半導体レーザ装置及び製造方法
レーザ光の発光点間隔が小さい半導体レーザ装置及びその製造方法を提供する。
半導体基板12aとレーザ発振部10aとを有する第1の発光素子1aと、レーザ発振部4aを有する第2の発光素子2aが、レーザ発振部10aのリッジ導波路8aとレーザ発振部4aのリッジ導波路5aを向かい合わせて、厚さの小さいSOG3aによって固着されている。リッジ導波路8a上のオーミック電極層9aに電気的に接続する導電性配線層Qa1と、リッジ導波路5a上のオーミック電極層6aに電気的に接続する導電性配線層Qa2が半導体基板12a上の絶縁層11aまで延在し、半導体基板12aの底面とレーザ発振部4aの表面にオーミック電極Pa1,Pa2がそれぞれ形成されている。オーミック電極Pa1と配線層Qa1間に駆動電流を供給するとレーザ発振部10a、オーミック電極Pa2と配線層Qa2間に駆動電流を供給するとレーザ発振部4aが夫々レーザ光を出射する。厚さの小さいSOG3aによってレーザ発振部4a,10aが固着されるため発光点間隔の小さな半導体レーザ装置となっている。
半導体基板12aとレーザ発振部10aとを有する第1の発光素子1aと、レーザ発振部4aを有する第2の発光素子2aが、レーザ発振部10aのリッジ導波路8aとレーザ発振部4aのリッジ導波路5aを向かい合わせて、厚さの小さいSOG3aによって固着されている。リッジ導波路8a上のオーミック電極層9aに電気的に接続する導電性配線層Qa1と、リッジ導波路5a上のオーミック電極層6aに電気的に接続する導電性配線層Qa2が半導体基板12a上の絶縁層11aまで延在し、半導体基板12aの底面とレーザ発振部4aの表面にオーミック電極Pa1,Pa2がそれぞれ形成されている。オーミック電極Pa1と配線層Qa1間に駆動電流を供給するとレーザ発振部10a、オーミック電極Pa2と配線層Qa2間に駆動電流を供給するとレーザ発振部4aが夫々レーザ光を出射する。厚さの小さいSOG3aによってレーザ発振部4a,10aが固着されるため発光点間隔の小さな半導体レーザ装置となっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長の異なる複数のレーザ光を出射する半導体レーザ装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル放送やブロードバンドの普及により、大量のデジタルコンテンツが家庭等に溢れる時代を目前に控え、さらなる情報記録の高密度化が求められている。光ディスクストレージシステムにおいては、波長780nmの光を用いた容量700MBのCD(Compact Disc)から波長650nmの光を用いた容量4.7GBのDVD(Digital Versatile Disc)へと高密度化が進められてきた。さらに最近になり、容量20GBを超える光ディスクシステムが波長405nmの光を用いて実現されている。
【0003】
このような高密度記録システムにおいても、これまでに広く普及したDVDに対してコンパチビリティを持たせる必要があるため、ピックアップには波長650nmのレーザも併せて搭載する必要がある。
【0004】
複数の波長に対応したピックアップでは、その小型化、軽量化のために2波長集積レーザが望まれているが、波長405nm帯のレーザを実現するGaN系半導体と波長650nm帯のレーザを実現するAlGaInP系半導体では物性が大きく異なるため、同一基板上へのモノリシック集積を行うことができない。そのため、ハイブリッド構造による2波長集積レーザが提案されている(特許文献1:特開2001−230502号公報、特許文献2:特開2000−252593号公報)。
【0005】
特許文献1の2波長集積レーザは、第1の基板を有する短波長(例えば、波長405nm帯)のレーザ光を出射する第1の発光素子と、第2の基板を有する長波長(例えば、波長650nm帯)のレーザ光を出射する第2の発光素子を支持基板(いわゆるサブマウント)上に重ねて取り付けることで、ハイブリッド構造の半導体レーザ装置が実現されている。
【0006】
ここで、第1の発光素子は、第1の基板の支持基板側に発光部が位置するように支持基板上に取り付けられており、更に第2の発光素子は、第2の基板の第1の発光素子側に発光部が位置するように第1の発光素子上に取り付けられている。
【0007】
特許文献2に開示されているハイブリッド構造の半導体レーザ装置は、第1のレーザ部のp電極とn電極に、第2のレーザ部のn電極とp電極を夫々融着金属を介して電気的に貼り合わせた後、第1のレーザ部側の基板を除去した構造とすることによって、第1のレーザ部と第2のレーザ部とで波長の異なるレーザ光を出射するようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1の半導体レーザ装置は、上述したように、支持基板上に第1の発光素子と第2の発光素子を重ねて取り付ける構造となっているが、この構造の場合に第1の発光素子と第2の発光素子の重ね合わせ面への電流注入を可能とするためには、それぞれを個別の半導体チップとして製造した後、チップ化された第1の発光素子と第2の発光素子を支持基板上に重ねて取り付けることが必須となる。
2波長集積レーザを光ディスクのピックアップ用光源として用いる場合には、その2つの発光点間隔を高精度(±1μm以下)で制御する必要があるが、チップの状態での位置合わせでは、発光点間隔や放射方向を高精度に制御することは困難である。また全てのチップ毎に位置合わせを行う必要があるため生産性も悪くなる。
【0009】
また、特許文献1の半導体レーザ装置は、支持基板上に第1の発光素子の発光部が近接して取り付けられ、第1の発光素子に備えられている第1の基板上に、第2の発光素子の発光部が近接して取り付けられている。
【0010】
しかし、この構造によると、第1の発光素子と第2の発光素子との間に、厚さの大きな第1の基板が介在することとなり、上述の特許文献1にも記載されているように、その第1の基板(GaN基板)は通常100μm程度の厚さを有しているため、第1の発光素子の発光部(発光点の位置)と第2の発光素子の発光部(発光点の位置)とが大きく離れてしまうという問題がある。
【0011】
このため、例えば、ピックアップにこの半導体レーザ装置を搭載して、情報記録又は情報再生を行う場合、ピックアップを構成している光学系の光軸に対して第1の発光部の出射位置(発光点の位置)を光軸合わせすると、第2の発光部の出射位置が光学系の光軸から大きくずれることとなり、収差等の発生原因となってしまう。
【0012】
このような光軸ずれによる悪影響は、光ピックアップにプリズム等の光学素子を追加することにより解消することができるが、部品点数、コストの増加等の問題が生じる。
【0013】
特許文献2の半導体レーザ装置では、融着金属によって、第1のレーザ部のp電極及びn電極と第2のレーザ部のn電極及びp電極とが夫々電気的に貼り合わせられているので、その融着金属による寄生容量が大きく、各レーザ部を駆動する際の応答特性が低下する問題がある。例えば、CDやDVD等に情報記録を行う際、第1のレーザ部又は第2のレーザ部をパルス電流によって駆動すると、上述の寄生容量の影響で応答特性が低下し、高速制御が困難となる等の問題を生じる。
【0014】
また、特許文献2の半導体レーザ装置では、第1のレーザ部のp,n電極と第2のレーザ部のn,p電極とが融着金属を介してそれぞれ電気的に接続されているため、第1のレーザ部を発光させるべく、融着金属を通じて第1のレーザ部に対し順方向に駆動電力を供給すると、第2のレーザ部は逆バイアスの状態、第2のレーザ部を発光させるべく、融着金属を通じて第2のレーザ部に対し順方向に駆動電力を供給すると、第1のレーザ部は逆バイアスの状態となる。
【0015】
このため、第1のレーザ部又は第2のレーザ部の一方を発光させると、他方のレーザ部に逆バイアスがかかり、逆方向耐圧や逆方向リーク電流の問題が生じる。
【0016】
本発明はこのような従来の課題に鑑みてなされたものであり、波長の異なる複数のレーザ光を出射すると共に、電気的特性に優れた半導体レーザ装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0017】
また、波長の異なる複数のレーザ光を出射すると共に、その発光点間隔が小さく、電気的特性に優れ且つ機械的精度の高い半導体レーザ装置を量産性良く製造するための製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1に記載の発明は、波長の異なる複数のレーザ光を出射する半導体レーザ装置であって、半導体基板上に積層された第1のレーザ発振部と、前記第1のレーザ発振部と異なる波長で発振する第2のレーザ発振部とを備え、前記半導体基板とは反対側の前記第1のレーザ発振部の面と、前記第2のレーザ発振部の発光部から近い側の面が絶縁性の接着層により固着されており、前記第1、第2のレーザ発振部の導波路上の表面に形成された第1、第2のオーミック電極層と、前記第1、第2のレーザ発振部の間に形成されると共に、前記第1、第2のオーミック電極層に電気的且つ個別に接続する第1、第2の配線層と、を有することを特徴とする。
【0019】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の半導体レーザ装置において、前記第2のレーザ発振部側から見て前記第1のレーザ発振部または半導体基板が部分的に突出しており、前記突出した部分の面上に前記第1、第2の配線層が延在していることを特徴とする。
【0020】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の半導体レーザ装置において、前記接着層は、SOG(spin on glass)であることを特徴とする。
【0021】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の半導体レーザ装置において、前記第1のレーザ発振部の前記オーミック電極層以外の領域と前記第1の配線層の間に、前記接着層とは異なる材質から成る絶縁層が形成されていることを特徴とする。
【0022】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載の半導体レーザ装置において、前記半導体基板は、III-V族化合物半導体から成り、前記第1の発振部は、V族元素として砒素(As)、リン(P)、アンチモン(Sb)の何れかを含むIII-V族化合物半導体、又はII-VI族化合物半導体を有し、前記第2のレーザ発振部は、V族元素が窒素(N)からなる窒化物系III-V族化合物半導体を有することを特徴とする。
【0023】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載の半導体レーザ装置において、前記第1の発振部は、V族元素が窒素(N)からなる窒化物系III-V族化合物半導体を有し、前記第2のレーザ発振部は、V族元素として砒素(As)、リン(P)、アンチモン(Sb)の何れかを含むIII-V族化合物半導体、又はII-VI族化合物半導体を有することを特徴とする。
【0024】
請求項7に記載の発明は、波長の異なる複数のレーザ光を出射する半導体レーザ装置の製造方法であって、半導体基板上に少なくとも活性層と導波路とを含む第1の薄膜層を形成することにより、第1の中間生成体を作製する工程と、支持基板上に少なくとも活性層と導波路とを含む第2の薄膜層を形成することにより、第2の中間生成体を作製する工程と、前記第1、第2の中間生成体の前記導波路側を対向させて、前記第1、第2の中間生成体間を絶縁性の接着層により固着する工程と、前記支持基板を除去して、前記第2の薄膜層を露出させる工程と、を備えることを特徴とする。
【0025】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の半導体レーザ装置の製造方法において、前記第1の中間生成体を作製する工程は、前記第1の薄膜層の導波路側の面に、該導波路に沿った第1のオーミック電極層と、前記第1のオーミック電極層と電気的に接続する第1の配線層と、該導波路を含む所定領域を覆う第1の絶縁性の接着層と、第2の配線層を重ねて形成する工程を有し、前記第2の中間生成体を作製する工程は、前記第2の薄膜層の導波路面側の面に、該導波路に沿った第2のオーミック電極層と、前記第2のオーミック電極層以外の領域に第2の絶縁性の接着層を形成する工程を有し、前記第1、第2の中間生成体間を絶縁性の接着層により固着する工程は、前記第2の配線層と前記第2のオーミック電極層とを電気的に接続させて前記第1、第2の絶縁性の接着層を密着させることによって、前記絶縁性の接着層による前記第1、第2の中間生成体間の固着を行う工程を有することを特徴とする。
【0026】
請求項9に記載の発明は、請求項7又は8に記載の半導体レーザ装置の製造方法において、前記接着層は、SOG(spin on glass)であることを特徴とする。
【0027】
請求項10に記載の発明は、請求項7〜9のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置の製造方法において、前記半導体基板は、III-V族化合物半導体から成り、前記第1の薄膜層は、V族元素として砒素(As)、リン(P)、アンチモン(Sb)の何れかを含むIII-V族化合物半導体、又はII-VI族化合物半導体を有し、前記第2の薄膜層は、V族元素が窒素(N)からなる窒化物系III-V族化合物半導体を有することを特徴とする。
【0028】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の半導体レーザ装置の製造方法において、前記支持基板はサファイア基板又はAlN基板であり、前記第2の薄膜層を露出させる工程は、前記支持基板の裏面から前記支持基板と第2の薄膜層との接合部近傍に光を照射し、前記接合部近傍を加熱分解する工程を有することを特徴とする。
【0029】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の半導体レーザ装置の製造方法において、前記光は、360nm以下の波長を有するレーザ光であることを特徴とする。
【0030】
請求項13に記載の発明は、波長の異なる複数のレーザ光を出射する半導体レーザ装置の製造方法であって、第1の半導体基板上に少なくとも活性層と導波路とを含む第1の薄膜層を形成することにより、第1の中間生成体を作製する工程と、第2の半導体基板上に少なくとも活性層と導波路とを含む第2の薄膜層を形成することにより、第2の中間生成体を作製する工程と、前記第1、第2の中間生成体の前記導波路側を対向させて、前記第1、第2の中間生成体間を絶縁性の接着層により固着する工程と、前記第2の半導体基板を除去して、前記第2の薄膜層を露出させる工程と、を備えることを特徴とする。
【0031】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の半導体レーザ装置の製造方法において、前記第1の中間生成体を作製する工程は、前記第1の薄膜層の導波路側の面に、該導波路に沿った第1のオーミック電極層と、前記第1のオーミック電極層と電気的に接続する第1の配線層と、第1の接着層とを重ねて形成する工程を有し、前記第2の中間生成体を作製する工程は、前記第2の薄膜層の導波路側の面に、該導波路に沿った第2のオーミック電極と、前記第2のオーミック電極層と電気的に接続する第2の配線層と、第2の接着層とを重ねて形成する工程を有し、前記第1、第2の中間生成体間を接着層により固着する工程は、前記第1、第2の接着層を密着させることによって前記第1、第2の中間生成体間を固着する工程を有することを特徴とする。
【0032】
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の半導体レーザ装置の製造方法において、前記第1の中間生成体を作製する工程は、前記第1の薄膜層の導波路側の面に、前記第1のオーミック電極層を除いて被覆する前記接着層と異なる材質の絶縁層を形成し、該絶縁層上に前記第1のオーミック電極層と電気的に接続する前記第1の配線層を形成する工程を有することを特徴とする。
【0033】
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の半導体レーザ装置の製造方法において、更に、前記第2の半導体基板を除去して前記第2の薄膜層を露出させる工程に続いて、前記第2の薄膜層及び前記接着層を部分的にエッチングし、前記第1、第2の配線層及び前記絶縁層を部分的に露出させる工程を有することを特徴とする。
【0034】
請求項17に記載の発明は、請求項13〜16のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置の製造方法において、前記接着層は、SOG(spin on glass)であることを特徴とする。
【0035】
請求項18に記載の発明は、請求項13〜17のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置の製造方法において、前記第1の半導体基板は、V族元素が窒素(N)からなる窒化物系III-V族化合物半導体から成り、前記第1の薄膜層は、V族元素が窒素(N)からなる窒化物系III-V族化合物半導体を有し、前記第2の半導体基板は、III-V族化合物半導体から成り、前記第2の薄膜層は、V族元素として砒素(As)、リン(P)、アンチモン(Sb)の何れかを含むIII-V族化合物半導体、又はII-VI族化合物半導体を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】第1の実施形態の半導体レーザ装置の外部構造と縦断面構造を表した図である。
