説明

半導体装置の製造方法および半導体装置

【課題】層間絶縁膜として低誘電率膜を用いて配線溝を形成する際のダメージ層の形成による配線間容量の増加を抑制する。
【解決手段】低誘電率膜114の側壁に形成されたダメージ層130を除去する工程(図3(a)、3(b))と、化学気相成長法により第2の保護絶縁膜134を形成し、第1の保護絶縁膜116および低誘電率膜114の側壁を第2の保護絶縁膜134で覆って第2の凹部136cを形成する工程(図3(c))と、配線溝136dが低誘電率膜114の表面に選択的に第2の保護絶縁膜134が形成された側壁を有するように、第2の保護絶縁膜134をエッチバックして成形する工程(図3(d))とにより配線溝136dを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法および半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置においては、その微細化および高速化に伴い、抵抗の低い銅(Cu)配線が用いられるようになっている。銅配線は、ダマシン法により形成される。ダマシン法では、層間絶縁膜に凹部を形成し、凹部内にバリアメタル膜および銅膜を形成して凹部を埋め込み、凹部外部に露出した銅膜およびバリアメタル膜を化学機械研磨法(CMP:Chemical Mechanical Polishing)で除去することにより配線を形成する。この手順を繰り返すことにより、多層配線構造が形成される。
【0003】
また、半導体装置の高性能化に伴い、多層配線構造の層間絶縁膜として、比誘電率(k値)がSiOより低い低誘電率膜(いわゆるlow-k膜)が用いられるようになっている。低誘電率膜には様々な種類があるが、一般的に密着性や機械強度が弱い。そのため、低誘電率膜に配線溝を形成する際に、エッチングやレジスト剥離工程で配線溝の側壁に低誘電率膜の変質層が生じ、実効的なk値が上昇してしまい、配線間容量の増大の原因となるという問題があった。
【0004】
特許文献1(特開2004−72080号公報)には、フォトレジスト膜を用いて低誘電率膜に凹部を形成して、フォトレジスト膜を除去して、凹部を導電膜で埋め込んだ後に、変質層を除去して、変質層の除去により生じた空隙に低誘電率膜を全面に埋め込み、CMPで研磨する工程が記載されている。
【0005】
特許文献2(特開2007−5679号公報)には、レジスト膜を用いて低誘電率膜にビアホールを形成してレジスト膜を除去して、レジスト膜除去時に生じたビアホール側壁のダメージ層を除去する技術が記載されている。この後、ビアホール内全面を有機系低誘電率材料(ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド等、Si−O結合を持たない、もとの低誘電率膜とのエッチング選択比が30以上と大きいもの)で埋め込み、その上にレジスト膜を形成して配線溝を形成する。レジスト膜、およびビアホール内の有機系低誘電率材料は、配線溝形成時に除去される。
【0006】
特許文献3(WO2004/107434号公報)には、層間絶縁膜と金属配線との間に、有機物を含む絶縁性バリア層が形成された構成が記載されている。
【特許文献1】特開2004−72080号公報
【特許文献2】特開2007−5679号公報
【特許文献3】WO2004/107434号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の技術では、凹部を導電膜で埋め込んで銅配線を形成後に変質層を除去している。このとき、銅配線に沿って形成された変質層が除去される。そのため、銅配線が剥がれるおそれがあり、配線オープンや配線間ショートの原因となる。
【0008】
また、特許文献2に記載の技術では、ビアボールのダメージ層を除去した後、ビアホール内全面に埋め込んだ有機系低誘電率材料に配線溝を形成している。つまり、配線が形成される層間絶縁膜としては、もとの低誘電率膜とのエッチング選択比が大きい有機系低誘電率材料が用いられることになる。そのため、材料の選択の幅が非常に狭いという問題があった。また、配線溝形成時に配線溝の側壁にダメージ層が形成された場合、実効的なk値が上昇してしまうという問題が解消されていない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、
基板上に形成されるとともに炭素を含む低誘電率膜および当該低誘電率膜上に形成された第1の保護絶縁膜に配線溝を形成する工程を含む半導体装置の製造方法であって、
