用画像処理装置および方法ならびにプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、CT装置等を用いて取得した放射線画像からボリュームレンダリング法を用いて3次元画像および2次元展開画像を形態画像として生成することが行われている。さらに、3次元画像により特定部位の状態を表示させるのみならず、ボリュームデータを解析することにより、特定部位の機能状態を解析することが行われている。たとえば形態画像から左心室の軸と心筋領域を求めることによって、局所駆出率や壁運動量といった心臓の機能を解析することが行われている。
【0003】
また、特定部位の機能を形態画像から解析するのではなく、別途撮影を行うことにより取得する場合がある。たとえばSPECT画像やPET画像が挙げられる。このような機能画像からも左心室の軸と心筋領域から算出する等の心機能解析を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−259696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
たとえば形態画像がX線CT装置により取得されたものであり機能画像がPET装置により取得されたものであるといったように機能画像が形態画像とは別の撮影により取得されたものである場合、部位の特定および解析は、形態画像と機能画像とにおいてそれぞれ独立して行われている。しかし、機能画像内には対象物の形態を示す情報が少なく、たとえば左心室の軸や心筋領域等の被写体の部位を正確に特定することは難しいという問題がある。また、形態画像から解析した局所駆出率等の心機能と機能画像から解析された心機能を比較しようとした場合に、形態画像と機能画像とで算出した左心室の軸と心筋領域が異なるため、両者の解析結果が同じ条件で行われたものではなく、診断効率が悪くなる場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、効率的に精度良く機能画像に基づく画像診断を行うことができる医用画像処理装置および方法ならびにプログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の医用画像処理装置は、被写体の形態情報を示す形態画像と、被写体の機能情報を示す機能画像とを取得する画像取得手段と、画像取得手段により取得された形態画像と機能画像との対応位置情報を検出する位置合わせ手段と、被写体の解析を行うために必要な被写体の解剖学的な位置を形態画像内において特定する部位特定手段と、部位特定手段により特定された解剖学的な位置情報と位置合わせ手段により検出された対応位置情報とを用いて機能画像の解析を行う画像解析手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明の医用画像処理方法は、被写体の形態情報を示す形態画像と、被写体の機能情報を示す機能画像とを取得し、取得した形態画像と機能画像との対応位置情報を検出するとともに、被写体の解析を行うために必要な被写体の解剖学的な位置を形態画像内において特定し、特定した解剖学的な位置情報と対応位置情報とを用いて機能画像の解析を行うことを特徴とするものである。
【0009】
本発明の医用画像処理プログラムは、コンピュータに、被写体の形態情報を示す形態画像と、被写体の機能情報を示す機能画像とを取得する手順と、取得した形態画像と機能画像との対応位置情報を検出するとともに、被写体の解析を行うために必要な被写体の解剖学的な位置を形態画像内において特定する手順と、特定した解剖学的な位置情報と対応位置情報とを用いて機能画像の解析を行う手順を実行させるためのプログラムである。
【0010】
ここで、被写体とは、たとえば人体の上皮組織・結合組織・筋肉組織・神経組織などの各組織や、血管、腸、気管支、動脈、心臓などの各臓器を意味する。
【0011】
また、形態画像は、特に、X線CT(X-ray Computed Tomography)、磁気共鳴断層撮影機器((magnetic resonance image)以下、MRIという)または超音波診断機器で撮像して得られた形態を示す画像や当該画像からボリュームレンダリングにより生成されたボリュームデータ等が挙げられる。さらに、機能画像は、単光子放出断層撮影(Single Photon Emission Tomography)により取得されたSPECT画像や、陽電子放出断層撮影(Positron Emission Tomography)により取得されたPET画像等や形態画像や機能画像を解析した解析結果等が挙げられる。
【0012】
