説明

印刷装置、印刷装置の表示方法、および、表示プログラム

【課題】再描画を高速に実行することが可能な印刷装置を提供すること。
【解決手段】画像データを展開処理する展開処理手段(描画処理部100)と、展開処理手段によって展開処理された画像データを格納する第1の格納手段(画像用バッファ121,124)と、画像データ以外の表示データを格納する第2の格納手段(文字用バッファ122)と、第1の格納手段に格納された画像データと、第2の格納手段に格納された表示データとを、合成処理する合成処理手段(入出力制御部20a)と、合成処理手段によって得られたデータを表示部に表示させる表示手段(入出力制御部20a)と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、印刷装置の表示方法、および、表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像をバンド単位に分割し、バンド単位で描画処理を実行することで、描画処理の時間の短縮を図る技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平5−528064号公報(請求項、要約)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年の印刷装置では、バンド単位ではなく、画像データ単位で描画処理を行う場合が多い。このように画像データ単位で描画処理を実行する場合、画像データとそれ以外のデータ(例えば、文字データ)は、同一のバッファを用いて描画処理を実行する場合が一般的であった。
【0005】
このように、同一のバッファを用いて、画像データとそれ以外のデータを描画処理する場合、これらのいずれかを更新する必要が生じた場合には、他方は更新の必要がない場合であっても双方を再描画する必要が生じ、処理時間を要するという問題点がある。
【0006】
また、その他のデータの一部のみを変更したい場合であっても、その他のデータの全てと、画像データの全てを再描画する必要が生じるという問題点もある。
【0007】
本発明は、上記の事情に基づきなされたもので、その目的とするところは、再描画を高速に実行することが可能な印刷装置、印刷装置の表示方法、および、表示プログラムを提供しよう、とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明の印刷装置は、画像データを展開処理する展開処理手段と、展開処理手段によって展開処理された画像データを格納する第1の格納手段と、画像データ以外の表示データを格納する第2の格納手段と、第1の格納手段に格納された画像データと、第2の格納手段に格納された表示データとを、合成処理する合成処理手段と、合成処理手段によって得られたデータを表示部に表示させる表示手段と、を有する。このため、再描画を高速に実行することが可能な印刷装置を提供することができる。
【0009】
また、他の発明の印刷装置によれば、上述した発明に加えて、第1の半導体メモリと、第1の半導体メモリよりも高速に読み書きが可能な第2の半導体メモリと、を有し、第1の格納手段は、第2の半導体メモリ上に確保され、第2の格納手段は、第1の半導体メモリ上に確保されるようにしている。これにより、処理に時間を要する画像データを高速な第2のメモリ上に確保することで、処理時間を短縮できる。
【0010】
また、他の発明の印刷装置によれば、上述した発明に加えて、展開処理手段が画像データを展開処理するための第3の格納手段をさらに有し、第3の格納手段は、第2の半導体メモリ上に確保される。これにより、画像データの展開処理を高速に実行できる。また、合成処理が実行されている最中であっても、画像データの展開処理を実行できる。
【0011】
また、他の発明の印刷装置によれば、上述した発明に加えて、印刷処理を実行する際には、第1の格納手段および第3の格納手段は、第1の半導体メモリ上に確保されるようにしている。これにより、印刷処理を実行する場合には、高速な第2の半導体メモリを開放することにより、印刷処理を優先して実行できる。
【0012】
また、他の発明の印刷装置によれば、上述した発明に加えて、第2の格納手段に格納されている表示データの一部を変更する必要が生じた場合には、当該一部のみを更新する更新手段をさらに有する。これにより、表示データの一部を変更する必要が生じた場合には、当該部分のみを更新することにより、処理時間を短縮できる。
【0013】
また、他の発明の印刷装置によれば、上述した発明に加えて、展開手段は、ソフトウエアによる展開手段と、ハードウエアによる展開手段の2種類を有し、印刷処理の実行中は、ソフトウエアによる展開手段によって展開処理を実行し、それ以外の場合にはハードウエアによる展開手段によって展開処理を実行するようにしている。これにより、印刷処理を実行する場合には、ハードウエアによる展開手段を利用することで、印刷処理を優先して処理し、印刷処理が実行されていない場合には表示処理にハードウエアによる展開手段を利用することで、表示処理を高速に実行することができる。
【0014】
また、他の発明の印刷装置によれば、上述した発明に加えて、合成手段は、αブレンディング処理によって、画像データと表示データとを合成処理し、第1の格納手段に格納される画像データは、合成手段の処理形態に応じて、画像データを構成する画素データおよびαブレンディング用のデータが並べ替えられている。これにより、αブレンディング処理の前に画素データとαブレンディング用のデータの並べ替えを行うことにより、αブレンディング処理を高速に実行できる。
【0015】
また、本発明の印刷装置の表示方法は、画像データを展開処理し、展開処理された画像データを第1の格納部に格納し、画像データ以外の表示データを第2の格納部に格納し、第1の格納部に格納された画像データと、第2の格納部に格納された表示データとを、合成処理し、合成処理によって得られたデータを表示部に表示させる。このため、再描画を高速に実行することが可能な表示方法を提供することができる。
【0016】
また、本発明の表示プログラムによれば、画像データを展開処理する展開処理手段、展開処理手段によって展開処理された画像データを格納する第1の格納手段、画像データ以外の表示データを格納する第2の格納手段、第1の格納手段に格納された画像データと、第2の格納手段に格納された表示データとを、合成処理する合成処理手段、合成処理手段によって得られたデータを表示部に表示させる表示手段、としてコンピュータを機能させる。このため、再描画を高速に実行することが可能な表示プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下では、(A)本発明の実施の形態の説明、(B)本発明の実施の形態の概略の動作の説明、(C)本発明の実施の形態の詳細な動作の説明、(D)変形実施の態様の説明の順に説明する。
