説明

口腔ケア用の治療及び予防組成物

【課題】歯及び口腔の軟組織の口腔疾患の予防用の高性能な製剤の提供。並びにそれを使用することを特徴とする、上記の治療効果を向上させる方法。
【解決手段】当該口腔ケア用の治療用及び予防用組成物であって、経口的に使用できる有効成分及び他の成分を含んでなり、特に0.01〜1重量%のブロメライン、0.05〜3.0重量%のキシリトール、及び1.5〜20重量%の抗カリエスミネラル添加剤を有効成分として含んでなる組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は口腔病理学及び香水産業の分野に関し、具体的には口腔ケア用の治療用及び予防用組成物に関する。本発明は口腔衛生手段の提供に関し、医学用及び予防用歯磨剤、ゲル、オーラルケア用の液体、並びにチューインガム、ゼリーなどの他の組成物の調製に適用できる。
【背景技術】
【0002】
歯科疾患及び歯周組織予防用の製剤が公知であり、それらは例えばフッ化ナトリウム又はモノフルオロリン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、二酸化チタン、サッカリン酸ナトリウム、ソルビトール又はグリセリン、シリカ、食用色素、ワセリン油、香水及び水、カモミールエキス、パンテノール、グリセロリン酸カルシウム及びポリビニルピロリドンなどを含んでなる(特許文献1、A61K7/16、2002)。
【0003】
脱石灰化された歯部分の再石灰化を促す公知の組成物が存在する。それは、10−20%キシリトール、及び150〜1800ppmの濃度でフッ化物イオンを供給する少なくとも1つの化合物を含んでなる非収斂性の組成物である。フッ化ナトリウムは、かかるフッ化物イオンの供給源の1つである(特許文献2、A61K7/16、1997)。
【0004】
この公知の溶液の他に、組成物中に1つ以上の有機界面活性成分を添加し、湿潤効果、発泡効果及び口腔内における組成物が完全に分散するのと防止する効果を得る。有機界面活性剤はアニオン性、非イオン性又は両性イオン性である。界面活性の成分として洗浄材を使用するが、それにより洗浄効果及び起泡効果を発揮する組成物が得られる。
【0005】
更に漂白剤、カットアウト、シリコン、葉緑素化合物、他の歯石沈着防止剤及び/又はアンモニアを含有する材料(例えば尿素、リン酸二アンモニウム及びその混合物)などの他の材料を経口剤に添加する場合もある。
【0006】
本発明における治療手段としては、ペースト、ゲル、リンス、タブレット、チューイング組成物などの様々な形態が包含される。
【0007】
但し実生活においては、良好な予防を提供するための環境の設定が必ずしも容易でなく、また添加する物質による効果は、その口腔組織にアクセスする能力に依存するため、公知の予防手段は口腔プロセスにプラスの影響を及ぼすのが困難であった。それは特に、粘膜が選択的に物質を再吸収するのに対して、歯の表面上に形成されるバイオフィルムは歯エナメルへのミネラルの浸透を妨げるという事実により裏づけられる。
【0008】
公知の発明では、歯表面及び口腔内の軟組織上への歯垢の蓄積及び細菌沈着のため、再石灰化の治療的効果が得られなかった。沈着除去の機能を発揮し、歯のブラッシングの間の期間に残留する成分がこれまで存在しなかったため、公知の製剤では長期にわたる当該除去効果が得られなかった。ゆえに、細菌沈着により歯科疾患及び歯周組織が誘発され、口腔における自然な無機質代謝、若しくは歯の保護用の薬剤によって生じる当該プロセスが阻害される。
【特許文献1】RUC1 No.2188626
【特許文献2】RUC1 No.2092153
