半導体装置およびその製造方法
【課題】熱応力によるクラックの発生を抑制できる半導体装置およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】この半導体装置1では、アレイ状あるいはランダム状に配列された複数の接続端子41を介して被実装対象2が実装対象3に実装されている。また、半導体装置1は、実装対象3側に複数の電極パッド43a、43bを形成する手段と、接続端子41を電極パッド43a、43b上にて溶融および凝固させて実装対象3に結合する手段とを備えている。そして、一部の電極パッド43aが、接続端子41の凝固形状を規定する本体部431と、接続端子41の溶融時にて接続端子41の一部を本体部431の外周にガイドするガイド部432とを有している。
【解決手段】この半導体装置1では、アレイ状あるいはランダム状に配列された複数の接続端子41を介して被実装対象2が実装対象3に実装されている。また、半導体装置1は、実装対象3側に複数の電極パッド43a、43bを形成する手段と、接続端子41を電極パッド43a、43b上にて溶融および凝固させて実装対象3に結合する手段とを備えている。そして、一部の電極パッド43aが、接続端子41の凝固形状を規定する本体部431と、接続端子41の溶融時にて接続端子41の一部を本体部431の外周にガイドするガイド部432とを有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、熱応力によるクラックの発生を抑制できる半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の半導体装置では、電子部品あるいは回路基板を配線基板に実装する構造として、BGA(Ball Grid Array)接続構造が採用されている。BGA接続構造は、アレイ状あるいはランダム状に配列された複数の接続端子を介して被実装対象を実装対象に実装する構造である。かかるBGA接続構造では、複数の接続端子がアレイ状あるいはランダム状に配列されるので、パッケージの小型化や電子部品類の高密度実装が可能となる。これにより、電子機器の小型化が実現される。また、BGA接続構造は、リードレス構造を有するので、被実装対象と実装対象との接続距離が短縮される。これにより、電子機器の信号処理速度が向上する。
【0003】
ここで、例えば、セラミック材を導電性配線材とともに積層・焼成して多層化したセラミック基板からなるBGA型セラミック回路モジュールでは、配線基板への実装状態にて、BGA接続部の電極パッドの外周部に熱応力が集中して、電極パッド周囲のセラミック基板にクラックが発生する場合があった。そこで、電極パッドの外周部をガラス保護膜で覆うことにより、クラックが生じ難い端子構造を提供するとともに、その端子構造を少ない工程数で得ることを可能とするセラミック回路モジュールの製造方法が示されている。かかる構成として、例えば、特許文献1に記載される技術が知られている。
【0004】
また、線膨張係数の異なる二種類の基板をつなぐBGA接続構造では、熱履歴が加わったときに、接続端子であるハンダの一部に熱応力が集中する。すると、ハンダと基板の電極パッドとの接合面付近にて、ハンダにクラックが生じて、ハンダが破断する問題がある。この解決策として、BGA接続部のハンダの一部に熱応力が集中することを防ぐ構成が採用されている。すなわち、ハンダ中にプラスチックボールが配合され、そのプラスチックボールの線膨張係数が適当に選択される。これにより、プラスチックボールと下地ハンダ層との間に隙間が形成されて、BGA接続部の温度変化による歪みが吸収される。また、BGA接続部が鼓形状の断面形状を有することにより、ハンダと電極パッドとの接合面付近に生ずる熱応力が分散される。かかる構成として、例えば、特許文献2に記載される技術が知られている。
【0005】
その他、セラミック基板と配線基板との間にアンダーフィル材が充填される構成がある。かかる構成では、電極パッド全体もしくはその一部が補強されることにより、ハンダボールと電極パッドとの接合部付近におけるクラックの発生あるいは電極パッドの周囲の基材におけるクラックの発生が防止される。かかる構成として、例えば、特許文献3に記載される技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−250564号公報
【特許文献2】特許第2856197号公報
【特許文献3】特許第3644340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の構成では、電極パッドの周囲にクラックが生じ難いものの、接続部分のハンダボールがつぶれて、ハンダボールの中央部が膨らみ易い。このため、電極パッドの接合面付近では、ハンダボールがくびれた形状を有し、このくびれ部に応力が集中してクラックが発生するおそれがあった。また、半導体装置に要求される耐久温度範囲が広がると、熱膨張差によりパッド接合部への熱応力が増大する。このため、例えば、電極パッドの導体厚さを厚くして応力を緩和させる方法が考えられている。しかし、導体厚が厚くなると、導体の使用量が増加し、結果としてコストUPの原因となる。また、一般的な厚さの導体を有する構成では、導体膜が導体ペーストのスクリーン印刷によって形成される。しかし、厚い導体を有する構成では、印刷工程におけるスクリーンマスクへの充填およびマスクの抜け性が悪化するため、導体膜の形成が困難である。さらに、かかる構成では、使用可能な導体材料として、基材との密着強度が十分にある材料(セラミック材など)しか選択できないという問題がある。つまり、先述のように、ハンダボールのつぶれ、接続部中央の膨らみ、および、電極パッドの接合面付近のくびれを有するBGA接続構造では、力学的に電極パッドの接合部付近に最も大きく熱応力が作用する。このため、上記のような基板の補強だけでは、耐久温度範囲の拡大または基板サイズの拡大という要求を満足できない。
【0008】
また、特許文献2の構成では、ハンダボールのつぶれ、BGA接続部中央の膨らみ、および、電極パッドの接合面付近のくびれを解決するために、ハンダと電極パッドとの接合面付近に集中する熱応力を分散させる構成が採用されている。すなわち、BGA接続部のハンダ中にプラスチックボール等が配合され、このプラスチックボール径よりも基板の電極パッド径が大きく設定されることにより、BGA接続部の中央がくびれた鼓形状となるように構成されている。しかし、かかる構成では、ハンダ中にプラスチックボールを内包する工程が必要となり、製造コストや工程数が増えるという問題がある。
【0009】
また、特許文献3の構成では、アンダーフィル材が半導体装置と配線基板との間のBGA接続部に充填されて、BGA接続部が補強されている。しかし、かかる構成では、BGA接続後にアンダーフィルを充填するための工程が必要となるという問題がある。また、セラミック基板と配線基板との間にアンダーフィル材が存在すると、誘電率が高くなり、高周波の伝送損失が高くなる。このため、アンダーフィル材は、高周波用半導体部品間の接合補強材料としては適さない。
【0010】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、熱応力によるクラックの発生を抑制できる半導体装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかる半導体装置は、アレイ状あるいはランダム状に配列された複数の接続端子を介して被実装対象が実装対象に実装される半導体装置であって、前記実装対象側に複数の電極パッドを形成する手段と、前記接続端子を前記電極パッド上にて溶融および凝固させて前記実装対象に結合する手段とを備え、且つ、一部の前記電極パッドが、前記接続端子の凝固形状を規定する本体部と、前記接続端子の溶融時にて前記接続端子の一部を前記本体部の外周にガイドするガイド部とを有することを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる半導体装置では、前記本体部および前記ガイド部を有する前記電極パッドと、前記本体部のみを有する前記電極パッドとの双方が単一の前記実装対象上に配列される。
【0013】
また、この発明にかかる半導体装置では、前記本体部および前記ガイド部を有する前記電極パッドが前記実装対象の信号回路部に配置される。
【0014】
また、この発明にかかる半導体装置では、前記本体部および前記ガイド部を有する前記電極パッドが前記実装対象の外周対角部に配置される。
【0015】
また、この発明にかかる半導体装置では、前記ガイド部が前記本体部に対して所定間隔を隔てつつ前記本体部の外周を囲んで配置される環状構造を有すると共に一部にて前記本体部に連結される。
【0016】
また、この発明にかかる半導体装置では、前記ガイド部が前記本体部から突出した島状形状を有する。
【0017】
