説明

半導体装置及び半導体装置の製造方法

【課題】チップサイズを増大させずに、より少ない製造工程数で製造された、抵抗値の異なる複数の抵抗素子を備えた半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】レジストマスク36をマスクとしてゲート電極23とマスク層22とを同一部材及び同一工程で形成し、形成されたマスク層22により高抵抗素子40となるポリシリコン高抵抗層16及びポリシリコン低抵抗層18の積層体と、低抵抗素子42となるポリシリコン高抵抗層16及びポリシリコン低抵抗層18の積層体と、をエッチングすることにより高抵抗素子40と、抵抗値が高抵抗素子40よりも低い低抵抗素子42と、を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関し、特に、半導体素子と、抵抗値が異なる複数の抵抗素子と、が基板上に形成された半導体装置及び半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体集積回路等では、半導体素子及び抵抗値の異なる複数の抵抗素子が基板上に形成された半導体装置が用いられる。当該抵抗素子は、一般に、ポリシリコン抵抗が用いられている。
【0003】
このような半導体装置では、抵抗値の異なる複数の抵抗素子を基板上に形成する場合、抵抗素子の大きさを変えることにより、抵抗値を異ならせている。例えば、抵抗値が低い抵抗素子では、抵抗幅(素子の幅、図18参照)を大きく設定し、一方、抵抗値が高い抵抗素子では、抵抗長(素子の長さ、図18参照)を大きく設定する。
【0004】
このように抵抗素子の大きさを変えることにより、チップ(半導体装置)サイズの増大や、素子の集積度の低下を招く場合がある。
【0005】
そのため、抵抗素子の大きさを変えずに、抵抗値の異なる複数の抵抗素子を基板上に形成する技術として、基板上に絶縁膜を介して抵抗値の異なる抵抗層を積層し、さらにその上にエッチングコントロール層を積層し、エッチングコントロール層を利用してコンタクトの深さを異ならせる技術がある(例えば、特許文献1参照)
【0006】
また、抵抗素子の大きさを変えずに、抵抗値の異なる複数の抵抗素子を基板上に形成する技術として、基板上に形成されたポリシリコン層に不純物を選択的に注入(ドーピング)することにより、抵抗値を異ならせる技術がある。当該技術を用いて基板上に、半導体素子及び抵抗値の異なる複数の抵抗素子を形成する方法の具体的一例について図13から図18を用いて説明する。なお、具体的一例として、半導体素子としてMOS型電界効果トランジスタを形成する場合について説明する。
【0007】
まず、基板としてシリコン基板112上の抵抗素子形成領域130上及び素子形成領域132上に、フィールド酸化膜114を形成する。具体的一例としては、公知のLOCOS(Local Oxidation of Silicon)法により、シリコン酸化膜を形成する。形成されたフィールド酸化膜114上(シリコン基板112の主表面側)に、例えばCVD法により、ポリシリコン膜を形成する。さらに、形成されたポリシリコン膜に不純物を注入して、ポリシリコン高抵抗層116を形成する。具体的一例としては、イオン種がリン、エネルギーが60keV、照射量が1×1015個/cmの条件で、公知のインプラ技術を用いて、不純物としてのイオンをポリシリコン膜に注入することにより、ポリシリコン高抵抗層116を形成する。さらに、形成されたポリシリコン高抵抗層116の上に、例えばCVD法により、シリコン窒化膜である絶縁膜120を形成する(図13)。
【0008】
次に、ポリシリコン低抵抗層118を形成するためのレジストマスク148を、公知のホトリソ技術により、絶縁膜120上に、パターニング形成する。そして、レジストマスク148をマスクにして、ポリシリコン高抵抗層116に不純物を注入して、ポリシリコン低抵抗層118を形成する。具体的一例としては、イオン種がリン、エネルギーが60keV、照射量が5×1015個/cmの条件で、公知のインプラ技術を用いて、不純物としてのイオンをポリシリコン高抵抗層116に注入することにより、ポリシリコン低抵抗層118を形成する(図14)。
【0009】
次に、レジストマスク148が除去された絶縁膜120上に、抵抗素子パターンを形成するためのレジストマスク134を、公知のホトリソ技術により、パターニング形成する。そして、レジストマスク134をマスクにして、公知のドライエッチング技術等により、ポリシリコン膜(ポリシリコン高抵抗層16)をエッチング除去することにより、ポリシリコン高抵抗層116と、ポリシリコン低抵抗層118とを分離する(図15)。
【0010】
次に、半導体素子形成領域132に形成されているフィールド酸化膜114を除去し、除去した領域にゲート酸化膜115を形成する。なお、フィールド酸化膜114とゲート酸化膜115とは同一部材であることが好ましい。さらにポリシリコン膜121を抵抗素子形成領域130上及び半導体素子形成領域132上に形成する(図16)。
【0011】
次に、ゲート電極123を形成するためのレジストマスク136を、公知のホトリソ技術により、ポリシリコン膜121上にパターニング形成する。そして、レジストマスク136をマスクにして、公知のドライエッチング技術等により、ポリシリコン膜121の不要部分を除去し、ゲート電極122を形成する(図17)。
【0012】
次に、ゲート電極23をマスクにしてソース/ドレイン拡散層24を形成する。さらに、シリコン基板112全面に、中間絶縁膜126を形成した後、コンタクト孔127を形成する。具体的一例としては、プラズマエッチングにより、コンタクト孔127を形成する。さらに、形成したコンタクト孔127にCVD法等によりタングステン等の金属膜を堆積してメタル電極128を形成した後、パターニングにより配線129を形成する(図18)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2001−320016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら上述した従来の技術では、半導体装置を製造するための工程数がかかる。特に、基板上に形成されたポリシリコン層に不純物を選択的に注入することにより、抵抗値を異ならせる技術の場合、ポリシリコン低抵抗層118を形成するために、ホトリソ技術によりパターニングを行うホトリソ工程が必要になるため、ホトリソ工程が増加する。
【0015】
このような製造工程の増加は、例えば、製造コストの増加を招くため、問題となる。
【0016】
本発明は、上述した問題を解決するために提案されたものであり、チップサイズを増大させずに、より少ない製造工程数で製造された、抵抗値の異なる複数の抵抗素子を備えた半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
