説明

半導電性高分子弾性部材およびそれを用いたOA部品

【課題】電気抵抗の電圧依存性および電気抵抗の環境依存性の双方の特性に優れた半導電性高分子弾性部材を提供する。
【解決手段】導電性ポリマーと、バインダーポリマーとを含有する導電性組成物を用いてなる半導電性高分子弾性部材であって、この弾性部材が、下記の(A)および(B)の双方の特性を満たす半導電性高分子弾性部材である。
(A)25℃×50%RHの環境下、1Vの電圧を印加した時の電気抵抗と、133Vの電圧を印加した時の電気抵抗との変動が1.5桁以下。
(B)15℃×10%RHの環境下において10Vの電圧を印加した時の電気抵抗と、35℃×85%RHの環境下において10Vの電圧を印加した時の電気抵抗との変動が1桁以下。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導電性高分子弾性部材およびそれを用いたOA部品に関するものであり、詳しくは現像ロール、帯電ロール、転写ロール、トナー供給ロール、除電ロール、給紙ロール、搬送ロール、クリーニングロール、現像ブレード、帯電ブレード、クリーニングブレード、転写ベルト等のOA(オフィス・オートメイション:Office Automation )部品の構成部材の少なくとも一部として用いられる半導電性高分子弾性部材およびそれを用いたOA部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、現像ロール等のOA部品に用いられる半導電性高分子弾性部材は、好適に使用するためには電気抵抗の制御が必須である。そのため、従来は、樹脂やゴム等のバインダーポリマーに、イオン導電剤や電子導電剤を配合することにより、電気抵抗の制御を行っていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記イオン導電剤は、バインダーポリマーに溶解するため、導電性のばらつきが小さく、また電圧を変化させた時の電気抵抗の変動が小さく、電気抵抗の電圧依存性に優れるという利点がある。しかしながら、上記イオン導電剤は、導電性発現のメカニズムがイオンの電導によるものであるため、電気抵抗が1×107Ω・cm以上であれば、バインダーポリマー中でのイオンの電導が良好で、導電性の制御が可能であるが、電気抵抗が1×107 Ω・cm未満になると、イオンの電導が起こりにくく、導電性の制御が困難になる。また、イオン導電剤は水分等の影響を受けやすく、高温高湿と低温低湿の条件下では電気抵抗が2桁以上変動するため、電気抵抗の環境依存性に劣り、OA部品としての使用には制約が多い。
【0004】
一方、カーボンブラック等の電子導電剤は、水分等の影響を受けにくく、高温高湿と低温低湿の条件下での電気抵抗の変動が小さく、電気抵抗の環境依存性に優れるとともに、低電気抵抗化が可能で、OA部品としての使用には適している。しかしながら、電子導電剤はバインダーポリマー中での均一分散が困難であるため、電気抵抗のばらつきが大きく、導電性の制御が困難である。また、比較的均一に分散している場合でも、導電性発現のメカニズムがバインダーポリマー中のカーボン間を電子が高電圧により伝わるトンネル効果またはホッピング現象によるため、電圧を変化させた時の電気抵抗の変動が大きく、電気抵抗の電圧依存性に劣る。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、電気抵抗の電圧依存性および電気抵抗の環境依存性の双方の特性に優れた半導電性高分子弾性部材およびそれを用いたOA部品の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明は、導電性ポリマーと、バインダーポリマーとを含有する導電性組成物を用いてなる半導電性高分子弾性部材であって、この弾性部材が、下記の(A)および(B)の双方の特性を満たす半導電性高分子弾性部材を第1の要旨とする。また、本発明は、上記半導電性高分子弾性部材を、OA部品の構成部材の少なくとも一部に用いたOA部品を第2の要旨とする。
(A)25℃×50%RHの環境下、1Vの電圧を印加した時の電気抵抗と、133Vの電圧を印加した時の電気抵抗との変動が1.5桁以下。
(B)15℃×10%RHの環境下において10Vの電圧を印加した時の電気抵抗と、35℃×85%RHの環境下において10Vの電圧を印加した時の電気抵抗との変動が1桁以下。
【0007】
すなわち、本発明者らは、電気抵抗の電圧依存性および電気抵抗の環境依存性の双方の特性に優れた半導電性高分子弾性部材を得るべく鋭意研究を重ねた。その結果、25℃×50%RHの環境下、1Vの電圧を印加した時の電気抵抗と、133Vの電圧を印加した時の電気抵抗との変動が1.5桁以下で、かつ、15℃×10%RHの環境下において10Vの電圧を印加した時の電気抵抗と、35℃×85%RHの環境下において10Vの電圧を印加した時の電気抵抗との変動が1桁以下である半導電性高分子弾性部材を用いると、所期の目的が達成できることを見いだし、本発明に到達した。
【0008】
なお、本発明の半導電性高分子弾性部材における半導電性とは、SRIS 2304に記載の方法に準じて測定した電気抵抗が、1×1012Ω・cm以下の範囲であることを意味する。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明の半導電性高分子弾性部材は、1Vから133Vの範囲内での電気抵抗の電圧依存性が1.5桁以下で、かつ、環境による電気抵抗の変動が1桁以下であるため、電気抵抗の電圧依存性および電気抵抗の環境依存性の双方の特性に優れている。その結果、本発明の半導電性高分子弾性部材は、印加電圧による電気抵抗を一定に制御できるため、例えば、現像ロールではトナー層形成性、帯電性を安定化することができ、帯電部材では感光体との間での電流制御を安定化でき、転写部材でも感光体上のトナーの転写は電圧の制御により行われることから転写性能を安定化できる。さらには、このような電気特性の差を利用したセンサー材料、アクチュエータ等の電流制御素子としても効果的である。
【0010】
また、本発明の半導電性高分子弾性部材の電気抵抗が106 〜1012Ω・cmの範囲内であると、OA部品に適した電気特性を与えることができる。
【0011】
さらに、本発明の半導電性高分子弾性部材の100%伸張時の電気抵抗が、伸張していない時の電気抵抗の1.3桁以下の上昇であると、形状の変動に対して安定な電気特性を示すため、大きな変形での使用時の電気変動や、長期使用での電気的劣化が少なく、画質を高いレベルに保つことができ、低融点化したデリケートなトナーをこわさずに高速でプリントすることができる柔軟な部材に適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
つぎに、本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
本発明の半導電性高分子弾性部材は、導電性ポリマーと、バインダーポリマーとを含有する導電性組成物を用いて得ることができる。
【0014】
上記導電性ポリマーとしては、特に限定はないが、界面活性剤構造を有する導電性ポリマーが好適に用いられる。
【0015】
上記界面活性剤構造を有する導電性ポリマーは、例えば、導電性ポリマーの原料モノマーと、界面活性剤の存在下、酸化剤で化学酸化重合する等の方法によって製造することができる。
【0016】
上記導電性ポリマーの原料モノマーとしては、導電性を有するものであれば特に限定はなく、例えば、アニリン(アニリン誘導体の他、アニリン塩酸塩等のアニリン塩も含む)、ピロール、チオフェン、アルキルチオフェン、エチレンジオキシチオフェン、イソナフトチオフェン、3−チオフェン−β−エタンスルホン酸、ジチェノチオフェン、アセチレン、パラフェンレン、フェニンビニレン、フラン、セレノフェン、テルロフェン、イソチアナフテン、パラフェニレンスルフィド、パラフェニレンオキシド、ビニレンスルフィド等が挙げられる。
【0017】
上記界面活性剤としては、特に限定はなく、例えば、長鎖アルキル硫酸塩等のアニオン性界面活性剤や、長鎖アルキルアンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤の他、中性界面活性剤等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0018】
