半導体素子、半導体素子製造装置用ツールおよび半導体素子の製造方法
【課題】熱硬化性樹脂を介して半導体素子をテープ基板へ搭載する際に、ハンダ材によるフリップチップ接合の信頼性を高め、隣接する未搭載領域における熱硬化性樹脂の硬化を防止した半導体素子、半導体素子製造装置用ツールおよび半導体素子の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の半導体素子は、第一の外部接続電極を有する半導体ウエハと、該第一の外部接続電極の一部と整合する第二の外部接続電極を有するテープ基板と、該第一の外部接続電極と該第二の外部接続電極とを電気的に接続するハンダ材とを含み、該テープ基板の面積が該半導体ウエハの面積よりも小さく、該半導体ウエハの表面に設けられた熱硬化性樹脂のうち、該ハンダ材による接合時の加熱で硬化した部分と、その後の加熱工程で硬化した部分とを有する。
【解決手段】本発明の半導体素子は、第一の外部接続電極を有する半導体ウエハと、該第一の外部接続電極の一部と整合する第二の外部接続電極を有するテープ基板と、該第一の外部接続電極と該第二の外部接続電極とを電気的に接続するハンダ材とを含み、該テープ基板の面積が該半導体ウエハの面積よりも小さく、該半導体ウエハの表面に設けられた熱硬化性樹脂のうち、該ハンダ材による接合時の加熱で硬化した部分と、その後の加熱工程で硬化した部分とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子、半導体素子製造装置用ツールおよび半導体素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子をテープ基板上へ搭載する半導体素子の実装装置、およびその実装方法としては、特許文献1に開示されているものがある。これは、テープ基板上に供給した熱硬化性接着剤を、半導体素子搭載毎に半導体素子を介してツールから供給される熱により半硬化状態にし、その後、オーブンまたはリフロー炉により熱硬化性接着剤を硬化させる。これにより、初期のダイボンディング時に熱硬化性樹脂を半硬化状態にすることができ、半導体素子のズレを防ぎ、半導体素子を微小間隔でダイボンディングする必要がある場合であっても、所定の位置に正確に配置することができる半導体素子の実装装置およびその実装方法を提供するというものである。
【0003】
また、半導体素子の高密度実装を実現する実装方法として、フリップチップ実装がある。フリップチップ実装とは、テープ基板上にチップを実装する方法の1つである。フリップチップ実装では、チップ表面と基板とを電気的に接続する際、ワイヤ・ボンディングのようにワイヤによって接続するのではなく、チップ上に形成されアレイ状に並んだバンプと呼ばれる突起状の端子(外部接続電極)によって接続する。上記バンプは、ハンダ等によりテープ基板上の接続電極と接続される。これにより、ワイヤ・ボンディングに比べて実装面積を小さくできる。また、配線が短いために電気的特性が良いという特徴もある。
【0004】
【特許文献1】特開平11−251335号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の方法は、半導体素子とテープ基板との電気的導通をワイヤで行う、比較的低密度な実装の場合には有効であるが、高密度実装を実現するフリップチップ実装に対しては有効ではない。フリップチップ実装では、半導体素子とテープ基板とが、アレイバンプで接続さているため、半導体素子とテープ基板との搭載ズレ防止の要求は厳しい。すなわち、特許文献1に示されているように、熱硬化性樹脂を半硬化状態とすることは、半導体素子とテープ基板との搭載ズレの原因となる。
【0006】
また、上記搭載ズレを防止するため、上記ツールの温度を上げ、半導体素子のテープ基板へ搭載、あるいはテープ基板の半導体素子への搭載において、上記チップ上のバンプとテープ基板上の接続電極とを接合するハンダの温度を、加熱ツールによって融点以上に加熱溶融し、上記バンプと接続電極とを接続することは、必要以上に周囲の熱硬化性樹脂の温度を上げることとなる。これにより、搭載領域から隣接する未搭載領域への熱伝導により、未搭載領域の温度が上昇してしまい、半導体素子を上記未搭載領域に搭載する前に熱硬化性樹脂が硬化してしまう、という問題を本発明者は見出した。この問題は、半導体素子を微小間隔で搭載する場合に顕著となる。
【0007】
本発明の目的は、熱硬化性樹脂を介して半導体素子をテープ基板へ搭載する際に、ハンダ材によるフリップチップ接合の信頼性を高め、隣接する未搭載領域における熱硬化性樹脂の硬化を防止した半導体素子、半導体素子製造装置用ツールおよび半導体素子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の半導体素子は、第一の外部接続電極を有し、熱硬化性樹脂を塗布または貼付した半導体ウエハと、該第一の外部接続電極の一部と整合する第二の外部接続電極を有するテープ基板と、該第一の外部接続電極と該第二の外部接続電極とを電気的に接続するハンダ材とを含む半導体素子であって、該テープ基板の面積が該半導体ウエハの面積よりも小さく、該半導体ウエハの表面に設けられた該熱硬化性樹脂のうち、該ハンダ材による接合時の加熱で硬化した部分と、その後の加熱工程で硬化した部分とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明の半導体素子製造装置用ツールは、第一の外部接続電極を有する半導体ウエハと、該第一の外部接続電極の一部と整合する第二の外部接続電極を有するテープ基板と、該第一の外部接続電極と該第二の外部接続電極とを電気的に接続するハンダ材とを含む半導体素子を製造するための半導体素子製造装置用ツールであって、先端部が、高熱伝導率部材および低熱伝導率部材を含む2種類以上の部材から構成され、該ハンダ材を加熱するための高熱伝導率部材の熱伝導率が、その周辺部に設けた低熱伝導率部材の熱伝導率に比べて大きいことを特徴とする。
【0010】