さらに、位置合わせ手段は、形態画像と機能画像との対応位置関係を検出するものであればよく、たとえば形態画像と機能画像との位置がずれていない場合にはずれていない旨を検出するとともに、位置がずれている場合には位置合わせを行う。この位置合わせは、形態画像と機能画像とを画像内において同一の部位が略同一の位置に合わせるようにするものであればその方法を問わず、たとえば入力手段の入力から位置画像と形態画像との対応位置情報を検出するものであってもよいし、自動的に形態画像と機能画像とを位置合わせするものであってもよい。
【0013】
なお、画像解析手段は、機能画像について解析を行うものであればよく、部位特定手段により検出された被写体の部位情報を用いて、機能画像に基づき解析した機能とは異なる被写体の機能について形態画像の解析を行う機能を有するものであってもよい。このとき、医用画像処理装置は、形態画像の解析結果と機能画像の解析結果とを比較し出力する表示制御手段をさらに備えたものであってもよい。
【0014】
さらに、形態画像および機能画像が心臓を被写体とするものであってもよい。このとき、部位特定手段は心臓における左心室の軸と心筋領域とを検出し画像解析手段は心臓における左心室の軸と心筋領域とから心臓の機能を解析するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の医用画像処理装置および方法ならびにプログラムによれば、被写体の形態情報を示す形態画像と、被写体の機能情報を示す機能画像とを取得し、取得した形態画像と機能画像との対応位置情報を検出するとともに、被写体の解析を行うために必要な被写体の解剖学的な位置を形態画像内において特定し、特定した解剖学的な位置情報と対応位置情報とを用いて機能画像の解析を行うことにより、部位を特定しやすい形態画像から特定した部位情報を用いて機能画像の解析を行うため、機能画像から精度良く特定部位の解析結果を得ることができる。
【0016】
なお、画像解析手段が、部位特定手段により検出された被写体の部位情報を用いて、機能画像に基づき解析した機能とは異なる被写体の機能について形態画像の解析を行う機能を有するものであり、形態画像の解析結果と機能画像の解析結果とを比較し出力する表示制御手段をさらに備えたものであるとき、形態画像と機能画像とにおいて同一の位置情報を用いて機能の特定を行うことができるため、画像診断の精度を向上させることができる。
【0017】
さらに、形態画像および機能画像が心臓を被写体とするものであり、部位特定手段が心臓における左心室の軸と心筋領域とを検出するものであり、画像解析手段が心臓における左心室の軸と心筋領域とから心臓の機能を解析するものであれば、形態画像から検出した左心室の軸と心筋領域とを用いて機能画像の解析が行われることになるため、精度良く心機能の解析を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の医用画像処理装置の好ましい実施形態を示すブロック図
【図2】被写体が心臓である場合の形態画像および機能画像として取得されるスライス面の概要を示す模式図
【図3】図2の位置合わせ手段において形態画像と機能画像との対応関係を示す模式図
【図4】図2の表示制御手段において形態画像と機能画像との解析結果を比較表示する一例を示す模式図
【図5】本発明の医用画像処理方法の好ましい実施形態を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の医用画像処理装置の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の医用画像処理装置の好ましい実施形態を示すブロック図である。なお、図1のような医用画像処理装置1の構成は、補助記憶装置に読み込まれた医用画像処理プログラムをコンピュータ上で実行することにより実現される。このとき、この医用画像処理プログラムは、CD−ROM等の記憶媒体に記憶され、もしくはインターネット等のネットワークを介して配布され、コンピュータにインストールされる。
【0020】
医用画像処理装置1は、画像取得手段10、位置合わせ手段20、部位特定手段30、画像解析手段40を備えている。画像取得手段10は、被写体の形態情報を示す形態画像SIと、形態画像SIとは異なる撮影により検出された被写体Sの機能情報を示す機能画像FIとを取得するものである。なお、形態画像SIとは、たとえばX線CT、MRI、超音波診断装置等により得られた物体表面や輪郭等の形態を表す画像である。一方、機能画像FIとは、形態画像SIを機能解析した結果を画像化したものの他、単光子放出断層撮影(Single Photon Emission Tomography)により取得されたSPECT画像や、陽電子放出断層撮影(Positron Emission Tomography)により取得されたPET画像等の形態画像とは異なる撮影手法により被写体Sの機能を画像化したものを意味する。
