説明

半導体装置の製造方法

【課題】下層導電体と上層導電体とを接続する低抵抗のコンタクトを安定して形成する。
【解決手段】コンタクト孔17が形成されたシリコン酸化膜15上にチタン膜19を形成し、当該状態でコンタクト孔17の底部に露出したポリシリコンプラグ13の表面の自然酸化膜18をスパッタエッチングにより除去する。このとき、シリコン絶縁膜15の上面はチタン膜19で被覆されているためシリコン酸化膜15のスパッタエッチングが防止される。したがって、コンタクト孔17底部にスパッタエッチされたシリコン酸化膜が再付着することが防止され、低抵抗で抵抗ばらつきの小さいコンタクトを安定して製造することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下層導電体と上層導電体とを接続するコンタクトを備えた半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等のメモリ回路とロジック回路とが混載された半導体装置では、集積度の向上のため高アスペクト比(該して3以上)のコンタクトが採用されている。特に、DRAMメモリセルのコンタクトには電気特性向上のため、ポリシリコンからなるコンタクトプラグ(以下、ポリシリコンプラグという。)とタングステンからなるコンタクトプラグ(以下、タングステンプラグという。)とを積層した構造のコンタクトが用いられている。
【0003】
図6は、このようなコンタクト構造の形成過程を示す工程断面図である。図6(a)に示すように、まず、シリコン基板51上に、シリコン酸化膜等からなる絶縁膜52にポリシリコンプラグ53が埋設された構造の下部構造が公知の微細加工技術により形成される。当該下部構造上には、後述のコンタクト孔を形成するドライエッチングの際にストッパ膜として機能するシリコン窒化膜等からなる絶縁膜54が堆積される。絶縁膜54上には、シリコン酸化膜等の絶縁膜55が層間絶縁膜として堆積される。
【0004】
次に、絶縁膜55上に、コンタクト孔形成位置に開口部56aを有するレジストパターン56がフォトリソグラフィ等により形成され、レジストパターン56をエッチングマスクとしたドライエッチングが行われる。当該エッチングにより、絶縁膜55と絶縁膜54が順に除去され、図6(b)に示すように、底部にポリシリコンプラグ53が露出されたコンタクト孔57が形成される。
【0005】
コンタクト孔57の形成が完了すると、レジストパターン56が除去され、次いで、絶縁膜55上のレジスト残渣や上記エッチングの際にコンタクト孔57の内部に付着した有機物を除去するための洗浄が行われる。当該洗浄には、例えば、硫酸を含む洗浄液が使用される。このようなレジスト除去や洗浄の過程で、コンタクト孔57底部に露出しているポリシリコンプラグ53の露出面には、自然酸化膜58が形成される(図6(c))。
【0006】
続いて、アルゴンガスを使用した逆スパッタ法により自然酸化膜58の除去処理(図6(d))が行われた後、タングステンプラグの密着層であるチタン膜60が全面に成膜される。なお、逆スパッタ法とは、スパッタ成膜装置内で基板をスパッタエッチングするエッチング法を指す。
【0007】
自然酸化膜58の除去後にポリシリコンプラグ53に自然酸化膜が再度形成されることがないように、自然酸化膜除去とチタン膜形成とは、例えば、同一の真空処理室内で連続して行われる。そして、チタン膜60上にタングステン膜61が堆積されるとともに、コンタクト孔57以外の部位に堆積したチタン膜60及びタングステン膜61が除去され、図6(e)に示すチタン膜60とタングステン膜61からなるコンタクトが完成する(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−324861号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、近年の高アスペクト比のコンタクトを形成する場合、従来のコンタクトプラグ形成方法では、図6(d)に示した酸化膜除去工程の逆スパッタ法において、処理時間が増大する傾向にある。この現象は、大きな運動エネルギーを有するアルゴンイオンがコンタクト孔57の底面に到達しにくくなることに起因する。
【0009】
基板に入射するアルゴンイオンは、最表面(絶縁膜55の表面)では大きな運動エネルギーを有している。しかしながら、コンタクト孔57の内部に入射したアルゴンイオンは、側壁への衝突によりエネルギーが減少してしまう。このため、アスペクト比が高くなるにつれてコンタクト孔57の底部の酸化膜除去性が低下するのである。このため、高アスペクト比のコンタクト孔底部の自然酸化膜58を除去する場合、十分なエッチング量を確保するために長時間の処理が必要となる。
【0010】
処理時間が長くなると、基板の最表面に入射するアルゴンイオンは大きなエネルギーを有しているため、コンタクト孔上部57aがエッチングされやすくなる。この結果、コンタクト孔57の底部には、コンタクト上部57aでスパッタエッチングされたシリコン酸化膜59が再付着する。このような再付着が発生すると、自然酸化膜58の除去が阻害され、ポリシリコンプラグ53の表面に自然酸化膜58が残留してしまう。