本発明の半導体素子の製造方法は、第一の外部接続電極を有し、熱硬化性樹脂を塗布または貼付した半導体ウエハと、該第一の外部接続電極の一部と整合する第二の外部接続電極を有するテープ基板と、該第一の外部接続電極と該第二の外部接続電極とを電気的に接続するハンダ材とを含む半導体素子の製造方法であって、該テープ基板を真空吸着によりピックアップする工程と、該第二の外部接続電極が該第一の外部接続電極の一部と整合するように該テープ基板の位置決めを行う工程と、該ハンダ材と該熱硬化性樹脂の一部とを加熱し、該第一の外部接続電極と該第二の外部接続電極とを該ハンダ材を用いて接合させる工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、半導体ウエハ上に熱硬化性樹脂を塗布し、個片化したテープ基板を、加熱ツールを用いて搭載する半導体装置の製造方法において、加熱ツールを2種類以上の部材から構成し、半導体ウエハ上の外部接続電極とテープ基板上の外部接続電極とを接合するハンダ材に隣接する加熱ツールの部材の熱伝導率を、その周辺部材の熱伝導率に比べて大きくすることによって、効率良くハンダ材を加熱することが可能である。
【0012】
また、本発明によれば、加熱ツールの上記周辺部材の熱伝導率が低いため、基板未搭載部の熱硬化性樹脂の温度上昇を抑制するとともに、未搭載領域の熱硬化性樹脂の硬化を防ぐことができる。
【0013】
さらに、本発明によれば、半導体素子の集積度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、熱硬化性樹脂を用いて半導体ウエハ上へテープ基板を搭載する半導体素子のフリップチップ実装装置、およびその半導体素子の製造方法に関する。また、本発明は、当該実装装置または当該製造方法で製造された半導体素子に関する。
【0015】
テープ基板は、ポリイミド樹脂等の耐熱樹脂をテープ状にしたものであり、高価であるため、できるだけ使用量を減らしたいというニーズがある。
【0016】
本発明の半導体素子製造装置用ツールは、外部接続電極が表面上に形成された半導体ウエハと、該外部接続電極の一部と整合するように接続電極が形成され、個片化されたテープ基板を、該半導体ウエハ上の外部接続電極と該テープ基板上の外部接続電極とをハンダ材を用いて接合させ、加熱ツールを用いて、該半導体ウエハ上に、上記個片化されたテープ基板を搭載する半導体素子の製造装置用ツールであって、該加熱ツールの先端が2種類以上の部材から形成され、該ハンダ材を該加熱ツールへ投影した箇所の該加熱ツールの部材の熱伝導率が、その周辺部材の熱伝導率に比べ大きいことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の半導体素子の製造方法は、外部接続電極が表面上に形成された半導体ウエハと、上記外部接続電極の一部と整合するように接続電極が形成され、個片化されたテープ基板を、上記半導体ウエハ上の外部接続電極とテープ基板上の外部接続電極とをハンダ材を用いて接合させ、加熱ツールを用いて、上記半導体ウエハ上に、上記個片化されたテープ基板を搭載する半導体素子の製造方法において、上記加熱ツールの先端が2種類以上の部材から形成され、上記ハンダ材を上記加熱ツールへ投影した領域の加熱ツール部材の熱伝導率が、その周辺部材の熱伝導率に比べて大きいことを特徴とする。
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図1〜9に示した実施例により説明する。
【0019】
図1、2は、本発明による第一の実施例である半導体ウエハへのテープ基板の実装方法を示す主要部分の断面構造図である。図3は、半導体ウエハの上面図を示しており、半導体ウエハ2上には、第一の外部接続電極(バンプ)4が形成されている。図3のA−A’断面が図1の半導体ウエハ断面に対応している。ここで、半導体ウエハ2上の第一の外部接続電極4は、テープ基板6搭載位置の中央に一列に並んだ場合を例に記載している。図4(a)は、加熱ツールの縦断面図を示したものであり、図4(b)は、図4(a)のB−B’断面図を示す。加熱ツール7は高熱伝導率部材10と低熱伝導率部材11とを含む。ここで、加熱ツール7の高熱伝導率部材10は、図3に示した半導体ウエハ2上の第一の外部接続電極4上を効率よく加熱するように、中央部に配置されている。また、加熱ツール7は、本発明による半導体素子製造装置用ツールの主要部である。
【0020】
図5は、半導体ウエハ2上にテープ基板6を搭載するウエハマップの実施例を示す上面図である。また、図6は、図5の部分拡大図である。図6には、個片化する際のダイシングライン19、20を記してある。また、図7および図8は、半導体ウエハ2上の第一の外部接続電極4が、テープ基板6搭載位置の中央に2列に並んだ場合の実施例を示す縦断面図である。図9は、図6のC−C’断面図であり、半導体ウエハ2へのテープ基板6の搭載工程例を示した図である。
【0021】
本発明による半導体素子の実装方法の手順を、図1、2、9を用いて説明する。
【0022】
(1)まず、図1に示すように、台座1上に半導体ウエハ2を設置し、上記半導体ウエハ2上に熱硬化性樹脂3(アンダーフィル)を塗布する。ここで、半導体ウエハ2上には、第一の外部接続電極4が形成されている。また、本実施例では、熱硬化性樹脂3としてNCF(Non−Conductive Film)やNCP(Non−Conductive Paste)を用いている。
【0023】
そして、個片化されたテープ基板6を、加熱ツール7を用いて搭載位置上に移動する。ここで、テープ基板6は、ポリイミド樹脂等の耐熱樹脂をテープ状にしたものである。また、テープ基板6上には、金(Au)または金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)等を含む合金を用いた第二の外部接続電極8が形成されており、ハンダ材5が第二の外部接続電極8の表面に備えられている。なお、テープ基板6には、表面と裏面とを導通させる配線が設けてあり、表面にある一つの第二の外部接続電極8を裏面にある複数の端子(図示せず)に電気的に接続することが可能である。このため、テープ基板6は、第二の外部接続電極8と複数の端子とを結ぶ配線を設けた回路基板と呼ぶこともできる。
【0024】
また、本実施例では、ハンダ材5は略球形であり、直径が約50μmである。
【0025】
また、加熱ツール7には、真空吸着可能な穴(図示せず)が設けられており、真空ポンプ(図示せず)に接続されている。テープ基板6は、真空吸着により加熱ツール7でピックアップされている。
