半導体装置
【課題】本発明は、電圧測定回路における電流損失を抑え、異常動作の場合であっても電圧測定回路が破壊されない半導体装置を提供する。
【解決手段】
本発明は、第1導通電極と、第2導通電極とを有する半導体スイッチ素子10と、半導体スイッチ素子10の第1導通電極および第2導通電極間の電圧を測定するための電圧測定回路31とを備える半導体装置101である。電圧測定回路31は、半導体スイッチ素子10と並列に接続され、半導体スイッチ素子10の導通方向に印加される電圧を所定値に制限するダイオード素子11と、ダイオード素子11に直列に接続された制御用スイッチ7と、半導体スイッチ素子10がオフ状態のときに制御用スイッチ7をオフ状態にし、半導体スイッチ素子10がオン状態のときに制御用スイッチ7をオン状態にするスイッチ制御部15とを含む。
【解決手段】
本発明は、第1導通電極と、第2導通電極とを有する半導体スイッチ素子10と、半導体スイッチ素子10の第1導通電極および第2導通電極間の電圧を測定するための電圧測定回路31とを備える半導体装置101である。電圧測定回路31は、半導体スイッチ素子10と並列に接続され、半導体スイッチ素子10の導通方向に印加される電圧を所定値に制限するダイオード素子11と、ダイオード素子11に直列に接続された制御用スイッチ7と、半導体スイッチ素子10がオフ状態のときに制御用スイッチ7をオフ状態にし、半導体スイッチ素子10がオン状態のときに制御用スイッチ7をオン状態にするスイッチ制御部15とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に、半導体スイッチ素子に印加される電圧を測定する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インバータなどのモータの回転速度制御および交流電源装置などに使用される半導体スイッチング装置において、半導体スイッチ素子が過電流状態であることを検出するために、たとえばこの半導体スイッチ素子を通して電流を流したときのオン電圧を測定する方法が採用される。
【0003】
インバータなどに使用される駆動回路内蔵のIPM(Intelligent Power Module)の過電流保護は、たとえば以下のように行なわれる。すなわち、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)チップに対してカレントセンスを設け、カレントセンスと抵抗とを接続してこの抵抗の両端の電圧をモニタする。そして、規定以上の電圧が発生した場合、IGBTチップに過電流が発生したとしてIGBTチップへのゲート信号を遮断し、また、エラー信号を出力する。
【0004】
半導体スイッチ素子を備え、この半導体スイッチ素子に印加される電圧の測定等を行なう構成として、たとえば、特開2010−200411号公報(特許文献1)には、以下のような半導体装置が開示されている。すなわち、特許文献1に開示されている半導体装置は、半導体スイッチ素子のドレイン−ソース間の電圧を測定するための電圧測定回路を有している。該電圧測定回路は、半導体スイッチ素子と並列に接続され、半導体スイッチ素子の導通方向に印加される電圧を所定値に制限するツェナーダイオードと、ツェナーダイオードと並列に接続された制御用スイッチと、制御用スイッチのオン・オフを制御するスイッチ制御部とを有している。そして、スイッチ制御部は、半導体スイッチ素子がオフされているときに制御用スイッチをオンし、半導体スイッチ素子がオンされているときに制御用スイッチをオフするように制御する。
【0005】
また、特開2006−136086号公報(特許文献2)には、以下のような構成が開示されている。すなわち、電流検出の対象となるMOSFETのソース−ドレイン間に第1の抵抗体と第2の抵抗体との直列回路を接続し、MOSFETのオン電圧を第1の抵抗体および第2の抵抗体からなる電圧分圧回路により分圧して検知回路に取り込み、電流に換算してMOSFETに通流する電流を検知する。この構成において、第1の抵抗体と第2の抵抗体とからなる電圧分圧回路の電圧分圧比が温度により変化し、温度が上昇すると電圧分圧比が大きくなるようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−200411号公報
【特許文献2】特開2006−136086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されている半導体装置は、半導体スイッチ素子がオフ状態で制御用スイッチがオン状態となるため、制御用スイッチの経路に電流(I=V/R)が流れることになる。そのため、特許文献1に開示されている半導体装置は、電源電圧を高くした場合、制御用スイッチの経路に流れる電流が多くなり、半導体スイッチ素子がオフ状態での電流損失が大きくなる。
【0008】
また、特許文献1に開示されている半導体装置は、制御用スイッチの経路に流れる電流が大きくなると、電圧測定回路に使用する抵抗素子の損失(V2/R)も大きくなるので、より抵抗値の大きい抵抗素子が必要となる。
【0009】
特許文献2に開示されている半導体装置では、通常動作のオン電圧を精度良く検出する方法の記載がされているのみで、短絡などの異常動作(素子に電流が流れ、電圧が印加された活性動作)での測定方法や異常動作への対策方法などについては一切記載されておらず、検知回路が異常動作により破壊されてしまう可能性があった。
【0010】
それゆえに、本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、電圧測定回路における電流損失を抑え、異常動作の場合であっても電圧測定回路が破壊されない半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、第1導通電極と、第2導通電極とを有する半導体スイッチ素子と、半導体スイッチ素子の第1導通電極および第2導通電極間の電圧を測定するための電圧測定回路とを備え、電圧測定回路は、半導体スイッチ素子と並列に接続され、半導体スイッチ素子の導通方向に印加される電圧を所定値に制限する定電圧素子と、定電圧素子に直列に接続された制御用スイッチと、半導体スイッチ素子がオフ状態のときに制御用スイッチをオフ状態にし、半導体スイッチ素子がオン状態のときに制御用スイッチをオン状態にするスイッチ制御部とを含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る半導体装置によれば、半導体スイッチ素子がオフ状態のとき、制御用スイッチをオフ状態にすることで電圧測定回路に電流が流れず、電流損失を抑えることができる。また、本発明に係る半導体装置は、異常動作の場合であっても、定電圧素子により半導体スイッチ素子の導通方向に印加される電圧を制限できるので、半導体スイッチ素子および電圧測定回路に高電圧が印加されずに回路の安全が保護される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る半導体装置が半導体スイッチ素子のオン電圧を検出する動作を示すタイミングチャートである。
【図3】本発明の実施の形態2に係る半導体装置の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態3に係る半導体装置の構成を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態3に係る半導体装置の別の構成を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態4に係る半導体装置が半導体スイッチ素子のオン電圧を検出する動作を示すタイミングチャートである。
【図7】本発明の実施の形態5に係る半導体装置の構成を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態6に係る半導体装置の構成を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態7に係る半導体装置の構成を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態7に係る半導体装置の別の構成を示す図である。
【図11】一般的なインバータ装置の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
本発明に係る半導体装置は、一般的なインバータ装置に適用することができる。図11は、一般的なインバータ装置の構成を示す回路図である。図11に示すインバータ装置は、交流電源1に接続され交流電力を直流電力に変換するコンバータ部150と、コンバータ部150から出力した直流電力を平滑化する平滑コンデンサ160と、複数の半導体スイッチ素子を制御して平滑コンデンサ160で平滑化した直流電力に基づいてモータ8を駆動するインバータ部140とを含んでいる。
【0015】
