説明

半導体集積回路および無線通信装置

【課題】位相雑音が小さい発振信号を生成可能な半導体集積回路およびこれを用いた無線通信装置を提供する。
【解決手段】半導体集積回路は、位相シフト部と、複数の位相一致検出回路と、出力部とを備える。位相シフト部は、入力発振信号を遅延させて、位相が互いに異なる複数の遅延信号を生成する。複数の位相一致検出回路は、前記複数の遅延信号のそれぞれに対応して設けられ、参照信号と、対応する前記遅延信号との位相差が所定範囲内であるか否かを判定する。出力部は、前記位相差が所定範囲内であると判定された遅延信号に基づいて、出力発振信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体集積回路および無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話に代表される無線通信装置には、局発(Local Oscillator:以下、LO)信号を生成するためのPLL(Phase Lock Loop)回路が搭載されていることがある。LO信号は信号を変調および復調する基準となる信号であるため、位相雑音が小さいことが要求される。しかしながら、PLL回路で生成されるLO信号には位相雑音が含まれることもある。また、PLL回路の回路規模や消費電力を大きくすることなく、位相雑音が小さいLO信号を生成するのは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−273048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
位相雑音が小さい発振信号を生成可能な半導体集積回路およびこれを用いた無線通信装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態によれば、半導体集積回路は、位相シフト部と、複数の位相一致検出回路と、出力部とを備える。位相シフト部は、入力発振信号を遅延させて、位相が互いに異なる複数の遅延信号を生成する。複数の位相一致検出回路は、前記複数の遅延信号のそれぞれに対応して設けられ、参照信号と、対応する前記遅延信号との位相差が所定範囲内であるか否かを判定する。出力部は、前記位相差が所定範囲内であると判定された遅延信号に基づいて、出力発振信号を生成する。また、前記複数の位相一致検出回路のそれぞれは、位相差検出回路と、判定回路と、を有する。位相差検出回路は、前記参照信号と、対応する前記遅延信号との位相差が前記所定範囲内でない場合は、その位相差に応じて第1の信号を電源電圧に対応する第1の基準電圧または接地電圧に対応する第2の基準電圧に設定し、前記位相差が前記所定範囲内である場合は、前記第1の信号を前記第1の基準電圧と前記第2の基準電圧との間の第1の電圧に設定する。判定回路は、前記第1の信号に基づいて、前記参照信号と、対応する前記遅延信号との位相差が前記所定範囲内であるか否かを判定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1の実施形態に係る無線通信装置100の概略ブロック図。
【図2】位相調整回路200の内部構成の一例を示す概略ブロック図。
【図3】位相調整回路200により位相雑音を低減する原理を示す図。
【図4】位相調整回路200のより具体的な内部構成の一例を示す概略ブロック図。
【図5】遅延素子と、遅延信号の遅延時間との関係を示す図。
【図6】図4の位相調整回路200の動作の一例を示すタイミング図。
【図7】位相一致検出回路32kの一例を示す回路図。
【図8】図7の位相一致検出回路32kの動作の一例を示すタイミング図。
【図9】位相一致検出回路32kの別の一例を示す回路ブロック図。
【図10】ラッチ回路51の内部構成の一例を示す回路図。
【図11】図9の位相一致検出回路32k’の動作の一例を示すタイミング図。
【図12】図9の位相一致検出回路32k’の変形例。
【図13】遅延信号dly[k]と遅延信号dly[l]とを補間する補間回路61の一例を示す概略ブロック図。
【図14】図13の補間回路61の動作の一例を示すタイミング図。
【図15】補間回路61を用いた位相シフト部21’の内部構成の一例を示す概略ブロック図。
【図16】位相シフト部21’’の内部構成の一例を示す概略ブロック図。
【図17】分圧回路72の具体例を示す回路図。
【図18】参照信号REFと複数の遅延信号との位相が一致している様子を示す図。
【図19】MUX部23の内部構成の一例を示す概略ブロック図。
【図20】MUX部23の内部構成の別の一例を示す概略ブロック図。
【図21】MUX部23の内部構成の他の一例を示す概略ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、半導体集積回路および無線通信装置の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る無線通信装置100の概略ブロック図である。図1の無線通信装置100は、例えば携帯電話に搭載される。無線通信装置100は、アンテナ1と、切替器(SW)2と、信号送信部3と、信号受信部4とを備えている。なお、無線通信装置100は信号送信部3および信号受信部4のうちの1つのみを備えていてもよい。
【0009】
アンテナ1は電波信号を送信または受信する。切替器2はアンテナ1が電波信号を送信するか受信するかを切り替える。信号送信部3は図示しないベースバンドLSI(Large Scale Integrated circuit)等から入力された入力信号を処理した電波信号をアンテナ1に出力する。信号受信部4はアンテナ1が受信した電波信号を処理して外部に出力する。
【0010】
信号送信部3は、入力信号処理回路5と、PLL回路(第1の発振信号生成回路)6と、位相調整回路7と、変調回路8と、パワーアンプ(PA、送信部)9とを有する。入力信号処理回路5は外部から入力された信号を処理する。PLL回路はLO信号(以下、元LO信号とする)を生成する。この元LO信号は位相雑音を含んでいることもある。位相調整回路7は、元LO信号から位相雑音を低減したLO信号を生成する。このLO信号に基づいて、変調回路8は入力信号処理回路5の出力信号を変調する。パワーアンプ9は変調回路8の出力信号を増幅してアンテナ1へ出力する。
【0011】
信号受信部4は、LNA(Low Noise Amplifier)10と、PLL回路(第1の発振信号生成回路)11と、位相調整回路12と、復調回路13と、出力信号処理回路(出力回路)14とを有する。LNA10はアンテナ1が受信した電波信号を増幅する。PLL回路はLO信号(以下、元LO信号とする)を生成する。この元LO信号は位相雑音を含んでいることもある。位相調整回路12は、元LO信号から位相雑音を低減したLO信号を生成する。このLO信号に基づいて、復調回路13は、LNA10により増幅された電波信号を復調する。出力信号処理回路14は復調された信号を処理して外部に出力する。
【0012】
このように、本実施形態では、PLL回路6,11が生成する元LO信号に位相雑音が含まれていても、位相調整回路7,12により位相雑音を低減することで、位相雑音が小さいLO信号を変調回路8および復調回路13に供給できる。これにより、外部からの入力信号、例えば音声/画像信号を所定の圧縮方式でエンコードして送信することや、アンテナ1で受信した信号をデコードして元の音声/画像信号を誤動作なく安定して再生することができる。以下、位相調整回路7,12について説明する。
【0013】