【0021】
これらの形態画像SIおよび機能画像FIは画像データベースDBに記憶されており、画像取得手段10は画像データベースDBにアクセスすることにより形態画像SIおよび機能画像FIを取得する。なお、画像取得手段10は、ネットワークを介して他の装置に記憶されている形態画像SIおよび機能画像FIを取得するようにしてもよい。
【0022】
位置合わせ手段20は、図3に示すように、画像取得手段10により取得された形態画像SIと機能画像FIとの位置の対応位置情報PCを検出するものである。なお、形態画像SIと機能画像FIとは同一の被写体を撮影しているものであり、特にCT/PET装置のようなCT画像とPET画像との双方を一度に撮影可能な装置を用いた場合には、形態画像SIと機能画像FIとの位置対応関係PCは一致している。したがって、位置合わせ手段20は両画像SI、FIのサイズ等に応じて対応位置関係PCを取得する。
【0023】
一方、形態画像SIと機能画像FIとの位置がずれている場合もある。このとき、たとえば形態画像SIと機能画像FIとの位置合わせがマウスやキーボード等の入力手段を介して行い、位置合わせ手段20は入力手段の入力に従い形態画像SIと機能画像FIとの位置合わせを行う。あるいは位置合わせ手段20は形態画像SIと機能画像FIとの位置合わせを自動的に行うようにしてもよい。この自動的な位置合わせは公知の技術を用いることができ、たとえば特開2008−259696号公報に示すように、形態画像SIと機能画像FIとの間に予め所定の変数が未知の変換関数を設定しておき、各画像SI、FIから解剖学的な特徴点もしくは輪郭を用いて変換関数の変数を求め、当該変換関数を用いて形態画像SIと機能画像FIとを自動的に位置合わせしてもよい。別な方法としては、位置合わせ手段20は形態画像SIと機能画像FIと差分を両画像の相対位置を縦方向および横方向にずらしながら算出し、差分が最小になる位置を位置合わせがなされた状態とみなし対応位置情報PCを検出するようにしてもよい。
【0024】
また、被写体Sの機能を解析する際には複数の形態画像SIおよび複数の機能画像FIが必要な場合がある。たとえば被写体Sが心臓である場合であって心機能を解析する際、画像取得手段10は心臓の新基部から心尖部に向かう長軸A1に直交する短軸A2の方向のスライス面に対し複数の形態画像SIおよび複数の機能画像FIを取得する。このとき、位置合わせ手段20は各スライス面についてそれぞれ形態画像SIと機能画像FIとの位置合わせを行ってもよいし、任意のスライス面の形態画像SIと機能画像FIとを位置合わせすることにより、形態画像SIと機能画像FIとの長軸A1の位置合わせを行い、各スライス面での両画像SI、FIの位置合わせを行うようにしてもよい。
【0025】
図1の部位特定手段30は、形態画像SIに基づき被写体Sの部位情報を検出するものである。画像解析手段40は、部位特定手段30により特定された被写体の部位情報と位置合わせ手段20により検出された対応位置情報PCとを用いて形態画像SIおよび機能画像FIの解析を行うものである。たとえば心機能として心臓運動解析を行う場合、部位特定手段30はそれぞれの時相の三次元画像の中から短軸方向の断面画像(短軸A2方向の像)を切り出し、対応する位置の断層画像を対象に各時相から心筋壁の輪郭を形態画像SIから抽出する。
【0026】
その後、画像解析手段40は、形態画像FIについて長軸A1の同じ位置の交線上の断面における心筋壁(内腔)の輪郭を求め、その差分量を心筋壁運動量として検出する。画像解析手段40はこの処理を心基部から心尖部までの長軸A1に直交する各短軸A2断面位置で行い、まとめたものを解析結果として出力する。特に、画像解析手段40は、図4に示すように、解析結果をブルズアイ(Bull’s Eye)画像FBIとして生成する。ブルズアイ画像FBIは、心臓を楕円体モデルで近似して考えたとき、楕円の長軸A1を横切る短軸方向A2に一定の間隔で切り、いずれのスライス面であるかを中心からの距離で表し、各スライス面での機能情報を同心円状に配置して表示したものである。
【0027】
一方、機能画像FIに基づいて機能の解析を行う場合、部位特定手段30は、機能画像FIの解析に必要な形態情報(解析に用いる部位の位置情報)を形態画像SIから抽出し、抽出した形態画像SI上の形態情報が機能画像FI上のいずれの座標に該当するかを対応位置情報PCに基づいて抽出する。これにより、形態画像SIと機能画像FIとの双方から同一の形態情報が特定されることになる。
【0028】
