説明

半導体集積回路

【課題】 テスト内容や、本体回路のロムコード、電気的特性等がわかってしまうことのないテスト回路の構成方法を提示する。本体回路の秘密保持が可能となり、信頼性も高まる。
【解決手段】 本体回路が構成された本体チップとは別に、テスト信号の入力およびテスト結果の出力を行う一つのテスト端子と、前記本体回路をリセットするとともにそのときに入力されたテスト信号の論理レベルに応答してテスト回路制御ユニットを初期化して周辺ユニットをテスト状態にセットするテスト状態セット手段とを有し、前記テスト端子を介して入力されたテストコマンドによりテストを行い、それにより得られたテスト結果のデータを前記テスト端子から出力する入出力手段とを備えた、テスト回路をテストチップとして1チップに集積する。本体チップと、テストチップとは近接した別のチップに配置しており、これらのチップ間は、スクライブ上で、アルミ等の金属配線でつながれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テスト回路を有する半導体集積回路に関する。とくに、本体回路に付加されたテスト回路が、本体回路に悪影響を与えないように考慮された半導体集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回路規模が小さい半導体集積回路においては、半導体集積回路の持つ機能も簡単なものが多く、テスト項目も少なかったので、半導体集積回路の持つ論理機能や電気的特性を外部端子からLSIテスタ等で測定することは比較的容易であり、特別な工夫を必要としなかった。ところが、最近の半導体集積回路は、回路機能の高集積化や電気的特性の多様化が進み、各回路機能が互いに複雑かつ密接に関係している場合が多くなっている。また、外部端子からLSIテスタ等で直接テストできない回路機能や電気的特性も増えてきている。
【0003】
LSIテスタ等で外部端子からテストできない回路の論理機能や電気的特性は、LSIテスタのテストプログラムや測定を補助する回路等の工夫により、間接的にテストすることが可能なものも多いが、単純にテストに要する時間が長くなるだけでなく、各回路機能や電気的特性のテストの精度を従来の比較的単純な回路機能の半導体集積回路に対するテストのレベルと同等に維持した場合、LSIテスタのテストプログラムや測定を補助する回路等の開発に非常に長い時間を要してしまう。さらにこれらの測定を補助する回路の管理、保管が難しいために、すべての製品に対してすべてを網羅したテストを実施することはほとんど不可能である。
【0004】
そのため、機能の高集積化が進んだ半導体集積回路では、回路機能や電気的特性の確度の高いテストを行うために、半導体集積回路内にテスト回路を搭載することが一般的に行われている。しかし、製品としての半導体集積回路が、自動車、航空機などの高い信頼性を要求される装置につかわれるようになると、半導体製品の信頼性が、それらの装置の信頼性に直接結びつくようになる。当然、半導体製品にも、高い信頼性が要求されるようになってきている。このような場合、半導体集積回路に、テスト回路をあわせもってしまうと、ユーザーが使用することがないテスト回路部分の信頼性を確保し、テスト回路が本体回路へ与えるかもしれない影響を排除する必要があるため、テスト回路の静電気耐圧試験や高温環境における動作確認などの信頼性試験を行わなければならず、半導体回路自体の開発や、製品化の足かせとなってきた。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開平2001−267510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した従来のテスト回路を有する半導体集積回路では、テスト回路は同じチップ上に配置してあり、また、テスト回路を動かすためのテスト端子やテストモードが、必要であった。そのため、テスト回路の信頼性を高めるための特別な設計手法や、信頼性試験が必要となるばかりでなく、テスト回路があるために、本体回路の設計が制約を受けていた。
【0006】