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、改良された歯の洗浄効果、歯系組織再石灰化の維持、少なくとも10〜12時間の細菌沈着の形成の阻害効果、並びにエナメル質のう蝕耐性増強効果、及び歯周組織における炎症の減少効果が得られる、口腔ケア用の治療及び予防組成物の提供に関する。限定されないが、その根本には、歯の沈着遅延により、唾液ミネラル成分によるエナメル質飽和が確実に行われ、また歯周組織への微生物沈着が減少する現象が存在する。更にこの製剤は、いかなる合成抗菌剤及び粗粒研磨材も含まれない。本発明の主要な課題は、歯及び口腔の軟組織の口腔疾患の予防用の高性能な製剤を提供することに関し、それを使用することにより、協奏的な薬理効果が得られ、上記の治療効果を高めることができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
当該口腔ケア用の治療用及び予防用組成物は、経口的に使用できる有効成分及び他の成分を含んでなり、特に0.01〜1重量%のブロメライン、0.05〜3.0重量%のキシリトール、及び1.5〜20重量%の抗カリエス性ミネラル添加剤を有効成分として含んでなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
好適には、ブロメライン含量は2.2〜18重量%であり、キシリトール含量は0.1〜0.8重量%である。
【0012】
ブロメラインは、高分子量の糖タンパク質の一種である(H.R.Maurer,CMLS Cell.Mol.Life Sci.,58(2001),pp.1234−1245)。ブロメラインはフルーツジュースや植物の茎に含まれる。当該組成中には、広いpH範囲(3.0〜8.0)においてタンパク質加水分解活性を有する8つのプロテアーゼが含まれる。ブロメラインはハイニッケ教授によって1950年に発見されている。
【0013】
ブロメライン酵素は、細菌沈着を有効に防止し、酵素による直接のタンパク分解性活性及びその反応生成物(ペプチド断片)による調節効果に基づく抗炎症活性及び免疫賦活活性を発揮しうる。当該酵素は胃腸管上の粘膜によって能動的に再吸収される。プロテアーゼインヒビターの存在のため、生存する組織にとっての危険性はない。
【0014】
ブロメラインは、損傷時の炎症プロセスの軽減、軟組織浮腫の予防、並びに外傷及び他の損傷後のそれらの治癒の促進のために用いられる。経口的に用いた場合、炎症及び浮腫を減少させ、組織修復プロセスを促進する。機能しているタンパク質を分解しないため、ブロメラインは、損傷及び栄養障害性潰瘍の修復を促進し、壊死の蓄積を防止する。ブロメラインは免疫賦活効果を有するため、外傷の炎症プロセスの促進、軟組織の浮腫の防止、組織の修復の促進に用いることができる。それらは、血管透過性の変化及びアラキドン酸代謝に対して影響を及ぼす能力に依存するものである。
【0015】
最近、ウイルス感染保護(特にインフルエンザウイルス(A及びB)からの保護)におけるブロメラインの役割に関する研究が盛んに行われている(Ivanova V.T.ら/Vopr.Virusol.2003 sep−oct、48(5):14−8)。
【0016】
ブロメラインは長期間にわたり口腔に残留し、沈着を防止し、軟組織の状態を改善する。この効果は、ブロメラインの以下の二種類の機能により得られる。1つは、歯への沈着を阻害することによって微生物の沈着を減少させることである。もう1つは、抗炎症効果を強化することである。
【0017】
キシリトールの主要な機能は、エナメル質の透過性の調節である。その連鎖球菌の生化学代謝における関与は致死合成として特徴付けられ、それにより、病原微生物の活性の低下、及び口腔器官内における歯の再石灰化にとり好ましい条件への変化がなされる。(Tanzer J.M./Xylitol chewing gum and dental caries.//Int.Dent.J.,1995 Feb、45(1 Suppl 1):65−76)。キシリトールは再石灰化ポテンシャルを高める。なぜなら、それはエナメル質のカルシウム取り込みに関与し、歯への沈着形成を阻害し、ミクロフローラのカリエスリスクを減少させるためである。更に、甘味料のキシリトールはその味覚を改善し、また多価アルコールであるため、水分保持成分として機能する。
【0018】
歯垢の蓄積を防止することにより、歯磨剤及び唾液に含まれるミネラル成分による歯への恒常的なアクセスが可能となる。長期にわたり歯への沈着形成を防止するため、当該製剤は主要な口腔疾患の予防に貢献する。