また、この発明にかかる半導体装置では、前記被実装対象側に複数の電極パッドを形成する手段を備え、且つ、前記被実装対象と前記実装対象とが相互に異なる靭性を有するときに、低い靭性を有する側の前記電極パッドの径φDaと高い靭性を有する側の前記電極パッドの径φDbとがφDa>φDbの関係を有する。
【0018】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法では、アレイ状あるいはランダム状に配列された複数の接続端子を介して被実装対象を実装対象に実装する半導体装置の製造方法であって、前記実装対象側に複数の電極パッドが形成されるステップと、前記接続端子が前記電極パッド上にて溶融および凝固することにより前記実装対象に結合されるステップとを備え、且つ、一部の前記電極パッドが、前記接続端子の凝固形状を規定する本体部と、前記接続端子の溶融時にて前記接続端子の一部を前記本体部の外周にガイドするガイド部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
この発明にかかる半導体装置および半導体装置の製造方法では、BGA接続構造を構成する一部の電極パッドが、接続端子の凝固形状を規定する本体部と、接続端子の溶融時にて接続端子の一部を本体部の外周にガイドするガイド部とを有する。かかる構成では、被実装対象の実装工程にて、溶融した接続端子の一部が本体部からガイド部まで移動して、本体部上の接続端子の体積が減少する。すると、ハンダ凝固ステップにて接続端子が凝固したときに、接続端子の中央部がくびれた鼓形状になり、また、接続端子の接合部がフィレット形状になって実装対象の第一電極パッドに結合する。すると、半導体装置の熱履歴により実装対象が熱変形したときに、熱応力が接続端子の中央部に作用し易くなり、接続端子と第一電極パッドとの接合部に作用するせん断熱応力が低減される。すると、熱応力による接続端子のクラックの発生あるいは接続端子と実装対象との接合部におけるクラックの発生が抑制される。これにより、半導体装置の接続不良が抑制される利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、この発明の実施の形態にかかる半導体装置を示す構成図である。
【図2】図2は、図1に記載した半導体装置のBGA接続構造を示す拡大図である。
【図3】図3は、図1に記載した半導体装置の製造工程を示す説明図である。
【図4】図4は、BGA接続構造の第一電極パッドを示す平面図である。
【図5】図5は、BGA接続構造の第二電極パッドを示す平面図である。
【図6】図6は、実装対象における第一電極パッドおよび第二電極パッドの配置例を示す平面図である。
【図7】図7は、実装対象における第一電極パッドおよび第二電極パッドの配置例を示す平面図である。
【図8】図8は、第一電極パッド側の接続端子の溶融状態を示す説明図である。
【図9】図9は、第二電極パッド側の接続端子の溶融状態を示す説明図である。
【図10】図10は、電極パッドの成形工程を示す説明図である。
【図11】図11は、電極パッドの成形工程を示す説明図である。
【図12】図12は、第一電極パッドの変形例を示す平面図である。
【図13】図13は、第一電極パッドの変形例を示す平面図である。
【図14】図14は、被実装対象の電極パッドの径と実装対象の電極パッドの径との関係を示す説明図である。
【図15】図15は、被実装対象の電極パッドの径と実装対象の電極パッドの径との関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
【0022】
[半導体装置のBGA接続構造]
この半導体装置1は、BGA(Ball Grid Array)接続構造を有する半導体装置に適用される。BGA接続構造とは、例えば、アレイ状あるいはランダム状に配列された複数の接続端子を介して被実装対象を実装対象に実装する構造をいう。以下、このBGA接続構造を有する半導体装置1について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0023】
図1は、この発明の実施の形態にかかる半導体装置を示す構成図である。図2は、図1に記載した半導体装置のBGA接続構造を示す拡大図である。図3は、図1に記載した半導体装置の製造工程を示す説明図である。図4および図5は、BGA接続構造の実装対象側の電極パッドを示す平面図である。
【0024】
この半導体装置1では、被実装対象2が実装対象3に対してBGA接続構造4を介して実装される(図1および図2参照)。
【0025】
被実装対象2は、半導体素子や受動回路素子(例えば、抵抗、コンデンサ等)などの電子部品、あるいは、これらの電子部品を実装した回路基板により構成される。例えば、この実施の形態では、被実装対象2が半導体素子21を実装した回路基板22により構成されている。また、回路基板22には、所定の信号回路23が形成され、また、カバー部材であるキャップ24が取り付けられている。実装対象3は、例えば、所定のプリント配線パターンを有する配線基板により構成される。
【0026】
BGA接続構造4は、接続端子41と、一対の電極パッド42、43とにより構成される。接続端子41は、球状の金属材料であり、例えば、ハンダボールにより構成される。一対の電極パッド42、43は、被実装対象2側に形成される電極パッド42と、実装対象3側に形成される電極パッド43とにより構成される。このBGA接続構造4では、接続端子41が被実装対象2側の電極パッド42と実装対象3側の電極パッド43とを接続することにより、被実装対象2が実装対象3に実装される。また、複数の接続端子41(および電極パッド42、43)がアレイ状あるいはランダム状に配列されて被実装対象2と実装対象3とを接続する。これにより、パッケージの小型化や電子部品類の高密度実装が可能となり、電子機器の小型化が実現される。また、BGA接続構造4は、リードレス構造を有するので、被実装対象2と実装対象3との接続距離が短縮される。これにより、電子機器の信号処理速度が向上する。なお、実装対象3側の電極パッド43の形状および配列構造については、後述する。
【0027】
この半導体装置1の製造工程では、まず、被実装対象2の下面に電極パッド42が形成され、この電極パッド42上に接続端子41が接合される(図3(a)参照)。また、実装対象3の上面に電極パッド43が形成され、この電極パッド43上にクリームハンダ44が印刷される(クリームハンダ印刷ステップ)。なお、クリームハンダ44は、フラックスを添加して粘度調整した粉末状のハンダである。次に、被実装対象2の下面と実装対象3の上面とが貼り合わされ、被実装対象2側の接続端子41が対応する実装対象3側のクリームハンダ44に押し当てられる(基板搭載ステップ)(図3(b)参照)。これにより、接続端子41が被実装対象2側の電極パッド42と実装対象3側の電極パッド43との間に挟み込まれる。
【0028】
次に、リフロー予備加熱が行われる(リフロー予備加熱ステップ)(図3(c)参照)。すると、クリームハンダ44が軟化して、実装対象3側の電極パッド43上を被覆する。次に、リフロー本加熱が行われる(リフロー本加熱ステップ)(図3(d)参照)。すると、接続端子41がその融点にて溶融し始めて、実装対象3側の電極パッド43上に濡れ広がる(ハンダ溶融ステップ)(図3(e)参照)。その後に、冷却が行われて接続端子41が凝固することにより、被実装対象2側の電極パッド42と実装対象3側の電極パッド43とが接続端子41を介して導通する(ハンダ凝固ステップ)(図3(f)参照)。これにより、被実装対象2と実装対象3とがBGA接続構造4を介して接続される。また、このとき、溶融して凝固した接続端子41の形状が電極パッド43の平面形状により規制される。これにより、接続端子41の形状が適正化される。
【0029】
[BGA接続構造の電極パッド]
ここで、被実装対象と実装対象とが相互に異なる線膨張係数を有する構成では、その線膨張係数の差により、BGA接続構造の接続端子に熱応力が発生する。すると、接続端子にクラックが発生したり、接続端子と実装対象との接合部にクラックが発生したりするおそれがある。かかるクラックの発生は、半導体装置の接続不良の原因となる。
【0030】
そこで、この半導体装置1では、かかる課題を解決するために以下の構成が採用されている。まず、実装対象3側の電極パッド43群が、第一電極パッド43aおよび第二電極パッド43bから成る二種類の電極パッドにより構成される(図4〜図7参照)。そして、これらの第一電極パッド43aおよび第二電極パッド43bが、実装対象3の接合面(被実装対象2との接合面)にて、所定間隔を隔てつつ縦横かつアレイ状に配列される(図6あるいは図7参照)。なお、第一電極パッド43aおよび第二電極パッド43bの配置例については、後述する。
【0031】
