説明

半導体装置の製造方法

【課題】本発明は、被加工膜の加工形状の悪化やパターンの荒れを低減し、設計デザインに対し忠実で、且つデュアルダマシン工程等にも適用可能な半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】被加工膜2上に、膜の塗布、加熱硬化を行うことで、少なくとも1以上の膜よりなる加工用マスク層(下層有機膜3及び中間層5)を形成し、加工用マスク層のうち少なくとも1つの膜に対しハードニング処理を行う加工用マスク層形成工程と、加工用マスク層上に露光用レジスト膜を塗布し、露光現像することでレジストパターン6を形成し、当該レジストパターン6をマスクに加工用マスク層をエッチングする加工用マスク層エッチング工程と、加工用マスク層エッチング工程で形成された、加工用マスク層のパターンをマスクに被加工膜2をエッチングする被加工膜エッチング工程とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に係る発明であって、特に、多層膜を用いて被加工膜に所定のパターンを形成する半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の微細化と高精度化に伴い、その製造プロセスにおける微細加工工程では、リソグラフィによる微細レジストパターンの高精度形成と、レジストパターンをエッチングマスクとした被加工膜への精密ドライエッチングとを両立させることが、重要な技術開発課題となっている。
【0003】
リソグラフィ工程による微細レジストパターンの高精度形成には、主に以下の3つの制約がある。まず、1つ目に、解像性向上、パターン倒壊防止のために、レジスト膜厚をできる限り薄膜化する必要がある。2つ目に、レジスト材料の解像性を向上させるために、プラズマドライエッチング耐性を犠牲にする必要がある。3つ目に、高精度に微細パターンを形成するために、基板反射率をできる限り小さくする必要がある。
【0004】
一方、レジストパターンをエッチングマスクとした被加工膜への精密ドライエッチングには、主に以下の3つの制約がある。まず、1つ目に、被加工膜のドライエッチに耐えうるだけのエッチングマスク膜厚が必要である。2つ目に、種々の被加工膜に対して高い選択比のエッチングマスクが必要である。3つ目に、エッチング後の剥離で基板にダメージを与えないエッチングマスクが必要である。
【0005】
被加工膜直上に単層レジストをエッチングマスクとして用いる従来の方法では、リソグラフィによる微細レジストパターンの高精度形成と、レジストパターンをエッチングマスクとした被加工膜への精密ドライエッチングとを両立させることに限界が生じていた。そのため、ハードマスクを用いるプロセスや、多層レジストを用いるプロセスの実用化が進んでいる。
【0006】
さらに、特許文献1や非特許文献1のように臭素を含むプラズマによってフォトレジスト材料を硬化させる技術や、特許文献2,3や非特許文献2のようにリソグラフィによりパターン形成されたレジストマスクに、Arイオンを注入してレジストマスクの耐エッチング性を高める技術が提案されている。
【0007】
【特許文献1】特開2004−529231号公報
【特許文献2】特開2001−358061号公報
【特許文献3】特開2002−329648号公報
【非特許文献1】"Line edge roughness reduction by plasma curing photoresist.",Proc. SPIE Vol.5753, (2005) pp.380-389
【非特許文献2】"Ar Ion Implantation into Resist for Etching Resistance Improvement",Proc. SPIE Vol. 4345 (2001) pp.655-664
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般的な単層レジスト法では、被加工膜上に反射制御のための有機又は無機の反射防止膜を約80nmの膜厚で形成し、その上にレジストパターンをドライエッチの耐性を満たす250nmの膜厚で形成する。50nmのパターンを形成する場合、レジストパターンの膜厚/レジストパターンの横幅=アスペクト比は、5.0となる。この場合、レジストパターンのアスペクト比が高くなりすぎているために、形成されたレジストパターンにはパターン倒れが生じる。
【0009】
レジストパターンのパターン倒れを抑制するためにレジストの膜厚を120nmと薄くすると、レジストがドライエッチングのマスクになりえず、エッチング後の被加工膜に肩欠けが生じる。このようにレジストの膜厚を薄くした場合、被加工膜には、ランダムな肩欠け又はエッチング中のレジスト変形によるラインエッジの凹凸が生じ、被加工膜のLER(Line Edge Roughness)が大きくなるという課題があった。
【0010】
また、レジストパターンのパターン倒れを抑制するためにレジストの膜厚を薄くし、ドライエッチの耐性を高めるために、レジストにAr、B、As、P、C、Hを注入、H2、HBr、NH3等の還元性プラズマや、DUV(Deep Ultraviolet)、VUV(Vacuum Ultraviolet)の光照射又はEB(Electron Beam)照射等によりハードニング処理を施す場合、レジストパターンのレイアウトに依存して、パターンの変形(傾き、大きなパターンの過剰な収縮等)が生じ、パターンサイズが設計値からずれる問題があった。このパターンの変形は、Ar、B、As、P、C、Hをレジストに注入する場合、注入エネルギーによりレジスト膜に還元作用の構造変化が起こるため生じる。他のハードニング処理においても、程度に差はあるがパターンの変形が生じ、デバイス製造上大きな問題となる。つまり、上記の方法では、エッチング後の被加工膜の肩欠けは改善し、LERも改善するが設計デザインに対する忠実度が大きく劣化する問題があった。
【0011】
多層レジスト法では、被加工膜直上に下層ハードマスク(HM)として下層有機膜を塗布し、さらに下層有機膜に対しエッチング選択比の高いSOG膜(シリセスキオキサン系膜)を中間層として薄膜塗布し、その上層に従来の単層レジストパターンを形成する。そして、多層レジスト法では、中間層、下層HMと順次ドライエッチして、最終的に下層HMパターンをエッチングマスクとして被加工膜をエッチングする。この多層レジスト法において、高ドライエッチ耐性の下層有機膜と、それをエッチングする中間層との選択比を確保し、リソグラフィ工程での反射率制御ができれば、背景技術で説明した制約を全て満たすプロセスを得ることができる。しかし、多層レジスト法であっても、パターンが微細化するにつれて、下層、中間層ともにより硬質な膜が要求されるが、塗布型の膜では加熱による硬化処理だけでは必ずしも充分に均質な硬化が得られず、結果としてエッチング後のパターンにLER劣化が生じる問題があった。
【0012】
さらに、被加工膜直上にアモルファスカーボン(α−C)層をCVD形成し、当該α−C層に対しエッチング選択比の高いシリコン窒化膜又はシリコン酸化膜を中間層としてCVD形成し、その上層に従来の単層レジストパターンを薄膜で形成する多層ハードマスク(HM)法がある。この多層ハードマスク法では、中間層、α−C層を順次ドライエッチして、最終的にα−C層のパターンをエッチングマスクとして被加工膜をエッチングする。多層ハードマスク法は、塗布型の多層レジスト法と比較して、均質で硬質な膜形成ができるため、背景技術で説明した制約を全て満たすプロセスである。しかし、多層ハードマスク法は、反射率制御、レジストとの化学的相性が悪いとった問題がある。
【0013】
また、ビアファーストのデュアルダマシン(Dual Damascene)工程等に多層ハードマスク法を適用する場合、下層のアモルファスカーボン(α−C)をビアホール内に埋め込む必要があるが、アモルファスカーボンの埋め込み特性には問題がある。さらに、埋め込まれたアモルファスカーボンは、トレンチエッチング後に剥離する必要があるが、アモルファスカーボンが硬質であるため、除去が困難で結果的にLow−k層間絶縁膜の膜質劣化(k値の上昇)を促す問題があった。
【0014】