【0019】
再石灰化は、本発明に係る製剤に含まれる1つの技術思想である。再石灰化機構は、健康な歯のエナメルをミネラルで飽和させている成分の、初期カリエス部位への取込のことを指す。
【0020】
再石灰化効果を得るために、製剤中には抗カリエス性のミネラル添加剤を含有させる。好適には、抗カリエス性のミネラル添加剤の含量は0.2〜2.5重量%であり、グリセロリン酸のカルシウム塩及び無機若しくは有機マグネシウム塩が用いられる。
【0021】
沈着物を除去した精製された歯は、治療用及び予防用製剤に添加できるカルシウム、リン及びマグネシウムの影響を受け易くなる。カルシウム及びリンは、歯エナメルの基本的な構築成分であって、ヒトの全身における代謝プロセスに関与する。
【0022】
歯はカリエスの際これらの元素を必要とし、またそれ以外の多くの非カリエス性の歯疾患においても必要となるため、添加物は必要である。
【0023】
非カリエス性の歯疾患は、カルシウム代謝のアンバランスと関係することが多く、その原因としては内生的な影響(甲状腺、膵臓、生殖腺、胃腸管の疾患などの影響)、電離性放射線などの好適でない外部の影響、日々の長時間(6時間以上)にわたるコンピューター作業、有害物質の影響(例えば酸煙、金属粉末及びそれらの組合せ)、負の生態的な効果などが挙げられ、それにより歯系組織中のミネラル成分が顕著に減少し、カリエス疾患の形成、浸食、欠損、歯の磨耗などが生じやすくなる。
【0024】
ゆえに、リン−カルシウム添加物を含有する治療用及び予防用組成物の局所的な使用により、疾患による歯の損失の防止のみならず、その損失を補ってなお余りあるだけの歯の形成をもたらされる。
【0025】
グリセロリン酸カルシウムは、歯及び歯周組織への、活性型のリン及びカルシウムの供給源として機能し、石灰化プロセスを促進し、本発明の組成物の抗カリエス作用を強化し、組織の同化プロセスを促進する。リン酸塩の影響を受けてグリセロリン酸の加水分解が生じ、それにより生物学的利用能が増加する。
【0026】
マグネシウム(無機若しくは有機塩)は、歯を構成する成分の1つである。マグネシウムは微量元素として錯体中に取り入れられ、ホスファターゼの補因子として機能し、中実の歯組織へのリン酸塩取り込みを促進する。
【0027】
固体状の沈着物が存在しない場合には、歯の脱石灰化の危険性が実質的に低いため、組成物中にフッ化物が含有されなくともよいと考えられる。歯垢の沈着の結果、易消化性の炭水化物の代謝により有機酸が形成されるが、そのような場合には口腔ケア組成物中にフッ化物を含有させるのが好ましい。しかしながら、局所的なフッ化物の活性は、この条件下であっても、(20歳以上の人の場合)歯のエナメル質の成熟として観察することはできない。すなわちカリエスの予防効率の低下として表れる。
【0028】
同時に、抗カリエス性のミネラル添加剤として、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カリウム、モノフルオロリン酸カルシウム又はモノフルオロリン酸マグネシウムを0.5〜1.5重量%の量で組成物に添加してもよい。最適濃度は0.8〜1.1重量%である。
【0029】
口腔ケア用の治療用及び予防用組成物がペースト剤である場合、以下の不活性成分(重量%)の添加が必要となる。
研磨剤:5〜40、
湿潤剤:5〜70、
ゲル化剤:0.5〜2.5、
1つ以上の界面活性剤:0.5〜3.0、
1つ以上のフレーバ充填材:0.5〜2、
及び1つ以上の防腐剤:0.01〜0.5。
【0030】
組成物がゲルである場合、以下の不活性成分(重量%)の添加が必要となる。
湿潤剤:5〜70、
ゲル化剤:0.5〜3.5、
1つ以上の界面活性剤:0.5〜3.0、
1つ以上のフレーバ充填材:0.5〜2、
及び1つ以上の防腐剤:0.01〜0.5。
【0031】
組成物が液体である場合、以下の不活性成分(重量%)の添加が必要となる。
湿潤剤:5〜70、
1つ以上の界面活性剤:0.5〜3.0、