【0011】
このように、完全に除去されずに残留した自然酸化膜58や再付着したシリコン酸化膜59は、コンタクト孔57の底部でのチタン膜60とポリシリコンプラグ53とのシリサイド反応を阻害する。このため、従来のコンタク形成方法では、コンタクト抵抗が増大し、抵抗ばらつきが大きくなるという問題が発生する。
【0012】
本発明は、上記従来の事情を鑑みて提案されたものであって、低抵抗のコンタクトを安定して形成することができる半導体装置の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用している。まず、本発明は、下層導電体と上層導電体とを接続するコンタクトを備えた半導体装置の製造方法を前提としている。そして、本発明による半導体装置の製造方法では、まず、下層導電体を被覆する絶縁膜が形成され、当該絶縁膜に下層導電体に到達するコンタクト孔が形成される。次いで、第1の金属膜が上記絶縁膜上に形成され、当該状態でコンタクト孔底部に露出した下層導電体のエッチングが行われる。このエッチング工程と連続して、コンタクト孔に第2の金属膜が形成される。
【0014】
本構成によれば、コンタクト抵抗を増大させる要因となる自然酸化膜等の下層導電体表面のコンタクト阻害物をエッチング除去する際に、コンタクト孔上部の絶縁膜がエッチングされない。したがって、エッチングされた絶縁膜がコンタクト底部に再付着することがなく、下層導電体表面のコンタクト阻害物を確実に除去することができる。これにより、低抵抗でかつ抵抗ばらつきが抑制された安定したコンタクトの製造を行うことができる。
【0015】
本構成は、下層導電体のエッチング時間が比較的長くなる高アスペクト比(3以上)のコンタクト孔を形成する場合に特に有効である。また、下層導電体の主成分がシリコンである場合、従来法からの改善が著しい。
【0016】
上記第1の金属膜形成は、例えば、スパッタ法により実施することができる。また、第1の金属膜は、例えば、成膜が行われる成膜室内の圧力が5Pa〜100Paである等の、コンタクト孔底部に実質的に堆積されない条件下で形成することが好ましい。さらに、第1の金属膜は、下層導電体表面のエッチングの直前に形成されることが好ましい。なお、上記絶縁膜上面に残存する第1の金属膜は、上記第2の金属膜形成後に、上記コンタクト孔以外の領域に堆積した不要な第2の金属膜とともに除去することができる。また、第1の金属膜には、チタン等の高融点金属を含有する金属膜を使用することができる。
【0017】
また、上記下層導電体のエッチングは、例えば、逆スパッタ法により実施することができる。なお、第1の金属膜形成、下層導電体のエッチング、及び第2の金属膜形成は、真空下で連続して行うことも可能である。これにより、下層導電体表面のコンタクト阻害物を確実に除去することができる。
【0018】
さらに、第1の金属膜の膜厚a、及び下層導電体エッチングの際のコンタクト孔底部のエッチング量Teは、下層導電体表面の除去対象膜厚、すなわち、コンタクト阻害物の膜厚Toに対してTo≦Te≦aの条件を満足するように設定することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明よれば、例えば、ポリシリコンプラグ上にタングステンプラグを形成する場合等に、コンタクト孔底部に表面酸化膜残りや絶縁膜の再付着が発生することを確実に防止することができる。このため、コンタクト孔底部において、シリサイド反応が阻害されることなく進行し、コンタクト抵抗のばらつきを抑制することができる。したがって、低抵抗のコンタクトを極めて安定して形成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、本発明を、ポリシリコンプラグとタングステンプラグとが積層された構造を有するコンタクトを備えた半導体装置の製造に適用している。図1及び図2は、当該半導体装置の製造過程を示す工程断面図である。
【0021】
図1(a)に示すように、まず、シリコン等からなる半導体基板11上に、BPSG(Boro-Phospho Silicate glass)等のシリコン酸化膜からなる絶縁膜12にポリシリコンプラグ13が埋設された下部構造が形成される。このような構造は、コンタクト孔が形成された絶縁膜12上にポリシリコンをCVD(Chemical Vapor Deposition)法等により堆積し、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法等により、上面を平坦化することにより形成することができる。当該下部構造上には、シリコン窒化膜からなる絶縁膜14及びBPSGからなる絶縁膜15が堆積される。ここで、絶縁膜14は、後述のコンタクト孔を形成するドライエッチングの際にストッパ膜として機能する。
【0022】
