説明

半導体装置

【課題】半導体素子が搭載された半導体装置の上下の主面から効率よく放熱を行う。
【解決手段】半導体装置1は、絶縁基板10Aと、絶縁基板10Aに対向するように配設された絶縁基板10Bと、絶縁基板10Aと絶縁基板10Bの間隙に配置され、コレクタ電極とコレクタ電極とは反対側に配設されたエミッタ電極を有した半導体素子20と、を備え、コレクタ電極が絶縁基板10Aに配設された金属箔10acに電気的に接続されると共に、エミッタ電極が絶縁基板10Bに配設された金属箔10bcに電気的に接続されている。これにより、半導体素子20から発生した熱が、半導体装置1の上下の主面から効率よく放熱されるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置に関し、特にパワー半導体素子を搭載した半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インバータ装置、無停電電源装置、工作機械、産業用ロボット等では、その本体装置とは独立して、パワー半導体素子を搭載した半導体装置(半導体パッケージ)が使用されている。
【0003】
例えば、図16はパワー半導体素子を搭載した半導体装置の要部図である。
図示する如く、当該半導体装置100は、金属バー130aと金属バー130bとの間にIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)素子110Naの主電極並びにダイオード110Nbの電極を夫々接触させて並列接続回路を構成し、金属バー130bと金属バー130cとの間にIGBT素子110Paの主電極並びにダイオード110Pbの電極を夫々接触させて並列接続回路を構成し、夫々の並列接続回路を、金属バー130bを介して直列接続して樹脂封止し、封止樹脂150の収縮圧力により、夫々のIGBT素子並びにダイオードと各金属バー間を電気的に接続している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このような構成を有する半導体装置100では、IGBT素子110Na及びダイオード110Nbから発生した熱は、放熱フィン170N側に伝熱され易い。また、IGBT素子110Pa及びダイオード110Pbから発生した熱は、放熱フィン170P側に伝熱され易い。このように半導体装置100は、発熱する各半導体素子の一方の面側に伝熱され、放熱が起こり易い構造になっている。
【0005】
このほか、従来、半導体素子の上下両面側からの放熱を試みた提案等もなされている(例えば、特許文献2,3参照)。
また、従来、半導体素子から発生した熱を放熱フィン等の冷却体に効率的に伝熱するために、半導体素子を、サーマルコンパウンド、樹脂シート、或いはエアロゾルデポジション法により形成される絶縁層を介して冷却体に熱的に接続する技術等が知られている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−134990号公報
【特許文献2】特開2004−22844号公報
【特許文献3】特開2007−173680号公報
【特許文献4】特開2006−165498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、これまでの半導体装置では、その構成によっては、放熱性が十分でなく装置の信頼性が低下してしまったり、放熱性向上のために装置の薄型化や小型化が阻害されたりする場合があった。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、搭載される半導体素子から発生した熱を効率よく放熱することのできる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一態様では、第1金属板と、前記第1金属板に対向して配置された第2金属板と、前記第1金属板及び前記第2金属板の間に配置され、前記第1金属板と前記第2金属板とに電気的に接続された半導体素子と、前記第1金属板の前記半導体素子側と反対側の主面に形成された絶縁性の第1堆積層と、前記第2金属板の前記半導体素子側と反対側の主面に形成された絶縁性の第2堆積層と、を有することを特徴とする半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
開示の半導体装置によれば、搭載される半導体素子から発生する熱を、半導体装置の上下の主面側へ効率的に放熱することのできる、信頼性の高い半導体装置を実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施の形態に係る半導体装置の概略図である。
【図2】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明する要部模式図である(その1)。
【図3】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明する要部模式図である(その2)。
【図4】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明する要部模式図である(その3)。
【図5】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明する要部模式図である(その4)。
【図6】第1の実施の形態に係る半導体装置の別の製造方法を説明する要部模式図である(その1)。
【図7】第1の実施の形態に係る半導体装置の別の製造方法を説明する要部模式図である(その2)。
【図8】第1の実施の形態に係る半導体装置の別の製造方法を説明する要部模式図である(その3)。
【図9】積層構造を有する半導体装置の構成例の要部断面図である。
【図10】第2の実施の形態に係る半導体装置の概略図である。
【図11】第3の実施の形態に係る半導体装置の概略図である。
【図12】エアロゾルデポジション法を用いた絶縁層形成工程の一例の説明図である。
【図13】エアロゾルデポジション法を用いた絶縁層形成工程の別例の説明図である。
【図14】第4の実施の形態に係る半導体装置の概略図である。
【図15】第5の実施の形態に係る半導体装置の概略図である。
【図16】パワー半導体素子を搭載した半導体装置の要部図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施の形態>
図1は第1の実施の形態に係る半導体装置の概略図である。
図示する如く、半導体装置(半導体パッケージ)1にあっては、絶縁基板10Aを基体とし、当該絶縁基板10A上に、錫(Sn)−銀(Ag)系の鉛フリーの半田層11を介して、少なくとも一つの半導体素子20が搭載されている。
【0013】
絶縁基板10Aは、絶縁板10aaと、絶縁板10aaの下面に配設された金属箔10abと、絶縁板10aaの上面に配設された金属箔10ac,10adとを備えている。金属箔10abと金属箔10ac,10adとは、絶縁板10aaを隔てて、当該絶縁板10aaの上下面に夫々選択的に配設されている。ここで、絶縁板10aaの下面に配設する金属箔10abには、その絶縁板10aaの下面の端部より内側の領域に配設される部分が存在するようにしており、同様に、絶縁板10aaの上面に配設する金属箔10ac,10adには、その絶縁板10aaの上面の端部より内側の領域に配設される部分が存在するようにしている。絶縁基板10Aでは、このように下面の所定領域に金属箔10abが配設され、絶縁板10aaの上面の所定領域に金属箔10ac,10adが配設されている。尚、絶縁板10aa上に配設する金属箔10ab,10ac,10adに、例えば銅(Cu)や銅(Cu)を主成分とする金属を用いる場合、金属箔10ab,10ac,10adは、例えば、DCB(Direct Copper Bonding)法を用いて絶縁板10aa上に形成することができる。
【0014】
また、絶縁基板10Aと半導体素子20の間に設ける半田層11の半田材としては、上記の錫(Sn)−銀(Ag)系の鉛フリーの半田のほかに、錫(Sn)−アンチモン(Sb)系の鉛フリー半田を用いてもよい。錫(Sn)−アンチモン(Sb)系の鉛フリー半田を用いた場合には、熱疲労に対する特性をより向上させることが可能になる。
【0015】