上記アニオン性界面活性剤の長鎖アルキル硫酸塩としては、例えば、ドデシルスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ペンタデシルスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等があげられる。
【0019】
上記カチオン性界面活性剤の長鎖アルキルアンモニウム塩としては、例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド等があげられる。
【0020】
上記酸化剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過酸化水素水、塩化第二鉄等があげられる。
【0021】
上記導電性ポリマーの原料モノマーと界面活性剤との混合比は、モル比で、原料モノマー/界面活性剤=1/0.03〜1/3の範囲が好ましく、特に好ましくは原料モノマー/界面活性剤=1/0.05〜1/2である。すなわち、界面活性剤のモル比が低くなると、バインダーポリマーとの相溶性や分散性が低下し、逆に界面活性剤のモル比が高くなると、界面活性剤のイオン導電性への効果が強くなりすぎ、導電性ポリマーの電子導電性を減らすこととなるからである。
【0022】
上記導電性ポリマーの数平均分子量(Mn)は、500〜100000の範囲内が好ましく、特に好ましくは1000〜20000の範囲内である。
【0023】
上記導電性ポリマーとともに用いられるバインダーポリマーとしては、特に限定はなく、例えば、アクリル系,ウレタン系,フッ素系,ポリアミド系,エポキシ系,ゴム系等のエラストマーもしくは樹脂等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、導電性ポリマーとの相溶性に優れる点で、アクリル系,ゴム系のエラストマーもしくは樹脂が好ましい。
【0024】
上記アクリル系エラストマーもしくは樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリヒドロキシメタクリレート、アクリルシリコーン系樹脂、アクリルフッ素系樹脂、公知のアクリルモノマーを共重合したもの等があげられる。
【0025】
上記ウレタン系エラストマーもしくは樹脂としては例えばエーテル系,エステル系,アクリル系,脂肪族系等のウレタンや、それにシリコーン系ポリオールまたはフッ素系ポリオールを共重合させたもの等があげられる。なお、上記ウレタン系エラストマーもしくは樹脂は、ウレア結合またはイミド結合を有していてもよい。
【0026】
上記フッ素系エラストマーもしくは樹脂としては、例えば、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体等があげられる。
【0027】
上記ポリアミド系エラストマーもしくは樹脂としては、例えば、アルコール可溶性メトキシメチル化ナイロン等があげられる。
【0028】
上記エポキシ系エラストマーもしくは樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、エポキシノボラック樹脂、臭素化型、ポリグリコール型、ポリアミド併用型、シリコーン変性、アミノ樹脂併用型、アルキッド樹脂併用型等があげられる。
【0029】
上記ゴム系エラストマーもしくは樹脂としては、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素添加NBR(H−NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ウレタンゴム、クロロプレンゴム(CR)、エピクロロヒドリンゴム(ECO)、エチレンプロピレンジエンポリマー(EPDM)、フッ素ゴムやスチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)等の公知の熱可塑性ポリマー等があげられる。
【0030】
上記バインダーポリマーの数平均分子量(Mn)は、500〜2000000の範囲内が好ましく、特に好ましくは2000〜800000の範囲内である。
【0031】
上記導電性ポリマーの原料(導電性ポリマーの原料モノマーと界面活性剤との合計量)と、バインダーポリマーとの混合比は、重量比で、導電性ポリマーの原料/バインダーポリマー=1/99〜40/60の範囲が好ましく、特に好ましくは導電性ポリマーの原料/バインダーポリマー=4/96〜35/65である。すなわち、導電性ポリマーの原料の重量比が1未満であると、導電性への効果が少なく、逆に導電性ポリマーの原料の重量比が40を超えると、導電性組成物が固くて脆くなりやすく、組成物としての物性が低下するからである。
【0032】
なお、上記導電性組成物には、上記導電性ポリマーおよびバインダーポリマーに加えて、イオン導電剤、電子導電剤、架橋剤等を配合しても差し支えない。
【0033】
上記イオン導電剤としては、例えば、過塩素酸リチウム、第四級アンモニウム塩、ホウ酸塩、界面活性剤等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0034】
また、上記イオン導電剤の配合割合は、物性や電気特性の点から、界面活性剤構造を有する導電性ポリマーの原料(原料モノマーと界面活性剤との合計量)と、バインダーポリマーとの合計100重量部(以下「部」と略す)に対して、0.01〜5部の範囲が好ましく、特に好ましくは0.5〜2部である。
【0035】
上記電子導電剤としては、例えば、カーボンブラック、c−ZnO(導電性酸化亜鉛)、c−TiO2 (導電性酸化チタン)、c−SnO2 (導電性酸化錫)、グラファイト等があげられる。
【0036】
また、上記電子導電剤の配合割合は、物性や電気特性の点から、導電性ポリマーの原料(原料モノマーと界面活性剤との合計量)と、バインダーポリマーとの合計100部に対して、5〜30部の範囲が好ましく、特に好ましくは8〜20部である。
【0037】
上記架橋剤としては、例えば、硫黄、イソシアネート、ブロックイソシアネート、メラミン等の尿素樹脂、エポキシ硬化剤、ポリアミン硬化剤、パーオキサイド等があげられる。
【0038】
また、上記架橋剤の配合割合は、物性、粘着、液保管性の点から、導電性ポリマーの原料(原料モノマーと界面活性剤との合計量)と、バインダーポリマーとの合計100部に対して、1〜30部の範囲が好ましく、特に好ましくは3〜10部である。
【0039】
なお、上記導電性組成物には、前記各成分に加えて、架橋促進剤、触媒、老化防止剤、ドーパント等を必要に応じて配合しても差し支えない。
【0040】
上記架橋促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系架橋促進剤、ジチオカルバミン酸塩系架橋促進剤、アミン類、有機錫系触媒等があげられる。
【0041】
上記導電性組成物は、例えば、つぎのようにして製造することができる。すなわち、まず、前述の方法に従い、導電性ポリマーを作製する。つぎに、この導電性ポリマーに、バインダーポリマーを配合するとともに、必要に応じて、イオン導電剤、電子導電剤、架橋剤等を配合する。そして、これらをロール、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練することにより、導電性組成物を得ることができる。上記導電性ポリマーは、溶剤に可溶なもの、もしくはコロイド溶液として存在しうるものが好ましく、また上記バインダーポリマーは、溶剤に可溶なものが好ましい。
【0042】
さらには、前述の方法に従い、導電性ポリマーを作製するとともに、この導電性ポリマーを高剪断分散機を用いてバインダーポリマー中に分散させてもよい。このように高剪断分散機を用いると、導電性ポリマーの粒径がより小さくなり、バインダーポリマー中に相溶化または均一に微分散するようになるため好ましい。また、導電性ポリマーの粒径(メジアン径)は、1μm以下が好ましい。なお、導電性組成物製造の際、導電性ポリマーの凝集を防ぐため、導電性ポリマー合成後の精製は、完全な乾燥状態にしないことが望ましい。
