説明

半導体装置

【課題】高い耐電圧特性、および耐リーク特性を有する配線構造を備える半導体装置、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の実施の形態による半導体装置は、半導体素子が設けられた半導体基板と、前記半導体基板上に形成された、上下層の導電部材を電気的に接続する接続部材と、前記接続部材と同じ層に形成された第1の絶縁膜と、前記接続部材の上面の一部と接する第1の領域、および前記第1の領域上に位置し、前記第1の領域よりも幅の広い第2の領域を含む配線と、前記第1の絶縁膜上に、前記配線の前記第1の領域の側面の上側から少なくとも一部、および前記第2の領域の底面に接して形成された第2の絶縁膜と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の配線構造において、配線溝、ビアホール等をエッチングにより形成する際にこれらの深さを揃え、且つ下層の層間絶縁膜へのオーバーエッチングを抑えるためのエッチングストッパ膜が一般に用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−19480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、高い耐電圧特性、および耐リーク特性を有する配線構造を備える半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、半導体素子が設けられた半導体基板と、前記半導体基板上に形成された、上下層の導電部材を電気的に接続する接続部材と、前記接続部材と同じ層に形成された第1の絶縁膜と、前記接続部材の上面の一部と接する第1の領域、および前記第1の領域上に位置し、前記第1の領域よりも幅の広い第2の領域を含む配線と、前記第1の絶縁膜上に、前記配線の前記第1の領域の側面の上側から少なくとも一部、および前記第2の領域の底面に接して形成された第2の絶縁膜と、を有することを特徴とする半導体装置を提供する。
【0006】
また、本発明の他の態様は、半導体素子が設けられた半導体基板と、前記半導体基板上に形成された、上下層の導電部材を電気的に接続する接続部材と、前記接続部材と同じ層に形成された第1の絶縁膜と、前記接続部材の上面の一部と接する第1の領域、前記第1の領域上に位置し、前記第1の領域よりも幅の広い第2の領域、および前記第1の領域と前記第2の領域の間に位置し、逆ラウンド形状(曲面からなる凹型形状)、またはテーパー形状を有する第3の領域を含む配線と、前記第1の絶縁膜上に、前記配線の前記第3の領域に接して形成された第2の絶縁膜と、を有することを特徴とする半導体装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高い耐電圧特性、および耐リーク特性を有する配線構造を備える半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】(a)、(b)は、第1の実施の形態に係る半導体装置の断面図、および配線とコンタクトのみを示した斜視図。
【図2】図1に示した切断線II−IIにおける切断面を図中の矢印の方向に見た断面図。
【図3】(a)、(b)は、第1の実施の形態に係る半導体装置の配線周辺の部分拡大図、および第1の比較例としての2段構造を有さない従来の配線を有する半導体装置の配線周辺の部分拡大図。
【図4】(a)、(b)は、第1の実施の形態に係る半導体装置の変形例を示す断面図。
【図5A】(a)〜(c)は、第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図5B】(d)〜(f)は、第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図6】(a)、(b)は、第2の実施の形態に係る半導体装置の断面図。
【図7】(a)、(b)は、第2の実施の形態に係る半導体装置の配線周辺の部分拡大図、および第2の比較例としての2段構造を有さない従来の配線を有する半導体装置の配線周辺の部分拡大図。
【図8】(a)、(b)は、第2の実施の形態に係る半導体装置の変形例を示す断面図。
【図9】(a)、(b)は、第3の実施の形態に係る半導体装置の断面図。
【図10】(a)、(b)は、第3の実施の形態に係る半導体装置の配線周辺の部分拡大図、および第3の比較例としての2段構造を有さない従来の配線を有する半導体装置の配線周辺の部分拡大図。
【図11】(a)、(b)は、第4の実施の形態に係る半導体装置の断面図。
【図12】(a)、(b)は、第4の実施の形態に係る半導体装置の配線周辺の部分拡大図、および第4の比較例としての2段構造を有さない従来の配線を有する半導体装置の配線周辺の部分拡大図。
【図13】(a)、(b)は、第5の実施の形態に係る半導体装置の配線周辺の部分拡大図。
【図14】(a)〜(c)は、第5の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図15】(a)〜(c)は、第5の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図16】(a)、(b)は、第6の実施の形態に係る半導体装置の配線の断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
〔第1の実施の形態〕
(半導体装置の構成)
図1(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の断面図であり、図1(b)は、配線およびコンタクトのみを示した斜視図である。また、図2は、図1に示した切断線II−IIにおける切断面を図中の矢印の方向に見た断面図である。
【0010】
半導体装置1は、表面に半導体素子を有する半導体基板と、半導体基板上に積層された多層配線構造を有する。図1(a)は、この多層配線構造の一部を示す断面図である。
【0011】
半導体装置1は、被接続部2と、被接続部2に電気的に接続されるコンタクト4と、コンタクト4と同じ層に形成されたコンタクト層絶縁膜3と、コンタクト4上に、コンタクト4の上面の一部に接して形成された配線7と、コンタクト層絶縁膜3上に配線7の側面の一部に接して形成されたエッチングストッパ膜5と、エッチングストッパ膜5上に配線7の側面の一部と接して形成された配線層絶縁膜6と、配線7および配線層絶縁膜6の上面に形成されたキャップ層8と、を有する。なお、コンタクト4、配線7等のレイアウトは図1に示したものに限られない。