そこで、本発明は、被加工膜の加工形状の悪化やパターンの荒れを低減し、設計デザインに対し忠実で、且つデュアルダマシン工程等にも適用可能な半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る解決手段は、被加工膜上に、膜の塗布、加熱硬化を行うことで、少なくとも1以上の膜よりなる加工用マスク層を形成し、加工用マスク層のうち少なくとも1つの膜に対しハードニング処理を行う加工用マスク層形成工程と、加工用マスク層上に露光用レジスト膜を塗布し、露光現像することでレジストパターンを形成し、当該レジストパターンをマスクに加工用マスク層をエッチングする加工用マスク層エッチング工程と、加工用マスク層エッチング工程で形成された、加工用マスク層のパターンをマスクに被加工膜をエッチングする被加工膜エッチング工程とを備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明に記載の半導体装置の製造方法は、少なくとも加工用マスク層のうちの1つの膜に対しハードニング処理を行うので、被加工膜の加工形状の悪化やパターンの荒れを低減し、設計デザインに対し忠実なパターンを形成できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(実施の形態1)
図1(a)〜(i)に、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明するフロー図を示す。まず、図1(a)に示す基板1(Si基板等)に、スパッタやCVD(Chemical Vapor Deposition)等で被加工膜2を形成する(図1(b))。図1(c)では、被加工膜2に塗布型の下層有機膜3を約150〜300nmの膜厚で塗布し、200〜250℃で約1〜1.5分の熱処理を行う。下層有機膜3に対し熱処理を行うことで、熱化学反応による加熱硬化処理により溶媒を充分に揮発させることができるとともに、熱反応活性部位の反応でポリマーに架橋を形成できる。
【0018】
図1(d)では、熱処理後の下層有機膜3に対し、Ar、B、As、P、C、Hのいずれかを注入することで、下層有機膜3を炭化(グラファイト化)させるハードニング処理4を行う。また、上記のハードニング処理4に代えて、H2、HBr、NH3等の還元性プラズマにより、エッチング耐性を劣化させる原子である酸素を還元して炭化水素化するハードニング処理4や、DUV、VUVの光照射又はEB照射による更なる架橋構造の緻密化によるハードニング処理4を施しても良い。
【0019】
なお、ハードニング処理4の際、下層有機膜3に構造変化が生じ、それに伴い光学定数が変化すること、及び下層有機膜3の膜厚が塗布及び加熱硬化処理直後の7〜8割の膜厚に縮むことを考慮する必要がある。そのため、図1(c)で下層有機膜3を塗布する際に、膜厚が縮むことを考慮して膜厚を設定し、且つ反射率制御を実施する必要がある。上記ハードニング処理4の中で、原子組成比自体が変化する注入処理、プラズマ還元処理が特に有効である。
【0020】
次に、図1(e)では、ハードニング処理4を終えた下層有機膜3上に中間層5を形成する。下層有機膜3がハードニング処理4により完全にグラファイト化され無機膜化している場合は、CVD等により酸化膜を形成し中間層5とすることも可能である。しかし、一般にハードニング処理4は、下層有機膜3の表面からある所定の深さまでグラファイト化できるように注入エネルギーやプラズマの高周波電力を制御する。そのため、下層有機膜3は、完全にグラファイト化されず無機膜化していないので、CVDによる酸化膜で中間層5を形成するのは難しい。
【0021】
そこで、中間層5は、無機SOG(spin-on glass),有機SOG等のシリセスキオキサン系のポリマーに、露光波長に吸収を持つ芳香環などを有する官能基、及び熱反応性のシロキサン残基や架橋性活性基を有する官能基を内部に保有した樹脂を採用し、塗布現像装置で約80nm程度の膜厚で塗布する。塗布後の中間層5は、200〜250℃で約1〜1.5分の熱処理により脱水縮合反応させるか、エポキシ官能基などの反応活性部位を反応させることで架橋させる必要がある。本実施の形態では、上述のように全ての多層膜を塗布装置で形成することで、簡便、安価且つ生産性の高いプロセスフローを構築できる。なお、本実施の形態では、下層有機膜3及び中間層5が被加工膜2の加工に用いられる加工用マスク層である。
【0022】
次に、図1(f)では、中間層5上に露光用のレジスト膜を塗布しリソグラフィを用いて、所望のパターンを有するレジストパターン6を形成する。図1(g)では、レジストパターン6をマスクに中間層5をドライエッチングする。さらに、図1(h)では、図1(g)で形成された中間層5のパターンをマスクに下層有機膜3をドライエッチングする。そして、図1(i)では、図1(h)で形成された下層有機膜3のパターンをマスクに被加工膜2をドライエッチングし、残った下層有機膜3のパターンをアッシング等で除去する。これにより、被加工膜2に、図1(i)に示すような所望のパターンが形成される。
【0023】
なお、下層有機膜3には、ハードニング処理4を踏まえて、より炭素リッチな硬質膜を提供できる有機高分子が望まれる。下層有機膜3には、多環型の芳香族化合物含有(ナフタレン、アントラセンを含有するポリマー)高分子、ベンゼン環リッチな芳香族環含有のフェノール高分子脂、飽和脂肪族環状化合物含有系の高分子等の光学特性の異なるポリマーを共重合又は混合することにより光学定数、ドライエッチ耐性、塗布性(埋め込み性)等を満足するポリマーが選択される。
【0024】
また、ハードニング処理4において、Ar、B、As、P、C、Hを注入して炭化(グラファイト化)させる処理は、文献(例えば、"Projected Range Statistics 2nd Edition", James F. Gibbons, William S. Johnson, Steven W. Mylroie)の記載や実験結果により注入エネルギーと注入深さとの関係を求めることができる。当該関係を考慮し注入エネルギーを制御してハードニング処理4を行うことで、グラファイト化される層の厚さを調整することができる。つまり、ハードニング処理4は、処理条件(注入エネルギー)を変化させることで、硬化層の厚さを調整することができる。
【0025】
例えば、Bを注入する場合、10KeVの注入エネルギーで108nm、20KeVの注入エネルギーで226nmの厚さの下層有機膜3がグラファイト化する。また、Arを注入する場合、10KeVの注入エネルギーで45nm、30KeVの注入エネルギーで112nm、50KeVの注入エネルギーで180nmの厚さの下層有機膜3がグラファイト化する。また、Cを注入する場合、10KeVの注入エネルギーで91nm、20KeVの注入エネルギーで189nm、30KeVの注入エネルギーで290nmの厚さの下層有機膜3がグラファイト化する。上記のいずれの場合も、注入量は5×1013/cm2以上を目安としている。
【0026】
また、EB照射によるハードニング処理4の場合も、上記と同様に考えることができ、電子の照射加速電圧(100〜300KV)と照射量(0.2〜1.2mC/cm2)とを変化させることで、硬化層の厚みを調整することが可能である。DUV・VUV照射によるハードニング処理4の場合も、選択した照射光の波長、下層有機膜3の照射光の吸収係数から、光が透過到達することができる深さが決まるので、硬化層の厚みを調整することが可能である。また、DUV・VUV照射によるハードニング処理4の場合、光照射時間と照射時のステージ温度の制御することで、下層有機膜3の硬化度も調整することができる。
【0027】
以上のように、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法では、加工膜上に複数の有機膜を塗布して多層膜を形成し、多層膜を利用して被加工膜に微細なパターンを形成する方法であって、下層有機膜形成工程後に、下層有機膜に対してハードニング処理を実施するので、被加工膜の加工形状の悪化やパターンの荒れを低減し、設計デザインに対し忠実な微細加工を行うことができる効果がある。
【0028】
なお、本実施の形態では、露光用のレジスト膜の下層に設ける多層膜は、中間層5と下層有機膜3の2層で構成されているが、本発明はこれに限られず多層膜を下層有機膜3の1層のみ又は中間層5及び下層有機膜3を含む3層以上で構成しても良い。また、本実施の形態では、被加工膜2をパターニングの対象としたが、基板1上に加工用マスク層を形成して基板1をパターニングしてもよい。
【0029】
(実施の形態2)