【0026】
また、加熱ツール7にはヒータ9が組み込まれており、加熱しながらテープ基板6を半導体ウエハ2上に搭載することが可能である。また、加熱ツール7は、熱伝導率の大きい部材すなわち高熱伝導率部材10およびその周囲に設けた熱伝導率の小さい部材すなわち低熱伝導率部材11を含む構成であり、ヒータ9と高熱伝導率部材10とが接触し、高熱伝導率部材10が低熱伝導率部材11より効率良く加熱される構成となっている。言い換えると、高熱伝導率部材10の周囲は、低熱伝導率部材11により断熱されている。
【0027】
ここで、高熱伝導率部材10は、例えば銅やSKD鋼のような金属で形成されている。また、低熱伝導率部材11は、例えばロスナボード材等の高強度断熱材で形成されている。高熱伝導率部材10と低熱伝導率部材11との組み合わせにおいて、高熱伝導率部材10を銅とし、低熱伝導率部材11として銅よりも熱伝導率が低いSKD鋼などを用いることも可能である。高熱伝導率部材10と低熱伝導率部材11との熱伝導率の比は、100倍程度異なっていることが望ましい。
【0028】
加熱ツール7の先端部の温度は、ハンダ材5の融点よりも高温にする必要があり、本実施例においては約493Kになるようにヒータ9制御している。
【0029】
また、本実施例では、第二の外部接続電極8が金(Au)または金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)等を含む合金であって、ハンダ材5がスズ(Sn)−銀(Ag)系の合金である場合を示しているが、これに限らず、ハンダ材5をニッケル(Ni)−金(Au)系の合金とし、金(Au)または金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)等を含む合金である第二の外部接続電極8と超音波接合させてもよい。後者の場合、加熱ツール7は、超音波発生装置(超音波素子およびホーンを含む)を組み込んだ構成とする。
【0030】
(2)つぎに、加熱ツール7を半導体ウエハ2上に近づけ、テープ基板6を半導体ウエハ2上の搭載位置Pに搭載する。ここで、加熱ツール7内部に組み込まれたヒータ9を用いてハンダ材5を融点以上に加熱する。また、加熱ツール7に荷重を加えることで、テープ基板6と半導体ウエハ2との間の、第一の外部接続電極4および第二の外部接続電極8をハンダ材5で接続する(図2および図9(1))。
【0031】
ここで、高熱伝導率部材10および低熱伝導率部材11はともに、半導体ウエハ2に接触する際、半導体ウエハ2を加圧する。すなわち、加圧領域を形成する。
【0032】
(3)つぎに、個片化された別のテープ基板12を、加熱ツール7を用いて搭載位置Q上に移動する(図9(2))。
【0033】
(4)つぎに、加熱ツール7を半導体ウエハ2上に近づけ、テープ基板12を半導体ウエハ2の搭載箇所Q上に搭載する。ここで、ツール7内部に組み込まれたヒータ9を用いてテープ基板12のハンダ材5を融点まで上昇させ、テープ基板12と半導体ウエハ2との間の、第一の外部接続電極4および第二の外部接続電極8をハンダ材5で接続する(図9(3))。同様に繰返し、複数のテープ基板13、14を半導体ウエハ2上の搭載箇所R、Sに搭載する(図9(4))。
【0034】
本発明による実施例において、テープ基板12を半導体ウエハ2上に搭載する半導体素子の製造方法では、加熱ツール7を用いて複数のテープ基板12を半導体ウエハ2上に搭載する際に、加熱ツール7が高熱伝導率部材10と低熱伝導率部材11とを含み、高熱伝導率部材10がハンダ材5の近傍に配置されている。これにより、ハンダ材5を効率良く加熱することが可能である。一方、低熱伝導率部材11が加熱ツール7の外側に配置されているため、テープ基板12未搭載領域の熱硬化性樹脂3の温度上昇を抑制し、テープ基板12未搭載領域上の熱硬化性樹脂3の硬化を防ぐことが可能である。
【0035】
図10〜12は、上記の方法でテープ基板12を搭載して半導体ウエハ2上にチップ化し、実装基板17に搭載した例を示している。
【0036】
まず、図10に示すように、テープ基板12を搭載した半導体ウエハ2をダイシングにより個片化する。
【0037】
つぎに、図11に示すように、個片化したテープ基板12付半導体チップ16を実装基板17上にハンダ材18により接続する。このとき、テープ基板12付半導体チップ16および実装基板17は、加熱炉(図示せず)等の内部で全体が加熱される(加熱工程)。このため、テープ基板12を搭載する際には硬化しなかった熱硬化性樹脂3が硬化する。
【0038】
上記の2段階の加熱による熱硬化性樹脂3の硬化は、熱硬化性樹脂3の変形状態または結晶構造を観察して確認する。
【0039】
図11(a)は、実装基板17上にテープ基板12付半導体チップ16を実装した上面配置図を示し、図11(b)は、図11(a)のD−D’断面図を示している。この例では、実装基板17上に5つの半導体チップ16が実装されている。
【0040】
一方、図12は、他の実施例を示した図である。図12(a)は、実装基板17上にテープ基板付半導体チップ116a、116b、116cを実装した上面配置図を示し、図12(b)は、図12(a)のE−E’断面図を示している。図11と図12との違いは、スペーサ21を用いることにより、テープ基板付半導体チップ116a、116cの高さとテープ基板付半導体チップ116bの高さとを変え、半導体チップ116a、116b、116cを交互に搭載した例である。
【0041】
本実施例においては、1個の実装基板17上に実装した、相隣る3個のテープ基板付半導体チップ116a、116b、116c(半導体素子)のうち、中央部に設置した半導体チップ116bが、他の2個の半導体チップ116a、116cよりも実装基板17から離れた位置に実装されている。
【0042】
また、1個の実装基板17上に実装した、相隣る3個の半導体チップ116a、116b、116cのうち、中央部に設置した半導体チップ116bと実装基板17との隙間に、他の2個の半導体チップ116a、116cの一部または全部を実装した、と見ることもできる。
【0043】