【0012】
被接続部2は、半導体基板、半導体素子等のコンタクト部である。具体的には、例えば、トランジスタのソース・ドレイン領域、ゲート電極のコンタクト部や、金属配線である。
【0013】
配線7は、例えば、Cu等の導電性材料からなる。なお、配線7は、内部の金属の拡散を防ぐバリアメタルを表面に有する構造であってもよい。バリアメタルは、例えば、Ta、Ti、W、Ru、Mn等の金属あるいはこれらの金属の化合物からなる。
【0014】
また、配線7は、エッチングストッパ膜5の上面の高さより低い位置にある領域で、コンタクト4の上面の一部と接する第1の領域7aと、第1の領域7a上に位置し、第1の領域7aよりも幅の広い第2の領域7bとからなる2段構造を有する。第1の領域7aの側面の上側から少なくとも一部はエッチングストッパ膜5の側面に接し、第2の領域7bの第1の領域7aとの幅の違いにより生じる底面は、エッチングストッパ膜5の上面に接する。また、第1の領域7aの一部は、コンタクト4が接続される領域において、コンタクト4上から幅方向に外れている。
【0015】
なお、配線材料の埋め込み易さを確保するために、第1の領域7aのアスペクト比(高さ/幅)が5よりも小さいことが好ましい。さらに、エッチングストッパ膜5の厚さが薄い方が配線材料を埋め込み性がよく、例えば、40nm以下であることが、好ましい。
【0016】
コンタクト4は、例えば、W、Cu、Al等の導電性材料からなる。なお、コンタクト4は、配線7と同様に、内部の金属の拡散を防ぐバリアメタルを表面に有する構造であってもよい。また、コンタクト4の断面形状は、図2(a)に示すように真円に近い形状であってもよく、図2(b)に示すように楕円形状であってもよい。
【0017】
コンタクト層絶縁膜3は、例えば、TEOS(Tetraethoxysilane)や、SiO、SiOにCを添加したSiOC、SiOにNを添加したSiON、SiOにFを添加したSiOF、SiOにB、Pを添加したBPSG、等のSi酸化物からなる。また、SiOCH、ポリメチルシロキサン、ポリアリーレン、ベンゾオキサゾール等の有機絶縁材料を用いてもよい。
【0018】
配線層絶縁膜6の材料には、コンタクト層絶縁膜3と同様の材料を用いることができる。
【0019】
エッチングストッパ膜5は、SiN、SiC、SiOC、SiCN、SiON等の絶縁材料からなる。また、エッチングストッパ膜5は、配線層絶縁膜6のエッチング加工時に、エッチングストッパとして働くため、配線層絶縁膜6とのエッチング選択比が高い材料であることが好ましい。
【0020】
キャップ膜8は、SiC、SiOC、SiN等の絶縁材料からなる。
【0021】
図3(a)は、本実施の形態に係る半導体装置1の配線7の周辺の部分拡大図である。
【0022】
また、図3(b)は、第1の比較例としての2段構造を有さない配線17を有する半導体装置2の配線17の周辺の部分拡大図である。
【0023】
ここで、半導体装置1における隣接する配線7の第2の領域7b同士の間の距離を配線間距離L、隣接するコンタクト4同士の間の距離をコンタクト間距離L、隣接するコンタクト4と配線7の第1の領域7aとの間の距離をコンタクト−配線間距離Lとする。また、半導体装置2における隣接する配線17同士の間の距離を配線間距離L’、隣接するコンタクト4同士の間の距離をコンタクト間距離L’、隣接するコンタクト4と配線17との間の距離をコンタクト−配線間距離L’とする。また、配線間距離Lと配線間距離L’、およびコンタクト間距離Lとコンタクト間距離L’は等しい。
【0024】
なお、図3(a)に示す半導体装置1においては、配線7の第2の領域7bの幅とその幅方向のコンタクト4の径が等しい、すなわち配線間距離Lとコンタクト間距離Lが等しいものとする。また、図3(b)に示す半導体装置2においては、配線17の幅とその幅方向のコンタクト4の径が等しい、すなわち配線間距離L’とコンタクト間距離L’が等しいものとする。
【0025】
配線とコンタクトの形成位置にずれが生じなければ、配線間距離およびコンタクト間距離が隣接する導電部材間の最近接距離となる。導電部材間に電界が印加された際、導電部材間の距離が最近接するところで、リーク電流および絶縁破壊が起こりやすい。そこで、配線間距離およびコンタクト間距離がリーク電流および絶縁破壊の発生を抑えられるような距離になるように、配線およびコンタクトが形成される。しかし、微細化された配線構造においては、リソグラフィでの合わせ精度等の問題により、配線とコンタクトの形成位置にずれが発生する場合が少なくない。
【0026】
図3(b)に示す半導体装置2においては、配線17とコンタクト4の形成位置にずれがあり、配線間距離L’およびコンタクト間距離L’よりも、コンタクト−配線間距離L’の方が短くなる。すなわち、コンタクト−配線間距離L’が隣接する導電部材間の最近接距離となる。このため、配線間距離L’およびコンタクト間距離L’をリーク電流および絶縁破壊の発生を抑えられる最小の距離である限界距離Llimよりも大きく設定したとしても、コンタクト−配線間距離L’が限界距離Llimよりも小さくなるおそれがある(L’<Llim<L’=L’)。なお、限界距離Llimは、隣接する導電部材間に印加する電位差によって異なる。
【0027】
一方、図3(a)に示す本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置1においては、配線7が第1の領域7aと第2の領域7bからなる2段構造を有するため、コンタクト−配線間距離Lが半導体装置2のコンタクト−配線間距離L’よりも大きくなる。そして、第2の領域7bの幅を調節することにより、コンタクト−配線間距離Lを限界距離Llimよりも大きくすることが可能になる(Llim<L<L=L)。
【0028】
なお、本実施の形態に係る半導体装置1において、配線7の第2の領域7bの幅、その幅方向のコンタクト4の径、配線間距離L、およびコンタクト間距離Lの大きさをf、配線7の第1の領域7aの幅をXf(0<X<1)、配線7(第2の領域7b)とコンタクト4の形成位置の配線7の幅方向のずれをZとした場合、隣接する導電部材間の最近接距離であるコンタクト−配線間距離Lは、以下の式で表される。
【数1】

【0029】
また、半導体装置2において、配線17の幅、その幅方向のコンタクト4の径、配線間距離L’、およびコンタクト間距離L’の大きさをf、配線17とコンタクト4の形成位置の配線17の幅方向のずれをZとした場合、コンタクト−配線間距離L’は、以下の式で表される。