【図2】図1に示した半導体レーザ装置の製造工程を模式的に表した斜視図である。
【図3】更に、図1に示した半導体レーザ装置の製造工程を模式的に表した斜視図である。
【図4】更に、図1に示した半導体レーザ装置の製造工程を模式的に表した斜視図である。
【図5】更に、図1に示した半導体レーザ装置の製造工程を模式的に表した斜視図である。
【図6】第1の実施形態の半導体レーザ装置の変形例の構造及び製造工程を表した斜視図である。
【図7】第2の実施形態の半導体レーザ装置の外部構造を表した図である。
【図8】図7に示した半導体レーザ装置の製造工程を模式的に表した斜視図である。
【図9】更に、図7に示した半導体レーザ装置の製造工程を模式的に表した斜視図である。
【図10】更に、図7に示した半導体レーザ装置の製造工程を模式的に表した斜視図である。
【図11】更に、図7に示した半導体レーザ装置の製造工程を模式的に表した斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、発明を実施するための最良の形態として、第1,第2の実施形態について図面を参照して説明する。
【0038】
〔第1の実施形態〕
第1の実施形態の半導体レーザ装置を、図1ないし図5を参照して説明する。
なお、図1(a)は、本半導体レーザ装置LDAの外部構造を表した斜視図、図1(b)は、図1(a)に示した半導体レーザ装置LDAの縦断面構造を表した図、図2ないし図5は、本半導体レーザ装置LDAの製造工程を模式的に表した斜視図である。
【0039】
図1(a)(b)において、この半導体レーザ装置LDAは、III−V族化合物半導体(例えばGaAs)から成る半導体基板12aを有する第1の発光素子1aと、絶縁性を有するSiO2系のSOG(spin on glass)3aと、第2の発光素子2aとを備え、第1の発光素子1aと第2の発光素子2aがSOG3aによって一体に固着されることにより、半導体レーザ装置LDAが実現されている。
【0040】
ここで、第2の発光素子2aの形成領域に比して半導体基板12aの占有面積の方が大きく、これら形成領域と占有領域との大きさの違いによって、半導体基板12aの突出部分STGaが形成されている。
【0041】
第1の発光素子1aは、導波路(本実施形態ではリッジ導波路)8aが形成されたレーザ発振部10aと、リッジ導波路8aに形成されたオーミック電極層9aと、オーミック電極層9a以外のレーザ発振部10aの表面全体及び突出部分STGaを絶縁被覆する絶縁層11aと、オーミック電極層9aと電気的に接続され、且つ突出部分STGa側に延在するストライプ状の導電性の配線層Qa1と、配線層Qa1と電気的に接続し突出部分STGa上に形成された電極パッドPa31と、半導体基板12aの裏面側に形成されているオーミック電極層Pa1と、を備えて形成されている。
【0042】
更に、レーザ発振部10aは、V族元素として砒素(As)、リン(P)、アンチモン(Sb)の何れかを含むIII−V族化合物半導体(例えば、AlGaInP系半導体)より成る歪量子井戸構造の活性層及びその活性層を挟むようにして積層された2つのクラッド層とを備えた二重ヘテロ構造(DH)と、SOG3a側に設けられた上述のリッジ導波路8aとを備えて形成されている。
【0043】
そして、オーミック電極層Pa1と電極パッドPa31間に駆動電流を供給すると、その駆動電流が配線層Qa1とオーミック電極層9aを通じてリッジ導波路8aに流入し、リッジ導波路8aのストライプ形状に沿ってレーザ発振部10a中の活性層に、電流が流入することで光が発生する。
【0044】
更にリッジ導波路8aの長手方向の両端に形成されている劈開面(鏡面)によってレーザ共振器が構成されており、リッジ導波路8aに沿って発生する光が両端の劈開面(鏡面)で反射されて活性層中を繰り返し往復しながら、次々とキャリア再結合を誘起して誘導放出を行わせることにより、所定波長(例えば、650nm帯)のレーザ光が、劈開面から出射される。
【0045】
第2の発光素子2aは、導波路(本実施形態ではリッジ導波路)5aが形成されたレーザ発振部4aと、リッジ導波路5aに形成されたオーミック電極層6aと、オーミック電極層6a以外のレーザ発振部4aとSOG3aとの間に介在する絶縁層7aと、オーミック電極層6aと電気的に接続され、且つ突出部分STGa側に延在するストライプ状の導電性の配線層Qa2と、配線層Qa2と電気的に接続し突出部分STGa上に形成された電極パッドPa32と、レーザ発振部4aの表面に形成されているオーミック電極層Pa2と、を備えて形成されている。
【0046】
ここで、図示するように、SOG3aはレーザ発振部10aのリッジ導波路8a側の面とほぼ同じ大きさ又は若干小さい大きさで絶縁層11a上に形成され、レーザ発振部4aはSOG3aとほぼ同じ大きさで形成されている。
【0047】
更に、レーザ発振部4aは、V族元素が窒素(N)からなる窒化物系III−V族化合物半導体(GaN系半導体)より成る多重量子井戸構造の活性層及びその活性層を挟むようにして積層された2つのクラッド層とを備えた二重ヘテロ構造(DH)と、SOG3a側に設けられた上述のリッジ導波路5aを備えて形成されている。
【0048】
そして、オーミック電極Pa2と電極パッドPa32間に駆動電流を供給すると、その駆動電流が配線層Qa2とオーミック電極層6aを通じてリッジ導波路5aに流入し、リッジ導波路5aのストライプ形状に沿ってレーザ発振部4a中の上述の活性層に、電流が流入することで光が発生する。
【0049】
更にリッジ導波路5aの長手方向の両端に形成されている劈開面(鏡面)によってレーザ共振器が構成されており、リッジ導波路5aのストライプ形状に沿って発生する光が両端の劈開面(鏡面)で反射されて活性層中を繰り返し往復しながら、次々とキャリア再結合を誘起して誘導放出を行わせることにより、所定波長(例えば,405nm帯)のレーザ光が劈開面から出射される。
【0050】
このような構造により、本半導体レーザ装置LDAは、第1の発光素子1aと第2の発光素子2aをそれぞれ個別に発光させることができ、また同時に発光させることも可能となっている。
【0051】
次に、かかる構造を有する半導体レーザ装置LDAの製造工程を図2ないし図5を参照して説明する。
【0052】
まず、図2(a)〜(e)に示す工程によって第1の発光素子1aを形成するための中間生成体100、図3(a)〜(c)に示す工程によって第2の発光素子2aを形成するための中間生成体200を予め作製する。
【0053】
〈中間生成体100の第1の製造工程〉
中間生成体100については、まず、図2(a)に示すように、MOCVD法等により、GaAs(001)基板12a上に、組成と膜厚等の異なるAlGaInP系半導体を含む複数の半導体薄膜を積層することで、歪量子井戸構造の活性層とクラッド層とを有したAlGaInP系薄膜層10Xを形成する。
【0054】
より具体的に述べると、図1(b)に示されている各層10aa〜10ae等を積層してレーザ発振部10aを形成するのであるが、最初にGaAs基板12a上に、珪素(Si)をドーピングしてn型化したn型GaAsから成るバッファ層10aaを、厚さ約0.5μmで積層し、次に、n型Al0.35Ga0.15In0.5Pから成るn型クラッド層10abを、厚さ約1.2μmで積層する。
【0055】
次に、AlGaInPから成るガイド層10g1を、厚さ0.05μmで積層する。
【0056】
次に、GaInPとAlGaInPとから成る歪量子井戸構造を有した活性層10acを、約数十nmの厚さで積層し、次に、AlGaInPから成るガイド層10g2を、厚さ0.05μmで積層し、次に、亜鉛(Zn)をドーピングしてp型化したAl0.35Ga0.15In0.5Pから成るp型クラッド層10adを、厚さ約1.2μmで積層し、次に、p型Ga0.51In0.49Pから成る通電層10aeを、厚さ約0.05μmで積層し、次に、p型GaAsから成るp側コンタクト層(図示略)を、厚さ約0.2μmで積層する。
【0057】
〈中間生成体100の第2の製造工程〉
次に、図2(b)に示すように、AlGaInP系薄膜層10Xに、〈110〉方向に沿った複数のリッジ導波路8aを形成し、更にオーミック電極層9aを形成する。
【0058】
すなわち、上述のp側コンタクト層(図示略)上に、〈110〉方向に沿った複数個分のリッジ導波路8a(図1参照)の形状に合わせたマスクを形成し、該マスクから露出している部分をウエットエッチングする。
【0059】
そして、p型クラッド層10adが約0.2μm程度の厚さとなるまでエッチングを行うことによって、ストライプ形状のリッジ導波路8aを複数個形成し、次に上述のマスクを除去した後、リッジ導波路8a上に、蒸着によってクロム(Cr)又は金(Au)若しくはこれらの合金から成るオーミック電極層9aを厚さ約200nmで形成する。
【0060】
〈中間生成体100の第3の製造工程〉
次に、図2(c)に示すように、AlGaInP系薄膜層10Xのうち、リッジ導波路8aを含む所定範囲の領域を残して、GaAs(001)基板12aの上部が若干除去されるまで、ウエットエッチングによって、〈110〉方向に沿った深さ約5μmの溝Rを複数個形成する。
【0061】
より具体的には、リッジ導波路8aを含む所定範囲の領域にマスクを形成し、当該マスクより露出している部分を、硫酸:過酸化水素水:水の比を4:1:1としたエッチング液でウエットエッチングする。
【0062】
〈中間生成体100の第4の製造工程〉
次に、上述のマスクを除去した後、図2(d)に示すように、オーミック電極層9a以外のAlGaInP系薄膜層10Xと溝RのGaAs基板12aの上面に、ZrO2から成る絶縁層11aを被覆形成した後、蒸着によって、Auから成る幅の狭い配線層Qa1を、オーミック電極層9aと絶縁層11a上に、リッジ導波路8aの長手方向に対して略直交させて形成することにより、配線層Qa1とオーミック電極層9aとを電気的に接続すると共に、溝R側に延設する。
【0063】
〈中間生成体100の第5の製造工程〉
次に、図2(e)に示すように、オーミック電極層9aの上面と、溝Rを除いた絶縁層11aの上面とにSOG3aを被覆形成する。これにより、図1(b)に示した個々のレーザ発振部10aとほぼ同じ大きさ又は若干小さい大きさのSOG3aを絶縁層11a上に形成する。
【0064】
次に、SOG3aと絶縁層11a上に、蒸着によって、Auから成る幅の狭い配線層Qa2を配線層Qa1と略平行となるように形成することによって、SOG3aの表面と側面及び絶縁層11a上を通って溝R側に延びる配線層Qa2を形成する。
【0065】
以上、第1〜第4の製造工程によって、第1の発光素子1aを複数個形成することが可能な最終的な中間生成体100を作製する。
【0066】
〈中間生成体200の第1の製造工程〉
中間生成体200については、まず、図3(a)に示す工程において、支持基板としてサファイア(0001)基板13aを用い、MOCVD法等により、サファイア(0001)基板13a上に、組成と膜厚等の異なったGaN系半導体より成る複数の半導体薄膜を積層することで、上述の多重量子井戸構造の活性層とクラッド層とを有したGaN系薄膜層4Xを形成する。
【0067】
より具体的には、図1(b)に示されている各層4ab〜4ah等を積層形成してレーザ発振部4aを形成するのであるが、最初にサファイア(0001)基板13a上に、GaN又はAlNから成るバッファ層(図示略)を厚さ約数十nm程度で積層し、次に、珪素(Si)をドーピングしてn型化したn型GaNから成る下地層4abを、厚さ約5〜15μmで積層し、次に、n型Al0.08Ga0.92Nから成るn型クラッド層4acを、厚さ約0.8μmで積層し、次に、n型GaNから成るn型ガイド層4adを、厚さ約0.2μmで積層する。
【0068】
次に、組成の異なるInxGa1-xN(但し、0≦x)、例えばIn0.08Ga0.92NとIn0.01Ga0.99Nから成る井戸層とバリア層との多重量子井戸構造を有する活性層4aeを、約数十nmの厚さで積層する。
【0069】
次に、Al0.2Ga0.8Nから成る電子障壁層4afを、厚さ約0.02μmで積層し、次に、マグネシウム(Mg)をドーピングしてp型化したp型GaNから成るp型ガイド層4agを、厚さ約0.2μmで積層する。
【0070】
次に、p型Al0.08Ga0.92Nから成るp型クラッド層4ahを、厚さ約0.4μmで積層し、次にp型GaNから成るp側コンタクト層(図示略)を厚さ約0.1μmで形成する。
【0071】
〈中間生成体200の第2の製造工程〉
次に、図3(b)に示すように、GaN系薄膜層4Xに、〈1−100〉方向に沿った複数のリッジ導波路5aを形成し、更にリッジ導波路5a上にオーミック電極層6aを形成する。
【0072】
すなわち、上述のp側コンタクト層(図示略)上に、〈1−100〉方向に沿った複数個分のリッジ導波路5a(図1参照)の形状に合わせたマスクを形成し、該マスクから露出している部分を反応性イオンエッチング(RIE)によってエッチングする。そして、p型ガイド層4agが約0.05μm程度の厚さとなる深さまでエッチングすることによって、ストライプ形状のリッジ導波路5aを複数個形成する。
【0073】
次に、上述のマスクを除去した後、リッジ導波路5aの頂部に蒸着によってPd又はAu若しくはこれらの合金から成るオーミック電極層6aを厚さ約200nmで形成し、更にオーミック電極6a以外の領域に絶縁層7aを積層する。
【0074】
〈中間生成体200の第3の製造工程〉
次に、図3(c)に示すように、絶縁層7aの上面にSOG3aを形成することによって、オーミック電極6aが露出し、且つ第2の発光素子2aを複数個形成することが可能な中間生成体200を最終的に作製する。
【0075】
〈半導体レーザ装置LDAの第1の製造工程〉
次に、図4及び図5に示す工程により、予め作製した中間生成体100,200から本半導体レーザ装置LDAを製造する。
【0076】
まず、図4(a)に示すように、図2(e)と図3(c)に示した、最終的に作製された中間生成体100のリッジ導波路8aと中間生成体200のリッジ導波路5aとを向かい合わせ、更にAlGaInP系薄膜層10Xの劈開面(110)とGaN系薄膜層4Xの劈開面(1-100)とを一致させるようにして、中間生成体100のSOG3aと中間生成体200のSOG3aとを密着させる。
【0077】
更に、上述のSOG3aを密着させた状態で、約550°Cで加熱することにより、中間生成体100のSOG3aと中間生成体200のSOG3aとを固着させて一体化させ、更に、配線層Qa2とレーザ発振部4a側のオーミック電極層6aとを電気的に接続させると共に、オーミック電極層6a側の配線層Qa2の部分をSOG3a中に埋設する。
【0078】
〈半導体レーザ装置LDAの第2の製造工程〉
次に、図4(b)に示すように、360nm以下の波長を有するレーザ光、より好ましくはYAGレーザの4倍波(波長266nm)を所定の集光レンズで絞り、高エネルギーの光にして、説明の便宜上多数の矢印で示されているように、サファイア基板13aの裏面側より照射する。
【0079】
サファイア基板13aの裏面側より、高エネルギーの光を照射すると、波長226nmの光は、サファイア基板13a中で殆ど吸収されずに透過し、GaNには僅かな浸透深さで吸収される。更に、サファイア基板13aとGaNの間に大きな格子不整合があることから、これら接合部近傍のGaNには極めて多くの結晶欠陥が存在する。このため、吸収された光は殆ど熱に変換され、接合部近傍が高温に加熱され、GaNが金属ガリウムと窒素ガスに分解する。
【0080】
そして、溝Rが存在しているため、溝Rに面しているGaN系薄膜層4Xの一部が崩落等し、溝Rを境にして分割された複数個のレーザ発振部4aが形成される。
【0081】
ここで、分割されたレーザ発振部4a(すなわち、残っているGaN系薄膜層4X)とサファイア基板13aは、金属ガリウムによる弱い結合状態にある。そこで、ガリウムの融点温度より高い約40°Cの温度で全体的に加熱して、サファイア基板13aをレーザ発振部4aから剥離する。
【0082】
〈半導体レーザ装置LDAの第3の製造工程〉
このようにサファイア基板13aを剥離すると、図4(c)に示すように、溝Rを境にして分離された個々のレーザ発振部4aが、SOG3aを介してAlGaInP系薄膜層10X上へ貼り付けられ、溝Rに形成されているAlGaInP系薄膜層10X側の絶縁層11aと、配線層Qa1,Qa2が露出する。
【0083】
そして、純水中で超音波洗浄することによって、上述の崩落等した部分を除去した後、約3分間、希塩酸中に浸すことで、レーザ発振部4aの露出面(表面)に残留している金属ガリウムを除去する。
【0084】
〈半導体レーザ装置LDAの第4の製造工程〉
次に、図5(a)に示すように、各レーザ発振部4aの露出面(n型GaNの面)に、チタン(Ti)又はAu若しくはこれらの合金から成るオーミック電極Pa2、n型GaAs基板12aの底面に、AuGeの合金(金とゲルマニウムの合金)から成るオーミック電極Pa1を蒸着等によって夫々形成すると共に、溝R側に延在している配線層Qa1,Qa2に、電気的且つ独立に接続する金属の電極パッドPa31,Pa32を蒸着等によって夫々形成する。
