説明

半導体モジュールの製造方法及び半導体モジュール

【課題】外装シールドを確実に接地するとともに、ダイシングブレード、外装シールドにかかる負担を抑えて半導体モジュールを製造する。
【解決手段】モジュール基板1と、モジュール基板1の上面に実装された複数個の電子部品2と、これらの電子部品2を含むモジュール基板1の上面を封止する封止樹脂層3と、封止樹脂層3の上面を覆う外装シールド4と、外装シールド4と一体に形成された接続部5とを備えている半導体モジュールA。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂封止された半導体モジュールの製造方法及び半導体モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話等の電子機器に用いられる半導体モジュールは、高周波半導体素子と、周辺回路とを含む高周波回路が形成されている。そのため、高周波ノイズ等の遮蔽(シールド)が必要であり、前記半導体モジュールはモジュール全体を金属製シールドケースで覆う構成を有している。また、近年、前記電子機器の小型化の要求が高まっており、それに伴って、前記半導体モジュールの小型化、低背化の要求も高まっている。
【0003】
しかしながら、従来の半導体モジュールの場合、モジュール基板に前記金属製シールドケースを取り付けるためのパット(ランド)を設ける必要があり、モジュールの小型化、低背化の妨げになっていた。
【0004】
そこで、前記金属製シールドケースを省略した(金属シールドケースレス構造の)改良型の半導体モジュールが提案されている。次に、改良型の半導体モジュールについて図面を参照して説明する。図34は従来の半導体モジュールの改良型の概略断面図であり、図35〜図39は図34に示す半導体モジュールの製造工程を示す概略断面図である。
【0005】
図34に示すように、改良型の半導体モジュールGは、モジュール基板91と、モジュール基板91の上面(部品実装面)に実装された半導体素子、コンデンサ、抵抗等の電子部品92と、エポキシ樹脂等で形成され電子部品92を封止する封止樹脂層93と、封止樹脂層93の表面に形成された外装シールド94とを備えている。
【0006】
モジュール基板91の部品実装面には、信号導体911が形成されており、電子部品92はボンディングワイヤBwを介して又は端子を直接、信号導体911に接続されている。モジュール基板91の内部には接地ライン913が形成されており、接地ライン913は、下面に露出した部分を含んでいる。外装シールド94は導電性を有する材料で構成されており、封止樹脂層93の上面及び側面を覆うように形成されている。そして、外装シールド94は側面のモジュール基板91と対向する部分で、接地ライン913と接触している。外装シールド94は接地ライン913と接触することで、接地される。これにより、電磁界、静電による影響(高周波ノイズ等)を遮断(シールド)できる。
【0007】
改良型の半導体モジュールの製造工程は次のとおりである。モジュール基板91に切断する前の集合基板910の上面に電子部品92を実装する実装工程を行う(図35参照)。そして、印刷手法等の従来よく知られた方法で、エポキシ樹脂等の絶縁性樹脂で集合基板910の上面を封止する封止樹脂層93を形成する封止工程を行う(図36参照)。このとき、集合基板910は、複数個のモジュール個片区画(切断、分離後、モジュール基板91となる)が配列された構成を有している。
【0008】
そして、封止樹脂層93の隣り合うモジュール同士の境界部分に、ダイシングブレードを用いて上面側よりスリットを形成する第1ダイシング工程を行う。第1ダイシング工程では、封止樹脂層93にスリットを形成すると同時に、集合基板910の一部も削り、集合基板910の内部に形成された接地ライン913を上面側に露出させる(図37参照)。
【0009】
印刷手法等の従来よく知られた方法を用いて、封止樹脂層93に形成されたスリットに導電性ペーストを充填する(充填工程)。このとき、スリットに充填された導電性ペーストは集合基板910の接地ライン913と接触する。さらに、スリットに導電性ペーストが充填された封止樹脂層93の上面に導電性ペーストを被覆する(被覆工程、図38参照)。図38に示すように、導電性ペーストは、接地ライン913と接触するように充填、被覆されることで、接地される。なお、この導電性ペーストの層は、半導体モジュールGの外装シールド94になる部分である。
【0010】
集合基板910のモジュール同士の境界部分、すなわち、導電性ペーストが充填されたスリットの中央部分を、スリットの幅より薄い(第1ダイシング工程で用いたものよりも薄い)ダイシングブレードを用いて切断する、第2ダイシング工程を行う(図39参照)。このように、第2ダイシング工程で用いるダイシングブレードを第1ダイシング工程で用いるものよりも薄くすることで、第2ダイシング工程の後、完成した半導体モジュールG(図34参照)の側面に外装シールド94が形成され、外装シールド94を確実に接地することが可能である(特開2004−172176号公報参照)。
【0011】
図40は第2ダイシング工程にて半導体モジュールが切り離される前の集合基板を示す平面図である。モジュールが2次元配列された集合基板910をダイシングブレード(第2ダイシング工程)で切断することで、複数個の半導体モジュールGが製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−172176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上述の方法で半導体モジュールを製造する場合、第1ダイシング工程で形成されたスリットに導電性ペーストを充填しているため、第2ダイシング工程において、ダイシングブレードと導電性ペーストとの接触面積が大きくなる。前記スリットに充填された導電性ペーストは金属成分を含むので、第2ダイシング工程において、導電性ペーストを切断するとき、ダイシングブレードにかかる負荷が大きくなる。
【0014】
また、ダイシングブレードとの摩擦によって導電性ペーストから形成された外装シールドが剥離したり、欠けたり等の不良が発生する可能性が高くなる。さらに、第2ダイシング工程で除去される導電性ペーストの量が多くなる。以上のことより、生産性が低下しやすく、コストアップにつながる。
【0015】
そこで本発明は、外装シールドを確実に接地するとともに、ダイシングブレード、外装シールにかかる負担を抑えることができる半導体モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
さらに本発明は、小型・低背化を達成しつつ、生産性の高い半導体モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために本発明は、集合基板上面のモジュール個片区画に電子部品を実装する実装工程と、前記電子部品が実装された上面を絶縁性の封止樹脂層で封止する封止工程と、前記封止樹脂層の上面から前記集合基板に備えられた接地配線に到達する穴を形成する穴あけ工程と、少なくとも、前記封止樹脂層の上面、前記穴の内面及び前記接地配線を覆うように導電材からなる導電膜を形成する成膜工程と、前記モジュール個片区画ごとに分割する分割工程とを備えていることを特徴とする。
【0018】
この構成によると、分割工程時導電膜とダイシングブレード等の切断手段とが接触する面積を減らすことができるので、それだけ、切断手段の負担を減らし、生産性を高めることができる。また、成膜工程で封止樹脂層の上面と前記穴の内周とに同時に導電膜を成膜することで、導電膜を確実に接地することができ、それだけ、電磁波等の遮蔽性(シールド性)を高めることができる。
【0019】
上記構成において、前記接地配線が、前記モジュール個片区画内に収まって配置されている集合基板を利用してもよい。
【0020】
これにより、分割工程時に基板等を切断するダイシングブレードが接地配線と接触しないため、切断による金属破片の飛散を抑制するとともに、金属で形成された(硬い)配線を切断しないので、ダイシングブレードの負担を抑制することができる。
【0021】
上記構成において、前記接地配線が、1個片につき複数個備えられた集合基板を利用し、前記穴あけ工程は、各接地配線に到達する複数の穴を形成してもよい。
【0022】
この構成によると、作成された半導体モジュールの導電膜は複数箇所で接地配線に接続される。これにより、導電膜を確実に設置することが可能である。
【0023】
上記構成において、前記接地配線が、最外層の配線層に配置された集合基板を利用してもよい。
【0024】
上記構成において、前記接地配線上にソルダレジストが形成された集合基板を利用し、前記穴あけ工程時に前記封止樹脂層と前記ソルダレジストを除去するようにしてもよい。
【0025】
上記構成において、前記接地配線が内層の配線層に配置されている集合基板を利用してもよい。
【0026】
上記構成において、前記接地配線と前記封止樹脂層の間の前記穴が形成される領域に他の配線が形成されていない集合基板を利用してもよい。
【0027】
上記目的を達成するため本発明は、集合基板上面のモジュール個片区画に電子部品を実装する実装工程と、前記電子部品が実装された上面を絶縁性の封止樹脂層で封止する封止工程と、前記集合基板と前記封止樹脂層とを貫通する穴を形成する穴あけ工程と、前記封止樹脂層の上面及び前記穴の内面を覆うように導電材からなる導電膜を形成する成膜工程と、前記モジュール個片区画ごとに分割する分割工程とを備えていることを特徴とする。
【0028】
上記構成において、前記穴あけ工程は、前記集合基板上の配線が形成されていない部分を貫通するように前記穴を形成してもよい。
