説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】細幅配線におけるTDDB寿命の低下と、広幅配線におけるSIVとを同時に効果的に防ぐことの出来る半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置100は、基板102と基板上の層間絶縁膜104内に形成された、銅を主成分として銅とは異なる不純物金属を含む第1の金属配線114と、第1の金属配線よりも幅が広く、銅を主成分として銅とは異なる不純物金属を含む第2の金属配線116とを含む。第1の金属配線の第1の配線メタル112aは、表面から内部中央にかけて不純物金属の濃度が低くなる濃度プロファイルを有し、その表面の不純物金属の濃度は第2の金属配線の第2の配線メタル112bの表面の不純物金属の濃度よりも高い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年における半導体装置の高集積化への要請から、配線、プラグ、パッド等の材料として、抵抗が低い銅が広く用いられるようになってきた。
【0003】
特許文献1(特開2005−158930号公報)には、銅を用いた場合の信頼性の劣化に対する対策として、不純物を銅膜に添加した銅合金膜を配線の材料に採用することが記載されている。当該文献には、複数の配線層の中の少なくとも1層の配線層の配線に含まれる不純物の濃度が配線幅が大きいほど高い構成の半導体装置が記載されている。
【0004】
特許文献2(特開平6−177128号公報)には、アルミニウムまたはシリコンを含有する銅合金薄膜配線を含む半導体装置が記載されている。また、特許文献3(特開2004−039916号公報)には、銅を主成分とする金属領域の上部表面近傍に銅とは異なる異種金属元素が偏在した領域が設けられた半導体装置が記載されている。
【0005】
特許文献4(特開2006−253729号公報)には、プラチナ等が添加されている銅を含む導体材料をスパッタリング法で付着した後メッキ法で埋込配線を構成する導体膜を被着する技術が記載されている。
【特許文献1】特開2005−158930号公報
【特許文献2】特開平6−177128号公報
【特許文献3】特開2004−039916号公報
【特許文献4】特開2006−253729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、微細ピッチの細幅配線では、銅配線とその上に形成されるキャップ膜等との界面で、銅イオンの移動が生じることにより、配線間の耐圧が低下して経時破壊(Time Dependent Dielectric Breakdown:TDDB)寿命が著しく低下するという問題が生じる。一方、配線幅の広い広幅配線では、ストレスに起因するボイドが生じるSIV(Stress Induced Void)という現象が問題となる。
【0007】
従来、このような配線のサイズに応じた対応がなされていなかったため、細幅配線におけるTDDB寿命の低下と広幅配線におけるSIVとを同時に効果的に防ぐことができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、
基板と、
前記基板上に形成された、銅を主成分として含むとともに銅とは異なる不純物金属を含む第1の金属配線と、
前記基板上に形成された、銅を主成分として含むとともに銅とは異なる不純物金属を含み、前記第1の金属配線よりも幅が広い第2の金属配線と、
を含み、
前記第1の金属配線は、積層方向の中央部から表面にかけて前記不純物金属の濃度が高くなる濃度プロファイルを有し、前記第1の金属配線の表面の前記不純物金属の濃度が前記第2の金属配線の表面の前記不純物金属の濃度よりも高い半導体装置が提供される。
また、本発明によれば、
基板と、
前記基板上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜中に形成され、銅を主成分として含むとともに銅とは異なる不純物金属を含んだ幅の異なる複数の金属配線と、を有する半導体装置であって、
前記複数の金属配線は、前記不純物金属の濃度が積層方向の中央部から表面にかけて高くなる濃度プロファイルを持つ第1の金属配線と、前記不純物金属の濃度が積層方向の底面から表面にかけて低くなる濃度プロファイルを持つ第2の金属配線とを含み、
前記第2の金属配線の幅は、前記第1の金属配線の幅よりも広い半導体装置が提供される。
【0009】