第一電極パッド43aは、本体部431およびガイド部432から成る(図4参照)。また、第二電極パッド43bは、本体部431のみから成る(図5参照)。本体部431は、接続端子41の凝固形状を規定する部分であり、第一電極パッド43aおよび第二電極パッド43bの双方に共通する部分である。例えば、この実施の形態では、本体部431が円形状(円盤状)に形成されている。ガイド部432は、接続端子41の溶融時にて接続端子41の材料の一部を本体部431の外周にガイドする部分であり、第一電極パッド43aのみに形成される。例えば、この実施の形態では、ガイド部432が円環構造を有しており、本体部431との間に所定の隙間を空けつつ本体部431の外周を囲んで配置されると共に四本の連結部433を介して本体部431に連結されている。
【0032】
上記の構成では、半導体装置1の製造工程にて、BGA接続構造4により被実装対象2を実装対象3に実装するときに、接続端子41の凝固形状が以下のように形成される(図2、図3、図8および図9参照)。
【0033】
まず、第一電極パッド43aでは、リフロー本加熱ステップにて、クリームハンダ44が軟化して第一電極パッド43aを被覆するときに、クリームハンダ44が本体部431から連結部433を伝ってガイド部432まで濡れ広がる(図3(d)参照)。すると、ハンダ溶融ステップにて、溶融した接続端子41の一部が本体部431からガイド部432まで移動して、本体部431上の接続端子41の体積が減少する(図3(e)の「a部」参照)。すると、ハンダ凝固ステップにて接続端子41が凝固したときに、接続端子41の中央部411が鼓形状(くびれた形状)になり、また、接続端子41の接合部412がフィレット形状(端部を拡幅した形状)になって第一電極パッド43aに結合する(図3(f)「a部」参照)。これにより、第一電極パッド43aにおける接続端子41の形状が適正化される(図2参照)。
【0034】
一方、第二電極パッド43bでは、リフロー本加熱ステップにて、クリームハンダ44が軟化して第二電極パッド43bを被覆するときに、クリームハンダ44が本体部431にのみ濡れ広がる(図3(d)参照)。すると、ハンダ溶融ステップにて、溶融した接続端子41が本体部431上に留まり、その体積減少が生じない(図3(e)の「b部」参照)。すると、ハンダ凝固ステップにて接続端子41が凝固したときに、接続端子41の中央部411が膨らんだ形状(扁平したボール形状)になり、また、接続端子41の接合部412がくびれた形状になって第二電極パッド43bに接合する(図3(f)「b部」参照)。
【0035】
また、複数の第一電極パッド43aと複数の第二電極パッド43bとの双方が単一の実装対象3上に配列されることにより、以下の作用が得られる(図3および図6〜図9参照)。第一電極パッド43aでは、上記のように、ハンダ溶融ステップにて、溶融した接続端子41の一部が本体部431からガイド部432に移動して、本体部431上の接続端子41の体積が減少する(図3(e)の「a部」参照)。このため、被実装対象2と実装対象3との間隔Haが接続端子41の体積減少の分だけ狭くなる(図8参照)。すると、溶融した接続端子41が潰れた形状になり、接続端子41と第一電極パッド43aとの接続形状が安定する。一方、第二電極パッド43bでは、ハンダ溶融ステップにて、第二電極パッド43bがガイド部を有さないので、接続端子41の体積が減少しない(図3(e)の「b部」参照)。このため、被実装対象2と実装対象3との間隔Hbが第一電極パッド43aにおける間隔Haよりも広く(Ha<Hb)、かつ、安定的に維持される(図9参照)。このため、ハンダ凝固ステップにて接続端子41が凝固するときに、第一電極パッド43a側の間隔Haが第二電極パッド43b側の間隔Hbに応じて拡幅される。すると、第一電極パッド43a上の接続端子41が潰れた形状(図8参照)から鼓形状の中央部411およびフィレット形状の接合部412を有する好適な形状(図2および図3(f)「a部」参照)に変形する。これにより、第一電極パッド43aの接続端子41が適正な形状に成形される。なお、被実装対象2と実装対象3との間隔Ha、Hbは、溶融した接続端子41の表面張力および被実装対象2の自重により決定される。
【0036】
なお、電極パッド42、43は、例えば、NSMD(non-Solder Mask Defined)法、SMD(Solder Mask Defined)などの公知の手法により形成され得る(図10および図11参照)。これにより、上記の電極パッド42、43(特に、ガイド部432を有する第一電極パッド43a)が工程数を増加させることなく容易に形成され得る。例えば、NSMD法では、実装対象3に銅箔などの導体が形成され、この導体がエッジングされることにより、電極パッド42、43が形成される(図10参照)。また、SMD法では、実装対象3の導体面(上面)が電極パッド42、43の成形部のみを残してソルダーレジストにより被覆されることにより、電極パッド42、43が形成される(図11参照)。
【0037】
[効果]
以上説明したように、この半導体装置1では、BGA接続構造4を構成する一部の電極パッド(第一電極パッド)43aが、接続端子41の凝固形状を規定する本体部431と、接続端子41の溶融時にて接続端子41の一部を本体部431の外周にガイドするガイド部432とを有する(図4参照)。かかる構成では、被実装対象2の実装工程にて、溶融した接続端子41の一部が本体部431からガイド部432まで移動して、本体部431上の接続端子41の体積が減少する(図3(e)の「a部」参照)。すると、ハンダ凝固ステップにて接続端子41が凝固したときに、接続端子41の中央部411がくびれた鼓形状になり、また、接続端子41の接合部412がフィレット形状になって実装対象3の第一電極パッド43aに結合する(図3(f)「a部」参照)。すると、半導体装置1の熱履歴により実装対象3が熱変形したときに、熱応力が接続端子41の中央部411に作用し易くなり、接続端子41と第一電極パッド43aとの接合部412に作用するせん断熱応力が低減される。すると、熱応力による接続端子のクラックの発生あるいは接続端子と実装対象との接合部におけるクラックの発生が抑制される。これにより、半導体装置1の接続不良が抑制される利点がある。
【0038】
特に、被実装対象2と実装対象3とが相互に異なる線膨張係数を有する場合には、その線膨張係数の差により、BGA接続構造4の接続端子41に熱応力が発生し易い。かかる場合において、上記の構成では、熱応力による接続端子のクラックの発生あるいは接続端子と実装対象との接合部におけるクラックの発生が効果的に抑制される点で有益である。
【0039】
また、上記の構成では、前記本体部および前記ガイド部を有する電極パッド(第一電極パッド)43aが用いられることにより、BGA接続構造4の加工工程にて、上記した鼓形状の中央部411およびフィレット形状の接合部412を有する接続端子41を容易かつ少ない工程にて成形できる利点がある。
【0040】
また、この半導体装置1では、本体部431およびガイド部432を有する電極パッド(第一電極パッド)43aと、本体部431のみを有する電極パッド(第二電極パッド)43bとの双方が単一の実装対象3上に配列される(図4〜図6参照)。かかる構成では、被実装対象2の実装工程にて、被実装対象2と実装対象3との間隔Hbが第二電極パッド43bの接続端子41により適正かつ安定的に維持されるので、第一電極パッド43aの接続端子41が溶融および凝固するときに、第一電極パッド43aの接続端子41が潰れ難い(図3、図8および図9参照)。これにより、接続端子41の成形が適正に行われて、接続端子41の好適な形状(鼓形状の中央部411およびフィレット形状の接合部412を有する形状)が確保される利点がある(図3(e)および(f)の「a部」参照)。
【0041】
[電極パッドの配置例]
なお、この半導体装置1では、第一電極パッド43aおよび第二電極パッド43bが実装対象3に対して以下のように配置されることが好ましい(図6および図7参照)。
【0042】
例えば、図6に示す構成では、実装対象3が矩形状の接合面(被実装対象2との接合面)を有しており、この接合面の中央部に半導体装置1の信号回路部31が形成されている。そして、この信号回路部31の領域に複数の第一電極パッド43aが配列されている。また、他の領域(信号回路部31の周囲の領域)に複数の第二電極パッド43bが配列されることにより、第一電極パッド43a群の外周が複数の第二電極パッド43bにより囲まれている。
【0043】
図6に示す構成では、上記のように、第一電極パッド43aが本体部431およびガイド部432を有することにより、接続端子41の中央部411が鼓形状に形成されて、接続端子41と第一電極パッド43aとの接合部付近に生ずる熱応力が低減される(図2〜図5参照)。したがって、かかる第一電極パッド43aが実装対象3の信号回路部31に配置されることにより、被実装対象2と実装対象3との接続不良や接続端子41と第一電極パッド43aとの接合部付近におけるクラックの発生が抑制される。これにより、BGA接続構造の信頼性が向上する利点がある。
【0044】
