説明

半導体装置の製造方法

【課題】 アスペクト比の大きいコンタクトプラグにおいて、タングステン層等のプラグ用の下地導電層を形成した場合に、剥離による不良を低減することができる半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】 導電層2の上に形成された層間絶縁層3を有するシリコン基板1において、層間絶縁層3の上にコンタクトホール5を形成するためのマスクを形成するマスク形成工程と、層間絶縁層3をドライエッチング法によりコンタクトホール5を形成するコンタクトホール形成工程と、コンタクトホール5内に導電層6aを形成する導電層形成工程と、前記コンタクトホール内に導電層6aよりも低応力の低応力導電層6bを形成する低応力導電層形成工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に係り、より具体的には、半導体基板に形成される能動素子の電気的接続領域と電気配線、あるいは電気配線間との電気的接続を行うために層間絶縁層に形成されるコンタクトプラグの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多層配線を有する半導体装置において、上層配線と下層配線を電気的に接続するためにコンタクトプラグを形成する。コンタクトプラグは、上層配線と下層配線の間に形成されている層間絶縁層にコンタクトホールを形成し、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いてタングステン等の導電性材料を埋め込むようにして形成される。
【0003】
コンタクトプラグを形成するために、コンタクトホールにタングステンをCVD法で形成する場合、タングステンと層間絶縁層との密着性が良くないということ、タングステン層の応力が強いこと等の課題がある。その課題を解消するために、下地導電層として、TiやTiN等の導電層をスパッタリング法でタングステン層の形成前に形成している。すなわち、TiやTiNは密着層とバリア層を兼ねた層として形成される。
【0004】
しかし、近年半導体装置の微細化に伴い、コンタクトホールのアスペクト比(コンタクトホールの深さ/コンタクトホール径)が5以上で形成することが要求されている。アスペクト比が大きくなると、TiやTiNをコンタクトホールに均一に形成することが困難となる。すなわち、コンタクトホールが深くなるので、Ti粒子等がその底面まで届きにくくなり、また、コンタクトホールの底面付近の側壁にも付着しにくくなる。したがって、TiあるいはTiN等の下地導電層はコンタクトホール内で層厚が不均一に形成されやすくなる。
【0005】
特許文献1では、Ti/TiNの2層構造で下地導電層を形成しているが、タングステン層をCVD法で形成するときに、その反応ガスであるWF6がTiNが薄層化した部分において、Ti層と反応することで剥離が起こることを課題としている。その解決策として、アニール処理を行い、Ti層をTiN層にすることによって化学反応によって生じる下地導電層の剥離を防止している。
【0006】
【特許文献1】特開平8−181212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、タングステン層の形成時あるいは形成後に生じるTiあるいはTiN層の剥離の原因は特許文献1に挙げられた課題を回避するには、コンタクトホールに均一に下地導電層を形成できればよい。コンタクトホールの特に底面に、均一に下地導電層を形成するために、一例として以下の方法を用いている。スパッタリング法を行う際に、コンタクトホールが形成された半導体基板に交流バイアス(以下ACバイアスと称す)を印加し、金属粒子を半導体基板に引き寄せる。引き寄せられた金属粒子は、コンタクトホールの底面まで比較的容易に到達し、底面に所望の厚さの下地導電層を得ることができる。また、コンタクトホールの底面まで金属粒子が届くことにより、通常のスパッタリング法では形成しにくかった底面近傍の側壁にも下地導電層が形成される。
【0008】
しかし、ACバイアスを印加して形成された下地導電層は、その引力が層に残留する。下地導電層に残留した内部応力は、タングステン層が形成されたときに、その内部応力を開放することによりタングステン層とともに剥離する現象が起こりやすくなる。
【0009】