【0043】
上記高剪断分散機とは、ガラス、ジルコニア等のセラミックビーズを利用した高速ビーズミル、サンドミル、ボールミル、3本ロール、加圧ニーダー、すりつぶし力を利用したコロイドミル等である。
【0044】
上記溶剤としては、例えば、m−クレゾール、メタノール、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン等の有機溶剤等があげられる。
【0045】
本発明においては、上記導電性組成物を用いてなる半導電性高分子弾性部材が、下記の(A)および(B)の双方の特性を満たすことが最大の特徴である。
(A)25℃×50%RHの環境下、1Vの電圧を印加した時の電気抵抗と、133Vの電圧を印加した時の電気抵抗との変動(電気抵抗の最大値と最小値の差:電圧依存性)が1.5桁以下。
(B)15℃×10%RHの環境下において10Vの電圧を印加した時の電気抵抗と、35℃×85%RHの環境下において10Vの電圧を印加した時の電気抵抗との変動(環境依存性)が1桁以下。
【0046】
上記電気抵抗の電圧依存性の評価は、25℃×50%RHの環境下、1Vの電圧を印加した時の電気抵抗と、133Vの電圧を印加した時の電気抵抗をそれぞれ測定し、Log(1V/133V)により、電気抵抗の対数の差を変動桁数として示すことにより行われる。
【0047】
また、上記環境による電気抵抗の変動(環境依存性)の評価は、印加電圧10Vの条件下、低温低湿(15℃×10%RH)の時の電気抵抗と、高温高湿(35℃×85%RH)の時の電気抵抗をそれぞれ測定し、Log(15℃×10%RH/35℃×85%RH)により、電気抵抗の対数の差を変動桁数として示すことにより行われる。
【0048】
そして、上記導電性組成物を用いてなる半導電性高分子弾性部材は、25℃×50%RHの環境下、10Vの電圧を印加した時の電気抵抗が106 〜1012Ω・cmの範囲内であることが好ましい。すなわち、上記電気抵抗が106 Ω・cm未満であると、電気抵抗が低すぎるため、リークが発生し、OA部品として画像への利点が少なくなる傾向がみられ、逆に1012Ω・cmを超えると、電気抵抗が高すぎるため、チャージupが起こり、OA部品としての制御が困難になる傾向がみられるからである。
【0049】
また、上記導電性組成物を用いてなる半導電性高分子弾性部材は、100%伸張時の電気抵抗が、伸張していない時の電気抵抗の1.3桁以下の上昇であることが好ましい。すなわち、電気抵抗の上昇が1.3桁を超えると、柔軟な部材で変形させて使用する際、電気抵抗が変化するため、OA部品としての制御が困難になり、濃度ムラ等の画像特性に悪影響を与えるおそれがあるからである。なお、上記の100%伸張前後の電気抵抗変動の測定は、例えば、上記導電性組成物を用いてなる半導電性高分子弾性部材を短冊状(10mm幅、100mm長)に打ち抜き、標線部分に電極を塗布し、25℃×50%RHの環境下、100%まで伸張した時の10V印加の電気抵抗を測定し、Log(伸張後/伸張前)により、伸張前後の電気抵抗変動(桁)を求めることにより行うことができる。
【0050】
本発明の半導電性高分子弾性部材を用いたOA部品としては、例えば、図1に示すように、軸体1の外周面にベース層2が形成され、その外周面に中間層3が形成され、さらにその外周面に本発明の半導電性高分子弾性部材からなる表層4が形成されてなる導電性ロールがあげられる。
【0051】
上記軸体1は特に限定するものではなく、例えば金属製の中実体からなる芯金や、内部を中空にくり抜いた金属製の円筒体等が用いられる。そして、その材料としては、ステンレス、アルミニウム、鉄にメッキを施したもの等があげられる。また、必要に応じ軸体1上に接着剤、プライマー等を塗布することができる。なお、接着剤、プライマー等は必要に応じて導電化してもよい。
【0052】
上記ベース層2用材料としては、特に限定はないが、シリコーンゴム、ポリウレタン系エラストマー、EPDM、SBR、NBR等があげられる。なかでも、低硬度でへたりが少ないという点から、シリコーンゴムが特に好ましい。なお、ベース層2用材料としてシリコーンゴムを用いた場合には、シリコーンゴム表面をコロナ放電、プラズマ放電等により活性化させる工程や、さらにその後、プライマーを塗布する工程を行ってもよい。
【0053】
上記ベース層2用材料には導電剤を適宜に添加してもよい。上記導電剤としては、従来から用いられているカーボンブラック、グラファイト、チタン酸カリウム、酸化鉄、c−TiO2 、c−ZnO、c−SnO2 、イオン導電剤(第四級アンモニウム塩、ホウ酸塩、界面活性剤等)等があげられる。
【0054】
上記中間層3用材料としては、特に制限はなく、NBR、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)、ポリウレタン系エラストマー、CR、天然ゴム、BR、IIR等があげられる。なかでも、接着性およびコーティング液の安定性の点から、H−NBRが特に好ましい。
【0055】
上記中間層3用材料には、導電剤、硫黄等の加硫剤、グアニジン、チアゾール、スルフェンアミド、ジチオカルバミン酸塩、チウラム等の加硫促進剤、ステアリン酸、亜鉛華(ZnO)、軟化剤等を適宜に添加してもよい。なお、導電剤としては、前記と同様のものが用いられる。
【0056】
前記図1に示した導電性ロールは、例えばつぎのようにして作製することができる。すなわち、まず、上記ベース層2用材料の各成分をニーダー等の混練機を用いて混練し、ベース層2用材料を調製する。また、上記中間層3用材料の各成分をロール等の混練機を用いて混練し、この混合物に前記有機溶剤を加えて混合、攪拌することにより、中間層3用材料(コーティング液)を調製する。さらに、上記表層4用材料である導電性組成物を、先に述べた方法に従い調製する。
【0057】
つぎに、図2に示すように、軸体1を準備し、その外周面に必要に応じて接着剤、プライマー等を塗布した後、下蓋5を外嵌した円筒型6内に上記軸体1をセットする。つぎに、上記ベース層2用材料を注型等した後、上記円筒型6に上蓋7を外嵌する。ついで、上記ロール型全体を加熱して上記ベース層2用材料を加硫し(150〜220℃×30分)、ベース層2を形成する。続いて、このベース層2が形成された軸体1を脱型し、必要に応じ反応を完結させる(80〜200℃×4時間)。ついで、必要に応じロール表面にコロナ放電処理を行う。さらに必要に応じロール表面にカップリング剤の塗布を行う。そして、上記ベース層2の外周に中間層3用材料となるコーティング液を塗布し、もしくは上記ベース層2形成済みのロールを前記コーティング液中に浸漬して引き上げた後、乾燥および加熱処理を行うことにより、ベース層2の外周に中間層3を形成する。さらに、上記中間層3の外周に表層4用材料となる組成物(コーティング液)を塗布し、もしくは上記中間層3形成済みのロールを上記組成物(コーティング液)中に浸漬して引き上げた後、乾燥および加熱処理を行うことにより、中間層3の外周に表層4を形成する。上記コーティング液の塗布方法は、特に制限するものではなく、従来公知のディッピング法、スプレーコーティング法、ロールコート法等があげられる。このようにして、軸体1の外周面に沿ってベース層2が形成され、その外周に中間層3が形成され、さらにその外周に表層4が形成された導電性ロールを作製することができる。
【0058】
なお、本発明の半導電性高分子弾性部材は、上記図1に示した導電性ロールの表層4用部材に限定されるものではなく、ベース層2用部材、中間層3用部材等に用いることも可能である。また、本発明の半導電性高分子弾性部材は、導電性ロール等のロール部材に限定されるものではなく、転写ベルト,紙送りベルト等のベルト部材、クリーニングブレード,現像ブレード,帯電ブレード等のブレード部材等のOA部品等に用いることも可能である。さらに、本発明の半導電性高分子弾性部材は、OA部品の電気特性を利用したセンサー,静電防止材,アクチュエーター等の電子部材に用いることも可能である。
【実施例】
【0059】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0060】