このような構成とすることにより、細幅配線においては、表面に不純物金属が高濃度で形成されるため、その上に形成されるキャップ膜等との界面で、銅イオンの移動が抑制され、配線間の耐圧を高め、TDDB寿命の低下を抑えることができる。一方、幅が広い配線においては、TDDB寿命の低下はさほど問題とならない。そのため、幅が広い配線の表面に不純物濃度を高濃度で形成しても、配線の抵抗の上昇を引き起こすというデメリットのみが生じる可能性がある。しかし、上述したように、幅が広い配線においてもSIVという問題が生じる。本実施の形態においては、広幅配線も不純物金属を含むが、表面の不純物濃度を細幅配線程高濃度としない構成とすることにより、不要な配線の抵抗の上昇を引き起こすことなく、SIV耐性を高めることができる。
【0010】
本発明によれば、
基板上に形成された絶縁膜に形成された凹部に配線メタルを形成する工程を含み、
前記配線メタルを形成する工程は、
前記凹部の一部を埋め込むように、スパッタリング法により、銅および銅とは異なる不純物金属を含む第1のシード合金膜を形成する工程と、
前記第1のシード合金膜をエッチングして前記凹部における前記第1のシード合金膜の膜厚を平坦化する工程と、
前記凹部の一部を埋め込むように、前記第1のシード合金膜上に、スパッタリング法により、銅および前記不純物金属を含む第2のシード合金膜を形成する工程と、
前記第2のシード合金膜上に前記凹部の他の部分を埋め込むように銅を主成分として含むめっき金属膜を形成する工程と、
前記第1のシード合金膜、前記第2のシード合金膜、および前記めっき金属膜を熱処理する工程と、
を含む半導体装置の製造方法が提供される。
【0011】
このような構成とすることにより、配線幅が狭い細幅配線用の配線溝内には、表面の不純物金属濃度が高いプロファイルを有する配線メタルが形成されるとともに、配線幅が広い広幅配線用の配線溝内には、表面の不純物濃度が細幅配線程高濃度とならない配線メタルが形成されるようにすることができる。これにより、上述した半導体装置のメリットが得られる。
【0012】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、細幅配線におけるTDDB寿命の低下と広幅配線におけるSIVとを同時に効果的に防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0015】
図1は、本実施の形態における半導体装置100の構成を示す断面図である。
半導体装置100は、半導体基板(基板)102と、半導体基板102上に形成された層間絶縁膜104と、層間絶縁膜104中に形成された細幅配線(第1の金属配線)114および広幅配線(第2の金属配線)116と、層間絶縁膜104、細幅配線114、および広幅配線116上に形成されたキャップ膜120とを含む。ここで、半導体基板102は、たとえばシリコン基板とすることができる。図示していないが、半導体基板102上には、トランジスタ等が形成されている。半導体基板102と層間絶縁膜104との間には、他の絶縁膜が形成されていてもよい。
【0016】
なお、細幅配線114は、たとえば、半導体装置100中の最小ピッチ配線とすることができる。また、広幅配線116は、たとえば、半導体装置100中で最も幅が広い配線とすることができる。
【0017】
本実施の形態において、細幅配線114は、バリアメタル膜106および第1の配線メタル112aにより構成されている。広幅配線116は、バリアメタル膜106および第2の配線メタル112bにより構成されている。
【0018】
第1の配線メタル112aは、銅を主成分として含むとともに銅とは異なる不純物金属を含む。第2の配線メタル112bも、銅を主成分として含むとともに銅とは異なる不純物金属を含む。
【0019】
ここで、第1の配線メタル112aと第2の配線メタル112bとは、積層方向における不純物金属の濃度プロファイルが異なる。第1の配線メタル112aは、積層方向の中央部から表面にかけて不純物金属の濃度が高くなる濃度プロファイルを有する。一方、第2の配線メタル112bは、底面から表面にかけて不純物金属の濃度が低くなる濃度プロファイルを有する。また、第1の配線メタル112aの表面の不純物金属の濃度は、第2の配線メタル112bの表面の不純物金属の濃度よりも高い。
【0020】