1つ以上のフレーバ充填材:0.5〜2、
及び水:残り。
【0032】
組成物がチューインガムである場合、以下の不活性成分(重量%)の添加が必要となる。
ポリマーベース:20〜30、
1つ以上の多価アルコール:45〜60、
及び1つ以上のフレーバ充填材:0.5〜2。
【0033】
組成物がゼリーである場合、以下の不活性成分(重量%)の添加が必要となる。
果糖:20〜50、
1つ以上の構造形成剤:1〜3、
及び1つ以上のフレーバ充填材:0.2〜1。
【0034】
治療用及び予防用組成物がペースト形状で調製される場合、研磨剤として、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム、シリカ、酸化アルミニウム、ピロリン酸カルシウム、メタリン酸ナトリウム、ポリメタクリレート、炭酸マグネシウムからなる群から選択される1つ以上の物質を用いてもよい。
【0035】
治療用及び予防用組成物がペースト又はゲルである場合、湿潤剤として、ソルビトール、グリセリン、ポリエチレングリコールからなる群から選択される1つ以上の物質を用いてもよい。ゲル化剤として、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、カラゲナン、グアーガムを用いてもよい。
【0036】
ペースト又はゲルの調製工程において、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン及びそのナトリウム塩、及びフェノキシエタノール、安息香酸、安息香酸ナトリウムからなる群から選択される1つ以上の物質を添加して、防腐剤としての機能を発揮させてもよい。
【0037】
ペースト、ゲル又はリンス組成物の調製工程において、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルアミドベタイン、PEG−40 硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン(40)水素化ヒマシ油)、ポリソルベート−20(ポリオキシエチレン−ソルビタン−モノラウレート)などの界面活性剤を用いてもよい。
【0038】
フレーバ充填材として、組成物中に以下からなる群から選択される1つ以上の物質を用いてもよい:ペパーミントオイル、スペアミントオイル、セージオイル、スキンリーフ(skinleaf)油、シトラスオイル、ユーカリオイル、モミノキ油、アニス油、チョウジ油、メントール、カルボン、アネトール、サリチル酸メチル、甘味料(サッカリン酸ナトリウム、乳糖、マルトース、アスパルテーム、シクラミン酸ナトリウム)。
【実施例】
【0039】
歯磨剤の形態の治療用及び予防用組成物の例を、表1に例示する。
【0040】
歯磨剤を、以下のとおり調製した:
必要なグリセリン量の2/3を秤量した。キサンタンガム及びグリセロリン酸カルシウムを添加した。均一に混合した。必要な量の水を75〜78℃に加熱し、ミキサーへ給水した。水にサッカリン酸ナトリウム、キシリトール、パラベン、塩化マグネシウム(又はグリセロリン酸マグネシウム:実施例3)に添加した。透明な溶液が形成されるまで混合した。得られた溶液に、成分のグリセリン中懸濁液を添加した。均一になるまで混合した。脱ガスし、混合物から完全に空気が除去されるまで10分間混合した。
【0041】
【表1】

【0042】
ミキサーに二酸化チタンを添加した。脱ガスし、混合物から完全に空気が除去されるまで10分間混合した。ミキサーにシリカを添加した。脱ガスし、30〜40分間混合した。ポンプを用いて15〜20分間混合し、歯磨剤をホモジナイズした。混合しながら40〜45℃に歯磨剤を冷却した。残りのグリセリンにブロメラインを添加し、均一になるまで混合した。1/3グリセリン中のブロメライン懸濁液をミキサーに添加し、均一となるまで20分間混合した。香料及びラウリル硫酸ナトリウム(又は実施例1のアミドベタイン)を添加した。均一となるまで30分間混合した。調製された歯磨剤を、ポリマー性のチューブにパックした。
【0043】