【0029】
上記構成において、前記穴あけ工程は、少なくともひとつが前記モジュール個片区画の外周上に前記穴を形成してもよい。
【0030】
上記構成において、前記モジュール個片区画が矩形状であり、前記穴あけ工程は、モジュール個片区画の角に少なくとも1つの前記穴を形成してもよい。
【0031】
上記構成において、前記穴あけ工程は、複数のモジュール個片区画にまたがるよう少なくとも1つの前記穴を形成してもよい。
【0032】
上記構成において、前記成膜工程は、前記穴全体に導電材を充填しないように、前記穴の内面に導電膜を形成してもよい。
【0033】
これにより、分割工程時に用いられるダイシングブレード等の切断手段と導電膜との接触面積を減らし、導電部材の削りかすが飛散するのを抑制することができる。また、配線の削れかすが飛散するのも抑制することができる。
【0034】
上記構成において、前記封止工程の後で前記成膜工程の前に、封止樹脂層に前記集合基板に到達しない深さの溝を形成する溝形成工程を備えていてもよい。
【0035】
上記構成において、前記封止工程の後で前記成膜工程の前に、封止樹脂層及び前記集合基板に前記集合基板の一部まで削る深さの溝を形成する溝形成工程を備えていてもよい。
【0036】
上記構成において、前記成膜工程は、前記溝全体に導電材を充填しないように、前記溝の内面にも導電膜を形成してもよい。
【0037】
この構成によると、分割工程時に用いられるダイシングブレード等の切断手段と導電膜との接触面積を減らし、導電部材の削りかすが飛散するのを抑制することができる。また、配線の削りかすが飛散するのも抑制することができる。
【0038】
さらに、導電膜が封止樹脂層に湿気の流入を抑制する効果も持ち、基板の一部まで削る深さまで導電膜を形成することより、湿気等の水分が浸入するのを抑制する効果を奏するので、リフロー時の樹脂クラック等を抑制することができる。
【0039】
そして、分割工程時に用いられるダイシングブレード等の切断手段と導電膜との接触面積を減らし、導電部材の削りかすが飛散するのを抑制することができる。また、配線の削りかすが飛散するのも抑制することができる。
【0040】
上記半導体モジュールの製造方法で製造される半導体モジュールとして、前記溝を境界として、独立して動作する複数のモジュール部を備えているものを挙げることができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明によると、外装シールドを確実に接地するとともに、ダイシングブレード、外装シールドにかかる負担を抑えることができる半導体モジュールの製造方法を提供することができる。
【0042】
さらに本発明によると、小型・低背化を達成しつつ、生産性の高い半導体モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明にかかる半導体モジュールの一例の概略斜視図である。
【図2】図1に示す半導体モジュールをII−IIである。
【図3】図1に示す半導体モジュールをIII−III線断面図である。
【図4】集合基板に電子部品を実装した状態の平面図である。
【図5】図4に示す集合基板の断面図である。
【図6】封止工程後の集合基板を示す平面図である。
【図7】図6の集合基板のVII−VII線断面図である。
【図8】図6に示す集合基板のVIII−VIII線断面図である。
【図9】穴あけ工程を模式的に示す平面図である。
【図10】図9に示す穴あけ工程後の集合基板の断面図である。
【図11】成膜工程により金属膜が形成された状態の集合基板の平面図である。
【図12】図11に示す集合基板のXII−XII線断面図である。
【図13】図11に示す集合基板のXIII−XIII線断面図である。
【図14】ダイシング工程にて切断した集合基板を示す平面図である。
【図15】図14に示す集合基板のXV−XV線断面図である。
【図16】図14に示す集合基板のXVI−XVI線断面図である。
【図17】本発明にかかる半導体モジュールの他の例の斜視図である。
【図18】図17に示す半導体モジュールのXVII−XVIII線断面図である。
【図19】図17に示す半導体モジュールのXIX−XIX線断面図である。
【図20】封止工程後の封止樹脂の表面に溝を形成した集合基板の平面図である。
【図21】図20に示す集合基板のXXI−XXI断面図である。
【図22】穴あけ工程を模式的に示す平面図である。
【図23】図22に示す穴あけ工程後の集合基板の断面図である。
【図24】成膜後の集合基板の正面図である。
【図25】図24に示す集合基板のXXV−XXV線断面図である。
【図26】図24に示す集合基板のXXVI−XXVI線断面図である。
【図27】ダイシング工程にて切断した集合基板を示す断面図である。
【図28】本発明にかかる半導体モジュールのさらに他の例の斜視図である。
【図29】図28に示す半導体モジュールのXXIX−XXIX線断面図である。
【図30】図28に示す半導体モジュールのXXX−XXX線断面図である。
【図31】本発明にかかる半導体モジュールのさらに他の例の斜視図である。
【図32】図31に示す半導体モジュールの断面図である。
【図33】図32に示す半導体モジュールを搭載基板に実装した状態の断面図である。
【図34】従来の半導体モジュールの改良型の概略断面図である。
【図35】従来の半導体モジュールの製造における実装工程を示す概略断面図である。
【図36】従来の半導体モジュールの製造における封止工程を示す概略断面図であるである。
【図37】従来の半導体モジュールの製造における第1ダイシング工程を示す概略図である。
【図38】従来の半導体モジュールの製造における充填工程を示す概略断面図である。
【図39】従来の半導体モジュールの製造における第2ダイシング工程を示す概略図である。
【図40】従来の集合基板を示す概略平面図である。
【図41】本発明にかかる半導体モジュールのさらに他の例の斜視図である。
【図42】図41に示す半導体モジュールのXLII−XLII線断面図である。
【図43】図41に示す半導体モジュールのXLIII−XLIII線断面図である。
【図44】封止工程後の封止樹脂の表面に凹穴を形成した集合基板の平面図である。
【図45】図44に示す集合基板のXLV−XLV断面図である。
【図46】溝形成工程を模式的に示す平面図である。
【図47】図46に示す集合基板のXLVII−XLVII断面図である。
【図48】成膜後の集合基板の正面図である。
【図49】図48に示す集合基板のXLIX−XLIX線断面図である。
【図50】図48に示す集合基板のL−L線断面図である。
【図51】ダイシング工程にて切断した集合基板を示す断面図である。
【図52】本発明にかかる半導体モジュールのさらに他の例の斜視図である。
【図53】図52に示す半導体モジュールのLIII−LIII線断面図である。
【図54】図52に示す半導体モジュールのLIV−LIV線断面図である。
【図55】封止工程後の封止樹脂の表面に溝を形成した集合基板の平面図である。
【図56】図55に示す集合基板のLVI−LVI断面図である。
【図57】穴あけ工程を模式的に示す平面図である。
【図58】図57に示す穴あけ工程後の集合基板の断面図である。
【図59】成膜後の集合基板の正面図である。
【図60】図59に示す集合基板のLX−LX線断面図である。
【図61】図59に示す集合基板のLXI−LXI線断面図である。
【図62】ダイシング工程にて切断した集合基板を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、便宜上、部材符号及び(又は)ハッチングを省略する場合もあるが、かかる場合、他の図面を参照するものとする。
【0045】
(第1の実施形態)
図1は本発明にかかる半導体モジュールの一例の概略斜視図であり、図2は図1に示す半導体モジュールをII−II線断面図であり、図3は図1に示す半導体モジュールをIII−III線断面図である。まず、図1、図2及び図3を参照して、本発明にかかる半導体モジュールAの構造について説明する。
【0046】
図1〜図3に示すように、本発明にかかる半導体モジュールAは、平面的に見て(平面視)正方形形状を有している。半導体モジュールAは、モジュール基板1と、モジュール基板1の上面(一主面であり以下において部品実装面と称する場合もある)に実装された複数個の電子部品2と、これらの電子部品2を含むモジュール基板1の上面を封止する封止樹脂層3と、封止樹脂層3の上面を覆う外装シールド4と、外装シールド4と一体に形成された接続部5とを備えている。モジュール基板1は、本発明の「基板」の一例であり、後述の集合基板100を切り分けることで得られる基板である。なお、実際の製造工程では、集合基板100は、電子部品2の実装、封止樹脂層3、外装シールド4、接続部5等の形成が終了した後に切断されるものであり、詳細は後述する。
【0047】
モジュール基板1は、所定の厚みを有する多層基板であり、平面視で正方形形状を有している。モジュール基板1の上面に所定のパターンで形成された導電膜であり、電子部品2の端子と電気的に接続される表面配線11が形成されている。また、モジュール基板1の下面には、表面配線11と同様、所定パターンの導電膜である下面配線12が形成されている。さらに、モジュール基板1は複数の層を備えた基板であり、層と層との間に内層配線13が形成されている。なお、上面配線11、下面配線12及び配送配線13は低抵抗の金属薄膜、例えば、銅の薄膜で構成されている。
【0048】