また、1個の実装基板17上に実装した、相隣る3個以上の半導体チップ116a〜116gから選ばれた1個の半導体チップ(例えば、116b)と実装基板17との距離が、隣接する半導体チップ(例えば、116a、116c)と前記実装基板との距離と異なる、と見ることもできる。
【0044】
さらに、1個の実装基板17上に実装した、相隣る3個以上の半導体チップ116a〜116gから選ばれた1個の半導体チップ(例えば、116b)と実装基板17との隙間に、隣接する半導体チップ(例えば、116a、116c)の一部または全部を実装した、と見ることもできる。
【0045】
これにより、半導体チップ116a〜116gの実装個数を増すことができ、実装基板17の面積に対する集積度を増すことができる。
【0046】
図13は、本発明による半導体素子の実装装置の変形実施例を示す要部断面図である。本図においては、加熱ツール7と半導体ウエハ2とが接触した状態であり、図中左から3番目までのテープ基板6を半導体ウエハ2上に実装した状態である。本実施例においては、テープ基板6が実装される位置のみに熱硬化性樹脂3を設けている。ここで、設定温度とは、加熱ツール7内部に設けたヒータの設定温度であり、本実施例では533Kとしてある。また、接合部温度とは、ハンダ材5の温度であり、本実施例では493Kとしてある。
【0047】
図14、15は、本発明による加熱ツール7の実施例を示す斜視図である。これらの図は、加熱ツール7を斜め下方向から見た場合を示している。図14は高熱伝導率部材10を低熱伝導率部材11を分断する形で設けたものであり、図15は高熱伝導率部材10を低熱伝導率部材11の中心部分を貫通する形で設けたものである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明による半導体素子の実装装置の実施例を示す要部断面図である。
【図2】図1の加熱ツールと半導体ウエハとの接触状態を示す要部断面図である。
【図3】本発明による半導体ウエハの実施例を示す上面拡大図である。
【図4】本発明による加熱ツールの実施例を示す断面図である。
【図5】本発明によるウエハマップの実施例を示す上面図である。
【図6】図5のウエハマップの拡大図である。
【図7】本発明による半導体素子の実装装置の他の実施例を示す要部断面図である。
【図8】図7の加熱ツールと半導体ウエハとの接触状態を示す要部断面図である。
【図9】本発明による半導体素子の実装工程の実施例を示す要部断面図である。
【図10】本発明による個片化した半導体チップの実施例を示す要部断面図である。
【図11】本発明による個片化した半導体チップを実装基板に搭載した実施例を示す上面図および要部断面図である。
【図12】本発明による個片化した半導体チップを実装基板に搭載した他の実施例を示す上面図および要部断面図である。
【図13】本発明による半導体素子の実装装置の変形実施例を示す要部断面図である。
【図14】本発明による加熱ツールの実施例を示す斜視図である。
【図15】本発明による加熱ツールの他の実施例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
1:台座、2:半導体ウエハ、3:熱硬化性樹脂、4:第一の外部接続電極、5:ハンダ材、6:テープ基板、7:加熱ツール、8:第二の外部接続電極、9:ヒータ、10:高熱伝導率部材、11:低熱伝導率部材、12、13、14:テープ基板、16:テープ基板付半導体チップ、17:実装基板、19、20:ダイシングライン、21:スペーサ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子、半導体素子製造装置用ツールおよび半導体素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子をテープ基板上へ搭載する半導体素子の実装装置、およびその実装方法としては、特許文献1に開示されているものがある。これは、テープ基板上に供給した熱硬化性接着剤を、半導体素子搭載毎に半導体素子を介してツールから供給される熱により半硬化状態にし、その後、オーブンまたはリフロー炉により熱硬化性接着剤を硬化させる。これにより、初期のダイボンディング時に熱硬化性樹脂を半硬化状態にすることができ、半導体素子のズレを防ぎ、半導体素子を微小間隔でダイボンディングする必要がある場合であっても、所定の位置に正確に配置することができる半導体素子の実装装置およびその実装方法を提供するというものである。
【0003】
また、半導体素子の高密度実装を実現する実装方法として、フリップチップ実装がある。フリップチップ実装とは、テープ基板上にチップを実装する方法の1つである。フリップチップ実装では、チップ表面と基板とを電気的に接続する際、ワイヤ・ボンディングのようにワイヤによって接続するのではなく、チップ上に形成されアレイ状に並んだバンプと呼ばれる突起状の端子(外部接続電極)によって接続する。上記バンプは、ハンダ等によりテープ基板上の接続電極と接続される。これにより、ワイヤ・ボンディングに比べて実装面積を小さくできる。また、配線が短いために電気的特性が良いという特徴もある。
【0004】
【特許文献1】特開平11−251335号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の方法は、半導体素子とテープ基板との電気的導通をワイヤで行う、比較的低密度な実装の場合には有効であるが、高密度実装を実現するフリップチップ実装に対しては有効ではない。フリップチップ実装では、半導体素子とテープ基板とが、アレイバンプで接続さているため、半導体素子とテープ基板との搭載ズレ防止の要求は厳しい。すなわち、特許文献1に示されているように、熱硬化性樹脂を半硬化状態とすることは、半導体素子とテープ基板との搭載ズレの原因となる。
【0006】
また、上記搭載ズレを防止するため、上記ツールの温度を上げ、半導体素子のテープ基板へ搭載、あるいはテープ基板の半導体素子への搭載において、上記チップ上のバンプとテープ基板上の接続電極とを接合するハンダの温度を、加熱ツールによって融点以上に加熱溶融し、上記バンプと接続電極とを接続することは、必要以上に周囲の熱硬化性樹脂の温度を上げることとなる。これにより、搭載領域から隣接する未搭載領域への熱伝導により、未搭載領域の温度が上昇してしまい、半導体素子を上記未搭載領域に搭載する前に熱硬化性樹脂が硬化してしまう、という問題を本発明者は見出した。この問題は、半導体素子を微小間隔で搭載する場合に顕著となる。