【数2】

【0030】
そのため、この場合、半導体装置1は、半導体装置2に比べて、以下の式で表されるΔLだけ、隣接する導電部材間の最近接距離が大きくなる。
【数3】

【0031】
また、半導体装置1においては、Llim<L、およびLlim<L<Lの関係を満たせば、配線7の第2の領域7bの幅とその幅方向のコンタクト4の径が等しくなくてもよい。従って、L≠Lであってもよい。
【0032】
例えば、図4(a)に示すように、配線7の第2の領域7bの幅を拡げてもよい。第2の領域7bの幅を拡げることにより、配線7における電気抵抗率をさげることができる。
【0033】
また、第2の領域7bの幅を拡げることにより、材料の埋め込み性が向上するため、配線7の形成が容易になる。また、隣接する導電部材間の最近接距離が隣接する第2の領域7b間の距離であり、配線7とコンタクト4の幅方向の位置のずれによらない場合、隣接する導電部材間の最近接距離は、リソグラフィの位置合わせ精度によらず、配線7の第2の領域7bの寸法精度のみによって決定される。第2の領域7bの寸法は、リソグラフィの解像度と加工精度のみによって決定され、約1nm程度までの細かい精度で制御できるので、所望の大きさに設定しやすい。このため、第2の領域7bの幅を広げて、配線間距離Lを最近接距離にすることで、リーク電流、および絶縁破壊の発生をより管理し易くすることができる。
【0034】
また、例えば、図4(b)に示すように、コンタクト4の配線7の幅方向の径を拡げてもよい。コンタクト4の径を拡げることにより、コンタクト4における抵抗率をさげることができる。また、材料を埋め込み易くなるため、コンタクト4の形成が容易になる。
【0035】
以下に、本実施の形態に係る半導体装置1の製造方法の一例を示す。
【0036】
(半導体装置の製造方法)
図5A(a)〜(c)、図5B(d)〜(f)は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0037】
まず、図5A(a)に示すように、被接続膜2上のコンタクト層絶縁膜3内にコンタクト4を形成した後、これらの上にエッチングストッパ膜5、配線層絶縁膜6を順次形成する。
【0038】
ここで、コンタクト層絶縁膜3は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等により形成された後、例えば、フォトリソグラフィ法とRIE(Reactive Ion Etching)法によりパターニングされ、コンタクト4のためのコンタクトホールが形成される。
【0039】
また、コンタクト4は、コンタクト層絶縁膜3に形成されたコンタクトホール内にコンタクト材料を形成した後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)等の平坦化処理を施し、上部の余分な部分を除去して形成される。このとき、例えば、Wをコンタクト材料として用いる場合は、バリアメタルとして、例えばTiNをCVD法により成膜して、WをALD(Atomic Layer Deposition)法やプラズマCVD法により形成する。
【0040】
また、エッチングストッパ膜5および配線層絶縁膜6は、CVD法等により形成される。
【0041】
次に、図5A(b)に示すように、例えば、フォトリソグラフィ法とRIE法により、配線層絶縁膜6をパターニングして、配線7のための配線溝7cを形成する。このとき、エッチングストッパ膜5により、配線溝7cの深さが揃えられる。
【0042】
次に、図5A(c)に示すように、配線溝7c下のエッチングストッパ膜5を除去して配線溝7cを深くし、コンタクト4の上面の少なくとも一部を露出させる。なお、このとき、同図に示すように、コンタクト4と配線溝7cの位置のずれにより、コンタクト層絶縁膜3の一部が除去されて配線溝7cの一部となってもよい。
【0043】
次に、図5B(d)に示すように、例えば、エッチングストッパ膜5に対して加工選択比のあるRIE法、またはウェットエッチングを用いて、エッチングストッパ膜5をストッパとして配線層絶縁膜6をエッチングし、配線溝7cのエッチングストッパ膜5の上面の高さよりも上にある領域の幅を拡げる。
【0044】
次に、図5B(e)に示すように、配線溝7c内に配線材料7dを形成する。例えば、Cuを配線材料7dとして用いる場合は、バリアメタルとして、例えばTiやTaをスパッタ法等で成膜し、次にスパッタ法でCuシード膜を形成した後、その上にCu膜をめっきして形成する。
【0045】
次に、図5B(f)に示すように、配線材料7dにCMP等の平坦化処理を施し、上部の余分な部分を除去して、配線7を形成する。ここで、配線7のエッチングストッパ膜5の上面の高さよりも下にある領域が第1の領域7a、エッチングストッパ膜5の上面の高さよりも上にある領域が第2の領域7bとなる。その後、CVD法等により、配線層絶縁膜6および配線7上にキャップ膜8を形成する。
【0046】
(第1の実施の形態の効果)
本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置1によれば、配線7が第1の領域7aと第2の領域7bからなる2段構造を有することにより、配線7とコンタクト4の形成位置にずれが生じた場合であっても、導電部材間の最近接距離であるコンタクト−配線間距離Lを大きくし、リーク電流および絶縁破壊の発生を抑えることができる。
【0047】
また、配線7が第1の領域7aと第2の領域7bからなる2段構造を有することにより、配線全体の幅を小さくして導電部材間の最近接距離を小さくする場合と比較して、配線を形成する際の材料の埋め込みが容易になり、配線内でのボイドの発生等による電気的特性の劣化を抑えることができる。
【0048】
〔第2の実施の形態〕
本発明の第2の実施の形態は、コンタクト4と配線7の形成位置のずれが第1の実施の形態よりも小さい。なお、第1の実施の形態と同様の点については、説明を省略する。
【0049】
(半導体装置の構成)
図6(a)、(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。
【0050】
ここで、図6(a)、(b)に示した本実施の形態に係る半導体装置1の断面は、それぞれ図2(a)、(b)に示した第1の実施の形態に係る半導体装置1の断面に対応する。
【0051】
コンタクト4の形状は、図6(a)に示すような真円に近い形状であっても、図6(b)に示すような楕円形状であってもよい。
【0052】
