説明

口臭除去用多重ソフトカプセル

【課題】本発明により、優れた消臭効果を発揮する口臭除去用多重ソフトカプセルおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は第1ソフトカプセルの内部に少なくとも1つの第2ソフトカプセルを内包した多重ソフトカプセルであって、該第2ソフトカプセルが内容物としてパセリシードオイルを含有し、かつ該第2ソフトカプセルが腸溶性であることを特徴とする口臭除去用多重ソフトカプセルに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセル・イン・カプセル構造、すなわち多重構造を有し、かつ優れた消臭効果を発揮する、口臭除去用多重ソフトカプセルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生活の質の向上と共に清潔感が重視され、エチケット商品や美容健康食品等、身体にまつわる口臭や体臭の抑制や予防への関心がますます高まってきた。口臭の原因としては、食べ物が歯の隙間や舌の粘膜、食道などに吸着し、これが時間の経過と共に生じる臭いがあり(口腔口臭)、口腔内の口臭除去を目的として服用(経口投与)する、口腔用組成物について、長年、研究がなされており(例えば、特許文献1等)、多数の商品が上市されてきている。これらの中には、通常の口臭(特に、メルカプタン臭)だけでなく、複数の口臭除去有効成分を含むことにより、他の食品臭、例えば、ニンニク臭(特に、ジアリルジサルファイド臭)やアルコール臭に対しても有効であるものもある。しかしながら、上記のような従来の口腔用組成物は、1商品を服用するだけでは、摂食した食品の口臭を完全に消すことができなかった。
【0003】
元来、口臭は、例えば、食品を摂食することにより、直接、口腔内で発生するもの;摂食した食品が胃で消化された後、口腔内に戻ってくる臭い、いわゆる「戻り臭」;腸管から血液に吸収された腐敗臭(インドール、メルカプタン類、スカトール、アンモニア)が、肺の呼気として出てくる臭い;およびそれらの組み合わさったものがある。従って、例えば口腔内の口臭除去のみを行っても、上記のように胃からの「戻り臭」や腸からの臭いが発生するため、完全な口臭除去が達成されなかった。
【0004】
そのような問題を克服するためには、口腔内の口臭除去に有効な商品、摂食した食品の胃からの臭いの消臭を目的とする商品、同様に腸からの臭いの消臭を目的とする商品等の2つ以上の商品を同時に服用する必要があった。このことは、手間であり、更には、例えば胃や腸からの臭いに有効な成分が含まれている商品であっても、服用した口腔内の口臭除去用の商品以外では、口腔内で溶解あるいは噛み砕かれるため、胃や腸に達するまでに、唾液や各種消化液によって、必要な有効成分の濃度が薄められてしまうという不利益があった。
【特許文献1】特開平3‐220117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記のような不利益を有さず、胃および腸からの臭いの両者に対し有効な、口臭除去用多重ソフトカプセルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、図1に示す如く、第1ソフトカプセル(1)の内部に少なくとも1つの第2ソフトカプセル(2)を内包した多重ソフトカプセル(10)であって、上記第2ソフトカプセル(2)が内容物としてパセリシードオイルを含有し、かつ上記第2ソフトカプセル(2)が腸溶性であることを特徴とする口臭除去用多重ソフトカプセル(10)を提供する。また、本発明は、上記第2ソフトカプセルが、腸で作用する消臭成分、例えば、シャンピニオンエキス、ルイボス、コーヒー抽出物、ゴボウ抽出物、ローズオイル、ファルネソール、ラクトフェリン、緑茶ポリフェノール、アップルポリフェノール、柿ポリフェノールなどの各種ポリフェノールおよびユッカエキス、ハッカ、タイム、ショウキョウ、アマチャ、チョウジなどの各種ハーブ等から成る群から選択される薬剤を内容物として更に含有する口臭除去用多重ソフトカプセルも提供する。更に、本発明は、上記第1ソフトカプセルが、内容物として異臭を抑える成分、例えば、パセリシードオイル、レモンオイル、ペパーミントオイル、コーヒー抽出物、ゴボウ抽出物、ローズオイル、緑茶ポリフェノール、ウーロンポリフェノール、アップルポリフェノール、柿ポリフェノールなどの各種ポリフェノール、ヨモギ焙煎抽出物、ジンジャーエキス、ハッカ、タイム、ショウキョウ、アマチャ、チョウジなどの各種ハーブ等を含有し、かつ上記第1ソフトカプセルが胃溶性である口臭除去用多重ソフトカプセルも提供する。加えて、上記第1ソフトカプセル用皮膜および/またはそれらの内容物が、更に呈味成分を含んで成る口臭除去用多重ソフトカプセルも提供する。