【0085】
〈半導体レーザ装置LDAの第5の製造工程〉
次に、図5(b)に示すように、GaN系薄膜層4Xの劈開面である(1-100)面に沿って劈開することによってレーザ共振器を構成する。
【0086】
更に、溝Rの部分で、レーザ共振器面と垂直な方向に二次劈開することによって、図1(a)に示した第1,第2の発光素子1a,2aを有し、溝Rの部分が突出部分STGaとなって露出する、半導体レーザ装置LDAを完成する。
【0087】
このように本半導体レーザ装置LDAによれば、レーザ発振部4a,10aを薄い(厚さの小さい)SOG3aによって固着する構造とすることができるため、レーザ発振部4a,10aにおける発光点間隔を小さくすることができる。別言すれば、レーザ発振部4a,10aを薄いSOG3aで固着する構造と成っているため、レーザ発振部4aの活性層とレーザ発振部10aの活性層との間隔を狭くすることができ、レーザ発振部4aの活性層に位置する発光点とレーザ発振部10aの活性層に位置する発光点との発光点間隔を小さくすることが可能となっている。
【0088】
また、図1(a)(b)に示すように、上述の溝Rによってn型GaAs基板12aの一部分がレーザ発振部4a,10aよりも外側に突出し、その突出した部分の上面に絶縁層11aを介して、配線層Qa1,Qa2が露出して形成されているため、駆動電流を供給するための配線を容易にとることが可能となっている。
【0089】
また、レーザ発振部4aと10aは、p型半導体側のオーミック電極層6a,9aがリッジ導波路5a,8a上にのみ形成されていることから寄生容量が小さく、これらレーザ発振部4a,10aの応答特性、すなわち駆動電流の高周波応答特性を向上させることができる。
【0090】
また、上述したように、配線層Qa1はSOG3aと絶縁層11aの間を通ってオーミック電極層6aに電気的に接続され、配線層Qa2はSOG3a中を通ってオーミック電極層9aに電気的に接続されているため、オーミック電極Pa1と電極パッドPa31間に駆動電流を供給すると第1の発光素子1a、オーミック電極Pa2と電極パッドPa32間に駆動電流を供給すると第2の発光素子2aを夫々個別に発光させることができ、また、第1,第2の発光素子1a,2aを同時に発光させることが可能となっている。
【0091】
そして、第1,第2の発光素子1a,2aの一方を発光させた場合でも、他方が逆バイアスの状態となる等の問題が生じることがない。
【0092】
また、本半導体レーザ装置LDAを、CDやDVDその他のストレージ媒体に対して情報記録又は情報再生を行う光ピックアップに搭載すると、発光点間隔が小さいことから、第1,第2の発光素子1a,2aの各発光点を共に光ピックアップの光学系の光軸近傍に位置合わせることができ、収差等の発生を大幅に改善すること等ができる。
【0093】
また、本実施形態の製造方法によれば、第1,第2の発光素子1a,2aを複数個形成することが可能な中間生成体100,200をSOG3aによって固着した後、劈開及びスクライビング等によって個々の半導体レーザ装置LDAに分割するので、発光素子1a,2aの発光点間隔の最適化制御を、中間生成体100,200を固着する際に一括して行うことができると共に、高精度で位置合わせすることができる。このため、製造工程の簡素化等を実現することができる。
【0094】
このように、本実施形態によれば、波長の異なる複数のレーザ光を出射すると共に、電気的特性に優れ且つ機械的精度の高い半導体レーザ装置LDAを提供することができ、また、かかる半導体レーザ装置LDAを量産性良く製造するための製造方法を提供することができる。
【0095】
なお、第1の発光素子1aの本体部分であるレーザ発振部10aを、V族元素として砒素(As)、リン(P)、アンチモン(Sb)の何れかを含むIII−V族化合物半導体で形成する場合を説明したが、かかるIII−V族化合物半導体に代えて、レーザ発振部10aをII-VI族化合物半導体で形成してもよい。
【0096】
また、絶縁層7a,11aとして、SiO2、ZrO2、AlN等の絶縁材料によって適宜形成するようにしてもよい。
【0097】
また、GaN系半導体を形成する基板として、AlN、AlGaNを用いるようにしてもよい。
【0098】
また、本実施形態では、駆動電流を流入するための導波路5a,8aをリッジ導波路としているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、他の構造であってもよい。
また、上述の絶縁層7aは省略することも可能である。
【0099】
〔変形例〕
次に、第1の実施形態に係る変形例を、図6を参照して説明する。なお、図6において、図1ないし図5に示した半導体レーザ装置LDAと同一又は相当する部分を同一符号で示している。
【0100】
図6(a)は、本変形例の半導体レーザ装置LDAの外部構造を表した斜視図であり、図1(a)に対応させて示されている。
【0101】
図6(b)(c)は、本変形例の半導体レーザ装置LDAの製造工程を模式的に表した斜視図であり、図6(b)は図2(e)に、図6(c)は図4(c)に夫々対応させて示されている。
【0102】
本変形例の半導体レーザ装置LDAと、図1(a)に示した半導体レーザ装置LDAとの構造上の相違点を図6(a)に基づいて説明すると、まず、図1(a)の半導体レーザ装置LDAでは、配線層Qa1,Qa2と電極パッドPa31,Pa32が、突出部分STGaの絶縁層11a上に、同一平面に位置するように形成されている。
【0103】
これに対し、本変形例の半導体レーザ装置LDAでは、一方の配線層Qa1と電極パッドPa31が第1の発光素子1aの半導体基板12a上に絶縁層11aを介して形成され、他方の配線層Qa2と電極Pa32は、半導体基板12a及び絶縁層11a上に形成されている台状のSOG3aの表面に形成されている。
【0104】
本変形例の半導体レーザ装置LDAは次に述べる製造工程によって作成されている。
【0105】
まず、図2(a)〜(e)を参照して説明した製造工程によって中間生成体100が作製され、図3(a)〜(c)を参照して説明した製造工程と同様の製造工程によって中間生成体200が作製されている。
【0106】
ただし、図1(a)に示した半導体レーザ装置LDAでは、図2(e)に示した製造工程(中間生成体100の第5の製造工程)において、溝Rを除いたAlGaInP系薄膜層10Xの上面だけにSOG3aを形成して、配線層Qa2を形成することによって、最終的な中間生成体100を作製しているのに対し、本変形例の半導体レーザ装置LDAでは、図6(b)に示されているように、溝Rを含めて全面的にSOG3aを形成し、更に全面的に形成されたSOG3aの表面に、配線層Qa2を形成することによって、最終的な中間生成体100を作製している。
【0107】
そして、図4(a)(b)に示した製造工程と同様に、図6(b)の中間生成体100と図3(c)の中間生成体200とをSOG3aを介して固着し、YAGレーザの4倍波(波長266nm)を所定の集光レンズで絞り、高エネルギーの光にしてサファイア基板13aの裏面側より照射することによって、中間生成体200におけるサファイア基板13aとの界面近傍のGaNを、金属ガリウムと窒素ガスに分解した後、サファイア基板13aを剥離する。
【0108】
この結果、図1(a)に示した半導体レーザ装置LDAでは、サファイア基板13aが剥離された後の中間生成体が図4(c)に示した構造となるのに対し、本変形例の半導体レーザ装置LDAでは、サファイア基板13aが剥離された後の中間生成体が、図6(c)に示されるように、溝RにおけるSOG3aと配線層Qa2が露出した構造となる。
【0109】
そして、この溝RにおけるSOG3aのうち、配線層Qa2が形成されている所定領域を除いて、部分的にエッチングを施すことによって、配線層Qa1を露出させる。
【0110】
そして、図5(a)(b)に示した製造工程と同様の工程によって、所定の劈開等を行うことにより、図6(a)に示した本変形例の半導体レーザ装置LDAを完成する。
【0111】
かかる構造を有する本変形例の半導体レーザ装置LDAにおいても、上述した図1(a)の半導体レーザ装置LDAと同様の効果を得ることができる。
【0112】
〔第2の実施形態〕
次に、第2の実施形態の半導体レーザ装置LDBを、図7ないし図11を参照して説明する。
なお、図7は、本半導体レーザ装置LDBの外部構造を表した斜視図、図8ないし図11は、本半導体レーザ装置LDBの製造工程を模式的に表した斜視図である。
【0113】
図7において、この半導体レーザ装置LDBは、所定波長(例えば、波長405nm帯)のレーザ光を出射する第1の発光素子1bと、それより長い波長(例えば、波長650nm帯)のレーザ光を出射する第2の発光素子2bとを備え、第1の発光素子1bと第2の発光素子2bが、SiO2系のSOG(spin on glass)3bによって一体に固着されることにより、半導体レーザ装置LDBが実現されている。
【0114】
ここで、第2の発光素子2bの形成領域に比して、半導体基板SUB1の専有領域の方が大きく、これら形成領域と占有領域との大きさの違いによって半導体基板SUB1の突出部分STGbが形成されている。
【0115】
第1の発光素子1bは、V族元素が窒素(N)からなる窒化物系III−V族化合物半導体(GaN系半導体)で形成された半導体基板SUB1と、導波路(本実施形態ではストライプ形状のリッジ導波路)5b及びオーミック電極層6bが形成され上記所定波長のレーザ光を出射する第1のレーザ発振部4bと、オーミック電極層6bを除いたレーザ発振部4bとSOG3bとの間に介在する絶縁層7bと、オーミック電極層6bに電気的に接続され且つ突出部分STGb側に延在するストライプ状の導電性の配線層Qb1と、半導体基板SUB1の底面に形成されたオーミック電極Pb1とを備えて構成されている。
【0116】
ここで、レーザ発振部4bは、V族元素が窒素(N)からなる窒化物系III−V族化合物半導体(GaN系半導体)より成る多重量子井戸構造の活性層及びその活性層を挟むようにして積層された2つのクラッド層とを備えた二重ヘテロ構造(DH)と、SOG3b側に設けられた上述のリッジ導波路5bを備えて形成されている。
【0117】
露出している配線層Qb1とオーミック電極Pb1間に駆動電流を供給すると、その駆動電流がオーミック電極層6bを通じてリッジ導波路5bに流入し、リッジ導波路5bのストライプ形状に沿ってレーザ発振部4b中の上述の活性層に、電流が流入することで光が発生する。
【0118】
更にリッジ導波路5bの長手方向の両端に形成されている劈開面(鏡面)によってレーザ共振器が構成されており、リッジ導波路5bのストライプ形状に沿って発生する光が両端の劈開面(鏡面)で反射されて活性層中を繰り返し往復しながら、次々とキャリア再結合を誘起して誘導放出を行わせることにより、所定波長(例えば、波長405nm帯)のレーザ光が劈開面から出射される。
【0119】
第2の発光素子2bは、導波路(本実施形態ではストライプ形状のリッジ導波路)8b及びオーミック電極層9bを有するレーザ発振部10bと、オーミック電極層9bを除いてレーザ発振部10bとSOG3bとの間に介在する絶縁層11bと、オーミック電極層9bに電気的に接続され且つ突出部分STGb側に延在するストライプ状の導電性の配線層Qb2と、レーザ発振部10bの表面に形成されたオーミック電極Pb2とを備えて構成されている。
【0120】
ここで、レーザ発振部10bは、V族元素として砒素(As)、リン(P)、アンチモン(Sb)の何れかを含むIII−V族化合物半導体(例えば、AlGaInP系半導体)より成る歪量子井戸構造の活性層及びその活性層を挟むようにして積層された2つのクラッド層とを備えた二重ヘテロ構造(DH)と、上述のリッジ導波路8bを備えて形成されている。
【0121】
また、詳細については後述するが、突出部分STGb側の絶縁層7b上に、SOG3bを加工することで形成された台部が設けられ、該台部上に導電性配線層Qb2が延在すると共に、外部から駆動電流を供給するための電極となっている。
【0122】
そして、露出している配線層Qb2とオーミック電極Pb2間に駆動電流を供給すると、その駆動電流がオーミック電極層9bを通じてリッジ導波路8bに流入し、リッジ導波路8bのストライプ形状に沿ってレーザ発振部10b中の上述の活性層に、電流が流入することで光が発生する。
【0123】
更にリッジ導波路8bの長手方向の両端に形成されている劈開面(鏡面)によってレーザ共振器が構成されており、リッジ導波路8bのストライプ形状に沿って発生する光が両端の劈開面(鏡面)で反射されて活性層中を繰り返し往復しながら、次々とキャリア再結合を誘起して誘導放出を行わせることにより、上述の長波長(例えば、波長650nm帯)のレーザ光が劈開面から出射される。
【0124】
このような構造により、本半導体レーザ装置LDAは、第1の発光素子1bと第2の発光素子2bをそれぞれ個別に発光させることができ、また、同時に発光させることも可能となっている。
【0125】
次に、かかる構造を有する半導体レーザ装置LDBの製造工程を、図8ないし図11の斜視図を参照して説明する。
【0126】
まず、図8(a)〜(e)に示す工程によって第1の発光素子1bを形成するための中間生成体300、図9(a)〜(e)に示す工程によって第2の発光素子2bを形成するための中間生成体400を予め作製する。
【0127】
〈中間生成体300の第1の製造工程〉
中間生成体300については、まず、図8(a)に示す工程において、MOCVD法等により、GaN系半導体、より具体的にはn型GaN(0001)の半導体基板SUB1上に、組成と膜厚等の異なったGaN系半導体より成る複数の半導体薄膜を積層することで、図1(b)に示した各層4ab〜4ah等と同様のGaN系薄膜層4X、すなわち、多重量子井戸構造の活性層とクラッド層とを有したGaN系薄膜層4Xを形成する。
【0128】
つまり、半導体基板SUB1上に、Siをドーピングしてn型化したn型GaNから成る下地層を厚さ約5〜15μmで積層し、次に、n型Al0.08Ga0.92Nから成るn型クラッド層を厚さ約0.8μmで積層し、次に、n型GaNから成るn型ガイド層を厚さ約0.2μmで積層し、次に、In0.08Ga0.92NとIn0.01Ga0.99Nから成る井戸層とバリア層との多重量子井戸構造から成る活性層を約数十nmの厚さで積層し、次に、Al0.2Ga0.8Nから成る電子障壁層を厚さ約0.02μmで積層し、次に、Mgをドーピングしてp型化したp型GaNから成るp型ガイド層を厚さ約0.2μmで積層し、次に、p型Al0.08Ga0.92Nから成るp型クラッド層を厚さ約0.4μmで積層し、次に、p型GaNから成るp側コンタクト層を厚さ約0.1μmで積層することによって、GaN系薄膜層4Xを形成する。
【0129】
〈中間生成体300の第2の製造工程〉
次に、図8(b)に示すように、GaN系薄膜層4Xに複数のリッジ導波路5bを形成し、更にリッジ導波路5b上にオーミック電極層6bを形成する。
【0130】
すなわち、上述のp側コンタクト層上に、複数個分のリッジ導波路5bの形状に合わせたマスクを〈1−100〉方向に沿って形成し、該マスクから露出している部分を反応性イオンエッチング(RIE)によってエッチングする。
【0131】
ここで、上述のp型ガイド層が約0.05μm程度の厚さとなる深さまでエッチングすることによって、ストライプ形状のリッジ導波路5bを複数個形成する。
【0132】
そして、上述のマスクを除去した後、リッジ導波路5b上に、蒸着によってPd又はAu若しくはこれらの合金から成るオーミック電極層6bを厚さ約200nmで形成する。
【0133】
〈中間生成体300の第3の製造工程〉
次に、図8(c)に示すように、オーミック電極層6b以外のGaN系薄膜層4Xの表面に、ZrO2から成る絶縁層7bを形成する。
【0134】
〈中間生成体300の第4の製造工程〉
次に、図8(d)に示すように、蒸着によって、Auから成る所定幅の配線層Qb1をオーミック電極層6bと絶縁層7b上に、リッジ導波路5bの長手方向に対して略直交させて形成する。このとき、配線層Qb1とオーミック電極層6bとは電気的に接続している。
【0135】
〈中間生成体300の第5の製造工程〉
次に、図8(e)に示すように、GaN系薄膜層4X上の全面に、SiO2系のSOG3bを形成することで、最終的な中間生成体300を作製する。
【0136】
〈中間生成体400の第1の製造工程〉
次に、中間生成体400については、まず図9(a)に示すように、III-V族化合物半導体、より具体的にはn型GaAs(001)の半導体基板SUB2の上面に、MOCVD法により、InGaPから成るエッチングストップ層STPを形成した後、エッチングストップ層STP上に、図1(b)に示した各層10aa〜10ae等と同様のAlGaInP系薄膜層10X、すなわち、歪量子井戸構造の活性層とクラッド層とを有したAlGaInP系薄膜層10Xを積層する。
【0137】
つまり、半導体基板SUB2の上面にエッチングストップ層STPを形成した後、エッチングストップ層STP上に、Siをドーピングしてn型化したn型GaAsから成るバッファ層を厚さ約0.5μmで積層し、次に、n型Al0.35Ga0.15In0.5Pから成るn型クラッド層を厚さ約1.2μmで積層し、次に、AlGaInPから成るn型ガイド層を、厚さ0.05μmで積層する。
