説明

半導体パッケージ

【課題】LEDパッケージの放熱性能の向上を小型化や低コスト化と両立させながら実現する。
【解決手段】搭載部材11に搭載したLED素子12の全周を取り囲むように高熱伝導性絶縁材料14がインクジェット、ディスペンサ等により設けられている。高熱伝導性絶縁材料14は、封止材料18よりも熱伝導率が高い絶縁材料で形成され、LED素子12全周の側面と搭載部材11とに密着して、LED素子12全周の側面から熱を搭載部材11へ効率良く伝達する放熱経路の構成材として機能すると共に、LED素子12の側面上端から搭載部材1の上面に向けて傾斜するスロープ状に形成されている。高熱伝導性絶縁材料14の上面に、インクジェット、ディスペンサ等の液滴吐出法により配線17が形成され、この配線17によってLED素子12の電極部13と搭載部材11の電極部16とが接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搭載部材にLED素子等の半導体素子を搭載してその上側から封止材料で封止した半導体パッケージに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
例えば、LEDパッケージでは、リードフレーム(搭載部材)にLED素子をダイボンディングして、該LED素子上面の電極部とリードフレーム側の電極部とをワイヤボンディングで配線した後、これら全体を透明な封止樹脂で封止した構成となっている。LED素子の発光中(通電中)は、LED素子が発熱して封止樹脂の温度が上昇するため、封止樹脂が経時的に黄変したり、LED素子の特性が劣化する等の問題が発生することがある。
【0003】
この対策として、特許文献1(特開2010−103525号公報)に記載のLEDパッケージは、パッケージ本体の下面に炭素ナノチューブからなる放熱フィンを形成して、パッケージ本体の下面側の放熱を促進させるようにしている。
【0004】
また、特許文献2(特開2007−266246号公報)に記載のLEDパッケージは、素子搭載凹部内にLED素子を搭載した基台と封止部材との接触面の外形を素子搭載凹部の底面(素子搭載面)の外形よりも大きくすることで放熱性を向上させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−103525号公報
【特許文献2】特開2007−266246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、LED素子をダイボンディングしたリードフレーム(搭載部材)は、導電性金属で形成されているため、封止樹脂やパッケージのモールド樹脂と比較して、熱伝導率が遥かに高いため、リードフレーム(搭載部材)の高熱伝導性を有効に活用して放熱性能を高めることが望ましい。しかし、上記特許文献1,2の放熱構造は、リードフレーム(搭載部材)の高熱伝導性を有効に活用していないため、結果的に、LEDパッケージが大型化したり、製造コストが高くなる欠点がある。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、放熱性能の向上を小型化や低コスト化と両立させながら実現する半導体パッケージを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、搭載部材に半導体素子を搭載してその上側から封止材料で封止した半導体パッケージにおいて、前記封止材料よりも熱伝導率が高い高熱伝導性絶縁材料を前記半導体素子の側面と前記搭載部材とに密着させるように設けることで、前記半導体素子の側面から熱を前記搭載部材へ伝達する放熱経路を構成したものである。この構成では、半導体素子の側面と封止材料との間に高熱伝導性絶縁材料が介在されているため、半導体素子の側面から封止材料への直接的な熱伝達は高熱伝導性絶縁材料で妨げられるが、高熱伝導性絶縁材料は封止材料よりも熱伝導率が高いため、半導体素子の側面から熱を高熱伝導性絶縁材料を介して搭載部材へ効率良く伝達して放熱させることが可能となり、高熱伝導性絶縁材料と搭載部材の高熱伝導性を有効に活用して放熱性能を高めることができる。
【0009】
例えば、半導体素子を封止する封止材料全体を高熱伝導性絶縁材料で形成することが考えられるが、高熱伝導性絶縁材料は、一般的な封止樹脂と比較してコストが高いため、封止材料全体を高熱伝導性絶縁材料で形成すると、製造コストが高くなる。
【0010】