不純物金属としては、たとえば、Be、Mg、Zn、Pd、Ag、Cd、Au、Hg、Pt、Si、Zr、Al、またはTi等が例示され、これらを単独または二種以上含むことができる。不純物金属としてBe、Mg、Zn、Pd、Ag、Cd、Au、PtまたはHgを用いた場合、細幅配線114や広幅配線116の抵抗上昇率を抑えることができる。不純物金属としてZrまたはTiを用いた場合、たとえば絶縁膜やバリアメタル膜等と金属膜との密着性を向上することができる。不純物金属としてMg、Sn、Zn、Cd等、銅よりも酸化還元電位の低い金属を用いた場合、金属膜表面の腐食を阻止することができる。
【0021】
層間絶縁膜104としては、たとえば、HSQ(ハイドロジェンシルセスキオキサン)、MSQ(メチルシルセスキオキサン)、またはMHSQ(メチル化ハイドロジェンシルセスキオキサン)等のポリオルガノシロキサン、ポリアリールエーテル(PAE)、ジビニルシロキサンビスベンゾシクロブテン(BCB)、またはSilk(登録商標)等の芳香族含有有機材料、SOG(spin on glass)、FOX(flowable oxide)、パリレン、サイトップ、またはベンゾシクロブテン(Bensocyclobutene:BCB)等の低誘電率材料を用いることができる。
【0022】
図2は、第1の配線メタル112aおよび第2の配線メタル112bにおける、不純物金属の濃度プロファイルを模式的に示す図である。細幅配線114の第1の配線メタル112aにおいては、積層方向の中央部から表面にかけて不純物金属の濃度が高くなる濃度プロファイルを有する。また、第1の配線メタル112aにおいては、表面における不純物金属の濃度が中央部よりも高くなる。また、第1の配線メタル112aの表面における不純物金属の濃度は、広幅配線116の第2の配線メタル112bの表面よりも高くなる。一方、広幅配線116の第2の配線メタル112bにおいては、底面における不純物金属の濃度が最も高く、表面方向に向かって徐々に不純物金属の濃度が低くなっている。
【0023】
次に、本実施の形態における半導体装置100の製造手順を説明する。図3から図7は、半導体装置100の製造手順を示す工程断面図である。
【0024】
まず、層間絶縁膜104に細幅配線溝150および広幅配線溝152を形成する(図3(a))。つづいて、層間絶縁膜104上全面にスパッタリング法により、第1のバリアメタル膜106aを形成する(図3(b))。このとき、細幅配線溝150および広幅配線溝152の側壁では、第1のバリアメタル膜106aの膜厚が不均等となる。細幅配線溝150および広幅配線溝152の側壁上部では、第1のバリアメタル膜106aが厚く付く。一方、細幅配線溝150および広幅配線溝152側壁の下部では第1のバリアメタル膜106aの膜厚が薄い部分が生じ、層間絶縁膜104の側壁上に第1のバリアメタル膜106aが形成されていない領域が生じることがある。層間絶縁膜104が第1のバリアメタル膜106aで覆われておらず、層間絶縁膜104が露出していると、バリアメタル膜としての機能を果たすことができない。そのため、通常、バリアメタル膜をエッチングして、配線溝の側壁のバリアメタルの膜厚を平坦化する処理を行う。
【0025】
本実施の形態においても、第1のバリアメタル膜106aをエッチングして、細幅配線溝150および広幅配線溝152の側壁の第1のバリアメタル膜106aの膜厚を平坦化する処理を行う。第1のバリアメタル膜106aをエッチングすることにより、細幅配線溝150および広幅配線溝152が形成された領域以外の層間絶縁膜104上面、ならびに細幅配線溝150および広幅配線溝152底面上の第1のバリアメタル膜106aが除去され、除去された第1のバリアメタル膜106aが細幅配線溝150および広幅配線溝152側壁に付着する(図4(a))。これにより、細幅配線溝150および広幅配線溝152側壁の第1のバリアメタル膜106aの膜厚を平坦化することができ、層間絶縁膜104上全面に第1のバリアメタル膜106aが形成された構成とすることができる。
【0026】
本実施の形態においては、上記のエッチングに加えて、さらに層間絶縁膜104上の全面に再度スパッタリング法により、第2のバリアメタル膜106bを形成する(図4(b))。これにより、細幅配線溝150および広幅配線溝152側壁におけるバリアメタル膜106(以下、第1のバリアメタル膜106aおよび第2のバリアメタル膜106bを一体としてバリアメタル膜106として示す。)の膜厚の不均等がより低減される。
【0027】
