説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】強誘電体キャパシタを埋める層間絶縁膜上に配線層を形成する際に、層間絶縁膜上のAl23膜等の水素バリアを超えて生じる水素の侵入を抑制する半導体装置を提供する。
【解決手段】基板11上に第1の層間絶縁膜20を、テトラエトキシシランを原料とするプラズマCVD法により強誘電体キャパシタ18A,18B,18C,18Dを覆うように形成し、その上に水素バリア膜21を形成し、その上に配線パターン22A、22B、22Cを形成し、第2の層間絶縁膜22HDを高密度プラズマCVD法により堆積し、その上にシリコン酸化膜よりなる犠牲膜22PTをテトラエトキシシランを原料としたプラズマCVD法により堆積し、犠牲膜22HDを化学機械研磨法により第2の層間絶縁膜22HDが露出するまで研磨し、その際、犠牲膜22PTの第2の水分量が第2の層間絶縁膜22HDの第1の水分量よりも少ないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に半導体装置に係り、特に強誘電体キャパシタを有する半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリセル中に強誘電体キャパシタを有する、いわゆる強誘電体メモリは、電圧駆動される高速不揮発性記憶素子であり、メモリカードをはじめ、様々な用途で使われている。
【0003】
一般に強誘電体キャパシタでは、ペロブスカイト構造の酸化物よりなる強誘電体膜が強誘電体キャパシタ絶縁膜として使われるが、このようなペロブスカイト型強誘電体膜は酸化雰囲気中で形成する必要があり、水素雰囲気など、還元性雰囲気中で容易に還元されてしまい、このため半導体プロセスで通常使われている雰囲気中で形成された場合には、電気特性に顕著な劣化が生じる。
【0004】
そこで従来、強誘電体キャパシタはメモリセルトランジスタが形成されたシリコン基板を覆う層間絶縁膜上に、トランジスタが劣化しないようにSiON膜などの酸素バリア膜を介して形成し、さらに強誘電体キャパシタが、その後の多層配線構造の形成工程などで劣化しないように、かかる強誘電体キャパシタをAl23などの水素バリア膜で覆う構成が使われている。
【特許文献1】特開2000−269434号公報
【特許文献2】特開平8−37282号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1は、本発明の関連技術による強誘電体メモリ10の構成を示す図である。
【0006】
図1を参照するに、強誘電体メモリ10はシリコン基板11上に形成されており、前記シリコン基板11中には、素子分離領域11Iにより画成された素子領域11Aに、前記シリコン基板11上にゲート絶縁膜12を介して形成されたポリシリコンゲート電極13と、前記シリコン基板11中、前記ゲート電極13の両側に形成されたLDD領域11a,11bと、さらに前記シリコン基板11中、前記LDD領域11a,11bのそれぞれ外側に形成された拡散領域11c,11dを含むメモリセルトランジスタが形成されている。
【0007】
前記メモリセルトランジスタは、前記シリコン基板11上に形成された層間絶縁膜14により覆われており、前記層間絶縁膜14中には前記拡散領域11cおよび拡散領域11dにコンタクトするビアプラグ14A,14Bが形成されている。
【0008】
前記層間絶縁膜14は厚さが例えば600nmのSiON酸素バリア膜15により覆われ、前記酸素バリア膜15上には、厚さが例えば50nmのAl23水素バリア膜17で覆われたシリコン酸化膜よりなる絶縁膜16上に、(111)配向したPt膜などよりなる下部電極18Aと、(111)配向したPZT膜18Bと、IrOx膜よりなる上部電極18C,18Dを積層した強誘電体キャパシタが形成されており、前記強誘電体キャパシタはさらに別のAl23水素バリア膜19により、その上面および側壁面が覆われている。なお前記下部電極14Aは、前記Pt膜の配向を(111)配向に制御するTiN配向制御膜とPbの拡散を阻止するTiAlN拡散防止膜を含んでいる。
【0009】
例えば前記層間絶縁膜20は980nmの膜厚を有し、一方前記強誘電体キャパシタは、前記SiON酸素バリア膜15から上部電極18Dを覆う水素バリア膜19の上面までの高さが740nmとなるように形成される。
【0010】
さらに前記層間絶縁膜20中には前記強誘電体キャパシタの下部電極18Aにコンタクトするビアプラグ20Aと、前記強誘電体キャパシタ18Dにコンタクトするビアプラグ20Bと、前記ビアプラグ14Aを介して前記拡散領域11cにコンタクトするビアプラグ20Cが形成されており、前記水素バリア膜21上には、前記ビアプラグ20A,20B,20Cにコンタクトする配線パターンを含む配線パターン22A〜22Cが形成されている。