特に、本発明に係る半導体装置は、インバータ部140に適用されるものであり、以下の説明では、説明を簡略化するためにインバータ部140の1つの半導体スイッチ素子に適用した構成について説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置の構成を示す概略図である。図1に示す半導体装置101は、半導体スイッチ素子10と、ダイオード素子11と、クランプダイオード12と、電圧測定回路31とを備える。電圧測定回路31は、抵抗2と、ツェナーダイオード3と、制御用スイッチ7と、スイッチ制御部15とを含む。
【0017】
半導体装置101は、電源13から供給される直流電力に基づいてモータ8を駆動する。電圧測定回路31は、ツェナーダイオード3の両端に印加される電圧Vz1を測定することにより、半導体スイッチ素子10のドレイン−ソース間の電圧を測定する。IC151は、電圧測定回路31の測定結果に基づいて半導体スイッチ素子10の過電流状態を検出する。
【0018】
半導体スイッチ素子10は、たとえばMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)チップである。ダイオード素子11は、半導体スイッチ素子10と逆方向の導通方向を有する。ダイオード素子11は、たとえば半導体スイッチ素子10のドレインおよびソース間に存在する寄生ダイオードである。ダイオード素子11は、フリーホイールダイオードとして使用される。
【0019】
半導体スイッチ素子10は、クランプダイオード12のアノードおよび抵抗2の第1端に接続されたドレインと、電源13のマイナス側端子、ツェナーダイオード3のアノードに接続されたソースと、駆動信号GSを受けるゲートとを有する。クランプダイオード12は、電源13のプラス側端子およびモータ8の第1端に接続されたカソードと、モータ8の第2端に接続されたアノードとを有する。
【0020】
半導体スイッチ素子10と、抵抗2、制御用スイッチ7およびツェナーダイオード3の直列回路とは、互いに並列に接続されている。また、ツェナーダイオード3は、半導体スイッチ素子10の導通方向と逆の導通方向になるように接続されている。ツェナーダイオード3は、制御用スイッチ7の第2端に接続されたカソードと、半導体スイッチ素子10のソースに接続されたアノードとを有する。制御用スイッチ7は、抵抗2の第2端に接続された第1端と、ツェナーダイオード3のカソードに接続された第2端とを有する。
【0021】
抵抗2は、ツェナーダイオード3を通して流れる電流を制限するために設けられる。抵抗2の抵抗値は、ツェナーダイオード3に十分な電圧が印加されるような値に設定される。IC151は、ツェナーダイオードのカソードおよびアノードに接続されている。
【0022】
図2は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置101が半導体スイッチ素子10のオン電圧を検出する動作を示すタイミングチャートである。
【0023】
図2を参照して、GSは半導体スイッチ素子10への駆動信号すなわち半導体スイッチ素子10のゲート電圧であり、Idは半導体スイッチ素子10のドレイン電流であり、Vds半導体スイッチ素子10のドレイン−ソース間電圧であり、SWSは制御用スイッチ7への制御信号であり、Vz1はツェナーダイオード3の両端の電圧である。
【0024】
駆動信号GSは、タイミングAからタイミングBの期間で論理ハイレベルとなり、この期間において半導体スイッチ素子10はオン状態となる。また、駆動信号GSは、タイミングBからタイミングAの期間で論理ローレベルとなり、この期間において半導体スイッチ素子10はオフ状態となる。
【0025】
制御信号SWSは、駆動信号GSと論理レベルが同じになる。すなわち、制御信号SWSは、タイミングAからタイミングBの期間で論理ハイレベルとなり、タイミングBからタイミングAの期間で論理ローレベルとなる。
【0026】
ここで、半導体装置101が制御用スイッチ7およびツェナーダイオード3を備えないと仮定する。このような構成においては、半導体スイッチ素子10がオフ状態となるとき、電源13の出力電圧Voが半導体スイッチ素子10のドレイン−ソース間の両端に印加される。このため、半導体スイッチ素子10と並列に接続された電圧測定回路31にも同様に出力電圧Voの大半が印加される。そうすると、出力電圧Vo以上の耐圧を有するIC151が必要になってしまう。
【0027】
しかしながら、半導体装置101は、制御用スイッチ7を備え、スイッチ制御部15は、半導体スイッチ素子10がオフ状態となるとき、制御用スイッチ7をオフ状態にする。これにより、電圧測定回路31に印加される電圧が制御用スイッチ7に印加され、ツェナーダイオード3の両端の電圧Vz1を0Vとすることができるため、出力電圧Vo以上の耐圧を有するIC151が不要となる。また、半導体スイッチ素子10がオフ状態のときにIC151において高電圧が検出され、半導体スイッチ素子10が過電流状態であると誤って判定されることを防ぐことができる。また、半導体スイッチ素子10がオフ状態のときは、過電流状態であると判定しないような制御をIC151で行なう必要がなくなり、制御の簡易化を図ることができる。さらに、半導体スイッチ素子10がオフ状態のときは、制御用スイッチ7がオフ状態であるため電圧測定回路31に電流が流れず、電流損失を抑えることができる。
【0028】
また、スイッチ制御部15は、半導体スイッチ素子10がオン状態のとき、制御用スイッチ7がオン状態となる。たとえば、スイッチ制御部15は、半導体スイッチ素子10がオフ状態からオン状態に変化すると同時に制御用スイッチ7がオフ状態からオン状態に変化する。これにより、半導体スイッチ素子10に流れる電流のオン電圧がツェナーダイオード3の両端の電圧Vz1として電圧測定回路31に接続したIC151が検出することができる。
【0029】
以上のような制御用スイッチ7の制御を行なうことで、図2に示すように、ドレイン電流Idsと同様に変化する電圧波形を有する電圧Vz1がツェナーダイオード3の両端に印加され、これを測定することができる。すなわち、電圧Vz1を半導体スイッチ素子10のオン電圧として検出することができる。そして、半導体スイッチ素子10のオン電圧を検出することにより、半導体スイッチ素子10を通して流れる電流を測定することができ、半導体スイッチ素子10の過電流状態を検出することができる。
【0030】
また、半導体装置101がツェナーダイオード3を備えないと仮定する。このような構成においては、たとえばモータ8が故障して短絡などの異常動作した場合、半導体スイッチ素子10がオン状態のときは制御用スイッチ7がオン状態となるため、出力電圧Voが半導体スイッチ素子10および電圧測定回路31の両端にそれぞれ印加されることなる。
【0031】
しかしながら、半導体装置101では、ツェナーダイオード3を備える構成により、半導体スイッチ素子10および電圧測定回路31の両端に印加される電圧は、モータ8が故障して短絡などの異常動作した場合でも、ツェナーダイオード3のツェナー電圧以下となる。これにより、半導体スイッチ素子10および電圧測定回路31を構成する素子の耐圧を低く抑えることができる。
【0032】
また、半導体装置101では、電圧Vz1がツェナーダイオード3のツェナー電圧より大きくならないため、電圧Vz1を測定するためのIC151を高耐圧のものにする必要がなくなることから、IC151を容易に設計することができ、小型化を図り、コストを低減することができる。
【0033】
また、制御用スイッチ7は、流れる電流が抵抗2によって制限されることから、小容量のスイッチを用いることができるため、小型化を図り、コストを低減することができる。
【0034】
以上より、本発明の実施の形態1に係る半導体装置101では、半導体スイッチ素子10に印加される電圧を簡易な構成で精度良く測定することができる。これにより、半導体スイッチ素子10の過電流状態を正確に検出することができるため、歩留まりを向上させることができる。
【0035】
なお、本発明の実施の形態1に係る半導体装置101では、半導体スイッチ素子10は、たとえばMOSFETチップであるとしたが、これに限定するものではなく、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の他の半導体スイッチ素子であってもよい。
【0036】
また、本発明の実施の形態1に係る半導体装置101は、ツェナーダイオード3を備える構成であるとしたが、ツェナーダイオード3に限らず、半導体スイッチ素子10と並列に接続され、半導体スイッチ素子10の導通方向に印加される電圧を所定値に制限する定電圧素子であればよい。このような定電圧素子としては、たとえばバリスタがあげられる。
【0037】
また、本発明の実施の形態1に係る半導体装置101では、半導体スイッチ素子10の寄生ダイオードをフリーホイールダイオードとして使用する構成であるとしたが、これに限定するものではない。半導体スイッチ素子10として寄生ダイオードを有しないIGBTを使用する場合、あるいは半導体スイッチ素子10としてMOSFETを使用する場合でもモータ8の回生時の消費電力を抑えるために、順方向電圧の小さいSBD(Schottky Barrier Diode)などをフリーホイールダイオードとして別途設ける構成であってもよい。