前記配線溝を形成する工程は、
前記第1の保護絶縁膜上に、配線溝形成用の開口パターンを有するレジスト膜を形成し、当該レジスト膜をマスクとして前記第1の保護絶縁膜および前記低誘電率膜内に第1の凹部を形成する工程と、
前記第1の凹部形成時に前記低誘電率膜の前記第1の凹部の側壁に形成されたダメージ層を除去する工程と、
前記基板上の全面に、化学気相成長法により第2の保護絶縁膜を形成し、前記第1の保護絶縁膜および前記低誘電率膜の前記第1の凹部の側壁を前記第2の保護絶縁膜で覆って前記第1の保護絶縁膜および前記低誘電率膜内に第2の凹部を形成する工程と、
前記配線溝が前記低誘電率膜の表面に前記第2の保護絶縁膜が選択的に形成された側壁を有するように、前記第2の保護絶縁膜をエッチバックして成形する工程と、
を含む半導体装置の製造方法が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、
基板と、
前記基板上に形成されるとともに、炭素を含む低誘電率膜と、
前記低誘電率膜上に形成された第1の保護絶縁膜と、
前記第1の保護絶縁膜から前記低誘電率膜にわたって形成された配線溝と、
前記配線溝内に埋め込まれた配線と、
を含み、
前記配線溝の側面において、前記第1の保護絶縁膜の端面は、前記低誘電率膜の端面から突出した構造を有し、前記低誘電率膜の側面の前記第1の保護絶縁膜が突出した箇所の下方には、化学気相成長法により形成された第2の保護絶縁膜が形成され、当該第2の保護絶縁膜と前記第1の保護絶縁膜とにより、前記配線溝の側壁が構成された半導体装置が提供される。
【0011】
この構成によれば、配線溝を形成する層間絶縁膜として低誘電率膜を用いた場合に、低誘電率膜にダメージ層が形成されても、ダメージ層を除去して、除去した部分の低誘電率膜の側壁に第2の保護絶縁膜が形成された構成とすることができる。そのため、配線間容量の増大を抑えることができる。また、第2の保護絶縁膜を形成した後に成形して配線溝を形成するので、配線溝を溝寸法の制御性よく形成することができる。
【0012】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、層間絶縁膜として低誘電率膜を用いて配線溝を形成する際のダメージ層の形成による配線間容量の増加を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0015】
図1から図4は、本実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
本実施の形態において、低誘電率膜に、ビアファースト法でデュアルダマシン配線溝を形成する手順を説明する。
【0016】
半導体装置100は、シリコン基板等の半導体基板である基板(不図示)上に、層間絶縁膜110が形成され、層間絶縁膜110中に下層銅配線106が形成された構造を有する。このような構成の半導体装置100において、層間絶縁膜110および下層銅配線106上に、エッチング阻止膜112、低誘電率膜114、および第1の保護絶縁膜116をこの順で形成する(図1(a))。
【0017】
低誘電率膜114は、炭素を含む材料により構成することができる。低誘電率膜114は、たとえば、Si、O、およびCを含む材料により構成することができる。低誘電率膜114は、たとえば、SiOC膜、SiOCH膜、またはこれらの多孔質膜とすることができる。本実施の形態において、低誘電率膜114は、k=3.0以下となるように構成することができる。低誘電率膜114は、化学気相成長法(CVD法:Chemical Vapor Deposition)または、コーティング法により形成することができる。
【0018】
また、層間絶縁膜110は、低誘電率膜114と同様の材料により構成された低誘電率膜とすることができる。エッチング阻止膜112は、たとえばSiCN膜により構成することができる。第1の保護絶縁膜116は、低誘電率膜114が吸湿するのを防ぐ吸湿保護膜として機能する材料により構成することができる。また、第1の保護絶縁膜116は、後に配線溝に導電膜を埋め込んだ後のCMP時に、低誘電率膜114を保護する機能を有する材料により構成することができる。第1の保護絶縁膜116は、たとえばSiO膜により構成することができる。第1の保護絶縁膜116は、CVD法により形成することができる。
【0019】