図2(a)〜(i)に、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明するフロー図を示す。まず、図2(a)に示す基板1(Si基板等)に、スパッタやCVD等で被加工膜2を形成する(図2(b))。図2(c)では、被加工膜2に塗布型の下層有機膜3を約150〜300nmの膜厚で塗布し、200〜250℃で約1〜1.5分の熱処理を行う。下層有機膜3に対し熱処理を行うことで、熱化学反応による加熱硬化処理により溶媒を充分に揮発させることができるとともに、熱反応活性部位の反応でポリマーに架橋を形成できる。
【0030】
次に、図2(d)では、熱処理後の下層有機膜3上に中間層5を形成する。中間層5には、無機SOG,有機SOG等のシリセスキオキサン系のポリマー誘導体を採用し、塗布現像装置で約80nm程度の膜厚で塗布する。塗布後の中間層5は、200〜250℃で約1〜1.5分の熱処理により脱水縮合反応させるか、エポキシ官能基などの反応活性部位を反応させることで架橋させる必要がある。
【0031】
次に、図2(e)では、下層有機膜3に対し、Ar、B、As、P、C、Hのいずれかを注入することで、下層有機膜3を炭化(グラファイト化)させるハードニング処理4を行う。また、上記のハードニング処理4に代えて、H2、HBr、NH3等の還元性プラズマにより、エッチング耐性を劣化させる原子である酸素を還元して炭化水素化するハードニング処理4や、DUV、VUVの光照射又はEB照射による更なる架橋構造の緻密化によるハードニング処理4を施しても良い。
【0032】
また、図2(e)では、中間層5に対しても、Ar、B、As、P、C、H、Siのいずれかを注入することで、中間層5のSi酸化膜構造以外の部分の構造を再形成して純Si02化又はシリコン率を向上させるハードニング処理4を行う。また、上記のハードニング処理4に代えて、H2、HBr、NH3等の還元性プラズマにより、中間層5のSi酸化膜構造以外の部分の構造を再形成して純Si02化又はシリコン率を向上させるハードニング処理4を施しても良い。なお、中間層のハードニング処理4には、注入処理を用いることが望ましい。
【0033】
次に、図2(f)では、中間層5上に露光用のレジスト膜を塗布しリソグラフィを用いて、所望のパターンを有するレジストパターン6を形成する。図2(g)では、レジストパターン6をマスクに中間層5をドライエッチングする。さらに、図2(h)では、図2(g)で形成された中間層5のパターンをマスクに下層有機膜3をドライエッチングする。そして、図2(i)では、図2(h)で形成された下層有機膜3のパターンをマスクに被加工膜2をドライエッチングし、残った下層有機膜3のパターンをアッシング等で除去する。これにより、被加工膜2に、図2(i)に示すような所望のパターンが形成される。
【0034】
本実施の形態では、下層有機膜3及び中間層5に対してハードニング処理4を施すため、例えば注入種や注入エネルギーをそれぞれの膜に対して変更してシーケンシャルに多段階のハードニング処理をすることも可能である。
【0035】
下層有機膜3には、ハードニング処理4を踏まえて、より炭素リッチな硬質膜を提供できる有機高分子が望まれる。下層有機膜3には、多環型の芳香族化合物含有(ナフタレン、アントラセンを含有するポリマー)高分子、ベンゼン環リッチな芳香族環含有のフェノール高分子脂、飽和脂肪族環状化合物含有系の高分子等の光学特性の異なるポリマーを共重合又は混合することにより光学定数、ドライエッチ耐性、塗布性(埋め込み性)等を満足するポリマーが選択される。
【0036】
一方、中間層5には、無機SOG、有機SOG等のシリセスキオキサン系のポリマーに露光波長に吸収を持つ芳香環などを有する官能基、及び熱反応性のシロキサン残基や架橋性活性基を有する官能基を内部に保有した樹脂が用いられる。
【0037】
また、ハードニング処理4において、Ar、B、As、P、C、Hを注入して下層有機膜3を炭化(グラファイト化)させる処理、又はAr、B、As、P、C、H及びSiを注入して中間層5のSi含有率を向上させる処理は、文献(例えば、"Projected Range Statistics 2nd Edition", James F. Gibbons, William S. Johnson, Steven W. Mylroie)の記載や実験結果により注入エネルギーと注入深さとの関係を求めることができる。当該関係を考慮し注入エネルギーを制御してハードニング処理4を行うことで、グラファイト化される層の厚さ、又はSi含有率の高い層の厚さを調整することができる。つまり、ハードニング処理4は、処理条件(注入エネルギー)を変化させることで、硬化層の厚さを調整することができる。
【0038】
例えば、Bを注入する場合、10KeVの注入エネルギーで108nm、20KeVの注入エネルギーで226nmの厚さの層をハードニング処理4できる。また、Arを注入する場合、10KeVの注入エネルギーで45nm、30KeVの注入エネルギーで112nm、50KeVの注入エネルギーで180nmの厚さの層をハードニング処理4できる。また、Cを注入する場合、10KeVの注入エネルギーで91nm、20KeVの注入エネルギーで189nm、30KeVの注入エネルギーで290nmの厚さの層をハードニング処理4できる。上記のいずれの場合も、注入量は5×1013/cm2以上を目安としている。
【0039】
また、EB照射によるハードニング処理4の場合も、上記と同様に考えることができ、電子の照射加速電圧(100〜300KV)と照射量(0.2〜1.2mC/cm2)とを変化させることで、硬化層の厚みを調整することが可能である。DUV・VUV照射によるハードニング処理4の場合も、選択した照射光の波長、下層有機膜3や中間層5の照射光の吸収係数から、光が透過到達することができる深さが決まるので、硬化層の厚みを調整することが可能である。また、DUV・VUV照射によるハードニング処理4の場合、光照射時間と照射時のステージ温度の制御することで、下層有機膜3や中間層5の硬化度も調整することができる。
【0040】
以上のように、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法では、加工膜上に複数の有機膜を塗布して多層膜を形成し、多層膜を利用して被加工膜に微細なパターンを形成する方法であって、中間層形成工程後に、下層有機膜3及び中間層5の少なくとも1層に対してハードニング処理4を実施するので、被加工膜の加工形状の悪化やパターンの荒れを低減し、設計デザインに対し忠実な微細加工を行うことができる効果がある。
【0041】
なお、本実施の形態では、露光用のレジスト膜の下層に設ける多層膜は、中間層5と下層有機膜3の2層で構成されているが、本発明はこれに限られず多層膜を中間層5及び下層有機膜3を含む3層以上で構成しても良い。
【0042】
(実施の形態3)
図3(a)〜(j)に、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明するフロー図を示す。まず、図3(a)に示す基板1(Si基板等)に、スパッタやCVD等で被加工膜2を形成する(図3(b))。図3(c)では、被加工膜2に塗布型の下層有機膜3を約150〜300nmの膜厚で塗布し、200〜250℃で約1〜1.5分の熱処理を行う。下層有機膜3に対し熱処理を行うことで、熱化学反応による加熱硬化処理により溶媒を充分に揮発させることができるとともに、熱反応活性部位の反応でポリマーに架橋を形成できる。
【0043】
図3(d)では、熱処理後の下層有機膜3に対し、Ar、B、As、P、C、Hのいずれかを注入することで、下層有機膜3を炭化(グラファイト化)させるハードニング処理4を行う。また、上記のハードニング処理4に代えて、H2、HBr、NH3等の還元性プラズマにより、エッチング耐性を劣化させる原子である酸素を還元して炭化水素化するハードニング処理4や、DUV、VUVの光照射又はEB照射による更なる架橋構造の緻密化によるハードニング処理4を施しても良い。
【0044】
次に、図3(e)では、ハードニング処理4後の下層有機膜3上に中間層5を形成する。中間層5には、無機SOG,有機SOG等のシリセスキオキサン系のポリマー誘導体を採用し、塗布現像装置で約80nm程度の膜厚で塗布する。塗布後の中間層5は、200〜250℃で約1〜1.5分の熱処理により脱水縮合反応させるか、エポキシ官能基などの反応活性部位を反応させることで架橋させる必要がある。
【0045】