【0138】
次に、GaInPとAlGaInPとから成る歪量子井戸構造の活性層を数十nmの厚さで積層し、次に、AlGaInPから成るp型ガイド層を、厚さ0.05μmで積層し、次に、Znをドーピングしてp型化したAl0.35Ga0.15In0.5Pから成るp型クラッド層を厚さ約1.2μmで積層し、次に、p型Ga0.51In0.49Pから成る通電層を厚さ約0.05μmで積層し、次に、p型GaAsから成るp側コンタクト層を厚さ約0.2μmで積層することにより、AlGaInP系薄膜層10Xを形成する。
【0139】
〈中間生成体400の第2の製造工程〉
次に、図9(b)に示すように、AlGaInP系薄膜層10X上に、図8(b)に示したリッジ導波路5bと同じ間隔で、〈110〉方向に沿った複数個分のリッジ導波路8bを形成すべくマスクを形成し、該マスクから露出した部分を、硫酸:過酸化水素水:水の比を4:1:1としたエッチング液等でウエットエッチングする。
【0140】
ここで、上述のp型クラッド層が約0.2μm程度の厚さとなる深さまでエッチングを行うことによって、ストライプ形状のリッジ導波路8bを複数個形成する。
【0141】
次に、上述のマスクを除去した後、リッジ導波路8b上に、Cr又はAu若しくはこれらの合金から成るオーミック電極層9bを形成する。
【0142】
〈中間生成体400の第3の製造工程〉
次に、オーミック電極層9b以外のAlGaInP系薄膜層10Xの表面に、SiO2の絶縁層11bを形成する。
【0143】
〈中間生成体400の第4の製造工程〉
次に、図9(d)に示すように、蒸着によって、Auから成る所定幅の配線層Qb2を、オーミック電極層9bと絶縁層11b上に、リッジ導波路8bの長手方向に対して略直交させて形成する。このとき、配線層Qb2とオーミック電極層9bとは電気的に接続している。
【0144】
〈中間生成体400の第5の製造工程〉
次に、図9(e)に示すように、AlGaInP系薄膜層10X上の全面に、SiO2系のSOG3bを形成することで、最終的な中間生成体400を作製する。
【0145】
〈半導体レーザ装置LDBの第1の製造工程〉
次に、図10及び図11に示す工程により、予め作製した中間生成体300,400から本半導体レーザ装置LDBを製造する。
【0146】
まず、図10(a)に示すように、図8(e)と図9(e)に示した、最終的に作製された中間生成体300,400のリッジ導波路5b,8bを向かい合わせ、更にGaN系薄膜層4Xの劈開面(1-100)とAlGaInP系薄膜層10Xの劈開面(110)を一致させるようにして、中間生成体300のSOG3aと中間生成体400のSOG3aとを密着させる。
【0147】
更に、上述のSOG3aを密着させた状態で、約550°Cで加熱することにより、中間生成体300のSOG3aと中間生成体400のSOG3aとを固着させて一体化させると共に、中間生成体400に形成されている配線層Qb2をSOG3a中に埋設する。
【0148】
〈半導体レーザ装置LDBの第2の製造工程〉
次に、図10(b)に示すように、硫酸:過酸化水素水:水の比を4:1:1としたエッチング液により、n型GaAsの半導体基板SUB2をウエットエッチングすることによって除去した後、そのウエットエッチングにより露出することとなったエッチングストップ層STPを、塩酸:水の比を1:1としたエッチング液でエッチングすることによって除去し、AlGaInP系薄膜層10Xを露出させる。
【0149】
つまり、上述の中間生成体400の第1の製造工程で説明した、n型GaAsから成るバッファ層を露出させる。
【0150】
〈半導体レーザ装置LDBの第3の製造工程〉
次に、図10(c)に示すように、レーザ発振部10bを形成すべき領域にマスクを形成し、AlGaInP系薄膜層10Xのうち該マスクから露出した部分をウエットエッチングする。
【0151】
これにより、図示するように複数のレーザ発振部10bを形成すると共に、各レーザ発振部10bの間の絶縁層11bを露出させる。
【0152】
〈半導体レーザ装置LDBの第4の製造工程〉
次に、図11(a)に示すように、上述の露出した絶縁層11bとSOG3bに対し、CF4ガスを用いてドライエッチングを施すことにより、配線層Qb1とQb2を露出させると共に、台状のSOG3bを形成する。
【0153】
すなわち、CF4ガスによってドライエッチングを行うと、SiO2の絶縁層11bはエッチングされ、Auの配線層Qb1とQb2はエッチングされず、更に、SiO2系のSOGb3のうち配線層Qb2の下側に位置する部分を除いてエッチングされる。この結果、図11(a)に示すように、台状のSOG3bが残存し、その台状のSOG3b上の配線層Qb2と、ZrO2で形成されている絶縁層7b上の配線層Qb1が残存する。
【0154】
このように、CF4ガスによってドライエッチングを行うだけで、配線に必要な配線層Qb1,Qb2を露出させ、その露出のために不要となる部分を除去することができるため、製造工程の簡素化が可能となっている。
【0155】
〈半導体レーザ装置LDBの第5の製造工程〉
次に、図11(b)に示すように、レーザ発振部10bの露出面(表面)に、AuGeの合金から成るオーミック電極Pb2、n型GaNの半導体基板SUB1の底面に、Ti又はAu若しくはこれらの合金から成るオーミック電極Pb1を蒸着等によって形成した後、GaN系薄膜層4Xの劈開面である(1-100)面に沿って劈開することによってレーザ共振器を構成する。
【0156】
更に、配線層Qb1,Qb2が露出している部分で、レーザ共振器面と垂直な方向に二次劈開することによって、図7に示した第1,第2の発光素子1b,2bを有する半導体レーザ装置LDBを完成する。
【0157】
このように本半導体レーザ装置LDBによれば、レーザ発振部4b,10bを薄い(厚さの小さい)SOG3bによって固着する構造とすることができるため、レーザ発振部4b,10bにおける発光点間隔を小さくすることができる。別言すれば、レーザ発振部4b,10bを薄いSOG3bで固着する構造と成っているため、レーザ発振部4bの活性層とレーザ発振部10bの活性層との間隔を狭くすることができ、レーザ発振部4bの活性層に位置する発光点とレーザ発振部10bの活性層に位置する発光点との発光点間隔を小さくすることが可能となっている。
【0158】
また、レーザ発振部4bと10bは、p型半導体側のオーミック電極層6a,9aがリッジ導波路5a,8a上にのみ形成されていることから寄生容量が少なく、これらレーザ発振部4a,10aの応答特性、すなわち駆動電流の高周波応答特性を向上させることができる。
【0159】
また、レーザ発振部4b,10bがSOG3bによって電気的に分離されているので、夫々個別に発光させることができ、また、同時に発光させることが可能となっている。そして、第1,第2の発光素子1b,2bの一方を発光させた場合でも、他方が逆バイアスの状態となる等の問題が生じることがない。
【0160】
また、本半導体レーザ装置LDBを、CDやDVDその他のストレージ媒体に対して情報記録又は情報再生を行う光ピックアップに搭載すると、発光点間隔が小さいことから、第1,第2の発光素子1b,2bの各発光点を共に光ピックアップの光学系の光軸近傍に位置合わせることができ、収差等の発生を大幅に改善すること等ができる。
【0161】
また、本実施形態の製造方法によれば、第1,第2の発光素子1b,2bを複数個形成することが可能な中間生成体300,400をSOG3bによって固着した後、劈開及びスクライビング等によって個々の半導体レーザ装置LDBに分割するので、発光素子1b,2bの発光点間隔の最適化制御を、中間生成体300,400を固着する際に一括して行うことができると共に、高精度で位置合わせすることができ、更なる製造工程の簡素化等を実現することができる。
【0162】
更に又、本実施形態の製造方法は、図10(b)(c)を参照して説明した工程(半導体レーザ装置LDBの第2,第3の製造工程)において、n型GaAsの半導体基板SUB2及びAlGaInP系薄膜10Xを加工することで絶縁膜11bを露出させることとしている。このため、第1の発光素子1b側の半導体基板SUB1にGaN半導体基板を用いることができるため、結晶性の良いGaN系薄膜層4Xを作製することが可能となる。
【0163】
このように、本実施形態によれば、波長の異なる複数のレーザ光を出射すると共に、電気的特性に優れ且つ機械的精度の高い半導体レーザ装置LDBを提供することができ、また、かかる半導体レーザ装置LDBを量産性良く製造するための製造方法を提供することができる。
【0164】
なお、第1の発光素子1bの本体部分であるレーザ発振部4bを、V族元素が窒素(N)からなる窒化物系III−V族化合物半導体で形成する場合を説明したが、かかる窒化物系III−V族化合物半導体に代えて、レーザ発振部4bをII-VI族化合物半導体で形成してもよい。
【0165】
また、絶縁層11bは、上述のCF4ガスでドライエッチングされる材料であれば他の材料でもよく、また、絶縁層7bは、CF4ガスでドライエッチングされない材料であれば他の材料でもよい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長の異なる複数のレーザ光を出射する半導体レーザ装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル放送やブロードバンドの普及により、大量のデジタルコンテンツが家庭等に溢れる時代を目前に控え、さらなる情報記録の高密度化が求められている。光ディスクストレージシステムにおいては、波長780nmの光を用いた容量700MBのCD(Compact Disc)から波長650nmの光を用いた容量4.7GBのDVD(Digital Versatile Disc)へと高密度化が進められてきた。さらに最近になり、容量20GBを超える光ディスクシステムが波長405nmの光を用いて実現されている。
【0003】
このような高密度記録システムにおいても、これまでに広く普及したDVDに対してコンパチビリティを持たせる必要があるため、ピックアップには波長650nmのレーザも併せて搭載する必要がある。
【0004】
複数の波長に対応したピックアップでは、その小型化、軽量化のために2波長集積レーザが望まれているが、波長405nm帯のレーザを実現するGaN系半導体と波長650nm帯のレーザを実現するAlGaInP系半導体では物性が大きく異なるため、同一基板上へのモノリシック集積を行うことができない。そのため、ハイブリッド構造による2波長集積レーザが提案されている(特許文献1:特開2001−230502号公報、特許文献2:特開2000−252593号公報)。
【0005】
特許文献1の2波長集積レーザは、第1の基板を有する短波長(例えば、波長405nm帯)のレーザ光を出射する第1の発光素子と、第2の基板を有する長波長(例えば、波長650nm帯)のレーザ光を出射する第2の発光素子を支持基板(いわゆるサブマウント)上に重ねて取り付けることで、ハイブリッド構造の半導体レーザ装置が実現されている。
【0006】
ここで、第1の発光素子は、第1の基板の支持基板側に発光部が位置するように支持基板上に取り付けられており、更に第2の発光素子は、第2の基板の第1の発光素子側に発光部が位置するように第1の発光素子上に取り付けられている。
【0007】
特許文献2に開示されているハイブリッド構造の半導体レーザ装置は、第1のレーザ部のp電極とn電極に、第2のレーザ部のn電極とp電極を夫々融着金属を介して電気的に貼り合わせた後、第1のレーザ部側の基板を除去した構造とすることによって、第1のレーザ部と第2のレーザ部とで波長の異なるレーザ光を出射するようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1の半導体レーザ装置は、上述したように、支持基板上に第1の発光素子と第2の発光素子を重ねて取り付ける構造となっているが、この構造の場合に第1の発光素子と第2の発光素子の重ね合わせ面への電流注入を可能とするためには、それぞれを個別の半導体チップとして製造した後、チップ化された第1の発光素子と第2の発光素子を支持基板上に重ねて取り付けることが必須となる。
2波長集積レーザを光ディスクのピックアップ用光源として用いる場合には、その2つの発光点間隔を高精度(±1μm以下)で制御する必要があるが、チップの状態での位置合わせでは、発光点間隔や放射方向を高精度に制御することは困難である。また全てのチップ毎に位置合わせを行う必要があるため生産性も悪くなる。
【0009】
また、特許文献1の半導体レーザ装置は、支持基板上に第1の発光素子の発光部が近接して取り付けられ、第1の発光素子に備えられている第1の基板上に、第2の発光素子の発光部が近接して取り付けられている。
【0010】
しかし、この構造によると、第1の発光素子と第2の発光素子との間に、厚さの大きな第1の基板が介在することとなり、上述の特許文献1にも記載されているように、その第1の基板(GaN基板)は通常100μm程度の厚さを有しているため、第1の発光素子の発光部(発光点の位置)と第2の発光素子の発光部(発光点の位置)とが大きく離れてしまうという問題がある。
【0011】
このため、例えば、ピックアップにこの半導体レーザ装置を搭載して、情報記録又は情報再生を行う場合、ピックアップを構成している光学系の光軸に対して第1の発光部の出射位置(発光点の位置)を光軸合わせすると、第2の発光部の出射位置が光学系の光軸から大きくずれることとなり、収差等の発生原因となってしまう。
【0012】
このような光軸ずれによる悪影響は、光ピックアップにプリズム等の光学素子を追加することにより解消することができるが、部品点数、コストの増加等の問題が生じる。
【0013】
特許文献2の半導体レーザ装置では、融着金属によって、第1のレーザ部のp電極及びn電極と第2のレーザ部のn電極及びp電極とが夫々電気的に貼り合わせられているので、その融着金属による寄生容量が大きく、各レーザ部を駆動する際の応答特性が低下する問題がある。例えば、CDやDVD等に情報記録を行う際、第1のレーザ部又は第2のレーザ部をパルス電流によって駆動すると、上述の寄生容量の影響で応答特性が低下し、高速制御が困難となる等の問題を生じる。
【0014】
また、特許文献2の半導体レーザ装置では、第1のレーザ部のp,n電極と第2のレーザ部のn,p電極とが融着金属を介してそれぞれ電気的に接続されているため、第1のレーザ部を発光させるべく、融着金属を通じて第1のレーザ部に対し順方向に駆動電力を供給すると、第2のレーザ部は逆バイアスの状態、第2のレーザ部を発光させるべく、融着金属を通じて第2のレーザ部に対し順方向に駆動電力を供給すると、第1のレーザ部は逆バイアスの状態となる。
【0015】
このため、第1のレーザ部又は第2のレーザ部の一方を発光させると、他方のレーザ部に逆バイアスがかかり、逆方向耐圧や逆方向リーク電流の問題が生じる。
【0016】
本発明はこのような従来の課題に鑑みてなされたものであり、波長の異なる複数のレーザ光を出射すると共に、電気的特性に優れた半導体レーザ装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0017】
また、波長の異なる複数のレーザ光を出射すると共に、その発光点間隔が小さく、電気的特性に優れ且つ機械的精度の高い半導体レーザ装置を量産性良く製造するための製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1に記載の発明は、波長の異なる複数のレーザ光を出射する半導体レーザ装置であって、半導体基板上に積層された第1のレーザ発振部と、前記第1のレーザ発振部と異なる波長で発振する第2のレーザ発振部とを備え、前記半導体基板とは反対側の前記第1のレーザ発振部の面と、前記第2のレーザ発振部の発光部から近い側の面が絶縁性の接着層により固着されており、前記第1、第2のレーザ発振部の導波路上の表面に形成された第1、第2のオーミック電極層と、前記第1、第2のレーザ発振部の間に形成されると共に、前記第1、第2のオーミック電極層に電気的且つ個別に接続する第1、第2の配線層と、を有することを特徴とする。
【0019】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の半導体レーザ装置において、前記第2のレーザ発振部側から見て前記第1のレーザ発振部または半導体基板が部分的に突出しており、前記突出した部分の面上に前記第1、第2の配線層が延在していることを特徴とする。
【0020】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の半導体レーザ装置において、前記接着層は、SOG(spin on glass)であることを特徴とする。
【0021】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の半導体レーザ装置において、前記第1のレーザ発振部の前記オーミック電極層以外の領域と前記第1の配線層の間に、前記接着層とは異なる材質から成る絶縁層が形成されていることを特徴とする。