図7(a)は、本実施の形態に係る半導体装置1の配線7の周辺の部分拡大図である。
【0053】
また、図7(b)は、第2の比較例としての2段構造を有さない従来の配線17を有する半導体装置2の配線17の周辺の部分拡大図である。ここで、図7(a)、および図7(b)に示した本実施の形態に係る半導体装置1の断面は、それぞれ図3(a)、および図3(b)に示した第1の実施の形態に係る半導体装置1の断面に対応する。なお、半導体装置2は、配線の構造以外は、各部材の構造、配置等、すべて半導体装置1と同様であるとする。
【0054】
ここで、半導体装置1における隣接する配線7の第2の領域7b同士の間の距離を配線間距離L、隣接するコンタクト4同士の間の距離をコンタクト間距離Lとする。本実施の形態においては、配線7の第1の領域7aは、コンタクト4が接続される領域において、コンタクト4上から幅方向に外れないため、第1の実施の形態と異なり、コンタクト4と第1の領域7aの一部が同じ高さに位置するということがない。そのため、第1の実施の形態におけるコンタクト−配線間距離Lに相当するものが存在しない。
【0055】
また、半導体装置2における隣接する配線17同士の間の距離を配線間距離L’、隣接するコンタクト4同士の間の距離をコンタクト間距離L’、隣接するコンタクト4と配線17との間の距離をコンタクト−配線間距離L’とする。また、配線間距離Lと配線間距離L’、およびコンタクト間距離Lとコンタクト間距離L’は等しい。
【0056】
なお、図7(a)に示す半導体装置1においては、配線7の第2の領域7bの幅とその幅方向のコンタクト4の径が等しい、すなわち配線間距離Lとコンタクト間距離Lが等しいものとする。また、図7(b)に示す半導体装置2においては、配線17の幅とその幅方向のコンタクト4の径が等しい、すなわち配線間距離L’とコンタクト間距離L’が等しいものとする。
【0057】
図7(b)に示す半導体装置2においては、配線17とコンタクト4の形成位置にずれがあり、配線間距離L’およびコンタクト間距離L’よりも、コンタクト−配線間距離L’の方が短くなる。すなわち、コンタクト−配線間距離L’が隣接する導電部材間の最近接距離となる。このため、配線間距離L’およびコンタクト間距離L’をリーク電流および絶縁破壊の発生を抑えられる最小の距離である限界距離Llimよりも大きく設定したとしても、コンタクト−配線間距離L’が限界距離Llimよりも小さくなるおそれがある(L’<Llim<L’=L’)。
【0058】
一方、図7(a)に示す本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置1においては、配線7が第1の領域7aと第2の領域7bからなる2段構造を有するため、配線7とコンタクト4の形成位置にずれが生じているにもかかわらず、第1の領域7aがコンタクト4上から幅方向に外れず、配線間距離Lとコンタクト間距離Lが隣接する導電部材間の最近接距離となる。このため、配線間距離Lとコンタクト間距離Lを限界距離Llimよりも大きく設定した場合は、導電部材間の最近接距離が限界距離Llimよりも大きくなる(Llim<L=L)。
【0059】
なお、本実施の形態に係る半導体装置1において、配線7の第2の領域7bの幅、その幅方向のコンタクト4の径、配線間距離L、およびコンタクト間距離Lの大きさをf、配線7の第1の領域7aの幅をXf(0<X<1)、配線7(第2の領域7b)とコンタクト4の形成位置の配線7の幅方向のずれをZとした場合、隣接する導電部材間の最近接距離は、配線間距離L、およびコンタクト間距離Lであるfとなる。
【0060】
また、半導体装置2において、配線17の幅、その幅方向のコンタクト4の径、配線間距離L’、およびコンタクト間距離L’の大きさをf、配線17とコンタクト4の形成位置の配線17の幅方向のずれをZとした場合、コンタクト−配線間距離L’は、以下の式で表される。
【数4】

【0061】
そのため、この場合、半導体装置1は、半導体装置2に比べて、以下の式で表されるΔLだけ、隣接する導電部材間の最近接距離が大きくなる。
【数5】

【0062】
また、半導体装置1においては、Llim<L、およびLlim<Lの関係を満たせば、配線7の第2の領域7bの幅とその幅方向のコンタクト4の径が等しくなくてもよい。従って、L≠Lであってもよい。
【0063】
例えば、図8(a)に示すように、配線7の第2の領域7bの幅を拡げてもよい。また、例えば、図8(b)に示すように、コンタクト4の配線7の幅方向の径を拡げてもよい。配線7の第2の領域7bの幅、またはコンタクト4の配線7の幅方向の径を拡げることによる効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0064】
(第2の実施の形態の効果)
本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置1によれば、配線7が第1の領域7aと第2の領域7bからなる2段構造を有することにより、配線7とコンタクト4の形成位置にずれが生じた場合であっても、コンタクト−配線間距離ではなく、配線間距離Lおよび(または)コンタクト間距離Lが隣接する導電部材間の最近接距離となる。このため、隣接する導電部材間の最近接距離は、リソグラフィの位置合わせ精度によらず、配線7の第2の領域7bおよびコンタクト4の寸法精度のみによって決定される。第2の領域7bおよびコンタクト4の寸法は、リソグラフィの解像度と加工精度のみによって決定され、約1nm程度までの細かい精度で制御できるので、所望の大きさに設定しやすい。このため、第2の領域7bの幅および(または)コンタクト4の径を広げて、配線間距離Lおよび(または)コンタクト間距離Lを最近接距離にすることで、リーク電流、および絶縁破壊の発生をより管理し易くすることができる。
【0065】
また、配線7が第1の領域7aと第2の領域7bからなる2段構造を有することにより、配線全体の幅を小さくして導電部材間の最近接距離を小さくする場合と比較して、配線を形成する際の材料の埋め込みが容易になり、配線内でのボイドの発生等による電気的特性の劣化を抑えることができる。
【0066】
〔第3の実施の形態〕
本発明の第3の実施の形態は、コンタクト4のレイアウトにおいて、第1の実施の形態と異なる。なお、第1の実施の形態と同様の点については、説明を省略する。
【0067】
(半導体装置の構成)
図9(a)、(b)は、本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。
