説明

半導体装置の製造方法

【課題】解像度限界より小さい寸法のパターンを規則的に形成する半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置の製造方法は、構造体としての第1及び第2のパターン13a、13b間に露出する種結晶としての半導体基板10からエピタキシャル結晶としての単結晶膜14を形成し、単結晶膜14を単結晶膜14の融点以下の温度で加熱することにより単結晶膜14を流動させ、流動した単結晶膜14が凝集することにより複数の凝集体15を第1及び第2のパターン13a、13b間に形成することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、表面に凹凸が形成された基板上に機能層を形成し、この機能層に加熱処理を行うことによってデバイスを製造するデバイスの製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この機能層は、第1の機能材料と、第1の機能材料よりも表面エネルギーの大きい第2の機能材料とが層内に混在した、又は積層した構造となっている。このデバイスの製造方法は、レーザ光を機能層に照射することにより機能層を融解し、表面エネルギーの大小によって第1及び第2の機能材料が凹部と凸部に分かれて移動することで基板上にピットパターン又はラインパターンを形成する。
【0004】
しかし、従来のデバイスの製造方法は、レーザ又は電子ビームによって基板に直接パターンを描画する方法、又はフォトリソグラフィ法等を用いて、予め基板にパターンを形成しなければならず、それぞれの方法の解像度限界より小さい寸法のパターンを基板に形成することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−18569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、解像度限界より小さい寸法のパターンを規則的に形成する半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、第1及び第2の構造体間に露出する種結晶からエピタキシャル結晶を形成し、前記エピタキシャル結晶を前記エピタキシャル結晶の融点以下の温度で加熱することにより前記エピタキシャル結晶を流動させ、流動した前記エピタキシャル結晶を凝集させることにより複数の凝集体を前記第1及び第2の構造体間に形成することを含む半導体装置の製造方法を提供する。
【0008】
本発明の他の一態様は、構造体下に露出する種結晶から前記構造体上にかけてエピタキシャル結晶を形成し、前記エピタキシャル結晶を前記エピタキシャル結晶の融点以下の温度で加熱することにより前記エピタキシャル結晶を流動させ、流動した前記エピタキシャル結晶を凝集させることにより複数の凝集体を前記構造体上に形成することを含む半導体装置の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、解像度限界より小さい寸法のパターンを規則的に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1(a)〜(f)は、第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の工程を示す要部断面図である。
【図2】図2(a)〜(f)は、第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の工程を示す要部断面図である。
【図3】図3(a)〜(h)は、第3の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の工程を示す要部断面図である。
【図4】図4(a)〜(e)は、第4の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の工程を示す要部断面図である。
【図5】図5は、第4の実施の形態に係る半導体装置の製造方法における加熱処理後の半導体基板の上面図である。
【図6】図6(a)は、第5の実施の形態に係る半導体装置の製造方法における加熱処理前の半導体基板の上面図であり、(b)は、加熱処理後の半導体基板の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施の形態]
(半導体装置の製造方法)
図1(a)〜(f)は、第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の工程を示す要部断面図である。以下に、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
【0012】