【0022】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載の半導体レーザ装置において、前記半導体基板は、III-V族化合物半導体から成り、前記第1の発振部は、V族元素として砒素(As)、リン(P)、アンチモン(Sb)の何れかを含むIII-V族化合物半導体、又はII-VI族化合物半導体を有し、前記第2のレーザ発振部は、V族元素が窒素(N)からなる窒化物系III-V族化合物半導体を有することを特徴とする。
【0023】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載の半導体レーザ装置において、前記第1の発振部は、V族元素が窒素(N)からなる窒化物系III-V族化合物半導体を有し、前記第2のレーザ発振部は、V族元素として砒素(As)、リン(P)、アンチモン(Sb)の何れかを含むIII-V族化合物半導体、又はII-VI族化合物半導体を有することを特徴とする。
【0024】
請求項7に記載の発明は、波長の異なる複数のレーザ光を出射する半導体レーザ装置の製造方法であって、半導体基板上に少なくとも活性層と導波路とを含む第1の薄膜層を形成することにより、第1の中間生成体を作製する工程と、支持基板上に少なくとも活性層と導波路とを含む第2の薄膜層を形成することにより、第2の中間生成体を作製する工程と、前記第1、第2の中間生成体の前記導波路側を対向させて、前記第1、第2の中間生成体間を絶縁性の接着層により固着する工程と、前記支持基板を除去して、前記第2の薄膜層を露出させる工程と、を備えることを特徴とする。
【0025】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の半導体レーザ装置の製造方法において、前記第1の中間生成体を作製する工程は、前記第1の薄膜層の導波路側の面に、該導波路に沿った第1のオーミック電極層と、前記第1のオーミック電極層と電気的に接続する第1の配線層と、該導波路を含む所定領域を覆う第1の絶縁性の接着層と、第2の配線層を重ねて形成する工程を有し、前記第2の中間生成体を作製する工程は、前記第2の薄膜層の導波路面側の面に、該導波路に沿った第2のオーミック電極層と、前記第2のオーミック電極層以外の領域に第2の絶縁性の接着層を形成する工程を有し、前記第1、第2の中間生成体間を絶縁性の接着層により固着する工程は、前記第2の配線層と前記第2のオーミック電極層とを電気的に接続させて前記第1、第2の絶縁性の接着層を密着させることによって、前記絶縁性の接着層による前記第1、第2の中間生成体間の固着を行う工程を有することを特徴とする。
【0026】
請求項9に記載の発明は、請求項7又は8に記載の半導体レーザ装置の製造方法において、前記接着層は、SOG(spin on glass)であることを特徴とする。
【0027】
請求項10に記載の発明は、請求項7〜9のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置の製造方法において、前記半導体基板は、III-V族化合物半導体から成り、前記第1の薄膜層は、V族元素として砒素(As)、リン(P)、アンチモン(Sb)の何れかを含むIII-V族化合物半導体、又はII-VI族化合物半導体を有し、前記第2の薄膜層は、V族元素が窒素(N)からなる窒化物系III-V族化合物半導体を有することを特徴とする。
【0028】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の半導体レーザ装置の製造方法において、前記支持基板はサファイア基板又はAlN基板であり、前記第2の薄膜層を露出させる工程は、前記支持基板の裏面から前記支持基板と第2の薄膜層との接合部近傍に光を照射し、前記接合部近傍を加熱分解する工程を有することを特徴とする。
【0029】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の半導体レーザ装置の製造方法において、前記光は、360nm以下の波長を有するレーザ光であることを特徴とする。
【0030】
請求項13に記載の発明は、波長の異なる複数のレーザ光を出射する半導体レーザ装置の製造方法であって、第1の半導体基板上に少なくとも活性層と導波路とを含む第1の薄膜層を形成することにより、第1の中間生成体を作製する工程と、第2の半導体基板上に少なくとも活性層と導波路とを含む第2の薄膜層を形成することにより、第2の中間生成体を作製する工程と、前記第1、第2の中間生成体の前記導波路側を対向させて、前記第1、第2の中間生成体間を絶縁性の接着層により固着する工程と、前記第2の半導体基板を除去して、前記第2の薄膜層を露出させる工程と、を備えることを特徴とする。
【0031】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の半導体レーザ装置の製造方法において、前記第1の中間生成体を作製する工程は、前記第1の薄膜層の導波路側の面に、該導波路に沿った第1のオーミック電極層と、前記第1のオーミック電極層と電気的に接続する第1の配線層と、第1の接着層とを重ねて形成する工程を有し、前記第2の中間生成体を作製する工程は、前記第2の薄膜層の導波路側の面に、該導波路に沿った第2のオーミック電極と、前記第2のオーミック電極層と電気的に接続する第2の配線層と、第2の接着層とを重ねて形成する工程を有し、前記第1、第2の中間生成体間を接着層により固着する工程は、前記第1、第2の接着層を密着させることによって前記第1、第2の中間生成体間を固着する工程を有することを特徴とする。
【0032】
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の半導体レーザ装置の製造方法において、前記第1の中間生成体を作製する工程は、前記第1の薄膜層の導波路側の面に、前記第1のオーミック電極層を除いて被覆する前記接着層と異なる材質の絶縁層を形成し、該絶縁層上に前記第1のオーミック電極層と電気的に接続する前記第1の配線層を形成する工程を有することを特徴とする。
【0033】
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の半導体レーザ装置の製造方法において、更に、前記第2の半導体基板を除去して前記第2の薄膜層を露出させる工程に続いて、前記第2の薄膜層及び前記接着層を部分的にエッチングし、前記第1、第2の配線層及び前記絶縁層を部分的に露出させる工程を有することを特徴とする。
【0034】
請求項17に記載の発明は、請求項13〜16のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置の製造方法において、前記接着層は、SOG(spin on glass)であることを特徴とする。
【0035】
請求項18に記載の発明は、請求項13〜17のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置の製造方法において、前記第1の半導体基板は、V族元素が窒素(N)からなる窒化物系III-V族化合物半導体から成り、前記第1の薄膜層は、V族元素が窒素(N)からなる窒化物系III-V族化合物半導体を有し、前記第2の半導体基板は、III-V族化合物半導体から成り、前記第2の薄膜層は、V族元素として砒素(As)、リン(P)、アンチモン(Sb)の何れかを含むIII-V族化合物半導体、又はII-VI族化合物半導体を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】第1の実施形態の半導体レーザ装置の外部構造と縦断面構造を表した図である。
【図2】図1に示した半導体レーザ装置の製造工程を模式的に表した斜視図である。
【図3】更に、図1に示した半導体レーザ装置の製造工程を模式的に表した斜視図である。
【図4】更に、図1に示した半導体レーザ装置の製造工程を模式的に表した斜視図である。
【図5】更に、図1に示した半導体レーザ装置の製造工程を模式的に表した斜視図である。
【図6】第1の実施形態の半導体レーザ装置の変形例の構造及び製造工程を表した斜視図である。
【図7】第2の実施形態の半導体レーザ装置の外部構造を表した図である。
【図8】図7に示した半導体レーザ装置の製造工程を模式的に表した斜視図である。
【図9】更に、図7に示した半導体レーザ装置の製造工程を模式的に表した斜視図である。
【図10】更に、図7に示した半導体レーザ装置の製造工程を模式的に表した斜視図である。
【図11】更に、図7に示した半導体レーザ装置の製造工程を模式的に表した斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、発明を実施するための最良の形態として、第1,第2の実施形態について図面を参照して説明する。
【0038】
〔第1の実施形態〕
第1の実施形態の半導体レーザ装置を、図1ないし図5を参照して説明する。
なお、図1(a)は、本半導体レーザ装置LDAの外部構造を表した斜視図、図1(b)は、図1(a)に示した半導体レーザ装置LDAの縦断面構造を表した図、図2ないし図5は、本半導体レーザ装置LDAの製造工程を模式的に表した斜視図である。
【0039】
図1(a)(b)において、この半導体レーザ装置LDAは、III−V族化合物半導体(例えばGaAs)から成る半導体基板12aを有する第1の発光素子1aと、絶縁性を有するSiO2系のSOG(spin on glass)3aと、第2の発光素子2aとを備え、第1の発光素子1aと第2の発光素子2aがSOG3aによって一体に固着されることにより、半導体レーザ装置LDAが実現されている。
【0040】
ここで、第2の発光素子2aの形成領域に比して半導体基板12aの占有面積の方が大きく、これら形成領域と占有領域との大きさの違いによって、半導体基板12aの突出部分STGaが形成されている。
【0041】
第1の発光素子1aは、導波路(本実施形態ではリッジ導波路)8aが形成されたレーザ発振部10aと、リッジ導波路8aに形成されたオーミック電極層9aと、オーミック電極層9a以外のレーザ発振部10aの表面全体及び突出部分STGaを絶縁被覆する絶縁層11aと、オーミック電極層9aと電気的に接続され、且つ突出部分STGa側に延在するストライプ状の導電性の配線層Qa1と、配線層Qa1と電気的に接続し突出部分STGa上に形成された電極パッドPa31と、半導体基板12aの裏面側に形成されているオーミック電極層Pa1と、を備えて形成されている。
【0042】
更に、レーザ発振部10aは、V族元素として砒素(As)、リン(P)、アンチモン(Sb)の何れかを含むIII−V族化合物半導体(例えば、AlGaInP系半導体)より成る歪量子井戸構造の活性層及びその活性層を挟むようにして積層された2つのクラッド層とを備えた二重ヘテロ構造(DH)と、SOG3a側に設けられた上述のリッジ導波路8aとを備えて形成されている。
【0043】
そして、オーミック電極層Pa1と電極パッドPa31間に駆動電流を供給すると、その駆動電流が配線層Qa1とオーミック電極層9aを通じてリッジ導波路8aに流入し、リッジ導波路8aのストライプ形状に沿ってレーザ発振部10a中の活性層に、電流が流入することで光が発生する。
【0044】
更にリッジ導波路8aの長手方向の両端に形成されている劈開面(鏡面)によってレーザ共振器が構成されており、リッジ導波路8aに沿って発生する光が両端の劈開面(鏡面)で反射されて活性層中を繰り返し往復しながら、次々とキャリア再結合を誘起して誘導放出を行わせることにより、所定波長(例えば、650nm帯)のレーザ光が、劈開面から出射される。
【0045】
第2の発光素子2aは、導波路(本実施形態ではリッジ導波路)5aが形成されたレーザ発振部4aと、リッジ導波路5aに形成されたオーミック電極層6aと、オーミック電極層6a以外のレーザ発振部4aとSOG3aとの間に介在する絶縁層7aと、オーミック電極層6aと電気的に接続され、且つ突出部分STGa側に延在するストライプ状の導電性の配線層Qa2と、配線層Qa2と電気的に接続し突出部分STGa上に形成された電極パッドPa32と、レーザ発振部4aの表面に形成されているオーミック電極層Pa2と、を備えて形成されている。
【0046】
ここで、図示するように、SOG3aはレーザ発振部10aのリッジ導波路8a側の面とほぼ同じ大きさ又は若干小さい大きさで絶縁層11a上に形成され、レーザ発振部4aはSOG3aとほぼ同じ大きさで形成されている。
【0047】
更に、レーザ発振部4aは、V族元素が窒素(N)からなる窒化物系III−V族化合物半導体(GaN系半導体)より成る多重量子井戸構造の活性層及びその活性層を挟むようにして積層された2つのクラッド層とを備えた二重ヘテロ構造(DH)と、SOG3a側に設けられた上述のリッジ導波路5aを備えて形成されている。
【0048】
そして、オーミック電極Pa2と電極パッドPa32間に駆動電流を供給すると、その駆動電流が配線層Qa2とオーミック電極層6aを通じてリッジ導波路5aに流入し、リッジ導波路5aのストライプ形状に沿ってレーザ発振部4a中の上述の活性層に、電流が流入することで光が発生する。
【0049】
更にリッジ導波路5aの長手方向の両端に形成されている劈開面(鏡面)によってレーザ共振器が構成されており、リッジ導波路5aのストライプ形状に沿って発生する光が両端の劈開面(鏡面)で反射されて活性層中を繰り返し往復しながら、次々とキャリア再結合を誘起して誘導放出を行わせることにより、所定波長(例えば,405nm帯)のレーザ光が劈開面から出射される。
【0050】
このような構造により、本半導体レーザ装置LDAは、第1の発光素子1aと第2の発光素子2aをそれぞれ個別に発光させることができ、また同時に発光させることも可能となっている。
【0051】
次に、かかる構造を有する半導体レーザ装置LDAの製造工程を図2ないし図5を参照して説明する。
【0052】
まず、図2(a)〜(e)に示す工程によって第1の発光素子1aを形成するための中間生成体100、図3(a)〜(c)に示す工程によって第2の発光素子2aを形成するための中間生成体200を予め作製する。
【0053】
〈中間生成体100の第1の製造工程〉
中間生成体100については、まず、図2(a)に示すように、MOCVD法等により、GaAs(001)基板12a上に、組成と膜厚等の異なるAlGaInP系半導体を含む複数の半導体薄膜を積層することで、歪量子井戸構造の活性層とクラッド層とを有したAlGaInP系薄膜層10Xを形成する。
【0054】
より具体的に述べると、図1(b)に示されている各層10aa〜10ae等を積層してレーザ発振部10aを形成するのであるが、最初にGaAs基板12a上に、珪素(Si)をドーピングしてn型化したn型GaAsから成るバッファ層10aaを、厚さ約0.5μmで積層し、次に、n型Al0.35Ga0.15In0.5Pから成るn型クラッド層10abを、厚さ約1.2μmで積層する。
【0055】
次に、AlGaInPから成るガイド層10g1を、厚さ0.05μmで積層する。
【0056】
次に、GaInPとAlGaInPとから成る歪量子井戸構造を有した活性層10acを、約数十nmの厚さで積層し、次に、AlGaInPから成るガイド層10g2を、厚さ0.05μmで積層し、次に、亜鉛(Zn)をドーピングしてp型化したAl0.35Ga0.15In0.5Pから成るp型クラッド層10adを、厚さ約1.2μmで積層し、次に、p型Ga0.51In0.49Pから成る通電層10aeを、厚さ約0.05μmで積層し、次に、p型GaAsから成るp側コンタクト層(図示略)を、厚さ約0.2μmで積層する。
【0057】
〈中間生成体100の第2の製造工程〉
次に、図2(b)に示すように、AlGaInP系薄膜層10Xに、〈110〉方向に沿った複数のリッジ導波路8aを形成し、更にオーミック電極層9aを形成する。
【0058】
すなわち、上述のp側コンタクト層(図示略)上に、〈110〉方向に沿った複数個分のリッジ導波路8a(図1参照)の形状に合わせたマスクを形成し、該マスクから露出している部分をウエットエッチングする。
【0059】
そして、p型クラッド層10adが約0.2μm程度の厚さとなるまでエッチングを行うことによって、ストライプ形状のリッジ導波路8aを複数個形成し、次に上述のマスクを除去した後、リッジ導波路8a上に、蒸着によってクロム(Cr)又は金(Au)若しくはこれらの合金から成るオーミック電極層9aを厚さ約200nmで形成する。
【0060】
〈中間生成体100の第3の製造工程〉
次に、図2(c)に示すように、AlGaInP系薄膜層10Xのうち、リッジ導波路8aを含む所定範囲の領域を残して、GaAs(001)基板12aの上部が若干除去されるまで、ウエットエッチングによって、〈110〉方向に沿った深さ約5μmの溝Rを複数個形成する。
【0061】
より具体的には、リッジ導波路8aを含む所定範囲の領域にマスクを形成し、当該マスクより露出している部分を、硫酸:過酸化水素水:水の比を4:1:1としたエッチング液でウエットエッチングする。
【0062】
〈中間生成体100の第4の製造工程〉
次に、上述のマスクを除去した後、図2(d)に示すように、オーミック電極層9a以外のAlGaInP系薄膜層10Xと溝RのGaAs基板12aの上面に、ZrO2から成る絶縁層11aを被覆形成した後、蒸着によって、Auから成る幅の狭い配線層Qa1を、オーミック電極層9aと絶縁層11a上に、リッジ導波路8aの長手方向に対して略直交させて形成することにより、配線層Qa1とオーミック電極層9aとを電気的に接続すると共に、溝R側に延設する。