医用画像処理装置1は、形態画像SIの解析結果と機能画像FIの解析結果とを比較し出力する表示制御手段50をさらに備えている。すなわち、画像解析手段40は、上述した機能画像FIに対する解析を行うとともに形態画像SIに対する解析を行う機能を有している。このとき、画像解析手段40は形態画像SIと機能画像FIとにおいてそれぞれ被写体の異なる機能を解析する。たとえば被写体が心臓である場合、画像解析手段40は形態画像SIから輪郭の差分等を用いて心筋厚や壁運動量、局所駆出率を解析しブルズアイ画像SBIを生成する。一方、画像解析手段40は、放射性同位元素(RI)を含む薬剤を注射し心臓に対するRI の集積状況を心臓の血流状態を示すものとして画像化した機能画像FI(SPECT画像)から形態画像SIに基づいて特定された心筋輪郭内における機能画像FIの最大値をブルズアイとしてマッピングしブルズアイ画像FBIを生成する。その後、表示制御手段50は、たとえば図4に示すように、表示装置2上のウィンドウW内に形態画像SIから生成したブルズアイ画像SBIと機能画像FIから生成したブルズアイ画像FBIとを並べて表示する。すると、形態画像SIからは局所駆出率や壁運動量といった心臓の機能が得られ、機能画像FIからは上記心臓の機能が得られるため、たとえば冠動脈の狭窄により心臓の機能が低下しているという状態を容易に把握・診断できるようになる。
【0029】
このように、機能画像FIにおける部位の特定および解析に用いられる位置情報を形態画像SIから取得することにより、機能画像FIの解析の精度を向上させることができる。すなわち、機能画像FI内には対象物の形態を示す情報が少なく、たとえば左心室の軸や心筋領域等の被写体の特定の部位を正確に特定することは難しい。このため、機能画像FI内の情報を用いて部位の特定を行ったときに精度良く特定部位を検出できない場合がある。つまり、機能画像FIに基づく解析結果が特定部位の機能を示すものではない場合が生じるとともに、形態画像SIと機能画像FIが異なる部位の機能について解析する結果となる。
【0030】
一方、上述したように、機能画像FIの解析を行う際に形態画像SIに基づく特定部位の検出結果を用いることにより、正確な部位の特定に基づく解析を行うことができるため、機能画像FIを用いた解析を精度良く行うことができる。また、形態画像SIと機能画像FIとが双方とも形態画像SIから抽出された同一の位置情報に基づいて解析されるため、形態画像SIと機能画像FIとが同一の基準での解析結果を出力することになり、両者の解析結果を比較したときに、解析基準が異なることによる診断精度の低下を抑制することができる。
【0031】
図5は本発明の医用画像処理方法の好ましい実施形態を示すフローチャートであり、図1から図5を参照して医用画像処理方法について説明する。まず、画像取得手段10において解析を行う形態画像SIとそれに対応する機能画像FIとが画像データベースDBから選択される(ステップST1)。その後、位置合わせ手段20により、形態画像SIと機能画像FIとの位置合わせが手動もしくは自動で行われる(ステップST2)。
【0032】
一方、部位特定手段30において形態画像SI内に映し出された部位の抽出が行われる(ステップST3)。その後、画像解析手段40により、形態画像SIから抽出された部位の位置に基づいて形態画像SIの解析が行われるとともに、形態画像SIから抽出された部位の位置と形態画像SIに対する機能画像FIの対応位置情報とに基づいて機能画像FIの解析が行われる(ステップST4)。その後、表示制御手段50により、形態画像SIと機能画像FIとの解析結果を比較したときの比較情報が表示装置2に出力される(ステップST5)。
【0033】
上記実施の形態によれば、被写体の形態情報を示す形態画像SIと、被写体の機能情報を示す機能画像FIとを取得し、取得した形態画像SIと機能画像FIとの対応位置情報PCを検出するとともに、被写体の解析を行うために必要な被写体の解剖学的な位置を形態画像SI内において特定し、特定した解剖学的な位置情報と対応位置情報PCとを用いて機能画像FIの解析を行うことにより、部位を特定しやすい形態画像FIから特定した部位情報を用いて機能画像FIの解析を行うため、機能画像FIから精度良く特定部位の解析結果を得ることができる。
【0034】
なお、画像解析手段40が、部位特定手段30により検出された被写体Sの部位情報を用いて、機能画像に基づき解析した機能とは異なる被写体の機能について形態画像SIの解析を行う機能を有するものであり、形態画像SIの解析結果と機能画像FIの解析結果とを比較し出力する表示制御手段50をさらに備えたものであるとき、形態画像SIと機能画像FIとにおいて同一の位置情報を用いて機能の特定を行うことができるため、画像診断の精度を向上させることができる。
【0035】