【0007】
更に他の態様として、本発明は、順次増大する半径を有して同心円状に配置された第1ノズル、第2ノズル、第3ノズルおよび第4ノズルからそれぞれ、第2ソフトカプセル用充填液、第2ソフトカプセル用皮膜液、第1ソフトカプセル用充填液および第1ソフトカプセル用皮膜液を同時に押出し、この複合ジェットを冷却液中に放出することを特徴とする口臭除去用多重ソフトカプセルの製造方法も提供する。
【発明の効果】
【0008】
(1)口腔内で溶解および噛み砕かれずに胃へ到達した、胃内消臭効果を有する第1ソフトカプセル内の成分が、唾液や各種消化液等で希釈されることなく、胃内で溶出して戻り臭を押さえる効果を発揮する。
(2)胃内で溶解されずに腸へ到達した第2ソフトカプセルに内封された成分が、希釈されたり、損なわれることなく、腸内で溶出して臭いを押さえる効果を発揮する。
すなわち、本発明の多重ソフトカプセルは、1つのカプセルの服用(経口投与)によって、上記(1)および(2)のような2つの効果を発揮して口臭を除去する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の口臭除去用多重ソフトカプセルを、図1〜2を参照して更に詳細に説明する。図1は、本発明の口臭除去用多重ソフトカプセルの概略断面図である。図2は、本発明の口臭除去用多重ソフトカプセルを製造するのに好適な製造装置のノズル部の一態様を示す模式的な縦断面図である。図1に示すように、本発明の口臭除去用多重ソフトカプセル(10)は、第1ソフトカプセル皮膜(1)およびその中に内包された口臭除去効果を有する成分を含む内容物(3)、並びに第2ソフトカプセル(2)およびその中に内包された口臭除去効果を有する成分を含む内容物(4)から成る。
【0010】
本発明の多重ソフトカプセルの第1および第2ソフトカプセル皮膜(1)および(2)を形成するための基材としては、ソフトカプセル皮膜を形成できるものであれば、特にこれらに限定されないが、例えば、ゼラチン、寒天、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0011】
本発明の多重カプセルの形成用材料としては、上記皮膜形成用基材の外に、所望により、水溶性多価アルコール(例えば、ソルビトール、グリセリン等)、またはアルギン酸ナトリウムもしくは低メトキシルペクチン、あるいはアルギン酸ナトリウムの水溶液もしくは低メトキシルペクチンを2価以上の多価イオンでゲル化処理したもの等を添加してよい。この場合、上記多価イオンとしては、2価以上の多価金属塩、特に、アルギン酸ナトリウムの水溶液の場合は、水溶性カルシウム塩、例えば塩化カルシウム、リン酸カルシウム等、低メトキシルペクチンの場合は、カルシウム、マグネシウム等の水溶性塩類を適宜使用すればよい。
【0012】
本発明において、上記第1カプセル皮膜形成用材料には、更に呈味成分も含んでいてよい。このような呈味成分とは、甘味料、酸味料および苦味料を意味し、具体的には、例えば、甘味料としては、アスパルテーム、ステビア、サッカリンナトリウム、ソーマチン、スクラロース、アセスルファムカリウムが、酸味料としては、例えばクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸が、また苦味料としては、例えばカフェイン、ナリンジンがそれぞれ挙げられる。
【0013】
本発明の多重ソフトカプセルのカプセル皮膜には、更に、可塑剤、防腐剤、色素および香料等の添加物を添加してもよい。
【0014】
上記カプセル皮膜形成材料内において、上記添加物および呈味成分の合計配合量は、カプセル皮膜形成用基材100重量部に対して、0.01〜50重量部であり得る。特に上記呈味成分は、カプセル皮膜形成用基材100重量部に対して、0.1〜30重量部であり得る。