【0038】
(実施の形態2)
実施の形態2は、実施の形態1に係る半導体装置と比べて定電圧素子を変更した半導体装置に関する。以下で説明する内容以外は実施の形態1に係る半導体装置と同様であり、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0039】
図3は、本発明の実施の形態2に係る半導体装置の構成を示す図である。
図3を参照して、半導体装置103は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置101と比べて、電圧測定回路31の代わりに電圧測定回路33を備える。電圧測定回路33は、抵抗2と、ダイオード部5と、制御用スイッチ7と、スイッチ制御部15とを含む。
【0040】
ダイオード部5は、抵抗2および制御用スイッチ7と直列接続されている。半導体スイッチ素子10と、抵抗2、制御用スイッチ7およびダイオード部5の直列回路とは、互いに並列に接続されている。また、ダイオード部5は、半導体スイッチ素子10の導通方向と同じ導通方向になるように直列接続された複数のダイオードを含む。ダイオード部5は、半導体スイッチ素子10の導通方向に印加される電圧を所定値に制限する。
【0041】
電圧測定回路33は、ダイオード部5の両端に印加される電圧V2を測定することにより、半導体スイッチ素子10のドレイン−ソース間の電圧を測定する。
【0042】
本発明の実施の形態2に係る半導体装置では、ダイオード部5におけるダイオードの数を変更することにより、電圧V2の最大レベルを調整することができる。
【0043】
その他の構成および動作は実施の形態1に係る半導体装置101と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0044】
なお、本発明の実施の形態2に係る半導体装置103は、ダイオード部5を備える構成であるとしたが、ダイオードに限らず、バリスタ等の双方向に導通する半導体素子であってもよい。このような構成であっても、本発明の実施の形態2に係る半導体装置と同様の効果を得ることができる。
【0045】
(実施の形態3)
本実施の形態3は、実施の形態1に係る半導体装置101と比べてツェナーダイオード3の両端の電圧Vz1の調整機能を追加した半導体装置に関する。以下で説明する内容以外は実施の形態1に係る半導体装置101と同様であり、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0046】
図4は、本発明の実施の形態3に係る半導体装置の構成を示す図である。
図4を参照して、半導体装置104は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置101と比べて、電圧測定回路31の代わりに電圧測定回路34を備える。電圧測定回路34は、抵抗2と、ツェナーダイオード3と、制御用スイッチ7と、スイッチ制御部15と、抵抗24とを含む。抵抗24は、抵抗2および制御用スイッチ7と直列接続され、かつ半導体スイッチ素子10、ダイオード素子11およびツェナーダイオード3と並列に接続されている。
【0047】
実施の形態1に係る半導体装置101では、オン状態における半導体スイッチ素子10のドレイン−ソース間電圧すなわちオン電圧がツェナーダイオード3の両端に印加されていた。
【0048】
これに対して、半導体装置103では、半導体スイッチ素子10のオン電圧を抵抗2および抵抗24によって分圧することができるため、ツェナーダイオード3の両端に印加される電圧V12の電圧レベルを調整することができる。
【0049】
なお、抵抗2を直列接続された複数の抵抗に置き換える、あるいは抵抗2の抵抗値を調整することによっても、ツェナーダイオード3両端の電圧のレベル調整をすることが可能である。
【0050】
また、抵抗24は、ツェナーダイオード3に並列に接続されている場合に限定されず、ツェナーダイオード3に直列に接続されてもよい。図5は、本発明の実施の形態3に係る半導体装置の別の構成を示す図である。図5に示す半導体装置105は、本発明の実施の形態3に係る半導体装置104と比べて、電圧測定回路34の代わりに電圧測定回路35を備える。電圧測定回路35は、抵抗2と、ツェナーダイオード3と、制御用スイッチ7と、スイッチ制御部15と、抵抗24,24aとを含む。抵抗24aは、IC151と接続する端子間において、ツェナーダイオード3と直列に接続されている。図5に示す半導体装置105も、半導体スイッチ素子10のオン電圧を抵抗2および抵抗24,24aによって分圧することができるため、ツェナーダイオード3の両端に印加される電圧V12の電圧レベルを調整することができる。
【0051】
その他の構成および動作は実施の形態1に係る半導体装置101と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0052】
(実施の形態4)
本実施の形態4は、実施の形態1に係る半導体装置101と比べてスイッチ制御部15の制御内容を変更した半導体装置に関する。以下で説明する内容以外は実施の形態1に係る半導体装置101と同様である。
【0053】
図6は、本発明の実施の形態5に係る半導体装置が半導体スイッチ素子のオン電圧を検出する動作を示すタイミングチャートである。
【0054】
図6を参照して、スイッチ制御部15は、半導体スイッチ素子10がオン状態にしてから所定時間経過するまでは制御用スイッチ7のオフ状態を維持し、所定時間経過後に制御用スイッチ7をオン状態にし、半導体スイッチ素子10がオフ状態になる時から所定時間経過前に制御用スイッチ7をオフ状態にする。
【0055】
すなわち、制御信号SWSは、タイミングAからタイミングBの期間で論理ハイレベルとなり、この期間において制御用スイッチ7はオン状態となる。また、制御信号SWSは、タイミングAからタイミングCまでの所定時間経過するまでは論理ローレベルのままであり、この期間において制御用スイッチ7はオフ状態を維持する。そして、制御信号SWSは、タイミングCからタイミングDまでの期間、論理ハイレベルとなり、半導体スイッチ素子10がオフ状態になるタイミングBから所定時間経過前のタイミングDに制御用スイッチ7をオフ状態にする。
【0056】
このような構成により、半導体スイッチ素子10がオフ状態からオン状態、およびオン状態からオフ状態へ遷移する時に発生するノイズ等に起因する電圧Vz1の急激なレベル変化を防ぐことができ、過電流検出の誤動作を防ぐことができる。
【0057】
その他の構成および動作は実施の形態に係る半導体装置101と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0058】
なお、実施の形態4に係るスイッチ制御部15は、電圧測定回路31で半導体スイッチ素子10のドレイン−ソース間の電圧を測定する期間(タイミングCからタイミングDまでの期間)のうち、少なくとも測定開始点(タイミングC)または測定終了点(タイミングD)のいずれか一方を半導体スイッチ素子10のスイッチング期間と同期させなくてもよい。
【0059】
(実施の形態5)
本実施の形態5は、実施の形態1に係る半導体装置101と比べてツェナーダイオード3の両端の電圧Vz1を安定化させる機能を追加した半導体装置に関する。以下で説明する内容以外は実施の形態1に係る半導体装置101と同様であり、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0060】
図7は、本発明の実施の形態5に係る半導体装置の構成を示す図である。
図7を参照して、半導体装置106は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置101と比べて、電圧測定回路31の代わりに電圧測定回路36を備える。電圧測定回路36は、抵抗2と、ツェナーダイオード3と、制御用スイッチ7と、スイッチ制御部15と、コンデンサ4とを含む。コンデンサ4は、抵抗2およびスイッチ制御部15と直列接続され、かつ半導体スイッチ素子10、ダイオード素子11およびツェナーダイオード3と並列に接続されている。
【0061】
半導体装置106では、コンデンサ4により、半導体スイッチ素子10のオン状態およびオフ状態間の遷移時に発生するノイズおよびリンギングに起因する電圧Vz1の急激なレベル変化を抑制することができる。これにより、過電流検出の誤動作を防ぐことができる。
【0062】
その他の構成および動作は実施の形態1に係る半導体装置101と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0063】
(実施の形態6)
本実施の形態6は、実施の形態1に係る半導体装置101をモジュール化した半導体装置に関する。以下で説明する内容以外は実施の形態1に係る半導体装置と同様である。