つづいて、第1の保護絶縁膜116上に反射防止膜118およびビアホール形成用の開口パターン120aを有するレジスト膜120を形成する(図1(b))。ここで、ビアホール形成用の開口パターン120aは、平面視で下層銅配線106と重なる位置に形成される。レジスト膜120は、フォトリソグラフィー法を用いて形成することができる。
【0020】
ついで、レジスト膜120をマスクとして反射防止膜118および第1の保護絶縁膜116をエッチングして、第1の保護絶縁膜116に開口パターン116aを形成する。つづいて、第1の保護絶縁膜116をマスクとして、低誘電率膜114をエッチングして低誘電率膜114にビアホール136aを形成する。低誘電率膜114をエッチングする際のエッチングガスとしては、たとえばCFやC等のフルオロカーボンガスを用いることができ、さらに、Nガス、Oガス、Arガス等を添加することもできる。この後、レジスト膜120および反射防止膜118をアッシングにより除去する(図1(c))。ビアホール136aは、たとえばCFガスを用いたドライエッチングにより形成することができる。レジスト膜120等を除去するためのアッシングは、Oガス、COガス、N/Hガス、NHガス、He/Hガス等を用いて行うことができる。
【0021】
ビアホール136a形成後、基板上の全面に有機膜122を形成し、有機膜122でビアホール136aおよび開口パターン116aを埋め込む。ついで、有機膜122上に無機膜124、反射防止膜126、および配線溝形成用の開口パターン128aを有するレジスト膜128を形成する(図2(a))。ここで、配線溝形成用の開口パターン128aは、平面視でビアホール136aと重なる位置に形成される。レジスト膜128は、フォトリソグラフィー法を用いて形成することができる。
【0022】
ついで、レジスト膜128をマスクとして反射防止膜126、無機膜124、有機膜122、および第1の保護絶縁膜116をエッチングして、第1の保護絶縁膜116に、開口パターン116bを形成する。さらに、第1の保護絶縁膜116等をマスクとして、低誘電率膜114をエッチングして第1の保護絶縁膜116および低誘電率膜114に第1の凹部136bを形成する(図2(b))。低誘電率膜114をエッチングする際のエッチングガスとしては、たとえばCFやC等のフルオロカーボンガスを用いることができ、さらに、Nガス、Oガス、Arガス等を添加することもできる。
【0023】
この後、有機膜122をアッシングにより除去する。ここでは、レジスト膜128、反射防止膜126、および無機膜124は、他の層をエッチングする工程で既に除去された構成を示しているが、これらの膜が残っている場合、アッシングにより、除去することができる。有機膜122等を除去するためのアッシングは、Oガス、COガス、N/Hガス、NHガス、He/Hガス等を用いて行うことができる。
【0024】
低誘電率膜114として、炭素を含む低誘電率膜を用いている場合、レジスト膜128等を除去する際の上記ガスの影響により、第1の凹部136bの側壁から、炭素(C)や水素(H)が引き抜かれる。そのため、低誘電率膜114は、側壁部分で、SiとOの組成からなる変質した誘電率の高い膜(ダメージ層130)へと変化してしまう(図3(a))。このようなダメージ層130が存在したままだと、半導体装置100の配線間容量が増大してしまい、デバイスの高速性能が損なわれるという問題がある。また、このようなダメージ層130が存在したままだと、ダメージ層130の吸湿により、ダメージ層130の実効k値がさらに上昇して配線間容量がより増加してしまう。
【0025】
そこで、本実施の形態において、フッ化水素等を用いてダメージ層130を除去する(図3(b))。これにより、低誘電率膜114には、くびれ部132が形成される。すなわち、第1の凹部136bの側面において、第1の保護絶縁膜116の端面は、低誘電率膜114の端面から突出した構造を有する。
【0026】
つづいて、基板上の全面に、CVD法により第2の保護絶縁膜134を形成し、低誘電率膜114の第1の凹部136bの側壁を第2の保護絶縁膜134で覆って第1の保護絶縁膜116および低誘電率膜114に第2の凹部136cを形成する(図3(c))。これにより、ダメージ層130の除去により形成されたくびれ部132を第2の保護絶縁膜134で埋めることができる。本実施の形態において、第2の保護絶縁膜134は、比誘電率が低誘電率膜114の比誘電率以下となるように構成することができる。第2の保護絶縁膜134は、たとえば、低誘電率膜114を構成する材料と同じ材料により構成することができる。これにより、ダメージ層130の影響をなくし、配線間容量の増大を抑制することができる。
【0027】