また、半導体素子20は、所謂パワー半導体素子であり、例えば、RC(Reverse Conducting)−IGBT素子が該当する。また、半導体素子20として、当該RC−IGBT素子以外には、例えば、通常のIGBT素子、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、FWD(Free Wheeling Diode)素子等が配置される。
【0016】
そして、半導体装置1にあっては、半導体素子20の一方の主電極(例えば、コレクタ電極)が、半田層11を介して、金属箔10acに接合されている。また、半導体素子20のその一方の主電極(例えば、コレクタ電極)が配設されている主面とは反対側の主面に配設されている、もう一方の主電極(例えば、エミッタ電極)には、ヒートスプレッダ、或いはリードフレームとして機能する金属板30が、鉛フリーの半田層12を介して接合されている。また、そのもう一方の主電極(例えば、エミッタ電極)の配設面側に別途設けられた半導体素子20の制御電極(図示しない)と、金属箔10adとが、金属ワイヤ20wを通じて電気的に接続されている。
【0017】
また、半導体装置1にあっては、基体である別の絶縁基板10Bが、絶縁基板10Aに対向して配置されている。
ここで、絶縁基板10Bは、絶縁板10baと、絶縁板10baの上面に配設された金属箔10bbと、絶縁板10baの下面に配設された金属箔10bcとを備えている。金属箔10bbと金属箔10bcとは、絶縁板10baを隔てて、絶縁板10baの上下面に夫々選択的に配設されている。ここで、絶縁板10baの上面に配設する金属箔10bbには、その絶縁板10baの上面の端部より内側の領域に配設される部分が存在するようにしており、同様に、絶縁板10baの下面に配設する金属箔10bcには、その絶縁板10baの下面の端部より内側の領域に配設される部分が存在するようにしている。絶縁基板10Bでは、このように上面の所定領域に金属箔10bbが配設され、絶縁板10baの下面の所定領域に金属箔10bcが配設されている。尚、絶縁板10ba上に配設する金属箔10bb,10bcに、例えば銅(Cu)や銅(Cu)を主成分とする金属を用いる場合、金属箔10bb,10bcは、例えば、DCB法を用いて絶縁板10ba上に形成することができる。
【0018】
そして、絶縁基板10Aの上方に配置した金属板30と、絶縁基板10Bの金属箔10bcとが、鉛フリーの半田層13を介して接合している。
絶縁基板10A,10B、金属板30及び半導体素子20は、電気的・熱的に接続された状態になっている。
【0019】
また、半導体装置1にあっては、絶縁基板10A,10B、半導体素子20、並びに金属ワイヤ20w等の保護を目的として、絶縁基板10A,10Bの間隙及び側面に、封止樹脂50が配設されている。但し、夫々の絶縁基板10A,10Bの半導体素子20側と反対側に配設した金属箔10ab,10bbの主面は、封止樹脂50で被覆せず、封止樹脂50から露出させ、表出した状態にしている。半導体装置1では、金属箔10ab,10bbの主面、並びに封止樹脂50の一部により構成される主面(図中の破線A−Bに沿った面)に於いて平坦面が形成されている。
【0020】
封止樹脂50は、図1に示したように、半導体素子20を封止すると共に、絶縁板10aaの下面に配設された金属箔10abの側面、絶縁板10aaの金属箔10abが配設されていない下面の端部表面、絶縁板10aaの側面、絶縁板10aaの金属箔10ac,10adが配設されていない上面の端部表面、及び金属箔10ac,10adの側面と上面を被覆するように形成されている。同様に、封止樹脂50は、絶縁板10baの上面に配設された金属箔10bbの側面、絶縁板10baの金属箔10bbが配設されていない上面の端部表面、絶縁板10baの側面、絶縁板10baの金属箔10bcが配設されていない下面の端部表面、及び金属箔10bcの側面と下面を被覆している。
【0021】
このように、封止樹脂50は、絶縁基板10Aの端部における、絶縁板10aaと金属箔10ab,10ac,10adとで形成された段差を被覆し、同様に、絶縁基板10Bの端部における、絶縁板10baと金属箔10bb,10bcとで形成された段差を被覆するように形成されている。その結果、絶縁基板10A,10Bの端部と封止樹脂50との密着面積が、そのような段差を形成しなかった場合、即ち絶縁板と金属箔の側面位置を揃えた場合に比べて、増加するようになる。従って、絶縁基板10A,10Bと封止樹脂50との密着性を向上させることができるようになる。特に、絶縁板10aa,10baに、例えばアルミナ(Al23)等の酸素を含有するセラミックを用いた場合には、そのような絶縁板10aa,10baの酸素が封止樹脂50との密着に寄与し、より一層、密着性を向上させることが可能になる。
【0022】
また、絶縁基板10Aの端部に、このように絶縁板10aaと金属箔10ab,10ac,10adとで段差を形成すると、絶縁板と金属箔の側面位置を揃えて段差を形成しなかった場合に比べて、下面の金属箔10abと、上面の金属箔10ac,10adとの沿面距離が長くなるため、それらの絶縁性が向上するようになる。同様に、絶縁基板10Bの端部に、このように絶縁板10baと金属箔10bb,10bcとで段差を形成すると、段差を形成しなかった場合に比べて、上面の金属箔10bbと、下面の金属箔10bcとの沿面距離が長くなり、それらの絶縁性が向上するようになる。さらに、このような段差が存在する絶縁基板10A,10Bの端部を封止樹脂50で被覆するために、より一層の絶縁性の向上が図られている。
【0023】
また、半導体装置1にあっては、絶縁基板10Aに配設された金属箔10abに、接続部材17を介して、放熱フィン40が熱的に接続されている。また、絶縁基板10Bに配設された金属箔10bbには、接続部材17を介して、放熱フィン40が熱的に接続されている。ここで、接続部材17には、例えば、導電性コンパウンド、錫(Sn)−銀(Ag)系の鉛フリーの半田材、または錫(Sn)−鉛(Pb)系の半田材が適用される。尚、接続部材17は、破線A−Bに沿った平坦面の全面に形成することができるほか、例えば、金属箔10abと放熱フィン40との間、及び金属箔10bbと放熱フィン40との間に夫々選択的に形成することもできる。また、接続部材17に半田材を用いる場合は、リフロー処理が施されるために、金属箔10ab,10bbと放熱フィン40とを、その半田材を介して強固に接合することが可能になる。
【0024】
尚、放熱フィン40は、流路40aに冷媒として水等の液体を流通させる水冷式であってもよく、冷媒として空気等の気体を流通させる空冷式であってもよい。また、必要に応じて、外部からの挟み込み等により、放熱フィン40を、接続部材17を介さずに、金属箔10ab,10bbに加圧して直接接合するようにしてもよい。
【0025】
上述した絶縁板10aa,10baには、例えば、窒化珪素(SiN)、アルミナ(Al23)、窒化アルミニウム(AlN)の少なくとも何れかを含有するセラミック材料が適用される。
【0026】
また、金属箔10ab,10ac,10ad,10bb,10bcには、例えば、銅(Cu)または銅(Cu)を主成分とする金属が適用される。
また、放熱フィン40には、例えば、銅(Cu)またはアルミニウム(Al)、またはこれらの合金を主成分とした材料が適用される。
【0027】
また、金属ワイヤ20wには、例えば、アルミニウム(Al)、金(Au)が適用される。
また、封止樹脂50には、例えば、シリコンゲル、エポキシ系樹脂、シアネート系樹脂、シリコン系樹脂の何れかが適用される。また必要に応じて、樹脂中に、無機材料で構成されるフィラー材(窒化ボロン(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化珪素(SiN)等)を含有させてもよい。
【0028】
また、絶縁板10aa,10baの厚みは、0.2mm〜0.7mmであり、金属箔10ab,10ac,10ad,10bb,10bcの厚みは、0.2mm〜1.0mmである。
【0029】
このような薄い絶縁基板10A,10Bを半導体素子20の上下に配設してそれらを接続することにより、半導体素子20から発生した熱を半導体素子20の上下の主面から、絶縁基板10A及び絶縁基板10Bを経由して、上下の放熱フィン40に効率よく伝熱することができる。
【0030】