また、上面配線11は、電子部品2の接地端子と接続される上面接地配線111を備えている。また、下面配線12も同様に、半導体モジュールAを不図示の搭載基板に実装したとき、搭載基板の接地線と接続する下面接地配線121を備えている。そして、上面接地配線111と下面接地配線121とは、ビアホール14を介して接続されており、半導体モジュールAを搭載基板に実装することで、下面接地配線121が接地されるとともに、上面接地配線111も接地される。
【0049】
なお、内層配線13にも、接地配線(不図示)が含まれていてもよい。内層配線13に含まれる接地配線は、配置されている層のできるだけ広い部分に形成されることが好ましい。このように、内層配線13の接地配線を大きくすることで、モジュール基板1の下面側からの電磁界、静電等による影響(高周波ノイズ等)を遮断(シールド)する効果を得ることが可能である。
【0050】
また、上面配線11、下面配線12及び内層配線13は、電気信号を送信するための配線でもある。半導体モジュールAを搭載基板に実装したとき、半導体モジュールAの外部の機器と、実装された電子部品2との間の信号の送受信を上面配線11、下面配線12及び内層配線13を介して行っている。
【0051】
モジュール基板1の上面に実装された複数個の電子部品2は、図2に示すように、半導体素子21、及び、抵抗、インダクタ、コンデンサなどの受動部品22等を含んでいる。これら複数個の電子部品2は、目的とする機能を発揮するように適宜選択され、モジュール基板1の部品実装面に実装されている。例えば、半導体モジュールAが携帯電話の無線送受信用のモジュールとして用いられる場合には、半導体素子21として、RF−IC(Radio Frequency Integrated Circuit)などが用いられる。
【0052】
受動部品22は、チップ型電子部品(チップ部品)である。受動部品22は、例えば、セラミックス焼成体を素体とし、その両端部に外部端子電極を備えた構成を有している。
【0053】
上述した複数個の電子部品2は、モジュール基板1の上面の所定の位置に実装されることで、モジュール基板1の上面配線11(図2参照)等を介して互いに接続されたり、或いは、接地されたりする。このことによって、半導体モジュールAは集積回路を構成している。なお、半導体モジュールAにおいて、モジュール基板1の上面に実装される半導体素子21は、WL−CSP(Wafer Level Chip Size Package)に構成されたICである。また、モジュール基板1には、必要に応じて、BPF(Band Pass Filter)、水晶振動子などの部品が実装される場合もある。
【0054】
そして、電子部品2が実装されたモジュール基板1の上面は、上述しているように電子部品2とともに封止樹脂層3で覆われている。この封止樹脂層3は、電子部品2を封止して絶縁層を成すものであり、モジュール基板1の上面の全体を覆うように形成されている。封止樹脂層3が形成されていることで、電子部品2や上面配線11が外部からの応力、湿気や汚染物質から保護されている。封止樹脂層3は絶縁性の樹脂で構成されており、例えば、エポキシ樹脂で構成されている。なお、封止樹脂層3はこの構成に限定されるものではなく、モジュール基板1の上面及び電子部品2を封止できる樹脂等を広く採用することができる。
【0055】
半導体モジュールAには、四隅に上面から下面に向かって延びる断面扇形形状の凹溝Cgが形成されている。凹溝Cgは半導体モジュールAの上面から、封止樹脂層3を貫通し、モジュール基板1の上面に到達している。
【0056】
そして、封止樹脂層3の上面を覆うように、外装シールド4が形成されている。外装シールド4は、導電性を有する金属膜であり、例えば、銅やニッケル等で構成されている。半導体モジュールAでは、外装シールド4は封止樹脂層3の上面全体を覆っており、封止樹脂層3の上面にしっかり固着している。また、凹溝Cgの内部には、外装シールド4と同じ金属膜で、外装シールド4と一体に(導通状態で)形成された接続部5を備えている。
【0057】
また、接続部5は、凹溝Cgの内周面を覆うように配置された内周部分51と、内周部分の外装シールド4と反対側の端部に形成され、モジュール基板1の上面に形成された上面接地配線111と電気的に接続する接触部分52とを有している。上面接地配線111と接続部5とが電気的に接続されることで、接続部5(内周部分51)と一体的に形成された外装シールド4も、上面接地配線111と電気的に接続される。なお、図3に示しているように、上面接地配線111は、モジュール基板1の下面に形成された下面接地配線121とビアホール14を介して接続されている。そして、下面接地配線121が接地される(例えば、搭載基板の接地線と接続される)ことで外装シールド4が接地される。
【0058】
このことから、外装シールド4が電磁シールドを構成し、電磁界、静電による影響(高周波ノイズ等)を遮断(シールド)することが可能である。なお、半導体モジュールAでは、外装シールド4で半導体モジュールAの側面を覆っていない構成となっているが、半導体モジュールAが薄いので、外装シールド4(側面を覆わない構成)で十分なシールド効果を得ることが可能である。
【0059】
また、半導体モジュールAでは、接触部分52がモジュール基板1の上面に配置された上面接地配線111と接触する構成となっている。上面接地配線111と接触部分52とが平板状に形成されているので、上面接地配線111と接触部分52との接触面積を広くすることができる。このことから、外装シールド4を確実に接地することが可能である。
【0060】
また、図3の右側の接続部5と接続する上面接地配線112のように、モジュール基板1の端部より内側に形成されるものであってもよい。この上面接地配線112についての特徴、効果については後述の製造方法で詳しく説明する。また、半導体モジュールAでは、接続部5が四隅に形成されているものを示しているが、外装シールド4を確実にシールドできるものであれば四隅に限定されるものではない。例えば、四隅のうちのいずれか1つ以上の場所に形成されていてもよいし、四隅ではない部分に形成されていてもよい。
【0061】
次に、本発明にかかる半導体モジュールAの製造方法について新たな図面を参照して説明する。図4〜図16は半導体モジュールAを製造するときの各工程を模式的に示す図である。
【0062】
図4は集合基板に電子部品を実装した状態の平面図であり、図5は図4に示す集合基板の断面図である。なお、図4では配線パターンである上面配線11の記載を省略しているが、実際には集合基板100のモジュール基板1を構成する部分に、それぞれ同一の上面配線11が形成されているものとする。また、図4において、水平方向をX方向、紙面内でX方向と直交する方向をY方向とする。また、図4に示す集合基板100では、便宜上、上面配線11のうち、接地線として用いられる上面接地配線のみ表示している。
【0063】
まず、モジュール基板1を並べて組み合わせた形状の集合基板100を準備する。この集合基板100は、多層基板であり、集合基板100は、同じ形状及び大きさのモジュール個片区画101を備えている。ここで、図4では、モジュール個片区画101を特定するため、境界部分を一点鎖線(境界線)で示しているが、実際の集合基板100には、モジュール個片区画101の境界線が形成されているわけではない。
【0064】
なお、モジュール個片区画101は切断後モジュール基板1となる部分であり、正方形形状を有している。後のダイシング工程において、モジュール個片区画101の隣り合う部分に設けられたダイシングライン(不図示)でX方向又はY方向に切断することで、モジュール個片区画101は個々のモジュール基板1に分離される。なお、ダイシングラインは、集合基板100に実際に形成されていてもよく、ダイサーの制御部に位置情報(座標、長さ等)として備えられた仮想のラインであってもよい。
【0065】
集合基板100には、上面配線11、下面配線12及び内層配線13が備えられている。なお、上面配線11、下面配線12及び内層配線13は全てのモジュール個片区画101で共通した形状及び大きさを有している。
【0066】
図4、図5に示すように、モジュール基板1を並べて組み合わせた形状の集合基板100の上面(部品実装面)に、半導体素子21、受動部品22等の複数個の電子部品2をはんだ付けにて実装する(実装工程)。上面配線11は複数の配線パターンで形成されており、複数個の電子部品2の端子はそれぞれ予め決められた上面配線11と接続するように実装される。また、上面接地配線111は、モジュール個片区画101の一部に入る位置に形成されている。上面接地配線111について詳しく説明する。
【0067】
図4に示すように、上面接地配線111は平面視円形状であり、上面接地配線111はモジュール個片区画101の四隅に配置されている。集合基板100では、モジュール個片区画101が2次元に等間隔に配列されているので、全てのモジュール個片区画101の隅部が集合する部分に上面接地配線111が形成されている。なお、上面接地配線111とモジュール個片区画101とが重なる部分は扇形状になっている。上面接地配線111を配置した状態で、後述のダイシング工程で集合基板100を切断することで、モジュール基板1の四隅には、平面視扇形状の上面接地配線111が残る。
【0068】
また、集合基板100に配置された上面接地配線のうち、図中中央の段の右から2つ目に、モジュール個片区画101の角部の内部に分割して形成された上面接地配線112を備えていてもよい。なお、図4に示すように、上面接地配線111と上面接地配線112との両方を含む構成であってもよいし、上面接地配線111又は上面接地配線112のいずれか一方のみを含む構成であってもよい。
【0069】
