半導体素子の製造方法、半導体素子の製造装置および半導体素子
【課題】 スピンコートを用いて薄膜を形成するときに、その薄膜の厚さの均一度を向上させることができる半導体素子の製造方法、半導体素子の製造装置および半導体素子を提供する。
【解決手段】 基板にスピンコート材料を載せ、その基板を回転させることにより、基板上に薄膜を形成するスピンコート工程を有する半導体素子の製造方法であって、前記スピンコート工程は、基板の回転の開始からスピンコート工程の終了までの間に、基板について、前後の回転数よりも少なくとも低速回転の状態とする低速期間を有することを特徴とする。
【解決手段】 基板にスピンコート材料を載せ、その基板を回転させることにより、基板上に薄膜を形成するスピンコート工程を有する半導体素子の製造方法であって、前記スピンコート工程は、基板の回転の開始からスピンコート工程の終了までの間に、基板について、前後の回転数よりも少なくとも低速回転の状態とする低速期間を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子の製造方法、半導体素子の製造装置および半導体素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光通信及び光記録などの分野において、光半導体素子の需要が増大している。また、光半導体素子の一つである面発光レーザ(VCSEL)は、高速動作及びアレイ化が可能であり、且つ低消費電力であるとう特徴を有し、光通信用の光源として注目されている。ところで、面発光レーザの製造工程においては、配線の短絡を防ぐなどのために、半導体基板に絶縁層を形成する工程が必要となる。この絶縁層の形成には、スピンコートを用いることができる。スピンコートは、回転可能な円盤上に設置した基板に原料溶液(スピンコート材料)をのせ、円盤を回転させることにより、均一な薄膜(液膜)を基板上に形成し、これを焼成し薄膜を作成する技術である。スピンコートによれば、半導体ウエハなどの基板の平面全体に均一な薄膜を形成することができる。このようなスピンコートを用いて半導体レーザを製造する技術としては、例えば特許文献1に記載されているものがある。
【特許文献1】特開平6−152062号公報(段落[0029])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、面発光レーザ及び端面発光レーザの絶縁層の形成に用いられるポリイミドワニスは、不揮発分(ポリアミック酸と溶媒であるNメチル2ピロリドン)で構成されている。このポリイミドワニスをスピンコートにより半導体ウエハに塗布することで、絶縁層を形成することができる。
【0004】
しかしながら、面発光レーザ及び端面発光レーザを高速駆動可能な構造にするには、その寄生容量を低減しなければならず、前記絶縁層の厚にをできるだけ大きくすることが望まれる。ここで、不揮発分のポリイミドワニスをスピンコートによりウエハ上に塗布しようとすると、揮発性の高いレジストを塗布するようには、平面全体に均一に塗布することが困難であり、膜厚が不均一になってしまうという問題がある。この膜厚の不均一は、1枚のウエハで多数個製造される面発光レーザ及び端面発光レーザの性能の不均一を招いてしまう。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、スピンコートを用いて薄膜を形成するときに、その薄膜の厚さの均一度を向上させることができる半導体素子の製造方法、半導体素子の製造装置および半導体素子の提供を目的とする。
また、本発明は、スピンコート材料の属性の影響を低減しながら、均一な厚さの薄膜を形成することができる半導体素子の製造方法、半導体素子の製造装置および半導体素子の提供を目的とする。
また、本発明は、スピンコートを用いて高性能な半導体素子を低コストで製造することができる半導体素子の製造方法、半導体素子の製造装置および半導体素子の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の半導体素子の製造方法は、基板にスピンコート材料を載せ、該基板を回転させることにより、該基板上に薄膜を形成するスピンコート工程を有する半導体素子の製造方法であって、前記スピンコート工程は、前記基板の回転の開始から該スピンコート工程の終了までの間に、該基板について、前後の回転数よりも低速回転の状態とする低速期間を有することを特徴とする。
本発明によれば、スピンコート材料を載せた基板を回転させて、その材料を遠心力で基板上の平面で引き伸ばしている途中で、その回転を低速回転にする。そして、この低速回転を充分に低速にすると、遠心力で基板の外縁近傍にスピンコート材料を移動させる力よりも、そのスピンコート材料が基板の中心に戻させる力の方を大きくさせることができる。これにより、基板の外縁近傍においてスピンコート材料からなる薄膜の厚さが他の部分よりも厚くなることを低減することができる。そこで、本発明は、スピンコートにより形成される薄膜の厚さの均一度及び平坦度を向上させることができる。
【0007】
また、本発明の半導体素子の製造方法は、前記低速期間が前記基板の回転を停止している静止期間であることが好ましい。
本発明によれば、静止期間において基板の回転を完全に停止させるので、この期間、基板上のスピンコート材料に作用する遠心力をゼロにすることができる。ここで、静止期間となる前の基板が回転されている期間は、スピンコート材料が基板の外縁近傍に集まり、基板の中心近傍よりも外縁近傍の方がスピンコート材料が厚くなる場合がある。そこで、静止期間において、基板の外縁近傍に溜まったスピンコート材料の一部を基板の中心近傍に良好に移動させることができる。したがって、本発明は、スピンコートにより形成される薄膜について、厚みを維持しながら、その厚さの均一度及び平坦度を向上させることができる。
【0008】
また、本発明の半導体素子の製造方法は、前記半導体素子が半導体レーザであり、前記スピンコート材料はポリイミドワニスであることが好ましい。
本発明によれば、ポリイミドワニスからなる薄膜の絶縁層であって、半導体レーザの絶縁層となるものを、充分な厚さで、且つ均一に形成することができる。そこで、本発明によれば、半導体レーザの寄生容量などを充分に低減でき、高速駆動が可能な半導体レーザを低コストで製造することが可能となる。
【0009】
また、本発明の半導体素子の製造方法は、前記スピンコート工程が、前記基板を第1回転数で回転させる初期期間と、前記初期期間の後に前記基板を第1回転数よりも速い第2回転数で回転させるメイン期間と、前記メイン期間の後におこなわれる前記低速期間と、前記静止期間の後に前記基板を前記第2回転数よりも速い第3回転数で回転させる振り切り期間とを有することが好ましい。
本発明によれば、基板の中心に滴下されたスピンコート材料を、初期期間において基板上に塗り伸ばすことができる。また、メイン期間の第2回転数により基板の上面全体について、ほぼ所望の膜厚にすることができる。さらに、低速期間と振り切り期間とにより、「カンナを掛ける」ように、膜厚の均一度及び平坦度を向上させることができる。
【0010】
また、本発明の半導体素子の製造方法は、前記低速期間と振り切り期間とが交互に繰り返し行われることが好ましい。
本発明によれば、低速期間と振り切り期間とを交互に繰り返し行うことにより、スピンコートによる薄膜の厚さの均一度及び平坦度をさらに向上させることができる。例えばスピンコート材料の材質などが異なる状態となった場合でも、所望の厚さの薄膜であって、均一度及び平坦度の高い薄膜を形成することが可能となる。
【0011】
また、本発明の半導体素子の製造方法は、複数回の前記振り切り期間の相互において、後の振り切り期間の前記基板の回転数が前の振り切り期間の回転数よりも速いことが好ましい。
本発明によれば、スピンコートによる薄膜の厚さの均一度及び平坦度をさらに向上させることができる。
【0012】
また、本発明の半導体素子の製造方法は、前記初期期間が1秒から10秒の範囲で行われ、前記メイン期間が前記初期期間よりも長い時間行われ、前記振り切り期間が前記初期期間よりも短い時間行われることが好ましい。
本発明によれば、例えば、半導体レーザの絶縁層をなす薄膜を、半導体ウエハ等に全体的に、高精度に形成することができる。
【0013】
また、本発明の半導体素子の製造方法は、前記低速期間が1秒から20秒の範囲で行われることが好ましい。また、前記低速期間は、例えば、10秒間行われることとしてもよい。
本発明によれば、基板に外縁近傍に溜まったスピンコート材料の一部を、低速期間において、基板中心方向に効果的に移動させることができ、薄膜の均一化及び平坦化のための作用・効果を発揮させることができる。
【0014】
また、本発明の半導体素子の製造方法は、前記スピンコート材料の粘度に基づいて、前記低速期間の時間を調整することが好ましい。
本発明によれば、スピンコート材料の粘度に応じた時間だけ低速期間を実行することができる。そこで、スピンコート材料が低粘度であっても高粘度であっても、そのスピンコート材料からなる薄膜を、所望の厚さに、均一に、且つ平坦に形成することができる。例えば、粘度が高いスピンコート材料ほど、低速期間を長くすることとしてもよい。
【0015】
また、本発明の半導体素子の製造方法は、前記スピンコート材料の揮発性の強さに基づいて、前記低速期間の時間を調整することが好ましい。
本発明によれば、スピンコート材料の揮発性に応じた時間だけ低速期間を実行することができる。そこで、スピンコート材料が揮発性の強いものであっても弱いものであっても、そのスピンコート材料からなる薄膜を、所望の厚さに、均一に、且つ平坦に形成することができる。例えば、揮発性の弱いスピンコート材料ほど、低速期間を長くすることとしてもよい。
【0016】
また、本発明の半導体素子の製造方法は、前記基板上に形成しようとする薄膜の厚さに基づいて、前記低速期間の時間を調整することが好ましい。