まず、実施例および比較例に先立ち、下記に示す組成物を調製した。そして、これら組成物を用いて、導電性塗膜もしくは発泡シート(以下「導電性塗膜等」という)を作製し、後記の評価を行った。
【0061】
〔組成物1〕
まず、アニリン1molと、界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸)1molとを、酸化剤(過硫酸アンモニウム)1molの存在下に、水中で酸化重合させた後、メタノールで未反応物を取り除き、界面活性剤構造を有するポリアニリンを得た。つぎに、乾燥しない状態で、この界面活性剤構造を有するポリアニリンの有効成分(不揮発分)20部と、バインダーポリマーとしてポリメチルメタクリレート(住友化学社製、PMMA)〔数平均分子量20000〕80部を配合し、ニーダーを用いて80℃で10分間混練して組成物を調製した。そして、この組成物を押出成形して、厚み100μmの導電性薄膜を作製した。
【0062】
〔組成物2〕
まず、アニリン1molと、界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸)1molとを、酸化剤(過硫酸アンモニウム)1molの存在下に、水中で酸化重合させた後、メタノールで未反応物を取り除き、m−クレゾールを添加し、界面活性剤構造を有するポリアニリン溶液を得た。つぎに、バインダーポリマーであるポリメチルメタクリレート(住友化学社製、PMMA)〔数平均分子量20000〕80部を、溶剤(m−クレゾール)500部に溶解した後、上記ポリアニリン溶液の有効成分(不揮発分)20部を加え、3本ロールを用いて混練し、組成物(コーティング液)を調製した。そして、この組成物(コーティング液)をSUS304板上に塗布して、厚み100μmの導電性塗膜を作製した。
【0063】
〔組成物3〕
まず、アニリン1molと、界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸)0.05molとを、酸化剤(過硫酸アンモニウム)1molの存在下に、水中で酸化重合させた後、メタノールで未反応物を取り除き、m−クレゾールを添加し、界面活性剤構造を有するポリアニリン溶液を得た。つぎに、バインダーポリマーであるポリメチルメタクリレート(住友化学社製、PMMA)〔数平均分子量20000〕89.5部を、溶剤(m−クレゾール)500部に溶解した後、上記ポリアニリン溶液の有効成分(不揮発分)10.5部を加え、3本ロールを用いて混練し組成物(コーティング液)を調製した。そして、この組成物(コーティング液)をSUS304板上に塗布して、厚み100μmの導電性塗膜を作製した。
【0064】
〔組成物4〕
まず、アニリン1molと、界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸)2molとを、酸化剤(過硫酸アンモニウム)1molの存在下に、水中で酸化重合させた後、メタノールで未反応物を取り除き、m−クレゾールを添加し、界面活性剤構造を有するポリアニリン溶液を得た。つぎに、バインダーポリマーであるポリメチルメタクリレート(住友化学社製、PMMA)〔数平均分子量20000〕66.7部を、溶剤(m−クレゾール)500部に溶解した後、上記ポリアニリン溶液の有効成分(不揮発分)33.3部を加え、3本ロールを用いて混練し組成物(コーティング液)を調製した。そして、この組成物(コーティング液)をSUS304板上に塗布して、厚み100μmの導電性塗膜を作製した。
【0065】
〔組成物5〕
まず、アニリン1molと、界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸)1molとを、酸化剤(過硫酸アンモニウム)1molの存在下に、水中で酸化重合させた後、メタノールで未反応物を取り除き、m−クレゾールを添加し、界面活性剤構造を有するポリアニリン溶液を得た。つぎに、バインダーポリマーであるポリメチルメタクリレート(住友化学社製、PMMA)〔数平均分子量20000〕96部を、溶剤(m−クレゾール)500部に溶解した後、上記ポリアニリン溶液の有効成分(不揮発分)4部を加え、3本ロールを用いて混練し組成物(コーティング液)を調製した。そして、この組成物(コーティング液)をSUS304板上に塗布して、厚み100μmの導電性塗膜を作製した。
【0066】
〔組成物6〕
まず、アニリン1molと、界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸)1molとを、酸化剤(過硫酸アンモニウム)1molの存在下に、水中で酸化重合させた後、メタノールで未反応物を取り除き、m−クレゾールを添加し、界面活性剤構造を有するポリアニリン溶液を得た。つぎに、バインダーポリマーであるポリメチルメタクリレート(住友化学社製、PMMA)〔数平均分子量20000〕65部を、溶剤(m−クレゾール)500部に溶解した後、上記ポリアニリン溶液の有効成分(不揮発分)35部を加え、3本ロールを用いて混練し組成物(コーティング液)を調製した。そして、この組成物(コーティング液)をSUS304板上に塗布して、厚み100μmの導電性塗膜を作製した。
【0067】
〔組成物7〕
ポリメチルメタクリレートに代えて可溶性ナイロン(帝国化学社製、EF30T)を用いるとともに、m−クレゾール500部に代えて、メタノール400部と水100部を用いた。それ以外は、組成物2と同様にして、導電性塗膜を作製した。
【0068】
〔組成物8〕
ポリメチルメタクリレートに代えてポリウレタン(日本ミラクトラン社製、カーボネート系TPU E980)を用いるとともに、m−クレゾール500部に代えて、メチルエチルケトン(MEK)200部とテトラヒドロフラン(THF)300部を用いた。それを高剪断分散機(ダイノーミル3200rpm、ビーズ粒径0.8mm)で分散させた。それ以外は、組成物2と同様にして、導電性塗膜を作製した。
【0069】
〔組成物9〕
高剪断分散機を使用しない以外は、組成物8と同様にして、導電性塗膜を作製した。
【0070】
〔組成物10〕
ポリメチルメタクリレートに代えてアクリルフッ素系樹脂(大日本インキ化学工業社製、ディフェンサTR230K)を用いるとともに、m−クレゾール500部に代えて、メチルエチルケトン(MEK)200部とトルエン300部を用いた。それ以外は、組成物2と同様にして、導電性塗膜を作製した。
【0071】
〔組成物11〕
まず、アニリン1molと、界面活性剤(ペンタデシルベンゼンスルホン酸)1molとを、酸化剤(過硫酸アンモニウム)1molの存在下に酸化重合させた後、メタノールで未反応物を取り除き、トルエンを添加し、界面活性剤構造を有するポリアニリン溶液を得た。つぎに、バインダーポリマーとしてH−NBR(日本ゼオン社製、ゼットポール0020)80部、架橋剤として硫黄1部、スルフェンアミド系架橋促進剤(大内新興化学工業社製、ノクセラーCZ)0.5部、ジチオカルバミン酸塩系架橋促進剤(大内新興化学工業社製、ノクセラーBZ)0.5部を2本ロールを用いて混練し、これらをメチルエチルケトン(MEK)200部とトルエン300部に溶解した後、上記ポリアニリン溶液の有効成分(不揮発分)20部を加え、組成物(コーティング液)を調製した。そして、この組成物(コーティング液)をSUS304板上に塗布した後、150℃にて30分間加熱架橋して、厚み100μmの導電性塗膜を作製した。
【0072】
〔組成物12〕
導電剤としてアセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラックHS100)5部をさらに配合する以外は、組成物11と同様にして、導電性塗膜を作製した。
【0073】
〔組成物13〕
導電剤として第四級アンモニウム塩(テトラブチルアンモニウムハイドロゲンサルフェート:TBAHS)1部およびホウ酸塩(日本カーリット社製、LR147)1部をさらに配合する以外は、組成物11と同様にして、導電性塗膜を作製した。
【0074】
〔組成物14〕