さらに、内部回路や半導体集積回路の設計上の機密を保持するためにテストに使用する外部のハードウェアおよびソフトウェアに多くのテクニックやノウハウが必要であるという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、前記の問題点を除去することにより、テスト時間の短縮化とテスト確度および信頼性の向上を図り、かつハードウェアおよびソフトウェアを簡略にするとともに回路の機密保持をすることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、半導体集積回路上に、本体回路が構成された本体チップとは別に、テスト信号の入力およびテスト結果の出力を行う一つのテスト端子と、外部リセット端子にリセット信号が入力されたときに、前記本体回路をリセットするとともにそのときに入力されたテスト信号の論理レベルに応答してテスト回路制御ユニットを初期化して周辺ユニットをテスト状態にセットするテスト状態セット手段とを有し、前記テスト状態セット手段によって前記周辺ユニットのテスト準備ができた後に、前記テスト端子を介して入力されたテストコマンドをシリアルパラレル変換したデータに基づいて前記周辺ユニットのテスト条件を設定してテストを行い、それにより得られたテスト結果のデータをパラレルシリアル変換して前記テスト端子から出力する入出力手段とを備えた、テスト回路をテストチップとして1チップに集積するものである。本体チップと、テストチップとは近接した別のチップに配置しており、これらのチップ間は、スクライブ上で、アルミ等の金属配線でつながれている。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明は、半導体集積回路のテスト回路が、近接したチップにあり、テスト終了後には切り離されて廃棄されるので、テスト内容の機密性を高く保持することができ、本体回路の信頼性を確保しつつ、本体回路の信頼性確保に関するテスト時間を大幅に短縮できる効果がある。
【発明を実施するための最良の手段】
【0010】
【実施例】
【0011】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施例を示すブロック図である。本体回路とテスト回路からなる半導体集積回路は、外部リセット端子1と、外部割り込み端子10と、リセット端子2および割り込み端子12を有する本体回路11と、テスト回路起動要求時の初期化プログラムが格納されている例えばイオン注入方式のマスクROM(リードオンリーメモリ)9と、周辺ユニット13と、ユニット別のテスト回路制御ユニット17と、チップ内信号バス16と、周辺バス21とを含み、本発明の特徴とするところのテスト信号の入力およびテスト結果の出力を行う一つのテスト端子8、外部リセット端子1に入力される外部リセット信号およびテスト端子8に入力されるテスト信号を検出し半導体集積回路をテスト状態にセットするテスト状態セット手段としてのリセット信号エッジ検出回路3、テスト端子レベル検出回路6、テストフラグ回路7、オア回路20、シリアルパラレル変換回路14、および入力バッファ15、テスト結果をテスト端子8から出力する出力手段としての出力バッファ18およびパラレルシリアル変換回路19とを含んでいる。
【0012】
また、本体回路はチップA(本体チップ)に、テスト回路はチップB(テストチップ)になるようそれぞれ別チップに構成されている。チップAとチップBは、スクライブ上のアルミ等からなる配線で接続されている。
【0013】
次に、本実施例の動作について説明する。
【0014】
外部リセット端子1から入力される外部リセット信号は、半導体集積回路内の通常のリセット信号として本体回路11のリセット端子2に供給される一方で、リセット信号エッジ検出回路3に供給される。リセット信号エッジ検出回路3は、リセット信号(パルス)の変化点を立ち下がり、立ち上がりを区別して検出し、立ち下がりエッジ検出結果信号4と立ち上がりエッジ検出結果信号5とをテスト端子レベル検出回路6に与える。
【0015】
テスト端子レベル検出回路6は、立ち下がりエッジ検出結果信号4入力時にテストフラグ回路7をクリアしてテスト端子8の入力レベルをスキャンし、テスト端子8の入力レベルが「テスト回路起動要求有り」に設定された入力レベルであれば、立ち上がりエッジ検出結果信号5入力時にテストフラグ回路7をセットする。
【0016】
テストフラグ回路7の内容は、ROM9のバス接続回路に供給され、テスト回路起動要求時のみROM9をメモリアドレス空間上に配置し、半導体集積回路の外部割り込み端子10に入力される割り込み信号とオア回路20で論理和をとり、割り込み信号IINTとして本体回路11の割り込み端子12に供給される。
【0017】
本体回路11はリセット信号の立ち下がりエッジで本体回路11自身の初期化を開始し、カタログスペックで指定しているリセットパルス期間より短い時間で本体回路11自身の初期化を終了している。そして、本体回路11は本体回路11自身のリセット直後に割り込み端子12に割り込み信号IINTの入力があると、直ちにテスト回路制御の割り込み処理に入り、テスト回路起動要求時の初期化プログラムが格納されているROM9に従って、周辺ユニット13自身のテスト回路の初期設定や制御信号の切り換え等を行い、チップ上のテスト回路制御ユニット17を起動し周辺ユニット13のテスト準備をする。
【0018】