本発明によれば、形成しようとする薄膜の厚さに応じた時間だけ低速期間を実行することができる。そこで、形成しようとする薄膜が厚いものであっても薄いものであっても、その所望の厚さに、均一に、且つ平坦に形成することができる。例えば、厚い薄膜を形成するときほど、低速期間を長くすることとしてもよい。
【0017】
上記目的を達成するために、本発明の半導体素子の製造装置は、基板を保持する台と、前記台を回転させる駆動機構と、前記駆動機構の動作を制御する制御部とを有してなり、前記基板にスピンコート処理をするために用いられる半導体素子の製造装置であって、前記制御部は、前記スピンコート処理の途中で、前記台の回転を所定時間だけ停止させる静止期間が生じるように、前記駆動機構を制御するものであることを特徴とする。
本発明によれば、台を回転させてその台に載せられた基板を回転させることができ、その基板にスピンコート材料を塗布しておくことにより、スピンコート処理をすることができる。さらに、制御部がスピンコート処理の途中で台の回転を所定時間だけ停止させるので、基板の外縁近傍に溜まったスピンコート材料の一部を基板の中心方向に移動させることができる。そこで、本発明の製造装置は、スピンコートにより形成される薄膜の厚さの均一度及び平坦度を向上させることができる。
【0018】
また、本発明の半導体素子の製造装置は、前記制御部が、前記台を所定速度で回転させる回転期間と、前記静止期間とが交互に繰り返されるように、前記駆動機構を制御するものであることが好ましい。
本発明によれば、スピンコートによる薄膜の厚さの均一度及び平坦度をさらに向上させることができる。例えばスピンコート材料の材質などが異なる状態となった場合でも、所望の厚さの薄膜であって、均一度及び平坦度の高い薄膜を形成することができる。
【0019】
上記目的を達成するために、本発明の半導体素子は、前記半導体素子の製造装置を用いて製造されたことを特徴とする。
本発明によれば、所望の厚さの薄膜を有してなる高性能な半導体素子を、低コストで提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る半導体素子の製造方法、半導体素子の製造装置および半導体素子について、図面を参照して説明する。本実施形態では、半導体素子の一例として面発光レーザを挙げて説明する。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体素子の製造方法を示す図である。すなわち、図1では、本実施形態に係る半導体素子の製造方法におけるスピンコート工程の処理手順について示している。
【0022】
図2は、図1に示すスピンコート工程における基板などの回転時の状態を示す模式側面図である。図3は、図1に示すスピンコート工程における上記回転時の後の静止時を示す模式側面図である。本スピンコート工程で用いられるスピンコート製膜装置(半導体素子の製造装置)は、基板1を保持する円柱形の台10と、台10を回転させる駆動機構(図示せず)と、駆動機構の動作を制御する制御部(図示せず)とを有して構成されている。この制御部が図1に示すように、駆動機構の動作を制御する。
【0023】
基板1は、例えばGaAs又はInPからなる半導体ウエハである。基板1は、台10の上面に固定されている。ここで、基板1は、台10の上面の中心と基板10の平面の中心とが重なるように配置されている。スピンコート材料2は、例えば面発光レーザの絶縁層となるポリイミドワニスとする。ポリイミドワニスは不揮発分(ポリアミック酸と溶媒であるNメチル2ピロリドン)で構成されている。
【0024】
上記のように基板1を台10に設置して、その基板1の中心近傍にスピンコート材料2を所定量だけ滴下した後、図1に示すように、台10を回転させる。なお、台10の回転に伴って基板1も回転する。
【0025】
先ず、「初期期間」として、5秒間、回転数300[rpm]で台10を回転させる。この初期期間により、基板1の上面にスピンコート材料2を塗り伸ばすことができる。
次いで、「メイン期間」として、20秒間、回転数500[rpm]で台10を回転させる。このメイン期間により、スピンコート材料2が基板1の上面全体に所望の厚さに近い厚さで形成される。ここで、台10の回転時、すなわち基板1の回転時は、図2に示すように、遠心力により、基板1の中心近傍のスピンコート材料2の一部が基板1の外周方向(細い矢印の方向)に移動する。これにより、基板1の外周近傍にスピンコート材料2が溜まり、基板1における外周近傍のスピンコート材料2aの厚さが中心近傍の厚さよりも大きくなる現象が生じる。なお、メイン期間では、スピンコート材料2の一部2bが遠心力によって基板1上から外に振り出される。
【0026】
そこで、「メイン期間」の後に「静止期間」を設ける。「静止期間」は、10秒間、台10を回転数0[rpm]すなわち静止させる。この静止期間では、図3に示すように、基板1の外周近傍に溜まったスピンコート材料2の一部がその基板1の中心方向(細い矢印の方向)に移動する。これにより、基板1上におけるスピンコート材料2の膜厚の均一度が向上する。なお、静止期間は、完全に静止する代わりに、例えば1[rpm]程度の極低速度で回転させる「低速期間」としてもよい。
【0027】
次いで、「振り切り期間」として、1秒間、回転数1000[rpm]で台10を回転させる。この振り切り期間では、スピンコート材料2の一部が遠心力によって基板1上から外に振り出される。これにより、例えば基板1の外周から内側約2〜3mmの範囲についての平坦度を向上させることができる。ここで、振り切り期間が1秒と比較的短いのは、振り切り期間が長いと膜厚の低下するので、所望の膜厚を確保しながら、その膜厚の均一性を向上させるためである。
【0028】
次いで、「静止期間」として、10秒間、台10を静止させる。次いで、「振り切り期間」として、1秒間、回転数3000[rpm]で台10を回転させる。次いで、「静止期間」として、10秒間、台10を静止させる。次いで、「振り切り期間」として、1秒間、回転数7000[rpm]で台10を回転させる。これにより、スピンコート製膜装置を用いた本実施形態のスピンコート工程は完了する。上記工程では、「静止期間」と「振り切り期間」とを交互に3回繰り返している。また、複数回の振り切り期間それぞれの回転数は、後の振り切り期間になるほど高くなっている。上記スピンコート工程の後、基板1を台10から取り外して、その基板1を焼成することにより、基板1上に所定の膜厚の絶縁層が形成される。
【0029】
これらにより、本実施形態によれば、スピンコート工程の途中で「静止期間」を設けているので、基板1の外縁近傍においてスピンコート材料2からなる薄膜の厚さが他の部分よりも厚くなることを低減することができる。そこで、本実施形態は、スピンコートにより形成される薄膜の厚さの均一度及び平坦度を向上させることができる。また、本実施形態によれば、「静止期間」と「振り切り期間」とを交互に繰り返し実行しているので、「カンナを掛ける」ように、膜厚の均一度及び平坦度を向上させることができる。これらにより、本実施形態は、スピンコート材料2からなる面発光レーザなどの絶縁層を、充分な厚さを確保しながら、均一に形成することができる。そこで、本発明によれば、寄生容量などを充分に低減でき、高速駆動が可能な面発光レーザを低コストで製造することができる。
【0030】
また、上記実施形態において「静止期間」とする「時間」は、10秒で一定としているが、その「静止期間」の「時間」は、スピンコート材料2の粘度に基づいて、設定・調整してもよい。例えば、粘度が高いスピンコート材料2ほど、「静止期間」を長くすることとしてもよい。
【0031】
また、「静止期間」の「時間」は、スピンコート材料2の揮発性の強さに基づいて、設定・調整してもよい。例えば、揮発性の弱いスピンコート材料2ほど、「静止期間」を長くすることとしてもよい。
【0032】
また、「静止期間」の「時間」は、基板1上に形成しようとする薄膜の厚さに基づいて設定・調整してもよい。例えば、厚い薄膜を形成するときほど、「静止期間」を長くすることとしてもよい。
【0033】
次に、図4から図18を参照して、本実施形態の半導体素子の製造方法の効果について具体的に示す。図4は、「静止期間」を設けていないスピンコート工程の一例を示す図であり、均一化が本実施形態に比べて不充分な方法の一例(参考例)である。図5から図18は、図1に示す本実施形態のスピンコート工程、又は図4に示す参考例のスピンコート工程によって形成された薄膜の各部の厚さを測定した結果を示すものである。ここで、本実施形態のスピンコート工程及び参考例のスピンコート工程は、ともに1.0[cc]のポリイミドワニスをスピンコート材料としている。
【0034】
図5は、図1に示す本実施形態のスピンコート工程を用いて形成された薄膜の厚さの均一状態についての測定結果を示す図である。この測定に用いられた薄膜は、容器の開封直後のポリイミドワニスを用いて形成されたものである。基板1の上面を碁盤の目のように区切り、各部の膜厚(平均値)をハッチングの種類で示している。図6は、図5の測定結果である各部の膜厚をヒストグラムで示したものである。すなわち、同じ膜厚の部位が多いほど、ヒストグラムのピークが高くなり、均一度が高いといえる。
【0035】
図9は、図1に示す本実施形態のスピンコート工程を用いて形成された薄膜の厚さの均一状態についての測定結果を示す図である。ただし、図9に示す測定結果は、図5に示すスピンコート工程を行った日から15日後に、図5の工程で実施したスピンコート材料、すなわち容器を開封してから15日後のポリイミドワニスを用いてスピンコートしたものについて測定したものである。図10は、図9の測定結果である各部の膜厚をヒストグラムで示したものである。
【0036】
図13は、図1に示す本実施形態のスピンコート工程を用いて形成された薄膜の厚さの均一状態についての測定結果を示す図である。ただし、図13に示す測定結果は、図5に示すスピンコート工程を行った日から30日後に、図5の工程で実施したスピンコート材料、すなわち容器を開封してから30日後のポリイミドワニスを用いてスピンコートしたものについて測定したものである。図14は、図13の測定結果である各部の膜厚をヒストグラムで示したものである。
