説明

半導体ウェハの製造方法及びその装置

【課題】ワイヤーとワークとの間で発生する摩擦熱の影響で、ウェハの切断形状が変化することを抑制できる半導体ウェハの製造方法及びその装置を提供する。
【解決手段】複数のローラ12間にワイヤ13を巻き回してなるワイヤソー11で、ワーク17を切断してウェハを製造する半導体ウェハの製造方法において、ワイヤソー11の切断部16を、スラリー15を溜めたスラリー槽18内に浸して設けると共に、その切断部16のワイヤ13の上方にスラリー15を吹き付けるスラリー供給管20を設け、その切断部16のワイヤ13の下方のスラリー槽18内にワーク17をスラリー15に浸すように設けると共に、その上方の切断部16のワイヤ13にワーク17を押し付け、かつスラリー供給管20からスラリー15を切断部16に吹き付けて切断し、スラリー槽18内のスラリー15を温調槽21を介してスラリー供給管20に循環するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はGaAs結晶を、ワイヤソーを用いスライスして製造する半導体ウェハの製造方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
GaAs結晶の半導体ウェハは、結晶成長によりGaAsの単結晶インゴットを製作し、これを内周刃スライス・ワイヤソースライスなどの方法でスライス(切断)し、さらに面取り作業・研磨作業を行って円盤状の鏡面ウェハに加工される。
【0003】
単結晶インゴットが大口径化してきた近年では、ワイヤソーによる切断が主流となっている。
【0004】
従来のワイヤソーの基本構造を図3に示す。
【0005】
ワイヤソー31は複数のローラ32にワイヤ33を巻き回してなり、ワイヤソー31の切断部35のワイヤ33とワーク36にスラリー37を供給するスラリー供給管38と、ワーク36を保持すると共に切断部35のワイヤ33にワーク36を押し付けるための押圧手段39とを備える。
【0006】
ローラ32にはワイヤ33の位置と間隔を固定するための複数のワイヤ溝40が設けられると共に、ワイヤ33はワイヤ溝40に嵌め合わされながら複数のローラ32に螺旋状に巻き回され、その両端は、図示しない巻き取りリールに接続される。
【0007】
押圧手段39は、ワーク36を押圧手段39に保持させるための冶具41を備えており、冶具41を介してワーク36が押圧手段39に保持される。
【0008】
切断用の砥粒と、ワーク冷却用のクーラントからなるスラリー37を、スラリー供給管38から切断部35のワイヤ33とワーク36に吹き付けると共に、ローラ32を正転・逆転させてワイヤ33を往復走行させつつ押圧手段39によりワーク36を上昇させて切断部35のワイヤ33に押し付けることで、ワーク36がウェハ状に切断される。
【0009】
切断されたウェハを使用して製造される製品は、外観的な破損は勿論のこと、研磨作業での鏡面化後の表面形状、たとえばそり形状や表面の微細な凹凸などについても制限を設けることが多く、その規格値もさまざまになっているが、半導体ウェハが平滑であるほど、高品質の製品が製造できる傾向にあることが共通の認識となっていることから、単結晶インゴットからウェハに加工する過程で、表面形状のばらつきの原因となるものを発生させないような加工方法を確立させる必要がある。
【0010】
特に、初期作業の単結晶インゴットをスライスする作業においてウェハ両面に発生したそり形状や凹凸は、裏面転写(研磨後、固定冶具からの拘束を解くと、裏面に残るそり形状と凹凸が反映されて、再び表面に凹凸が発生する現象)など研磨後のウェハの表面品位に大きな影響を与える原因となることから、ウェハを切断する際にも、ウェハ両面に凹凸が発生しないようにウェハの厚さを均一にすることが求められる。
【0011】
ワイヤソー31では、ワイヤー33と切断対象であるワーク36との摩擦で熱が発生するため、この熱がワイヤ33を介してローラ32に伝熱するとローラ32が膨張し、ローラ32に設けられたワイヤ溝40の間隔を狂わせ、ワイヤ33の間隔も変化してウェハの厚さが設定した寸法から変化するおそれがある。
【0012】
また、円筒形状のインゴットなどからなるワーク36を切断する際には、ワイヤ33とワーク36との接触部の長さの変化と共に発生する摩擦熱が増減するため、ローラ32に巻き回されたワイヤ33同士の間隔がばらついて、切断後のウェハの厚さにばらつきが増える要因となる。