【0011】
前記配線パターン22A〜22Cはさらに層間絶縁膜22により覆われ、前記層間絶縁膜22中には、前記ビアプラグ14Bを介して拡散領域11dにコンタクトするビアプラグ20Dが、層間絶縁膜20を貫通して形成されている。
【0012】
前記強誘電体キャパシタは、前記水素バリア膜19を介して、層間絶縁膜20により覆われ、さらに前記層間絶縁膜20の表面はCMP工程により平坦化された後、Al23水素バリア膜21により覆われている。その結果、前記強誘電体キャパシタは水素バリア膜17,1により、前記層間絶縁膜20形成時の雰囲気中の水素から保護され、また水素バリア膜21により、その上の層間絶縁膜形成時の雰囲気中の水素に対して保護される。
【0013】
また前記上部電極18Dは、その下の上部電極18Cよりも酸素欠損が少なく触媒作用の少ない膜よりなり、これにより、層間絶縁膜20、あるいはその上の配線パターン22A,22B,22Cの形成時における雰囲気中の水素の活性化が抑制され、PZT膜18Bの還元が軽減される。
【0014】
このような強誘電体メモリでは、強誘電体キャパシタが形成される層間絶縁膜20中の水分は、水素の原料となるため可能な限り減少させる必要があり、前記層間絶縁膜20は、水分量の少ないTEOSを原料としたプラズマCVD法で形成されている。
【0015】
ところが本発明の基礎となる研究において本発明の発明者は、このように層間絶縁膜20中の水分を減少させても、強誘電体キャパシタの電気特性が劣化してしまう場合があることを見出した。これは、層間絶縁膜22の側から水素が層間絶縁膜20中に侵入しており、前記水素バリア膜21を設けても、このような水素の侵入が完全には遮断できない場合があることを示唆している。
【課題を解決するための手段】
【0016】
一の側面によれば本発明は、活性素子を形成された基板と、前記基板上に形成され、強誘電体キャパシタを覆い、平坦な表面を有する第1の層間絶縁膜と、前記第1の層間絶縁膜の前記平坦な表面を覆う水素バリア膜と、前記水素バリア膜上に形成された第2の層間絶縁膜と、前記第2の層間絶縁膜中に形成された複数の配線パターンよりなる配線層と、
を含む半導体装置であって、前記第2の層間絶縁膜は、前記複数の配線パターンの間を充填するシリコン酸化膜よりなる第1の膜部分と、シリコン酸化膜よりなり前記第1の膜部分の上に形成され、前記第1の膜部分の表面の凹凸を充填する、平坦化された表面を有する第2の膜部分とよりなり、前記第1の膜部分は高密度プラズマCVD法で形成されており、前記第1の膜部分は第1の水分量を有し、前記第2の膜部分は第2の水分量を有し、前記第2の水分量は前記第1の水分量よりも小さいことを特徴とする半導体装置を提供する。
【0017】
他の側面によれば本発明は、活性素子および強誘電体キャパシタが形成された基板上に第1の層間絶縁膜を、テトラエトキシシランを原料とするプラズマCVD法により、前記強誘電体キャパシタを覆うように形成する工程と、前記前記第1の層間絶縁膜上に水素バリア膜を形成する工程と、前記水素バリア膜上に、配線パターンを形成する工程と、前記配線パターンを覆うように第2の層間絶縁膜を、高密度プラズマCVD法により、前記第2の層間絶縁膜が前記配線パターンの間を充填するように堆積する工程と、前記第2の層間絶縁膜上にシリコン酸化膜よりなる犠牲膜を、テトラエトキシシランを原料としたプラズマCVD法により、平坦な表面を有するように堆積する工程と、前記犠牲膜を化学機械研磨法により、前記第2の層間絶縁膜が露出するまで研磨する工程と、を含み、前記第2の層間絶縁膜は第1の水分量を有し、前記第犠牲膜は第2の水分量を有し、前記第2の水分量は前記第1の水分量よりも少ないことを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、強誘電体キャパシタが埋設された層間絶縁膜上に水素バリア膜を隔てて形成された層間絶縁膜中の水分量を抑制することにより、前記強誘電体キャパシタが設けられた層間絶縁膜中への前記水素バリア膜を超えた水素の侵入が抑制され、強誘電体キャパシタの電気特性の劣化が抑制される。その際、本発明では、前記水素バリア膜上の層間絶縁膜を、高密度プラズマCVD法により形成される第1の膜部分と、その上にTEOSを原料としたプラズマCVD法により犠牲膜として形成される第2の膜部分とに分けて形成することで、前記水素バリア膜の上に形成される配線パターンを、前記第1の膜部分により埋込み、さらにその上に前記第2の膜部分を犠牲膜として形成し、これを化学機械研磨することにより、平坦面を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を好ましい実施形態について、図2(A)〜3(D)を参照しながら説明する。ただし図中、先に説明した部分に対応する部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0020】
