説明

半導体装置およびその導体配線の接続検査方法

【課題】微細パターンを有する半導体デバイスの導体配線のインライン接続検査を、安価な装置で、効率良く実施することを目的とする。
【解決手段】接地(電源接続)電極パターンと非接地(フローティング)電極パターンを複数交互に配置し、接地電極(電源接続)パターンと非接地(フローティング)電極パターンそれぞれを2本以上相互接続し、各相互接続個所から延伸して電極パターンより幅の広い延伸配線を形成し、かつ接地電極パターンの延伸配線及び非接地電極パターンの延伸配線とが交互に配置された、延伸配線交互配置領域を形成する。この領域をSEM走査して、各延伸配線のSEM像明暗配列状態から、電極パターンの欠陥情報(オープン・ショートの判定、欠陥電極の位置など)を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路の導体配線の接続について、オープン・ショートなどの電気的評価を行う事を目的とする、電気的な接続検査を的確に行うのに適した接続検査用導体配線を備えた半導体装置、およびそれを用いた導体配線の接続検査方法に関する。とくに、半導体集積回路のインライン中での導体配線の評価に有効な接続検査用導体配線を備えている半導体装置、およびそれを用いた、とくにボルテージコントラスト法による導体配線の接続検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
微細化・大型化を伴った次世代・新品種の半導体集積回路の開発がますます加速化されるなか、半導体製造プロセスの複雑化、TAT(Turn Around Time)の短縮化がより求められるようになっている。
【0003】
そうした状況において、各種の製造プロセスの段階で、的確かつ短時間に電気的評価を実施し、即ち、インラインテストを行って、その結果を製造ラインへフィードバックをし、歩留の改善を図ることがますます重要となっている。
【0004】
これに対処するインラインテスト法として、ある工程のプロセス完了後に、例えば、ウエハーの検査用を含む電極パッドあるいはTEG(Test Element Group)電極パッドなどにプローブ針をあてて電気的測定を行い、その製造工程で製造された導体配線のオープン、あるいはショート障害などを検出し、その結果を製造プロセス条件などにフィードバックする方法が、通常行われていた(例えば、特許文献1)。しかし、この方法は、先ずプローブ針などを含む測定治具などに測定対処物を取り付け、ショート・オープンなどを電気的測定を通して問題発生個所を特定し、この結果を用いて製造プロセスへの対処方法を変更を行うなどを行うといった方法は、多くの時間を要するといった問題があった。
【0005】
そのような問題を解決するインラインにおける測定方法の一つとして、ボルテージコントラスト(Voltage Contrast)法(あるいは電位コントラスト法、電圧コントラスト法とも称される)が提案されている(例えば、特許文献2、3、4、5)。
【0006】
ボルテージコントラスト法は、電子ビームやイオンビームなどの荷電粒子ビームを検査対象範囲に照射することで、照射した範囲での個々の電極や機能領域などにおける電位の違いによって、励起される二次電子の量に差が生じるといった特性を利用する。具体的には、検査対象範囲をSEM(走査型電子顕微鏡)で走査してSEM像を観察すると、照射した範囲の対象個所における電位(ボルテージ)の違いによって、SEM観察像の明暗(コントラスト)が異なって見える現象を使用する。
【0007】
例えば、表面が観察対象が絶縁膜上の導体配線の場合、その導体配線部分が接地状態であれば、照射荷電粒子ビーム(具体的には、この場合は電子ビーム)によってその導体配線個所ではチャージアップ現象は生ぜず、従って照射電子は十分にその導体配線個所に達し、その結果、励起される二次電子の量が多く、明るく(つまり、SEM像上では白く)観察される。逆に、その導体配線部分が接地状態で無く、フローティング状態であれば、照射電子によってその導体配線個所はチャージアップ現象を生じ、クーロン力によって、その個所への更なる照射電子の到達は妨げられるように作用する。その結果、励起される二次電子の量が少なく、暗く(つまり、SEM像上では黒く)観察される。
【0008】
この方法は、これまでの、異なる電極パッドなどに2つのプローブ針を接触させ、その電極間での抵抗を電気的に測定してその電極間のショートあるいはオープン欠陥などを調査するのに比べ、SEM像の明暗状況を観察することで、電極配線の欠陥などを容易に把握することが可能である。この様に、ボルテージコントラスト法は、特に導体配線などの欠陥個所が簡単に特定できることなどから、インラインテストの有力な手法の一つとして用いられるようになってきた。