まず、図1(a)に示すように、CVD(Chemical Vapor Deposition)法又は熱酸化法等により、半導体基板10の主面11上に絶縁膜12を形成する。
【0013】
半導体基板10は、例えば、後述する単結晶膜14がエピタキシャル成長することができる程度に格子定数が近く、かつ、単結晶膜14よりも融点が高い材料から形成される。本実施の形態における半導体基板10は、例えば、シリコンを主成分とするシリコン系基板である。
【0014】
絶縁膜12は、例えば、単結晶膜14よりも融点が高い材料から形成される。本実施の形態における絶縁膜12は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0015】
次に、図1(b)に示すように、フォトリソグラフィ法及びRIE(Reactive Ion Etching)法等により、絶縁膜12をパターニングして第1の構造体としての第1のパターン13aと、第2の構造体としての第2のパターン13bとを形成する。
【0016】
この第1及び第2のパターン13a、13bの間隔aは、例えば、50nmである。また、第1及び第2のパターン13a、13bのそれぞれの幅は、例えば、間隔aと同じ寸法である。なお、図1(b)〜(f)では、第1及び第2のパターン13a、13bの一部を図示している。
【0017】
また、第1及び第2のパターン13a、13bは、例えば、間隔a及び幅aのラインアンドスペースパターンを形成する。なお、第1及び第2のパターン13a、13bは、例えば、フォトリソグラフィ法等の解像度限界の寸法を有するパターンであっても良いし、又は解像度限界よりも大きい寸法を有するパターンであっても良い。また、第1及び第2の構造体は、例えば、絶縁膜に限定されず、単結晶膜14よりも高い温度で流動する材料から形成されても良い。
【0018】
次に、図1(c)に示すように、第1及び第2のパターン13a、13b間に露出した半導体基板10の主面11から単結晶薄膜をエピタキシャル成長させ、単結晶膜14を形成する。
【0019】
このエピタキシャル結晶としての単結晶膜14は、例えば、露出した半導体基板10を種結晶としてエピタキシャル成長できる程度に、半導体基板10と格子定数が近い材料から形成される。ここで、単結晶膜14は、例えば、半導体基板10及び絶縁膜12よりも低い温度で流動する材料から形成される。また、単結晶膜14は、例えば、スズをドープしたシリコン膜、ゲルマニウムをドープしたシリコン膜等の半導体基板10及び絶縁膜12よりも低い温度で流動する材料から形成される。本実施の形態における単結晶膜14は、例えば、ゲルマニウム膜であり、膜厚が5nmである。
【0020】
また、単結晶膜14は、例えば、少なくともゲルマニウムを20%以上含有するように形成される。単結晶膜14は、例えば、ゲルマニウム濃度が高くなるにつれて流動する温度が低くなり、後述する加熱処理の温度が低くなる。単結晶膜14が流動を開始する温度は、例えば、ゲルマニウム濃度が20%のとき、およそ900℃であり、ゲルマニウム濃度が30%のとき、およそ850℃であり、ゲルマニウム濃度が40%のとき、およそ800℃である。また、ゲルマニウム濃度が20%のときのシリコンゲルマニウムの融点は、およそ1300℃であり、ゲルマニウム濃度100%のゲルマニウムの融点は、およそ938.25℃である。よって、加熱処理は、例えば、半導体基板10上に形成されるエピタキシャル結晶の融点以下の温度で行われる。
【0021】
次に、水素等の還元性雰囲気中で、単結晶膜14に加熱処理を行う。この加熱処理は、例えば、600℃で数分間(例えば、2〜3分間)行われる。加熱処理により流動した単結晶膜14は、例えば、室温に降温した状態では、複数の凝集体15となる。この凝集体15は、例えば、図1(d)に示すように、第1及び第2のパターン13a、13bの側面側に凝集した凝集体15を基準として等間隔で凝集する。また、凝集体15は、第1及び第2のパターン13a、13bの方向に沿って形成される。
【0022】
なお、加熱処理の温度は、例えば、400〜700℃の範囲内であることが好ましく、500〜600℃の範囲内であることがより好ましい。ただし、加熱処理の時間は、加熱処理の温度が低くなるほど長くなる。
【0023】
この凝集体15は、例えば、最大の膜厚が約10nmである。凝集体15の幅は、例えば、エピタキシャル成長させた単結晶膜14の膜厚によって異なる。なお、加熱処理は、例えば、単結晶膜14にエネルギー線を照射する方法、又は、ヒーター等によって加熱する方法により行われる。
【0024】
次に、図1(e)に示すように、CVD法等により、半導体基板10上に絶縁膜16を形成する。この絶縁膜16は、例えば、絶縁膜12と同じ材料から形成される。
【0025】