【0068】
ここで、図9(a)、(b)に示した本実施の形態に係る半導体装置1の断面は、それぞれ図2(a)、(b)に示した第1の実施の形態に係る半導体装置1の断面に対応する。
【0069】
コンタクト4の形状は、図9(a)に示すような真円に近い形状であっても、図9(b)に示すような楕円形状であってもよいが、複数のコンタクト4は一列に配置されずに、隣接するもの同士が配線7の長さ方向にずれて配置される。このような配置によれば、隣接するコンタクト4同士の距離を離すことができる。また交互にコンタクト4を配置することにより、リソグラフィでの解像度が向上し、より寸法の小さいコンタクト4を形成することが可能となる。
【0070】
図10(a)は、本実施の形態に係る半導体装置1の配線7の周辺の部分拡大図である。また、図10(b)は、第3の比較例としての2段構造を有さない従来の配線17を有する半導体装置2の配線17の周辺の部分拡大図である。ここで、図10(a)、および図10(b)に示した本実施の形態に係る半導体装置1の断面は、それぞれ図3(a)、および図3(b)に示した第1の実施の形態に係る半導体装置1の断面に対応する。なお、半導体装置2は、配線の構造以外は、各部材の構造、配置等、すべて半導体装置1と同様であるとする。
【0071】
ここで、半導体装置1における隣接する配線7の第2の領域7b同士の間の距離を配線間距離L、隣接するコンタクト4と配線7の第1の領域7aとの間の距離をコンタクト−配線間距離Lとする。本実施の形態においては、コンタクト4は隣接するもの同士が配線7の長さ方向にずれるように配置されるため、コンタクト間距離は長くなり、隣接する導電部材間の最近接距離にはなり得ない。そのため、コンタクト間距離を考慮しなくてもよい。
【0072】
また、半導体装置2における隣接する配線17同士の間の距離を配線間距離L’、隣接するコンタクト4と配線17との間の距離をコンタクト−配線間距離L’とする。コンタクト間距離については、半導体装置1と同様に、考慮しなくてもよい。また、配線間距離Lと配線間距離L’は等しい。
【0073】
なお、図10(a)に示す半導体装置1においては、配線7の第2の領域7bの幅とその幅方向のコンタクト4の径が等しいものとする。また、図10(b)に示す半導体装置2においては、配線17の幅とその幅方向のコンタクト4の径が等しいものとする。
【0074】
図10(b)に示す半導体装置2においては、配線17とコンタクト4の形成位置にずれがあり、配線間距離L’よりも、コンタクト−配線間距離L’の方が短くなる。すなわち、コンタクト−配線間距離L’が隣接する導電部材間の最近接距離となる。このため、配線間距離L’をリーク電流および絶縁破壊の発生を抑えられる最小の距離である限界距離Llimよりも大きく設定したとしても、コンタクト−配線間距離L’が限界距離Llimよりも小さくなるおそれがある(L’<Llim<L’)。
【0075】
一方、図10(a)に示す本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置1においては、配線7が第1の領域7aと第2の領域7bからなる2段構造を有するため、コンタクト−配線間距離Lが半導体装置2のコンタクト−配線間距離L’よりも大きくなる。そして、第2の領域7bの幅を調節することにより、コンタクト−配線間距離Lを限界距離Llimよりも大きくすることが可能になる(Llim<L<L)。
【0076】
なお、本実施の形態に係る半導体装置1において、配線7の第2の領域7bの幅、その幅方向のコンタクト4の径、および配線間距離Lの大きさをf、配線7の第1の領域7aの幅をXf(0<X<1)、配線7(第2の領域7b)とコンタクト4の形成位置の配線7の幅方向のずれをZとした場合、隣接する導電部材間の最近接距離であるコンタクト−配線間距離Lは、以下の式で表される。
【数6】

【0077】
また、半導体装置2において、配線17の幅、その幅方向のコンタクト4の径、および配線間距離L’の大きさをf、配線17とコンタクト4の形成位置の配線17の幅方向のずれをZとした場合、コンタクト−配線間距離L’は、以下の式で表される。
【数7】

【0078】
そのため、この場合、半導体装置1は、半導体装置2に比べて、以下の式で表されるΔLだけ、隣接する導電部材間の最近接距離が大きくなる。
【数8】

【0079】
また、半導体装置1においては、Llim<L、およびLlim<Lの関係を満たせば、配線7の第2の領域7bの幅とその幅方向のコンタクト4の径が等しくなくてもよい。
【0080】
例えば、配線7の第2の領域7bの幅を拡げてもよい。また、例えば、コンタクト4の配線7の幅方向の径を拡げてもよい。配線7の第2の領域7bの幅、またはコンタクト4の配線7の幅方向の径を拡げることによる効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0081】
(第3の実施の形態の効果)
本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置1によれば、配線7が第1の領域7aと第2の領域7bからなる2段構造を有することにより、配線7とコンタクト4の形成位置にずれが生じた場合であっても、導電部材間の最近接距離であるコンタクト−配線間距離Lを大きくし、リーク電流および絶縁破壊の発生を抑えることができる。
【0082】
また、配線7が第1の領域7aと第2の領域7bからなる2段構造を有することにより、配線全体の幅を小さくして導電部材間の最近接距離を小さくする場合と比較して、配線を形成する際の材料の埋め込みが容易になり、配線内でのボイドの発生等による電気的特性の劣化を抑えることができる。
【0083】
〔第4の実施の形態〕
本発明の第4の実施の形態は、コンタクト4のレイアウトにおいて、第2の実施の形態と異なる。なお、第2の実施の形態と同様の点については、説明を省略する。
【0084】
(半導体装置の構成)
図11(a)、(b)は、本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。ここで、図11(a)、(b)に示した本実施の形態に係る半導体装置1の断面は、それぞれ図2(a)、(b)に示した第1の実施の形態に係る半導体装置1の断面に対応する。
【0085】