【特許文献1】特開平11−23668号公報
【特許文献2】特開平11−330181号公報
【特許文献3】特表2004−501505号公報
【特許文献4】特表2005−519260号公報
【特許文献5】特開2006−269898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ボルテージコントラスト法による、導体配線の代表的なものである平行配置された電極の電気的な欠陥個所の検出と特定に関し、例えば、特許文献3においては、図6に示すようなインラインテストなどの適した電極配線の検査用導体配線パターンを提案しており、この検査用電極パターンによって、この電極における電気的欠陥の個数とその位置が効率的に検出可能としている。
【0010】
図6は、内部に図示されない配線などが形成された基板上に絶縁膜が積層され、かつその表面上に形成された検査用電極パターンの平面模式図を示す。この検査用電極パターンは、アースと接続している。この電気的に接地状態にある接地電極パターン101と、アースと接続していない、つまり電気的に接地状態にない非接地電極パターン102とが互いに交互に配置され、この場合、すべての接地電極パターン101の一端側は、図示するように、相互接続用電極パターン103と接続している。相互接続用電極パターン103は、このパターン下の絶縁膜を開口して、図示されない下部の接地配線と、ビア104を介して接続することで、接地電極パターン102の接地を実現する。
【0011】
一般に、これに類似する交互に配置された接地・非接地の検査用(プロセス評価用)電極パターンは、製造デバイスの加工プロセスにおける最も高い加工精度や最も広い加工領域をカバーするに足る、検査用電極パターンが採用される場合が多い。その様な要請でデザインされた接地・非接地電極からなる検査用電極パターン全域にわたって、プロセス加工の結果を取得すべく、微細かつ長い個々の電極パターンを高倍率でSEM像観察し、ボルテージコントラスト法によって、パターンのオープン・ショート箇所を見出し、プロセス加工結果を評価することになる。そういった方法は、狭い観察範囲のSEM像で、多数の類似の微細パターンを観察し、その中から全体電極パターンの中から欠陥場所を特定する必要があり、このため長時間の観察時間を要し、かつ、正確な位置同定なども困難となっている。
【0012】
そこで、図6においては、接地を行うための相互接続用電極パターン103を接地電極パターン101の一端側に形成し、これにすべての接地電極パターン101の端部を接続せしめ、接地電極パターン101の他端側は、非接地電極パターン102も同様であるが、電極パターン同士に相互接続は行なわないように構成している。この様なパターン構成では、図6に示した、接地・非接地の検査用パターンの他端側の小領域、Area−2部分について荷電粒子ビーム(電子ビーム)を走査し、SEM像を観察することで、交互に形成された、個々の、接地・非接地の検査用パターンの明暗状態を観察することで、接地・非接地の検査用パターンの一端側を含めた残りの大部分の領域、つまりArea−1部分を含めた、オープン・ショート状態を検査することが可能となる。
【0013】
しかし、昨今の半導体デバイスの世代が進むにつれてパターンがより微細化へと展開する状況では、その様な検査パターン構成でも課題が生じる。上述のように、検査用導体配線パターンが、プロセスにおける欠陥発生モニター用パターンとして用いれる性格から、当該開発デバイス世代における最小ピッチで構成されるケースが多い。従って、図6のSEM観察対象領域である,Area−2のパターンもサブミクロンレベルの微細な最小ピッチで形成されることから、検査装置であるSEM装置もより高倍率なものが要求され、必然的にインラインテストの現場では、相当数量のより高価なSEM装置が必要となることから、テストシステムの高価格化が避けられないこととなる。
【0014】
そこで、本発明の解決しようとする課題は、非接地電極パターンと接地電極パターンとが、互いに交互に、かつ多数配置された接続検査用電極パターンにおいて、これが微細かつ長い電極パターンの場合であっても、高価な高倍率SEM装置などを用いることなく、比較的安価な低倍率SEM装置を用い、比較的短時間に、効率良く、その電極パターンにおけるショートやオープンなどの欠陥を存在を測定できるような、接続検査用電極パターンをもった半導体装置と、これを用いた接続検査方法を提供することにある。
【0015】
なお、上記説明及び下記の説明において、簡便かつ対比的に「電気的に接地状態にない」非接地電極あるいは、「電気的に接地状態にある」接地電極と記述している。