まず、ピロール1molと、界面活性剤(ペンタデシルベンゼンスルホン酸)1molとを、酸化剤(塩化第二鉄)0.1molの存在下に酸化重合させた後、メタノールで未反応物を取り除き、トルエンを添加し、濾過をして水分を除去し、界面活性剤構造を有するポリピロール溶液を得た。つぎに、バインダーポリマーであるポリウレタン(日本ミラクトラン社製、カーボネート系TPU E980)80部を、メチルエチルケトン(MEK)200部とテトラヒドロフラン(THF)300部に溶解した後、上記ポリピロール溶液の有効成分(不揮発分)20部を加え、組成物(コーティング液)を調製した。そして、この組成物(コーティング液)をSUS304板上に塗布し、150℃にて30分間加熱して、厚み100μmの導電性塗膜を作製した。
【0075】
〔組成物15〕
まず、3,4−エチレンジオキシチオフェン1molと、界面活性剤(ペンタデシルベンゼンスルホン酸)1molとを、酸化剤(過硫酸アンモニウム)0.2molの存在下に酸化重合させた後、メタノールで未反応物を取り除き、トルエンを添加して、界面活性剤構造を有するポリチオフェン溶液を得た。つぎに、バインダーポリマーであるポリウレタン(日本ミラクトラン社製、カーボネート系TPU E980)80部を、メチルエチルケトン(MEK)200部とテトラヒドロフラン(THF)300部に溶解した後、上記ポリチオフェン溶液の有効成分(不揮発分)20部を加え、組成物(コーティング液)を調製した。そして、この組成物(コーティング液)をSUS304板上に塗布し、150℃にて30分間加熱して、厚み100μmの導電性塗膜を作製した。
【0076】
〔組成物16〕
まず、アニリン1molと、界面活性剤(ペンタデシルベンゼンスルホン酸)0.3molとを、酸化剤(過硫酸アンモニウム)1molの存在下に酸化重合させた後、メタノールで未反応物を取り除き、トルエンを添加して、界面活性剤構造を有するポリアニリン溶液を得た。つぎに、バインダーポリマーであるポリウレタン(日本ミラクトラン社製、カーボネート系TPU E980)80部を、メチルエチルケトン(MEK)200部とテトラヒドロフラン(THF)300部に溶解した後、上記ポリアニリン溶液の有効成分(不揮発分)20部を加え、組成物(コーティング液)を調製した。そして、この組成物(コーティング液)をSUS304板上に塗布し、150℃にて30分間加熱して、厚み100μmの導電性塗膜を作製した。
【0077】
〔組成物17〕
ポリエーテルポリオール(三洋化成社製、FA718)90部と、ポリマーポリオール(三井化学社製、POP31−28)10部と、第三級アミン触媒(花王社製、カオライザーNo.31)0.5部と、第三級アミン触媒(東ソー社製、トヨキャットHX−35)0.05部と、発泡剤(水)2部と、シリコーン系整泡剤(日本ユニカー社製、L−5309)2部と、組成物1と同様にして作製した、界面活性剤構造を有するポリアニリン20部を乾燥しない状態で配合し、3本ロールを用いて混練した。そして、これにクルードMDI(住友バイエルウレタン社製、スミジュール44V20)8.8部を加え注型機を用いて混合し、80℃にした型に注型発泡させた後、80℃で30分間熱処理して、5倍発泡シート(300mm×300mm、厚み10mm)を作製した。
【0078】
〔組成物A〕
エピクロルヒドリンゴム(大阪曹達社製、エピクロマーCG)100部と、導電剤として第四級アンモニウム塩(ライオン社製、TBAHS)2部と、受酸剤(酸化亜鉛)10部と、チオウレア系架橋促進剤(三新化学社製、サンセラー22C)3部を配合し、3本ロールを用いて混練した後、これらをメチルエチルケトン(MEK)300部とトルエン150部に溶解して、組成物(コーティング液)を調製した。そして、この組成物(コーティング液)をSUS304板上に塗布した後、150℃にて30分間加熱架橋して、厚み100μmの導電性塗膜を作製した。
【0079】
〔組成物B〕
ポリウレタン(日本ミラクトラン社製、カーボネート系TPU E980)100部を、メチルエチルケトン(MEK)200部とテトラヒドロフラン(THF)300部に溶解させた後、これに導電剤であるアセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラックHS100)7部を配合し、3本ロールを用いて混練して組成物を調製した。そして、これを150℃にて30分間加熱架橋して、SUS304板上に厚み100μmの導電性塗膜を作製した。
【0080】
〔組成物C〕
アセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラックHS100)の配合量を20部に変更した。それ以外は、組成物Bと同様にして、導電性塗膜を作製した。
【0081】
〔組成物D〕
カーボンを分散させたシリコーン(信越化学工業社製、KE1350AB)をSUS304板上に塗布して、厚み100μmの導電性塗膜を作製した。
【0082】
〔組成物E〕
まず、アニリン1molと、界面活性剤(ペンタデシルベンゼンスルホン酸)1molとを、酸化剤(過硫酸アンモニウム)1molの存在下に酸化重合させた後、メタノールで未反応物を取り除き、濾過を3回行い、100℃×30分で完全に水分を除去し、界面活性剤構造を有するポリアニリンを得た。つぎに、バインダーポリマーとしてH−NBR(日本ゼオン社製、ゼットポール0020)80部、架橋剤として硫黄1部、スルフェンアミド系架橋促進剤(大内新興化学工業社製、ノクセラーCZ)0.5部、ジチオカルバミン酸塩系架橋促進剤(大内新興化学工業社製、ノクセラーBZ)0.5部を2本ロールを用いて混練し、これらをメチルエチルケトン(MEK)200部とトルエン300部に溶解した後、上記界面活性剤構造を有するポリアニリンを加え、3本ロールで混練し組成物(コーティング液)を調製した。そして、この組成物(コーティング液)をSUS304板上に塗布した後、150℃にて30分間加熱架橋して、厚み100μmの導電性塗膜を作製した。
【0083】
〔組成物F〕
ポリエーテルポリオール(三洋化成社製、FA718)90部と、ポリマーポリオール(三井化学社製、POP31−28)10部と、第三級アミン触媒(花王社製、カオライザーNo.31)0.5部と、第三級アミン触媒(東ソー社製、トヨキャットHX−35)0.05部と、発泡剤(水)2部と、シリコーン系整泡剤(日本ユニカー社製、L−5309)2部と、ケッチェンブラック3部を配合し、3本ロールを用いて混練した。そして、これにクルードMDI(住友バイエルウレタン社製、スミジュール44V20)8.8部と、トリレンジイソシアネート(三井化学社製、TDI−80)20.5部を加え注型機を用いて混合し、80℃にした型に注型発泡させた後、80℃で30分間熱処理して、5倍発泡シート(300mm×300mm、厚み10mm)を作製した。
【0084】
このようにして得られた導電性塗膜等を用いて、電気抵抗を測定した。また、電気抵抗の電圧依存性および環境依存性も評価した。これらの結果を、後記の表1〜表4に併せて示した。
【0085】
〔電気抵抗〕
25℃×50%RHの環境下において、1Vの電圧を印加した時と133Vの電圧を印加した時の導電性塗膜等の電気抵抗を、SRIS 2304に準じて測定した。
【0086】
〔電圧依存性〕
上記電気抵抗の評価に準じて、25℃×50%RHの環境下、1Vの電圧を印加した時の電気抵抗と、133Vの電圧を印加した時の電気抵抗をそれぞれ測定し、Log(1V/133V)により、電気抵抗の差を変動桁数で示した。
【0087】
〔環境依存性〕
上記電気抵抗の評価に準じて、低温低湿(15℃×10%RH)の時の電気抵抗と、高温高湿(35℃×85%RH)の時の電気抵抗をそれぞれ測定し、電気抵抗の差を変動桁数で示した。なお、この時の印加電圧は10Vである。
【0088】
〔粒径〕
バインダーポリマー中に分散している導電性ポリマーの粒径(メジアン径)を、堀場製作所製の粒度分布計LA920を用いて測定した。なお、導電性ポリマーを配合していないものについては、導電剤の粒径(メジアン径)を測定した。また、カーボン以外の充填剤を併用しているため、導電性ポリマーの粒径を正確に測定できないものについては「−」と表示した。
【0089】
〔100%伸張前後の電気抵抗変動〕
上記各組成物からなる導電性塗膜等を短冊状(10mm幅、100mm長)に打ち抜き、標線部分に電極を塗布し、25℃×50%RHの環境下、100%まで伸張した時の電気抵抗を測定し、伸張前後の電気抵抗変動(桁)を求めた。なお、この時の印加電圧は10Vである。
【0090】
【表1】