請求項1に記載の半導体装置は、半導体素子が形成される半導体素子形成領域、第1の抵抗素子が形成される第1の抵抗素子形成領域、及び前記第1の抵抗素子よりも抵抗値が低い第2の抵抗素子が形成される第2の抵抗素子形成領域を含む基板と、前記第1の抵抗素子形成領域上に絶縁膜を介して形成された第1の抵抗素子と、前記第2の抵抗素子形成領域上に絶縁膜を介して形成された、前記第1の抵抗素子よりも抵抗値が低い第2の抵抗素子と、前記半導体素子形成領域上に絶縁膜を介して形成された電極と、前記第2の抵抗素子上に絶縁膜を介して形成された、前記電極と同一部材で形成されたマスク層と、を備える。
【0018】
請求項2に記載の半導体装置は、請求項1に記載の半導体装置において、前記第1の抵抗素子は、前記第1の抵抗素子形成領域上に絶縁膜を介して形成された第1の抵抗層を有し、前記第2の抵抗素子は、前記第2の抵抗素子形成領域上に絶縁膜を介して形成された第1の抵抗層及び前記第1の抵抗層上に形成された前記第1の抵抗層よりも抵抗値が低い第2の抵抗層を有する。
【0019】
請求項3に記載の半導体装置は、請求項1または請求項2に記載の半導体装置において、前記半導体素子がMOS型電界効果トランジスタであり、前記電極が前記MOS型電界効果トランジスタのゲート電極である。
【0020】
請求項4に記載の半導体装置の製造方法は、半導体素子が形成される半導体素子形成領域、第1の抵抗素子が形成される第1の抵抗素子形成領域、及び前記第1の抵抗素子よりも抵抗値が低い第2の抵抗素子が形成される第2の抵抗素子形成領域を含む基板の、前記第1の抵抗素子形成領域上及び前記第2の抵抗素子形成領域上に絶縁膜を介して第1のポリシリコン層を形成する第1工程と、前記第1工程により形成された前記第1のポリシリコン層に不純物を注入して、前記第1の抵抗素子形成領域上及び前記第2の抵抗素子形成領域上に第1の抵抗層を形成する第2工程と、前記第2工程により形成された前記第1の抵抗層に不純物を注入して、前記第1の抵抗層上に前記第1の抵抗層よりも抵抗値の低い第2の抵抗層を形成する第3工程と、前記第2工程により前記第1の抵抗層が形成され、前記第3工程により前記第2の抵抗層が形成された前記ポリシリコン層をパターニングして、前記第1の抵抗層及び前記第2の抵抗層を含む第1の抵抗素子を前記第1の抵抗素子形成領域上に形成すると共に、前記第1の抵抗層及び前記第2の抵抗層を含む第2の抵抗素子を前記第2の抵抗素子形成領域上に形成する第4工程と、前記半導体素子形成領域上、前記第4工程により形成された前記第1の抵抗素子上、及び前記第4工程により形成された前記第2の抵抗素子上に、第2のポリシリコン層を形成する第5工程と、前記第5工程により形成された前記第2のポリシリコン層をパターニングして、前記半導体素子形成領域上に絶縁膜を介して電極を形成すると共に、前記第4工程で形成された前記第2の抵抗素子上に、マスク層を形成する第6工程と、前記第6工程により形成されたマスク層を用いて前記第1の抵抗素子及び前記第2の抵抗素子をエッチングする第7工程と、を備える。
【0021】
請求項5に記載の半導体装置の製造方法は、請求項4に記載の半導体装置の製造方法において、前記第7工程は、前記第1の抵抗素子及び前記第2の抵抗素子に含まれる前記第1の抵抗層の表面が露出するまでエッチングする。
【0022】
請求項6に記載の半導体装置の製造方法は、請求項4または請求項5に記載の半導体装置の製造方法において、前記半導体素子がMOS型電界効果トランジスタであり、前記電極が前記MOS型電界効果トランジスタのゲート電極である。
【0023】
請求項7に記載の半導体装置は、半導体素子が形成される半導体素子形成領域、第1の抵抗素子が形成される第1の抵抗素子形成領域、及び前記第1の抵抗素子よりも抵抗値が低い第2の抵抗素子が形成される第2の抵抗素子形成領域を含む基板と、前記第1の抵抗素子形成領域上に絶縁膜を介して形成された第1の抵抗素子と、前記第2の抵抗素子形成領域上に絶縁膜を介して形成された、前記第1の抵抗素子よりも抵抗値が低い第2の抵抗素子と、前記半導体素子形成領域上に絶縁膜を介して形成された第3の抵抗素子上に、絶縁膜を介して形成された電極と、前記第2の抵抗層形成領域上に形成された、前記第2の抵抗素子上に絶縁膜を介して形成された、前記電極と同一部材で形成されたマスク層と、を備える。
【0024】
請求項8に記載の半導体装置は、請求項7に記載の半導体装置において、前記第1の抵抗素子は、前記第1の抵抗素子形成領域上に絶縁膜を介して形成された第1の抵抗層を有し、前記第2の抵抗素子は、前記第2の抵抗素子形成領域上に絶縁膜を介して形成された第1の抵抗層及び前記第1の抵抗層上に形成された前記第1の抵抗層よりも抵抗値が低い第2の抵抗層を有し、前記第3の抵抗素子は、前記半導体素子形成領域上に絶縁膜を介して形成された第1の抵抗層及び前記第1の抵抗層上に形成された第2の抵抗層を有する。
【0025】
請求項9に記載の半導体装置は、請求項7または請求項8に記載の半導体装置において、前記半導体素子がキャパシタであり、前記電極が前記キャパシタの電極である。
【0026】
請求項10に記載の半導体装置の製造方法は、半導体素子が形成される素子形成領域、第1の抵抗素子が形成される第1の抵抗素子形成領域、及び前記第1の抵抗素子よりも抵抗値が低い第2の抵抗素子が形成される第2の抵抗素子形成領域を含む基板の、前記第1の抵抗素子形成領域上及び前記第2の抵抗素子形成領域上に絶縁膜を介して第1のポリシリコン層を形成する第1工程と、前記第1工程により形成された前記第1のポリシリコン層に不純物を注入して、前記半導体素子形成領域上、前記第1の抵抗素子形成領域上、及び前記第2の抵抗素子形成領域上に第1の抵抗層を形成する第2工程と、前記第2工程により形成された前記第1の抵抗層に不純物を注入して、前記第1の抵抗層上に前記第1の抵抗層よりも抵抗値の低い第2の抵抗層を形成する第3工程と、前記第2工程により前記第1の抵抗層が形成され、前記第3工程により前記第2の抵抗層が形成された前記ポリシリコン層をパターニングして、前記第1の抵抗層及び前記第2の抵抗層を含む半導体素子を前記半導体素子形成領域上に形成すると共に、前記第1の抵抗層及び前記第2の抵抗層を含む第1の抵抗素子を前記第1の抵抗素子形成領域上に形成し、かつ、前記第1の抵抗層及び前記第2の抵抗層を含む第2の抵抗素子を前記第2の抵抗素子形成領域上に形成する第4工程と、前記第4工程により形成された前記半導体素子上、前記第4工程により形成された前記第1の抵抗素子上、及び前記第4工程により形成された前記第2の抵抗素子上に、第2のポリシリコン層を形成する第5工程と、前記第5工程により形成された前記第2のポリシリコン層をパターニングして、前記第4工程で形成された前記半導体素子上に絶縁膜を介して電極を形成すると共に、前記第4工程で形成された前記第2の抵抗素子上に、マスク層を形成する第6工程と、前記第6工程により形成されたマスク層を用いて前記第1の抵抗素子及び前記第2の抵抗素子をエッチングする第7工程と、を備える。