【0016】
しかし、本発明においては、「電気的に接地状態にない」といった箇所については、より明示的には「電気的にフローティングである」ことを意味している。
【0017】
また、これに対し「電気的に接地状態にある」といった個所については、フローティング=非接地、に対する、対比表現から、グランド=接地、として記述しているが、ボルテージコントラスト法による導体配線の接続検査方法を実施するための本発明においては、この「電気的に接地状態にある」と述べた状態は、単にグランド電位に固定されている状態だけで無い。電源線に接続された状態の電極や大きな容量をもつ容量素子などに接続されたような電極、つまり広い意味での電源線に接続された状態にある電極の状態をも含んでいる。
【0018】
このように、本発明においては、「電気的に接地状態にない」非接地電極とは、対象電極が電気的にフローティングであって、電極に流れ込んだ電荷あるいは注入された電子がその電極内に留まって流出できない状態を意味し、「電気的に接地状態にある」接地電極とは、電極に流れ込んだ電荷あるいは注入された電子がその対象電極から、何らかの形で流出しうる状態と、広い意味を表すことに注意を要する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の半導体装置は、
半導体基板上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜上に形成された電源線に接続された複数の第1の導体配線と、電気的にフローティングである複数の第2の導体配線とからなる接続検査用導体配線を有し、
前記接続検査用導体配線は、
前記第1の導体配線および前記第2の導体配線が交互に平行配置された、導体配線交互平行配置領域と、
前記第1の導体配線に接続された第1延伸配線と前記第2の導体配線に接続された第2延伸配線とが前記絶縁膜上に交互に複数配置された延伸配線交互配置領域とを含み、
前記第1の導体配線および前記第2の導体配線のそれぞれについて、少なくとも2つの近接した導体配線間での相互接続個所を有する、
ことを特徴とする。
【0020】
また、
前記延伸配線形成部の幅は、前記第1導体配線および前記第2の導体配線の幅より広いことを特徴とする。
【0021】
また、
前記第1の導体配線は、前記絶縁膜に形成されたビアを介して、前記電源線と接続されていることを特徴とする。
【0022】
また、
前記第1の導体配線の前記ビアとの接続個所は、前記第1の導体配線の前記相互接続個所ではない端部であることを特徴とする。
【0023】
そして、本発明の導体配線の接続検査方法は、
半導体基板上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜上に形成された電源線に接続された複数の第1の導体配線と、電気的にフローティングである複数の第2の導体配線とからなる接続検査用導体配線を有し、
前記接続検査用導体配線は、
前記第1の導体配線および前記第2の導体配線が交互に平行配置された、導体配線交互平行配置領域と、
前記第1の導体配線に接続された第1延伸配線と前記第2の導体配線に接続された第2延伸配線とが前記絶縁膜上に交互に複数配置された延伸配線交互配置領域とを含み、
前記第1の導体配線および前記第2の導体配線のそれぞれについて、少なくとも2つの近接した導体配線間での相互接続個所を有する、ことを特徴とする半導体装置を用いる導体配線の接続検査方法であって、
前記延伸配線形成部交互配置領域を横切るように荷電粒子ビームで走査し、複数の前記第1の導体配線に接続された前記延伸配線と前記第2の導体配線に接続された前記延伸配線とから発生する2次電子量を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の半導体装置と、それを用いたボルテージ・コントラスト法による検査方法を適用することによって、微細な導体配線パターンが形成された場合でも、そのパターンサイズ相当の分解能を有するSEM装置を使わずに、より低分解能の安価なSEM装置によって、複数の微細な導体配線パターンを接続しかつ延伸し、そのパターン幅が拡大した複数の延伸配線パターンを走査することで、導体配線の接続欠陥、具体的にはオープンやショートを効率良く検査することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明の実施の形態を、添付図を参照しつつ説明する。
【0026】
(第1の実施例)
