印刷装置、印刷装置制御プログラム及び印刷装置制御方法、並びに印刷用画像データ生成装置、印刷用画像データ生成プログラム及び印刷用画像データ生成方法
【課題】多値化(N値化(N≧2))処理に依存しない印刷画像の補正を行うのに好適な印刷装置、印刷装置制御プログラム及び印刷装置制御方法、並びに印刷用画像データ生成装置、印刷用画像データ生成プログラム及び印刷用画像データ生成方法を提供する。
【解決手段】印刷装置100を、ドットサイズ及びドットの配置位置のデータを含む印刷用画像データを記憶する印刷用画像データ記憶部11と、N値化処理後の画像データに基づき印刷用画像データを生成する印刷用画像データ生成部15と、ドットサイズデータを各ドットサイズに対応する画素値に変換するドットサイズデータ変換部16と、当該変換後の画素値を補正する画素値補正部17と、画素値補正情報を記憶する画素値補正情報記憶部18と、画素値補正処理が施された画像データをN値化処理する第2N値化処理部19と、補正済印刷用画像データに基づき印刷処理を行う印刷部20とを含んだ構成とした。
【解決手段】印刷装置100を、ドットサイズ及びドットの配置位置のデータを含む印刷用画像データを記憶する印刷用画像データ記憶部11と、N値化処理後の画像データに基づき印刷用画像データを生成する印刷用画像データ生成部15と、ドットサイズデータを各ドットサイズに対応する画素値に変換するドットサイズデータ変換部16と、当該変換後の画素値を補正する画素値補正部17と、画素値補正情報を記憶する画素値補正情報記憶部18と、画素値補正処理が施された画像データをN値化処理する第2N値化処理部19と、補正済印刷用画像データに基づき印刷処理を行う印刷部20とを含んだ構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ装置や複写機、OA機器用の印刷装置等に用いられる印刷装置および印刷装置制御プログラム並びに印刷装置制御方法に係り、特に、複数色のドットを印刷用紙(記録材)上に形成して、所定の文字や画像を印刷するのに好適な印刷装置、印刷装置制御プログラム及び印刷装置制御方法、並びに印刷用画像データ生成装置、印刷用画像データ生成プログラム及び印刷用画像データ生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷ヘッドを構成する、インクジェットプリンタのノズルや、熱昇華型プリンタの加熱素子等の印刷素子を、均一な精度で製造することが困難なことから、印刷素子の特性にバラツキが生じる。このような特性のバラツキは、例えば、各ノズルのインク吐出量やインクの着弾位置にバラツキを生じさせ、その結果、同一濃度のベタ画像などの印刷結果において濃度の濃い部分と薄い部分とが生じる、所謂濃度むらが発生する。
【0003】
このような濃度むらを補正して、印刷画質を向上する技術として、例えば、特許文献1に記載の画像形成装置がある。
特許文献1の画像形成装置は、記録素子による画像形成に先立って、濃度ムラ補正データに基づき2値画像データに対して濃度ムラ補正を行うことで、2値化処理に依存しない濃度ムラ補正を行うようにしたものである。
【特許文献1】特開2000−52571号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の従来技術においては、ドットのオンオフだけを示す2値画像データについてしか述べられておらず、3値以上の多値の画像データについては具体的な処理方法の記載が一切ない。
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、多値化(N値化(N≧2))処理に依存しない印刷画像の補正を行うのに好適な印刷装置、印刷装置制御プログラム及び印刷装置制御方法、並びに印刷用画像データ生成装置、印刷用画像データ生成プログラム及び印刷用画像データ生成方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
〔形態1〕 上記目的を達成するために、形態1の印刷装置は、
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な印刷素子を有する印刷ヘッドを備え、当該印刷ヘッドによって前記媒体に画像を印刷する印刷装置であって、
M(M≧3)値の階調数の画素値を有する画像データの各画素値に対応するドットサイズ及びドット配置位置のデータを含む印刷用画像データを記憶する印刷用画像データ記憶手段と、
前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報に基づき、前記印刷用画像データにおける各ドットサイズのデータを、当該各ドットサイズに対応する前記M値の階調数の画素値に変換するドットサイズデータ変換手段と、
前記印刷素子の形成するドットに対応する画素値を補正するための画素値補正情報を記憶する画素値補正情報記憶手段と、
前記画素値補正情報に基づき、前記ドットサイズデータ変換手段で変換後の画素値を補正する画素値補正手段と、
前記画素値補正手段で補正後の各画素値をN(M>N≧2)値の階調数の画素値に変換する補正後画素値N値化手段と、
前記補正後画素値N値化手段で変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記印刷用画像データを生成する印刷用画像データ生成手段と、
前記印刷用画像データに基づき、前記印刷ヘッドを用いて前記媒体に前記画像を印刷する印刷手段と、を備えることを特徴としている。
【0006】
このような構成であれば、印刷用画像データ記憶手段によって、M(M≧3)値の階調数の画素値を有する画像データの各画素値に対応するドットサイズ及びドット配置位置のデータを含む印刷用画像データを記憶することが可能であり、ドットサイズデータ変換手段によって、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報に基づき、前記印刷用画像データにおける各ドットサイズのデータを、当該各ドットサイズに対応する前記M値の階調数の画素値に変換することが可能であり、画素値補正情報記憶手段によって、前記印刷素子の形成するドットに対応する画素値を補正するための画素値補正情報を記憶することが可能であり、画素値補正手段によって、前記画素値補正情報に基づき、前記ドットサイズデータ変換手段で変換後のM値の階調数の画素値を補正することが可能である。
【0007】
更に、補正後画素値N値化手段によって、前記画素値補正手段で補正後のM値の階調数の各画素値をN(M>N≧2)値の階調数の画素値に変換することが可能であり、印刷用画像データ生成手段によって、前記補正後画素値N値化手段で変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記印刷用画像データを生成することが可能である。
【0008】
尚更に、印刷手段によって、前記印刷用画像データに基づき、前記印刷ヘッドを用いて前記媒体に前記画像を印刷することが可能である。
従って、画像データの各画素値に対応するドットサイズ及びドット配置位置のデータを含む印刷用画像データの各ドットサイズデータを、例えば、印刷装置の機種毎あるいは印刷する媒体の種類毎に予め設定されている、M値の階調数の画素値とドットサイズとの関係を示す情報に基づき、それぞれのドットサイズに対応するM値の階調数の画素値へと変換し、その変換した画素値からなる画像データに対して補正処理を行うようにしたので、ドットのオンオフだけの2値画像データだけではなく、3種類以上のドットサイズのデータを含む印刷用画像データに対しても適切な補正処理を行うことができるという効果が得られる。また、補正前のドット配置が活かされた補正処理を実行することができるので、補正処理による粒状性の悪化を低減することができるという効果が得られる。
【0009】
ここで、上記「ドット」とは、例えば、1または複数のノズルから吐出されたインクが印刷媒体に着弾して形成される1つの領域をいう。また、「ドット」は面積が「ゼロ」ではなく、一定の大きさ(面積)をもつことは勿論、大きさごとに複数種類存するものである。但し、インクを吐出して形成されたドットは必ずしも真円になるとは限らない。例えば、楕円形などの真円以外の形状でドットが形成された場合は、その平均的な径をドット径として扱ったり、ある量のインクを吐出して形成されたドットの面積と等しい面積を有する真円の等価ドットを想定し、該等価ドットの径をドット径として扱ったりすることもある。また、濃度の異なるドットの打ち分け方法としては、例えば、ドットの大きさが同じで濃度が異なるドットを打つ方法、濃度が同じで大きさの異なるドットを打つ方法、濃度が同じでインクの吐出量が異なるドットであり、重ね打ちにより濃度を異ならせる方法などが考えられる。また、1つのノズルから吐出された1つのインク滴が分離して着弾してしまった場合も1つのドットとするが、2つのノズルまたは1つのノズルから時間を前後して形成された2つ以上のドットがくっついてしまった場合は、2つのドットが形成されたものとする。以下、「印刷装置制御プログラム」に関する形態、「印刷装置制御方法」に関する形態、「印刷用画像データ生成装置」に関する形態、「印刷用画像データ生成プログラム」に関する形態、「印刷用画像データ生成方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである。
【0010】
また、上記「印刷用画像データ記憶手段」は、印刷用画像データをあらゆる手段でかつあらゆる時期に記憶するものであり、例えば、本装置の動作時に、外部装置から入力された印刷用画像データを記憶したり、LANやWAN等のネットワークを介して外部装置から受信した印刷用画像データを記憶したり、印刷装置の有するCDドライブ、DVDドライブなどの駆動装置を介して入力されたCD−ROM、DVD−ROMなどの記録媒体に記録された印刷用画像データを記憶したりなどする。以下、「印刷装置制御プログラム」に関する形態、「印刷装置制御方法」に関する形態、「印刷用画像データ生成装置」に関する形態、「印刷用画像データ生成プログラム」に関する形態、「印刷用画像データ生成方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである。
【0011】
また、上記「画素値補正情報記憶手段」は、画素値補正情報をあらゆる手段でかつあらゆる時期に記憶するものであり、画素値補正情報をあらかじめ記憶してあるものであってもよいし、画素値補正情報をあらかじめ記憶することなく、本装置の動作時に外部からの入力等によって画素値補正情報を記憶するようになっていてもよい。また、画素値補正情報は、例えば、印刷ヘッドを構成する各印刷素子の形成するドットの各階調値の目標値に対する画素値の補正量の情報などから構成される。画素値補正情報は、予め実験等により測定され、例えば、印刷ヘッドを用いて各階調のベタ画像を印刷し、その印刷結果をスキャナ等の光学式読取装置で読み取り、読み取った画像の濃度値を測定して、その測定値に基づき決定する。また、前記目標値は、例えば、図25に示すようなベタ画像における、図中の点線の丸で囲った領域以上の比較的広い領域の濃度又は輝度の平均値となる。図25に示すベタ画像の例では、飛行曲がりによるスジが2本発生しているが、比較的広い領域の平均値を目標値とするので問題なくなる。このようにして決定した目標値となるように、全てのラインに対して補正を行う。また、画素値補正情報は、例えば、ノズルの番号(画素のライン番号)及び目標値に対応付けて記憶するといったように、データテーブルの形式で記憶するようにしてもよい。以下、「印刷装置制御プログラム」に関する形態、「印刷装置制御方法」に関する形態、「印刷用画像データ生成装置」に関する形態、「印刷用画像データ生成プログラム」に関する形態、「印刷用画像データ生成方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである。
【0012】
また、上記「ドットサイズ及びドットの配置位置のデータ」とは、N値化処理後の画像データの各画素値に対する、印刷素子の形成するドットサイズのデータと、各サイズのドットの配置(形成)位置のデータとを含むものである。このドットサイズには、「ドットなし」を含む2種類以上のドットサイズがあり、ドットサイズのデータとしては、印刷装置の機種毎あるいは印刷する媒体の種類毎に設定される、ドットサイズと各N値化処理後の画素値との関係を示す情報に基づくドットサイズの情報が含まれる。また、各画素値に対して1つのドットが対応する場合と、各画素値に対して、複数のドットが対応する場合とがある。例えば、1画素を複数のドットで形成することにより、各階調を面積階調で表現することができるので、少ないサイズ種類のドットで、様々な階調を表現することができる。以下、「印刷装置制御プログラム」に関する形態、「印刷装置制御方法」に関する形態、「印刷用画像データ生成装置」に関する形態、「印刷用画像データ生成プログラム」に関する形態、「印刷用画像データ生成方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである。
【0013】
また、上記「N値化」とは、M値(例えば8ビット、256階調)の画像データをある閾値に基づいて各画素ごとにN種類の値に分類する処理のことであり、ドットを打つ、打たないといったいわゆる「2値」の他に、M値の画像データを、ドットを打たない場合も含む3種類以上のドットサイズにそれぞれ応じた値に分類することも含む。以下、「印刷装置制御プログラム」に関する形態、「印刷装置制御方法」に関する形態、「印刷用画像データ生成装置」に関する形態、「印刷用画像データ生成プログラム」に関する形態、「印刷用画像データ生成方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである。
【0014】
また、上記「画素値補正情報」は、印刷ヘッドが形成可能なドットの種類が決まっていることから、例えば、補正対象の画素のライン(連続する複数画素から構成される領域なら何でも良い)の全画素値(輝度値又は濃度値)を平均した値を目標値に近づけるための各画素値の補正量などを含む情報となる。理想的には、各画素値をその目標値と一致させるための補正情報であることが望ましいが、これに限らず、例えば、画素のラインなど連続する複数画素の構成する領域の画素値の平均値が目標値に近づくように補正を行える情報であっても良い。以下、「印刷装置制御プログラム」に関する形態、「印刷装置制御方法」に関する形態、「印刷用画像データ生成装置」に関する形態、「印刷用画像データ生成プログラム」に関する形態、「印刷用画像データ生成方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである。
【0015】
〔形態2〕 更に、形態2の印刷装置は、形態1の印刷装置において、
前記画像データを記憶する画像データ記憶手段と、
前記画像データの補正前の前記M値の階調数の各画素値を前記N値の階調数の画素値に変換する補正前画素値N値化手段と、を備え、
前記印刷用画像データ生成手段は、前記補正前画素値N値化手段で変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記画像データに対する前記印刷用画像データを生成することを特徴としている。
【0016】
このような構成であれば、画像データ記憶手段によって、前記画像データを記憶することが可能であり、補正前画素値N値化手段によって、前記画像データの補正前の前記M値の階調数の各画素値を前記N値の階調数の画素値に変換することが可能であり、前記印刷用画像データ生成手段は、前記補正前画素値N値化手段で変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記画像データに対する前記印刷用画像データを生成することが可能である。
【0017】
従って、本装置において、外部機器等から取得した画像データから印刷用画像データを生成することができるので、画素値補正情報を取得するための目標値等を簡易に知ることができると共に、外部装置においてわざわざ印刷用画像データを生成する必要がなくなるので、画像データがあれば、簡易に補正前のドット配置が活かされた補正処理を実行することができるという効果が得られる。
【0018】
〔形態3〕 更に、形態3の印刷装置は、形態2の印刷装置において、
前記画像データ及び前記画素値補正情報に基づき、前記印刷用画像データの各ドットサイズデータにおける、補正の必要なドットサイズデータの情報を生成する補正箇所情報生成手段を備え、
前記ドットサイズデータ変換手段は、前記補正箇所情報生成手段で生成された情報に基づき、前記印刷用画像データのドットサイズデータを変換することを特徴としている。
【0019】
このような構成であれば、補正箇所情報生成手段によって、前記画像データ及び前記画素値補正情報に基づき、前記印刷用画像データの各ドットサイズデータにおける、補正の必要なドットサイズデータの情報を生成することが可能であり、前記ドットサイズデータ変換手段は、前記補正箇所情報生成手段で生成された情報に基づき、前記印刷用画像データのドットサイズデータを変換することが可能である。
従って、補正の必要な箇所だけドットサイズデータから画素値へと変換をして、それ以外のところを変換しないようにできるので、変換処理に必要な時間を短縮することができるという効果が得られる。
【0020】
〔形態4〕 更に、形態4の印刷装置は、形態1乃至3のいずれか1の印刷装置において、
前記補正後画素値N値化手段は、前記M値の階調数の画素値を前記N値の階調数の画素値に変換する処理において、前記印刷素子が前記ドットの形成を担当する画素列方向に誤差が偏る誤差拡散マトリクスを用いた誤差拡散処理を行うことを特徴としている。
【0021】
このような構成であれば、誤差拡散処理において、補正対象の画素列の画素に対して誤差が多めに振り分けられるようになるので、より精度の良い補正を行うことができるという効果が得られる。
ここで「誤差拡散処理」とは、画像処理の分野で通常に利用されているものと同一であり、ある画素の2値化処理によって生じた誤差を所定の誤差拡散マトリクスに従って周囲の画素へ割り振り、続く処理においてその影響を考慮することで全体としての誤差を最小にする処理のことをいう。すなわち、画素の濃度値がその画像のもつ階調数の半分の中間値より大きければ黒、小さければ白に分類し、その後、分類前の濃度値と処理後の濃度値との誤差を適当な割合で周りの画素に分散させ、調整する方法である。例えば、上記M値の階調数の画像データに対して、閾値「128」を境に、画素値が「128」より小さければ「0」、「128」以上なら「255」に変換する2値化処理を行う場合に、選択画素の画素値が「101」の場合、「101」は「0」に変換され、この変換後の「0」と変換前の「101」との差「101」を誤差として、所定の誤差拡散マトリクスに従って選択画素の周辺の2値化が未処理の画素に対して拡散する。以下、「印刷装置制御プログラム」に関する形態、「印刷装置制御方法」に関する形態、「印刷用画像データ生成装置」に関する形態、「印刷用画像データ生成プログラム」に関する形態、「印刷用画像データ生成方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである。
【0022】
また、上記「誤差拡散マトリクス」とは、N値化処理において上記M値の階調数の画素データをN値の階調数の画素データに変換した際に、変換後の画素値と変換前の画素値との差分(誤差)を、その画素データの周辺にあるN値化処理が未処理の画素データに拡散(分配)する(これを、一般に誤差拡散法という)際に、当該拡散元の画素データに対する拡散対象の画素データの位置(拡散方向)を示す情報(相対位置情報など)、拡散対象の各画素データに対する拡散割合の情報等を収めたマトリクスであり、マトリクスの形状、マトリクスのサイズ(拡散対象の数)、拡散割合等がそれぞれ異なる様々な種類の誤差拡散マトリクスが存在する。以下、「印刷装置制御プログラム」に関する形態、「印刷装置制御方法」に関する形態、「印刷用画像データ生成装置」に関する形態、「印刷用画像データ生成プログラム」に関する形態、「印刷用画像データ生成方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである。
【0023】
〔形態5〕 更に、形態5の印刷装置は、形態4の印刷装置において、
前記補正後画素値N値化手段は、補正対象の画素が連続する範囲内において、前記誤差拡散処理を行うことを特徴としている。
このような構成であれば、補正対象の画素が連続する範囲内において、N値の階調数の画素値に変換後の各画素値の誤差が振り分けられるようになるので、補正後の誤差(画素値)が関係の無い画素に無意味に振り分けられることを低減することができるという効果が得られる。
【0024】
〔形態6〕 更に、形態6の印刷装置は、形態1乃至5のいずれか1の印刷装置において、
前記画素値は、濃度値又は輝度値であることを特徴としている。
このような構成であれば、画素値が濃度値又は輝度値である場合に、画像データの各画素値に対応するドットサイズ及びドット配置位置のデータを含む印刷用画像データの各ドットサイズデータを、例えば、印刷装置の機種毎あるいは印刷する媒体の種類毎に予め設定されているN値の階調数に変換後の濃度値又は輝度値とドットサイズとの関係を示す情報に基づき、それぞれのドットサイズに対応する濃度値又は輝度値へと変換し、その変換した濃度値又は輝度値からなる画像データに対して補正処理を行うことが可能である。従って、例えば、濃度ムラが発生するノズルを含む印刷ヘッドを有する場合に、濃度値又は輝度値を補正して濃度ムラによる印刷画質の劣化を低減することができるという効果が得られる。
【0025】
〔形態7〕 一方、上記目的を達成するために、形態7の印刷装置制御プログラムは、
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な印刷素子を有する印刷ヘッドを備え、当該印刷ヘッドによって前記媒体に画像を印刷する印刷装置を制御するのに使用する印刷装置制御プログラムであって、
ドットサイズと前記M(M≧3)値の階調数の画素値との関係を示す情報に基づき、前記M値の階調数の画素値を有する画像データの各画素値に対応するドットサイズ及びドット配置位置のデータを含む印刷用画像データにおける各ドットサイズのデータを、当該各ドットサイズに対応する前記M値の階調数の画素値に変換するドットサイズデータ変換ステップと、
前記印刷素子の形成するドットに対応する画素値を補正するための画素値補正情報に基づき、前記ドットサイズデータ変換ステップで変換後の画素値を補正する画素値補正ステップと、
前記画素値補正ステップで補正後の各画素値をN(M>N≧2)値の階調数の画素値に変換する補正後画素値N値化ステップと、
前記補正後画素値N値化ステップで変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記印刷用画像データを生成する印刷用画像データ生成ステップと、
前記印刷用画像データに基づき、前記印刷ヘッドを用いて前記媒体に前記画像を印刷する印刷ステップとを有する処理をコンピュータに実行させるのに使用するプログラムを含むことを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態1の印刷装置と同等の作用および効果が得られる。
【0026】
〔形態8〕 更に、形態8の印刷装置制御プログラムは、形態7の印刷装置制御プログラムにおいて、
前記画像データの補正前の前記M値の階調数の各画素値を前記N値の階調数の画素値に変換する補正前画素値N値化ステップをコンピュータに実行させるのに使用するプログラムを含み、
前記印刷用画像データ生成ステップにおいては、前記補正前画素値N値化ステップで変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記画像データに対する前記印刷用画像データを生成することを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態2の印刷装置と同等の作用および効果が得られる。
【0027】
〔形態9〕 更に、形態9の印刷装置制御プログラムは、形態8の印刷装置制御プログラムにおいて、
前記画像データ及び前記画素値補正情報に基づき、前記印刷用画像データの各ドットサイズデータにおける、補正の必要なドットサイズデータの情報を生成する補正箇所情報生成ステップをコンピュータに実行させるのに使用するプログラムを含み、
前記ドットサイズデータ変換ステップにおいては、前記補正箇所情報生成ステップで生成された情報に基づき、前記印刷用画像データのドットサイズデータを変換することを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態3の印刷装置と同等の作用および効果が得られる。
【0028】
〔形態10〕 更に、形態10の印刷装置制御プログラムは、形態7乃至9のいずれか1の印刷装置制御プログラムにおいて、
前記補正後画素値N値化ステップにおいては、前記M値の階調数の画素値を前記N値の階調数の画素値に変換する処理において、前記印刷素子が前記ドットの形成を担当する画素列方向に誤差が偏る誤差拡散マトリクスを用いた誤差拡散処理を行うことを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態4の印刷装置と同等の作用および効果が得られる。
【0029】
〔形態11〕 更に、形態11の印刷装置制御プログラムは、形態10の印刷装置制御プログラムにおいて、
前記補正後画素値N値化ステップにおいては、補正対象の画素が連続する範囲内において、前記誤差拡散処理を行うことを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態5の印刷装置と同等の作用および効果が得られる。
【0030】
〔形態12〕 更に、形態12の印刷装置制御プログラムは、形態8乃至11のいずれか1の印刷装置制御プログラムにおいて、
前記画素値は、濃度値又は輝度値であることを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態6の印刷装置と同等の作用および効果が得られる。
【0031】
〔形態13〕 一方、上記目的を達成するために、形態13の印刷装置制御プログラムの記憶されたコンピュータが読み取り可能な記憶媒体は、
形態8乃至形態12のいずれか1の印刷装置制御プログラムの記憶されたコンピュータが読み取り可能な記憶媒体であることを特徴としている。
これによって、形態8乃至形態12のいずれか1の印刷装置制御プログラムと同様の作用及び効果が得られると共に、CD−ROMやDVD−ROM、MOなどの記録媒体を介して前記印刷装置制御プログラムを容易に授受することが可能となる。
【0032】
〔形態14〕 一方、上記目的を達成するために、形態14の印刷装置制御方法は、
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な印刷素子を有する印刷ヘッドを備え、当該印刷ヘッドによって前記媒体に画像を印刷する印刷装置を制御するのに使用する印刷装置制御方法であって、
ドットサイズと前記M(M≧3)値の階調数の画素値との関係を示す情報に基づき、前記M値の階調数の画素値を有する画像データの各画素値に対応するドットサイズ及びドット配置位置のデータを含む印刷用画像データにおける各ドットサイズのデータを、当該各ドットサイズに対応する前記M値の階調数の画素値に変換するドットサイズデータ変換ステップと、
前記印刷素子の形成するドットに対応する画素値を補正するための画素値補正情報に基づき、前記ドットサイズデータ変換ステップで変換後の画素値を補正する画素値補正ステップと、
前記画素値補正ステップで補正後の各画素値をN(M>N≧2)値の階調数の画素値に変換する補正後画素値N値化ステップ
と、
前記補正後画素値N値化ステップで変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記印刷用画像データを生成する印刷用画像データ生成ステップと、
前記印刷用画像データに基づき、前記印刷ヘッドを用いて前記媒体に前記画像を印刷する印刷ステップと、を含むことを特徴としている。
これによって、形態1の印刷装置と同等の効果が得られる。
【0033】
〔形態15〕 更に、形態15の印刷装置制御方法は、形態14の印刷装置制御方法において、
前記画像データの補正前の前記M値の階調数の各画素値を前記N値の階調数の画素値に変換する補正前画素値N値化ステップを含み、
前記印刷用画像データ生成ステップにおいては、前記補正前画素値N値化ステップで変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記画像データに対する前記印刷用画像データを生成することを特徴としている。
これによって、形態2の印刷装置と同等の効果が得られる。
【0034】
〔形態16〕 更に、形態16の印刷装置制御方法は、形態15の印刷装置制御方法において、
前記画像データ及び前記画素値補正情報に基づき、前記印刷用画像データの各ドットサイズデータにおける、補正の必要なドットサイズデータの情報を生成する補正箇所情報生成ステップを含み、、
前記ドットサイズデータ変換ステップにおいては、前記補正箇所情報生成ステップで生成された情報に基づき、前記印刷用画像データのドットサイズデータを変換することを特徴としている。
これによって、形態3の印刷装置と同等の効果が得られる。
【0035】
〔形態17〕 更に、形態17の印刷装置制御方法は、形態14乃至16のいずれか1の印刷装置制御方法において、
前記補正後画素値N値化ステップにおいては、前記M値の階調数の画素値を前記N値の階調数の画素値に変換する処理において、前記印刷素子が前記ドットの形成を担当する画素列方向に誤差が偏る誤差拡散マトリクスを用いた誤差拡散処理を行うことを特徴としている。
これによって、形態4の印刷装置と同等の効果が得られる。
【0036】
〔形態18〕 更に、形態18の印刷装置制御方法は、形態17の印刷装置制御方法において、
前記補正後画素値N値化ステップにおいては、補正対象の画素が連続する範囲内において、前記誤差拡散処理を行うことを特徴としている。
これによって、形態5の印刷装置と同等の効果が得られる。
【0037】
〔形態19〕 更に、形態19の印刷装置制御方法は、形態14乃至18のいずれか1の印刷装置制御方法において、
前記画素値は、濃度値又は輝度値であることを特徴としている。
これによって、形態6の印刷装置と同等の効果が得られる。
【0038】
〔形態20〕 一方、上記目的を達成するために、形態20の印刷用画像データ生成装置は、
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な印刷素子を有する印刷ヘッドによって、前記媒体に画像を印刷する印刷装置において使用される印刷用画像データを生成する印刷用画像データ生成装置であって、
M(M≧3)値の階調数の画素値を有する画像データの各画素値に対応するドットサイズ及びドット配置位置のデータを含む印刷用画像データを記憶する印刷用画像データ記憶手段と、
前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報に基づき、前記印刷用画像データにおける各ドットサイズのデータを、当該各ドットサイズに対応する前記M値の階調数の画素値に変換するドットサイズデータ変換手段と、