また、図3(f)では、中間層5に対しても、Ar、B、As、P、C、H、Siのいずれかを注入することで、中間層5のSi酸化膜構造以外の部分の構造を再形成して純Si02化又はシリコン率を向上させるハードニング処理4を行う。また、上記のハードニング処理4に代えて、H2、HBr、NH3等の還元性プラズマにより、中間層5のSi酸化膜構造以外の部分の構造を再形成して純Si02化又はシリコン率を向上させるハードニング処理4を施しても良い。なお、中間層のハードニング処理4には、注入処理を用いることが望ましい。
【0046】
次に、図3(g)では、中間層5上に露光用のレジスト膜を塗布しリソグラフィを用いて、所望のパターンを有するレジストパターン6を形成する。図3(h)では、レジストパターン6をマスクに中間層5をドライエッチングする。さらに、図3(i)では、図3(h)で形成された中間層5のパターンをマスクに下層有機膜3をドライエッチングする。そして、図3(j)では、図3(i)で形成された下層有機膜3のパターンをマスクに被加工膜2をドライエッチングし、残った下層有機膜3のパターンをアッシング等で除去する。これにより、被加工膜2に、図3(j)に示すような所望のパターンが形成される。
【0047】
本実施の形態では、下層有機膜3及び中間層5に対してハードニング処理4を施すため、例えば注入種や注入エネルギーをそれぞれの膜に対して変更してシーケンシャルに多段階のハードニング処理をすることも可能である。
【0048】
下層有機膜3には、ハードニング処理4を踏まえて、より炭素リッチな硬質膜を提供できる有機高分子が望まれる。下層有機膜3には、多環型の芳香族化合物含有(ナフタレン、アントラセンを含有するポリマー)高分子、ベンゼン環リッチな芳香族環含有のフェノール高分子脂、飽和脂肪族環状化合物含有系の高分子等の光学特性の異なるポリマーを共重合又は混合することにより光学定数、ドライエッチ耐性、塗布性(埋め込み性)等を満足するポリマーが選択される。
【0049】
一方、中間層5には、無機SOG、有機SOG等のシリセスキオキサン系のポリマーに露光波長に吸収を持つ芳香環などを有する官能基、及び熱反応性のシロキサン残基や架橋性活性基を有する官能基を内部に保有した樹脂が用いられる。
【0050】
また、ハードニング処理4において、Ar、B、As、P、C、Hを注入して下層有機膜3を炭化(グラファイト化)させる処理、又はAr、B、As、P、C、H及びSiを注入して中間層5のSi含有率を向上させる処理は、文献(例えば、"Projected Range Statistics 2nd Edition", James F. Gibbons, William S. Johnson, Steven W. Mylroie)の記載や実験結果により注入エネルギーと注入深さとの関係を求めることができる。当該関係を考慮し注入エネルギーを制御してハードニング処理4を行うことで、グラファイト化される層の厚さ、又はSi含有率の高い層の厚さを調整することができる。つまり、ハードニング処理4は、処理条件(注入エネルギー)を変化させることで、硬化層の厚さを調整することができる。
【0051】
例えば、Bを注入する場合、10KeVの注入エネルギーで108nm、20KeVの注入エネルギーで226nmの厚さの層をハードニング処理4できる。また、Arを注入する場合、10KeVの注入エネルギーで45nm、30KeVの注入エネルギーで112nm、50KeVの注入エネルギーで180nmの厚さの層をハードニング処理4できる。また、Cを注入する場合、10KeVの注入エネルギーで91nm、20KeVの注入エネルギーで189nm、30KeVの注入エネルギーで290nmの厚さの層をハードニング処理4できる。上記のいずれの場合も、注入量は5×1013/cm2以上を目安としている。
【0052】
また、EB照射によるハードニング処理4の場合も、上記と同様に考えることができ、電子の照射加速電圧(100〜300KV)と照射量(0.2〜1.2mC/cm2)とを変化させることで、硬化層の厚みを調整することが可能である。DUV・VUV照射によるハードニング処理4の場合も、選択した照射光の波長、下層有機膜3や中間層5の照射光の吸収係数から、光が透過到達することができる深さが決まるので、硬化層の厚みを調整することが可能である。また、DUV・VUV照射によるハードニング処理4の場合、光照射時間と照射時のステージ温度の制御することで、下層有機膜3や中間層5の硬化度も調整することができる。
【0053】
以上のように、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法では、加工膜上に複数の膜を塗布して多層膜を形成し、多層膜を利用して被加工膜に微細なパターンを形成する方法であって、下層有機膜形成行程後、下層有機膜3に対してハードニング処理4を実施し、且つ中間層形成工程後、中間層5に対してハードニング処理4を実施するので、被加工膜の加工形状の悪化やパターンの荒れを低減し、設計デザインに対し忠実な微細加工を行うことができる効果がある。
【0054】
なお、本実施の形態では、露光用のレジスト膜の下層に設ける多層膜は、中間層5と下層有機膜3の2層で構成されているが、本発明はこれに限られず多層膜を中間層5及び下層有機膜3を含む3層以上で構成しても良い。
【0055】
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態1〜3で説明したハードニング処理のうち、還元性のプラズマ処理についてさらに詳しく述べる。
【0056】
まず、本実施の形態のプラズマ処理で用いるプラズマ処理装置を、図4に示す。図4に示すプラズマ処理装置は、2周波励起平行平板型RIE(Reactive Ion Etching)装置である。図4に示す2周波励起平行平板型RIE装置(以下、単にプラズマ処理装置ともいう)は、反応室41の下部にSi基板42を保持する保持台(下部電極43)を備え、反応室41の上部には下部電極43と対向する位置に平行して設けられた上部電極44を備える。この上部電極44及び下部電極43のそれぞれには、独立した高周波電源45から高周波電圧が印加される。また、上部電極44には、ガス導入口46が設けられており、このガス導入口46より反応室41内にガスが供給される。反応室41内の排気は、排気口47から行う。
【0057】
図5(a)〜(k)に、プラズマ処理によるハードニング処理を行う半導体装置の製造方法のフロー図を示す。まず、図5(a)に示す基板1(Si基板等)に、スパッタやCVD等で被加工膜2を形成する(図5(b))。図5(c)では、被加工膜2に塗布型の下層有機膜3を約150〜300nmの膜厚で塗布し、200〜250℃で約1〜1.5分の熱処理を行う。
【0058】
次に、図5(d)では、下層有機膜3を塗布及び加熱硬化処理を施された基板1を図4に示す2周波励起平行平板型RIE装置の反応室41内に搬送し、プラズマ処理(ハードニング処理4)を行う。本実施の形態に係るプラズマ処理では、図4に示す反応室41内に水素、臭化水素及びアンモニア等の還元性のガスをガス導入口46より供給して圧力を一定に保持し、上部電極44及び下部電極43に高周波電力を印加してプラズマを発生させ、下層有機膜3を一定時間プラズマに曝す。これにより、プラズマ中に発生した水素イオンが下層有機膜3中に注入され、下層有機膜3中に炭化水素化、炭化された硬質な膜が形成される。
【0059】
特に、プラズマ処理に水素ガスを用いる水素プラズマ処理では、水素100〜500sccm、圧力2.0〜10.0Paとして、上部電極44及び下部電極43に高周波電力を印加してプラズマを発生させ、10〜30秒間処理を行うことが望ましい。なお、水素プラズマ処理では、臭素を含まないため、処理する膜への臭素の影響を抑えることができる。
【0060】
上記の条件で水素プラズマ処理をレジストに対して行い、XPS(X-ray Photoelectron Spectrometry)法及びFT−IR(Fourier Transform Infrared Spectroscopy)法を用いて分析した結果について説明する。図6に示すXPS法の分析結果より、レジスト中のO=C−O結合、C−O結合のピーク値は、水素プラズマ処理により減少し、C−H結合もしくはC−C結合のピークは、水素プラズマ処理により増加していることが分かる。XPS法では、C−H結合とC−C結合のピークが重複するため分離することができないが、図7(a)に示すFT−IR法の分析結果から、水素プラズマ処理によりC−H結合が減少していることが分かることから、C−C結合のピークが増加していると推測される。