図1に本発明になる、半導体製造工程のインラインでのボルテージコントラスト法を用いる接続検査に適用する、電極形状をした導体配線検査パターン(電極パターン)を有する半導体装置の形成例を示す。図1において、図1(1)は、本パターンの平面模式図であり、図中A−Bの点線部での断面模式図が、図1(2)である。図1を参照して、本半導体装置は基板1のデバイス形成面側に、接地された内部配線2が形成され、その上に絶縁膜3が積層され、更にその膜上に導体配線パターン(電極パターン)の層が形成された多層(この場合は簡略化した2層)配線構造をなす。
【0027】
表面に形成した電極パターンは、例えば、75nmライン・アンド・スペースとなっており、接地電極パターン4と非接地電極パターン8が、図中L1で示した領域に、交互に、任意本数分配置される。また接地電極パターン4および非接地電極パターン8ともに、隣接するパターン同士の2本毎に、前者は接地電極パターン用接続電極パターン5で、後者は非接地電極パターン用接続電極パターン8で、各々2つの電極パターンが折り返す様に接続されている。
【0028】
そして、接地電極パターン4と非接地電極パターン8が交互に配置された領域L1の外、つまり領域L1の四辺の一辺に隣接する領域に、図1のおいては、領域L1の下辺に隣接した領域L2に、各接続パターンから延伸して形成された延伸形成電極パターン、即ち、接地電極パターンからの接地電極パターン延伸形成電極パターン6と非接地電極パターンからの非接地電極パターン延伸形成電極パターン10を、交互に配置する。本実施例では、接地電極パターン延伸形成電極パターン6、非接地電極パターン延伸形成電極パターン10いずれも、パターン幅225nm(スペース75nm)で形成した。つまり、延伸形成電極パターンの幅を大きく形成する。接地電極パターン4の接地個所は、図中の、接地電極パターン4における相互に接続した個所ではない端部にあるビア7を介して、接地された内部配線2と接続されている。
【0029】
次に、この様に形成された、接続検査に適用する導体配線検査パターン(電極パターン)を用いての、欠陥摘出方法について図2を用いて説明する。図2は、電極パターンにおいてショートあるいはオープンの欠陥部が無いときの、SEM観察像の模式図である。本発明の方法では、図中のL2の領域をSEM装置で走査し、ビア7を介して接地する接地電極パターン4のパターン幅が大きくなっている接地電極パターン延伸形成電極パターン6は、二次電子の発生効率が高く、白色(明色)像領域として観察され、非接地電極パターン8のパターン幅が大きくなっている非接地電極パターン延伸形成電極パターン10は、二次電子の発生効率が低く、黒色(暗色)像領域として観察される。接地電極パターン延伸形成電極パターンと非接地電極パターン延伸形成電極パターンは交互に配置されるから、L2の領域のSEM装置でのパターン走査観察結果が、所期のように、図中、左側から、白−黒−白−黒(さらに−白−黒・・・)と交互になっていれば、微細なパターン幅個所を含めて、当該の導体配線検査パターンは、ショート・オープンの欠陥が無く、正常に製作されていると判断できる。このことから、インラインテストの結果の一つとして、微細な幅の電極パターンの製作結果は良好であるとの判断も可能となる。勿論、高倍率のSEM装置で観察すれば、図に示すように、微細な接地電極パターン4の箇所は白色に、非接地電極パターン8の箇所は黒色に観察されることとなる。
【0030】
図3は、図1と同一の電極形状をした導体配線検査パターン(電極パターン)において、微細な接地あるいは非接地電極パターン部に、ショートあるいはオープンの欠陥が発生した時のSEM観察像例の模式図である。図3(1)は、連結された接地電極パターンの途中、すなわち図示されているように、左から二番目の接地電極パターンの途中にオープン個所11が生じた例を示す。その結果、微細な接地電極パターン部では、接地のためのビア7からオープン個所11までの電極部(接地電極パターン4)は接地されているが、オープン個所11からは接地しておらず(電極箇所12)、これら2本の電極を接続して、かつそれに繋がる(本来は接地電極パターンの)延伸形成電極パターン6は接地されておらず、L2の領域でSEM像観察すると黒色(暗色)に観察される。それ以外の電極パターンに欠陥が無ければ、L2領域での電極パターンのSEM像観察結果は、黒−黒−白−黒(さらに−白−黒・・・)のパターン配列となる。
【0031】
図3(2)は、同様な電極パターンにおいて、一番左側の接地電極パターンの途中にオープン個所11が生じた例を示す。その結果、微細な接地電極パターン部では、接地のためのビア7からオープン個所11までの電極部(接地電極パター4)は接地されているが、オープン個所11からは接地しておらず(電極箇所12)、これら2本の電極を接続して、かつそれに繋がる(本来は接地電極パターンの)延伸形成電極パターン6は接地されておらず、L2の領域でSEM像観察すると黒色(暗色)に観察される。それ以外の電極パターンに欠陥が無ければ、L2領域での電極パターンのSEM像観察結果は、黒−黒−白−黒(さらに−白−黒・・・)のパターン配列となる。