これに対し、本発明では、半導体素子の側面と封止材料との間の放熱経路を構成するのに必要な部分のみを高熱伝導性絶縁材料で形成するだけであるため、コストアップ幅を少なくできると共に、高熱伝導性絶縁材料と搭載部材の高熱伝導性を有効に活用して放熱性能を高めることができるため、半導体パッケージ全体の小型化も可能となる。これにより、半導体パッケージの放熱性能の向上を小型化や低コスト化と両立させながら実現することができる。 本発明は、半導体素子の側面の一部に高熱伝導性絶縁材料が設けられていない箇所が存在しても良いが、請求項2のように、高熱伝導性絶縁材料を半導体素子の全周を取り囲むように設けることが望ましい。このようにすれば、半導体素子全周の側面から熱が効率良く搭載部材に伝達されて放熱されるようになり、熱伝達性能を向上させることができる。 また、半導体素子を搭載する搭載部材は、どのような形状であっても良く、例えば、請求項3のように、搭載部材に形成した素子搭載凹部内に半導体素子を搭載し、該素子搭載凹部内のうちの該半導体素子の周囲に高熱伝導性絶縁材料を充填するようにしても良い。このようにすれば、半導体素子の周囲に高熱伝導性絶縁材料を容易に設けることができ、該高熱伝導性絶縁材料を半導体素子全周の側面と搭載部材とに確実に密着させることができる。
【0011】
上述した請求項1〜3において、高熱伝導性絶縁材料は、放熱経路を形成するためだけに用いても良いし、或は、請求項4のように、高熱伝導性絶縁材料の上面に、半導体素子の上面の電極部と前記搭載部材の電極部とを接続する配線を形成するようにしても良い。このようにすれば、放熱経路の構成材として用いる高熱伝導性絶縁材料を配線の下地材としても機能させることができる。
【0012】
高熱伝導性絶縁材料の上面に配線を形成する場合は、請求項5のように、液滴吐出法又は印刷法により配線を形成するようにすると良い。例えば、搭載部材の素子搭載凹部内に半導体素子を搭載する場合は、搭載部材の素子搭載凹部内のうちの半導体素子の周囲のスペースに高熱伝導性絶縁材料を充填することで、半導体素子の上面の電極部と搭載部材の電極部との間の配線経路を高熱伝導性絶縁材料で平坦化することができ、高熱伝導性絶縁材料の上面にインクジェット等の液滴吐出法又はスクリーン印刷等の印刷法により配線を容易に形成することができる。また、半導体素子の上面の電極部と搭載部材の電極部との間に高低差がある場合には、高熱伝導性絶縁材料を半導体素子の上面の電極部側から搭載部材の電極部側に向けて傾斜するスロープ状に形成することで、該高熱伝導性絶縁材料の上面にインクジェット等の液滴吐出法により配線を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は本発明の実施例1のLEDパッケージの構造を図3のA−A線に沿って示す断面図である。
【図2】図2は図3のB−B線に沿って示す断面図である。
【図3】図3は実施例1のLEDパッケージの平面図である。
【図4】図4は実施例2のLEDパッケージの構造を図6のC−C線に沿って示す断面図である。
【図5】図5は図6のD−D線に沿って示す断面図である。
【図6】図6は実施例2のLEDパッケージの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態をLEDパッケージに適用して具体化した2つの実施例1,2を説明する。
【実施例1】
【0015】
本発明の実施例1のLEDパッケージの構成を図1乃至図3に基づいて説明する。
搭載部材11は、リードフレーム等の高熱伝導性材料により形成され、その素子搭載部に半導体素子であるLED素子12がダイボンディング(接合)されている。このLED素子12の上面の両側には、2つの電極部13が形成されている。
【0016】
このLED素子12の全周を取り囲むように高熱伝導性絶縁材料14がインクジェット、ディスペンサ等の液滴吐出法により設けられている。この高熱伝導性絶縁材料14は、LED素子12全周の側面と搭載部材11とに密着して、LED素子12全周の側面から熱を搭載部材11へ効率良く伝達する放熱経路の構成材として機能すると共に、LED素子12の側面上端から搭載部材1の上面に向けて傾斜するスロープ状に形成され、後述する配線17の下地材としても機能する。
【0017】
この高熱伝導性絶縁材料14は、後述する封止材料18よりも熱伝導率が高い絶縁材料で形成され、例えば、エポキシ系樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド系樹脂等の絶縁性樹脂に高熱伝導性フィラーを混入させた高熱伝導性絶縁樹脂を用いても良いし、或は、高熱伝導性無機材料(例えば二酸化ケイ素等のガラス、窒化アルミニウム等)を用いても良い。更に、高熱伝導性絶縁材料14は、LED素子12や搭載部材11に対する密着性や耐熱性に優れた材料が望ましく、また、LED素子12や搭載部材11との間の熱膨張率の差が小さい材料が望ましい。搭載部材11に搭載する半導体素子がLED素子12等の発光素子の場合は、透明な高熱伝導性絶縁材料14を用いると良い。