【0063】
〈中間生成体100の第5の製造工程〉
次に、図2(e)に示すように、オーミック電極層9aの上面と、溝Rを除いた絶縁層11aの上面とにSOG3aを被覆形成する。これにより、図1(b)に示した個々のレーザ発振部10aとほぼ同じ大きさ又は若干小さい大きさのSOG3aを絶縁層11a上に形成する。
【0064】
次に、SOG3aと絶縁層11a上に、蒸着によって、Auから成る幅の狭い配線層Qa2を配線層Qa1と略平行となるように形成することによって、SOG3aの表面と側面及び絶縁層11a上を通って溝R側に延びる配線層Qa2を形成する。
【0065】
以上、第1〜第4の製造工程によって、第1の発光素子1aを複数個形成することが可能な最終的な中間生成体100を作製する。
【0066】
〈中間生成体200の第1の製造工程〉
中間生成体200については、まず、図3(a)に示す工程において、支持基板としてサファイア(0001)基板13aを用い、MOCVD法等により、サファイア(0001)基板13a上に、組成と膜厚等の異なったGaN系半導体より成る複数の半導体薄膜を積層することで、上述の多重量子井戸構造の活性層とクラッド層とを有したGaN系薄膜層4Xを形成する。
【0067】
より具体的には、図1(b)に示されている各層4ab〜4ah等を積層形成してレーザ発振部4aを形成するのであるが、最初にサファイア(0001)基板13a上に、GaN又はAlNから成るバッファ層(図示略)を厚さ約数十nm程度で積層し、次に、珪素(Si)をドーピングしてn型化したn型GaNから成る下地層4abを、厚さ約5〜15μmで積層し、次に、n型Al0.08Ga0.92Nから成るn型クラッド層4acを、厚さ約0.8μmで積層し、次に、n型GaNから成るn型ガイド層4adを、厚さ約0.2μmで積層する。
【0068】
次に、組成の異なるInxGa1-xN(但し、0≦x)、例えばIn0.08Ga0.92NとIn0.01Ga0.99Nから成る井戸層とバリア層との多重量子井戸構造を有する活性層4aeを、約数十nmの厚さで積層する。
【0069】
次に、Al0.2Ga0.8Nから成る電子障壁層4afを、厚さ約0.02μmで積層し、次に、マグネシウム(Mg)をドーピングしてp型化したp型GaNから成るp型ガイド層4agを、厚さ約0.2μmで積層する。
【0070】
次に、p型Al0.08Ga0.92Nから成るp型クラッド層4ahを、厚さ約0.4μmで積層し、次にp型GaNから成るp側コンタクト層(図示略)を厚さ約0.1μmで形成する。
【0071】
〈中間生成体200の第2の製造工程〉
次に、図3(b)に示すように、GaN系薄膜層4Xに、〈1−100〉方向に沿った複数のリッジ導波路5aを形成し、更にリッジ導波路5a上にオーミック電極層6aを形成する。
【0072】
すなわち、上述のp側コンタクト層(図示略)上に、〈1−100〉方向に沿った複数個分のリッジ導波路5a(図1参照)の形状に合わせたマスクを形成し、該マスクから露出している部分を反応性イオンエッチング(RIE)によってエッチングする。そして、p型ガイド層4agが約0.05μm程度の厚さとなる深さまでエッチングすることによって、ストライプ形状のリッジ導波路5aを複数個形成する。
【0073】
次に、上述のマスクを除去した後、リッジ導波路5aの頂部に蒸着によってPd又はAu若しくはこれらの合金から成るオーミック電極層6aを厚さ約200nmで形成し、更にオーミック電極6a以外の領域に絶縁層7aを積層する。
【0074】
〈中間生成体200の第3の製造工程〉
次に、図3(c)に示すように、絶縁層7aの上面にSOG3aを形成することによって、オーミック電極6aが露出し、且つ第2の発光素子2aを複数個形成することが可能な中間生成体200を最終的に作製する。
【0075】
〈半導体レーザ装置LDAの第1の製造工程〉
次に、図4及び図5に示す工程により、予め作製した中間生成体100,200から本半導体レーザ装置LDAを製造する。
【0076】
まず、図4(a)に示すように、図2(e)と図3(c)に示した、最終的に作製された中間生成体100のリッジ導波路8aと中間生成体200のリッジ導波路5aとを向かい合わせ、更にAlGaInP系薄膜層10Xの劈開面(110)とGaN系薄膜層4Xの劈開面(1-100)とを一致させるようにして、中間生成体100のSOG3aと中間生成体200のSOG3aとを密着させる。
【0077】
更に、上述のSOG3aを密着させた状態で、約550°Cで加熱することにより、中間生成体100のSOG3aと中間生成体200のSOG3aとを固着させて一体化させ、更に、配線層Qa2とレーザ発振部4a側のオーミック電極層6aとを電気的に接続させると共に、オーミック電極層6a側の配線層Qa2の部分をSOG3a中に埋設する。
【0078】
〈半導体レーザ装置LDAの第2の製造工程〉
次に、図4(b)に示すように、360nm以下の波長を有するレーザ光、より好ましくはYAGレーザの4倍波(波長266nm)を所定の集光レンズで絞り、高エネルギーの光にして、説明の便宜上多数の矢印で示されているように、サファイア基板13aの裏面側より照射する。
【0079】
サファイア基板13aの裏面側より、高エネルギーの光を照射すると、波長226nmの光は、サファイア基板13a中で殆ど吸収されずに透過し、GaNには僅かな浸透深さで吸収される。更に、サファイア基板13aとGaNの間に大きな格子不整合があることから、これら接合部近傍のGaNには極めて多くの結晶欠陥が存在する。このため、吸収された光は殆ど熱に変換され、接合部近傍が高温に加熱され、GaNが金属ガリウムと窒素ガスに分解する。
【0080】
そして、溝Rが存在しているため、溝Rに面しているGaN系薄膜層4Xの一部が崩落等し、溝Rを境にして分割された複数個のレーザ発振部4aが形成される。
【0081】
ここで、分割されたレーザ発振部4a(すなわち、残っているGaN系薄膜層4X)とサファイア基板13aは、金属ガリウムによる弱い結合状態にある。そこで、ガリウムの融点温度より高い約40°Cの温度で全体的に加熱して、サファイア基板13aをレーザ発振部4aから剥離する。
【0082】
〈半導体レーザ装置LDAの第3の製造工程〉
このようにサファイア基板13aを剥離すると、図4(c)に示すように、溝Rを境にして分離された個々のレーザ発振部4aが、SOG3aを介してAlGaInP系薄膜層10X上へ貼り付けられ、溝Rに形成されているAlGaInP系薄膜層10X側の絶縁層11aと、配線層Qa1,Qa2が露出する。
【0083】
そして、純水中で超音波洗浄することによって、上述の崩落等した部分を除去した後、約3分間、希塩酸中に浸すことで、レーザ発振部4aの露出面(表面)に残留している金属ガリウムを除去する。
【0084】
〈半導体レーザ装置LDAの第4の製造工程〉
次に、図5(a)に示すように、各レーザ発振部4aの露出面(n型GaNの面)に、チタン(Ti)又はAu若しくはこれらの合金から成るオーミック電極Pa2、n型GaAs基板12aの底面に、AuGeの合金(金とゲルマニウムの合金)から成るオーミック電極Pa1を蒸着等によって夫々形成すると共に、溝R側に延在している配線層Qa1,Qa2に、電気的且つ独立に接続する金属の電極パッドPa31,Pa32を蒸着等によって夫々形成する。
【0085】
〈半導体レーザ装置LDAの第5の製造工程〉
次に、図5(b)に示すように、GaN系薄膜層4Xの劈開面である(1-100)面に沿って劈開することによってレーザ共振器を構成する。
【0086】
更に、溝Rの部分で、レーザ共振器面と垂直な方向に二次劈開することによって、図1(a)に示した第1,第2の発光素子1a,2aを有し、溝Rの部分が突出部分STGaとなって露出する、半導体レーザ装置LDAを完成する。
【0087】
このように本半導体レーザ装置LDAによれば、レーザ発振部4a,10aを薄い(厚さの小さい)SOG3aによって固着する構造とすることができるため、レーザ発振部4a,10aにおける発光点間隔を小さくすることができる。別言すれば、レーザ発振部4a,10aを薄いSOG3aで固着する構造と成っているため、レーザ発振部4aの活性層とレーザ発振部10aの活性層との間隔を狭くすることができ、レーザ発振部4aの活性層に位置する発光点とレーザ発振部10aの活性層に位置する発光点との発光点間隔を小さくすることが可能となっている。
【0088】
また、図1(a)(b)に示すように、上述の溝Rによってn型GaAs基板12aの一部分がレーザ発振部4a,10aよりも外側に突出し、その突出した部分の上面に絶縁層11aを介して、配線層Qa1,Qa2が露出して形成されているため、駆動電流を供給するための配線を容易にとることが可能となっている。
【0089】
また、レーザ発振部4aと10aは、p型半導体側のオーミック電極層6a,9aがリッジ導波路5a,8a上にのみ形成されていることから寄生容量が小さく、これらレーザ発振部4a,10aの応答特性、すなわち駆動電流の高周波応答特性を向上させることができる。
【0090】
また、上述したように、配線層Qa1はSOG3aと絶縁層11aの間を通ってオーミック電極層6aに電気的に接続され、配線層Qa2はSOG3a中を通ってオーミック電極層9aに電気的に接続されているため、オーミック電極Pa1と電極パッドPa31間に駆動電流を供給すると第1の発光素子1a、オーミック電極Pa2と電極パッドPa32間に駆動電流を供給すると第2の発光素子2aを夫々個別に発光させることができ、また、第1,第2の発光素子1a,2aを同時に発光させることが可能となっている。
【0091】
そして、第1,第2の発光素子1a,2aの一方を発光させた場合でも、他方が逆バイアスの状態となる等の問題が生じることがない。
【0092】
また、本半導体レーザ装置LDAを、CDやDVDその他のストレージ媒体に対して情報記録又は情報再生を行う光ピックアップに搭載すると、発光点間隔が小さいことから、第1,第2の発光素子1a,2aの各発光点を共に光ピックアップの光学系の光軸近傍に位置合わせることができ、収差等の発生を大幅に改善すること等ができる。
【0093】
また、本実施形態の製造方法によれば、第1,第2の発光素子1a,2aを複数個形成することが可能な中間生成体100,200をSOG3aによって固着した後、劈開及びスクライビング等によって個々の半導体レーザ装置LDAに分割するので、発光素子1a,2aの発光点間隔の最適化制御を、中間生成体100,200を固着する際に一括して行うことができると共に、高精度で位置合わせすることができる。このため、製造工程の簡素化等を実現することができる。
【0094】
このように、本実施形態によれば、波長の異なる複数のレーザ光を出射すると共に、電気的特性に優れ且つ機械的精度の高い半導体レーザ装置LDAを提供することができ、また、かかる半導体レーザ装置LDAを量産性良く製造するための製造方法を提供することができる。
【0095】
なお、第1の発光素子1aの本体部分であるレーザ発振部10aを、V族元素として砒素(As)、リン(P)、アンチモン(Sb)の何れかを含むIII−V族化合物半導体で形成する場合を説明したが、かかるIII−V族化合物半導体に代えて、レーザ発振部10aをII-VI族化合物半導体で形成してもよい。
【0096】
また、絶縁層7a,11aとして、SiO2、ZrO2、AlN等の絶縁材料によって適宜形成するようにしてもよい。
【0097】
また、GaN系半導体を形成する基板として、AlN、AlGaNを用いるようにしてもよい。
【0098】
また、本実施形態では、駆動電流を流入するための導波路5a,8aをリッジ導波路としているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、他の構造であってもよい。
また、上述の絶縁層7aは省略することも可能である。
【0099】
〔変形例〕
次に、第1の実施形態に係る変形例を、図6を参照して説明する。なお、図6において、図1ないし図5に示した半導体レーザ装置LDAと同一又は相当する部分を同一符号で示している。
【0100】
図6(a)は、本変形例の半導体レーザ装置LDAの外部構造を表した斜視図であり、図1(a)に対応させて示されている。
【0101】
図6(b)(c)は、本変形例の半導体レーザ装置LDAの製造工程を模式的に表した斜視図であり、図6(b)は図2(e)に、図6(c)は図4(c)に夫々対応させて示されている。
【0102】
本変形例の半導体レーザ装置LDAと、図1(a)に示した半導体レーザ装置LDAとの構造上の相違点を図6(a)に基づいて説明すると、まず、図1(a)の半導体レーザ装置LDAでは、配線層Qa1,Qa2と電極パッドPa31,Pa32が、突出部分STGaの絶縁層11a上に、同一平面に位置するように形成されている。
【0103】
これに対し、本変形例の半導体レーザ装置LDAでは、一方の配線層Qa1と電極パッドPa31が第1の発光素子1aの半導体基板12a上に絶縁層11aを介して形成され、他方の配線層Qa2と電極Pa32は、半導体基板12a及び絶縁層11a上に形成されている台状のSOG3aの表面に形成されている。
【0104】
本変形例の半導体レーザ装置LDAは次に述べる製造工程によって作成されている。
【0105】
まず、図2(a)〜(e)を参照して説明した製造工程によって中間生成体100が作製され、図3(a)〜(c)を参照して説明した製造工程と同様の製造工程によって中間生成体200が作製されている。
【0106】
ただし、図1(a)に示した半導体レーザ装置LDAでは、図2(e)に示した製造工程(中間生成体100の第5の製造工程)において、溝Rを除いたAlGaInP系薄膜層10Xの上面だけにSOG3aを形成して、配線層Qa2を形成することによって、最終的な中間生成体100を作製しているのに対し、本変形例の半導体レーザ装置LDAでは、図6(b)に示されているように、溝Rを含めて全面的にSOG3aを形成し、更に全面的に形成されたSOG3aの表面に、配線層Qa2を形成することによって、最終的な中間生成体100を作製している。
【0107】
そして、図4(a)(b)に示した製造工程と同様に、図6(b)の中間生成体100と図3(c)の中間生成体200とをSOG3aを介して固着し、YAGレーザの4倍波(波長266nm)を所定の集光レンズで絞り、高エネルギーの光にしてサファイア基板13aの裏面側より照射することによって、中間生成体200におけるサファイア基板13aとの界面近傍のGaNを、金属ガリウムと窒素ガスに分解した後、サファイア基板13aを剥離する。
【0108】
この結果、図1(a)に示した半導体レーザ装置LDAでは、サファイア基板13aが剥離された後の中間生成体が図4(c)に示した構造となるのに対し、本変形例の半導体レーザ装置LDAでは、サファイア基板13aが剥離された後の中間生成体が、図6(c)に示されるように、溝RにおけるSOG3aと配線層Qa2が露出した構造となる。
【0109】
そして、この溝RにおけるSOG3aのうち、配線層Qa2が形成されている所定領域を除いて、部分的にエッチングを施すことによって、配線層Qa1を露出させる。
【0110】
そして、図5(a)(b)に示した製造工程と同様の工程によって、所定の劈開等を行うことにより、図6(a)に示した本変形例の半導体レーザ装置LDAを完成する。
【0111】
かかる構造を有する本変形例の半導体レーザ装置LDAにおいても、上述した図1(a)の半導体レーザ装置LDAと同様の効果を得ることができる。
【0112】
〔第2の実施形態〕
次に、第2の実施形態の半導体レーザ装置LDBを、図7ないし図11を参照して説明する。
なお、図7は、本半導体レーザ装置LDBの外部構造を表した斜視図、図8ないし図11は、本半導体レーザ装置LDBの製造工程を模式的に表した斜視図である。
【0113】
図7において、この半導体レーザ装置LDBは、所定波長(例えば、波長405nm帯)のレーザ光を出射する第1の発光素子1bと、それより長い波長(例えば、波長650nm帯)のレーザ光を出射する第2の発光素子2bとを備え、第1の発光素子1bと第2の発光素子2bが、SiO2系のSOG(spin on glass)3bによって一体に固着されることにより、半導体レーザ装置LDBが実現されている。
【0114】
ここで、第2の発光素子2bの形成領域に比して、半導体基板SUB1の専有領域の方が大きく、これら形成領域と占有領域との大きさの違いによって半導体基板SUB1の突出部分STGbが形成されている。
【0115】
第1の発光素子1bは、V族元素が窒素(N)からなる窒化物系III−V族化合物半導体(GaN系半導体)で形成された半導体基板SUB1と、導波路(本実施形態ではストライプ形状のリッジ導波路)5b及びオーミック電極層6bが形成され上記所定波長のレーザ光を出射する第1のレーザ発振部4bと、オーミック電極層6bを除いたレーザ発振部4bとSOG3bとの間に介在する絶縁層7bと、オーミック電極層6bに電気的に接続され且つ突出部分STGb側に延在するストライプ状の導電性の配線層Qb1と、半導体基板SUB1の底面に形成されたオーミック電極Pb1とを備えて構成されている。
【0116】
ここで、レーザ発振部4bは、V族元素が窒素(N)からなる窒化物系III−V族化合物半導体(GaN系半導体)より成る多重量子井戸構造の活性層及びその活性層を挟むようにして積層された2つのクラッド層とを備えた二重ヘテロ構造(DH)と、SOG3b側に設けられた上述のリッジ導波路5bを備えて形成されている。