【0032】
つまり、図3(1)、(2)のように、一番左側の接地電極パターンあるいはそれと接続した二番目の接地電極パターンの途中にオープン個所が生じたると、L2領域での一番左側の延伸形成電極パターンのSEM像観察結果は、黒色になり、この結果から、左から2本の接地電極にオープン発生の可能性が摘出され、更には、それら電極に絞って、より詳細な観察・調査を実施することが可能となる。
【0033】
図3(3)は、図示するように、ビア7で接地する左から(一番面と接続する)二番目の接地電極パターンと、(二番目と接続する)一番目の非接地電極パターンとが、ショート個所13でショートした場合を示す。その結果、微細な電極パターン部では、接地電極パターン4とともに、本来は非接地電極パターンであるが、これによって電極個所14も接地状態となり、観察領域L2における、延伸形成電極パターン6とともに(本来は非接地電極パターンの)延伸形成電極パターン10も接地状態となる。それ以外の電極パターンに欠陥が無ければ、L2領域での電極パターンのSEM像観察結果は、白−白−白−黒(さらに−白−黒・・・)のパターン配列となる。逆に、このSEM像観察結果から、延伸形成電極パターン10に接続する微細な電極パターンが、隣り合う微細な接地電極パターンとの間でショートを生じている可能性を容易に摘出でき、更には、それら電極に絞って、より詳細な観察・調査を実施することが可能となる。
【0034】
上記の例以外に、微細な接地・非接地電極パターン部で、種々な形でオープン・ショートの欠陥が発生するケースがある。それらについても、(この場合は、隣り合う二本の)接地あるいは非接地電極同士を接続し、それらからの延伸形成電極パターンを、望ましくは、そのパターン幅をより拡大して、接地あるいは非接地電極からの延伸形成電極を交互に並ぶように配置し、その配置パターンを、SEM像観察する。その結果、本来あるべき、接地電極、非接地電極の白・黒パターンが交互に観察されるべきものが、それと異なる黒あるいは白の像が観察されたときは、その色が変化した延伸形成電極パターンに接続する微細な電極パターンに、オープンあるいは隣接電極パターンとのショートが発生した可能性があることが容易に判定できる。
【0035】
(第2の実施例)
図4は第2の実施例を説明する図である。これは、第1の実施例の電極形状をした導体配線検査パターン(電極パターン)と異なり、隣り合う3本の接地電極パターン4あるいは非接地電極パターン8を、それぞれ直列に接続し、それぞれの接続個所から接地電極パターンからの接地電極パターン延伸形成電極パターン6と非接地電極パターンからの非接地電極パターン延伸形成電極パターン10とを交互に、電極パターン領域に隣接して配置した例である。同様に、延伸形成電極パターンの幅を、電極パターン幅よりも広く設定(例えば、電極パターン幅;75nm、延伸形成電極パターンの幅;225nm)している。
【0036】
本図の場合は電極パターン幅の3倍程度としているが、この様な、隣接領域に延伸形成パターンの領域を配置する場合、接続する電極パターンを多くすれば、延伸形成パターン幅をより広くすることも可能である。接地は、接地電極4の相互に接続した個所ではない端部にビア7を設け、これが、図示されない下層の絶縁膜開口部を通り、接地下部配線と接続される。図2と同様に、延伸形成電極パターン領域であるL2の領域をSEM装置で走査し、そのSEM像の白・黒像で、電極パターンの欠陥の存在の有無や、場所特定に資することができる。
【0037】
延伸形成電極パターンに接続する接地あるいは非接地電極パターンの本数をそれぞれ多くすれば、配置領域の設定上、延伸形成電極パターン幅を広く取りやすい。従って、低倍率SEM装置の適用可能といったメリットがある。他方、欠陥可能性のある電極パターン本数が増加するため、欠陥が存在する電極パターン自体を特定するのに、より工数を要するといった可能性も増加する。
【0038】
以上に例は、デバイス基板の絶縁膜表面にすべて形成された、導体配線である電極に関するテストに適した、検査用パターン例に関して述べた。
【0039】
(第3の実施例)
図5は第3の実施例を説明する図である。これは、本発明による、ビアチェーン構造をもった導体配線のショート・オープンを検査するのに適した導体配線検査パターン(配線パターン)を有する半導体装置の形成例を示す。
【0040】