前記印刷素子の形成するドットに対応する画素値を補正するための画素値補正情報を記憶する画素値補正情報記憶手段と、
前記画素値補正情報に基づき、前記ドットサイズデータ変換手段で変換後の画素値を補正する画素値補正手段と、
前記画素値補正手段で補正後の各画素値をN(M>N≧2)値の階調数の画素値に変換する補正後画素値N値化手段と、
前記補正後画素値N値化手段で変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記印刷用画像データを生成する印刷用画像データ生成手段と、を備えることを特徴としている。
【0039】
すなわち、本形態は、前記印刷装置のような実際に印刷を実行するための印刷手段を含むのではなく、補正前の印刷用画像データにおけるドットサイズのデータを画素値に変換したデータに基づき画素値の補正を行い、当該補正後のデータから印刷用画像データを生成するようにしたものである。
従って、形態1の印刷装置と同様の作用及び効果を得ることができると共に、例えば、本形態で生成した印刷用画像データを印刷装置に送るだけで、当該印刷装置で印刷処理を実行できる構成とすることが可能となるので、このような構成にすることで、専用の印刷装置を用意することなく、例えば、既存のインクジェット方式の印刷装置をそのまま利用することができる。
また、PC(Personal Computer)などの汎用の情報処理装置を利用することができるため、例えば、PCなどの印刷指示装置とインクジェットプリンタとからなる既存の印刷システムをそのまま活用することができる。
【0040】
〔形態21〕 更に、形態21の印刷用画像データ生成装置は、形態20の印刷用画像データ生成装置において、
前記画像データを記憶する画像データ記憶手段と、
前記画像データの補正前の前記M値の階調数の各画素値を前記N値の階調数の画素値に変換する補正前画素値N値化手段と、を備え、
前記印刷用画像データ生成手段は、前記補正前画素値N値化手段で変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記画像データに対する前記印刷用画像データを生成することを特徴としている。
これによって、形態2の印刷装置と同等の効果が得られる。
【0041】
〔形態22〕 更に、形態22の印刷用画像データ生成装置は、形態21の印刷用画像データ生成装置において、
前記画像データ及び前記画素値補正情報に基づき、前記印刷用画像データの各ドットサイズデータにおける、補正の必要なドットサイズデータの情報を生成する補正箇所情報生成手段を備え、
前記ドットサイズデータ変換手段は、前記補正箇所情報生成ステップで生成された情報に基づき、前記印刷用画像データのドットサイズデータを変換することを特徴としている。
これによって、形態3の印刷装置と同等の効果が得られる。
【0042】
〔形態23〕 更に、形態23の印刷用画像データ生成装置は、形態20乃至22のいずれか1の印刷用画像データ生成装置において、
前記補正後画素値N値化手段は、前記M値の階調数の画素値を前記N値の階調数の画素値に変換する処理において、前記印刷素子が前記ドットの形成を担当する画素列方向に誤差が偏る誤差拡散マトリクスを用いた誤差拡散処理を行うことを特徴としている。
これによって、形態4の印刷装置と同等の効果が得られる。
【0043】
〔形態24〕 更に、形態24の印刷用画像データ生成装置は、形態23の印刷用画像データ生成装置において、
前記補正後画素値N値化手段は、補正対象の画素が連続する範囲内において、前記誤差拡散処理を行うことを特徴としている。
これによって、形態5の印刷装置と同等の効果が得られる。
【0044】
〔形態25〕 更に、形態25の印刷用画像データ生成装置は、形態20乃至24のいずれか1の印刷用画像データ生成装置において、
前記画素値は、濃度値又は輝度値であることを特徴としている。
これによって、形態6の印刷装置と同等の効果が得られる。
【0045】
〔形態26〕 一方、上記目的を達成するために、形態26の印刷用画像データ生成プログラムは、
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な印刷素子を有する印刷ヘッドによって、前記媒体に画像を印刷する印刷装置において使用される印刷用画像データを生成するのに使用する印刷用画像データ生成プログラムであって、
ドットサイズと前記M(M≧3)値の階調数の画素値との関係を示す情報に基づき、前記M値の階調数の画素値を有する画像データの各画素値に対応するドットサイズ及びドット配置位置のデータを含む印刷用画像データにおける各ドットサイズのデータを、当該各ドットサイズに対応する前記M値の階調数の画素値に変換するドットサイズデータ変換ステップと、
前記印刷素子の形成するドットに対応する画素値を補正するための画素値補正情報に基づき、前記ドットサイズデータ変換ステップで変換後の画素値を補正する画素値補正ステップと、
前記画素値補正ステップで補正後の各画素値をN(M>N≧2)値の階調数の画素値に変換する補正後画素値N値化ステップと、
前記補正後画素値N値化ステップで変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記印刷用画像データを生成する印刷用画像データ生成ステップとを有する処理をコンピュータに実行させるのに使用するプログラムを含むことを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態1の印刷装置と同等の作用および効果が得られる。
【0046】
〔形態27〕 更に、形態27の印刷用画像データ生成プログラムは、形態26の印刷用画像データ生成プログラムにおいて、
前記画像データの補正前の前記M値の階調数の各画素値を前記N値の階調数の画素値に変換する補正前画素値N値化ステップをコンピュータに実行させるのに使用するプログラムを含み、
前記印刷用画像データ生成ステップにおいては、前記補正前画素値N値化ステップで変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記画像データに対する前記印刷用画像データを生成することを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態2の印刷装置と同等の作用および効果が得られる。
【0047】
〔形態28〕 更に、形態28の印刷用画像データ生成プログラムは、形態27の印刷用画像データ生成プログラムにおいて、
前記画像データ及び前記画素値補正情報に基づき、前記印刷用画像データの各ドットサイズデータにおける、補正の必要なドットサイズデータの情報を生成する補正箇所情報生成ステップを含み、
前記ドットサイズデータ変換ステップにおいては、前記補正箇所情報生成ステップで生成された情報に基づき、前記印刷用画像データのドットサイズデータを変換することを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態3の印刷装置と同等の作用および効果が得られる。
【0048】
〔形態29〕 更に、形態29の印刷用画像データ生成プログラムは、形態26乃至28のいずれか1の印刷用画像データ生成プログラムにおいて、
前記補正後画素値N値化ステップにおいては、前記M値の階調数の画素値を前記N値の階調数の画素値に変換する処理において、前記印刷素子が前記ドットの形成を担当する画素列方向に誤差が偏る誤差拡散マトリクスを用いた誤差拡散処理を行うことを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態4の印刷装置と同等の作用および効果が得られる。
【0049】
〔形態30〕 更に、形態30の印刷用画像データ生成プログラムは、形態29の印刷用画像データ生成プログラムにおいて、
前記補正後画素値N値化ステップにおいては、補正対象の画素が連続する範囲内において、前記誤差拡散処理を行うことを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態5の印刷装置と同等の作用および効果が得られる。
【0050】
〔形態31〕 更に、形態31の印刷用画像データ生成プログラムは、形態26乃至30のいずれか1の印刷用画像データ生成プログラムにおいて、
前記画素値は、濃度値又は輝度値であることを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態6の印刷装置と同等の作用および効果が得られる。
【0051】
〔形態32〕 一方、上記目的を達成するために、形態32の印刷用画像データ生成プログラムの記憶されたコンピュータが読み取り可能な記憶媒体は、
形態26乃至形態31のいずれか1の印刷用画像データ生成プログラムの記憶されたコンピュータが読み取り可能な記憶媒体であることを特徴としている。
これによって、形態26乃至形態31のいずれか1の印刷用画像データ生成プログラムと同様の作用及び効果が得られると共に、CD−ROMやDVD−ROM、MOなどの記録媒体を介して前記印刷用画像データ生成プログラムを容易に授受することが可能となる。
【0052】
〔形態33〕 一方、上記目的を達成するために、形態33の印刷用画像データ生成方法は、
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な印刷素子を有する印刷ヘッドによって、前記媒体に画像を印刷する印刷装置において使用される印刷用画像データを生成するのに使用する印刷用画像データ生成方法であって、
ドットサイズと前記M(M≧3)値の階調数の画素値との関係を示す情報に基づき、前記M値の階調数の画素値を有する画像データの各画素値に対応するドットサイズ及びドット配置位置のデータを含む印刷用画像データにおける各ドットサイズのデータを、当該各ドットサイズに対応する前記M値の階調数の画素値に変換するドットサイズデータ変換ステップと、
前記印刷素子の形成するドットに対応する画素値を補正するための画素値補正情報に基づき、前記ドットサイズデータ変換ステップで変換後の画素値を補正する画素値補正ステップと、
前記画素値補正ステップで補正後の各画素値をN(M>N≧2)値の階調数の画素値に変換する補正後画素値N値化ステップと、
前記補正後画素値N値化ステップで変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記印刷用画像データを生成する印刷用画像データ生成ステップと、を含むことを特徴としている。
これによって、形態1の印刷装置と同等の効果が得られる。
【0053】
〔形態34〕 更に、形態34の印刷用画像データ生成方法は、形態33の印刷用画像データ生成方法において、
前記画像データの補正前の前記M値の階調数の各画素値を前記N値の階調数の画素値に変換する補正前画素値N値化ステップを含み、
前記印刷用画像データ生成ステップにおいては、前記補正前画素値N値化ステップで変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記画像データに対する前記印刷用画像データを生成することを特徴としている。
これによって、形態2の印刷装置と同等の効果が得られる。
【0054】
〔形態35〕 更に、形態35の印刷用画像データ生成方法は、形態34の印刷用画像データ生成方法において、
前記画像データ及び前記画素値補正情報に基づき、前記印刷用画像データの各ドットサイズデータにおける、補正の必要なドットサイズデータの情報を生成する補正箇所情報生成ステップを含み、、
前記ドットサイズデータ変換ステップにおいては、前記補正箇所情報生成ステップで生成された情報に基づき、前記印刷用画像データのドットサイズデータを変換することを特徴としている。
これによって、形態3の印刷装置と同等の効果が得られる。
【0055】
〔形態36〕 更に、形態36の印刷用画像データ生成方法は、形態33乃至35のいずれか1の印刷用画像データ生成方法において、
前記補正後画素値N値化ステップにおいては、前記M値の階調数の画素値を前記N値の階調数の画素値に変換する処理において、前記印刷素子が前記ドットの形成を担当する画素列方向に誤差が偏る誤差拡散マトリクスを用いた誤差拡散処理を行うことを特徴としている。
これによって、形態4の印刷装置と同等の効果が得られる。
【0056】
〔形態37〕 更に、形態37の印刷用画像データ生成方法は、形態36の印刷用画像データ生成方法において、
前記補正後画素値N値化ステップにおいては、補正対象の画素が連続する範囲内において、前記誤差拡散処理を行うことを特徴としている。
これによって、形態5の印刷装置と同等の効果が得られる。
【0057】
〔形態38〕 更に、形態38の印刷用画像データ生成方法は、形態33乃至37のいずれか1の印刷用画像データ生成方法において、
前記画素値は、濃度値又は輝度値であることを特徴としている。
これによって、形態6の印刷装置と同等の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1〜図20は、本発明に係る印刷装置、印刷装置制御プログラム及び印刷装置制御方法、並びに印刷用画像データ生成装置、印刷用画像データ生成プログラム及び印刷用画像データ生成方法の実施の形態を示す図である。
まず、本発明に係る印刷装置100の構成を図1に基づき説明する。図1は、本発明に係る印刷装置100の構成を示すブロック図である。
【0059】
印刷装置100は、ラインヘッド型の印刷装置であり、図1に示すように、外部装置や記憶装置等から画像データや印刷用画像データ等の各種データを取得するデータ取得部10と、画像データの各画素値に対応するドットサイズ及びドットの配置位置のデータを含む印刷用画像データを記憶する印刷用画像データ記憶部11と、M値(M≧3)の階調数の画素値を有する画像データを記憶する画像データ記憶部12と、画像データ記憶部12に記憶されたM値の階調数のN値の階調数の画像データに変換するN値化処理を実行する第1N値化部13と、N値化処理に必要な各種情報を含んで構成されるN値化情報を記憶するN値化情報記憶部14と、N値化処理後の画像データに基づき印刷用画像データを生成する印刷用画像データ生成部15とを含んだ構成となっている。
【0060】
データ取得部10は、例えば、1画素あたり各色(R、G、B)の輝度値が8ビット(0〜255)で表現される、階調数256(M=256)の画像データを取得したり、後述する印刷ヘッド200の形成可能なドットサイズの種類に対応する印刷用画像データを取得したりする機能を有する。そして、このようなデータを、PC等の外部装置及び自印刷装置100の備える後述する入力装置74等からの印刷指示に応じて、LANやWAN等のネットワークを介して外部装置から取得したり、自装置の備える図示しないCDドライブ、DVDドライブなどの駆動装置を介してCD−ROM、DVD−ROMなどの記録媒体から取得したり、自装置の備える後述する記憶装置70から取得したりすることが可能となっている。
【0061】
更に、データ取得部10は、M値の階調数のRGBデータを色変換処理して前記印刷ヘッド200の各インクに対応するM値の階調数のCMYK(4色の場合)画像データに変換する機能と、後述する印刷部20の出力解像度に合わせて画像データの解像度を変換する機能とを有している。
また、本実施の形態において、取得した印刷用画像データには、補正指示情報が含まれている。補正指示情報は、印刷用画像データに対応する画像データにおける、各ノズルの担当する各画素の画素値(例えば、輝度値)の情報を含むものであり、後述するドットサイズデータ変換部16において、補正対象のドットサイズデータの情報を生成するときと、後述する画素値補正部17において、画素値補正情報記憶部18からの画素値補正情報を取得するときとにおいて用いられる。
【0062】
印刷用画像データ記憶部11は、データ取得部10で取得した印刷用画像データ及びこの印刷用画像データに対応する補正指示情報を記憶する機能を有している。ここで記憶される印刷用画像データは、補正処理前のものであるため、後述するドットサイズデータ変換部16からの取得要求に応じて当該ドットサイズデータ変換部16に出力される。
画像データ記憶部12は、データ取得部10で取得した画像データを記憶する機能を有している。ここで記憶される画像データは、N値化処理前のものであるため、第1N値化処理部13からの取得要求に応じて当該第1N値化処理部13に出力される。
【0063】
第1N値化処理部13は、画像データ記憶部12に記憶されたM値の階調数の画像データを、N値の階調数の画像データに変換する機能を有している。具体的には、画像データ記憶部12に記憶されたM値の階調数の画像データを読み出し、当該読み出した画像データから所定の画素データを選択し、N値化情報記憶部14から読み出したN値化情報に含まれる、ノズルのドットサイズに対応したN値化処理用閾値、各ドットサイズ(N種類)にそれぞれ対応するN値化処理後の画素値(例えば、輝度値)に基づき、上記選択した所定の画素データ(以下、選択画素データと称す)を、前記N値化処理後のN種類の画素値のいずれかに変換する。
【0064】
また、本実施の形態において、N値化処理に際しては、公知の誤差拡散法に基づく誤差拡散処理を行う。以下、第1N値化処理部13において行われる誤差拡散処理を含むN値化処理を第1N値化処理と称し、当該第1N値化処理の施された画素値から構成される画像データを、第1N値化画像データと称す。
ここで、本実施の形態において、上記N値化処理とは、M値(M≧3)の階調数(M種類の画素値(画素データ))を有する画像データを、N値(M>N≧2)の階調数を有する(N種類の数値を有する)画像データに変換する処理であって、例えば、「ドットなし」、「小ドット」、「中ドット」、「大ドット」の4種類のドットサイズにそれぞれ対応する4つの画素値(例えば、輝度値)のいずれかに変換する場合は、変換元の画素値と各ドットサイズ毎に設定された閾値とを比較して、いずれかの閾値以上となれば、そのうち最も大きいドットサイズに対応する画素値に変換し、一方、どの閾値よりも小さければ、ドットなしに対応する画素値「255(8ビットの場合)」に変換するといったように、変換元の画素値を予め設定された4種類の画素値のいずれかに変換する。従って、N種類のドットサイズがある場合は、M値の階調数の画素値をN種類の閾値と比較し、その比較結果に応じて予め設定されたN種類の画素値のいずれか1つに変換することになる。
【0065】
なお、上記閾値は、N種類に限らず、(N−1)種類でも良い。この場合は、3つの閾値、例えば、閾値1〜閾値3とM値の画素値とをそれぞれ比較し、当該画素値が、閾値1以下であれば「ドットなし」、閾値1及び閾値2の間の値であれば「Sドット」、閾値2及び閾値3の間の値であれば「Mドット」、閾値3以上であれば、「Lドット」が選択される。
【0066】
また、上記誤差拡散処理は、選択画素データのN値化処理後において、N値化処理前の画素値とN値化処理後の画素値との差分を算出し、これを誤差として、所定の誤差拡散マトリクスに基づき選択画素データ周辺のN値化処理が未処理の画素データに振り分ける(分配する)処理である。
N値化情報記憶部14は、前述したように、ノズルのドットサイズに対応したN値化処理用閾値、各ドットサイズに対応したN値化処理後の画素値(例えば、輝度値)、誤差拡散マトリクスなどを含んで構成されるN値化情報を記憶するようになっている。
【0067】
印刷用画像データ生成部15は、各ドットサイズと前記N種類の画素値との関係を示す情報(以下、画素値変換情報と称す)に基づき、第1N値化画像データ及び後述する第2N値化画像データの各画素値を、当該各画素値に対応するドットサイズのデータに変換し(ハーフトーン処理ともいう)、当該ドットサイズのデータと、当該ドットの配置位置のデータとを含んで構成される印刷用画像データを生成する。本実施の形態においては、第1N値化画像データの各画素値とドットとが一対一に対応するので、ドットの配置位置の情報は、第1N値化画像データの各画素位置の情報と同じとなる。また、ドットサイズのデータは、前述したように、例えば、印刷ヘッド200の各ノズルが、「ドットなし」、「小ドット」、「中ドット」、「大ドット」の4種類のドットサイズのドットを形成できる場合に、例えば、「ドットなし」が「E」、「小ドット」が「S」、「中ドット」が「M」、「大ドット」が「L」でそれぞれ示されたデータとなる。
【0068】
ここで、印刷用画像データ記憶部11に記憶された印刷用画像データ及び第1N値化画像データから生成される印刷用画像データは共に補正前のデータであるため、これらと差別化するために、以下、第2N値化画像データから生成される印刷用画像データを補正済印刷用画像データと称すこととする。
印刷装置100は、図1に示すように、更に、印刷用画像データの各ドットサイズのデータを各ドットサイズに対応する画素値に変換するドットサイズデータ変換部16と、ドットサイズデータ変換部16で変換後の画素値から構成される画像データの画素値を補正する画素値補正部17と、画素値補正部17で画素値補正時に用いる画素値補正情報を記憶する画素値補正情報記憶部18と、N値化情報に基づき、画素値補正部17において画素値補正処理が施されたM値の階調数の画像データをN値の階調数の画像データに変換する処理であるN値化処理を実行する第2N値化処理部19と、補正済印刷用画像データに基づき印刷処理を行う印刷部20とを含んだ構成となっている。
【0069】
ドットサイズデータ変換部16は、印刷用画像データにおける補正の必要な箇所の各ドットサイズデータを、各ドットサイズに応じたM値の階調数の画素値(前述したN種類の画素値のいずれか)に変換する機能を有している。
具体的には、まず、画素値補正情報及び補正指示情報、又は画素値補正情報及び未処理画像データに対応する画像データに基づき、印刷用画像データにおける補正処理の必要なドットサイズデータの情報(以下、補正箇所情報と称す)を生成する。例えば、補正量が「0」の箇所を補正対象から外し、補正量が「0」以外の箇所を補正対象としてその箇所の位置が解る情報を生成する。
【0070】
次に、当該生成した補正箇所情報と画素値変換情報とに基づき、印刷用画像データにおける補正の必要な箇所の各ドットサイズデータを、各ドットサイズに応じたM値の階調数の画素値に変換する。
ここで、画素値補正情報は、ノズル番号(画素のライン番号)及び入力輝度値(補正対象画素の画素値)に対して補正量が対応付けられたデータテーブルとなっており、ノズル番号及び入力輝度値が解れば、その入力輝度値に対応したN値化処理後の画素値に対する補正量を取得することが可能である。
【0071】
また、ドットサイズデータを各ドットサイズに対応するM値の階調数の画素値に変換するには、印刷装置の機種毎に設定される画素値変換情報に基づき、例えば、画素値が8ビットの輝度値の場合に、ドットサイズデータ「E」であれば、例えば、最大輝度値の「255」へと変換し、ドットサイズデータ「L」であれば、例えば、最小輝度値(最大濃度となる値)の「0」に変換する。つまり、各ドットサイズに対応する変換値(前述したN値化処理後のN種類の画素値に対応)が画素値変換情報に含まれる。なお、ドットの配置位置と画素の配置位置とは一対一に対応するので、変換後の画素値と変換されなかったドットサイズデータとから構成される画像データは、印刷用画像データの配置位置の情報が継承されたものとなる。このようにして構成される画像データは、補正処理が未処理の状態であるので、以下、これを未処理画像データと称す。
【0072】
画素値補正部17は、未処理画像データの各画素値と、補正指示情報又は未処理画像データに対応する画像データとに基づき、画素値補正情報記憶部18から各補正対象の画素値を補正する画素値補正情報(補正量を示す情報)を読み出し、当該読み出した画素値補正情報に基づき、未処理画像データにおける補正対象の画素値を補正する機能を有している。
【0073】
画素値補正情報記憶部18は、前述したように、ノズル番号(画素のライン番号)及び入力輝度値(補正対象画素の画素値)に対して補正量が対応付けられたデータテーブルからなる画素値補正情報を記憶する機能を有している。更に、画素値補正情報記憶部18は、前述した画素値変換情報も記憶するようになっている。
第2N値化処理部19は、画素値補正部17で画素値補正後の画素データから構成されるM値の階調数の画像データ(以下、補正済画像データと称す)をN値の階調数の画像データに変換する機能を有している。N値化処理の原理については、上記第1N値化処理部13と基本的に同様であるが、誤差拡散処理に用いる誤差拡散マトリクスの特性が異なる。本実施の形態においては、第2N値化処理部19での誤差拡散処理には、第1N値化処理部13で用いる誤差拡散マトリクスとは異なり、誤差の拡散方向が各ノズルの担当する画素列方向に偏よる(誤差の配分量が多めとなる)誤差拡散マトリクス(以下、偏重誤差拡散マトリクスと称す)を用いる。更に、前述した補正箇所の情報に基づき、この拡散量の偏る誤差拡散マトリクスを用いた誤差拡散処理を、補正対象の画素が連続する範囲内において行う。以下、第2N値化処理部19において行われる誤差拡散処理を含むN値化処理を第2N値化処理と称し、当該第2N値化処理の施された画素値から構成される画像データを、第2N値化画像データと称す。
【0074】
ここで、図3は、印刷部20の備える、本発明の印刷ヘッド200の構造を示す図である。
図3に示すように、この印刷ヘッド200は、ブラック(K)インクを専用に吐出する複数個のノズルNがノズル配列方向に直線状に配列された複数のブラックノズルモジュール50a〜50nから構成されるブラックヘッドユニット50と、同じくイエロー(Y)インクを専用に吐出する複数個のノズルNがノズル配列方向に直線状に配列された複数のイエローノズルモジュール52a〜52nから構成されるイエローヘッドユニット52と、同じくマゼンタ(M)インクを専用に吐出する複数個のノズルNがノズル配列方向に直線状に配列された複数のマゼンタノズルモジュール54a〜54nから構成されるマゼンタヘッドユニット54と、同じくシアン(C)インクを専用に吐出する複数個のノズルNがノズル配列方向に直線状に配列された複数のシアンノズルモジュール56a〜56nから構成されるシアンヘッドユニット56といった4つのヘッドユニット50、52、54及び56を含んだ構成となっている。
【0075】
また、このような構造をした印刷ヘッド200は、各ノズルN1、N2、N3…ごとにそれぞれ設けられた図示しないインクチャンバー内に供給されたインクをそれら各インクチャンバーごとに設けられた図示しないピエゾ素子(piezo actuator)などの圧電素子によって各ノズルN1、N2、N3…から吐出することで、白色の印刷用紙上に円形のドットを印字すると共に、さらに、この圧電素子に加える電圧を多段階に制御することによってインクチャンバーからのインクの吐出量を制御してサイズの異なるドットが印字可能となっている。また、時系列的に短時間で2段階でノズルに電圧を加え、印刷用紙上にて2つの吐出を組み合わせて1つのドットを構成する場合もある。この場合、ドットのサイズによって吐出速度が異なることを利用して、小さいドットにつづいて大きいドットを吐出することによって、紙面上でほぼ同位置にインクを着弾させて1つのさらに大きいドットを構成させることが可能である。
【0076】
図1に戻って、印刷部20は、補正済印刷用画像データに基づき、印刷に用いる媒体(印刷用紙など)又は印刷ヘッド200の一方、あるいは双方を移動させながら前記印刷ヘッド200に形成された前記ヘッドユニット50,52,54及び56の各ノズルモジュールからインクをそれぞれドット状に噴射して前記媒体上に多数のドットからなる所定の画像を形成するようにしたインクジェット方式のプリンタであり、前述した印刷ヘッド200の他に、前記媒体を移動させるための図示しない紙送り機構、前記印刷用画像データに基づいて印刷ヘッド200のインクの吐出を制御する図示しない印刷制御機構などから構成されている。
【0077】
なお、この印刷装置100は、前記データ取得部10、第1N値化処理部13、印刷用画像データ生成部15、ドットサイズデータ変換部16、画素値補正部17、第2N値化処理部19、印刷部20などにおける上記各機能をソフトウェア上で実現するため、及び上記各機能の実現に必要なハードウェアを制御するソフトウェアを実行するためのコンピュータシステムを備えている。このコンピュータシステムのハードウェア構成は、図2に示すように、各種制御や演算処理を担う中央演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)60と、主記憶装置(Main Storage)を構成するRAM(Random Access Memory)62と、読み出し専用の記憶装置であるROM(Read Only Memory)64との間をPCI(Peripheral Component Interconnect)バスやISA(Industrial Standard Architecture)バス等からなる各種内外バス68で接続すると共に、このバス68に入出力インターフェース(I/F)66を介して、HDD等の外部記憶装置(Secondary Storage)70や、印刷部20やCRT、LCDモニター等の出力装置72、操作パネルやマウス、キーボード、スキャナなどの入力装置74、および図示しない印刷指示装置などと通信するためのネットワークケーブルLなどを接続したものである。
【0078】
そして、電源を投入すると、ROM64等に記憶されたBIOS等のシステムプログラムが、ROM64に予め記憶された各種専用のコンピュータプログラム、あるいは、CD−ROMやDVD−ROM、フレキシブルディスク(FD)等の記憶媒体を介して、またはインターネット等の通信ネットワークを介して記憶装置70にインストールされた各種専用のコンピュータプログラムを同じくRAM62にロードし、そのRAM62にロードされたプログラムに記述された命令に従ってCPU60が各種リソースを駆使して所定の制御および演算処理を行うことで前述したような各機能をソフトウェア上で実現するようになっている。
【0079】
更に、印刷装置100は、CPU60によって、ROM64の所定領域に格納されている所定のプログラムを起動させ、そのプログラムに従って、図4のフローチャートに示す印刷処理を実行するようになっている。なお、前述したようにドットを形成するための印刷ヘッド200は、一般に4色および6色などといった複数種類の色のドットをほぼ同時に形成できるようになっているが、本実施の形態においては、CMYKの4色のインクにそれぞれ対応した4つのヘッドユニットによって構成されたものとして説明する。
【0080】
図4は、印刷装置100における印刷処理を示すフローチャートである。
印刷処理は、CPU60によって実行されると、図4に示すように、まず、ステップS100に移行するようになっている。
ステップS100では、データ取得部10において、ネットワークケーブルLを介して接続された外部装置からの印刷指示情報が送られてくることにより、あるいは入力装置74を介して印刷指示情報が入力されたことにより、印刷指示があったか否かを判定し、印刷指示があったと判定された場合(Yes)は、ステップS102に移行し、そうでない場合(No)は、印刷指示があるまで判定処理を繰り返す。
【0081】
ステップS102に移行した場合は、データ取得部10において、印刷指示に対応する画像データ又は印刷用画像データを、上記したように、外部装置、CD−ROM、DVD−ROM等の記録媒体、HDD等の記憶装置70などから取得する処理を行いステップS104に移行する。