歯科用ゲル形態の口腔ケア用の治療用及び予防用組成物の例を表2に示す。
【0044】
【表2】

【0045】
ゲル形態の組成物を、以下の通りに調製した。
【0046】
水を必要に応じて75〜82℃に加熱し、ミキサーへ給水した。メチルパラベン、塩化マグネシウム(又は実施例2のグリセロリン酸マグネシウム)、キシリトール、サッカリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム(実施例3に係る)、ソルビトール(実施例2に係る)を添加した。透明な溶液が形成されるまで20分間混合した。別にブロメライン、ヒドロキシエチルセルロース、グアーガム、グリセロリン酸カルシウムのグリセリン中の懸濁液を調製した。成分を含む水溶液を50〜55℃に冷却した。ブロメラインの懸濁液を添加し、均一となるまで10分間混合した。PEG−40水素化ヒマシ油を別に50〜55℃に加熱し、香料を添加し、均一となるまで10分間混合した。最初に調製した溶液を添加し、均一なゲルが形成されるまで20〜30分間混合した。得られたゲルを混合しながら20〜25℃に冷却し、ポリマー製のチューブにパックした。
【0047】
リンス形態の口腔ケア用の治療用及び予防用組成物の例を、表3に示す。リンス形態の組成物を以下のとおり調製した。水を必要に応じて75〜82℃に加熱し、ミキサーに供給した。安息香酸ナトリウム、安息香酸、グリセロリン酸カルシウムを添加した。均一な溶液が形成されるまで、30〜40分間混合した。塩化マグネシウム(又は実施例2のグリセロリン酸マグネシウム)、キシリトール、ポリビニルピロリドン、サッカリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム(実施例3)、ソルビトール(実施例1及び3)を70〜75℃で添加し、30〜40分間混合した。別にブロメライン、ヒドロキシエチルセルロースのグリセリン中懸濁液(又は実施例2のプロピレングリコール)を調製した。最初に得られた調製物に当該懸濁液を添加し、50〜55℃に冷却し、透明な溶液が形成されるまで20分間混合した。PEG−40硬化ヒマシ油を50〜55℃に加熱し、香料を添加し、均一な混合物が形成されるまで10分間混合し、50〜55℃の温度で、上記で得られた混合物を添加した。透明な溶液が形成されるまで、組成物を混合した。アルキルアミドベタイン(又は実施例3のラウリル硫酸ナトリウム)を添加し、透明な溶液が形成されるまで20分間混合し、混合しながら20〜25℃に冷却し、ボトルに充填した。
【0048】
【表3】

【0049】
医薬用及び予防用チューインガム組成物の例を、表4に示す。
【0050】
【表4】

【0051】
チューインガムの形態の組成物を、以下の通りに調製した。
【0052】
90〜95℃の温度でガムベースを流動化させ、Z−タイプのパドルを装備したミキサーに供給し、80℃の温度に冷却した。
【0053】
レシチン、炭酸カルシウム、塩化マグネシウム、グリセロリン酸カルシウムを供給し、10分間にわたり混合し、非結晶化ソルビトールを添加して10分間混合し、マンニトール及びキシリトールを添加して10分間混合し、結晶化ソルビトール、サッカリン酸ナトリウム、加水分解澱粉を添加して10分間混合した。
【0054】
混合物を55℃に冷却し、香料、事前調製したグリセリン中のブロメラインの懸濁液を添加し、20分間混合した。
【0055】
混合物を抽出して圧延し、必要なサイズでスラブ状及びキューブ状にカットし、染色し、必要な湿度に調整し、パックした。
【0056】
治療用及び予防用ゼリー(マーマレード風味)の例を表5に例示する。
【表5】