即ち、半導体装置1は、半導体素子20の上下の主電極に於いて、絶縁基板10Aに配設された金属箔10ac、並びに絶縁基板10Bに配設された金属箔10bcと良好な電気的接続を有すると共に、半導体素子20から発生した熱を半導体素子20の上下の主面から、絶縁基板10A及び絶縁基板10Bを経由して、上下の放熱フィン40に効率よく伝熱することができる。これにより、半導体装置1の信頼性を高めることが可能になる。
【0031】
次に、所謂2in1構造(1パッケージに2個の素子が搭載されたパッケージ)の半導体装置を例に、半導体装置の組み立て方法(製造方法)について詳細に説明する。尚、以下の図2〜図7には、インバータ回路の1アームを製造する例を示しているが、特にこの形態に限定されるものではない。また、部材間に介設する半田層は、便宜上、ここでは図示を省略するが、ペースト状またはシート状の半田材に、所謂リフロー処理を施すことにより形成している。当該半田層を形成することにより、各部材間の電気的接続を確保するようにしている。
【0032】
図2は第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明する要部模式図である。ここで、図2(A)には、半導体装置の一部の要部平面図を例示し、図2(B)には、図2(A)のX1−Y1断面矢視図を例示し、図2(C)には、図2(A)のX2−Y2断面矢視図を例示している。
【0033】
図示する如く、絶縁板10aaの下面に金属箔10abを例えばDCB法で配設し、絶縁板10aaの上面に金属箔10aca,10acb,10adを例えばDCB法で配設して、絶縁基板10Aを形成する。尚、金属箔10aca,10acbは、夫々、その一部を絶縁板10aaの端から延出させる。
【0034】
また、RC−IGBT素子である半導体素子20a,20bの下面側のコレクタ電極を、上記半田層11を介して、夫々、金属箔10aca,10acbに接合する。
また、半導体素子20aの上面側に配設されたエミッタ電極20aeに、リードフレームとして機能する金属板30aを、上記半田層12を介して接合する。一方、半導体素子20bの上面側に配設されたエミッタ電極20beには、ヒートスプレッダとして機能する金属板30bを、上記半田層12を介して接合する。
【0035】
また、半導体素子20a,20bの制御用電極20gと金属箔10adとを、金属ワイヤ20wを通じて電気的に接続する。
尚、半導体素子20aのエミッタ電極20aeに接合する金属板30aは、図2(A)に示したように、当該エミッタ電極20aeから半導体素子20bの方向に向かい延在させ、当該金属板30aの終端を金属箔10acbに電気的に接続する。当該終端と金属箔10acbとの電気的接続は、半田付け、超音波接合、或いはレーザー溶接によって実施することができる。
【0036】
また、エミッタ電極20ae,20beに接合する金属板30a,30bは、それらの高さ(例えば、絶縁板10aaの主面からの高さ)が同じになるように調整することが好ましい。
【0037】
そして、正極入力端子となる外部接続用端子10pを、金属箔10acaの絶縁板10aaから延出させた部分に電気的に接続する。また、交流出力端子となる外部接続用端子10mを、金属箔10acbの絶縁板10aaから延出させた部分に電気的に接続する。
【0038】
さらに、複数の制御用端子10gを、絶縁板10aa上に配設した複数の金属箔10adに夫々電気的に接続し、制御用端子10gと制御用電極20gとを、金属ワイヤ20w及び金属箔10adを介して、電気的に接続する。
【0039】
尚、外部接続用端子10p,10mと金属箔10aca,10acb、並びに制御用端子10gと金属箔10adは、レーザー溶接、半田付け、超音波接合、加圧・加熱による直接接合の何れかの方法により電気的に接続することができる。
【0040】
上記方法によれば、制御用端子10gは、絶縁基板10Aを形成して半導体素子20a,20bの半田層11による半田付け、及び金属板30a,30bの半田層12による半田付けを行った後、制御用電極20gと金属箔10adとの電気的接続、及び外部接続用端子10p,10mと金属箔10aca,10acbとの電気的接続を経て、金属箔10adに接続される。このように制御用端子10gを後付けすると、半導体装置形成過程における制御用端子10gへの熱履歴を軽減することが可能になる。
【0041】
例えば、このような制御用端子を打抜き加工等で形成した端子一体型リードフレームを用いた場合には、そのような端子一体型リードフレームに半導体素子や金属板の半田付け等が行われる。しかし、この場合、リードフレームの端子部分も半田付け等の際の熱に曝されるために、端子が微細になるほど、熱による端子の変形が起こり易くなる。このような端子の変形は、その後のプロセスに於いて、配線基板に設けた所定の孔に端子を挿入できなくなったり、配線基板の所定位置に端子を接合できなくなったりする等の不具合を発生させるおそれがある。
【0042】
これに対し、上記のように制御用端子10gを後付けすると、端子一体型リードフレームを用いた場合に比べ、制御用端子10gへの熱履歴を軽減し、熱による制御用端子10gの変形を効果的に抑えることが可能になる。また、上記のように制御用端子10gを後付けすることでその変形を抑えることが可能になるため、各制御用端子10gの微細化や、制御用端子10g間の狭ピッチ化を行い易くなる。
【0043】
このようにして、金属箔10aca,10acb等を配設した絶縁基板10A、金属箔10acaにコレクタ電極を接合した半導体素子20a、金属箔10acbにコレクタ電極を接合した半導体素子20b、及び外部接続用端子10p,10mを有する第1のユニットを準備する。
【0044】
図3は第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明する要部模式図である。ここで、図3(A)には、半導体装置の一部の要部平面図を例示し、図3(B)には、図3(A)のX3−Y3断面矢視図を例示し、図3(C)には、図3(A)のX4−Y4断面矢視図を例示している。
【0045】
まず、絶縁板10baの上面に金属箔10bbを例えばDCB法で配設し、絶縁板10baの下面に金属箔10bca,10bcbを例えばDCB法で配設して、絶縁基板10Bを形成する。ここで、金属箔10bcbは、その一部を絶縁板10baの端から延出させる。
【0046】
そして、負極入力端子となる外部接続用端子10nを、金属箔10bcbの絶縁板10baから延出させた部分に電気的に接続する。尚、外部接続用端子10nと金属箔10bcbとは、レーザー溶接、半田付け、超音波接合、加圧・加熱による直接接合の何れかの方法により電気的に接続することができる。
【0047】
このようにして、金属箔10bca,10bcbを配設した絶縁基板10B、及び外部接続用端子10nを有する第2のユニットを準備する。
図4は第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明する要部模式図である。ここで、図4(A)には、半導体装置の一部の要部平面図を例示し、図4(B)には、図4(A)のX5−Y5断面矢視図を例示し、図4(C)には、図4(A)のX6−Y6断面矢視図を例示している。
【0048】
まず、図2に例示する第1のユニットの一主面と、図3に例示する第2のユニットの一主面とを対向させ、金属板30a,30bと金属箔10bca,10bcbとが互いに対向するように位置合わせを行う。そして、金属板30aと金属箔10bca、及び金属板30bと金属箔10bcbを、夫々、上記半田層13を介して接合する。
【0049】
これにより、半導体素子20aのコレクタ電極、当該コレクタ電極と反対側に配設されたエミッタ電極20ae、半導体素子20bのコレクタ電極、及び当該コレクタ電極と反対側に配置されたエミッタ電極20beが、電気的に接続された状態になる。
【0050】
即ち、半導体素子20aのエミッタ電極20aeと、半導体素子20bのコレクタ電極とが、金属板30a及び金属箔10acbを通じて直列に接続される。また、半導体素子20aのコレクタ電極に、正極入力端子となる外部接続用端子10pが、金属箔10acaを通じて電気的に接続され、半導体素子20bのエミッタ電極20beに、負極入力端子となる外部接続用端子10nが、金属箔10bcbを通じて電気的に接続される。そして、半導体素子20aのエミッタ電極20aeと、半導体素子20bのコレクタ電極とを直列につなぐ中間のノードに、交流出力端子となる外部接続用端子10mが、金属箔10acbを通じて電気的に接続される。