つづいて、エッチバックにより第2の保護絶縁膜134を成形して、低誘電率膜114に側壁が第2の保護絶縁膜134により保護された配線溝136dを形成する。このとき、異方性エッチングが行われるため、半導体装置100の積層方向の上面側に形成された第2の保護絶縁膜134は選択的に除去される。また、第1の保護絶縁膜116が低誘電率膜114よりも突出しているので、第1の保護絶縁膜116の側壁に形成された第2の保護絶縁膜134は除去されるが、低誘電率膜114の側壁に形成された第2の保護絶縁膜134は第1の保護絶縁膜116により保護され、エッチングされずに残る。これにより、第2の保護絶縁膜134が低誘電率膜114の側壁にのみ選択的に形成された構成とすることができる。
【0028】
つづいて、たとえばCFガス等を用いた異方性ドライエッチングまたは、Arイオン等を用いたスパッタリング法により、ビアホール136a底部のエッチング阻止膜112(ビアホール136a底部に第2の保護絶縁膜134が残っている場合は第2の保護絶縁膜134も)を除去し、ビアホール136a底面に下層銅配線106を露出させる(図3(d))。これにより、ビアホール136aおよび配線溝136dにより構成されるデュアルダマシン配線溝が形成される。
【0029】
本実施の形態において、配線溝136dにおいても、第1の保護絶縁膜116の開口パターンは、レジスト膜128の配線溝形成用の開口パターン128aと同じ形状が維持される。また、第2の保護絶縁膜134をエッチバックする際には、第1の保護絶縁膜116がマスクとなり、第1の保護絶縁膜116の下方に位置する第2の保護絶縁膜134は、そのまま残ることになる。そのため、配線溝136dの幅は、第1の保護絶縁膜116の開口パターンの幅と同じ、すなわちレジスト膜128の配線溝形成用の開口パターン128aの幅と同じになる。これにより、溝寸法の規格を確保することができる。
【0030】
ついで、バリアメタル膜140および銅膜142を形成してビアホール136aおよび配線溝136dを埋め込み、配線溝136d外部に露出したバリアメタル膜140および銅膜142をCMPで除去して、銅配線138を形成する(図4)。銅配線138は、下層銅配線106と電気的に接続されている。
【0031】
以上の手順により、配線溝136dの側面において、第1の保護絶縁膜116の端面は、低誘電率膜114の端面から突出した構造を有し、低誘電率膜114の側面の第1の保護絶縁膜116が突出した箇所の下方には、化学気相成長法により形成された第2の保護絶縁膜134が形成され、第2の保護絶縁膜134と第1の保護絶縁膜116とにより、配線溝136dの側壁が構成された半導体装置100が得られる。ここで、配線溝136dの側面において、第2の保護絶縁膜134の端面は、第1の保護絶縁膜116の端面と一致した構成とすることができる。
【0032】
図5は、本実施の形態における半導体装置100の製造手順の他の例を示す工程断面図である。ここでは、第2の保護絶縁膜134を形成する前にエッチング阻止膜112を除去する点で上記の手順と異なる。
【0033】
ここでは、図2(b)で説明した第1の保護絶縁膜116および低誘電率膜114に第1の凹部136bを形成する工程の後、レジスト膜128等を除去するとともに、第1の凹部136bの底部のエッチング阻止膜112を除去する。エッチング阻止膜112は、たとえばCFガス等を用いた異方性ドライエッチングまたは、Arイオン等を用いたスパッタリング法により除去することができる(図5(a))。
【0034】
この後、フッ化水素等を用いてダメージ層130を除去する(図5(b))。これにより、低誘電率膜114には、くびれ部132が形成される。つづいて、図3(c)を参照して説明したのと同様にして、第2の保護絶縁膜134を形成する(図5(c))。
【0035】
ついで、エッチバックにより第2の保護絶縁膜134を成形して、側壁が第2の保護絶縁膜134により保護された配線溝136dを低誘電率膜114に形成する。このとき、エッチバックにより、ビアホール136a底部の第2の保護絶縁膜134も除去され、配線溝136d底面に下層銅配線106が露出される(図5(d))。また、エッチバック後もビアホール136a底部の第2の保護絶縁膜134が残っている場合、たとえばCFガス等を用いた異方性ドライエッチングまたは、Arイオン等を用いたスパッタリング法によりビアホール136a底部の第2の保護絶縁膜134を除去することができる。この後、図4を参照して説明したのと同様に、配線溝136d内に銅配線138を形成する。
