説明

半導体レーザ装置および光装置

【課題】接合済みの半導体レーザ素子が本来の接合位置からずれるのを抑制しつつ、熱履歴に起因する半導体レーザ素子の発光特性などの劣化を抑制することが可能な半導体レーザ装置を提供する。
【解決手段】この3波長半導体レーザ装置100(半導体レーザ装置)は、ステム1と、位置合わせ部60を有し、ステム1の表面上に接合された基台4と、基台4の表面上に接合された青紫色半導体レーザ素子20とを含む青紫色半導体レーザ素子部2と、位置合わせ部60に対応するように形成された位置合わせ部70を有し、ステム1の表面上に接合された基台5と、基台5の表面上に接合された2波長半導体レーザ素子30とを含む2波長半導体レーザ素子部3とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体レーザ装置および光装置に関し、特に、複数の半導体レーザ素子を備えた半導体レーザ装置および光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の半導体レーザ素子を備えた半導体レーザ装置および光装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、ヒートシンク(基台)と、各々が同一の(一枚の)ヒートシンク上にろう材を介して接合された赤色半導体レーザ素子、緑色半導体レーザ素子および青色半導体レーザ素子とを備えた3色光源(半導体レーザ装置)が開示されている。なお、上記特許文献1には記載されていないが、一枚のヒートシンクに3つの半導体レーザ素子を接合する製造プロセスとして、たとえば、3つの半導体レーザ素子を、ヒートシンク上に配置されたろう材を介して1つずつ順次接合するプロセスが考えられる。また、別な製造プロセスとして、2番目および3番目に接合する半導体レーザ素子に予めろう材を蒸着させておき、1番目の半導体レーザ素子をヒートシンクにろう材を介して接合した後に、2番目および3番目に接合する半導体レーザ素子のろう材を融解させながら、ヒートシンクに接合するプロセスが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−186243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、3つの半導体レーザ素子を、ヒートシンク上に配置されたろう材を介して1つずつ順次接合する製造プロセスでは、2番目および3番目に半導体レーザ素子をヒートシンクに接合する際の熱に起因して、接合済みの1番目の半導体レーザ素子のろう材が再溶融する虞がある。この場合、接合済みの半導体レーザ素子が本来の接合位置からずれてしまう場合があるという問題点がある。
【0006】
また、2番目および3番目に接合する半導体レーザ素子に予めろう材を蒸着させておき、1番目の半導体レーザ素子が先に接合されたヒートシンクへの接合時に蒸着したろう材を融解させて接合するような製造プロセスでは、半導体レーザ素子にろう材を蒸着させる際や、蒸着したろう材を融解させる際の熱に起因して、2番目および3番目の半導体レーザ素子に熱履歴が発生する。このため、半導体レーザ素子の発光特性などが劣化するという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、接合済みの半導体レーザ素子が本来の接合位置からずれるのを抑制しつつ、熱履歴に起因する半導体レーザ素子の発光特性などの劣化を抑制することが可能な半導体レーザ装置および光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による半導体レーザ装置は、ステムと、第1位置合わせ部を有し、ステムの表面上に接合された第1基台と、第1基台の表面上に接合された第1半導体レーザ素子とを含む第1半導体レーザ素子部と、第1位置合わせ部に対応するように形成された第2位置合わせ部を有し、ステムの表面上に接合された第2基台と、第2基台の表面上に接合された第2半導体レーザ素子とを含む第2半導体レーザ素子部とを備える。
【0009】
この発明の第1の局面による半導体レーザ装置では、上記のように、ステムの表面上に接合された第1基台と、第1基台の表面上に接合された第1半導体レーザ素子とを含む第1半導体レーザ素子部と、ステムの表面上に接合された第2基台と、第2基台の表面上に接合された第2半導体レーザ素子とを含む第2半導体レーザ素子部とを備えることによって、第1半導体レーザ素子および第2半導体レーザ素子を、それぞれ、異なる第1基台および第2基台に個別に接合することができるので、一方の半導体レーザ素子を基台に接合する際の熱が他方の半導体レーザ素子部に加えられるのを抑制することができる。これにより、接合済みの第1半導体レーザ素子および第2半導体レーザ素子が本来の接合位置からずれるのを抑制することができる。さらに、一方の半導体レーザ素子を基台に接合する際の熱が他方の半導体レーザ素子部に加えられるのを抑制することができるので、余分な熱履歴が第1半導体レーザ素子および第2半導体レーザ素子に加えられるのを抑制することができる。これにより、熱履歴に起因する第1半導体レーザ素子および第2半導体レーザ素子の発光特性などの劣化を抑制することができる。また、第1基台が第1位置合わせ部を有するとともに、第2基台が第1位置合わせ部に対応するように形成された第2位置合わせ部を有することによって、異なる第1基台および第2基台に第1半導体レーザ素子および第2半導体レーザ素子がそれぞれ接合されていても、第1位置合わせ部と第2位置合わせ部とを対応させた状態で、第1基台および第2基台を共通のステムの表面上に配置することによって、第1半導体レーザ素子と第2半導体レーザ素子との位置合わせを容易に行うことができる。
【0010】
上記第1の局面による半導体レーザ装置において、好ましくは、第1位置合わせ部と第2位置合わせ部とは、第1位置合わせ部および第2位置合わせ部のいずれか一方を、第1位置合わせ部および第2位置合わせ部のいずれか他方に当接させた状態で、第1位置合わせ部および第2位置合わせ部のいずれか他方に沿って移動させることによって、第1半導体レーザ素子と第2半導体レーザ素子との位置関係を調整可能なように構成されている。このように構成すれば、第1位置合わせ部および第2位置合わせ部のいずれか一方を、第1位置合わせ部および第2位置合わせ部のいずれか他方に対して、容易にかつ精度良く位置を合わせることができる。
【0011】
この場合、好ましくは、第1半導体レーザ素子と第2半導体レーザ素子とは、第1半導体レーザ素子および第2半導体レーザ素子の共振器の延びる方向と略直交する方向に並ぶように配置されており、第1位置合わせ部と第2位置合わせ部とは、少なくとも共振器の延びる方向と略直交する方向において、第1半導体レーザ素子の発光領域と第2半導体レーザ素子の発光領域との位置関係を調整可能なように構成されている。このように構成すれば、第1半導体レーザ素子の発光領域と第2半導体レーザ素子の発光領域との位置合わせを共振器の延びる方向と略直交する方向において精度良く行うことができる。これにより、第1半導体レーザ素子の発光領域と第2半導体レーザ素子の発光領域との間隔をより正確に制御することができる。
【0012】
上記第1半導体レーザ素子と第2半導体レーザ素子との位置関係を調整可能な半導体レーザ装置において、好ましくは、第1位置合わせ部と第2位置合わせ部とは、第1の方向と、第1の方向と直交する第2の方向とにおいて、第1半導体レーザ素子と第2半導体レーザ素子との位置関係を調整可能なように構成されている。このように構成すれば、第1の方向と第2の方向とによって構成される平面内において、第1半導体レーザ素子と第2半導体レーザ素子との位置合わせを精度良く行うことができる。
【0013】
上記第1の局面による半導体レーザ装置において、好ましくは、平面的に見て、第1基台の面積は、第1半導体レーザ素子の面積よりも大きく、平面的に見て、第2基台の面積は、第2半導体レーザ素子の面積よりも大きい。このように構成すれば、第1半導体レーザ素子および第2半導体レーザ素子を直接取り扱う(ハンドリングする)場合と異なり、容易に、第1半導体レーザ素子よりも面積の大きい第1基台、および、第2半導体レーザ素子よりも面積の大きい第2基台を直接ハンドリングすることができる。これにより、第1半導体レーザ素子と第2半導体レーザ素子との位置合わせをより容易に行うことができる。また、第1基台および第2基台のみをハンドリングするので、第1半導体レーザ素子および第2半導体レーザ素子に対して接触しないように構成することができ、その結果、第1半導体レーザ素子および第2半導体レーザ素子が破損するのを抑制することができる。
【0014】
この発明の第2の局面による光装置は、ステムと、第1位置合わせ部を有し、ステムの表面上に接合された第1基台と、第1基台の表面上に接合された第1半導体レーザ素子とを有する第1半導体レーザ素子部と、第1位置合わせ部に対応するように形成された第2位置合わせ部を有し、ステムの表面上に接合された第2基台と、第2基台の表面上に接合された第2半導体レーザ素子とを有する第2半導体レーザ素子部とを含む半導体レーザ装置と、半導体レーザ装置の出射光を制御する光学系とを備える。
【0015】