【0051】
また、このように絶縁基板10A,10B、金属板30a,30b及び半導体素子20a,20bが電気的に接続されると共に、それらは熱的にも接続されるようになる。
図5は第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明する要部模式図である。ここで、図5(A)には、半導体装置の要部平面図を例示し、図5(B)には、図5(A)のX7−Y7断面矢視図を例示し、図5(C)には、図5(A)のX8−Y8断面矢視図を例示している。
【0052】
絶縁基板10A,10B、半導体素子20a,20b、並びに金属ワイヤ20w等の保護を目的として、絶縁基板10A,10Bの間隙及び側面に、封止樹脂50を配設する。
ここで、封止樹脂50は、絶縁基板10Aに配設された金属箔10abの主面、及び絶縁基板10Bに配設された金属箔10bbの主面が、封止樹脂50から露出し、表出した状態になるように配設する。
【0053】
このような製造方法により、例えば、2in1構造の半導体装置1aの基本構造が完成する。そして、この後は、半導体装置1aの金属箔10ab,10bbの主面に、上記放熱フィン40を、半田材または導電性コンパウンドを介して、熱的に接続する。
【0054】
また、2in1構造の半導体装置1は、別の組み立て方法(製造方法)により形成することもできる。当該別の組み立て方法について説明する。
図6は第1の実施の形態に係る半導体装置の別の製造方法を説明する要部模式図である。ここで、図6(A)並びに図6(B)には、半導体装置の一部の要部平面図を例示している。
【0055】
図6(A)に示す如く、絶縁基板10Aの金属箔10acaに、上記半田層11を介して、半導体素子20aのコレクタ電極を接合する。また、半導体素子20aの上面側のエミッタ電極20aeには、ヒートスプレッダとして機能する金属板30aを、上記半田層12を介して接合する。
【0056】
尚、絶縁基板10Aの金属箔10aca,10acbは、夫々、その一部を絶縁板10aaの端から延出させる。
また、半導体素子20aの制御用電極20gと、絶縁基板10Aの金属箔10adとを、金属ワイヤ20wを通じて電気的に接続する。
【0057】
そして、正極入力端子となる外部接続用端子10pを、金属箔10acaの絶縁板10aaから延出させた部分に電気的に接続する。また、負極入力端子となる外部接続用端子10nを、金属箔10acbの絶縁板10aaから延出させた部分に電気的に接続する。
【0058】
さらに、複数の制御用端子10gを、絶縁基板10Aの複数の金属箔10adに夫々電気的に接続する。これにより、制御用端子10gと制御用電極20gとが、金属ワイヤ20w、金属箔10adを介して、電気的に接続される。
【0059】
尚、外部接続用端子10p,10nと金属箔10aca,10acb、並びに制御用端子10gと金属箔10adは、レーザー溶接、半田付け、超音波接合、加圧・加熱による直接接合の何れかの方法により電気的に接続することができる。
【0060】
このように、金属箔10aca,10acb等を配設した絶縁基板10A、金属箔10acaにコレクタ電極を接合した半導体素子20a、及び外部接続用端子10p,10nを有する第1のユニットを準備する。
【0061】
また、図6(B)に示す如く、絶縁基板10Bの金属箔10bcの一部に、上記半田層11を介して、半導体素子20bのコレクタ電極を接合する。また、半導体素子20bの上面側のエミッタ電極20beには、ヒートスプレッダとして機能する金属板30bを、上記半田層12を介して接合する。
【0062】
尚、絶縁基板10Bの金属箔10bcは、その一部を絶縁板10baの端から延出させる。
また、半導体素子20bの制御用電極20gと、絶縁基板10Bの金属箔10adとを、金属ワイヤ20wを通じて電気的に接続する。
【0063】
そして、交流出力端子となる外部接続用端子10mを、金属箔10bcの絶縁板10baから延出させた部分に電気的に接続する。
また、複数の制御用端子10gを、絶縁基板10Bの複数の金属箔10adに、夫々電気的に接続する。これにより、制御用端子10gと制御用電極20gとが、金属ワイヤ20w及び金属箔10adを介して、電気的に接続される。
【0064】
尚、外部接続用端子10mと金属箔10bc、並びに制御用端子10gと金属箔10adは、レーザー溶接、半田付け、超音波接合、加圧・加熱による直接接合の何れかの方法により電気的に接続することができる。
【0065】
このように、金属箔10bc等を配設した絶縁基板10B、金属箔10bcにコレクタ電極を接合した半導体素子20b、及び外部接続用端子10mを有する第2のユニットを準備する。
【0066】
図7は第1の実施の形態に係る半導体装置の別の製造方法を説明する要部模式図である。ここで、図7(A)には、半導体装置の一部の要部平面図を例示し、図7(B)には、図7(A)のX9−Y9断面矢視図を例示し、図7(C)には、図7(A)のX10−Y10断面矢視図を例示している。
【0067】
まず、図6(A)に例示する第1のユニットの一主面と、図6(B)に例示する第2のユニットの一主面とを対向させ、金属板30a,30bと金属箔10bc,10acbとが互いに対向するように位置合わせを行う。そして、金属板30aと金属箔10bc、金属板30bと金属箔10acbを、夫々、上記半田層13を介して接合する。
【0068】
これにより、半導体素子20aのコレクタ電極と反対側に配設されたエミッタ電極20aeと金属箔10bc、及び半導体素子20bのコレクタ電極と反対側に配設されたエミッタ電極20beと金属箔10acbが、夫々、金属板30a,30bを通じて電気的に接続される。
【0069】
即ち、半導体素子20aのエミッタ電極20aeと、半導体素子20bのコレクタ電極とが、金属箔10bcを通じて直列に接続される。また、半導体素子20aのコレクタ電極に、正極入力端子となる外部接続用端子10pが、電気的に接続され、半導体素子20bのエミッタ電極20beに、負極入力端子となる外部接続用端子10nが、電気的に接続される。そして、半導体素子20aのエミッタ電極20aeと、半導体素子20bのコレクタ電極とを直列につなぐ中間のノードに、交流出力端子となる外部接続用端子10mが、金属箔10bcを通じて電気的に接続される。
【0070】
また、このように絶縁基板10A,10B、金属板30a,30b及び半導体素子20a,20bが電気的に接続されると共に、それらは熱的にも接続されるようになる。
そして、この後は、図5で例示したのと同様に、絶縁基板10A,10B、半導体素子20a,20b、並びに金属ワイヤ20w等の保護を目的として、絶縁基板10A,10Bの間隙及び側面に、上記封止樹脂50を配設する。
【0071】
但し、封止樹脂50は、絶縁基板10Aに配設された金属箔10abの主面及び絶縁基板10Bに配設された金属箔10bbの主面が封止樹脂50から露出し、表出した状態になるように配設する。
【0072】
このような製造方法により、2in1構造の半導体装置の基本構造が完成する。そして、この後は、金属箔10ab,10bbの主面に、上記放熱フィン40を、半田材または導電性コンパウンドを介して、熱的に接続する。或いは、金属箔10ab,10bbの主面に、上記放熱フィン40を、直接接合する。
【0073】
尚、図2〜図7では、2つの半導体素子20a,20bにRC−IGBT素子を適用し、それらRC−IGBT素子の異種の主電極を直列に接続する形態を例示したが、同種の主電極同士を並列に接続した半導体装置を製造することもできる。
【0074】
例えば、図8は第1の実施の形態に係る半導体装置の別の製造方法を説明する要部模式図である。
当該半導体装置の基本構造に於いては、絶縁基板10Aの金属箔10acに半導体素子20a,20bが、半田層11を介して接合され、半導体素子20a,20bのコレクタ電極同士が、金属箔10acを通じて電気的に接続されている。そして、半導体素子20a,20bのエミッタ電極20ae,20beに、半田層12を介して、金属板30が接合され、半導体素子20a,20bのエミッタ電極20ae,20be同士が、金属板30を通じて電気的に接続されている。そして、金属板30に絶縁基板10Bの金属箔10bcが、半田層13を介して接合されている。さらに、外部接続用端子10c,10eが、夫々、金属箔10ac,10bcに電気的に接続されている。このような半導体装置の基本構造は、例えば、以下のようにして組み立てることができる。
