説明

受信回路、電子機器、及び受信回路の制御方法

【課題】 直前の数サイクルに依存して波形が劣化する信号に対して正しく受信することができない。
【解決手段】 本発明の受信回路10は、入力信号を基準電圧と比較して比較結果をハイレベル又はローレベルで出力する比較回路12と、比較回路12の出力レベルを次の1サイクル間保持する第1の記憶回路13と、第1の記憶回路13の出力レベルを次の1サイクル間保持する第2の記憶回路14と、第1の記憶回路13と第2の記憶回路14の出力レベルに応じて前記基準電圧のレベルをサイクル毎に制御する電圧制御回路11を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は受信回路、電子機器、及び受信回路の制御方法に関し、特に、高速伝送信号を受信する際の基準電圧を制御する受信回路、電子機器、及び受信回路の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSI(large scale integration)の内部又はLSI間の信号伝送を、高速化することで、コンピュータ等電子機器の性能は、飛躍的に向上している。一方で、LSIの微細化により、LSI内部の伝送路において信号の減衰が増加している。また高速化、高集積化のために、PWB(print wired board:プリント配線基板ともいう)の配線パターン幅や、ケーブルの信号線径が小さくなる傾向があり、PWB内の伝送路やケーブルの伝送路の信号の減衰が大きくなっている。信号の減衰が増大することにより、信号波形の劣化を引き起こす。また、伝送周波数を上げることにより、波形の劣化に対する影響が顕著になっている。
【0003】
このため、信号波形の劣化を救済する技術の開発が重要となっている。例えば、特許文献1には、減衰した信号を受信する技術が記載されている。特許文献1の発明は、2値化信号の前方に結合され2値化信号の位相及び振幅を示す繰り返し信号(CRI信号と呼ぶ)と、2値化信号から構成される信号に対する技術である。特許文献1の発明では、CRI信号の期間にCRI信号を2値化した後のHighレベルの時間とLowレベルの時間を計測し、時間の大小に基づいて受信信号を2値化する際の基準電圧を調整する。
【0004】
【特許文献1】特開平6−244687
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の発明は、基準電圧を調整するために均等にHigh/Lowを繰り返すCRI信号を利用し、CRI信号を2値化した後のHigh時間とLow時間が均衡するように基準電圧を決定する。決定された基準電圧はCRI信号に続いて受信するデータ信号を受信する際の基準電圧として使用される。これにより、伝送信号の減衰の程度に応じて基準電圧を調整することができる。ただし、データ信号を受信中に基準電圧が変動することはない。
【0006】
一方で、信号の減衰に伴って波形の劣化が大きくなる。特に、高速伝送の場合、受信した信号レベルは直前のサイクルのレベルに依存するようになる。例えば、後述する図4のような波形となる。図4では送信時には図3に示すような正常なHighレベルで出力された信号でも、受信時には前サイクルがLowレベルのときと前サイクルがHighレベルのときでは電圧レベルが異なっている。伝送周波数がさらに大きくなると2サイクル前までのレベルに影響を受けるようになる。
【0007】
特許文献1の発明は、2値化信号を受信中には基準電圧が変動しないので、図4に示したように直前のサイクルのレベルに依存して波形が劣化する信号を正しく受信することができないという問題がある。特許文献1の発明では、規則正しく変化するCRI信号の減衰の程度を調査して減衰の程度に適した基準電圧を決定しているだけなので、直前のサイクルのレベルに依存して劣化する2値化信号に対しては全く機能しない。
【0008】
本発明の目的は、上述した直前のサイクルのレベルに依存して波形が劣化する信号に対して正しく受信することができないという課題を解決するための受信回路、電子機器、及び受信回路の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の受信回路は、入力信号を基準電圧と比較して比較結果をハイレベル又はローレベルで出力する比較回路と、前記比較回路の出力レベルを次の1サイクル間保持する第1の記憶回路と、前記第1の記憶回路の出力レベルを次の1サイクル間保持する第2の記憶回路と、前記第1の記憶回路と前記第2の記憶回路の出力レベルに応じて前記基準電圧のレベルをサイクル毎に制御する電圧制御回路を有する。
【0010】
本発明の電子機器は、入力信号を基準電圧と比較して比較結果をハイレベル又はローレベルで出力する比較回路と、前記比較回路の出力レベルを次の1サイクル間保持する第1の記憶回路と、前記第1の記憶回路の出力レベルを次の1サイクル間保持する第2の記憶回路と、前記第1の記憶回路と前記第2の記憶回路の出力レベルに応じて前記基準電圧のレベルをサイクル毎に制御する電圧制御回路を有する受信回路を有する。
【0011】