本発明の目的は、アスペクト比の大きいコンタクトプラグにおいて、タングステン層等のプラグ用の下地導電層を形成した場合に、剥離による不良を低減することができる半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、能動素子の電気的接続領域あるいは電気配線の上に形成された絶縁層を有する半導体基板の前記絶縁層の上にコンタクトホール形成用のマスクを形成するマスク形成工程と、前記絶縁層をドライエッチング法によりコンタクトホールを形成するコンタクトホール形成工程と、前記コンタクトホール内に導電層を形成する導電層形成工程と、前記コンタクトホール内に前記導電層よりも低応力の導電層を形成する低応力導電層形成工程とを有することを要旨とする。
この方法によれば、コンタクトホールに下地導電層として導電層と低応力導電層を形成する。低応力導電層を形成することにより、導電層の内部応力を低応力導電層で緩和させることができる。したがって、その後のコンタクトプラグ形成時あるいは形成後にプラグの剥離等による不良を低減することができる。
【0011】
また、本発明は、上記発明において前記導電層と前記低応力導電層は同じ材料で形成されていることを要旨とする。
この方法によれば、下地導電層を導電層と低応力導電層を同じ材料で形成することにより、同じ装置で形成条件を変更するだけでよい可能性が高い。したがって、コンタクトプラグの形成工程のスループットを下げることなく、下地導電層を導電層と低応力導電層の2層構造を形成することができる。したがって、プラグ剥離等による不良を低減することができる。
【0012】
また、本発明は、能動素子の電気的接続領域あるいは電気配線の上に形成された絶縁層を有する半導体基板の前記絶縁層の上にコンタクトホール形成用のマスクを形成するマスク形成工程と、前記絶縁層をドライエッチング法によりコンタクトホールを形成するコンタクトホール形成工程と、前記コンタクトホール内に第1の導電層を形成する第1導電層形成工程と、前記コンタクトホール内に前記第1導電層と同じ材料で、かつ前記第1導電層よりも低応力で導電層を形成する第1低応力導電層形成工程と、前記コンタクトホール内に第2の導電層を形成する第2導電層形成工程と、前記コンタクトホール内に前記第2導電層と同じ材料で、かつ前記第2導電層よりも低応力で導電層を形成する第2低応力導電層形成工程とを有することを要旨とする。
この方法によれば、コンタクトプラグ形成用の下地導電層を、第1導電層、第1低応力導電層、第2導電層及び第2低応力導電層と4層構造に形成する。これにより、第1導電層の内部応力は第1低応力導電層で緩和させることができ、第2導電層は第2低応力導電層で緩和させることができる。また、コンタクトプラグ形成用の下地導電層を、材料としては2層構造としているので、よりコンタクトプラグの密着性を高め、またよりバリア性の高い下地導電層を得ることができる。したがって、その後のコンタクトプラグ形成時あるいは形成後にプラグの剥離等による不良を低減することができる。
【0013】
また、本発明は、上記発明において前記導電層、前記第1導電層あるいは前記第2導電層は前記半導体基板に交流バイアスを印加したスパッタリング法で形成し、前記低応力導電層、前記第1低応力導電層あるいは前記第2応力導電層は前記交流バイアスを印加しないスパッタリング法で形成することを要旨とする。
この方法によれば、第1導電層あるいは第2導電層を、交流バイアスを半導体基板に印加するスパッタリング法を用いて形成するので、第1あるいは第2導電層の粒子が半導体基板に引き寄せられることにより、より確実にコンタクトホールの底面及びその側壁に第1導電層あるいは第2導電層を形成することができる。また、第1導電層あるいは第2導電層形成後に第1低応力導電層あるいは第2低応力導電層を、半導体基板にバイアスを印加せずにスパッタリング法で形成することにより、第1導電層あるいは第2導電層よりも低応力の導電層として形成することができる。したがって、第1導電層あるいは第2導電層の内部応力を第1低応力導電層あるいは第2低応力導電層で緩和させることができる。したがって、その後のコンタクトプラグ形成時あるいは形成後にプラグの剥離等による不良を低減することができる。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記コンタクトホール内を埋め込むようにコンタクトプラグ用導電層を形成するコンタクトプラグ用導電層形成工程とを有することを要旨とする。