ステップS104では、データ取得部10において、ステップS102で取得したデータが画像データであるか否かを判定し、画像データであると判定された場合(Yes)は、ステップS106に移行し、そうでない場合(No)は、取得した印刷用画像データを印刷用画像データ記憶部11に記憶してステップS116に移行する。
【0082】
ステップS106に移行した場合は、データ取得部10において、ステップS102で取得した画像データが、CMYK画像データであるか否かを判定し、CMYK画像データであると判定された場合(Yes)はステップS108に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS126に移行する。
ステップS108に移行した場合は、データ取得部10において、上記取得したCMYK画像データを、印刷解像度に合わせて解像度変換し、解像度変換後のCMYK画像データを画像データ記憶部12に記憶してステップS110に移行する。
【0083】
ステップS110では、第1N値化処理部13において、画像データ記憶部12にCMYK画像データが記憶されると、N値化情報記憶部14からN値化情報を取得してステップS112に移行する。
ステップS112では、第1N値化処理部13において、ステップS110で取得したN値化情報に基づき、画像データ記憶部12に記憶されたCMYK画像データに対して第1N値化処理を施して第1N値化画像データを生成し、当該生成した第1N値化画像データを印刷用画像データ生成部15に出力してステップS114に移行する。
【0084】
ステップS114では、印刷用画像データ生成部15において、第1N値化処理部13から入力された第1N値化画像データから印刷用画像データを生成し、当該生成した印刷用画像データをドットサイズデータ変換部16に出力してステップS116に移行する。
ステップS116では、ドットサイズデータ変換部16において、印刷用画像データ記憶部11に印刷用画像データが記憶されるか、あるいは印刷用画像データ生成部15から印刷用画像データが入力されると、当該印刷用画像データを構成するドットサイズデータを、各ドットサイズに対応した画素値に変換するドットサイズデータ変換処理を実行して未処理画像データを生成し、当該生成した未処理画像データを画素値補正部17に出力してステップS118に移行する。
【0085】
ステップS118では、画素値補正部17において、ドットサイズデータ変換部16から入力された未処理画像データに対して画素値補正処理を実行して補正済画像データを生成し、当該生成した補正済画像データを第2N値化処理部19に出力してステップS120に移行する。
ステップS120では、第2N値化処理部19において、画素値補正部17から入力された補正済画像データに対して第2N値化処理を施して第2N値化画像データを生成し、当該生成した第2N値化画像データを印刷用画像データ生成部15に出力してステップS122に移行する。
【0086】
ステップS122では、印刷用画像データ生成部15において、第2N値化処理部19から入力された第2N値化画像データに基づき補正済印刷用画像データ生成処理を施して補正済印刷用画像データを生成し、当該生成した補正済印刷用画像データを印刷部20に出力してステップS124に移行する。
ステップS124では、印刷部20において、印刷用画像データ生成部15から入力された補正済印刷用画像データに基づき、印刷処理を実行してステップS100に移行する。
【0087】
一方、ステップS106において、取得した画像データがCMYK画像データではなくてステップS126に移行した場合は、データ取得部10において、取得した画像データの色情報をCMYKの色情報に変換してCMYK画像データを生成し、当該生成したCMYK画像データを画像データ記憶部12に記憶してステップS108に移行する。
次に、図5に基づき、ステップS116のドットサイズデータ変換処理を詳細に説明する。ここで、図5は、ドットサイズデータ変換部16のドットサイズデータ変換処理を示すフローチャートである。
【0088】
ドットサイズデータ変換処理は、ステップS116で実行されると、図5に示すように、まずステップS200に移行するようになっている。
ステップS200では、ドットサイズデータ変換部16において、印刷用画像データ記憶部11、または印刷用画像データ生成部15から印刷用画像データが入力されたか否かを判定し、入力されたと判定された場合(Yes)は、ステップS202に移行し、そうでない場合(No)は、入力されるまで判定処理を繰り返す。
【0089】
ステップS202に移行した場合は、ドットサイズデータ変換部16において、補正指示情報または画像データと、画素値補正情報記憶部18に記憶された画素値補正情報とに基づき、印刷用画像データにおける補正箇所のドットサイズデータの情報を抽出してステップS204に移行する。ここで、印刷用画像データ記憶部11から入力された印刷用画像データに対しては、当該印刷用画像データに対応する補正指示情報と、前記画素値補正情報とに基づき補正箇所の情報を抽出し、一方、印刷用画像データ生成部15から入力された印刷用画像データに対しては、この印刷用画像データの生成元の画像データと、前記画素値補正情報とに基づき補正箇所の情報を抽出する。つまり、画素値補正情報の示す補正量が「0」でないドットサイズデータの情報を抽出する。
【0090】
ステップS204では、ドットサイズデータ変換部16において、ステップS202で抽出した補正箇所の情報に基づき、補正箇所の位置情報を含む補正箇所情報を生成してステップS206に移行する。つまり、補正対象のドットサイズデータの位置(座標)情報を含む補正箇所情報を生成する。
ステップS206では、ドットサイズデータ変換部16において、ステップS204で生成した補正箇所情報に基づき、補正箇所のドットサイズデータの中から未処理のドットサイズデータを選択してステップS208に移行する。
【0091】
ステップS208では、ドットサイズデータ変換部16において、画素値補正情報記憶部18に記憶された画素値変換情報に基づき、ステップS206で選択したドットサイズデータを、これと対応する画素値に変換してステップS210に移行する。
ステップS210では、ドットサイズデータ変換部16において、補正対象の全ドットサイズデータに対して変換処理が完了したか否かを判定し、完了したと判定された場合(Yes)は、一連の処理を終了して元の処理に復帰し、そうでない場合(No)は、ステップS20
6に移行する。なお、変換処理の完了した画像データは、未処理画像データとして画素値補正部17に出力される。
【0092】
次に、図6に基づき、ステップS118の画素値補正処理を詳細に説明する。ここで、図6は、画素値補正部17における画素値補正処理を示すフローチャートである。
画素値補正処理は、ステップS118において実行されると、図6に示すように、まずステップS300に移行するようになっている。
ステップS300では、画素値補正部17において、ドットサイズデータ変換部16から未処理画像データが入力されたか否かを判定し、入力されたと判定された場合(Yes)は、ステップS302に移行し、そうでない場合(No)は、入力されるまで判定処理を繰り返す。
【0093】
ステップS302に移行した場合は、画素値補正部17において、画素値補正情報記憶部18から画素値補正情報を取得すると共に、未処理画像データにおける補正対象の画素データから補正処理が未処理の画素データを選択してステップS304に移行する。
ステップS304では、画素値補正部17において、ステップS302で選択した画素データに対応する補正指示情報または画像データの画素値に基づき、ステップS302で取得した画素値補正情報から画素値補正量を取得してステップS306に移行する。つまり、未処理画像データの生成元の印刷用画像データが、印刷用画像データ記憶部11から入力されたものである場合は、補正指示情報に基づき画素値補正量を取得し、一方、印刷用画像データ生成部15から入力されたものである場合は、この印刷用画像データの生成元の画像データに基づき画素値補正量を取得する。
【0094】
ステップS306では、画素値補正部17において、ステップS304で取得した画素値補正量に基づき、ステップS302で選択した画素データの画素値を補正してステップS308に移行する。
ステップS308では、画素値補正部17において、未処理画像データにおける全ての補正対象の画素データに対して補正処理が完了したか否かを判定し、完了したと判定された場合(Yes)は、一連の処理を終了し元の処理に復帰し、そうでない場合(No)は、ステップS302に移行する。なお、補正処理の施された画像データは、補正済画像データとして第2N値化処理部19に出力される。
【0095】
次に、図7に基づき、ステップS120の第2N値化処理を詳細に説明する。ここで、図7は、第2N値化処理部19における第2N値化処理を示すフローチャートである。
第2N値化処理は、ステップS120において実行されると、図7に示すように、まずステップS400に移行するようになっている。
ステップS400では、第2N値化処理部19において、画素値補正部17から補正済画像データが入力されたか否かを判定し、入力されたと判定された場合(Yes)は、ステップS402に移行し、そうでない場合(No)は、入力されるまで判定処理を繰り返す。
【0096】
ステップS402に移行した場合は、第2N値化処理部19において、N値化情報記憶部14から第2N値化処理用のN値化情報を取得してステップS404に移行する。
ステップS404では、第2N値化処理部19において、補正済画像データにおける補正された画素データの画素の連続する領域から、第2N値化処理が未処理の画素データを選択してステップS406に移行する。
【0097】
ステップS406では、第2N値化処理部19において、ステップS402で取得したN値化情報に基づき、ステップS404で選択したM値の階調数の画素データをN値の階調数の画素データに変換してステップS408に移行する。
ステップS408では、第2N値化処理部19において、ステップS406の第2N値化処理後の画素データの画素値と、第2N値化処理前の画素データの画素値との差分を算出し、当該差分値を誤差として、これを偏重誤差拡散マトリクスに基づき、補正された画素データの画素の連続する領域内の選択画素データの画素周辺の未処理画素の画素データに分配してステップS410に移行する。
【0098】
ステップS410では、第2N値化処理部19において、補正済画像データにおける、補正された全ての画素データに対して第2N値化処理が完了したか否かを判定し、完了したと判定された場合(Yes)は、一連の処理を終了し元の処理に復帰し、そうでない場合(No)は、ステップS404に移行する。
次に、図8に基づき、ステップS114の印刷用画像データ生成処理及びステップS122の(補正済)印刷用画像データ生成処理を詳細に説明する。ここで、図8は、印刷用画像データ生成部15における印刷用画像データ生成処理を示すフローチャートである。
【0099】
印刷用画像データ生成処理は、ステップS114またはステップS122において実行されると、図8に示すように、まずステップS500に移行するようになっている。
ステップS500では、印刷用画像データ生成部15において、第1N値化処理部13または第2N値化処理部19から、第1N値化画像データまたは第2N値化画像データが入力されたか否かを判定し、入力されたと判定された場合(Yes)は、ステップS502に移行し、そうでない場合(No)は、入力されるまで判定処理を繰り返す。
【0100】
ステップS502に移行した場合は、印刷用画像データ生成部15において、ステップS500で取得したN値化画像データは、第1N値化画像データであるか否かを判定し、そうである場合(Yes)は、ステップS504に移行し、そうではなく第2N値化画像データである場合(No)は、ステップS512に移行する。
ステップS504に移行した場合は、印刷用画像データ生成部15において、第1N値化画像データにおける、ドットサイズデータへの変換処理が未処理の画素データを選択してステップS506に移行する。なお、画素値変換情報は、画素値補正情報記憶部18から取得する。
【0101】
ステップS506では、印刷用画像データ生成部15において、画素値変換情報に基づき、ステップS504で選択した画素データをドットサイズデータに変換してステップS508に移行する。
ステップS508では、印刷用画像データ生成部15において、第1N値化画像データにおける全画素データに対してドットサイズデータへの変換処理が完了したか否かを判定し、完了したと判定された場合(Yes)は、ステップS510に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS504に移行する。
【0102】
ステップS510に移行した場合は、印刷用画像データ生成部15において、変換結果に基づき、ドットサイズデータと各ドットの配置位置の情報とを含む印刷用画像データを生成し、一連の処理を終了して元の処理に復帰する。
一方、ステップS502において、第1N値化画像データではなくてステップS512に移行した場合は、印刷用画像データ生成部15において、第2N値化画像データにおける補正箇所の画素データから、ドットサイズデータへの変換処理が未処理の画素データを選択してステップS514に移行する。
【0103】
ステップS514では、印刷用画像データ生成部15において、画素値変換情報に基づき、ステップS512で選択した画素データをドットサイズデータに変換してステップS516に移行する。
ステップS516では、印刷用画像データ生成部15において、第2N値化画像データにおける補正箇所の全画素データに対してドットサイズデータへの変換処理が完了したか否かを判定し、完了したと判定された場合(Yes)は、ステップS518に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS514に移行する。
【0104】
ステップS518に移行した場合は、印刷用画像データ生成部15において、変換結果に基づき、ドットサイズデータと各ドットの配置位置の情報とを含む印刷用画像データを生成し、一連の処理を終了して元の処理に復帰する。
次に、図9〜図19に基づき、本実施の形態の動作を説明する。
ここで、図9(a)は、縦6画素×横8画素の画像を構成する画像データを示す図であり、(b)は、(a)の画像データから生成される印刷用画像データを示す図である。また、図10は、ノズルのドットサイズに対応したN値化処理用閾値、及び各ドットサイズに対応したN値化処理後の画素値の一例を示す図である。また、図11は、第1N値化処理で用いる誤差拡散マトリクスの一例を示す図である。また、図12は、画素値変換情報の一例を示す図である。また、図13は、画素値変換情報の生成時に用いるベタ画像の一例を示す図である。また、図14は、画素値補正情報の一例を示す図である。また、図15は、画素値補正情報の生成方法の一例を示す図である。また、図16(a)は、図9(b)の印刷用画像データにおける補正箇所の一例を示す図であり、(b)は、(a)に対応するドットサイズデータ変換前の印刷用画像データの一例を示す図であり、(c)は、(b)に示す補正箇所のドットサイズデータを、各ドットサイズに対応するM値の階調数の画素値に変換後の画像データの一例を示す図である。また、図17は、各種印刷用紙に対応した画素値変換情報の一例を示す図である。また、図18(a)は、未処理画像データの一例を示す図であり、(b)は、処理済画像データの一例を示す図である。また、図19(a)及び(b)は、偏重誤差拡散マトリクスの一例を示す図である。また、図20(a)〜(d)は、補正後の画素値に対する第2N値化処理の実行前後の各画素値を示す図であり、(e)は、ドットサイズデータの変換前の印刷用画像データを示す図であり、(f)は、(a)〜(d)に示す第2N値化処理後の処理済印刷用画像データを示す図である。
【0105】
まず、印刷装置100のデータ取得部10において、例えば、印刷指示情報に対応する、RGBの色情報を有した画像データを、印刷指示情報の送信元である外部装置等から取得すると(ステップS102)、データ取得部10は、当該取得した画像データの色情報(RGB)をCMYKに色変換してなるCMYK画像データを生成すると共に、当該CMYK画像データを印刷解像度に合わせて解像度変換し、当該解像度変換後のCMYK画像データを画像データ記憶部12に記憶する(ステップS108)。ここで、当該記憶されたCMYK画像データは、図9(a)に示すように、縦6画素×横8画素の画素の配置構成を有していると共に、各画素の画素値として輝度値(図では、全て「120」(8ビット:256階調))を有しているとする。なお、図9(a)に示す画像は、CMYKの4色のうち、ある一色についての画像である。
【0106】
一方、画像データ記憶部12にCMYK画像データが記憶されると、第1N値化処理部13は、当該CMYK画像データを画像データ記憶部12から取得すると共に、N値化情報記憶部14から第1N値化処理用のN値化情報を取得する(ステップS110)。ここで、第1N値化処理用のN値化情報は、図10に示すように、ノズルの形成可能な4種類のドットサイズに対応したN値化処理用閾値(画素値範囲)、及び各ドットサイズに対応した画素値(N値化処理後の輝度値及び濃度値)と、図11に示すように、誤差拡散マトリクスの情報が含まれている。
【0107】
第1N値化処理部13は、N値化情報を取得すると、上記取得したCMYK画像データから第1N値化処理が未処理の画素データを選択し、まず、当該選択画素データを、図10に示すN値化処理後の4種類の画素値のいずれかに変換する。ここでは、選択画素データの示す画素値が輝度値となっているので、図10に示すように、選択画素データの示す画素値が、「0〜42」の範囲内であれば当該画素値を「0」に変換し、「43〜126」の範囲内であれば当該画素値を「85」に変換し、「127〜210」の範囲内であれば当該画素値を「170」に変換し、「211」以上であれば当該画素値を「255」に変換する。
【0108】
更に、第1N値化処理部13は、N値化処理前の画素値とN値化処理後の画素値との差分値を算出し、当該算出した差分値を誤差として、図11に示す、誤差拡散マトリクスに基づき、選択画素周辺の第1N値化処理が未処理の画素データに分配する。図11に示す例では、選択画素(注目画素)の、右側の画素に誤差の「7/16」の値を、左下の画素に誤差の「3/16」の値を、下側の画素に誤差の「5/16」の値を、右下の画素に誤差の「1/16」の値をそれぞれ分配する。例えば、選択画素データの画素値が「210」である場合は、第1N値化処理により画素値が「170」に変換されるので、誤差は、「210−170=40」と算出される。従って、誤差拡散処理においては、選択画素の右側の画素に「18」を、左下の画素に「8」を、下側の画素に「13」を、右下の画素に「3」を、それぞれ分配(加算)する。なお、小数点以下は四捨五入している。
【0109】
第1N値化処理部13は、上記した第1N値化処理を、CMYK画像データの全画素データに実行して、第1N値化処理後の画素データから構成される第1N値化画像データを生成する。そして、当該生成した第1N値化画像データを、印刷用画像データ生成部15に出力する(ステップS112)。
一方、印刷用画像データ生成部15は、第1N値化処理部13から第1N値化画像データが入力されると(ステップS502の「Yes」の分岐)、画素値補正情報記憶部18から画素値変換情報を取得し、前記第1N値化画像データから、ドットサイズデータへの変換処理が未処理の画素データを選択する(ステップS504)。ここで、画素値変換情報は、図12に示すように、「ドットなし(E)」、「小ドット(S)」、「中ドット(M)」、「大ドット(L)」の4種類のドットサイズデータに対して、階調数256の画素値のうち、それぞれ「255」、「170」、「85」、「0」の4種類の画素値(輝度値)が対応付けられた情報となる。この画素値変換情報は、例えば、図13に示すように、小ドット(S)を100%用いて形成したサンプル画像から測定される輝度値を小ドット(S)に対応付け、同様に、中ドット(M)を100%、及び大ドット(L)を100%用いて形成したサンプル画像から測定される輝度値を、中ドット(M)及び大ドット(L)にそれぞれ対応付けて生成される。
【0110】
印刷用画像データ生成部15は、上記のようにして生成された図12に示す画素値変換情報に基づき、上記選択した画素データ(第1N値化処理後)の輝度値を、当該輝度値に対応するドットサイズデータに変換する(ステップS506)。例えば、選択画素データの輝度値が、「255」であればドットサイズデータ「E」に変換し、「170」であればドットサイズデータ「S」に変換し、「85」であればドットサイズデータ「M」に変換し、「0」であればドットサイズデータ「L」に変換する。上記第1N値化画像データの全画素データに対してドットサイズデータへの変換処理が終了すると(ステップS508の「Yes」の分岐)、当該変換結果のデータに基づき、印刷用画像データを生成する(ステップS510)。ここでは、1つの画素値に対して1つのドットサイズデータが対応するので、各ドットの配置位置は、第1N値化画像データの各画素の配置位置と同様となる。このようにして生成された印刷用画像データは、例えば、図9(b)に示すようになる。図9(b)の例では、ドット無しに対するドットサイズデータが「空白」で示されている。
【0111】
印刷用画像データ生成部15は、印刷用画像データを生成すると、当該印刷用画像データをドットサイズデータ変換部16に出力する。
ドットサイズデータ変換部16は、印刷用画像データ生成部15から印刷用画像データが入力されると(ステップS200の「Yes」の分岐)、当該印刷用画像データの生成元となったCMYK画像データを第1N値化処理部13から取得すると共に、画素値補正情報記憶部18から画素値補正情報(データテーブル)を取得する。そして、前記取得した画像データの各画素値を入力輝度値として、各画素の画素値に対する画素値補正情報が補正量「0」となっているか否かを判定する。例えば、画素値補正情報が、図14に示すように、画素のライン番号及び入力輝度値に対してそれぞれ補正量が設定されたデータテーブルの構成となっているとする。ここで、画素値補正情報は、例えば、図15に示すように、第1N値化画像データにおける第1N値化処理後の各画素のラインの平均濃度値(第1平均濃度値と称す)をそれぞれ算出すると共に、第1N値化処理前の元のCMYK画像データにおける各画素のラインの平均濃度値(第2平均濃度値と称す)をそれぞれ算出し、これら第1平均濃度値と第2平均濃度値との各画素のライン毎の差分を算出し、この算出結果を補正量として生成する。なお、第1N値化処理前の元のCMYK画像データとしては、各階調値に対応した均一輝度のベタ画像のデータを用いている。
【0112】
補正箇所の抽出処理は、上記データテーブルにおいて、各画素のラインの入力輝度値に対して、補正量が「0」以外のものが補正対象の画素となる。例えば、ライン番号「0」の画素のラインに対しては、入力輝度値「0〜255(1刻み)」に対する全ての補正量が「0」となっているので、ライン番号「0」の画素は全て補正対象外と判定される。一方、ライン番号「1」の画素のラインに対しては、例えば、入力輝度値が「120」に対して補正量「9」、「180」に対して補正量「7」等が設定されているので、このように補正量が設定されている画素は全て補正対象と判定され、これらの位置情報が抽出される(ステップS202)。そして、抽出された位置情報に基づき、図16(a)に示すように、補正対象の画素位置(図中の網掛け部)が解る補正箇所情報を生成する(ステップS204)。本実施の形態においては、画素データの各画素位置と、印刷用画像データの各ドットサイズデータの位置とが対応しているので簡易に位置情報を抽出することができる。
【0113】
また、図16(a)に示すように、印刷ヘッド200は、1つのノズルモジュールに着目すると、ノズル配列方向に対して垂直方向に各ノズルがドットを形成するようになっており、また、ラインヘッドであるため、各画素のラインは、1つのノズルが印刷(ドットの形成)を担当するようになっている。なお、印刷ヘッド200の各ノズルモジュールにおける各ノズルの配列方向が、画素のラインに直交する方向ではなく、斜め方向となっている場合は、ドットの形成方向はノズル配列方向に対して垂直方向とはならない。このことは、後で詳述する。
【0114】
補正箇所情報が生成されると、ドットサイズデータ変換部16は、補正箇所情報から図16(b)に示すように、印刷用画像データにおける補正対象のドットサイズデータの位置(図中の網掛け部)が解るので、画素値補正情報記憶部18から画素値変換情報を取得し、当該画素値変換情報に基づき、ライン番号1、2及び4の各画素のラインを構成するドットサイズデータの中から変換処理が未処理のドットサイズデータを選択し(ステップS206)、当該選択したドットサイズデータを、各ドットサイズに対応する画素値へと変換する(ステップS208)。本実施の形態において、画素値変換情報は、印刷用画像データ生成部15において、第1N値化画像データから印刷用画像データを生成するときに用いた図12に示すものとは別に、印刷に用いる媒体の種類に応じて、例えば、図17(a)に示す、光沢紙に印刷する場合に用いる画素値変換情報と、図17(b)に示す、普通紙に印刷する場合に用いる画素値変換情報がある。ここでは、例えば、媒体が光沢紙でも普通紙でもないため、図12に示す画素値変換情報を用いてドットサイズデータの変換処理を行う。このように、図12に示す画素値変換情報を用いて変換処理を行うと、その変換結果は、図16(c)に示すようになる。つまり、補正箇所のドットサイズデータが、「ドットなし(E)」は「255」に、「S」は「170」に、「M」は「85」にそれぞれ変換されたものとなる。ドットサイズデータ変換部16は、補正箇所のドットサイズデータを全て画素値に変換すると(ステップS210の「Yes」の分岐)、この変換後の画素値と変換されなかったドットサイズデータとが混在するデータを、未処理画像データとして画素値補正部17に出力する。このとき、第1N値化処理部13から取得したCMYK画像データも出力する。
【0115】
画素値補正部17は、ドットサイズデータ変換部16から未処理画像データ及びCMYK画像データが入力されると(ステップS300の「Yes」の分岐)、画素値補正情報記憶部18から画素値補正情報(ここでは、図14の画素値補正情報)を取得すると共に、未処理画像データにおける補正対象の画素データ(上記ライン番号1、2、4を構成する画素データ)から、補正処理が未処理の画素データを選択する(ステップS302)。そして、選択した画素データと同じ画素位置のCMYK画像データの画素値を取得し、これを入力輝度値とする。そして、この入力輝度値とこの画素のライン番号とから、選択画素データに対応する補正量を画素値補正情報(データテーブル)から取得し(ステップS304)、当該取得した補正量を選択画素データの画素値に加算して画素値を補正する(ステップS306)。例えば、選択画素データがライン番号1で、対応する入力輝度値が「120」である場合は、図14に示すように、画素値補正情報から補正量「9」が取得され、この「9」が選択画素データの画素値に加算される。この画素値補正処理を、補正対象の全画素データに対して完了すると(ステップS308の「Yes」の分岐)、この補正結果は、図18(b)に示すようになる。なお、図18(a)は、図16(c)と同じ内容の未処理画像データであり、この未処理画像データの補正後である図18(b)と対比すると解るように、ライン番号4の画素値の中には画素値が減少しているものがある。このように画素値が減少するものは、画素値補正情報において補正量としてマイナス値が設定されている。画素値補正部17は、このようにして生成された、ドットサイズデータと、補正後の画素値とが混在するデータを、補正済画像データとして、第2N値化処理部19に出力する。
【0116】
一方、第2N値化処理部19は、画素値補正部17から補正済画像データが入力されると(ステップS400の「Yes」の分岐)、N値化情報記憶部14から第2N値化処理用のN値化情報を取得する(ステップS402)。ここで、第2N値化処理用のN値化情報は、図10に示す、印刷ヘッド200のノズルが形成可能な4種類のドットサイズに対応したN値化処理用閾値(画素値範囲)、及び各ドットサイズに対応したN値化処理後の画素値(輝度値及び濃度値)と、図19(a)及び(b)に示す、画素列方向に誤差の分配量が偏った偏重誤差拡散マトリクスを含んだものとなる。
【0117】
第2N値化処理部19は、補正済画像データにおける補正後の画素が連続する領域を判定し、その領域における第2N値化処理が未処理の画素データを選択する(ステップS402)。図18(b)に示すように、補正済画像データは、ライン番号1、2及び4の3列の画素列に対して補正処理が施されているので、このような場合は、ライン番号1及び2の連続する画素列で1つの連続領域、ライン番号4の画素列で1つの連続領域と判定し、これら2つの連続領域のそれぞれの範囲内において第2N値化処理及び誤差拡散処理を実行する(ステップS406,S408)。つまり、第2N値化処理部19は、図20(a)に示すように、図18(b)に示す処理済画像データのライン番号1及び2の画素列の各画素値を、図10に基づきN値の階調数の画素値に変換すると共に、図19(b)示す偏重誤差拡散マトリクスを用いて誤差拡散処理を施し、図20(b)に示すN値化処理結果を得る。この第2N値化処理及び誤差拡散処理は、上記第1N値化処理部13と同様の処理となり、N値化処理を実行する範囲と、誤差拡散マトリクスの特性が異なるだけである。ここで、図19(b)に示す偏重誤差拡散マトリクスは、選択画素(注目画素)の、右側の画素に誤差の「7/10」の値を分配し、左下、下側、右下の画素にそれぞれ誤差の「1/10」の値を分配するようにマトリクスが構成されている。例えば、選択画素データの画素値が「189」である場合は、N値化により画素値が「170」に変換されるので、誤差は、「189−170=19」と算出される。従って、誤差拡散処理においては、選択画素の右側の画素に誤差「13」を、左下、下側、右下の画素に誤差「2」をそれぞれ分配(加算)する。なお、小数点以下は四捨五入している。つまり、選択画素の右側は、画素列方向となるので、誤差のほとんどが画素列方向へと伝搬され、その残りが連続する下側の画素列の画素に分配される。但し、図20(a)の例では、画素列が2列しかないので、ライン番号2の画素列においては、下側の画素に分配する分が無駄となる。このように、連続領域の範囲内のみにおいて且つ画素列方向に多めに誤差を拡散するので、補正により増加した分の画素値が無駄なく分配されるようになる。同様に、図20(c)に示すように、図18(b)に示す処理済画像データのライン番号4の画素列の各画素値を、図10に基づきN値の階調数の画素値に変換すると共に、図19(a)に示す偏重誤差拡散マトリクスを用いて誤差拡散処理を施し、図20(d)に示すN値化処理結果を得る。ここで、図19(b)に示す偏重誤差拡散マトリクスは、選択画素(注目画素)の、右側の画素に誤差を100%を分配するマトリクス構成をしており、図20(c)に示すように、連続領域が1画素列のときに用いることで、連続領域内において誤差のほとんどが分配される。これにより、補正により増加した分の画素値が無駄なく分配されるようになる。もちろん、連続する2列以上の画素列から構成される連続領域に対して、図19(a)及び(b)の偏重誤差拡散マトリクスを両方用いるようにしても良い。つまり、最後の画素列に対しては、図19(a)に示す偏重誤差拡散マトリクスを用い、それ以外の画素列に対しては図19(b)に示す偏重誤差拡散マトリクスを用いて誤差拡散処理を行うことで、補正により増加した分の画素値がより無駄なく分配されるようになる。