半導体モジュールAでは、電子部品2は表面実装されるので、例えば、次の手順で電子部品が実装される。まず、集合基板100の上面に形成された上面配線11に印刷手法を用いてクリームはんだを塗布する。そして、マウンターを利用して、複数個の電子部品2(半導体素子21、受動部品22)のそれぞれの端子が、予め決められた上面配線11と接続するように配置する。そして、電子部品2が配置された集合基板100をリフロー炉で加熱し、はんだを溶かすことで電子部品2を上面配線11に固定する。なお、このリフロー工程での上面接地配線111又は上面接地配線112の酸化を抑制するため、上面接地配線111、112にソルダレジストが形成されていてもよい。また、接地配線を内層に置くことによっても同様の効果を得ることが可能である。
【0070】
実装工程により複数個の電子部品2が実装された集合基板100の上面に絶縁性樹脂の封止樹脂層3を形成する(封止工程)。図6は封止工程後の集合基板を示す平面図であり、図7は図6の集合基板のVII−VII線断面図であり、図8は図6に示す集合基板のVIII−VIII線断面図である。
【0071】
図6に示すように、電子部品2が実装された集合基板100の上面には、例えば、トランスファーモールド法によって形成された絶縁性樹脂の封止樹脂層3が形成されている。封止工程では、絶縁性樹脂として、例えば、エポキシ樹脂が用いられる。エポキシ樹脂は熱硬化性の樹脂であり、集合基板100の上面を覆うように配置した後、加熱されることで硬化する。なお、エポキシ樹脂の硬化前の流動性(粘性)を調整するために、無機質フィラーが添加される場合もある。図6に示すように、封止樹脂層3は、集合基板100の上面の全体を覆う。トランスファーモールド法では、集合基板100に成形型(金属、カーボン等)を取り付け、成形型の内部にエポキシ樹脂が注入される。このとき、成形型を加熱することで、エポキシ樹脂を加熱する。熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂は、金型からの熱を受けて硬化する。
【0072】
封止工程ののち、集合基板100の封止樹脂層3に断面円形の凹穴30を形成する(穴あけ工程)。図9は穴あけ工程を模式的に示す平面図であり、図10は図9に示す穴あけ工程後の集合基板の断面図である。穴あけ工程は、レーザー光Lsを所定の位置に照射し、上面接地配線111、上面接地配線112の上部の封止樹脂層3に凹穴30を形成する。なお、不図示の加工装置は、凹穴30を形成する場所(レーザー光Lsを照射する場所)のX座標値及びY座標値に基づいて、上面接地配線111の上部にレーザー光Lsを照射し、凹穴30を形成する。
【0073】
なお、凹穴30の内径は円形状の上面接地配線111の外径よりも小さい円筒形状の穴であり、底面は上面接地配線111に到達するように形成される。すなわち、凹穴30を形成することで、封止樹脂層3の上面接地配線111の上側部分を取り除いている。また、レーザー光Lsを用いて凹穴30を形成しているが、これに限定されるものではなく、ドリル等の機械的な工作装置を利用してもよいし、エッチング法等を用いることも可能である。また、これら以外にも、封止樹脂層3を精度良く形成することができる方法を採用することができる。また、上面接地配線112の上部に形成される凹穴30は、4個の上面接地配線112の外周部で形成される四角形の内部に収まる形状、大きさである。
【0074】
上面接地配線111、上面接地配線112にソルダレジストが形成されている場合、封止工程で封止樹脂層3を形成した後にソルダレジストを取り除くようにすれば、上面接地配線111と接続部5の接触部分52とを確実に導通状態にすることができる。ソルダレジストは、穴あけ工程のとき、レーザー光で封止樹脂層3を除去するときにソルダレジストを同時に除去することが可能である。
【0075】
図9に示すように、凹穴30はモジュール個片区画101の角部が集まる部分、換言すると、ダイシングラインが交差する部分に形成されている。これにより、1つの凹穴30で4個のモジュール個片区画101のすべての角部に凹溝Cgを形成することができるので製造効率を高めることが可能である。なお、凹穴30は必ずしも、ダイシングラインが交差する部分に形成する必要はなく、一つのモジュール個片区画101の内部に完全に収まるように形成されていてもよいし、2個のモジュール個片区画101にまたがるように形成されていてもよい。また、凹穴30として断面円形状のものとしているが、これに限定されるものではなく、楕円形であってもよく、正方形、ひし形等の多角形であってもよい。
【0076】
穴あけ工程にて凹穴30が形成された後、封止樹脂層3の上面に金属膜を成形する(成膜工程)。図11は成膜工程により金属膜が形成された状態の集合基板の平面図であり、図12は図11に示す集合基板のXII−XII線断面図であり、図13は図11に示す集合基板のXIII−XIII線断面図である。図11〜図13に示すように、上面に封止樹脂層3が形成され、凹穴30が形成された集合基板100の上面、すなわち、封止樹脂層3の上面から、めっき手法により金属膜を形成する。成膜工程によって、形成された金属膜は、封止樹脂層3の上面全体を均一又は略均一にカバーするように形成される。
【0077】
成膜工程において、金属膜は、封止樹脂層3の上面だけでなく、凹穴30の内周面にも形成される(図13参照)。そして、金属膜は凹穴30の底面にも形成される。すなわち、成膜工程によって形成された金属膜は、凹穴30の底面及び内周面に形成され、凹穴30の底面に形成された金属膜は上面接地配線111、上面接地配線112と接触する。なお、この成膜工程によって形成された金属膜が、図1、図3等に示される外装シールド4及び接続部5を構成する。
【0078】
図12、図13に示すように、外装シールド4は、封止樹脂層3の上面、すなわち、電子部品2が実装されたモジュール基板1(ダイシング工程前のときは集合基板100)の上面を覆う。そして、外装シールド4は、凹穴30に形成された接続部5の内周部分51及び接触部分52を介して、上面接地配線111、上面接地配線112と電気的に接続される。そして、上面接地配線111、上面接地配線112と下面接地配線121とがビアホール14で電気的に接続されているので、例えば、分離後の半導体モジュールAが搭載基板に実装されたとき、下面接地配線121が接地され、下面接地配線121と接続された上面接地配線111、上面接地配線112と接続された外装シールド4も接地される。なお、外装シールド4は、例えば、銅のような、低抵抗の金属で形成されていることが好ましい。
【0079】
成膜工程において外装シールド4及び接続部5が形成された集合基板100を、切断、分離する(ダイシング工程:分割工程)。図14はダイシング工程にて切断した集合基板を示す平面図であり、図15は図14に示す集合基板のXV−XV線断面図であり、図16は図14に示す集合基板のXVI−XVI線断面図である。ダイシング工程では、高速回転するダイシングブレードDbを、モジュール個片区画101の境界部分に形成されたダイシングラインに沿って移動することで、切断、分離し、個々の半導体モジュールAに個片化する。
【0080】
詳しく説明すると、ダイシング工程では、集合基板100の上面に配置された複数個の円形の上面接地配線111のすべてを4等分する。そのため、ダイシング工程でダイシングブレードDbが移動する線(ダイシングライン)はX方向或いはY方向に延び、隣り合う上面接地配線111の中心を通るように設定される。このようにダイシングラインを設定することで、回転しているダイシングブレードDbをダイシングラインに沿って移動させることで、四隅に平面視扇形状の上面接地配線111を備えた半導体モジュールAに個片化することができる。
【0081】
以上示した複数の工程を経て形成された半導体モジュールAは、側面がダイシングブレードDbによる切断端面となっている。このことから、ダイシング工程において、金属膜(外装シールド4)とダイシングブレードとの接触面積を小さくすることができる。これにより、金属膜とダイシングブレードとの摩擦による外装シールドの剥離、欠け等の不具合を抑制することができる。また、金属膜(外装シールド4)とダイシングブレードとの接触面積を小さくすることで、ダイシングブレードに大きな負担がかかるのを抑制することができ、ダイシングブレードの寿命を延ばすことができ、それだけ、半導体モジュールの生産性を高めることが可能である。
【0082】
また、上面接地配線112は、モジュール個片区画101内部に配置されているのでダイシング工程でダイシングブレードDbに切断されない。これにより、ダイシングブレードDbの負担を減らすことができる。
【0083】
また、封止樹脂層3の側面に形成された凹溝Cgに接続部5が形成されており、接続部5を介して外装シールド4がモジュール基板1の上面接地配線111又は上面接地配線112に接続されるので、ケースを用いる場合に比べて低背化、小型化が可能である。また、接続部5の接触部分52と上面接地配線111とが面接触していることで接触が不安定になりにくい。また、四隅に接続部5が形成されていることで、外装シールド4を確実に接地することができ、電磁界、静電等による影響(高周波ノイズ等)を遮断(シールド)する効果を高めることができる。
【0084】
以上のことから、本発明の半導体モジュールAは、小型、低背であるとともに、製造に要する材料も減らすことができ、生産性が高い。
【0085】
(第2の実施形態)
本発明にかかる半導体モジュールの他の例について図面を参照して説明する。図17は本発明にかかる半導体モジュールの他の例の斜視図であり、図18は図17に示す半導体モジュールのXVII−XVIII線断面図であり、図19は図17に示す半導体モジュールのXIX−XIX線断面図である。なお、図17等に示す半導体モジュールBは、外装シールド4b及び図19中右側の接続部5がモジュール基板1の内層配線13の接地配線(内層接地配線131)に接続されている以外は、半導体モジュールAと同じ構成を有している。半導体モジュールBを構成する部分のうち、半導体モジュールAを構成する部分と実質上同じ部分には、同じ符号を付すとともに、詳細な説明は省略する。