次に、図1(b)に示すように、絶縁膜15上に、コンタクト孔形成位置に開口部16aを有するレジストパターン16がフォトリソグラフィ等により形成される。当該レジストパターン16をエッチングマスクとして、絶縁膜15及び絶縁膜14が順にエッチングされ、図1(c)に示すように、シリコンプラグ13に到達するコンタクト孔17が形成される。当該エッチングは、プラズマエッチング等のドライエッチングにより行うことができる。なお、図1(c)は、コンタクト孔17の形成後に、アッシングや有機洗浄等によりレジストパターン16が除去された状態を示している。
【0023】
続いて、絶縁膜15上のレジスト残渣やコンタクト孔17内に残留する有機物等を除去するための洗浄が行われる。当該洗浄は、例えば、硫酸を含む洗浄液(SPM:Sulfuric acid-hydrogen Peroxide Mixture等)が使用される。このようなレジスト除去や洗浄、並びに、洗浄後に半導体基板11が大気にさらされること等により、コンタクト孔17の底部に露出しているポリシリコンプラグ13には図1(d)に示すように、自然酸化膜18が1〜2nm程度成長する。
【0024】
さて、本実施形態では、続いて、コンタクト孔17が形成された絶縁膜15上に、チタン膜からなる犠牲層19(第1の金属膜)が形成される(図2(a))。当該犠牲層19は、スパッタ法等により形成することができる。スパッタ法を用いる場合、犠牲層19は、チタンターゲットが配置された内部圧力が30Pa程度の成膜室内で、40kWのDCパワー及び300WのRF(Radio Frequency)パワーを印加することにより形成することができる。なお、半導体基板11の基板温度は350℃程度にすればよい。
【0025】
このような成膜条件は、犠牲層19がコンタクト孔17の底部に実質的に堆積することがない条件である。図3に、スパッタ成膜装置においてチタン膜を堆積した場合の、コンタクト孔17に堆積するチタン膜の膜厚と成膜室内の圧力との関係を示す。なお、ここでは、プロセスガスとしてアルゴンガスを使用しているため、成膜室の圧力はアルゴンの圧力である。また、図3は、アスペクト比が5(径200nm、深さ1000nm)であるコンタクト孔17により取得したデータである。
【0026】
図3より、コンタクト孔17底部のチタン膜厚は成膜室圧力の上昇に伴って減少し、高圧力域では膜厚をほぼゼロになることが理解できる。これは、高圧力域ではターゲットからスパッタリングされたチタン原子の平均自由行程が短く、コンタクト孔17の底部に到達するチタン原子が減少することに起因する。したがって、このような高圧域でチタン膜の成膜を行うことにより、図2(a)に示すように、コンタクト孔17の底部にチタン膜を堆積させることなく絶縁膜15の上面及びコンタクト孔17上部の内壁にチタン膜を堆積することが可能となる。なお、コンタクト孔17底部に堆積したチタン膜は、後述の自然酸化膜除去を阻害する要因になるためできるだけ小さいことが好ましい。図3に示した圧力依存性は、コンタクト孔17の構造(アスペクト比)によって異なるため一概に言えないが、図3の事例では、25Pa以上の高圧力域で成膜を行うことが望ましい。
【0027】
以上のようにして犠牲層19が形成された後、図2(b)に示すように、自然酸化膜18が逆スパッタ法により除去される。当該自然酸化膜18の除去は、上記犠牲層19を堆積したスパッタ成膜装置の成膜室内でプロセスガスとしてアルゴンガスを使用して行うことができる。上述のように、本実施形態では、絶縁膜15の上面及びコンタクト孔17上部の内壁がチタン膜からなる犠牲層19で被覆されているため、自然酸化膜18の除去処理中に絶縁膜15がスパッタエッチングされない。したがって、犠牲層19がスパッタエッチングされて完全に除去されない限り、コンタクト孔17の底部への絶縁膜15の再付着が防止される。
【0028】
図4は、逆スパッタ量(スパッタエッチング量)とコンタクト孔17底部のシリコン酸化膜厚との関係を示す図である。図4に示すように、コンタクト孔17底部のシリコン酸化膜厚は、逆スパッタ量の増加に伴って減少し、ゼロ(コンタクト孔17の底部に酸化膜がない状態)になる。しかしながら、さらに逆スパッタ量を増加させるとコンタクト孔17の底部のシリコン酸化膜量は、逆スパッタ量に伴って増加するようになる。なお、逆スパッタ量が小さい領域のシリコン酸化膜は、完全に除去されずにコンタクト孔17の底部に残留した自然酸化膜18である。また、逆スパッタ量が大きい領域のシリコン酸化膜は、犠牲層19が全てスパッタエッチングされたためにエッチングされ再付着した絶縁膜15である。
【0029】
以上のように、犠牲層19の膜厚と逆スパッタ量を制御することにより、自然酸化膜18を完全に除去することが可能となる。ここで、犠牲層19の膜厚をa、逆スパッタ量をTeとすると、Te≦aであれば逆スパッタ処理中に犠牲層19が完全にエッチング除去されることがない。そして、この逆スパッタ量により、コンタクト孔17の底部の自然酸化膜18が除去できればよい。
【0030】