この発明の第2の局面による光装置では、上記のように、半導体レーザ装置が、ステムの表面上に接合された第1基台と、第1基台の表面上に接合された第1半導体レーザ素子とを含む第1半導体レーザ素子部と、ステムの表面上に接合された第2基台と、第2基台の表面上に接合された第2半導体レーザ素子とを含む第2半導体レーザ素子部とを含むことによって、第1半導体レーザ素子および第2半導体レーザ素子を、それぞれ、異なる第1基台および第2基台に個別に接合することができるので、一方の半導体レーザ素子を基台に接合する際の熱が他方の半導体レーザ素子部に加えられるのを抑制することができる。これにより、接合済みの第1半導体レーザ素子および第2半導体レーザ素子が本来の接合位置からずれるのを抑制することができる。さらに、一方の半導体レーザ素子を基台に接合する際の熱が他方の半導体レーザ素子部に加えられるのを抑制することができるので、余分な熱履歴が第1半導体レーザ素子および第2半導体レーザ素子に加えられるのを抑制することができる。これにより、熱履歴に起因する第1半導体レーザ素子および第2半導体レーザ素子の発光特性などの劣化を抑制することができる。また、第1基台が第1位置合わせ部を有するとともに、第2基台が第1位置合わせ部に対応するように形成された第2位置合わせ部を有することによって、異なる第1基台および第2基台に第1半導体レーザ素子および第2半導体レーザ素子がそれぞれ接合されていても、第1位置合わせ部と第2位置合わせ部とを対応させた状態で、第1基台および第2基台を共通のステムの表面上に配置することによって、第1半導体レーザ素子と第2半導体レーザ素子との位置合わせを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態による3波長半導体レーザ装置の上面図である。
【図2】本発明の第1実施形態による3波長半導体レーザ装置のレーザ光の出射方向から見た正面図である。
【図3】図1の600−600線に沿った断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態による3波長半導体レーザ装置の製造プロセスを説明するための上面図である。
【図5】本発明の第1実施形態による3波長半導体レーザ装置の製造プロセスを説明するための上面図である。
【図6】本発明の第1実施形態による3波長半導体レーザ装置の製造プロセスを説明するための上面図である。
【図7】本発明の第1実施形態による3波長半導体レーザ装置の製造プロセスを説明するための上面図である。
【図8】本発明の第1実施形態による3波長半導体レーザ装置の製造プロセスを説明するための上面図である。
【図9】本発明の第1実施形態による3波長半導体レーザ装置の製造プロセスを説明するための正面図である。
【図10】本発明の第1実施形態による3波長半導体レーザ装置の製造プロセスを説明するための上面図である。
【図11】本発明の第1実施形態による3波長半導体レーザ装置の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図12】本発明の第1実施形態の第1変形例による3波長半導体レーザ装置の上面図である。
【図13】本発明の第1実施形態の第2変形例による3波長半導体レーザ装置の上面図である。
【図14】本発明の第1実施形態の第3変形例による3波長半導体レーザ装置の正面図である。
【図15】本発明の第2実施形態による光ピックアップ装置の構成を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
(第1実施形態)
まず、図1〜図3を参照して、本発明の第1実施形態による3波長半導体レーザ装置100の構造について説明する。なお、3波長半導体レーザ装置100は、本発明の「半導体レーザ装置」の一例である。
【0019】
本発明の第1実施形態による3波長半導体レーザ装置100は、図1および図2に示すように、金属製のステム1と、ステム1の上面上(図2のZ1側)に接合層1a(図2参照)を介して接合された青紫色半導体レーザ素子部2と、青紫色半導体レーザ素子部2に隣接する位置におけるステム1の上面上に接合層1b(図2参照)を介して接合された2波長半導体レーザ素子部3とを備えている。また、接合層1aおよび1bは、Au−Sn合金またはAgペーストからなる。なお、青紫色半導体レーザ素子部2は、本発明の「第1半導体レーザ素子部」の一例であり、2波長半導体レーザ素子部3は、本発明の「第2半導体レーザ素子部」の一例である。
【0020】
青紫色半導体レーザ素子部2は、図2に示すように、ステム1の上面上に接合された基台4と、基台4の上面上に接合された青紫色半導体レーザ素子20とを含んでいる。また、2波長半導体レーザ素子部3は、ステム1の上面上に接合された基台5と、基台5の上面上に接合された2波長半導体レーザ素子30とを含んでいる。また、基台4と基台5とは、共にアンドープのSiからなるとともに、高さ方向(Z方向)に略同一の高さh1を有している。なお、基台4および5は、それぞれ、本発明の「第1基台」および「第2基台」の一例であり、青紫色半導体レーザ素子20および2波長半導体レーザ素子30は、それぞれ、本発明の「第1半導体レーザ素子」および「第2半導体レーザ素子」の一例である。
【0021】
また、図2に示すように、2波長半導体レーザ素子30では、2波長半導体レーザ素子30の共振器の延びる方向(Y方向)と直交する方向(X方向)の一方側(X1側)に形成された赤色半導体レーザ素子40と、X方向の他方側(X2側)に形成された赤外半導体レーザ素子50とがモノリシックに形成されている。
【0022】
基台4および5は、図1に示すように、互いに組み合わせることが可能なように構成されている。また、基台4および5を組み合わせた状態では、X方向に約1mmの長さL3を有するとともに、Y方向に約0.6mmの長さL4を有する矩形状になるように構成されている。
【0023】
基台4は、平面的に(上方(Z1側)から)見て、X方向に約0.4mmの長さL1を有するとともに、Y方向に約0.4mmの長さL2を有する略正方形形状に形成されている。また、基台5は、X1側で、かつ、Y1側の領域が切り欠かれることにより略L字形状に形成されている。また、基台5の切り欠かれた領域は、基台4と略同一の大きさを有する略正方形形状に形成されている。
【0024】
ここで、第1実施形態では、基台4は、上記した基台5の切り欠かれた領域に配置されるように構成されている。具体的には、基台4には、X方向の他方側(X2側)の側面4aと、Y方向の他方側(Y2側)の側面4bとによって位置合わせ部60が構成されている。また、基台5には、切り欠かれた領域のX1側の側面5aと、Y1側の側面5bとによって位置合わせ部70が構成されている。そして、ステム1に青紫色半導体レーザ素子部2および2波長半導体レーザ素子部3を接合する際に、位置合わせ部60のX2側の側面4aと位置合わせ部70のX1側の側面5aとが互いに当接可能であるとともに、位置合わせ部60のY2側の側面4bと位置合わせ部70のY1側の側面5bとが互いに当接可能である。つまり、位置合わせ部70は、位置合わせ部60に対応付けられた形状に形成されている。なお、位置合わせ部60および70は、それぞれ、本発明の「第1位置合わせ部」および「第2位置合わせ部」の一例である。
【0025】
また、図1に示すように、青紫色半導体レーザ素子部2をステム1に接合する際に、基台5の位置合わせ部70の側面5aに沿うように、基台4の位置合わせ部60の側面4aをY方向(図3参照)に移動させることが可能なように構成されている。さらに、位置合わせ部70の側面5bに沿うように、位置合わせ部60の側面4bをX方向(図2参照)に移動させることが可能なように構成されている。
【0026】
また、基台4の上面上には、略全面に渡って、電極6aが形成されている。また、基台5の上面上のX1側には、平面的に見てL字状の電極6bが形成されているとともに、X2側には、平面的に見てL字状の電極6cが形成されている。具体的には、電極6bは、平面的に見て、赤色半導体レーザ素子40の接合領域においてY1側からY2側に延びた後、赤色半導体レーザ素子40の後方(Y2側)において基台5と赤色半導体レーザ素子40との間から露出するとともに、基台5のX1側に凸状に突出している。また、電極6cは、平面的に見て、赤外半導体レーザ素子50の接合領域においてY1側からY2側に延びた後、赤外半導体レーザ素子50の後方(Y2側)において基台5と赤外半導体レーザ素子50との間から露出するとともに、基台5のX2側に凸状に突出している。
【0027】
また、図2に示すように、電極6aの上面上で、かつ、青紫色半導体レーザ素子20の接合領域に対応する領域には、半田層7aが形成されている。また、電極6bの上面上で、かつ、赤色半導体レーザ素子40の接合領域に対応する領域には、半田層7bが形成されている。また、電極6cの上面上で、かつ、赤外半導体レーザ素子50の接合領域に対応する領域には、半田層7cが形成されている。
【0028】
青紫色半導体レーザ素子20は、図1に示すように、基台4のX2側で、かつ、Y1側の外縁部近傍に接合されている。また、2波長半導体レーザ素子30は、基台5のX1側で、かつ、Y1側の外縁部近傍に接合されている。また、青紫色半導体レーザ素子20は、平面的に見て、基台4の内側に配置されているとともに、2波長半導体レーザ素子30は、平面的に見て、基台5の内側に配置されている。つまり、平面的に見て、基台4の面積は、青紫色半導体レーザ素子20の面積よりも大きいとともに、基台5の面積は、2波長半導体レーザ素子30の面積よりも大きい。
【0029】