【0007】
本発明の目的は、熱硬化性樹脂を介して半導体素子をテープ基板へ搭載する際に、ハンダ材によるフリップチップ接合の信頼性を高め、隣接する未搭載領域における熱硬化性樹脂の硬化を防止した半導体素子、半導体素子製造装置用ツールおよび半導体素子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の半導体素子は、第一の外部接続電極を有し、熱硬化性樹脂を塗布または貼付した半導体ウエハと、該第一の外部接続電極の一部と整合する第二の外部接続電極を有するテープ基板と、該第一の外部接続電極と該第二の外部接続電極とを電気的に接続するハンダ材とを含む半導体素子であって、該テープ基板の面積が該半導体ウエハの面積よりも小さく、該半導体ウエハの表面に設けられた該熱硬化性樹脂のうち、該ハンダ材による接合時の加熱で硬化した部分と、その後の加熱工程で硬化した部分とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明の半導体素子製造装置用ツールは、第一の外部接続電極を有する半導体ウエハと、該第一の外部接続電極の一部と整合する第二の外部接続電極を有するテープ基板と、該第一の外部接続電極と該第二の外部接続電極とを電気的に接続するハンダ材とを含む半導体素子を製造するための半導体素子製造装置用ツールであって、先端部が、高熱伝導率部材および低熱伝導率部材を含む2種類以上の部材から構成され、該ハンダ材を加熱するための高熱伝導率部材の熱伝導率が、その周辺部に設けた低熱伝導率部材の熱伝導率に比べて大きいことを特徴とする。
【0010】
本発明の半導体素子の製造方法は、第一の外部接続電極を有し、熱硬化性樹脂を塗布または貼付した半導体ウエハと、該第一の外部接続電極の一部と整合する第二の外部接続電極を有するテープ基板と、該第一の外部接続電極と該第二の外部接続電極とを電気的に接続するハンダ材とを含む半導体素子の製造方法であって、該テープ基板を真空吸着によりピックアップする工程と、該第二の外部接続電極が該第一の外部接続電極の一部と整合するように該テープ基板の位置決めを行う工程と、該ハンダ材と該熱硬化性樹脂の一部とを加熱し、該第一の外部接続電極と該第二の外部接続電極とを該ハンダ材を用いて接合させる工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、半導体ウエハ上に熱硬化性樹脂を塗布し、個片化したテープ基板を、加熱ツールを用いて搭載する半導体装置の製造方法において、加熱ツールを2種類以上の部材から構成し、半導体ウエハ上の外部接続電極とテープ基板上の外部接続電極とを接合するハンダ材に隣接する加熱ツールの部材の熱伝導率を、その周辺部材の熱伝導率に比べて大きくすることによって、効率良くハンダ材を加熱することが可能である。
【0012】
また、本発明によれば、加熱ツールの上記周辺部材の熱伝導率が低いため、基板未搭載部の熱硬化性樹脂の温度上昇を抑制するとともに、未搭載領域の熱硬化性樹脂の硬化を防ぐことができる。
【0013】
さらに、本発明によれば、半導体素子の集積度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、熱硬化性樹脂を用いて半導体ウエハ上へテープ基板を搭載する半導体素子のフリップチップ実装装置、およびその半導体素子の製造方法に関する。また、本発明は、当該実装装置または当該製造方法で製造された半導体素子に関する。
【0015】
テープ基板は、ポリイミド樹脂等の耐熱樹脂をテープ状にしたものであり、高価であるため、できるだけ使用量を減らしたいというニーズがある。
【0016】
本発明の半導体素子製造装置用ツールは、外部接続電極が表面上に形成された半導体ウエハと、該外部接続電極の一部と整合するように接続電極が形成され、個片化されたテープ基板を、該半導体ウエハ上の外部接続電極と該テープ基板上の外部接続電極とをハンダ材を用いて接合させ、加熱ツールを用いて、該半導体ウエハ上に、上記個片化されたテープ基板を搭載する半導体素子の製造装置用ツールであって、該加熱ツールの先端が2種類以上の部材から形成され、該ハンダ材を該加熱ツールへ投影した箇所の該加熱ツールの部材の熱伝導率が、その周辺部材の熱伝導率に比べ大きいことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の半導体素子の製造方法は、外部接続電極が表面上に形成された半導体ウエハと、上記外部接続電極の一部と整合するように接続電極が形成され、個片化されたテープ基板を、上記半導体ウエハ上の外部接続電極とテープ基板上の外部接続電極とをハンダ材を用いて接合させ、加熱ツールを用いて、上記半導体ウエハ上に、上記個片化されたテープ基板を搭載する半導体素子の製造方法において、上記加熱ツールの先端が2種類以上の部材から形成され、上記ハンダ材を上記加熱ツールへ投影した領域の加熱ツール部材の熱伝導率が、その周辺部材の熱伝導率に比べて大きいことを特徴とする。
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図1〜9に示した実施例により説明する。
【0019】
図1、2は、本発明による第一の実施例である半導体ウエハへのテープ基板の実装方法を示す主要部分の断面構造図である。図3は、半導体ウエハの上面図を示しており、半導体ウエハ2上には、第一の外部接続電極(バンプ)4が形成されている。図3のA−A’断面が図1の半導体ウエハ断面に対応している。ここで、半導体ウエハ2上の第一の外部接続電極4は、テープ基板6搭載位置の中央に一列に並んだ場合を例に記載している。図4(a)は、加熱ツールの縦断面図を示したものであり、図4(b)は、図4(a)のB−B’断面図を示す。加熱ツール7は高熱伝導率部材10と低熱伝導率部材11とを含む。ここで、加熱ツール7の高熱伝導率部材10は、図3に示した半導体ウエハ2上の第一の外部接続電極4上を効率よく加熱するように、中央部に配置されている。また、加熱ツール7は、本発明による半導体素子製造装置用ツールの主要部である。
【0020】