【0036】
本実施の形態における半導体装置の製造方法によれば、配線溝形成時に、低誘電率膜114の配線溝側壁に生じる誘電率の高いダメージ層130をフッ化水素等を用いて除去し、ダメージ層130除去によりくびれた側壁部分に第2の保護絶縁膜134を形成して修復する。これにより、配線間容量の増大の原因となるダメージ層130を除去するとともに配線溝136dを溝寸法の制御性よく形成することができる。これにより半導体装置100の配線間容量の増加を抑制するとともに、溝寸法の規格を確保することができ、高速性能の維持が可能となる。
【0037】
(第2の実施の形態)
図6から図9は、本実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。本実施の形態において、低誘電率膜に、レンチファースト法でデュアルダマシン配線溝を形成する点で、第1の実施の形態と異なる。
【0038】
半導体装置100は、シリコン基板等の半導体基板である基板(不図示)上に、層間絶縁膜110が形成され、層間絶縁膜110中に下層銅配線106が形成された構造を有する。このような構成の半導体装置100において、層間絶縁膜110および下層銅配線106上に、エッチング阻止膜112、第1の低誘電率膜114a、エッチング阻止膜115、第2の低誘電率膜114b、および第1の保護絶縁膜116をこの順で形成する。
【0039】
第1の低誘電率膜114aおよび第2の低誘電率膜114bは、第1の実施の形態で説明した低誘電率膜114と同様の材料により構成することができる。また、第1の低誘電率膜114aと第2の低誘電率膜114bとは、同じ材料により構成してもよく、異なる材料により構成してもいずれでもよい。第1の低誘電率膜114aとしては、たとえばシリコン酸化膜よりも誘電率の低い、k=3.5以下の材料を用いることもできる。
【0040】
つづいて、第1の保護絶縁膜116上に反射防止膜(不図示)および配線溝形成用の開口パターン150aを有するレジスト膜150を形成する(図6(a))。ここで、配線溝形成用の開口パターン150aは、平面視で下層銅配線106と重なる位置に形成される。レジスト膜150は、フォトリソグラフィー法を用いて形成することができる。
【0041】
ついで、レジスト膜150をマスクとして反射防止膜および第1の保護絶縁膜116をエッチングして、第1の保護絶縁膜116に開口パターン116bを形成する。つづいて、第1の保護絶縁膜116等をマスクとして、第2の低誘電率膜114bをエッチングして第1の保護絶縁膜116および第2の低誘電率膜114bに第1の凹部136bを形成する(図6(b))。第2の低誘電率膜114bをエッチングする際のエッチングガスとしては、たとえばCFやC等のフルオロカーボンガスを用いることができ、さらに、Nガス、Oガス、Arガス等を添加することもできる。この後、レジスト膜150および反射防止膜をアッシングにより除去する。レジスト膜150等を除去するためのアッシングは、Oガス、COガス、N/Hガス、NHガス、He/Hガス等を用いて行うことができる。
【0042】
このとき、第2の低誘電率膜114bの側壁部分に、ダメージ層130が形成される(図6(c))。このようなダメージ層130が存在したままだと、ダメージ層130の吸湿により、ダメージ層130の実効k値が上昇して配線間容量が増加してしまうという問題がある。
【0043】
そこで、本実施の形態においても、フッ化水素等を用いてダメージ層130を除去する(図7(a))。これにより、第2の低誘電率膜114bには、くびれ部132が形成される。すなわち、第1の凹部136bの側面において、第1の保護絶縁膜116の端面は、第2の低誘電率膜114bの端面から突出した構造を有する。
【0044】
つづいて、基板上の全面に、CVD法により第2の保護絶縁膜134を形成し、第2の低誘電率膜114bの第1の凹部136bの側壁を第2の保護絶縁膜134で覆って第2の低誘電率膜114bに第2の凹部136cを形成する(図7(b))。これにより、ダメージ層130の除去により形成されたくびれ部132を第2の保護絶縁膜134で埋めることができる。
【0045】
本実施の形態においては、第2の保護絶縁膜134を構成する材料の種類が第1の実施の形態と異なる。本実施の形態において、第2の保護絶縁膜134は、後にビアホールを形成する際に用いるレジスト膜をアッシングで除去する際のOガス、COガス、N/Hガス、NHガス、He/Hガス等のガスへの耐性(プラズマ耐性)を有する材料により構成することができる。第2の保護絶縁膜134は、たとえば、SiO膜、SiOF膜、またはSiOH膜により構成することができる。