図2は、位相調整回路200の内部構成の一例を示す概略ブロック図である。同図の位相調整回路200は、例えば半導体集積回路に搭載され、図1の位相調整回路7や位相調整回路12として使用できる。位相調整回路200は、位相シフト部21と、位相比較部22と、MUX部(出力部)23とを有する。
【0014】
位相シフト部21には、例えばPLL回路で生成される元LO信号(入力発振信号)が入力される。この元LO信号は位相雑音を含んでいてもよい。位相シフト部21は、元LO信号を遅延させて、元LO信号と周波数が等しく、位相が互いに異なるn(nは正の整数)個の遅延信号dly[1]〜dly[n]を生成し、位相比較部22およびMUX部23に供給する。元LO信号の周波数Floは、例えば2.4GHzである。
【0015】
位相比較部22には、例えばクリスタルにより生成される参照信号REFが入力される。参照信号REFの周波数Frefはそれほど高くない(例えば13MHz)が、位相雑音はほとんどない。元LO信号を生成するためにPLL回路に入力される参照信号を位相比較部22に入力してもよい。位相比較部22は、参照信号REFと、遅延信号dly[1]〜dly[n]のそれぞれとを比較し、参照信号REFと位相が一致する遅延信号を検出する。さらに、位相比較部22は、検出した遅延信号を示す制御信号SELを生成し、MUX部23に供給する。
【0016】
なお、特に断らない限り、本明細書における「位相が一致する」とは、「位相差が所定範囲内である」ことを意味し、必ずしも位相が厳密に一致していることを意味するのではない。
【0017】
MUX部23には遅延信号dly[1]〜dly[n]が入力される。MUX部23は、制御信号SELに基づいて、遅延信号dly[1]〜dly[n]のうち、位相比較部22により検出された遅延信号を選択し、LO信号(出力発振信号)として出力する。
【0018】
図3は、位相調整回路200により位相雑音を低減する原理を示す図である。同図の横軸は参照信号REFの周期1/Frefを単位とする時間であり、縦軸はLO信号の位相誤差(単位は任意)である。
【0019】
元LO信号に位相雑音が含まれていなければ、ある時刻で元LO信号と参照信号REFとが同期していれば、その後も元LO信号と参照信号REFとは同期する。しかしながら、実際には、元LO信号に位相雑音が含まれている。そのため、位相調整を行わない場合、同図の曲線g1で示すように、位相雑音が時間とともに蓄積されて、位相誤差が大きくなってしまう。そうすると、図1の変調回路8や復調回路13で正しく復調および変調動作ができなくなる。
【0020】
これに対し、本実施形態では、曲線g2に示すように、位相調整回路200内の位相比較部22は、参照信号REFの周期で、参照信号REFの位相との位相とが一致する遅延信号を検出し、MUX部23は検出された遅延信号をLO信号として出力する。このように元LO信号の位相を調整してLO信号を生成することにより、参照信号REFの1周期以上位相誤差が蓄積されることがなくなり、平均的な位相誤差を小さくすることができる。
【0021】
図4は、位相調整回路200のより具体的な内部構成の一例を示す概略ブロック図である。
【0022】
位相シフト部21は、直列接続されるn個の遅延素子311〜311nを有する。遅延素子31k(kは1〜nの整数)は元LO信号または遅延信号dly[k−1]を単位遅延時間ΔTだけ遅延させて遅延信号dly[k]を生成する。遅延素子は、例えばインバータ回路や、NAND回路、NOR回路である。NAND回路等の2入力論理回路を遅延素子31kとして用いる場合、元LO信号または遅延信号dly[k−1]が入力されない方の入力端子は、種々の制御に用いることができる。例えば、NAND回路を用いた場合は、一方の入力がロウに固定されると、他方の入力レベルによらず、出力はハイに固定されるため、後段の遅延素子に信号を伝えないことができる。これにより、ある遅延素子以降の処理が不要であることがわかっている場合に、不要な素子に信号を伝えないことで消費電力を低減するなどの処理に利用できる。
【0023】
ここで、遅延素子31kを多く設け、遅延時間がそれぞれ異なる遅延信号をできるだけ多く生成するのが望ましい。これにより、遅延信号同士の遅延時間の差が小さくなり、すなわち、位相分解能が小さくなり、参照信号REFとの位相差がより小さい遅延信号を選択してLO信号を生成できるようになる。結果として、位相調整の精度を向上でき、より位相雑音が小さいLO信号を生成できる。
【0024】
位相比較部22は、遅延信号dly[1]〜dly[n]のそれぞれに対応して設けられるn個の位相一致検出回路321〜32nと、デコーダ回路33とを有する。位相一致検出回路32kは、参照信号REFと、入力される遅延信号dly[k]との位相が一致するか否かを判定する。位相一致検出回路32kは判定結果をOUT[k]としてデコーダ回路に出力する。位相一致検出回路32kの具体例は第2および第3の実施形態で説明する。デコーダ回路33は、参照信号REFと位相が一致した遅延信号が選択されて出力されるよう、制御信号SELを生成し、MUX部23を制御する。
【0025】
ここで、本実施形態の特徴の1つは、位相一致検出回路32kが、参照信号REFの位相と、入力される遅延信号dly[k]の位相とが一致するか否かを検出する点である。これにより、遅延信号の数nを多くすることができる。
【0026】
別の手法として考えられるのは、位相比較部22として、位相一致検出回路321〜32nではなくフリップフロップ321’〜32n’を用い、入力される遅延信号の位相が参照信号REFの位相より進んでいるか、遅れているか、を判定することである。この場合、遅延信号dly[1]〜dly[n]がこの順で元LO信号との位相差が大きくならなければならない。「遅延信号の位相が進んでいる」と判定されるフリップフロップ321’〜32k’と、「遅延信号の位相が遅れている」と判定されるフリップフロップ32(k+1)’〜32nとをデコーダ回路33で検出することにより、制御信号SELを生成することになるためである。その結果、遅延素子の数nは限られてしまう。より具体的には、遅延信号dly[1]に対する遅延信号dly[n]の位相差が2π以下でなければならないため、遅延素子の数nは下記(1)式を満たさなければならない。
2π*Flo*ΔT*n≦2π ・・・(1)
【0027】
したがって、遅延素子の数nを1/(Flo*ΔT)より多くすることはできない。簡単な例として、単位遅延時間ΔTが元LO信号の周期1/Floの3/10である場合、遅延素子の数nは3が上限である。このように、位相一致検出回路32kを用いない場合は、遅延素子の数nは遅延素子の単位遅延時間ΔTにより制限されてしまう。
【0028】
これに対し、本実施形態では、位相一致検出回路32kのそれぞれが、参照信号REFと遅延信号との位相が一致しているか否かを判定できる。そのため、遅延信号dly[1]〜dly[n]は、必ずしもこの順で元LO信号との位相差が大きくなっている必要はなく、遅延素子の数nを1/(Flo*ΔT)より大きくすることができる。
【0029】
図5は、遅延素子と、遅延信号の遅延時間との関係を示す図であり、横軸は遅延時間、縦軸は遅延信号dly[1]を基準とする各遅延信号の位相差または遅延時間である。また、図6は、図4の位相調整回路200の動作の一例を示すタイミング図であり、図5と対応している。図5および図6では、単位遅延時間ΔTが元LO信号の周期1/Floの3/10である例を示している。
【0030】