【0086】
図17に示しているように、外装シールド4bは、封止樹脂層3の上面を覆う上面シールド41bと、封止樹脂層3の側面を覆う側面シールド42bとを備えている。さらに詳しく説明すると、上面シールド41bは半導体モジュールAの外装シールド4と同様の形状である、すなわち、四隅に扇形の切り欠きが形成された正方形状の板材である。図17等に示すように、側面シールド42bは、長方形状の板部材であり、長手方向両端部が接続部5とつながるように封止樹脂層3の側面を覆う板状の部材である。また、側面シールド42bは一方の長辺で上面シールド41bとつながっている(図17、図18参照)。なお、図17等に示す外装シールド4bでは上面シールド41bと側面シールド42とは一体に形成されている。また、同様に側面シールド42bと接続部5とが一体に形成されている。
【0087】
半導体モジュールBでは半導体モジュールAと同様に、接続部5がモジュール基板1の上面に形成された上面接地配線111と電気的に接続される。これにより、外装シールド4bが接地される、すなわち、上面シールド41b及び側面シールド42bが接地される。このことから、外装シールド4bの電磁界、静電による影響(高周波ノイズ等)を遮断(シールド)する効果を高めることが可能である。また、モジュール基板1と側面シールド42bとの間に絶縁樹脂である封止樹脂層3が配置されるので、半導体モジュールBを搭載基板(不図示)のはんだ付けを行ったとき、はんだが側面シールド42bと接触するのを抑制することができ、回路が短絡するのを抑制することが可能である。
【0088】
また、図19に示すように、接続部5がモジュール基板1の内層配線13のうち接地された配線(内層接地配線131)に接続されている。通常の多層基板では、層内に大面積の内層接地配線131を備えている場合が多い。このような内層接地配線131に接続部5を接続することで、大面積の接地線に最短距離で接続することができるので、外装シールド4bのシールド効果を高めることが可能である。また、上面接地配線111を省略することも可能であるので、半導体モジュールBを小型化することが可能である。
【0089】
なお、図19の右側の接続部5のみが内層接地配線131と接続しているが、これに限定されるものではなく、四隅の接続部5の全てが内層接地配線131と接続していてもよく、或いは、四隅の接続部5の全てが上面接地配線111と接続していてもよい。また、内層接地配線131に接続する接続部5と上面接地配線111に接続する接続部5をそれぞれ1つ以上備えていてもよい。さらには、接続部5が下面接地配線121と接続してもよい。
【0090】
次に図17に示す半導体モジュールBの製造工程について、新たな図面を参照して説明する。図20〜図26は図12に示す半導体モジュールを製造する工程の一部を模式的に示す図である。半導体モジュールBの製造工程では、実装工程及び封止工程までは半導体モジュールAの製造工程と同じである。すなわち、集合基板100上面に複数の電子部品2を実装し、絶縁性の樹脂で集合基板100の上面を封止する。
【0091】
図20は封止工程後の封止樹脂の表面に溝を形成した集合基板の平面図であり、図21は図20に示す集合基板のXXI−XXI断面図である。封止工程(図6参照)で集合基板100の上面に封止樹脂層3を形成した状態で、封止樹脂層3の上面に、隣り合う上面接地配線111を通過するように直線状の溝31を形成する。図21に示すように、溝31の深さは封止樹脂層3の上下方向の厚み未満、すなわち、溝31の底面が集合基板100に到達しないようになっている。これにより、集合基板100の上面に形成された上面配線11が溝31から露出するのを抑制することができる。このことは、後述の成膜工程で形成された金属膜が上面配線11と電気的に接続されるのを抑制する。
【0092】
溝形成工程で溝31を形成した後、溝の交差部分、すなわち、上面接地配線111の上部に断面円形の凹穴30を形成する(穴あけ工程)。図22は穴あけ工程を模式的に示す平面図であり、図23は図22に示す穴あけ工程後の集合基板の断面図である。穴あけ工程では、レーザー光Lsを上面接地配線111の上部の封止樹脂層3に照射し、凹穴30を形成する(図23参照)。なお、凹穴30は溝31よりも深く、凹穴30は上面接地配線111に到達するように形成される(図23参照)。
【0093】
穴あけ工程で凹穴30を形成した後、集合基板100の封止樹脂層3を含む上面を覆うように金属膜を成膜する。図24は成膜後の集合基板の正面図であり、図25は図24に示す集合基板のXXV−XXV線断面図であり、図26は、図24に示す集合基板のXXVI−XXVI線断面図である。
【0094】
上面に凹穴30及び溝31が形成されている封止樹脂層3の上面に、導電性を有する金属膜を形成する(成膜工程)。なお、成膜工程における金属膜の形成方法については、半導体モジュールAの製造工程の成膜工程と同じ方法である。成膜工程において、金属膜は、封止樹脂層3の上面だけでなく、凹穴30及び溝31の底面及び内壁面にも形成される(図24、25、26参照)。凹穴30の底面に形成された金属膜は上面接地配線111と接触する。なお、この成膜工程によって形成された金属膜が、図17、図18、図19等に示される外装シールド4及び接続部5を構成する。
【0095】
成膜工程において外装シールド4及び接続部5が形成された集合基板100を、切断、分離する(ダイシング工程)。図27はダイシング工程にて切断した集合基板を示す断面図である。ダイシング工程では、半導体モジュールAを個片化する工程と同じである。なお、ダイシングブレードDbが移動するダイシングラインは、溝31の底面の中心部分であり、ダイシングブレードDbは、溝31の底面及び凹穴30の底面を切断する。
【0096】
ダイシング工程では、溝31の底面及び凹穴30の底面を切断するものであり、ダイシングブレードDbと金属膜(外装シールド4b)との接触面は、金属膜(外装シールド4b)の厚み部分のみとなる。このことから、ダイシング工程において、金属膜(外装シールド4b)とダイシングブレードとの接触面積を小さくすることができ、金属膜とダイシングブレードとの摩擦による外装シールドの剥離、欠け等の不具合を抑制することができる。また、金属膜(外装シールド4b)とダイシングブレードとの接触面積を小さくすることで、ダイシングブレードに大きな負担がかかるのを抑制することができ、ダイシングブレードの寿命を延ばすことができ、それだけ、半導体モジュールの生産性を高めることが可能である。
【0097】
また、溝形成工程において、溝31が集合基板100に到達しないように形成することで、溝31の底面に形成される金属膜と集合基板100との間には封止樹脂層3が残る。そして、ダイシング工程では、ダイシングブレードDbが溝31の底面に形成された金属膜を切断するので、切断端面である半導体モジュールBの側面の中間部分では、側面シールド42bとモジュール基板1との間から封止樹脂層3が露出する。このように、封止樹脂層3が露出することで、上述しているように、半導体モジュールBを搭載基板(不図示)に実装し、はんだ付けしたとき、半導体モジュールBの側面に付着したはんだで外装シールド4bが接地線以外の信号線と接続される不具合を抑制することが可能である。
【0098】
また、第2の実施形態のその他の効果は、上述の第1の実施形態と同様である。
【0099】
(第3の実施形態)
本発明にかかる半導体モジュールのさらに他の例について新たな図面を参照して説明する。図28は本発明にかかる半導体モジュールのさらに他の例の斜視図であり、図29は図28に示す半導体モジュールのXXIX−XXIX線断面図であり、図30は図28に示す半導体モジュールのXXX−XXX線断面図である。図28、図29、図30に示す半導体モジュールCは、第1モジュール部C1と第2モジュール部C2とを備えた複合型のモジュールであり、外装シールド4c及び接続部5c以外は、実質上、第2の実施形態の半導体モジュールBと同じ構成を有しており、実質上同じ部分には同じ符号が付してある。また、実質上同じ部分の詳細な説明は省略する。
【0100】
図28に示すように、平面視長方形状を有しており、四隅に接続部5cが形成されている。半導体モジュールCは、第1モジュール部C1及び第2モジュール部C2を備えており、第1モジュール部C1と第2モジュール部C2との間には、溝部6が形成されている。そして、溝部6の中間部分には、円筒形状の接続部7が形成されている。すなわち、半導体モジュールCには、四隅と中央部分の5箇所に接続部5c、7が形成されている。接続部5c、7が形成されていることで、外装シールド4cを確実に接地することができる。また、中央部分に接続部7を形成することで、外装シールド4cの遮蔽性を高めることが可能となる。
【0101】
図29、図30に示すように、溝部6の底面及び内壁には、金属膜(外装シールド4cの一部)が形成されており、例えば、第1モジュール部C1に実装されている電子部品2からの、電磁界、静電等による影響(高周波ノイズ等)を遮断(シールド)し、第2モジュール部C2に実装されている電子部品2の誤作動を低減する。また、逆に、第2モジュール部C2に実装された電子部品2からの、電磁界、静電による影響(高周波ノイズ等)を遮断(シールド)し、第1モジュール部C1に実装されている電子部品の誤作動を低減することができる。このように、複数の機能を1つのモジュールに集積することで、個々に形成する場合に比べて、小型化することが可能である。また、製造工程も減らすことができるのでタクトタイムを減らすことができ、それだけ、生産性が高くなる。