図5において、図5(1)は、基板表面から見たときの本配線パターンの平面模式図であり、図中A−Bの点線部での断面模式図が、図5(2)である。図5を参照して、本半導体装置は基板1のデバイス形成面側に、接地された内部配線2が形成され、その上に絶縁膜3が積層され、その絶縁膜3中に第1の導体配線パターン層15、さらに絶縁層3の表面に第2の導体配線パターン層16が形成された多層(この場合は3層)配線構造をなしている。
【0041】
図5(2)に示されるように、接地された内部配線2と、第1の接地導体配線パターン層15の一つのパターンは下部ビア17を介して接続し、これは上部ビア18を介して表面にある第2の接地導体配線パターン層16の一つのパターンと接続する。そして、図示するように、第1の接地導体配線パターン層15のパターンと、表面にある第2の接地導体配線パターン層16のパターンは、上部ビア18を介して、上下に接続するように、ビアチエーン構造をなしている。図5(1)において、このようなビアチェーン構造をした、接地ビアチェーン構造導体配線パターン19と、これと隣接して、断面図では図示されていない、同様にビアチェーン構造を有し、下部ビア16を用いないで接地されない、非接地ビアチェーン構造導体配線パターン20が交互に形成される。
【0042】
このような接地ビアチェーン構造導体配線パターン19、及び非接地ビアチェーン構造導体配線パターン20とは、例えば、図5(1)の平面視において、75nmライン・アンド・スペースとなっており、接地ビアチェーン構造導体配線パターン19と非接地ビアチェーン構造導体配線パターン20が、図中L3で示した領域に、交互に複数配置される。
【0043】
また接地ビアチェーン構造導体配線パターン19および非接地ビアチェーン構造導体配線パターン20ともに、隣接する接地あるいは非接地配線パターン同士の2本毎に、前者は接地電極パターン用接続電極パターン5で、後者は非接地電極パターン用接続電極パターン8で、各々2つの導体配線パターンが折り返す様に接続されている。そして、接地ビアチェーン構造導体配線パターン19と非接地ビアチェーン構造導体配線パターン20が交互に配置された領域L3の外、図5のおいては、領域L3に隣接した領域L4に、各接続パターンから延伸して形成された延伸形成電極パターン、即ち、接地ビアチェーン構造導体配線パターン19からの接地ビアチェーン構造導体配線パターン延伸形成電極パターン21と、非接地ビアチェーン構造導体配線パターン20からの非接地ビアチェーン構造導体配線パターン延伸形成電極パターン21と、交互に配置する。
【0044】
本実施例では、図1と同様に、接地ビアチェーン構造導体配線パターン延伸形成電極パターン21、非接地ビアチェーン構造導体配線パターン延伸形成電極パターン21いずれも、パターン幅225nm(スペース75nm)で形成した。つまり、延伸形成電極パターンの幅を大きく形成する。接地ビアチェーン構造導体配線パターン19の接地個所は、図中の、接地ビアチェーン構造導体配線パターンにおける相互に接続した個所ではない端部にある下部ビア16を介して、接地された内部配線2と接続されている。
【0045】
この図5に示したような、接地ビアチェーン構造導体配線パターンにおける延伸形成電極パターンおよび非接地ビアチェーン構造導体配線パターンにおける延伸形成電極パターンが複数交互に配置され、また延伸形成電極パターンの幅が、並列に配置されたビアチェーン構造導体配線パターン幅よりも大きく形成されているL4の領域をSEM走査する。得られたSEM像の白・黒によって、図1のパターン例に対する図3で示した欠陥の検出例と同様に、欠陥の摘出を容易に行えることは、これまでの説明で明らかであろう。図5の場合はビアチェーン構造導体配線パターンであるため、オープン・ショートの発生個所は、基板表面のパターン(第2の導体配線層のパターン)のみならず、多数形成された上部ビア、絶縁膜中パターン(第1の導体配線層のパターン)も含んだ、ビアチェーン構造導体配線パターンにも存在しうることは当然である。
【0046】
以上の実施例においては、基板1はSi基板であり、絶縁膜はシリコン酸化膜であり、各電極・配線および各ビアはCuであり、公知のデュアル・ダマシン・プロセスを用いて形成した。もちろん、これに用いた材料及びプロセスは、一例であり、これに限られることは無いことは明らかである。
【0047】