ゼリー(マーマレード風味)状の組成物を以下のようにして調製した。マーマレード原料をボイルした。105〜107℃の温度で余剰水分を除去した。砂糖−リンゴの混合物の初期湿度を45%超とし、砂糖−デキストロース−アガーシロップの湿度を30〜33%とした。マーマレード原料の最終的な湿度を、組成及び生成物のバラエティに応じて24〜33%で適宜調整した。コイル状のボイリングカラム中で砂糖−デキストロース−アガーシロップを沸騰させ、27〜28%の湿度とした。キシリトールを添加し、混合し、40〜50℃の温度に冷却した。冷却したシロップに、風味エッセンス、グリセロリン酸カルシウム、塩化マグネシウム及びブロメラインエキスのグリセリン中懸濁液を添加した。凝縮させ、シロップをゼリー状の形態にした。静置し、ゼリーを取り出し、適当な大きさにカットし、パックした。本発明に従って調製した治療用な及び予防用歯磨剤の効果を、ボランティアベースの試験により解析し、その衛生的効果及び抗炎症効果を評価した。表6に記載の実施例1から3の組成物を用い、2〜3分間、通常通り、1日2回、歯磨剤を使用させた。
【0057】
歯磨剤の臨床効果として、洗浄効果及び抗炎症効果、考えられるアレルギー性及び局所的な刺激効果について解析した。ブラインド方式で、歯に関する口腔病理学的−伝染病学的試験を、各患者がどのグループに属するかについて通知されない条件で3ヵ月間実施した。治験において、27〜42歳にわたる10人の患者を対象とした。試験に先立ち、歯の症状を全ての参加者において評価した。臨床試験を、4シリーズの歯磨剤試験から構成した。各シリーズでは、同一の「コルゲート最大カリエス保護」タイプの歯磨剤を2週間にわたり使用させ、更に14日にわたり試験用の歯磨剤サンプル(ランダムな順で患者に使用した)を使用させた。
【0058】
【表6】

【0059】
以下のように試験を実施した:
・口腔内の硬組織及び軟組織、唇、舌、硬口蓋及び軟口蓋、歯及びガムを検査した。
・PHPインデックスによる口腔の衛生状態の決定(Podshadley A.G., Haley P., 1968)
・歯肉炎インデックス(IG)による歯周組織の状態の評価(Loe H., Silness J..1963)(歯肉炎の位置及び重度を示す)。
歯ブラッシングの5〜6時間後に検査を実施した。試験対象者の衛生インデックスの変化を表7に示す。
【0060】
【表7】

【0061】
0.7%のブロメラインを含有する歯磨剤の試験では、試験対象者の衛生РНРインデックスの初期値が2.60±0.53(口腔衛生の不十分なレベルに対応)に達していることが明らかとなった。それ以外の試験結果は、試験対象者の口腔衛生条件が、信頼性が高い態様で改良されていることを示し、すなわち試験の終了時点においてРНРインデックスが減少(1.12±0.21(р<0.02))していた。歯磨剤の使用期間における洗浄効果は56.9%に達した。
【0062】
同様の傾向が、0.3%ブロメラインを含有する歯磨剤による洗浄効果の試験においても観察された。その使用の間、衛生インデックスの値は、2.62±0.42から1.36±0.26(р<0.02)に確実に減少した。このサンプルの洗浄効果は48.1%に達した。
【0063】
0.1%ブロメラインを含有するペーストの洗浄効果の試験により、衛生インデックスの値が同様に減少したが、その減少の度合いは小さい範囲であった。この指数は40.3%に達した。
【0064】
試験対象者の歯肉炎インデックスの変化を表8に示す。
【0065】
【表8】

【0066】
IGインデックス試験に参加している人の歯周組織の初期の状態は、軽度〜中程度の症状の歯肉炎に対応していた。最初の検査における歯肉炎インデックス値:第1シリーズでは1.13±0.12、第2のシリーズでは1.16±0.21、及び第3シリーズでは1.11±0.11。ブロメラインを最大濃度で含有する歯磨剤を使用したとき、歯周組織の炎症の出現率の減少は18.6%であり、0.3%のブロメライン濃度を有する歯磨剤を使用したときは38.8%であり、0.1%のブロメライン濃度を有するペーストを使用したときは28.8%であった。
【0067】
多数の対象者の主観的評価によって、本発明の歯磨剤の使用期間における、前歯上への歯垢蓄積の顕著な遅延、並びに歯の舌側面の平滑性の長期にわたる維持(24時間以上、多くの事例)が観察された。また、0.1%ブロメライン及びコルゲートを含有するペーストと比較し、0.3%及び0.7%ブロメライン濃度を有する歯磨剤を使用した場合、定期的に歯の側面をブラッシングする患者においては、歯の側面上への歯垢蓄積量の顕著な減少が観察された。