次に、図1(f)に示すように、凝集体15を除去することで絶縁膜16からなる複数のパターン17を得る。この複数のパターン17は、例えば、第1及び第2のパターン13a、13b間に幅b及び間隔cで並ぶラインアンドスペースパターンとなる。また、パターン17の幅b及び間隔cは、例えば、同じ寸法である。続いて、この複数のパターン17をマスクとして半導体基板10を加工し、周知の工程を経て所望の半導体装置を得る。
【0026】
(第1の実施の形態の効果)
本実施の形態に係る半導体装置の製造方法によれば、単結晶膜14を加熱処理することによる自己組織化によって、規則的に並ぶ複数の凝集体15を形成しているので、フォトリソグラフィ法等の解像度限界より小さい寸法のラインアンドスペースパターンを形成することができる。
【0027】
本実施の形態に係る半導体装置の製造方法によれば、単結晶膜14を加熱処理することによる自己組織化によって、複数の凝集体15が規則的に並ぶので、フォトリソグラフィ法等によって同様の構造を形成する場合と比べて、工程数が削減でき、また、半導体装置の製造に要する時間を短縮することができる。また、上記の半導体装置の製造方法によれば、半導体装置の製造コストを削減することができる。
【0028】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、単結晶膜14の膜厚が第1の実施の形態における膜厚と比べて厚い点で第1の実施の形態と異なっている。
【0029】
図2(a)〜(f)は、第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の工程を示す要部断面図である。なお、以下に示す各実施の形態において、第1の実施の形態と同じ構成を有する部分については、第1の実施の形態と同じ符号を付し、その説明は省略するものとする。以下に、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
【0030】
まず、図2(a)に示すように、CVD法又は熱酸化法等により、半導体基板10の主面11上に絶縁膜12を形成する。
【0031】
次に、図2(b)に示すように、フォトリソグラフィ法及びRIE法等により、絶縁膜12をパターニングして第1及び第2のパターン13a、13bを形成する。
【0032】
この第1及び第2のパターン13a、13bは、例えば、第1の実施の形態と同様に間隔及び幅が等しいラインアンドスペースパターンを形成する。なお、図2(b)〜(f)では、第1及び第2のパターン13a、13bの一部を図示している。
【0033】
次に、図2(c)に示すように、第1及び第2のパターン13a、13b間に露出した半導体基板10から単結晶薄膜をエピタキシャル成長させ、単結晶膜14を形成する。
【0034】
この単結晶膜14は、例えば、膜厚が10nmである。
【0035】
次に、水素等の還元性雰囲気中で、単結晶膜14に加熱処理を行う。この加熱処理は、例えば、600℃で数分間(例えば、2〜3分間)行われる。加熱処理により流動した単結晶膜14は、例えば、室温に降温した状態では、複数の凝集体15となる。この凝集体15は、例えば、図2(d)に示すように、第1及び第2のパターン13a、13bの側面側に凝集した凝集体15を基準として等間隔に凝集する。第1及び第2のパターン13a、13bの間には、複数の凝集体15が形成される。しかし、第1の実施の形態と比べて、凝集体15の個数は減少した。また、この凝集体15は、例えば、最大の膜厚が、第1の実施の形態よりも厚い約20nmである。
【0036】
次に、図2(e)に示すように、CVD法等により、半導体基板10上に絶縁膜16を形成する。
【0037】
次に、図2(f)に示すように、凝集体15を除去することで絶縁膜16からなる複数のパターン18を得る。この複数のパターン18は、例えば、第1及び第2のパターン13a、13b間に幅d及び間隔eで並ぶラインアンドスペースパターンとなる。このパターン18の幅d及び間隔eは、例えば、同じ寸法である。続いて、この複数のパターン18をマスクとして半導体基板10を加工し、周知の工程を経て所望の半導体装置を得る。
【0038】
(第2の実施の形態の効果)
本実施の形態に係る半導体装置の製造方法によれば、半導体基板10上にエピタキシャル成長させる単結晶膜14の膜厚、又は第1及び第2のパターン13a、13bの間隔を変えることで、自己組織化によって形成される凝集体15の数、膜厚、幅及び間隔を制御することができる。
【0039】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態は、半導体基板10の主面11側に複数の溝22を形成した点で上記の実施の形態と異なっている。
(半導体装置の製造方法)
図3(a)〜(h)は、第3の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の工程を示す要部断面図である。以下に、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