【0018】
LED素子12の上面の電極部13と搭載部材11の電極部16との間の配線経路は、高熱伝導性絶縁材料14で傾斜面に形成され、該高熱伝導性絶縁材料14の上面に、インクジェット、ディスペンサ等の液滴吐出法により導電性インクを吐出して配線17が形成され、この配線17によってLED素子12の電極部13と搭載部材11の電極部16とが接続されている。
【0019】
搭載部材11に搭載したLED素子12及び配線17は、それらの上側から透明な封止材料18によって封止されている。この封止材料18は、高熱伝導性絶縁材料14よりも熱伝導率が低い透明な絶縁性樹脂等を用いれば良い。
【0020】
以上説明した本実施例1のLEDパッケージは、封止材料18よりも熱伝導率が高い高熱伝導性絶縁材料14をLED素子12の側面と搭載部材11とに密着させるように設けることで、LED素子12の側面から熱を搭載部材11へ伝達する放熱経路を構成している。この構成では、LED素子12の側面と封止材料18との間に高熱伝導性絶縁材料14が介在されているため、LED素子12の側面から封止材料18への直接的な熱伝達は高熱伝導性絶縁材料14で妨げられるが、高熱伝導性絶縁材料14は封止材料18よりも熱伝導率が高いため、LED素子12の側面から熱を高熱伝導性絶縁材料14を介して搭載部材11へ効率良く伝達して放熱させることが可能となり、高熱伝導性絶縁材料14と搭載部材11の高熱伝導性を有効に活用して放熱性能を高めることができる。
【0021】
例えば、LED素子12を封止する封止材料全体を高熱伝導性絶縁材料で形成することが考えられるが、高熱伝導性絶縁材料は、一般的な封止樹脂と比較してコストが高いため、封止材料全体を高熱伝導性絶縁材料で形成すると、製造コストが高くなる。
【0022】
これに対し、本実施例1では、LED素子12の側面と封止材料18との間の放熱経路を構成するのに必要な部分のみを高熱伝導性絶縁材料14で形成するだけであるため、コストアップ幅を少なくできると共に、高熱伝導性絶縁材料14と搭載部材11の高熱伝導性を有効に活用して放熱性能を高めることができるため、LEDパッケージ全体の小型化も可能となる。これにより、LEDパッケージの放熱性能の向上を小型化や低コスト化と両立させながら実現することができる。
【0023】
しかも、本実施例1では、高熱伝導性絶縁材料14の上面に、LED素子12の上面の電極部13と搭載部材11の電極部16とを接続する配線17を形成するようにしたので、放熱経路の構成材として用いる高熱伝導性絶縁材料14を、配線17の下地材としても機能させることができると共に、配線17をインクジェット、ディスペンサ等の液滴吐出法により能率良く形成することができて、LEDパッケージの低コスト化及び小型化に貢献できる。
【0024】
尚、本発明は、LED素子12の側面の一部に高熱伝導性絶縁材料14が設けられていない箇所が存在しても良いが、本実施例1のように、高熱伝導性絶縁材料14をLED素子12の全周を取り囲むように設けた構成とすれば、LED素子12全周の側面から熱が効率良く搭載部材11に伝達されて放熱されるようになり、熱伝達性能を向上させることができる。
【実施例2】
【0025】
次に、図4乃至図6を用いて本発明の実施例2のLEDパッケージの構成を説明する。 搭載部材21は、リードフレーム等の高熱伝導性材料により形成され、その所定位置に素子搭載凹部22が形成されている。この搭載部材21の素子搭載凹部22の底面中央部には、半導体素子であるLED素子23がダイボンディング(接合)されている。素子搭載凹部22の深さ寸法(高さ寸法)は、LED素子23の高さ寸法とほぼ同一に設定され、素子搭載凹部22内に搭載したLED素子23上面の電極部24が搭載部材21上面の電極部25とほぼ同一高さとなっている。
【0026】
搭載部材21の素子搭載凹部22内のうちのLED素子23の周囲に、封止材料28よりも熱伝導率が高い高熱伝導性絶縁材料26がインクジェット、ディスペンサ等の液滴吐出法により充填されている。この高熱伝導性絶縁材料26は、前記実施例1の高熱伝導性絶縁材料14と同様の材料で形成され、LED素子23全周の側面と搭載部材21とに密着して、LED素子23全周の側面から熱を搭載部材21へ効率良く伝達する放熱経路の構成材として機能すると共に、後述する配線27の下地材としても機能する。
【0027】