この様に、本発明になる検査用導体配線を有する半導体装置を用い、SEM装置を用いてボルテージコントラスト法による検査するのに、例えば、各図中のL1やL3の、75nmライン・アンド・スペースの領域を直接検査するためには、少なくとも75nm程度以下の解像能力を有する(そして、その場合にも、できるだけ広い走査領域を有する)高性能SEM装置を必要とする。しかし、本発明による、延伸形成電極パターン領域であって、より幅の大きく、例えばパターン幅225nmで形成された、領域L2やL4で観察するには、解像能力225nm程度を有するSEM装置で十分である。当然ながら、観察できる走査領域も相対的に広くなり、一度の観察範囲も広くなり検査効率も高くなる。このSEM装置は、75nm程度以下の解像能力を有する高性能SEM装置に比して、いわば、2世代前の安価なSEM装置で十分であるといえよう。このことから、比較的インラインテストの手法として効率の良いこの様なボルテージコントラスト法を、安価かつ容易に導入できるようにもなる。さらに、観察すべき延伸形成電極パターンの数は、これで欠陥検出可能のライン・アンド・スペースの平行配線領域のパターン数よりも少なくなっている。従って、観察対象パターンの減少は、検査スループットの向上にもなると言える。
【0048】
この様な特徴を有する、本発明になる接続検査用導体配線を搭載した半導体装置は、例えば、主としてこの接続検査用導体配線が搭載された試作用ウエハーであり、新たなプロセスの立上げのためのボルテージ・コントラスト法による検査に用いることができる。更に、本発明の接続検査用導体配線を製品チップ内部または周辺(例えば、チップ中のデバイス機能領域の隣接領域、チップスクライブ領域など)に形成した半導体装置とし、製品化のためのデバイス製造プロセスの適時段階毎に、接続検査用導体配線部分をボルテージ・コントラスト法で検査し、生産製品のプロセス中での電気的不良の割合に関する情報を逐次得るのに適用することも可能である。
【0049】
以上の実施例を含む実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
半導体基板上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜上に形成された電源線に接続された複数の第1の導体配線と、電気的にフローティングである複数の第2の導体配線とからなる接続検査用導体配線を有し、
前記接続検査用導体配線は、
前記第1の導体配線および前記第2の導体配線が交互に平行配置された、導体配線交互平行配置領域と、
前記第1の導体配線に接続された第1延伸配線と前記第2の導体配線に接続された第2延伸配線とが前記絶縁膜上に交互に複数配置された延伸配線交互配置領域とを含み、
前記第1の導体配線および前記第2の導体配線のそれぞれについて、少なくとも2つの近接した導体配線間での相互接続個所を有する、
ことを特徴とする半導体装置。
(付記2)
前記延伸配線形成部の幅は、前記第1導体配線および前記第2の導体配線の幅より広いことを特徴とする、付記1記載の半導体装置。
(付記3)
前記第1の導体配線は、前記絶縁膜に形成されたビアを介して、前記電源線と接続されていることを特徴とする、付記1または2のいずれかに記載の半導体装置。
(付記4)
前記第1の導体配線の前記ビアとの接続個所は、前記第1の導体配線の前記相互接続個所ではない端部であることを特徴とする、付記3に記載の半導体装置。
(付記5)
前記延伸配線部交互配置領域は、前記導体配線交互平行配置領域の四辺の一辺に隣接して形成されていることを特徴とする、付記1ないし4のいずれかに記載の半導体装置。
(付記6)
前記第1の導体配線および前記第2の導体配線は、ビアチェーン構造を有していることを特徴とする、付記1ないし5のいずれかに記載の半導体装置。
(付記7)
前記半導体装置は半導体チップであって、前記接続検査用導体配線が前記半導体チップ内部または周辺に形成されていることを特徴とする、付記1ないし6のいずれかに記載の半導体装置。
(付記8)
半導体基板上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜上に形成された電源線に接続された複数の第1の導体配線と、電気的にフローティングである複数の第2の導体配線とからなる接続検査用導体配線を有し、
前記接続検査用導体配線は、
前記第1の導体配線および前記第2の導体配線が交互に平行配置された、導体配線交互平行配置領域と、
前記第1の導体配線に接続された第1延伸配線と前記第2の導体配線に接続された第2延伸配線とが前記絶縁膜上に交互に複数配置された延伸配線交互配置領域とを含み、
前記第1の導体配線および前記第2の導体配線のそれぞれについて、少なくとも2つの近接した導体配線間での相互接続個所を有する、ことを特徴とする半導体装置を用いる導体配線の接続検査方法であって、