【0040】
まず、図3(a)に示すように、半導体基板10上にレジストパターン20を形成する。具体的には、例えば、半導体基板10上にレジスト膜を形成し、フォトリソグラフィ法により、フォトマスクのパターンの潜像をレジスト膜に形成した後、レジスト膜を現像し、レジストパターン20を形成する。
【0041】
次に、図3(b)に示すように、RIE法等により、レジストパターン20をマスクとして主面11をエッチングした後、レジストパターン20を除去し、複数の溝22を形成する。
【0042】
次に、図3(c)に示すように、CVD法等により、半導体基板10上に絶縁膜12を形成する。
【0043】
次に、図3(d)に示すように、フォトリソグラフィ法及びRIE法等により、絶縁膜12をパターニングして第1及び第2のパターン24a、24bを形成する。この第1及び第2のパターン24a、24bは、例えば、少なくとも溝22の底部が露出するように形成される。
【0044】
次に、図3(e)に示すように、第1及び第2のパターン24a、24b間に露出する半導体基板10の主面11及び溝22に単結晶膜14をエピタキシャル成長させる。
【0045】
次に、図3(f)に示すように、水素等の還元性雰囲気中で加熱処理を行い、複数の凝集体26を形成する。この加熱処理は、例えば、600℃で数分間(例えば、2〜3分間)行われる。凝集体15は、例えば、溝22があることにより、この領域の単結晶膜14の体積が他の領域よりも多いため、この溝22に凝集し易くなる。
【0046】
次に、図3(g)に示すように、CVD法等により、半導体基板10上に絶縁膜16を形成する。
【0047】
次に、図3(h)に示すように、単結晶膜14を除去することで絶縁膜16からなるパターン28を得る。このパターン28は、例えば、第1及び第2のパターン24a、24bの中央に形成されるラインパターンとなる。このパターン28の幅fは、例えば、パターン28と第1又は第2のパターン24a、24bの間隔gと同じ寸法である。続いて、このパターン28をマスクとして半導体基板10を加工し、周知の工程を経て所望の半導体装置を得る。
【0048】
(第3の実施の形態の効果)
本実施の形態に係る半導体装置の製造方法によれば、半導体基板10に溝22を形成することにより、凝集体15を溝22の近傍に凝集させることができる。また、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法によれば、所望の位置に溝22を形成することにより、凝集体15の凝集する位置を制御することができる。
【0049】
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態は、半導体基板10の主面11側に段差を形成した点で上記の実施の形態と異なっている。
【0050】
図4(a)〜(e)は、第4の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の工程を示す要部断面図である。以下に、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
【0051】
まず、図4(a)に示すように、半導体基板10の主面11上にレジストパターン30を形成する。具体的には、例えば、主面11上にレジスト膜を形成し、フォトリソグラフィ法により、フォトマスクのパターンの潜像をレジスト膜に形成した後、レジスト膜を現像してレジストパターン30を形成する。
【0052】
次に、RIE法等により、レジストパターン30をマスクにして主面11をエッチングして段差部110を形成し、レジストパターン30を除去する。この段差部110は、主面11よりも半導体基板10の厚さが薄くなっている。
【0053】
次に、図4(b)に示すように、CVD法等により、半導体基板10上に絶縁膜12を形成する。
【0054】
次に、図4(c)に示すように、フォトリソグラフィ法及びRIE法等により、絶縁膜12をパターニングして第1のパターン120と第2のパターン121を形成する。
【0055】
第1のパターン120は、例えば、主面11上に形成されたラインパターンである。第2のパターン121は、例えば、段差部110上に形成された断面略L字形状のパターンである。第2のパターン121は、第1のパターン120側の端部が第1のパターン120と接触しないように形成されている。よって、第1のパターン120と第2のパターン121の境界には、凹部32が形成される。この凹部32の底部には、半導体基板10が露出している。
【0056】
次に、図4(d)に示すように、凹部32の底部に露出した半導体基板10を種結晶として単結晶薄膜をエピタキシャル成長させ、単結晶膜14を形成する。
【0057】