LED素子23の上面の電極部24と搭載部材21の電極部25との間の配線経路は、高熱伝導性絶縁材料26で平坦化され、該高熱伝導性絶縁材料26の上面に、インクジェット、ディスペンサ等の液滴吐出法又はスクリーン印刷等の印刷法により導電性インクを吐出して配線27が形成され、この配線27によってLED素子23の電極部25と搭載部材21の電極部25とが接続されている。
【0028】
搭載部材21の素子搭載凹部22内に搭載したLED素子23及び配線27は、透明な封止材料28によって封止されている。この封止材料28は、高熱伝導性絶縁材料26よりも熱伝導率が低い透明な樹脂等を用いれば良い。
【0029】
以上説明した本実施例2のLEDパッケージは、搭載部材21の素子搭載凹部22内にLED素子12を搭載して、該素子搭載凹部22内のうちのLED素子23の周囲に、封止材料28よりも熱伝導率が高い高熱伝導性絶縁材料26を充填するようにしているため、LED素子23の周囲に高熱伝導性絶縁材料26を容易に設けることができ、該高熱伝導性絶縁材料26をLED素子12全周の側面と搭載部材21とに確実に密着させることができて、LED素子23全周の側面から熱を高熱伝導性絶縁材料26を介して搭載部材21へ効率良く伝達して放熱させることが可能となり、高熱伝導性絶縁材料26と搭載部材21の高熱伝導性を有効に活用して放熱性能を高めることができ、前記実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0030】
しかも、本実施例2では、LED素子23の上面の電極部24と搭載部材21の電極部25との間の配線経路を高熱伝導性絶縁材料26で平坦化して、該高熱伝導性絶縁材料26の上面にインクジェット、ディスペンサ等の液滴吐出法により配線27を形成するようにしているため、放熱経路の構成材として用いる高熱伝導性絶縁材料26を、配線27の下地材としても機能させることができると共に、配線27をインクジェット、ディスペンサ等の液滴吐出法又はスクリーン印刷等の印刷法により能率良く形成することができて、LEDパッケージの低コスト化及び小型化に貢献できる。
【0031】
尚、上記実施例1,2では、LED素子の上面の電極部と搭載部材の電極部との間を接続する配線を液滴吐出法又は印刷法により形成するようにしたが、本発明は、電極部間をボンディングワイヤで接続する構成としても良い。
【0032】
その他、本発明は、LED素子以外の半導体素子を搭載部材に搭載した半導体パッケージにも適用して実施できる等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0033】
11…搭載部材、12…LED素子(半導体素子)、13…電極部、14…高熱伝導性絶縁材料、16…電極部、17…配線、18…封止材料、21…搭載部材、22…素子搭載凹部、23…LED素子(半導体素子)、24,25…電極部、26…高熱伝導性絶縁材料、27…配線、28…封止材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搭載部材に半導体素子を搭載してその上側から封止材料で封止した半導体パッケージにおいて、
前記封止材料よりも熱伝導率が高い高熱伝導性絶縁材料を前記半導体素子の側面と前記搭載部材とに密着させるように設けることで、前記半導体素子の側面から熱を前記搭載部材へ伝達する放熱経路を構成したことを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項2】
前記高熱伝導性絶縁材料は、前記半導体素子の全周を取り囲むように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の半導体パッケージ。
【請求項3】
前記半導体素子は、前記搭載部材に形成した素子搭載凹部内に搭載され、該素子搭載凹部内のうちの該半導体素子の周囲に前記高熱伝導性絶縁材料が充填されていることを特徴とする請求項2に記載の半導体パッケージ。
【請求項4】
前記高熱伝導性絶縁材料の上面には、前記半導体素子の上面の電極部と前記搭載部材の電極部とを接続する配線が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体パッケージ。
【請求項5】
前記配線は、液滴吐出法又は印刷法により形成されていることを特徴とする請求項4に記載の半導体パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−16576(P2013−16576A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147203(P2011−147203)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】