さらに、形態画像SIおよび機能画像FIが心臓を被写体とするものであり、部位特定手段30が心臓における左心室の軸と心筋領域とを検出するものであり、画像解析手段40が心臓における左心室の軸と心筋領域とから心臓の機能を解析するものであれば、形態画像SIから検出した左心室の軸と心筋領域とを用いて機能画像FIの解析が行われることになるため、精度良く心機能の解析を行うことができる。
【0036】
本発明の実施形態は上記実施形態に限定されない。たとえば、上記実施の形態において、被写体は心臓である場合について例示しているが、上皮組織・結合組織・筋肉組織・神経組織などの各組織や、脳、血管、腸、気管支、動脈、心臓などの各臓器にも適用することができる。
さらに、画像解析手段40において局所駆出率を算出する場合について例示しているが、たとえば心壁の対応する各点の変位量、拡張期の心筋の厚さから収縮期の心筋の厚さの差を表した壁厚変化量、拡張期の心筋の厚さをA、収縮期の心筋の厚さをBとしたときのB-A/Aで計算された値を表した壁厚増加率、拡張期の心室の径から収縮期の心室の径の差を表した壁運動量などを算出する機能を有していてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 医用画像処理装置
10 画像取得手段
20 位置合わせ手段
30 部位特定手段
40 画像解析手段
50 表示制御手段
DB 画像データベース
FI 機能画像
S 被写体
SI 形態画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の形態情報を示す形態画像と、前記被写体の機能情報を示す機能画像とを取得する画像取得手段と、
該画像取得手段により取得された前記形態画像と前記機能画像との対応位置情報を検出する位置合わせ手段と、
前記被写体の解析を行うために必要な前記被写体の解剖学的な位置を前記形態画像内において特定する部位特定手段と、
該部位特定手段により特定された前記解剖学的な位置情報と前記位置合わせ手段により検出された前記対応位置情報とを用いて前記機能画像の解析を行う画像解析手段と
を備えたことを特徴とする医用画像処理装置。
【請求項2】
前記位置合わせ手段が、前記形態画像と前記機能画像との位置関係がずれている場合、前記位置画像と前記形態画像との位置合わせを行い前記対応位置情報を検出するものであることを特徴とする請求項1記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記画像解析手段が、前記部位特定手段により検出された前記被写体の部位情報を用いて、前記機能画像に基づいて解析した機能とは異なる前記被写体の機能について前記形態画像の解析を行う機能を有するものであり、
前記形態画像の解析結果と前記機能画像の解析結果とを比較し出力する表示制御手段をさらに備えたものであることを特徴とする請求項1または2記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記形態画像および前記機能画像が心臓を前記被写体とするものであり、
前記部位特定手段が前記心臓における左心室の軸と心筋領域とを検出するものであり、
前記画像解析手段が前記心臓における左心室の軸と心筋領域とから前記心臓の機能を解析するものであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
被写体の形態情報を示す形態画像と、前記被写体の機能情報を示す機能画像とを取得し、
取得した前記形態画像と前記機能画像との対応位置情報を検出するとともに、前記被写体の解析を行うために必要な前記被写体の解剖学的な位置を前記形態画像内において特定し、
特定した前記解剖学的な位置情報と前記対応位置情報とを用いて前記機能画像の解析を行う
ことを特徴とする医用画像処理方法。
【請求項6】
コンピュータに、
被写体の形態情報を示す形態画像と、前記被写体の機能情報を示す機能画像とを取得する手順と、
取得した前記形態画像と前記機能画像との対応位置情報を検出するとともに、前記被写体の解析を行うために必要な前記被写体の解剖学的な位置を前記形態画像内において特定する手順と、
特定した前記解剖学的な位置情報と前記対応位置情報とを用いて前記機能画像の解析を行う手順を実行させるための医用画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−246777(P2010−246777A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−100369(P2009−100369)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【復代理人】
【識別番号】100134245
【弁理士】
【氏名又は名称】本澤 大樹
【Fターム(参考)】