また、図1に示すように、青紫色半導体レーザ素子20は、共振器の延びる方向(Y方向)に沿って延びるリッジ部(凸部)20aを有している。また、2波長半導体レーザ素子30の赤色半導体レーザ素子40および赤外半導体レーザ素子50は、それぞれ、青紫色半導体レーザ素子20の共振器の延びる方向と略同一の方向(Y方向)に沿って延びるリッジ部40aおよび50aを有している。
【0030】
また、青紫色半導体レーザ素子20のレーザ光は、青紫色半導体レーザ素子20のY1側の面である光出射面20bのうち、リッジ部20aに対応する発光領域20cから出射されるように構成されている。また、2波長半導体レーザ素子30の赤色半導体レーザ素子40のレーザ光は、赤色半導体レーザ素子40のY1側の面である光出射面40bのうち、リッジ部40aに対応する発光領域40cから出射されるように構成されている。また、赤外半導体レーザ素子50のレーザ光は、赤外半導体レーザ素子50のY1側の面である光出射面50bのうち、リッジ部50aに対応する発光領域50cから出射されるように構成されている。なお、発光領域20cおよび40cは、それぞれ、本発明の「第1発光領域」および「第2発光領域」の一例である。
【0031】
また、第1実施形態では、図1に示すように、基台4の位置合わせ部60の側面4bと、基台5の位置合わせ部70の側面5bとを互いに当接させた状態で、青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20cのX方向における位置と、赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cのX方向における位置とがある程度位置合わせされるように構成されている。具体的には、側面4bと側面5bとを互いに当接させた状態で、X方向における青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20cと赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cとの間隔D1が、約0.12mmに近い値になるように構成されている。
【0032】
また、基台4の位置合わせ部60の側面4aと、基台5の位置合わせ部70の側面5aとを互いに当接させた状態で、青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20cのY方向における位置と、赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cのY方向における位置とがある程度位置合わせされるように構成されている。具体的には、側面4aと側面5aとを互いに当接させた状態で、Y方向における発光領域20c(光出射面20b)の位置と、発光領域40c(光出射面40b)の位置とがある程度一致するように構成されている。
【0033】
また、第1実施形態では、基台5の位置合わせ部70の側面5bに沿うように、基台4の位置合わせ部60の側面4bを側面5bに当接させた状態でX方向に移動させることによって、X方向における青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20cと赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cとの間隔D1が約0.12mmになるように調整可能に構成されている。また、位置合わせ部70の側面5aに沿うように、位置合わせ部60の側面4aを側面5aに当接させた状態でY方向に移動させることによって、Y方向における青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20c(光出射面20b)の位置と、赤色半導体レーザ素子40の発光領域40c(光出射面40b)の位置とが略一致するように調整可能に構成されている。つまり、青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20cと、赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cとの位置調整が可能なように構成されている。なお、X方向およびY方向は、本発明の「第1の方向」および「第2の方向」の一例である。
【0034】
また、図2に示すように、Z方向における青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20cの高さ位置と、赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cの高さ位置とが略一致するように構成されている。
【0035】
青紫色半導体レーザ素子20では、n型GaN基板21の下面上に、n型AlGaNからなるn型クラッド層22が形成されている。n型クラッド層22の下面上には、InGaNからなる量子井戸層(図示せず)とGaNからなる障壁層(図示せず)とが交互に積層された多重量子井戸(MQW)構造を有する活性層23が形成されている。また、活性層23の下面上には、p型AlGaNからなるp型クラッド層24が形成されている。
【0036】
また、図1に示すように、青紫色半導体レーザ素子20のX2側におけるp型クラッド層24には、リッジ部20aが形成されている。また、図2に示すように、p型クラッド層24のリッジ部20aの下部には、p側オーミック電極25が形成されている。また、p型クラッド層24のリッジ部20a以外の下面上と、リッジ部20aの両側面上と、p側オーミック電極25の両側面上とには、SiOからなる電流ブロック層26が形成されている。また、p側オーミック電極25および電流ブロック層26の下面上には、Auなどからなるp側電極27が形成されている。このp側電極27は、半田層7aを介して、電極6aに接合されている。つまり、青紫色半導体レーザ素子20は、発光領域20cが基台4側(下方(Z2側))に位置するように、基台4の上面上にジャンクションダウン方式で接合されている。また、n型GaN基板21の上面上の略全領域には、Auなどからなるn側電極28が形成されている。
【0037】
2波長半導体レーザ素子30では、図2に示すように、赤色半導体レーザ素子40と赤外半導体レーザ素子50とが、共通のn型GaAs基板31上にモノリシックに形成されている。また、赤色半導体レーザ素子40と赤外半導体レーザ素子50とは、n型GaAs基板31の下面におけるX方向の略中央に形成された溝部32によって、互いに離間するように構成されている。
【0038】
赤色半導体レーザ素子40では、n型GaAs基板31の下面上のX1側に、AlGaInPからなるn型クラッド層41が形成されている。n型クラッド層41の下面上には、GaInPからなる量子井戸層(図示せず)とAlGaInPからなる障壁層(図示せず)とが交互に積層されたMQW構造を有する活性層42が形成されている。また、活性層42の下面上には、AlGaInPからなるp型クラッド層43が形成されている。
【0039】
また、赤外半導体レーザ素子50では、n型GaAs基板31の下面上のX2側に、AlGaAsからなるn型クラッド層51が形成されている。n型クラッド層51の下面上には、Al組成の低いAlGaAsからなる量子井戸層とAl組成の高いAlGaAsからなる障壁層とが交互に積層されたMQW構造を有する活性層52が形成されている。また、活性層52の下面上には、AlGaAsからなるp型クラッド層53が形成されている。
【0040】
また、図1に示すように、p型クラッド層43および53には、それぞれ、リッジ部40aおよび50aが形成されている。また、図2に示すように、リッジ部40aおよび50a以外の下面上と、リッジ部40aおよび50aの両側面上とには、それぞれ、SiOからなる電流ブロック層44および54が形成されている。また、リッジ部40aおよび50aの下面上と、電流ブロック層44および54の下面上とには、それぞれ、Auなどからなるp側電極45および55が形成されている。このp側電極45および55と、基台5の上面上に形成された電極6bおよび6cとが、それぞれ、半田層7bおよび7cを介して接合されることによって、赤色半導体レーザ素子40と赤外半導体レーザ素子50から構成される2波長半導体レーザ素子30と基台5とが接合されている。つまり、赤色半導体レーザ素子40および赤外半導体レーザ素子50は、共に、発光領域40cおよび50cが基台5側(下方(Z2側))に位置するように、基台5の上面上にジャンクションダウン方式で接合されている。また、n型GaAs基板31の上面上の略全領域には、Auなどからなるn側電極33が形成されている。
【0041】
また、2波長半導体レーザ素子30は、赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cと赤外半導体レーザ素子50の発光領域50cとが位置合わせされた状態で形成されている。具体的には、2波長半導体レーザ素子30は、X方向における赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cと赤外半導体レーザ素子50の発光領域50cとの間隔D2が、約0.1mmになるとともに、Y方向における発光領域40c(光出射面40b)の位置と発光領域50c(光出射面50b)の位置とが略一致するように形成されている。また、Z方向における赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cの高さ位置と、赤外半導体レーザ素子50の発光領域50cの高さ位置とが略一致するように構成されている。