本発明の受信回路の制御方法は、入力信号を基準電圧と比較して比較結果をハイレベル又はローレベルで出力する比較回路の出力レベルを第1の記憶回路に保持し、前記第1の記憶回路の出力レベルを第2の記憶回路に保持し、前記第1の記憶回路と前記第2の記憶回路の出力レベルに応じて前記基準電圧のレベルをサイクル毎に制御する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、直前の数サイクルに依存して波形が劣化する信号に対しても正しく受信することができるので、伝送速度を向上させることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施の形態の受信回路10の構成を示す図である。図1を参照すると、受信回路10は、入力信号を基準電圧と比較して予め決められたハイレベル又はローレベルのいずれかのレベルで出力する比較回路12と、比較回路12の出力を次の1サイクル間保持する記憶回路13と、記憶回路13の出力を次の1サイクル間保持する記憶回路14と、記憶回路13と記憶回路14の出力に応じて基準電圧のレベルを決定する電圧制御回路11を有する。なお、レベルとは電圧値を示すものとする。
【0014】
受信回路10は、通常、LSI(large scale integration)に実装される。LSIはPWB(print wired board)と呼ばれるプリント基板に実装される。従って、受信回路10は、LSI内部で送信された信号を受信することも、他のLSIから送信された信号を受信することもある。波形の劣化の程度は、伝送距離(例えばLSI内の伝送とLSI間の伝送)や伝送周波数、又は伝送路の電気特性に依存する。
【0015】
入力信号の理想的な波形は図2に示されるような矩形波である。しかし、実際に伝送される波形は図3に示されるような波形となる。なお、図3の信号は2値信号であり、“0”と“1”のいずれかの信号値を1サイクルで伝送する。図3では“0”はローレベルで伝送され、“1”はハイレベルで伝送されるものとしているが、逆に対応させて伝送してもよい。
【0016】
図3の波形では、信号値が“0”のサイクルではローレベルまで電圧が降下し、信号値が“1”のサイクルではハイレベルまで電圧が上昇しているので、比較回路12は基準電圧をハイレベルとローレベルの中間のレベルに固定することにより入力信号の値を正確に認識することができる。なお、サイクルとは1ビットの2値信号を伝送する周期に相当する時間とする。すなわち、信号は1サイクルで“0”或いは“1”を示す1ビットの情報を伝送する。後述の図6〜8では各サイクルをT1、T1、T2、・・として表している。
【0017】
波形が劣化し図4に示すような波形となると、比較回路12は、基準電圧のレベルをどのような固定値に設定しても入力信号を正確に認識することはできなくなる。図5はこの様子を示した図であり、基準電圧のレベル(図5ではVrefと表記)をローレベルとハイレベルの中央に固定して設定した場合を示している。例えば、サイクルT2において、入力信号は直前のレベルがローレベルのためサイクル内で基準電圧のレベルまで電圧が上昇せず“0”と誤認識されてしまう。またサイクルT8において、入力信号は直前のレベルがハイレベルのため、基準電圧のレベルまで電圧が降下せず、“0”と誤認識されてしまう。
【0018】
この問題は、差動伝送の場合も同様であり、差動伝送においても解決できない。図6はこの様子を示した図である。差動伝送では、伝送信号を正極性の信号(図7では実線で示す)と負極性の信号(図7では破線で示す)にして伝送し、両信号の大小関係で“0”か“1”かを認識する。従って、差動伝送は、両信号に同じ極性のノイズが加わったとしても、両信号間の大小関係が変わらないという特性を有する。このため、ノイズに対して誤認識を回避しやすいが、図7のような波形の劣化に対しては図5の場合と同様にサイクルT2とサイクルT8で誤認識が発生する。
【0019】
次に、第1の実施の形態の動作について説明する。比較回路12は、入力信号を基準電圧と比較してハイレベル又はローレベルのいずれかのレベルで出力する。比較回路12の出力(受信信号)は次の1サイクルの間記憶回路13に保持される。記憶回路13の出力は次の1サイクル間記憶回路14に保持される。
【0020】
電圧制御回路11は、1サイクル前の受信信号の値を保持する記憶回路13と2サイクル前の受信信号の値を保持する記憶回路14の出力を参照して、予め決められた電圧値の中から最適と判断される電圧値を選択して、現サイクルの基準電圧のレベルを決定する。比較回路12は、決定された基準電圧のレベルに従って入力信号の信号値を認識する。
【0021】
このように、第1の実施の形態の受信回路10は、サイクル毎に直前の2サイクルの受信値から、現サイクルで使用する基準電圧のレベルを適切なレベルに設定できる。基準電圧のレベルは記憶回路13と記憶回路14の出力の2ビットで選択可能なため、最大4つまで切り換えることができる。基準電圧のレベルについては特に限定しない。伝送路の電気的特性や、送信回路や受信回路を構成する素子の特性や伝送周波数等に応じて最適なレベルを設定することができる。
【0022】
図5を参照すると、伝送速度を大きくしたとき、波形の劣化により入力信号のレベルが上昇する時間や降下する時間が遅延し、1サイクルの時間内に基準電圧のレベルまで達することができなくなるという傾向が現れる。すなわち、入力信号のレベルは直前のレベルに依存する傾向がある。図5を参照すれば、直前のレベルは、直前の2サイクルの受信値を知ることによりある程度予測できることが分かる。例えば、サイクルT2では、直前の2サイクルの受信値が“0、0”であることから直前のレベルがローレベル又はそれに近いレベルと予測できる。サイクルT8では、直前の2サイクルの受信値が“1、1”であることから直前のレベルがハイレベル又はそれに近いレベルと予測できる。
【0023】