コンタクト4の形状は、図11(a)に示すような真円に近い形状であっても、図11(b)に示すような楕円形状であってもよいが、複数のコンタクト4は一列に配置されずに、隣接するもの同士が配線7の長さ方向にずれて配置される。このような配置によれば、隣接するコンタクト4同士の距離を離すことができる。また交互にコンタクト4を配置することにより、リソグラフィでの解像度が向上し、より寸法の小さいコンタクト4を形成することが可能となる。
【0086】
図12(a)は、本実施の形態に係る半導体装置1の配線7の周辺の部分拡大図である。また、図12(b)は、第4の比較例としての2段構造を有さない従来の配線17を有する半導体装置2の配線17の周辺の部分拡大図である。ここで、図12(a)、および図12(b)に示した本実施の形態に係る半導体装置1の断面は、それぞれ図3(a)、および図3(b)に示した第1の実施の形態に係る半導体装置1の断面に対応する。なお、半導体装置2は、配線の構造以外は、各部材の構造、配置等、すべて半導体装置1と同様であるとする。
【0087】
ここで、半導体装置1における隣接する配線7の第2の領域7b同士の間の距離を配線間距離L、隣接するコンタクト4と配線7の第1の領域7aとの間の距離をコンタクト−配線間距離Lとする。本実施の形態においては、コンタクト4は隣接するもの同士が配線7の長さ方向にずれるように配置されるため、コンタクト間距離は長くなり、隣接する導電部材間の最近接距離にはなり得ない。そのため、コンタクト間距離を考慮しなくてもよい。
【0088】
また、半導体装置2における隣接する配線17同士の間の距離を配線間距離L’、隣接するコンタクト4と配線17との間の距離をコンタクト−配線間距離L’とする。コンタクト間距離については、半導体装置1と同様に、考慮しなくてもよい。また、配線間距離Lと配線間距離L’は等しい。
【0089】
なお、図12(a)に示す半導体装置1においては、配線7の第2の領域7bの幅とその幅方向のコンタクト4の径が等しいものとする。また、図12(b)に示す半導体装置2においては、配線17の幅とその幅方向のコンタクト4の径が等しいものとする。
【0090】
図12(b)に示す半導体装置2においては、配線17とコンタクト4の形成位置にずれがあり、配線間距離L’よりも、コンタクト−配線間距離L’の方が短くなる。すなわち、コンタクト−配線間距離L’が隣接する導電部材間の最近接距離となる。このため、配線間距離L’をリーク電流および絶縁破壊の発生を抑えられる最小の距離である限界距離Llimよりも大きく設定したとしても、コンタクト−配線間距離L’が限界距離Llimよりも小さくなるおそれがある(L’<Llim<L’)。
【0091】
一方、図12(a)に示す本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置1においては、配線7が第1の領域7aと第2の領域7bからなる2段構造を有するため、コンタクト−配線間距離Lが半導体装置2のコンタクト−配線間距離L’よりも大きくなる。本実施の形態においては、配線7の第1の領域7aは、コンタクト4が接続される領域において、コンタクト4上から幅方向に外れないため、コンタクト−配線間距離Lは配線間距離L’以下になる。このため、配線間距離L’をリーク電流および絶縁破壊の発生を抑えられる最小の距離である限界距離Llimよりも大きく設定すれば、隣接する導電部材間の最近接距離を限界距離Llimよりも大きくすることができる(Llim<L≦L)。
【0092】
なお、本実施の形態に係る半導体装置1において、配線7の第2の領域7bの幅、その幅方向のコンタクト4の径、および配線間距離Lの大きさをf、配線7の第1の領域7aの幅をXf(0<X<1)、配線7(第2の領域7b)とコンタクト4の形成位置の配線7の幅方向のずれをZとした場合、隣接する導電部材間の最近接距離は、配線間距離Lであるfとなる。
【0093】
また、半導体装置2において、配線17の幅、その幅方向のコンタクト4の径、および配線間距離L’の大きさをf、配線17とコンタクト4の形成位置の配線17の幅方向のずれをZとした場合、コンタクト−配線間距離L’は、以下の式で表される。
【数9】

【0094】
そのため、この場合、半導体装置1は、半導体装置2に比べて、以下の式で表されるΔLだけ、隣接する導電部材間の最近接距離が大きくなる。
【数10】

【0095】
また、半導体装置1においては、Llim<L、およびLlim<Lの関係を満たせば、配線7の第2の領域7bの幅とその幅方向のコンタクト4の径が等しくなくてもよい。
【0096】
例えば、配線7の第2の領域7bの幅を拡げてもよい。また、例えば、コンタクト4の配線7の幅方向の径を拡げてもよい。配線7の第2の領域7bの幅、またはコンタクト4の配線7の幅方向の径を拡げることによる効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0097】
(第4の実施の形態の効果)
本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置1によれば、配線7が第1の領域7aと第2の領域7bからなる2段構造を有することにより、配線7とコンタクト4の形成位置にずれが生じた場合であっても、コンタクト−配線間距離ではなく、配線間距離Lが隣接する導電部材間の最近接距離となり、リーク電流および絶縁破壊の発生を抑えることができる。
【0098】
また、配線7が第1の領域7aと第2の領域7bからなる2段構造を有することにより、配線全体の幅を小さくして導電部材間の最近接距離を小さくする場合と比較して、配線を形成する際の材料の埋め込みが容易になり、配線内でのボイドの発生等による電気的特性の劣化を抑えることができる。
【0099】
〔第5の実施の形態〕
本発明の第5の実施の形態は、配線の形状において、第1の実施の形態と異なる。なお、第1の実施の形態と同様の点については、説明を省略する。
【0100】
(半導体装置の構成)
図13(a)、(b)は、それぞれ本実施の形態に係る半導体装置1の配線7の周辺の部分拡大図である。ここで、図13(a)、(b)に示した本実施の形態に係る半導体装置1の断面は、それぞれ図3(a)に示した第1の実施の形態に係る半導体装置1の断面に対応する。
【0101】
図13(a)に示す半導体装置1が有する配線9は、第1の領域9a、第2の領域9b、および第3の領域9cからなる3段構造を有する。第1の領域9aは、エッチングストッパ膜5の底面の高さより低い位置にある領域であり、コンタクト4の側面の一部に接する。また、第2の領域9bは、エッチングストッパ膜5の上面の高さより高い位置にあり、第1の領域9aよりも幅の大きい領域である。
【0102】