【0018】
(A)本発明の実施の形態の説明
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係る印刷装置の構成例を示す斜視図である。この図1に示すように、印刷装置10は、スキャナ装置、印刷装置、および、コピー装置が一体となったいわゆる複合型の印刷装置である。ここで、印刷装置10は、装置全体を覆うケース12と、印刷用紙を供給する給紙装置(不図示)と、原稿が載置される透明なコンタクトガラスおよびキャリッジ等を有するスキャナ装置と、印刷用紙に対して印刷を行う印刷部(不図示)とを備える。なお、本発明の印刷装置の表示方法および表示プログラムは、印刷装置10の動作として説明する。
【0020】
ケース12は、略四角形状の箱体であり、その上部には開閉自在の蓋14が設けられている。蓋14を開けると、原稿が載置されるコンタクトガラス(不図示)が現れる。コンタクトガラスの内側には、イメージセンサが設けられたキャリッジ(不図示)が存在する。キャリッジを副走査方向(キャリッジの長手方向に直交する方向)に移動させることにより、原稿に印刷されている情報を画像データとして読み取る。
【0021】
ケース12の前面中央部には、LCD(Liquid Crystal Display)15と、各種操作ボタン16とを備える。LCD15には、印刷装置10のメニュー、動作内容、動作状況、エラー内容とともに、印刷しようとする画像などが表示され、操作ボタン16は、印刷装置10のメニュー選択等を行う時に押されるようになっている。
【0022】
ケース12は、前面下部に、排出口17を備え、印刷された印刷用紙が排出されるようになっている。また、ケース12の前面右側中央部には、カードスロット18が設けられており、例えば、図示せぬディジタルカメラなどによって撮影された画像データを記録するメモリカードMが、取り外し自在に収納されるようになっている。なお、この例では、カードスロット18には蓋部18aが設けられており、メモリカードMを挿入する場合には、当該蓋部18aを開閉する。メモリカードMには、例えば、非可逆圧縮方式としてのJPEG形式または可逆圧縮方式としてのTIFF形式によって圧縮された画像データが格納されている。
【0023】
図示せぬ給紙装置は、ケース12の背面側に設けられており、印刷用紙をストックするとともに、必要に応じて印刷装置10の内部に一枚ずつ供給する。
【0024】
図2は、図1に示す印刷装置10の電気的な構成例を示すブロック図である。この図に示すように、印刷装置10は、メイン制御部20、情報入力部30、情報出力部40、プリント機構50、および、スキャン機構60を主要な構成要素としている。
【0025】
ここで、メイン制御部20は、入出力制御部20a、カードI/F(Interface)20b、制御部20c、RAM(Random Access Memory)20d、ROM(Read Only Memory)20e、HW(Hard Ware)画像処理部20f、スキャナ制御部20g、プリンタ制御部20h、および、バス20iを主要な構成要素としており、情報入力部30から入力された情報に基づいて、情報出力部40、プリント機構50、および、スキャン機構60等を制御する。
【0026】
なお、合成処理手段および表示手段としての入出力制御部20aは、情報入力部30および情報出力部40との間で情報を授受する際にデータの表現形式を適宜変換するインタフェースである。カードI/F20bは、メモリカードMが挿入された場合には、メモリカードMから画像データを読み出したり、画像データを書き込んだりする処理を実行する。
【0027】
更新手段としての制御部20cは、例えば、CPU(Central Processing Unit)によって構成され、ROM20eに記憶されている情報に基づいて装置の各部を制御する。
【0028】
RAM20dは、SDRAM(Synchronous Dynamic RAM)20d1およびDDRSDRAM(Double Data Rate SDRAM)20d2を主要な構成要素とてしている。第1の半導体メモリとしてのSDRAM20d1は、LCD15に表示する文字データを展開する低速なバッファとして主に使用される。第2の半導体メモリとしてのDDRSDRAM20d2は、画像データを展開する高速なバッファとして主に使用される。なお、後述するように、印刷処理が実行されている際には、SDRAM20d1が画像バッファとして使用される。
【0029】
ROM20eは、制御部20cが実行するプログラムおよびデータを格納する半導体記憶装置である。なお、ROM20eとして、または、その一部として、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)を利用し、電源が切断された後もデータ等を保持できるようにしてもよい。
【0030】
展開手段およびハードウエアによる展開手段としてのHW画像処理部20fは、ハードウエアによって構成され、制御部20cから供給された画像データを展開処理したり、補正処理を施したりする。
【0031】
スキャナ制御部20gは、スキャン機構60を制御し、印刷用紙に印刷された画像を画像データとして読み込む処理を実行する。プリンタ制御部20hは、プリント機構50を制御し、例えば、画像データを印刷用紙に画像として印刷する。
【0032】
バス20iは、入出力制御部20a、制御部20c、RAM20d、ROM20e、HW画像処理部20f、スキャナ制御部20g、および、プリンタ制御部20hを相互に電気的に接続し、これらの間で情報の授受を可能とするための信号線群である。
【0033】
情報入力部30は、操作ボタン16およびタッチパネル30aを主要な構成要素とし、ユーザの操作に基づく情報を生成して出力する。ここで、操作ボタン16は、操作パネル等に配置されたボタンであり、ユーザの操作に応じた情報を生成して出力する。タッチパネル30aは、LCD15に重畳するように配置され、LCD15に表示された情報に基づいて、タッチパネル30aを操作することにより、操作された位置に対応する位置情報を出力する。
【0034】
情報出力部40は、LCD15およびランプ40aを主要な構成要素とし、ユーザに提示する情報を出力する。ここで、LCD15は、前述したようにタッチパネル30aと重畳されており、入出力制御部20aから供給された画像データを表示する。ランプ40aは、操作パネル等に配置されており、制御部20cの制御に応じて点灯/消灯することにより、所定の情報をユーザに示す。
【0035】