図5および図6に示すように、遅延信号の遅延時間は3/10周期(位相差は2π*3/10)ずつ大きくなるが、遅延信号dly[1]に対する遅延信号dly[n]の遅延時間が1周期1/Flo(位相差が2π)を超えてもよい。例えば、遅延信号dly[1]に対する遅延信号dly[5]の位相差は2πを超えている。図5の場合、10個の遅延素子311〜3110を用いて、遅延時間が0.1周期(位相差が2π*1/10)ずつずれた遅延信号dly[1]〜dly[10]を生成できる。このように、遅延素子の単位遅延時間ΔTに関わらず、遅延素子の数nを10まで増やすことができ、位相調整の精度を向上できる。
【0031】
図6では、位相一致検出回路が、遅延信号dly[1]〜dly[10]のうち、その立ち上がりエッジが参照信号REFの立ち下がりエッジと一致する遅延信号を検出する例を示している。図示のように、時刻t9で遅延信号dly[3]が立ち上がるとともに参照信号REFが立ち下がっているため、位相一致検出回路323は参照信号REFと遅延信号の一致している、と判定する。一方、他の位相一致検出回路321,322,324〜3210は、一致していない、と判定する。
【0032】
位相一致検出回路321〜3210の判定結果OUT[1]〜OUT[10]に基づき、図4のMUX部23で遅延信号dly[3]が選択されるよう、デコーダ回路33は制御信号SELを生成する。
【0033】
なお、図5等では、説明のために単位遅延時間ΔTが元LO信号の周期1/Floの3/10である例を示したが、実際には、単位遅延時間ΔTは、65nmプロセスのCMOSインバータ回路の場合、例えば20psであり、元LO信号の周期1/Floの1/20程度である。
【0034】
このように、第1の実施形態では、元LO信号を遅延させた複数の遅延信号dly[1]〜dly[n]を生成する。そして、dly[1]〜dly[n]のうち、参照信号REFと位相が一致する遅延信号を選択してLO信号とする。位相一致検出回路321〜32nを用いて位相が一致する遅延信号を選択するため、遅延素子311〜31nの単位遅延時間ΔTに制限されることなく、遅延素子の数nを大きくすることができる。結果として、互いに遅延時間が異なる多数の遅延信号を生成でき、その中から参照信号REFと位相が一致する遅延信号を選択できるようになり、位相雑音が小さいLO信号を生成できる。
【0035】
(第2の実施形態)
以下に説明する第2の実施形態は、位相一致検出回路32kの具体例である。
【0036】
図7は、位相一致検出回路32kの一例を示す回路図である。同図の位相一致検出回路32kは、参照信号REFについては立ち下がりエッジを、遅延信号dly[k]については立ち上がりエッジを、それぞれ位相の基準とし、遅延信号dly[k]と参照信号REFとの位相差が所定範囲内か否か、すなわち、一致しているか否か、を検出する。
【0037】
位相一致検出回路32kは、位相差検出回路41と、判定回路42とを有する。
【0038】
位相差検出回路41は、電源端子と接地端子との間に縦続接続されるPMOSトランジスタQP1と、NMOSトランジスタQN1,QN2と、を有する。トランジスタQP1,QN1,QN2のゲートにはそれぞれ、プリチャージ信号PRE、参照信号REF、遅延信号dly[k]が入力される。また、トランジスタQP1,QN1の接続ノードから信号Aが出力される。なお、トランジスタQN1,QN2のゲートにそれぞれ遅延信号dly[k]、参照信号REFが入力されてもよい。
【0039】
位相差検出回路41は、参照信号REFと遅延信号dly[k]との位相差が所定範囲内でない場合、位相差に応じて信号Aをハイ(第1の基準電圧)またはロウ(第2の基準電圧)に設定する。ここで、ハイは電源電圧に対応し、ロウは接地電圧に対応する。一方、位相差検出回路41は、位相差が所定範囲内である場合、信号Aをハイとロウとの間の電圧Vm(第1の電圧)に設定する。
【0040】
判定回路42は、2つのコンパレータ43,44と、XOR回路(論理回路)45と、を有する。コンパレータ43は電圧Vmより高く、電源電圧より低い電圧VthH(第2の電圧)を閾値とするインバータ回路であり、信号Aの電圧と電圧VthHとの比較結果を信号Bとして出力する。コンパレータ44は電圧Vmより低く、接地電圧より高い電圧VthL(第3の電圧)を閾値とするインバータ回路であり、信号Aの電圧と電圧VthLとの比較結果を信号Cとして出力する。XOR回路45は信号Bと信号Cとの排他的論理和を判定結果OUT[k]として出力する。
【0041】
判定回路42は、信号Aがハイまたはロウである場合、参照信号REFと遅延信号dly[k]との位相差が所定範囲内でないと判定し、判定結果OUT[k]をロウに設定する。一方、信号Aが電圧Vmである場合、判定回路42は、参照信号REFと遅延信号dly[k]との位相差が所定範囲内であると判定し、判定結果OUT[k]をハイに設定する。
【0042】
図8は、図7の位相一致検出回路32kの動作の一例を示すタイミング図である。図8を用いて、図7の位相一致検出回路32kの動作をより詳しく説明する。
【0043】
まず、不図示のタイミング制御回路により、プリチャージ信号PREがロウに設定される。これによりトランジスタQP1がオンして導通し、信号Aはハイに設定される。次に、時刻t20でプリチャージ信号PREはハイに設定され、トランジスタQP1はオフする。以下、場合を分けて説明する。
【0044】
図8(a)は、参照信号REFと遅延信号dly[k]との位相差が所定範囲を超え、遅延信号dly[k]の位相が参照信号REFの位相より進んでいる場合のタイミング図である。時刻t21で遅延信号dly[k]が立ち上がり、その後の時刻t22で参照信号REFが立ち下がる。時刻t21〜t22では、参照信号REFおよび遅延信号dly[k]の両方がハイであるため、トランジスタQN1,QN2がともにオンして導通し、信号Aはロウに設定される。その結果、コンパレータ43,44が出力する信号B,Cはともにハイとなり、XOR回路45は判定結果OUT[k]をロウに設定する。このようにして、位相一致検出回路32kは参照信号REFと遅延信号dly[k]との位相差が所定範囲内でないことを検出できる。
【0045】
図8(b)は、参照信号REFと遅延信号dly[k]との位相差が所定範囲を超え、遅延信号dly[k]の位相が参照信号REFの位相より遅れている場合のタイミング図である。時刻t23で参照信号REFが立ち下がり、その後の時刻t24で遅延信号dly[k]が立ち上がる。参照信号REFおよび遅延信号dly[k]の両方がハイである期間がないため、信号Aはハイのままである。その結果、コンパレータ43,44が出力する信号B,Cはともにロウとなり、XOR回路45は判定結果OUT[k]をロウに設定する。このようにして、位相一致検出回路32kは参照信号REFと遅延信号dly[k]との位相差が所定範囲内でないことを検出できる。
【0046】
図8(c)は、参照信号REFと遅延信号dly[k]との位相差が所定範囲内である場合のタイミング図である。時刻t25で遅延信号dly[k]が立ち上がり、その直後の時刻t26で参照信号REFが立ち下がる。時刻t25でトランジスタQN1,QN2がともにオンし、信号Aの電圧が下がり始める。ところが、その直後の時刻t26でトランジスタQN1がオフする。そのため、信号Aはロウにまで下がらず、ハイとロウとの間の電圧Vmに設定される。コンパレータ43の閾値VthHは電圧Vmより高いため、信号Bはハイに設定される。一方、コンパレータ44の閾値VthLは電圧Vmより低いため、信号Cはロウに設定される。その結果、XOR回路は判定結果OUT[k]をハイに設定する。このようにして、遅延信号dly[k]の立ち上がりから参照信号REFの立ち下がりまでの時間が所定時間以内である場合に、位相一致検出回路32kは、遅延信号dly[k]と参照信号REFとの位相差が所定範囲内であることを検出できる。
