説明

半導体装置

【課題】ダイシングブレードでダイシングする際の層間絶縁膜間の密着性を良好にしつつ、層間絶縁膜の層間クラックを防ぐ。
【解決手段】スクライブライン領域202において、ダイシング工程においてダイシングブレードが通るブレード領域204およびブレード領域204の両側に形成され、ダイシングブレードが通らない非ブレード領域206にそれぞれダミー配線が形成され、非ブレード領域206においては上下に隣接するダミー配線106bとダミー配線110bとがダミービア108bで接続され、ブレード領域204においては、上下に隣接するダミー配線106aとダミー配線110aとがダミービアで接続されていない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、とくに半導体装置のスクライブライン領域の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の高性能化に伴い、半導体ウェハ拡散プロセスにおいて、比誘電率がSiOより低い、いわゆる「low-k膜(低誘電率絶縁膜)」と呼ばれる絶縁膜形成技術が導入されている。この「low-k膜」には様々な種類があるが、一般的に密着性や機械強度が弱い。そのため、ウェハをダイシングした時に発生するクラックが内部回路が形成された素子形成領域に達して素子形成領域に悪影響を及ぼすという問題があった。
【0003】
特許文献1(特開2006−005288号公報)には、スクライブ領域に、ダミー配線とダミービアが接続された構成が記載されている。これにより、クラックがシールリング部にまで伝播するのを抑制することができるとされている。
【0004】
また、特許文献2(特開2004−235357号公報)には、以下のダミーパターンの配置方法が記載されている。チップ内部では、自動発生時に高い均一性で発生することができる正方形の桂馬とび配置のダミーパターンを、スクライブ線上には高い対チッピング耐性をもった格子状配置の矩形ダミーパターンを形成する。多層配線を有する場合は異なる配線層のスクライブ線上のダミーパターンをビアで結合する。
【0005】
また、特許文献3(特開平10−335333号公報)には、スクライブ領域に、ダミー配線を設けた構成が記載されている。これにより、CMP法で研磨される絶縁膜の平坦性を向上することができるとされている。
【0006】
また、特許文献4(特開2008−066716号公報)には、スクライブ領域の切断領域に配置される第1のダミーパターンの単位面積当たりの占有率が、非切断領域に配置される第2のダミーパターンの単位面積当たりの占有率よりも小さい構成が記載されている。これにより、CMP工程におけるディシングを防止できるとともにウェハを個片化する際のダイシングブレードの目詰まりを低減してチッピング不良を防止できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−005288号公報
【特許文献2】特開2004−235357号公報
【特許文献3】特開平10−335333号公報
【特許文献4】特開2008−066716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、本発明者等は、層間絶縁膜間の密着性を良好にするために、たとえばスクライブライン領域の全層にわたってダミー配線を設けてそれらをダミービアで接続するような構成とした場合、ダミーメタル構造が巨大となり、問題が生じることを見出した。後述するように、ダミーメタル構造が巨大となると、ダイシングブレードで切断する際に生じる切削屑も巨大化する。そのため、ダイシングブレードで切断する際に、巨大化した切削屑が切断面の側壁とダイシングブレードとの間に巻き込まれ、側壁に突発的にクラックが生じてしまう。
【0009】
一方、スクライブライン領域において、くさびとして機能するようなダミーメタル構造が存在しないと、ダイシングブレードでダイシングする際の層間絶縁膜間の密着性が劣化するという問題もある。たとえば、特許文献4に記載されたように、シールリングが設けられていても、スクライブライン領域において層間剥離が発生してしまうと、その剥離をシールリングで止めることができず、素子形成領域にまで伝搬してしまう可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、
基板と、当該基板上に形成され、第1の配線層および当該第1の配線層上に形成された第2の配線層を含む複数の配線層、ならびに前記第1の配線層と前記第2の配線層との間に形成された第1のビア層を含む複数のビア層を含む多層配線層と、を含み、
前記基板上には、複数の素子形成領域と、各前記素子形成領域の周囲を囲むように配置されたシールリングをそれぞれ含む複数のシールリング領域と、各前記シールリング領域の外周において、各前記シールリング領域を囲むように配置されたスクライブライン領域と、が形成され、