【0013】
この温度変化によるウェハの厚さのばらつきを低減するため、ワイヤソー31には、スラリー供給管38から吹き付けるスラリー37の温度制御を行い、熱を発生する熱源(すなわち、ワーク36とワイヤ33の接触部など)を冷却して、ワイヤソー31およびウェハの寸法の変化を抑制するスラリー温度制御装置を設ける場合もある(図示しない)。
【0014】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては以下のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特許3923107号公報
【特許文献2】特許3635870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述のように、ワイヤソーにはスラリーを温度制御する温度制御装置が設けられる場合があるが、従来の構造においては、温度制御装置は熱源を直接温度制御しているわけではなく、切断部およびワークの温度変化に対して精密かつ迅速な温度制御ができないので、数μm単位のウェハ厚さの寸法のずれを回避することが出来ない。
【0017】
特に近年では、スライス技術の向上により、ウェハの生産性を向上させるべくスライスの対象となる単結晶インゴットのさらなる大口径化・長尺化が進んでいるため、ワイヤとワークの接触部が長くなって熱源の迅速な温度制御がより困難となり、ウェハ厚さの均一性とウェハ面の平坦度とを同時に満足することが難しくなってきている。
【0018】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、ワイヤーとワークとの間で発生する摩擦熱の影響で、半導体ウェハの切断形状が変化することを抑制できる半導体ウェハの製造方法及びその装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために本発明は、複数のローラ間にワイヤを巻き回してなるワイヤソーで、ワークを切断してウェハを製造する半導体ウェハの製造方法において、前記ワイヤソーの切断部を、スラリーを溜めたスラリー槽内に浸して設けると共に、その切断部のワイヤの上方にスラリーを吹き付けるスラリー供給管を設け、その切断部のワイヤの下方のスラリー槽内に前記ワークをスラリーに浸すように設けると共に、その上方の前記切断部のワイヤに前記ワークを押し付け、かつ前記スラリー供給管からスラリーを前記切断部に吹き付けて切断し、前記スラリー槽内のスラリーを温調槽を介して前記スラリー供給管に循環するようにしたことを特徴とする半導体ウェハの製造方法である。
【0020】
前記スラリー槽に溜められた前記スラリーを温度制御が可能な温調槽に循環させ、前記温調槽から前記スラリー供給管にスラリーを供給し、前記ワークと前記切断部のワイヤとが温度制御されてもよい。
【0021】
前記ワークの設置および取り出しに際し、前記ワイヤソーと前記スラリー槽とが離間するようにされてもよい。
【0022】
また本発明は、複数のローラ間にワイヤを巻き回してなるワイヤソーで、ワークを切断してウェハを製造する半導体ウェハの製造装置において、スラリーを溜めて前記ワイヤソーの切断部をスラリーに浸すように設けられるスラリー槽と、前記切断部のワイヤの上方に設けられスラリーを吹き付けるスラリー供給管と、その切断部のワイヤの下方のスラリー槽内に前記ワークをスラリーに浸すように保持すると共に、その上方の前記切断部のワイヤに前記ワークを押し付ける押圧手段と、前記スラリー槽に溜められたスラリーを温度制御するための温調槽と、前記スラリー槽内のスラリーを温調槽を介して前記スラリー供給管に循環させる循環手段とを備えることを特徴とする半導体ウェハの製造装置である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ワイヤーとワークとの間で発生する摩擦熱の影響で、半導体ウェハの切断形状が変化することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態を示す構成図である。
【図2】本発明の効果を示す図である。