【0047】
図7の位相一致検出回路32kでは、信号Aの電圧が電圧VthL〜VthHの間に設定される場合に、判定結果OUT[k]がハイに設定される。そのためには、参照信号REFがハイである期間に遅延信号dly[k]が立ち上がることにより信号Aの電圧が電圧VthHより低くなり、かつ、信号Aの電圧が電圧VthLより低くなる前に参照信号REFが立ち下がる必要がある。参照信号REFと遅延信号dly[k]との位相差がこの条件を満たす範囲内である場合に、参照信号REFと遅延信号dly[k]との位相が一致すると判定される。
【0048】
なお、参照信号REFの立ち上がりと、遅延信号dly[k]の立ち下がりとが一致する場合も、判定結果OUT[k]はハイに設定され得る。しかしながら、これは参照信号REFと遅延信号dly[k]との位相が一致しているわけではないため、不要な動作である。そこで、デコーダ回路33でこの判定結果を無効にするマスク処理を行う。マスク処理には、他の位相一致検出回路の信号B,Cを利用することができる。
【0049】
例えば、遅延信号dly[k]が入力される位相一致検出回路32kの判定結果OUT[k]がハイである場合、デコーダ回路33は、一段前の遅延信号dly[k−1]が入力される位相一致検出回路32(k−1)の信号B(以下、信号B[k−1]とする)および一段後の遅延信号dly[k+1]が入力される位相一致検出回路32(k+1)の信号B(以下、信号B[k+1]とする)を確認する。図8(c)のように、参照信号REFの立ち下がりと遅延信号dly[k]の立ち上がりとが一致している場合、遅延信号dly[k−1]の位相は参照信号REFの位相より進んでおり(図8(a)の状態)、信号B[k−1]はハイである。一方、遅延信号dly[k+1]の位相は参照信号REFの位相より遅れており(図8(b)の状態)、信号B[k+1]はロウである。これとは逆に、信号B[k−1]がロウであり、信号B[k+1]がハイであれば、デコーダ回路33は、参照信号REFの立ち上がりと、遅延信号dly[k]の立ち下がりとが一致していると判断でき、マスク処理を行う。
【0050】
このように、第2の実施形態では、図7に示すトランジスタ10個程度の簡易な位相一致検出回路32kを用いて位相一致検出を行い、位相雑音が小さいLO信号を生成できる。
【0051】
(第3の実施形態)
上述した第2の実施形態の位相一致検出回路32kは1本の信号Aをハイとロウとの間の電圧Vmに設定したが、以下に説明する第3の実施形態では、2本の信号をハイとロウとの間の電圧に設定するものである。
【0052】
図9は、位相一致検出回路32kの別の一例を示す回路ブロック図である。図9では、図7と共通する構成部分には同一の符号を付しており、以下では相違点を中心に説明する。
【0053】
図9の位相一致検出回路32k’は、参照信号REFおよび遅延信号dly[k]の立ち上がりエッジを位相の基準とし、遅延信号dly[k]と参照信号REFとの位相差が所定範囲内か否か、すなわち、一致しているか否か、を検出する。
【0054】
位相差検出回路41’は、遅延信号dly[k]+と、不図示の反転回路で生成される遅延信号dly[k]の反転信号dly[k]−とが入力されるラッチ回路51を有する。ラッチ回路51には参照信号REFがクロック入力され、その立ち上がりに同期して、遅延信号dly[k]+と反転信号dly[k]−との大小関係を比較する。
【0055】
図10は、ラッチ回路51の内部構成の一例を示す回路図である。PMOSトランジスタQP11およびNMOSトランジスタQN11は、電源端子VDDとNMOSトランジスタQN10との間に縦続接続され、PMOSトランジスタQP12およびNMOSトランジスタQN12は、電源端子VDDとNMOSトランジスタQN10との間に縦続接続される。PMOSトランジスタQP13およびNMOSトランジスタQN13は、電源端子VDDとトランジスタQN10との間に縦続接続され、PMOSトランジスタQP14およびNMOSトランジスタQN14は、電源端子VDDとトランジスタQN10との間に縦続接続される。PMOSトランジスタQP15はトランジスタQP13と並列接続され、PMOSトランジスタQP16はトランジスタQP14と並列接続される。
【0056】
トランジスタQP11,QP12,QP15,QP16,QN10の各ゲートには参照信号REFが入力される。トランジスタQ11,Q12のゲートにはそれぞれ、遅延信号dly[k]+,反転信号dlk[k]−が入力される。トランジスタQP13,QN13の接続ノードはトランジスタQP14,QN14のゲートに接続され、信号VO−を出力する。トランジスタQP14,QN14の接続ノードはトランジスタQP13,QN13のゲートに接続され、信号VO+を出力する。
【0057】
図9、図10のラッチ回路51は、参照信号REFと遅延信号dly[k]との位相差が所定範囲内でない場合、位相差に応じて信号VO+,VO−のいずれか一方をロウに、他方をハイに設定する。一方、位相差検出回路41’は、位相差が所定範囲内である場合、信号VO+,VO−をハイとロウとの間の電圧Vmに設定する。
【0058】
一方、図9の判定回路42’は、遅延回路(DELAY)52と、Dフリップフロップ(D−FF)53,54と、AND回路(論理回路)55とを有する。遅延回路52は参照信号REFを遅延した遅延参照信号REF_Dを生成する。Dフリップフロップ53,54には遅延参照信号REF_Dがクロック入力される。Dフリップフロップ53,54は遅延参照信号REF_Dの立ち上がりに同期して信号VO+,VO−の値を保持し、それぞれ信号D+,D−とする。AND回路55は信号D+と信号D−との論理積を判定結果OUT[k]とする。
【0059】
判定回路42’は、信号VO,VO−のうちいずれか一方がロウである場合、参照信号REFと遅延信号dly[k]との位相差が所定範囲内でないと判定し、判定結果OUT[k]をロウに設定する。一方、信号VO+,VO−が電圧Vmである場合、判定回路42は、参照信号REFと遅延信号dly[k]との位相差が所定範囲内であると判定し、判定結果OUT[k]をハイに設定する。
【0060】
図11は、図9の位相一致検出回路32k’の動作の一例を示すタイミング図である。図11を用いて、図9の位相一致検出回路32k’の動作をより詳しく説明する。
【0061】
参照信号REFがロウである間、トランジスタQP11,QP12,QP15,QP16がオンし、信号VO+,VO−と、トランジスタQN11,QN13の接続ノード、トランジスタQN12,QN14の接続ノードがハイに設定される。以下、場合を分けて説明する。
【0062】
図11(a)は、参照信号REFと遅延信号dly[k]との位相差が所定範囲を超え、遅延信号dly[k]の位相が参照信号REFの位相より進んでいる場合のタイミング図である。時刻t31で参照信号REFが立ち上がったとき、遅延信号dly[k]+はハイであり、反転信号dlk−[k]はロウである。したがって、時刻t31で、図10のトランジスタQN10,QN11,QN13,QN14がオンする。トランジスタQN10,QN11,QN13がオンするため、信号VO−の電圧は低下し、やがてロウに達する。一方、トランジスタQN12がオフであるため、信号VO+はハイのままである。
【0063】