図5は、半導体ウエハ2上にテープ基板6を搭載するウエハマップの実施例を示す上面図である。また、図6は、図5の部分拡大図である。図6には、個片化する際のダイシングライン19、20を記してある。また、図7および図8は、半導体ウエハ2上の第一の外部接続電極4が、テープ基板6搭載位置の中央に2列に並んだ場合の実施例を示す縦断面図である。図9は、図6のC−C’断面図であり、半導体ウエハ2へのテープ基板6の搭載工程例を示した図である。
【0021】
本発明による半導体素子の実装方法の手順を、図1、2、9を用いて説明する。
【0022】
(1)まず、図1に示すように、台座1上に半導体ウエハ2を設置し、上記半導体ウエハ2上に熱硬化性樹脂3(アンダーフィル)を塗布する。ここで、半導体ウエハ2上には、第一の外部接続電極4が形成されている。また、本実施例では、熱硬化性樹脂3としてNCF(Non−Conductive Film)やNCP(Non−Conductive Paste)を用いている。
【0023】
そして、個片化されたテープ基板6を、加熱ツール7を用いて搭載位置上に移動する。ここで、テープ基板6は、ポリイミド樹脂等の耐熱樹脂をテープ状にしたものである。また、テープ基板6上には、金(Au)または金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)等を含む合金を用いた第二の外部接続電極8が形成されており、ハンダ材5が第二の外部接続電極8の表面に備えられている。なお、テープ基板6には、表面と裏面とを導通させる配線が設けてあり、表面にある一つの第二の外部接続電極8を裏面にある複数の端子(図示せず)に電気的に接続することが可能である。このため、テープ基板6は、第二の外部接続電極8と複数の端子とを結ぶ配線を設けた回路基板と呼ぶこともできる。
【0024】
また、本実施例では、ハンダ材5は略球形であり、直径が約50μmである。
【0025】
また、加熱ツール7には、真空吸着可能な穴(図示せず)が設けられており、真空ポンプ(図示せず)に接続されている。テープ基板6は、真空吸着により加熱ツール7でピックアップされている。
【0026】
また、加熱ツール7にはヒータ9が組み込まれており、加熱しながらテープ基板6を半導体ウエハ2上に搭載することが可能である。また、加熱ツール7は、熱伝導率の大きい部材すなわち高熱伝導率部材10およびその周囲に設けた熱伝導率の小さい部材すなわち低熱伝導率部材11を含む構成であり、ヒータ9と高熱伝導率部材10とが接触し、高熱伝導率部材10が低熱伝導率部材11より効率良く加熱される構成となっている。言い換えると、高熱伝導率部材10の周囲は、低熱伝導率部材11により断熱されている。
【0027】
ここで、高熱伝導率部材10は、例えば銅やSKD鋼のような金属で形成されている。また、低熱伝導率部材11は、例えばロスナボード材等の高強度断熱材で形成されている。高熱伝導率部材10と低熱伝導率部材11との組み合わせにおいて、高熱伝導率部材10を銅とし、低熱伝導率部材11として銅よりも熱伝導率が低いSKD鋼などを用いることも可能である。高熱伝導率部材10と低熱伝導率部材11との熱伝導率の比は、100倍程度異なっていることが望ましい。
【0028】
加熱ツール7の先端部の温度は、ハンダ材5の融点よりも高温にする必要があり、本実施例においては約493Kになるようにヒータ9制御している。
【0029】
また、本実施例では、第二の外部接続電極8が金(Au)または金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)等を含む合金であって、ハンダ材5がスズ(Sn)−銀(Ag)系の合金である場合を示しているが、これに限らず、ハンダ材5をニッケル(Ni)−金(Au)系の合金とし、金(Au)または金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)等を含む合金である第二の外部接続電極8と超音波接合させてもよい。後者の場合、加熱ツール7は、超音波発生装置(超音波素子およびホーンを含む)を組み込んだ構成とする。
【0030】
(2)つぎに、加熱ツール7を半導体ウエハ2上に近づけ、テープ基板6を半導体ウエハ2上の搭載位置Pに搭載する。ここで、加熱ツール7内部に組み込まれたヒータ9を用いてハンダ材5を融点以上に加熱する。また、加熱ツール7に荷重を加えることで、テープ基板6と半導体ウエハ2との間の、第一の外部接続電極4および第二の外部接続電極8をハンダ材5で接続する(図2および図9(1))。
【0031】
ここで、高熱伝導率部材10および低熱伝導率部材11はともに、半導体ウエハ2に接触する際、半導体ウエハ2を加圧する。すなわち、加圧領域を形成する。
【0032】
(3)つぎに、個片化された別のテープ基板12を、加熱ツール7を用いて搭載位置Q上に移動する(図9(2))。
【0033】
(4)つぎに、加熱ツール7を半導体ウエハ2上に近づけ、テープ基板12を半導体ウエハ2の搭載箇所Q上に搭載する。ここで、ツール7内部に組み込まれたヒータ9を用いてテープ基板12のハンダ材5を融点まで上昇させ、テープ基板12と半導体ウエハ2との間の、第一の外部接続電極4および第二の外部接続電極8をハンダ材5で接続する(図9(3))。同様に繰返し、複数のテープ基板13、14を半導体ウエハ2上の搭載箇所R、Sに搭載する(図9(4))。
【0034】
本発明による実施例において、テープ基板12を半導体ウエハ2上に搭載する半導体素子の製造方法では、加熱ツール7を用いて複数のテープ基板12を半導体ウエハ2上に搭載する際に、加熱ツール7が高熱伝導率部材10と低熱伝導率部材11とを含み、高熱伝導率部材10がハンダ材5の近傍に配置されている。これにより、ハンダ材5を効率良く加熱することが可能である。一方、低熱伝導率部材11が加熱ツール7の外側に配置されているため、テープ基板12未搭載領域の熱硬化性樹脂3の温度上昇を抑制し、テープ基板12未搭載領域上の熱硬化性樹脂3の硬化を防ぐことが可能である。
【0035】
図10〜12は、上記の方法でテープ基板12を搭載して半導体ウエハ2上にチップ化し、実装基板17に搭載した例を示している。
【0036】
まず、図10に示すように、テープ基板12を搭載した半導体ウエハ2をダイシングにより個片化する。