【図3】従来のワイヤーソーの構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の好適な実施の形態について詳述する。
【0026】
図1は、本実施の形態に係るワイヤソー11を用いて半導体ウェハを切断する装置の構成を示している。
【0027】
ワイヤソー11は、3本のローラ12にワイヤ13を巻き回してなり、スラリー15を溜めてワイヤソー11の切断部16をスラリー15に浸すと共にワーク17をスラリー15に浸して保持するスラリー槽18と、スラリー槽18内に設けられてワーク17を切断部16のワイヤ13に押し付ける押圧手段19と、スラリー15を切断部16のワイヤ13とワーク17に吹き付けるスラリー供給管20と、スラリー15の温度調整を行う温調槽21と、スラリー槽18に溜められたスラリー15を温調槽21を介してスラリー供給管20へ循環させる循環手段22とを備える。
【0028】
ローラ12には、図3に示した従来構造と同じく、ワーク17(単結晶インゴット)を切断したい寸法の間隔でワイヤ溝23が複数形成されると共に、ワイヤ13はワイヤ溝23に嵌め合わされながら3本のローラ12に螺旋状に巻き回され、その両端は、図示しない巻き取りリールに接続される。
【0029】
ワイヤソー11の下方に設けられるスラリー槽18の形状および寸法は、その内部にワーク17と押圧手段19とを共に保持しつつ、さらにワイヤソー11の切断部16をスラリー15に浸せるようにされる。
【0030】
また、ワイヤソー11とスラリー槽18は互いに近接離間自在となるように設けられ、ワーク17をスラリー槽18に設置および取り外しする際には、ワイヤソー11とスラリー槽18とが離間し、ワーク17を切断する際には、ワイヤソー11とスラリー槽18とが近接するようにされる。
【0031】
スラリー供給管20は切断部16のワイヤ13の上方に設けられ、切断作業時には砥粒を懸濁させたスラリー15が、下方のワイヤ13とワーク17に吹き付けられ、そのスラリー15はスラリー槽18に溜まるようにされる。
【0032】
スラリー槽18内に設けられた押圧手段19はワーク17を固定するための冶具24を備えており、ワーク17は冶具24を介して押圧手段19に固定されると共に、スラリー槽18内にスラリー15に浸されて保持される。
【0033】
本発明は押圧手段19を特に限定するものではなく、例えば上下動可能なアクチュエータを使用するなどすればよい。
【0034】
循環手段22は、スラリー槽18と温調槽21とを接続する配管22aと、温調槽21とスラリー供給管20とを接続する配管22bと、温調槽21内のスラリー15を配管22bを介し所定の圧力でスラリー供給管20に送液すべく温調槽21に備えられた送液ポンプ22pとからなる。
【0035】
また温調槽21は、スラリー15の温度を検知する検温手段と、スラリー15の温度を設定温度に制御するための温調手段とを備える。
【0036】
次に本実施の形態に係る単結晶インゴットの切断方法について説明する。
【0037】
まず、ワイヤソー11とスラリー槽18とを離間させ、押圧手段19に冶具24を介してワーク17(単結晶インゴット)を固定した後、ワイヤソー11とスラリー槽18を近接させる。
【0038】
ワイヤソー11とスラリー槽18は近接離間自在に設けられているので、ワーク17の設置作業および取り外し作業を容易に行うことが出来る。
【0039】
しかる後、温調槽21により温度制御されたスラリー15を循環手段22によりスラリー供給管20に循環し、スラリー供給管20から切断部16のワイヤ13およびワーク17にスラリー15を吹き付けると共に、ローラ12の回転によりワイヤ13を走行させつつ、押圧手段19によりワーク17を切断部16のワイヤ13に押し付けて切断を開始する。
【0040】
ローラ12の駆動は、正転・逆転を切り替えることでワイヤ13が往復走行するようにされるが、同じ位置でワイヤ13が走行すると摩耗による断線が早期に発生してしまうため、図示しない巻き取りリールから新しいワイヤ13が少しずつ先へ送り込まれるように(例えば、50cm進んで30cm戻るといった動作で20cmずつ新しいワイヤ13が供給されるように)する。
【0041】
切断部16のワイヤ13およびワーク17に吹き付けられるスラリー15には切断砥粒が含まれており、ワイヤ13とワーク17の間で砥粒が転がされてワーク17が切削され、押圧手段19がさらにワーク17を切断部16のワイヤ13に押圧することで、ワーク17の切断が進行する。