厳密に言えば、コンタクト孔17の底部には、自然酸化膜18の他に、犠牲層19の成膜時に堆積したチタンと逆スパッタ処理によりスパッタエッチングされ再付着したチタンが存在している。したがって、自然酸化膜18の膜厚をTo、犠牲層19の成膜時にコンタクト孔17の底部に堆積したチタンの膜厚をb、逆スパッタ処理中にコンタクト孔17の底部に再付着するチタンの膜厚をcとすると、Te≧To+b+cであれば逆スパッタ処理中に自然酸化膜18が完全に除去される。
【0031】
しかしながら、チタンは高硬度であり逆スパッタリングレートが小さいため、逆スパッタ処理中にコンタクト孔17の底部に到達するチタンは微量である。また、図3に示したように、犠牲層19の成膜時にコンタクト孔17の底部に到達するチタンはほぼゼロにすることができる。加えて、チタンは自然酸化膜に対して還元除去作用を有しており、自然酸化膜18を分解してチタン中に酸素を取り込むこと、さらにチタン及びチタンの反応物は導電性であることから、微量のチタンであれば、実質的なコンタクト孔17底部への堆積膜厚はゼロと看做すことができる。つまり、コンタクト孔17底部の逆スパッタ量(エッチング量)Te及び犠牲層19の膜厚aは、TO≦Te≦aの条件を満足する値であればよい。例えば、アスペクト比が5(径200nm、深さ1000nm)であるコンタクト孔17の底部に形成された1〜2nmの自然酸化膜18を除去する場合には、犠牲層19の膜厚は10nm程度とすればよい。
【0032】
以上のようにして、自然酸化膜18の除去が完了すると、タングステンプラグの密着層20であるチタン膜が全面に成膜される。当該密着層20の形成は、逆スパッタ後にウエット洗浄を経ずに自然酸化膜18の除去を行ったスパッタ成膜装置の成膜室内で真空保持したまま連続して行われる。このため、自然酸化膜18が除去されたポリシリコンプラグ13上に自然酸化膜が再度形成されることはない。さらに言えば、本実施形態では、犠牲層19がチタン膜であるため、犠牲層19の形成、自然酸化膜18の除去、密着層20(第2の金属膜)の形成を、同一のスパッタ成膜装置の成膜室内で真空保持したまま連続して行うことができる。
【0033】
この後、図2(c)に示すように、密着層20上にコンタクトプラグの主部となる金属膜21であるタングステンが、例えば、六フッ化タングステンを原料ガスとしたCVD法により堆積され、コンタクト孔17が充填される。そして、コンタクト孔17以外の部位に堆積した密着層20及び金属膜21がCMP法やエッチバック等により除去され、図2(d)に示す密着層20と金属膜21からなるコンタクト構造が完成する。なお、上記逆スパッタ処理において、コンタクト孔17の内壁に残存した犠牲層19は密着層20として機能し、絶縁膜15の上部に残存した犠牲層19は、不要な密着層20とともに除去されることはいうまでもない。また、コンタクト上には、公知の手法により上層導電体が形成される。
【0034】
図5に、本実施形態により形成したポリシリコンプラグとタングステンプラグとが積層されたコンタクトと、従来法により形成したコンタクトの抵抗(コンタクト抵抗)の累積度数分布を示す。図5より、本発明により形成されたコンタクトは、従来に比べて低抵抗、かつ、抵抗ばらつきの小さいことが理解できる。
【0035】
以上説明したように、本発明によれば、コンタクト孔上部がスパッタエッチングされることを確実に防止することができるため、コンタクト孔底部への絶縁膜(シリコン酸化膜)の再付着を確実に防止することができる。したがって、例えば、ポリシリコンプラグとタングステンプラグが積層された構造を有する高アスペクト比のコンタクトを形成する際であっても、両プラグの接合部にシリコン酸化膜が残留することがない。したがって、ポリシリコンプラグとタングステンプラグとの接合部におけるシリサイド反応が阻害されないため、低抵抗かつ抵抗ばらつきの小さいコンタクトを形成することができる。すなわち、高アスペクト比のコンタクトを安定して形成することが可能となる。
【0036】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲において、種々の変形及び応用が可能である。例えば、上記実施形態では、ポリシリコンプラグとタングステンプラグとが積層された構造を有するコンタクトの事例を説明したが、コンタクト孔の底部においてシリサイド化により低抵抗を実現する観点では、下層導電膜は、ポリシリコンに限らず、アモルファスシリコン、単結晶シリコン等のシリコンを主成分とする材料であってもよい。同様に密着層材料は、チタンに限るものではなく窒化チタンや他の高融点金属材料であってもよい。また、本発明は、シリコン基板に直接接続される積層構造を有しないコンタクトにも適用可能である。
【0037】
さらに、本発明は、逆スパッタ法により下層導電体のエッチングを行うため、下層導電体の表面に存在するコンタクト阻害物は、その材質に関わらず除去することができる。すなわち、本発明は、下層導電体や絶縁膜の材質に制限されることなく、コンタクト孔を備える全ての半導体装置の製造に適用でき、低抵抗で抵抗ばらつきの小さいコンタクトを形成することができる。