【0027】
請求項11に記載の半導体装置の製造方法は、請求項10に記載の半導体装置の製造方法において、前記第7工程は、前記第1の抵抗素子及び前記第2の抵抗素子に含まれる前記第1の抵抗層の表面が露出するまでエッチングする。
【0028】
請求項12に記載の半導体装置の製造方法は、請求項10または請求項11に記載の半導体装置の製造方法において、前記半導体素子がキャパシタであり、前記電極が前記キャパシタの電極である。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、チップサイズを増大させずに、より少ない製造工程数で製造された、抵抗値の異なる複数の抵抗素子を備えた半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第1の実施の形態に係る半導体装置の具体的一例の断面図である。
【図2】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す具体的一例の断面図である。
【図3】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す具体的一例の断面図である。
【図4】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す具体的一例の断面図である。
【図5】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す具体的一例の断面図である。
【図6】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す具体的一例の断面図である。
【図7】第2の実施の形態に係る半導体装置の具体的一例の断面図である。
【図8】第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す具体的一例の断面図である。
【図9】第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す具体的一例の断面図である。
【図10】第21の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す具体的一例の断面図である。
【図11】第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す具体的一例の断面図である。
【図12】第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す具体的一例の断面図である。
【図13】従来の半導体装置の製造工程を示す具体的一例の断面図である。
【図14】従来の半導体装置の製造工程を示す具体的一例の断面図である。
【図15】従来の半導体装置の製造工程を示す具体的一例の断面図である。
【図16】従来の半導体装置の製造工程を示す具体的一例の断面図である。
【図17】従来の半導体装置の製造工程を示す具体的一例の断面図である。
【図18】従来の半導体装置の具体的一例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[第1の実施の形態]
【0032】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0033】
(半導体装置の構成)
【0034】
まず、本実施の形態の半導体装置10の構成について説明する。図1に、本実施の形態の半導体装置10の具体的一例の断面図を示す。本実施の形態の半導体装置10は、シリコン基板12上に、高抵抗素子40、低抵抗素子42、及び半導体素子44が形成されたものである。なお、本実施の形態では、具体的一例として、半導体素子44がMOS型電界効果トランジスタである場合について説明する。
【0035】
本実施の形態の半導体装置10は、シリコン基板12上に、フィールド酸化膜14及びゲート酸化膜15が形成されている。フィールド酸化膜14は、高抵抗素子40及び低抵抗素子42の下地層として、シリコン基板12の抵抗素子形成領域30(詳細後述)に形成されており、ゲート酸化膜15は、半導体素子44の下地層として、シリコン基板12の半導体素子形成領域32(詳細後述)に形成されている。
【0036】
フィールド酸化膜14の上には、高抵抗素子40及び低抵抗素子42が形成されている。高抵抗素子40は、フィールド酸化膜14上に堆積されたポリシリコン高抵抗層16を含んで構成されている。低抵抗素子42は、フィールド酸化膜14上に堆積されたポリシリコン高抵抗層16、及びポリシリコン高抵抗層16上に堆積されたポリシリコン低抵抗層18を含んで構成されている。なお、本実施の形態では、ポリシリコン高抵抗層16は、ポリシリコン低抵抗層18よりも抵抗値が高いポリシリコンの積層膜である。
【0037】
高抵抗素子40はポリシリコン高抵抗層16を含んで構成されており、低抵抗素子42はポリシリコン高抵抗層16及びポリシリコン高抵抗層16上に堆積されたポリシリコン低抵抗層18を含んでいる。従って、低抵抗素子42の抵抗値は、高抵抗素子40の抵抗値よりも低くなる。
【0038】
低抵抗素子42のポリシリコン低抵抗層18上には、絶縁膜20が形成されており、さらに絶縁膜20の上には、マスク層22(21)が形成されている。マスク層22は、高抵抗素子40及び低抵抗素子42を形成した際に、各抵抗素子をエッチングする際のマスクとして機能したものである。
【0039】
また、ゲート酸化膜15の上には、半導体素子44が形成されている。半導体素子44は、ゲート酸化膜15上に形成されたゲート電極23(21)、ソース/ドレイン拡散層(ソース電極、ドレイン電極)24を含んで構成されている。なお、半導体素子44がPチャネルMOS型電界効果トランジスタである場合は、シリコン基板12はN型シリコン基板であり、ソース/ドレイン拡散層24は高濃度P型不純物が注入された拡散層である。また、半導体素子44がNチャネルMOS型電界効果トランジスタである場合は、シリコン基板12はP型シリコン基板であり、ソース/ドレイン拡散層24は高濃度N型不純物が注入された拡散層である。
【0040】
なお、本実施の形態では、マスク層22及びゲート電極23は同一部材(ポリシリコン膜21)で、同一工程により形成されたものである。
【0041】