ここで、第1のバリアメタル膜106aおよび第2のバリアメタル膜106bは、同じ材料により構成することができる。第1のバリアメタル膜106aおよび第2のバリアメタル膜106bは、たとえばTi、W、Ta等の高融点金属を含む。好ましいバリアメタル膜としては、たとえば、Ti、TiN、W、WN、Ta、TaN等が例示される。バリアメタル膜としては、たとえばTaNおよびTaの積層構造等を用いることもできる。この場合は、各層毎にスパッタ、エッチング、リスパッタを行うことができる。
【0028】
つづいて、バリアメタル膜106上全面に、スパッタリング法により第1のシード合金膜108aを形成する(図5(a))。ここで、第1のシード合金膜108aは、銅と、上述した不純物金属とを含む合金とすることができる。不純物金属の濃度は、0.1〜1.0W%程度とすることができる。このような範囲とすることにより、後にシード合金膜をシードとして良好に銅を主成分として含むめっき膜を形成することができる。
【0029】
なお、本明細書における「合金」とは、2種以上の金属元素を融解・凝固させたものを意味し、金属元素のほかに非金属または半金属元素を含むものも合金とよぶものとする。また、合金の組織状態としては成分元素の混ざり方から固溶体や金属間化合物をつくる場合とそれらの混合物をなす場合がある。すなわち、本明細書では、固溶限以上の成分を添加したものも「合金」と称するものとする(化学大事典、東京化学同人発行)。
【0030】
このとき、第1のバリアメタル膜106aを形成したときと同様、細幅配線溝150および広幅配線溝152の側壁では、第1のシード合金膜108aの膜厚が不均等となる。細幅配線溝150および広幅配線溝152の側壁上部では、第1のシード合金膜108aが厚く付く。一方、細幅配線溝150および広幅配線溝152側壁の下部では第1のシード合金膜108aの膜厚が薄い部分が生じ、バリアメタル膜106の側壁上に第1のシード合金膜108aが形成されていない領域が生じることがある。第1のシード合金膜108aが形成されていない領域があると、後にめっき膜を形成する際に、めっき膜が良好に形成されないようになってしまう。そのため、通常、シード膜をエッチングして、配線溝の側壁のシード膜の膜厚を平坦化する処理を行う。
【0031】
本実施の形態においても、第1のシード合金膜108aをエッチングして、細幅配線溝150および広幅配線溝152の側壁の第1のシード合金膜108aの膜厚を平坦化する処理を行う。第1のシード合金膜108aをエッチングすることにより、細幅配線溝150および広幅配線溝152が形成された領域以外の層間絶縁膜104上面、ならびに細幅配線溝150および広幅配線溝152底面上の第1のシード合金膜108aが除去され、除去された第1のシード合金膜108aが細幅配線溝150および広幅配線溝152側壁に付着する(図5(b))。
【0032】
本実施の形態においては、上記のエッチングに加えて、さらに層間絶縁膜104上の全面に、再度スパッタリング法により第2のシード合金膜108bを形成する(図6(a))。ここで、第2のシード合金膜108bは、第1のシード合金膜108aと同じ材料を含む構成とすることができる。これにより、細幅配線溝150および広幅配線溝152側壁におけるシード合金膜108の膜厚の不均等が低減される。また、配線幅の狭い細幅配線溝150においては、上部にシード合金膜108が厚く付いたオーバーハング部が形成される。
【0033】
つづいて、めっき法によりめっき金属膜110を形成し、細幅配線溝150および広幅配線溝152内を埋め込む(図6(b))。めっき金属膜110は、銅を主成分として含む構成とすることができる。なお、めっき金属膜110も不純物金属を含む構成としてもよいが、不純物濃度は、第1のシード合金膜108aおよび第2のシード合金膜108bよりも低い濃度とする。
【0034】
次いで、アニールを行う。これにより、シード合金膜108中の不純物金属が拡散する。以下では、シード合金膜108とめっき金属膜110とを一体として配線メタル112として示す(図7(a))。ここで、細幅配線溝150においては、オーバーハング部が形成されているために、細幅配線溝150上部において不純物金属の濃度が高くなる。一方、広幅配線溝152においては、配線幅が広いため、表面の不純物金属の濃度は、側壁に形成されたシード合金膜108中の不純物金属の影響をほとんど受けない。そのため、図2に示したように、広幅配線溝152底面で不純物金属の濃度が最も高く、それ以外の領域では不純物金属の濃度は低くなっている。
【0035】