【0061】
従って、水素プラズマ処理によって、プラズマ中に発生した水素イオンがレジスト中に注入されることで、レジスト中のC−O結合が切断されC−C結合が増加 (炭化)する還元反応が生じていることが分かる。図7(b)に示す分析結果からも、水素プラズマ処理によりC−O結合が減少していることが分かる。上記の結果は、レジストに対するものであるが、下層有機膜3においても同様に還元反応により硬化層が形成されることは容易に想像される。また、上記の結果は、水素プラズマ処理によるものであるが、同様に臭化水素及びアンモニア等の還元性のガスを用いたプラズマ処理にも適用できる。
【0062】
図8に、水素プラズマ処理によって形成されるレジスト中の硬化層膜厚と、下部電極43に印加される高周波電力との関係を示す。図8で求めた硬化層の膜厚は、レジスト中にエッチング等によって形成された変質層がシンナー(PGMEA(propylene glycol methyl ether acetate))には溶解しない性質を用いて、走査型電子顕微鏡による断面観察により算出した。図8に示す硬化層の膜厚は、下部電極43に印加する高周波電力(0%〜100%)に比例して増加していることが分かる。図8は、上記の条件の水素プラズマ処理の硬化層の膜厚を示しており、50〜70nmの硬化層が形成されていることが分かる。
【0063】
上記の関係は、下部電極43に印加する高周波電力に応じてレジストに注入される水素イオンのエネルギーが変化し、水素イオンの進入深さが変わったためである。同様に、上部電極に印加する高周波電力を変えて水素イオンの密度を変化させたり、処理時間を変えることで水素イオンの注入量を変えても、硬化層の膜質や深さを調整することが可能である。なお、印加する高周波電力や処理時間等が、プラズマ処理の処理条件である。
【0064】
次に、下層有機膜3のハードニング処理後、基板1をプラズマ処理装置の反応室41内より搬出し、図5(e)に示すように、下層有機膜3上に中間層5を80nm程度の膜厚で塗布し、200〜250℃で1〜1.5分の熱処理による加熱硬化処理を行う。図5(e)の後、図5(f)に示すように、中間層5に対しても上述したようなプラズマ処理等のハードニング処理4を実施しても良い。
【0065】
次に、図5(g)では、中間層5上に露光用のレジスト膜を塗布しリソグラフィ技術を用いて、所望のパターンを有するレジストパターン6を形成する。図5(h)では、下層有機膜3、中間層5及びレジストパターン6の積層構造の基板1を図4に示すようなプラズマ処理装置の反応室41内に搬送する。続いて反応室41内にフロロカーボン系のガスをガス導入口46から供給して圧力を一定に保持した後、上部電極44及び下部電極43に高周波電力を印加してプラズマを発生させ、レジストパターン6をマスクに中間層5をエッチングして中間層5にパターンを転写する。フロロカーボン系のガスとしてはCF4、CHF3、CH22、CH3Fが挙げられ、これらフロロカーボン系の混合ガス系や、フロロカーボン系のガスに酸素や窒素を添加する混合ガス系を用いても良い。
【0066】
図5(h)において、中間層5のエッチングに用いたフロロカーボン系のガスを反応室41内より一定時間排気した後、連続して反応室41内に酸素と一酸化炭素をガス導入口46から供給して圧力を一定に保持する。その後、図5(i)では、上部電極44及び下部電極43に高周波電力を印加してプラズマを発生させ、レジストパターン6と中間層5のパターンとの積層構造をマスクとして下層有機膜3をエッチングし、下層有機膜3にパターンを転写する。なお、この時、レジストパターン6は、エッチング中に自然消滅する。反応室41に供給するガスは、酸素のみ、酸素に窒素又はアルゴンを添加した混合ガス系、もしくは水素と窒素の混合ガス系やアンモニアを用いることも可能である。
【0067】
上述の説明では、中間層5のエッチングと下層有機膜3のエッチングには、同一のプラズマ処理装置を用いてエッチングしたが、中間層5のエッチングと下層有機膜3のエッチングとをそれぞれ別のプラズマ処理装置で行っても良い。
【0068】
次に、図5(i)において、中間層5のパターンと下層有機膜3のパターンとの積層構造の基板1を図4に示すようなプラズマ処理装置の反応室41内に搬送する。続いて、図5(j)に示すように、反応室41内にフロロカーボン系のガスを供給して圧力を一定に保持し、上部電極44及び下部電極43に高周波電力を印加してプラズマを発生させ、中間層5と下層有機膜3のパターンの積層構造をマスクに被加工膜2をエッチングする。この時、中間層5のパターンはエッチング中に自然消滅する。下層有機膜3は、図5(d)においてハードニング処理を行っているのでエッチング中の変形が抑制され、被加工膜2に高精度で微細パターンが転写される。
【0069】
次に、図5(k)では、被加工膜2のエッチング処理後に残った下層有機膜3を、通常の酸素プラズマ処理によって除去する。これにより、被加工膜2には、高精度な微細パターンが形成される。なお、図4に示すプラズマ処理装置を、通常のフォトリソグラフィに用いるレジスト塗布/現像装置に具備し、同一装置内で少なくとも図5(a)から図5(g)までの一連の処理を行うことが可能にできる。当該装置の概略図を図9(a)〜(c)に示す。
【0070】
図9(a)は装置の上面図、図9(b)は装置の正面図、図9(c)は装置の背面図をそれぞれ示す。図9(a)〜(c)に示す装置の処理は、図示しないカセットに収納されたウェハをカセットステージ61にセットする。カセットステージ61のウェハは、搬送アーム62で熱板63に移動され、熱板63でベーク処理される。その後、搬送アーム62で塗布・現像カップ64に移動される。塗布・現像カップ64では、ウェハに所定の材料が塗布される。塗布・現像カップ64での処理後、ウェハは、搬送アーム62で熱板63に移動され、再度ベーク処理される。図9(a)〜(c)に示す装置は、以上の処理をレシピに沿ってウェハを処理し、露光装置へ搬出する。
【0071】
露光装置での露光後、再び図9(a)〜(c)に示す装置にウェハが搬送され、塗布・現像カップ64で現像、再度熱板等の処理を行い一連のパターニングを行う。なお、図9(a)〜(c)に示す装置は、装置正面側に塗布・現像カップ64が、背面側に熱板63が積層された構造となっており、当該装置では塗布・現像カップ64が4段積み、熱板63が6段積みとなっている。そして、図9(a)〜(c)に示す装置では、熱板63、塗布・現像カップ64等の各ユニット間の搬送を搬送アーム62で処理する構成である。
【0072】
また、本実施の形態でも説明しているように、図9(a)〜(c)に示す装置では、積層された塗布・現像カップ64や熱板63の一部のユニットに、ハードニング処理(プラズマ処理又は光照射処理)を実施するハードニング処理ユニット65が組み込まれている。そのため、図9(a)〜(c)に示す装置は、本実施の形態で説明した塗布・ハードニング・現像の一連の処理を実施することが可能である。なお、図9(a)〜(c)は例示であり、同様の機能を有する構成であれば他の構成であっても良い。
【0073】
本実施の形態では、下層有機膜3、中間層5に対して還元性のプラズマ処理を用いてハードニング処理を行ったが、実施の形態1〜3で示したように、下層有機膜3を炭化(グラファイト化)及び中間層5のSi含有率を向上させる注入装置を用いたイオン注入処理や、下層有機膜3に強固な架橋構造を形成するDUV、VUV光照射又はEB照射処理を用いてハードニング処理を行っても良い。
【0074】
また、EB照射処理を実施するための装置は、図10に記載の装置を用いる。図10に示すEB照射装置では、複数のEB管71が取り付けられている面に対して平行にSi基板72を配置し、EBシャワーを照射する構成となっている。図10に示す装置構成を、通常のフォトリソグラフィに用いるレジスト塗布/現像装置に具備し同一装置内で一連の処理を行うことが可能である。DUV、VUV光照射装置に関しても図示していないが、昇降温制御型の熱板上に、光源の波長を選択できる光源を設置し、温度制御しながらDUV、VUV光照射することで、通常のフォトリソグラフィに用いるレジスト塗布/現像装置に具備して同一装置内で一連の処理を行うことが可能である。
【0075】
本実施の形態では、プラズマ処理装置として2周波励起平行平板型RIE装置を用いたが、本発明はこれに限られず、平行平板型、誘導結合型及びECR(Electron Cyclotron Resonance)型プラズマ発生装置等の通常のドライエッチングに使用されるプラズマ発生装置や、プラズマCVD膜の成膜に使用されるプラズマ処理装置を使用しても良い。