図2(A)を参照するに、図1の層間絶縁膜20上の水素バリア膜21上には、前記図1の配線パターン22A〜22Cを含む配線パターン22A〜22Dが形成され、図2(B)の工程において前記図2(A)の構造上にシリコン酸化膜22HDが、高密度プラズマCVD法により、例えば500nmの膜厚に形成される。
【0021】
その際本実施形態では、前記シリコン酸化膜22HD中の水分量を最小化するため、前記シリコン酸化膜22HDの堆積を、15mTorrの圧力下、250〜400℃の基板温度で、SiH4よりなる原料とO2よりなる酸化ガスを、流量が250〜300SCCMのArキャリアガスと共に、それぞれ50〜200SCCMおよび400〜600SCCMの流量で供給し、さらにこれに周波数が13.56MHzの高周波を2000〜3000Wのパワーで供給して高密度プラズマを励起し、同時に被処理基板に周波数が4MHzのバイアスを3000〜4000Wのパワーで供給することにより行っている。このような条件で形成されたシリコン酸化膜22HDでは、水分量を5.0×10-2g/cm3以下、例えば1.0×10-2以下に抑制することができる。
【0022】
このようにして形成されたシリコン酸化膜22HDは、前記水素バリア膜21上において配線パターン22A〜22Dの間を密に充填し、さらに基板バイアスを印加することにより堆積時に同時に生じるエッチング作用により、略平坦な、ただし配線パターン22A〜22Dに対応した突起を有する形状の主面を有する。
【0023】
なお図2(B)における前記シリコン酸化膜22HDの高密度プラズマCVD法による形成は、上記の条件あるいは原料、酸化ガスの組み合わせに限定されるものではなく、他にも様々な堆積条件が可能である。例えば、前記シリコン酸化膜22HDの堆積を、15〜50mTorrの圧力下、300〜400℃の基板温度で、SiH4よりなる原料とO2よりなる酸化ガスを、流量が400〜500SCCMのArキャリアガスと共に、それぞれ50〜200SCCMおよび400〜600SCCMの流量で供給し、さらにこれに周波数が13.56MHzの高周波を2000〜3000Wのパワーで供給して高密度プラズマを励起し、同時に被処理基板に周波数が4MHzのバイアスを1000〜2000Wのパワーで供給することにより行ってもよい。
【0024】
次に図3(C)の工程において、前記図2(B)の構造上に、シリコン酸化膜22PTが、プラズマCVD法により、例えば700nmの膜厚に形成される。
【0025】
その際本実施形態では、前記シリコン酸化膜22PT中の水分量を最小化するため、前記シリコン酸化膜22PTの堆積を、トリエトキシシランを原料として行い、例えば5〜10Torrの圧力下、350〜430℃の基板温度で、トリエトキシシラン原料とO2よりなる酸化ガスを、流量が500〜1000SCCMのHeキャリアガスと共に、それぞれ500〜800mgmおよび2500〜3000SCCMの流量で供給し、さらにこれに周波数が13.56MHzの高周波を500〜800Wのパワーで供給してプラズマを励起することにより行う。このようにして形成されたシリコン酸化膜22PTでは、水分量を5×10-3g/cm3以下、例えば5×10-3〜1×10-3g/cm3の、水分量が極めて低い状態に抑制することができる。なお、前記シリコン酸化膜22PTの成膜条件と同様な成膜条件は、前記強誘電体キャパシタが形成される層間絶縁膜20の形成においても使われており、このため層間絶縁膜20も、前記シリコン酸化膜22PTと同程度の、極低水分状態に形成される。また前記水素バリア膜17の下の層間絶縁膜16も、同様な条件で形成することができる。
【0026】
さらに本実施形態では、図3(D)の工程において前記シリコン酸化膜22PTを化学機械研磨により除去し、その結果、図3(D)に示すように前記シリコン酸化膜22PTが前記シリコン酸化膜22HD表面の凹部を充填する構造が得られる。
【0027】
このようにして得られたシリコン酸化膜22HDおよび22PTよりなる層間絶縁膜22では、膜中の水分量が先にも述べたように1.0×10-2g/cm3以下に抑制され、前記水素バリア膜21を介した水素の層間絶縁膜20への侵入が効果的に抑制される。