なお、アニールにより、細幅配線溝150および広幅配線溝152内のめっき金属膜110の銅のグレインが成長する。ここで、ボトムアップの特性上、配線幅が小さい方が、めっき金属膜110のめっき膜厚が厚くなる。一般的に、アニール後のグレインサイズは、めっき膜厚が厚い方が大きくなる。そのため、めっき金属膜110のグレインサイズは、広幅配線溝152中よりも細幅配線溝150中の方が大きくなる。また、不純物金属は、銅のグレインバンダリに沿って拡散する。そのため、グレインサイズが大きい方が、グレインサイズが小さい場合よりも拡散速度が遅くなる。つまり、配線幅の小さい細幅配線溝150においては、不純物金属の拡散速度が広幅配線溝152におけるよりも遅い。そのため、配線幅の小さい細幅配線溝150においては、配線メタル112は、アニール前のシード合金膜108とめっき金属膜110の濃度プロファイルをそのままある程度維持した濃度プロファイルを有するようになる。一方、広幅配線溝152においては、不純物金属の拡散が早いため、不純物金属は広幅配線溝152中のめっき金属膜110に、より均等に拡散されるようになる。
【0036】
この後、化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)により、細幅配線溝150および広幅配線溝152外部に露出しためっき金属膜110、シード合金膜108、およびバリアメタル膜106を除去する。これにより、細幅配線溝150内に細幅配線114が、広幅配線溝152内に広幅配線116が形成される(図7(b))。
【0037】
その後、層間絶縁膜104上にキャップ膜120を形成する。キャップ膜120は、たとえばSiCN膜とすることができる。これにより、図1に示した構成の半導体装置100が得られる。
【0038】
図8は、本実施の形態における半導体装置の製造手順を示すフローチャートである。
まず、層間絶縁膜104に細幅配線溝150および広幅配線溝152等の配線溝を形成する(S102)。つづいて、層間絶縁膜上全面にスパッタリング法により、第1のバリアメタル膜106aを形成する(S104)。次いで、第1のバリアメタル膜106aをエッチングする(S106)。その後、再度スパッタリング法により、第1のバリアメタル膜106a上に第2のバリアメタル膜106bを形成する(リスパッタ、S108)。これにより、バリアメタル膜106が形成される。
【0039】
つづいて、バリアメタル膜106上全面に、第1のシード合金膜108aを形成する(S110)。次いで、第1のシード合金膜108aをエッチングする(S112)。その後、再度スパッタリング法により、第1のシード合金膜108a上に第2のシード合金膜108bを形成する(リスパッタ、S114)。これにより、シード合金膜108が形成される。
【0040】
つづいて、めっき法によりシード合金膜108上にめっき金属膜110を形成し、細幅配線溝150および広幅配線溝152内を埋め込む(S116)。次いで、アニール処理を行う(S118)。これにより、シード合金膜108中の不純物金属がめっき金属膜110中に拡散し、配線メタル112が形成される。このとき、各配線溝中の不純物金属の濃度プロファイルは、図2に示したような状態となる。
【0041】
その後、CMPにより、細幅配線溝150および広幅配線溝152外部に露出した配線メタル112およびバリアメタル膜106を除去して細幅配線114および広幅配線116を形成する(S120)。その後、層間絶縁膜104上にキャップ膜120を形成する(S122)。
【実施例】
【0042】
(例1)
図1および図3から図7、および図8を参照して説明した半導体装置の製造手順で、半導体装置を製造した。図9は、細幅配線114における不純物金属の濃度プロファイルを示す図である。ここでは、不純物金属としてAlを用いた例を示す。配線幅は90nmとした。図示したように、配線表面において、Alの濃度が高くなっている。また、製造した配線の断面写真を確認したところ、ボイド等が生じることなく、良好な配線が形成されていた。
(例2)
例1と同様で、図8のステップS112のエッチングとS114のリスパッタプロセスを行わなかった。この場合、製造した配線の断面写真を確認したところ、配線溝内の側壁にボイドが生じていた。これは、シード合金膜がシードとして機能しておらず、めっき膜が良好に形成されなかったためだと考えられる。
【0043】
次に、本実施の形態における半導体装置100の効果を説明する。