さらに、高抵抗素子40、低抵抗素子42、及び半導体素子44全体の上、シリコン基板12全面に中間絶縁膜26が形成されている。中間絶縁膜26には、複数のコンタクト孔27がそれぞれ所定の深さまで開けられており、コンタクト孔27の内部には、メタル電極28が形成されている。さらに中間絶縁膜26の表面(上面)には、メタル電極28の上端部に接続された配線29が形成されている。
【0042】
(半導体装置の製造方法)
【0043】
次に、本実施の形態の半導体装置10の製造方法について説明する。図2〜図6は本実施の形態の半導体装置10の製造方法を示す工程順の半導体装置10の具体的一例の断面図である。図2は、第1工程から第3工程を示す断面図である。図3は、第4工程を示す断面図である。図4は、第5工程を示す断面図である。図5は、第6工程を示す断面図である。図6は、第7工程を示す断面図である。
【0044】
まず第1工程では、基板としてシリコン基板12上の抵抗素子形成領域30上及び素子形成領域32上(シリコン基板12全面)に、フィールド酸化膜14を形成する。具体的一例としては、625μmの厚みのシリコン基板12上に、公知のLOCOS(Local Oxidation of Silicon)法により、膜厚5000Åのシリコン酸化膜を形成する。さらに、形成されたフィールド酸化膜14上(シリコン基板12の主表面側)に、ポリシリコン膜を形成する。具体的一例としては、CVD法により、膜厚1500Åのポリシリコン膜を形成する。なお、本実施の形態では、シリコン基板12の表面は、高抵抗素子40が形成される高抵抗素子形成領域30A及び低抵抗素子42が形成される低抵抗素子形成領域30Bを含む抵抗素子形成領域30と、半導体素子44が形成される半導体素子形成領域32を含んでいる。
【0045】
次の第2工程では、形成されたポリシリコン膜に不純物を注入して、ポリシリコン高抵抗層16を形成する。具体的一例としては、イオン種がリン、エネルギーが60keV、照射量が1×1015個/cmの条件で、公知のインプラ技術を用いて、不純物としてのイオンをポリシリコン膜に注入することにより、膜厚2500Åのポリシリコン高抵抗層16を形成する。
【0046】
次の第3工程では、形成されたポリシリコン高抵抗層16に、不純物を注入して、ポリシリコン高抵抗層16の上部側にポリシリコン低抵抗層18を形成する。このとき、ポリシリコン低抵抗層18が形成されたことにより、ポリシリコン高抵抗層16の膜圧は、第2工程で形成された膜厚よりもポリシリコン低抵抗層18の膜厚の分、薄くなる。具体的一例としては、イオン種が砒素、エネルギーが40keV、照射量が5×1015個/cmの条件で、公知のインプラ技術を用いて、不純物としてのイオンをポリシリコン高抵抗層16上部に注入することにより、膜厚1500Åのポリシリコン低抵抗層18を形成する。このとき、ポリシリコン高抵抗層16の膜厚は1000Åになる。さらに、形成されたポリシリコン低抵抗層18上、主表面側に、絶縁膜20を形成する。具体的一例としては、CVD法により、膜厚250Åのシリコン窒化膜を形成する。
【0047】
次の第4工程では、絶縁膜20上に、レジストマスク34を公知のホトリソ技術により所望の形状及び寸法にパターニング形成する。具体的一例として、レジストマスク34の厚みは、12000Åが挙げられる。そして、レジストマスク34をマスクにして、公知のドライエッチング技術により、ドライエッチングすることにより、余分なポリシリコン高抵抗層16、ポリシリコン低抵抗層18、及び絶縁膜20を除去して、高抵抗素子40及び低抵抗素子42(高抵抗素子40及び低抵抗素子42を製造するための抵抗素子パターン)を形成する。なお、製造過程であるため、ここでは、高抵抗素子40及び低抵抗素子42は共に、ポリシリコン高抵抗層16、ポリシリコン低抵抗層18、及び絶縁膜20を含む抵抗層の積層体である。レジストマスク34は、抵抗素子パターンの形成後にドライエッチングにより除去する。
【0048】
次の第5工程では、半導体素子形成領域32に形成されているフィールド酸化膜14を除去し、除去した領域にゲート酸化膜15を形成する。具体的一例としては、膜厚120Åのゲート酸化膜15を形成する。なお、フィールド酸化膜14とゲート酸化膜15とは同一部材であることが好ましい。
【0049】
さらに、マスク層22及びゲート電極23となるポリシリコン膜21を抵抗素子形成領域30上及び半導体素子形成領域32上、本実施の形態では、シリコン基板12全面に形成する。具体的一例としては、CVD法により、膜厚2000Åのポリシリコン膜21を形成する。
【0050】
次の第6工程では、マスク層22及びゲート電極23を形成するためのレジストマスク36を、公知のホトリソ技術により、ポリシリコン膜21上にパターニング形成する。具体的一例として、レジストマスク36の厚みは、12000Åが挙げられる。そして、レジストマスク36をマスクにして、公知のドライエッチング技術等により、ポリシリコン膜21の不要部分を除去し、マスク層22及びゲート電極23を形成する。当該第6工程により、半導体素子形成領域32にゲート電極23が形成された状態になる。本実施の形態では、具体的一例として、ゲート電極23の厚みは、2000Åとしている。
【0051】
第6工程の際に用いられたレジストマスク36を除去した後、次の第7工程では、マスク層22をマスクとして、公知のドライエッチング技術により、高抵抗素子40及び低抵抗素子42の表面をドライエッチングすることにより、高抵抗素子40と、低抵抗素子42との抵抗値を異ならせる。なお、本実施の形態では、絶縁膜20の表面からポリシリコン高抵抗層16の表面が露出するまでが、エッチング除去されるように、エッチング時間を調節して、ドライエッチングする。当該第7工程によりポリシリコン高抵抗層16を含む高抵抗素子40が形成された状態になる。また、ポリシリコン高抵抗層16、ポリシリコン高抵抗層16上の狭い領域に堆積されたポリシリコン低抵抗層18、及びポリシリコン低抵抗層18上に堆積された絶縁膜20を含む低抵抗素子42が形成された状態になる。さらに、低抵抗素子42の上(絶縁膜20の上)には、マスク層22が形成された状態になっている。
【0052】
さらに、ゲート電極23をマスクにしてソース/ドレイン拡散層24を形成する。本実施の形態では、具体的一例として、ソース/ドレイン拡散層24の層厚は、3000Åとしている。ソース/ドレイン拡散層24の形成後、シリコン基板12全面に、中間絶縁膜26を形成した後、コンタクト孔27を形成する。具体的一例としては、膜厚12000Åの中間絶縁膜26にプラズマエッチングにより、直径0.6μmのコンタクト孔27を形成する。さらに、形成したコンタクト孔27にCVD法等によりタングステン等の金属膜を堆積してメタル電極28を形成した後、パターニングにより配線29を形成する。このように製造することにより、図1に示した半導体装置10が製造される。
【0053】