第3の領域9cは、第1の領域9aと第2の領域9bとの間に位置し、コンタクト4の上面の一部に接する。また、第1の領域9aとの境界近傍で第1の領域9aと略等しい幅を有し、第2の領域9bとの境界近傍で第2の領域9bと略等しい幅を有するテーパー形状の領域である。なお、配線材料の埋め込み性をより向上させるためには、第3の領域9cのテーパー角(第1の領域9aの高さ方向となす角)が、例えば、87°以上であることが好ましい。また、テーパー形状とは、配線溝7cを形成するためにエッチングストッパ膜5をエッチングする際に、エッチングストッパ膜5に自然に形成された傾斜により形成されたものは含まない。なお、第1の領域9aは、第3の領域9cと連続したテーパー形状であってもよい。
【0103】
図13(b)に示す半導体装置1が有する配線10は、第1の領域10a、第2の領域10b、および第3の領域10cからなる3段構造を有する。第1の領域10a、および第2の領域10bは、配線9の第1の領域9a、および第2の領域9bと等しい。
【0104】
第3の領域10cは、第1の領域10aと第2の領域10bとの間に位置し、コンタクト4の上面の一部に接する。また、第1の領域10aとの境界近傍で第1の領域10aと略等しい幅を有し、第2の領域10bとの境界近傍で第2の領域10bと略等しい幅を有する、逆ラウンド形状(曲面からなる凹型形状)の領域である。
【0105】
なお、配線9の第1の領域9a、および配線10の第1の領域10aは、第1の実施の形態に係る半導体装置1の配線7の第1の領域7aと等しく、また、配線9の第2の領域9b、および配線10の第2の領域10bは、第1の実施の形態に係る半導体装置1の配線7の第2の領域7bと等しい。このため、図13(a)、(b)に示す本実施の形態に係る半導体装置1における配線間距離L、コンタクト間距離L、およびコンタクト−配線間距離Lの関係は、第1の実施の形態と同様である。
【0106】
以下に、本実施の形態に係る半導体装置1の製造方法の一例を示す。
【0107】
(半導体装置の製造方法)
図14(a)〜(c)は、本発明の第5の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0108】
まず、図14(a)に示すように、図5B(d)に示した配線溝7cのエッチングストッパ膜5の上面の高さよりも上にある領域の幅を拡げるまでの工程を第1の実施の形態と同様に行う。
【0109】
次に、図14(b)に示すように、エッチングストッパ膜5の配線溝7cにより露出した部分にテーパー加工を施す。テーパー加工の方法は、例えば、適切な種類のエッチングガスを選択したり、バイアスパワーを調節したりすることにより、エッチングストッパ膜5のエッチング中にエッチング副生成物をエッチングストッパ膜5の表面に付着させてテーパー形状を形成する。
【0110】
次に、図14(c)に示すように、配線溝7c内に配線9を形成するための配線材料7dを形成する。以降の工程は、第1の実施の形態と同様である。
【0111】
なお、図示しないが、配線10を形成する場合には、図14(b)に示した工程において、エッチングストッパ膜5の配線溝7cにより露出した部分にテーパー加工の代わりにラウンド加工を施す。
【0112】
また、本実施の形態に係る半導体装置1は、以下に説明するように、図15(a)〜(c)に示すような方法で形成してもよい。
【0113】
まず、図5A(a)に示した配線層絶縁膜6を成膜するまでの工程を第1の実施の形態と同様に行う。
【0114】
次に、図15(a)に示すように、例えば、フォトリソグラフィ法とRIE法により、配線層絶縁膜6をパターニングして、配線7のための配線溝7cを形成する。ここで配線溝7cの幅を調節することにより、後の工程において形成する配線9(配線10)の第2の領域9b(第2の領域10b)を所望の幅に形成することができる。このとき、エッチングストッパ膜5により、配線溝7cの深さが揃えられる。
【0115】
次に、図15(b)に示すように、エッチングストッパ膜5をテーパー加工、あるいはラウンド加工する。この際、配線溝7cが深くなり、コンタクト4の上面の少なくとも一部が露出する。ここでエッチングストッパ膜5の下面の高さにおける配線溝7cの幅を調節することにより、後の工程において形成する配線9(配線10)の第1の領域9a(第2の領域10a)を所望の幅に形成することができる。
【0116】
次に、図15(c)に示すように、配線溝7c内に配線9を形成するための配線材料7dを形成する。以降の工程は、第1の実施の形態と同様である。
【0117】
(第5の実施の形態の効果)
本発明の第5の実施の形態に係る半導体装置1によれば、第1の実施の形態と同様に、リーク電流および絶縁破壊の発生を抑えることができる。また、配線9または配線10が、テーパー形状の第3の領域9cまたは逆ラウンド形状の第3の領域10cを有することにより、第1の実施の形態よりもさらに、配線を形成する際の材料の埋め込みが容易になり、配線内でのボイドの発生等による電気的特性の劣化をより効果的に抑えることができる。
【0118】
なお、図13(a)、(b)に示す半導体装置1は、配線9、および配線10を第1の実施の形態に係る半導体装置1に適用したものに等しいが、本実施の形態に係る半導体装置1の構成はこれに限られるものではなく、例えば、第2〜4の実施の形態に係る半導体装置1に配線9、および配線10を適用したものであってもよい。なお、これらの場合であっても、配線間距離L、コンタクト間距離L、およびコンタクト−配線間距離Lの関係は、それぞれの実施の形態と同様である。
【0119】
〔第6の実施の形態〕
本発明の第6の実施の形態は、第1〜5の実施の形態における配線の構造を詳細に規定するものである。なお、配線以外の構成については、第1〜5の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0120】
(配線の構成)
図16(a)、(b)は、それぞれ本実施の形態に係る半導体装置の配線の断面図である。この配線7は、バリアメタル7e、金属めっきのための電流供給層となるシード膜7f、埋め込み膜7gからなる。
【0121】
図16(a)には、第1〜4の実施の形態における配線7の第1の領域7aがバリアメタル7e、およびシード膜7fのみで構成され、埋め込み膜7gを含まない場合の配線7の構造を示す。また、図16(b)には、第1の領域7aがバリアメタル7eのみで構成され、シード膜7f、および埋め込み膜7gを含まない場合の配線7の構造を示す。
【0122】