【0037】
図6、図10及び図14の各ヒストグラムを比較すると、その形状はほぼ一致しており、ピーク値の膜厚も一致している。これにより、スピンコート材料2の材質が経時劣化などした場合でも、図1に示す本実施形態のスピンコート工程を用いることにより、所望の膜厚且つ所望の均一度の薄膜を形成できることがわかる。
【0038】
図7は、図4に示すスピンコート工程(参考例)を用いて形成された薄膜の厚さの均一状態についての測定結果を示す図である。この測定に用いられた薄膜は、容器の開封直後のポリイミドワニスを用いて形成されたものである。図8は、図7の測定結果である各部の膜厚をヒストグラムで示したものである。
【0039】
図11は、図4に示すスピンコート工程(参考例)を用いて形成された薄膜の厚さの均一状態についての測定結果を示す図である。ただし、図11に示す測定結果は、図7に示すスピンコート工程を行った日から15日後に、図7の工程で実施したスピンコート材料、すなわち容器を開封してから15日後のポリイミドワニスを用いてスピンコートしたものについて測定したものである。図12は、図11の測定結果である各部の膜厚をヒストグラムで示したものである。
【0040】
図15は、図4に示すスピンコート工程(参考例)を用いて形成された薄膜の厚さの均一状態についての測定結果を示す図である。ただし、図15に示す測定結果は、図7に示すスピンコート工程を行った日から30日後に、図7の工程で実施したスピンコート材料、すなわち容器を開封してから30日後のポリイミドワニスを用いてスピンコートしたものについて測定したものである。図16は、図15の測定結果である各部の膜厚をヒストグラムで示したものである。
【0041】
図8、図12、図16のヒストグラムと、図6、図10、図14の本実施形態のヒストグラムとを比較すると、本実施形態の方がピークが高い。これにより、本実施形態のスピンコート工程の方が図4に示す参考例の工程よりも、薄膜の均一度が高いことがわかる。
【0042】
また、図8、図12、図16の参考例のヒストグラムについて相互に比較すると、ピークの膜厚が日数の経過につれて下がっていることがわかる。これにより、参考例のスピンコート工程では、スピンコート材料2の材質が経時劣化などしたことにより、(本実施形態のスピンコート工程に比べて、)薄膜の厚さに影響を与えてしまうことがわかる。
【0043】
図17は、図5から図16に示す測定結果について、日数経過による膜厚の変化割合をグラフ表示したものである。図17において、四角形の点は、図1に示す本実施形態のスピンコート工程を用いて形成した薄膜の測定値(均一塗りの平均値)を示している。また、菱形の点は、図4に示すスピンコート工程(参考例)を用いて形成した薄膜の測定値(通常塗りの平均値)を示している。各点の値は、経過日数ゼロ(すなわち、図5又は図7の基板)の測定値(平均値)を基準(100パーセント)としたときの割合である。
【0044】
図17に示されているように、参考例の通常塗りでは日数の経過により膜厚が徐々に薄くなってしまうが、本実施形態の均一塗りによれば日数が経過しても殆ど膜厚が変化しない。ここで、ポリイミドワニスは、新品のものが封切られて時間が経つと粘度が低くなると考えられる。しかし、本実施形態の均一塗りによれば、粘度が異なるスピンコート材料を用いても、所望膜厚の薄膜を均一に形成することができる。
【0045】
図18は、図5から図16に示す測定結果について、日数経過による膜厚のバラツキRの変化状態と、日数経過による膜厚の標準偏差Sの変化状態とをグラフ表示したものである。図18において、四角形の点は、図1に示す本実施形態のスピンコート工程を用いて形成した薄膜(均一塗り)の厚さのバラツキRを示している。また、菱形の点は、図4に示すスピンコート工程(通常塗り)を用いて形成した薄膜の厚さのバラツキRを示している。また、三角形の点は、均一塗りの膜厚の標準偏差Sを示している。また、バツの点は、参考例の膜厚の標準偏差Sを示している。
【0046】
標準偏差Sは、均一塗りと通常塗りとでほぼ同一である。しかし、バラツキRは、日数経過の有無にかかわらず、本実施形態の均一塗りの方が参考例の通常塗りよりも小さい。そこで、本実施形態のスピンコート工程によれば、参考例のスピンコート工程よりも、均一度の高い薄膜を形成できることがわかる。これらにより、本実施形態のスピンコート工程を用いて面発光レーザの絶縁層などを形成することにより、寄生容量のバラツキを低減でき、高周波特性などのバラツキが少ない面発光レーザを製造することができる。
【0047】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る半導体素子の製造方法について説明する。本実施形態の製造方法においても、上記第1実施形態で示した台10などからなるスピンコート製膜装置を用いて、基板1上にスピンコート材料2を製膜することができる。
【0048】
本実施形態のスピンコート工程では、先ず、3秒間、回転数300[rpm]で台10を回転させる。次いで、1秒間、2400[rpm]で台10を回転させる。次いで、10秒間「静止期間」を設ける。次いで、1秒間、2400[rpm]で台10を回転させる。次いで、10秒間「静止期間」を設ける。次いで、1秒間、7000[rpm]で台10を回転させる。これで、スピンコート工程を終了する。その後、基板1を焼成することにより、基板1上に所定の膜厚の絶縁層が形成される。
【0049】
図19は、本実施形態に係る半導体素子の製造方法により薄膜が形成された基板の裏面を示す図である。図19(a)は、図1に示すスピンコート工程が施された基板の裏面を示している。図19(b)は、本実施形態に係る半導体素子の製造方法が施された基板の裏面を示している。図19(a)の基板の裏面における外周近傍にはポリイミドワニスが回り込んでいる。この回り込んだポリイミドワニスは、後工程に悪影響を及ぼしてしまう。一方、図19(b)の基板の裏面における外周近傍にはポリイミドワニスが殆ど回り込んでいない。そこで、本実施形態によれば、スピンコート工程において、基板裏面へのスピンコート材料の回り込みを回避でき、高性能な半導体素子を低コストで製造することができる。
【0050】
上記効果が生じる理由について、次に説明する。まず、第1実施形態では初期期間が5secと長いのに対して、本実施形態では3secと短くなっている。次に、第1実施形態の場合は初期期間後に500rpmの低速回転が挿入されているのに対して、本実施形態の場合は初期期間後すぐに2400rpmの高速回転をしている。つまり、第1実施形態では、基板の中心に滴下したポリイミドワニスを基板の全体に行き渡らせ、さらに1000rpm未満の回転を行い、その後1000rpmの高速回転を行っている。それに対して、本実施形態では1000rpm未満の低速回転で長時間回転させないことで、基板の中心に滴下したポリイミドワニスが基板の外周に到達する前に高速回転に移行させることができるため、ポリイミドワニスの基板の裏面への回り込みを回避することができる。
【0051】
(半導体素子)
図20は、本発明の実施形態に係る半導体素子の一例を示す模式断面図である。図20では、上記実施形態の製造方法又は製造装置を用いて製造された半導体素子である面発光レーザ100を示している。面発光レーザ100は、半導体基板11と、下部DBR12と、活性層13と、酸化狭窄層(電流狭窄層)14と、上部DBR15と、絶縁層16と、第1電極17と、第2電極18とを有して構成されている。ここで、絶縁層16が上記実施形態の半導体素子の製造方法に係るスピンコート工程を用いて形成されたものである。
【0052】
半導体基板11は、化合物半導体からなり、例えばn型GaAs基板で構成される。下部DBR12は、半導体基板11の上層に形成されている。下部DBRは、屈折率の異なる層を交互に積層した反射層で構成されている。例えば下部DBR12は、「GaAs」と「Al0.9Ga0.1As」とを交互に積層した25ペアの分布反射型多層膜ミラー(DBRミラー)を構成している。活性層13は、下部DBR12の上層に形成されている。そして、活性層13は、例えば厚さ3nmのInGaAsのウエル層と厚さ3nmのAl0.3Ga0.7Asのバリア層からなり、そのウエル層が3層で構成されている量子井戸活性層を構成している。
【0053】
上部DBR15は、活性層13の上に設けられている。そして、上部DBR15は、屈折率の異なる層を交互に積層した反射層で構成されている。例えば上部DBR15は、「GaAs」と「Al0.9Ga0.1As」とを交互に積層した30ペアの分布反射型多層膜ミラー(DBRミラー)を構成している。
【0054】
下部DBR12は、Siがドーピングされることによりn型半導体にされている。上部DBR15は、Cがドーピングされることによりp型半導体にされている。活性層14には、不純物がドーピングされていない。これらにより、下部DBR12、活性層13及び上部DBR15は、pinダイオードを構成しており、面発光レーザ100の共振器を構成している。この共振器における活性層13及び上部DBR15は、半導体基板11及び下部DBR12の上面に凸形状に形成された円柱形状の柱状部を構成している。なお、下部DBR12も凸形状として、その下部DBR12における上側の一部を柱状部の一部としてもよい。この柱状部の上面及び下面が面発光レーザ100のレーザ光出射面となる。
【0055】
酸化狭窄膜14は、上部DBR15内における下面近傍に配置されている。酸化狭窄膜14の平面形状はドーナツ形状となっている。このドーナツ形状の内周の半径が酸化狭窄半径(酸化狭窄径)である。
【0056】