【0064】
図8は、本発明の実施の形態6に係る半導体装置の構成を示す図である。
図8を参照して、半導体装置107は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置101と比べて、さらに、ケースKと、駆動端子TD1,TD2と、モニタ端子TM1,TM2とを備える。
【0065】
ケースKは、半導体スイッチ素子10と、ダイオード素子11と、クランプダイオード12と、電圧測定回路31とを収容している。駆動端子TD1,TD2およびモニタ端子TM1,TM2は、ケースKに取り付けられている。
【0066】
ケースKの外部から駆動端子TD1を介して半導体スイッチ素子10のゲートに駆動信号GSが与えられる。また、ツェナーダイオード3の両端に印加される電圧Vz1は、モニタ端子TM1,TM2を介してケースKの外部にあるIC151に与えられる。
【0067】
このような構成により、半導体装置107の外部において半導体スイッチ素子10のオン電圧を容易に測定することができる。
【0068】
その他の構成および動作は実施の形態1に係る半導体装置101と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0069】
(実施の形態7)
本実施の形態7は、実施の形態1に係る半導体装置101をIPM(Intelligent Power Module)化した半導体装置に関する。以下で説明する内容以外は実施の形態1に係る半導体装置101と同様であり、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0070】
図9は、本発明の実施の形態7に係る半導体装置の構成を示す図である。
図9を参照して、半導体装置108は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置101と比べて、さらに、ケースKと、エラー端子TEと、駆動部16とを備える。
【0071】
ケースKは、半導体スイッチ素子10と、ダイオード素子11と、電圧測定回路31と、駆動部16とを収容している。エラー端子TEは、ケースKに取り付けられている。
【0072】
駆動部16は、半導体スイッチ素子10を駆動するための駆動信号GSを半導体スイッチ素子10のゲートへ出力する。また、駆動部16は、電圧測定回路31の測定結果すなわちツェナーダイオード3の両端に印加される電圧Vz1の大きさに基づいて、駆動部16による半導体スイッチ素子10への駆動信号GSの出力を停止させ、半導体スイッチ素子10をオフさせる制御を行なう過電流検出手段を有している。さらに、駆動部16は、電圧測定回路31の測定結果に基づいて、半導体スイッチ素子10が過電流状態であることを示すエラー信号をエラー端子TE経由でケースKの外部へ出力することができる。
【0073】
このように、半導体装置108、モジュール内部に駆動部16を内蔵し、かつ駆動部16が駆動信号GSの遮断機能を有することにより、過電流に対する応答速度を速くできるため、半導体スイッチ素子10が破壊されることを未然に防ぐことが可能になる。また、電圧Vz1を伝達するための配線長を短くできるため、駆動部16へ伝達される電圧Vz1がノイズなどの影響を受けにくくなることから、過電流検出の誤動作を防ぐことができる。
【0074】
また、半導体装置108では、電圧測定回路31および駆動部16を1つの集積回路すなわち1つの半導体チップにしてもよい。図10は、本発明の実施の形態7に係る半導体装置108の別の構成を示す図である。図10に示す半導体装置108では、電圧測定回路31および駆動部16を1つの半導体チップ41で構成してある。これにより、図10に示す半導体装置108は、モジュール全体の小型化、低コスト化および組立性の向上を実現することができる。
【0075】
その他の構成および動作は実施の形態1に係る半導体装置101と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0076】
(実施の形態8)
本実施の形態8は、実施の形態1に係る半導体装置101と比べて半導体スイッチ素子10の種類を変更した半導体装置に関する。以下で説明する内容以外は実施の形態1に係る半導体装置と同様であり、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0077】
実施の形態8に係る半導体装置は、図1に示す半導体装置101と同じ構成であるが、半導体スイッチ素子10およびダイオード素子11は炭化珪素(SiC)によって形成されている点が、実施の形態1に係る半導体装置と異なる。
【0078】
ここで、炭化珪素は、耐電圧性が高いため、許容される電流密度を大きくできることから、半導体スイッチ素子10およびダイオード素子11の小型化を図ることができる。したがって、本発明の実施の形態8に係る半導体装置では、実施の形態1に係る半導体装置101と比べて、さらに小型化を図ることができる。
【0079】
なお、本発明の実施の形態8に係る半導体装置では、半導体スイッチ素子10およびダイオード素子11が炭化珪素(SiC)によって形成されている構成であるとしたが、これに限定するものではなく、半導体スイッチ素子10およびダイオード素子11の少なくとも一方が炭化珪素(SiC)によって形成されている構成であってもよい。
【0080】
その他の構成および動作は実施の形態1に係る半導体装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0081】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0082】
1 交流電源、2,24,24a 抵抗、3 ツェナーダイオード、4 コンデンサ、5 ダイオード部、7 制御用スイッチ、8 モータ、10 半導体スイッチ素子、11 ダイオード素子、12 クランプダイオード、13 電源、15 スイッチ制御部、16 駆動部、31,33,34,35,36 電圧測定回路、41 半導体チップ、101,103,104,105,106,107,108 半導体装置、140 インバータ部、150 コンバータ部、160 平滑コンデンサ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に、半導体スイッチ素子に印加される電圧を測定する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インバータなどのモータの回転速度制御および交流電源装置などに使用される半導体スイッチング装置において、半導体スイッチ素子が過電流状態であることを検出するために、たとえばこの半導体スイッチ素子を通して電流を流したときのオン電圧を測定する方法が採用される。
【0003】
インバータなどに使用される駆動回路内蔵のIPM(Intelligent Power Module)の過電流保護は、たとえば以下のように行なわれる。すなわち、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)チップに対してカレントセンスを設け、カレントセンスと抵抗とを接続してこの抵抗の両端の電圧をモニタする。そして、規定以上の電圧が発生した場合、IGBTチップに過電流が発生したとしてIGBTチップへのゲート信号を遮断し、また、エラー信号を出力する。
【0004】
半導体スイッチ素子を備え、この半導体スイッチ素子に印加される電圧の測定等を行なう構成として、たとえば、特開2010−200411号公報(特許文献1)には、以下のような半導体装置が開示されている。すなわち、特許文献1に開示されている半導体装置は、半導体スイッチ素子のドレイン−ソース間の電圧を測定するための電圧測定回路を有している。該電圧測定回路は、半導体スイッチ素子と並列に接続され、半導体スイッチ素子の導通方向に印加される電圧を所定値に制限するツェナーダイオードと、ツェナーダイオードと並列に接続された制御用スイッチと、制御用スイッチのオン・オフを制御するスイッチ制御部とを有している。そして、スイッチ制御部は、半導体スイッチ素子がオフされているときに制御用スイッチをオンし、半導体スイッチ素子がオンされているときに制御用スイッチをオフするように制御する。
【0005】
また、特開2006−136086号公報(特許文献2)には、以下のような構成が開示されている。すなわち、電流検出の対象となるMOSFETのソース−ドレイン間に第1の抵抗体と第2の抵抗体との直列回路を接続し、MOSFETのオン電圧を第1の抵抗体および第2の抵抗体からなる電圧分圧回路により分圧して検知回路に取り込み、電流に換算してMOSFETに通流する電流を検知する。この構成において、第1の抵抗体と第2の抵抗体とからなる電圧分圧回路の電圧分圧比が温度により変化し、温度が上昇すると電圧分圧比が大きくなるようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−200411号公報