【0118】
第2N値化処理部19は、図10及び図19に示す情報を含む第2N値化処理用のN値化情報を用いたN値化処理(第2N値化処理)が、処理対象の全画素データに対して完了すると(ステップS410の「Yes」の分岐)、このドットサイズデータと、第2N値化処理後の画素値とが混在したデータを、第2N値化画像データとして、印刷用画像データ生成部15に出力する。
【0119】
印刷用画像データ生成部15は、第2N値化処理部19から第2N値化画像データが入力されると(ステップS502の「No」の分岐)、画素値補正情報記憶部18から画素値変換情報を取得し、前記第2N値化画像データにおける補正箇所の画素データから、ドットサイズデータへの変換処理が未処理の画素データを選択する(ステップS512)。
そして、図12に示す画素値変換情報に基づき、上記選択した画素データ(N値化処理後)の輝度値を、上記第1N値化画像データのときと同様に、当該輝度値に対応するドットサイズデータに変換する(ステップS514)。上記第2N値化画像データにおける補正対象の全画素データに対してドットサイズデータへの変換処理が完了すると(ステップS516の「Yes」の分岐)、当該変換結果のデータに基づき、補正済印刷用画像データを生成する(ステップS518)。このようにして生成された補正済印刷用画像データは、図20(f)に示すように、図20(e)に示す補正処理前の印刷用画像データと比較して、一部ドットサイズが異なったものとなる(図中の○で囲った部分)。
【0120】
更に、印刷用画像データ生成部15は、上記生成した補正済印刷用画像データを印刷部20に出力する。
一方、印刷部20は、印刷用画像データ生成部15から出力された印刷用画像データを取得し、当該取得した印刷用画像データに基づき、印刷ヘッド200を用いて媒体上に、各画素値に対応したドットサイズのドットを形成(印刷)する(ステップS124)。
【0121】
次に、印刷装置100のデータ取得部10において、印刷用画像データを直接取得した場合について説明する。この場合、データ取得部10は、印刷指示情報の送信元である外部装置等から印刷用画像データ及びこれに対応する補正指示情報を取得すると(ステップS102)、当該取得した印刷用画像データ及び補正指示情報を印刷用画像データ記憶部11に記憶する(ステップS104の「No」の分岐)。一方、印刷用画像データ記憶部11に印刷用画像データ及び補正指示情報が記憶されると、ドットサイズデータ変換部16は、印刷用画像データ記憶部11から印刷用画像データ及び補正指示情報を取得し、更に、画素値補正情報記憶部18から画素値補正情報(データテーブル)を取得する。そして、前記補正指示情報(例えば、CMYK画像データそのもの)の有する各画素のラインを構成する画素に対応した画素値を入力輝度値として、各画素の画素値補正情報が補正量「0」となっているか否かを判定する。以降は、上記したデータ取得部10で画像データを取得した場合と同様に、補正箇所に対するドットサイズデータの変換処理、画素値補正処理、第2N値化処理及び補正済印刷用画像データの生成処理が順次実行される。つまり、データ取得部10で画像データを取得した場合は、印刷用画像データの生成元であるCMYK画像データではなく、印刷用画像データに対応する補正指示情報に基づき、上記データ取得部10で画像データを取得した場合と同様に各種処理が実行される。
【0122】
以上、本実施の形態の印刷装置100は、ドットサイズデータ及びその配置位置のデータを含む印刷用画像データに対して、まず、補正対象箇所を判定し、当該判定した補正対象箇所のドットサイズデータのみを各ドットサイズに対応する画素値に変換し、この変換後の画素値に対して補正処理を施すようにしたので、3種類以上のドットサイズに対応している印刷用画像データに対しても適切な補正処理を行うことが可能である。
【0123】
また、上記補正処理後の画素値のみに対して、N値化処理を施してN値化画像データを生成し、当該N値化画像データから印刷用画像データを生成するようにしたので、全てのドットサイズデータを画素値変換し、この変換後の画素値に対して、補正処理、N値化処理及び補正済印刷用画像データ生成処理を行うよりも処理量を低減することが可能である。更に、N値化処理後の印刷用画像データに対して必要な箇所だけ画素値を補正することになるので、元々のドット配置位置を活かした補正を行うことが可能である。
【0124】
また、補正処理後の画素値に対して、偏重誤差拡散マトリクスを用い、且つ補正後の画素データが連続する領域の範囲内に対してのみ誤差拡散処理を実行するようにしたので、連続する領域内において、画素列方向に多めに誤差が分配されるようになるので、補正処理後の画素値に対してN値化処理を行った際に発生する誤差を無駄なく拡散(分配)することが可能である。
【0125】
上記実施の形態において、印刷用画像データ記憶部11は、形態1又は20の印刷用画像データ記憶手段に対応し、画像データ記憶部12は、形態2又は21の画像データ記憶手段に対応し、第1N値化処理部13及びN値化情報記憶部14による画像データから第1N値化画像データを生成する処理は、形態2又は21の補正前画素値N値化手段に対応し、印刷用画像データ生成部15は、形態1、2、20及び21のいずれか1の印刷用画像データ生成手段に対応し、ドットサイズデータ変換部16におけるドットサイズデータを画素値に変換する処理は、形態1、3、20及び22のいずれか1のドットサイズデータ変換手段に対応し、ドットサイズデータ変換部16における補正箇所情報を生成する処理は、形態3又は22の補正箇所情報生成手段に対応し、画素値補正部17は、形態1又は20の画素値補正手段に対応し、画素値補正情報記憶部18は、形態1又は20の画素値補正情報記憶手段に対応し、第2N値化処理部19及びN値化情報記憶部14による補正済画像データから第2N値化画像データを生成する処理は、形態1、4、5、20、23及び24のいずれか1の補正後画素値N値化手段に対応し、印刷部20は、形態1の印刷手段に対応する。
【0126】
また、上記実施の形態において、ステップS110〜S112は、形態8、15、27及び34のいずれか1の補正前画素値N値化ステップに対応し、ステップS114及びステップS122は、形態7、8、14、15、26、27、33及び34のいずれか1の印刷用画像データ生成ステップに対応し、ステップS116は、形態7、9、14、16、26、28、33及び35のいずれか1のドットサイズデータ変換ステップに対応し、ステップS118は、形態7、14、26及び33のいずれか1の画素値補正ステップに対応し、ステップS120は、形態7、10、11、14、17、18、26、29、30、33、36及び37のいずれか1の補正後画素値N値化ステップに対応し、ステップS124は、形態7又は14の印刷ステップに対応する。
【0127】
なお、上記実施の形態における印刷装置100の特徴は、既存の印刷装置そのものには殆ど手を加えることなくその印刷部の特性に合わせて画素値変換処理及び画素値補正処理を行うようにしたため、印刷部20として特に専用のものを用意する必要はなく、従来から既存のインクジェット方式のプリンタをそのまま利用するができる。また、上記実施の形態における印刷装置100から印刷部20を分離すれば、その機能はPCなどの汎用の印刷指示端末(印刷用画像データ生成装置)のみで実現することも可能となる。
【0128】
また、上記実施の形態においては、補正箇所の位置情報を全て含む補正箇所情報を生成するようにしているが、これに限らず、補正箇所の位置情報が抽出されるごとに、順次その補正箇所のドットサイズデータを画素値に変換するようにしても良い。
また、上記実施の形態における印刷装置100は、ラインヘッド型のインクジェットプリンタのみならず、マルチパス型のインクジェットプリンタにも適用可能であり、ラインヘッド型のインクジェットプリンタであれば、濃度ムラが殆ど目立たない高品質の印刷物を1パスで得ることが可能となり、また、マルチパス型のインクジェットプリンタであれば、往復動作回数を減らすことができるため、従来よりも高速印刷が可能となる。
【0129】
図21(A)〜(C)は、ラインヘッド型のインクジェットプリンタとマルチパス型のインクジェットプリンタとによるそれぞれの印刷方式を示したものである。
同図(A)に示すように、矩形状の印刷用紙Sに図示の画像を印刷する場合に、同図(B)に示すように、印刷用紙Sの幅方向を画像データのノズル配列方向、長手方向を画像データのノズル配列方向に対して垂直方向とした場合、ラインヘッド型のインクジェットプリンタでは、印刷ヘッド200がその印刷用紙Sの紙幅分の長さを有しており、この印刷ヘッド200を固定し、この印刷ヘッド200に対して前記印刷用紙Sをノズル配列方向に対して垂直方向に移動させることでいわゆる1パス(動作)で印刷を完了するようにしている。なお、いわゆるフラットベット式のスキャナのように印刷用紙Sを固定し、印刷ヘッド200側をそのノズル配列方向に対して垂直方向に移動させたり、あるいは両方をそれぞれ反対方向に移動させながら印刷を行うことも可能である。これに対し、マルチパス型のインクジェットプリンタは、同図(C)に示すように、印刷用紙Sの長手方向を画像データのノズル配列方向、幅方向を画像データのノズル配列方向に対して垂直方向とした場合、紙幅分の長さに比べてはるかに短い印刷ヘッド200をノズル配列方向に位置させ、これをノズル配列方向に対して垂直方向に何度も往復動させながら印刷用紙Sを所定のピッチずつノズル配列方向に移動させることで印刷を実行するようにしている。従って、後者のマルチパス型のインクジェットプリンタの場合は、前者のラインヘッド型のインクジェットプリンタに比べて印刷時間がかかるといった欠点がある反面、任意の箇所に印刷ヘッド200を繰り返し位置させることができることから前述したようなバンディング現象のうち特に白スジ現象の軽減については、ある程度の対応が可能となっている。
【0130】
また、上記実施の形態ではインクをドット状に吐出して印刷を行うインクジェットプリンタを例に説明したが、本発明は、印字機構がライン状に並んだ形態の印刷ヘッドを用いた他の印刷装置、例えば熱転写プリンタまたは感熱式プリンタなどと称されるサーマルヘッドプリンタについても適用可能である。
また、図3では、印刷ヘッド200の各色ごとに設けられた各ノズルモジュール50、52,54,56は、その印刷ヘッド200の長手方向に直線状にノズルNが連続した形態となっているが、図22に示すように、これら各ノズルモジュール50、52,54,56をそれぞれ複数の短尺のノズルユニット50a、50b、…50nで構成し、これを印刷ヘッド200の移動方向の前後に配列するように構成しても良い。特に、このように各ノズルモジュール50、52,54,56ごとに複数の短尺のノズルユニット50a、50b、…50nで構成すれば、各ノズルユニット50a、50b、…50nの個々の長さを短くしたヘッドを用いて長尺のノズルモジュールを構成することが可能になるので、ノズルモジュールの製造の歩留まりを高くすることが可能になる。
【0131】
また、これまでは、複数のノズルを矩形状の印刷用紙の幅方向と同方向に直線状に配列し、当該幅方向を「ノズル配列方向」、前記矩形状の印刷用紙の長手方向を「ノズル配列方向に対して垂直方向」としたラインヘッド型の印刷ヘッド、前記長手方向と同方向に複数のノズルを配列し、当該長手方向を「ノズル配列方向」、矩形状の印刷用紙の幅方向を「ノズル配列方向に対して垂直方向」とした短尺のマルチパス型の印刷ヘッドなど、「ノズル配列方向」と「印字方向(紙搬送方向)」とが垂直又はほぼ垂直となる構成の印刷ヘッドについて説明してきたが、これに限らず、短尺のノズルモジュールを複数配列した印刷ヘッド、「ノズル配列方向」と「印字方向」とが垂直又はほぼ垂直とならない印刷ヘッドなど他の構成の印刷ヘッドもある。
【0132】
以下、図23及び図24に基づき、ラインヘッド型の印刷ヘッド及びマルチパス型の印刷ヘッドの構成例をいくつか説明する。ここで、図23(a)〜(d)は、ラインヘッド型プリンタの印刷ヘッドの構成例を示す図である。また、図24(a)〜(d)は、マルチパス型プリンタの印刷ヘッドの構成例を示す図である。
まず、ラインヘッド型の印刷ヘッドの構成例について説明する。
【0133】
図23(a)の構成例は、上記第1及び第2の実施の形態において用いた、複数のノズルを矩形状の印刷用紙Sの幅方向と同方向に直線状に配列し、当該幅方向を「ノズル配列方向」、印刷用紙Sの長手方向を「ノズル配列方向に対して垂直方向」とした長尺の(幅方向と同等の長さ又は幅方向よりも長い)印刷ヘッドである。この構成例の場合は、「ノズル配列方向に対して垂直方向」と「印字方向(紙搬送方向)」とが同方向となる。つまり、「ノズル配列方向」と「印字方向」とが垂直(又はほぼ垂直)となる。一方、図23(b)の構成例は、「ノズル配列方向」と印刷用紙Sの幅方向とが同方向ではなく、幅方向に対して斜め方向に複数のノズルが配列された構成の長尺の印刷ヘッドである。この構成例の場合は、「ノズル配列方向に対して垂直方向」と「印字方向」とが同方向とはならず、「各ノズルが連続して印刷する方向」が「印字方向」となる。つまり、「ノズル配列方向」と「印字方向(紙搬送方向)」とが垂直(又はほぼ垂直)とはならない。従って、印刷用紙Sの長手方向は、「各ノズルが連続して印刷する方向」となり、印刷用紙Sの幅方向は、「ノズル配列方向」ではなく、「各ノズルが連続して印刷する方向に対して垂直方向」となる。このように印字方向とは垂直方向となる幅方向に対してノズル配列方向を斜めにすれば、高解像度の画像を得ることができることが分かっている。
【0134】
また、図23(c)の構成例は、複数のノズルを矩形状の印刷用紙Sの幅方向と同方向に直線状に配列した短尺のノズルモジュールを、一直線ではなく幅方向に互い違いに複数配設した構成の印刷ヘッドである。この構成例は、単体のノズルモジュールを複数のノズルモジュールに分けた構成であり、図23(a)の構成例と同等の構成となるので、「ノズル配列方向」は印刷用紙Sの幅方向、「ノズル配列方向に対して垂直方向」は印刷用紙Sの長手方向且つ「印字方向」となる。一方、図23(d)の構成例は、図23(b)の構成例と同様に、印刷用紙Sの幅方向に対して斜め方向に複数のノズルが配列された構成の印刷ヘッドである。但し、図23(d)の構成例では、斜め方向に複数のノズルが配列された短尺のノズルモジュールを印刷用紙Sの幅方向に、当該幅方向に対して斜めの状態で複数配設した構成となっている。この構成例は、単体のノズルモジュールを複数のノズルモジュールに分けた構成であり、図23(b)の構成例と同等の構成となるので、印刷用紙Sの長手方向は、「各ノズルが連続して印刷する方向」となり、印刷用紙Sの幅方向は、「各ノズルが連続して印刷する方向に対して垂直方向」となる。
【0135】
次に、マルチパス型の印刷ヘッドの構成例について説明する。
図24(a)の構成例は、矩形状の印刷用紙Sの長手方向と同方向に複数のノズルを配列し、当該長手方向を「ノズル配列方向」、印刷用紙Sの幅方向を「ノズル配列方向に対して垂直方向」とした短尺の印刷ヘッドである。この構成例の場合は、「ノズル配列方向に対して垂直方向」と「印字方向(紙搬送方向)」とが同方向となる。つまり、「ノズル配列方向」と「印字方向」とが垂直(又はほぼ垂直)となる。また、印刷ヘッドの進行方向は、同図(a)に示すように、印刷ヘッドが印刷用紙Sの幅方向に対して往復動する。一方、図24(b)の構成例は、「ノズル配列方向」と印刷用紙Sの長手方向とが同方向ではなく、長手方向に対して斜め方向に複数のノズルが配列された構成の短尺の印刷ヘッドである。この構成例の場合は、「ノズル配列方向に対して垂直方向」と「印字方向」とが同方向とはならず、「各ノズルが連続して印刷する方向」が「印字方向」となる。つまり、「ノズル配列方向」と「印字方向(紙搬送方向)」とが垂直(又はほぼ垂直)とはならない。従って、印刷用紙Sの幅方向は、「ノズル配列方向」ではなく、「各ノズルが連続して印刷する方向」となり、印刷用紙Sの長手方向は、「各ノズルが連続して印刷する方向に対して垂直方向」となる。このように印字方向とは垂直方向となる長手方向に対してノズル配列方向を斜めにすれば、高解像度の画像を得ることができることが分かっている。
【0136】
また、図24(c)の構成例は、複数のノズルを矩形状の印刷用紙Sの長手方向と同方向に直線状に配列した短尺のノズルモジュールを、一直線ではなく幅方向に互い違いに複数配設した構成の短尺の印刷ヘッドである。この構成例は、単体のノズルモジュールを複数のノズルモジュールに分けた構成であり、図24(a)の構成例と同等の構成となるので、「ノズル配列方向」は印刷用紙Sの幅方向、「ノズル配列方向に対して垂直方向」は印刷用紙Sの長手方向且つ「印字方向」となる。一方、図24(d)の構成例は、図24(b)の構成例と同様に、印刷用紙Sの長手方向に対して斜め方向に複数のノズルが配列された構成の短尺の印刷ヘッドである。但し、図24(d)の構成例では、斜め方向に複数のノズルが配列されたより短尺のノズルモジュールを印刷用紙Sの長手方向に、当該長手方向に対して斜めの状態で複数配設した構成となっている。この構成例は、単体のノズルモジュールを複数のノズルモジュールに分けた構成であり、図24(b)の構成例と同等の構成となるので、印刷用紙Sの幅方向は、「各ノズルが連続して印刷する方向」となり、印刷用紙Sの長手方向は、「各ノズルが連続して印刷する方向に対して垂直方向」となる。
【0137】
上記説明した図23(a)及び(c)に示すラインヘッド型の印刷ヘッド及び上記説明した図24(a)及び(c)に示すマルチパス型の印刷ヘッドなどのように、「ノズル配列方向」と「印字方向」とが垂直となる構成の印刷ヘッドだけでなく、上記説明した図23(b)及び(d)に示すラインヘッド型の印刷ヘッド及び上記説明した図24(b)及び(d)に示すマルチパス型の印刷ヘッドなどのように、「ノズル配列方向」と「印字方向」とが垂直とならない構成の印刷ヘッドに対しても本発明を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本発明に係る印刷装置100の構成を示すブロック図である。
【図2】コンピュータシステムのハードウェア構成を示す図である。
【図3】本発明の印刷ヘッド200の構造を示す部分拡大底面図である。
【図4】印刷装置100における印刷処理を示すフローチャートである。
【図5】ドットサイズデータ変換部16のドットサイズデータ変換処理を示すフローチャートである。
【図6】画素値補正部17における画素値補正処理を示すフローチャートである。
【図7】第2N値化処理部19における第2N値化処理を示すフローチャートである。
【図8】印刷用画像データ生成部15における印刷用画像データ生成処理を示すフローチャートである。
【図9】(a)は、縦6画素×横8画素の画像を構成する画像データを示す図であり、(b)は、(a)の画像データから生成される印刷用画像データを示す図である。
【図10】ノズルのドットサイズに対応したN値化処理用閾値、及び各ドットサイズに対応したN値化処理後の画素値の一例を示す図である。
【図11】第1N値化処理で用いる誤差拡散マトリクスの一例を示す図である。
【図12】画素値変換情報の一例を示す図である。
【図13】画素値変換情報の生成時に用いるベタ画像の一例を示す図である。
【図14】画素値補正情報の一例を示す図である。
【図15】画素値補正情報の生成方法の一例を示す図である。
【図16】(a)は、図9(b)の印刷用画像データにおける補正箇所の一例を示す図であり、(b)は、(a)に対応するドットサイズデータ変換前の印刷用画像データの一例を示す図であり、(c)は、(b)に示す補正箇所のドットサイズデータを画素値に変換後の印刷用画像データの一例を示す図である。
【図17】各種印刷用紙に対応した画素値変換情報の一例を示す図である。
【図18】(a)は、未処理画像データの一例を示す図であり、(b)は、処理済画像データの一例を示す図である。
【図19】(a)及び(b)は、偏重誤差拡散マトリクスの一例を示す図である。
【図20】(a)〜(d)は、補正後の画素値に対する第2N値化処理の実行前後の各画素値を示す図であり、(e)は、ドットサイズデータの変換前の印刷用画像データを示す図であり、(f)は、(a)〜(d)に示す第2N値化処理後の処理済印刷用画像データを示す図である。
【図21】(A)〜(C)は、マルチパス型のインクジェットプリンタとラインヘッド型のインクジェットプリンタとによる印刷方式の違いを示す説明図である。
【図22】印刷ヘッドの構造の他の例を示す概念図である。
【図23】(a)〜(d)は、ラインヘッド型プリンタの印刷ヘッドの構成例を示す図である。
【図24】(a)〜(d)は、マルチパス型プリンタの印刷ヘッドの構成例を示す図である。
【図25】画素値補正における目標値の説明図である。
【符号の説明】
【0139】
100…印刷装置、200…印刷ヘッド、10…データ取得部、11…印刷用画像データ記憶部、12…画像データ記憶部、13…第1N値化処理部、14…N値化情報記憶部、15…印刷用画像データ生成部、16…ドットサイズデータ変換部、17…画素値補正部、18…画素値補正情報記憶部、19…第2N値化処理部、20…印刷部、60…CPU、62…RAM、64…ROM、66…インターフェース、70…記憶装置、72…出力装置、74…入力装置、50…ブラックノズルモジュール、52…イエローノズルモジュール、54…マゼンタノズルモジュール、56…シアンノズルモジュール、S…印刷用紙、L…ネットワークケーブル、N…ノズル
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ装置や複写機、OA機器用の印刷装置等に用いられる印刷装置および印刷装置制御プログラム並びに印刷装置制御方法に係り、特に、複数色のドットを印刷用紙(記録材)上に形成して、所定の文字や画像を印刷するのに好適な印刷装置、印刷装置制御プログラム及び印刷装置制御方法、並びに印刷用画像データ生成装置、印刷用画像データ生成プログラム及び印刷用画像データ生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷ヘッドを構成する、インクジェットプリンタのノズルや、熱昇華型プリンタの加熱素子等の印刷素子を、均一な精度で製造することが困難なことから、印刷素子の特性にバラツキが生じる。このような特性のバラツキは、例えば、各ノズルのインク吐出量やインクの着弾位置にバラツキを生じさせ、その結果、同一濃度のベタ画像などの印刷結果において濃度の濃い部分と薄い部分とが生じる、所謂濃度むらが発生する。
【0003】
このような濃度むらを補正して、印刷画質を向上する技術として、例えば、特許文献1に記載の画像形成装置がある。
特許文献1の画像形成装置は、記録素子による画像形成に先立って、濃度ムラ補正データに基づき2値画像データに対して濃度ムラ補正を行うことで、2値化処理に依存しない濃度ムラ補正を行うようにしたものである。
【特許文献1】特開2000−52571号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の従来技術においては、ドットのオンオフだけを示す2値画像データについてしか述べられておらず、3値以上の多値の画像データについては具体的な処理方法の記載が一切ない。
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、多値化(N値化(N≧2))処理に依存しない印刷画像の補正を行うのに好適な印刷装置、印刷装置制御プログラム及び印刷装置制御方法、並びに印刷用画像データ生成装置、印刷用画像データ生成プログラム及び印刷用画像データ生成方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
〔形態1〕 上記目的を達成するために、形態1の印刷装置は、
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な印刷素子を有する印刷ヘッドを備え、当該印刷ヘッドによって前記媒体に画像を印刷する印刷装置であって、
M(M≧3)値の階調数の画素値を有する画像データの各画素値に対応するドットサイズ及びドット配置位置のデータを含む印刷用画像データを記憶する印刷用画像データ記憶手段と、
前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報に基づき、前記印刷用画像データにおける各ドットサイズのデータを、当該各ドットサイズに対応する前記M値の階調数の画素値に変換するドットサイズデータ変換手段と、
前記印刷素子の形成するドットに対応する画素値を補正するための画素値補正情報を記憶する画素値補正情報記憶手段と、
前記画素値補正情報に基づき、前記ドットサイズデータ変換手段で変換後の画素値を補正する画素値補正手段と、
前記画素値補正手段で補正後の各画素値をN(M>N≧2)値の階調数の画素値に変換する補正後画素値N値化手段と、
前記補正後画素値N値化手段で変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記印刷用画像データを生成する印刷用画像データ生成手段と、
前記印刷用画像データに基づき、前記印刷ヘッドを用いて前記媒体に前記画像を印刷する印刷手段と、を備えることを特徴としている。
【0006】
このような構成であれば、印刷用画像データ記憶手段によって、M(M≧3)値の階調数の画素値を有する画像データの各画素値に対応するドットサイズ及びドット配置位置のデータを含む印刷用画像データを記憶することが可能であり、ドットサイズデータ変換手段によって、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報に基づき、前記印刷用画像データにおける各ドットサイズのデータを、当該各ドットサイズに対応する前記M値の階調数の画素値に変換することが可能であり、画素値補正情報記憶手段によって、前記印刷素子の形成するドットに対応する画素値を補正するための画素値補正情報を記憶することが可能であり、画素値補正手段によって、前記画素値補正情報に基づき、前記ドットサイズデータ変換手段で変換後のM値の階調数の画素値を補正することが可能である。
【0007】
更に、補正後画素値N値化手段によって、前記画素値補正手段で補正後のM値の階調数の各画素値をN(M>N≧2)値の階調数の画素値に変換することが可能であり、印刷用画像データ生成手段によって、前記補正後画素値N値化手段で変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記印刷用画像データを生成することが可能である。
【0008】
尚更に、印刷手段によって、前記印刷用画像データに基づき、前記印刷ヘッドを用いて前記媒体に前記画像を印刷することが可能である。
従って、画像データの各画素値に対応するドットサイズ及びドット配置位置のデータを含む印刷用画像データの各ドットサイズデータを、例えば、印刷装置の機種毎あるいは印刷する媒体の種類毎に予め設定されている、M値の階調数の画素値とドットサイズとの関係を示す情報に基づき、それぞれのドットサイズに対応するM値の階調数の画素値へと変換し、その変換した画素値からなる画像データに対して補正処理を行うようにしたので、ドットのオンオフだけの2値画像データだけではなく、3種類以上のドットサイズのデータを含む印刷用画像データに対しても適切な補正処理を行うことができるという効果が得られる。また、補正前のドット配置が活かされた補正処理を実行することができるので、補正処理による粒状性の悪化を低減することができるという効果が得られる。
【0009】
ここで、上記「ドット」とは、例えば、1または複数のノズルから吐出されたインクが印刷媒体に着弾して形成される1つの領域をいう。また、「ドット」は面積が「ゼロ」ではなく、一定の大きさ(面積)をもつことは勿論、大きさごとに複数種類存するものである。但し、インクを吐出して形成されたドットは必ずしも真円になるとは限らない。例えば、楕円形などの真円以外の形状でドットが形成された場合は、その平均的な径をドット径として扱ったり、ある量のインクを吐出して形成されたドットの面積と等しい面積を有する真円の等価ドットを想定し、該等価ドットの径をドット径として扱ったりすることもある。また、濃度の異なるドットの打ち分け方法としては、例えば、ドットの大きさが同じで濃度が異なるドットを打つ方法、濃度が同じで大きさの異なるドットを打つ方法、濃度が同じでインクの吐出量が異なるドットであり、重ね打ちにより濃度を異ならせる方法などが考えられる。また、1つのノズルから吐出された1つのインク滴が分離して着弾してしまった場合も1つのドットとするが、2つのノズルまたは1つのノズルから時間を前後して形成された2つ以上のドットがくっついてしまった場合は、2つのドットが形成されたものとする。以下、「印刷装置制御プログラム」に関する形態、「印刷装置制御方法」に関する形態、「印刷用画像データ生成装置」に関する形態、「印刷用画像データ生成プログラム」に関する形態、「印刷用画像データ生成方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである。
【0010】
また、上記「印刷用画像データ記憶手段」は、印刷用画像データをあらゆる手段でかつあらゆる時期に記憶するものであり、例えば、本装置の動作時に、外部装置から入力された印刷用画像データを記憶したり、LANやWAN等のネットワークを介して外部装置から受信した印刷用画像データを記憶したり、印刷装置の有するCDドライブ、DVDドライブなどの駆動装置を介して入力されたCD−ROM、DVD−ROMなどの記録媒体に記録された印刷用画像データを記憶したりなどする。以下、「印刷装置制御プログラム」に関する形態、「印刷装置制御方法」に関する形態、「印刷用画像データ生成装置」に関する形態、「印刷用画像データ生成プログラム」に関する形態、「印刷用画像データ生成方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである。
【0011】
また、上記「画素値補正情報記憶手段」は、画素値補正情報をあらゆる手段でかつあらゆる時期に記憶するものであり、画素値補正情報をあらかじめ記憶してあるものであってもよいし、画素値補正情報をあらかじめ記憶することなく、本装置の動作時に外部からの入力等によって画素値補正情報を記憶するようになっていてもよい。また、画素値補正情報は、例えば、印刷ヘッドを構成する各印刷素子の形成するドットの各階調値の目標値に対する画素値の補正量の情報などから構成される。画素値補正情報は、予め実験等により測定され、例えば、印刷ヘッドを用いて各階調のベタ画像を印刷し、その印刷結果をスキャナ等の光学式読取装置で読み取り、読み取った画像の濃度値を測定して、その測定値に基づき決定する。また、前記目標値は、例えば、図25に示すようなベタ画像における、図中の点線の丸で囲った領域以上の比較的広い領域の濃度又は輝度の平均値となる。図25に示すベタ画像の例では、飛行曲がりによるスジが2本発生しているが、比較的広い領域の平均値を目標値とするので問題なくなる。このようにして決定した目標値となるように、全てのラインに対して補正を行う。また、画素値補正情報は、例えば、ノズルの番号(画素のライン番号)及び目標値に対応付けて記憶するといったように、データテーブルの形式で記憶するようにしてもよい。以下、「印刷装置制御プログラム」に関する形態、「印刷装置制御方法」に関する形態、「印刷用画像データ生成装置」に関する形態、「印刷用画像データ生成プログラム」に関する形態、「印刷用画像データ生成方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである。