【0076】
本実施の形態では、中間層5及び下層有機膜3のエッチングに2周波励起平行平板型RIE装置を用いたが、本発明はこれに限られず、平行平板型、誘導結合型及びECR(Electron Cyclotron Resonance)型プラズマ発生装置等の通常のドライエッチングに使用されるプラズマ発生装置を使用しても良い。
【0077】
(実施の形態5)
先ず、基板上にデュアルダマシン構造を形成する方法において、本実施の形態の比較例として、図11(a)〜(k)に示す単層レジストを使用する方法と、図12(a)〜(k)に示す多層レジストを使用する方法とを示す。
【0078】
図11(a)及び図12(a)では、下層のCu配線11上にライナー膜12、層間絶縁膜13を形成している。なお、Cu配線11の水平方向にはSiO2等の絶縁膜14が形成されている。また、ライナー膜12には、Cuの拡散防止及びエッチングストッパーとなるSiCN、SiCO、SiC、Si34などが用いられる。層間絶縁膜13には、SiOCHやMSQ(メチルシルセスキオキサン)などの低誘電率膜(Low−k膜)やSiO2、SiOFなどが用いられる。層間絶縁膜13の最上層15には、後工程のアッシングなどで使用されるプラズマや洗浄液などによるダメージを抑制するために、SiO2、Si34などを用いても良い。
【0079】
単層レジストを使用する図11(a)では、層間絶縁膜13の最上層15の上に、反射防止膜16及びレジストパターン17が積層される。図11(a)では、レジストパターン17をマスクに、ビアホール18のエッチングを行った後の図を示している。
【0080】
次に、図11(b)では、エッチングで残ったレジストパターン17等をアッシングで取り除く。その後、図11(c)では、埋め込み材19を塗布して、ビアホール18を埋める。図11(d)では、エッチバック処理を行い、ビアホール18の埋め込み材19を一部除去する。図11(e)では、反射防止膜16及びレジストパターン20を成膜する。レジストパターン20は、リソグラフィを用いてトレンチパターンを形成している。
【0081】
次に、図11(f)では、レジストパターン20をマスクとして、層間絶縁膜13をエッチングしてトレンチ21を形成する。その後、図11(g)では、エッチングで残った反射防止膜16及びレジストパターン20をアッシングで取り除く。次に、図11(h)では、ビアホール18の底のライナー膜12を除去する。図11(i)では、ビアホール18及びトレンチ21に埋め込むようにメッキ処理で配線材料であるCu膜22を成膜する。図11(j)では、ビアホール18及びトレンチ21に埋め込まれたCu膜22以外をCMP(Chemical Mechanical Polishing)で除去する。最後に、図11(k)では、CMP後のCu膜22及び層間絶縁膜13上にSi34膜23を成膜する。
【0082】
一方、多層レジストを使用する図12(a)では、層間絶縁膜13の最上層15の上に、下層有機膜25、中間層26及びレジストパターン17が積層される。図12(b)では、リソグラフィを用いてビアホールパターンを形成したレジストパターン17をマスクに、ドライエッチング装置で中間層26及び下層有機膜25をエッチング(ドライ現像)する。さらに、図12(b)では、中間層26及び下層有機膜25をマスクに、ビアホール18のエッチングを行う。
【0083】
図12(c)では、アッシングによって残っていた下層有機膜25を除去する。その後、図12(d)では、トレンチパターン形成用に下層有機膜27及び中間層28を各々塗布し、200〜250℃程度の加熱による硬化処理のみを施すことで多層レジストスタックを形成する。次に、リソグラフィを用いてトレンチパターンのレジストパターン20を形成する。
【0084】
ビアホール18の底のSiCN、SiCO、SiC、Si34などからなるライナー膜12が、トレンチの形成時にエッチングされてCu配線11が露出すると、後工程のアッシング、エッチング、洗浄などの化学処理や大気中の水分との反応によってCu配線11の酸化や腐食が進行し、異常成長やボイドが発生することによって配線の非導通や高抵抗といった電気的特性の劣化が生じる。
【0085】
これらの問題を防ぐために、ビアホール18内には、図12(d)に示すように下層有機膜27を充填し、トレンチ形成時のエッチングによってビアホール底のCu配線11が露出することを防止している。下層有機膜27の材料としては、埋め込み性の良好な塗布膜が広く使用されているが、CVD法によって成膜するカーボン膜(α−C)はカバレッジ特性が悪いために適さない。
【0086】
次に、図12(e)では、レジストパターン20をマスクとして用いてドライエッチング(ドライ現像)処理することで、中間層28及び下層有機膜27をパターニングする。続いて、図12(f)では、パターニングした中間層28及び下層有機膜27をマスクとして、層間絶縁膜13をエッチングしてトレンチ21を形成する。
【0087】
しかし、ビアホール18内に充填されている下層有機膜27のエッチング耐性が高すぎると、図13(a)に示すように、下層有機膜27がマスクとなってビアホール18の周りの層間絶縁膜13がエッチングされ難くなるため、一部エッチングされずに残る。この残った部分は、下層有機膜27をアッシングした後の図13(b)に示すようにクラウン状のフェンス形状50と呼ばれる形状異常となる。このようなフェンス形状50は異物の原因となり、また、後工程のCuバリア・シードの成膜カバレッジを悪化させるため、電気的特性の劣化や信頼性の低下を引き起こす。
【0088】
また、エッチング耐性の高い下層有機膜27は、アッシング速度も小さくなるため、長時間のアッシングが必要となり、層間絶縁膜13であるSiOCHなどの低誘電率材料(Low−k膜)へのダメージが大きく、誘電率の増大や信頼性の悪化を引き起こす。
【0089】
一方、下層有機膜27のエッチング耐性を低くすると、フェンス形状50の発生やLow−k膜へのダメージは抑制できるものの、エッチングのマスクとしての耐性が不十分となり、図14(a)(b)に示すようなマスクの残膜不足による加工形状の悪化やパターンの荒れ(LER、LWR(line width roughness))の形状異常51を引き起こす。
【0090】
次に、図12(g)では、図12(f)で残った下層有機膜27を除去する。次に、図12(h)では、ビアホール18の底のライナー膜12を除去する。図12(i)では、ビアホール18及びトレンチ21に埋め込むようにメッキ処理で配線材料であるCu膜22を成膜する。図12(j)では、ビアホール18及びトレンチ21に埋め込まれたCu膜22以外をCMPで除去する。最後に、図12(k)では、CMP後のCu膜22及び層間絶縁膜13上にSi34膜23を成膜する。
【0091】
このように、デュアルダマシン構造を形成する場合に、トレンチエッチング工程で使用する下層有機膜の材料としては、エッチングのマスクとなる部分には低エッチング速度(高エッチング耐性)が必要とされるが、ビアホール内に埋め込む部分には高エッチング速度(低エッチング耐性)や高アッシング速度が望まれており、トレードオフの関係にある。
【0092】
そこで、本実施の形態では、下層有機膜に通常の加熱硬化処理に加えて、プラズマ処理、注入処理、DUV・VUV照射によるハードニング処理を行う。このハードニング処理では、実施の形態1〜4で示したように、処理条件を変化させることで表面から必要な深さの部分のみエッチング耐性を上げることが可能であり、ビアホール内に埋め込まれている部分はハードニング処理の影響を受けないようにすることで上述のトレードオフを解消することが可能となる。
【0093】
図15(a)〜(l)に、本実施の形態に係るデュアルダマシン構造の形成方法のフロー図を示す。なお、図15(a)〜(l)に示すプロセスにおいて、図12(a)〜(k)と同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する場合がある。
【0094】
まず、図15(a)では、下層のCu配線11上にライナー膜12、層間絶縁膜13を形成し、下層有機膜25及び中間層26の多層レジストスタック上に、リソグラフィを用いてビアホールパターンのレジストパターン17を形成する。図15(b)では、このレジストパターン17をマスクに用いて、ドライエッチング装置で中間層26及び下層有機膜25のエッチング(ドライ現像)を行い、さらに中間層26及び下層有機膜25をマスクとしてビアホール18のエッチングを行う。