また、図6に示す構成では、実装対象3の接合面にて、第一電極パッド43a群の外周が複数の第二電極パッド43bにより囲まれるので、第一電極パッド43aの接続端子41が溶融および凝固するときに、被実装対象2と実装対象3との間隔Ha、Hbが適正に確保される(図3、図8および図9参照)。これにより、接続端子41の成形が適正に行われて、接続端子41の好適な形状(鼓形状の中央部411およびフィレット形状の接合部412を有する形状)が確保される利点がある。
【0045】
また、例えば、図7に示す構成では、複数の第一電極パッド43aが実装対象3の外周対角部に配置されている。具体的には、実装対象3が矩形状の接合面を有し、その長手方向の両端部および四隅の領域に複数の第一電極パッド43aが配置されている。また、他の領域(実装対象3の中央部の領域)には、第二電極パッド43bのみが配置されている。
【0046】
BGA接続構造の加工工程では、実装対象3の外周部に最も大きな熱応力が作用する。したがって、図7に示す構成では、複数の第一電極パッド43aが実装対象3の外周対角部に配置されることにより、接続端子41と第一電極パッド43aとの接合部付近に生ずる熱応力が低減される。これにより、被実装対象2と実装対象3との接続不良や接続端子41と第一電極パッド43aとの接合部付近におけるクラックの発生が抑制されて、BGA接続構造の信頼性が向上する利点がある。
【0047】
[電極パッドの変形例]
また、この半導体装置1では、第一電極パッド43aの本体部431が円形状(円盤状)を有しており、また、そのガイド部432が本体部431に対して所定間隔を隔てつつ本体部431の外周を囲んで配置される環状構造を有し、その一部にて連結部433を介して本体部431に連結されている(図4参照)。かかる構成では、ガイド部432が環状構造を有するので、ハンダ溶融ステップにて溶融した接続端子41の一部がガイド部432にガイドされたときに、このガイドされた接続端子41の一部がガイド部432の周方向に濡れ広がる(図3(e)参照)。したがって、溶融した接続端子41が第一電極パッド43a(ガイド部432)の外部にはみ出し難い。これにより、隣り合う接続端子41の絶縁状態が確保される利点がある。
【0048】
しかし、これに限らず、この半導体装置1では、第一電極パッド43aのガイド部432が本体部431から突出した島状形状を有しても良い(図12および図13参照)。
【0049】
例えば、図12に示す構成では、第一電極パッド43aのガイド部432が略円弧状(半円弧状)の島状形状を有し、本体部431に対して所定間隔を隔てつつ本体部431の外周に配置されている。また、ガイド部432が本体部431に対して連結部433を介して連結されている。また、図13に示す構成では、第一電極パッド43aのガイド部432が略四角形の島状形状を有し、本体部431に対して所定間隔を隔てつつ本体部431の外周に配置されている。また、ガイド部432が本体部431に対して連結部433を介して連結されている。
【0050】
かかる構成では、ガイド部432が島状形状を有するので、ガイド部432が本体部431の全周を囲む環状構造を有する構成(図4参照)と比較して、第一電極パッド43aの全幅が小さい。これにより、配列された第一電極パッド43a群のピッチ寸法を狭くできる利点がある。なお、ガイド部432が所定の面積を有することにより、必要十分な量の接続端子41を本体部431の外部に流動させ得る。
【0051】
なお、これらに限らず、第一電極パッド43aのガイド部432の形状は、接続端子41の溶融時にて接続端子41の一部を本体部431の外周にガイドする作用が確保されることを条件として、任意に選択され得る。
【0052】
[電極パッドの径]
また、この半導体装置1では、被実装対象2と実装対象3とが相互に異なる靭性を有するときに、より低い靭性を有する側の電極パッドの径φDaと、より高い靭性を有する側の電極パッドの径φDbとがφDa>φDbの関係を有することが好ましい。なお、第一電極パッド43aの径は、電極パッド43aの本体部431の径である。
【0053】
例えば、この実施の形態では、被実装対象2がセラミックス製の基板から成り、実装対象3が樹脂材料製の基板から成ることにより、被実装対象2の靭性が実装対象3の靭性よりも低く設定されている(図14参照)。また、低い靭性を有する側(被実装対象2)の電極パッド42の径φDaが高い靭性を有する側(実装対象3)の電極パッド43の径φDbよりも大きく(φDa>φDb)設定されている。このため、低い靭性を有する側における電極パッド42と接続端子41との接合面積が、高い靭性を有する側における電極パッド43と接続端子41との接合面積よりも大きくなっている。なお、一般に、熱応力によるクラックは、より低い靭性を有する側における電極パッド42にて発生し易い。
【0054】
かかる構成では、熱履歴により被実装対象2および実装対象3が熱変形したときに、低い靭性を有する側の電極パッド42が大きな径φDa(大きな接合面)を有するので、この電極パッド42に作用する熱応力が緩和される。これにより、接続端子41と被実装対象2との接合部におけるクラックの発生が抑制される利点がある。
【0055】
なお、上記の構成では、さらに、第一電極パッド43aと第二電極パッド43bとの双方が被実装対象2および実装対象3間に配列されることが好ましい(図15参照)。かかる構成では、被実装対象2の実装工程にて、被実装対象2と実装対象3との間隔Hdが第二電極パッド43bの接続端子41により適正かつ安定的に維持されるので、第一電極パッド43aの接続端子41が溶融および凝固するときに、第一電極パッド43aの接続端子41が潰れにくい。これにより、接続端子41の成形が適正に行われて、接続端子41の好適な形状(鼓形状の中央部411およびフィレット形状の接合部412を有する形状)が確保される利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上のように、この発明にかかる半導体装置およびその製造方法は、熱応力によるクラックの発生を抑制できる点で有用である。
【符号の説明】
【0057】
1 半導体装置、2 被実装対象、21 半導体素子、22 回路基板、23 信号回路、24 キャップ、3 実装対象、31 信号回路部、4 BGA接続構造、41 接続端子、42 電極パッド、43a 第一電極パッド、43b 第二電極パッド、44 クリームハンダ、411 中央部、412 接合部、431 本体部、432 ガイド部
、433 連結部
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、熱応力によるクラックの発生を抑制できる半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の半導体装置では、電子部品あるいは回路基板を配線基板に実装する構造として、BGA(Ball Grid Array)接続構造が採用されている。BGA接続構造は、アレイ状あるいはランダム状に配列された複数の接続端子を介して被実装対象を実装対象に実装する構造である。かかるBGA接続構造では、複数の接続端子がアレイ状あるいはランダム状に配列されるので、パッケージの小型化や電子部品類の高密度実装が可能となる。これにより、電子機器の小型化が実現される。また、BGA接続構造は、リードレス構造を有するので、被実装対象と実装対象との接続距離が短縮される。これにより、電子機器の信号処理速度が向上する。
【0003】
ここで、例えば、セラミック材を導電性配線材とともに積層・焼成して多層化したセラミック基板からなるBGA型セラミック回路モジュールでは、配線基板への実装状態にて、BGA接続部の電極パッドの外周部に熱応力が集中して、電極パッド周囲のセラミック基板にクラックが発生する場合があった。そこで、電極パッドの外周部をガラス保護膜で覆うことにより、クラックが生じ難い端子構造を提供するとともに、その端子構造を少ない工程数で得ることを可能とするセラミック回路モジュールの製造方法が示されている。かかる構成として、例えば、特許文献1に記載される技術が知られている。
【0004】
また、線膨張係数の異なる二種類の基板をつなぐBGA接続構造では、熱履歴が加わったときに、接続端子であるハンダの一部に熱応力が集中する。すると、ハンダと基板の電極パッドとの接合面付近にて、ハンダにクラックが生じて、ハンダが破断する問題がある。この解決策として、BGA接続部のハンダの一部に熱応力が集中することを防ぐ構成が採用されている。すなわち、ハンダ中にプラスチックボールが配合され、そのプラスチックボールの線膨張係数が適当に選択される。これにより、プラスチックボールと下地ハンダ層との間に隙間が形成されて、BGA接続部の温度変化による歪みが吸収される。また、BGA接続部が鼓形状の断面形状を有することにより、ハンダと電極パッドとの接合面付近に生ずる熱応力が分散される。かかる構成として、例えば、特許文献2に記載される技術が知られている。