【0042】
この際、ワイヤ13とワーク17は互いに摩擦熱を発生するが、切断部16およびワーク17はスラリー15を溜めたスラリー槽18内でスラリー15に浸されて保持され、摩擦熱がローラ12に伝熱しないように温度制御される。
【0043】
ここで、従来のワイヤソー31と、本実施の形態に係るワイヤソー11との相違点について以下に詳述する。
【0044】
従来のワイヤソー31の構造(図3)においては、スラリー37は主に切断用の砥粒を供給すると共に発熱したワーク36を冷却することが主目的であるため、スラリー供給管38から切断部35のワイヤ33とワーク36に供給されたスラリー37は、流し台の排水のようなシステムでワイヤソー31外部に設置されたスラリー槽に溜められると共に、外部の温調槽で温度制御されて再びスラリー供給管38に送液される。
【0045】
切断部35のワイヤ33およびワーク36に吹き付けられるスラリー37以外は、すぐに装置外へ排出されるため、切断部35に対する冷却効果が低く、ワイヤソー31外部に排出されるスラリー37と、切断部35のワイヤ33およびワーク36とには温度差が生じることになる。
【0046】
そのため、ワイヤ33およびローラ32の温度が切断部35からの伝熱により上昇したことを、温調槽がスラリー37を介して検知してからスラリー37の温度制御を開始するまでに時間差が発生すると共に、温度上昇したワーク36とワイヤ33を冷却すべくスラリー37の温度制御を開始してから、実際にワーク36とワイヤ33の温度が冷却されるまでの応答時間もかかるため、熱源となるワーク36とワイヤ33を迅速に温度制御できないために、温度変化によるウェハの切断形状の変化を完全に抑制できるわけではなく、緩和する程度である。
【0047】
さらに近年では、大口径化・長尺化したワーク36(単結晶インゴット)を切断する際には、切断の進行に伴ってワイヤ33とワーク36との接触部の長さが変化するため、切断作業中に発生する摩擦熱の温度変化が増減し、半導体ウェハの切断形状の寸法変動が大きくなる。
【0048】
一方、本発明に係るワイヤソー11の構造(図1)においては、ワイヤ13およびローラ12の熱変動を緩和すべく、スラリー供給管20から吹き付けられたスラリー15を溜めると共に、切断部16のワイヤ13とワーク17を内部に保持するためのスラリー槽18を設け、切断部16のワイヤ13とワーク17とがスラリー15に浸されてワーク17の切断作業を行うようにされる。
【0049】
スラリー槽18内には多量のスラリー15が溜められているため、切断部16のワイヤ13とワーク17との間で発生する摩擦熱を、スラリー槽18に溜められたスラリー15で迅速かつ充分に冷却してローラ12への伝熱と熱膨張を抑制でき、ワイヤ溝23の寸法変化による切断形状の変化を抑制できる。
【0050】
また、切断部16のワイヤ13およびワーク17の温度は、スラリー槽18に溜められるスラリー15の温度とほぼ同じになることから、温調槽21はスラリー15を介しワイヤ13およびワーク17の温度変化を検知して迅速にスラリー15の温度制御を開始でき、摩擦熱によるワーク17の切断形状の変化に対する応答性を向上できる。
【0051】
これにより、大口径化・長尺化したワーク17の切断においても、数μmの切断精度を実現することが可能となる。
【0052】
切断が完了した際には(すなわち、ワーク17がウェハ状に切断された際には)、ローラ12の回転とスラリー15の循環とを停止させつつ押圧手段19によりワーク17を降下させると共に、ワーク17をスラリー槽18から取り外しすべく、ワイヤソー11とスラリー槽18とを離間させる。
【0053】
ワイヤソー11とスラリー槽18とは近接離間自在に設けられているため、スラリー槽18からのワーク17の取り出しを容易に行うことが出来る。
【0054】
以上説明したように、本発明に係る半導体ウェハの製造方法及びその装置によれば、ワーク17の切断時に、切断部16のワイヤ13とワーク17がスラリー槽18内でスラリー15に浸されて保持されることにより、ワイヤ13とワーク17との間に発生した摩擦熱を、スラリー槽18に溜められたスラリー15で十分に冷却できると共に、温度変化したスラリー15を迅速に温調槽21で温度制御できるため、摩擦熱の伝熱によるローラ12およびワイヤ溝23の寸法変動を抑制でき、大口径化・長尺化したワーク(単結晶インゴット)においても切断精度を向上させることができる。