テスト準備ができると、テスト端子8は、テストコマンドを本体回路11に与えるためのシリアル入力端子となる。テスト端子8から入力された4ビット長のシリアル信号はシリアルパラレル変換回路14によってパラレル信号に変換された後、入力バッファ15で16ビットのチップ内信号がバスイメージに並べられて、16ビットずつチップ内信号バス16に乗る。
【0019】
本体回路11は、このテストコマンドをテストする周辺ユニット毎に設けたユニット別のテスト回路制御ユニット17に転送し、あるいは必要なデータを転送する。テスト回路制御ユニット17は、テストコマンドとデータに従って周辺ユニット13のテスト条件を設定し、周辺ユニット13がテスト結果を出力する経路に従って、テスト結果を一たん蓄積する出力バッファ18の接続を切り換える。
【0020】
テスト回路制御ユニット17にテスト条件を設定するための最後のデータが転送されると、テスト端子8は周辺ユニット13のテスト結果を半導体集積回路外へ出力するためのシリアル出力端子になる。
【0021】
周辺ユニット13のテスト結果は、出力バッファ18に一たん蓄積された後、4ビット毎にパラレルシリアル変換回路19に送られ、4ビット長のシリアルデータとしてテスト端子8から出力される。
【0022】
本実施例では、半導体集積回路のテスト回路の設定から、テスト結果の取り出しまで1本のテスト端子8で行えるため、LSIテスタによる検査だけでなく、マイクロコンピュータ等の装置のマザーボードに半導体集積回路を取り付けたまま、簡単なシリアルトランシーバで半導体集積回路の検査を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第一実施例を示すブロック構成図。
【符号の説明】
【0024】
1 外部リセット端子
2 リセット端子
3 リセット信号エッジ検出回路
4 立ち下がりエッジ検出結果信号
5 立ち上がりエッジ検出結果信号
6 テスト端子レベル検出回路
7 テストフラグ回路
8 テスト端子
9 ROM
10 外部割り込み端子
11 本体回路
12 割り込み端子
13 周辺ユニット
14 シリアルパラレル変換回路
15 入力バッファ
16 チップ内信号バス
17 テスト回路制御ユニット
18 出力バッファ
19 パラレルシリアル変換回路
20 オア回路
21 周辺バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体回路が設けられた本体チップとテスト回路が設けられたテストチップとからなる半導体集積回路であり、
前記テスト回路は、
テスト信号の入力およびテスト結果の出力を行う一つのテスト端子と、
外部リセット端子と、
テスト回路制御ユニットと、
周辺ユニットと、
前記外部リセット端子にリセット信号が入力されたときに、前記本体回路をリセットするとともにそのときに入力されたテスト信号の論理レベルに応答して前記テスト回路制御ユニットを初期化して前記周辺ユニットをテスト状態にセットするテスト状態セット手段と、
前記テスト状態セット手段によって前記周辺ユニットのテスト準備ができた後に、前記テスト端子を介して入力されたテストコマンドをシリアルパラレル変換したデータに基づいて前記周辺ユニットのテスト条件を設定してテストを行い、それにより得られたテスト結果のデータをパラレルシリアル変換して前記テスト端子から出力する入出力手段とを有し、
前記本体回路と前記テスト回路とはスクライブ上の金属配線により接続された半導体集積回路。
【請求項2】
前記テスト状態セット手段は、
前記外部リセット端子に入力される外部リセット信号の変化点を検出するリセット信号エッジ検出回路と、
前記リセット信号エッジ検出回路からの信号を受けるとともに前記テスト端子の入力レベル監視するテスト端子レベル検出回路と、
前記テスト端子レベル検出回路によりセットされるテストフラグ回路と、
前記テストフラグ回路からの出力と外部割り込み端子からの入力信号の論理和を取って本体回路の割り込み端子へ信号を出力するオア回路とからなる請求項1に記載の半導体集積回路。
【請求項3】
前記入出力手段は、
前記テスト端子に接続されたシリアルパラレル変換回路と、
前記シリアルパラレル変換回路の出力をチップ内信号バスに供給する入力バッファと、
前記チップ内信号バスからのデータを受ける出力バッファと、
前記出力バッファからの信号を前記テスト端子へ供給するパラレルシリアル変換回路とからなる半導体集積回路。

【図1】
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【公開番号】特開2007−67180(P2007−67180A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−251417(P2005−251417)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】