なお、第6工程後にレジストマスク36を除去せずに第7工程を行うことにより、第6工程と、第7工程とを1つの工程で行うようにしても良い。これにより、より工程数を削減することができる。
【0054】
なお、本実施の形態で示した成膜方法や膜厚等は上述した具体的一例に限定されるものではなく、半導体装置10の特性や仕様等に合わせ、適宜選択すればよい。
【0055】
以上説明したように本実施の形態では、シリコン基板12の上に、ポリシリコン高抵抗層16、ポリシリコン低抵抗層18、及び絶縁膜20を堆積し、絶縁膜20上にホトリソ技術により形成したレジストマスク34をマスクとしてエッチングすることにより高抵抗素子40となる抵抗層の積層体と低抵抗素子42となる抵抗層の積層体とを分離し、ポリシリコン膜21を高抵抗素子40、低抵抗素子42、及び半導体素子形成領域32を含むシリコン基板12の全面に形成した後、ホトリソ技術により形成したレジストマスク36をマスクとしてエッチングすることにより不要部分を除去して半導体素子形成領域32にゲート電極23を形成すると共に低抵抗素子42となる抵抗層の積層体の絶縁膜20の上にマスク層22を形成する。さらに、マスク層22をマスクとしてエッチングすることにより、高抵抗素子40となる抵抗層の積層体のうち絶縁膜20及びポリシリコン低抵抗層18をエッチングしてポリシリコン高抵抗層16の表面を露出させ、低抵抗素子42となる抵抗層の積層対のうちマスク層22によりマスクされていない部分の絶縁膜20及びポリシリコン低抵抗層18をエッチングしてポリシリコン高抵抗層16の表面を露出させる。さらに、ソース/ドレイン拡散層24を形成し、シリコン基板12全面に中間絶縁膜26を形成し、コンタクト孔27を形成し、メタル電極28及び配線29を形成する。
【0056】
このように、本実施の形態では、レジストマスク36をマスクとしてゲート電極23とマスク層22とを同一部材及び同一工程で形成し、形成されたマスク層22により高抵抗素子40となるポリシリコン高抵抗層16及びポリシリコン低抵抗層18の積層体と、低抵抗素子42となるポリシリコン高抵抗層16及びポリシリコン低抵抗層18の積層体と、をエッチングすることにより高抵抗素子40と、抵抗値が高抵抗素子40よりも低い低抵抗素子42と、を形成する。
【0057】
すなわち、ゲート電極23を形成する際に同時に形成されたマスク層22をマスクとして高抵抗素子40と低抵抗素子42とを形成するので、別途マスクを形成するためのホトリソ工程(従来技術の図14参照)を必要としないため、工程数を削減することができる。
【0058】
これにより、高抵抗素子40、低抵抗素子42、及び半導体素子44がシリコン基板12上に形成された半導体装置10において、チップサイズの縮小化を図れると共に、低コスト化が計れるようになる。
【0059】
[第2の実施の形態]
【0060】
第1の実施の形態では、具体的一例として、半導体装置(半導体装置10)に備えられた半導体素子(半導体素子44)がMOS型電界効果トランジスタである場合について詳細に説明したが、本実施の形態では半導体装置に備えられた半導体素子がキャパシタである場合について詳細に説明する。以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0061】
(半導体装置の構成)
【0062】
まず、本実施の形態の半導体装置10の構成について説明する。図7に、本実施の形態の半導体装置10の具体的一例の断面図を示す。本実施の形態の半導体装置50は、シリコン基板52上に、高抵抗素子90、低抵抗素子92、及び半導体素子94が形成されたものである。なお、本実施の形態では、半導体素子94はポリシリコンの電極間に絶縁体を有するキャパシタである。
【0063】
本実施の形態の半導体装置50は、シリコン基板52上に、フィールド酸化膜54が形成されている。フィールド酸化膜54は、高抵抗素子90、低抵抗素子92、及び半導体素子94の下地層として、シリコン基板12の抵抗素子形成領域70及び半導体素子形成領域72(詳細後述)に形成されている。
【0064】
た高抵抗素子90は、フィールド酸化膜54上に堆積されたポリシリコン高抵抗層56を含んで構成されている。低抵抗素子92は、フィールド酸化膜54上に堆積されたポリシリコン高抵抗層56、及びポリシリコン高抵抗層56上に堆積されたポリシリコン低抵抗層58を含んで構成されている。なお、本実施の形態では、ポリシリコン高抵抗層56は、ポリシリコン低抵抗層58よりも抵抗値が高いポリシリコンの積層膜である。
【0065】
高抵抗素子90はポリシリコン高抵抗層56を含んで構成されており、低抵抗素子92はポリシリコン高抵抗層56及びポリシリコン高抵抗層56上に堆積されたポリシリコン低抵抗層58を含んでいる。従って、低抵抗素子92の抵抗値は、高抵抗素子90の抵抗値よりも低くなる。
【0066】
低抵抗素子92のポリシリコン低抵抗層58上には、絶縁膜60が形成されており、さらに絶縁膜60の上には、マスク層62(61)が形成されている。マスク層62は、高抵抗素子90及び低抵抗素子92を形成した際に、各抵抗素子をエッチングする際のマスクとして機能したものである。
【0067】
半導体素子94は、下部電極となるポリシリコン高抵抗層56、ポリシリコン低抵抗層58、絶縁膜60及び上部電極63(61)を含んで構成されている。
【0068】
なお、本実施の形態では、マスク層22及びゲート電極23は同一部材(ポリシリコン膜21)で、同一工程により形成されたものである。
【0069】
さらに、高抵抗素子90、低抵抗素子92、及び半導体素子94全体の上、シリコン基板52全面に中間絶縁膜66が形成されている。中間絶縁膜66には、複数のコンタクト孔67がそれぞれ所定の深さまで開けられており、コンタクト孔67の内部には、メタル電極68が形成されている。さらに中間絶縁膜66の表面(上面)には、メタル電極68の上端部に接続された配線69が形成されている。
【0070】
なお、シリコン基板52は第1の実施の形態のシリコン基板12に対応し、フィールド酸化膜54はフィールド酸化膜14に対応し、ポリシリコン高抵抗層56はポリシリコン高抵抗層16に対応し、ポリシリコン低抵抗層58はポリシリコン低抵抗層18に対応し、絶縁膜60は絶縁膜20に対応し、マスク層62はマスク層22に対応し、上部電極63はゲート電極23に対応し、中間絶縁膜66は中間絶縁膜26に対応し、コンタクト孔67はコンタクト孔27に対応し、メタル電極68はメタル電極28に対応し、配線69は配線29に対応する。
【0071】
(半導体装置の製造方法)
【0072】
次に、本実施の形態の半導体装置50の製造方法について説明する。図8〜図12は本実施の形態の半導体装置50の製造方法を示す工程順の半導体装置10の具体的一例の断面図である。図8は、第1工程から第3工程を示す断面図である。図9は、第4工程を示す断面図である。図10は、第5工程を示す断面図である。図11は、第6工程を示す断面図である。図12は、第7工程を示す断面図である。