サイクルT2では直前のレベルがローレベルであるため、入力信号はローレベルを起点にしてハイレベルまでレベルを上昇しなければならないが、上昇時間の遅延により、現サイクル内では十分高いレベルまでレベルが上昇できない。従って、正しく入力信号を認識するためには、基準電圧のレベルを下げればよいことが分かる。同様に、サイクルT8において正しく入力信号を認識するためには、基準電圧のレベルを上げればよいことが分かる。
【0024】
従って、サイクルT2やサイクルT8で入力信号を正しく認識するためには、直前の2サイクルの受信値が“0、0”のとき基準電圧のレベルを小さな値に切り替え、直前の2サイクルの受信値が“1、1”のとき基準電圧のレベルを大きな値に切り替えれば良いことが分かる。受信回路10、は基準電圧のレベルを直前の2サイクルの受信値によって切り換えることができるので、基準電圧のレベルを適切なレベルに設定することにより正しく入力信号を受信することができる。
【0025】
このように、本発明の第1の実施の形態の受信回路10は、直前のサイクルのレベルに依存して波形が劣化する信号に対しても正しく受信するように構成することができるので、伝送速度を向上させることができる。それは、伝送周波数の向上に伴い波形の劣化が大きくなるが、劣化が大きくなっても正しく受信できるからである。
【0026】
次に、本発明の第2の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図7は本発明の第2の実施の形態の受信回路20の構成を示す図である。受信回路20は第1の実施の形態の受信回路10を詳細に構成したものであり、特に電圧制御回路21は電圧制御回路11の構成を詳細にしている。
【0027】
受信回路20は、コンパレータ22とF/F23とF/F24と電圧制御回路21を含む。コンパレータ22は比較回路12の一例である。コンパレータ22は、入力信号の電圧と基準電圧との大小を比較し、入力信号のレベルが基準電圧のレベルより大きければ出力をハイレベルとし、入力信号の電圧が基準電圧のレベルより小さければ出力をローレベルとする。コンパレータ22は負帰還をかけていない標準的なオペアンプ(operational amplifier)で実現できる。
【0028】
F/F23とF/F24は、それぞれ記憶回路13と記憶回路14の一例である。F/Fはフリップフロップのことであり、よく知られるように、クロック信号のエッジで信号を取り込み、1クロック間取り込んだ値を保持する回路である。F/F23はコンパレータ22の出力を取り込み、F/F24はF/F23の出力を取り込む。クロック信号は、伝送周波数と同じ周波数となるように作成されるので、F/F23とF/F24の内容はそれぞれ1サイクル間保持される。
【0029】
電圧制御回路21は、電圧制御回路11の一例であり、抵抗31と、抵抗32と、抵抗33と、抵抗34と、トランジスタ35と、トランジスタ36を含む。なお、図7に示したRa、Rb、Rc、Rdはそれぞれ抵抗31〜34の抵抗値とする。トランジスタ35はF/F23の出力がローレベルになるとオンし、F/F23の出力がハイレベルになるとオフするように動作するトランジスタである。トランジスタ36はF/F24の出力がローレベルになるとオンし、F/F24の出力がハイレベルになるとオフするように動作するトランジスタである。
【0030】
抵抗31は一端が電源VDDに接続され、他端が接続点37を介して抵抗32〜34とコンパレータ22に接続される。なお、接続点37は位置を説明するために定義したものであり、実体は抵抗31〜34とコンパレータ22を接続する信号線である。抵抗32は一端がグランドに接続され、他端が接続点37を介して抵抗31、33、34とコンパレータ22に接続される。抵抗33は一端がトランジスタ35に接続され、他端が接続点37を介して抵抗31、32、34とコンパレータ22に接続される。抵抗34は一端がトランジスタ36に接続され、他端が接続点37を介して抵抗31〜33とコンパレータ22に接続される。
【0031】
トランジスタ35は一端がグランドに接続され、他端が抵抗33に接続される。トランジスタ36は一端がグランドに接続され、他端が抵抗34に接続される。基準電圧は接続点37の電圧となる。
【0032】
次に、本発明の第2の実施の形態の動作を説明する。受信回路20は1サイクル前と2サイクル前の受信信号の電圧レベルによりコンパレータ22の基準信号が決定される。また、抵抗33と抵抗34の抵抗値は等しい(Rc=Rd)ものとする。
【0033】
受信回路20は、入力信号を受信すると、コンパレータ22で基準電圧と電圧を比較し、入力信号のレベルが基準電圧のレベルより大きければ出力(受信信号)をハイレベルとし、入力信号のレベルが基準電圧のレベルより小さければ出力をハイレベルとする。なお、受信信号がハイレベルのとき受信値を“1”とし、受信信号がローレベルのとき受信値を“0”とする。ただし、レベルと受信値との対応は逆に定義することもできる。
【0034】
受信信号は図示しないが通常受信回路の後段の回路に接続される。受信信号はF/F23に接続され、次のクロック信号の立ち上がりエッジでF/F23に取り込まれる。F/F23の出力はF/F24に接続され、次のクロック信号の立ち上がりエッジでF/F24に取り込まれる。なお、クロック信号の立ち上がりエッジに代えて立ち下がりエッジで動作するように制御することもできる。電圧制御回路21はF/F23とF/F24に従って基準電圧のレベルを切り替えてコンパレータ22へ供給する。
【0035】
なお、信号を伝送する際、伝送する2値信号の前に2サイクル以上のダミー信号を伝送すればF/F23とF/F24は次に受信する入力信号の基準電圧を最適レベルに調整することができる。ダミー信号は、例えば、連続したローレベル或いは連続したハイレベルとすることができる。