プリント機構50は、記録ヘッド50a、走査部50b、および、用紙搬送部50cを主要な構成要素としており、プリンタ制御部20hから供給された画像データを、印刷用紙に印刷する。ここで、記録ヘッド50aは、例えば、CMYKに対応する各色のインクを複数のノズル列から適宜吐出し、対応する画像を印刷用紙に印刷する。走査部50bは、記録ヘッド50aを主走査方向(ノズル列に直交する方向)に移動させる。用紙搬送部50cは、印刷用紙を副走査方向(主走査方向に直交する方向)に移動させる。
【0036】
スキャン機構60は、光源60a、受光部60b、および、走査部60cを主要な構成要素としており、原稿に印刷された画像を光学的に読み取って、対応する画像データを生成して出力する。ここで、光源60aは、例えば、冷陰極管によって構成され、原稿の読み取ろうとする領域に対して白色光を照射する。受光部60bは、光源60aによって照射され、原稿によって反射された光を受光して対応する電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Device)等によって構成される。走査部60cは、受光部60bを副走査方向(受光部の長手方向に直交する方向)に移動させる。
【0037】
(B)本発明の実施の形態の概略の動作の説明
【0038】
つぎに、本発明の実施の形態の概略の動作について説明する。
【0039】
図3および図4は、本発明の実施の形態の概略の動作について説明する図である。図3は、SDRAM20d1およびDDRSDRAM20d2の使用形態を示す図である。この図において、描画処理部100は、画像データの展開処理または文字等の描画処理を実行する処理部であり、ソフトウエアによって構成されるSW(Soft Ware)画像処理部101および図2に示すHW画像処理部20fを主要な構成要素としている。なお、展開手段およびソフトウエアによる展開手段としてのSW画像処理部101は、例えば、ROM20eに格納されるプログラム(不図示)が実行されることにより、実現される機能ブロックである。描画処理部100は、SDRAM20d1に確保されている第3の格納手段としての画像一時展開用バッファ120またはDDRSDRAM20d2に確保されている第3の格納手段としての画像一時展開用バッファ123を利用して画像データの展開処理を実行する。
【0040】
入出力制御部20aは、SDRAM20d1に存在する第2の格納手段としての文字用バッファ122に格納される文字データ(例えば、文字、アイコン、枠等のデータ)と、SDRAM120d1に存在する第1の格納手段としての画像用バッファ121またはDDRSDRAM20d2に存在する第1の格納手段としての画像用バッファ124に格納されている画像データとをαブレンディング処理によって合成し、LCD15に表示させる。
【0041】
図4は、プリント機構50によって画像を印刷中の場合とそれ以外の場合のSDRAM20d1およびDDRSDRAM20d2の使用形態を示す図である。以下、図3および図4を参照しながら、本発明の実施の形態の概略の動作を特徴点を中心として説明する。
【0042】
(B−1)特徴1
【0043】
本発明の実施の形態では、LCD15に情報を表示するための画像用バッファ121(または画像用バッファ124)と、文字用バッファ122とが別々の領域に確保されている。ここで、画像用バッファとは、画像データを格納するバッファであり、文字用バッファとは画像以外のデータ(請求項中における「表示データ」に対応し、文字データ、アイコンデータ、枠データ等(以下、単に「文字データ」と称する))を格納するバッファである。このようにこれらのバッファを分けることにより、例えば、画像データまたは文字データのいずれかを変更する必要が生じた場合には、一方のバッファの内容のみを変更すればよい。例えば、LCD15に表示する画像を更新する場合には、画像用バッファ121(または画像用バッファ124)に格納されている画像データのみを更新し、文字用バッファ122に格納されている文字データは更新しない。入出力制御部20aは、画像用バッファ121(または、画像用バッファ124)に格納された更新済みの画像データと、文字用バッファ122に格納された文字データとをαブレンディングによって合成し、LCD15に表示させる。これにより、文字データは更新しないので、文字データの再描画に必要な処理時間を短縮できる。
【0044】
一方、文字データのみを更新する場合には、画像データを再描画しないだけでなく、文字データの一部のみを更新することも可能である。例えば、印刷枚数と、それ以外の情報がLCD15に表示されている場合に、印刷枚数のみを変更する場合には、印刷枚数に関する文字データのみを更新し、それ以外の文字データについては変更しない。これにより、全ての文字情報を更新する場合に比較して、再描画に必要な時間を短縮できる。
【0045】
(B−2)特徴2
【0046】
また、本発明の実施の形態では、画像データについては、画像用バッファ121(または画像用バッファ124)と、画像一時展開用バッファ120(または画像一時展開用バッファ123)の2つを設けるようにしている。これにより、時間を要する画像データの展開処理については、αブレンディング処理を実行している際中であっても、画像一時展開用バッファ120(または画像一時展開用バッファ123)を用いて、並行して展開処理を実行することができる。その結果、処理の待ち時間を短縮することができる。
【0047】
(B−3)特徴3
【0048】
また、本発明の実施の形態では、描画処理部100として、HW画像処理部20fと、SW画像処理部101とを有し、印刷処理が実行されていない場合にはHW画像処理部20fを使用して、LCD15に表示するための画像データを高速に展開処理する。また、印刷処理が実行されている場合にはLCD15に表示するための画像データは、SW画像処理部101を使用して展開処理し、HW画像処理部20fを印刷処理に使用することで印刷処理を優先して実行する。これにより、印刷処理が実行されていない場合には、HW画像処理部20fを利用することで高速な描画処理を実行し、印刷処理が実行されている場合には印刷処理を優先することができる。
【0049】
(B−4)特徴4
【0050】
また、本発明の実施の形態では、図4に示すように、SDRAM20d1と、SDRAM20d1に比較して読み書きの速度が速いDDRSDRAM20d2の2つのRAMを備え、展開処理に時間を要しない文字データについては、低速なSDRAM20d1に確保された文字用バッファ122において展開処理される。また、展開処理に時間を要する画像データについては、印刷処理が実行されているか否かにより、SDRAM20d1またはDDRSDRAM20d2の一方が選択されてバッファが確保され、そこで展開処理が実行される。すなわち、印刷処理が実行されている場合(印刷中)には、高速なDDRSDRAM20d2を印刷処理用に開放して印刷処理を優先するとともに、LCD15の表示処理については低速なSDRAM20d1に画像データ用のバッファ(画像一時展開用バッファ120および画像用バッファ121)を確保し、描画処理を実行する。また、印刷処理が実行されていない場合(印刷前・印刷後)には、高速なDDRSDRAM20d2に画像データ用のバッファ(画像一時展開用バッファ123および画像用バッファ124)を確保し、高速な描画処理を実行する。これにより、印刷処理が実行されていない場合には、DDRSDRAM20d2を利用することで高速な描画処理を実行し、印刷処理が実行されている場合には印刷処理を優先することができる。