この方法によれば、コンタクトプラグ形成用の導電層を上記のように形成することにより、コンタクトプラグ形成におけるプラグ剥離等の不良を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(第1実施形態)
本発明の最良の実施形態を図1から図4を用いて説明する。
【0016】
図1及び図2は、本実施形態での半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
図1(a)は、マスク形成工程を示している。半導体基板としてのシリコン基板1に導電層2が形成されている。導電層2は、能動素子の電気的接続領域、例えば、電界効果型トランジスタではソース部、ゲート部あるいはドレイン部等である。半導体基板1上には層間絶縁層3が形成されている。層間絶縁層3は酸化シリコン等で形成されており、その層厚は約1000nmである。
【0017】
層間絶縁層3上に、フォトレジスト4を回転塗布法により形成し、フォトリソグラフィ法により、前記フォトレジスト4をパターン形成する。フォトレジスト4の開口部4aは、少なくとも層間絶縁層3における導電層2の直上に位置する領域の一部を含むようにして形成される。開口部4aの開口径は約200nmである。このようにしてパターン形成されたフォトレジスト4がマスクとなる。
【0018】
なお、同図ではシリコン基板1に導電層2が形成されている例を示しているが、これに限らずシリコン基板1に形成された層間絶縁層3等の上に形成されている電気配線を導電層2としてもよい。すなわち、導電層としての電気配線2の上にさらに層間絶縁層3が形成されているシリコン基板1を用いてもよい。
【0019】
図1(b)は、コンタクトホール形成工程を示している。コンタクトホール5は、フォトレジスト4をマスクとしてドライエッチング法で形成する。ドライエッチング条件は、酸化シリコンとシリコンのエッチング比率を酸化シリコンがよりエッチングされるように高めた条件で行っている。しかし、より確実に導電層2の表面を露出させるため、所望のエッチング量でオーバーエッチングを行うため、導電層2が少しエッチングされる。したがって、コンタクトホール5の底面形状は凹状となる。
【0020】
図2(a)は、導電層形成工程を示している。導電層6aはスパッタリング法で形成される。導電層6aは、本実施形態ではTiを使用している。次に導電層6aのスパッタリング法を用いた形成方法を説明する。
【0021】
図3は、導電層形成工程で使用するスパッタリング装置の模式断面図である。本図ではスパッタリング装置11に備えられている反応チャンバ12について図示している。反応チャンバ12の上部側にはターゲット13が取り付けられている。本実施形態では、ターゲット13はTiターゲットを用いている。ターゲット13には、DCパワー印加部14が電気的に接続されている。ここで、DCとは直流電流のことである。また、同図において反応チャンバ12の中央の両端側にはRF(Radio Frequency)コイル15が備えられている。RFコイル15は円筒形状となっている。RFコイル15には、RFパワー印加部16が電気的に接続されている。反応チャンバ12の下部側には基板保持部17及びそれを支える保持台18が備えられている。基板保持部17には、下地導電層6を形成したいシリコン基板1が載置される。シリコン基板1は、静電チャックによって保持される。また、基板保持部17にはACバイアス印加部19が電気的に接続されている。ここで、ACとは交流電流のことである。なお、同図では図示していないが本スパッタリング装置には、反応チャンバ12を高真空にするクライオポンプ、スパッタ用のAr等の不活性ガスを供給するガスライン等が備えられている。
【0022】
このスパッタリング装置11を用いて、下地導電層6の形成を行う。ターゲット13にDCパワー印加部14によりDCパワーを印加する。これにより、ターゲット13をマイナス電位にする。また、反応チャンバ12にArガスを導入し、RFコイル15にRFパワー印加部16によりRFパワーを印加する。反応チャンバ12の中央部にRFパワーが印加され、その部分の領域にArプラズマ20が発生する。Arプラズマ20は、プラスの電荷を有するのでターゲットに高速で引き寄せられる。その結果、ターゲット13にArプラズマ20、あるいはプラズマ化の結果イオン化されたArイオンが衝突することにより、ターゲット13からTi粒子がたたき出される。