酸化狭窄膜14は、例えばAl酸化物を主体とする絶縁層で構成する。そして、酸化狭窄膜14は、面発光レーザ100の共振器内で流れる電流の流域を狭くして電流密度を向上させるものである。電流密度を高くすることで、低電流でレーザ発振することができる高性能な面発光レーザ100を構成できる。
【0057】
酸化狭窄層14は、例えば活性層13の近傍に酸化されやすい層(主にAlを多く含む層)を設け、400℃程度の高温の水蒸気(酸化ガス)を用いた酸化反応で形成できる。これにより、円柱形状の柱状部における酸化されやすい層がその柱状部の側面から酸化されて行き、その酸化された部分がドーナツ形状の絶縁体となり、酸化狭窄層14となる。
【0058】
絶縁層16は、本発明に係る半導体素子の製造方法を用いて、下部DBR12の上層に形成されたものである。この絶縁層16の厚さが大きいほど寄生容量が低下し、面発光レーザ100が高速動作可能となる。そして、絶縁層16は、下部DBR12及び活性層13などから第2電極18を絶縁するための層である。第1電極17は、面発光レーザ100のカソード電極をなすものである。第2電極18は、面発光レーザ100のアノード電極をなすものである。
【0059】
本実施形態の面発光レーザ100は、絶縁層16の膜厚などが所望の設計値に正確に形成されているので、所望の高速動作が可能な面発光レーザとなることができる。
【0060】
(光伝達装置)
図21は、本発明の実施形態に係る半導体素子(面発光レーザ100)を有してなる光伝達装置を示す図である。光伝達装置200は、コンピュータ、ディスプレイ、記憶装置、プリンタ等の電子機器202を相互に接続するものである。電子機器202は、情報通信機器であってもよい。光伝達装置200は、ケーブル204の両端にプラグ206が設けられたものであってもよい。ケーブル204は、光ファイバを含む。プラグ206は、光半導体素子220を内蔵する。プラグ206は、半導体チップをさらに内蔵してもよい。
【0061】
光ファイバの一方の端部に接続される光半導体素子220は、上述の実施形態に係る面発光レーザ100に当たるものであり、光ファイバの他方の端部に接続される光半導体素子は、受光素子である。一方の電子機器202から出力された電気信号は、光半導体素子220によって光信号に変換される。光信号は光ファイバを伝わり、受光素子に入力される。受光素子は、入力された光信号を電気信号に変換する。そして、電気信号は、他方の電子機器202に入力される。こうして、本実施形態に係る光伝達装置200によれば、光信号によって、電子機器202の情報伝達を行うことができる。
【0062】
(光伝達装置の使用形態)
図22は、図21に示す光伝達装置の使用形態を示す図である。光伝達装置212は、図21の光伝達装置200に相当するものである。光伝達装置212は、電子機器210間を接続する。電子機器210として、液晶表示モニタ又はディジタル対応のCRT(金融、通信販売、医療、教育の分野で使用されることがある。)、液晶プロジェクタ、プラズマディスプレイパネル(PDP)、ディジタルTV、小売店のレジ(POS(Point of Sale Scanning)用)、ビデオ、チューナ、ゲーム装置、プリンタ等が挙げられる。
【0063】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能であり、実施形態で挙げた具体的な材料や層構成などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
【0064】
例えば、上記実施形態では、半導体素子として面発光レーザを挙げたが、本発明はこれに限定されるものではなく、半導体デバイス全般について本発明の製造方法を用いて製造することができる。半導体デバイス全般とには、例えば、表面受光タイプのLED、PD(フォトダイオード)、MPD(モニタ・フォトダイオード)、CPU、メモリ素子、撮像素子などが含まれる。
【0065】
また、上記実施形態のスピンコート製膜装置は、台10の回転数の切替を高速に実行できるものであることが好ましい。すなわち、台10の回転速度をなるべく高い加速度で変化させることができるものであることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1実施形態に係る半導体素子の製造方法を示す図である。
【図2】同上の製造方法における回転時の状態を示す模式側面図である。
【図3】同上の製造方法における静止時の状態を示す模式側面図である。
【図4】スピンコート工程の参考例を示す図である。
【図5】本実施形態の製造方法で形成された薄膜の厚さの均一状態を示す図である。
【図6】同上の均一状態を示すヒストグラムである。
【図7】参考例の製造方法で形成された薄膜の厚さの均一状態を示す図である。
【図8】同上の均一状態を示すヒストグラムである。
【図9】本実施形態の製造方法で形成された薄膜の厚さの均一状態を示す図である。
【図10】同上の均一状態を示すヒストグラムである。
【図11】参考例の製造方法で形成された薄膜の厚さの均一状態を示す図である。
【図12】同上の均一状態を示すヒストグラムである。
【図13】本実施形態の製造方法で形成された薄膜の厚さの均一状態を示す図である。
【図14】同上の均一状態を示すヒストグラムである。
【図15】参考例の製造方法で形成された薄膜の厚さの均一状態を示す図である。
【図16】同上の均一状態を示すヒストグラムである。
【図17】本実施形態の製法における日数経過による膜厚の変化割合を示す図である。
【図18】本実施形態の製法による膜厚の標準偏差とバラツキを示す図である。
【図19】本発明の第2実施形態に係る製法で形成された基板の裏面を示す図である。
【図20】本発明の実施形態に係る半導体素子の一例を示す模式断面図である。
【図21】本発明の実施形態に係る光伝達装置を示す図である。
【図22】同上の光伝達装置の使用形態を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
1…基板、2…スピンコート材料、10…台
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子の製造方法、半導体素子の製造装置および半導体素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光通信及び光記録などの分野において、光半導体素子の需要が増大している。また、光半導体素子の一つである面発光レーザ(VCSEL)は、高速動作及びアレイ化が可能であり、且つ低消費電力であるとう特徴を有し、光通信用の光源として注目されている。ところで、面発光レーザの製造工程においては、配線の短絡を防ぐなどのために、半導体基板に絶縁層を形成する工程が必要となる。この絶縁層の形成には、スピンコートを用いることができる。スピンコートは、回転可能な円盤上に設置した基板に原料溶液(スピンコート材料)をのせ、円盤を回転させることにより、均一な薄膜(液膜)を基板上に形成し、これを焼成し薄膜を作成する技術である。スピンコートによれば、半導体ウエハなどの基板の平面全体に均一な薄膜を形成することができる。このようなスピンコートを用いて半導体レーザを製造する技術としては、例えば特許文献1に記載されているものがある。
【特許文献1】特開平6−152062号公報(段落[0029])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、面発光レーザ及び端面発光レーザの絶縁層の形成に用いられるポリイミドワニスは、不揮発分(ポリアミック酸と溶媒であるNメチル2ピロリドン)で構成されている。このポリイミドワニスをスピンコートにより半導体ウエハに塗布することで、絶縁層を形成することができる。
【0004】
しかしながら、面発光レーザ及び端面発光レーザを高速駆動可能な構造にするには、その寄生容量を低減しなければならず、前記絶縁層の厚にをできるだけ大きくすることが望まれる。ここで、不揮発分のポリイミドワニスをスピンコートによりウエハ上に塗布しようとすると、揮発性の高いレジストを塗布するようには、平面全体に均一に塗布することが困難であり、膜厚が不均一になってしまうという問題がある。この膜厚の不均一は、1枚のウエハで多数個製造される面発光レーザ及び端面発光レーザの性能の不均一を招いてしまう。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、スピンコートを用いて薄膜を形成するときに、その薄膜の厚さの均一度を向上させることができる半導体素子の製造方法、半導体素子の製造装置および半導体素子の提供を目的とする。
また、本発明は、スピンコート材料の属性の影響を低減しながら、均一な厚さの薄膜を形成することができる半導体素子の製造方法、半導体素子の製造装置および半導体素子の提供を目的とする。
また、本発明は、スピンコートを用いて高性能な半導体素子を低コストで製造することができる半導体素子の製造方法、半導体素子の製造装置および半導体素子の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の半導体素子の製造方法は、基板にスピンコート材料を載せ、該基板を回転させることにより、該基板上に薄膜を形成するスピンコート工程を有する半導体素子の製造方法であって、前記スピンコート工程は、前記基板の回転の開始から該スピンコート工程の終了までの間に、該基板について、前後の回転数よりも低速回転の状態とする低速期間を有することを特徴とする。
本発明によれば、スピンコート材料を載せた基板を回転させて、その材料を遠心力で基板上の平面で引き伸ばしている途中で、その回転を低速回転にする。そして、この低速回転を充分に低速にすると、遠心力で基板の外縁近傍にスピンコート材料を移動させる力よりも、そのスピンコート材料が基板の中心に戻させる力の方を大きくさせることができる。これにより、基板の外縁近傍においてスピンコート材料からなる薄膜の厚さが他の部分よりも厚くなることを低減することができる。そこで、本発明は、スピンコートにより形成される薄膜の厚さの均一度及び平坦度を向上させることができる。