【0005】
その他、セラミック基板と配線基板との間にアンダーフィル材が充填される構成がある。かかる構成では、電極パッド全体もしくはその一部が補強されることにより、ハンダボールと電極パッドとの接合部付近におけるクラックの発生あるいは電極パッドの周囲の基材におけるクラックの発生が防止される。かかる構成として、例えば、特許文献3に記載される技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−250564号公報
【特許文献2】特許第2856197号公報
【特許文献3】特許第3644340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の構成では、電極パッドの周囲にクラックが生じ難いものの、接続部分のハンダボールがつぶれて、ハンダボールの中央部が膨らみ易い。このため、電極パッドの接合面付近では、ハンダボールがくびれた形状を有し、このくびれ部に応力が集中してクラックが発生するおそれがあった。また、半導体装置に要求される耐久温度範囲が広がると、熱膨張差によりパッド接合部への熱応力が増大する。このため、例えば、電極パッドの導体厚さを厚くして応力を緩和させる方法が考えられている。しかし、導体厚が厚くなると、導体の使用量が増加し、結果としてコストUPの原因となる。また、一般的な厚さの導体を有する構成では、導体膜が導体ペーストのスクリーン印刷によって形成される。しかし、厚い導体を有する構成では、印刷工程におけるスクリーンマスクへの充填およびマスクの抜け性が悪化するため、導体膜の形成が困難である。さらに、かかる構成では、使用可能な導体材料として、基材との密着強度が十分にある材料(セラミック材など)しか選択できないという問題がある。つまり、先述のように、ハンダボールのつぶれ、接続部中央の膨らみ、および、電極パッドの接合面付近のくびれを有するBGA接続構造では、力学的に電極パッドの接合部付近に最も大きく熱応力が作用する。このため、上記のような基板の補強だけでは、耐久温度範囲の拡大または基板サイズの拡大という要求を満足できない。
【0008】
また、特許文献2の構成では、ハンダボールのつぶれ、BGA接続部中央の膨らみ、および、電極パッドの接合面付近のくびれを解決するために、ハンダと電極パッドとの接合面付近に集中する熱応力を分散させる構成が採用されている。すなわち、BGA接続部のハンダ中にプラスチックボール等が配合され、このプラスチックボール径よりも基板の電極パッド径が大きく設定されることにより、BGA接続部の中央がくびれた鼓形状となるように構成されている。しかし、かかる構成では、ハンダ中にプラスチックボールを内包する工程が必要となり、製造コストや工程数が増えるという問題がある。
【0009】
また、特許文献3の構成では、アンダーフィル材が半導体装置と配線基板との間のBGA接続部に充填されて、BGA接続部が補強されている。しかし、かかる構成では、BGA接続後にアンダーフィルを充填するための工程が必要となるという問題がある。また、セラミック基板と配線基板との間にアンダーフィル材が存在すると、誘電率が高くなり、高周波の伝送損失が高くなる。このため、アンダーフィル材は、高周波用半導体部品間の接合補強材料としては適さない。
【0010】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、熱応力によるクラックの発生を抑制できる半導体装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかる半導体装置は、アレイ状あるいはランダム状に配列された複数の接続端子を介して被実装対象が実装対象に実装される半導体装置であって、前記実装対象側に複数の電極パッドを形成する手段と、前記接続端子を前記電極パッド上にて溶融および凝固させて前記実装対象に結合する手段とを備え、且つ、一部の前記電極パッドが、前記接続端子の凝固形状を規定する本体部と、前記接続端子の溶融時にて前記接続端子の一部を前記本体部の外周にガイドするガイド部とを有することを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる半導体装置では、前記本体部および前記ガイド部を有する前記電極パッドと、前記本体部のみを有する前記電極パッドとの双方が単一の前記実装対象上に配列される。
【0013】
また、この発明にかかる半導体装置では、前記本体部および前記ガイド部を有する前記電極パッドが前記実装対象の信号回路部に配置される。
【0014】
また、この発明にかかる半導体装置では、前記本体部および前記ガイド部を有する前記電極パッドが前記実装対象の外周対角部に配置される。
【0015】
また、この発明にかかる半導体装置では、前記ガイド部が前記本体部に対して所定間隔を隔てつつ前記本体部の外周を囲んで配置される環状構造を有すると共に一部にて前記本体部に連結される。
【0016】
また、この発明にかかる半導体装置では、前記ガイド部が前記本体部から突出した島状形状を有する。
【0017】
また、この発明にかかる半導体装置では、前記被実装対象側に複数の電極パッドを形成する手段を備え、且つ、前記被実装対象と前記実装対象とが相互に異なる靭性を有するときに、低い靭性を有する側の前記電極パッドの径φDaと高い靭性を有する側の前記電極パッドの径φDbとがφDa>φDbの関係を有する。
【0018】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法では、アレイ状あるいはランダム状に配列された複数の接続端子を介して被実装対象を実装対象に実装する半導体装置の製造方法であって、前記実装対象側に複数の電極パッドが形成されるステップと、前記接続端子が前記電極パッド上にて溶融および凝固することにより前記実装対象に結合されるステップとを備え、且つ、一部の前記電極パッドが、前記接続端子の凝固形状を規定する本体部と、前記接続端子の溶融時にて前記接続端子の一部を前記本体部の外周にガイドするガイド部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
この発明にかかる半導体装置および半導体装置の製造方法では、BGA接続構造を構成する一部の電極パッドが、接続端子の凝固形状を規定する本体部と、接続端子の溶融時にて接続端子の一部を本体部の外周にガイドするガイド部とを有する。かかる構成では、被実装対象の実装工程にて、溶融した接続端子の一部が本体部からガイド部まで移動して、本体部上の接続端子の体積が減少する。すると、ハンダ凝固ステップにて接続端子が凝固したときに、接続端子の中央部がくびれた鼓形状になり、また、接続端子の接合部がフィレット形状になって実装対象の第一電極パッドに結合する。すると、半導体装置の熱履歴により実装対象が熱変形したときに、熱応力が接続端子の中央部に作用し易くなり、接続端子と第一電極パッドとの接合部に作用するせん断熱応力が低減される。すると、熱応力による接続端子のクラックの発生あるいは接続端子と実装対象との接合部におけるクラックの発生が抑制される。これにより、半導体装置の接続不良が抑制される利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、この発明の実施の形態にかかる半導体装置を示す構成図である。
【図2】図2は、図1に記載した半導体装置のBGA接続構造を示す拡大図である。
【図3】図3は、図1に記載した半導体装置の製造工程を示す説明図である。
【図4】図4は、BGA接続構造の第一電極パッドを示す平面図である。
【図5】図5は、BGA接続構造の第二電極パッドを示す平面図である。
【図6】図6は、実装対象における第一電極パッドおよび第二電極パッドの配置例を示す平面図である。
【図7】図7は、実装対象における第一電極パッドおよび第二電極パッドの配置例を示す平面図である。
【図8】図8は、第一電極パッド側の接続端子の溶融状態を示す説明図である。
【図9】図9は、第二電極パッド側の接続端子の溶融状態を示す説明図である。
【図10】図10は、電極パッドの成形工程を示す説明図である。
【図11】図11は、電極パッドの成形工程を示す説明図である。
【図12】図12は、第一電極パッドの変形例を示す平面図である。
【図13】図13は、第一電極パッドの変形例を示す平面図である。
【図14】図14は、被実装対象の電極パッドの径と実装対象の電極パッドの径との関係を示す説明図である。
【図15】図15は、被実装対象の電極パッドの径と実装対象の電極パッドの径との関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
【0022】
[半導体装置のBGA接続構造]
この半導体装置1は、BGA(Ball Grid Array)接続構造を有する半導体装置に適用される。BGA接続構造とは、例えば、アレイ状あるいはランダム状に配列された複数の接続端子を介して被実装対象を実装対象に実装する構造をいう。以下、このBGA接続構造を有する半導体装置1について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0023】