【0075】
例えば、金属箔10acを配設した絶縁基板10A、金属箔10acに半田層11を介してコレクタ電極を接合した半導体素子20a、金属箔10acに半田層11を介してコレクタ電極を接合した半導体素子20b、及び半導体素子20aのコレクタ電極と反対側に配設されたエミッタ電極20aeと、半導体素子20bのコレクタ電極と反対側に配設されたエミッタ電極20beとを導通させる金属板30を有するユニットを準備し、当該ユニットに金属箔10bcを配設した絶縁基板10Bを対向させる。そして、金属箔10bcと金属板30とを、半田層13を介して接合する。
【0076】
このように、図8に例示される半導体装置の基本構造は、絶縁基板10A、当該絶縁基板10Aに対向するように配設された絶縁基板10B、絶縁基板10Aと絶縁基板10Bの間隙に配置されてコレクタ電極と当該コレクタ電極と反対側に配設されたエミッタ電極20aeとを有した半導体素子20a、及びコレクタ電極と当該コレクタ電極とは反対側に配設されたエミッタ電極20beとを有した半導体素子20bを備えている。そして、半導体素子20aのコレクタ電極及び半導体素子20bのコレクタ電極が、絶縁基板10Aに配設された金属箔10acを通じて電気的に接続されると共に、エミッタ電極20ae及びエミッタ電極20beが、絶縁基板10Bの金属箔10bcに接合された金属板30を通じて電気的に接続されている。
【0077】
このような基本構造を用い、同種の主電極同士を並列に接続した半導体装置を製造してもよい。
また、並列に接続する場合には、半導体素子20aをIGBT素子とし、半導体素子20bをFWD素子としてもよい。この場合、IGBT素子である半導体素子20aのコレクタ電極と、FWD素子である半導体素子20bのカソード電極とが、金属箔10acを通じて導通する。また、IGBT素子である半導体素子20aのエミッタ電極と、FWD素子である半導体素子20bのアノード電極とが、金属板30を通じて導通する。
【0078】
また、ここでは同種または異種の複数個の半導体素子を搭載する場合を例示したが、勿論、何れかの種類の半導体素子を1個搭載して半導体装置を構成するようにしてもよい。
尚、必要に応じて、上記のようにして得られる半導体装置1等を、上記放熱フィン40を介して、複数個積層するようにしてもよい。
【0079】
図9は積層構造を有する半導体装置の構成例の要部断面図である。
図9には、図6に示した2in1構造を有する半導体装置1aを、放熱フィン40を介して積層した、6in1構造の半導体装置1bを例示している。尚、図9には、図6におけるX7−Y7断面に相当する断面の一例を図示している。
【0080】
ここで、夫々の半導体装置1aと放熱フィン40とを熱的に接続する接続部材17としては、錫(Sn)−銀(Ag)系の鉛フリーの半田層若しくは錫(Sn)−鉛(Pb)系の鉛含有の半田層、または導電性コンパウンドを用いることができる。また、接続部材17は、100μm〜300μmの厚さで形成することができる。また、放熱フィン40は、接続部材17を介さずに、各半導体装置1aに直接接合するようにすることも可能である。
【0081】
例えば、このように2in1構造の半導体装置1aを、放熱フィン40を介して3個積層することにより、6in1構造のインバータ回路装置を簡便に形成することができる。
図1に示した半導体装置1、図7や図8に例示したような基本構造から得られる半導体装置等についても、この図9に示した例と同様にして、放熱フィン40を介して複数個積層することが可能である。また、同一構造の複数個の半導体装置を、放熱フィン40を介して積層するほか、放熱を要する異なる構造の複数個の半導体装置を、放熱フィン40を介して積層することも可能である。
【0082】
以上説明したように、第1の実施の形態に係る半導体装置は、絶縁基板10Aと、絶縁基板10Aに対向するように配設された絶縁基板10Bと、絶縁基板10Aと絶縁基板10Bの間隙に配置され、主電極と当該主電極とは反対側に配設された別の主電極を有した、少なくとも一つの半導体素子20と、を備える。そして、前記主電極を、絶縁基板10Aに配設された、少なくとも一つの金属箔10acに電気的に接続すると共に、前記別の主電極を、絶縁基板10Bに配設された、少なくとも一つの金属箔10bcに電気的に接続している。
【0083】
このような半導体装置によれば、搭載される半導体素子の上下の主面に於いて良好な電気的接続が実現されると共に、半導体素子の上下の主面、並びに当該半導体素子が搭載された半導体装置の上下の主面から効率よく放熱が行われるようになる。従って、信頼性の高い半導体装置を実現することが可能になる。
【0084】
また、薄型の絶縁基板10A,10Bを対向させて配置することにより、半導体装置の薄型化、小型化を実現することが可能になる。
<第2の実施の形態>
図10は第2の実施の形態に係る半導体装置の概略図である。
【0085】
図示する如く、半導体装置(半導体パッケージ)2にあっては、絶縁基板10Aを基体とし、当該絶縁基板10A上に、金属ブロック体31が搭載されている。そして、当該金属ブロック体31に、少なくとも一つの半導体素子20が搭載されている。
【0086】
ここで、絶縁基板10Aは、絶縁板10aaと、絶縁板10aaの下面に配設された金属箔10abと、絶縁板10aaの上面に配設された金属箔10ac,10adとを備えている。金属箔10abと金属箔10ac,10adとは、絶縁板10aaを隔てて、絶縁板10aaの上下面の所定領域に夫々選択的に配設されている。尚、金属箔10ab,10ac,10adは、例えば、DCB法を用いて形成することができる。
【0087】
また、半導体素子20は、所謂パワー半導体素子であり、例えば、RC−IGBT素子が該当する。また、半導体素子20として、当該RC−IGBT素子以外には、例えば、通常のIGBT素子、パワーMOSFET、FWD素子等が配置される。
【0088】
また、半導体装置2にあっては、絶縁基板10Aに配設された金属箔10acに、鉛フリーの半田層14を介して、金属ブロック体31が接合されている。そして、半導体素子20の一方の主電極(例えば、コレクタ電極)が、半田層11を介して、その金属ブロック体31に接合されている。また、半導体素子20のその一方の主電極(例えば、コレクタ電極)が配設されている主面と反対側の主面に配設されている、もう一方の主電極(例えば、エミッタ電極)には、ヒートスプレッダ、或いはリードフレームとして機能する金属板30が、鉛フリーの半田層12を介して接合されている。また、そのもう一方の主電極(例えば、エミッタ電極)の配設面側に別途設けられた半導体素子20の制御電極(図示しない)と、絶縁板10aa上に金属箔10acと共に配設された金属箔10adとが、金属ワイヤ20wを通じて電気的に接続されている。
【0089】
また、半導体装置2にあっては、基体である別の絶縁基板10Bが、絶縁基板10Aに対向して配置されている。
ここで、絶縁基板10Bは、絶縁板10baと、絶縁板10baの上面に配設された金属箔10bbと、絶縁板10baの下面に配設された金属箔10bcとを備えている。金属箔10bbと金属箔10bcは、絶縁板10baを隔てて、絶縁板10baの上下面の所定領域に夫々選択的に配設されている。尚、金属箔10bb,10bcは、例えば、DCB法を用いて形成することができる。
【0090】
また、半導体装置2にあっては、絶縁基板10Bに配設された金属箔10bcに、鉛フリーの半田層15を介して、金属ブロック体32が接合されている。そして、金属板30と金属ブロック体32とが、鉛フリーの半田層13を介して接合されている。
【0091】
絶縁基板10A,10B、金属板30、金属ブロック体31,32及び半導体素子20は、電気的・熱的に接続された状態になっている。