【0073】
まず第1工程では、基板としてシリコン基板52上の抵抗素子形成領域70上及び素子形成領域72上(シリコン基板12全面)に、フィールド酸化膜54を形成する。具体的一例としては、625μmの厚みのシリコン基板52上に、公知のLOCOS(Local Oxidation of Silicon)法により、膜厚5000Åのシリコン酸化膜を形成する。さらに、形成されたフィールド酸化膜54上(シリコン基板52の主表面側)に、ポリシリコン膜を形成する。具体的一例としては、CVD法により、膜厚1500Åのポリシリコン膜を形成する。なお、本実施の形態では、シリコン基板52の表面は、高抵抗素子90が形成される高抵抗素子形成領域70A及び低抵抗素子92が形成される低抵抗素子形成領域70Bを含む抵抗素子形成領域70と、半導体素子94が形成される半導体素子形成領域72を含んでいる。
【0074】
次の第2工程では、形成されたポリシリコン膜に不純物を注入して、ポリシリコン高抵抗層56を形成する。具体的一例としては、イオン種がリン、エネルギーが60keV、照射量が1×1015個/cmの条件で、公知のインプラ技術を用いて、不純物としてのイオンをポリシリコン膜に注入することにより、膜厚2500Åのポリシリコン高抵抗層56を形成する。
【0075】
次の第3工程では、形成されたポリシリコン高抵抗層56に、不純物を注入して、ポリシリコン高抵抗層56の上部側にポリシリコン低抵抗層58を形成する。このとき、ポリシリコン低抵抗層58が形成されたことにより、ポリシリコン高抵抗層56の膜圧は、第2工程で形成された膜厚よりもポリシリコン低抵抗層58の膜厚の分、薄くなる。具体的一例としては、イオン種が砒素、エネルギーが40keV、照射量が5×1015個/cmの条件で、公知のインプラ技術を用いて、不純物としてのイオンをポリシリコン高抵抗層56上部に注入することにより、膜厚1500Åのポリシリコン低抵抗層58を形成する。このとき、ポリシリコン高抵抗層56の膜厚は1000Åになる。さらに、形成されたポリシリコン低抵抗層58上、主表面側に、絶縁膜60を形成する。具体的一例としては、CVD法により、膜厚250Åのシリコン窒化膜を形成する。
【0076】
次の第4工程では、絶縁膜60上に、レジストマスク74を公知のホトリソ技術により所望の形状及び寸法にパターニング形成する。具体的一例として、レジストマスク74の厚みは、12000Åが挙げられる。そして、レジストマスク74をマスクにして、公知のドライエッチング技術により、ドライエッチングすることにより、余分なポリシリコン高抵抗層56、ポリシリコン低抵抗層58、及び絶縁膜60を除去して、高抵抗素子90及び低抵抗素子92(高抵抗素子90及び低抵抗素子92を製造するための抵抗素子パターンである抵抗層の積層体)と、半導体素子94(半導体素子94を製造するための抵抗層の積層体)を形成する。なお、製造過程であるため、ここでは、高抵抗素子90、低抵抗素子92、及び半導体素子94は全て、ポリシリコン高抵抗層56、ポリシリコン低抵抗層58、及び絶縁膜60を含む抵抗層の積層体である。レジストマスク74は、抵抗層の積層体の形成後にドライエッチングにより除去する。なお、レジストマスク74は第1の実施の形態のレジストマスク34に対応する。
【0077】
次の第5工程では、マスク層62及びゲート電極63となるポリシリコン膜61を抵抗素子形成領域70上及び半導体素子形成領域72上、本実施の形態では、シリコン基板52全面に形成する。具体的一例としては、CVD法により、膜厚2000Åのポリシリコン膜61を形成する。なお、ポリシリコン膜61は、第1の実施の形態のポリシリコン膜21に対応する。
【0078】
次の第6工程では、マスク層62及び上部電極63を形成するためのレジストマスク76を、公知のホトリソ技術により、ポリシリコン膜61上にパターニング形成する。具体的一例として、レジストマスク36の厚みは、12000Åが挙げられる。そして、レジストマスク76をマスクにして、公知のドライエッチング技術等により、ポリシリコン膜61の不要部分を除去し、マスク層62及び上部電極63を形成する。当該第6工程により、半導体素子形成領域72に上部電極63が形成された状態になる。本実施の形態では、具体的一例として、ゲート電極23の厚みは、2000Åとしている。なお、レジストマスク76は、第1の実施の形態のレジストマスク36に対応する。
【0079】
第6工程の際に用いられたレジストマスク76を除去した後、次の第7工程では、マスク層62をマスクとして、公知のドライエッチング技術により、高抵抗素子90及び低抵抗素子92の表面をドライエッチングすることにより、高抵抗素子90と、低抵抗素子92との抵抗値を異ならせる。なお、本実施の形態では、ポリシリコン高抵抗層56の表面が露出するまで、具体的一例としては、絶縁膜60の表面から500Åエッチング除去されるように、エッチング時間を調節して、ドライエッチングする。当該第7工程によりポリシリコン高抵抗層56を含む高抵抗素子90が形成された状態になる。また、ポリシリコン高抵抗層56、ポリシリコン高抵抗層56上の狭い領域に堆積されたポリシリコン低抵抗層18、及びポリシリコン低抵抗層58上に堆積された絶縁膜60を含む低抵抗素子92が形成された状態になる。さらに、低抵抗素子92の上(絶縁膜60の上)には、マスク層62が形成された状態になっている。
【0080】
さらに、シリコン基板52全面に、中間絶縁膜66を形成した後、コンタクト孔67を形成する。具体的一例としては、膜厚12000Åの中間絶縁膜66に、プラズマエッチングにより、直径0.6μmのコンタクト孔67を形成する。さらに、形成したコンタクト孔67にCVD法等によりタングステン等の金属膜を堆積してメタル電極68を形成した後、パターニングにより配線69を形成する。このように製造することにより、図7に示した半導体装置50が製造される。
【0081】
なお、第6工程後にレジストマスク76を除去せずに第7工程を行うことにより、第6工程と、第7工程とを1つの工程で行うようにしても良い。これにより、より工程数を削減することができる。
【0082】
なお、本実施の形態で示した成膜方法や膜厚等は上述した具体的一例に限定されるものではなく、半導体装置50の特性や仕様等に合わせて、適宜選択すればよい。
【0083】