【0038】
加えて、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、上記説明したリソグラフィ、成膜、エッチング等のプロセスは、他の等価なプロセスに置換することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、低抵抗でばらつきの小さいコンタクトを安定して形成できるという効果を有し、コンタクトを備えた半導体装置の製造方法として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態のコンタクトプラグ形成過程を示す工程断面図
【図2】本発明の一実施形態のコンタクトプラグ形成過程を示す工程断面図
【図3】犠牲層成膜時の圧力とコンタクト孔底部における犠牲層膜厚との関係を示す図
【図4】逆スパッタ量とコンタクト孔底部におけるシリコン酸化膜厚との関係を示す図
【図5】本発明により形成されたコンタクトプラグのコンタクト抵抗を示す図
【図6】従来のコンタクトプラグ形成過程を示す工程断面図
【符号の説明】
【0041】
11 半導体基板
12 絶縁膜
13 ポリシリコンプラグ(下層導電体)
15 絶縁膜
16 レジストパターン
17 コンタクト孔
18 自然酸化膜(コンタクト阻害物)
19 犠牲層(第1の金属膜)
20 密着層(第2の金属膜)
21 タングステンプラグ
51 半導体基板
53 ポリシリコンプラグ
55 絶縁膜
56 レジストパターン
57 コンタクト孔
58 自然酸化膜
59 シリコン酸化膜(再付着した絶縁膜)
61 タングステンプラグ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下層導電体と上層導電体とを接続するコンタクトを備えた半導体装置の製造方法において、
下層導電体を被覆する絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜に前記下層導電体に到達するコンタクト孔を形成する工程と、
前記コンタクト孔が形成された前記絶縁膜上に第1の金属膜を形成する工程と、
前記コンタクト孔の底部に露出した下層導電体をエッチングする工程と、
前記エッチング工程と連続して、前記コンタクト孔に第2の金属膜を形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記コンタクト孔のアスペクト比が3以上である請求項1記載の半導体装置の製造方法
【請求項3】
前記下層導電体の主成分がシリコンである請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1の金属膜がスパッタ法により形成される請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1の金属膜は、前記コンタクト孔底部に実質的に堆積されない条件下で形成される請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記条件は、成膜が行われる成膜室内の圧力が5Pa〜100Paである請求項5記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1の金属膜が前記下層導電体のエッチングの直前に形成される請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1の金属膜は、前記第2の金属膜形成後に、前記コンタクト孔以外の領域に堆積した不要な第2の金属膜とともに除去される請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1の金属膜がチタンを含有する請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記前記下層導電体のエッチングが逆スパッタ法により行われる請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1の金属膜形成、前記下層導電体のエッチング、及び、前記第2の金属膜形成は、真空下で連続して行われる請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記第1の金属膜の膜厚aと、前記下層導電体表面の除去対象膜厚Toと、前記下層導電体をエッチングする際のエッチング量Teとが、To≦Te≦aの条件を満足する請求項1記載の半導体装置の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−142213(P2007−142213A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−334801(P2005−334801)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】