【0102】
なお、製造方法は、第2の実施形態と同様である。すなわち、集合基板の第1モジュール部C1となる領域と第2モジュール部C2となる部分に電子部品を実装し、樹脂封止をした後、ダイシングライン上に溝31を形成する。このとき、第1モジュール部C1及び第2モジュール部C2との境界部分にも溝31を形成する。そして、上面に金属膜を形成した後、ダイシングラインに沿ってダイシングブレードを移動させ、半導体モジュールCに分割する。このように、半導体モジュールCを個片化することで、図28に示すように、上面は上面シールド41cで、側面は側面シールド42cで、そして、第1モジュール部C1と第2モジュール部C2の境界部分は溝部6に形成された金属膜でそれぞれシールドするので、第1モジュール部C1及び第2モジュール部C2を確実に動作させることができる。
【0103】
なお、図28等に示す半導体モジュールCでは、第1モジュール部C1と第2モジュール部C2との境界の中央部分に円筒形の接続部7を備えた構成となっているが、四隅の接続部5cで外装シールド4cを確実に接地することができる場合、接続部7を省略してもよい。また、図24に示す集合基板100の複数のモジュール個片区画の隣り合うモジュール個片区画の溝31を切断しないようにしても製造することが可能である。さらに、本実施形態では、2個の独立した動作を行うモジュール部を備えているものを例にしているが、これに限定されるものではなく、3個以上のモジュール部を含む構成としてもよい。このとき、隣り合うモジュール部の境界の全てを、本実施形態と同様に溝部6を形成し、シールドできるようにしてもよいし、互いに影響を及ぼすモジュール部の境界部分にのみ溝部6を形成し、シールドするようにしてもよい。
【0104】
第3の実施形態のその他の効果は、上述の第1、第2の実施形態と同様である。
【0105】
(第4の実施形態)
本発明にかかる半導体モジュールのさらに他の例について図面を参照して説明する。図31は本発明にかかる半導体モジュールのさらに他の例の斜視図であり、図32は図31に示す半導体モジュールの断面図であり、図33は図32に示す半導体モジュールを搭載基板に実装した状態の断面図である。図31に示す半導体モジュールDは、接続部5dが異なる以外、第1の実施形態に示す半導体モジュールAと同じ構成を有するものであり、実質上同じ部分には同じ符号を付すとともに、同じ部分の詳細な説明は省略する。さらに製造工程についても、穴あけ工程で貫通孔を形成する以外は、同様の構成を有しているので、詳しい説明は省略する。
【0106】
図31、図32に示すように、半導体モジュールDは、上面から下面に繋がった溝Cgdが形成されており、その溝Cgdの側壁部に外装シールド4と同じ金属膜の接続部5dが形成されている。そして、図33に示すように、接続部5dが搭載基板Tbの接地配線Peとはんだ付けで直接はんだ付けされる。これにより、モジュール基板1の上面に上面接地配線111、下面に下面接地配線121及び上面接地配線111と下面接地配線121とを接続するビアホール14を省略することができる。
【0107】
このことから、モジュール基板1を上面接地配線111及び(又は)下面接地配線121を減らすので、小型化することができるとともに、簡略化することが可能である。また、製造工程において、穴あけ工程で貫通孔を形成すればよいので、深さの制御が不要であり、それだけ、製造が簡単である。また、平面状の底面を形成する必要がないので、ドリルを用いて穴あけ工程を行うことができる。
【0108】
第4の実施形態のその他の効果は、上述の第1〜第3の実施形態と同様である。
【0109】
(第5の実施形態)
本発明にかかる半導体モジュールの他の例について図面を参照して説明する。図41は本発明にかかる半導体モジュールの他の例の斜視図であり、図42は図41に示す半導体モジュールのXLII−XLII線断面図であり、図43は図41に示す半導体モジュールのXLIII−XLIII線断面図である。なお、図41等に示す半導体モジュールEは、外装シールド4e及び図43中右側の接続部5がモジュール基板1の内層配線13の接地配線(内層接地配線131)に接続されている以外は、半導体モジュールAと同じ構成を有している。半導体モジュールEを構成する部分のうち、半導体モジュールAを構成する部分と実質上同じ部分には、同じ符号を付すとともに、詳細な説明は省略する。
【0110】
図41に示しているように、外装シールド4eは、封止樹脂層3の上面を覆う上面シールド41eと、封止樹脂層3の側面を覆う側面シールド42eとを備えている。さらに詳しく説明すると、上面シールド41eは半導体モジュールAの外装シールド4と同様の形状である、すなわち、四隅に扇形の切り欠きが形成された正方形状の板材である。図41等に示すように、側面シールド42eは、長方形状の板部材であり、長手方向両端部が接続部5とつながるように封止樹脂層3の側面を覆う板状の部材である。また、側面シールド42eは一方の長辺で上面シールド41eとつながっている(図41、図42参照)。なお、図41等に示す外装シールド4eでは上面シールド41eと側面シールド42eとが一体に形成されている。また、同様に、側面シールド42eと接続部5とが一体に形成されている。そして、側面シールド42eは、他方の長辺にシールド下端部421eを備えている。シールド下端部421eは外部に突出しているとともに、モジュール基板1と接続している。
【0111】
半導体モジュールEでは半導体モジュールAと同様に、モジュール基板1の上面に形成された上面接地配線111と電気的に接続される。これにより、外装シールド4eが接地される、すなわち、上面シールド41e及び側面シールド42eが接地される。このことから、外装シールド4eの電磁界、静電による影響(高周波ノイズ等)を遮断(シールド)する効果を高めることが可能である。また、モジュール基板1の一部まで側面シールド42eを形成することにより、封止樹脂層3内への湿気等の水分の浸入を抑制し、リフロー時の封止樹脂層3のクラック等を抑制することができる。なお、実験の結果によると、モジュール基板1の一部まで側面シールド42eを形成することにより、30℃/60%RH/192Hの放置試験で、放置前後の重量増加において、0.083%〜0.017%の抑制効果があった。
【0112】
また、図43に示すように、接続部5がモジュール基板1の内層配線13のうち接地された配線(内層接地配線131)に接続されている。通常の多層基板では、層内に大面積の内層接地配線131を備えている場合が多い。内層接地配線131に接続部5を接続することで、大面積の接地線に最短距離で接続することができる。これにより、外装シールド4eのシールド効果を高めることが可能である。また、上面接地配線111を省略することも可能であるので、半導体モジュールEを小型化することが可能である。
【0113】
なお、図43において右側の接続部5のみが内層接地配線131と接続しているが、これに限定されるものではない。例えば、四隅の接続部5の全てが内層接地配線131と接続していてもよく、或いは、四隅の接続部5の全てが上面接地配線111と接続していてもよい。また、内層接地配線131に接続する接続部5と上面接地配線111に接続する接続部5をそれぞれ1つ以上備えていてもよい。さらには、接続部5が下面接地配線121と接続してもよい。
【0114】
次に図41に示す半導体モジュールEの製造工程について、新たな図面を参照して説明する。図44〜図50は図12に示す半導体モジュールを製造する工程の一部を模式的に示す図である。半導体モジュールEの製造工程では、実装工程及び封止工程までは半導体モジュールAの製造工程と同じである。すなわち、集合基板100上面に複数の電子部品2を実装し、絶縁性の樹脂で集合基板100の上面を封止する。
【0115】
図44は封止工程後の封止樹脂の表面に円形の穴を形成した集合基板の平面図であり、図45は図44に示す集合基板のXLV−XLV断面図である。封止工程(図6参照)で封止樹脂層3を形成した集合基板100の上面に、断面円形の凹穴30を形成する(穴あけ工程)。穴あけ工程では、封止樹脂層3の上面から、後述する溝形成工程で形成する溝31 (二点鎖線)の交差部分にレーザー光Lsを照射する。モジュール基板1の上面の溝が交叉する部分には、上面接地配線111が配置されており(図44参照)、レーザー光Lsの照射によって、上面接地配線111に到達する凹穴30が形成される(図45参照)。なお、接続部5を内層接地配線131に直接接続する構成の場合、穴あけ工程では、凹穴30を内層接地配線131に到達するように形成する。さらに、接続部5が下面接地配線121に直接接続する構成の場合、穴あけ工程では、凹穴30を下面接地配線121に到達するように形成する。
【0116】
図46は溝形成工程を模式的に示す平面図であり、図47は図46に示す集合基板のXLVII−XLVII断面図である。穴あけ工程(図44、45参照)で封止樹脂層3に凹穴30を形成した後、封止樹脂層3の上面に、隣り合う上面接地配線111及び凹穴30を通過するように直線状の溝31を形成する。
【0117】
図47に示すように、溝31の底面が集合基板100(の内部)に到達している。なお、半導体モジュールEの製造工程では半導体モジュールBの製造工程とは異なり、穴あけ工程と溝形成工程の順序が入れ替わっている。穴あけ工程と溝形成程の順序を入れ替えた理由は以下のとおりである。
【0118】
先に溝31を形成すると上面接地配線111にも溝31が形成される。穴あけ工程では、凹穴30の内径と同じ照射径のレーザー光Lsを照射し、上面接地配線111に到達するまで凹穴30を形成する。レーザー光Lsが照射される領域のうち溝31が形成された部分は他の部分に比べて上面接地配線111までの長さが短くなっている。この状態で、レーザー光Lsの照射によって、凹穴30を形成すると、溝31が形成された部分では、集合基板100を貫通してしまう可能性がある。