【0036】
次に、電圧制御回路21の動作について説明する。
(1)F/F24=“0”、F/F23=“0”のとき
トランジスタ35、36は共にオンとなり、基準電圧のレベルは抵抗31〜34の抵抗値(Ra、Rb、Rc、Rd)の組み合わせにより決定される。このときの基準電圧のレベルをVref_Lとすると、
Vref_L=VDD*(Rb*Rc*Rd)/(Ra*Rb*Rc+Rb*Rc*Rd+Rc*Rd*Ra+Rd*Ra*Rb)
となる。Rd=Rcのとき、RdをRcで置き換えることができ、
Vref_L=VDD*(Rb*Rc*Rc)/(2*Ra*Rb*Rc+Rc*Rc*Ra+Rb*Rc*Rc)
となる。
【0037】
(2)F/F24=“1”、F/F23=“0”のとき
トランジスタ36はオフとなり、トランジスタ35はオンとなるので、抵抗34は無視され、基準電圧のレベルは抵抗31と抵抗32と抵抗33の抵抗値(Ra、Rb、Rc)の組み合わせにより決定される。このときの基準電圧のレベルを、Vref_M0とすると、
Vref_M0=VDD*(Rb*Rc)/(Ra*Rb+Rb*Rc+Rc*Ra)
となる。
【0038】
(3)F/F24=“0”、F/F23=“1”のとき
トランジスタ36はオンとなり、トランジスタ35はオフとなるので、抵抗33は無視され、基準電圧のレベルは抵抗31と抵抗32と抵抗34の抵抗値(Ra、Rb、Rd)の組み合わせにより決定される。このときの基準電圧のレベルをVref_M1とすると、
Vref_M1=VDD*(Rb*Rd)/(Ra*Rb+Rb*Rd+Rd*Ra)
となる。
Rc=Rdのとき、RdをRcと置き換えることができ、Vref_M1=Vref_M0となる。このときVref_M0=Vref_M1=Vref_Mとする。
【0039】
(4)F/F24=“1”、F/F23=“1”のとき
トランジスタ35、36は共にオフとなるので、抵抗33と抵抗34は無視できる。従って、基準電圧のレベルは抵抗31と抵抗32の抵抗値(Ra、Rb)によって決定される。このときの基準電圧のレベルをVref_Hとすると、
Vref_H=VDD*(Rb/(Ra+Rb))
となる。
【0040】
以上のように、電圧制御回路21はF/F23とF/F24の値により基準電圧のレベルをVref_L、Vref_M、Vref_Hの中から選択して決定する。例えば、VDD=1V、Ra:Rb:Rc:Rd=1:2:2:2とすると、Vref_L=0.40V、Vref_M=0.50V、Vref_L=0.67Vとなる。このとき受信回路20は基準電圧のレベルを0.40V、0.50V、0.67Vの3値から選択することができる。
【0041】
次に、受信回路20が基準電圧のレベルを切り替えながら動作する様子を図8を参照して説明する。図8ではサイクルT0、T1はダミー信号でありサイクルT2から有効な入力信号を受信するものとする。サイクルT0、T1は共に“0”なので、サイクルT2の基準電圧のレベルはVref_Lに設定される。サイクルT2で受信した入力信号はサイクルT2とT3の境界のタイミングを示すクロック信号の立ち上がりエッジによりF/F23に取り込まれる。このとき、基準電圧のレベルが小さくなっているため入力信号を正しく“1”と認識できる。
【0042】
続いて、サイクルT3では直前2サイクルの受信値が“0”、“1”となるため、受信回路20は基準電圧のレベルをVref_Mに設定する。続いてサイクルT4では直前2サイクルの受信値が“1、0”となるため、受信回路20は基準電圧のレベルをVref_Mに設定する。続いてサイクルT5では直前2サイクルの受信値が“0”、“0”となるため、受信回路20は基準電圧のレベルをVref_Lに設定する。
【0043】
このように、受信回路20は直前の受信値に基づいてサイクル毎に基準電圧のレベルを切り替えながら動作する。その後、サイクルT8では直前2サイクルの受信値が“1、1”となるため、受信回路20は基準電圧のレベルをVref_Hに設定する。基準電圧のレベルをVref_Hに設定することにより受信回路20は、サイクルT8において入力信号を正しく“0”と認識することができる。
【0044】
続いて、サイクルT9では直前2サイクルの受信値が“1”、“0”となるため、受信回路20は基準電圧のレベルをVref_Mに設定する。続いて、サイクルT10では直前2サイクルの受信値が“0”、“1”となるため、受信回路20は基準電圧のレベルをVref_Mに設定する。サイクルT10では直前のレベルがハイレベルより低いため、入力信号レベルもVref_Mより下がるので、基準電圧のレベルをVref_Hとしなくとも入力信号を正しく認識することができる。
【0045】
このように、本発明の第2の実施の形態の受信回路20は、信号レベルが直前のレベルに依存するような劣化に対しても、直前の受信値に応じて基準電圧のレベルをVref_H/Vref_M/Vref_Lのいずれかに切り替えて動作する。このように動作することにより、受信回路20は、直前のサイクルのレベルに依存して波形が劣化する信号に対しても正しく受信することができるので、伝送速度を向上させることができる。それは、伝送周波数の向上に伴い波形の劣化が大きくなるが、劣化が大きくなっても正しく受信できるからである。
【0046】
また、受信回路20の電圧制御回路21は、4個の抵抗と2個のトランジスタだけで構成できるため、非常に低コストで実現でき、LSIに実装する場合もわずかな面積で実装できるという特長を持つ。従って、多数の受信回路20を1つのLSIに実装する場合に有利となる。
【0047】