【0012】
また、上記「ドットサイズ及びドットの配置位置のデータ」とは、N値化処理後の画像データの各画素値に対する、印刷素子の形成するドットサイズのデータと、各サイズのドットの配置(形成)位置のデータとを含むものである。このドットサイズには、「ドットなし」を含む2種類以上のドットサイズがあり、ドットサイズのデータとしては、印刷装置の機種毎あるいは印刷する媒体の種類毎に設定される、ドットサイズと各N値化処理後の画素値との関係を示す情報に基づくドットサイズの情報が含まれる。また、各画素値に対して1つのドットが対応する場合と、各画素値に対して、複数のドットが対応する場合とがある。例えば、1画素を複数のドットで形成することにより、各階調を面積階調で表現することができるので、少ないサイズ種類のドットで、様々な階調を表現することができる。以下、「印刷装置制御プログラム」に関する形態、「印刷装置制御方法」に関する形態、「印刷用画像データ生成装置」に関する形態、「印刷用画像データ生成プログラム」に関する形態、「印刷用画像データ生成方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである。
【0013】
また、上記「N値化」とは、M値(例えば8ビット、256階調)の画像データをある閾値に基づいて各画素ごとにN種類の値に分類する処理のことであり、ドットを打つ、打たないといったいわゆる「2値」の他に、M値の画像データを、ドットを打たない場合も含む3種類以上のドットサイズにそれぞれ応じた値に分類することも含む。以下、「印刷装置制御プログラム」に関する形態、「印刷装置制御方法」に関する形態、「印刷用画像データ生成装置」に関する形態、「印刷用画像データ生成プログラム」に関する形態、「印刷用画像データ生成方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである。
【0014】
また、上記「画素値補正情報」は、印刷ヘッドが形成可能なドットの種類が決まっていることから、例えば、補正対象の画素のライン(連続する複数画素から構成される領域なら何でも良い)の全画素値(輝度値又は濃度値)を平均した値を目標値に近づけるための各画素値の補正量などを含む情報となる。理想的には、各画素値をその目標値と一致させるための補正情報であることが望ましいが、これに限らず、例えば、画素のラインなど連続する複数画素の構成する領域の画素値の平均値が目標値に近づくように補正を行える情報であっても良い。以下、「印刷装置制御プログラム」に関する形態、「印刷装置制御方法」に関する形態、「印刷用画像データ生成装置」に関する形態、「印刷用画像データ生成プログラム」に関する形態、「印刷用画像データ生成方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである。
【0015】
〔形態2〕 更に、形態2の印刷装置は、形態1の印刷装置において、
前記画像データを記憶する画像データ記憶手段と、
前記画像データの補正前の前記M値の階調数の各画素値を前記N値の階調数の画素値に変換する補正前画素値N値化手段と、を備え、
前記印刷用画像データ生成手段は、前記補正前画素値N値化手段で変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記画像データに対する前記印刷用画像データを生成することを特徴としている。
【0016】
このような構成であれば、画像データ記憶手段によって、前記画像データを記憶することが可能であり、補正前画素値N値化手段によって、前記画像データの補正前の前記M値の階調数の各画素値を前記N値の階調数の画素値に変換することが可能であり、前記印刷用画像データ生成手段は、前記補正前画素値N値化手段で変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記画像データに対する前記印刷用画像データを生成することが可能である。
【0017】
従って、本装置において、外部機器等から取得した画像データから印刷用画像データを生成することができるので、画素値補正情報を取得するための目標値等を簡易に知ることができると共に、外部装置においてわざわざ印刷用画像データを生成する必要がなくなるので、画像データがあれば、簡易に補正前のドット配置が活かされた補正処理を実行することができるという効果が得られる。
【0018】
〔形態3〕 更に、形態3の印刷装置は、形態2の印刷装置において、
前記画像データ及び前記画素値補正情報に基づき、前記印刷用画像データの各ドットサイズデータにおける、補正の必要なドットサイズデータの情報を生成する補正箇所情報生成手段を備え、
前記ドットサイズデータ変換手段は、前記補正箇所情報生成手段で生成された情報に基づき、前記印刷用画像データのドットサイズデータを変換することを特徴としている。
【0019】
このような構成であれば、補正箇所情報生成手段によって、前記画像データ及び前記画素値補正情報に基づき、前記印刷用画像データの各ドットサイズデータにおける、補正の必要なドットサイズデータの情報を生成することが可能であり、前記ドットサイズデータ変換手段は、前記補正箇所情報生成手段で生成された情報に基づき、前記印刷用画像データのドットサイズデータを変換することが可能である。
従って、補正の必要な箇所だけドットサイズデータから画素値へと変換をして、それ以外のところを変換しないようにできるので、変換処理に必要な時間を短縮することができるという効果が得られる。
【0020】
〔形態4〕 更に、形態4の印刷装置は、形態1乃至3のいずれか1の印刷装置において、
前記補正後画素値N値化手段は、前記M値の階調数の画素値を前記N値の階調数の画素値に変換する処理において、前記印刷素子が前記ドットの形成を担当する画素列方向に誤差が偏る誤差拡散マトリクスを用いた誤差拡散処理を行うことを特徴としている。
【0021】
このような構成であれば、誤差拡散処理において、補正対象の画素列の画素に対して誤差が多めに振り分けられるようになるので、より精度の良い補正を行うことができるという効果が得られる。
ここで「誤差拡散処理」とは、画像処理の分野で通常に利用されているものと同一であり、ある画素の2値化処理によって生じた誤差を所定の誤差拡散マトリクスに従って周囲の画素へ割り振り、続く処理においてその影響を考慮することで全体としての誤差を最小にする処理のことをいう。すなわち、画素の濃度値がその画像のもつ階調数の半分の中間値より大きければ黒、小さければ白に分類し、その後、分類前の濃度値と処理後の濃度値との誤差を適当な割合で周りの画素に分散させ、調整する方法である。例えば、上記M値の階調数の画像データに対して、閾値「128」を境に、画素値が「128」より小さければ「0」、「128」以上なら「255」に変換する2値化処理を行う場合に、選択画素の画素値が「101」の場合、「101」は「0」に変換され、この変換後の「0」と変換前の「101」との差「101」を誤差として、所定の誤差拡散マトリクスに従って選択画素の周辺の2値化が未処理の画素に対して拡散する。以下、「印刷装置制御プログラム」に関する形態、「印刷装置制御方法」に関する形態、「印刷用画像データ生成装置」に関する形態、「印刷用画像データ生成プログラム」に関する形態、「印刷用画像データ生成方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである。
【0022】
また、上記「誤差拡散マトリクス」とは、N値化処理において上記M値の階調数の画素データをN値の階調数の画素データに変換した際に、変換後の画素値と変換前の画素値との差分(誤差)を、その画素データの周辺にあるN値化処理が未処理の画素データに拡散(分配)する(これを、一般に誤差拡散法という)際に、当該拡散元の画素データに対する拡散対象の画素データの位置(拡散方向)を示す情報(相対位置情報など)、拡散対象の各画素データに対する拡散割合の情報等を収めたマトリクスであり、マトリクスの形状、マトリクスのサイズ(拡散対象の数)、拡散割合等がそれぞれ異なる様々な種類の誤差拡散マトリクスが存在する。以下、「印刷装置制御プログラム」に関する形態、「印刷装置制御方法」に関する形態、「印刷用画像データ生成装置」に関する形態、「印刷用画像データ生成プログラム」に関する形態、「印刷用画像データ生成方法」に関する形態、並びに「前記プログラムを記録した記録媒体」に関する形態、発明を実施するための最良の形態の欄などの記載において同じである。
【0023】
〔形態5〕 更に、形態5の印刷装置は、形態4の印刷装置において、
前記補正後画素値N値化手段は、補正対象の画素が連続する範囲内において、前記誤差拡散処理を行うことを特徴としている。
このような構成であれば、補正対象の画素が連続する範囲内において、N値の階調数の画素値に変換後の各画素値の誤差が振り分けられるようになるので、補正後の誤差(画素値)が関係の無い画素に無意味に振り分けられることを低減することができるという効果が得られる。
【0024】
〔形態6〕 更に、形態6の印刷装置は、形態1乃至5のいずれか1の印刷装置において、
前記画素値は、濃度値又は輝度値であることを特徴としている。
このような構成であれば、画素値が濃度値又は輝度値である場合に、画像データの各画素値に対応するドットサイズ及びドット配置位置のデータを含む印刷用画像データの各ドットサイズデータを、例えば、印刷装置の機種毎あるいは印刷する媒体の種類毎に予め設定されているN値の階調数に変換後の濃度値又は輝度値とドットサイズとの関係を示す情報に基づき、それぞれのドットサイズに対応する濃度値又は輝度値へと変換し、その変換した濃度値又は輝度値からなる画像データに対して補正処理を行うことが可能である。従って、例えば、濃度ムラが発生するノズルを含む印刷ヘッドを有する場合に、濃度値又は輝度値を補正して濃度ムラによる印刷画質の劣化を低減することができるという効果が得られる。
【0025】
〔形態7〕 一方、上記目的を達成するために、形態7の印刷装置制御プログラムは、
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な印刷素子を有する印刷ヘッドを備え、当該印刷ヘッドによって前記媒体に画像を印刷する印刷装置を制御するのに使用する印刷装置制御プログラムであって、
ドットサイズと前記M(M≧3)値の階調数の画素値との関係を示す情報に基づき、前記M値の階調数の画素値を有する画像データの各画素値に対応するドットサイズ及びドット配置位置のデータを含む印刷用画像データにおける各ドットサイズのデータを、当該各ドットサイズに対応する前記M値の階調数の画素値に変換するドットサイズデータ変換ステップと、
前記印刷素子の形成するドットに対応する画素値を補正するための画素値補正情報に基づき、前記ドットサイズデータ変換ステップで変換後の画素値を補正する画素値補正ステップと、
前記画素値補正ステップで補正後の各画素値をN(M>N≧2)値の階調数の画素値に変換する補正後画素値N値化ステップと、
前記補正後画素値N値化ステップで変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記印刷用画像データを生成する印刷用画像データ生成ステップと、
前記印刷用画像データに基づき、前記印刷ヘッドを用いて前記媒体に前記画像を印刷する印刷ステップとを有する処理をコンピュータに実行させるのに使用するプログラムを含むことを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態1の印刷装置と同等の作用および効果が得られる。
【0026】
〔形態8〕 更に、形態8の印刷装置制御プログラムは、形態7の印刷装置制御プログラムにおいて、
前記画像データの補正前の前記M値の階調数の各画素値を前記N値の階調数の画素値に変換する補正前画素値N値化ステップをコンピュータに実行させるのに使用するプログラムを含み、
前記印刷用画像データ生成ステップにおいては、前記補正前画素値N値化ステップで変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記画像データに対する前記印刷用画像データを生成することを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態2の印刷装置と同等の作用および効果が得られる。
【0027】
〔形態9〕 更に、形態9の印刷装置制御プログラムは、形態8の印刷装置制御プログラムにおいて、
前記画像データ及び前記画素値補正情報に基づき、前記印刷用画像データの各ドットサイズデータにおける、補正の必要なドットサイズデータの情報を生成する補正箇所情報生成ステップをコンピュータに実行させるのに使用するプログラムを含み、
前記ドットサイズデータ変換ステップにおいては、前記補正箇所情報生成ステップで生成された情報に基づき、前記印刷用画像データのドットサイズデータを変換することを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態3の印刷装置と同等の作用および効果が得られる。
【0028】
〔形態10〕 更に、形態10の印刷装置制御プログラムは、形態7乃至9のいずれか1の印刷装置制御プログラムにおいて、
前記補正後画素値N値化ステップにおいては、前記M値の階調数の画素値を前記N値の階調数の画素値に変換する処理において、前記印刷素子が前記ドットの形成を担当する画素列方向に誤差が偏る誤差拡散マトリクスを用いた誤差拡散処理を行うことを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態4の印刷装置と同等の作用および効果が得られる。
【0029】
〔形態11〕 更に、形態11の印刷装置制御プログラムは、形態10の印刷装置制御プログラムにおいて、
前記補正後画素値N値化ステップにおいては、補正対象の画素が連続する範囲内において、前記誤差拡散処理を行うことを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態5の印刷装置と同等の作用および効果が得られる。
【0030】
〔形態12〕 更に、形態12の印刷装置制御プログラムは、形態8乃至11のいずれか1の印刷装置制御プログラムにおいて、
前記画素値は、濃度値又は輝度値であることを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態6の印刷装置と同等の作用および効果が得られる。
【0031】
〔形態13〕 一方、上記目的を達成するために、形態13の印刷装置制御プログラムの記憶されたコンピュータが読み取り可能な記憶媒体は、
形態8乃至形態12のいずれか1の印刷装置制御プログラムの記憶されたコンピュータが読み取り可能な記憶媒体であることを特徴としている。
これによって、形態8乃至形態12のいずれか1の印刷装置制御プログラムと同様の作用及び効果が得られると共に、CD−ROMやDVD−ROM、MOなどの記録媒体を介して前記印刷装置制御プログラムを容易に授受することが可能となる。
【0032】
〔形態14〕 一方、上記目的を達成するために、形態14の印刷装置制御方法は、
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な印刷素子を有する印刷ヘッドを備え、当該印刷ヘッドによって前記媒体に画像を印刷する印刷装置を制御するのに使用する印刷装置制御方法であって、
ドットサイズと前記M(M≧3)値の階調数の画素値との関係を示す情報に基づき、前記M値の階調数の画素値を有する画像データの各画素値に対応するドットサイズ及びドット配置位置のデータを含む印刷用画像データにおける各ドットサイズのデータを、当該各ドットサイズに対応する前記M値の階調数の画素値に変換するドットサイズデータ変換ステップと、
前記印刷素子の形成するドットに対応する画素値を補正するための画素値補正情報に基づき、前記ドットサイズデータ変換ステップで変換後の画素値を補正する画素値補正ステップと、
前記画素値補正ステップで補正後の各画素値をN(M>N≧2)値の階調数の画素値に変換する補正後画素値N値化ステップ
と、
前記補正後画素値N値化ステップで変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記印刷用画像データを生成する印刷用画像データ生成ステップと、
前記印刷用画像データに基づき、前記印刷ヘッドを用いて前記媒体に前記画像を印刷する印刷ステップと、を含むことを特徴としている。
これによって、形態1の印刷装置と同等の効果が得られる。
【0033】
〔形態15〕 更に、形態15の印刷装置制御方法は、形態14の印刷装置制御方法において、
前記画像データの補正前の前記M値の階調数の各画素値を前記N値の階調数の画素値に変換する補正前画素値N値化ステップを含み、
前記印刷用画像データ生成ステップにおいては、前記補正前画素値N値化ステップで変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記画像データに対する前記印刷用画像データを生成することを特徴としている。
これによって、形態2の印刷装置と同等の効果が得られる。
【0034】
〔形態16〕 更に、形態16の印刷装置制御方法は、形態15の印刷装置制御方法において、
前記画像データ及び前記画素値補正情報に基づき、前記印刷用画像データの各ドットサイズデータにおける、補正の必要なドットサイズデータの情報を生成する補正箇所情報生成ステップを含み、、
前記ドットサイズデータ変換ステップにおいては、前記補正箇所情報生成ステップで生成された情報に基づき、前記印刷用画像データのドットサイズデータを変換することを特徴としている。
これによって、形態3の印刷装置と同等の効果が得られる。
【0035】
〔形態17〕 更に、形態17の印刷装置制御方法は、形態14乃至16のいずれか1の印刷装置制御方法において、
前記補正後画素値N値化ステップにおいては、前記M値の階調数の画素値を前記N値の階調数の画素値に変換する処理において、前記印刷素子が前記ドットの形成を担当する画素列方向に誤差が偏る誤差拡散マトリクスを用いた誤差拡散処理を行うことを特徴としている。
これによって、形態4の印刷装置と同等の効果が得られる。
【0036】
〔形態18〕 更に、形態18の印刷装置制御方法は、形態17の印刷装置制御方法において、
前記補正後画素値N値化ステップにおいては、補正対象の画素が連続する範囲内において、前記誤差拡散処理を行うことを特徴としている。
これによって、形態5の印刷装置と同等の効果が得られる。
【0037】
〔形態19〕 更に、形態19の印刷装置制御方法は、形態14乃至18のいずれか1の印刷装置制御方法において、
前記画素値は、濃度値又は輝度値であることを特徴としている。
これによって、形態6の印刷装置と同等の効果が得られる。
【0038】
〔形態20〕 一方、上記目的を達成するために、形態20の印刷用画像データ生成装置は、
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な印刷素子を有する印刷ヘッドによって、前記媒体に画像を印刷する印刷装置において使用される印刷用画像データを生成する印刷用画像データ生成装置であって、
M(M≧3)値の階調数の画素値を有する画像データの各画素値に対応するドットサイズ及びドット配置位置のデータを含む印刷用画像データを記憶する印刷用画像データ記憶手段と、
前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報に基づき、前記印刷用画像データにおける各ドットサイズのデータを、当該各ドットサイズに対応する前記M値の階調数の画素値に変換するドットサイズデータ変換手段と、
前記印刷素子の形成するドットに対応する画素値を補正するための画素値補正情報を記憶する画素値補正情報記憶手段と、
前記画素値補正情報に基づき、前記ドットサイズデータ変換手段で変換後の画素値を補正する画素値補正手段と、
前記画素値補正手段で補正後の各画素値をN(M>N≧2)値の階調数の画素値に変換する補正後画素値N値化手段と、
前記補正後画素値N値化手段で変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記印刷用画像データを生成する印刷用画像データ生成手段と、を備えることを特徴としている。
【0039】
すなわち、本形態は、前記印刷装置のような実際に印刷を実行するための印刷手段を含むのではなく、補正前の印刷用画像データにおけるドットサイズのデータを画素値に変換したデータに基づき画素値の補正を行い、当該補正後のデータから印刷用画像データを生成するようにしたものである。
従って、形態1の印刷装置と同様の作用及び効果を得ることができると共に、例えば、本形態で生成した印刷用画像データを印刷装置に送るだけで、当該印刷装置で印刷処理を実行できる構成とすることが可能となるので、このような構成にすることで、専用の印刷装置を用意することなく、例えば、既存のインクジェット方式の印刷装置をそのまま利用することができる。
また、PC(Personal Computer)などの汎用の情報処理装置を利用することができるため、例えば、PCなどの印刷指示装置とインクジェットプリンタとからなる既存の印刷システムをそのまま活用することができる。
【0040】
〔形態21〕 更に、形態21の印刷用画像データ生成装置は、形態20の印刷用画像データ生成装置において、
前記画像データを記憶する画像データ記憶手段と、
前記画像データの補正前の前記M値の階調数の各画素値を前記N値の階調数の画素値に変換する補正前画素値N値化手段と、を備え、
前記印刷用画像データ生成手段は、前記補正前画素値N値化手段で変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記画像データに対する前記印刷用画像データを生成することを特徴としている。
これによって、形態2の印刷装置と同等の効果が得られる。
【0041】
〔形態22〕 更に、形態22の印刷用画像データ生成装置は、形態21の印刷用画像データ生成装置において、
前記画像データ及び前記画素値補正情報に基づき、前記印刷用画像データの各ドットサイズデータにおける、補正の必要なドットサイズデータの情報を生成する補正箇所情報生成手段を備え、
前記ドットサイズデータ変換手段は、前記補正箇所情報生成ステップで生成された情報に基づき、前記印刷用画像データのドットサイズデータを変換することを特徴としている。
これによって、形態3の印刷装置と同等の効果が得られる。
【0042】
〔形態23〕 更に、形態23の印刷用画像データ生成装置は、形態20乃至22のいずれか1の印刷用画像データ生成装置において、
前記補正後画素値N値化手段は、前記M値の階調数の画素値を前記N値の階調数の画素値に変換する処理において、前記印刷素子が前記ドットの形成を担当する画素列方向に誤差が偏る誤差拡散マトリクスを用いた誤差拡散処理を行うことを特徴としている。
これによって、形態4の印刷装置と同等の効果が得られる。
【0043】
〔形態24〕 更に、形態24の印刷用画像データ生成装置は、形態23の印刷用画像データ生成装置において、
前記補正後画素値N値化手段は、補正対象の画素が連続する範囲内において、前記誤差拡散処理を行うことを特徴としている。
これによって、形態5の印刷装置と同等の効果が得られる。
【0044】
〔形態25〕 更に、形態25の印刷用画像データ生成装置は、形態20乃至24のいずれか1の印刷用画像データ生成装置において、
前記画素値は、濃度値又は輝度値であることを特徴としている。
これによって、形態6の印刷装置と同等の効果が得られる。
【0045】
〔形態26〕 一方、上記目的を達成するために、形態26の印刷用画像データ生成プログラムは、
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な印刷素子を有する印刷ヘッドによって、前記媒体に画像を印刷する印刷装置において使用される印刷用画像データを生成するのに使用する印刷用画像データ生成プログラムであって、
ドットサイズと前記M(M≧3)値の階調数の画素値との関係を示す情報に基づき、前記M値の階調数の画素値を有する画像データの各画素値に対応するドットサイズ及びドット配置位置のデータを含む印刷用画像データにおける各ドットサイズのデータを、当該各ドットサイズに対応する前記M値の階調数の画素値に変換するドットサイズデータ変換ステップと、
前記印刷素子の形成するドットに対応する画素値を補正するための画素値補正情報に基づき、前記ドットサイズデータ変換ステップで変換後の画素値を補正する画素値補正ステップと、
前記画素値補正ステップで補正後の各画素値をN(M>N≧2)値の階調数の画素値に変換する補正後画素値N値化ステップと、
前記補正後画素値N値化ステップで変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記印刷用画像データを生成する印刷用画像データ生成ステップとを有する処理をコンピュータに実行させるのに使用するプログラムを含むことを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態1の印刷装置と同等の作用および効果が得られる。
【0046】
〔形態27〕 更に、形態27の印刷用画像データ生成プログラムは、形態26の印刷用画像データ生成プログラムにおいて、
前記画像データの補正前の前記M値の階調数の各画素値を前記N値の階調数の画素値に変換する補正前画素値N値化ステップをコンピュータに実行させるのに使用するプログラムを含み、
前記印刷用画像データ生成ステップにおいては、前記補正前画素値N値化ステップで変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記画像データに対する前記印刷用画像データを生成することを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態2の印刷装置と同等の作用および効果が得られる。
【0047】
〔形態28〕 更に、形態28の印刷用画像データ生成プログラムは、形態27の印刷用画像データ生成プログラムにおいて、
前記画像データ及び前記画素値補正情報に基づき、前記印刷用画像データの各ドットサイズデータにおける、補正の必要なドットサイズデータの情報を生成する補正箇所情報生成ステップを含み、
前記ドットサイズデータ変換ステップにおいては、前記補正箇所情報生成ステップで生成された情報に基づき、前記印刷用画像データのドットサイズデータを変換することを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態3の印刷装置と同等の作用および効果が得られる。
【0048】
〔形態29〕 更に、形態29の印刷用画像データ生成プログラムは、形態26乃至28のいずれか1の印刷用画像データ生成プログラムにおいて、
前記補正後画素値N値化ステップにおいては、前記M値の階調数の画素値を前記N値の階調数の画素値に変換する処理において、前記印刷素子が前記ドットの形成を担当する画素列方向に誤差が偏る誤差拡散マトリクスを用いた誤差拡散処理を行うことを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態4の印刷装置と同等の作用および効果が得られる。
【0049】
〔形態30〕 更に、形態30の印刷用画像データ生成プログラムは、形態29の印刷用画像データ生成プログラムにおいて、
前記補正後画素値N値化ステップにおいては、補正対象の画素が連続する範囲内において、前記誤差拡散処理を行うことを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態5の印刷装置と同等の作用および効果が得られる。
【0050】
〔形態31〕 更に、形態31の印刷用画像データ生成プログラムは、形態26乃至30のいずれか1の印刷用画像データ生成プログラムにおいて、
前記画素値は、濃度値又は輝度値であることを特徴としている。
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、形態6の印刷装置と同等の作用および効果が得られる。
【0051】
〔形態32〕 一方、上記目的を達成するために、形態32の印刷用画像データ生成プログラムの記憶されたコンピュータが読み取り可能な記憶媒体は、
形態26乃至形態31のいずれか1の印刷用画像データ生成プログラムの記憶されたコンピュータが読み取り可能な記憶媒体であることを特徴としている。
これによって、形態26乃至形態31のいずれか1の印刷用画像データ生成プログラムと同様の作用及び効果が得られると共に、CD−ROMやDVD−ROM、MOなどの記録媒体を介して前記印刷用画像データ生成プログラムを容易に授受することが可能となる。
【0052】
〔形態33〕 一方、上記目的を達成するために、形態33の印刷用画像データ生成方法は、
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な印刷素子を有する印刷ヘッドによって、前記媒体に画像を印刷する印刷装置において使用される印刷用画像データを生成するのに使用する印刷用画像データ生成方法であって、
ドットサイズと前記M(M≧3)値の階調数の画素値との関係を示す情報に基づき、前記M値の階調数の画素値を有する画像データの各画素値に対応するドットサイズ及びドット配置位置のデータを含む印刷用画像データにおける各ドットサイズのデータを、当該各ドットサイズに対応する前記M値の階調数の画素値に変換するドットサイズデータ変換ステップと、
前記印刷素子の形成するドットに対応する画素値を補正するための画素値補正情報に基づき、前記ドットサイズデータ変換ステップで変換後の画素値を補正する画素値補正ステップと、
前記画素値補正ステップで補正後の各画素値をN(M>N≧2)値の階調数の画素値に変換する補正後画素値N値化ステップと、
前記補正後画素値N値化ステップで変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記印刷用画像データを生成する印刷用画像データ生成ステップと、を含むことを特徴としている。
これによって、形態1の印刷装置と同等の効果が得られる。
【0053】
〔形態34〕 更に、形態34の印刷用画像データ生成方法は、形態33の印刷用画像データ生成方法において、
前記画像データの補正前の前記M値の階調数の各画素値を前記N値の階調数の画素値に変換する補正前画素値N値化ステップを含み、
前記印刷用画像データ生成ステップにおいては、前記補正前画素値N値化ステップで変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記画像データに対する前記印刷用画像データを生成することを特徴としている。
これによって、形態2の印刷装置と同等の効果が得られる。
【0054】