【0046】
この後、基板上の全面にレジスト膜152を形成し第2の凹部136cを埋め込む。次いで、フォトリソグラフィー法により、レジスト膜152にビアホール形成用開口部152aを形成する(図7(c))。ここで、ビアホール形成用開口部152aは、平面視で下層銅配線106と重なる位置に形成される。
【0047】
つづいて、レジスト膜152をマスクとして、第2の保護絶縁膜134、エッチング阻止膜115、および第1の低誘電率膜114aをエッチングして、第1の低誘電率膜114aに、ビアホール136aを形成する(図8(a))。第1の低誘電率膜114aをエッチングする際のエッチングガスとしては、たとえばCFやC等のフルオロカーボンガスを用いることができ、さらに、Nガス、Oガス、Arガス等を添加することもできる。
【0048】
ついで、レジスト膜152をアッシングにより除去する(図8(b))。レジスト膜152を除去するためのアッシングは、Oガス、COガス、N/Hガス、NHガス、He/Hガス等を用いて行うことができる。このとき、第2の凹部136cの側壁が露出する。しかし、本実施の形態において、第2の保護絶縁膜134が、レジスト膜152をアッシングで除去する際のガスへの耐性(プラズマ耐性)を有する材料により構成されている。第2の低誘電率膜114bがこのような第2の保護絶縁膜134で保護されているので、ダメージ層の形成を防ぐことができる。
【0049】
つづいて、エッチバックにより第2の保護絶縁膜134を成形して、第2の低誘電率膜114bに側壁が第2の保護絶縁膜134により保護された配線溝136dを形成する。このとき、異方性エッチングが行われるため、半導体装置100の積層方向の上面側に形成された第2の保護絶縁膜134は選択的に除去される。また、第1の保護絶縁膜116が第2の低誘電率膜114bよりも突出しているので、第1の保護絶縁膜116の側壁に形成された第2の保護絶縁膜134は除去されるが、第2の低誘電率膜114bの側壁に形成された第2の保護絶縁膜134は第1の保護絶縁膜116により保護され、エッチングされずに残る。これにより、第2の保護絶縁膜134が第2の低誘電率膜114bの側壁にのみ選択的に形成された構成とすることができる。
【0050】
本実施の形態において、配線溝136dにおいても、第1の保護絶縁膜116の開口パターンは、レジスト膜150の配線溝形成用の開口パターン150aと同じ形状が維持される。また、第2の保護絶縁膜134をエッチバックする際には、第1の保護絶縁膜116がマスクとなり、第1の保護絶縁膜116の下方に位置する第2の保護絶縁膜134は、そのまま残ることになる。そのため、配線溝136dの幅は、第1の保護絶縁膜116の開口パターンの幅と同じ、すなわちレジスト膜150の配線溝形成用の開口パターン150aの幅と同じになる。これにより、溝寸法の規格を確保することができる。
【0051】
その後、たとえばCFガス等を用いた異方性ドライエッチングまたは、Arイオン等を用いたスパッタリング法により、ビアホール136a底部のエッチング阻止膜112(ビアホール136a底部に第2の保護絶縁膜134が残っている場合は第2の保護絶縁膜134も)を除去し、ビアホール136a底面に下層銅配線106を露出させる(図8(c))。これにより、ビアホール136aおよび配線溝136dにより構成されるデュアルダマシン配線溝が形成される。
【0052】
ついで、バリアメタル膜140および銅膜142を形成してビアホール136aおよび配線溝136dを埋め込み、配線溝136d外部に露出したバリアメタル膜140および銅膜142をCMPで除去して、銅配線138を形成する(図9)。銅配線138は、下層銅配線106と電気的に接続されている。
【0053】
以上の手順により、配線溝136dの側面において、第1の保護絶縁膜116の端面は、第2の低誘電率膜114bの端面から突出した構造を有し、第2の低誘電率膜114bの側面の第1の保護絶縁膜116が突出した箇所の下方には、化学気相成長法により形成された第2の保護絶縁膜134が形成され、第2の保護絶縁膜134と第1の保護絶縁膜116とにより、配線溝136dの側壁が構成された半導体装置100が得られる。ここで、配線溝136dの側面において、第2の保護絶縁膜134の端面は、第1の保護絶縁膜116の端面と一致した構成とすることができる。
【0054】