【0007】
また、本発明の半導体素子の製造方法は、前記低速期間が前記基板の回転を停止している静止期間であることが好ましい。
本発明によれば、静止期間において基板の回転を完全に停止させるので、この期間、基板上のスピンコート材料に作用する遠心力をゼロにすることができる。ここで、静止期間となる前の基板が回転されている期間は、スピンコート材料が基板の外縁近傍に集まり、基板の中心近傍よりも外縁近傍の方がスピンコート材料が厚くなる場合がある。そこで、静止期間において、基板の外縁近傍に溜まったスピンコート材料の一部を基板の中心近傍に良好に移動させることができる。したがって、本発明は、スピンコートにより形成される薄膜について、厚みを維持しながら、その厚さの均一度及び平坦度を向上させることができる。
【0008】
また、本発明の半導体素子の製造方法は、前記半導体素子が半導体レーザであり、前記スピンコート材料はポリイミドワニスであることが好ましい。
本発明によれば、ポリイミドワニスからなる薄膜の絶縁層であって、半導体レーザの絶縁層となるものを、充分な厚さで、且つ均一に形成することができる。そこで、本発明によれば、半導体レーザの寄生容量などを充分に低減でき、高速駆動が可能な半導体レーザを低コストで製造することが可能となる。
【0009】
また、本発明の半導体素子の製造方法は、前記スピンコート工程が、前記基板を第1回転数で回転させる初期期間と、前記初期期間の後に前記基板を第1回転数よりも速い第2回転数で回転させるメイン期間と、前記メイン期間の後におこなわれる前記低速期間と、前記静止期間の後に前記基板を前記第2回転数よりも速い第3回転数で回転させる振り切り期間とを有することが好ましい。
本発明によれば、基板の中心に滴下されたスピンコート材料を、初期期間において基板上に塗り伸ばすことができる。また、メイン期間の第2回転数により基板の上面全体について、ほぼ所望の膜厚にすることができる。さらに、低速期間と振り切り期間とにより、「カンナを掛ける」ように、膜厚の均一度及び平坦度を向上させることができる。
【0010】
また、本発明の半導体素子の製造方法は、前記低速期間と振り切り期間とが交互に繰り返し行われることが好ましい。
本発明によれば、低速期間と振り切り期間とを交互に繰り返し行うことにより、スピンコートによる薄膜の厚さの均一度及び平坦度をさらに向上させることができる。例えばスピンコート材料の材質などが異なる状態となった場合でも、所望の厚さの薄膜であって、均一度及び平坦度の高い薄膜を形成することが可能となる。
【0011】
また、本発明の半導体素子の製造方法は、複数回の前記振り切り期間の相互において、後の振り切り期間の前記基板の回転数が前の振り切り期間の回転数よりも速いことが好ましい。
本発明によれば、スピンコートによる薄膜の厚さの均一度及び平坦度をさらに向上させることができる。
【0012】
また、本発明の半導体素子の製造方法は、前記初期期間が1秒から10秒の範囲で行われ、前記メイン期間が前記初期期間よりも長い時間行われ、前記振り切り期間が前記初期期間よりも短い時間行われることが好ましい。
本発明によれば、例えば、半導体レーザの絶縁層をなす薄膜を、半導体ウエハ等に全体的に、高精度に形成することができる。
【0013】
また、本発明の半導体素子の製造方法は、前記低速期間が1秒から20秒の範囲で行われることが好ましい。また、前記低速期間は、例えば、10秒間行われることとしてもよい。
本発明によれば、基板に外縁近傍に溜まったスピンコート材料の一部を、低速期間において、基板中心方向に効果的に移動させることができ、薄膜の均一化及び平坦化のための作用・効果を発揮させることができる。
【0014】
また、本発明の半導体素子の製造方法は、前記スピンコート材料の粘度に基づいて、前記低速期間の時間を調整することが好ましい。
本発明によれば、スピンコート材料の粘度に応じた時間だけ低速期間を実行することができる。そこで、スピンコート材料が低粘度であっても高粘度であっても、そのスピンコート材料からなる薄膜を、所望の厚さに、均一に、且つ平坦に形成することができる。例えば、粘度が高いスピンコート材料ほど、低速期間を長くすることとしてもよい。
【0015】
また、本発明の半導体素子の製造方法は、前記スピンコート材料の揮発性の強さに基づいて、前記低速期間の時間を調整することが好ましい。
本発明によれば、スピンコート材料の揮発性に応じた時間だけ低速期間を実行することができる。そこで、スピンコート材料が揮発性の強いものであっても弱いものであっても、そのスピンコート材料からなる薄膜を、所望の厚さに、均一に、且つ平坦に形成することができる。例えば、揮発性の弱いスピンコート材料ほど、低速期間を長くすることとしてもよい。
【0016】
また、本発明の半導体素子の製造方法は、前記基板上に形成しようとする薄膜の厚さに基づいて、前記低速期間の時間を調整することが好ましい。
本発明によれば、形成しようとする薄膜の厚さに応じた時間だけ低速期間を実行することができる。そこで、形成しようとする薄膜が厚いものであっても薄いものであっても、その所望の厚さに、均一に、且つ平坦に形成することができる。例えば、厚い薄膜を形成するときほど、低速期間を長くすることとしてもよい。
【0017】
上記目的を達成するために、本発明の半導体素子の製造装置は、基板を保持する台と、前記台を回転させる駆動機構と、前記駆動機構の動作を制御する制御部とを有してなり、前記基板にスピンコート処理をするために用いられる半導体素子の製造装置であって、前記制御部は、前記スピンコート処理の途中で、前記台の回転を所定時間だけ停止させる静止期間が生じるように、前記駆動機構を制御するものであることを特徴とする。
本発明によれば、台を回転させてその台に載せられた基板を回転させることができ、その基板にスピンコート材料を塗布しておくことにより、スピンコート処理をすることができる。さらに、制御部がスピンコート処理の途中で台の回転を所定時間だけ停止させるので、基板の外縁近傍に溜まったスピンコート材料の一部を基板の中心方向に移動させることができる。そこで、本発明の製造装置は、スピンコートにより形成される薄膜の厚さの均一度及び平坦度を向上させることができる。
【0018】
また、本発明の半導体素子の製造装置は、前記制御部が、前記台を所定速度で回転させる回転期間と、前記静止期間とが交互に繰り返されるように、前記駆動機構を制御するものであることが好ましい。
本発明によれば、スピンコートによる薄膜の厚さの均一度及び平坦度をさらに向上させることができる。例えばスピンコート材料の材質などが異なる状態となった場合でも、所望の厚さの薄膜であって、均一度及び平坦度の高い薄膜を形成することができる。
【0019】
上記目的を達成するために、本発明の半導体素子は、前記半導体素子の製造装置を用いて製造されたことを特徴とする。
本発明によれば、所望の厚さの薄膜を有してなる高性能な半導体素子を、低コストで提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る半導体素子の製造方法、半導体素子の製造装置および半導体素子について、図面を参照して説明する。本実施形態では、半導体素子の一例として面発光レーザを挙げて説明する。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体素子の製造方法を示す図である。すなわち、図1では、本実施形態に係る半導体素子の製造方法におけるスピンコート工程の処理手順について示している。
【0022】
図2は、図1に示すスピンコート工程における基板などの回転時の状態を示す模式側面図である。図3は、図1に示すスピンコート工程における上記回転時の後の静止時を示す模式側面図である。本スピンコート工程で用いられるスピンコート製膜装置(半導体素子の製造装置)は、基板1を保持する円柱形の台10と、台10を回転させる駆動機構(図示せず)と、駆動機構の動作を制御する制御部(図示せず)とを有して構成されている。この制御部が図1に示すように、駆動機構の動作を制御する。
【0023】
基板1は、例えばGaAs又はInPからなる半導体ウエハである。基板1は、台10の上面に固定されている。ここで、基板1は、台10の上面の中心と基板10の平面の中心とが重なるように配置されている。スピンコート材料2は、例えば面発光レーザの絶縁層となるポリイミドワニスとする。ポリイミドワニスは不揮発分(ポリアミック酸と溶媒であるNメチル2ピロリドン)で構成されている。
【0024】
上記のように基板1を台10に設置して、その基板1の中心近傍にスピンコート材料2を所定量だけ滴下した後、図1に示すように、台10を回転させる。なお、台10の回転に伴って基板1も回転する。
【0025】
先ず、「初期期間」として、5秒間、回転数300[rpm]で台10を回転させる。この初期期間により、基板1の上面にスピンコート材料2を塗り伸ばすことができる。
次いで、「メイン期間」として、20秒間、回転数500[rpm]で台10を回転させる。このメイン期間により、スピンコート材料2が基板1の上面全体に所望の厚さに近い厚さで形成される。ここで、台10の回転時、すなわち基板1の回転時は、図2に示すように、遠心力により、基板1の中心近傍のスピンコート材料2の一部が基板1の外周方向(細い矢印の方向)に移動する。これにより、基板1の外周近傍にスピンコート材料2が溜まり、基板1における外周近傍のスピンコート材料2aの厚さが中心近傍の厚さよりも大きくなる現象が生じる。なお、メイン期間では、スピンコート材料2の一部2bが遠心力によって基板1上から外に振り出される。
【0026】
そこで、「メイン期間」の後に「静止期間」を設ける。「静止期間」は、10秒間、台10を回転数0[rpm]すなわち静止させる。この静止期間では、図3に示すように、基板1の外周近傍に溜まったスピンコート材料2の一部がその基板1の中心方向(細い矢印の方向)に移動する。これにより、基板1上におけるスピンコート材料2の膜厚の均一度が向上する。なお、静止期間は、完全に静止する代わりに、例えば1[rpm]程度の極低速度で回転させる「低速期間」としてもよい。