前記スクライブライン領域は、ダイシング工程においてダイシングブレードが通るブレード領域と、前記ブレード領域の両側に形成され、前記ダイシングブレードが通らない非ブレード領域とを含み、
前記ブレード領域には、前記第1の配線層に形成された第1のダミー配線および前記第2の配線層において前記第1のダミー配線上に形成された第2のダミー配線が形成され、
前記非ブレード領域には、前記第1の配線層に形成された第3のダミー配線、前記第2の配線層において前記第3のダミー配線上に形成された第4のダミー配線、および前記第1のビア層において前記第3のダミー配線と前記第4のダミー配線とを接続する第1のダミービアが形成され、
前記第1のビア層において、前記ブレード領域にはダミービアが形成されていない半導体装置が提供される。
【0011】
この構成によれば、ダイシング工程でダイシングブレードが通るブレード領域では、各ダミー配線が、ダミービアによって連続的に接続されていないビアなしダミーメタル構造が設けられている。そのため、ダイシングブレードで切断する際に、各ダミーメタル構造がばらばらになり、切断時に生じる切削屑を小さくすることができる。これにより、切削屑が層間絶縁膜の切断面の側壁とダイシングブレードとの間に巻き込まれるのを防ぐことができ、クラックの発生を防ぐことができる。また、この構成において、スクライブライン領域の非ブレード領域では、各ダミー配線が、ダミービアで接続されたビア付きダミーメタル構造が設けられている。これにより、このビア付きダミーメタル構造がくさびとして機能するので、多層配線層の複数の層間絶縁膜間の密着性を良好にすることができ、スクライブライン領域において層間剥離が発生するのを防ぐことができる。これにより、層間剥離が素子形成領域にまで伝搬するのを防ぐこともできる。
【0012】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ダイシングブレードでダイシングする際の層間絶縁膜間の密着性を良好にしつつ、層間絶縁膜の層間クラックを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態における半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における半導体装置の構成を示す平面図である。
【図3】図2の破線で囲った領域の構成を示す拡大平面図である。
【図4】図3の破線で囲った領域の構成を示す拡大平面図である
【図5】図1の破線で囲った領域Aおよび領域Bの構成を示す拡大断面図である。
【図6】各ダミー配線の配置関係を示す平面図である。
【図7】本発明の実施の形態における半導体装置の構成の他の例を示す断面図である。
【図8】図7の破線で囲った領域Aおよび領域Bの構成を示す拡大断面図である。
【図9】本発明の実施の形態における半導体装置の構成の他の例の、図7の破線で囲った領域Aおよび領域Bに対応する構成を示す拡大断面図である。
【図10】本発明の実施の形態における半導体装置の構成の効果を模式的に説明するための断面図である。
【図11】スクライブライン領域の全層にわたって、ダミー配線がダミービアで接続されたビア付きダミーメタル構造が設けられた場合の問題点を模式的に説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様の構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0016】
図1は、本実施の形態における半導体装置の構成を示す断面図である。
半導体装置100は、基板101と、基板101上に形成された多層配線層と、多層配線層上に形成されたポリイミド膜116(保護膜)とを含む。多層配線層は、下からこの順で積層された複数の配線層M1、配線層M2、配線層M3、配線層M4、配線層M5、配線層M6、および配線層M7と、各配線層間にそれぞれ形成された複数のビア層とを含む。また、ここでは、説明のために、配線層M6と配線層M7との間のビア層をビア層108として区別して示す。各配線層は、層間絶縁膜と、当該層間絶縁膜中に形成された配線とを含む。各ビア層は、層間絶縁膜と、当該層間絶縁膜中に形成されたビアとを含む。基板101は、シリコン基板等の半導体基板とすることができる。ここでは、基板101は、まだ個片化されていないウェハの状態である。
【0017】
なお、図1では、層間絶縁膜102をまとめて記載しているが、層間絶縁膜102は、たとえば各配線層、各ビア層、または配線とビアとが一体に形成されたデュアルダマシン配線層毎に設けられた複数の層間絶縁膜の積層膜とすることができる。また、層間絶縁膜102は、低誘電率層間絶縁膜を含む構成とすることができる。