【0051】
(C)本発明の実施の形態の詳細な動作の説明
【0052】
つぎに、本発明の実施の形態の詳細な動作について説明する。
【0053】
図5は、本発明の実施の形態の詳細な動作について説明するためのフローチャートである。このフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0054】
ステップS10:制御部20cは、LCD15に表示されている画像データを更新する必要があるか否かを判定する。例えば、画像データを更新する必要がある場合としては、例えば、LCD15に新たな画像を表示する場合や、現在表示されている画像に対して補正処理を施し、補正処理後の画像を表示する場合である。そして、画像データを更新する場合にはステップS11に進み、それ以外の場合にはステップS12に進む。
【0055】
ステップS11:制御部20cは、画像データ更新処理を実行する。なお、この処理の詳細は、図6を参照して後述する。これにより、LCD15に表示される画像が更新される。
【0056】
ステップS12:制御部20cは、LCD15に表示されている文字データを更新する必要があるか否かを判定する。文字データを更新する必要がある場合としては、例えば、LCD15に新たなメッセージを表示する場合や、現在表示されている文字データの一部または全部を変更または削除する場合である。そして、文字情報を更新する場合にはステップS13に進み、それ以外の場合にはステップS14に進む。
【0057】
ステップS13:制御部20cは、文字データ更新処理を実行する。なお、この処理の詳細は、図8を参照して後述する。これにより、LCD15に表示される文字等が更新される。
【0058】
ステップS14:制御部20cは、印刷処理を実行するか否かを判定し、印刷処理を実行する場合にはステップS15に進み、それ以外の場合にはステップS17に進む。例えば、操作ボタン16が操作されて、所定の画像を印刷する指示がなされた場合には、制御部20cは、ステップS15に進み、それ以外の場合にはステップS17に進む。
【0059】
ステップS15:制御部20cは、バッファを切り替える処理を実行する。具体的には、制御部20cは、DDRSDRAM20d2に印刷用の画像データ展開用のバッファ領域を確保する。また、LCD15表示用の画像一時展開用バッファ123および画像用バッファ124がDDRSDRAM20d2に確保されている場合には、これをSDRAM20d1に移動させて切り替える処理を実行する。これにより、印刷用の画像データ展開用のバッファ領域がDDRSDRAM20d2に確保されるとともに、LCD15の表示用のバッファは、図4の左側の破線内に示す状態から、右側の破線内に示す状態になる。その結果、読み書き速度が速いDDRSDRAM20d2を印刷用に使用することで、印刷処理を優先的に実行することができる。
【0060】
ステップS16:制御部20cは、印刷処理を実行する。なお、この処理の詳細は、図9を参照して後述する。
【0061】
ステップS17:制御部20cは、処理を終了するか否かを判定し、終了しない場合にはステップS10に戻って同様の処理を繰り返し、それ以外の場合には処理を終了する。例えば、操作ボタン16が操作されて電源がオフの状態にされた場合には、処理を終了し、それ以外の場合にはステップS10に戻って同様の処理を繰り返す。
【0062】
つぎに、図6を参照して、図5に示すステップS11の処理(画像情報更新処理)の詳細について説明する。図6に示すフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0063】
ステップS30:制御部20cは、現在、印刷処理中であるか否かを判定し、印刷処理中である場合にはステップS31に進み、それ以外の場合にはステップS33に進む。例えば、現在、印刷処理が実行されていない場合にはステップS33に進む。
【0064】
ステップS31:制御部20cは、印刷処理が実行されているので、画像用のバッファ(画像用バッファおよび画像一時展開用バッファ)を格納する対象として、SDRAM20d1を選択する。その結果、SDRAM20d1に画像一時展開用バッファ120と、画像用バッファ121が確保される。すなわち、図4の右側の破線内に示す状態となる。
【0065】
ステップS32:制御部20cは、描画処理部100において、SW画像処理部101を選択する。
【0066】
ステップS33:制御部20cは、現在、印刷処理が実行されていないので、画像用のバッファを確保する対象として、DDRSDRAM20d2を選択する。その結果、DDRSDRAM20d2に画像一時展開用バッファ123と画像用バッファ124が確保される。すなわち、図4の左側の破線内に示す状態となる。
【0067】
ステップS34:制御部20cは、描画処理部100において、HW画像処理部20fを選択する。
【0068】
ステップS35:制御部20cは、画像の展開処理を開始する。すなわち、印刷中である場合には、SW画像処理部101がカードI/F20bを介してメモリカードMから画像データを所定の処理単位読み込み、SDRAM20d1に確保されている画像一時展開用バッファ120を利用して展開処理を実行する。展開処理では、LCD15の表示サイズに合わせて画像データの間引き処理を実行する。例えば、表示サイズがQVGA(Quarter Video Graphics Array)の場合には、間引き後の画像データのサイズが、320×240ピクセルとなるように間引きを行う。間引き処理は、画像展開処理の最中に実行しても、展開後に実行してもよい。なお、直前の処理によって展開された画像データが画像用バッファ121に格納されており、その画像データに対するαブレンディング処理が実行されている場合、ハードウエアの構成によっては、画像用バッファ121に対する書き込みが制限される場合があるが、そのような場合であっても、画像一時展開用バッファ120を利用することにより、画像データの展開処理を行うことができる。
【0069】