【0027】
次いで、「振り切り期間」として、1秒間、回転数1000[rpm]で台10を回転させる。この振り切り期間では、スピンコート材料2の一部が遠心力によって基板1上から外に振り出される。これにより、例えば基板1の外周から内側約2〜3mmの範囲についての平坦度を向上させることができる。ここで、振り切り期間が1秒と比較的短いのは、振り切り期間が長いと膜厚の低下するので、所望の膜厚を確保しながら、その膜厚の均一性を向上させるためである。
【0028】
次いで、「静止期間」として、10秒間、台10を静止させる。次いで、「振り切り期間」として、1秒間、回転数3000[rpm]で台10を回転させる。次いで、「静止期間」として、10秒間、台10を静止させる。次いで、「振り切り期間」として、1秒間、回転数7000[rpm]で台10を回転させる。これにより、スピンコート製膜装置を用いた本実施形態のスピンコート工程は完了する。上記工程では、「静止期間」と「振り切り期間」とを交互に3回繰り返している。また、複数回の振り切り期間それぞれの回転数は、後の振り切り期間になるほど高くなっている。上記スピンコート工程の後、基板1を台10から取り外して、その基板1を焼成することにより、基板1上に所定の膜厚の絶縁層が形成される。
【0029】
これらにより、本実施形態によれば、スピンコート工程の途中で「静止期間」を設けているので、基板1の外縁近傍においてスピンコート材料2からなる薄膜の厚さが他の部分よりも厚くなることを低減することができる。そこで、本実施形態は、スピンコートにより形成される薄膜の厚さの均一度及び平坦度を向上させることができる。また、本実施形態によれば、「静止期間」と「振り切り期間」とを交互に繰り返し実行しているので、「カンナを掛ける」ように、膜厚の均一度及び平坦度を向上させることができる。これらにより、本実施形態は、スピンコート材料2からなる面発光レーザなどの絶縁層を、充分な厚さを確保しながら、均一に形成することができる。そこで、本発明によれば、寄生容量などを充分に低減でき、高速駆動が可能な面発光レーザを低コストで製造することができる。
【0030】
また、上記実施形態において「静止期間」とする「時間」は、10秒で一定としているが、その「静止期間」の「時間」は、スピンコート材料2の粘度に基づいて、設定・調整してもよい。例えば、粘度が高いスピンコート材料2ほど、「静止期間」を長くすることとしてもよい。
【0031】
また、「静止期間」の「時間」は、スピンコート材料2の揮発性の強さに基づいて、設定・調整してもよい。例えば、揮発性の弱いスピンコート材料2ほど、「静止期間」を長くすることとしてもよい。
【0032】
また、「静止期間」の「時間」は、基板1上に形成しようとする薄膜の厚さに基づいて設定・調整してもよい。例えば、厚い薄膜を形成するときほど、「静止期間」を長くすることとしてもよい。
【0033】
次に、図4から図18を参照して、本実施形態の半導体素子の製造方法の効果について具体的に示す。図4は、「静止期間」を設けていないスピンコート工程の一例を示す図であり、均一化が本実施形態に比べて不充分な方法の一例(参考例)である。図5から図18は、図1に示す本実施形態のスピンコート工程、又は図4に示す参考例のスピンコート工程によって形成された薄膜の各部の厚さを測定した結果を示すものである。ここで、本実施形態のスピンコート工程及び参考例のスピンコート工程は、ともに1.0[cc]のポリイミドワニスをスピンコート材料としている。
【0034】
図5は、図1に示す本実施形態のスピンコート工程を用いて形成された薄膜の厚さの均一状態についての測定結果を示す図である。この測定に用いられた薄膜は、容器の開封直後のポリイミドワニスを用いて形成されたものである。基板1の上面を碁盤の目のように区切り、各部の膜厚(平均値)をハッチングの種類で示している。図6は、図5の測定結果である各部の膜厚をヒストグラムで示したものである。すなわち、同じ膜厚の部位が多いほど、ヒストグラムのピークが高くなり、均一度が高いといえる。
【0035】
図9は、図1に示す本実施形態のスピンコート工程を用いて形成された薄膜の厚さの均一状態についての測定結果を示す図である。ただし、図9に示す測定結果は、図5に示すスピンコート工程を行った日から15日後に、図5の工程で実施したスピンコート材料、すなわち容器を開封してから15日後のポリイミドワニスを用いてスピンコートしたものについて測定したものである。図10は、図9の測定結果である各部の膜厚をヒストグラムで示したものである。
【0036】
図13は、図1に示す本実施形態のスピンコート工程を用いて形成された薄膜の厚さの均一状態についての測定結果を示す図である。ただし、図13に示す測定結果は、図5に示すスピンコート工程を行った日から30日後に、図5の工程で実施したスピンコート材料、すなわち容器を開封してから30日後のポリイミドワニスを用いてスピンコートしたものについて測定したものである。図14は、図13の測定結果である各部の膜厚をヒストグラムで示したものである。
【0037】
図6、図10及び図14の各ヒストグラムを比較すると、その形状はほぼ一致しており、ピーク値の膜厚も一致している。これにより、スピンコート材料2の材質が経時劣化などした場合でも、図1に示す本実施形態のスピンコート工程を用いることにより、所望の膜厚且つ所望の均一度の薄膜を形成できることがわかる。
【0038】
図7は、図4に示すスピンコート工程(参考例)を用いて形成された薄膜の厚さの均一状態についての測定結果を示す図である。この測定に用いられた薄膜は、容器の開封直後のポリイミドワニスを用いて形成されたものである。図8は、図7の測定結果である各部の膜厚をヒストグラムで示したものである。
【0039】
図11は、図4に示すスピンコート工程(参考例)を用いて形成された薄膜の厚さの均一状態についての測定結果を示す図である。ただし、図11に示す測定結果は、図7に示すスピンコート工程を行った日から15日後に、図7の工程で実施したスピンコート材料、すなわち容器を開封してから15日後のポリイミドワニスを用いてスピンコートしたものについて測定したものである。図12は、図11の測定結果である各部の膜厚をヒストグラムで示したものである。
【0040】
図15は、図4に示すスピンコート工程(参考例)を用いて形成された薄膜の厚さの均一状態についての測定結果を示す図である。ただし、図15に示す測定結果は、図7に示すスピンコート工程を行った日から30日後に、図7の工程で実施したスピンコート材料、すなわち容器を開封してから30日後のポリイミドワニスを用いてスピンコートしたものについて測定したものである。図16は、図15の測定結果である各部の膜厚をヒストグラムで示したものである。
【0041】
図8、図12、図16のヒストグラムと、図6、図10、図14の本実施形態のヒストグラムとを比較すると、本実施形態の方がピークが高い。これにより、本実施形態のスピンコート工程の方が図4に示す参考例の工程よりも、薄膜の均一度が高いことがわかる。
【0042】
また、図8、図12、図16の参考例のヒストグラムについて相互に比較すると、ピークの膜厚が日数の経過につれて下がっていることがわかる。これにより、参考例のスピンコート工程では、スピンコート材料2の材質が経時劣化などしたことにより、(本実施形態のスピンコート工程に比べて、)薄膜の厚さに影響を与えてしまうことがわかる。
【0043】
図17は、図5から図16に示す測定結果について、日数経過による膜厚の変化割合をグラフ表示したものである。図17において、四角形の点は、図1に示す本実施形態のスピンコート工程を用いて形成した薄膜の測定値(均一塗りの平均値)を示している。また、菱形の点は、図4に示すスピンコート工程(参考例)を用いて形成した薄膜の測定値(通常塗りの平均値)を示している。各点の値は、経過日数ゼロ(すなわち、図5又は図7の基板)の測定値(平均値)を基準(100パーセント)としたときの割合である。
【0044】
図17に示されているように、参考例の通常塗りでは日数の経過により膜厚が徐々に薄くなってしまうが、本実施形態の均一塗りによれば日数が経過しても殆ど膜厚が変化しない。ここで、ポリイミドワニスは、新品のものが封切られて時間が経つと粘度が低くなると考えられる。しかし、本実施形態の均一塗りによれば、粘度が異なるスピンコート材料を用いても、所望膜厚の薄膜を均一に形成することができる。
【0045】
図18は、図5から図16に示す測定結果について、日数経過による膜厚のバラツキRの変化状態と、日数経過による膜厚の標準偏差Sの変化状態とをグラフ表示したものである。図18において、四角形の点は、図1に示す本実施形態のスピンコート工程を用いて形成した薄膜(均一塗り)の厚さのバラツキRを示している。また、菱形の点は、図4に示すスピンコート工程(通常塗り)を用いて形成した薄膜の厚さのバラツキRを示している。また、三角形の点は、均一塗りの膜厚の標準偏差Sを示している。また、バツの点は、参考例の膜厚の標準偏差Sを示している。
【0046】
標準偏差Sは、均一塗りと通常塗りとでほぼ同一である。しかし、バラツキRは、日数経過の有無にかかわらず、本実施形態の均一塗りの方が参考例の通常塗りよりも小さい。そこで、本実施形態のスピンコート工程によれば、参考例のスピンコート工程よりも、均一度の高い薄膜を形成できることがわかる。これらにより、本実施形態のスピンコート工程を用いて面発光レーザの絶縁層などを形成することにより、寄生容量のバラツキを低減でき、高周波特性などのバラツキが少ない面発光レーザを製造することができる。
【0047】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る半導体素子の製造方法について説明する。本実施形態の製造方法においても、上記第1実施形態で示した台10などからなるスピンコート製膜装置を用いて、基板1上にスピンコート材料2を製膜することができる。