【特許文献2】特開2006−136086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されている半導体装置は、半導体スイッチ素子がオフ状態で制御用スイッチがオン状態となるため、制御用スイッチの経路に電流(I=V/R)が流れることになる。そのため、特許文献1に開示されている半導体装置は、電源電圧を高くした場合、制御用スイッチの経路に流れる電流が多くなり、半導体スイッチ素子がオフ状態での電流損失が大きくなる。
【0008】
また、特許文献1に開示されている半導体装置は、制御用スイッチの経路に流れる電流が大きくなると、電圧測定回路に使用する抵抗素子の損失(V2/R)も大きくなるので、より抵抗値の大きい抵抗素子が必要となる。
【0009】
特許文献2に開示されている半導体装置では、通常動作のオン電圧を精度良く検出する方法の記載がされているのみで、短絡などの異常動作(素子に電流が流れ、電圧が印加された活性動作)での測定方法や異常動作への対策方法などについては一切記載されておらず、検知回路が異常動作により破壊されてしまう可能性があった。
【0010】
それゆえに、本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、電圧測定回路における電流損失を抑え、異常動作の場合であっても電圧測定回路が破壊されない半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、第1導通電極と、第2導通電極とを有する半導体スイッチ素子と、半導体スイッチ素子の第1導通電極および第2導通電極間の電圧を測定するための電圧測定回路とを備え、電圧測定回路は、半導体スイッチ素子と並列に接続され、半導体スイッチ素子の導通方向に印加される電圧を所定値に制限する定電圧素子と、定電圧素子に直列に接続された制御用スイッチと、半導体スイッチ素子がオフ状態のときに制御用スイッチをオフ状態にし、半導体スイッチ素子がオン状態のときに制御用スイッチをオン状態にするスイッチ制御部とを含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る半導体装置によれば、半導体スイッチ素子がオフ状態のとき、制御用スイッチをオフ状態にすることで電圧測定回路に電流が流れず、電流損失を抑えることができる。また、本発明に係る半導体装置は、異常動作の場合であっても、定電圧素子により半導体スイッチ素子の導通方向に印加される電圧を制限できるので、半導体スイッチ素子および電圧測定回路に高電圧が印加されずに回路の安全が保護される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る半導体装置が半導体スイッチ素子のオン電圧を検出する動作を示すタイミングチャートである。
【図3】本発明の実施の形態2に係る半導体装置の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態3に係る半導体装置の構成を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態3に係る半導体装置の別の構成を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態4に係る半導体装置が半導体スイッチ素子のオン電圧を検出する動作を示すタイミングチャートである。
【図7】本発明の実施の形態5に係る半導体装置の構成を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態6に係る半導体装置の構成を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態7に係る半導体装置の構成を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態7に係る半導体装置の別の構成を示す図である。
【図11】一般的なインバータ装置の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
本発明に係る半導体装置は、一般的なインバータ装置に適用することができる。図11は、一般的なインバータ装置の構成を示す回路図である。図11に示すインバータ装置は、交流電源1に接続され交流電力を直流電力に変換するコンバータ部150と、コンバータ部150から出力した直流電力を平滑化する平滑コンデンサ160と、複数の半導体スイッチ素子を制御して平滑コンデンサ160で平滑化した直流電力に基づいてモータ8を駆動するインバータ部140とを含んでいる。
【0015】
特に、本発明に係る半導体装置は、インバータ部140に適用されるものであり、以下の説明では、説明を簡略化するためにインバータ部140の1つの半導体スイッチ素子に適用した構成について説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置の構成を示す概略図である。図1に示す半導体装置101は、半導体スイッチ素子10と、ダイオード素子11と、クランプダイオード12と、電圧測定回路31とを備える。電圧測定回路31は、抵抗2と、ツェナーダイオード3と、制御用スイッチ7と、スイッチ制御部15とを含む。
【0017】
半導体装置101は、電源13から供給される直流電力に基づいてモータ8を駆動する。電圧測定回路31は、ツェナーダイオード3の両端に印加される電圧Vz1を測定することにより、半導体スイッチ素子10のドレイン−ソース間の電圧を測定する。IC151は、電圧測定回路31の測定結果に基づいて半導体スイッチ素子10の過電流状態を検出する。
【0018】
半導体スイッチ素子10は、たとえばMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)チップである。ダイオード素子11は、半導体スイッチ素子10と逆方向の導通方向を有する。ダイオード素子11は、たとえば半導体スイッチ素子10のドレインおよびソース間に存在する寄生ダイオードである。ダイオード素子11は、フリーホイールダイオードとして使用される。
【0019】
半導体スイッチ素子10は、クランプダイオード12のアノードおよび抵抗2の第1端に接続されたドレインと、電源13のマイナス側端子、ツェナーダイオード3のアノードに接続されたソースと、駆動信号GSを受けるゲートとを有する。クランプダイオード12は、電源13のプラス側端子およびモータ8の第1端に接続されたカソードと、モータ8の第2端に接続されたアノードとを有する。
【0020】
半導体スイッチ素子10と、抵抗2、制御用スイッチ7およびツェナーダイオード3の直列回路とは、互いに並列に接続されている。また、ツェナーダイオード3は、半導体スイッチ素子10の導通方向と逆の導通方向になるように接続されている。ツェナーダイオード3は、制御用スイッチ7の第2端に接続されたカソードと、半導体スイッチ素子10のソースに接続されたアノードとを有する。制御用スイッチ7は、抵抗2の第2端に接続された第1端と、ツェナーダイオード3のカソードに接続された第2端とを有する。
【0021】
抵抗2は、ツェナーダイオード3を通して流れる電流を制限するために設けられる。抵抗2の抵抗値は、ツェナーダイオード3に十分な電圧が印加されるような値に設定される。IC151は、ツェナーダイオードのカソードおよびアノードに接続されている。
【0022】
図2は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置101が半導体スイッチ素子10のオン電圧を検出する動作を示すタイミングチャートである。
【0023】
図2を参照して、GSは半導体スイッチ素子10への駆動信号すなわち半導体スイッチ素子10のゲート電圧であり、Idは半導体スイッチ素子10のドレイン電流であり、Vds半導体スイッチ素子10のドレイン−ソース間電圧であり、SWSは制御用スイッチ7への制御信号であり、Vz1はツェナーダイオード3の両端の電圧である。
【0024】
駆動信号GSは、タイミングAからタイミングBの期間で論理ハイレベルとなり、この期間において半導体スイッチ素子10はオン状態となる。また、駆動信号GSは、タイミングBからタイミングAの期間で論理ローレベルとなり、この期間において半導体スイッチ素子10はオフ状態となる。
【0025】
制御信号SWSは、駆動信号GSと論理レベルが同じになる。すなわち、制御信号SWSは、タイミングAからタイミングBの期間で論理ハイレベルとなり、タイミングBからタイミングAの期間で論理ローレベルとなる。
【0026】
ここで、半導体装置101が制御用スイッチ7およびツェナーダイオード3を備えないと仮定する。このような構成においては、半導体スイッチ素子10がオフ状態となるとき、電源13の出力電圧Voが半導体スイッチ素子10のドレイン−ソース間の両端に印加される。このため、半導体スイッチ素子10と並列に接続された電圧測定回路31にも同様に出力電圧Voの大半が印加される。そうすると、出力電圧Vo以上の耐圧を有するIC151が必要になってしまう。