【0042】
また、図1に示すように、ワイヤ8aによって、基台4の電極6aと図示しないリード端子(正極側)とが電気的に接続されている。また、ワイヤ8bによって、基台5の電極6bと図示しないリード端子(正極側)とが電気的に接続されている。また、ワイヤ8cによって、基台5の電極6cと図示しないリード端子(正極側)とが電気的に接続されている。また、ワイヤ8dによって、青紫色半導体レーザ素子20のn側電極28とステム1とが電気的に接続されている。また、ワイヤ8eによって、2波長半導体レーザ素子30のn側電極33とステム1とが電気的に接続されている。また、ステム1は接地されている。
【0043】
次に、図1、図2および図4〜図11を参照して、第1実施形態による3波長半導体レーザ装置100の製造プロセスについて説明する。
【0044】
まず、所定の製造プロセスを用いて、青紫色半導体レーザ素子20と、赤色半導体レーザ素子40および赤外半導体レーザ素子50から構成される2波長半導体レーザ素子30とを形成する。また、アンドープのSiからなる基台4および5を準備する。この際、図4に示すように、まず、X方向に約1mmの長さL3を有するとともに、Y方向に約0.6mmの長さL4を有する矩形状の基台101を準備する。そして、基台101のX1側で、かつ、Y1側の領域を、X方向に約0.4mmの長さL1を有するとともに、Y方向に約0.4mmの長さL2を有するように切り欠く。これにより、切り欠かれた領域を用いて基台4が形成されるとともに、基台101の残りの部分を用いて基台5が形成される。
【0045】
この際、基台4に、X方向の他方側(X2側)の側面4aと、Y方向の他方側(Y2側)の側面4bとによる位置合わせ部60が形成される。また、基台5に、切り欠かれた領域のX1側の側面5aと、Y1側の側面5bとによる位置合わせ部70が形成される。
【0046】
そして、図5に示すように、真空蒸着法とリフトオフ法とによって、基台4の上面上の所定の領域に電極6aを形成する。その後、電極6aの上面上の所定の領域に半田層7a(図2参照)を形成する。そして、青紫色半導体レーザ素子20のp側電極27と半田層7aとが対向するように、コレット80aを用いて青紫色半導体レーザ素子20のn側電極28側を上方(Z1側)から吸引する。そして、青紫色半導体レーザ素子20のp側電極27と基台4の電極6aとを、300℃程度の熱を加えて融解させた半田層7aを介してジャンクションダウン方式で接合する。これにより、青紫色半導体レーザ素子部2が製造される。
【0047】
また、図6に示すように、真空蒸着法とリフトオフ法とによって、基台5の上面上の所定の領域に電極6bおよび6cを形成する。その後、電極6bおよび6cの上面上の所定の領域に、それぞれ、半田層7bおよび7c(図2参照)を形成する。そして、赤色半導体レーザ素子40のp側電極45と半田層7bとが対向するとともに、赤外半導体レーザ素子50のp側電極55と半田層7cとが対向するように、コレット80aを用いて2波長半導体レーザ素子30のn側電極33側を上方(Z1側)から吸引する。そして、赤色半導体レーザ素子40のp側電極45と基台5の電極6bとを、300℃程度の熱を加えて融解させた半田層7bを介して接合するとともに、赤外半導体レーザ素子50のp側電極55と基台5の電極6cとを、300℃程度の熱を加えて融解させた半田層7cを介してジャンクションダウン方式で接合する。これにより、2波長半導体レーザ素子部3が製造される。
【0048】
その後、図7に示すように、2波長半導体レーザ素子部3の基台5の上面を上方からコレット80aで吸引する。そして、融解させた接合層1b(図2参照)を介して、ステム1の上面上に2波長半導体レーザ素子部3を接合する。
【0049】
そして、青紫色半導体レーザ素子部2の基台4および青紫色半導体レーザ素子20の上面を上方からコレット80bで吸引する。このコレット80bは、図9に示すように、青紫色半導体レーザ素子20のn側電極28と、基台4の電極6aとの両方に接触した状態で青紫色半導体レーザ素子部2を吸引可能なように、青紫色半導体レーザ素子20の側面に当接する段差部を有している。また、コレット80bは、青紫色半導体レーザ素子部2を吸引した状態で、青紫色半導体レーザ素子20のn側電極28と、基台4の電極6aとを介して、青紫色半導体レーザ素子20に通電させることが可能である。つまり、青紫色半導体レーザ素子20は、レーザ光を出射可能な状態でコレット80bに吸引されている。
【0050】
ここで、2波長半導体レーザ素子30のn側電極33と基台5の電極6bとに、それぞれ、プローブ90aおよび90bを接触させることによって、2波長半導体レーザ素子30のn側電極33と基台5の電極6bとを介して、赤色半導体レーザ素子40に通電する。同時に、青紫色半導体レーザ素子20のn側電極28と基台4の電極6aとを介して、青紫色半導体レーザ素子20に通電する。これにより、青紫色半導体レーザ素子20および赤色半導体レーザ素子40の各々から、レーザ光が出射される。このレーザ光を参照して、赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cに対して、青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20cの位置合わせを行う。
【0051】
具体的には、まず、図1に示すように、位置合わせ部60のうちのX2側の側面4aを、位置合わせ部70のうちのX1側の側面5aに当接させるとともに、位置合わせ部60のうちのY2側の側面4bを、位置合わせ部70のうちのY1側の側面5bに当接させる。これにより、X方向において、青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20cと赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cとの間隔D1が約0.12mmに近い値になるとともに、Y方向において、発光領域20c(光出射面20b)の位置と、発光領域40c(光出射面40b)の位置とがある程度一致する。
【0052】
その後、図8および図9に示すように、青紫色半導体レーザ素子20と赤色半導体レーザ素子40とのレーザ光を参照して、基台5の位置合わせ部70の側面5bに沿うように、基台4の位置合わせ部60の側面4bをX方向に移動させることによって、X方向において、赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cに対する青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20cの間隔D1(図1および図2参照)が約0.12mmになるように位置関係を調整する。また、図10および図11に示すように、青紫色半導体レーザ素子20と赤色半導体レーザ素子40とのレーザ光を参照して、位置合わせ部70の側面5aに沿うように、位置合わせ部60の側面4aをY方向に移動させることによって、Y方向において、発光領域40c(光出射面40b)の位置に対して、発光領域20c(光出射面20b)の位置が略一致する(図1参照)ように位置関係を調整する。
【0053】
そして、図1に示すように、位置合わせが行われて、所定の位置に配置された青紫色半導体レーザ素子20を含む青紫色半導体レーザ素子部2を、融解させた接合層1a(図2参照)を介して、ステム1の上面上に接合する。
【0054】
最後に、図1に示すように、ワイヤ8a、8bおよび8cによって、電極6a、6bおよび6cと、図示しない3つのリード端子(正極側)とをそれぞれ接続する。また、ワイヤ8dおよび8eによって、青紫色半導体レーザ素子20のn側電極28および2波長半導体レーザ素子部3のn側電極33と、ステム1とをそれぞれ接続する。このようにして、3波長半導体レーザ装置100が製造される。
【0055】
第1実施形態では、上記のように、ステム1の上面上に接合された基台4と、基台4の上面上に接合された青紫色半導体レーザ素子20とを含む青紫色半導体レーザ素子部2と、ステム1の上面上に接合された基台5と、基台5の上面上に接合された2波長半導体レーザ素子30とを含む2波長半導体レーザ素子部3とを備えることによって、青紫色半導体レーザ素子20および2波長半導体レーザ素子30を、それぞれ、異なる基台4および5に個別に接合することができるので、青紫色半導体レーザ素子20(2波長半導体レーザ素子30)を基台4(5)に接合する際の熱が2波長半導体レーザ素子部3(青紫色半導体レーザ素子部2)に加えられるのを抑制することができる。これにより、熱により半田層7a、7bおよび7cが溶解することに起因して接合済みの青紫色半導体レーザ素子20および2波長半導体レーザ素子30が、それぞれ、本来の接合位置からずれるのを抑制することができる。さらに、青紫色半導体レーザ素子20(2波長半導体レーザ素子30)を基台4(5)に接合する際の熱が2波長半導体レーザ素子部3(青紫色半導体レーザ素子部2)に加えられるのを抑制することができるので、余分な熱履歴が青紫色半導体レーザ素子20および2波長半導体レーザ素子30に加えられるのを抑制することができる。これにより、熱履歴に起因する青紫色半導体レーザ素子20および2波長半導体レーザ素子30の発光特性などの劣化を抑制することができる。
【0056】