【0018】
図2は、半導体装置100の構成を示す平面図である。半導体装置100は、それぞれ内部回路が形成された複数の素子形成領域208と、素子形成領域208の周囲に形成されたスクライブライン領域202とを含む。図3は、図2の破線で囲った領域の構成を示す拡大平面図である。ここで、各素子形成領域208とスクライブライン領域202との間には、各素子形成領域208の周囲を囲むように形成されたシールリング150を含むシールリング領域210が形成されている。スクライブライン領域202は、シールリング領域210の外周において、シールリング領域210を囲むように形成されている。
【0019】
図4は、図3の破線で囲った領域の構成を示す拡大平面図である。以下、図1から図3も参照して説明する。
ダイシング工程において、ダイシングブレードにより上記のような半導体装置100のスクライブライン領域202を切削して半導体装置100を半導体チップに個片化する。スクライブライン領域202は、ダイシング工程において実際にダイシングブレードが通り、切断されるブレード領域204と、ブレード領域204の両側に形成され、ダイシングブレードが通らない非ブレード領域206とを含む。
【0020】
ここで、ブレード領域204は、切断位置ずれを考慮して、実際にダイシングブレードが通る領域に多少の余裕幅を設けた領域とすることができる。一例として、たとえばスクライブライン領域202の幅が100μm程度、実際にダイシングブレードが通る領域の幅が45μm程度のとき、実際にダイシングブレードが通る領域の両側方にそれぞれ5μm程度の余裕幅を設け、ブレード領域204の幅を55μm程度とすることができる。
【0021】
図1に示すように、ポリイミド膜116は、シールリング領域210上に形成されているが、スクライブライン領域202上には形成されない。また、ポリイミド膜116は、素子形成領域208上にも形成される。素子形成領域208およびシールリング領域210上ににポリイミド膜116等の耐熱性および耐薬品性に優れた保護膜を設けることにより、素子形成領域208およびシールリング領域210を保護することができる。ただし、シールリング領域210および素子形成領域208においても、パッド等外部の端子との接続箇所においては、ポリイミド膜116が選択的に除去された構成とすることができる。
【0022】
以下、配線層M6、配線層M7およびこれらの間に形成されたビア層108を例として説明する。ブレード領域204において、配線層M6にはダミー配線106a(1のダミー配線)が、配線層M7にはダミー配線106a上にダミー配線110aがそれぞれ形成されている。非ブレード領域206において、配線層M6にはダミー配線106b(第3のダミー配線)が、配線層M7にはダミー配線106b上にダミー配線110b(第4のダミー配線)がそれぞれ形成されている。ここで、配線層M6と配線層M7との間のビア層108において、非ブレード領域206にはダミー配線106bとダミー配線110bとを接続するダミービア108b(第1のダミービア)が形成されている。一方、ビア層108において、ブレード領域204にはダミービアが形成されていない。
【0023】
また、シールリング領域210には、配線層M6にダミー配線106cが配線層M7にはダミー配線106c上にダミー配線110cがそれぞれ形成されている。また、シールリング領域210には、配線層M6と配線層M7との間のビア層108において、ダミー配線106cおよびダミー配線110cとを接続するダミービア108cが形成されている。
【0024】
なお、本実施の形態において、ブレード領域204、非ブレード領域206、およびシールリング領域210のいずれにおいても、配線層M1から配線層M7の全層にわたってそれぞれダミー配線が設けられた構成とすることができる。
【0025】
シールリング領域210において、シールリング150は、多層配線層の全層にわたって連続して形成された構成とすることができる。つまり、シールリング領域210において、多層配線層の全層にわたって、上下に隣接するダミー配線がそれぞれダミービアにより接続された構成とすることができる。また、シールリング150は、多層配線層の各層において、各素子形成領域208の周囲を連続的に囲むように形成することができる。たとえば、図4に示すように、シールリング領域210においては、ダミービア108c等のダミービアは、各素子形成領域208の周囲を連続的に囲むスリットビアとすることができる。また、シールリング領域210においては、ダミー配線110c等のダミー配線も、各素子形成領域208の周囲を連続的に囲む直線状に形成された構成とすることができる。これにより、外部の水分等が素子形成領域208内に浸入するのを防ぐことができる。