【0095】
なお、本実施の形態では、下層有機膜25を塗布し加熱硬化処理を施した後に、水素プラズマを用いたハードニング処理を行うことによって、表面部分のエッチング耐性を向上させている。このハードニング処理によって、下層有機膜25のエッチング耐性が上がるため、エッチング選択比が向上し、マスクの突き抜けや変形、ギザつきなどの形状異常を抑制できる。また、下層有機膜25のハードニング処理の代わりに、エッチング耐性の高い下層有機膜25を選択するか、CVD法によって成膜する下層有機膜25を用いても良い。
【0096】
次に、図15(c)でアッシングによって下層有機膜25を除去した後、図15(d)でトレンチパターン形成用に実施の形態1〜3に記載した材料組成からなる下層有機膜30を300〜450nm塗布し、200〜250℃程度の加熱による硬化処理のみを施す。そして、本実施の形態では、下層有機膜30の塗布後に水素プラズマを用いたハードニング処理を行うことによって、表面部分のエッチング耐性を向上させる。
【0097】
水素プラズマを用いたハードニング処理では、プラズマ処理の圧力、プラズマ生成電力、イオン引き込み用のバイアス電力、ガス流量、ウェハを保持するステージ温度などの処理条件を制御することによって、下層有機膜30の改質される層(硬化層)の深さを制御することができる。図15(d)では、下層有機膜30の改質された層が表面から所定の深さまで形成されていることを示すために、グラデーションを付けて表示している。
【0098】
本実施の形態では、後工程のエッチングマスクとなる部分のみ改質(硬化)を行い、ビアホール18内に埋め込まれている下層有機膜30には影響を及ぼさないようにハードニング処理の処理条件を設定することが望ましい。例えば、下層有機膜30を300〜450nm塗布する場合、改質される層の厚さが50〜250nm程度になるようにハードニング処理の処理条件を設定する。また、ハードニング処理には水素プラズマだけでなく、実施例1で記載した、他の還元性のガスを用いたプラズマ処理、イオン注入処理、DUV・VUV照射などを用いても良く、実施の形態1で説明したように、それぞれの処理条件を変化させることで改質させる層の厚みが調整できる。
【0099】
次に、図15(e)に示すように、中間層31を60〜140nm塗布し、200〜250℃程度の加熱による硬化処理のみ施す。なお、下層有機膜30と中間層31とで多層レジストスタックを形成している。さらに、中間層31上に、リソグラフィを用いてトレンチパターンのレジストパターン20を形成する。ここで、中間層31及び上層のレジストパターン20の代わりに、Si含有レジスト、シリル化処理を用いたパターニングを行っても良い。
【0100】
次に、図15(f)では、レジストパターン20をマスクに中間層31及び下層有機膜30をドライエッチング(ドライ現像)処理によってパターニングする。なお、ビアホール18内の下層有機膜30の高さは、オーバーエッチ時間を制御することによって、制御される。次に、図15(g)では、パターニングされた中間層31及び下層有機膜30をマスクにして、層間絶縁膜13等をドライエッチングすることでトレンチ21をパターニングする。
【0101】
マスクとなる下層有機膜30は、ハードニング処理によってエッチング耐性が向上しているため、マスクの残膜不足による加工形状の悪化やパターンの荒れを抑制することができる。一方、下層有機膜30のハードニング処理では、ビアホール18内にほとんど影響を与えないため、エッチング速度が大きく、異常形状であるフェンス形状50の発生を抑制できる。さらに、ビアホール18内の下層有機膜30は、ハードニング処理の影響をほとんど受けていないのでアッシング速度も大きく、トレンチ21のパターニング後に行う図15(h)に示す下層有機膜30のアッシング処理の時間を短縮でき、Low−k材料へのダメージを抑制することができる。ここで、下層有機膜30に対するハードニング処理は、下層有機膜30の上部と、ビアホール18内の下層有機膜30とで処理の影響が異なる。つまり、ビアホール18内の下層有機膜30に比べて下層有機膜30の上部の方がハードニング処理の影響が大きい。
【0102】
なお、図15(i)〜(l)までのプロセスは、図12(h)〜(k)までのプロセスと同じであるため説明を省略する。
【0103】
(実施の形態6)
本実施の形態では、図1等に示した下層有機膜にハードニング処理を施すことで、下層有機膜の光学定数が表面から深さ方向に徐々に変化することについて説明する。ハードニング処理を施した下層有機膜は、表面が炭化(グラファイト化)した状態であるが、深さ方向に炭化の程度が小さくなる。そのため、下層有機膜の光学定数は、表面から深さ方向に、徐々に元の塗布膜の光学定数へと変化する。
【0104】
本実施の形態では、ハードニング処理を施した下層有機膜を含む図16のフィルム構成について、レジストと中間層との界面からの反射率を計算した。なお、ハードニング処理を施した下層有機膜の光学定数(屈折率及び吸光係数)と表面からの深さとの関係を図17(a)(b)に示す。
【0105】
図18(a)に、図16に示すフィルム構成のレジストと中間層との界面からの反射率を示す。なお、図18(b)は、リファレンスとして、ハードニング処理を施さない下層有機膜を含む図16のフィルム構成についての反射率を示している。図18(a)(b)から分かるように、ハードニング処理により徐々に光学定数が変化する下層有機膜を有する場合、屈折率の差が急峻な反射界面がなく光が吸収されるため、効率よく下層有機膜で光が吸収できる。そのため、露光工程において重要となるレジストと中間層との界面からの反射が安定する。
【0106】
また、図18(a)(b)では、露光装置のNA(開口度)を0から1.25まで変化させているが、ハードニング処理を施した下層有機膜を含む図18(a)の方が、収束性(規則性)が高く、あらゆる入射角(NA)に対する反射率を抑制するのに有利である。
【0107】
なお、図示していないが、中間層に対してもハードニング処理を施すことで、中間層の光学定数を表面から深さ方向に徐々に変化させることができ、同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の製造方法のフロー図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係る半導体装置の製造方法のフロー図である。
【図3】本発明の実施の形態3に係る半導体装置の製造方法のフロー図である。
【図4】本発明の実施の形態4に係る半導体装置の製造方法に用いるプラズマ処理装置の概略図である。
【図5】本発明の実施の形態4に係る半導体装置の製造方法のフロー図である。
【図6】本発明の実施の形態4に係る半導体装置の製造方法で行うプラズマ処理を説明するための図である。
【図7】本発明の実施の形態4に係る半導体装置の製造方法で行うプラズマ処理を説明するための図である。
【図8】本発明の実施の形態4に係る半導体装置の製造方法で行うプラズマ処理を説明するための図である。
【図9】本発明の実施の形態4に係る半導体装置の製造方法で用いる装置の概略図である。
【図10】本発明の実施の形態4に係る半導体装置の製造方法で行うEB照射による処理に用いる装置の概略図である。
【図11】本発明の実施の形態5に係る半導体装置の製造方法の前提となるフロー図である。
【図12】本発明の実施の形態5に係る半導体装置の製造方法の前提となるフロー図である。
【図13】本発明の実施の形態5に係る半導体装置の製造方法の前提となるフローを説明するための図である。
【図14】本発明の実施の形態5に係る半導体装置の製造方法の前提となるフローを説明するための図である。
【図15】本発明の実施の形態5に係る半導体装置の製造方法のフロー図である。
【図16】本発明の実施の形態6に係る半導体装置のフィルム構成を説明する図である。
【図17】本発明の実施の形態6に係る半導体装置の下層有機膜の光学定数を示す図である。
【図18】本発明の実施の形態6に係る半導体装置の中間層とレジストとの界面からの反射率を示す図である。
【符号の説明】
【0109】