また、第1実施形態では、位置合わせ部60のX2側の側面4aと位置合わせ部70のX1側の側面5aとを互いに当接可能なように形成するとともに、位置合わせ部60のY2側の側面4bと位置合わせ部70のY1側の側面5bとを互いに当接可能なように形成することによって、異なる基台4および5にそれぞれ青紫色半導体レーザ素子20および2波長半導体レーザ素子30がそれぞれ接合されていても、位置合わせ部60と位置合わせ部70とを対応させた状態で、基台4および5を共通のステム1の上面上に配置することによって、青紫色半導体レーザ素子20と2波長半導体レーザ素子30との位置合わせを容易に行うことができる。
【0057】
また、第1実施形態では、基台5の位置合わせ部70における側面5bに沿うように、基台4の位置合わせ部60における側面4bを側面5bに当接させた状態でX方向に移動させることによって、X方向における青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20cと赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cとの間隔D1を、約0.12mmになるように調整可能に構成した。また、位置合わせ部70の側面5aに沿うように、位置合わせ部60の側面4aを側面5aに当接させた状態でY方向に移動させることによって、Y方向における青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20c(光出射面20b)の位置と、赤色半導体レーザ素子40の発光領域40c(光出射面40b)の位置とを略一致するように調整可能に構成すれば、X方向とY方向とによって構成される平面内において、青紫色半導体レーザ素子20を、2波長半導体レーザ素子30に対して、容易にかつ精度良く位置を合わせることができる。
【0058】
また、第1実施形態では、位置合わせ部70の側面5bに沿うように、位置合わせ部60の側面4bを側面5bに当接させた状態でX方向に移動させることによって、X方向における青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20cと赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cとの間隔D1を、約0.12mmになるように調整可能に構成すれば、X方向において、青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20cと赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cとの位置合わせを精度良く行うことができる。これにより、青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20cと赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cとの間隔D1(約0.12mm)をより正確に制御することができる。
【0059】
また、第1実施形態では、平面的に見て、基台4の面積を青紫色半導体レーザ素子20の面積よりも大きくするとともに、基台5の面積を2波長半導体レーザ素子30の面積よりも大きくすれば、青紫色半導体レーザ素子および2波長半導体レーザ素子30を直接吸引する(ハンドリングする)場合と異なり、容易に、青紫色半導体レーザ素子20よりも面積の大きい基台4、および、2波長半導体レーザ素子30よりも面積の大きい基台5を直接ハンドリングすることができる。これにより、青紫色半導体レーザ素子20と2波長半導体レーザ素子30との位置合わせをより容易に行うことができる。また、基台5のみをハンドリングするので、2波長半導体レーザ素子30に対して接触しないように構成することができ、その結果、2波長半導体レーザ素子30が破損するのを抑制することができる。
【0060】
また、第1実施形態では、基台4および5が共にSiからなるように構成すれば、基台4の位置合わせ部60と基台5の位置合わせ部70とを共に平滑な状態で形成することができるので、位置合わせ部60と位置合わせ部70とを容易に合わせることができる。これにより、青紫色半導体レーザ素子20と2波長半導体レーザ素子30との位置合わせをより容易に行うことができる。
【0061】
また、第1実施形態では、青紫色半導体レーザ素子20と赤色半導体レーザ素子40とのレーザ光を参照して、青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20cと、赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cとの位置調整を行うように構成すれば、より確実に、青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20cと赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cとの位置関係を調整することができる。
【0062】
(第1実施形態の第1変形例)
図12を参照して、第1実施形態の第1変形例について説明する。この第1実施形態の第1変形例による3波長半導体レーザ装置200では、上記第1実施形態とは異なり、共振器の延びる方向(Y方向)と直交する方向(X方向)にのみ、青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20cの位置と赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cの位置とを調整可能に構成されている。また、図中において、上記第1実施形態と同様の構成には同じ符号を付している。なお、3波長半導体レーザ装置200は、本発明の「半導体レーザ装置」の一例である。
【0063】
第1実施形態の第1変形例による3波長半導体レーザ装置200では、図12に示すように、青紫色半導体レーザ素子部202の基台204の基台205と対向する側面(X2側の側面)に、凹部204cが形成されている。また、2波長半導体レーザ素子部203の基台205の基台204と対向する側面(X1側の側面)に、凸部205cが形成されている。これにより、基台205の凸部205cは、基台204の凹部204cに嵌め込まれるように構成されている。なお、青紫色半導体レーザ素子部202および2波長半導体レーザ素子部203は、それぞれ、本発明の「第1半導体レーザ素子部」および「第2半導体レーザ素子部」の一例である。
【0064】
また、基台204の凹部204c以外の部分でY方向に延びる一対の側面204dと、凹部204cでX方向に延びる一対の側面204eおよびY方向に延びる側面204fとによって位置合わせ部260が構成されている。また、基台205の凸部205c以外の部分でY方向に延びる一対の側面205dと、凸部205cでX方向に延びる一対の側面205eおよびY方向に延びる側面205fとによって位置合わせ部270が構成されている。また、位置合わせ部260の側面204d、204eおよび204fと、位置合わせ部270の側面205d、205eおよび205fとがそれぞれ互いに当接可能である。なお、位置合わせ部260および270は、それぞれ、本発明の「第1位置合わせ部」および「第2位置合わせ部」の一例である。
【0065】
また、基台204の凹部204cに基台205の凸部205cが嵌め込まれた状態で、青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20cの位置と、赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cの位置とがある程度位置合わせされるように構成されている。この際、基台204の位置合わせ部260の側面204dおよび204fと、基台205の位置合わせ部270の側面205dおよび205fとをそれぞれ互いに当接させた状態で、青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20cのY方向の位置と、赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cのY方向の位置とがある程度位置合わせされるように構成されている。また、位置合わせ部260の側面204eと、位置合わせ部270の側面205eとを互いに当接させた状態で、青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20cのX方向の位置と、赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cのX方向の位置とがある程度位置合わせされるように構成されている。
【0066】
また、基台205の位置合わせ部270の側面205eに沿うように、基台204の位置合わせ部260の側面204eを側面205eに当接させた状態でX方向に移動させることによって、X方向における青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20cと、赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cとの位置調整が可能なように構成されている。一方、基台204の凹部204cに基台205の凸部205cが嵌め込まれることによって、Y方向における青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20cと赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cとの位置調整が可能なようには構成されていない。これにより、基台204がY方向に移動するのが抑制されるので、青紫色半導体レーザ素子部202をX方向に移動させる際に、青紫色半導体レーザ素子部202にY方向に沿った位置ずれが発生することを抑制することが可能である。