本実施の形態における半導体装置の製造方法によれば、配線溝形成時に、第2の低誘電率膜114bの配線溝側壁に生じる誘電率の高いダメージ層130をフッ化水素等を用いて除去し、ダメージ層130除去によりくびれた側壁部分に第2の保護絶縁膜134を形成して修復する。これにより、配線間容量の増大の原因となるダメージ層130を除去するとともに配線溝136dを溝寸法の制御性よく形成することができる。これにより半導体装置100の配線間容量の増加を抑制するとともに、溝寸法の規格を確保することができ、高速性能の維持が可能となる。
【0055】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0056】
以上の実施の形態において、第1の実施の形態では、第2の実施の形態で説明したエッチング阻止膜115のような層間絶縁膜中に配線溝を形成する際のエッチング阻止膜を設けない構成を示した。しかし、第1の実施の形態において、低誘電率膜114にかえて、第2の実施の形態で説明した第1の低誘電率膜114a、エッチング阻止膜115、および第2の低誘電率膜114bの積層構造を用いることもできる。また、第2の実施の形態において、第1の低誘電率膜114a、エッチング阻止膜115、および第2の低誘電率膜114bの積層構造にかえて、第1の実施の形態で説明した低誘電率膜114を用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図3】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図4】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図5】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順の他の例を示す工程断面図である。
【図6】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図7】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図8】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図9】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【符号の説明】
【0058】
100 半導体装置
106 下層銅配線
110 層間絶縁膜
112 エッチング阻止膜
114 低誘電率膜
114a 第1の低誘電率膜
114b 第2の低誘電率膜
115 エッチング阻止膜
116 第1の保護絶縁膜
116a 開口パターン
116b 開口パターン
118 反射防止膜
120 レジスト膜
120a ビアホール形成用の開口パターン
122 有機膜
124 無機膜
126 反射防止膜
128 レジスト膜
128a 配線溝形成用の開口パターン
130 ダメージ層
132 くびれ部
134 第2の保護絶縁膜
136a ビアホール
136b 第1の凹部
136c 第2の凹部
136d 配線溝
138 銅配線
140 バリアメタル膜
142 銅膜
150 レジスト膜
150a 配線溝形成用の開口パターン
152 レジスト膜
152a ビアホール形成用開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成されるとともに炭素を含む低誘電率膜および当該低誘電率膜上に形成された第1の保護絶縁膜に配線溝を形成する工程を含む半導体装置の製造方法であって、
前記配線溝を形成する工程は、
前記第1の保護絶縁膜上に、配線溝形成用の開口パターンを有するレジスト膜を形成し、当該レジスト膜をマスクとして前記第1の保護絶縁膜および前記低誘電率膜内に第1の凹部を形成する工程と、
前記第1の凹部形成時に前記低誘電率膜の前記第1の凹部の側壁に形成されたダメージ層を除去する工程と、
前記基板上の全面に、化学気相成長法により第2の保護絶縁膜を形成し、前記第1の保護絶縁膜および前記低誘電率膜の前記第1の凹部の側壁を前記第2の保護絶縁膜で覆って前記第1の保護絶縁膜および前記低誘電率膜内に第2の凹部を形成する工程と、
前記配線溝が前記低誘電率膜の表面に前記第2の保護絶縁膜が選択的に形成された側壁を有するように、前記第2の保護絶縁膜をエッチバックして成形する工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記配線溝の側壁には、前記第1の保護絶縁膜と前記第2の保護絶縁膜が露出する半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記ダメージ層を除去する工程において、前記第1の凹部の側面において、前記第1の保護絶縁膜の端面は、前記低誘電率膜の端面から突出した構造を有し、