〔形態35〕 更に、形態35の印刷用画像データ生成方法は、形態34の印刷用画像データ生成方法において、
前記画像データ及び前記画素値補正情報に基づき、前記印刷用画像データの各ドットサイズデータにおける、補正の必要なドットサイズデータの情報を生成する補正箇所情報生成ステップを含み、、
前記ドットサイズデータ変換ステップにおいては、前記補正箇所情報生成ステップで生成された情報に基づき、前記印刷用画像データのドットサイズデータを変換することを特徴としている。
これによって、形態3の印刷装置と同等の効果が得られる。
【0055】
〔形態36〕 更に、形態36の印刷用画像データ生成方法は、形態33乃至35のいずれか1の印刷用画像データ生成方法において、
前記補正後画素値N値化ステップにおいては、前記M値の階調数の画素値を前記N値の階調数の画素値に変換する処理において、前記印刷素子が前記ドットの形成を担当する画素列方向に誤差が偏る誤差拡散マトリクスを用いた誤差拡散処理を行うことを特徴としている。
これによって、形態4の印刷装置と同等の効果が得られる。
【0056】
〔形態37〕 更に、形態37の印刷用画像データ生成方法は、形態36の印刷用画像データ生成方法において、
前記補正後画素値N値化ステップにおいては、補正対象の画素が連続する範囲内において、前記誤差拡散処理を行うことを特徴としている。
これによって、形態5の印刷装置と同等の効果が得られる。
【0057】
〔形態38〕 更に、形態38の印刷用画像データ生成方法は、形態33乃至37のいずれか1の印刷用画像データ生成方法において、
前記画素値は、濃度値又は輝度値であることを特徴としている。
これによって、形態6の印刷装置と同等の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1〜図20は、本発明に係る印刷装置、印刷装置制御プログラム及び印刷装置制御方法、並びに印刷用画像データ生成装置、印刷用画像データ生成プログラム及び印刷用画像データ生成方法の実施の形態を示す図である。
まず、本発明に係る印刷装置100の構成を図1に基づき説明する。図1は、本発明に係る印刷装置100の構成を示すブロック図である。
【0059】
印刷装置100は、ラインヘッド型の印刷装置であり、図1に示すように、外部装置や記憶装置等から画像データや印刷用画像データ等の各種データを取得するデータ取得部10と、画像データの各画素値に対応するドットサイズ及びドットの配置位置のデータを含む印刷用画像データを記憶する印刷用画像データ記憶部11と、M値(M≧3)の階調数の画素値を有する画像データを記憶する画像データ記憶部12と、画像データ記憶部12に記憶されたM値の階調数のN値の階調数の画像データに変換するN値化処理を実行する第1N値化部13と、N値化処理に必要な各種情報を含んで構成されるN値化情報を記憶するN値化情報記憶部14と、N値化処理後の画像データに基づき印刷用画像データを生成する印刷用画像データ生成部15とを含んだ構成となっている。
【0060】
データ取得部10は、例えば、1画素あたり各色(R、G、B)の輝度値が8ビット(0〜255)で表現される、階調数256(M=256)の画像データを取得したり、後述する印刷ヘッド200の形成可能なドットサイズの種類に対応する印刷用画像データを取得したりする機能を有する。そして、このようなデータを、PC等の外部装置及び自印刷装置100の備える後述する入力装置74等からの印刷指示に応じて、LANやWAN等のネットワークを介して外部装置から取得したり、自装置の備える図示しないCDドライブ、DVDドライブなどの駆動装置を介してCD−ROM、DVD−ROMなどの記録媒体から取得したり、自装置の備える後述する記憶装置70から取得したりすることが可能となっている。
【0061】
更に、データ取得部10は、M値の階調数のRGBデータを色変換処理して前記印刷ヘッド200の各インクに対応するM値の階調数のCMYK(4色の場合)画像データに変換する機能と、後述する印刷部20の出力解像度に合わせて画像データの解像度を変換する機能とを有している。
また、本実施の形態において、取得した印刷用画像データには、補正指示情報が含まれている。補正指示情報は、印刷用画像データに対応する画像データにおける、各ノズルの担当する各画素の画素値(例えば、輝度値)の情報を含むものであり、後述するドットサイズデータ変換部16において、補正対象のドットサイズデータの情報を生成するときと、後述する画素値補正部17において、画素値補正情報記憶部18からの画素値補正情報を取得するときとにおいて用いられる。
【0062】
印刷用画像データ記憶部11は、データ取得部10で取得した印刷用画像データ及びこの印刷用画像データに対応する補正指示情報を記憶する機能を有している。ここで記憶される印刷用画像データは、補正処理前のものであるため、後述するドットサイズデータ変換部16からの取得要求に応じて当該ドットサイズデータ変換部16に出力される。
画像データ記憶部12は、データ取得部10で取得した画像データを記憶する機能を有している。ここで記憶される画像データは、N値化処理前のものであるため、第1N値化処理部13からの取得要求に応じて当該第1N値化処理部13に出力される。
【0063】
第1N値化処理部13は、画像データ記憶部12に記憶されたM値の階調数の画像データを、N値の階調数の画像データに変換する機能を有している。具体的には、画像データ記憶部12に記憶されたM値の階調数の画像データを読み出し、当該読み出した画像データから所定の画素データを選択し、N値化情報記憶部14から読み出したN値化情報に含まれる、ノズルのドットサイズに対応したN値化処理用閾値、各ドットサイズ(N種類)にそれぞれ対応するN値化処理後の画素値(例えば、輝度値)に基づき、上記選択した所定の画素データ(以下、選択画素データと称す)を、前記N値化処理後のN種類の画素値のいずれかに変換する。
【0064】
また、本実施の形態において、N値化処理に際しては、公知の誤差拡散法に基づく誤差拡散処理を行う。以下、第1N値化処理部13において行われる誤差拡散処理を含むN値化処理を第1N値化処理と称し、当該第1N値化処理の施された画素値から構成される画像データを、第1N値化画像データと称す。
ここで、本実施の形態において、上記N値化処理とは、M値(M≧3)の階調数(M種類の画素値(画素データ))を有する画像データを、N値(M>N≧2)の階調数を有する(N種類の数値を有する)画像データに変換する処理であって、例えば、「ドットなし」、「小ドット」、「中ドット」、「大ドット」の4種類のドットサイズにそれぞれ対応する4つの画素値(例えば、輝度値)のいずれかに変換する場合は、変換元の画素値と各ドットサイズ毎に設定された閾値とを比較して、いずれかの閾値以上となれば、そのうち最も大きいドットサイズに対応する画素値に変換し、一方、どの閾値よりも小さければ、ドットなしに対応する画素値「255(8ビットの場合)」に変換するといったように、変換元の画素値を予め設定された4種類の画素値のいずれかに変換する。従って、N種類のドットサイズがある場合は、M値の階調数の画素値をN種類の閾値と比較し、その比較結果に応じて予め設定されたN種類の画素値のいずれか1つに変換することになる。
【0065】
なお、上記閾値は、N種類に限らず、(N−1)種類でも良い。この場合は、3つの閾値、例えば、閾値1〜閾値3とM値の画素値とをそれぞれ比較し、当該画素値が、閾値1以下であれば「ドットなし」、閾値1及び閾値2の間の値であれば「Sドット」、閾値2及び閾値3の間の値であれば「Mドット」、閾値3以上であれば、「Lドット」が選択される。
【0066】
また、上記誤差拡散処理は、選択画素データのN値化処理後において、N値化処理前の画素値とN値化処理後の画素値との差分を算出し、これを誤差として、所定の誤差拡散マトリクスに基づき選択画素データ周辺のN値化処理が未処理の画素データに振り分ける(分配する)処理である。
N値化情報記憶部14は、前述したように、ノズルのドットサイズに対応したN値化処理用閾値、各ドットサイズに対応したN値化処理後の画素値(例えば、輝度値)、誤差拡散マトリクスなどを含んで構成されるN値化情報を記憶するようになっている。
【0067】
印刷用画像データ生成部15は、各ドットサイズと前記N種類の画素値との関係を示す情報(以下、画素値変換情報と称す)に基づき、第1N値化画像データ及び後述する第2N値化画像データの各画素値を、当該各画素値に対応するドットサイズのデータに変換し(ハーフトーン処理ともいう)、当該ドットサイズのデータと、当該ドットの配置位置のデータとを含んで構成される印刷用画像データを生成する。本実施の形態においては、第1N値化画像データの各画素値とドットとが一対一に対応するので、ドットの配置位置の情報は、第1N値化画像データの各画素位置の情報と同じとなる。また、ドットサイズのデータは、前述したように、例えば、印刷ヘッド200の各ノズルが、「ドットなし」、「小ドット」、「中ドット」、「大ドット」の4種類のドットサイズのドットを形成できる場合に、例えば、「ドットなし」が「E」、「小ドット」が「S」、「中ドット」が「M」、「大ドット」が「L」でそれぞれ示されたデータとなる。
【0068】
ここで、印刷用画像データ記憶部11に記憶された印刷用画像データ及び第1N値化画像データから生成される印刷用画像データは共に補正前のデータであるため、これらと差別化するために、以下、第2N値化画像データから生成される印刷用画像データを補正済印刷用画像データと称すこととする。
印刷装置100は、図1に示すように、更に、印刷用画像データの各ドットサイズのデータを各ドットサイズに対応する画素値に変換するドットサイズデータ変換部16と、ドットサイズデータ変換部16で変換後の画素値から構成される画像データの画素値を補正する画素値補正部17と、画素値補正部17で画素値補正時に用いる画素値補正情報を記憶する画素値補正情報記憶部18と、N値化情報に基づき、画素値補正部17において画素値補正処理が施されたM値の階調数の画像データをN値の階調数の画像データに変換する処理であるN値化処理を実行する第2N値化処理部19と、補正済印刷用画像データに基づき印刷処理を行う印刷部20とを含んだ構成となっている。
【0069】
ドットサイズデータ変換部16は、印刷用画像データにおける補正の必要な箇所の各ドットサイズデータを、各ドットサイズに応じたM値の階調数の画素値(前述したN種類の画素値のいずれか)に変換する機能を有している。
具体的には、まず、画素値補正情報及び補正指示情報、又は画素値補正情報及び未処理画像データに対応する画像データに基づき、印刷用画像データにおける補正処理の必要なドットサイズデータの情報(以下、補正箇所情報と称す)を生成する。例えば、補正量が「0」の箇所を補正対象から外し、補正量が「0」以外の箇所を補正対象としてその箇所の位置が解る情報を生成する。
【0070】
次に、当該生成した補正箇所情報と画素値変換情報とに基づき、印刷用画像データにおける補正の必要な箇所の各ドットサイズデータを、各ドットサイズに応じたM値の階調数の画素値に変換する。
ここで、画素値補正情報は、ノズル番号(画素のライン番号)及び入力輝度値(補正対象画素の画素値)に対して補正量が対応付けられたデータテーブルとなっており、ノズル番号及び入力輝度値が解れば、その入力輝度値に対応したN値化処理後の画素値に対する補正量を取得することが可能である。
【0071】
また、ドットサイズデータを各ドットサイズに対応するM値の階調数の画素値に変換するには、印刷装置の機種毎に設定される画素値変換情報に基づき、例えば、画素値が8ビットの輝度値の場合に、ドットサイズデータ「E」であれば、例えば、最大輝度値の「255」へと変換し、ドットサイズデータ「L」であれば、例えば、最小輝度値(最大濃度となる値)の「0」に変換する。つまり、各ドットサイズに対応する変換値(前述したN値化処理後のN種類の画素値に対応)が画素値変換情報に含まれる。なお、ドットの配置位置と画素の配置位置とは一対一に対応するので、変換後の画素値と変換されなかったドットサイズデータとから構成される画像データは、印刷用画像データの配置位置の情報が継承されたものとなる。このようにして構成される画像データは、補正処理が未処理の状態であるので、以下、これを未処理画像データと称す。
【0072】
画素値補正部17は、未処理画像データの各画素値と、補正指示情報又は未処理画像データに対応する画像データとに基づき、画素値補正情報記憶部18から各補正対象の画素値を補正する画素値補正情報(補正量を示す情報)を読み出し、当該読み出した画素値補正情報に基づき、未処理画像データにおける補正対象の画素値を補正する機能を有している。
【0073】
画素値補正情報記憶部18は、前述したように、ノズル番号(画素のライン番号)及び入力輝度値(補正対象画素の画素値)に対して補正量が対応付けられたデータテーブルからなる画素値補正情報を記憶する機能を有している。更に、画素値補正情報記憶部18は、前述した画素値変換情報も記憶するようになっている。
第2N値化処理部19は、画素値補正部17で画素値補正後の画素データから構成されるM値の階調数の画像データ(以下、補正済画像データと称す)をN値の階調数の画像データに変換する機能を有している。N値化処理の原理については、上記第1N値化処理部13と基本的に同様であるが、誤差拡散処理に用いる誤差拡散マトリクスの特性が異なる。本実施の形態においては、第2N値化処理部19での誤差拡散処理には、第1N値化処理部13で用いる誤差拡散マトリクスとは異なり、誤差の拡散方向が各ノズルの担当する画素列方向に偏よる(誤差の配分量が多めとなる)誤差拡散マトリクス(以下、偏重誤差拡散マトリクスと称す)を用いる。更に、前述した補正箇所の情報に基づき、この拡散量の偏る誤差拡散マトリクスを用いた誤差拡散処理を、補正対象の画素が連続する範囲内において行う。以下、第2N値化処理部19において行われる誤差拡散処理を含むN値化処理を第2N値化処理と称し、当該第2N値化処理の施された画素値から構成される画像データを、第2N値化画像データと称す。
【0074】
ここで、図3は、印刷部20の備える、本発明の印刷ヘッド200の構造を示す図である。
図3に示すように、この印刷ヘッド200は、ブラック(K)インクを専用に吐出する複数個のノズルNがノズル配列方向に直線状に配列された複数のブラックノズルモジュール50a〜50nから構成されるブラックヘッドユニット50と、同じくイエロー(Y)インクを専用に吐出する複数個のノズルNがノズル配列方向に直線状に配列された複数のイエローノズルモジュール52a〜52nから構成されるイエローヘッドユニット52と、同じくマゼンタ(M)インクを専用に吐出する複数個のノズルNがノズル配列方向に直線状に配列された複数のマゼンタノズルモジュール54a〜54nから構成されるマゼンタヘッドユニット54と、同じくシアン(C)インクを専用に吐出する複数個のノズルNがノズル配列方向に直線状に配列された複数のシアンノズルモジュール56a〜56nから構成されるシアンヘッドユニット56といった4つのヘッドユニット50、52、54及び56を含んだ構成となっている。
【0075】
また、このような構造をした印刷ヘッド200は、各ノズルN1、N2、N3…ごとにそれぞれ設けられた図示しないインクチャンバー内に供給されたインクをそれら各インクチャンバーごとに設けられた図示しないピエゾ素子(piezo actuator)などの圧電素子によって各ノズルN1、N2、N3…から吐出することで、白色の印刷用紙上に円形のドットを印字すると共に、さらに、この圧電素子に加える電圧を多段階に制御することによってインクチャンバーからのインクの吐出量を制御してサイズの異なるドットが印字可能となっている。また、時系列的に短時間で2段階でノズルに電圧を加え、印刷用紙上にて2つの吐出を組み合わせて1つのドットを構成する場合もある。この場合、ドットのサイズによって吐出速度が異なることを利用して、小さいドットにつづいて大きいドットを吐出することによって、紙面上でほぼ同位置にインクを着弾させて1つのさらに大きいドットを構成させることが可能である。
【0076】
図1に戻って、印刷部20は、補正済印刷用画像データに基づき、印刷に用いる媒体(印刷用紙など)又は印刷ヘッド200の一方、あるいは双方を移動させながら前記印刷ヘッド200に形成された前記ヘッドユニット50,52,54及び56の各ノズルモジュールからインクをそれぞれドット状に噴射して前記媒体上に多数のドットからなる所定の画像を形成するようにしたインクジェット方式のプリンタであり、前述した印刷ヘッド200の他に、前記媒体を移動させるための図示しない紙送り機構、前記印刷用画像データに基づいて印刷ヘッド200のインクの吐出を制御する図示しない印刷制御機構などから構成されている。
【0077】
なお、この印刷装置100は、前記データ取得部10、第1N値化処理部13、印刷用画像データ生成部15、ドットサイズデータ変換部16、画素値補正部17、第2N値化処理部19、印刷部20などにおける上記各機能をソフトウェア上で実現するため、及び上記各機能の実現に必要なハードウェアを制御するソフトウェアを実行するためのコンピュータシステムを備えている。このコンピュータシステムのハードウェア構成は、図2に示すように、各種制御や演算処理を担う中央演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)60と、主記憶装置(Main Storage)を構成するRAM(Random Access Memory)62と、読み出し専用の記憶装置であるROM(Read Only Memory)64との間をPCI(Peripheral Component Interconnect)バスやISA(Industrial Standard Architecture)バス等からなる各種内外バス68で接続すると共に、このバス68に入出力インターフェース(I/F)66を介して、HDD等の外部記憶装置(Secondary Storage)70や、印刷部20やCRT、LCDモニター等の出力装置72、操作パネルやマウス、キーボード、スキャナなどの入力装置74、および図示しない印刷指示装置などと通信するためのネットワークケーブルLなどを接続したものである。
【0078】
そして、電源を投入すると、ROM64等に記憶されたBIOS等のシステムプログラムが、ROM64に予め記憶された各種専用のコンピュータプログラム、あるいは、CD−ROMやDVD−ROM、フレキシブルディスク(FD)等の記憶媒体を介して、またはインターネット等の通信ネットワークを介して記憶装置70にインストールされた各種専用のコンピュータプログラムを同じくRAM62にロードし、そのRAM62にロードされたプログラムに記述された命令に従ってCPU60が各種リソースを駆使して所定の制御および演算処理を行うことで前述したような各機能をソフトウェア上で実現するようになっている。
【0079】
更に、印刷装置100は、CPU60によって、ROM64の所定領域に格納されている所定のプログラムを起動させ、そのプログラムに従って、図4のフローチャートに示す印刷処理を実行するようになっている。なお、前述したようにドットを形成するための印刷ヘッド200は、一般に4色および6色などといった複数種類の色のドットをほぼ同時に形成できるようになっているが、本実施の形態においては、CMYKの4色のインクにそれぞれ対応した4つのヘッドユニットによって構成されたものとして説明する。
【0080】
図4は、印刷装置100における印刷処理を示すフローチャートである。
印刷処理は、CPU60によって実行されると、図4に示すように、まず、ステップS100に移行するようになっている。
ステップS100では、データ取得部10において、ネットワークケーブルLを介して接続された外部装置からの印刷指示情報が送られてくることにより、あるいは入力装置74を介して印刷指示情報が入力されたことにより、印刷指示があったか否かを判定し、印刷指示があったと判定された場合(Yes)は、ステップS102に移行し、そうでない場合(No)は、印刷指示があるまで判定処理を繰り返す。
【0081】
ステップS102に移行した場合は、データ取得部10において、印刷指示に対応する画像データ又は印刷用画像データを、上記したように、外部装置、CD−ROM、DVD−ROM等の記録媒体、HDD等の記憶装置70などから取得する処理を行いステップS104に移行する。
ステップS104では、データ取得部10において、ステップS102で取得したデータが画像データであるか否かを判定し、画像データであると判定された場合(Yes)は、ステップS106に移行し、そうでない場合(No)は、取得した印刷用画像データを印刷用画像データ記憶部11に記憶してステップS116に移行する。
【0082】
ステップS106に移行した場合は、データ取得部10において、ステップS102で取得した画像データが、CMYK画像データであるか否かを判定し、CMYK画像データであると判定された場合(Yes)はステップS108に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS126に移行する。
ステップS108に移行した場合は、データ取得部10において、上記取得したCMYK画像データを、印刷解像度に合わせて解像度変換し、解像度変換後のCMYK画像データを画像データ記憶部12に記憶してステップS110に移行する。
【0083】
ステップS110では、第1N値化処理部13において、画像データ記憶部12にCMYK画像データが記憶されると、N値化情報記憶部14からN値化情報を取得してステップS112に移行する。
ステップS112では、第1N値化処理部13において、ステップS110で取得したN値化情報に基づき、画像データ記憶部12に記憶されたCMYK画像データに対して第1N値化処理を施して第1N値化画像データを生成し、当該生成した第1N値化画像データを印刷用画像データ生成部15に出力してステップS114に移行する。
【0084】
ステップS114では、印刷用画像データ生成部15において、第1N値化処理部13から入力された第1N値化画像データから印刷用画像データを生成し、当該生成した印刷用画像データをドットサイズデータ変換部16に出力してステップS116に移行する。
ステップS116では、ドットサイズデータ変換部16において、印刷用画像データ記憶部11に印刷用画像データが記憶されるか、あるいは印刷用画像データ生成部15から印刷用画像データが入力されると、当該印刷用画像データを構成するドットサイズデータを、各ドットサイズに対応した画素値に変換するドットサイズデータ変換処理を実行して未処理画像データを生成し、当該生成した未処理画像データを画素値補正部17に出力してステップS118に移行する。
【0085】
ステップS118では、画素値補正部17において、ドットサイズデータ変換部16から入力された未処理画像データに対して画素値補正処理を実行して補正済画像データを生成し、当該生成した補正済画像データを第2N値化処理部19に出力してステップS120に移行する。
ステップS120では、第2N値化処理部19において、画素値補正部17から入力された補正済画像データに対して第2N値化処理を施して第2N値化画像データを生成し、当該生成した第2N値化画像データを印刷用画像データ生成部15に出力してステップS122に移行する。
【0086】
ステップS122では、印刷用画像データ生成部15において、第2N値化処理部19から入力された第2N値化画像データに基づき補正済印刷用画像データ生成処理を施して補正済印刷用画像データを生成し、当該生成した補正済印刷用画像データを印刷部20に出力してステップS124に移行する。
ステップS124では、印刷部20において、印刷用画像データ生成部15から入力された補正済印刷用画像データに基づき、印刷処理を実行してステップS100に移行する。
【0087】
一方、ステップS106において、取得した画像データがCMYK画像データではなくてステップS126に移行した場合は、データ取得部10において、取得した画像データの色情報をCMYKの色情報に変換してCMYK画像データを生成し、当該生成したCMYK画像データを画像データ記憶部12に記憶してステップS108に移行する。
次に、図5に基づき、ステップS116のドットサイズデータ変換処理を詳細に説明する。ここで、図5は、ドットサイズデータ変換部16のドットサイズデータ変換処理を示すフローチャートである。
【0088】
ドットサイズデータ変換処理は、ステップS116で実行されると、図5に示すように、まずステップS200に移行するようになっている。
ステップS200では、ドットサイズデータ変換部16において、印刷用画像データ記憶部11、または印刷用画像データ生成部15から印刷用画像データが入力されたか否かを判定し、入力されたと判定された場合(Yes)は、ステップS202に移行し、そうでない場合(No)は、入力されるまで判定処理を繰り返す。
【0089】
ステップS202に移行した場合は、ドットサイズデータ変換部16において、補正指示情報または画像データと、画素値補正情報記憶部18に記憶された画素値補正情報とに基づき、印刷用画像データにおける補正箇所のドットサイズデータの情報を抽出してステップS204に移行する。ここで、印刷用画像データ記憶部11から入力された印刷用画像データに対しては、当該印刷用画像データに対応する補正指示情報と、前記画素値補正情報とに基づき補正箇所の情報を抽出し、一方、印刷用画像データ生成部15から入力された印刷用画像データに対しては、この印刷用画像データの生成元の画像データと、前記画素値補正情報とに基づき補正箇所の情報を抽出する。つまり、画素値補正情報の示す補正量が「0」でないドットサイズデータの情報を抽出する。
【0090】
ステップS204では、ドットサイズデータ変換部16において、ステップS202で抽出した補正箇所の情報に基づき、補正箇所の位置情報を含む補正箇所情報を生成してステップS206に移行する。つまり、補正対象のドットサイズデータの位置(座標)情報を含む補正箇所情報を生成する。
ステップS206では、ドットサイズデータ変換部16において、ステップS204で生成した補正箇所情報に基づき、補正箇所のドットサイズデータの中から未処理のドットサイズデータを選択してステップS208に移行する。
【0091】
ステップS208では、ドットサイズデータ変換部16において、画素値補正情報記憶部18に記憶された画素値変換情報に基づき、ステップS206で選択したドットサイズデータを、これと対応する画素値に変換してステップS210に移行する。
ステップS210では、ドットサイズデータ変換部16において、補正対象の全ドットサイズデータに対して変換処理が完了したか否かを判定し、完了したと判定された場合(Yes)は、一連の処理を終了して元の処理に復帰し、そうでない場合(No)は、ステップS20
6に移行する。なお、変換処理の完了した画像データは、未処理画像データとして画素値補正部17に出力される。
【0092】
次に、図6に基づき、ステップS118の画素値補正処理を詳細に説明する。ここで、図6は、画素値補正部17における画素値補正処理を示すフローチャートである。
画素値補正処理は、ステップS118において実行されると、図6に示すように、まずステップS300に移行するようになっている。
ステップS300では、画素値補正部17において、ドットサイズデータ変換部16から未処理画像データが入力されたか否かを判定し、入力されたと判定された場合(Yes)は、ステップS302に移行し、そうでない場合(No)は、入力されるまで判定処理を繰り返す。
【0093】
ステップS302に移行した場合は、画素値補正部17において、画素値補正情報記憶部18から画素値補正情報を取得すると共に、未処理画像データにおける補正対象の画素データから補正処理が未処理の画素データを選択してステップS304に移行する。
ステップS304では、画素値補正部17において、ステップS302で選択した画素データに対応する補正指示情報または画像データの画素値に基づき、ステップS302で取得した画素値補正情報から画素値補正量を取得してステップS306に移行する。つまり、未処理画像データの生成元の印刷用画像データが、印刷用画像データ記憶部11から入力されたものである場合は、補正指示情報に基づき画素値補正量を取得し、一方、印刷用画像データ生成部15から入力されたものである場合は、この印刷用画像データの生成元の画像データに基づき画素値補正量を取得する。
【0094】
ステップS306では、画素値補正部17において、ステップS304で取得した画素値補正量に基づき、ステップS302で選択した画素データの画素値を補正してステップS308に移行する。
ステップS308では、画素値補正部17において、未処理画像データにおける全ての補正対象の画素データに対して補正処理が完了したか否かを判定し、完了したと判定された場合(Yes)は、一連の処理を終了し元の処理に復帰し、そうでない場合(No)は、ステップS302に移行する。なお、補正処理の施された画像データは、補正済画像データとして第2N値化処理部19に出力される。
【0095】
次に、図7に基づき、ステップS120の第2N値化処理を詳細に説明する。ここで、図7は、第2N値化処理部19における第2N値化処理を示すフローチャートである。
第2N値化処理は、ステップS120において実行されると、図7に示すように、まずステップS400に移行するようになっている。
ステップS400では、第2N値化処理部19において、画素値補正部17から補正済画像データが入力されたか否かを判定し、入力されたと判定された場合(Yes)は、ステップS402に移行し、そうでない場合(No)は、入力されるまで判定処理を繰り返す。
【0096】
ステップS402に移行した場合は、第2N値化処理部19において、N値化情報記憶部14から第2N値化処理用のN値化情報を取得してステップS404に移行する。
ステップS404では、第2N値化処理部19において、補正済画像データにおける補正された画素データの画素の連続する領域から、第2N値化処理が未処理の画素データを選択してステップS406に移行する。
【0097】
ステップS406では、第2N値化処理部19において、ステップS402で取得したN値化情報に基づき、ステップS404で選択したM値の階調数の画素データをN値の階調数の画素データに変換してステップS408に移行する。
ステップS408では、第2N値化処理部19において、ステップS406の第2N値化処理後の画素データの画素値と、第2N値化処理前の画素データの画素値との差分を算出し、当該差分値を誤差として、これを偏重誤差拡散マトリクスに基づき、補正された画素データの画素の連続する領域内の選択画素データの画素周辺の未処理画素の画素データに分配してステップS410に移行する。
【0098】
ステップS410では、第2N値化処理部19において、補正済画像データにおける、補正された全ての画素データに対して第2N値化処理が完了したか否かを判定し、完了したと判定された場合(Yes)は、一連の処理を終了し元の処理に復帰し、そうでない場合(No)は、ステップS404に移行する。
次に、図8に基づき、ステップS114の印刷用画像データ生成処理及びステップS122の(補正済)印刷用画像データ生成処理を詳細に説明する。ここで、図8は、印刷用画像データ生成部15における印刷用画像データ生成処理を示すフローチャートである。
【0099】
印刷用画像データ生成処理は、ステップS114またはステップS122において実行されると、図8に示すように、まずステップS500に移行するようになっている。