また、半導体装置2にあっては、絶縁基板10A,10B、半導体素子20、並びに金属ワイヤ20w等の保護を目的として、絶縁基板10A,10Bの間隙及び側面に、封止樹脂50が配設されている。但し、夫々の絶縁基板10A,10Bの半導体素子20側と反対側に配設した金属箔10ab,10bbの主面は、封止樹脂50で被覆せず、封止樹脂50から露出させ、表出した状態にしている。半導体装置2は、金属箔10ab,10bbの主面、並びに封止樹脂50の一部により構成される主面(図中の破線A−Bに沿った面)に於いて平坦面が形成されている。
【0092】
また、半導体装置2にあっては、絶縁基板10Aに配設された金属箔10abに、接続部材(図示しない)17を介して、放熱フィン40が熱的に接続されている。また、絶縁基板10Bに配設された金属箔10bbには、接続部材17を介して、放熱フィン40が熱的に接続されている。接続部材17には、例えば、導電性コンパウンド、錫(Sn)−銀(Ag)系の鉛フリーの半田材、または錫(Sn)−鉛(Pb)系の半田材が適用される。半田材を用いる場合は、リフロー処理が施されるために、金属箔10ab,10bbと放熱フィン40とを、半田材を介して強固に接続することが可能になる。
【0093】
尚、放熱フィン40は、水冷式であってもよく、空冷式であってもよい。また、必要に応じて、外部からの挟み込み等により、放熱フィン40を、接続部材17を介さずに、金属箔10ab,10bbに加圧して直接接合するようにしてもよい。
【0094】
上述した絶縁板10aa,10baには、例えば、窒化珪素(SiN)、アルミナ(Al23)、窒化アルミニウム(AlN)の少なくとも何れかを含有するセラミック材料が適用される。
【0095】
また、金属箔10ab,10ac,10ad,10bb,10bc、金属ブロック体31,32には、例えば、銅(Cu)または銅(Cu)を主成分とする金属が適用される。
また、放熱フィン40には、例えば、銅(Cu)またはアルミニウム(Al)、またはこれらの合金を主成分とした材料が適用される。
【0096】
また、金属ワイヤ20wには、例えば、アルミニウム(Al)、金(Au)が適用される。
また、封止樹脂50には、例えば、シリコンゲル、エポキシ系樹脂、シアネート系樹脂、シリコン系樹脂の何れかが適用される。また必要に応じて、樹脂中に無機材料で構成されるフィラー材(窒化ボロン(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化珪素(SiN)等)を含有させてもよい。
【0097】
また、絶縁板10aa,10baの厚みは、0.2mm〜0.7mmであり、金属箔10ab,10ac,10ad,10bb,10bcの厚みは、0.2mm〜1.0mmである。
【0098】
このような薄い絶縁基板10A,10Bを半導体素子20の上下に配設してそれらを接続することにより、半導体素子20から発生した熱を半導体素子20の上下の主面から、絶縁基板10A及び絶縁基板10Bを経由して、上下の放熱フィン40に効率よく伝熱することができる。
【0099】
また、半導体装置2は、半導体素子20の上方並びに下方に、金属ブロック体31,32を配置していることから、半導体素子20から発生した熱を、当該金属ブロック体31,32に於いて分散させることができる。
【0100】
即ち、半導体装置2は、半導体素子20の上下の主電極に於いて、絶縁基板10Aに配設された金属箔10ac、並びに絶縁基板10Bに配設された金属箔10bcと良好な電気的接続を有すると共に、半導体素子20から発生した熱を半導体素子20の上下の主面から、金属ブロック体31,32に於いて効率よく分散させ、絶縁基板10A及び絶縁基板10Bを経由して、上下の放熱フィン40に効率よく伝熱することができる。これにより、半導体装置2の信頼性を高めることが可能になる。特に、金属ブロック体31,32を配置していることから、半導体素子20から発生した熱が絶縁基板10A,10Bの一部に集中することがない。従って、絶縁基板10A,10Bのほぼ全域から、半導体素子20から発生した熱を上下の放熱フィン40に効率よく伝熱することができる。
【0101】
このように、半導体装置2に於いては、半導体素子20のコレクタ電極と金属箔10acとの間に、金属ブロック体31が配置されている。また、半導体素子20のエミッタ電極と金属箔10bcとの間に、金属板30及び金属ブロック体32が配置されている。
【0102】
尚、必要に応じて、金属ブロック体31,32の何れかの配置を略してもよい。
また、図10に例示した半導体装置2の例に従い、半導体素子20を複数個搭載した半導体装置を構成することもでき、例えば、上記第1の実施の形態で述べたような2in1構造の半導体装置を形成することもできる。
【0103】
また、必要に応じて、上記第1の実施の形態で述べた図9の半導体装置と同様にして、上記半導体装置2を、放熱フィン40を介して、複数個積層してもよい。ここで、夫々の半導体装置2と放熱フィン40とを熱的に接続する接続部材としては、錫(Sn)−銀(Ag)系の鉛フリーの半田層若しくは錫(Sn)−鉛(Pb)系の鉛含有の半田層、または導電性コンパウンドを用いることができる。また、上記半導体装置2に、それとは異なる構造の半導体装置を、放熱フィン40を介して積層することも可能である。
【0104】
<第3の実施の形態>
図11は第3の実施の形態に係る半導体装置の概略図である。
図示する如く、半導体装置(半導体パッケージ)3にあっては、金属板(ダイパッド)33Aを基体とし、当該金属板33A上に、少なくとも一つの半導体素子20が搭載されている。
【0105】
ここで、半導体素子20は、所謂パワー半導体素子であり、例えば、RC−IGBT素子が該当する。また、半導体素子20として、当該RC−IGBT素子以外には、例えば、通常のIGBT素子、パワーMOSFET、FWD素子等が配置される。
【0106】
そして、半導体装置3にあっては、半導体素子20の一方の主電極(例えば、コレクタ電極)が、半田層11を介して、金属板33Aに接合されている。また、半導体素子20のその一方の主電極(例えば、コレクタ電極)が配設されている主面と反対側の主面に配設されている、もう一方の主電極(例えば、エミッタ電極)には、ヒートスプレッダ、或いはリードフレームとして機能する金属板30が、鉛フリーの半田層12を介して接合されている。また、そのもう一方の主電極(例えば、エミッタ電極)の配設面側に別途設けられた半導体素子20の制御電極(図示しない)と、金属板33Aから離間して配置された金属板34とが、金属ワイヤ20wを通じて電気的に接続されている。
【0107】
また、半導体装置3にあっては、基体である別の金属板(ダイパッド)33Bが、金属板33Aに対向して配置されている。そして、金属板30と金属板33Bとが、鉛フリーの半田層13を介して接合されている。
【0108】
金属板33A,33B、金属板30及び半導体素子20は、電気的・熱的に接続された状態になっている。
また、半導体装置3にあっては、金属板33A,33B,34、半導体素子20、並びに金属ワイヤ20w等の保護を目的として、金属板33A,33Bの間隙と側面、及び金属板34の側面と上面に、封止樹脂50が配設されている。但し、夫々の金属板33A,33Bが半導体素子20と対向する主面と反対側の主面、並びに金属板34の下面は、封止樹脂50で被覆せず、封止樹脂50から露出させ、表出した状態にしている。
【0109】
半導体装置3では、金属板33A,33Bの夫々が半導体素子20と対向する主面と反対側の主面、金属板34の下面、並びに封止樹脂50の一部により構成される主面(図中の破線A−Bに沿った面)に於いて平坦面が形成されている。
【0110】
そして、上記の平坦面に、原料粉体を被成膜面に対して吹き付けて堆積するエアロゾルデポジション(AD)法を用いて、絶縁層10ada,10adbが形成されている。
エアロゾルデポジション法では、まず、絶縁層10ada,10adbの原料となる粒子を含む流動層内に所定のキャリアガスを流通させる等して、キャリアガス中に粒子を含有させたエアロゾルを生成する。そして、その生成したエアロゾルを、減圧下、常温等の低温環境下で、被成膜面に対して、即ち金属板33A,33B,34及び封止樹脂50の一部で構成される平坦面に対して吹き付ける。このとき、被成膜面に衝突した粒子は、衝突時の衝撃による破砕や変形等を伴って、被成膜面上に堆積されていく。粒子は、その衝突エネルギーによって、被成膜面、及び被成膜面上に先に形成されている膜に、強固に付着し、堆積していく。
【0111】