【0028】
図4は、層間絶縁膜22の形成を、前記図2(A),(B)および図3(C),(D)の工程により行って得られた強誘電体メモリの構成を示す。ただし図4中、先に図1で説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0029】
図4を参照するに、本実施形態では前記層間絶縁膜22が、高密度プラズマCVD法により形成され、配線パターン22A〜22Cの間を隙間なく充填しているシリコン酸化膜22HDと、前記シリコン酸化膜22HDの表面において凹部を充填して部分的に形成されている、シリコン酸化膜22PTとより構成され、前記シリコン酸化膜22HDは、5×10-2g/cm3以下の水分量を有しており、さらにその上に、図3(D)のCMP工程の結果部分的に残留しているシリコン酸化膜22PTは、前記層間絶縁膜20と同様に、5×10-3g/cm3以下の水分量を有することを特徴とする。
【0030】
なお、同様な高密度プラズマCVD法によるシリコン酸化膜と、TEOSを原料としたプラズマCVD法により形成された極低水分状態のシリコン酸化膜の積層構造は、その上の層間絶縁膜23などにおいて使うことも可能である。
【0031】
図5(A)は、このようにして形成した強誘電体メモリについて、昇温離脱ガス分析(TDS)を行った結果を示す。ただし図5(A)は、図5(C)に示すウェハ上に点(1)〜(5)について、加熱温度と放出されるOHイオンの強度の関係を示している。また図5(B)は、図5(A)の結果から求められた、図5(A)の加熱処理による水分子の脱離量を示す。図3(D)および図4よりわかるように、層間絶縁膜22は大部分がシリコン酸化膜22HDより構成されており、従って図5(A),(B)の昇温離脱ガス分析は、実際にはシリコン酸化膜22HDについてのものとなっている。
【0032】
図5(A),(B)を参照するに、ウェハ上の位置で多少のばらつきはあるものの、前記層間絶縁膜22からの水分子の脱離量は5×10-2g/cm3以下となっていることがわかる。
【0033】
特に前記シリコン酸化膜22HDの堆積を、15mTorrの圧力下、250〜400℃の基板温度で、SiH4よりなる原料とO2よりなる酸化ガスを、流量が250〜300SCCMのArキャリアガスと共に、それぞれ50〜200SCCMおよび400〜600SCCMの流量で供給し、さらにこれに周波数が13.56MHzの高周波を2000〜3000Wのパワーで供給して高密度プラズマを励起し、同時に被処理基板に周波数が4MHzのバイアスを3000〜4000Wのパワーで供給することにより、前記シリコン酸化膜22HD中の水分量を約1×10-2g/cm3に抑制することが可能である。
【0034】
図6(A),(B)は、前記図5(A),(B)と同じ昇温離脱ガス分析を、図7(A),(B)に示す静電チャック100を使って形成した試料について行った結果を示す。
【0035】
図7(A)の静電チャック100は、前記高密度プラズマCVD工程の際に被処理基板、すなわち図5(C)のウェハが載置される基板保持台101中に設けられており、一方前記基板保持台101は、高密度プラズマCVD装置の処理容器(図示せず)中に配設される。
【0036】
図7(A)を参照するに、静電チャック100は、前記基板保持台101を構成するAlN材中に埋設された電極板102Aと102Bより構成され、これに駆動電圧を印加することにより、前記被処理基板を前記基板保持台101に静電力により吸引し固定する。
【0037】
その際、図7(A)の静電チャック100では電極板102A,102Bの面内厚さ均一性が3.0%以内と、従来の静電チャックの面内厚さ均一性(約5.0%)に対して改良されており、その結果、基板処理時の基板保持台101中における基板温度Tの面内温度分布δTAが、図7(B)に示すように従来の基板保持台の基板温度の面内温度分布δTBの2.0%以下まで減少されている。
【0038】
このような面内均一性に優れた静電チャックを使った場合、図6(A),(B)に示すように水分脱離量の面内均一性も向上し、高密度プラズマCVD法により、ウェハ全体にわたり、均一なシリコン酸化膜が得られていることがわかる。この場合にも、前記シリコン酸化膜22HD中の水分量は5×10-2g/cm3以下であるのがわかる。
【0039】
図8(A),(B)は、それぞれ前記図6(A)に示す改良された静電チャック100を使って形成したシリコン酸化膜22HDの面内膜厚分布、および従来の静電チャックを使って同様に形成したシリコン酸化膜の面内分布を、オングストローム単位で示した図である。
【0040】