図1は、この発明の実施の形態にかかる半導体装置を示す構成図である。図2は、図1に記載した半導体装置のBGA接続構造を示す拡大図である。図3は、図1に記載した半導体装置の製造工程を示す説明図である。図4および図5は、BGA接続構造の実装対象側の電極パッドを示す平面図である。
【0024】
この半導体装置1では、被実装対象2が実装対象3に対してBGA接続構造4を介して実装される(図1および図2参照)。
【0025】
被実装対象2は、半導体素子や受動回路素子(例えば、抵抗、コンデンサ等)などの電子部品、あるいは、これらの電子部品を実装した回路基板により構成される。例えば、この実施の形態では、被実装対象2が半導体素子21を実装した回路基板22により構成されている。また、回路基板22には、所定の信号回路23が形成され、また、カバー部材であるキャップ24が取り付けられている。実装対象3は、例えば、所定のプリント配線パターンを有する配線基板により構成される。
【0026】
BGA接続構造4は、接続端子41と、一対の電極パッド42、43とにより構成される。接続端子41は、球状の金属材料であり、例えば、ハンダボールにより構成される。一対の電極パッド42、43は、被実装対象2側に形成される電極パッド42と、実装対象3側に形成される電極パッド43とにより構成される。このBGA接続構造4では、接続端子41が被実装対象2側の電極パッド42と実装対象3側の電極パッド43とを接続することにより、被実装対象2が実装対象3に実装される。また、複数の接続端子41(および電極パッド42、43)がアレイ状あるいはランダム状に配列されて被実装対象2と実装対象3とを接続する。これにより、パッケージの小型化や電子部品類の高密度実装が可能となり、電子機器の小型化が実現される。また、BGA接続構造4は、リードレス構造を有するので、被実装対象2と実装対象3との接続距離が短縮される。これにより、電子機器の信号処理速度が向上する。なお、実装対象3側の電極パッド43の形状および配列構造については、後述する。
【0027】
この半導体装置1の製造工程では、まず、被実装対象2の下面に電極パッド42が形成され、この電極パッド42上に接続端子41が接合される(図3(a)参照)。また、実装対象3の上面に電極パッド43が形成され、この電極パッド43上にクリームハンダ44が印刷される(クリームハンダ印刷ステップ)。なお、クリームハンダ44は、フラックスを添加して粘度調整した粉末状のハンダである。次に、被実装対象2の下面と実装対象3の上面とが貼り合わされ、被実装対象2側の接続端子41が対応する実装対象3側のクリームハンダ44に押し当てられる(基板搭載ステップ)(図3(b)参照)。これにより、接続端子41が被実装対象2側の電極パッド42と実装対象3側の電極パッド43との間に挟み込まれる。
【0028】
次に、リフロー予備加熱が行われる(リフロー予備加熱ステップ)(図3(c)参照)。すると、クリームハンダ44が軟化して、実装対象3側の電極パッド43上を被覆する。次に、リフロー本加熱が行われる(リフロー本加熱ステップ)(図3(d)参照)。すると、接続端子41がその融点にて溶融し始めて、実装対象3側の電極パッド43上に濡れ広がる(ハンダ溶融ステップ)(図3(e)参照)。その後に、冷却が行われて接続端子41が凝固することにより、被実装対象2側の電極パッド42と実装対象3側の電極パッド43とが接続端子41を介して導通する(ハンダ凝固ステップ)(図3(f)参照)。これにより、被実装対象2と実装対象3とがBGA接続構造4を介して接続される。また、このとき、溶融して凝固した接続端子41の形状が電極パッド43の平面形状により規制される。これにより、接続端子41の形状が適正化される。
【0029】
[BGA接続構造の電極パッド]
ここで、被実装対象と実装対象とが相互に異なる線膨張係数を有する構成では、その線膨張係数の差により、BGA接続構造の接続端子に熱応力が発生する。すると、接続端子にクラックが発生したり、接続端子と実装対象との接合部にクラックが発生したりするおそれがある。かかるクラックの発生は、半導体装置の接続不良の原因となる。
【0030】
そこで、この半導体装置1では、かかる課題を解決するために以下の構成が採用されている。まず、実装対象3側の電極パッド43群が、第一電極パッド43aおよび第二電極パッド43bから成る二種類の電極パッドにより構成される(図4〜図7参照)。そして、これらの第一電極パッド43aおよび第二電極パッド43bが、実装対象3の接合面(被実装対象2との接合面)にて、所定間隔を隔てつつ縦横かつアレイ状に配列される(図6あるいは図7参照)。なお、第一電極パッド43aおよび第二電極パッド43bの配置例については、後述する。
【0031】
第一電極パッド43aは、本体部431およびガイド部432から成る(図4参照)。また、第二電極パッド43bは、本体部431のみから成る(図5参照)。本体部431は、接続端子41の凝固形状を規定する部分であり、第一電極パッド43aおよび第二電極パッド43bの双方に共通する部分である。例えば、この実施の形態では、本体部431が円形状(円盤状)に形成されている。ガイド部432は、接続端子41の溶融時にて接続端子41の材料の一部を本体部431の外周にガイドする部分であり、第一電極パッド43aのみに形成される。例えば、この実施の形態では、ガイド部432が円環構造を有しており、本体部431との間に所定の隙間を空けつつ本体部431の外周を囲んで配置されると共に四本の連結部433を介して本体部431に連結されている。
【0032】
上記の構成では、半導体装置1の製造工程にて、BGA接続構造4により被実装対象2を実装対象3に実装するときに、接続端子41の凝固形状が以下のように形成される(図2、図3、図8および図9参照)。
【0033】
まず、第一電極パッド43aでは、リフロー本加熱ステップにて、クリームハンダ44が軟化して第一電極パッド43aを被覆するときに、クリームハンダ44が本体部431から連結部433を伝ってガイド部432まで濡れ広がる(図3(d)参照)。すると、ハンダ溶融ステップにて、溶融した接続端子41の一部が本体部431からガイド部432まで移動して、本体部431上の接続端子41の体積が減少する(図3(e)の「a部」参照)。すると、ハンダ凝固ステップにて接続端子41が凝固したときに、接続端子41の中央部411が鼓形状(くびれた形状)になり、また、接続端子41の接合部412がフィレット形状(端部を拡幅した形状)になって第一電極パッド43aに結合する(図3(f)「a部」参照)。これにより、第一電極パッド43aにおける接続端子41の形状が適正化される(図2参照)。
【0034】
一方、第二電極パッド43bでは、リフロー本加熱ステップにて、クリームハンダ44が軟化して第二電極パッド43bを被覆するときに、クリームハンダ44が本体部431にのみ濡れ広がる(図3(d)参照)。すると、ハンダ溶融ステップにて、溶融した接続端子41が本体部431上に留まり、その体積減少が生じない(図3(e)の「b部」参照)。すると、ハンダ凝固ステップにて接続端子41が凝固したときに、接続端子41の中央部411が膨らんだ形状(扁平したボール形状)になり、また、接続端子41の接合部412がくびれた形状になって第二電極パッド43bに接合する(図3(f)「b部」参照)。
【0035】
また、複数の第一電極パッド43aと複数の第二電極パッド43bとの双方が単一の実装対象3上に配列されることにより、以下の作用が得られる(図3および図6〜図9参照)。第一電極パッド43aでは、上記のように、ハンダ溶融ステップにて、溶融した接続端子41の一部が本体部431からガイド部432に移動して、本体部431上の接続端子41の体積が減少する(図3(e)の「a部」参照)。このため、被実装対象2と実装対象3との間隔Haが接続端子41の体積減少の分だけ狭くなる(図8参照)。すると、溶融した接続端子41が潰れた形状になり、接続端子41と第一電極パッド43aとの接続形状が安定する。一方、第二電極パッド43bでは、ハンダ溶融ステップにて、第二電極パッド43bがガイド部を有さないので、接続端子41の体積が減少しない(図3(e)の「b部」参照)。このため、被実装対象2と実装対象3との間隔Hbが第一電極パッド43aにおける間隔Haよりも広く(Ha<Hb)、かつ、安定的に維持される(図9参照)。このため、ハンダ凝固ステップにて接続端子41が凝固するときに、第一電極パッド43a側の間隔Haが第二電極パッド43b側の間隔Hbに応じて拡幅される。すると、第一電極パッド43a上の接続端子41が潰れた形状(図8参照)から鼓形状の中央部411およびフィレット形状の接合部412を有する好適な形状(図2および図3(f)「a部」参照)に変形する。これにより、第一電極パッド43aの接続端子41が適正な形状に成形される。なお、被実装対象2と実装対象3との間隔Ha、Hbは、溶融した接続端子41の表面張力および被実装対象2の自重により決定される。