【0091】
【表2】

【0092】
【表3】

【0093】
【表4】

【0094】
上記表の結果から、電子導電剤を配合した組成物B,C,D,Fは、100%伸張前後の電気抵抗変動が著しく大きいのに対して、導電性ポリマー(界面活性剤構造を有する導電性ポリマー)を用いた組成物7〜17は、100%伸張前後の電気抵抗変動が非常に小さいことがわかる。これは、組成物B,C,D,Fは、導電経路となる電子導電剤が分散しているのに対して、組成物7〜17は、導電経路となる導電性ポリマーが、バインダーポリマー中に連結した状態で均一に分散されているためと思われる。なお、組成物1〜6は、バインダーポリマーとして用いたPMMAが伸張しないため、電気抵抗変動の測定はできなかったが、電気抵抗の電圧依存性や、電気抵抗の環境依存性が小さいことがわかる。このことから、組成物1〜6における導電性ポリマーも、上記組成物7〜17と同様の形態でバインダーポリマー中に存在しているものと思われる。
【0095】
〔現像ロールの作製〕
【0096】
〔実施例1〕
軸体である芯金(直径10mm、SUS304製)をセットした射出成形用金型内に、カーボンを分散させたシリコーン(信越化学工業社製、KE1350AB)を注型し、150℃×45分の条件で加熱した後、脱型して、軸体の外周面に沿ってベース層を形成した。そして、このベース層の表面をコロナ放電処理(条件:0.3kW×20秒)した。ついで、前記で調製した組成物Cを上記ベース層の外周面に塗布して、中間層を形成した。さらに、上記中間層の表面に前記で調製した組成物1からなる表層を形成し、軸体の外周面にベース層が形成され、その外周面に中間層が形成され、さらにその外周面に表層が形成されてなる現像ロールを作製した。
【0097】
〔実施例2〜18、比較例1〜5〕
中間層用材料および表層用材料として、後記の表5〜表8に示す組成物を用いる以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。ただし、比較例1〜5については、ベース層の表面をコロナ放電処理(条件:0.3kW×20秒)した後、中間層もしくは表層を形成した。なお、ベース層もしくは中間層を形成していないものについては、「無し」と表示した。
【0098】
このようにして得られた実施例品および比較例品の現像ロールを用いて、下記の基準に従い各特性の評価を行った。これらの結果を、後記の表5〜表8に併せて示した。
【0099】
〔電気抵抗〕
現像ロールの表面をSUS板に押し当てた状態で、現像ロールの両端に各1kgの荷重をかけ、現像ロールの芯金と、SUS板に押し当てた現像ロール表面との間の電気抵抗を、SRIS 2304に準じて測定した。なお、電気抵抗は、25℃×50%RHの環境下において、1Vの電圧を印加した時と、133Vの電圧を印加した時のそれぞれを測定した。
【0100】
〔電圧依存性〕
上記電気抵抗の評価に準じて、25℃×50%RHの環境下、1Vの電圧を印加した時の電気抵抗と、133Vの電圧を印加した時の電気抵抗をそれぞれ測定し、Log(1V/133V)により、電気抵抗の差を変動桁数で示した。
【0101】
〔環境依存性〕
上記電気抵抗の評価に準じて、低温低湿(15℃×10%RH)の時の電気抵抗と、高温高湿(35℃×85%RH)の時の電気抵抗をそれぞれ測定し、電気抵抗の差を変動桁数で示した。なお、この時の印加電圧は10Vである。
【0102】
〔硬度〕
JIS K 6253に準じて、硬度(タイプA)を測定した。
【0103】
〔圧縮永久歪み〕
JIS K 6262に準じ、温度70℃、試験時間22時間、圧縮率25%の条件で、圧縮永久歪みを測定した。
【0104】
〔現像ロール特性〕
(画像ムラ)
得られた現像ロールを市販のカラープリンターに組み込み、20℃×50%RHの環境下において画像出しを行った。評価は、ハーフトーン画像での現像ロールが原因の濃度ムラがなく、細線のとぎれや色ムラがなかったものを○、濃度ムラが生じたものを×とした。
【0105】
(環境変動)
得られた現像ロールを市販のカラープリンターに組み込み、15℃×10%RHの環境下において画像出しを行った時と、35℃×85%RHの環境下において画像出しを行った時の、環境変動の評価を行った。評価は、べた黒画像を印刷し、マクベス濃度計で変化が0.1以下の時を○、0.1を超える時を×とした。
【0106】
【表5】