以上説明したように本実施の形態では、シリコン基板52の上に、ポリシリコン高抵抗層56、ポリシリコン低抵抗層58、及び絶縁膜60を堆積し、絶縁膜60上にホトリソ技術により形成したレジストマスク74をマスクとしてエッチングすることにより高抵抗素子90となる抵抗層の積層体と、低抵抗素子92となる抵抗層の積層体と、半導体素子94となる抵抗層の積層体と、を分離し、ポリシリコン膜61を高抵抗素子90、低抵抗素子92、及び半導体素子94を含むシリコン基板52の全面に形成した後、ホトリソ技術により形成したレジストマスク76をマスクとしてエッチングすることにより不要部分を除去して半導体素子94となる抵抗層の積層体の絶縁膜60の上に上部電極63を形成すると共に低抵抗素子92となる抵抗層の積層体の絶縁膜60の上にマスク層62を形成する。さらに、マスク層62をマスクとしてエッチングすることにより、高抵抗素子90となる抵抗層の積層体のうち絶縁膜60及びポリシリコン低抵抗層58をエッチングしてポリシリコン高抵抗層56の表面を露出させ、低抵抗素子92となる抵抗層の積層対のうちマスク層62によりマスクされていない部分の絶縁膜60及びポリシリコン低抵抗層58をエッチングしてポリシリコン高抵抗層56の表面を露出させる。さらに、シリコン基板52全面に中間絶縁膜66を形成し、コンタクト孔67を形成し、メタル電極68及び配線69を形成する。
【0084】
このように、本実施の形態では、レジストマスク76をマスクとして上部電極63とマスク層62とを同一部材及び同一工程で形成し、形成されたマスク層62により高抵抗素子90となるポリシリコン高抵抗層56及びポリシリコン低抵抗層58の積層体と、低抵抗素子92となるポリシリコン高抵抗層56及びポリシリコン低抵抗層58の積層体と、をエッチングすることにより高抵抗素子90と、抵抗値が高抵抗素子90よりも低い低抵抗素子92と、を形成する。
【0085】
すなわち、半導体素子94の電極である上部電極63を形成する際に同時に形成されたマスク層62をマスクとして高抵抗素子90と低抵抗素子92とを形成するので、第1の実施の形態と同様に、別途マスクを形成するためのホトリソ工程(従来技術の図14参照)を必要としないため、工程数を削減することができる。
【0086】
これにより、高抵抗素子90、低抵抗素子92、及び半導体素子94がシリコン基板52上に形成された半導体装置50において、チップサイズの縮小化を図れると共に、低コスト化が計れるようになる。
【0087】
なお、第1の実施の形態のマスク層22及び第2の実施の形態のマスク層62は、いずれも絶縁膜20及び絶縁膜60を介して低抵抗素子42及び低抵抗素子92上に形成されており、各素子の抵抗を引き出すためのメタル電極28及びメタル電極68と接触しない構成となっているため、低抵抗素子42及び低抵抗素子92の特性に悪影響を与えることはない。
【0088】
なお、半導体素子は、第1の実施の形態で示したMOS型電解効果トランジスタと、第2の実施の形態で示したキャパシタと、を含む半導体素子であっても良いし、その他の電極を有する半導体素子であってもよい。半導体素子の種類にかかわらず、半導体素子の電極を形成する際に電極と同一部材、同一工程で、低抵抗素子を形成するための抵抗層の積層体上にマスク層を形成し、当該マスク層を用いて、高抵抗素子を形成するための抵抗層の積層体及び低抵抗素子を形成するための抵抗層の積層体のマスク層が形成されていない部分をエッチングすることにより、高抵抗素子及び低抵抗素子の形成に用いるホトリソ工程を削減することができるため、製造工程数をより少なくすることができる。
【0089】
また、第1の実施の形態で示した低抵抗素子42及び低抵抗素子92は、いずれも第7工程でポリシリコン高抵抗層16及びポリシリコン高抵抗層56の表面が露出するまでエッチングを行っているがこれに限らず、所望の抵抗値が得られる深さまでエッチングを行うようにすればよい。また、露出する面の面積(マスク層22及びマスク層62が形成されていない面の面積)は、所望の抵抗値を考慮して定めればよい。
【0090】
以上第1の実施の形態及び第2の実施の形態で説明したように、抵抗素子の大きさ及び形状を変えずに高抵抗素子及び低抵抗素子が形成されるので、チップサイズの増大を抑制できる。
【0091】
また、抵抗層パターンの疎密化の観点から、半導体装置を平面視した場合(シリコン基板の高抵抗素子、低抵抗素子、及び半導体素子が形成されている面側を平面視した場合)の高抵抗素子及び低抵抗素子は形状の相違が少ないことが好ましく、同一形状、同一大きさであることがより好ましい。第1の実施の形態及び第2の実施の形態で説明したように、抵抗素子の大きさ及び形状を変えずに高抵抗素子及び低抵抗素子が形成されるので、形状の相違を少なくすることができ、また、同一形状、同一大きさとすることができるため、抵抗層パターンの疎密化を図ることできる。
【0092】
さらに、第1の実施の形態及び第2の実施の形態で説明したように、高抵抗素子及び低抵抗素子を形成するためのエッチングに用いるマスク層を形成するためのホトリソ工程を削減することができるため、製造工程数をより少なくすることができる。
【符号の説明】
【0093】
10、50 半導体装置
12、52 シリコン基板
14、54 フィールド酸化膜 (絶縁膜)
15 ゲート酸化膜 (絶縁膜)
16、56 ポリシリコン高抵抗層
18、58 ポリシリコン低抵抗層
20、60 絶縁膜
21、61 ポリシリコン膜
22、62 マスク層
23 ゲート電極
34、74 レジストマスク
36、76 レジストマスク
40、90 高抵抗素子
42、92 低抵抗素子
44、94 半導体素子
63 上部電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子が形成される半導体素子形成領域、第1の抵抗素子が形成される第1の抵抗素子形成領域、及び前記第1の抵抗素子よりも抵抗値が低い第2の抵抗素子が形成される第2の抵抗素子形成領域を含む基板と、
前記第1の抵抗素子形成領域上に絶縁膜を介して形成された第1の抵抗素子と、
前記第2の抵抗素子形成領域上に絶縁膜を介して形成された、前記第1の抵抗素子よりも抵抗値が低い第2の抵抗素子と、
前記半導体素子形成領域上に絶縁膜を介して形成された電極と、
前記第2の抵抗素子上に絶縁膜を介して形成された、前記電極と同一部材で形成されたマスク層と、
を備えた半導体装置。
【請求項2】
前記第1の抵抗素子は、前記第1の抵抗素子形成領域上に絶縁膜を介して形成された第1の抵抗層を有し、前記第2の抵抗素子は、前記第2の抵抗素子形成領域上に絶縁膜を介して形成された第1の抵抗層及び前記第1の抵抗層上に形成された前記第1の抵抗層よりも抵抗値が低い第2の抵抗層を有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体素子がMOS型電界効果トランジスタであり、前記電極が前記MOS型電界効果トランジスタのゲート電極である、請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