以上の説明では、抵抗31〜34の抵抗値を比で示して説明したが、抵抗値をどのような値とするかは、伝送周波数と消費電力に配慮して決めればよい。例えば、抵抗値を小さくすると抵抗を流れる電流値が大きくなるため消費電力が増加する。受信回路20をLSIに実装する場合、LSIの消費電力制限により抵抗値の下限値が決定する。また、抵抗値が大きくなるとF/F23とF/F24の値が切り替わってから基準電圧のレベルへ切り替わるまでの遅延時間が大きくなる。この遅延時間の許容時間から抵抗値の最大値が決定する。抵抗値は最大値と最小値の間になるように設定することができる。
【0048】
次に、本発明の第3の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。第2の実施の形態の構成では、現サイクルのレベルに与える影響の大きさは1サイクル前のレベルと2サイクル前のレベルで等しいと想定してRc=Rdと設定した。これに対して第3の実施の形態では、1サイクル前のレベルの方が2サイクル前のレベルより影響が大きいと想定して基準電圧のレベルを制御する。なお、第3の実施の形態の構成は第2の実施の形態(図7)と同じであり抵抗値だけが異なるので、構成の説明は省略し、動作説明も異なる部分のみを説明する。
【0049】
第3の実施の形態では、直前の影響を優先して反映するために、F/F24、23の値が“1、0”のときの基準電圧のレベル(Vref_M0とする)を、F/F24、23の値が“0、1”のときの基準電圧のレベル(Vref_M1とする)より低くなるように設定する。具体的には、図7において、F/F23に対応する抵抗33の抵抗値Rcを、F/F24に対応する抵抗34の抵抗値Rdより小さくすることにより実現できる。
【0050】
例えば、VDD=1V、Ra:Rb:Rc:Rd=1:2:1.5:2.5とすると、Vref_L=0.39V、Vref_M0=0.46V、Vref_M1=0.53V、Vref_L=0.67Vとなる。これらは前述の(1)〜(4)の式によって計算できる。従って、受信回路20は基準電圧のレベルを0.39V、0.46V、0.53V、0.67Vの4値から選択することができる。
【0051】
第2の実施の形態ではVref_M0=Vref_M1=0.5Vと設定していた。第3の実施の形態では1サイクル前の受信値が“0”のときのVref_M0を0.46Vとし、1サイクル前の受信値が“1”のときのVref_M1を0.53Vとし、直前のレベルを重視した設定としている。
【0052】
第3の実施の形態の受信回路20が基準電圧のレベルを切り替えながら動作する様子を図9に示す。第2の実施の形態と同様に電圧制御回路21は直前2サイクルの受信値によりトランジスタ35、36がオン/オフされて基準電圧のレベルを生成する。ただし、第2の実施の形態の動作を示す図8ではVref_M0もVref_M1も0.5Vと同じであったが、図9ではVref_M0は0.46V、きVref_M1は0.53Vと異なっている。
【0053】
図9においても、サイクルT2では基準電圧のレベルがVref_L(0.39V)となるため、入力信号を正しく受信することができる。また、サイクルT8では基準電圧のレベルがVref_H(0.67V)となるため、入力信号を正しく受信することができる。このように第3の実施の形態でも第2の実施の形態と同様に入力信号の波形が劣化しても正しく受信することができる。
【0054】
図10と図11を参照して、第2の実施の形態と第3の実施の形態で動作が異なる場合を説明する。図10は第2の実施の形態の場合で、サイクルT22のとき“1”、サイクルT23のとき“0”、サイクルT24のとき“1”となる場合の波形を示している。サイクルT20以前は“0”とする。また、波形は1サイクル前のレベルに強く依存して劣化する波形としている。
【0055】
サイクルT22では、入力信号のレベルは十分上昇しないが、直前2サイクルが“0”、“0”のため基準電圧のレベルはVref_Lとなることにより正しく認識できる。しかし、サイクルT24の場合は直前の2サイクルが“1”、“0”のため基準電圧のレベルはVref_Mとなる。しかし直前のレベルがローレベルのため、このレベルに強く依存すると入力信号のレベルは十分上昇せずサイクルT24とT25の境界のクロックタイミングではVref_Mに到達できず、誤認識してしまう。
【0056】
これに対して第3の実施の形態の動作は、図11のようになる。サイクルT24では、直前の2サイクルが“1”、“0”のため基準電圧のレベルはVref_M0となる。Vref_M0はVref_Mより低く設定できるため、第3の実施の形態では入力信号を正しく認識することができる。
【0057】
なお、2サイクル前のレベルが現サイクルのレベルに与える影響の大きさと、1サイクル前のレベルが現サイクルのレベルに与える影響の大きさの比率は、伝送周波数や伝送路の電気的な特性によって異なる。伝送周波数や伝送路の電気的な特性により決まる比率に応じて、第2の実施の形態か第3の実施の形態を選択することができる。比率に大きな差がないか不明のときは第2の実施の形態を選択し、比率に大きな差があれば第3の実施の形態を選択すればよい。
【0058】
また、上記で示した抵抗値は一例であり、RcとRdの抵抗値の差分を小さくすれば、Vref_M0とVref_M1の差分は小さくなり、逆に抵抗値の差分を大きくすればVref_M0とVref_M1の差分も大きくなる。抵抗値をどのように設定するかも、伝送周波数や伝送路の電気的な特性に応じて設定することができる。
【0059】