【0107】
【表6】

【0108】
【表7】

【0109】
【表8】

【0110】
〔帯電ロールの作製〕
【0111】
〔実施例19〕
軸体である芯金(直径10mm、SUS304製)をセットした射出成形用金型内に、カーボンを分散させたシリコーン(信越化学工業社製、KE1350AB)を注型し、150℃×45分の条件で加熱した後、脱型して、軸体の外周面に沿ってベース層を形成した。そして、このベース層の表面をコロナ放電処理(条件:0.3kW×20秒)した。ついで、前記で調製した組成物11を上記ベース層の外周面に塗布して、中間層を形成した。さらに、上記中間層の表面に前記で調製した組成物2からなる表層を形成し、軸体の外周面にベース層が形成され、その外周面に中間層が形成され、さらにその外周面に表層が形成されてなる帯電ロールを作製した。
【0112】
〔実施例20〜29、比較例6,7〕
中間層用材料および表層用材料として、後記の表9〜表11に示す組成物を用いる以外は、実施例19と同様にして、帯電ロールを作製した。なお、実施例24については、ベース層用材料として、前記組成物17と同様にして調製したものを用いた。また、中間層を形成していないものについては、「無し」と表示した。
【0113】
このようにして得られた実施例品および比較例品の帯電ロールを用いて、下記の基準に従い、各特性の評価を行った。これらの結果を、後記の表9〜表11に併せて示した。なお、電気抵抗、電圧依存性、環境依存性、硬度、圧縮永久歪みの評価については、前記現像ロールの評価に準じて行った。
【0114】
〔帯電ロール特性〕
(画像ムラ)
得られた帯電ロールを市販のカラープリンターに組み込み、20℃×50%RHの環境下において画像出しを行った。評価は、ハーフトーン画像での帯電ロールが原因の濃度ムラがなく、細線のとぎれや色ずれがなかったものを○、濃度ムラが生じたものを×とした。
【0115】
(環境変動)
得られた帯電ロールを市販のカラープリンターに組み込み、15℃×10%RHの環境下において画像出しを行った時と、35℃×85%RHの環境下において画像出しを行った時の、環境変動の評価を行った。評価は、べた黒画像を印刷し、マクベス濃度計で変化が0.1以下の時を○、0.1を超える時を×とした。
【0116】
【表9】

【0117】
【表10】

【0118】
【表11】

【0119】
〔転写ロールの作製〕
【0120】
〔実施例30〕
軸体である芯金(直径10mm、SUS304製)をセットした射出成形用金型内に、カーボンを分散させたシリコーン(信越化学工業社製、KE1350AB)を注型し、150℃×45分の条件で加熱した後、脱型して、軸体の外周面に沿ってベース層を形成した。そして、このベース層の表面をコロナ放電処理(条件:0.3kW×20秒)した。ついで、前記で調製した組成物11を上記ベース層の外周面に塗布して、中間層を形成した。さらに、上記中間層の表面に前記で調製した組成物2からなる表層を形成し、軸体の外周面にベース層が形成され、その外周面に中間層が形成され、さらにその外周面に表層が形成されてなる転写ロールを作製した。
【0121】
〔実施例31〜37、比較例8,9〕
中間層用材料および表層用材料として、後記の表12および表13に示す組成物を用いる以外は、実施例30と同様にして、転写ロールを作製した。なお、実施例37については、ベース層用材料として、前記組成物17と同様にして調製したものを用いた。また、中間層を形成していないものについては、「無し」と表示した。
【0122】
このようにして得られた実施例品および比較例品の転写ロールを用いて、下記の基準に従い、各特性の評価を行った。これらの結果を、後記の表12および表13に併せて示した。なお、電気抵抗、電圧依存性、環境依存性、硬度、圧縮永久歪みの評価については、前記現像ロールの評価に準じて行った。
【0123】
〔転写ロール特性〕
(画像ムラ)
得られた転写ロールを市販のカラープリンターに組み込み、20℃×50%RHの環境下において画像出しを行った。評価は、ハーフトーン画像での転写ロールが原因の濃度ムラがなく、細線のとぎれや色ずれがなかったものを○、濃度ムラが生じたものを×とした。
【0124】
(環境変動)
得られた転写ロールを市販のカラープリンターに組み込み、15℃×10%RHの環境下において画像出しを行った時と、35℃×85%RHの環境下において画像出しを行った時の、環境変動の評価を行った。評価は、べた黒画像を印刷し、マクベス濃度計で変化が0.1以下の時を○、0.1を超える時を×とした。
【0125】
【表12】

【0126】
【表13】

【0127】
〔転写ベルトの作製〕
【0128】
〔実施例38〜45、比較例10,11〕
ベース層用材料、中間層用材料および表層用材料として、後記の表14および表15に示す組成物を用いて、単層もしくは多層構造の中間転写ベルト(無端ベルト)を作製した。なお、ベース層もしくは中間層を形成していないものについては、「無し」と表示した。
【0129】
このようにして得られた実施例品および比較例品の転写ベルトを用いて、下記の基準に従い、各特性の評価を行った。これらの結果を、後記の表14および表15に併せて示した。
【0130】
〔電気抵抗〕
転写ベルトの内部に直径10mm、重さ1kgのSUS棒を載せ、このSUS棒に接する部分とSUS棒との間の電気抵抗を、SRIS 2304に準じて測定した。なお、電気抵抗は、25℃×50%RHの環境下において、1Vの電圧を印加した時と、133Vの電圧を印加した時のそれぞれを測定した。
【0131】
〔電圧依存性〕
上記電気抵抗の評価に準じて、25℃×50%RHの環境下、1Vの電圧を印加した時の電気抵抗と、133Vの電圧を印加した時の電気抵抗をそれぞれ測定し、Log(1V/133V)により、電気抵抗の差を変動桁数で示した。
【0132】
〔環境依存性〕
上記電気抵抗の評価に準じて、低温低湿(15℃×10%RH)の時の電気抵抗と、高温高湿(35℃×85%RH)の時の電気抵抗をそれぞれ測定し、電気抵抗の差を変動桁数で示した。なお、この時の印加電圧は10Vである。
【0133】
〔転写ベルト特性〕
(画像ムラ)
得られた転写ベルトを市販のカラープリンターに組み込み、20℃×50%RHの環境下において画像出しを行った。評価は、ハーフトーン画像での転写ベルトが原因の濃度ムラがなく、細線のとぎれや色ずれがなかったものを○、濃度ムラが生じたものを×とした。
【0134】
(環境変動)
得られた転写ベルトを市販のカラープリンターに組み込み、15℃×10%RHの環境下において画像出しを行った時と、35℃×85%RHの環境下において画像出しを行った時の、環境変動の評価を行った。評価は、べた黒画像を印刷し、マクベス濃度計で変化が0.1以下の時を○、0.1を超える時を×とした。
【0135】
【表14】