【0119】
レーザー光によって凹穴30の一部が貫通してしまうと、後述の成膜工程において湿式めっき法等を用いるとき、めっき液が集合基板100の裏面に達し、裏面が汚染されてしまう不具合が発生する。このような、裏面の汚染を抑制するため、本実施形態では、溝形成工程の前に穴あけ工程を行うようにしている。
【0120】
そして、溝形成工程で溝31を形成した後、集合基板100の封止樹脂層3を含む上面を覆うように金属膜を形成(成膜)する。図48は成膜後の集合基板の正面図であり、図49は図48に示す集合基板のXLIX−XLIX線断面図であり、図50は、図48に示す集合基板のL−L線断面図である。
【0121】
上面に凹穴30及び溝31が形成されている封止樹脂層3の上面に、導電性を有する金属膜を形成する(成膜工程)。なお、成膜工程における金属膜の形成方法については、半導体モジュールAの製造工程の成膜工程と同じ方法である。成膜工程において、金属膜は、封止樹脂層3の上面だけでなく、凹穴30及び溝31の底面及び内壁面にも形成される(図48、49、50参照)。凹穴30の底面に形成された金属膜は上面接地配線111と接触する。なお、この成膜工程によって形成された金属膜が、図41、図42、図43等に示される外装シールド4及び接続部5を構成する。
【0122】
成膜工程において外装シールド4及び接続部5が形成された集合基板100を、切断、分離する(ダイシング工程)。図51はダイシング工程にて切断した集合基板を示す断面図である。ダイシング工程では、半導体モジュールAを個片化する工程と同じである。なお、ダイシングブレードDbが移動するダイシングラインは、溝31の底面の中心部分であり、ダイシングブレードDbは、溝31の底面及び凹穴30の底面を切断する。
【0123】
ダイシング工程では、溝31の底面及び凹穴30の底面を切断するものであり、ダイシングブレードDbと金属膜(外装シールド4e)との接触面は、金属膜(外装シールド4e)の厚み部分のみとなる。このことから、ダイシング工程において、金属膜(外装シールド4e)とダイシングブレードとの接触面積を小さくすることができ、金属膜とダイシングブレードとの摩擦による外装シールドの剥離、欠け等の不具合を抑制することができる。また、金属膜(外装シールド4e)とダイシングブレードとの接触面積を小さくすることで、ダイシングブレードに大きな負担がかかるのを抑制することができ、ダイシングブレードの寿命を延ばすことができる。以上のことから、半導体モジュールEの生産性を高めることが可能である。
【0124】
また、溝形成工程において、溝31を集合基板100の一部まで形成することで、導電性を有する金属膜が封止樹脂層3が湿気等の水分の浸入を抑制する役割も果たす。さらに、基板の一部を削って金属膜を形成することより、半導体モジュールE側面のモジュール基板1と封止樹脂層3との境界部分を金属膜で覆う。これにより、水分の浸入を抑制する効果を大きくすることができ、リフロー時の樹脂クラック等を抑制することができる。
【0125】
また、第5の実施形態のその他の効果は、上述の第1の実施形態と同様である。
【0126】
(第6の実施形態)
本発明にかかる半導体モジュールの他の例について図面を参照して説明する。図52は本発明にかかる半導体モジュールの他の例の斜視図であり、図53は図52に示す半導体モジュールのLIII−LIII線断面図であり、図54は図52に示す半導体モジュールのLIV−LIV線断面図である。なお、図52等に示す半導体モジュールFは、半導体モジュールEと同じ構成を有している。半導体モジュールFを構成する部分のうち、半導体モジュールEを構成する部分と実質上同じ部分には、詳細な説明は省略する。
【0127】
図52に示しているように、外装シールド4eは、封止樹脂層3の上面を覆う上面シールド41eと、封止樹脂層3の側面を覆う側面シールド42eとを備えている。なお、半導体モジュールFは、半導体モジュールEと同様の構成を有するため詳細な説明は省略する。
【0128】
半導体モジュールFでは半導体モジュールEと同様に、接続部5がモジュール基板1の上面に形成された上面接地配線111と電気的に接続される。これにより、外装シールド4eが接地される、すなわち、上面シールド41e及び側面シールド42eが接地される。このことから、外装シールド4eの電磁界、静電による影響(高周波ノイズ等)を遮断(シールド)する効果を高めることが可能である。また、モジュール基板1の一部まで側面シールド42eを形成することにより、封止樹脂層3内への湿気等の水分の浸入を抑制し、リフロー時の封止樹脂層3のクラック等を抑制することができる。なお、実験の結果によると、モジュール基板1の一部まで側面シールド42eを形成することにより、30℃/60%RH/192Hの放置試験で、放置前後の重量増加において、0.083%〜0.017%の抑制効果があった。
【0129】
また、図54に示すように、接続部5がモジュール基板1の内層配線13のうち接地された配線(内層接地配線131)に接続されている。通常の多層基板では、層内に大面積の内層接地配線131を備えている場合が多い。内層接地配線131に接続部5を接続することで、大面積の接地線に最短距離で接続することができる。このことから、外装シールド4eのシールド効果を高めることが可能である。また、上面接地配線111を省略することも可能であるので、半導体モジュールFを小型化することが可能である。
【0130】
なお、図54において半導体モジュールFは、右側の接続部5のみが内層接地配線131と接続しているが、これに限定されるものではない。例えば、四隅の接続部5の全てが内層接地配線131と接続していてもよく、或いは、四隅の接続部5の全てが上面接地配線111と接続していてもよい。また、内層接地配線131に接続する接続部5と上面接地配線111に接続する接続部5をそれぞれ1つ以上備えていてもよい。さらには、接続部5が下面接地配線121と接続してもよい。
【0131】
次に図52に示す半導体モジュールFの製造工程について、新たな図面を参照して説明する。図55〜図61は図52に示す半導体モジュールを製造する工程の一部を模式的に示す図である。半導体モジュールFの製造工程では、実装工程及び封止工程までは半導体モジュールEの製造工程と同じである。すなわち、集合基板100上面に複数の電子部品2を実装し、絶縁性の樹脂で集合基板100の上面を封止する。
【0132】
図55は封止工程後の封止樹脂の表面に溝を形成した集合基板の平面図であり、図56は図55に示す集合基板のLVI−LVI断面図である。封止工程(図6参照)で集合基板100の上面に封止樹脂層3を形成した状態で、封止樹脂層3の上面に、隣り合う上面接地配線111をつなぐとともに、上面接地配線111の上部を通過する直線状の溝31を形成する。図56に示すように、溝31の底面が集合基板100に到達している。
【0133】
溝形成工程で溝31を形成した後、溝の交差部分、すなわち、上面接地配線111の上部に断面円形の凹穴30を形成する(穴あけ工程)。図57は穴あけ工程を模式的に示す平面図であり、図58は図57に示す穴あけ工程後の集合基板の断面図である。穴あけ工程では、レーザー光Lsを上面接地配線111の上部の封止樹脂層3に照射し、凹穴30を形成する(図58参照)。なお、凹穴30は上面接地配線111に到達するように形成され、溝31にはレーザー光Lsを照射しないようにビーム径の小さなレーザー光Lsを扇形の範囲に照射し凹穴30を形成する。(図58参照)。なお、接続部5が内層接地配線131と接触する構成の場合、穴あけ工程では、凹穴30を内層接地配線131に到達するように形成する。さらに、接続部5が下面接地配線121に直接接続する構成の場合、穴あけ工程では、凹穴30を下面接地配線121に到達するように形成する。
【0134】
半導体モジュールFの製造工程における穴あけ工程で形成する凹穴の形状は、半導体モジュールBの製造工程の穴あけ工程で形成した凹穴と異なり、扇形形状としている。凹穴を扇形形状にすることで、溝31の上面接地配線111と重なる部分にレーザー光が照射されるのを抑制し、溝31の上面接地配線111と重なる部分がさらに深く掘り進まれるのを抑制することができる。すなわち、上面接地配線111の溝31が形成された部分がレーザー光Lsによりさらに深く穴が形成され、集合基板111を貫通してしまうのを抑制することができる。これにより、後述の成膜工程で湿式めっき法等を用いると、めっき液が集合基板100の裏面に達し、裏面が汚染されてしまうのを抑制することができる。
【0135】
溝形成工程で溝31を形成した後、集合基板100の封止樹脂層3を含む上面を覆うように金属膜を成膜する。図59は成膜後の集合基板の正面図であり、図60は図59に示す集合基板のLX−LX線断面図であり、図61は、図59に示す集合基板のLXI−LXI線断面図である。
【0136】
上面に凹穴30及び溝31が形成されている封止樹脂層3の上面に、導電性を有する金属膜を形成する(成膜工程)。なお、成膜工程における金属膜の形成方法については、半導体モジュールAの製造工程の成膜工程と同じ方法である。成膜工程において、金属膜は、封止樹脂層3の上面だけでなく、凹穴30及び溝31の底面及び内壁面にも形成される(図59、60、61参照)。凹穴30の底面に形成された金属膜は上面接地配線111と接触する。なお、この成膜工程によって形成された金属膜が、図52、図53、図54等に示される外装シールド4及び接続部5を構成する。
【0137】