【0015】
本発明において、上記第1ソフトカプセル用皮膜形成材料には、口腔内で溶解せずに胃内で溶解させるために、例えば、寒天、アラビアゴムのような物質を、上記添加剤の合計配合量の0.01〜10%の量で添加してもよい。
【0016】
本発明の多重ソフトカプセルにおいて、第2ソフトカプセル内に封入する内容物は、腸内において消臭効果を有する物質および食用植物油脂を含んで成る。上記腸内において消臭効果を有する物質としては、例えば、パセリシードオイル、シャンピニオンエキス、レモンオイル、ペパーミントオイル、コーヒー抽出物、ゴボウ抽出物、ローズオイル、ラクトフェリン、緑茶ポリフェノール、ウーロン茶ポリフェノール、アップルポリフェノール、柿ポリフェノールなどの各種ポリフェノール、ヨモギ焙煎抽出物、ジンジャーエキス、ハッカ、タイム、ショウキョウ、アマチャ、チョウジなどの各種ハーブ等およびそれらの混合物が挙げられる。安定性向上と腸内での雑菌の繁殖を抑えることから、パセリシードオイルが好ましい。
【0017】
本発明の多重ソフトカプセルは、前述のように、第2ソフトカプセルが内容物として腸内において消臭効果を有する物質、好ましくはパセリシードオイルを含有することを要件とする。このパセリには、クロロフィル(葉緑素)が多く含まれており、口臭の元となる雑菌が増えるのを抑える働きがあり、また、パセリ特有の香り成分であるピネン、アピオールという成分には、雑菌の繁殖を抑え、口臭を予防するという働きもある。
【0018】
上記腸内において消臭効果を有する物質の配合量は、第2ソフトカプセル内容物100重量部に対し、1〜100重量部、好ましくは10〜60重量部、より好ましくは20〜40重量部であることが望ましい。上記腸内において消臭効果を有する物質が1重量部より少ないと悪臭の消臭効果が弱くなる可能性がある。
【0019】
上記食用植物油脂は、安定性向上のために添加するものであって、例えば、ヤシ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、ゴマ油、ナタネ油、グレープ種子油、およびこれらの混合物が挙げられる。上記食用植物油脂の配合量は、第2ソフトカプセル内容物100重量部に対し、0〜99重量部、好ましくは10〜80重量部、より好ましくは50〜70重量部であることが望ましい。上記食用植物油脂が99重量部より多いと悪臭の消臭効果が弱くなる可能性がある。
【0020】
本発明の多重ソフトカプセルにおいては、第2ソフトカプセルが、上記パセリシードオイルに加えて、シャンピニオンエキス、ルイボス、コーヒー抽出物、ゴボウ抽出物、ローズオイル、ファルネソール、ラクトフェリン、緑茶ポリフェノール、アップルポリフェノール、柿ポリフェノールなどの各種ポリフェノールおよびユッカエキス、ハッカ、タイム、ショウキョウ、アマチャ、チョウジなどの各種ハーブ等から成る群から選択される薬剤を内容物として更に含有することが好ましい。上記薬剤の配合量は、第2ソフトカプセル内容物100重量部に対し、0.01〜50重量部、好ましくは10〜40重量部、より好ましくは20〜30重量部であることが望ましい。上記薬剤が0.01重量部より少ないと悪臭の消臭効果が弱くなる可能性がある。
【0021】
上記薬剤の内でも腸内で雑菌の繁殖抑制、悪臭成分の無臭化があることから、シャンピニオンエキスが好ましい。上記シャンピニオンエキスは、口臭や体臭等を消臭する食品として知られており、最大の特徴は腸内消臭である。口臭や体臭等の原因は、腸内で生成される有害物質であり、上記シャンピニオンエキスは腸内に直接作用して、上記有害物質の生成を抑制する働きがある。
【0022】
本発明の多重ソフトカプセルにおいては、前述のような雑菌の繁殖を抑えるパセリシードオイルや腸内で生成される有害物質を抑制して腸内消臭するシャンピニオンエキスを腸溶性の第2ソフトカプセルの内容物として含有することによって、唾液や各種消化液によって有効成分が希釈されたり損なわれたりすることなく腸内に直接作用して、大きな消臭効果を得ることができるものである。
【0023】
更に、第2ソフトカプセル内容物は、所望により、当該分野において通常使用される色素および香料を含んでいてもよい。上記内容物中の色素および香料の含有量は、第2ソフトカプセル内容物100重量部に対して、80重量部以下、好ましくは0.1〜30重量部であることが望ましい。