【0036】
なお、電極パッド42、43は、例えば、NSMD(non-Solder Mask Defined)法、SMD(Solder Mask Defined)などの公知の手法により形成され得る(図10および図11参照)。これにより、上記の電極パッド42、43(特に、ガイド部432を有する第一電極パッド43a)が工程数を増加させることなく容易に形成され得る。例えば、NSMD法では、実装対象3に銅箔などの導体が形成され、この導体がエッジングされることにより、電極パッド42、43が形成される(図10参照)。また、SMD法では、実装対象3の導体面(上面)が電極パッド42、43の成形部のみを残してソルダーレジストにより被覆されることにより、電極パッド42、43が形成される(図11参照)。
【0037】
[効果]
以上説明したように、この半導体装置1では、BGA接続構造4を構成する一部の電極パッド(第一電極パッド)43aが、接続端子41の凝固形状を規定する本体部431と、接続端子41の溶融時にて接続端子41の一部を本体部431の外周にガイドするガイド部432とを有する(図4参照)。かかる構成では、被実装対象2の実装工程にて、溶融した接続端子41の一部が本体部431からガイド部432まで移動して、本体部431上の接続端子41の体積が減少する(図3(e)の「a部」参照)。すると、ハンダ凝固ステップにて接続端子41が凝固したときに、接続端子41の中央部411がくびれた鼓形状になり、また、接続端子41の接合部412がフィレット形状になって実装対象3の第一電極パッド43aに結合する(図3(f)「a部」参照)。すると、半導体装置1の熱履歴により実装対象3が熱変形したときに、熱応力が接続端子41の中央部411に作用し易くなり、接続端子41と第一電極パッド43aとの接合部412に作用するせん断熱応力が低減される。すると、熱応力による接続端子のクラックの発生あるいは接続端子と実装対象との接合部におけるクラックの発生が抑制される。これにより、半導体装置1の接続不良が抑制される利点がある。
【0038】
特に、被実装対象2と実装対象3とが相互に異なる線膨張係数を有する場合には、その線膨張係数の差により、BGA接続構造4の接続端子41に熱応力が発生し易い。かかる場合において、上記の構成では、熱応力による接続端子のクラックの発生あるいは接続端子と実装対象との接合部におけるクラックの発生が効果的に抑制される点で有益である。
【0039】
また、上記の構成では、前記本体部および前記ガイド部を有する電極パッド(第一電極パッド)43aが用いられることにより、BGA接続構造4の加工工程にて、上記した鼓形状の中央部411およびフィレット形状の接合部412を有する接続端子41を容易かつ少ない工程にて成形できる利点がある。
【0040】
また、この半導体装置1では、本体部431およびガイド部432を有する電極パッド(第一電極パッド)43aと、本体部431のみを有する電極パッド(第二電極パッド)43bとの双方が単一の実装対象3上に配列される(図4〜図6参照)。かかる構成では、被実装対象2の実装工程にて、被実装対象2と実装対象3との間隔Hbが第二電極パッド43bの接続端子41により適正かつ安定的に維持されるので、第一電極パッド43aの接続端子41が溶融および凝固するときに、第一電極パッド43aの接続端子41が潰れ難い(図3、図8および図9参照)。これにより、接続端子41の成形が適正に行われて、接続端子41の好適な形状(鼓形状の中央部411およびフィレット形状の接合部412を有する形状)が確保される利点がある(図3(e)および(f)の「a部」参照)。
【0041】
[電極パッドの配置例]
なお、この半導体装置1では、第一電極パッド43aおよび第二電極パッド43bが実装対象3に対して以下のように配置されることが好ましい(図6および図7参照)。
【0042】
例えば、図6に示す構成では、実装対象3が矩形状の接合面(被実装対象2との接合面)を有しており、この接合面の中央部に半導体装置1の信号回路部31が形成されている。そして、この信号回路部31の領域に複数の第一電極パッド43aが配列されている。また、他の領域(信号回路部31の周囲の領域)に複数の第二電極パッド43bが配列されることにより、第一電極パッド43a群の外周が複数の第二電極パッド43bにより囲まれている。
【0043】
図6に示す構成では、上記のように、第一電極パッド43aが本体部431およびガイド部432を有することにより、接続端子41の中央部411が鼓形状に形成されて、接続端子41と第一電極パッド43aとの接合部付近に生ずる熱応力が低減される(図2〜図5参照)。したがって、かかる第一電極パッド43aが実装対象3の信号回路部31に配置されることにより、被実装対象2と実装対象3との接続不良や接続端子41と第一電極パッド43aとの接合部付近におけるクラックの発生が抑制される。これにより、BGA接続構造の信頼性が向上する利点がある。
【0044】
また、図6に示す構成では、実装対象3の接合面にて、第一電極パッド43a群の外周が複数の第二電極パッド43bにより囲まれるので、第一電極パッド43aの接続端子41が溶融および凝固するときに、被実装対象2と実装対象3との間隔Ha、Hbが適正に確保される(図3、図8および図9参照)。これにより、接続端子41の成形が適正に行われて、接続端子41の好適な形状(鼓形状の中央部411およびフィレット形状の接合部412を有する形状)が確保される利点がある。
【0045】
また、例えば、図7に示す構成では、複数の第一電極パッド43aが実装対象3の外周対角部に配置されている。具体的には、実装対象3が矩形状の接合面を有し、その長手方向の両端部および四隅の領域に複数の第一電極パッド43aが配置されている。また、他の領域(実装対象3の中央部の領域)には、第二電極パッド43bのみが配置されている。
【0046】
BGA接続構造の加工工程では、実装対象3の外周部に最も大きな熱応力が作用する。したがって、図7に示す構成では、複数の第一電極パッド43aが実装対象3の外周対角部に配置されることにより、接続端子41と第一電極パッド43aとの接合部付近に生ずる熱応力が低減される。これにより、被実装対象2と実装対象3との接続不良や接続端子41と第一電極パッド43aとの接合部付近におけるクラックの発生が抑制されて、BGA接続構造の信頼性が向上する利点がある。
【0047】
[電極パッドの変形例]
また、この半導体装置1では、第一電極パッド43aの本体部431が円形状(円盤状)を有しており、また、そのガイド部432が本体部431に対して所定間隔を隔てつつ本体部431の外周を囲んで配置される環状構造を有し、その一部にて連結部433を介して本体部431に連結されている(図4参照)。かかる構成では、ガイド部432が環状構造を有するので、ハンダ溶融ステップにて溶融した接続端子41の一部がガイド部432にガイドされたときに、このガイドされた接続端子41の一部がガイド部432の周方向に濡れ広がる(図3(e)参照)。したがって、溶融した接続端子41が第一電極パッド43a(ガイド部432)の外部にはみ出し難い。これにより、隣り合う接続端子41の絶縁状態が確保される利点がある。
【0048】
しかし、これに限らず、この半導体装置1では、第一電極パッド43aのガイド部432が本体部431から突出した島状形状を有しても良い(図12および図13参照)。
【0049】
例えば、図12に示す構成では、第一電極パッド43aのガイド部432が略円弧状(半円弧状)の島状形状を有し、本体部431に対して所定間隔を隔てつつ本体部431の外周に配置されている。また、ガイド部432が本体部431に対して連結部433を介して連結されている。また、図13に示す構成では、第一電極パッド43aのガイド部432が略四角形の島状形状を有し、本体部431に対して所定間隔を隔てつつ本体部431の外周に配置されている。また、ガイド部432が本体部431に対して連結部433を介して連結されている。
【0050】
かかる構成では、ガイド部432が島状形状を有するので、ガイド部432が本体部431の全周を囲む環状構造を有する構成(図4参照)と比較して、第一電極パッド43aの全幅が小さい。これにより、配列された第一電極パッド43a群のピッチ寸法を狭くできる利点がある。なお、ガイド部432が所定の面積を有することにより、必要十分な量の接続端子41を本体部431の外部に流動させ得る。
【0051】
なお、これらに限らず、第一電極パッド43aのガイド部432の形状は、接続端子41の溶融時にて接続端子41の一部を本体部431の外周にガイドする作用が確保されることを条件として、任意に選択され得る。
【0052】
[電極パッドの径]