ステップS500では、印刷用画像データ生成部15において、第1N値化処理部13または第2N値化処理部19から、第1N値化画像データまたは第2N値化画像データが入力されたか否かを判定し、入力されたと判定された場合(Yes)は、ステップS502に移行し、そうでない場合(No)は、入力されるまで判定処理を繰り返す。
【0100】
ステップS502に移行した場合は、印刷用画像データ生成部15において、ステップS500で取得したN値化画像データは、第1N値化画像データであるか否かを判定し、そうである場合(Yes)は、ステップS504に移行し、そうではなく第2N値化画像データである場合(No)は、ステップS512に移行する。
ステップS504に移行した場合は、印刷用画像データ生成部15において、第1N値化画像データにおける、ドットサイズデータへの変換処理が未処理の画素データを選択してステップS506に移行する。なお、画素値変換情報は、画素値補正情報記憶部18から取得する。
【0101】
ステップS506では、印刷用画像データ生成部15において、画素値変換情報に基づき、ステップS504で選択した画素データをドットサイズデータに変換してステップS508に移行する。
ステップS508では、印刷用画像データ生成部15において、第1N値化画像データにおける全画素データに対してドットサイズデータへの変換処理が完了したか否かを判定し、完了したと判定された場合(Yes)は、ステップS510に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS504に移行する。
【0102】
ステップS510に移行した場合は、印刷用画像データ生成部15において、変換結果に基づき、ドットサイズデータと各ドットの配置位置の情報とを含む印刷用画像データを生成し、一連の処理を終了して元の処理に復帰する。
一方、ステップS502において、第1N値化画像データではなくてステップS512に移行した場合は、印刷用画像データ生成部15において、第2N値化画像データにおける補正箇所の画素データから、ドットサイズデータへの変換処理が未処理の画素データを選択してステップS514に移行する。
【0103】
ステップS514では、印刷用画像データ生成部15において、画素値変換情報に基づき、ステップS512で選択した画素データをドットサイズデータに変換してステップS516に移行する。
ステップS516では、印刷用画像データ生成部15において、第2N値化画像データにおける補正箇所の全画素データに対してドットサイズデータへの変換処理が完了したか否かを判定し、完了したと判定された場合(Yes)は、ステップS518に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS514に移行する。
【0104】
ステップS518に移行した場合は、印刷用画像データ生成部15において、変換結果に基づき、ドットサイズデータと各ドットの配置位置の情報とを含む印刷用画像データを生成し、一連の処理を終了して元の処理に復帰する。
次に、図9〜図19に基づき、本実施の形態の動作を説明する。
ここで、図9(a)は、縦6画素×横8画素の画像を構成する画像データを示す図であり、(b)は、(a)の画像データから生成される印刷用画像データを示す図である。また、図10は、ノズルのドットサイズに対応したN値化処理用閾値、及び各ドットサイズに対応したN値化処理後の画素値の一例を示す図である。また、図11は、第1N値化処理で用いる誤差拡散マトリクスの一例を示す図である。また、図12は、画素値変換情報の一例を示す図である。また、図13は、画素値変換情報の生成時に用いるベタ画像の一例を示す図である。また、図14は、画素値補正情報の一例を示す図である。また、図15は、画素値補正情報の生成方法の一例を示す図である。また、図16(a)は、図9(b)の印刷用画像データにおける補正箇所の一例を示す図であり、(b)は、(a)に対応するドットサイズデータ変換前の印刷用画像データの一例を示す図であり、(c)は、(b)に示す補正箇所のドットサイズデータを、各ドットサイズに対応するM値の階調数の画素値に変換後の画像データの一例を示す図である。また、図17は、各種印刷用紙に対応した画素値変換情報の一例を示す図である。また、図18(a)は、未処理画像データの一例を示す図であり、(b)は、処理済画像データの一例を示す図である。また、図19(a)及び(b)は、偏重誤差拡散マトリクスの一例を示す図である。また、図20(a)〜(d)は、補正後の画素値に対する第2N値化処理の実行前後の各画素値を示す図であり、(e)は、ドットサイズデータの変換前の印刷用画像データを示す図であり、(f)は、(a)〜(d)に示す第2N値化処理後の処理済印刷用画像データを示す図である。
【0105】
まず、印刷装置100のデータ取得部10において、例えば、印刷指示情報に対応する、RGBの色情報を有した画像データを、印刷指示情報の送信元である外部装置等から取得すると(ステップS102)、データ取得部10は、当該取得した画像データの色情報(RGB)をCMYKに色変換してなるCMYK画像データを生成すると共に、当該CMYK画像データを印刷解像度に合わせて解像度変換し、当該解像度変換後のCMYK画像データを画像データ記憶部12に記憶する(ステップS108)。ここで、当該記憶されたCMYK画像データは、図9(a)に示すように、縦6画素×横8画素の画素の配置構成を有していると共に、各画素の画素値として輝度値(図では、全て「120」(8ビット:256階調))を有しているとする。なお、図9(a)に示す画像は、CMYKの4色のうち、ある一色についての画像である。
【0106】
一方、画像データ記憶部12にCMYK画像データが記憶されると、第1N値化処理部13は、当該CMYK画像データを画像データ記憶部12から取得すると共に、N値化情報記憶部14から第1N値化処理用のN値化情報を取得する(ステップS110)。ここで、第1N値化処理用のN値化情報は、図10に示すように、ノズルの形成可能な4種類のドットサイズに対応したN値化処理用閾値(画素値範囲)、及び各ドットサイズに対応した画素値(N値化処理後の輝度値及び濃度値)と、図11に示すように、誤差拡散マトリクスの情報が含まれている。
【0107】
第1N値化処理部13は、N値化情報を取得すると、上記取得したCMYK画像データから第1N値化処理が未処理の画素データを選択し、まず、当該選択画素データを、図10に示すN値化処理後の4種類の画素値のいずれかに変換する。ここでは、選択画素データの示す画素値が輝度値となっているので、図10に示すように、選択画素データの示す画素値が、「0〜42」の範囲内であれば当該画素値を「0」に変換し、「43〜126」の範囲内であれば当該画素値を「85」に変換し、「127〜210」の範囲内であれば当該画素値を「170」に変換し、「211」以上であれば当該画素値を「255」に変換する。
【0108】
更に、第1N値化処理部13は、N値化処理前の画素値とN値化処理後の画素値との差分値を算出し、当該算出した差分値を誤差として、図11に示す、誤差拡散マトリクスに基づき、選択画素周辺の第1N値化処理が未処理の画素データに分配する。図11に示す例では、選択画素(注目画素)の、右側の画素に誤差の「7/16」の値を、左下の画素に誤差の「3/16」の値を、下側の画素に誤差の「5/16」の値を、右下の画素に誤差の「1/16」の値をそれぞれ分配する。例えば、選択画素データの画素値が「210」である場合は、第1N値化処理により画素値が「170」に変換されるので、誤差は、「210−170=40」と算出される。従って、誤差拡散処理においては、選択画素の右側の画素に「18」を、左下の画素に「8」を、下側の画素に「13」を、右下の画素に「3」を、それぞれ分配(加算)する。なお、小数点以下は四捨五入している。
【0109】
第1N値化処理部13は、上記した第1N値化処理を、CMYK画像データの全画素データに実行して、第1N値化処理後の画素データから構成される第1N値化画像データを生成する。そして、当該生成した第1N値化画像データを、印刷用画像データ生成部15に出力する(ステップS112)。
一方、印刷用画像データ生成部15は、第1N値化処理部13から第1N値化画像データが入力されると(ステップS502の「Yes」の分岐)、画素値補正情報記憶部18から画素値変換情報を取得し、前記第1N値化画像データから、ドットサイズデータへの変換処理が未処理の画素データを選択する(ステップS504)。ここで、画素値変換情報は、図12に示すように、「ドットなし(E)」、「小ドット(S)」、「中ドット(M)」、「大ドット(L)」の4種類のドットサイズデータに対して、階調数256の画素値のうち、それぞれ「255」、「170」、「85」、「0」の4種類の画素値(輝度値)が対応付けられた情報となる。この画素値変換情報は、例えば、図13に示すように、小ドット(S)を100%用いて形成したサンプル画像から測定される輝度値を小ドット(S)に対応付け、同様に、中ドット(M)を100%、及び大ドット(L)を100%用いて形成したサンプル画像から測定される輝度値を、中ドット(M)及び大ドット(L)にそれぞれ対応付けて生成される。
【0110】
印刷用画像データ生成部15は、上記のようにして生成された図12に示す画素値変換情報に基づき、上記選択した画素データ(第1N値化処理後)の輝度値を、当該輝度値に対応するドットサイズデータに変換する(ステップS506)。例えば、選択画素データの輝度値が、「255」であればドットサイズデータ「E」に変換し、「170」であればドットサイズデータ「S」に変換し、「85」であればドットサイズデータ「M」に変換し、「0」であればドットサイズデータ「L」に変換する。上記第1N値化画像データの全画素データに対してドットサイズデータへの変換処理が終了すると(ステップS508の「Yes」の分岐)、当該変換結果のデータに基づき、印刷用画像データを生成する(ステップS510)。ここでは、1つの画素値に対して1つのドットサイズデータが対応するので、各ドットの配置位置は、第1N値化画像データの各画素の配置位置と同様となる。このようにして生成された印刷用画像データは、例えば、図9(b)に示すようになる。図9(b)の例では、ドット無しに対するドットサイズデータが「空白」で示されている。
【0111】
印刷用画像データ生成部15は、印刷用画像データを生成すると、当該印刷用画像データをドットサイズデータ変換部16に出力する。
ドットサイズデータ変換部16は、印刷用画像データ生成部15から印刷用画像データが入力されると(ステップS200の「Yes」の分岐)、当該印刷用画像データの生成元となったCMYK画像データを第1N値化処理部13から取得すると共に、画素値補正情報記憶部18から画素値補正情報(データテーブル)を取得する。そして、前記取得した画像データの各画素値を入力輝度値として、各画素の画素値に対する画素値補正情報が補正量「0」となっているか否かを判定する。例えば、画素値補正情報が、図14に示すように、画素のライン番号及び入力輝度値に対してそれぞれ補正量が設定されたデータテーブルの構成となっているとする。ここで、画素値補正情報は、例えば、図15に示すように、第1N値化画像データにおける第1N値化処理後の各画素のラインの平均濃度値(第1平均濃度値と称す)をそれぞれ算出すると共に、第1N値化処理前の元のCMYK画像データにおける各画素のラインの平均濃度値(第2平均濃度値と称す)をそれぞれ算出し、これら第1平均濃度値と第2平均濃度値との各画素のライン毎の差分を算出し、この算出結果を補正量として生成する。なお、第1N値化処理前の元のCMYK画像データとしては、各階調値に対応した均一輝度のベタ画像のデータを用いている。
【0112】
補正箇所の抽出処理は、上記データテーブルにおいて、各画素のラインの入力輝度値に対して、補正量が「0」以外のものが補正対象の画素となる。例えば、ライン番号「0」の画素のラインに対しては、入力輝度値「0〜255(1刻み)」に対する全ての補正量が「0」となっているので、ライン番号「0」の画素は全て補正対象外と判定される。一方、ライン番号「1」の画素のラインに対しては、例えば、入力輝度値が「120」に対して補正量「9」、「180」に対して補正量「7」等が設定されているので、このように補正量が設定されている画素は全て補正対象と判定され、これらの位置情報が抽出される(ステップS202)。そして、抽出された位置情報に基づき、図16(a)に示すように、補正対象の画素位置(図中の網掛け部)が解る補正箇所情報を生成する(ステップS204)。本実施の形態においては、画素データの各画素位置と、印刷用画像データの各ドットサイズデータの位置とが対応しているので簡易に位置情報を抽出することができる。
【0113】
また、図16(a)に示すように、印刷ヘッド200は、1つのノズルモジュールに着目すると、ノズル配列方向に対して垂直方向に各ノズルがドットを形成するようになっており、また、ラインヘッドであるため、各画素のラインは、1つのノズルが印刷(ドットの形成)を担当するようになっている。なお、印刷ヘッド200の各ノズルモジュールにおける各ノズルの配列方向が、画素のラインに直交する方向ではなく、斜め方向となっている場合は、ドットの形成方向はノズル配列方向に対して垂直方向とはならない。このことは、後で詳述する。
【0114】
補正箇所情報が生成されると、ドットサイズデータ変換部16は、補正箇所情報から図16(b)に示すように、印刷用画像データにおける補正対象のドットサイズデータの位置(図中の網掛け部)が解るので、画素値補正情報記憶部18から画素値変換情報を取得し、当該画素値変換情報に基づき、ライン番号1、2及び4の各画素のラインを構成するドットサイズデータの中から変換処理が未処理のドットサイズデータを選択し(ステップS206)、当該選択したドットサイズデータを、各ドットサイズに対応する画素値へと変換する(ステップS208)。本実施の形態において、画素値変換情報は、印刷用画像データ生成部15において、第1N値化画像データから印刷用画像データを生成するときに用いた図12に示すものとは別に、印刷に用いる媒体の種類に応じて、例えば、図17(a)に示す、光沢紙に印刷する場合に用いる画素値変換情報と、図17(b)に示す、普通紙に印刷する場合に用いる画素値変換情報がある。ここでは、例えば、媒体が光沢紙でも普通紙でもないため、図12に示す画素値変換情報を用いてドットサイズデータの変換処理を行う。このように、図12に示す画素値変換情報を用いて変換処理を行うと、その変換結果は、図16(c)に示すようになる。つまり、補正箇所のドットサイズデータが、「ドットなし(E)」は「255」に、「S」は「170」に、「M」は「85」にそれぞれ変換されたものとなる。ドットサイズデータ変換部16は、補正箇所のドットサイズデータを全て画素値に変換すると(ステップS210の「Yes」の分岐)、この変換後の画素値と変換されなかったドットサイズデータとが混在するデータを、未処理画像データとして画素値補正部17に出力する。このとき、第1N値化処理部13から取得したCMYK画像データも出力する。
【0115】
画素値補正部17は、ドットサイズデータ変換部16から未処理画像データ及びCMYK画像データが入力されると(ステップS300の「Yes」の分岐)、画素値補正情報記憶部18から画素値補正情報(ここでは、図14の画素値補正情報)を取得すると共に、未処理画像データにおける補正対象の画素データ(上記ライン番号1、2、4を構成する画素データ)から、補正処理が未処理の画素データを選択する(ステップS302)。そして、選択した画素データと同じ画素位置のCMYK画像データの画素値を取得し、これを入力輝度値とする。そして、この入力輝度値とこの画素のライン番号とから、選択画素データに対応する補正量を画素値補正情報(データテーブル)から取得し(ステップS304)、当該取得した補正量を選択画素データの画素値に加算して画素値を補正する(ステップS306)。例えば、選択画素データがライン番号1で、対応する入力輝度値が「120」である場合は、図14に示すように、画素値補正情報から補正量「9」が取得され、この「9」が選択画素データの画素値に加算される。この画素値補正処理を、補正対象の全画素データに対して完了すると(ステップS308の「Yes」の分岐)、この補正結果は、図18(b)に示すようになる。なお、図18(a)は、図16(c)と同じ内容の未処理画像データであり、この未処理画像データの補正後である図18(b)と対比すると解るように、ライン番号4の画素値の中には画素値が減少しているものがある。このように画素値が減少するものは、画素値補正情報において補正量としてマイナス値が設定されている。画素値補正部17は、このようにして生成された、ドットサイズデータと、補正後の画素値とが混在するデータを、補正済画像データとして、第2N値化処理部19に出力する。
【0116】
一方、第2N値化処理部19は、画素値補正部17から補正済画像データが入力されると(ステップS400の「Yes」の分岐)、N値化情報記憶部14から第2N値化処理用のN値化情報を取得する(ステップS402)。ここで、第2N値化処理用のN値化情報は、図10に示す、印刷ヘッド200のノズルが形成可能な4種類のドットサイズに対応したN値化処理用閾値(画素値範囲)、及び各ドットサイズに対応したN値化処理後の画素値(輝度値及び濃度値)と、図19(a)及び(b)に示す、画素列方向に誤差の分配量が偏った偏重誤差拡散マトリクスを含んだものとなる。
【0117】
第2N値化処理部19は、補正済画像データにおける補正後の画素が連続する領域を判定し、その領域における第2N値化処理が未処理の画素データを選択する(ステップS402)。図18(b)に示すように、補正済画像データは、ライン番号1、2及び4の3列の画素列に対して補正処理が施されているので、このような場合は、ライン番号1及び2の連続する画素列で1つの連続領域、ライン番号4の画素列で1つの連続領域と判定し、これら2つの連続領域のそれぞれの範囲内において第2N値化処理及び誤差拡散処理を実行する(ステップS406,S408)。つまり、第2N値化処理部19は、図20(a)に示すように、図18(b)に示す処理済画像データのライン番号1及び2の画素列の各画素値を、図10に基づきN値の階調数の画素値に変換すると共に、図19(b)示す偏重誤差拡散マトリクスを用いて誤差拡散処理を施し、図20(b)に示すN値化処理結果を得る。この第2N値化処理及び誤差拡散処理は、上記第1N値化処理部13と同様の処理となり、N値化処理を実行する範囲と、誤差拡散マトリクスの特性が異なるだけである。ここで、図19(b)に示す偏重誤差拡散マトリクスは、選択画素(注目画素)の、右側の画素に誤差の「7/10」の値を分配し、左下、下側、右下の画素にそれぞれ誤差の「1/10」の値を分配するようにマトリクスが構成されている。例えば、選択画素データの画素値が「189」である場合は、N値化により画素値が「170」に変換されるので、誤差は、「189−170=19」と算出される。従って、誤差拡散処理においては、選択画素の右側の画素に誤差「13」を、左下、下側、右下の画素に誤差「2」をそれぞれ分配(加算)する。なお、小数点以下は四捨五入している。つまり、選択画素の右側は、画素列方向となるので、誤差のほとんどが画素列方向へと伝搬され、その残りが連続する下側の画素列の画素に分配される。但し、図20(a)の例では、画素列が2列しかないので、ライン番号2の画素列においては、下側の画素に分配する分が無駄となる。このように、連続領域の範囲内のみにおいて且つ画素列方向に多めに誤差を拡散するので、補正により増加した分の画素値が無駄なく分配されるようになる。同様に、図20(c)に示すように、図18(b)に示す処理済画像データのライン番号4の画素列の各画素値を、図10に基づきN値の階調数の画素値に変換すると共に、図19(a)に示す偏重誤差拡散マトリクスを用いて誤差拡散処理を施し、図20(d)に示すN値化処理結果を得る。ここで、図19(b)に示す偏重誤差拡散マトリクスは、選択画素(注目画素)の、右側の画素に誤差を100%を分配するマトリクス構成をしており、図20(c)に示すように、連続領域が1画素列のときに用いることで、連続領域内において誤差のほとんどが分配される。これにより、補正により増加した分の画素値が無駄なく分配されるようになる。もちろん、連続する2列以上の画素列から構成される連続領域に対して、図19(a)及び(b)の偏重誤差拡散マトリクスを両方用いるようにしても良い。つまり、最後の画素列に対しては、図19(a)に示す偏重誤差拡散マトリクスを用い、それ以外の画素列に対しては図19(b)に示す偏重誤差拡散マトリクスを用いて誤差拡散処理を行うことで、補正により増加した分の画素値がより無駄なく分配されるようになる。
【0118】
第2N値化処理部19は、図10及び図19に示す情報を含む第2N値化処理用のN値化情報を用いたN値化処理(第2N値化処理)が、処理対象の全画素データに対して完了すると(ステップS410の「Yes」の分岐)、このドットサイズデータと、第2N値化処理後の画素値とが混在したデータを、第2N値化画像データとして、印刷用画像データ生成部15に出力する。
【0119】
印刷用画像データ生成部15は、第2N値化処理部19から第2N値化画像データが入力されると(ステップS502の「No」の分岐)、画素値補正情報記憶部18から画素値変換情報を取得し、前記第2N値化画像データにおける補正箇所の画素データから、ドットサイズデータへの変換処理が未処理の画素データを選択する(ステップS512)。
そして、図12に示す画素値変換情報に基づき、上記選択した画素データ(N値化処理後)の輝度値を、上記第1N値化画像データのときと同様に、当該輝度値に対応するドットサイズデータに変換する(ステップS514)。上記第2N値化画像データにおける補正対象の全画素データに対してドットサイズデータへの変換処理が完了すると(ステップS516の「Yes」の分岐)、当該変換結果のデータに基づき、補正済印刷用画像データを生成する(ステップS518)。このようにして生成された補正済印刷用画像データは、図20(f)に示すように、図20(e)に示す補正処理前の印刷用画像データと比較して、一部ドットサイズが異なったものとなる(図中の○で囲った部分)。
【0120】
更に、印刷用画像データ生成部15は、上記生成した補正済印刷用画像データを印刷部20に出力する。
一方、印刷部20は、印刷用画像データ生成部15から出力された印刷用画像データを取得し、当該取得した印刷用画像データに基づき、印刷ヘッド200を用いて媒体上に、各画素値に対応したドットサイズのドットを形成(印刷)する(ステップS124)。
【0121】
次に、印刷装置100のデータ取得部10において、印刷用画像データを直接取得した場合について説明する。この場合、データ取得部10は、印刷指示情報の送信元である外部装置等から印刷用画像データ及びこれに対応する補正指示情報を取得すると(ステップS102)、当該取得した印刷用画像データ及び補正指示情報を印刷用画像データ記憶部11に記憶する(ステップS104の「No」の分岐)。一方、印刷用画像データ記憶部11に印刷用画像データ及び補正指示情報が記憶されると、ドットサイズデータ変換部16は、印刷用画像データ記憶部11から印刷用画像データ及び補正指示情報を取得し、更に、画素値補正情報記憶部18から画素値補正情報(データテーブル)を取得する。そして、前記補正指示情報(例えば、CMYK画像データそのもの)の有する各画素のラインを構成する画素に対応した画素値を入力輝度値として、各画素の画素値補正情報が補正量「0」となっているか否かを判定する。以降は、上記したデータ取得部10で画像データを取得した場合と同様に、補正箇所に対するドットサイズデータの変換処理、画素値補正処理、第2N値化処理及び補正済印刷用画像データの生成処理が順次実行される。つまり、データ取得部10で画像データを取得した場合は、印刷用画像データの生成元であるCMYK画像データではなく、印刷用画像データに対応する補正指示情報に基づき、上記データ取得部10で画像データを取得した場合と同様に各種処理が実行される。
【0122】
以上、本実施の形態の印刷装置100は、ドットサイズデータ及びその配置位置のデータを含む印刷用画像データに対して、まず、補正対象箇所を判定し、当該判定した補正対象箇所のドットサイズデータのみを各ドットサイズに対応する画素値に変換し、この変換後の画素値に対して補正処理を施すようにしたので、3種類以上のドットサイズに対応している印刷用画像データに対しても適切な補正処理を行うことが可能である。
【0123】
また、上記補正処理後の画素値のみに対して、N値化処理を施してN値化画像データを生成し、当該N値化画像データから印刷用画像データを生成するようにしたので、全てのドットサイズデータを画素値変換し、この変換後の画素値に対して、補正処理、N値化処理及び補正済印刷用画像データ生成処理を行うよりも処理量を低減することが可能である。更に、N値化処理後の印刷用画像データに対して必要な箇所だけ画素値を補正することになるので、元々のドット配置位置を活かした補正を行うことが可能である。
【0124】
また、補正処理後の画素値に対して、偏重誤差拡散マトリクスを用い、且つ補正後の画素データが連続する領域の範囲内に対してのみ誤差拡散処理を実行するようにしたので、連続する領域内において、画素列方向に多めに誤差が分配されるようになるので、補正処理後の画素値に対してN値化処理を行った際に発生する誤差を無駄なく拡散(分配)することが可能である。
【0125】
上記実施の形態において、印刷用画像データ記憶部11は、形態1又は20の印刷用画像データ記憶手段に対応し、画像データ記憶部12は、形態2又は21の画像データ記憶手段に対応し、第1N値化処理部13及びN値化情報記憶部14による画像データから第1N値化画像データを生成する処理は、形態2又は21の補正前画素値N値化手段に対応し、印刷用画像データ生成部15は、形態1、2、20及び21のいずれか1の印刷用画像データ生成手段に対応し、ドットサイズデータ変換部16におけるドットサイズデータを画素値に変換する処理は、形態1、3、20及び22のいずれか1のドットサイズデータ変換手段に対応し、ドットサイズデータ変換部16における補正箇所情報を生成する処理は、形態3又は22の補正箇所情報生成手段に対応し、画素値補正部17は、形態1又は20の画素値補正手段に対応し、画素値補正情報記憶部18は、形態1又は20の画素値補正情報記憶手段に対応し、第2N値化処理部19及びN値化情報記憶部14による補正済画像データから第2N値化画像データを生成する処理は、形態1、4、5、20、23及び24のいずれか1の補正後画素値N値化手段に対応し、印刷部20は、形態1の印刷手段に対応する。
【0126】
また、上記実施の形態において、ステップS110〜S112は、形態8、15、27及び34のいずれか1の補正前画素値N値化ステップに対応し、ステップS114及びステップS122は、形態7、8、14、15、26、27、33及び34のいずれか1の印刷用画像データ生成ステップに対応し、ステップS116は、形態7、9、14、16、26、28、33及び35のいずれか1のドットサイズデータ変換ステップに対応し、ステップS118は、形態7、14、26及び33のいずれか1の画素値補正ステップに対応し、ステップS120は、形態7、10、11、14、17、18、26、29、30、33、36及び37のいずれか1の補正後画素値N値化ステップに対応し、ステップS124は、形態7又は14の印刷ステップに対応する。
【0127】
なお、上記実施の形態における印刷装置100の特徴は、既存の印刷装置そのものには殆ど手を加えることなくその印刷部の特性に合わせて画素値変換処理及び画素値補正処理を行うようにしたため、印刷部20として特に専用のものを用意する必要はなく、従来から既存のインクジェット方式のプリンタをそのまま利用するができる。また、上記実施の形態における印刷装置100から印刷部20を分離すれば、その機能はPCなどの汎用の印刷指示端末(印刷用画像データ生成装置)のみで実現することも可能となる。
【0128】
また、上記実施の形態においては、補正箇所の位置情報を全て含む補正箇所情報を生成するようにしているが、これに限らず、補正箇所の位置情報が抽出されるごとに、順次その補正箇所のドットサイズデータを画素値に変換するようにしても良い。
また、上記実施の形態における印刷装置100は、ラインヘッド型のインクジェットプリンタのみならず、マルチパス型のインクジェットプリンタにも適用可能であり、ラインヘッド型のインクジェットプリンタであれば、濃度ムラが殆ど目立たない高品質の印刷物を1パスで得ることが可能となり、また、マルチパス型のインクジェットプリンタであれば、往復動作回数を減らすことができるため、従来よりも高速印刷が可能となる。
【0129】
図21(A)〜(C)は、ラインヘッド型のインクジェットプリンタとマルチパス型のインクジェットプリンタとによるそれぞれの印刷方式を示したものである。
同図(A)に示すように、矩形状の印刷用紙Sに図示の画像を印刷する場合に、同図(B)に示すように、印刷用紙Sの幅方向を画像データのノズル配列方向、長手方向を画像データのノズル配列方向に対して垂直方向とした場合、ラインヘッド型のインクジェットプリンタでは、印刷ヘッド200がその印刷用紙Sの紙幅分の長さを有しており、この印刷ヘッド200を固定し、この印刷ヘッド200に対して前記印刷用紙Sをノズル配列方向に対して垂直方向に移動させることでいわゆる1パス(動作)で印刷を完了するようにしている。なお、いわゆるフラットベット式のスキャナのように印刷用紙Sを固定し、印刷ヘッド200側をそのノズル配列方向に対して垂直方向に移動させたり、あるいは両方をそれぞれ反対方向に移動させながら印刷を行うことも可能である。これに対し、マルチパス型のインクジェットプリンタは、同図(C)に示すように、印刷用紙Sの長手方向を画像データのノズル配列方向、幅方向を画像データのノズル配列方向に対して垂直方向とした場合、紙幅分の長さに比べてはるかに短い印刷ヘッド200をノズル配列方向に位置させ、これをノズル配列方向に対して垂直方向に何度も往復動させながら印刷用紙Sを所定のピッチずつノズル配列方向に移動させることで印刷を実行するようにしている。従って、後者のマルチパス型のインクジェットプリンタの場合は、前者のラインヘッド型のインクジェットプリンタに比べて印刷時間がかかるといった欠点がある反面、任意の箇所に印刷ヘッド200を繰り返し位置させることができることから前述したようなバンディング現象のうち特に白スジ現象の軽減については、ある程度の対応が可能となっている。
【0130】
また、上記実施の形態ではインクをドット状に吐出して印刷を行うインクジェットプリンタを例に説明したが、本発明は、印字機構がライン状に並んだ形態の印刷ヘッドを用いた他の印刷装置、例えば熱転写プリンタまたは感熱式プリンタなどと称されるサーマルヘッドプリンタについても適用可能である。
また、図3では、印刷ヘッド200の各色ごとに設けられた各ノズルモジュール50、52,54,56は、その印刷ヘッド200の長手方向に直線状にノズルNが連続した形態となっているが、図22に示すように、これら各ノズルモジュール50、52,54,56をそれぞれ複数の短尺のノズルユニット50a、50b、…50nで構成し、これを印刷ヘッド200の移動方向の前後に配列するように構成しても良い。特に、このように各ノズルモジュール50、52,54,56ごとに複数の短尺のノズルユニット50a、50b、…50nで構成すれば、各ノズルユニット50a、50b、…50nの個々の長さを短くしたヘッドを用いて長尺のノズルモジュールを構成することが可能になるので、ノズルモジュールの製造の歩留まりを高くすることが可能になる。