たたき出されたTi粒子は、シリコン基板1に向かっていき、シリコン基板1上に付着する。一方、基板保持部17にはACバイアスをACバイアス印加部19により印加する。このとき、ACバイアスに印加するパワーは300Wである。これにより、基板保持部17を介してシリコン基板1に周期的に変化する電位が発生する。シリコン基板1がマイナス電位になったとき、Ti粒子がプラスに帯電しているときは、衝突によってたたき出されたときの運動エネルギーの他に静電引力により、シリコン基板1に強く引き寄せられる。Ti粒子がマイナスに帯電していても同様にシリコン基板1に引き寄せられる。なぜなら、シリコン基板1に発生する電位は周期的に変化するので、プラスの電位となる場合もあるからである。したがって、基板保持部17にACバイアスを印加することにより、Ti粒子がシリコン基板1に強く引き寄せられ、シリコン基板1に形成されているアスペクト比の大きいコンタクトホール5の底面及び底面付近の側壁までTi導電層6aを形成することができる。すなわち、コンタクトホール5におけるボトムカバレッジが良好なTi導電層6aを形成することができる。
【0023】
ただし、Ti粒子を静電引力により強く引き寄せながらTi導電層6aを形成するため、Ti導電層6aは所定の方向に配向する。配向したTi導電層6aは層内に内部応力を発生させる可能性が高い。また、Ti粒子をシリコン基板1に強く引き付けすぎるとシリコン基板1のコンタクトホール5及び形成中のTi導電層6aそのものもTi粒子の衝突時の加圧力を受ける結果、Ti導電層6aに内部応力が発生する可能性が高くなる。Ti導電層6aの内部応力は、後のコンタクトプラグを形成する際に、プラグの剥離等の不良として顕在化する可能性が高い。
【0024】
図2(b)は、低応力導電層形成工程を示している。低応力導電層6bは、本実施形態においては、Ti導電層6a上に、同じ材料で形成される。形成方法は、Ti導電層6aと同様のスパッタリング装置11で形成される。Ti低応力導電層6bの形成方法については大部分がTi導電層6aの形成方法と同様であるので、差異のあるところについて説明する。
【0025】
Ti低応力導電層6bの形成方法においては、Ti導電層6aの形成で行っていた基板保持部17へのACバイアスの印加を行わない。したがって、Arプラズマ20あるいはArイオンによってTiターゲット13からたたき出されたときの運動エネルギーのみを有するTi粒子がシリコン基板1に付着することによりTi低応力導電層6bが形成される。したがって、Ti低応力導電層6bは、コンタクトホール5に対するボトムカバレッジ性がTi導電層6aより劣るという欠点はあるが、ACバイアス印加によるTi導電層6aの内部応力の発生はほとんどなくなる。また、Ti導電層6aの内部応力をTi低応力導電層6bが緩和し、下地導電層6全体としては、コンタクトプラグの剥離が生じる可能性が低いところまで応力を低くすることができる。
【0026】
したがって、Ti導電層6aによって、コンタクトホール5に対するボトムカバレッジ性の高い層を形成することができ、かつ、Ti低応力導電層6bによって、Ti導電層6aの内部応力を緩和することにより、コンタクトプラグ剥離不良を低減できる下地導電層6を得ることができる。また、同じTiでTi導電層6aとTi低応力導電層6bを形成するので、スパッタリング装置11を用いて同じ工程で形成できる。すなわち、Ti導電層6aとTi低応力導電層6bは、スパッタリング装置11において、基板保持部17にACバイアスの印加の有無のみで形成することができる。したがって、下地導電層6の形成工程のスループットは、従来の形成工程とほぼ同じにすることができる。
【0027】
図4は、コンタクトプラグ用導電層形成工程を示している。コンタクトプラグ用導電層8は、タングステンで形成され、その形成はPECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)法により行われる。タングステン層8が下地導電層6が形成されたコンタクトホール5内に形成されることにより、所望のコンタクトプラグを得ることができる。すなわち、タングステン層8の剥離等による不良を低減することができる構造のコンタクトプラグを得ることができる。
【0028】
第1実施形態の効果を以下に記載する。