【0027】
しかしながら、半導体装置101は、制御用スイッチ7を備え、スイッチ制御部15は、半導体スイッチ素子10がオフ状態となるとき、制御用スイッチ7をオフ状態にする。これにより、電圧測定回路31に印加される電圧が制御用スイッチ7に印加され、ツェナーダイオード3の両端の電圧Vz1を0Vとすることができるため、出力電圧Vo以上の耐圧を有するIC151が不要となる。また、半導体スイッチ素子10がオフ状態のときにIC151において高電圧が検出され、半導体スイッチ素子10が過電流状態であると誤って判定されることを防ぐことができる。また、半導体スイッチ素子10がオフ状態のときは、過電流状態であると判定しないような制御をIC151で行なう必要がなくなり、制御の簡易化を図ることができる。さらに、半導体スイッチ素子10がオフ状態のときは、制御用スイッチ7がオフ状態であるため電圧測定回路31に電流が流れず、電流損失を抑えることができる。
【0028】
また、スイッチ制御部15は、半導体スイッチ素子10がオン状態のとき、制御用スイッチ7がオン状態となる。たとえば、スイッチ制御部15は、半導体スイッチ素子10がオフ状態からオン状態に変化すると同時に制御用スイッチ7がオフ状態からオン状態に変化する。これにより、半導体スイッチ素子10に流れる電流のオン電圧がツェナーダイオード3の両端の電圧Vz1として電圧測定回路31に接続したIC151が検出することができる。
【0029】
以上のような制御用スイッチ7の制御を行なうことで、図2に示すように、ドレイン電流Idsと同様に変化する電圧波形を有する電圧Vz1がツェナーダイオード3の両端に印加され、これを測定することができる。すなわち、電圧Vz1を半導体スイッチ素子10のオン電圧として検出することができる。そして、半導体スイッチ素子10のオン電圧を検出することにより、半導体スイッチ素子10を通して流れる電流を測定することができ、半導体スイッチ素子10の過電流状態を検出することができる。
【0030】
また、半導体装置101がツェナーダイオード3を備えないと仮定する。このような構成においては、たとえばモータ8が故障して短絡などの異常動作した場合、半導体スイッチ素子10がオン状態のときは制御用スイッチ7がオン状態となるため、出力電圧Voが半導体スイッチ素子10および電圧測定回路31の両端にそれぞれ印加されることなる。
【0031】
しかしながら、半導体装置101では、ツェナーダイオード3を備える構成により、半導体スイッチ素子10および電圧測定回路31の両端に印加される電圧は、モータ8が故障して短絡などの異常動作した場合でも、ツェナーダイオード3のツェナー電圧以下となる。これにより、半導体スイッチ素子10および電圧測定回路31を構成する素子の耐圧を低く抑えることができる。
【0032】
また、半導体装置101では、電圧Vz1がツェナーダイオード3のツェナー電圧より大きくならないため、電圧Vz1を測定するためのIC151を高耐圧のものにする必要がなくなることから、IC151を容易に設計することができ、小型化を図り、コストを低減することができる。
【0033】
また、制御用スイッチ7は、流れる電流が抵抗2によって制限されることから、小容量のスイッチを用いることができるため、小型化を図り、コストを低減することができる。
【0034】
以上より、本発明の実施の形態1に係る半導体装置101では、半導体スイッチ素子10に印加される電圧を簡易な構成で精度良く測定することができる。これにより、半導体スイッチ素子10の過電流状態を正確に検出することができるため、歩留まりを向上させることができる。
【0035】
なお、本発明の実施の形態1に係る半導体装置101では、半導体スイッチ素子10は、たとえばMOSFETチップであるとしたが、これに限定するものではなく、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の他の半導体スイッチ素子であってもよい。
【0036】
また、本発明の実施の形態1に係る半導体装置101は、ツェナーダイオード3を備える構成であるとしたが、ツェナーダイオード3に限らず、半導体スイッチ素子10と並列に接続され、半導体スイッチ素子10の導通方向に印加される電圧を所定値に制限する定電圧素子であればよい。このような定電圧素子としては、たとえばバリスタがあげられる。
【0037】
また、本発明の実施の形態1に係る半導体装置101では、半導体スイッチ素子10の寄生ダイオードをフリーホイールダイオードとして使用する構成であるとしたが、これに限定するものではない。半導体スイッチ素子10として寄生ダイオードを有しないIGBTを使用する場合、あるいは半導体スイッチ素子10としてMOSFETを使用する場合でもモータ8の回生時の消費電力を抑えるために、順方向電圧の小さいSBD(Schottky Barrier Diode)などをフリーホイールダイオードとして別途設ける構成であってもよい。
【0038】
(実施の形態2)
実施の形態2は、実施の形態1に係る半導体装置と比べて定電圧素子を変更した半導体装置に関する。以下で説明する内容以外は実施の形態1に係る半導体装置と同様であり、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0039】
図3は、本発明の実施の形態2に係る半導体装置の構成を示す図である。
図3を参照して、半導体装置103は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置101と比べて、電圧測定回路31の代わりに電圧測定回路33を備える。電圧測定回路33は、抵抗2と、ダイオード部5と、制御用スイッチ7と、スイッチ制御部15とを含む。
【0040】
ダイオード部5は、抵抗2および制御用スイッチ7と直列接続されている。半導体スイッチ素子10と、抵抗2、制御用スイッチ7およびダイオード部5の直列回路とは、互いに並列に接続されている。また、ダイオード部5は、半導体スイッチ素子10の導通方向と同じ導通方向になるように直列接続された複数のダイオードを含む。ダイオード部5は、半導体スイッチ素子10の導通方向に印加される電圧を所定値に制限する。
【0041】
電圧測定回路33は、ダイオード部5の両端に印加される電圧V2を測定することにより、半導体スイッチ素子10のドレイン−ソース間の電圧を測定する。
【0042】
本発明の実施の形態2に係る半導体装置では、ダイオード部5におけるダイオードの数を変更することにより、電圧V2の最大レベルを調整することができる。
【0043】
その他の構成および動作は実施の形態1に係る半導体装置101と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0044】
なお、本発明の実施の形態2に係る半導体装置103は、ダイオード部5を備える構成であるとしたが、ダイオードに限らず、バリスタ等の双方向に導通する半導体素子であってもよい。このような構成であっても、本発明の実施の形態2に係る半導体装置と同様の効果を得ることができる。
【0045】
(実施の形態3)
本実施の形態3は、実施の形態1に係る半導体装置101と比べてツェナーダイオード3の両端の電圧Vz1の調整機能を追加した半導体装置に関する。以下で説明する内容以外は実施の形態1に係る半導体装置101と同様であり、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0046】
図4は、本発明の実施の形態3に係る半導体装置の構成を示す図である。
図4を参照して、半導体装置104は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置101と比べて、電圧測定回路31の代わりに電圧測定回路34を備える。電圧測定回路34は、抵抗2と、ツェナーダイオード3と、制御用スイッチ7と、スイッチ制御部15と、抵抗24とを含む。抵抗24は、抵抗2および制御用スイッチ7と直列接続され、かつ半導体スイッチ素子10、ダイオード素子11およびツェナーダイオード3と並列に接続されている。
【0047】
実施の形態1に係る半導体装置101では、オン状態における半導体スイッチ素子10のドレイン−ソース間電圧すなわちオン電圧がツェナーダイオード3の両端に印加されていた。
【0048】
これに対して、半導体装置103では、半導体スイッチ素子10のオン電圧を抵抗2および抵抗24によって分圧することができるため、ツェナーダイオード3の両端に印加される電圧V12の電圧レベルを調整することができる。
【0049】
なお、抵抗2を直列接続された複数の抵抗に置き換える、あるいは抵抗2の抵抗値を調整することによっても、ツェナーダイオード3両端の電圧のレベル調整をすることが可能である。
【0050】