【0067】
また、基台204の上面上には、基台204の凹部204cを取り囲むように、基台204の略全面に電極206aが形成されている。また、基台205の上面上には、電極206bが形成されている。この電極206bは、赤色半導体レーザ素子40の接合領域においてY1側からY2側に延びた後、赤色半導体レーザ素子40の後方(Y2側)において、凸部205c側に凸状に突出している。なお、第1実施形態の第1変形例による3波長半導体レーザ装置200のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0068】
次に、図12を参照して、第1実施形態の第1変形例による3波長半導体レーザ装置200の製造プロセスについて説明する。
【0069】
まず、基台204および205を準備する。この際、図12に示すように、基台204の基台205と対向するX2側の側面に、凹部204cを形成する。また、基台205の基台204と対向するX1側の側面に、凸部205cを形成する。これにより、基台204に、凹部204c以外の部分でY方向に延びる一対の側面204dと、凹部204cでX方向に延びる一対の側面204eおよびY方向に延びる側面204fとによる位置合わせ部260が形成される。また、基台205に、凸部205c以外の部分でY方向に延びる一対の側面205dと、凸部205cでX方向に延びる一対の側面205eおよびY方向に延びる側面205fとによる位置合わせ部270が形成される。
【0070】
そして、基台204の上面上の所定の領域に電極206aを形成した後、青紫色半導体レーザ素子20を接合して、青紫色半導体レーザ素子部202が製造される。また、基台205の上面上の所定の領域に電極206bおよび6cを形成した後、2波長半導体レーザ素子30を接合して、2波長半導体レーザ素子部203が製造される。
【0071】
その後、ステム1の上面上に2波長半導体レーザ素子部203を接合する。そして、基台204の凹部204cに基台205の凸部205cを嵌め込む。これにより、青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20cの位置と、赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cの位置とがある程度位置合わせされる。その後、基台205の位置合わせ部270の側面205eに沿うように、基台204の位置合わせ部260の側面204eを側面205eに当接させた状態でX方向に移動させることによって、X方向において、赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cに対する青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20cの位置関係を調整する。なお、第1実施形態の第1変形例による3波長半導体レーザ装置200のその他の製造プロセスは、上記第1実施形態と同様である。
【0072】
また、第1実施形態の第1変形例の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0073】
(第1実施形態の第2変形例)
図13を参照して、第1実施形態の第2変形例について説明する。この第1実施形態の第2変形例による3波長半導体レーザ装置300では、上記第1実施形態とは異なり、基台304のX2側の側面304gと、基台305のX1側の側面305gとが、Y方向に対して傾斜した状態で互いに当接可能なように形成されている。なお、3波長半導体レーザ装置300は、本発明の「半導体レーザ装置」の一例である。
【0074】
第1実施形態の第2変形例による3波長半導体レーザ装置300では、図13に示すように、青紫色半導体レーザ素子部302の基台304では、基台305と対向するX2側の側面304gがY方向に対して傾斜するように形成されている。また、2波長半導体レーザ素子部303の基台305では、基台304の側面304gの傾斜に対応するように、基台304と対向するX1側の側面305gがY方向に対して傾斜するように形成されている。なお、青紫色半導体レーザ素子部302および2波長半導体レーザ素子部303は、それぞれ、本発明の「第1半導体レーザ素子部」および「第2半導体レーザ素子部」の一例である。
【0075】
また、基台304のX2側の側面304gによって位置合わせ部360が構成されているとともに、基台305のX1側の側面305gによって位置合わせ部370が構成されている。また、位置合わせ部360の側面304gと位置合わせ部370の側面305gとを互いに当接させた状態で、青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20cの位置と、赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cの位置とがある程度位置合わせされるように構成されている。なお、位置合わせ部360および370は、それぞれ、本発明の「第1位置合わせ部」および「第2位置合わせ部」の一例である。
【0076】
また、基台304の位置合わせ部370の側面305gに沿うように、基台305の位置合わせ部360の側面304gをA方向(Y方向に対して斜め方向)に移動させることによって、X方向およびY方向における青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20cと赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cとの位置調整が可能なように構成されている。
【0077】
また、基台304の上面上には、側面304gに沿って傾斜するように電極306aが形成されている。また、基台305の上面上のX2側には、側面305gに沿って傾斜するように、電極306bが形成されている。なお、第1実施形態の第2変形例による3波長半導体レーザ装置300のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0078】
次に、図13を参照して、第1実施形態の第2変形例による3波長半導体レーザ装置300の製造プロセスについて説明する。
【0079】
まず、基台304および305を準備する。この際、図13に示すように、基台304の基台305と対向するX2側の側面304gを、Y方向に対して傾斜するように形成する。また、基台304の側面304gの傾斜に対応するように、基台305の基台304と対向するX1側の側面305gを、Y方向に対して傾斜するように形成する。これにより、基台304に、X2側の側面304gによる位置合わせ部360が形成されるとともに、基台305に、X1側の側面305gによる位置合わせ部370が形成される。
【0080】
そして、基台304の上面上の所定の領域に電極306aを形成した後、青紫色半導体レーザ素子20を接合して、青紫色半導体レーザ素子部302が製造される。また、基台305の上面上の所定の領域に電極306bおよび6cを形成した後、2波長半導体レーザ素子30を接合して、2波長半導体レーザ素子部303が製造される。
【0081】
その後、ステム1の上面上に2波長半導体レーザ素子部303を接合する。そして、基台304の位置合わせ部360の側面304gと、基台305の位置合わせ部370の側面305gとを互いに当接させる。これにより、青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20cの位置と、赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cの位置とがある程度位置合わせされる。その後、基台305の位置合わせ部370の側面305gに沿うように、基台304の位置合わせ部360の側面304gをA方向に移動させることによって、X方向およびY方向における青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20cと、赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cとの位置関係を調整する。なお、第1実施形態の第2変形例による3波長半導体レーザ装置300のその他の製造プロセスは、上記第1実施形態と同様である。
【0082】
また、第1実施形態の第2変形例の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0083】
(第1実施形態の第3変形例)
図14を参照して、第1実施形態の第3変形例について説明する。この第1実施形態の第3変形例による3波長半導体レーザ装置400では、上記第1実施形態とは異なり、青紫色半導体レーザ素子20を基台404にジャンクションアップ方式で接合している。なお、3波長半導体レーザ装置400は、本発明の「半導体レーザ装置」の一例である。
【0084】