【0068】
特筆すべき利点としては、歯磨きの間に、歯周組織の症状を特徴づける衛生インデックスの顕著な低下が観察されたという事実である。
【0069】
本発明の歯磨剤の、エナメル質の状態に対する効果の評価を、酸性エナメル生検による、F源として0.15%フッ化ナトリウム濃度を有する歯磨剤(薬剤入り歯磨剤)との比較において実施した。後述する方法により決定されるインデックスを毎週制御しながら、1ヶ月にわたり試験を実施した。前歯の全表面からサンプリングした。各試験グループを、典型的なユーザー30人から構成した。
【0070】
V.K.Leontjev及びV.A.Distelによる酸性エナメル生検方法(エナメル層上への、正確に測定された量の脱石灰化用の液体の投与、所定時間経過後のサンプリング、及び酸による脱石灰化物中のカルシウム含量の測定を含んでなる方法)を実施することにより、エナメルの酸溶解の率の測定が可能となる。酸生検材料中のカルシウム及びリン含有(mcg/l)の定量分析を、分光光度法によって測定した。試験結果を表9に示す。
【0071】
酸エナメル生検結果から、エナメル質構造の強化が示された。生検材料中のカルシウム及びリン含量の減少により、エナメルの酸及び化学物質に対する抵抗性の増加が示され、すなわち硬化がなされたことを示すものである。4週間にわたる試験において、本発明の歯磨剤の使用の結果、酸によるカルシウム溶出が、0.3%ブロメライン濃度で20.53%、0.1%ブロメライン濃度で20.71%減少した。一方、薬剤含有ペーストで歯を磨かせた試験対象者では、対応するインデックスは11.95%に留まり、すなわち、本発明の歯磨剤では高い再石灰化ポテンシャルを有することが示された。
【0072】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔ケア用の治療用及び予防用組成物であって、経口的に使用できる有効成分及び他の成分を含んでなり、0.01〜1重量%のブロメライン、0.05〜3.0重量%のキシリトール、及び1.5〜20重量%の抗カリエスミネラル添加剤を有効成分として含んでなる組成物。
【請求項2】
0.1〜0.8重量%のブロメラインを含有する、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
2.2〜18重量%のキシリトールを含有する、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
0.05〜3.0重量%の抗カリエス性のミネラル添加剤を含有する、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
0.2〜2.5重量%の抗カリエス性のミネラル添加剤を含有する、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
前記抗カリエス性のミネラル添加剤として、グリセロリン酸カルシウム及び無機若しくは有機マグネシウム塩を含有する、請求項4又は5記載の組成物。
【請求項7】
前記抗カリエス性のミネラル添加剤として、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カリウム、モノフルオロリン酸カルシウム又はモノフルオロリン酸マグネシウムを0.5〜1.5重量%の量で含有する、請求項4又は5記載の組成物。
【請求項8】
前記抗カリエス性のミネラル添加剤として、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カリウム、モノフルオロリン酸カルシウム、又はモノフルオロリン酸マグネシウムを0.8〜1.1重量%で含有する、請求項5記載の組成物。
【請求項9】
ペースト状の、請求項1記載の組成物であって、以下の不活性成分を含有する組成物:
研磨剤:5〜40、
湿潤剤:5〜70、
ゲル化剤:0.5〜2.5、
1つ以上の界面活性剤:0.5〜3.0、