本実施の形態における半導体装置100によれば、細幅配線114においては、表面に不純物金属が高濃度で形成されるため、その上に形成されるキャップ膜120等との界面で、銅イオンの移動が抑制され、配線間の耐圧を高め、TDDB寿命の低下を抑えることができる。とくに、低誘電率膜を用いた場合、TDDB寿命の低下が生じやすくなるが、本実施の形態における半導体装置100によれば、層間絶縁膜104として低誘電率膜を用いた場合でも、TDDB寿命の低下を抑制することができる。
【0044】
一方、幅が広い広幅配線116も不純物金属を含むが、表面の不純物濃度を細幅配線114程高濃度としない構成とするとともに、配線中の不純物金属の濃度がより均等となるようにしている。そのため、広幅配線116の不要な配線の抵抗の上昇を引き起こすことなく、SIV耐性を効果的に高めることができる。
【0045】
本実施の形態における半導体装置100の構成によれば、広幅配線と細幅配線とを含む半導体装置において、それぞれに適した不純物濃度のプロファイルを有するような構成としているため、細幅配線におけるTDDB寿命の低下と広幅配線におけるSIVとを同時に効果的に防ぐことができる。
【0046】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0047】
以上の実施の形態においては、細幅配線114と広幅配線116とが同層に形成される場合を例として説明したが、細幅配線114と広幅配線116とは、異なる層に設けたものとすることもできる。この場合も、上述したのと同様の手順で細幅配線および広幅配線をそれぞれ形成することにより、幅が狭い細幅配線では、細幅配線114と同様の濃度プロファイルを有する配線メタルが形成され、幅が広い広幅配線では、広幅配線116と同様の濃度プロファイルを有する配線メタルが形成される。
【0048】
また、以上の実施の形態における半導体装置100の製造手順は、図10に示すように、複数の細幅配線114が微細ピッチを有する構成に適用することができる。複数の細幅配線114が微細ピッチで形成された領域において、TDDB寿命の低下が生じやすい。このような構成に本実施の形態における半導体装置100の製造手順を適用することにより、TDDB寿命の低下を効果的に低減することができる。
【0049】
なお、以上の実施の形態において、バリアメタル膜106も、スパッタリング、エッチング、リスパッタを行う手順を示したが、バリアメタル膜106は、この方法に限定されず、他の種々の手順とすることができる。たとえば、リスパッタの手順は省略することができる。また、たとえばCVD法等によって形成することもできる。
【0050】
また、細幅配線114および広幅配線116は、シングルダマシン法またはデュアルダマシン法のいずれに適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態における半導体装置の構成を示す断面図である。
【図2】細幅配線の第1の配線メタルおよび広幅配線の第2の配線メタルにおける、不純物金属の濃度プロファイルを模式的に示す図である。
【図3】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図4】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図5】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図6】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図7】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図8】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示すフローチャートである。
【図9】細幅配線の第1の配線メタルの濃度プロファイルを示す図である。
【図10】本発明の実施の形態における細幅配線の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0052】
100 半導体装置
102 半導体基板
104 層間絶縁膜
106 バリアメタル膜
106a 第1のバリアメタル膜
106b 第2のバリアメタル膜
108 シード合金膜
108a 第1のシード合金膜
108b 第2のシード合金膜
110 めっき金属膜
112 配線メタル
112a 第1の配線メタル
112b 第2の配線メタル
114 細幅配線
116 広幅配線
120 キャップ膜
150 細幅配線溝