このように、本発明の第3の実施の形態の受信回路20は、信号波形が直前のレベルに依存するような劣化に対して、直前の受信値に応じて基準電圧のレベルをVref_H/Vref_M0/Vref_M1/Vref_Lのいずれかに切り替えて動作する。このように動作することにより、受信回路20は、直前のサイクルのレベルに依存して波形が劣化する信号に対しても正しく受信するように構成することができるので、伝送速度を向上させることができる。それは、伝送周波数の向上に伴い波形の劣化が大きくなるが、劣化が大きくなっても正しく受信できるからである。
【0060】
次に、本発明の第4の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図12は本発明の第4の実施の形態の受信回路40の構成を示した図である。受信回路40は第2の実施の形態の受信回路20に設けられた電圧制御回路21を電圧制御回路41に置き換えた構成を持つ。このため、同じ構成要素については同じ符号を付け、説明を省略する。
【0061】
電圧制御回路41は第1の実施の形態の電圧制御回路11の一例であり、マルチプレクサ42とD/A変換回路43を含む。D/A変換回路43は、マルチプレクサ42から出力されるデジタル信号で指定された値に対応して、出力電圧値調整する回路である。D/A変換回路43は、0VからVDDまでの範囲で電圧を調整することができる。
【0062】
マルチプレクサ42は、4ウェイのセレクタであり、2ビットの選択信号により4つのデジタル値のいずれかを選択して出力する。F/F23とF/F24の出力が2ビットの選択信号としてマルチプレクサ42に接続される。マルチプレクサ42は、F/F24、23の出力が“0、0”のとき低位電圧値を選択し、F/F24、23の出力が“0、1”のとき中位1電圧値を選択し、F/F24、23の出力が“1、0”のとき中位0電圧値を選択し、F/F24、23の出力が“1、1”のとき高位電圧値を選択する。
【0063】
次に、本発明の第4の実施の形態の受信回路40の動作について説明する。受信回路40は電圧制御回路41の動作以外は受信回路20と同様に動作するので、以降、電圧制御回路41の動作について説明し、他の動作説明は省略する。
【0064】
F/F23とF/F24はコンパレータ22の出力を取り込むと、出力を選択信号としてマルチプレクサ42に出力する。マルチプレクサ42は選択信号に応じて電圧値を選択してD/A変換回路43に出力する。
【0065】
D/A変換回路43は、マルチプレクサ42から出力された電圧値に応じた電圧を出力する。マルチプレクサ42からは低位電圧値/中位0電圧値/中位1電圧値/高位電圧値のいずれかが出力されるので、D/A変換回路43は、低位電圧値/中位0電圧値/中位1電圧値/高位電圧値に応じた電圧(Vref_L、Vref_M0、Vref_M1、Vref_H)を出力することができる。
【0066】
例えば、VDDが1Vで、D/A変換回路43が0.05V単位で0Vから1Vまで切り替えて出力できる場合を説明する。D/A変換回路43は0Vから1Vまでの21段階の電圧を指定するため、5ビット以上のデジタル値を入力とする。D/A変換回路43は、デジタル値が“0”であれば0Vを出力し、以降デジタル値が“1”増加すると出力電圧が0.05V増加するように変換する。ただし、出力電圧が1Vに到達すると、それ以上デジタル値を増加しても出力は1Vを維持するものとする。
【0067】
例えば、Vref_M0=Vref_M1と設定すれば図8と同様の受信動作ができ、Vref_M0<Vref_M1と設定すれば図9と同様の受信動作ができる。例えば、中位0電力値と中位1電力値を共に“10と”すればVref_M0とVref_M1は共に0.5Vに設定できる。さらに、低位電力値を“8”に設定し、高位電力値を“13”に設定すれば、Vref_Lは0.4Vとなり、Vref_Hは0.65Vとなり、第2の実施の形態の設定値に近い設定ができる。このときの動作は図8のようになる。
【0068】
例えば、低位電力値を“8”に設定し、中位0電力値を“9”に設定し、中位1電力値を“11”に設定し、高位電力値を“13”に設定すれば、Vref_Lは0.4Vとなり、Vref_M0は0.45Vとなり、ref_M1は0.55Vとなり、Vref_Hは0.65Vとなり、第3の実施の形態の設定値に近い設定ができる。このときの動作は図9のようになる。
【0069】
このように構成することにより、受信回路40はF/F23、24の出力に応じて、サイクル毎に基準電圧のレベルをVref_L、Vref_M0、Vref_M1、Vref_Hのいずれかに切り替えて設定することができる。
【0070】
受信回路40は受信回路20と比べて、電圧制御回路41の構成が異なるが、他の構成と動作は同じである。従って、決定された基準電圧のレベルによりコンパレータ22が入力信号の受信値を出力する動作は同じであり、図8や図9で示した入力信号も、受信回路20と同様に正しく認識することができる。
【0071】
本発明の第4の実施の形態の受信回路40は、直前のサイクルのレベルに依存して波形が劣化する信号に対しても正しく受信するように構成することができるので、伝送速度を向上させることができる。それは、伝送周波数の向上に伴い波形の劣化が大きくなるが、劣化が大きくなっても正しく受信できるからである。
【0072】
上記の説明では、D/A変換回路43を0.05V単位で出力電圧を切り換えることができる構成としたが、切り替える電圧単位は0.05Vに限定されることなく、さらに詳細に切り替えられるように設定することもできる。受信回路40は、抵抗分割ではなくD/A変換回路43で基準電圧のレベルを設定するように構成したため、容易に所望の電圧値に基準電圧のレベルを設定することができる。