【0037】
つぎに、図11に示すように、個片化したテープ基板12付半導体チップ16を実装基板17上にハンダ材18により接続する。このとき、テープ基板12付半導体チップ16および実装基板17は、加熱炉(図示せず)等の内部で全体が加熱される(加熱工程)。このため、テープ基板12を搭載する際には硬化しなかった熱硬化性樹脂3が硬化する。
【0038】
上記の2段階の加熱による熱硬化性樹脂3の硬化は、熱硬化性樹脂3の変形状態または結晶構造を観察して確認する。
【0039】
図11(a)は、実装基板17上にテープ基板12付半導体チップ16を実装した上面配置図を示し、図11(b)は、図11(a)のD−D’断面図を示している。この例では、実装基板17上に5つの半導体チップ16が実装されている。
【0040】
一方、図12は、他の実施例を示した図である。図12(a)は、実装基板17上にテープ基板付半導体チップ116a、116b、116cを実装した上面配置図を示し、図12(b)は、図12(a)のE−E’断面図を示している。図11と図12との違いは、スペーサ21を用いることにより、テープ基板付半導体チップ116a、116cの高さとテープ基板付半導体チップ116bの高さとを変え、半導体チップ116a、116b、116cを交互に搭載した例である。
【0041】
本実施例においては、1個の実装基板17上に実装した、相隣る3個のテープ基板付半導体チップ116a、116b、116c(半導体素子)のうち、中央部に設置した半導体チップ116bが、他の2個の半導体チップ116a、116cよりも実装基板17から離れた位置に実装されている。
【0042】
また、1個の実装基板17上に実装した、相隣る3個の半導体チップ116a、116b、116cのうち、中央部に設置した半導体チップ116bと実装基板17との隙間に、他の2個の半導体チップ116a、116cの一部または全部を実装した、と見ることもできる。
【0043】
また、1個の実装基板17上に実装した、相隣る3個以上の半導体チップ116a〜116gから選ばれた1個の半導体チップ(例えば、116b)と実装基板17との距離が、隣接する半導体チップ(例えば、116a、116c)と前記実装基板との距離と異なる、と見ることもできる。
【0044】
さらに、1個の実装基板17上に実装した、相隣る3個以上の半導体チップ116a〜116gから選ばれた1個の半導体チップ(例えば、116b)と実装基板17との隙間に、隣接する半導体チップ(例えば、116a、116c)の一部または全部を実装した、と見ることもできる。
【0045】
これにより、半導体チップ116a〜116gの実装個数を増すことができ、実装基板17の面積に対する集積度を増すことができる。
【0046】
図13は、本発明による半導体素子の実装装置の変形実施例を示す要部断面図である。本図においては、加熱ツール7と半導体ウエハ2とが接触した状態であり、図中左から3番目までのテープ基板6を半導体ウエハ2上に実装した状態である。本実施例においては、テープ基板6が実装される位置のみに熱硬化性樹脂3を設けている。ここで、設定温度とは、加熱ツール7内部に設けたヒータの設定温度であり、本実施例では533Kとしてある。また、接合部温度とは、ハンダ材5の温度であり、本実施例では493Kとしてある。
【0047】
図14、15は、本発明による加熱ツール7の実施例を示す斜視図である。これらの図は、加熱ツール7を斜め下方向から見た場合を示している。図14は高熱伝導率部材10を低熱伝導率部材11を分断する形で設けたものであり、図15は高熱伝導率部材10を低熱伝導率部材11の中心部分を貫通する形で設けたものである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明による半導体素子の実装装置の実施例を示す要部断面図である。
【図2】図1の加熱ツールと半導体ウエハとの接触状態を示す要部断面図である。
【図3】本発明による半導体ウエハの実施例を示す上面拡大図である。
【図4】本発明による加熱ツールの実施例を示す断面図である。
【図5】本発明によるウエハマップの実施例を示す上面図である。
【図6】図5のウエハマップの拡大図である。
【図7】本発明による半導体素子の実装装置の他の実施例を示す要部断面図である。
【図8】図7の加熱ツールと半導体ウエハとの接触状態を示す要部断面図である。
【図9】本発明による半導体素子の実装工程の実施例を示す要部断面図である。
【図10】本発明による個片化した半導体チップの実施例を示す要部断面図である。
【図11】本発明による個片化した半導体チップを実装基板に搭載した実施例を示す上面図および要部断面図である。
【図12】本発明による個片化した半導体チップを実装基板に搭載した他の実施例を示す上面図および要部断面図である。
【図13】本発明による半導体素子の実装装置の変形実施例を示す要部断面図である。
【図14】本発明による加熱ツールの実施例を示す斜視図である。
【図15】本発明による加熱ツールの他の実施例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
1:台座、2:半導体ウエハ、3:熱硬化性樹脂、4:第一の外部接続電極、5:ハンダ材、6:テープ基板、7:加熱ツール、8:第二の外部接続電極、9:ヒータ、10:高熱伝導率部材、11:低熱伝導率部材、12、13、14:テープ基板、16:テープ基板付半導体チップ、17:実装基板、19、20:ダイシングライン、21:スペーサ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の外部接続電極を有し、熱硬化性樹脂を塗布または貼付した半導体ウエハと、該第一の外部接続電極の一部と整合する第二の外部接続電極を有するテープ基板と、該第一の外部接続電極と該第二の外部接続電極とを電気的に接続するハンダ材とを含む半導体素子であって、該テープ基板の面積が該半導体ウエハの面積よりも小さく、該半導体ウエハの表面に設けられた該熱硬化性樹脂のうち、該ハンダ材による接合時の加熱で硬化した部分と、その後の加熱工程で硬化した部分とを有することを特徴とする半導体素子。
【請求項2】
1個の実装基板上に、請求項1記載の半導体素子を複数個実装したことを特徴とする実装半導体素子。
【請求項3】