半導体素子が形成される半導体素子形成領域、第1の抵抗素子が形成される第1の抵抗素子形成領域、及び前記第1の抵抗素子よりも抵抗値が低い第2の抵抗素子が形成される第2の抵抗素子形成領域を含む基板の、前記第1の抵抗素子形成領域上及び前記第2の抵抗素子形成領域上に絶縁膜を介して第1のポリシリコン層を形成する第1工程と、
前記第1工程により形成された前記第1のポリシリコン層に不純物を注入して、前記第1の抵抗素子形成領域上及び前記第2の抵抗素子形成領域上に第1の抵抗層を形成する第2工程と、
前記第2工程により形成された前記第1の抵抗層に不純物を注入して、前記第1の抵抗層上に前記第1の抵抗層よりも抵抗値の低い第2の抵抗層を形成する第3工程と、
前記第2工程により前記第1の抵抗層が形成され、前記第3工程により前記第2の抵抗層が形成された前記ポリシリコン層をパターニングして、前記第1の抵抗層及び前記第2の抵抗層を含む第1の抵抗素子を前記第1の抵抗素子形成領域上に形成すると共に、前記第1の抵抗層及び前記第2の抵抗層を含む第2の抵抗素子を前記第2の抵抗素子形成領域上に形成する第4工程と、
前記半導体素子形成領域上、前記第4工程により形成された前記第1の抵抗素子上、及び前記第4工程により形成された前記第2の抵抗素子上に、第2のポリシリコン層を形成する第5工程と、
前記第5工程により形成された前記第2のポリシリコン層をパターニングして、前記半導体素子形成領域上に絶縁膜を介して電極を形成すると共に、前記第4工程で形成された前記第2の抵抗素子上に、マスク層を形成する第6工程と、
前記第6工程により形成されたマスク層を用いて前記第1の抵抗素子及び前記第2の抵抗素子をエッチングする第7工程と、
を備えた半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第7工程は、前記第1の抵抗素子及び前記第2の抵抗素子に含まれる前記第1の抵抗層の表面が露出するまでエッチングする、請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記半導体素子がMOS型電界効果トランジスタであり、前記電極が前記MOS型電界効果トランジスタのゲート電極である、請求項4または請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
半導体素子が形成される半導体素子形成領域、第1の抵抗素子が形成される第1の抵抗素子形成領域、及び前記第1の抵抗素子よりも抵抗値が低い第2の抵抗素子が形成される第2の抵抗素子形成領域を含む基板と、
前記第1の抵抗素子形成領域上に絶縁膜を介して形成された第1の抵抗素子と、
前記第2の抵抗素子形成領域上に絶縁膜を介して形成された、前記第1の抵抗素子よりも抵抗値が低い第2の抵抗素子と、
前記半導体素子形成領域上に絶縁膜を介して形成された第3の抵抗素子上に、絶縁膜を介して形成された電極と、
前記第2の抵抗層形成領域上に形成された、前記第2の抵抗素子上に絶縁膜を介して形成された、前記電極と同一部材で形成されたマスク層と、
を備えた半導体装置。
【請求項8】
前記第1の抵抗素子は、前記第1の抵抗素子形成領域上に絶縁膜を介して形成された第1の抵抗層を有し、前記第2の抵抗素子は、前記第2の抵抗素子形成領域上に絶縁膜を介して形成された第1の抵抗層及び前記第1の抵抗層上に形成された前記第1の抵抗層よりも抵抗値が低い第2の抵抗層を有し、前記第3の抵抗素子は、前記半導体素子形成領域上に絶縁膜を介して形成された第1の抵抗層及び前記第1の抵抗層上に形成された第2の抵抗層を有する、請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記半導体素子がキャパシタであり、前記電極が前記キャパシタの電極である、請求項7または請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
半導体素子が形成される素子形成領域、第1の抵抗素子が形成される第1の抵抗素子形成領域、及び前記第1の抵抗素子よりも抵抗値が低い第2の抵抗素子が形成される第2の抵抗素子形成領域を含む基板の、前記第1の抵抗素子形成領域上及び前記第2の抵抗素子形成領域上に絶縁膜を介して第1のポリシリコン層を形成する第1工程と、
前記第1工程により形成された前記第1のポリシリコン層に不純物を注入して、前記半導体素子形成領域上、前記第1の抵抗素子形成領域上、及び前記第2の抵抗素子形成領域上に第1の抵抗層を形成する第2工程と、
前記第2工程により形成された前記第1の抵抗層に不純物を注入して、前記第1の抵抗層上に前記第1の抵抗層よりも抵抗値の低い第2の抵抗層を形成する第3工程と、
前記第2工程により前記第1の抵抗層が形成され、前記第3工程により前記第2の抵抗層が形成された前記ポリシリコン層をパターニングして、前記第1の抵抗層及び前記第2の抵抗層を含む半導体素子を前記半導体素子形成領域上に形成すると共に、前記第1の抵抗層及び前記第2の抵抗層を含む第1の抵抗素子を前記第1の抵抗素子形成領域上に形成し、かつ、前記第1の抵抗層及び前記第2の抵抗層を含む第2の抵抗素子を前記第2の抵抗素子形成領域上に形成する第4工程と、
前記第4工程により形成された前記半導体素子上、前記第4工程により形成された前記第1の抵抗素子上、及び前記第4工程により形成された前記第2の抵抗素子上に、第2のポリシリコン層を形成する第5工程と、
前記第5工程により形成された前記第2のポリシリコン層をパターニングして、前記第4工程で形成された前記半導体素子上に絶縁膜を介して電極を形成すると共に、前記第4工程で形成された前記第2の抵抗素子上に、マスク層を形成する第6工程と、
前記第6工程により形成されたマスク層を用いて前記第1の抵抗素子及び前記第2の抵抗素子をエッチングする第7工程と、
を備えた半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第7工程は、前記第1の抵抗素子及び前記第2の抵抗素子に含まれる前記第1の抵抗層の表面が露出するまでエッチングする、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記半導体素子がキャパシタであり、前記電極が前記キャパシタの電極である、請求項10または請求項11に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−199204(P2011−199204A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66970(P2010−66970)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(308033711)OKIセミコンダクタ株式会社 (898)
【Fターム(参考)】