続いて、時刻t32で、遅延参照信号REF_Dが立ち上がると、図9のDフリップフロップ53,54はそれぞれ、信号VO+,VO−の値を保持し、信号D+をハイに、信号D−をロウに設定する。そして、AND回路55は判定結果OUT[k]をロウに設定する。このようにして、位相一致検出回路32k’は参照信号REFと遅延信号dly[k]との位相差が所定範囲内でないことを検出できる。
【0064】
図8(b)は、参照信号REFと遅延信号dly[k]との位相差が所定範囲を超え、遅延信号dly[k]の位相が参照信号REFの位相より遅れている場合のタイミング図である。この場合、時刻t33で参照信号REFが立ち上がったとき、遅延信号dly[k]+はロウであり、反転信号dlk−[k]はハイである。したがって、信号VO+,VO−の極性が図8(a)と逆になるが、類似の動作により、判定結果OUT[k]はロウに設定される。
【0065】
図8(c)は、参照信号REFと遅延信号dly[k]との位相差が所定範囲内である場合のタイミング図である。時刻t36で、参照信号REFが立ち上がるとともに、遅延信号dly[k]+はロウからハイに、反転信号dlk−[k]はハイからロウになる。時刻t36は、遅延信号dly[k]+はロウからハイに、反転信号dly[k]−はハイからロウに遷移している途中であり、両者の差が小さいため、図7のラッチ回路51が出力する信号VO+,VO−はメタステーブル状態となる。その結果、しばらくの間、ハイとロウとの中間電圧より高い電圧Vmを出力する。
【0066】
さらに、信号VO+,VO−が電圧Vmを出力している間に、時刻t37で遅延参照信号REF_Dが立ち上がると、電圧Vmはハイとロウとの中間電圧より高いので、Dフリップフロップ53,54は信号D+,D−をハイに設定する。これにより、AND回路55は判定結果OUT[k]をハイに設定する。このようにして、位相一致検出回路32k’は、遅延信号dly[k]と参照信号REFとの位相差が所定範囲内であることを検出できる。
【0067】
図12は、図9の位相一致検出回路32k’の変形例である。図12の判定回路42’’は、信号VO+とDフリップフロップ53との間にインバータ回路55,56を、信号VO−とDフリップフロップ54との間にインバータ回路57,58を有する。2段のインバータ回路55,56により、図11(c)の信号VO+の電圧Vmはハイに増幅され、2段のインバータ回路57,58により、信号VO−の電圧Vmもハイに増幅される。これにより、D−FFで、確実に信号D+,D−をハイに設定できる。
【0068】
このように、第3の実施形態では、第2の実施形態と同様に位相一致検出回路32k’,32k’’を用いて、位相一致検出を行い、位相雑音が小さいLO信号を生成できる。
【0069】
(第4の実施形態)
上述した各実施形態では、位相シフト部21は遅延素子を縦続接続し、遅延時間が遅延素子の単位遅延時間ΔTずつずれた遅延信号dly[1]〜dly[n]を生成するものであった。これに対し、以下に説明する第4の実施形態は、遅延信号dly[1]〜dly[n]を補間して、遅延信号の数をさらに多くするものである。
【0070】
図13は、遅延信号dly[k]と遅延信号dly[l](lは1〜nの整数)とを補間する補間回路61の一例を示す概略ブロック図である。また、図14は、図13の補間回路61の動作の一例を示すタイミング図である。
【0071】
図4の遅延信号dly[1]〜dly[n]のうちの任意の2つの遅延信号dly[k],dly[l]が補間回路61に入力される。補間回路61は、遅延信号dly[k]が入力されるインバータ回路62と、遅延信号dly[l]が入力されるインバータ回路63とを有し、これらの出力端子は短絡されて、遅延信号dly’を生成する。2つのインバータ回路の特性は等しい。
【0072】
これにより、図14に示すように、元LO信号に対する遅延時間がTkである遅延信号dly[k]と、遅延時間がTlである遅延信号dly[l]とを補間して、遅延時間が(Tk+Tl)/2である信号dly’が新たに生成される。この信号dly’を遅延信号の1つとして使用できる。
【0073】
図15は、補間回路61を用いた位相シフト部21’の内部構成の一例を示す概略ブロック図である。同図の位相シフト部21’は、遅延素子311〜313に加え、インバータ回路62〜65を有する。実際はより多くの遅延素子やインバータ回路が接続されているが、同図では省略している。
【0074】
インバータ回路自身の遅延時間を無視すると、1つ目の遅延素子311の出力端子に接続されるインバータ回路64により、遅延時間がΔTである遅延信号dly[1]が生成される。また、2つ目の遅延素子312の出力端子に接続されるインバータ回路65により、遅延時間が2ΔTである遅延信号dly[2]が生成される。さらに、遅延素子311の出力端子に接続されるインバータ回路62と、遅延素子312の出力端子に接続されるインバータ回路63により補間回路61が構成され、遅延時間が1.5ΔTである遅延信号dly[1.5]が生成される。
【0075】
同様にして、図15の位相シフト部21’は遅延時間が0.5ΔTずつずれた遅延信号を生成できる。もちろん、これらをさらに補間して、0.5ΔTより短い時間ずつ遅延時間がずれた遅延信号を生成してもよい。なお、インバータ回路64,65等を設ける理由は、各遅延信号の極性をそろえるためであるが、インバータ回路を設けず、位相一致検出回路32kで極性の違いを吸収してもよい。
【0076】
このように、第4の実施形態では、2つのインバータ回路の出力を短絡して、遅延素子の出力を補間した遅延信号を生成する。そのため、遅延素子の単位遅延時間ΔTより短い時間ずつ遅延時間がずれた遅延信号を生成でき、さらに、位相調整の精度を向上できる。
【0077】
(第5の実施形態)
上述した第1〜第3の実施形態の位相シフト部21,21’は、複数の遅延素子を縦続接続して遅延信号を生成するものであった。これに対し、以下に説明する第5の実施形態は、元LO信号を分周して複数の分周信号を生成し、これらの分周信号を抵抗素子を用いて分圧して遅延信号を生成するものである。
【0078】
図16は、位相シフト部21’’の内部構成の一例を示す概略ブロック図である。位相シフト部21’’は、分周回路71と、分圧回路72とを有する。
【0079】
分周回路71は元LO信号を分周し、例えば90度ずつの位相差を持った4相の分周信号LO1〜LO4を生成する。分周回路71は、例えば、Quadrature VCOやリング発振器、ポリフェーズフィルタ等により実現できる。なお、分周回路71は4相の分周信号でなく、8相や16相の分周信号を生成してもよい。
【0080】
分圧回路72は4m個の抵抗R1〜Rmを有する。分圧回路72は、抵抗R1〜Rmにより4相の分周信号LO1〜LO4をさらにm分割して、4*m(=n)相の遅延信号dly[1]〜dly[n]を生成する。
【0081】
抵抗R1〜Rmは分周信号LO1と分周信号LO2との間に直列接続される。抵抗Rm+1〜R2mは分周信号LO2と分周信号LO3との間に直列接続される。抵抗R2m+1〜R3mは分周信号LO3と分周信号LO4との間に直列接続される。抵抗R3m+1〜R4mは分周信号LO4と分周信号LO1との間に直列接続される。ここで、遅延信号dly[1]〜dly[4m]の遅延時間を等間隔にするため、分周信号の近くに接続される抵抗ほど、抵抗値を大きくするのが望ましい。例えば、R1>R2>・・・<Rm−1<Rmとする。
【0082】