【0026】
本実施の形態において、非ブレード領域206においては、シールリング領域210と同様、多層配線層の全層にわたって、上下に隣接するダミー配線がそれぞれダミービアにより接続された構成とすることができる。一方、ブレード領域204においては、多層配線層の全層にわたって、ダミービアが形成されていない構成とすることができる。
【0027】
また、本実施の形態において、スクライブライン領域202の非ブレード領域206では、多層配線層の各層において、ダミー配線およびダミービアは、それぞれ、分散的に配置された構成とすることができる。また、スクライブライン領域202のブレード領域204でも、多層配線層の各層において、ダミー配線は、それぞれ、分散的に配置された構成とすることができる。たとえば、図4に示すように、ブレード領域204および非ブレード領域206においては、ダミー配線110aおよびダミー配線110b等の配線は、平面視で矩形形状やドット形状に形成され、たとえばマトリクス状に分散配置された構成とすることができる。また、非ブレード領域206においても、ダミービア108b等のダミービアは、平面視で円形の円柱状に形成され、たとえばマトリクス状に分散配置された構成とすることができる。
【0028】
また、本実施の形態において、多層配線層の各層のダミー配線やダミービアの配置や、粗密、サイズは適宜設定することができる。たとえば、多層配線層の全層または一部の層において、ブレード領域204および非ブレード領域206に形成されたダミー配線の配置密度が実質的に等しい構成とすることもできる。
【0029】
図5は、図1の破線で囲った領域Aおよび領域Bの構成を示す拡大断面図である。図6は、ダミー配線110a、ダミー配線106a、およびダミー配線106aの下の配線層M5に形成されたダミー配線120aの配置関係を示す平面図である。ここでは、各ダミー配線の形状および配置関係を説明するために、各ダミー配線の外縁のみを示す。
【0030】
次に本実施の形態における半導体装置100の効果を説明する。
上述したように、本発明者等は、スクライブライン領域の全層にわたって配線を設けてそれらをビアで接続するような構成とした場合、ダミーメタル構造が巨大となり、問題が生じることを見出した。以下、図を参照して説明する。
【0031】
図11は、スクライブライン領域202の全層にわたって、ダミー配線がダミービアで接続されたビア付きダミーメタル構造310が設けられた場合の問題点を模式的に説明するための断面図である。このような構成とすると、ダイシングブレード300で切断する箇所においても、ビア付きダミーメタル構造310が巨大なため、ダイシングブレード300で切断する際に生じる切削屑が巨大化する。そのため、図示したように、巨大化した切削屑が層間絶縁膜102の切断面の側壁とダイシングブレード300との間に巻き込まれ、ダイシングブレード300の目詰まりにより側壁に突発的にクラックが生じてしまう。このようなクラックが発生した場合、クラックの程度によっては、クラックが素子形成領域にまで達してチップが動作しなくなる不具合が発生する。
【0032】
一方、図10は、本実施の形態における半導体装置100の構成の効果を模式的に説明するための断面図である。本実施の形態において、ダイシング工程でダイシングブレードが通るブレード領域204では、各ダミー配線が、ダミービアによって接続されていないビアなしダミーメタル構造320が設けられている。そのため、ダイシングブレード300で切断する際に、各ダミー配線がばらばらになり、切断時に生じる切削屑を小さくすることができる。これにより、図示したように、切削屑が層間絶縁膜102の切断面の側壁とダイシングブレード300との間に巻き込まれるのを防ぐことができ、クラックの発生を防ぐことができる。
【0033】
一方、スクライブライン領域202の全領域にわたってビアなしダミーメタル構造320が設けられた場合、スクライブライン領域202において層間剥離が発生してしまうおそれがある。たとえば、特許文献4に記載されたように、シールリングが設けられていても、スクライブライン領域202で層間剥離が発生してしまうと、その剥離をシールリングで止めることができず、素子形成領域にまで伝搬してしまう可能性がある。本実施の形態において、スクライブライン領域202において、ブレード領域204に近接する非ブレード領域206では、各ダミー配線が、ダミービアで接続されたビア付きダミーメタル構造310が設けられている。そのため、ダイシング時に、ダイシングブレード300が通るすぐ近くでビア付きダミーメタル構造310がくさびとして機能するので、多層配線層の複数の層間絶縁膜間の密着性を良好にすることができ、スクライブライン領域202において層間剥離が発生するのを防ぐことができる。これにより、層間剥離が素子形成領域208にまで伝搬するのを防ぐこともできる。