1 基板、2 被加工膜、3 下層有機膜、4 ハードニング処理、5 中間層、6 レジストパターン、11 Cu配線、12 ライナー膜、13 層間絶縁膜、14 絶縁膜、15 最上層、16 反射防止膜、17,20 レジストパターン、18 ビアホール、19 埋め込み材、21 トレンチ、22 Cu膜、23 Si3N4膜、25,27,30 下層有機膜、26,28,31 中間層、41 反応室、42,72 Si基板、43 下部電極、44 上部電極、45 高周波電源、46 ガス導入口、47 排気口、50 フェンス形状、61 カセットステージ、62 搬送アーム、63 熱板、64 塗布・現像カップ、65 ハードニング処理ユニット、71 EB管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工膜上に、膜の塗布、加熱硬化を行うことで、少なくとも1以上の膜よりなる加工用マスク層を形成し、前記加工用マスク層のうち少なくとも1つの膜に対しハードニング処理を行う加工用マスク層形成工程と、
前記加工用マスク層上に前記露光用レジスト膜を塗布し、露光現像することでレジストパターンを形成し、当該前記レジストパターンをマスクに前記加工用マスク層をエッチングする加工用マスク層エッチング工程と、
前記加工用マスク層エッチング工程で形成された、前記加工用マスク層のパターンをマスクに前記被加工膜をエッチングする被加工膜エッチング工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記加工用マスク層が、有機膜を塗布し加熱硬化させた有機膜の1層のみであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記加工用マスク層が、シリコン酸化物を含む中間層及び有機膜を塗布し加熱硬化させた有機膜を含む多層膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記加工用マスク層形成工程は、前記被加工膜上に下層有機膜を塗布及び加熱硬化させ、さらに前記下層有機膜上にシリコン酸化物を含む中間層を形成し、且つ前記下層有機膜及び前記中間層のうち少なくとも一方にハードニング処理を実施し、
前記加工用マスク層エッチング工程は、前記レジストパターンをマスクに前記中間層をエッチングし、さらに当該エッチングにより形成された前記中間層のパターンをマスクに前記下層有機膜をエッチングし、
前記被加工膜エッチング工程は、前記加工用マスク層エッチング工程で形成された前記下層有機膜のパターンをマスクに前記被加工膜をエッチングすることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記中間層形成工程は、シリセスキオキサン誘導体のポリマーを塗布し、加熱硬化させることで前記中間層を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項3乃至請求項5のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記下層有機膜の形成後に、前記下層有機膜に対して前記ハードニング処理を実施することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項3乃至請求項5のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記中間層の形成後に、前記下層有機膜及び前記中間層のうち少なくとも一方に対して前記ハードニング処理を実施することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項3乃至請求項5のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記下層有機膜の形成後に、前記下層有機膜に対して前記ハードニング処理を実施し、
前記中間層の形成後に、前記中間層に対して前記ハードニング処理を実施することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記ハードニング処理には、所定の原子を注入する注入処理を用いることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1乃至請求項8のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記ハードニング処理には、還元性のプラズマ処理を用いることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記還元性のプラズマ処理は、水素ガスを用いてプラズマ処理を行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項1乃至請求項8のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記ハードニング処理には、UV光又は電子ビームを照射する処理を用いることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項9乃至請求項12のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記ハードニング処理は、処理条件を変更することで硬化層の厚さを調整することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項10又は請求項11に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記プラズマ処理は、処理条件の1つである下部電極に印加する高周波電力を変更することで硬化層の厚さを調整することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項9乃至請求項12のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記ハードニング処理は、処理条件を変更することで硬化層から前記レジストパターンへの反射率を抑制することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項3乃至請求項8のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記下層有機膜の形成、前記中間層の形成、及び還元性のプラズマ処理又はUV光を照射する処理を用いる前記ハードニング処理を同一装置内で連続して処理することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項17】
半導体基板にデュアルダマシン構造を形成する半導体装置の製造方法であって、
下層配線上に形成された低誘電体膜にビアホールを開口する開口工程と、
前記低誘電体膜上に下層有機膜を塗布し、且つ前記ビアホールに前記下層有機膜を埋め込む下層有機膜形成工程と、
前記下層有機膜上にシリコン酸化物を含む中間層を形成する中間層形成工程と、
前記中間層上にトレンチのレジストパターンを形成し、当該前記レジストパターンをマスクに前記中間層をエッチングする中間層エッチング工程と、
前記中間層エッチング工程で形成された前記中間層のパターンをマスクに前記下層有機膜をエッチングする下層有機膜エッチング工程と、
前記下層有機膜エッチング工程で形成された前記下層有機膜のパターンをマスクに前記低誘電体膜をエッチングし、前記ビアホールの底に到達しない深さの前記トレンチを形成するトレンチ形成工程と、
前記下層配線上の前記ビアホールに存在する膜を除去し、配線材料を前記ビアホール及び前記トレンチに埋め込む配線形成工程とを備え、
前記下層有機膜及び前記中間層のうち少なくとも一方にハードニング処理を実施することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項17に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記ハードニング処理は、処理条件を調整することで、前記下層有機膜の上部を、前記ビアホールに埋め込まれた前記下層有機膜の部分よりも硬化させることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−335450(P2007−335450A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−162226(P2006−162226)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】