原料となる粒子には、例えば、粒径1nm〜3μm程度、好ましくは粒径5nm〜1μm程度の粒子を用いることができる。粒子は、エアロゾルの吹き付けノズルや圧力条件等を調整することで、数十m/秒〜数百m/秒程度、例えば5m/秒〜500m/秒程度まで加速することができる。粒子は、被成膜面に衝突することにより、数十nm程度のサイズまで、例えば0.5nm〜50nm程度のサイズに破砕・変形される。被成膜面上には、そのようなサイズの破砕片同士が結合した、ボイド等を含まない、粒界が判別できない程度の緻密なナノ構造の膜が形成されるようになる。
【0112】
このようなエアロデポジション法を用いることにより、被成膜面との密着性がよく、平坦で緻密なナノ構造の絶縁層10ada,10adbを、数μm〜数百μm程度の所望の膜厚、例えば、膜厚10μm〜100μmで形成することができる。また、エアロデポジション法を用いた場合には、焼結体の基板に生じるような残留応力の影響を回避することができる。
【0113】
また、半導体装置3にあっては、絶縁層10adaの半導体素子20と対向する主面とは反対側の主面に、接続部材17を介して、放熱フィン40が熱的に接続されている。また、絶縁層10adbの半導体素子20と対向する主面とは反対側の主面には、接続部材17を介して、放熱フィン40が熱的に接続されている。ここで用いる接続部材17には、例えば、導電性コンパウンドが適用される。尚、放熱フィン40は、水冷式であってもよく、空冷式であってもよい。また、必要に応じて、外部からの挟み込み等により、放熱フィン40を、接続部材17を介さずに、絶縁層10ada,10adbに加圧して直接接合するようにしてもよい。
【0114】
上述した絶縁層10ada,10adbには、例えば、窒化珪素(SiN)、アルミナ(Al23)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)の少なくとも何れかを含有するセラミック材料が適用される。エアロゾルデポジション法を用いて絶縁層10ada,10adbを形成する場合には、このような材質のセラミック粒子を用いることができる。
【0115】
また、金属板33A,33B,34には、例えば、銅(Cu)または銅(Cu)を主成分とする金属が適用される。
また、放熱フィン40には、例えば、銅(Cu)またはアルミニウム(Al)、またはこれらの合金を主成分とした材料が適用される。
【0116】
また、金属ワイヤ20wには、例えば、アルミニウム(Al)、金(Au)が適用される。
また、封止樹脂50には、例えば、シリコンゲル、エポキシ系樹脂、シアネート系樹脂、シリコン系樹脂の何れかが適用される。また必要に応じて、樹脂中に無機材料で構成されるフィラー材(窒化ボロン(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化珪素(SiN)等)を含有させてもよい。
【0117】
このように、半導体装置3は、主電極と当該主電極とは反対側に配設された別の主電極を有した、少なくとも一つの半導体素子と、前記主電極に接合された金属板33Aと、前記別の主電極に電気的に接続された金属板33Bと、を備えている。そして、金属板33Aの、前記主電極が接合された面と反対の面に、絶縁層10adaが形成され、前記金属板33Bの、前記別の主電極が電気的に接続された面と反対の面に、絶縁層10adbが形成されている。
【0118】
このような金属板33A,33Bを半導体素子20の上下に配置することにより、半導体素子20から発生した熱を半導体素子20の上下の主面から、金属板33A及び金属板33Bを経由して、上下の放熱フィン40に効率よく伝熱することができる。
【0119】
即ち、半導体装置3は、半導体素子20の上下の主電極に於いて、金属板33A,33Bと良好な電気的接続を有すると共に、半導体素子20から発生した熱を半導体素子20の上下の主面から、金属板33A,33Bに於いて効率よく分散させ、上下の放熱フィン40に効率よく伝熱することができる。これにより、半導体装置3の信頼性を高めることが可能になる。
【0120】
特に、絶縁層10ada,10adbを、エアロゾルデポジション法を用い、金属板33A,33Bに密着性よく、緻密に、薄く形成すると、高い絶縁性を確保しつつ、絶縁層10ada,10adbでの熱抵抗を低く抑え、半導体素子20から発生した熱を上下の放熱フィン40に効率よく伝熱することができる。
【0121】
例えば、絶縁層10ada,10adbの部分にセラミック焼結体の基板を用いた場合には、絶縁性能や破壊電圧を考慮し、0.2mm〜0.7mmといった厚さの基板が使用される。これに対し、絶縁層10ada,10adbの部分に、エアロゾルデポジション法を用いたセラミック層を形成した場合には、そのセラミック層をボイド等を含まない緻密な構造で形成することができるため、絶縁性能が10倍程度になる。換言すれば、エアロゾルデポジション法を用いてセラミック層を形成する場合には、セラミック焼結体基板と同等の絶縁性能を確保するのに、10分の1程度の膜厚で足りることになる。従って、半導体装置3の小型化、薄型化に寄与することができる。
【0122】
さらに、エアロゾルデポジション法を用いて形成されるセラミック層は、その熱伝導率がバルク体と同等であり、窒化珪素(SiN)で約80W/m・K、アルミナ(Al23)で約20W/m・K、窒化アルミニウム(AlN)で約160W/m・K〜180W/m・K程度確保することができる。上記のように、エアロゾルデポジション法を用いて形成されるセラミック層は、その製法上及び絶縁性能上、薄く形成することができるため、熱抵抗を小さくすることができる。そのため、絶縁層10ada,10adbを、エアロゾルデポジション法を用いて形成する場合には、絶縁層10ada,10adbの金属板33A,33B側と反対側の面に、金属箔を形成することなく、放熱フィン40との熱的接続が可能になる。
【0123】
さらにまた、このようにエアロデポジション法を用いた場合には、封止樹脂50の形成まで行って得られる被成膜面(平坦面)にセラミック層等の絶縁層を堆積することができるため、予め所定サイズの絶縁板10aa,10baを用意したり、それを用いて所定の金属箔を配設した絶縁基板10A,10Bを形成したりすることを要せず、製造プロセスの簡略化、低コスト化に寄与することも可能になる。
【0124】
尚、エアロゾルデポジション法を用いた絶縁層の形成は、例えば、次のように行うことが可能である。
図12はエアロゾルデポジション法を用いた絶縁層形成工程の一例の説明図である。また、図13はエアロゾルデポジション法を用いた絶縁層形成工程の別例の説明図である。
【0125】
例えば、まず、金属板33A,33B,34の所定の主面を残して、半導体素子20や金属ワイヤ20w等を封止樹脂50で封止する。その後、図12に示すように、封止樹脂50から金属板33A,34が露出している面、及び封止樹脂50から金属板33Bが露出している面に、夫々ノズル61,62から所定の粒子を含むエアロゾルを吹き付ける。エアロゾルの吹き付けは、ノズル61,62をあらかじめ定めた描画パターンにしたがって移動させることで、所望の領域に選択的に絶縁層を形成することができる。また、封止樹脂50から金属板33A,34が露出している面、及び封止樹脂50から金属板33Bが露出している面に対向して、メタルマスク63,64を配置することで、不要な部分へのエアロゾルの付着を防ぐことができる。これにより、封止樹脂50の形成まで行った両面に、同時に絶縁層を形成することができる。
【0126】
また、封止樹脂50の形成まで行った後の形態によっては、図13に示すようにして絶縁層を形成することも可能である。例えば、封止樹脂50の形成後には、外部接続用端子71,72がその封止樹脂50から引き出されている複数の構造体70がタイバー73に繋がっているような形態が得られる場合がある。このような形態の場合にも、各構造体70について、その両面に対し、ノズル61,62から所定の粒子を含むエアロゾルを吹き付ける。エアロゾルの吹き付けは、ノズル61,62をあらかじめ定めた描画パターンにしたがって移動させることで、所望の領域に選択的に絶縁層を形成することができる。また、封止樹脂50から金属板33A,34が露出している面、及び封止樹脂50から金属板33Bが露出している面に対向して、メタルマスク63,64を配置することで、不要な部分へのエアロゾルの付着を防ぐことができる。これにより、封止樹脂50の形成まで行った両面に同時に絶縁層を形成することが可能である。このような各構造体70へのノズル61,62からの吹き付けを、複数の構造体70に対し、順番に連続的に行っていき、タイバー73に繋がっている全ての構造体70の両面に絶縁層を形成すればよい。なお、図13においては、制御用端子の図示を省略した。