【0055】
また、切断後の研磨工程において、鏡面を得るために必要なウェハの研削量が低減するために、研磨工程の作業効率と、単結晶インゴットの歩留まりを向上させることが出来る。
【実施例】
【0056】
以下に、本発明の実施例について述べる。
【0057】
図2は、4インチのGaAs単結晶インゴットをウェハ状に切断し、そのウェハ厚さの設定寸法からの誤差プロファイル(すなわち、表面粗さ)を、ウェハの径方向の一端から他端にかけて計測した結果を示しており、(a)は本発明に係るワイヤソーを、(b)は従来構造のワイヤソーを用いて切断したウェハの誤差プロファイルを示している。
【0058】
図2(b)に示すとおり、従来構造のワイヤソーを用いた場合、切断中、切断部のワイヤとワークに発生する摩擦熱と、その伝熱によるローラの寸法変化を抑制できず、さらには切断部の長さの変化に伴う摩擦熱の温度変化への応答性が低いために、ウェハ面が荒くなり、ウェハの最厚部と最薄部の厚さの差が10μm以上に大きくなったことがわかる。
【0059】
一方、図2(a)に示すとおり、本発明に係るワイヤソーを用いた場合、切断中、スラリー槽に溜められたスラリーによって切断部のワイヤとワークに発生する摩擦熱の冷却が促進されると共に、熱源から発生する摩擦熱がすぐにスラリーに伝わるために温度制御の応答性が高いことから、ウェハ厚さの変動が低く(すなわちウェハの平坦度が高く)なり、ウェハの最厚部と最薄部の厚さの差が8μm程度と、高品位な表面形状を有する大口径ウェハを製造できることが分かる。
【符号の説明】
【0060】
11 ワイヤソー
12 ローラ
13 ワイヤ
15 スラリー
16 切断部
17 ワーク
18 スラリー槽
20 スラリー供給管
21 温調槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のローラ間にワイヤを巻き回してなるワイヤソーで、ワークを切断してウェハを製造する半導体ウェハの製造方法において、前記ワイヤソーの切断部を、スラリーを溜めたスラリー槽内に浸して設けると共に、その切断部のワイヤの上方にスラリーを吹き付けるスラリー供給管を設け、その切断部のワイヤの下方のスラリー槽内に前記ワークをスラリーに浸すように設けると共に、その上方の前記切断部のワイヤに前記ワークを押し付け、かつ前記スラリー供給管からスラリーを前記切断部に吹き付けて切断し、前記スラリー槽内のスラリーを温調槽を介して前記スラリー供給管に循環するようにしたことを特徴とする半導体ウェハの製造方法。
【請求項2】
前記スラリー槽に溜められた前記スラリーを温度制御が可能な温調槽に循環させ、前記温調槽から前記スラリー供給管にスラリーを供給し、前記ワークと前記切断部のワイヤとが温度制御される請求項1記載の半導体ウェハの製造方法。
【請求項3】
前記ワークの設置および取り出しに際し、前記ワイヤソーと前記スラリー槽とが離間するようにされる請求項1または2に記載の半導体ウェハの製造方法。
【請求項4】
複数のローラ間にワイヤを巻き回してなるワイヤソーで、ワークを切断してウェハを製造する半導体ウェハの製造装置において、スラリーを溜めて前記ワイヤソーの切断部をスラリーに浸すように設けられるスラリー槽と、前記切断部のワイヤの上方に設けられスラリーを吹き付けるスラリー供給管と、その切断部のワイヤの下方のスラリー槽内に前記ワークをスラリーに浸すように保持すると共に、その上方の前記切断部のワイヤに前記ワークを押し付ける押圧手段と、前記スラリー槽に溜められたスラリーを温度制御するための温調槽と、前記スラリー槽内のスラリーを温調槽を介して前記スラリー供給管に循環させる循環手段とを備えることを特徴とする半導体ウェハの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−33762(P2012−33762A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172722(P2010−172722)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】