152 広幅配線溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された、銅を主成分として含むとともに銅とは異なる不純物金属を含む第1の金属配線と、
前記基板上に形成された、銅を主成分として含むとともに銅とは異なる不純物金属を含み、前記第1の金属配線よりも幅が広い第2の金属配線と、
を含み、
前記第1の金属配線は、積層方向の中央部から表面にかけて前記不純物金属の濃度が高くなる濃度プロファイルを有し、前記第1の金属配線の表面の前記不純物金属の濃度が前記第2の金属配線の表面の前記不純物金属の濃度よりも高い半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第2の金属配線は、前記不純物金属の積層方向の濃度プロファイルが前記第1の金属配線の積層方向の前記濃度プロファイルと異なる半導体装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置において、
前記第2の金属配線は、積層方向の底面から表面にかけて前記不純物金属の濃度が低くなる濃度プロファイルを有する半導体装置。
【請求項4】
請求項1から3いずれかに記載の半導体装置において、
前記不純物金属は、Be、Mg、Zn、Pd、Ag、Cd、Au、Hg、Pt、Si、Zr、Al、またはTiである半導体装置。
【請求項5】
請求項1から4いずれかに記載の半導体装置において、
前記第1の金属配線および前記第2の金属配線が同層に設けられた半導体装置。
【請求項6】
請求項1から5いずれかに記載の半導体装置において、
前記第1の金属配線は、前記半導体装置中の最小ピッチ配線である半導体装置。
【請求項7】
請求項1から6いずれかに記載の半導体装置において、
前記第2の金属配線は、前記半導体装置中で最も幅が広い配線である半導体装置。
【請求項8】
基板と、
前記基板上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜中に形成され、銅を主成分として含むとともに銅とは異なる不純物金属を含んだ幅の異なる複数の金属配線と、を有する半導体装置であって、
前記複数の金属配線は、前記不純物金属の濃度が積層方向の中央部から表面にかけて高くなる濃度プロファイルを持つ第1の金属配線と、前記不純物金属の濃度が積層方向の底面から表面にかけて低くなる濃度プロファイルを持つ第2の金属配線とを含み、
前記第2の金属配線の幅は、前記第1の金属配線の幅よりも広い半導体装置。
【請求項9】
基板上に形成された絶縁膜に形成された凹部に配線メタルを形成する工程を含み、
前記配線メタルを形成する工程は、
前記凹部の一部を埋め込むように、スパッタリング法により、銅および銅とは異なる不純物金属を含む第1のシード合金膜を形成する工程と、
前記第1のシード合金膜をエッチングして前記凹部側壁における前記第1のシード合金膜の膜厚を平坦化する工程と、
前記凹部の一部を埋め込むように、前記第1のシード合金膜上に、スパッタリング法により、銅および前記不純物金属を含む第2のシード合金膜を形成する工程と、
前記第2のシード合金膜上に前記凹部の他の部分を埋め込むように銅を主成分として含むめっき金属膜を形成する工程と、
前記第1のシード合金膜、前記第2のシード合金膜、および前記めっき金属膜を熱処理する工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体装置において、前記凹部は、第1の凹部と、当該第1の凹部よりも幅が広い第2の凹部とを含み、
前記配線メタルを形成する工程を、前記第1の凹部と、前記第2の凹部とに対してそれぞれ行う半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の凹部は、前記半導体装置中の最小ピッチ配線を形成するための凹部であって、
前記第2の凹部は、前記半導体装置中で最も幅が広い配線を形成するための凹部である半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−170846(P2009−170846A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−10465(P2008−10465)
【出願日】平成20年1月21日(2008.1.21)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】