【0127】
図12及び図13には、対向する2つのノズルからエアロゾルを吹き付け、成膜対象の両面に絶縁層を形成する場合を例示したが、勿論、1つのノズルを用い、片面ずつ、絶縁層を形成していくことも可能である。
【0128】
尚、図11に例示した半導体装置3の例に従い、半導体素子20を複数個搭載した半導体装置を構成することもでき、例えば、上記第1の実施の形態で述べたような2in1構造の半導体装置を形成することもできる。
【0129】
また、必要に応じて、上記第1の実施の形態で述べた図9の半導体装置と同様にして、上記半導体装置3を、放熱フィン40を介して、複数個積層してもよい。ここで、夫々の半導体装置3と放熱フィン40とを熱的に接続する接続部材としては、導電性コンパウンドを用いることができる。また、上記半導体装置3に、それとは異なる構造の半導体装置を、放熱フィン40を介して積層することも可能である。
【0130】
<第4の実施の形態>
図14は第4の実施の形態に係る半導体装置の概略図である。
この第4の実施の形態に係る半導体装置4では、絶縁基板10Aの金属箔10acを、絶縁板10aaの端付近(図中のCの部分)にまで配設している。
【0131】
また、半導体装置4にあっては、絶縁板10gaを別途設け、当該絶縁板10gaの上面側に制御用端子10gが接続され、絶縁板10gaの下面側に金属箔10gbが接続されている。そして、この金属箔10gbは、半田層16を介して、金属箔10acの端部に接合されている。尚、制御用端子10g及び金属箔10gbは、例えば、DCB法を用いて形成することができる。
【0132】
このような制御用端子10g等の配置によれば、絶縁板10aa上の金属箔10acを絶縁板10aaの端付近にまで配設することができ、且つ制御用端子10gと半導体素子20の制御用電極とを、金属ワイヤ20wを通じて確実に導通させることができる。金属箔10acを絶縁板10aaの端付近にまで延在させることで、半導体素子20から発生する熱を、金属箔10acの延在させた部分(図中のCの部分)にも効率よく分散させ、放熱効果を高めることが可能になる。
【0133】
このように、半導体装置4に於いては、半導体素子20の上下の主面に於いて良好な電気的接続が実現されると共に、半導体素子20の上下の主面、並びに当該半導体素子20が搭載された半導体装置4の上下の主面から効率よく放熱が行われるようになる。
【0134】
尚、このような構造の絶縁基板10A、制御用端子10g、絶縁板10ga、並びに金属箔10gbは、上記第2の実施の形態で述べた半導体装置2等、或いは上記第3の実施の形態で述べた半導体装置3等に適用してもよい。上記第3の実施の形態で述べた半導体装置3に於いては、金属板33Aを、封止樹脂50の側面付近にまで延在させ、図14に示す如く、当該金属板33A上に、制御用端子10g、絶縁板10ga、並びに金属箔10gbを配置すればよい。これにより、制御用端子10gと制御用電極との電気的接続を確実に行うと共に、上記第2,第3の実施の形態で述べたような半導体装置2,3等の放熱効果をより向上させることが可能になる。
【0135】
<第5の実施の形態>
図15は第5の実施の形態に係る半導体装置の概略図である。
この第5の実施の形態に係る半導体装置5では、絶縁基板10Aの金属箔10acを、絶縁板10aaの端付近(図中のCの部分)にまで配設している。そして、制御用端子10gの端を、半導体素子20の一方の主電極(例えば、エミッタ電極)の配設面側に別途設けた制御用電極に、レーザー溶接、半田付け、超音波接合、加圧・加熱による直接接合の何れかの方法により接合させている。
【0136】
このような制御用端子10g等の配置によれば、絶縁板10aa上の金属箔10acを絶縁板10aaの端付近にまで配設することができ、且つワイヤレスで制御用端子10gと半導体素子20の制御用電極とを確実に導通させることができる。金属箔10acを絶縁板10aaの端付近にまで延在させることで、半導体素子20から発生した熱を、金属箔10acの延在させた部分(図中のCの部分)にも効率よく分散させ、放熱効果を高めることが可能になる。
【0137】
このように、半導体装置5に於いては、半導体素子20の上下の主面に於いて良好な電気的接続が実現されると共に、半導体素子20の上下の主面、並びに当該半導体素子20が搭載された半導体装置5の上下の主面から効率よく放熱が行われるようになる。
【0138】
尚、このような制御用端子10gと制御用電極との接続は、上記第2の実施の形態で述べた半導体装置2等、或いは上記第3の実施の形態で述べた半導体装置3等に適用してもよい。これにより、制御用端子10gと制御用電極との電気的接続を確実に行うと共に、上記第2,第3の実施の形態で述べたような半導体装置2,3等の放熱効果をより向上させることが可能になる。
【0139】
尚、以上の説明では、放熱フィンを半導体装置の上下両面側に配置する場合を例示したが、上面及び下面のうち少なくとも何れか一方に放熱フィンを配置した半導体装置であっても、上記同様の効果を得ることは可能である。
【符号の説明】
【0140】
1,1a,1b,2,3,4,5 半導体装置
10A,10B 絶縁基板
10aa,10ba,10ga 絶縁板
10c,10e,10m,10n,10p,71,72 外部接続用端子
10ab,10ac,10ad,10bb,10bc,10aca,10acb,10bca,10bcb,10gb 金属箔
10ada,10adb 絶縁層
10g 制御用端子
11,12,13,14,15,16 半田層
17 接続部材
20,20a,20b 半導体素子
20ae,20be エミッタ電極
20g 制御用電極
20w 金属ワイヤ
30,30a,30b,33A,33B,34 金属板
31,32 金属ブロック体
40 放熱フィン
40a 流路
50 封止樹脂
61,62 ノズル
70 構造体
73 タイバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金属板と、
前記第1金属板に対向して配置された第2金属板と、
前記第1金属板及び前記第2金属板の間に配置され、前記第1金属板と前記第2金属板とに電気的に接続された半導体素子と、
前記第1金属板の前記半導体素子側と反対側の主面に形成された絶縁性の第1堆積層と、
前記第2金属板の前記半導体素子側と反対側の主面に形成された絶縁性の第2堆積層と、
を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記半導体素子を封止する封止樹脂をさらに有し、
前記封止樹脂は、前記第1金属板及び前記第2金属板の側面を被覆し、
前記第1堆積層は、前記第1金属板の前記半導体素子側と反対側の主面と、前記第1金属板の側面を被覆する前記封止樹脂の上とに形成され、
前記第2堆積層は、前記第2金属板の前記半導体素子側と反対側の主面と、前記第2金属板の側面を被覆する前記封止樹脂の上とに形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1堆積層及び前記第2堆積層の少なくとも何れかに放熱体が熱的に接続されていることを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記放熱体に別の半導体装置が熱的に接続されていることを特徴とする請求項3記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−34029(P2013−34029A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−253098(P2012−253098)
【出願日】平成24年11月19日(2012.11.19)
【分割の表示】特願2010−507253(P2010−507253)の分割
【原出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】