図7(A)の改良された静電チャック100を使うことにより、ウェハ上に形成されるシリコン酸化膜の膜厚面内分布が大きく向上しているのがわかる。
【0041】
以上、本発明を好ましい実施形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨内において様々な変形・変更が可能である。
【0042】
(付記1) 活性素子を形成された基板と、
前記基板上に形成され、強誘電体キャパシタを覆い、平坦な表面を有する第1の層間絶縁膜と、
前記第1の層間絶縁膜の前記平坦な表面を覆う水素バリア膜と、
前記水素バリア膜上に形成された第2の層間絶縁膜と、
前記第2の層間絶縁膜中に形成された複数の配線パターンよりなる配線層と、
を含む半導体装置であって、
前記第2の層間絶縁膜は、前記複数の配線パターンの間を充填するシリコン酸化膜よりなる第1の膜部分と、シリコン酸化膜よりなり前記第1の膜部分の上に形成され、前記第1の膜部分の表面の凹凸を充填する、平坦化された表面を有する第2の膜部分とよりなり、
前記第1の膜部分は高密度プラズマCVD法で形成されており、
前記第1の膜部分は第1の水分量を有し、
前記第2の膜部分は第2の水分量を有し、
前記第2の水分量は前記第1の水分量よりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【0043】
(付記2) 前記第1の水分量が5×10-2g/cm3以下であり、前記第2の水分量が5.0×10-3g/cm3以下であることを特徴とする付記1記載の半導体装置。
【0044】
(付記3) 前記第1の水分量は、約1.0×10-2g/cm3であることを特徴とする付記1または2記載の半導体装置。
【0045】
(付記4) 前記第1の層間絶縁膜は、5×10-3g/cm3以下の水分量を有することを特徴とする付記1〜3のうち、いずれか一項記載の半導体装置。
【0046】
(付記5) 前記第2の膜部分および前記第1の層間絶縁膜は、テトラエトキシシランを原料としたプラズマCVD法により形成されることを特徴とする付記1〜4のうち、いずれか一記載の半導体装置。
【0047】
(付記6) 前記水素バリア膜はAl23膜よりなることを特徴とする付記1〜5のうち、いずれか一項記載の半導体装置。
【0048】
(付記7) 活性素子および強誘電体キャパシタが形成された基板上に第1の層間絶縁膜を、テトラエトキシシランを原料とするプラズマCVD法により、前記強誘電体キャパシタを覆うように形成する工程と、
前記前記第1の層間絶縁膜上に水素バリア膜を形成する工程と、
前記水素バリア膜上に、配線パターンを形成する工程と、
前記配線パターンを覆うように第2の層間絶縁膜を、高密度プラズマCVD法により、前記第2の層間絶縁膜が前記配線パターンの間を充填するように堆積する工程と、
前記第2の層間絶縁膜上にシリコン酸化膜よりなる犠牲膜を、テトラエトキシシランを原料としたプラズマCVD法により、平坦な表面を有するように堆積する工程と、
前記犠牲膜を化学機械研磨法により、前記第2の層間絶縁膜が露出するまで研磨する工程と、を含み、
前記第2の層間絶縁膜は第1の水分量を有し、前記第犠牲膜は第2の水分量を有し、
前記第2の水分量は前記第1の水分量よりも少ないことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0049】
(付記8) 前記第2の層間絶縁膜を形成する工程は、前記前記第1の水分量が、5.0×10-2g/cm3以下となるように実行され、前記犠牲膜を形成する工程は、前記犠牲膜中の水分量が、5.0×10-3g/cm3以下となるように実行されることを特徴とする付記7記載の半導体装置の製造方法。
【0050】
(付記9) 前記第2の層間絶縁膜を形成する工程は、前記前記第1の水分量が、約1.0×10-2g/cm3となるように実行されることを特徴とする付記7または8記載の半導体装置の製造方法。
【0051】
(付記10) 前記第1の層間絶縁膜は、テトラエトキシシランを原料としたプラズマCVD法により、前記第1の層間絶縁膜中の水分が5.0×10-3g/cm3以下となるように実行されることを特徴とする付記7〜9のうち、いずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の関連技術による強誘電体メモリの構成を示す図である。
【図2】(A),(B)は、本発明による半導体装置の製造工程を示す図(その1)である。
【図3】(C),(D)は、本発明による半導体装置の製造工程を示す図(その2)である。
【図4】図2,3の工程により製造された強誘電体メモリの構成を示す図である。