成膜工程において外装シールド4及び接続部5が形成された集合基板100を、切断、分離する(ダイシング工程)。図62はダイシング工程にて切断した集合基板を示す断面図である。ダイシング工程では、半導体モジュールAを個片化する工程と同じである。なお、ダイシングブレードDbが移動するダイシングラインは、溝31の底面の中心部分であり、ダイシングブレードDbは、溝31の底面及び凹穴30の底面を切断する。
【0138】
ダイシング工程では、溝31の底面及び凹穴30の底面を切断するものであり、ダイシングブレードDbと金属膜(外装シールド4e)との接触面は、金属膜(外装シールド4e)の厚み部分のみとなる。このことから、ダイシング工程において、金属膜(外装シールド4e)とダイシングブレードとの接触面積を小さくすることができ、金属膜とダイシングブレードとの摩擦による外装シールドの剥離、欠け等の不具合を抑制することができる。また、金属膜(外装シールド4e)とダイシングブレードとの接触面積を小さくすることで、ダイシングブレードに大きな負担がかかるのを抑制することができ、ダイシングブレードの寿命を延ばすことができ、それだけ、半導体モジュールの生産性を高めることが可能である。
【0139】
また、溝形成工程において、溝31を集合基板100の一部まで形成することで、導電性を有する金属膜が封止樹脂層3が湿気等の水分の浸入を抑制する役割も果たす。さらに、基板の一部を削って金属膜を形成することより、半導体モジュールE側面のモジュール基板1と封止樹脂層3との境界部分を金属膜で覆う。これにより、水分の浸入を抑制する効果を大きくすることができ、リフロー時の樹脂クラック等を抑制することができる。
【0140】
また、第6の実施形態では第5の実施形態と異なり、溝形成工程が穴あけ工程の前段となっている。第6の実施形態では、溝形成工程で、集合基板100の一部まで溝31を形成するため、上接地配線111と重なる部分にも溝31が形成される。その後凹穴30と同じ径のレーザー光Lsを照射すると溝31の部分にもレーザー光Lsが照射される。その状態で溝部31以外の部分が上接地配線111に到達するまで穴あけを行うと、溝部31の部分で基板を貫通する可能性がある。そのため、第6の実施形態では、穴あけ工程において、溝31に照射しないようスポット径の小さなレーザー光Lsを用い、照射範囲を限定している。なお、第5の実施形態では、上述しているように、穴あけ工程を先に実施し、その後溝形成工程を実施することにより、上記の不具合の発生を回避している。
【0141】
また、第6の実施形態のその他の効果は、上述の第1の実施形態と同様である。
【0142】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明にかかる半導体モジュールは、ナビゲーション装置、携帯電話、デジタルカメラ、携帯情報端末等の電子機器に実装することが可能である。
【符号の説明】
【0144】
1 モジュール基板
11 上面配線
111 上面接地配線
12 下面配線
121 下面接地配線
13 内層配線
131 内層接地配線
2 電子部品
21 半導体素子
22 受動部品
3 封止樹脂層
4 外装シールド
5 接続部
51 内周部分
52 接触部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合基板上面のモジュール個片区画に電子部品を実装する実装工程と、
前記電子部品が実装された上面を絶縁性の封止樹脂層で封止する封止工程と、
前記封止樹脂層の上面から前記集合基板に備えられた接地配線に到達する穴を形成する穴あけ工程と、
少なくとも、前記封止樹脂層の上面、前記穴の内面及び前記接地配線を覆うように導電材からなる導電膜を形成する成膜工程と、
前記モジュール個片区画ごとに分割する分割工程とを備えていることを特徴とする半導体モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記接地配線が、前記モジュール個片区画内に収まって配置されている集合基板を利用する請求項1に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項3】
前記接地配線が、1個片につき複数個備えられた集合基板を利用し、前記穴あけ工程は、各接地配線に到達する複数の穴を形成する請求項1又は請求項2に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項4】
前記接地配線が、最外層の配線層に配置された集合基板を利用する請求項1から請求項3のいずれかに記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項5】
前記接地配線上にソルダレジストが形成された集合基板を利用し、前記穴あけ工程時に前記封止樹脂層と前記ソルダレジストを除去する請求項4に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項6】
前記接地配線が内層の配線層に配置されている集合基板を利用する請求項1から請求項3のいずれかに記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項7】
前記接地配線と前記封止樹脂層の間の前記穴が形成される領域に他の配線が形成されていない集合基板を利用する請求項6に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項8】
集合基板上面のモジュール個片区画に電子部品を実装する実装工程と、
前記電子部品が実装された上面を絶縁性の封止樹脂層で封止する封止工程と、
前記集合基板と前記封止樹脂層とを貫通する穴を形成する穴あけ工程と、
前記封止樹脂層の上面及び前記穴の内面を覆うように導電材からなる導電膜を形成する成膜工程と、
前記モジュール個片区画ごとに分割する分割工程とを備えていることを特徴とする半導体モジュールの製造方法。
【請求項9】
前記穴あけ工程は、前記集合基板上の配線が形成されていない部分を貫通するように前記穴を形成する請求項8に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項10】
前記穴あけ工程は、少なくともひとつが前記モジュール個片区画の外周上に前記穴を形成する請求項1から請求項9のいずれかに記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項11】
前記モジュール個片区画が矩形状であり、
前記穴あけ工程は、モジュール個片区画の角に少なくとも1つの前記穴を形成する請求項10に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項12】
前記穴あけ工程は、複数のモジュール個片区画にまたがるよう少なくとも1つの前記穴を形成する請求項10又は請求項11に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項13】
前記封止工程の後で前記成膜工程の前に、封止樹脂層に前記集合基板に到達しない深さの溝を形成する溝形成工程を備えている請求項1から請求項12のいずれかに記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項14】
前記封止工程の後で前記成膜工程の前に、封止樹脂層に前記集合基板の内部に到達する深さの溝を形成する溝形成工程を備えている請求項1から請求項12のいずれかに記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項15】
前記穴あけ工程は、前記封止樹脂層及び前記集合基板に形成される溝を避けて、モジュール個片区画の角に少なくとも1つの前記穴を形成する請求項13又は請求項14に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項16】
前記成膜工程は、前記溝全体に導電材を充填しないように、前記溝の内面に導電膜を形成する請求項13から請求項15のいずれかに記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項17】
前記成膜工程は、前記穴全体に導電材を充填しないように、前記穴の内面に導電膜を形成する請求項13から請求項16のいずれかに記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項18】
前記成膜工程は、前記穴全体に導電材を充填しないように、前記穴の内面に導電膜を形成する請求項1から請求項12のいずれかに記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項19】
請求項1〜請求項18のいずれかに記載の半導体モジュールの製造方法で製造された半導体モジュール。
【請求項20】
請求項13から請求項17のいずれかに記載の半導体モジュールの製造方法で製造される半導体モジュールであって、
前記封止樹脂層の上面及び側面に外装シールドが形成されている半導体モジュール。
【請求項21】
請求項13から請求項17のいずれかに記載の半導体モジュールの製造方法で製造される半導体モジュールであって、
前記溝を境界として、独立して動作する複数のモジュール部を備えている半導体モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【公開番号】特開2012−256842(P2012−256842A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−29803(P2012−29803)
【出願日】平成24年2月14日(2012.2.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】