【0136】
【表15】

【0137】
〔トナー供給ロールの作製〕
【0138】
〔実施例46〕
前記組成物17を用いて、軸体の外周面に沿ってスポンジ層を形成し、単層構造のトナー供給ロールを作製した。すなわち、まず、ポリエーテルポリオール(三洋化成社製、FA718)90部と、ポリマーポリオール(三井化学社製、POP31−28)10部と、第三級アミン触媒(花王社製、カオライザーNo.31)0.5部と、第三級アミン触媒(東ソー社製、トヨキャットHX−35)0.05部と、発泡剤(水)2部と、シリコーン系整泡剤(日本ユニカー社製、L−5309)2部と、前記組成物1と同様にして作製した、界面活性剤構造を有するポリアニリン20部を乾燥しない状態で配合し、3本ロールを用いて混練した。そして、これにクルードMDI(住友バイエルウレタン社製、スミジュール44V20)8.8部を加え注型機を用いて混合し、これを軸体となる芯金(直径5mm、SUS304製)をセットしたトナー供給ロール用成型内に注型発泡させた後、80℃で30分間加熱発泡させた。その後、脱型して、表面を研磨し、軸体の外周面に沿ってスポンジ層が形成されてなるトナー供給ロールを作製した。
【0139】
〔比較例12〕
上記組成物17に代えて、組成物Fを用いる以外は、実施例46と同様にして、トナー供給ロールを作製した。
【0140】
このようにして得られた実施例品および比較例品のトナー供給ロールを用いて、下記の基準に従い、各特性の評価を行った。これらの結果を、後記の表16に併せて示した。なお、電気抵抗、電圧依存性、環境依存性、硬度、圧縮永久歪みの評価については、前記現像ロールの評価に準じて行った。
【0141】
〔トナー供給ロール特性〕
(画像ムラ)
得られたトナー供給ロールを市販のカラープリンターに組み込み、20℃×50%RHの環境下において画像出しを行った。評価は、ハーフトーン画像でのトナー供給ロールが原因の濃度ムラがなく、細線のとぎれやトナーのとびちりがなかったものを○、白地に印刷し、マクベス濃度計で変化が0.1以上の場合を×とした。
【0142】
(環境変動)
得られたトナー供給ロールを市販のカラープリンターに組み込み、15℃×10%RHの環境下において画像出しを行った時と、35℃×85%RHの環境下において画像出しを行った時の、環境変動の評価を行った。評価は、べた黒画像を印刷し、マクベス濃度計で変化が0.1以下の時を○、0.1を超える時を×とした。
【0143】
【表16】

【0144】
上記結果から、すべての実施例品は、現像ロール特性、帯電ロール特性、転写ロール特性、転写ベルト特性、トナー供給ロール特性に優れていることがわかる。この理由は、以下のように推察される。すなわち、実施例の表層用材料(単層構造の場合は、その層の構成材料)である組成物は、導電性ポリマーと、バインダーポリマーとを含有し、特殊な導電性ポリマーが、バインダーポリマー中に微細な分散または溶解して、特殊な導電性ポリマーとバインダーポリマーとの複合体からなるポリマーアロイを形成するため、電気抵抗の電圧依存性に優れるというイオン導電剤の利点と、電気抵抗の環境依存性に優れるという電子導電剤の利点との双方の特性を備えるようになるためであると推察される。
【0145】
これに対して、比較例1〜11品は、電気抵抗の電圧依存性および電気抵抗の環境依存性の少なくとも一方の特性に劣るため、現像ロール特性、帯電ロール特性、転写ロール特性、転写ベルト特性に劣ることがわかる。比較例12品は、電気抵抗の電圧依存性が大きいため、トナー供給ロール特性が劣ることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本発明の半導電性高分子弾性部材を用いた導電性ロールの断面図である。
【図2】上記導電性ロールの製法の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0147】
1 軸体
2 ベース層
3 中間層
4 表層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性ポリマーと、バインダーポリマーとを含有する導電性組成物を用いてなる半導電性高分子弾性部材であって、この弾性部材が、下記の(A)および(B)の双方の特性を満たすことを特徴とする半導電性高分子弾性部材。
(A)25℃×50%RHの環境下、1Vの電圧を印加した時の電気抵抗と、133Vの電圧を印加した時の電気抵抗との変動が1.5桁以下。
(B)15℃×10%RHの環境下において10Vの電圧を印加した時の電気抵抗と、35℃×85%RHの環境下において10Vの電圧を印加した時の電気抵抗との変動が1桁以下。
【請求項2】
25℃×50%RHの環境下、10Vの電圧を印加した時の電気抵抗が106 〜1012Ω・cmの範囲内である請求項1記載の半導電性高分子弾性部材。
【請求項3】
100%伸張時の電気抵抗が、伸張していない時の電気抵抗の1.3桁以下の上昇である請求項1または2記載の半導電性高分子弾性部材。
【請求項4】
上記バインダーポリマーが溶剤に可溶であり、かつ、上記導電性ポリマーが、溶剤もしくはバインダー溶液に可溶またはコロイド溶液として存在しうるものである請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導電性高分子弾性部材。
【請求項5】
上記導電性ポリマーが、バインダーポリマー中に1μm以下の粒径で分散しているか、もしくはバインダーポリマーに相溶している請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導電性高分子弾性部材。
【請求項6】
上記導電性ポリマーが、界面活性剤構造を有するものである請求項1〜5のいずれか一項に記載の半導電性高分子弾性部材。
【請求項7】
原料モノマーと界面活性剤とを用いて界面活性剤構造を有する導電性ポリマーを合成するとともに、この導電性ポリマーを高剪断分散機を用いてバインダーポリマー中に分散させてなる請求項6記載の半導電性高分子弾性部材。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の半導電性高分子弾性部材を、OA部品の構成部材の少なくとも一部に用いたことを特徴とするOA部品。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−323402(P2006−323402A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−175878(P2006−175878)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【分割の表示】特願2002−244886(P2002−244886)の分割
【原出願日】平成14年8月26日(2002.8.26)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】