【0034】
また、本実施の形態における半導体装置100は、シールリング領域210や非ブレード領域206にダミービアを形成する際に、ブレード領域204にはダミービアが形成されないように、レチクルを準備しておくだけでよく、新たに工程が増えることもなく、簡易に製造することができる。
【0035】
次に、以上で説明した半導体装置100の他の例を説明する。以下の例において、多層配線層は、ブレード領域204においても上下に隣接するダミー配線がダミービアで接続された構成を含むようにすることができる。ただし、この場合もブレード領域204においては、一部の層においては、上下に隣接するダミー配線がダミービアによって接続されていない構成とすることができる。ここで、とくに制限されないが、ブレード領域204においては、ダミー配線をダミービアで接続する場合、連続して接続するダミー配線は3層以下とし、たとえば4層以上のダミー配線が連続してダミービアで接続された構成としないようにすることができる。
【0036】
図7は、図1に示した半導体装置100の構成の他の例を示す断面図である。ここでは、シールリング領域210の記載は省略している。図8は、図7の破線で囲った領域Aおよび領域Bの構成を示す拡大断面図である。
本例において、非ブレード領域206の領域Bの構成は、図1および図5に示した領域Bの構成と同じである。ここで、ブレード領域204の領域Aの構成が、図1および図5に示した構成と異なる。本例では、ブレード領域204においても、一部の層では、上下に隣接するダミー配線がダミービアで接続された構成となっている点で、図1および図5に示した構成と異なる。
【0037】
ここで、ブレード領域204において、配線層M5に設けられたダミー配線120aと配線層M4に設けられたダミー配線124aとは、配線層M5と配線層M4との間のビア層に設けられたダミービア122aで接続されている。また、配線層M1および配線層M2にそれぞれ設けられたダミー配線も、これらの間のビア層に設けられたダミービアにより接続されている。同様に、配線層M2および配線層M3にそれぞれ設けられたダミー配線も、これらの間のビア層に設けられたダミービアにより接続されている。一方、本例においても、たとえば配線層M3と配線層M4との間のビア層、配線層M5と配線層M6との間のビア層、ならびに配線層M6と配線層M7との間のビア層には、ダミービアが形成されていない。そのため、各ビア付きダミーメタル構造を小さくすることができる。これにより、図10を参照して説明したのと同様に、切削屑が層間絶縁膜102の切断面の側壁とダイシングブレード300との間に巻き込まれるのを防ぐことができ、クラックの発生を防ぐことができる。
【0038】
図9は、本発明の実施の形態における半導体装置の構成のまた他の例の、図7の破線で囲った領域Aおよび領域Bに対応する構成を示す拡大断面図である。
本例において、非ブレード領域206の領域Bの構成は、図1および図5に示した領域Bの構成と同じである。ここで、ブレード領域204の領域Aの構成が、図1および図5ならびに図7および図8に示した構成と異なる。本例でも、図7および図8に示した構成と同様、ブレード領域204においても、一部の層では、上下に隣接するダミー配線がダミービアで接続された構成となっている。
【0039】
ここで、本例では、配線層M1、配線層M2、および配線層M3が低誘電率層間絶縁膜130により構成されており、それより上層は、たとえばシリコン酸化膜等の低誘電率層間絶縁膜ではない層間絶縁膜132により構成されているものとする。ここで、低誘電率層間絶縁膜130は、たとえば比誘電率が2.9以下とすることができる。このような構成において、ブレード領域204でも、低誘電率層間絶縁膜130で構成された箇所では、下に隣接するダミー配線がダミービアで接続された構成とすることができる。一方、ブレード領域204において、層間絶縁膜132で構成された箇所では、ダミービアを設けない構成とすることができる。
【0040】
このような構成とすれば、密着性があまりよくない低誘電率層間絶縁膜130においては、ブレード領域204においても、ダミー配線がダミービアで接続された構成として、層間の密着性を良好にするとともに、他の層ではダミー配線がダミービアで接続されない構成として、ダミーメタル構造が巨大となるのを防ぐことができる。
【0041】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0042】
100 半導体装置
101 基板
102 層間絶縁膜
106a ダミー配線
106b ダミー配線
106c ダミー配線
108 ビア層
108b ダミービア
108c ダミービア
110a ダミー配線
110b ダミー配線
110c ダミー配線