また、印刷中でない場合には、HW画像処理部20fがカードI/F20bを介してメモリカードMから画像データを所定の処理単位読み込み、DDRSDRAM20d2に確保されている画像一時展開用バッファ123を利用して展開処理を実行する。展開処理では、前述の場合と同様に、LCD15の表示サイズに合わせて画像データの間引き処理を実行する。例えば、表示サイズがQVGAの場合には、間引き後の画像データのサイズが、320×240ピクセルとなるように間引きを行う。間引き処理は、画像展開処理の最中に実行しても、展開後に実行してもよい。なお、前述の場合と同様に、直前の処理によって展開された画像データが画像用バッファ124に格納されており、当該画像データに対するαブレンディング処理が実行されている場合、ハードウエアの構成によっては、画像用バッファ124に対する書き込みが制限される場合があるが、そのような場合であっても、画像一時展開用バッファ123を利用することにより、画像データの展開処理を行うことができる。
【0070】
ステップS36:制御部20cは、画像補正の必要があるか否かを判定し、補正が必要な場合には、ステップS37に進み、それ以外の場合にはステップS38に進む。例えば、印刷しようとする画像データに対して、明度、コントラスト、彩度等の補正を行った後に印刷する場合、補正後の画像データをLCD15に事前に表示させて確認することが望ましいので、ステップS37に進むことになる。なお、補正処理の具体的な例としては、例えば、前述した明度、コントラスト、彩度の他に、例えば、フラッシュを使用して撮影した場合に、人物の目が赤、または、金色に写るいわゆる「赤目」を軽減させるための処理や、被写体の種類(例えば、人物、山、海、川)に応じて画像の色合いが最適になるように調整する補正処理等がある。なお、これら以外の処理であってもよい。
【0071】
ステップS37:制御部20cは、画像データに対して、所定の補正処理を施す。すなわち、印刷中である場合には、SW画像処理部101がSDRAM20d1に確保されている画像一時展開用バッファ120を利用して画像データに対して補正処理を施す。
【0072】
また、印刷中でない場合には、HW画像処理部20fが、DDRSDRAM20d2に確保されている画像一時展開用バッファ123を利用して画像データに対して補正処理を施す。
【0073】
ステップS38:制御部20cは、画像を回転する必要があるか否かを判定し、回転する必要がある場合には、ステップS39に進み、それ以外の場合にはステップS40に進む。例えば、縦向きの画像については横向きにして表示する必要があることから、ステップS39に進むことになる。
【0074】
ステップS39:制御部20cは、画像を回転する処理を実行する。すなわち、印刷中である場合には、SW画像処理部101がSDRAM20d1に確保されている画像一時展開用バッファ120を利用して画像データを回転させる処理を実行する。
【0075】
また、印刷中でない場合には、HW画像処理部20fが、DDRSDRAM20d2に確保されている画像一時展開用バッファ123を利用して画像データを回転させる処理を実行する。
【0076】
ステップS40:制御部20cは、入出力制御部20aに対して、文字データと画像データとを合成する処理を実行させる。すなわち、印刷中である場合には、入出力制御部20aは、画像一時展開用バッファ120に格納されている画像データを、画像用バッファ121に一旦転送する。このとき、図7に示すように、画像一時展開用バッファ120に格納されている情報は、RGB(Red, Green, Blue)の画素情報(R1,G1,B1)の後に、αブレンディング用の情報A1(画像と文字の透過率を決定するための値)が配置されているが、画像用バッファ121に転送する際に、αブレンディング用の情報A1が最初に配置され、その後に画素情報R1,G1,B1が配置されるように並べ換えを行う。つぎに、入出力制御部20aは、文字用バッファ122に格納されているRGBそれぞれの画素情報(R1,G1,B1)と、画像用バッファ121に格納されているRGBそれぞれの画素情報(R2,G2,B2)とを、1画素単位で、αブレンディング用の情報A1,A2に基づいてブレンディング処理する。具体的には、画像データのRGBそれぞれの画素値(R1,G1,B1)をA1倍した値と、文字データのRGBそれぞれの画素値(R2,G2,B2)をA2倍した値とを加算し、得られた値をR’G’B’とし、入出力制御部20a内に設けられたVRAM(Video RAM)内に格納する。なお、一般的には、A1,A2≦1であり、A1=(1−A2)の関係を有している。
【0077】
一方、印刷中でない場合には、入出力制御部20aは、画像一時展開用バッファ123に格納されている画像データを、画像用バッファ124に一旦転送する。なお、RGBの画素情報(R1,G1,B1)とαブレンディング用の情報A1の並べ換えを行うのは、前述の場合と同様である。つぎに、入出力制御部20aは、文字用バッファ122に格納されているRGBそれぞれの画素情報(R1,G1,B1)と、画像用バッファ124に格納されているRGBそれぞれの画素情報(R2,G2,B2)とを、1画素単位で、αブレンディング用の情報A1,A2に基づいてブレンディング処理する。具体的には、前述の場合と同様に、画像データのRGBそれぞれの画素値(R1,G1,B1)をA1倍した値と、文字データのRGBそれぞれの画素値(R2,G2,B2)をA2倍した値とを加算し、得られた値をR’G’B’とし、入出力制御部20a内に設けられたVRAM内に格納する。
【0078】
ステップS41:入出力制御部20aは、前述のステップS40の合成処理によって得られた画像データを、LCD15に表示させる。この結果、図7に示すように、画像データと、文字データとが、αブレンディング処理によって合成され、合成後の情報がLCD15に表示されることになる。
【0079】
つぎに、図8を参照して、図5に示すステップS13の処理(文字情報更新処理)の詳細について説明する。図8に示すフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0080】
ステップS50:制御部20cは、再描画の対象が文字の全体であるか否かを判定する。例えば、文字用バッファ122に現在格納されている文字データの一部のみを削除または変更する場合にはステップS52に進み、それ以外の場合にはステップS51に進む。具体的には、例えば、LCD15に表示されている文字を全て新たな情報に変更する場合には、ステップS51に進み、画面の一部に文字情報を新たに追加したり、画面の一部の文字情報を削除または変更したりする場合にはステップS52に進む。
【0081】
ステップS51:制御部20cは、文字用バッファ122の内容を全て削除し、空の状態になった文字用バッファ122に対して、所定の文字データを書き込む。具体的には、表示しようとするフォントや、アイコンのビットマップ情報を、ROM20eから取得し、表示しようとする位置に対応するアドレスの領域に対して、ビットマップ情報を書き込む処理を実行する。