【0117】
露出している配線層Qb1とオーミック電極Pb1間に駆動電流を供給すると、その駆動電流がオーミック電極層6bを通じてリッジ導波路5bに流入し、リッジ導波路5bのストライプ形状に沿ってレーザ発振部4b中の上述の活性層に、電流が流入することで光が発生する。
【0118】
更にリッジ導波路5bの長手方向の両端に形成されている劈開面(鏡面)によってレーザ共振器が構成されており、リッジ導波路5bのストライプ形状に沿って発生する光が両端の劈開面(鏡面)で反射されて活性層中を繰り返し往復しながら、次々とキャリア再結合を誘起して誘導放出を行わせることにより、所定波長(例えば、波長405nm帯)のレーザ光が劈開面から出射される。
【0119】
第2の発光素子2bは、導波路(本実施形態ではストライプ形状のリッジ導波路)8b及びオーミック電極層9bを有するレーザ発振部10bと、オーミック電極層9bを除いてレーザ発振部10bとSOG3bとの間に介在する絶縁層11bと、オーミック電極層9bに電気的に接続され且つ突出部分STGb側に延在するストライプ状の導電性の配線層Qb2と、レーザ発振部10bの表面に形成されたオーミック電極Pb2とを備えて構成されている。
【0120】
ここで、レーザ発振部10bは、V族元素として砒素(As)、リン(P)、アンチモン(Sb)の何れかを含むIII−V族化合物半導体(例えば、AlGaInP系半導体)より成る歪量子井戸構造の活性層及びその活性層を挟むようにして積層された2つのクラッド層とを備えた二重ヘテロ構造(DH)と、上述のリッジ導波路8bを備えて形成されている。
【0121】
また、詳細については後述するが、突出部分STGb側の絶縁層7b上に、SOG3bを加工することで形成された台部が設けられ、該台部上に導電性配線層Qb2が延在すると共に、外部から駆動電流を供給するための電極となっている。
【0122】
そして、露出している配線層Qb2とオーミック電極Pb2間に駆動電流を供給すると、その駆動電流がオーミック電極層9bを通じてリッジ導波路8bに流入し、リッジ導波路8bのストライプ形状に沿ってレーザ発振部10b中の上述の活性層に、電流が流入することで光が発生する。
【0123】
更にリッジ導波路8bの長手方向の両端に形成されている劈開面(鏡面)によってレーザ共振器が構成されており、リッジ導波路8bのストライプ形状に沿って発生する光が両端の劈開面(鏡面)で反射されて活性層中を繰り返し往復しながら、次々とキャリア再結合を誘起して誘導放出を行わせることにより、上述の長波長(例えば、波長650nm帯)のレーザ光が劈開面から出射される。
【0124】
このような構造により、本半導体レーザ装置LDAは、第1の発光素子1bと第2の発光素子2bをそれぞれ個別に発光させることができ、また、同時に発光させることも可能となっている。
【0125】
次に、かかる構造を有する半導体レーザ装置LDBの製造工程を、図8ないし図11の斜視図を参照して説明する。
【0126】
まず、図8(a)〜(e)に示す工程によって第1の発光素子1bを形成するための中間生成体300、図9(a)〜(e)に示す工程によって第2の発光素子2bを形成するための中間生成体400を予め作製する。
【0127】
〈中間生成体300の第1の製造工程〉
中間生成体300については、まず、図8(a)に示す工程において、MOCVD法等により、GaN系半導体、より具体的にはn型GaN(0001)の半導体基板SUB1上に、組成と膜厚等の異なったGaN系半導体より成る複数の半導体薄膜を積層することで、図1(b)に示した各層4ab〜4ah等と同様のGaN系薄膜層4X、すなわち、多重量子井戸構造の活性層とクラッド層とを有したGaN系薄膜層4Xを形成する。
【0128】
つまり、半導体基板SUB1上に、Siをドーピングしてn型化したn型GaNから成る下地層を厚さ約5〜15μmで積層し、次に、n型Al0.08Ga0.92Nから成るn型クラッド層を厚さ約0.8μmで積層し、次に、n型GaNから成るn型ガイド層を厚さ約0.2μmで積層し、次に、In0.08Ga0.92NとIn0.01Ga0.99Nから成る井戸層とバリア層との多重量子井戸構造から成る活性層を約数十nmの厚さで積層し、次に、Al0.2Ga0.8Nから成る電子障壁層を厚さ約0.02μmで積層し、次に、Mgをドーピングしてp型化したp型GaNから成るp型ガイド層を厚さ約0.2μmで積層し、次に、p型Al0.08Ga0.92Nから成るp型クラッド層を厚さ約0.4μmで積層し、次に、p型GaNから成るp側コンタクト層を厚さ約0.1μmで積層することによって、GaN系薄膜層4Xを形成する。
【0129】
〈中間生成体300の第2の製造工程〉
次に、図8(b)に示すように、GaN系薄膜層4Xに複数のリッジ導波路5bを形成し、更にリッジ導波路5b上にオーミック電極層6bを形成する。
【0130】
すなわち、上述のp側コンタクト層上に、複数個分のリッジ導波路5bの形状に合わせたマスクを〈1−100〉方向に沿って形成し、該マスクから露出している部分を反応性イオンエッチング(RIE)によってエッチングする。
【0131】
ここで、上述のp型ガイド層が約0.05μm程度の厚さとなる深さまでエッチングすることによって、ストライプ形状のリッジ導波路5bを複数個形成する。
【0132】
そして、上述のマスクを除去した後、リッジ導波路5b上に、蒸着によってPd又はAu若しくはこれらの合金から成るオーミック電極層6bを厚さ約200nmで形成する。
【0133】
〈中間生成体300の第3の製造工程〉
次に、図8(c)に示すように、オーミック電極層6b以外のGaN系薄膜層4Xの表面に、ZrO2から成る絶縁層7bを形成する。
【0134】
〈中間生成体300の第4の製造工程〉
次に、図8(d)に示すように、蒸着によって、Auから成る所定幅の配線層Qb1をオーミック電極層6bと絶縁層7b上に、リッジ導波路5bの長手方向に対して略直交させて形成する。このとき、配線層Qb1とオーミック電極層6bとは電気的に接続している。
【0135】
〈中間生成体300の第5の製造工程〉
次に、図8(e)に示すように、GaN系薄膜層4X上の全面に、SiO2系のSOG3bを形成することで、最終的な中間生成体300を作製する。
【0136】
〈中間生成体400の第1の製造工程〉
次に、中間生成体400については、まず図9(a)に示すように、III-V族化合物半導体、より具体的にはn型GaAs(001)の半導体基板SUB2の上面に、MOCVD法により、InGaPから成るエッチングストップ層STPを形成した後、エッチングストップ層STP上に、図1(b)に示した各層10aa〜10ae等と同様のAlGaInP系薄膜層10X、すなわち、歪量子井戸構造の活性層とクラッド層とを有したAlGaInP系薄膜層10Xを積層する。
【0137】
つまり、半導体基板SUB2の上面にエッチングストップ層STPを形成した後、エッチングストップ層STP上に、Siをドーピングしてn型化したn型GaAsから成るバッファ層を厚さ約0.5μmで積層し、次に、n型Al0.35Ga0.15In0.5Pから成るn型クラッド層を厚さ約1.2μmで積層し、次に、AlGaInPから成るn型ガイド層を、厚さ0.05μmで積層する。
【0138】
次に、GaInPとAlGaInPとから成る歪量子井戸構造の活性層を数十nmの厚さで積層し、次に、AlGaInPから成るp型ガイド層を、厚さ0.05μmで積層し、次に、Znをドーピングしてp型化したAl0.35Ga0.15In0.5Pから成るp型クラッド層を厚さ約1.2μmで積層し、次に、p型Ga0.51In0.49Pから成る通電層を厚さ約0.05μmで積層し、次に、p型GaAsから成るp側コンタクト層を厚さ約0.2μmで積層することにより、AlGaInP系薄膜層10Xを形成する。
【0139】
〈中間生成体400の第2の製造工程〉
次に、図9(b)に示すように、AlGaInP系薄膜層10X上に、図8(b)に示したリッジ導波路5bと同じ間隔で、〈110〉方向に沿った複数個分のリッジ導波路8bを形成すべくマスクを形成し、該マスクから露出した部分を、硫酸:過酸化水素水:水の比を4:1:1としたエッチング液等でウエットエッチングする。
【0140】
ここで、上述のp型クラッド層が約0.2μm程度の厚さとなる深さまでエッチングを行うことによって、ストライプ形状のリッジ導波路8bを複数個形成する。
【0141】
次に、上述のマスクを除去した後、リッジ導波路8b上に、Cr又はAu若しくはこれらの合金から成るオーミック電極層9bを形成する。
【0142】
〈中間生成体400の第3の製造工程〉
次に、オーミック電極層9b以外のAlGaInP系薄膜層10Xの表面に、SiO2の絶縁層11bを形成する。
【0143】
〈中間生成体400の第4の製造工程〉
次に、図9(d)に示すように、蒸着によって、Auから成る所定幅の配線層Qb2を、オーミック電極層9bと絶縁層11b上に、リッジ導波路8bの長手方向に対して略直交させて形成する。このとき、配線層Qb2とオーミック電極層9bとは電気的に接続している。
【0144】
〈中間生成体400の第5の製造工程〉
次に、図9(e)に示すように、AlGaInP系薄膜層10X上の全面に、SiO2系のSOG3bを形成することで、最終的な中間生成体400を作製する。
【0145】
〈半導体レーザ装置LDBの第1の製造工程〉
次に、図10及び図11に示す工程により、予め作製した中間生成体300,400から本半導体レーザ装置LDBを製造する。
【0146】
まず、図10(a)に示すように、図8(e)と図9(e)に示した、最終的に作製された中間生成体300,400のリッジ導波路5b,8bを向かい合わせ、更にGaN系薄膜層4Xの劈開面(1-100)とAlGaInP系薄膜層10Xの劈開面(110)を一致させるようにして、中間生成体300のSOG3aと中間生成体400のSOG3aとを密着させる。
【0147】
更に、上述のSOG3aを密着させた状態で、約550°Cで加熱することにより、中間生成体300のSOG3aと中間生成体400のSOG3aとを固着させて一体化させると共に、中間生成体400に形成されている配線層Qb2をSOG3a中に埋設する。
【0148】
〈半導体レーザ装置LDBの第2の製造工程〉
次に、図10(b)に示すように、硫酸:過酸化水素水:水の比を4:1:1としたエッチング液により、n型GaAsの半導体基板SUB2をウエットエッチングすることによって除去した後、そのウエットエッチングにより露出することとなったエッチングストップ層STPを、塩酸:水の比を1:1としたエッチング液でエッチングすることによって除去し、AlGaInP系薄膜層10Xを露出させる。
【0149】
つまり、上述の中間生成体400の第1の製造工程で説明した、n型GaAsから成るバッファ層を露出させる。
【0150】
〈半導体レーザ装置LDBの第3の製造工程〉
次に、図10(c)に示すように、レーザ発振部10bを形成すべき領域にマスクを形成し、AlGaInP系薄膜層10Xのうち該マスクから露出した部分をウエットエッチングする。
【0151】
これにより、図示するように複数のレーザ発振部10bを形成すると共に、各レーザ発振部10bの間の絶縁層11bを露出させる。
【0152】
〈半導体レーザ装置LDBの第4の製造工程〉
次に、図11(a)に示すように、上述の露出した絶縁層11bとSOG3bに対し、CF4ガスを用いてドライエッチングを施すことにより、配線層Qb1とQb2を露出させると共に、台状のSOG3bを形成する。
【0153】
すなわち、CF4ガスによってドライエッチングを行うと、SiO2の絶縁層11bはエッチングされ、Auの配線層Qb1とQb2はエッチングされず、更に、SiO2系のSOGb3のうち配線層Qb2の下側に位置する部分を除いてエッチングされる。この結果、図11(a)に示すように、台状のSOG3bが残存し、その台状のSOG3b上の配線層Qb2と、ZrO2で形成されている絶縁層7b上の配線層Qb1が残存する。
【0154】
このように、CF4ガスによってドライエッチングを行うだけで、配線に必要な配線層Qb1,Qb2を露出させ、その露出のために不要となる部分を除去することができるため、製造工程の簡素化が可能となっている。
【0155】
〈半導体レーザ装置LDBの第5の製造工程〉
次に、図11(b)に示すように、レーザ発振部10bの露出面(表面)に、AuGeの合金から成るオーミック電極Pb2、n型GaNの半導体基板SUB1の底面に、Ti又はAu若しくはこれらの合金から成るオーミック電極Pb1を蒸着等によって形成した後、GaN系薄膜層4Xの劈開面である(1-100)面に沿って劈開することによってレーザ共振器を構成する。
【0156】
更に、配線層Qb1,Qb2が露出している部分で、レーザ共振器面と垂直な方向に二次劈開することによって、図7に示した第1,第2の発光素子1b,2bを有する半導体レーザ装置LDBを完成する。
【0157】
このように本半導体レーザ装置LDBによれば、レーザ発振部4b,10bを薄い(厚さの小さい)SOG3bによって固着する構造とすることができるため、レーザ発振部4b,10bにおける発光点間隔を小さくすることができる。別言すれば、レーザ発振部4b,10bを薄いSOG3bで固着する構造と成っているため、レーザ発振部4bの活性層とレーザ発振部10bの活性層との間隔を狭くすることができ、レーザ発振部4bの活性層に位置する発光点とレーザ発振部10bの活性層に位置する発光点との発光点間隔を小さくすることが可能となっている。
【0158】
また、レーザ発振部4bと10bは、p型半導体側のオーミック電極層6a,9aがリッジ導波路5a,8a上にのみ形成されていることから寄生容量が少なく、これらレーザ発振部4a,10aの応答特性、すなわち駆動電流の高周波応答特性を向上させることができる。
【0159】
また、レーザ発振部4b,10bがSOG3bによって電気的に分離されているので、夫々個別に発光させることができ、また、同時に発光させることが可能となっている。そして、第1,第2の発光素子1b,2bの一方を発光させた場合でも、他方が逆バイアスの状態となる等の問題が生じることがない。
【0160】
また、本半導体レーザ装置LDBを、CDやDVDその他のストレージ媒体に対して情報記録又は情報再生を行う光ピックアップに搭載すると、発光点間隔が小さいことから、第1,第2の発光素子1b,2bの各発光点を共に光ピックアップの光学系の光軸近傍に位置合わせることができ、収差等の発生を大幅に改善すること等ができる。
【0161】
また、本実施形態の製造方法によれば、第1,第2の発光素子1b,2bを複数個形成することが可能な中間生成体300,400をSOG3bによって固着した後、劈開及びスクライビング等によって個々の半導体レーザ装置LDBに分割するので、発光素子1b,2bの発光点間隔の最適化制御を、中間生成体300,400を固着する際に一括して行うことができると共に、高精度で位置合わせすることができ、更なる製造工程の簡素化等を実現することができる。
【0162】
更に又、本実施形態の製造方法は、図10(b)(c)を参照して説明した工程(半導体レーザ装置LDBの第2,第3の製造工程)において、n型GaAsの半導体基板SUB2及びAlGaInP系薄膜10Xを加工することで絶縁膜11bを露出させることとしている。このため、第1の発光素子1b側の半導体基板SUB1にGaN半導体基板を用いることができるため、結晶性の良いGaN系薄膜層4Xを作製することが可能となる。
【0163】
このように、本実施形態によれば、波長の異なる複数のレーザ光を出射すると共に、電気的特性に優れ且つ機械的精度の高い半導体レーザ装置LDBを提供することができ、また、かかる半導体レーザ装置LDBを量産性良く製造するための製造方法を提供することができる。
【0164】
なお、第1の発光素子1bの本体部分であるレーザ発振部4bを、V族元素が窒素(N)からなる窒化物系III−V族化合物半導体で形成する場合を説明したが、かかる窒化物系III−V族化合物半導体に代えて、レーザ発振部4bをII-VI族化合物半導体で形成してもよい。
【0165】
また、絶縁層11bは、上述のCF4ガスでドライエッチングされる材料であれば他の材料でもよく、また、絶縁層7bは、CF4ガスでドライエッチングされない材料であれば他の材料でもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長の異なる複数のレーザ光を出射する半導体レーザ装置であって、
半導体基板上に積層された第1のレーザ発振部と、前記第1のレーザ発振部と異なる波長で発振する第2のレーザ発振部とを備え、
前記半導体基板とは反対側の前記第1のレーザ発振部の面と、前記第2のレーザ発振部の発光部から近い側の面が絶縁性の接着層により固着されており、
前記第1、第2のレーザ発振部の導波路上の表面に形成された第1、第2のオーミック電極層と、
前記第1、第2のレーザ発振部の間に形成されると共に、前記第1、第2のオーミック電極層に電気的且つ個別に接続する第1、第2の配線層と、
を有することを特徴とする半導体レーザ装置。
【請求項2】
前記第2のレーザ発振部側から見て前記第1のレーザ発振部または半導体基板が部分的に突出しており、前記突出した部分の面上に前記第1、第2の配線層が延在していることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。