116 ポリイミド膜
120a ダミー配線
122a ダミービア
124a ダミー配線
130 低誘電率層間絶縁膜
132 層間絶縁膜
150 シールリング
202 スクライブライン領域
204 ブレード領域
206 非ブレード領域
208 素子形成領域
210 シールリング領域
M1 配線層
M2 配線層
M3 配線層
M4 配線層
M5 配線層
M6 配線層
M7 配線層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、当該基板上に形成され、第1の配線層および当該第1の配線層上に形成された第2の配線層を含む複数の配線層、ならびに前記第1の配線層と前記第2の配線層との間に形成された第1のビア層を含む複数のビア層を含む多層配線層と、を含み、
前記基板上には、複数の素子形成領域と、各前記素子形成領域の周囲を囲むように配置されたシールリングをそれぞれ含む複数のシールリング領域と、各前記シールリング領域の外周において、各前記シールリング領域を囲むように配置されたスクライブライン領域と、が形成され、
前記スクライブライン領域は、ダイシング工程においてダイシングブレードが通るブレード領域と、前記ブレード領域の両側に形成され、前記ダイシングブレードが通らない非ブレード領域とを含み、
前記ブレード領域には、前記第1の配線層に形成された第1のダミー配線および前記第2の配線層において前記第1のダミー配線上に形成された第2のダミー配線が形成され、
前記非ブレード領域には、前記第1の配線層に形成された第3のダミー配線、前記第2の配線層において前記第3のダミー配線上に形成された第4のダミー配線、および前記第1のビア層において前記第3のダミー配線と前記第4のダミー配線とを接続する第1のダミービアが形成され、
前記第1のビア層において、前記ブレード領域にはダミービアが形成されていない半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記多層配線層は、低誘電率層間絶縁膜を含む半導体装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置において、
前記多層配線層の各前記配線層において、前記ブレード領域および前記非ブレード領域には、それぞれダミー配線が形成された半導体装置。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置において、
前記非ブレード領域において、前記多層配線層の全層にわたって、上下に隣接する前記ダミー配線がそれぞれダミービアによって接続された半導体装置。
【請求項5】
請求項1から4いずれかに記載の半導体装置において、
前記素子形成領域および前記シールリング領域において、前記多層配線層上に形成された保護膜をさらに含み、当該保護膜は、前記スクライブライン領域上には形成されていない半導体装置。
【請求項6】
請求項1から5いずれかに記載の半導体装置において、
前記シールリングは、前記多層配線層の全層にわたって連続して形成された半導体装置。
【請求項7】
請求項1から6いずれかに記載の半導体装置において、
前記シールリングは、前記多層配線層の各層において、前記素子形成領域の周囲を連続的に囲むように形成され、
前記スクライブライン領域の前記非ブレード領域において、前記多層配線層の各層において、前記ダミー配線および前記ダミービアは、それぞれ、分散的に配置された半導体装置。
【請求項8】
請求項1から7いずれかに記載の半導体装置において、
前記第1の配線層または前記第2の配線層において、前記ブレード領域および前記非ブレード領域に形成された前記ダミー配線の配置密度が実質的に等しい半導体装置。
【請求項9】
請求項1から8いずれかに記載の半導体装置において、
前記ブレード領域において、前記多層配線層の全層にわたって、ダミービアが形成されていない半導体装置。
【請求項10】
請求項1から8いずれかに記載の半導体装置において、
前記多層配線層の各前記配線層において、前記ブレード領域および前記非ブレード領域には、それぞれダミー配線が形成され、
前記多層配線層は、前記非ブレード領域においても上下に隣接する前記ダミー配線がダミービアで接続された構成を含むが、一部の層においては、上下に隣接する前記ダミー配線がダミービアによって接続されていない半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−134893(P2011−134893A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292937(P2009−292937)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】