【0048】
本実施形態のスピンコート工程では、先ず、3秒間、回転数300[rpm]で台10を回転させる。次いで、1秒間、2400[rpm]で台10を回転させる。次いで、10秒間「静止期間」を設ける。次いで、1秒間、2400[rpm]で台10を回転させる。次いで、10秒間「静止期間」を設ける。次いで、1秒間、7000[rpm]で台10を回転させる。これで、スピンコート工程を終了する。その後、基板1を焼成することにより、基板1上に所定の膜厚の絶縁層が形成される。
【0049】
図19は、本実施形態に係る半導体素子の製造方法により薄膜が形成された基板の裏面を示す図である。図19(a)は、図1に示すスピンコート工程が施された基板の裏面を示している。図19(b)は、本実施形態に係る半導体素子の製造方法が施された基板の裏面を示している。図19(a)の基板の裏面における外周近傍にはポリイミドワニスが回り込んでいる。この回り込んだポリイミドワニスは、後工程に悪影響を及ぼしてしまう。一方、図19(b)の基板の裏面における外周近傍にはポリイミドワニスが殆ど回り込んでいない。そこで、本実施形態によれば、スピンコート工程において、基板裏面へのスピンコート材料の回り込みを回避でき、高性能な半導体素子を低コストで製造することができる。
【0050】
上記効果が生じる理由について、次に説明する。まず、第1実施形態では初期期間が5secと長いのに対して、本実施形態では3secと短くなっている。次に、第1実施形態の場合は初期期間後に500rpmの低速回転が挿入されているのに対して、本実施形態の場合は初期期間後すぐに2400rpmの高速回転をしている。つまり、第1実施形態では、基板の中心に滴下したポリイミドワニスを基板の全体に行き渡らせ、さらに1000rpm未満の回転を行い、その後1000rpmの高速回転を行っている。それに対して、本実施形態では1000rpm未満の低速回転で長時間回転させないことで、基板の中心に滴下したポリイミドワニスが基板の外周に到達する前に高速回転に移行させることができるため、ポリイミドワニスの基板の裏面への回り込みを回避することができる。
【0051】
(半導体素子)
図20は、本発明の実施形態に係る半導体素子の一例を示す模式断面図である。図20では、上記実施形態の製造方法又は製造装置を用いて製造された半導体素子である面発光レーザ100を示している。面発光レーザ100は、半導体基板11と、下部DBR12と、活性層13と、酸化狭窄層(電流狭窄層)14と、上部DBR15と、絶縁層16と、第1電極17と、第2電極18とを有して構成されている。ここで、絶縁層16が上記実施形態の半導体素子の製造方法に係るスピンコート工程を用いて形成されたものである。
【0052】
半導体基板11は、化合物半導体からなり、例えばn型GaAs基板で構成される。下部DBR12は、半導体基板11の上層に形成されている。下部DBRは、屈折率の異なる層を交互に積層した反射層で構成されている。例えば下部DBR12は、「GaAs」と「Al0.9Ga0.1As」とを交互に積層した25ペアの分布反射型多層膜ミラー(DBRミラー)を構成している。活性層13は、下部DBR12の上層に形成されている。そして、活性層13は、例えば厚さ3nmのInGaAsのウエル層と厚さ3nmのAl0.3Ga0.7Asのバリア層からなり、そのウエル層が3層で構成されている量子井戸活性層を構成している。
【0053】
上部DBR15は、活性層13の上に設けられている。そして、上部DBR15は、屈折率の異なる層を交互に積層した反射層で構成されている。例えば上部DBR15は、「GaAs」と「Al0.9Ga0.1As」とを交互に積層した30ペアの分布反射型多層膜ミラー(DBRミラー)を構成している。
【0054】
下部DBR12は、Siがドーピングされることによりn型半導体にされている。上部DBR15は、Cがドーピングされることによりp型半導体にされている。活性層14には、不純物がドーピングされていない。これらにより、下部DBR12、活性層13及び上部DBR15は、pinダイオードを構成しており、面発光レーザ100の共振器を構成している。この共振器における活性層13及び上部DBR15は、半導体基板11及び下部DBR12の上面に凸形状に形成された円柱形状の柱状部を構成している。なお、下部DBR12も凸形状として、その下部DBR12における上側の一部を柱状部の一部としてもよい。この柱状部の上面及び下面が面発光レーザ100のレーザ光出射面となる。
【0055】
酸化狭窄膜14は、上部DBR15内における下面近傍に配置されている。酸化狭窄膜14の平面形状はドーナツ形状となっている。このドーナツ形状の内周の半径が酸化狭窄半径(酸化狭窄径)である。
【0056】
酸化狭窄膜14は、例えばAl酸化物を主体とする絶縁層で構成する。そして、酸化狭窄膜14は、面発光レーザ100の共振器内で流れる電流の流域を狭くして電流密度を向上させるものである。電流密度を高くすることで、低電流でレーザ発振することができる高性能な面発光レーザ100を構成できる。
【0057】
酸化狭窄層14は、例えば活性層13の近傍に酸化されやすい層(主にAlを多く含む層)を設け、400℃程度の高温の水蒸気(酸化ガス)を用いた酸化反応で形成できる。これにより、円柱形状の柱状部における酸化されやすい層がその柱状部の側面から酸化されて行き、その酸化された部分がドーナツ形状の絶縁体となり、酸化狭窄層14となる。
【0058】
絶縁層16は、本発明に係る半導体素子の製造方法を用いて、下部DBR12の上層に形成されたものである。この絶縁層16の厚さが大きいほど寄生容量が低下し、面発光レーザ100が高速動作可能となる。そして、絶縁層16は、下部DBR12及び活性層13などから第2電極18を絶縁するための層である。第1電極17は、面発光レーザ100のカソード電極をなすものである。第2電極18は、面発光レーザ100のアノード電極をなすものである。
【0059】
本実施形態の面発光レーザ100は、絶縁層16の膜厚などが所望の設計値に正確に形成されているので、所望の高速動作が可能な面発光レーザとなることができる。
【0060】
(光伝達装置)
図21は、本発明の実施形態に係る半導体素子(面発光レーザ100)を有してなる光伝達装置を示す図である。光伝達装置200は、コンピュータ、ディスプレイ、記憶装置、プリンタ等の電子機器202を相互に接続するものである。電子機器202は、情報通信機器であってもよい。光伝達装置200は、ケーブル204の両端にプラグ206が設けられたものであってもよい。ケーブル204は、光ファイバを含む。プラグ206は、光半導体素子220を内蔵する。プラグ206は、半導体チップをさらに内蔵してもよい。
【0061】
光ファイバの一方の端部に接続される光半導体素子220は、上述の実施形態に係る面発光レーザ100に当たるものであり、光ファイバの他方の端部に接続される光半導体素子は、受光素子である。一方の電子機器202から出力された電気信号は、光半導体素子220によって光信号に変換される。光信号は光ファイバを伝わり、受光素子に入力される。受光素子は、入力された光信号を電気信号に変換する。そして、電気信号は、他方の電子機器202に入力される。こうして、本実施形態に係る光伝達装置200によれば、光信号によって、電子機器202の情報伝達を行うことができる。
【0062】
(光伝達装置の使用形態)
図22は、図21に示す光伝達装置の使用形態を示す図である。光伝達装置212は、図21の光伝達装置200に相当するものである。光伝達装置212は、電子機器210間を接続する。電子機器210として、液晶表示モニタ又はディジタル対応のCRT(金融、通信販売、医療、教育の分野で使用されることがある。)、液晶プロジェクタ、プラズマディスプレイパネル(PDP)、ディジタルTV、小売店のレジ(POS(Point of Sale Scanning)用)、ビデオ、チューナ、ゲーム装置、プリンタ等が挙げられる。
【0063】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能であり、実施形態で挙げた具体的な材料や層構成などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
【0064】
例えば、上記実施形態では、半導体素子として面発光レーザを挙げたが、本発明はこれに限定されるものではなく、半導体デバイス全般について本発明の製造方法を用いて製造することができる。半導体デバイス全般とには、例えば、表面受光タイプのLED、PD(フォトダイオード)、MPD(モニタ・フォトダイオード)、CPU、メモリ素子、撮像素子などが含まれる。
【0065】
また、上記実施形態のスピンコート製膜装置は、台10の回転数の切替を高速に実行できるものであることが好ましい。すなわち、台10の回転速度をなるべく高い加速度で変化させることができるものであることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1実施形態に係る半導体素子の製造方法を示す図である。
【図2】同上の製造方法における回転時の状態を示す模式側面図である。
【図3】同上の製造方法における静止時の状態を示す模式側面図である。
【図4】スピンコート工程の参考例を示す図である。
【図5】本実施形態の製造方法で形成された薄膜の厚さの均一状態を示す図である。
【図6】同上の均一状態を示すヒストグラムである。
【図7】参考例の製造方法で形成された薄膜の厚さの均一状態を示す図である。
【図8】同上の均一状態を示すヒストグラムである。
【図9】本実施形態の製造方法で形成された薄膜の厚さの均一状態を示す図である。
【図10】同上の均一状態を示すヒストグラムである。
【図11】参考例の製造方法で形成された薄膜の厚さの均一状態を示す図である。
【図12】同上の均一状態を示すヒストグラムである。
【図13】本実施形態の製造方法で形成された薄膜の厚さの均一状態を示す図である。