抵抗Rk(k=1〜4m−1)と抵抗Rk+1との接続ノードから遅延信号dly[k+1]が出力され、抵抗R4mと抵抗R1との接続ノードから遅延信号dly[1]が出力される。例えば、遅延信号dly[2]は、分周信号LO1とLO2とを、抵抗R1〜Rmで分圧して得られる。分圧して得られた遅延信号dly[2]の遅延時間は、分周信号LO1の遅延時間と分周信号LO2の遅延時間との間の値となる。他の遅延信号も同様である。
【0083】
なお、分周信号LO1と遅延信号dly[1],LO2とdly[m+1],LO3とdly[2m+1],LO4とdly[3m+1]はそれぞれ同じ信号である。
【0084】
抵抗R1〜R4mの抵抗値を適切な値に設定することにより、遅延時間dly[1]〜dly[4m]の遅延時間を等間隔にすることができる。
【0085】
図17は、分圧回路72の具体例を示す回路図である。図17の分圧回路72は、図15の分圧回路72においてm=4とした例である。以下、図17の分圧回路72で、遅延信号dly[1]〜dly[16]の遅延時間を等間隔にするための条件を求める。
【0086】
抵抗R1〜R16の抵抗値は、任意の2つの分周信号間で対称でなければならない。そのため、分周信号の直近に配置される8個の抵抗の抵抗値をr1、他の抵抗の抵抗値をr2とする。また、LO信号およびその分周信号LO1〜LO4は2.4GHz程度の高周波数であるため、その波形は矩形ではなく正弦波で近似できる。さらに、分周信号LO1〜LO4は互いに90度ずつの位相差を有することを考慮すると、下記(2)〜(5)式で表される。
LO1 = sinωt ・・・(2)
LO2 = cosωt ・・・(3)
LO3 = -sinωt ・・・(4)
LO4 = -cosωt ・・・(5)
【0087】
ここで、ω=2π*Floである。例えば遅延信号dly[2]〜dly[4]は、分周信号LO1とLO2とを抵抗R1〜R4で分圧した電圧となる。よって、dly[1]〜dly[5]は下記(6)〜(10)式で表される。
【数1】

【数2】

【数3】

【数4】

【数5】

【0088】
ここで、A,α,βは下記(11)〜(13)式で表される。
【数6】

【数7】

【数8】

【0089】
そこで、抵抗値r1,r2が下記(14)式を満たすようにする。
r1=√2*r2 ・・・(14)
【0090】
これにより、α=22.5度、β=67.5度となり、遅延信号dly[1]〜dly[5]を位相が22.5度ずつずれた信号とすることができる。結果として、遅延信号dly[1]〜dly[16]は、360度を16等分した位相差を有し、遅延時間が等間隔となる。
【0091】
このように、第4の実施形態の位相シフト部21は、まず、分周回路71によりLO信号を分周して複数の分周信号LO1〜LO4を生成する。次に、複数の抵抗により分周信号LO1〜LO4を分圧してLO信号の遅延信号dly[1]〜dly[4m]を生成する。CMOSインバータ回路等の遅延素子を用いないため、製造ばらつきによる影響を抑制できる。
【0092】
なお、図16および図17において、抵抗に代えて、容量、インダクタ、ゲートが所定電位にバイアスされたトランジスタ等の一般的なインピーダンス素子でもよい。また、図16、図17で生成される遅延信号のうちの2つを図13の補間回路61で補間して、さらに短い時間ずつ遅延時間がずれた遅延信号を生成してもよい。
【0093】
(第6の実施形態)
以下に説明する第6の実施形態は、図4のデコーダ回路33およびMUX部23に関するものである。
【0094】
図4のデコーダ回路33は、位相一致検出回路321〜32nの判定結果OUT[1]〜OUT[n]に基づき、どの遅延信号の位相が参照信号REFの位相と一致しているのかを示す制御信号SELを生成する。制御信号SELはnビットのデジタル信号である。本実施形態では、デコーダ回路33は、以下のようにして、制御信号SELのうちの1ビットのみをハイに設定する。
【0095】
図4の位相一致検出回路321〜32nで、参照信号REFの位相と、遅延信号dly[1]〜dly[n]のうちの1つの遅延信号dly[k]の位相とが一致していると判定された場合、制御信号SELのうちのkビット目をハイに、他をロウにそれぞれ設定する。
【0096】
第1の実施形態で説明したように、遅延素子の数nが大きい場合、複数の位相一致検出回路32kが参照信号REFとの位相が一致している、と判定されることがある。図18は、参照信号REFと複数の遅延信号との位相が一致している様子を示す図である。同図では、参照信号REFと5つの遅延信号の位相とが一致している。この場合、デコーダ回路33は、予め定めた優先順位にしたがって、制御信号SELのうちの1ビットのみをハイに設定する。例えば、位相一致検出回路321〜32nの順で、最初に位相が一致した位相一致検出回路を最優先とする。これにより、最初に位相が一致した位相一致検出回路以降の位相一致検出回路の動作を停止することができ、消費電力を低減できる。
【0097】
一方、いずれの位相一致検出回路32kでも、参照信号REFと遅延信号との位相が一致している、と判定されない場合、デコーダ回路33は、制御信号SELのうち、予め定めた1ビットをハイに設定する。あるいは、1周期前にハイであった1ビットを引き続きハイに設定し、1周期前との位相の変動が小さくなるようにしてもよい。
【0098】
図19は、MUX部23の内部構成の一例を示す概略ブロック図である。MUX部23は、遅延信号dly[1]〜dly[n]にそれぞれ対応して設けられるn個の出力バッファ(出力回路)811〜81nを有する。出力バッファ81kの入力端子INには対応する遅延信号dly[k]が入力される。また、出力バッファ81kの制御端子CNTには、制御信号SELのkビット目がそれぞれ入力される。さらに、各出力バッファ811〜81nの出力端子OUTは短絡されて、LO信号を出力する。
【0099】
本実施形態の出力バッファ811〜81nは、ハイインピーダンス(以下、Hi−Z)出力が可能な3ステートバッファである。すなわち、出力バッファ81kは、制御端子CNTにハイが入力されると、入力端子INに入力される遅延信号dly[k]を出力端子OUTから出力し、制御端子CNTにロウが入力されると、出力端子OUTをHi−Zに設定する。
【0100】
上述のように、デコーダ回路33は制御信号SELのうちの1ビットをハイに設定するため、出力バッファのうちの1つから対応する遅延信号が出力され、LO信号が生成される。
【0101】
このように、第6の実施形態では、遅延信号dly[1]〜dly[n]のそれぞれに対応して、Hi−Zを出力可能な出力バッファ811〜81nを設ける。また、デコーダ回路33は、1ビットのみがハイである制御信号SELを生成し、出力バッファ811〜81nのそれぞれに入力する。そのため、MUX部23は、遅延信号dly[1]〜dly[n]のうちの1つを選択して、確実にLO信号を生成できる。
【0102】
(第7の実施形態)
第6の実施形態では、すべての出力バッファの出力端子を短絡するものであった。これに対し、以下に説明する第7の実施形態では、出力バッファを縦続接続するものである。
【0103】
図20は、MUX部23の内部構成の別の一例を示す概略ブロック図である。同図では、8個の遅延信号dly[1]〜dly[8]が生成される例を示している。MUX部23’は出力バッファ911〜9115を有する。
【0104】