次に、水素等の還元性雰囲気中で、単結晶膜14の加熱処理を行い、複数の凝集体15を形成する。この加熱処理は、例えば、600℃で数分間(例えば、2〜3分間)行われる。この凝集体15は、例えば、図4(e)に示すように、第2のパターン121の側面側に凝集した凝集体15を基準として等間隔で第2のパターン121上に凝集する。この凝集体15の幅hは、例えば、凝集体15の間隔iと同じである。
【0058】
この複数の凝集体15の下には、絶縁膜12が露出している。また、凹部32は、単結晶膜14が露出している。
【0059】
次に、図4(e)に示すように、複数の凝集体15をマスクとして第2のパターン121を加工し、周知の工程を経て所望の半導体装置を得る。
【0060】
(第4の実施の形態の効果)
本実施の形態に係る半導体装置の製造方法によれば、絶縁膜12上に形成された単結晶膜14に加熱処理を行うことで、流動した単結晶膜14を凝集して複数の凝集体15を形成することができる。
【0061】
また、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法によれば、単結晶膜14を加熱処理することによる自己組織化によって規則的に並ぶ複数の凝集体15を形成し、フォトリソグラフィ法等の解像度限界より小さいパターンを形成することができる。
【0062】
[第5の実施の形態]
第5の実施の形態は、凝集体15を半導体基板10の主面11に島形状に形成する点で上記の実施の形態と異なっている。
【0063】
図5は、第5の実施の形態に係る半導体装置の製造方法における加熱処理後の半導体基板の上面図である。以下に、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
【0064】
まず、CVD法又は熱酸化法等により、半導体基板10の主面11上に絶縁膜を形成する。
【0065】
次に、フォトリソグラフィ法及びRIE法等により、絶縁膜をパターニングして第1及び第2のパターン13a、13bを形成する。
【0066】
次に、第1及び第2のパターン13a、13b間に露出した半導体基板10を種結晶としたエピタキシャル成長により、単結晶膜を形成する。
【0067】
単結晶膜は、例えば、ゲルマニウム濃度が高くなるにつれて、流動した後に凝集する凝集体15が高密度に形成される。なお、高密度とは、単位面積当たりの凝集体15の個数が多いことを示している。本実施の形態の単結晶膜は、例えば、ゲルマニウム濃度が30%のシリコンゲルマニウム膜である。また、単結晶膜は、例えば、膜厚が25nmである。
【0068】
次に、水素等の還元性雰囲気中で、単結晶膜に加熱処理を行い、複数の凝集体15を形成する。この加熱処理は、例えば、850℃で1分間行われる。
【0069】
凝集体15は、例えば、図5に示すように、第1及び第2のパターン13a、13bの側面側に凝集した凝集体15を基準として等間隔に凝集する。第1及び第2のパターン13a、13bの間には、例えば、図5に示すように、島形状を有する複数の凝集体15が形成される。
【0070】
次に、CVD法等により、絶縁膜を形成した後、凝集体15を除去することで絶縁膜からなるパターンを形成し、このパターンをマスクとして半導体基板10を加工し、周知の工程を経て所望の半導体装置を得る。
【0071】
なお、本実施の形態における凝集体15は、例えば、直径が約200nmである。条件を変えて凝集体15を形成したところ、第1及び第2のパターン13a、13bの間隔が250nmのとき、凝集体15は、第1のパターン13aの側面と第2のパターン13bの側面に接し、また、第1及び第2のパターン13a、13bに沿って形成される。また、間隔が500nmのとき、凝集体15は、交互に第1及び第2のパターン13a、13bの側面に接し、また、第1及び第2のパターン13a、13bに沿って形成される。さらに、間隔が1000nmのとき、凝集体15は、第1及び第2のパターン13a、13bの側面に沿って形成され、また、第1及び第2のパターン13a、13bの中央にも並んで形成される。
【0072】
(第5の実施の形態の効果)
本実施の形態に係る半導体装置の製造方法によれば、島形状を有する複数の凝集体15を規則的に並べて形成することができる。このような凝集体15の規則的な形成は、例えば、規則的に開口部を形成するような半導体装置の製造工程に用いることができる。
【0073】
[第6の実施の形態]
第6の実施の形態は、単結晶膜14の組成を変えて絶縁膜12上に凝集体15を形成した点で上記の実施の形態と異なっている。
【0074】
図6(a)は、第6の実施の形態に係る半導体装置の製造方法における加熱処理前の半導体基板の上面図であり、(b)は、加熱処理後の半導体基板の上面図である。以下に、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
【0075】