【0082】
ステップS52:制御部20cは、文字用バッファ122の内容の一部を削除し、必要に応じて当該部分に対して所定の文字データを書き込む。具体的には、表示中の文字を削除する場合には、文字用バッファ122の対象となる領域を削除し、書き込みは行わない。また、新たに文字を表示する場合には、表示しようとする領域を削除した後に、新たな文字データを書き込む。さらに、文字データを変更する場合には、既存の文字データの一部を削除した後に、新たな文字データを書き込む。
【0083】
ステップS53:制御部20cは、入出力制御部20aに対して、画像データと文字データとを合成する処理を実行させる。すなわち、印刷中である場合には、入出力制御部20aは、文字用バッファ122に格納されているRGBそれぞれの画素情報(R1,G1,B1)と、画像用バッファ121に格納されているRGBそれぞれの画素情報(R2,G2,B2)とを、1画素単位で、αブレンディング用の情報A1,A2に基づいてブレンディング処理する。具体的には、画像データのRGBそれぞれの画素値(R1,G1,B1)をA1倍した値と、文字データのRGBそれぞれの画素値(R2,G2,B2)をA2倍した値とを加算し、得られた値をR’G’B’とし、入出力制御部20a内に設けられたVRAM(Video RAM)内に格納する。
【0084】
一方、印刷中でない場合には、入出力制御部20aは、文字用バッファ122に格納されているRGBそれぞれの画素情報(R1,G1,B1)と、画像用バッファ124に格納されているRGBそれぞれの画素情報(R2,G2,B2)とを、1画素単位で、αブレンディング用の情報A1,A2に基づいてブレンディング処理する。具体的には、画像データのRGBそれぞれの画素値(R1,G1,B1)をA1倍した値と、文字データのRGBそれぞれの画素値(R2,G2,B2)をA2倍した値とを加算し、得られた値をR’G’B’とし、入出力制御部20a内に設けられたVRAM内に格納する。
【0085】
ステップS54:入出力制御部20aは、前述のステップS53の合成処理によって得られた画像データを、LCD15に表示させる。この結果、図7に示すように、画像データと、文字データとが、αブレンディング処理によって合成され、合成後の情報がLCD15に表示されることになる。
【0086】
つぎに、図9を参照して、図5に示すステップS16の処理(印刷処理)の詳細について説明する。図9に示すフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0087】
ステップS70:制御部20cは、DDRSDRAM20d2に領域を確保し、印刷用のバッファを設定する。なお、印刷用のバッファとは、画像データを展開したり、補正処理を実行したり、ハーフトーン処理その他を実行したりする際に画像データを格納するための領域である。
【0088】
ステップS71:制御部20cは、HW画像処理部20fを画像データの展開処理部として選択する。
【0089】
ステップS72:制御部20cは、画像データの展開処理を開始する。すなわち、HW画像処理部20fは、カードI/F20bを介してメモリカードMから画像データを所定の処理単位読み込み、DDRSDRAM20d2に確保されている印刷用バッファを利用して展開処理を実行する。
【0090】
ステップS73:制御部20cは、画像補正処理の必要があるか否かを判定し、補正が必要な場合には、ステップS74に進み、それ以外の場合にはステップS75に進む。例えば、印刷しようとする画像データに対して、明度、コントラスト、彩度等の補正を行う場合には、ステップS74に進むことになる。なお、補正処理の具体的な例としては、前述の場合と同様に、明度、コントラスト、彩度の他に、例えば、フラッシュを使用して撮影した場合に、人物の目が赤、または、金色に写るいわゆる「赤目」を軽減させるための処理や、被写体の種類(例えば、人物、山、海、川)に応じて画像の色合いが最適になるように調整する補正処理等がある。なお、これ以外の処理であってもよい。
【0091】
ステップS74:制御部20cは、画像データに対して、所定の補正処理を施す。すなわち、HW画像処理部20fは、DDRSDRAM20d2に確保されている印刷用バッファを利用して画像データに対して補正処理を施す。
【0092】
ステップS75:制御部20cは、画像を回転する必要があるか否かを判定し、回転する必要がある場合には、ステップS76に進み、それ以外の場合にはステップS77に進む。例えば、縦向きの画像については横向きにして表示する必要があることから、ステップS76に進むことになる。
【0093】
ステップS76:制御部20cは、画像を回転する処理を実行する。すなわち、HW画像処理部20fは、DDRSDRAM20d2に確保されている印刷用バッファを利用して画像データを回転させる処理を実行する。
【0094】
ステップS77:制御部20cは、ハーフトーン処理等の必要な処理を実行した後に、プリンタ制御部20hに対して、画像データを転送し、印刷処理を実行させる。すなわち、プリンタ制御部20hは、DDRSDRAM20d2の印刷用のバッファに格納されている画像データを、例えば、バンド単位で読み出し、プリント機構50に供給する。プリント機構50では、供給された画像データに応じて記録ヘッド50aのノズルから対応する色のインク滴を吐出するとともに、走査部50bによって記録ヘッド50aを主走査方向(同色のノズル列の並び方向に直交する方向)に走査するとともに、用紙搬送部50cによって印刷用紙を副走査方向(主走査方向に直交する方向)に搬送する。このような処理を繰り返すことにより、画像を印刷用紙に印刷する。
【0095】
以上の処理により、図10に示すように、画像データと、文字データとが、それぞれ異なるバッファ上の領域において描画処理され、これらがαブレンディング処理によって合成され、LCD15に表示されることになる。
【0096】
このように、画像データと文字データとのバッファ領域を分けることにより、例えば、図11に示すように、画像データを再描画する必要が生じた場合には、文字データについては再描画せずに、画像データのみを再描画し、新たな画像データに既存の文字データを合成した画像をLCD15に表示させることができる。これにより、文字データについては、再描画する必要がなくなるので、処理時間を短縮することができる。すなわち、ユーザが所定の操作を行ってから、LCD15に画像が表示されるまでの待ち時間を短縮することができる。
【0097】
また、図12に示すように、文字データのみを再描画する必要が生じた場合には、画像データについては再描画せずに、文字データのみを再描画し、新たな文字データに既存の画像データを合成した画像をLCD15に表示させることができる。これにより、画像データについては、再描画する必要がなくなるので、処理時間を短縮することができる。すなわち、ユーザが所定の操作を行ってから、LCD15に画像が表示されるまでの待ち時間を短縮することができる。また、文字データについては、更新が必要な一部のみを再描画するようにすれば、処理時間をさらに短縮することができる。