ここで、バリアメタル7eは、例えば、Ta、Ti、W、Ru、Mn等の金属あるいはこれらの金属の化合物からなり、スパッタ法またはCVD法により形成される。また、シード膜7fは、例えば、Cu等の埋め込み膜7gと同じ導電性材料からなり、スパッタ法またはCVD法により形成される。また、埋め込み膜7gは、例えば、Cu等の導電性材料からなり、めっき法により形成される。
【0123】
一般に、スパッタ法により形成される膜は、トレンチの内側面よりも、トレンチ底面からの成長の方が早い。スパッタ法による底面からの成長の速さを利用して、バリアメタル7eおよびシード膜7f、またはバリアメタル7eを、第1の領域7aに埋める。スパッタ法により形成される膜は膜密度が緻密で、不純物の含有量が少ないので、第1の領域7aにおけるボイドの発生を抑制することができる。
【0124】
また、一般に、CVD法は、比較的アスペクト比(高さ/幅)の大きい領域にも膜を埋め込み易い。そのため、CVD法により形成されるバリアメタル7eおよびシード膜7f、またはバリアメタル7eを第1の領域7aに埋めることにより、第1の領域7aにおけるボイドの発生を抑制することができる。
【0125】
また、本実施の形態を第5の実施の形態における配線9に適用する場合は、配線9は、第1の領域9aがバリアメタルおよびシード膜のみで構成され、埋め込み膜を含まない構造を有する。または、配線9は、第1の領域9aがバリアメタルのみで構成され、シード膜および埋め込み膜を含まない構造を有する。
【0126】
(第6の実施の形態の効果)
本発明の第6の実施の形態に係る配線によれば、スパッタ法またはCVD法により形成されるバリアメタル7eおよびシード膜7f、またはバリアメタル7eにより第1の領域7aを埋めることにより、第1の領域7aにおけるボイドの発生を抑制することができる。
【0127】
また、バリアメタル7eおよびシード膜7f、またはバリアメタル7eにより第1の領域7aを埋めることにより、埋め込み膜7gを埋め込む領域のアスペクト比を小さくして、埋め込み膜7gの埋め込みを容易にすることができる。
【0128】
さらに、図16(b)に示すように、第1の領域7aがバリアメタル7eのみで埋められる場合、第1の領域7a中にボイドが出来たとしても、Ta等のバリアメタルで包含されたボイドは不活性であるため、第2の領域7b中に動き出すことがない。よって、図16(b)の構造においては、ボイドが発生した場合であっても、信頼性の劣化が少ない。
【0129】
なお、図16(a)、(b)は、配線7のコンタクト4が接続されていない領域における断面を示すが、コンタクト4が接続されていない領域においても、同様に第1の領域7aがバリアメタル7eおよびシード膜7f、またはバリアメタル7eにより埋められている。第5の実施の形態における配線9に適用した場合も同様である。
【0130】
〔他の実施の形態〕
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。例えば、半導体装置1のうち、素子部等における微細な配線構造には上記各実施の形態において説明した配線構造を適用し、周辺回路部等のさほど微細でない配線構造には従来の配線構造を適用することができる。これは、配線構造が微細でない場合には耐電圧特性、および耐リーク特性があまり問題とならないため、配線を上記各実施の形態のように第1の領域7aと第2の領域7bからなる構造、あるいは第1の領域9a、10a、第2の領域9b、10b、および第3の領域9c、10cからなる構造にして、隣接する導電部材間の最近接距離を大きくする必要がないためである。また、配線の構造が、断面が四角形になる従来の構造である場合は、体積が増える分だけ電気抵抗を下げることができるためでもある。
【0131】
また、発明の主旨を逸脱しない範囲内において上記各実施の形態の構成要素を任意に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0132】
1 半導体装置。3 コンタクト層絶縁膜。4 コンタクト。5 エッチングストッパ膜。7、9、10 配線。7a、9a、10a 第1の領域。7b、9b、10b 第2の領域。9c、10c 第3の領域。7e バリアメタル。7f シード膜。7g 埋め込み層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子が設けられた半導体基板と、
前記半導体基板上に形成され、円形または楕円形の平面形状を有し、上下層の導電部材を電気的に接続する接続部材と、
前記接続部材と同じ層に形成された第1の絶縁膜と、
前記接続部材上に形成された配線であって、前記配線は、長さ方向と幅方向とを有し、前記配線は、前記接続部材の上面の一部と接する第1の領域、前記第1の領域上に位置し、前記第1の領域よりも幅の広い第2の領域、および前記第1の領域と前記第2の領域の間に位置し、逆ラウンド形状(曲面からなる凹型形状)、またはテーパー形状を有する第3の領域を含み、前記第1、第2、および第3の領域の各々は、前記配線の長さ方向に延びている、配線と、
前記第1の絶縁膜上に、前記配線の前記第3の領域に接して形成された第2の絶縁膜と、
を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記配線の前記第1の領域の一部は、前記接続部材が接続される領域において、前記接続部材上から前記配線の幅方向に外れていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記接続部材は、前記接続部材に隣接する他の接続部材と、前記配線の長さ方向にずれて配置されることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記配線の前記第1の領域は、バリアメタルおよびシード膜のみ、またはバリアメタルのみで構成されたことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−178618(P2012−178618A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−140005(P2012−140005)
【出願日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【分割の表示】特願2008−20373(P2008−20373)の分割
【原出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】