前記延伸配線形成部交互配置領域を横切るように荷電粒子ビームで走査し、複数の前記第1の導体配線に接続された前記延伸配線と前記第2の導体配線に接続された前記延伸配線とから発生する2次電子量を検出することを特徴とする導体配線の接続検査方法。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】第1の実施例の接続検査用導体配線を有する半導体装置を説明する図
【図2】第1の実施例の接続検査用導体配線によるSEM像を説明する図
【図3】第1の実施例の接続検査用導体配線による配線に欠陥を有する場合のSEM像を説明する図
【図4】第2の実施例の接続検査用導体配線によるSEM像を説明する図
【図5】第3の実施例の接続検査用導体配線を有する半導体装置を説明する図
【図6】従来の接続検査用導体配線によるSEM像を説明する図
【符号の説明】
【0051】
1 基板
2 内部配線
3 絶縁膜
4、101 接地電極パターン
5 接地電極パターン用接続電極パターン
6 接地電極パターン延伸形成電極パターン
7、104 ビア
8、102 非接地電極パターン
9 非接地電極パターン用接続電極パターン
10 非接地電極パターン延伸形成電極パターン
11 オープン個所
12 電極個所(非接地)
13 ショート個所
14 電極個所(接地)
15 第1の導体配線層
16 第2の導体配線層
17 下部ビア
18 上部ビア
19 接地ビアチェーン構造導体配線パターン
20 非接地ビアチェーン構造導体配線パターン
21 接地ビアチェーン構造導体配線パターン延伸形成電極パターン
22 非接地ビアチェーン構造導体配線パターン延伸形成電極パターン
103 相互接続用電極パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜上に形成された電源線に接続された複数の第1の導体配線と、電気的にフローティングである複数の第2の導体配線とからなる接続検査用導体配線を有し、
前記接続検査用導体配線は、
前記第1の導体配線および前記第2の導体配線が交互に平行配置された、導体配線交互平行配置領域と、
前記第1の導体配線に接続された第1延伸配線と前記第2の導体配線に接続された第2延伸配線とが前記絶縁膜上に交互に複数配置された延伸配線交互配置領域とを含み、
前記第1の導体配線および前記第2の導体配線のそれぞれについて、少なくとも2つの近接した導体配線間での相互接続個所を有する、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記延伸配線形成部の幅は、前記第1導体配線および前記第2の導体配線の幅より広いことを特徴とする、請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の導体配線は、前記絶縁膜に形成されたビアを介して、前記電源線と接続されていることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1の導体配線の前記ビアとの接続個所は、前記第1の導体配線の前記相互接続個所ではない端部であることを特徴とする、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
半導体基板上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜上に形成された電源線に接続された複数の第1の導体配線と、電気的にフローティングである複数の第2の導体配線とからなる接続検査用導体配線を有し、
前記接続検査用導体配線は、
前記第1の導体配線および前記第2の導体配線が交互に平行配置された、導体配線交互平行配置領域と、
前記第1の導体配線に接続された第1延伸配線と前記第2の導体配線に接続された第2延伸配線とが前記絶縁膜上に交互に複数配置された延伸配線交互配置領域とを含み、
前記第1の導体配線および前記第2の導体配線のそれぞれについて、少なくとも2つの近接した導体配線間での相互接続個所を有する、ことを特徴とする半導体装置を用いる導体配線の接続検査方法であって、
前記延伸配線形成部交互配置領域を横切るように荷電粒子ビームで走査し、複数の前記第1の導体配線に接続された前記延伸配線と前記第2の導体配線に接続された前記延伸配線とから発生する2次電子量を検出することを特徴とする導体配線の接続検査方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−311439(P2008−311439A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−157993(P2007−157993)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】