第1〜第5の実施の形態では、構造体間に単結晶膜14を形成し、この単結晶膜14に加熱処理を行って流動させた後、単結晶膜14の温度が下がることにより凝集して複数の凝集体15を形成した。しかし、本実施の形態では、構造体下に露出する種結晶から構造体上にかけてエピタキシャル結晶を形成し、構造体上のエピタキシャル結晶に加熱処理を行うことによりエピタキシャル結晶を流動させ、流動したエピタキシャル結晶の温度が下がり凝集することにより複数の凝集体が構造体上に形成される。
【0076】
まず、図6(a)に示すように、例えば、半導体基板10上に絶縁膜12を形成し、その絶縁膜12上に半導体基板10を種結晶としたエピタキシャル成長により、単結晶膜14を絶縁膜12上に形成する。この単結晶膜14は、例えば、島形状の凝集体15を形成し易くするため、ゲルマニウム濃度が40%のシリコンゲルマニウム膜とする。
【0077】
次に、図6(b)に示すように、絶縁膜12上の単結晶膜14に対する加熱処理により、単結晶膜14を流動させ、流動した単結晶膜14の温度が下がることにより複数の凝集体15が形成される。この加熱処理は、例えば、800℃で1分間行われる。
【0078】
この凝集体15は、例えば、図6(b)に示すように、絶縁膜12上に、島形状を有して並ぶので、この凝集体15をマスクとして半導体装置を製造することができる。
【0079】
(第6の実施の形態の効果)
本実施の形態に係る半導体装置の製造方法によれば、ガイドとなる構造体がない状態であっても、規則的に並ぶ複数の凝集体15を形成することができる。
【0080】
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されず、本発明の技術思想を逸脱あるいは変更しない範囲内で種々の変形及び組み合わせが可能である。
【0081】
上記の実施の形態において、例えば、構造体をガイドにしたり、溝22をガイドにしたりすることで凝集体15が凝集する位置を制御したが、凝集体15が形成される表面の表面エネルギーの差によって凝集体15が凝集する位置等を制御しても良い。
【0082】
また、第4の実施の形態に係る半導体装置の製造方法において、単結晶膜14の上にシリコン膜を成膜しても良い。凝集体15は、例えば、このシリコン膜と単結晶膜14との格子定数の違いに起因する歪によって、島形状になり易くなる。また、凝集体15は、単結晶膜14上にシリコン膜が形成されるとき、シリコンとゲルマニウムが混在して凝集したものとなる。
【0083】
また、半導体基板10の面方位を選択して単結晶膜14を形成することにより、例えば、凝集体15の数、膜厚、幅及び間隔を制御することも可能である。
【符号の説明】
【0084】
10…半導体基板、12…絶縁膜、13a、24a、120…第1のパターン、13b、24b、121…第2のパターン、14…単結晶膜、15…凝集体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の構造体間に露出する種結晶からエピタキシャル結晶を形成し、
前記エピタキシャル結晶を前記エピタキシャル結晶の融点以下の温度で加熱することにより前記エピタキシャル結晶を流動させ、流動した前記エピタキシャル結晶を凝集させることにより複数の凝集体を前記第1及び第2の構造体間に形成することを含む半導体装置の製造方法。
【請求項2】
構造体下に露出する種結晶から前記構造体上にかけてエピタキシャル結晶を形成し、
前記エピタキシャル結晶を前記エピタキシャル結晶の融点以下の温度で加熱することにより前記エピタキシャル結晶を流動させ、流動した前記エピタキシャル結晶を凝集させることにより複数の凝集体を前記構造体上に形成することを含む半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1及び第2の構造体は、ラインアンドスペースパターンを形成し、
前記複数の凝集体は、前記第1及び第2の構造体間に、ラインアンドスペースパターンを形成する請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記複数の凝集体は、それぞれが島形状を有し、前記第1及び第2の構造体の間、又は前記構造体上に規則的に並ぶ請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記エピタキシャル結晶は、ゲルマニウム結晶である請求項1乃至4に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−204720(P2011−204720A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67774(P2010−67774)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】