第1実施形態の第3変形例による3波長半導体レーザ装置400では、図14に示すように、2波長半導体レーザ素子部3の基台5は、Z方向に高さh1を有している。一方、青紫色半導体レーザ素子部402の基台404は、Z方向に高さh1よりも小さい高さh2を有している。なお、青紫色半導体レーザ素子部402は、本発明の「第1半導体レーザ素子部」の一例である。
【0085】
また、青紫色半導体レーザ素子部402の基台404には、青紫色半導体レーザ素子20がジャンクションアップ方式で接合されている。つまり、青紫色半導体レーザ素子20のn側電極28が、半田層7aを介して、基台404の電極6aに接合されている。一方、2波長半導体レーザ素子30は、ジャンクションダウン方式で基台5に接合されている。
【0086】
また、青紫色半導体レーザ素子部402の基台404の高さh2を、2波長半導体レーザ素子部3の基台5の高さh1よりも所定の高さ分小さくすることによって、青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20cの高さ位置と、2波長半導体レーザ素子30における赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cおよび赤外半導体レーザ素子50の発光領域50cの高さ位置とが略一致するように構成されている。このように、青紫色半導体レーザ素子20がジャンクションアップ方式で基台404に接合されている一方、2波長半導体レーザ素子30がジャンクションダウン方式で基台5に接合されている場合に、異なる基台404および5を用いることによって、1つの基台に複数の半導体レーザ素子を接合する場合と比べて、より容易に、青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20cの高さ位置と、赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cおよび赤外半導体レーザ素子50の発光領域50cの高さ位置とを略一致させることが可能である。なお、第1実施形態の第3変形例による3波長半導体レーザ装置400のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0087】
また、第1実施形態の第3変形例による3波長半導体レーザ装置400の製造プロセスは、基台404の高さh2を基台5の高さh1よりも小さく形成するととともに、青紫色半導体レーザ素子20をジャンクションアップ方式で基台404に接合する点を除いて上記第1実施形態と同様である。
【0088】
また、第1実施形態の第3変形例の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0089】
(第2実施形態)
図1および図15を参照して、本発明の第2実施形態による光ピックアップ装置500について説明する。この第2実施形態では、上記した第1実施形態の3波長半導体レーザ装置100を含む光ピックアップ装置500について説明する。なお、光ピックアップ装置500は、本発明の「光装置」の一例である。
【0090】
本発明の第2実施形態による光ピックアップ装置500は、図15に示すように、上記第1実施形態による3波長半導体レーザ装置100(図1参照)が搭載されたキャン型の半導体レーザ装置510と、半導体レーザ装置510から出射されたレーザ光を調整する光学系520と、レーザ光を受光する光検出部530とを備えている。
【0091】
また、光学系520は、偏光ビームスプリッタ(PBS)521、コリメータレンズ522、ビームエキスパンダ523、λ/4板524、対物レンズ525、シリンドリカルレンズ526および光軸補正素子527を有している。
【0092】
また、PBS521は、半導体レーザ装置510から出射されるレーザ光を全透過するとともに、光ディスク540から帰還するレーザ光を全反射する。コリメータレンズ522は、PBS521を透過した半導体レーザ装置510からのレーザ光を平行光に変換する。ビームエキスパンダ523は、凹レンズ、凸レンズおよびアクチュエータ(図示せず)から構成されている。アクチュエータは、凹レンズおよび凸レンズの距離を変化させることにより、半導体レーザ装置510から出射されたレーザ光の波面状態を補正する機能を有している。
【0093】
また、λ/4板524は、コリメータレンズ522によって略平行光に変換された直線偏光のレーザ光を円偏光に変換する。また、λ/4板524は光ディスク540から帰還する円偏光のレーザ光を直線偏光に変換する。この場合の直線偏光の偏光方向は、半導体レーザ装置510から出射されるレーザ光の直線偏光の方向に直交する。これにより、光ディスク540から帰還するレーザ光は、PBS521によって略全反射される。対物レンズ525は、λ/4板524を透過したレーザ光を光ディスク540の表面(記録層)上に収束させる。なお、対物レンズ525は、対物レンズアクチュエータ(図示せず)により移動可能にされている。
【0094】
また、PBS521により全反射されるレーザ光の光軸に沿うように、シリンドリカルレンズ526、光軸補正素子527および光検出部530が配置されている。シリンドリカルレンズ526は、入射されるレーザ光に非点収差作用を付与する。光軸補正素子527は、回折格子により構成されており、シリンドリカルレンズ526を透過した青紫色、赤色および赤外の各レーザ光の0次回折光のスポットが後述する光検出部530の検出領域上で一致するように配置されている。
【0095】
また、光検出部530は、受光したレーザ光の強度分布に基づいて再生信号を出力する。このようにして、半導体レーザ装置510を備えた光ピックアップ装置500が構成される。
【0096】
この光ピックアップ装置500では、半導体レーザ装置510は、青紫色半導体レーザ素子20、赤色半導体レーザ素子40および赤外半導体レーザ素子50(図1参照)から、青紫色、赤色および赤外のレーザ光を独立的に出射することが可能に構成されている。また、半導体レーザ装置510から出射されたレーザ光は、上記のように、PBS521、コリメータレンズ522、ビームエキスパンダ523、λ/4板524、対物レンズ525、シリンドリカルレンズ526および光軸補正素子527により調節された後、光検出部530の検出領域上に照射される。
【0097】
ここで、光ディスク540に記録されている情報を再生する場合には、青紫色半導体レーザ素子20、赤色半導体レーザ素子40および赤外半導体レーザ素子50のうち、駆動している半導体レーザ素子から出射される各々のレーザパワーが一定になるように制御しながら、光ディスク540の記録層にレーザ光を照射するとともに、光検出部530から出力される再生信号を得ることができる。また、光ディスク540に情報を記録する場合には、記録すべき情報に基づいて、青紫色半導体レーザ素子20および赤色半導体レーザ素子40(赤外半導体レーザ素子50)のうち、駆動している半導体レーザ素子から出射されるレーザパワーを制御しながら、光ディスク540にレーザ光を照射する。これにより、光ディスク540の記録層に情報を記録することができる。このようにして、半導体レーザ装置510を備えた光ピックアップ装置500を用いて、光ディスク540への記録および再生を行うことができる。
【0098】
第2実施形態では、上記のように、光ピックアップ装置500が3波長半導体レーザ装置100を備えることによって、接合済みの青紫色半導体レーザ素子20および2波長半導体レーザ素子30が、それぞれ、本来の接合位置からずれるのを抑制することが可能であり、かつ、青紫色半導体レーザ素子20および2波長半導体レーザ素子30の発光特性などの劣化を抑制することが可能であるとともに、青紫色半導体レーザ素子20と2波長半導体レーザ素子30との位置合わせを容易に行うことが可能な3波長半導体レーザ装置100を備える光ピックアップ装置500を得ることができる。
【0099】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0100】
たとえば、上記第1実施形態では、基台5の位置合わせ部70の側面5bに沿うように、基台4の位置合わせ部60の側面4bを側面5bに当接させた状態でX方向に移動させるとともに、位置合わせ部70の側面5aに沿うように、位置合わせ部60の側面4aを側面5aに当接させた状態でY方向に移動させることによって、青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20cと、赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cとの位置調整が可能なように構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、基台4ではなく、基台5を移動させることによって、青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20cと、赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cとの位置関係を調整してもよい。
【0101】