(1)コンタクトホール5に下地導電層6としてTi導電層6aとTi低応力導電層6bを形成する。Ti低応力導電層6bを形成することにより、Ti導電層6aの内部応力をTi低応力導電層6bで緩和させることができる。したがって、その後のコンタクトプラグ形成時あるいは形成後にプラグの剥離等による不良を低減することができる。
(2)下地導電層6を導電層6aと低応力導電層6bを同じTiで形成することにより、同じスパッタリング装置11で形成条件を変更するだけでよい。したがって、コンタクトプラグの形成工程のスループットを下げることなく、下地導電層6をTi導電層6aとTi低応力導電層6bの2層構造を形成することができる。したがって、プラグ剥離等による不良を低減することができる。
(3)Ti導電層6aを、ACバイアスをシリコン基板1に印加するスパッタリング法を用いて形成するので、Ti導電層6aの粒子がシリコン基板1に引き寄せられることにより、より確実にコンタクトホール5に対するボトムカバレッジが良好なTi導電層6aを形成することができる。また、Ti導電層6aの形成後にTi低応力導電層6bを、シリコン基板1にACバイアスを印加せずにスパッタリング法で形成することにより、Ti導電層6aよりも低応力の導電層として形成することができる。したがって、Ti導電層6aの内部応力をTi低応力導電層6bで緩和させることができる。したがって、その後のコンタクトプラグ形成時あるいは形成後でのプラグの剥離等による不良を低減することができる。
【0029】
(第2実施形態)
本実施形態を、図5を用いて説明する。
本実施形態と第1実施形態の差異は下地導電層6の構造である。すなわち、本実施形態においては、下地導電層6が4層構造となっている。下地導電層6には、第1導電層6a、第1低応力導電層6b、第2導電層7a及び第2低応力導電層7bで構成されている。第1導電層6a及び第1低応力導電層6bはTiで形成されている。第2導電層7a及び第2低応力導電層7bはTiNで形成されている。ここで、下地導電層6としてのTiNの性質は、Tiと比べて密着性に劣るがバリア性に優れている。したがって、本実施形態のようにコンタクトホール5、すなわちシリコン基板1と密着性の高いTiを先に形成し、下地導電層6の表層にはバリア性の高いTiNを形成することにより、下地導電層6は密着性かつバリア性に優れたものとなる。
【0030】
Tiからなる第1導電層6a及び第1低応力導電層6bの形成方法は、第1実施形態と同様であるので、ここではTiNからなる第2導電層7a及び第2低応力導電層7bの形成方法について説明する。
【0031】
第2導電層7a及び第2低応力導電層7bに用いられるTiNは反応性スパッタリング法で、第1実施形態と同様のスパッタリング装置11で形成される。スパッタリング装置11の反応チャンバ12内にArガスの他にN2ガスを導入する。Ti粒子とN2ガスはシリコン基板1の表面で反応しTiNとなる。
【0032】
第2導電層7aは、第1導電層6aと同じように基板保持部17にACバイアスを印加することにより、Ti粒子をシリコン基板1に引き寄せるようにする。なお、このとき、ACバイアスに印加するパワーは100Wである。これにより、第2導電層7aはコンタクトホール5に対してボトムカバレッジが良好な層となる。しかし、第2導電層7aにおいても、第1導電層6aと同様に内部応力が発生する。第2低応力導電層7bは、第1低応力導電層6bと同様にACバイアスを基板保持部17に印加しないで反応性スパッタリングを行うことにより形成される。第2低応力導電層7bは、第2導電層7aの内部応力を緩和する。
【0033】
したがって、下地導電層6を、第1導電層6a、第1低応力導電層6b、第2導電層7a及び第2低応力導電層7bと4層構造に形成することにより、第1導電層の内部応力は第1低応力導電層で緩和させることができ、第2導電層は第2低応力導電層で緩和させることができる。
【0034】
また、コンタクトプラグ形成用の下地導電層6を、Ti/TiNの2層構造としているので、よりコンタクトプラグの密着性を高め、またよりバリア性の高い下地導電層6を得ることができる。したがって、その後のコンタクトプラグ形成時あるいは形成後にプラグの剥離等による不良を低減することができる。
【0035】
本実施形態においても第1実施形態と同様の効果(1)〜(3)が得られる。さらに以下の効果も得られる。
(4)コンタクトプラグ形成用の下地導電層6を、Tiからなる第1導電層6a及び第1低応力導電層6bと、TiNからなる第2導電層7a及び第2低応力導電層7bと4層構造に形成する。これにより、第1導電層6aの内部応力は第1低応力導電層6bで緩和させることができ、第2導電層7aは第2低応力導電層7bで緩和させることができる。