また、この半導体装置1では、被実装対象2と実装対象3とが相互に異なる靭性を有するときに、より低い靭性を有する側の電極パッドの径φDaと、より高い靭性を有する側の電極パッドの径φDbとがφDa>φDbの関係を有することが好ましい。なお、第一電極パッド43aの径は、電極パッド43aの本体部431の径である。
【0053】
例えば、この実施の形態では、被実装対象2がセラミックス製の基板から成り、実装対象3が樹脂材料製の基板から成ることにより、被実装対象2の靭性が実装対象3の靭性よりも低く設定されている(図14参照)。また、低い靭性を有する側(被実装対象2)の電極パッド42の径φDaが高い靭性を有する側(実装対象3)の電極パッド43の径φDbよりも大きく(φDa>φDb)設定されている。このため、低い靭性を有する側における電極パッド42と接続端子41との接合面積が、高い靭性を有する側における電極パッド43と接続端子41との接合面積よりも大きくなっている。なお、一般に、熱応力によるクラックは、より低い靭性を有する側における電極パッド42にて発生し易い。
【0054】
かかる構成では、熱履歴により被実装対象2および実装対象3が熱変形したときに、低い靭性を有する側の電極パッド42が大きな径φDa(大きな接合面)を有するので、この電極パッド42に作用する熱応力が緩和される。これにより、接続端子41と被実装対象2との接合部におけるクラックの発生が抑制される利点がある。
【0055】
なお、上記の構成では、さらに、第一電極パッド43aと第二電極パッド43bとの双方が被実装対象2および実装対象3間に配列されることが好ましい(図15参照)。かかる構成では、被実装対象2の実装工程にて、被実装対象2と実装対象3との間隔Hdが第二電極パッド43bの接続端子41により適正かつ安定的に維持されるので、第一電極パッド43aの接続端子41が溶融および凝固するときに、第一電極パッド43aの接続端子41が潰れにくい。これにより、接続端子41の成形が適正に行われて、接続端子41の好適な形状(鼓形状の中央部411およびフィレット形状の接合部412を有する形状)が確保される利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上のように、この発明にかかる半導体装置およびその製造方法は、熱応力によるクラックの発生を抑制できる点で有用である。
【符号の説明】
【0057】
1 半導体装置、2 被実装対象、21 半導体素子、22 回路基板、23 信号回路、24 キャップ、3 実装対象、31 信号回路部、4 BGA接続構造、41 接続端子、42 電極パッド、43a 第一電極パッド、43b 第二電極パッド、44 クリームハンダ、411 中央部、412 接合部、431 本体部、432 ガイド部
、433 連結部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレイ状あるいはランダム状に配列された複数の接続端子を介して被実装対象が実装対象に実装される半導体装置であって、
前記実装対象側に複数の電極パッドを形成する手段と、前記接続端子を前記電極パッド上にて溶融および凝固させて前記実装対象に結合する手段とを備え、且つ、
一部の前記電極パッドが、前記接続端子の凝固形状を規定する本体部と、前記接続端子の溶融時にて前記接続端子の一部を前記本体部の外周にガイドするガイド部とを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記本体部および前記ガイド部を有する前記電極パッドと、前記本体部のみを有する前記電極パッドとの双方が単一の前記実装対象上に配列される請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記本体部および前記ガイド部を有する前記電極パッドが前記実装対象の信号回路部に配置される請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記本体部および前記ガイド部を有する前記電極パッドが前記実装対象の外周対角部に配置される請求項1〜3のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記ガイド部が前記本体部に対して所定間隔を隔てつつ前記本体部の外周を囲んで配置される環状構造を有すると共に一部にて前記本体部に連結される請求項1〜4のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記ガイド部が前記本体部から突出した島状形状を有する請求項1〜5のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記被実装対象側に複数の電極パッドを形成する手段を備え、且つ、
前記被実装対象と前記実装対象とが相互に異なる靭性を有するときに、低い靭性を有する側の前記電極パッドの径φDaと高い靭性を有する側の前記電極パッドの径φDbとがφDa>φDbの関係を有する請求項1〜6のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項8】
アレイ状あるいはランダム状に配列された複数の接続端子を介して被実装対象を実装対象に実装する半導体装置の製造方法であって、
前記実装対象側に複数の電極パッドが形成されるステップと、前記接続端子が前記電極パッド上にて溶融および凝固することにより前記実装対象に結合されるステップとを備え、且つ、
一部の前記電極パッドが、前記接続端子の凝固形状を規定する本体部と、前記接続端子の溶融時にて前記接続端子の一部を前記本体部の外周にガイドするガイド部とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項1】
アレイ状あるいはランダム状に配列された複数の接続端子を介して被実装対象が実装対象に実装される半導体装置であって、
前記実装対象側に複数の電極パッドを形成する手段と、前記接続端子を前記電極パッド上にて溶融および凝固させて前記実装対象に結合する手段とを備え、且つ、
一部の前記電極パッドが、前記接続端子の凝固形状を規定する本体部と、前記接続端子の溶融時にて前記接続端子の一部を前記本体部の外周にガイドするガイド部とを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記本体部および前記ガイド部を有する前記電極パッドと、前記本体部のみを有する前記電極パッドとの双方が単一の前記実装対象上に配列される請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記本体部および前記ガイド部を有する前記電極パッドが前記実装対象の信号回路部に配置される請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記本体部および前記ガイド部を有する前記電極パッドが前記実装対象の外周対角部に配置される請求項1〜3のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記ガイド部が前記本体部に対して所定間隔を隔てつつ前記本体部の外周を囲んで配置される環状構造を有すると共に一部にて前記本体部に連結される請求項1〜4のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記ガイド部が前記本体部から突出した島状形状を有する請求項1〜5のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記被実装対象側に複数の電極パッドを形成する手段を備え、且つ、
前記被実装対象と前記実装対象とが相互に異なる靭性を有するときに、低い靭性を有する側の前記電極パッドの径φDaと高い靭性を有する側の前記電極パッドの径φDbとがφDa>φDbの関係を有する請求項1〜6のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項8】
アレイ状あるいはランダム状に配列された複数の接続端子を介して被実装対象を実装対象に実装する半導体装置の製造方法であって、
前記実装対象側に複数の電極パッドが形成されるステップと、前記接続端子が前記電極パッド上にて溶融および凝固することにより前記実装対象に結合されるステップとを備え、且つ、
一部の前記電極パッドが、前記接続端子の凝固形状を規定する本体部と、前記接続端子の溶融時にて前記接続端子の一部を前記本体部の外周にガイドするガイド部とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−267792(P2010−267792A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−117728(P2009−117728)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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