1つ以上のフレーバ充填材:0.5〜2、
1つ以上の防腐剤:0.01〜0.5(以上重量%)。
【請求項10】
ゲル状の、請求項1記載の組成物であって、以下の不活性成分を含有する組成物:
湿潤剤:5〜70、
ゲル化剤:0.5〜2.5、
1つ以上の界面活性剤:0.5〜3.0、
1つ以上のフレーバ充填材:0.5〜2、
1つ以上の防腐剤:0.01〜0.5(以上重量%)。
【請求項11】
液体状の、請求項1記載の組成物であって、以下の不活性成分を含有する組成物:
湿潤剤:5〜70、
1つ以上の界面活性剤:0.5〜3.0、
1つ以上のフレーバ充填材:0.5〜2(以上重量%)、
水:残り。
【請求項12】
チューインガム状の、請求項1記載の組成物であって、以下の不活性成分を含有する組成物:
ポリマーベース:20〜30、
1つ以上の多価アルコール:45〜60、
1つ以上のフレーバ充填材:0.5〜2(以上重量%)。
【請求項13】
ゼリー状の、請求項1記載の組成物であって、以下の不活性成分を含有する組成物:
果糖:20〜50、
1つ以上の構造形成剤:1〜3、
1つ以上のフレーバ充填材:0.2〜1(以上重量%)。
【請求項14】
パステル状の、請求項1記載の組成物であって、以下の不活性成分を含有する組成物:
1つ以上の多価アルコール:40〜60、
1つ以上の構造形成剤:2〜15、
1つ以上のフレーバ充填材:0.5〜2(以上重量%)。
【請求項15】
炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム、シリカ、酸化アルミニウム、ピロリン酸カルシウム、メタリン酸ナトリウム、ポリメタクリル樹脂、炭酸マグネシウムからなる群から選択される1つ以上の物質を研磨剤として含有する、請求項9記載の組成物。
【請求項16】
ソルビトール、グリセリン、ポリエチレングリコールからなる群から選択される1つ以上の物質を湿潤剤として含有する、請求項9又は10記載の組成物。
【請求項17】
カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、カラゲナン、グアーガムからなる群から選択される1つ以上の成分をゲル形成剤として含有する、請求項9又は10記載の組成物。
【請求項18】
ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルアミドベタイン、PEG−40 硬化ヒマシ油、ポリソルベート−20からなる群から選択される1以上の物質を界面活性剤として含有する、請求項9、10又は11記載の組成物。
【請求項19】
ペパーミントオイル、スペアミントオイル、セージオイル、スキンリーフ(skinleaf)油、シトラスオイル、ユーカリオイル、モミノキ油、アニス油、チョウジ油、メントール、カルボン、アネトール、サリチル酸メチル、甘味料(サッカリン酸ナトリウム、乳糖、マルトース、アスパルテーム、シクラミン酸ナトリウム)からなる群から選択される1つ以上の物質をフレーバ充填材として含有する、請求項9から14のいずれか1項記載の組成物。
【請求項20】
メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン及びそのナトリウム塩、並びにフェノキシエタノール、安息香酸、安息香酸ナトリウムからなる群から選択される1つ以上の物質を防腐剤として含有する、請求項9又は10記載の組成物。

【公表番号】特表2009−517382(P2009−517382A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−542267(P2008−542267)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【国際出願番号】PCT/RU2005/000601
【国際公開番号】WO2007/061328
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(507389750)“ダブリューディーエス” カンパニー (2)
【Fターム(参考)】