【0073】
これに対して、受信回路20は、3つの抵抗32〜34を並列に組み合わせた抵抗値と、抵抗31の抵抗値による抵抗分割により基準電圧のレベルを生成する。このため基準電圧のレベルは抵抗31〜34の抵抗値に依存し、設定値を線形に設定することができないという制約がある。これに対して、受信回路40はデジタル値で基準電圧のレベルを指定できるので、電圧値を自由に設定することができるという特徴を有する。
【0074】
ただし、受信回路20は、4つの抵抗と2つのトランジスタのみで電圧制御回路21を構成できるので、受信回路40に比べて回路規模を小さくすることができる。従って、多数の受信回路を1つのLSIに実装する場合、受信回路20の方が有利である。受信回路20と受信回路40は、LSIの実装条件によって選択することができる。また、基準電圧のレベルであるVref_H/Vref_M0/Vref_M1/Vref_Lは、伝送周波数や伝送路の電気的な特性に応じて設定することができる。
【0075】
以上の説明において、比較回路12の一例としてコンパレータ22を説明したが、別の構成として、入力信号をA/D変換回路でデジタル値に変換し、基準電圧のレベルのデジタル値とを論理回路により大小比較する構成とすることもできる。特に、この構成は、実施の形態4の受信回路40に適している。比較回路12をデジタル値の比較とすることにより、受信回路40では、D/A変換回路43が不要となり、マルチプレクサ42から出力されるデジタル値を比較回路12に直接出力して構成することができる。
【0076】
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。図13、図14は本発明の第5の実施の形態の電子機器50と電子機器60の構成を示した図である。電子機器50、60は、受信回路10を含んだ電子機器である。受信回路10としては、すでに説明したように受信回路20や受信回路40があるので図13、図14において受信回路10を受信回路20又は受信回路40で置き換えることができる。受信回路10、20、40については、構成と動作についてすでに説明しているので、電子機器50、60に実装したときの動作についても説明を省略する。
【0077】
電子機器50と電子機器60は、コンピュータや通信機器や携帯電話機等であり、データの高速伝送を必要とする電子機器である。なお、高速伝送が必要であれば家電製品等も電子機器50、60に含まれる。また、コンピュータや通信機器としての機能を備えたLSIも電子機器に含まれる。
【0078】
電子機器50は、高速伝送を実行するために受信回路10を実装した装置である。電子機器60は、別の実装例を示した構成であり、外部から高速伝送される信号を受信回路10で受信する構成と、内部の送信回路61から高速伝送された信号を受信回路10で受信する構成を含んでいる。電子機器60は、どちらか一方の受信回路10のみを含む構成でも良い。特に、外部から高速伝送される信号を受信する構成は、電子機器60がLSIで実現される場合に実装される。
【0079】
本発明の第5の実施の形態の電子機器50と電子機器60は、受信回路10、20、40を実装しているため、受信回路10、20、40と同様に、直前のサイクルのレベルに依存して波形が劣化する信号に対しても正しく受信するように構成することができるので、伝送速度を向上させることができる。それは、伝送周波数の向上に伴い波形の劣化が大きくなるが、劣化が大きくなっても正しく受信できるからである。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1の実施の形態の受信回路10の構成を示した図である。
【図2】理想的な伝送波形の一例を示した図である。
【図3】実際の伝送波形の一例を示した図である。
【図4】劣化の大きい伝送波形の一例を示した図である。
【図5】劣化の大きい伝送波形に対して誤認識する一例を示した図である。
【図6】劣化の大きい差動伝送の伝送波形に対して、誤認識する一例を示した図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態の受信回路10の構成を示した図である。
【図8】本発明の適用により、誤認識を解決し正しく認識できる一例を示した図である。
【図9】本発明の適用により、誤認識を解決し正しく認識できる一例を示した図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態の動作例を示した図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態の動作例を示した図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態の受信回路40の構成を示した図である。
【図13】本発明の第5の実施の形態の電子機器50の構成を示した図である。
【図14】本発明の第5の実施の形態の電子機器60の構成を示した図である。
【符号の説明】
【0081】
10 受信回路
11 電圧制御回路
12 比較回路
13 記憶回路
14 記憶回路
20 受信回路
21 電圧制御回路
22 コンパレータ
23 F/F
24 F/F
31、32、33、34 抵抗
35、36 トランジスタ
40 受信回路
41 電圧制御回路
42 マルチプレクサ
43 D/A変換回路