【0024】
本発明の多重ソフトカプセルにおいて、第1ソフトカプセル内に封入する内容物は、胃内において消臭効果を有する物質および前述の第2ソフトカプセル内容物に記載したものと同様の食用植物油脂を含んで成る。上記胃内において消臭効果を有する物質としては、例えば、パセリシードオイル、レモンオイル、ペパーミントオイル、コーヒー抽出物、ゴボウ抽出物、ローズオイル、緑茶ポリフェノール、ウーロン茶ポリフェノール、アップルポリフェノール、柿ポリフェノールなどの各種ポリフェノール、ヨモギ焙煎抽出物、ジンジャーエキス、ハッカ、タイム、ショウキョウ、アマチャ、チョウジなどの各種ハーブ等が挙げられる。
【0025】
上記胃内において消臭効果を有する物質の配合量は、第1ソフトカプセル内容物100重量部に対し、1〜100重量部、好ましくは3〜50重量部、より好ましくは5〜20重量部であることが望ましい。上記胃内において消臭効果を有する物質が1重量部より少ないと悪臭の消臭効果が弱くなる可能性がある。
【0026】
上記食用植物油脂は、前述の第2ソフトカプセル内容物と同様のものを用いることができ、香味調整および安定性向上のために添加するものであって、例えば、ヤシ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、ゴマ油、ナタネ油、グレープ種子油、およびこれらの混合物が挙げられる。上記食用植物油脂の配合量は、第1ソフトカプセル内容物100重量部に対し、0〜99重量部、好ましくは30〜95重量部、より好ましくは60〜90重量部であることが望ましい。上記食用植物油脂が99重量部より多いと悪臭の消臭効果が弱くなる可能性がある。
【0027】
本発明の多重ソフトカプセルの第1ソフトカプセルにおいても、第2ソフトカプセルと同様に、上記胃内において消臭効果を有する物質に加えて、胃で作用する消臭成分、例えば、シャンピニオンエキス、ルイボス、ファルネソール、レモンオイル、ペパーミントオイル、コーヒー抽出物、ゴボウ抽出物、ローズオイル、緑茶ポリフェノール、ウーロンポリフェノール、アップルポリフェノール、柿ポリフェノールなどの各種ポリフェノール、ヨモギ焙煎抽出物およびジンジャーエキス、ハッカ、タイム、ショウキョウ、アマチャ、チョウジなどの各種ハーブ等から成る群から選択される薬剤を内容物として更に含有してもよい。使用する場合、上記薬剤の配合量は、第1ソフトカプセル内容物100重量部に対し、0.01〜100重量部、好ましくは5〜70重量部、より好ましくは10〜50重量部であることが望ましい。上記薬剤が0.01重量部より少ないと悪臭の消臭効果が弱くなる可能性がある。
【0028】
本発明多重ソフトカプセルにおいて、上記第1ソフトカプセル内に封入する内容物には、上記第1ソフトカプセル用皮膜形成材料と同様に、更に呈味成分も含んでいてよい。上記呈味成分は、上記第1ソフトカプセル用皮膜形成材料と同様のものを用いることができる。
【0029】
更に、第1ソフトカプセル内容物は、所望により、当該分野において通常使用される色素および香料を含んでいてもよい。上記内容物中の色素および香料の含有量は、第1ソフトカプセル内容物100重量部に対して、80重量部以下、好ましくは0.1〜30重量部であることが望ましい。
【0030】
本発明の多重ソフトカプセルにおいて、第1および第2ソフトカプセル内に封入される上記内容物の配合量は通常、各カプセル全体の10〜95重量%、好ましくは50〜90重量%である。
【0031】
更に、本発明の多重ソフトカプセルにおいて、上記第1および第2ソフトカプセル用皮膜形成材料には、前述したような消臭成分を含んでいてもよい。
【0032】
本発明の多重ソフトカプセルの製造方法としては、例えば、ゼラチン等を基剤とする第2カプセル皮膜用シートを予め調製した後、乾燥させることにより乾燥シートを形成し、これを用いて、ロータリー式充填機で、第2カプセル用の口臭除去効果を有する成分を含んで成る内容物を封入することにより第2ソフトカプセルを形成し、次いで、第1カプセル皮膜用シートを予め調製して乾燥させた後、これを用いて、ロータリー式充填機で、上記で形成した第2ソフトカプセルと、第1カプセル用の口臭除去効果を有する成分を含んで成る内容物を同時に封入する、継ぎ目有りカプセル製剤の成形法;並びに同芯多重ノズルを用いて、シームレスカプセルを製造する方法が挙げられる。