【請求項3】
前記接着層は、SOG(spin on glass)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体レーザ装置。
【請求項4】
前記第1のレーザ発振部の前記オーミック電極層以外の領域と前記第1の配線層の間に、前記接着層とは異なる材質から成る絶縁層が形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項5】
前記半導体基板は、III-V族化合物半導体から成り、
前記第1の発振部は、V族元素として砒素(As)、リン(P)、アンチモン(Sb)の何れかを含むIII-V族化合物半導体、又はII-VI族化合物半導体を有し、
前記第2のレーザ発振部は、V族元素が窒素(N)からなる窒化物系III-V族化合物半導体を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項6】
前記第1の発振部は、V族元素が窒素(N)からなる窒化物系III-V族化合物半導体を有し、
前記第2のレーザ発振部は、V族元素として砒素(As)、リン(P)、アンチモン(Sb)の何れかを含むIII-V族化合物半導体、又はII-VI族化合物半導体を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項7】
波長の異なる複数のレーザ光を出射する半導体レーザ装置の製造方法であって、
半導体基板上に少なくとも活性層と導波路とを含む第1の薄膜層を形成することにより、第1の中間生成体を作製する工程と、
支持基板上に少なくとも活性層と導波路とを含む第2の薄膜層を形成することにより、第2の中間生成体を作製する工程と、
前記第1、第2の中間生成体の前記導波路側を対向させて、前記第1、第2の中間生成体間を絶縁性の接着層により固着する工程と、
前記支持基板を除去して、前記第2の薄膜層を露出させる工程と、
を備えることを特徴とする半導体レーザ装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1の中間生成体を作製する工程は、前記第1の薄膜層の導波路側の面に、該導波路に沿った第1のオーミック電極層と、前記第1のオーミック電極層と電気的に接続する第1の配線層と、該導波路を含む所定領域を覆う第1の絶縁性の接着層と、第2の配線層を重ねて形成する工程を有し、
前記第2の中間生成体を作製する工程は、前記第2の薄膜層の導波路面側の面に、該導波路に沿った第2のオーミック電極層と、前記第2のオーミック電極層以外の領域に第2の絶縁性の接着層を形成する工程を有し、
前記第1、第2の中間生成体間を絶縁性の接着層により固着する工程は、前記第2の配線層と前記第2のオーミック電極層とを電気的に接続させて前記第1、第2の絶縁性の接着層を密着させることによって、前記絶縁性の接着層による前記第1、第2の中間生成体間の固着を行う工程を有することを特徴とする請求項7に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
【請求項9】
前記接着層は、SOG(spin on glass)であることを特徴とする請求項7又は8に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
【請求項10】
前記半導体基板は、III-V族化合物半導体から成り、
前記第1の薄膜層は、V族元素として砒素(As)、リン(P)、アンチモン(Sb)の何れかを含むIII-V族化合物半導体、又はII-VI族化合物半導体を有し、
前記第2の薄膜層は、V族元素が窒素(N)からなる窒化物系III-V族化合物半導体を有することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
【請求項11】
前記支持基板はサファイア基板又はAlN基板であり、
前記第2の薄膜層を露出させる工程は、前記支持基板の裏面から前記支持基板と第2の薄膜層との接合部近傍に光を照射し、前記接合部近傍を加熱分解する工程を有することを特徴とする請求項10に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
【請求項12】
前記光は、360nm以下の波長を有するレーザ光であることを特徴とする請求項11に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
【請求項13】
波長の異なる複数のレーザ光を出射する半導体レーザ装置の製造方法であって、
第1の半導体基板上に少なくとも活性層と導波路とを含む第1の薄膜層を形成することにより、第1の中間生成体を作製する工程と、
第2の半導体基板上に少なくとも活性層と導波路とを含む第2の薄膜層を形成することにより、第2の中間生成体を作製する工程と、
前記第1、第2の中間生成体の前記導波路側を対向させて、前記第1、第2の中間生成体間を絶縁性の接着層により固着する工程と、
前記第2の半導体基板を除去して、前記第2の薄膜層を露出させる工程と、
を備えることを特徴とする半導体レーザ装置の製造方法。
【請求項14】
前記第1の中間生成体を作製する工程は、前記第1の薄膜層の導波路側の面に、該導波路に沿った第1のオーミック電極層と、前記第1のオーミック電極層と電気的に接続する第1の配線層と、第1の接着層とを重ねて形成する工程を有し、
前記第2の中間生成体を作製する工程は、前記第2の薄膜層の導波路側の面に、該導波路に沿った第2のオーミック電極と、前記第2のオーミック電極層と電気的に接続する第2の配線層と、第2の接着層とを重ねて形成する工程を有し、
前記第1、第2の中間生成体間を接着層により固着する工程は、前記第1、第2の接着層を密着させることによって前記第1、第2の中間生成体間を固着する工程を有することを特徴とする請求項13に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
【請求項15】
前記第1の中間生成体を作製する工程は、前記第1の薄膜層の導波路側の面に、前記第1のオーミック電極層を除いて被覆する前記接着層と異なる材質の絶縁層を形成し、該絶縁層上に前記第1のオーミック電極層と電気的に接続する前記第1の配線層を形成する工程を有することを特徴とする請求項14に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
【請求項16】
更に、前記第2の半導体基板を除去して前記第2の薄膜層を露出させる工程に続いて、前記第2の薄膜層及び前記接着層を部分的にエッチングし、前記第1、第2の配線層及び前記絶縁層を部分的に露出させる工程を有することを特徴とする請求項15に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
【請求項17】
前記接着層は、SOG(spin on glass)であることを特徴とする請求項13〜16のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
【請求項18】
前記第1の半導体基板は、V族元素が窒素(N)からなる窒化物系III-V族化合物半導体から成り、
前記第1の薄膜層は、V族元素が窒素(N)からなる窒化物系III-V族化合物半導体を有し、
前記第2の半導体基板は、III-V族化合物半導体から成り、
前記第2の薄膜層は、V族元素として砒素(As)、リン(P)、アンチモン(Sb)の何れかを含むIII-V族化合物半導体、又はII-VI族化合物半導体を有することを特徴とする請求項13〜17のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
【請求項1】
波長の異なる複数のレーザ光を出射する半導体レーザ装置であって、
半導体基板上に積層された第1のレーザ発振部と、前記第1のレーザ発振部と異なる波長で発振する第2のレーザ発振部とを備え、
前記半導体基板とは反対側の前記第1のレーザ発振部の面と、前記第2のレーザ発振部の発光部から近い側の面が絶縁性の接着層により固着されており、
前記第1、第2のレーザ発振部の導波路上の表面に形成された第1、第2のオーミック電極層と、
前記第1、第2のレーザ発振部の間に形成されると共に、前記第1、第2のオーミック電極層に電気的且つ個別に接続する第1、第2の配線層と、
を有することを特徴とする半導体レーザ装置。
【請求項2】
前記第2のレーザ発振部側から見て前記第1のレーザ発振部または半導体基板が部分的に突出しており、前記突出した部分の面上に前記第1、第2の配線層が延在していることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。
【請求項3】
前記接着層は、SOG(spin on glass)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体レーザ装置。
【請求項4】
前記第1のレーザ発振部の前記オーミック電極層以外の領域と前記第1の配線層の間に、前記接着層とは異なる材質から成る絶縁層が形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項5】
前記半導体基板は、III-V族化合物半導体から成り、
前記第1の発振部は、V族元素として砒素(As)、リン(P)、アンチモン(Sb)の何れかを含むIII-V族化合物半導体、又はII-VI族化合物半導体を有し、
前記第2のレーザ発振部は、V族元素が窒素(N)からなる窒化物系III-V族化合物半導体を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項6】
前記第1の発振部は、V族元素が窒素(N)からなる窒化物系III-V族化合物半導体を有し、
前記第2のレーザ発振部は、V族元素として砒素(As)、リン(P)、アンチモン(Sb)の何れかを含むIII-V族化合物半導体、又はII-VI族化合物半導体を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項7】
波長の異なる複数のレーザ光を出射する半導体レーザ装置の製造方法であって、
半導体基板上に少なくとも活性層と導波路とを含む第1の薄膜層を形成することにより、第1の中間生成体を作製する工程と、
支持基板上に少なくとも活性層と導波路とを含む第2の薄膜層を形成することにより、第2の中間生成体を作製する工程と、
前記第1、第2の中間生成体の前記導波路側を対向させて、前記第1、第2の中間生成体間を絶縁性の接着層により固着する工程と、
前記支持基板を除去して、前記第2の薄膜層を露出させる工程と、
を備えることを特徴とする半導体レーザ装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1の中間生成体を作製する工程は、前記第1の薄膜層の導波路側の面に、該導波路に沿った第1のオーミック電極層と、前記第1のオーミック電極層と電気的に接続する第1の配線層と、該導波路を含む所定領域を覆う第1の絶縁性の接着層と、第2の配線層を重ねて形成する工程を有し、
前記第2の中間生成体を作製する工程は、前記第2の薄膜層の導波路面側の面に、該導波路に沿った第2のオーミック電極層と、前記第2のオーミック電極層以外の領域に第2の絶縁性の接着層を形成する工程を有し、
前記第1、第2の中間生成体間を絶縁性の接着層により固着する工程は、前記第2の配線層と前記第2のオーミック電極層とを電気的に接続させて前記第1、第2の絶縁性の接着層を密着させることによって、前記絶縁性の接着層による前記第1、第2の中間生成体間の固着を行う工程を有することを特徴とする請求項7に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
【請求項9】
前記接着層は、SOG(spin on glass)であることを特徴とする請求項7又は8に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
【請求項10】
前記半導体基板は、III-V族化合物半導体から成り、
前記第1の薄膜層は、V族元素として砒素(As)、リン(P)、アンチモン(Sb)の何れかを含むIII-V族化合物半導体、又はII-VI族化合物半導体を有し、
前記第2の薄膜層は、V族元素が窒素(N)からなる窒化物系III-V族化合物半導体を有することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
【請求項11】
前記支持基板はサファイア基板又はAlN基板であり、
前記第2の薄膜層を露出させる工程は、前記支持基板の裏面から前記支持基板と第2の薄膜層との接合部近傍に光を照射し、前記接合部近傍を加熱分解する工程を有することを特徴とする請求項10に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
【請求項12】
前記光は、360nm以下の波長を有するレーザ光であることを特徴とする請求項11に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
【請求項13】
波長の異なる複数のレーザ光を出射する半導体レーザ装置の製造方法であって、
第1の半導体基板上に少なくとも活性層と導波路とを含む第1の薄膜層を形成することにより、第1の中間生成体を作製する工程と、
第2の半導体基板上に少なくとも活性層と導波路とを含む第2の薄膜層を形成することにより、第2の中間生成体を作製する工程と、
前記第1、第2の中間生成体の前記導波路側を対向させて、前記第1、第2の中間生成体間を絶縁性の接着層により固着する工程と、
前記第2の半導体基板を除去して、前記第2の薄膜層を露出させる工程と、
を備えることを特徴とする半導体レーザ装置の製造方法。
【請求項14】
前記第1の中間生成体を作製する工程は、前記第1の薄膜層の導波路側の面に、該導波路に沿った第1のオーミック電極層と、前記第1のオーミック電極層と電気的に接続する第1の配線層と、第1の接着層とを重ねて形成する工程を有し、
前記第2の中間生成体を作製する工程は、前記第2の薄膜層の導波路側の面に、該導波路に沿った第2のオーミック電極と、前記第2のオーミック電極層と電気的に接続する第2の配線層と、第2の接着層とを重ねて形成する工程を有し、
前記第1、第2の中間生成体間を接着層により固着する工程は、前記第1、第2の接着層を密着させることによって前記第1、第2の中間生成体間を固着する工程を有することを特徴とする請求項13に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
【請求項15】
前記第1の中間生成体を作製する工程は、前記第1の薄膜層の導波路側の面に、前記第1のオーミック電極層を除いて被覆する前記接着層と異なる材質の絶縁層を形成し、該絶縁層上に前記第1のオーミック電極層と電気的に接続する前記第1の配線層を形成する工程を有することを特徴とする請求項14に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
【請求項16】
更に、前記第2の半導体基板を除去して前記第2の薄膜層を露出させる工程に続いて、前記第2の薄膜層及び前記接着層を部分的にエッチングし、前記第1、第2の配線層及び前記絶縁層を部分的に露出させる工程を有することを特徴とする請求項15に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
【請求項17】
前記接着層は、SOG(spin on glass)であることを特徴とする請求項13〜16のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
【請求項18】
前記第1の半導体基板は、V族元素が窒素(N)からなる窒化物系III-V族化合物半導体から成り、
前記第1の薄膜層は、V族元素が窒素(N)からなる窒化物系III-V族化合物半導体を有し、
前記第2の半導体基板は、III-V族化合物半導体から成り、
前記第2の薄膜層は、V族元素として砒素(As)、リン(P)、アンチモン(Sb)の何れかを含むIII-V族化合物半導体、又はII-VI族化合物半導体を有することを特徴とする請求項13〜17のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【国際公開番号】WO2005/041373
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【発行日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514918(P2005−514918)
【国際出願番号】PCT/JP2004/014088
【国際出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【発行日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【国際出願番号】PCT/JP2004/014088
【国際出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】
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