【0098】
以上に説明したように、本発明の実施の形態によれば、LCD15に情報を表示するための画像用バッファ121(または画像用バッファ124)と、文字用バッファ122とを別々の領域に確保するようにしたので、例えば、画像データのみの再描画が必要になった場合には、画像データのみを再描画し、文字データについては既存のデータを用いて再描画を省略することにより、処理時間を短縮することができる。また、文字情報のみを更新する場合には、文字情報の一部のみを更新することにより、全ての文字情報を更新する場合に比較して、再描画に必要な時間を短縮できる。
【0099】
また、本発明の実施の形態によれば、画像データについては、画像用バッファ121(または画像用バッファ124)と、画像一時展開用バッファ120(または画像一時展開用バッファ123)の2つを設けるようにしている。これにより、αブレンディング処理を実行している際中であっても、画像一時展開用バッファ120(または画像一時展開用バッファ123)を用いて、つぎの画像データの展開処理を実行することができる。その結果、処理の待ち時間を短縮することができる。
【0100】
また、本発明の実施の形態によれば、描画処理部100として、HW画像処理部20fと、SW画像処理部101とを設け、印刷処理が実行されていない場合にはHW画像処理部20fを使用して高速に画像データの展開処理を実行する。また、印刷処理が実行されている場合にはLCD15の表示用には、SW画像処理部101を使用し、HW画像処理部20fを印刷処理に使用することで印刷処理を優先することができる。これにより、印刷処理が実行されていない場合には、HW画像処理部20fを利用することで高速な描画処理を実行し、印刷処理が実行されている場合には印刷処理を優先して実行することができる。
【0101】
また、本発明の実施の形態によれば、低速のSDRAM20d1と、高速のDDRSDRAM20d2の2つのRAMを備え、展開処理に時間を要しない文字データについては、低速なSDRAM20d1に確保された文字用バッファ122において展開処理され、展開処理に時間を要する画像データについては、印刷処理が実行されているか否かにより、SDRAM20d1またはDDRSDRAM20d2の一方から選択される。これにより、印刷処理が実行されている場合には、高速なDDRSDRAM20d2を印刷処理用に開放して印刷処理を優先するとともに、LCD15の表示処理については低速なSDRAM20d1に画像データ用のバッファ(画像一時展開用バッファ120および画像用バッファ121)を確保し、描画処理を実行する。また、印刷処理が実行されていない場合には、高速なDDRSDRAM20d2に画像データ用のバッファ(画像一時展開用バッファ123および画像用バッファ124)を確保し、高速な描画処理を実行する。その結果、印刷処理が実行されていない場合には、DDRSDRAM20d2を利用することで高速な描画処理を実行し、印刷処理が実行されている場合には印刷処理を優先して実行することができる。
【0102】
(D)変形実施の態様の説明
【0103】
なお、以上の実施の形態は、一例であって、これ以外にも種々の変形実施態様が存在する。例えば、以上の実施の形態では、αブレンディング処理は、入出力制御部20a内において実行され、画像用バッファ121,124および文字用バッファ122には影響は生じないようにした(格納されているデータに変化が生じないようにした)。しかしながら、例えば、文字用バッファ122を転送元として設定し、画像用バッファ121,124を転送先として設定し、αブレンディング処理の結果を画像用バッファ121,124に格納するようにしてもよい。そのような実施の形態の場合には、αブレンディング処理が実行された後は、画像用バッファ121,124の情報は書き換えられてしまうため、文字データのみの変更がなされた場合であっても、画像の再描画が必要になる。しかしながら、そのような場合であっても、画像の変更がなされた場合において、文字についての再描画処理が不要となるので、処理にかかる時間を短縮することができる。
【0104】
また、以上の実施の形態では、メモリカードMに格納されている画像データを間引き処理して、LCD15の表示サイズに変換するようにしたが、画像データがサムネイル画像データを有している場合には、当該サムネイル画像データを利用するようにしてもよい。なお、そのような場合であってもリサイズを行う場合に、画像一時展開用バッファ120,123および画像用バッファ121,124が必要になる。
【0105】
また、以上の実施の形態では、画像一時展開用バッファ120,123を画像用バッファ121,124とは別に確保するようにしたが、これらのバッファについては確保せずに、画像用バッファ121,124を用いて画像展開処理を実行するようにしてもよい。そのような実施の形態によれば、SDRAM20d1およびDDRSDRAM20d2の必要な領域を削減することができるので、記憶容量の小さいメモリを使用することで、装置の製造コストを削減できる。
【0106】
また、以上の実施の形態では、HW画像処理部20fおよびSW画像処理部101の2つを設けるようにしたが、これらのいずれか一方のみを設けるようにしてもよい。その場合、印刷処理と表示処理が同時並行的に発生した場合、印刷処理を優先して実行し、印刷処理が終了した後に表示処理を実行したり、あるいは、タイムシェアリングによって2つの処理を同時並行的に実行したりするようにしてもよい。タイムシェアリングの場合には、印刷処理が専有する時間を、表示処理が専有する時間よりも長くなるように設定することで、印刷処理を優先的に処理できる。
【0107】
また、以上の実施の形態では、SDRAM20d1およびDDRSDRAM20d2の2つのメモリを用いるようにしたが、これら以外の種類のメモリであって、読み書きの速度が異なる2つのメモリを使用するようにしたり、あるいは、種類の同じ(読み書きの速度の同じ)メモリを使用するようにしたりしてもよい。なお、種類の同じメモリを使用する場合には、印刷処理の有無に拘わらず、画像一時展開用バッファ、画像用バッファ、および、文字用バッファは同じ種類のメモリ上に確保される。
【0108】
また、以上の実施の形態では、文字用バッファ122は、SDRAM20d1に1つ設けるようにしたが、画像用バッファのように、印刷処理の実行中は、SDRAM20d1に確保し、それ以外の場合はDDRSDRAM20d2に確保するようにしてもよい。また、画像一時展開用バッファ120のように、文字データの展開用のバッファを別途設け、展開処理が終了した後に、文字用バッファ122に転送するようにしてもよい。また、文字データの一部のみを変更する場合には、部分的に再描画するようにしたが、一部のみの変更が必要な場合であっても、全体を再描画するようにしてもよい。