出力バッファ(第1の出力回路)911〜918は、遅延信号dly[1]〜dly[8]が入力端子INに入力され、制御信号SELに応じて、出力端子OUTから遅延信号を出力するか否かを切り替える。出力バッファ(第2の出力回路)919は短絡される出力バッファ911,912の出力端子OUTが入力端子INに接続される。出力バッファ9110〜9112も同様である。出力バッファ(第3の出力回路)9113〜9115は、制御信号SELに応じて、出力バッファ919〜9114の出力信号を合成し、LO信号を生成する。その他の点は、第6の実施形態と同様である。
【0105】
このように、第6の実施形態では、すべての出力バッファの出力端子OUTを短絡するのではなく、そのうちのいくつかの出力バッファの出力端子OUTのみを接続し、次段の出力バッファの入力端子INに接続する。そのため、短絡される出力バッファの出力端子数が少なくなり、短絡されるノードの寄生容量を小さくできる。結果として、各端子の信号のエッジが急峻になり、素子ばらつきや雑音の影響を低減できる。
【0106】
なお、図20のMUX部23’は種々変形し得る。例えば、同図では2つずつの出力バッファを短絡しているが、例えば4つずつの出力バッファを短絡してもよい。これにより、短絡されるノードの寄生容量は大きくなるが、それでも図19よりは小さく、かつ図20より回路規模を削減できる。また、遅延信号が4つの場合は、図20の出力バッファ915〜918,9111〜9115を設ける必要はないが、この場合、短絡される出力バッファ919,9110の出力端子を第3の出力回路とみなすことができる。
【0107】
(第8の実施形態)
上述した第6および第7の実施形態は、デコーダ回路33が、制御信号SELのうちの1ビットをハイに設定するものであった。これに対し、以下に説明する第8の実施形態は、1または複数ビットをハイに設定するものである。
【0108】
本実施形態のMUX部23の構成は第6の実施形態の図19と同様である。ただし、図18に示すように、参照信号REFと複数の遅延信号との位相が一致している場合、デコーダ回路33は制御信号SELのうちの1ビットではなく、位相が一致している遅延信号に対応するビットすべてをハイに設定する。例えば、参照信号REFと、5個の遅延信号dly[2]〜dly[6]の位相が一致している場合、デコーダ回路33は、制御信号SELの2〜6ビット目をハイに、他のビットをロウにそれぞれ設定する。
【0109】
これにより、出力バッファ812〜816の出力端子OUTから遅延信号dly[2]〜dly[6]がそれぞれ出力され、MUX部23はこれらを合成してLO信号を出力する。より具体的には、MUX部23は、元LO信号に対する遅延時間が、遅延信号dly[2]〜dly[6]のそれぞれの遅延時間の平均値であるLO信号を出力する。
【0110】
第6の実施形態では、参照信号REFとの位相が一致した遅延信号が複数ある場合でも、MUX部23はそのうちの1つだけを選択して、LO信号を出力する。参照信号REFと選択された遅延信号との位相は必ずしも厳密に一致しているわけではなく、位相雑音が含まれる。
【0111】
これに対し、本実施形態では、位相が一致すると判定される複数の遅延信号の遅延時間を平均するため、出力されるLO信号の位相雑音を低減できる。中心極限定理により、参照信号REFとの位相が一致すると判定される遅延信号がn個ある場合、遅延時間の平均値の標準偏差が1/√nになるためである。
【0112】
このように、第8の実施形態では、参照信号REFとの位相が一致する遅延信号が複数存在する場合に、MUX部23はこれらを合成してLO信号を出力する。そのため、LO信号の位相雑音をさらに低減できる。
【0113】
(第9の実施形態)
第9の実施形態は、第8の実施形態の変形例であり、デジタルフィルタを介して、制御信号SELを出力バッファに入力するものである。
【0114】
図21は、MUX部23の内部構成の他の一例を示す概略ブロック図である。図21では、図19と共通する構成部分には同一の符号を付しており、以下では相違点を中心に説明する。図21のMUX部23’’はデジタルフィルタ82をさらに有する。デジタルフィルタ82には制御信号SELが入力され、その出力信号SEL_LPFのkビット目が出力バッファ81kの入力端子に入力される。
【0115】
デジタルフィルタ82は例えばカウンタ回路であり、一旦制御信号SELのあるビットがハイに設定されると、所定時間、出力信号SEL_LPFの対応するビットをハイに設定し続ける。これにより、直近に参照信号REFとの位相が一致した遅延信号のみならず、過去に一致した遅延信号も用いて、MUX部23’’は、複数の遅延信号の遅延時間を平均したLO信号を生成する。そのため、出力されるLO信号の位相誤差の高周波成分を除去できる。
【0116】
デジタルフィルタはカウンタ回路以外の低域通過フィルタ(Low Pass Filter)でもよく、位相一致検出回路321〜32nからの判定結果OUT[1]〜OUT[n]に基づいて生成される制御信号SELに低域通過フィルタ処理を施し、平滑化された制御信号SEL_LPFを生成するものであればよい。
【0117】
このように、第9の実施形態では、デジタルフィルタ82を介して、制御信号SELを出力バッファ811〜81nに入力する。そのため、LO信号の位相誤差の高周波成分を除去できる。
【0118】
図7、図10等の回路は一例に過ぎず、種々の変形が可能である。例えば、MOSトランジスタの少なくとも一部を、バイポーラトランジスタやBi−CMOS等の他の半導体素子を用いて構成してもよい。また、トランジスタの導電型を逆にし、それに応じて電源端子と接地端子の接続位置を逆にした回路を構成してもよい。この場合も基本的な動作原理は同じである。
【0119】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態には限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【0120】
なお、本実施形態は、以下の態様も含む。
【0121】
請求項6に記載の半導体集積回路において、前記分周回路は、互いに90度ずつの位相差を有する第1乃至第4の分周信号を生成し、前記複数のインピーダンス素子は、前記第k(kは1乃至3の整数)の分周信号と前記第(k+1)の分周信号との間、および、前記第4の分周信号と前記第1の分周信号との間にそれぞれ直列接続される第1乃至第4のインピーダンス素子を含み、前記第1および第4のインピーダンス素子のインピーダンス値をr1、前記第2および第3のインピーダンス素子のインピーダンス値をr2とすると、下記(15)を満たすことにしてもよい。
【0122】
r1=√2*r2 ・・・ (15)。
【0123】
請求項1乃至6のいずれかに記載の半導体集積回路において、前記位相シフト部は、前記複数の遅延信号の1つを入力とする第1のインバータ回路と、前記複数の遅延信号の他の1つを入力とする第2のインバータ回路と、を有し、前記第1および第2のインバータ回路の出力は短絡されて、前記複数の遅延信号のうちの1つを生成してもよい。
【0124】
請求項1乃至6のいずれかに記載の半導体集積回路において、前記出力部は、前記複数遅延信号のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記遅延信号と対応する位相一致検出回路の判定結果に基づいて、対応する前記遅延信号を出力端子から出力するか否かを切り替える複数の出力回路を有し、前記複数の出力回路の出力端子は互いに短絡され、前記短絡された出力端子は、前記位相一致検出回路で前記位相差が所定範囲内であると判定された1または2以上の遅延信号を合成して前記出力発振信号を生成してもよい。
【0125】