前記第2の保護絶縁膜をエッチバックして成形する工程において、前記第1の保護絶縁膜下方の領域に、前記第2の保護絶縁膜が埋め込まれた構造となっている半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1から3いずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の凹部を形成する工程は、前記第1の凹部を形成した後、前記レジスト膜をアッシングで除去する工程を含む半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1から4いずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記低誘電率膜は、SiOC膜またはSiOCH膜である半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1から5いずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記配線溝を形成する工程の前に、当該配線溝と連続して形成され、デュアルダマシン配線溝を構成するビアホールを形成する工程をさらに含み、
前記第2の保護絶縁膜は、比誘電率が前記低誘電率膜の比誘電率以下となるように構成された半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2の保護絶縁膜は、前記低誘電率膜を構成する材料と同じ材料により構成された半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1から5いずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記配線溝を形成する工程の後に、当該配線溝と連続して形成され、デュアルダマシン配線溝を構成するビアホールを形成する工程をさらに含み、
前記第2の保護絶縁膜は、SiO膜、SiOF膜、またはSiOH膜である半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項1から5いずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2の保護絶縁膜は、SiO膜、SiOF膜、SiOH膜、SiOC膜、またはSiOCH膜である半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1から9いずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記低誘電率膜は、前記基板上に形成された下層配線上に形成され、
前記配線溝を形成する工程において、前記配線溝を形成するとともに、前記下層配線を露出する半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項1から10いずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の保護絶縁膜は、SiO膜である半導体装置の製造方法。
【請求項12】
基板と、
前記基板上に形成されるとともに、炭素を含む低誘電率膜と、
前記低誘電率膜上に形成された第1の保護絶縁膜と、
前記第1の保護絶縁膜から前記低誘電率膜にわたって形成された配線溝と、
前記配線溝内に埋め込まれた配線と、
を含み、
前記配線溝の側面において、前記第1の保護絶縁膜の端面は、前記低誘電率膜の端面から突出した構造を有し、前記低誘電率膜の側面の前記第1の保護絶縁膜が突出した箇所の下方には、化学気相成長法により形成された第2の保護絶縁膜が形成され、当該第2の保護絶縁膜と前記第1の保護絶縁膜とにより、前記配線溝の側壁が構成された半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−109071(P2010−109071A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−278351(P2008−278351)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】