【0109】
また、以上の実施の形態では、印刷装置10としては、スキャナの機能を有する場合を例に挙げて説明したが、スキャナの機能については、具備していなくてもよい。あるいは、上述以外の他の機能(例えば、FAXの機能)を具備するようにしてもよい。
【0110】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、印刷装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disk)、DVD−RAM(Random Access Memory)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)などがある。
【0111】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0112】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の実施の形態に係る印刷装置の構成例を示す図である。
【図2】図1に示す印刷装置の電気的な構成例を示すブロック図である。
【図3】バッファの確保状況を説明するための図である。
【図4】印刷中とそれ以外の場合のバッファの確保状況を示す図である。
【図5】図1に示す印刷装置において実行されるフローチャートである。
【図6】図5に示すステップS11の処理の詳細を示すフローチャートである。
【図7】αブレンディング処理の流れを説明する図である。
【図8】図5に示すステップS13の処理の詳細を示すフローチャートである。
【図9】図5に示すステップS16の処理の詳細を示すフローチャートである。
【図10】画像データと文字データの合成の流れの一例を説明する図である。
【図11】画像データと文字データの合成の流れの他の一例を説明する図である。
【図12】画像データと文字データの合成の流れの他の一例を説明する図である。
【符号の説明】
【0114】
10 印刷装置、20a 入出力制御部(合成処理手段、表示手段)、20c 制御部(更新手段)、20d1 SDRAM(第1の半導体メモリ)、20d2 DDRSDRAM(第2の半導体メモリ)、20f HW画像処理部(展開手段、ハードウエアによる展開手段)、101 SW画像処理手段(展開手段、ソフトウエアによる展開手段)、120 画像一時展開用バッファ(第3の格納手段)、121 画像用バッファ(第1の格納手段)、122 文字用バッファ(第2の格納手段)、123 画像一時展開用バッファ(第3の格納手段)、124 画像用バッファ(第1の格納手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを展開処理する展開処理手段と、
上記展開処理手段によって展開処理された画像データを格納する第1の格納手段と、
画像データ以外の表示データを格納する第2の格納手段と、
上記第1の格納手段に格納された上記画像データと、上記第2の格納手段に格納された上記表示データとを、合成処理する合成処理手段と、
上記合成処理手段によって得られたデータを表示部に表示させる表示手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
第1の半導体メモリと、
上記第1の半導体メモリよりも高速に読み書きが可能な第2の半導体メモリと、を有し、
前記第1の格納手段は、上記第2の半導体メモリ上に確保され、前記第2の格納手段は、上記第1の半導体メモリ上に確保されることを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記展開処理手段が画像データを展開処理するための第3の格納手段をさらに有し、
上記第3の格納手段は、前記第2の半導体メモリ上に確保されることを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項4】
印刷処理を実行する際には、前記第1の格納手段および第3の格納手段は、前記第1の半導体メモリ上に確保されることを特徴とする請求項3記載の印刷装置。
【請求項5】
前記第2の格納手段に格納されている表示データの一部を変更する必要が生じた場合には、当該一部のみを更新する更新手段をさらに有することを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項6】
前記展開手段は、ソフトウエアによる展開手段と、ハードウエアによる展開手段の2種類を有し、
印刷処理の実行中は、前記ソフトウエアによる展開手段によって展開処理を実行し、それ以外の場合にはハードウエアによる展開手段によって展開処理を実行することを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項7】
前記合成手段は、αブレンディング処理によって、前記画像データと前記表示データとを合成処理し、
前記第1の格納手段に格納される画像データは、前記合成手段の処理形態に応じて、画像データを構成する画素データおよびαブレンディング用のデータが並べ替えられていることを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項8】
画像データを展開処理し、
展開処理された画像データを第1の格納部に格納し、
画像データ以外の表示データを第2の格納部に格納し、
上記第1の格納部に格納された上記画像データと、上記第2の格納部に格納された上記表示データとを、合成処理し、
上記合成処理によって得られたデータを表示部に表示させる、
ことを特徴とする印刷装置の表示方法。
【請求項9】
画像データを展開処理する展開処理手段、
上記展開処理手段によって展開処理された画像データを格納する第1の格納手段、
画像データ以外の表示データを格納する第2の格納手段、
上記第1の格納手段に格納された上記画像データと、上記第2の格納手段に格納された上記表示データとを、合成処理する合成処理手段、
上記合成処理手段によって得られたデータを表示部に表示させる表示手段、
としてコンピュータを機能させるコンピュータ読取可能な表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−228003(P2008−228003A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−64532(P2007−64532)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】