【図14】同上の均一状態を示すヒストグラムである。
【図15】参考例の製造方法で形成された薄膜の厚さの均一状態を示す図である。
【図16】同上の均一状態を示すヒストグラムである。
【図17】本実施形態の製法における日数経過による膜厚の変化割合を示す図である。
【図18】本実施形態の製法による膜厚の標準偏差とバラツキを示す図である。
【図19】本発明の第2実施形態に係る製法で形成された基板の裏面を示す図である。
【図20】本発明の実施形態に係る半導体素子の一例を示す模式断面図である。
【図21】本発明の実施形態に係る光伝達装置を示す図である。
【図22】同上の光伝達装置の使用形態を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
1…基板、2…スピンコート材料、10…台
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板にスピンコート材料を載せ、該基板を回転させることにより、該基板上に薄膜を形成するスピンコート工程を有する半導体素子の製造方法であって、
前記スピンコート工程は、前記基板の回転の開始から該スピンコート工程の終了までの間に、該基板について、前後の回転数よりも低速回転の状態とする低速期間を有することを特徴とする半導体素子の製造方法。
【請求項2】
前記低速期間は、前記基板の回転を停止している静止期間であることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項3】
前記半導体素子は、半導体レーザであり、
前記スピンコート材料は、ポリイミドワニスであることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項4】
前記スピンコート工程は、前記基板を第1回転数で回転させる初期期間と、
前記初期期間の後に、前記基板を第1回転数よりも速い第2回転数で回転させるメイン期間と、
前記メイン期間の後におこなわれる前記低速期間と、
前記静止期間の後に、前記基板を前記第2回転数よりも速い第3回転数で回転させる振り切り期間とを有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項5】
前記低速期間と振り切り期間とは、交互に繰り返し行われることを特徴とする請求項4に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項6】
複数回の前記振り切り期間の相互において、後の振り切り期間の前記基板の回転数が前の振り切り期間の回転数よりも速いことを特徴とする請求項5に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項7】
前記初期期間は、1秒から10秒の範囲で行われ、
前記メイン期間は、前記初期期間よりも長い時間行われ、
前記振り切り期間は、前記初期期間よりも短い時間行われることを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項8】
前記低速期間は、1秒から20秒の範囲で行われることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項9】
前記低速期間は、10秒間行われることを特徴とする請求項8に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項10】
前記スピンコート材料の粘度に基づいて、前記低速期間の時間を調整することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項11】
前記スピンコート材料の揮発性の強さに基づいて、前記低速期間の時間を調整することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項12】
前記基板上に形成しようとする薄膜の厚さに基づいて、前記低速期間の時間を調整することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項13】
基板を保持する台と、
前記台を回転させる駆動機構と、
前記駆動機構の動作を制御する制御部とを有してなり、
前記基板にスピンコート処理をするために用いられる半導体素子の製造装置であって、
前記制御部は、前記スピンコート処理の途中で、前記台の回転を所定時間だけ停止させる静止期間が生じるように、前記駆動機構を制御するものであることを特徴とする半導体素子の製造装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記台を所定速度で回転させる回転期間と、前記静止期間とが交互に繰り返されるように、前記駆動機構を制御するものであることを特徴とする請求項13に記載の半導体素子の製造装置。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の半導体素子の製造装置を用いて製造されたことを特徴とする半導体素子。
【請求項1】
基板にスピンコート材料を載せ、該基板を回転させることにより、該基板上に薄膜を形成するスピンコート工程を有する半導体素子の製造方法であって、
前記スピンコート工程は、前記基板の回転の開始から該スピンコート工程の終了までの間に、該基板について、前後の回転数よりも低速回転の状態とする低速期間を有することを特徴とする半導体素子の製造方法。
【請求項2】
前記低速期間は、前記基板の回転を停止している静止期間であることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項3】
前記半導体素子は、半導体レーザであり、
前記スピンコート材料は、ポリイミドワニスであることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項4】
前記スピンコート工程は、前記基板を第1回転数で回転させる初期期間と、
前記初期期間の後に、前記基板を第1回転数よりも速い第2回転数で回転させるメイン期間と、
前記メイン期間の後におこなわれる前記低速期間と、
前記静止期間の後に、前記基板を前記第2回転数よりも速い第3回転数で回転させる振り切り期間とを有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項5】
前記低速期間と振り切り期間とは、交互に繰り返し行われることを特徴とする請求項4に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項6】
複数回の前記振り切り期間の相互において、後の振り切り期間の前記基板の回転数が前の振り切り期間の回転数よりも速いことを特徴とする請求項5に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項7】
前記初期期間は、1秒から10秒の範囲で行われ、
前記メイン期間は、前記初期期間よりも長い時間行われ、
前記振り切り期間は、前記初期期間よりも短い時間行われることを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項8】
前記低速期間は、1秒から20秒の範囲で行われることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項9】
前記低速期間は、10秒間行われることを特徴とする請求項8に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項10】
前記スピンコート材料の粘度に基づいて、前記低速期間の時間を調整することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項11】
前記スピンコート材料の揮発性の強さに基づいて、前記低速期間の時間を調整することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項12】
前記基板上に形成しようとする薄膜の厚さに基づいて、前記低速期間の時間を調整することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項13】
基板を保持する台と、
前記台を回転させる駆動機構と、
前記駆動機構の動作を制御する制御部とを有してなり、
前記基板にスピンコート処理をするために用いられる半導体素子の製造装置であって、
前記制御部は、前記スピンコート処理の途中で、前記台の回転を所定時間だけ停止させる静止期間が生じるように、前記駆動機構を制御するものであることを特徴とする半導体素子の製造装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記台を所定速度で回転させる回転期間と、前記静止期間とが交互に繰り返されるように、前記駆動機構を制御するものであることを特徴とする請求項13に記載の半導体素子の製造装置。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の半導体素子の製造装置を用いて製造されたことを特徴とする半導体素子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2006−287155(P2006−287155A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−108508(P2005−108508)
【出願日】平成17年4月5日(2005.4.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月5日(2005.4.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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