請求項1乃至6のいずれかに記載の半導体集積回路において、前記出力部は、前記出力部は、前記複数遅延信号のそれぞれに対応して設けられ、その前記遅延信号と対応する位相一致検出回路の判定結果に基づいて、対応する前記遅延信号を出力端子から出力するか否かを切り替える複数の第1の出力回路と、前記複数の第1の出力回路のうちの1つの出力端子または2以上の短絡される出力端子が入力端子に接続され、前記位相一致検出回路の判定結果に基づいて、前記入力端子に入力される信号を出力端子から出力するか否かを切り替える複数の第2の出力回路と、前記複数の第2の出力回路の出力信号を合成して前記出力発振信号を生成する第3の出力回路と、を備えてもよい。
【0126】
請求項1乃至6のいずれかに記載の半導体集積回路において、前記位相一致検出回路の検出結果に低域通過フィルタ処理を行うフィルタを備えてもよい。
【符号の説明】
【0127】
1 アンテナ
3 信号送信部
4 信号受信部
6,11 PLL回路
7,12 位相調整回路
8 変調回路
13 復調回路
21 位相シフト部
22 位相比較部
23 MUX部
311〜31n 遅延素子
321〜32n 位相一致検出回路
41 位相差検出回路
42 判定回路
43,44 比較回路
45 XOR回路
71 分周回路
72 分圧回路
811〜81n 出力バッファ
82 デジタルフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力発振信号を遅延させて、位相が互いに異なる複数の遅延信号を生成する位相シフト部と、
前記複数の遅延信号のそれぞれに対応して設けられ、参照信号と、対応する前記遅延信号との位相差が所定範囲内であるか否かを判定する複数の位相一致検出回路と、
前記位相差が所定範囲内であると判定された遅延信号に基づいて、出力発振信号を生成する出力部と、を備え、
前記複数の位相一致検出回路のそれぞれは、
前記参照信号と、対応する前記遅延信号との位相差が前記所定範囲内でない場合は、その位相差に応じて第1の信号を電源電圧に対応する第1の基準電圧または接地電圧に対応する第2の基準電圧に設定し、前記位相差が前記所定範囲内である場合は、前記第1の信号を前記第1の基準電圧と前記第2の基準電圧との間の第1の電圧に設定する位相差検出回路と、
前記第1の信号に基づいて、前記参照信号と、対応する前記遅延信号との位相差が前記所定範囲内であるか否かを判定する判定回路と、を有することを特徴とする半導体集積回路。
【請求項2】
前記判定回路は、
前記第1の信号と、前記第1の電圧より高く前記第1の基準電圧より低い第2の電圧と、を比較する第1の比較回路と、
前記第1の信号と、前記第1の電圧より低く前記第2の基準電圧より高い第3の電圧と、を比較する第2の比較回路と、
前記第1および第2の比較回路の比較結果が一致しない場合は前記位相差が前記所定範囲内であると判定し、一致する場合は前記位相差が前記所定範囲内でないと判定する論理回路と、を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路。
【請求項3】
前記位相差検出回路は、
前記第1の信号を所定のタイミングで前記第1の基準電圧にプリチャージする第1のトランジスタと、
縦続接続される第2および第3のトランジスタと、を有し、
前記第2のトランジスタの制御端子には、前記参照信号が入力され、
前記第3のトランジスタの制御端子には、対応する前記遅延信号が入力され、
前記第2または第3のトランジスタから前記第1の信号が出力されることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体集積回路。
【請求項4】
前記位相差検出回路は、
対応する前記遅延信号と、その反転信号とを、前記参照信号に同期して比較し、
前記位相差が前記所定範囲内である場合、前記第1の信号および第2の信号を前記第1の基準電圧に設定し、
前記位相差が前記所定範囲内でない場合、前記第1または第2の信号を前記第2の基準電圧に設定し、
前記判定回路は、
前記参照信号の遅延信号に同期して、前記第1および第2の信号が前記第1の基準電圧である場合は前記位相差が前記所定範囲内であると判定し、前記第1または第2の信号が前記第2の基準電圧である場合は前記位相差が前記所定範囲内でないと判定する論理回路と、を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路。
【請求項5】
前記位相シフト部は、直列接続され、接続ノードのそれぞれから前記複数の遅延信号が出力される複数の遅延素子を有し、
前記複数の遅延素子の数nは下記(1)式を満たすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体集積回路。
Flo*ΔT<n ・・・(1)
ここで、Floは前記入力発振信号の周波数、ΔTは1つの前記遅延素子の遅延時間。
【請求項6】
前記位相シフト部は、
前記入力発振信号を分周して複数の分周信号を生成する分周回路と、
前記複数の分周信号を分圧して前記複数の遅延信号を生成する複数のインピーダンス素子と、を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体集積回路。
【請求項7】
信号送信部と、信号受信部と、のうち少なくとも1つを備え、
前記信号送信部は、
第1の入力発振信号を生成する第1の発振信号生成回路と、
前記第1の入力発振信号の位相雑音を低減して、第1の出力発振信号を生成する第1の位相調整回路と、
前記第1の出力発振信号に基づいて、外部から入力された入力信号を変調する変調回路と、
前記変調された入力信号をアンテナに送信する送信部と、を有し、
前記信号受信部は、
第2の入力発振信号を生成する第2の発振信号生成回路と、
前記第2の入力発振信号の位相雑音を低減して、第2の出力発振信号を生成する第2の位相調整回路と、
前記第2の出力発振信号に基づいて、前記アンテナで受信した受信信号を復調する復調回路と、
前記復調された受信信号を外部へ出力する出力回路と、を有し、
前記第1および第2の位相調整回路のそれぞれは、
前記第1または第2の入力発振信号を遅延させて、位相が互いに異なる複数の遅延信号を生成する位相シフト部と、
前記複数の遅延信号のそれぞれに対応して設けられ、参照信号と、対応する前記遅延信号との位相差が所定範囲内であるか否かを判定する複数の位相一致検出回路と、
前記位相差が所定範囲内であると判定された遅延信号に基づいて、前記第1または第2の出力発振信号を生成する出力部と、を有し、
前記複数の位相一致検出回路のそれぞれは、
前記参照信号と、対応する前記遅延信号との位相差が前記所定範囲内でない場合は、その位相差に応じて第1の信号を電源電圧に対応する第1の基準電圧または接地電圧に対応する第2の基準電圧に設定し、前記位相差が前記所定範囲内である場合は、前記第1の信号を前記第1の基準電圧と前記第2の基準電圧との間の第1の電圧に設定する位相差検出回路と、
前記第1の信号に基づいて、前記参照信号と、対応する前記遅延信号との位相差が前記所定範囲内であるか否かを判定する判定回路と、を有することを特徴とする無線通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−60606(P2012−60606A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204717(P2010−204717)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】