1個の前記実装基板上に実装した、相隣る3個の前記半導体素子のうち、中央部に設置した前記半導体素子が、他の2個の前記半導体素子よりも前記実装基板から離れた位置に実装されていることを特徴とする請求項2記載の実装半導体素子。
【請求項4】
1個の前記実装基板上に実装した、相隣る3個の前記半導体素子のうち、中央部に設置した前記半導体素子と前記実装基板との隙間に、他の2個の前記半導体素子の一部または全部を実装したことを特徴とする請求項2または3に記載の実装半導体素子。
【請求項5】
1個の前記実装基板上に実装した、相隣る3個以上の前記半導体素子から選ばれた1個の前記半導体素子と前記実装基板との距離が、隣接する前記半導体素子と前記実装基板との距離と異なることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の実装半導体素子。
【請求項6】
1個の前記実装基板上に実装した、相隣る3個以上の前記半導体素子から選ばれた1個の前記半導体素子と前記実装基板との隙間に、隣接する前記半導体素子の一部または全部を実装したことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の実装半導体素子。
【請求項7】
第一の外部接続電極を有する半導体ウエハと、該第一の外部接続電極の一部と整合する第二の外部接続電極を有するテープ基板と、該第一の外部接続電極と該第二の外部接続電極とを電気的に接続するハンダ材とを含む半導体素子を製造するための半導体素子製造装置用ツールであって、先端部が、高熱伝導率部材および低熱伝導率部材を含む2種類以上の部材から構成され、該ハンダ材を加熱するための高熱伝導率部材の熱伝導率が、その周辺部に設けた低熱伝導率部材の熱伝導率に比べて大きいことを特徴とする半導体素子製造装置用ツール。
【請求項8】
第一の外部接続電極を有し、熱硬化性樹脂を塗布または貼付した半導体ウエハと、該第一の外部接続電極の一部と整合する第二の外部接続電極を有するテープ基板と、該第一の外部接続電極と該第二の外部接続電極とを電気的に接続するハンダ材とを含む半導体素子の製造方法であって、該テープ基板を真空吸着によりピックアップする工程と、該第二の外部接続電極が該第一の外部接続電極の一部と整合するように該テープ基板の位置決めを行う工程と、該ハンダ材と該熱硬化性樹脂の一部とを加熱し、該第一の外部接続電極と該第二の外部接続電極とを該ハンダ材を用いて接合させる工程とを含むことを特徴とする半導体素子の製造方法。
【請求項1】
第一の外部接続電極を有し、熱硬化性樹脂を塗布または貼付した半導体ウエハと、該第一の外部接続電極の一部と整合する第二の外部接続電極を有するテープ基板と、該第一の外部接続電極と該第二の外部接続電極とを電気的に接続するハンダ材とを含む半導体素子であって、該テープ基板の面積が該半導体ウエハの面積よりも小さく、該半導体ウエハの表面に設けられた該熱硬化性樹脂のうち、該ハンダ材による接合時の加熱で硬化した部分と、その後の加熱工程で硬化した部分とを有することを特徴とする半導体素子。
【請求項2】
1個の実装基板上に、請求項1記載の半導体素子を複数個実装したことを特徴とする実装半導体素子。
【請求項3】
1個の前記実装基板上に実装した、相隣る3個の前記半導体素子のうち、中央部に設置した前記半導体素子が、他の2個の前記半導体素子よりも前記実装基板から離れた位置に実装されていることを特徴とする請求項2記載の実装半導体素子。
【請求項4】
1個の前記実装基板上に実装した、相隣る3個の前記半導体素子のうち、中央部に設置した前記半導体素子と前記実装基板との隙間に、他の2個の前記半導体素子の一部または全部を実装したことを特徴とする請求項2または3に記載の実装半導体素子。
【請求項5】
1個の前記実装基板上に実装した、相隣る3個以上の前記半導体素子から選ばれた1個の前記半導体素子と前記実装基板との距離が、隣接する前記半導体素子と前記実装基板との距離と異なることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の実装半導体素子。
【請求項6】
1個の前記実装基板上に実装した、相隣る3個以上の前記半導体素子から選ばれた1個の前記半導体素子と前記実装基板との隙間に、隣接する前記半導体素子の一部または全部を実装したことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の実装半導体素子。
【請求項7】
第一の外部接続電極を有する半導体ウエハと、該第一の外部接続電極の一部と整合する第二の外部接続電極を有するテープ基板と、該第一の外部接続電極と該第二の外部接続電極とを電気的に接続するハンダ材とを含む半導体素子を製造するための半導体素子製造装置用ツールであって、先端部が、高熱伝導率部材および低熱伝導率部材を含む2種類以上の部材から構成され、該ハンダ材を加熱するための高熱伝導率部材の熱伝導率が、その周辺部に設けた低熱伝導率部材の熱伝導率に比べて大きいことを特徴とする半導体素子製造装置用ツール。
【請求項8】
第一の外部接続電極を有し、熱硬化性樹脂を塗布または貼付した半導体ウエハと、該第一の外部接続電極の一部と整合する第二の外部接続電極を有するテープ基板と、該第一の外部接続電極と該第二の外部接続電極とを電気的に接続するハンダ材とを含む半導体素子の製造方法であって、該テープ基板を真空吸着によりピックアップする工程と、該第二の外部接続電極が該第一の外部接続電極の一部と整合するように該テープ基板の位置決めを行う工程と、該ハンダ材と該熱硬化性樹脂の一部とを加熱し、該第一の外部接続電極と該第二の外部接続電極とを該ハンダ材を用いて接合させる工程とを含むことを特徴とする半導体素子の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−56349(P2010−56349A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−220593(P2008−220593)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】
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