また、抵抗24は、ツェナーダイオード3に並列に接続されている場合に限定されず、ツェナーダイオード3に直列に接続されてもよい。図5は、本発明の実施の形態3に係る半導体装置の別の構成を示す図である。図5に示す半導体装置105は、本発明の実施の形態3に係る半導体装置104と比べて、電圧測定回路34の代わりに電圧測定回路35を備える。電圧測定回路35は、抵抗2と、ツェナーダイオード3と、制御用スイッチ7と、スイッチ制御部15と、抵抗24,24aとを含む。抵抗24aは、IC151と接続する端子間において、ツェナーダイオード3と直列に接続されている。図5に示す半導体装置105も、半導体スイッチ素子10のオン電圧を抵抗2および抵抗24,24aによって分圧することができるため、ツェナーダイオード3の両端に印加される電圧V12の電圧レベルを調整することができる。
【0051】
その他の構成および動作は実施の形態1に係る半導体装置101と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0052】
(実施の形態4)
本実施の形態4は、実施の形態1に係る半導体装置101と比べてスイッチ制御部15の制御内容を変更した半導体装置に関する。以下で説明する内容以外は実施の形態1に係る半導体装置101と同様である。
【0053】
図6は、本発明の実施の形態5に係る半導体装置が半導体スイッチ素子のオン電圧を検出する動作を示すタイミングチャートである。
【0054】
図6を参照して、スイッチ制御部15は、半導体スイッチ素子10がオン状態にしてから所定時間経過するまでは制御用スイッチ7のオフ状態を維持し、所定時間経過後に制御用スイッチ7をオン状態にし、半導体スイッチ素子10がオフ状態になる時から所定時間経過前に制御用スイッチ7をオフ状態にする。
【0055】
すなわち、制御信号SWSは、タイミングAからタイミングBの期間で論理ハイレベルとなり、この期間において制御用スイッチ7はオン状態となる。また、制御信号SWSは、タイミングAからタイミングCまでの所定時間経過するまでは論理ローレベルのままであり、この期間において制御用スイッチ7はオフ状態を維持する。そして、制御信号SWSは、タイミングCからタイミングDまでの期間、論理ハイレベルとなり、半導体スイッチ素子10がオフ状態になるタイミングBから所定時間経過前のタイミングDに制御用スイッチ7をオフ状態にする。
【0056】
このような構成により、半導体スイッチ素子10がオフ状態からオン状態、およびオン状態からオフ状態へ遷移する時に発生するノイズ等に起因する電圧Vz1の急激なレベル変化を防ぐことができ、過電流検出の誤動作を防ぐことができる。
【0057】
その他の構成および動作は実施の形態に係る半導体装置101と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0058】
なお、実施の形態4に係るスイッチ制御部15は、電圧測定回路31で半導体スイッチ素子10のドレイン−ソース間の電圧を測定する期間(タイミングCからタイミングDまでの期間)のうち、少なくとも測定開始点(タイミングC)または測定終了点(タイミングD)のいずれか一方を半導体スイッチ素子10のスイッチング期間と同期させなくてもよい。
【0059】
(実施の形態5)
本実施の形態5は、実施の形態1に係る半導体装置101と比べてツェナーダイオード3の両端の電圧Vz1を安定化させる機能を追加した半導体装置に関する。以下で説明する内容以外は実施の形態1に係る半導体装置101と同様であり、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0060】
図7は、本発明の実施の形態5に係る半導体装置の構成を示す図である。
図7を参照して、半導体装置106は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置101と比べて、電圧測定回路31の代わりに電圧測定回路36を備える。電圧測定回路36は、抵抗2と、ツェナーダイオード3と、制御用スイッチ7と、スイッチ制御部15と、コンデンサ4とを含む。コンデンサ4は、抵抗2およびスイッチ制御部15と直列接続され、かつ半導体スイッチ素子10、ダイオード素子11およびツェナーダイオード3と並列に接続されている。
【0061】
半導体装置106では、コンデンサ4により、半導体スイッチ素子10のオン状態およびオフ状態間の遷移時に発生するノイズおよびリンギングに起因する電圧Vz1の急激なレベル変化を抑制することができる。これにより、過電流検出の誤動作を防ぐことができる。
【0062】
その他の構成および動作は実施の形態1に係る半導体装置101と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0063】
(実施の形態6)
本実施の形態6は、実施の形態1に係る半導体装置101をモジュール化した半導体装置に関する。以下で説明する内容以外は実施の形態1に係る半導体装置と同様である。
【0064】
図8は、本発明の実施の形態6に係る半導体装置の構成を示す図である。
図8を参照して、半導体装置107は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置101と比べて、さらに、ケースKと、駆動端子TD1,TD2と、モニタ端子TM1,TM2とを備える。
【0065】
ケースKは、半導体スイッチ素子10と、ダイオード素子11と、クランプダイオード12と、電圧測定回路31とを収容している。駆動端子TD1,TD2およびモニタ端子TM1,TM2は、ケースKに取り付けられている。
【0066】
ケースKの外部から駆動端子TD1を介して半導体スイッチ素子10のゲートに駆動信号GSが与えられる。また、ツェナーダイオード3の両端に印加される電圧Vz1は、モニタ端子TM1,TM2を介してケースKの外部にあるIC151に与えられる。
【0067】
このような構成により、半導体装置107の外部において半導体スイッチ素子10のオン電圧を容易に測定することができる。
【0068】
その他の構成および動作は実施の形態1に係る半導体装置101と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0069】
(実施の形態7)
本実施の形態7は、実施の形態1に係る半導体装置101をIPM(Intelligent Power Module)化した半導体装置に関する。以下で説明する内容以外は実施の形態1に係る半導体装置101と同様であり、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0070】
図9は、本発明の実施の形態7に係る半導体装置の構成を示す図である。
図9を参照して、半導体装置108は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置101と比べて、さらに、ケースKと、エラー端子TEと、駆動部16とを備える。
【0071】
ケースKは、半導体スイッチ素子10と、ダイオード素子11と、電圧測定回路31と、駆動部16とを収容している。エラー端子TEは、ケースKに取り付けられている。
【0072】
駆動部16は、半導体スイッチ素子10を駆動するための駆動信号GSを半導体スイッチ素子10のゲートへ出力する。また、駆動部16は、電圧測定回路31の測定結果すなわちツェナーダイオード3の両端に印加される電圧Vz1の大きさに基づいて、駆動部16による半導体スイッチ素子10への駆動信号GSの出力を停止させ、半導体スイッチ素子10をオフさせる制御を行なう過電流検出手段を有している。さらに、駆動部16は、電圧測定回路31の測定結果に基づいて、半導体スイッチ素子10が過電流状態であることを示すエラー信号をエラー端子TE経由でケースKの外部へ出力することができる。
【0073】
このように、半導体装置108、モジュール内部に駆動部16を内蔵し、かつ駆動部16が駆動信号GSの遮断機能を有することにより、過電流に対する応答速度を速くできるため、半導体スイッチ素子10が破壊されることを未然に防ぐことが可能になる。また、電圧Vz1を伝達するための配線長を短くできるため、駆動部16へ伝達される電圧Vz1がノイズなどの影響を受けにくくなることから、過電流検出の誤動作を防ぐことができる。
【0074】
また、半導体装置108では、電圧測定回路31および駆動部16を1つの集積回路すなわち1つの半導体チップにしてもよい。図10は、本発明の実施の形態7に係る半導体装置108の別の構成を示す図である。図10に示す半導体装置108では、電圧測定回路31および駆動部16を1つの半導体チップ41で構成してある。これにより、図10に示す半導体装置108は、モジュール全体の小型化、低コスト化および組立性の向上を実現することができる。
【0075】
その他の構成および動作は実施の形態1に係る半導体装置101と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0076】
(実施の形態8)
本実施の形態8は、実施の形態1に係る半導体装置101と比べて半導体スイッチ素子10の種類を変更した半導体装置に関する。以下で説明する内容以外は実施の形態1に係る半導体装置と同様であり、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0077】