また、上記第1実施形態およびその変形例では、第1位置合わせ部および第2位置合わせ部の一方が他方に対して直線方向に移動可能なように、第1位置合わせ部および第2位置合わせ部を直線状に形成した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1位置合わせ部および第2位置合わせ部の一方が他方に対して移動可能に構成されていれば、第1位置合わせ部および第2位置合わせ部の形状は特に限定されない。たとえば、第1位置合わせ部および第2位置合わせ部の一方が他方に対して曲線に沿って移動可能なように、第1位置合わせ部および第2位置合わせ部を曲線状に形成してもよい。
【0102】
また、上記第1実施形態では、X方向における、青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20cと赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cとの間隔D1を約0.12mmにした例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、発光領域20cと発光領域40cとの間隔D1は、約0.12mmよりも小さくてもよい。これにより、発光領域20cと発光領域40cをより近接させることが可能である。具体的には、間隔D1は、約0.09mm以上約0.12mm以下であるのが好ましい。一方、3波長半導体レーザ装置100の仕様によっては、間隔D1は約0.12mmよりも大きくてもよい。
【0103】
また、上記第1実施形態では、少なくともX方向における青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20cと赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cとの位置関係を調整可能に構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、Y方向においてのみ青紫色半導体レーザ素子の発光領域と赤色半導体レーザ素子の発光領域との位置関係を調整可能に構成してもよい。これにより、基台がX方向に移動するのが抑制されるので、青紫色半導体レーザ素子部をY方向に移動させる際に、青紫色半導体レーザ素子部にX方向に沿った位置ずれが発生することを抑制することが可能である。
【0104】
また、上記第1実施形態では、矩形状の基台101のX1側で、かつ、Y1側の領域を切り欠くことにより、切り欠かれた領域を用いて基台4を形成するとともに、基台101の残りの部分を用いて基台5を形成した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、基台4および5を、共通の基台から形成せずに、それぞれ別の基台から形成してもよい。
【0105】
また、上記第1実施形態では、基台4と基台5とがアンドープのSiからなる例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、AlNを用いて基台を構成してもよい。
【0106】
また、上記第1実施形態では、青紫色半導体レーザ素子20が接合された基台4と、2波長半導体レーザ素子30が接合された基台5とを、共通のステム1の上面上に配置した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、各々に半導体レーザ素子が接合された3つ以上の基台を、共通のステムの上面上に配置するように構成してもよい。
【0107】
また、上記第1実施形態では、青紫色半導体レーザ素子20と赤色半導体レーザ素子40とのレーザ光を参照して、青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20cと赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cとを位置調整した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、レーザ光の代わりに青紫色半導体レーザ素子および赤色半導体レーザ素子のリッジ部の形成された位置を参照して、青紫色半導体レーザ素子の発光領域と赤色半導体レーザ素子の発光領域とを位置調整してもよい。これにより、半導体レーザ素子への通電が不要となるので、製造プロセスを簡素化することが可能である。
【0108】
また、上記第1実施形態では、基台4の位置合わせ部60と基台5の位置合わせ部70とを互いに当接させることによって、青紫色半導体レーザ素子20の発光領域20cの位置と、赤色半導体レーザ素子40の発光領域40cの位置とをある程度位置合わせした後に、発光領域20cと発光領域40cとを位置調整した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、発光領域20cの位置と発光領域40cの位置との間で厳密な位置合わせを必要としない場合には、位置合わせ部60と位置合わせ部70とを互いに当接させるだけで、発光領域20cと発光領域40cとを位置調整をしないように構成してもよい。これにより、発光領域20cの位置と発光領域40cの位置とがある程度位置合わせされた状態の3波長半導体レーザ装置100を容易に得ることが可能である。
【0109】
また、上記第2実施形態では、3波長半導体レーザ装置100をキャン型の半導体レーザ装置510に搭載した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、平板状の平面構造を有するフレーム型の半導体レーザ装置に3波長半導体レーザ装置100を搭載してもよい。
【符号の説明】
【0110】
1 ステム
2、202、302、402 青紫色半導体レーザ素子部(第1半導体レーザ素子部)
3、203、303 2波長半導体レーザ素子部(第2半導体レーザ素子部)
4、204、304、404 基台(第1基台)
5、205、305 基台(第2基台)
20 青紫色半導体レーザ素子(第1半導体レーザ素子)
20c 発光領域(第1発光領域)
30 2波長半導体レーザ素子(第2半導体レーザ素子)
40c 発光領域(第2発光領域)
60、260、360 位置合わせ部(第1位置合わせ部)
70、270、370 位置合わせ部(第2位置合わせ部)
100、200、300、400 3波長半導体レーザ装置(半導体レーザ装置)
500 光ピックアップ装置(光装置)
520 光学系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステムと、
第1位置合わせ部を有し、前記ステムの表面上に接合された第1基台と、前記第1基台の表面上に接合された第1半導体レーザ素子とを含む第1半導体レーザ素子部と、
前記第1位置合わせ部に対応するように形成された第2位置合わせ部を有し、前記ステムの表面上に接合された第2基台と、前記第2基台の表面上に接合された第2半導体レーザ素子とを含む第2半導体レーザ素子部とを備える、半導体レーザ装置。
【請求項2】
前記第1位置合わせ部と前記第2位置合わせ部とは、前記第1位置合わせ部および前記第2位置合わせ部のいずれか一方を、前記第1位置合わせ部および前記第2位置合わせ部のいずれか他方に当接させた状態で、前記第1位置合わせ部および前記第2位置合わせ部のいずれか他方に沿って移動させることによって、前記第1半導体レーザ素子と前記第2半導体レーザ素子との位置関係を調整可能なように構成されている、請求項1に記載の半導体レーザ装置。
【請求項3】
前記第1半導体レーザ素子と前記第2半導体レーザ素子とは、前記第1半導体レーザ素子および前記第2半導体レーザ素子の共振器の延びる方向と略直交する方向に並ぶように配置されており、
前記第1位置合わせ部と前記第2位置合わせ部とは、少なくとも前記共振器の延びる方向と略直交する方向において、前記第1半導体レーザ素子の発光領域と前記第2半導体レーザ素子の発光領域との位置関係を調整可能なように構成されている、請求項2に記載の半導体レーザ装置。
【請求項4】
前記第1位置合わせ部と前記第2位置合わせ部とは、第1の方向と、前記第1の方向と直交する第2の方向とにおいて、前記第1半導体レーザ素子と前記第2半導体レーザ素子との位置関係を調整可能なように構成されている、請求項2または3に記載の半導体レーザ装置。
【請求項5】
平面的に見て、前記第1基台の面積は、前記第1半導体レーザ素子の面積よりも大きく、
平面的に見て、前記第2基台の面積は、前記第2半導体レーザ素子の面積よりも大きい、請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項6】
ステムと、第1位置合わせ部を有し、前記ステムの表面上に接合された第1基台と、前記第1基台の表面上に接合された第1半導体レーザ素子とを有する第1半導体レーザ素子部と、前記第1位置合わせ部に対応するように形成された第2位置合わせ部を有し、前記ステムの表面上に接合された第2基台と、前記第2基台の表面上に接合された第2半導体レーザ素子とを有する第2半導体レーザ素子部とを含む半導体レーザ装置と、
前記半導体レーザ装置の出射光を制御する光学系とを備える、光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−186308(P2012−186308A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48215(P2011−48215)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(504464070)三洋オプテックデザイン株式会社 (315)
【Fターム(参考)】