(5)コンタクトプラグ形成用の下地導電層6を、Ti/TiNの2層構造としているので、よりコンタクトプラグの密着性を高め、またよりバリア性の高い下地導電層6を得ることができる。したがって、その後のコンタクトプラグ形成時あるいは形成後にプラグの剥離等による不良を低減することができる。
【0036】
本発明の実施形態は上記に限らず、以下のように変形してもよい。
(変形例1)本実施形態では低応力導電層6bは、導電層6aと同じ材料で形成したが、導電層6aの内部応力を緩和し、かつコンタクトプラグ形成用の下地導電層として機能する材料であれば、導電層6aと異なる材料で形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】(a)及び(b)は第1実施形態での半導体装置の製造を示す工程断面図。
【図2】(a)及び(b)は第1実施形態での半導体装置の製造を示す工程断面図。
【図3】スパッタリング装置の断面模式図。
【図4】半導体装置の断面模式図。
【図5】第2実施形態で製造される半導体装置の断面模式図。
【符号の説明】
【0038】
1…半導体基板としてのシリコン基板、2…導電層、3…層間絶縁層、4…フォトレジスト、5…コンタクトホール、6…下地導電層、6a…導電層あるいは第1導電層、6b…低応力導電層あるいは第1低応力導電層、7a…第2導電層、7b…第2低応力導電層、8…コンタクトプラグ用導電層、11…スパッタリング装置、12…反応チャンバ、13…ターゲット、14…DCパワー印加部、15…RFコイル、16…RFパワー印加部、17…基板保持部、18…保持台、19…ACバイアス印加部、20…プラズマ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
能動素子の電気的接続領域あるいは電気配線の上に形成された絶縁層を有する半導体基板の前記絶縁層の上にコンタクトホール形成用のマスクを形成するマスク形成工程と、
前記絶縁層にドライエッチング法によりコンタクトホールを形成するコンタクトホール形成工程と、
前記コンタクトホール内に導電層を形成する導電層形成工程と、
前記コンタクトホール内に前記導電層よりも低応力の導電層を形成する低応力導電層形成工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記導電層と前記低応力導電層は同じ材料で形成されている半導体装置の製造方法。
【請求項3】
能動素子の電気的接続領域あるいは電気配線の上に形成された絶縁層を有する半導体基板の前記絶縁層の上にコンタクトホール形成用のマスクを形成するマスク形成工程と、
前記絶縁層にドライエッチング法によりコンタクトホールを形成するコンタクトホール形成工程と、
前記コンタクトホール内に第1の導電層を形成する第1導電層形成工程と、
前記コンタクトホール内に前記第1導電層と同じ材料で、かつ前記第1導電層よりも低応力で導電層を形成する第1低応力導電層形成工程と、
前記コンタクトホール内に第2の導電層を形成する第2導電層形成工程と、
前記コンタクトホール内に前記第2導電層と同じ材料で、かつ前記第2導電層よりも低応力で導電層を形成する第2低応力導電層形成工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記導電層、前記第1導電層あるいは前記第2導電層は前記半導体基板に交流バイアスを印加したスパッタリング法で形成し、
前記低応力導電層、前記第1低応力導電層あるいは前記第2応力導電層は前記交流バイアスを印加しないスパッタリング法で形成する半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記コンタクトホール内を埋め込むようにコンタクトプラグ用導電層を形成するコンタクトプラグ用導電層形成工程と、
を有する半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−5079(P2006−5079A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178384(P2004−178384)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】