【0131】
また、これまでは、複数のノズルを矩形状の印刷用紙の幅方向と同方向に直線状に配列し、当該幅方向を「ノズル配列方向」、前記矩形状の印刷用紙の長手方向を「ノズル配列方向に対して垂直方向」としたラインヘッド型の印刷ヘッド、前記長手方向と同方向に複数のノズルを配列し、当該長手方向を「ノズル配列方向」、矩形状の印刷用紙の幅方向を「ノズル配列方向に対して垂直方向」とした短尺のマルチパス型の印刷ヘッドなど、「ノズル配列方向」と「印字方向(紙搬送方向)」とが垂直又はほぼ垂直となる構成の印刷ヘッドについて説明してきたが、これに限らず、短尺のノズルモジュールを複数配列した印刷ヘッド、「ノズル配列方向」と「印字方向」とが垂直又はほぼ垂直とならない印刷ヘッドなど他の構成の印刷ヘッドもある。
【0132】
以下、図23及び図24に基づき、ラインヘッド型の印刷ヘッド及びマルチパス型の印刷ヘッドの構成例をいくつか説明する。ここで、図23(a)〜(d)は、ラインヘッド型プリンタの印刷ヘッドの構成例を示す図である。また、図24(a)〜(d)は、マルチパス型プリンタの印刷ヘッドの構成例を示す図である。
まず、ラインヘッド型の印刷ヘッドの構成例について説明する。
【0133】
図23(a)の構成例は、上記第1及び第2の実施の形態において用いた、複数のノズルを矩形状の印刷用紙Sの幅方向と同方向に直線状に配列し、当該幅方向を「ノズル配列方向」、印刷用紙Sの長手方向を「ノズル配列方向に対して垂直方向」とした長尺の(幅方向と同等の長さ又は幅方向よりも長い)印刷ヘッドである。この構成例の場合は、「ノズル配列方向に対して垂直方向」と「印字方向(紙搬送方向)」とが同方向となる。つまり、「ノズル配列方向」と「印字方向」とが垂直(又はほぼ垂直)となる。一方、図23(b)の構成例は、「ノズル配列方向」と印刷用紙Sの幅方向とが同方向ではなく、幅方向に対して斜め方向に複数のノズルが配列された構成の長尺の印刷ヘッドである。この構成例の場合は、「ノズル配列方向に対して垂直方向」と「印字方向」とが同方向とはならず、「各ノズルが連続して印刷する方向」が「印字方向」となる。つまり、「ノズル配列方向」と「印字方向(紙搬送方向)」とが垂直(又はほぼ垂直)とはならない。従って、印刷用紙Sの長手方向は、「各ノズルが連続して印刷する方向」となり、印刷用紙Sの幅方向は、「ノズル配列方向」ではなく、「各ノズルが連続して印刷する方向に対して垂直方向」となる。このように印字方向とは垂直方向となる幅方向に対してノズル配列方向を斜めにすれば、高解像度の画像を得ることができることが分かっている。
【0134】
また、図23(c)の構成例は、複数のノズルを矩形状の印刷用紙Sの幅方向と同方向に直線状に配列した短尺のノズルモジュールを、一直線ではなく幅方向に互い違いに複数配設した構成の印刷ヘッドである。この構成例は、単体のノズルモジュールを複数のノズルモジュールに分けた構成であり、図23(a)の構成例と同等の構成となるので、「ノズル配列方向」は印刷用紙Sの幅方向、「ノズル配列方向に対して垂直方向」は印刷用紙Sの長手方向且つ「印字方向」となる。一方、図23(d)の構成例は、図23(b)の構成例と同様に、印刷用紙Sの幅方向に対して斜め方向に複数のノズルが配列された構成の印刷ヘッドである。但し、図23(d)の構成例では、斜め方向に複数のノズルが配列された短尺のノズルモジュールを印刷用紙Sの幅方向に、当該幅方向に対して斜めの状態で複数配設した構成となっている。この構成例は、単体のノズルモジュールを複数のノズルモジュールに分けた構成であり、図23(b)の構成例と同等の構成となるので、印刷用紙Sの長手方向は、「各ノズルが連続して印刷する方向」となり、印刷用紙Sの幅方向は、「各ノズルが連続して印刷する方向に対して垂直方向」となる。
【0135】
次に、マルチパス型の印刷ヘッドの構成例について説明する。
図24(a)の構成例は、矩形状の印刷用紙Sの長手方向と同方向に複数のノズルを配列し、当該長手方向を「ノズル配列方向」、印刷用紙Sの幅方向を「ノズル配列方向に対して垂直方向」とした短尺の印刷ヘッドである。この構成例の場合は、「ノズル配列方向に対して垂直方向」と「印字方向(紙搬送方向)」とが同方向となる。つまり、「ノズル配列方向」と「印字方向」とが垂直(又はほぼ垂直)となる。また、印刷ヘッドの進行方向は、同図(a)に示すように、印刷ヘッドが印刷用紙Sの幅方向に対して往復動する。一方、図24(b)の構成例は、「ノズル配列方向」と印刷用紙Sの長手方向とが同方向ではなく、長手方向に対して斜め方向に複数のノズルが配列された構成の短尺の印刷ヘッドである。この構成例の場合は、「ノズル配列方向に対して垂直方向」と「印字方向」とが同方向とはならず、「各ノズルが連続して印刷する方向」が「印字方向」となる。つまり、「ノズル配列方向」と「印字方向(紙搬送方向)」とが垂直(又はほぼ垂直)とはならない。従って、印刷用紙Sの幅方向は、「ノズル配列方向」ではなく、「各ノズルが連続して印刷する方向」となり、印刷用紙Sの長手方向は、「各ノズルが連続して印刷する方向に対して垂直方向」となる。このように印字方向とは垂直方向となる長手方向に対してノズル配列方向を斜めにすれば、高解像度の画像を得ることができることが分かっている。
【0136】
また、図24(c)の構成例は、複数のノズルを矩形状の印刷用紙Sの長手方向と同方向に直線状に配列した短尺のノズルモジュールを、一直線ではなく幅方向に互い違いに複数配設した構成の短尺の印刷ヘッドである。この構成例は、単体のノズルモジュールを複数のノズルモジュールに分けた構成であり、図24(a)の構成例と同等の構成となるので、「ノズル配列方向」は印刷用紙Sの幅方向、「ノズル配列方向に対して垂直方向」は印刷用紙Sの長手方向且つ「印字方向」となる。一方、図24(d)の構成例は、図24(b)の構成例と同様に、印刷用紙Sの長手方向に対して斜め方向に複数のノズルが配列された構成の短尺の印刷ヘッドである。但し、図24(d)の構成例では、斜め方向に複数のノズルが配列されたより短尺のノズルモジュールを印刷用紙Sの長手方向に、当該長手方向に対して斜めの状態で複数配設した構成となっている。この構成例は、単体のノズルモジュールを複数のノズルモジュールに分けた構成であり、図24(b)の構成例と同等の構成となるので、印刷用紙Sの幅方向は、「各ノズルが連続して印刷する方向」となり、印刷用紙Sの長手方向は、「各ノズルが連続して印刷する方向に対して垂直方向」となる。
【0137】
上記説明した図23(a)及び(c)に示すラインヘッド型の印刷ヘッド及び上記説明した図24(a)及び(c)に示すマルチパス型の印刷ヘッドなどのように、「ノズル配列方向」と「印字方向」とが垂直となる構成の印刷ヘッドだけでなく、上記説明した図23(b)及び(d)に示すラインヘッド型の印刷ヘッド及び上記説明した図24(b)及び(d)に示すマルチパス型の印刷ヘッドなどのように、「ノズル配列方向」と「印字方向」とが垂直とならない構成の印刷ヘッドに対しても本発明を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本発明に係る印刷装置100の構成を示すブロック図である。
【図2】コンピュータシステムのハードウェア構成を示す図である。
【図3】本発明の印刷ヘッド200の構造を示す部分拡大底面図である。
【図4】印刷装置100における印刷処理を示すフローチャートである。
【図5】ドットサイズデータ変換部16のドットサイズデータ変換処理を示すフローチャートである。
【図6】画素値補正部17における画素値補正処理を示すフローチャートである。
【図7】第2N値化処理部19における第2N値化処理を示すフローチャートである。
【図8】印刷用画像データ生成部15における印刷用画像データ生成処理を示すフローチャートである。
【図9】(a)は、縦6画素×横8画素の画像を構成する画像データを示す図であり、(b)は、(a)の画像データから生成される印刷用画像データを示す図である。
【図10】ノズルのドットサイズに対応したN値化処理用閾値、及び各ドットサイズに対応したN値化処理後の画素値の一例を示す図である。
【図11】第1N値化処理で用いる誤差拡散マトリクスの一例を示す図である。
【図12】画素値変換情報の一例を示す図である。
【図13】画素値変換情報の生成時に用いるベタ画像の一例を示す図である。
【図14】画素値補正情報の一例を示す図である。
【図15】画素値補正情報の生成方法の一例を示す図である。
【図16】(a)は、図9(b)の印刷用画像データにおける補正箇所の一例を示す図であり、(b)は、(a)に対応するドットサイズデータ変換前の印刷用画像データの一例を示す図であり、(c)は、(b)に示す補正箇所のドットサイズデータを画素値に変換後の印刷用画像データの一例を示す図である。
【図17】各種印刷用紙に対応した画素値変換情報の一例を示す図である。
【図18】(a)は、未処理画像データの一例を示す図であり、(b)は、処理済画像データの一例を示す図である。
【図19】(a)及び(b)は、偏重誤差拡散マトリクスの一例を示す図である。
【図20】(a)〜(d)は、補正後の画素値に対する第2N値化処理の実行前後の各画素値を示す図であり、(e)は、ドットサイズデータの変換前の印刷用画像データを示す図であり、(f)は、(a)〜(d)に示す第2N値化処理後の処理済印刷用画像データを示す図である。
【図21】(A)〜(C)は、マルチパス型のインクジェットプリンタとラインヘッド型のインクジェットプリンタとによる印刷方式の違いを示す説明図である。
【図22】印刷ヘッドの構造の他の例を示す概念図である。
【図23】(a)〜(d)は、ラインヘッド型プリンタの印刷ヘッドの構成例を示す図である。
【図24】(a)〜(d)は、マルチパス型プリンタの印刷ヘッドの構成例を示す図である。
【図25】画素値補正における目標値の説明図である。
【符号の説明】
【0139】
100…印刷装置、200…印刷ヘッド、10…データ取得部、11…印刷用画像データ記憶部、12…画像データ記憶部、13…第1N値化処理部、14…N値化情報記憶部、15…印刷用画像データ生成部、16…ドットサイズデータ変換部、17…画素値補正部、18…画素値補正情報記憶部、19…第2N値化処理部、20…印刷部、60…CPU、62…RAM、64…ROM、66…インターフェース、70…記憶装置、72…出力装置、74…入力装置、50…ブラックノズルモジュール、52…イエローノズルモジュール、54…マゼンタノズルモジュール、56…シアンノズルモジュール、S…印刷用紙、L…ネットワークケーブル、N…ノズル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な印刷素子を有する印刷ヘッドを備え、当該印刷ヘッドによって前記媒体に画像を印刷する印刷装置であって、
M(M≧3)値の階調数の画素値を有する画像データの各画素値に対応するドットサイズ及びドット配置位置のデータを含む印刷用画像データを記憶する印刷用画像データ記憶手段と、
前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報に基づき、前記印刷用画像データにおける各ドットサイズのデータを、当該各ドットサイズに対応する前記M値の階調数の画素値に変換するドットサイズデータ変換手段と、
前記印刷素子の形成するドットに対応する画素値を補正するための画素値補正情報を記憶する画素値補正情報記憶手段と、
前記画素値補正情報に基づき、前記ドットサイズデータ変換手段で変換後の画素値を補正する画素値補正手段と、
前記画素値補正手段で補正後の各画素値をN(M>N≧2)値の階調数の画素値に変換する補正後画素値N値化手段と、
前記補正後画素値N値化手段で変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記印刷用画像データを生成する印刷用画像データ生成手段と、
前記印刷用画像データに基づき、前記印刷ヘッドを用いて前記媒体に前記画像を印刷する印刷手段と、を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記画像データを記憶する画像データ記憶手段と、
前記画像データの補正前の前記M値の階調数の各画素値を前記N値の階調数の画素値に変換する補正前画素値N値化手段と、を備え、
前記印刷用画像データ生成手段は、前記補正前画素値N値化手段で変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記画像データに対する前記印刷用画像データを生成することを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記画像データ及び前記画素値補正情報に基づき、前記印刷用画像データの各ドットサイズデータにおける、補正の必要なドットサイズデータの情報を生成する補正箇所情報生成手段を備え、
前記ドットサイズデータ変換手段は、前記補正箇所情報生成手段で生成された情報に基づき、前記印刷用画像データのドットサイズデータを変換することを特徴とする請求項2記載の印刷装置。
【請求項4】
前記補正後画素値N値化手段は、前記M値の階調数の画素値を前記N値の階調数の画素値に変換する処理において、前記印刷素子が前記ドットの形成を担当する画素列方向に誤差が偏る誤差拡散マトリクスを用いた誤差拡散処理を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記補正後画素値N値化手段は、補正対象の画素が連続する範囲内において、前記誤差拡散処理を行うことを特徴とする請求項4記載の印刷装置。
【請求項6】
前記画素値は、濃度値又は輝度値であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項7】
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な印刷素子を有する印刷ヘッドを備え、当該印刷ヘッドによって前記媒体に画像を印刷する印刷装置を制御するのに使用する印刷装置制御プログラムであって、
ドットサイズと前記M(M≧3)値の階調数の画素値との関係を示す情報に基づき、前記M値の階調数の画素値を有する画像データの各画素値に対応するドットサイズ及びドット配置位置のデータを含む印刷用画像データにおける各ドットサイズのデータを、当該各ドットサイズに対応する前記M値の階調数の画素値に変換するドットサイズデータ変換ステップと、
前記印刷素子の形成するドットに対応する画素値を補正するための画素値補正情報に基づき、前記ドットサイズデータ変換ステップで変換後の画素値を補正する画素値補正ステップと、
前記画素値補正ステップで補正後の各画素値をN(M>N≧2)値の階調数の画素値に変換する補正後画素値N値化ステップと、
前記補正後画素値N値化ステップで変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記印刷用画像データを生成する印刷用画像データ生成ステップと、
前記印刷用画像データに基づき、前記印刷ヘッドを用いて前記媒体に前記画像を印刷する印刷ステップとを有する処理をコンピュータに実行させるのに使用するプログラムを含むことを特徴とする印刷装置制御プログラム。
【請求項8】
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な印刷素子を有する印刷ヘッドを備え、当該印刷ヘッドによって前記媒体に画像を印刷する印刷装置を制御するのに使用する印刷装置制御方法であって、
ドットサイズと前記M(M≧3)値の階調数の画素値との関係を示す情報に基づき、前記M値の階調数の画素値を有する画像データの各画素値に対応するドットサイズ及びドット配置位置のデータを含む印刷用画像データにおける各ドットサイズのデータを、当該各ドットサイズに対応する前記M値の階調数の画素値に変換するドットサイズデータ変換ステップと、
前記印刷素子の形成するドットに対応する画素値を補正するための画素値補正情報に基づき、前記ドットサイズデータ変換ステップで変換後の画素値を補正する画素値補正ステップと、
前記画素値補正ステップで補正後の各画素値をN(M>N≧2)値の階調数の画素値に変換する補正後画素値N値化ステップと、
前記補正後画素値N値化ステップで変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記印刷用画像データを生成する印刷用画像データ生成ステップと、
前記印刷用画像データに基づき、前記印刷ヘッドを用いて前記媒体に前記画像を印刷する印刷ステップと、を含むことを特徴とする印刷装置制御方法。
【請求項9】
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な印刷素子を有する印刷ヘッドによって、前記媒体に画像を印刷する印刷装置において使用される印刷用画像データを生成する印刷用画像データ生成装置であって、
M(M≧3)値の階調数の画素値を有する画像データの各画素値に対応するドットサイズ及びドット配置位置のデータを含む印刷用画像データを記憶する印刷用画像データ記憶手段と、
前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報に基づき、前記印刷用画像データにおける各ドットサイズのデータを、当該各ドットサイズに対応する前記M値の階調数の画素値に変換するドットサイズデータ変換手段と、
前記印刷素子の形成するドットに対応する画素値を補正するための画素値補正情報を記憶する画素値補正情報記憶手段と、
前記画素値補正情報に基づき、前記ドットサイズデータ変換手段で変換後の画素値を補正する画素値補正手段と、
前記画素値補正手段で補正後の各画素値をN(M>N≧2)値の階調数の画素値に変換する補正後画素値N値化手段と、
前記補正後画素値N値化手段で変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記印刷用画像データを生成する印刷用画像データ生成手段と、を備えることを特徴とする印刷用画像データ生成装置。
【請求項10】
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な印刷素子を有する印刷ヘッドによって、前記媒体に画像を印刷する印刷装置において使用される印刷用画像データを生成するのに使用する印刷用画像データ生成プログラムであって、
ドットサイズと前記M(M≧3)値の階調数の画素値との関係を示す情報に基づき、前記M値の階調数の画素値を有する画像データの各画素値に対応するドットサイズ及びドット配置位置のデータを含む印刷用画像データにおける各ドットサイズのデータを、当該各ドットサイズに対応する前記M値の階調数の画素値に変換するドットサイズデータ変換ステップと、
前記印刷素子の形成するドットに対応する画素値を補正するための画素値補正情報に基づき、前記ドットサイズデータ変換ステップで変換後の画素値を補正する画素値補正ステップと、
前記画素値補正ステップで補正後の各画素値をN(M>N≧2)値の階調数の画素値に変換する補正後画素値N値化ステップと、
前記補正後画素値N値化ステップで変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記印刷用画像データを生成する印刷用画像データ生成ステップとを有する処理をコンピュータに実行させるのに使用するプログラムを含むことを特徴とする印刷用画像データ生成プログラム。
【請求項11】
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な印刷素子を有する印刷ヘッドによって、前記媒体に画像を印刷する印刷装置において使用される印刷用画像データを生成するのに使用する印刷用画像データ生成方法であって、
ドットサイズと前記M(M≧3)値の階調数の画素値との関係を示す情報に基づき、前記M値の階調数の画素値を有する画像データの各画素値に対応するドットサイズ及びドット配置位置のデータを含む印刷用画像データにおける各ドットサイズのデータを、当該各ドットサイズに対応する前記M値の階調数の画素値に変換するドットサイズデータ変換ステップと、
前記印刷素子の形成するドットに対応する画素値を補正するための画素値補正情報に基づき、前記ドットサイズデータ変換ステップで変換後の画素値を補正する画素値補正ステップと、
前記画素値補正ステップで補正後の各画素値をN(M>N≧2)値の階調数の画素値に変換する補正後画素値N値化ステップと、
前記補正後画素値N値化ステップで変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記印刷用画像データを生成する印刷用画像データ生成ステップと、を含むことを特徴とする印刷用画像データ生成方法。
【請求項1】
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な印刷素子を有する印刷ヘッドを備え、当該印刷ヘッドによって前記媒体に画像を印刷する印刷装置であって、
M(M≧3)値の階調数の画素値を有する画像データの各画素値に対応するドットサイズ及びドット配置位置のデータを含む印刷用画像データを記憶する印刷用画像データ記憶手段と、
前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報に基づき、前記印刷用画像データにおける各ドットサイズのデータを、当該各ドットサイズに対応する前記M値の階調数の画素値に変換するドットサイズデータ変換手段と、
前記印刷素子の形成するドットに対応する画素値を補正するための画素値補正情報を記憶する画素値補正情報記憶手段と、
前記画素値補正情報に基づき、前記ドットサイズデータ変換手段で変換後の画素値を補正する画素値補正手段と、
前記画素値補正手段で補正後の各画素値をN(M>N≧2)値の階調数の画素値に変換する補正後画素値N値化手段と、
前記補正後画素値N値化手段で変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記印刷用画像データを生成する印刷用画像データ生成手段と、
前記印刷用画像データに基づき、前記印刷ヘッドを用いて前記媒体に前記画像を印刷する印刷手段と、を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記画像データを記憶する画像データ記憶手段と、
前記画像データの補正前の前記M値の階調数の各画素値を前記N値の階調数の画素値に変換する補正前画素値N値化手段と、を備え、
前記印刷用画像データ生成手段は、前記補正前画素値N値化手段で変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記画像データに対する前記印刷用画像データを生成することを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記画像データ及び前記画素値補正情報に基づき、前記印刷用画像データの各ドットサイズデータにおける、補正の必要なドットサイズデータの情報を生成する補正箇所情報生成手段を備え、
前記ドットサイズデータ変換手段は、前記補正箇所情報生成手段で生成された情報に基づき、前記印刷用画像データのドットサイズデータを変換することを特徴とする請求項2記載の印刷装置。
【請求項4】
前記補正後画素値N値化手段は、前記M値の階調数の画素値を前記N値の階調数の画素値に変換する処理において、前記印刷素子が前記ドットの形成を担当する画素列方向に誤差が偏る誤差拡散マトリクスを用いた誤差拡散処理を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記補正後画素値N値化手段は、補正対象の画素が連続する範囲内において、前記誤差拡散処理を行うことを特徴とする請求項4記載の印刷装置。
【請求項6】
前記画素値は、濃度値又は輝度値であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項7】
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な印刷素子を有する印刷ヘッドを備え、当該印刷ヘッドによって前記媒体に画像を印刷する印刷装置を制御するのに使用する印刷装置制御プログラムであって、
ドットサイズと前記M(M≧3)値の階調数の画素値との関係を示す情報に基づき、前記M値の階調数の画素値を有する画像データの各画素値に対応するドットサイズ及びドット配置位置のデータを含む印刷用画像データにおける各ドットサイズのデータを、当該各ドットサイズに対応する前記M値の階調数の画素値に変換するドットサイズデータ変換ステップと、
前記印刷素子の形成するドットに対応する画素値を補正するための画素値補正情報に基づき、前記ドットサイズデータ変換ステップで変換後の画素値を補正する画素値補正ステップと、
前記画素値補正ステップで補正後の各画素値をN(M>N≧2)値の階調数の画素値に変換する補正後画素値N値化ステップと、
前記補正後画素値N値化ステップで変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記印刷用画像データを生成する印刷用画像データ生成ステップと、
前記印刷用画像データに基づき、前記印刷ヘッドを用いて前記媒体に前記画像を印刷する印刷ステップとを有する処理をコンピュータに実行させるのに使用するプログラムを含むことを特徴とする印刷装置制御プログラム。
【請求項8】
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な印刷素子を有する印刷ヘッドを備え、当該印刷ヘッドによって前記媒体に画像を印刷する印刷装置を制御するのに使用する印刷装置制御方法であって、
ドットサイズと前記M(M≧3)値の階調数の画素値との関係を示す情報に基づき、前記M値の階調数の画素値を有する画像データの各画素値に対応するドットサイズ及びドット配置位置のデータを含む印刷用画像データにおける各ドットサイズのデータを、当該各ドットサイズに対応する前記M値の階調数の画素値に変換するドットサイズデータ変換ステップと、
前記印刷素子の形成するドットに対応する画素値を補正するための画素値補正情報に基づき、前記ドットサイズデータ変換ステップで変換後の画素値を補正する画素値補正ステップと、
前記画素値補正ステップで補正後の各画素値をN(M>N≧2)値の階調数の画素値に変換する補正後画素値N値化ステップと、
前記補正後画素値N値化ステップで変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記印刷用画像データを生成する印刷用画像データ生成ステップと、
前記印刷用画像データに基づき、前記印刷ヘッドを用いて前記媒体に前記画像を印刷する印刷ステップと、を含むことを特徴とする印刷装置制御方法。
【請求項9】
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な印刷素子を有する印刷ヘッドによって、前記媒体に画像を印刷する印刷装置において使用される印刷用画像データを生成する印刷用画像データ生成装置であって、
M(M≧3)値の階調数の画素値を有する画像データの各画素値に対応するドットサイズ及びドット配置位置のデータを含む印刷用画像データを記憶する印刷用画像データ記憶手段と、
前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報に基づき、前記印刷用画像データにおける各ドットサイズのデータを、当該各ドットサイズに対応する前記M値の階調数の画素値に変換するドットサイズデータ変換手段と、
前記印刷素子の形成するドットに対応する画素値を補正するための画素値補正情報を記憶する画素値補正情報記憶手段と、
前記画素値補正情報に基づき、前記ドットサイズデータ変換手段で変換後の画素値を補正する画素値補正手段と、
前記画素値補正手段で補正後の各画素値をN(M>N≧2)値の階調数の画素値に変換する補正後画素値N値化手段と、
前記補正後画素値N値化手段で変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記印刷用画像データを生成する印刷用画像データ生成手段と、を備えることを特徴とする印刷用画像データ生成装置。
【請求項10】
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な印刷素子を有する印刷ヘッドによって、前記媒体に画像を印刷する印刷装置において使用される印刷用画像データを生成するのに使用する印刷用画像データ生成プログラムであって、
ドットサイズと前記M(M≧3)値の階調数の画素値との関係を示す情報に基づき、前記M値の階調数の画素値を有する画像データの各画素値に対応するドットサイズ及びドット配置位置のデータを含む印刷用画像データにおける各ドットサイズのデータを、当該各ドットサイズに対応する前記M値の階調数の画素値に変換するドットサイズデータ変換ステップと、
前記印刷素子の形成するドットに対応する画素値を補正するための画素値補正情報に基づき、前記ドットサイズデータ変換ステップで変換後の画素値を補正する画素値補正ステップと、
前記画素値補正ステップで補正後の各画素値をN(M>N≧2)値の階調数の画素値に変換する補正後画素値N値化ステップと、
前記補正後画素値N値化ステップで変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記印刷用画像データを生成する印刷用画像データ生成ステップとを有する処理をコンピュータに実行させるのに使用するプログラムを含むことを特徴とする印刷用画像データ生成プログラム。
【請求項11】
印刷に用いられる媒体にドットを形成可能な印刷素子を有する印刷ヘッドによって、前記媒体に画像を印刷する印刷装置において使用される印刷用画像データを生成するのに使用する印刷用画像データ生成方法であって、
ドットサイズと前記M(M≧3)値の階調数の画素値との関係を示す情報に基づき、前記M値の階調数の画素値を有する画像データの各画素値に対応するドットサイズ及びドット配置位置のデータを含む印刷用画像データにおける各ドットサイズのデータを、当該各ドットサイズに対応する前記M値の階調数の画素値に変換するドットサイズデータ変換ステップと、
前記印刷素子の形成するドットに対応する画素値を補正するための画素値補正情報に基づき、前記ドットサイズデータ変換ステップで変換後の画素値を補正する画素値補正ステップと、
前記画素値補正ステップで補正後の各画素値をN(M>N≧2)値の階調数の画素値に変換する補正後画素値N値化ステップと、
前記補正後画素値N値化ステップで変換後の各画素値と、前記ドットサイズと前記M値の階調数の画素値との関係を示す情報とに基づき、前記印刷用画像データを生成する印刷用画像データ生成ステップと、を含むことを特徴とする印刷用画像データ生成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2007−230219(P2007−230219A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−338554(P2006−338554)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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