【図5】(A)〜(C)は、本発明の効果を説明する図である。
【図6】(A),(B)は、本発明の効果を説明する別の図である。
【図7】(A),(B)は、本発明で使われる基板保持台の構成および温度特性を示す図である。
【図8】(A),(B)は、図7の基板保持台を使って形成された高密度プラズマCVD膜の膜厚面内分布を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
11 シリコン基板
11A 素子領域
11I 素子分離領域
11a,11b LDD領域
11c,11d 拡散領域
12 ゲート絶縁膜
13 ゲート電極
14,16,20,22 層間絶縁膜
15 SiON酸素バリア膜
17,19,21 Al23水素バリア膜
18A 下部電極
18B PZT膜
18C,18D 上部電極
14A,14B,20A,20B,20C,20D ビアプラグ
22A,22B,22C,22D 配線パターン
22HD 高密度プラズマCVD酸化膜
22PT プラズマTEOSCVD酸化膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性素子を形成された基板と、
前記基板上に形成され、強誘電体キャパシタを覆い、平坦な表面を有する第1の層間絶縁膜と、
前記第1の層間絶縁膜の前記平坦な表面を覆う水素バリア膜と、
前記水素バリア膜上に形成された第2の層間絶縁膜と、
前記第2の層間絶縁膜中に形成された複数の配線パターンよりなる配線層と、
を含む半導体装置であって、
前記第2の層間絶縁膜は、前記複数の配線パターンの間を充填するシリコン酸化膜よりなる第1の膜部分と、シリコン酸化膜よりなり前記第1の膜部分の上に形成され、前記第1の膜部分の表面の凹凸を充填する、平坦化された表面を有する第2の膜部分とよりなり、
前記第1の膜部分は高密度プラズマCVD法で形成されており、
前記第1の膜部分は第1の水分量を有し、
前記第2の膜部分は第2の水分量を有し、
前記第2の水分量は前記第1の水分量よりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1の水分量が5×10-2g/cm3以下であり、前記第2の水分量が5.0×10-3g/cm3以下であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2の膜部分および前記第1の層間絶縁膜は、テトラエトキシシランを原料としたプラズマCVD法により形成されることを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記水素バリア膜はAl23膜よりなることを特徴とする請求項1〜3のうち、いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項5】
活性素子および強誘電体キャパシタが形成された基板上に第1の層間絶縁膜を、テトラエトキシシランを原料とするプラズマCVD法により、前記強誘電体キャパシタを覆うように形成する工程と、
前記前記第1の層間絶縁膜上に水素バリア膜を形成する工程と、
前記水素バリア膜上に、配線パターンを形成する工程と、
前記配線パターンを覆うように第2の層間絶縁膜を、高密度プラズマCVD法により、前記第2の層間絶縁膜が前記配線パターンの間を充填するように堆積する工程と、
前記第2の層間絶縁膜上にシリコン酸化膜よりなる犠牲膜を、テトラエトキシシランを原料としたプラズマCVD法により、平坦な表面を有するように堆積する工程と、
前記犠牲膜を化学機械研磨法により、前記第2の層間絶縁膜が露出するまで研磨する工程と、を含み、
前記第2の層間絶縁膜は第1の水分量を有し、前記犠牲膜は第2の水分量を有し、
前記第2の水分量は前記第1の水分量よりも少ないことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第2の層間絶縁膜を形成する工程は、前記前記第1の水分量が、5.0×10-2g/cm3以下となるように実行され、前記犠牲膜を形成する工程は、前記犠牲膜中の水分量が、5.0×10-3g/cm3以下となるように実行されることを特徴とする請求項5記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−198641(P2008−198641A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−29211(P2007−29211)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】