50、60 電子機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号を基準電圧と比較して比較結果をハイレベル又はローレベルで出力する比較回路と、前記比較回路の出力レベルを次の1サイクル間保持する第1の記憶回路と、前記第1の記憶回路の出力レベルを次の1サイクル間保持する第2の記憶回路と、前記第1の記憶回路と前記第2の記憶回路の出力レベルに応じて前記基準電圧のレベルをサイクル毎に制御する電圧制御回路を有する受信回路。
【請求項2】
前記電圧制御回路は、前記第1の記憶回路と前記第2の記憶回路の出力レベルが共にハイレベルのとき前記基準電圧を一番高いレベルとし、前記第1の記憶回路の出力レベルがローレベルで前記第2の記憶回路の出力レベルがハイレベルのとき前記基準電圧を2番目に高いレベルとし、前記第1の記憶回路の出力レベルがハイレベルで前記第2の記憶回路の出力レベルがローレベルのとき前記基準電圧を3番目に高いレベルとし、前記第1の記憶回路と前記第2の記憶回路の出力が共にローレベルのとき前記基準電圧を一番低いレベルに決定することを特徴とする請求項1の受信回路。
【請求項3】
前記電圧制御回路は、前記2番目に高いレベルと前記3番目に高いレベルとを等しくしたことを特徴とする請求項2の受信回路。
【請求項4】
前記電圧制御回路は、電源とグランド間に第1の抵抗と第2の抵抗を直列に接続し、前記第1の抵抗と前記第2の抵抗との接続点の電圧を基準電圧として前記比較回路に出力し、前記接続点とグランド間に第3の抵抗と前記第1の記憶回路の出力によりオン/オフされる第1のトランジスタとを直列に接続し、前記接続点とグランド間に第4の抵抗と前記第2の記憶回路の出力によりオン/オフされる第2のトランジスタとを直列に接続した電子回路であることを特徴とする請求項2の受信回路。
【請求項5】
前記電圧制御回路は、前記第1の記憶回路の出力と前記第2の記憶回路の出力とにより、4つのデジタル値を切り替えて出力するマルチプレクサと、マルチプレクサから出力されるデジタル値を電圧に変換し、前記比較回路に基準電圧として出力するD/A変換回路を有することを特徴とする請求項2の受信回路。
【請求項6】
入力信号を基準電圧と比較して比較結果をハイレベル又はローレベルで出力する比較回路と、前記比較回路の出力レベルを次の1サイクル間保持する第1の記憶回路と、前記第1の記憶回路の出力レベルを次の1サイクル間保持する第2の記憶回路と、前記第1の記憶回路と前記第2の記憶回路の出力レベルに応じて前記基準電圧のレベルをサイクル毎に制御する電圧制御回路を有する受信回路を有する電子機器。
【請求項7】
前記電圧制御回路は、前記第1の記憶回路と前記第2の記憶回路の出力レベルが共にハイレベルのとき前記基準電圧を一番高いレベルとし、前記第1の記憶回路の出力レベルがローレベルで前記第2の記憶回路の出力レベルがハイレベルのとき前記基準電圧を2番目に高いレベルとし、前記第1の記憶回路の出力レベルがハイレベルで前記第2の記憶回路の出力レベルがローレベルのとき前記基準電圧を3番目に高いレベルとし、前記第1の記憶回路と前記第2の記憶回路の出力が共にローレベルのとき前記基準電圧を一番低いレベルに決定することを特徴とする請求項6の電子機器。
【請求項8】
前記電圧制御回路は、前記2番目に高いレベルと前記3番目に高いレベルとを等しくしたことを特徴とする請求項8の電子機器。
【請求項9】
前記電圧制御回路は、電源とグランド間に第1の抵抗と第2の抵抗を直列に接続し、前記第1の抵抗と前記第2の抵抗との接続点の電圧を基準電圧として前記比較回路に出力し、前記接続点とグランド間に第3の抵抗と前記第1の記憶回路の出力によりオン/オフされる第1のトランジスタとを直列に接続し、前記接続点とグランド間に第4の抵抗と前記第2の記憶回路の出力によりオン/オフされる第2のトランジスタとを直列に接続した電子回路であることを特徴とする請求項8の電子機器。
【請求項10】
前記電圧制御回路は、前記第1の記憶回路の出力と前記第2の記憶回路の出力とにより、4つのデジタル値を切り替えて出力するマルチプレクサと、マルチプレクサから出力されるデジタル値を電圧に変換し、前記比較回路に基準電圧として出力するD/A変換回路を有することを特徴とする請求項8の電子機器。
【請求項11】
入力信号を基準電圧と比較して比較結果をハイレベル又はローレベルで出力する比較回路の出力レベルを第1の記憶回路に保持し、前記第1の記憶回路の出力レベルを第2の記憶回路に保持し、前記第1の記憶回路と前記第2の記憶回路の出力レベルに応じて前記基準電圧のレベルをサイクル毎に制御する受信回路の制御方法。
【請求項12】
前記第1の記憶回路と前記第2の記憶回路の出力レベルが共にハイレベルのとき前記基準電圧を一番高いレベルとし、前記第1の記憶回路の出力レベルがローレベルで前記第2の記憶回路の出力レベルがハイレベルのとき前記基準電圧を2番目に高いレベルとし、前記第1の記憶回路の出力レベルがハイレベルで前記第2の記憶回路の出力レベルがローレベルのとき前記基準電圧を3番目に高いレベルとし、前記第1の記憶回路と前記第2の記憶回路の出力が共にローレベルのとき前記基準電圧を一番低いレベルに決定することを特徴とする請求項11の受信回路の制御方法。
【請求項13】
前記2番目に高いレベルと前記3番目に高いレベルとを等しくしたことを特徴とする請求項12の受信回路の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−103663(P2010−103663A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271607(P2008−271607)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】