実施の形態8に係る半導体装置は、図1に示す半導体装置101と同じ構成であるが、半導体スイッチ素子10およびダイオード素子11は炭化珪素(SiC)によって形成されている点が、実施の形態1に係る半導体装置と異なる。
【0078】
ここで、炭化珪素は、耐電圧性が高いため、許容される電流密度を大きくできることから、半導体スイッチ素子10およびダイオード素子11の小型化を図ることができる。したがって、本発明の実施の形態8に係る半導体装置では、実施の形態1に係る半導体装置101と比べて、さらに小型化を図ることができる。
【0079】
なお、本発明の実施の形態8に係る半導体装置では、半導体スイッチ素子10およびダイオード素子11が炭化珪素(SiC)によって形成されている構成であるとしたが、これに限定するものではなく、半導体スイッチ素子10およびダイオード素子11の少なくとも一方が炭化珪素(SiC)によって形成されている構成であってもよい。
【0080】
その他の構成および動作は実施の形態1に係る半導体装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0081】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0082】
1 交流電源、2,24,24a 抵抗、3 ツェナーダイオード、4 コンデンサ、5 ダイオード部、7 制御用スイッチ、8 モータ、10 半導体スイッチ素子、11 ダイオード素子、12 クランプダイオード、13 電源、15 スイッチ制御部、16 駆動部、31,33,34,35,36 電圧測定回路、41 半導体チップ、101,103,104,105,106,107,108 半導体装置、140 インバータ部、150 コンバータ部、160 平滑コンデンサ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導通電極と、第2導通電極とを有する半導体スイッチ素子と、
前記半導体スイッチ素子の前記第1導通電極および前記第2導通電極間の電圧を測定するための電圧測定回路とを備え、
前記電圧測定回路は、
前記半導体スイッチ素子と並列に接続され、前記半導体スイッチ素子の導通方向に印加される電圧を所定値に制限する定電圧素子と、
前記定電圧素子に直列に接続された制御用スイッチと、
前記半導体スイッチ素子がオフ状態のときに前記制御用スイッチをオフ状態にし、前記半導体スイッチ素子がオン状態のときに前記制御用スイッチをオン状態にするスイッチ制御部とを含む半導体装置。
【請求項2】
前記定電圧素子は、ツェナーダイオードであり、
前記電圧測定回路は、さらに、
前記定電圧素子および前記制御用スイッチと直列に接続された第1抵抗素子を
含む請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記定電圧素子は、直列に接続された複数のダイオードであり、
前記電圧測定回路は、さらに、
前記定電圧素子および前記制御用スイッチと直列に接続された第1抵抗素子を
含む請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記電圧測定回路は、さらに、
前記半導体スイッチ素子および前記定電圧素子と並列に接続された第2抵抗素子を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記電圧測定回路は、さらに、
前記半導体スイッチ素子および前記定電圧素子と並列に接続されたコンデンサを含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記スイッチ制御部は、前記半導体スイッチ素子がオン状態の期間のうち、予め定められた期間をオフ状態にする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体装置は、さらに、
前記半導体スイッチ素子と、前記定電圧素子と、前記制御用スイッチとを収容するケースと、
前記ケースに取り付けられ、前記定電圧素子に印加される電圧を測定するための端子とを備える請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体装置は、さらに、
前記半導体スイッチ素子を駆動するための駆動信号を前記半導体スイッチ素子へ出力する駆動部と、
前記半導体スイッチ素子と、前記電圧測定回路と、前記駆動部とを収容するケースとを備え、
前記駆動部は、前記定電圧素子に印加される電圧の大きさに基づいて、前記半導体スイッチ素子への前記駆動信号の出力を停止し、かつ前記半導体スイッチ素子が過電流状態であることを示すエラー信号を出力する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記電圧測定回路と、前記駆動部と、前記過電流検出部とは、1つの半導体集積回路に含まれている請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記半導体スイッチ素子は、炭化珪素によって形成されている請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項1】
第1導通電極と、第2導通電極とを有する半導体スイッチ素子と、
前記半導体スイッチ素子の前記第1導通電極および前記第2導通電極間の電圧を測定するための電圧測定回路とを備え、
前記電圧測定回路は、
前記半導体スイッチ素子と並列に接続され、前記半導体スイッチ素子の導通方向に印加される電圧を所定値に制限する定電圧素子と、
前記定電圧素子に直列に接続された制御用スイッチと、
前記半導体スイッチ素子がオフ状態のときに前記制御用スイッチをオフ状態にし、前記半導体スイッチ素子がオン状態のときに前記制御用スイッチをオン状態にするスイッチ制御部とを含む半導体装置。
【請求項2】
前記定電圧素子は、ツェナーダイオードであり、
前記電圧測定回路は、さらに、
前記定電圧素子および前記制御用スイッチと直列に接続された第1抵抗素子を
含む請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記定電圧素子は、直列に接続された複数のダイオードであり、
前記電圧測定回路は、さらに、
前記定電圧素子および前記制御用スイッチと直列に接続された第1抵抗素子を
含む請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記電圧測定回路は、さらに、
前記半導体スイッチ素子および前記定電圧素子と並列に接続された第2抵抗素子を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記電圧測定回路は、さらに、
前記半導体スイッチ素子および前記定電圧素子と並列に接続されたコンデンサを含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記スイッチ制御部は、前記半導体スイッチ素子がオン状態の期間のうち、予め定められた期間をオフ状態にする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体装置は、さらに、
前記半導体スイッチ素子と、前記定電圧素子と、前記制御用スイッチとを収容するケースと、
前記ケースに取り付けられ、前記定電圧素子に印加される電圧を測定するための端子とを備える請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体装置は、さらに、
前記半導体スイッチ素子を駆動するための駆動信号を前記半導体スイッチ素子へ出力する駆動部と、
前記半導体スイッチ素子と、前記電圧測定回路と、前記駆動部とを収容するケースとを備え、
前記駆動部は、前記定電圧素子に印加される電圧の大きさに基づいて、前記半導体スイッチ素子への前記駆動信号の出力を停止し、かつ前記半導体スイッチ素子が過電流状態であることを示すエラー信号を出力する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記電圧測定回路と、前記駆動部と、前記過電流検出部とは、1つの半導体集積回路に含まれている請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記半導体スイッチ素子は、炭化珪素によって形成されている請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−106464(P2013−106464A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249685(P2011−249685)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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