【0033】
本発明のカプセル製剤を製造する方法としては、後者の同芯多重ノズル、特に同芯四重ノズルを用いる方法がより好ましい(特開昭59‐131355号公報)。同芯四重ノズルによる4重構造(すなわち、カプセル・イン・カプセル構造)のシームレス・カプセルの製造方法の実施態様を図2に示す。
【0034】
図2において、予め、各内容物充填液および各皮膜液を調製した。次に、第2ソフトカプセル内容物充填液(11’)をC方向から第1ノズル(11)へ供給し、第2ソフトカプセル皮膜液(12’)をD方向から第2ノズル(12)へ供給し、第1ソフトカプセル内容物充填液(13’)をA方向から第3ノズル(13)へ、更に第1ソフトカプセル皮膜液(14’)をB方向から最も外側の第4ノズル(14)へそれぞれ供給して、各環状孔先端部から同時に押し出し、この四相複合ジェットを冷却液(15)中に放出して本発明による多重ソフトカプセル(20)を得る。
【0035】
本発明のカプセル製造方法において、充填物は液状であるため、振動手段を用いて複合ジェット流に適度な振動を与えることによってジェット流の切れを良くしてカプセル化を容易にし、それによって粒径を均一にすることもできる。
【0036】
本発明の多重ソフトカプセルにおいて、第1ソフトカプセルは、通常、粒径2.0〜20mm、好ましくは3.0〜10mm、および皮膜率(=ソフトカプセル重量に対する皮膜重量の割合)5〜50%、好ましくは8〜30%に、また第2ソフトカプセルは、通常、粒径0.5〜18mm、好ましくは1.0〜9mm、および皮膜率5〜100%、好ましくは8〜50%の範囲内でそれぞれ成形することができる。
【0037】
本発明において、最終カプセル製品は、より好ましくは、上記製造方法によって成形されたカプセルを乾燥処理した状態であり得る。
【実施例】
【0038】
以下に実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例)
第1ソフトカプセル被膜液、第1ソフトカプセル内容物充填液、第2ソフトカプセル被膜液および第2ソフトカプセル内容物充填液はそれぞれ、以下の表1に示した組成で混合することで調製した。次に、これらを、シームレスカプセル製造機(森下仁丹株式会社製)内の同心四重ノズルの各ノズルから同時に押し出し、四相複合ジェットを冷却液中に放出して本発明による4重構造のソフトカプセルを得た。得られたソフトカプセルについて、口臭除去効果を評価した。その結果を以下の表2に示す。試験方法は後述の通りとした。
【0039】
【表1】

【0040】
(比較例1)
上記実施例のようなカプセル・イン・カプセル構造(すなわち四重構造)を有しないカプセルであって、内部に口臭除去効果を有する成分としてパセリシードオイルを含有する市販のカプセルを用いた以外は、実施例と同様にして、口臭除去効果を評価し、その結果を以下の表2に示す。
【0041】
(比較例2)
第2カプセル内容物充填液(内側層)にパセリシードオイルを含まない以外は、実施例と同様にして4重構造のソフトカプセルを得た。得られたソフトカプセルについて、口臭除去効果を評価した。その結果を以下の表2に示す。試験方法は以下の通りとした。
【0042】
(試験方法)
口臭除去効果評価
上記実施例において得られたカプセルおよび比較例のカプセルの口臭除去効果について、以下の条件および手順で試験した。
(1)条件
被験者 3名
パネラー 3名
悪臭源(ニンニク臭):ニンニクが入っていない餃子(エビ)6個に生のおろしたニンニク3gを加え、レンジで所定時間温めて食べる。
呼気採取:息を採取する前に、30秒間口を閉じて鼻で呼吸し、鼻から息を吸って、におい袋に口から息を吐き出す。
【0043】
(2)ブランク試験
1.歯みがきを使わずに2分間歯をみがく。
2.呼気を採取する。
3.悪臭源を食べる。
4.呼気を採取する。
5.水5mLを飲み、その直後(0分)、15分、30分、60分、180分、翌朝(18h後)の呼気を採取する。
6.呼気を下記の評価基準に従って、評価する。
【0044】
(3)各消臭サンプル試験
1.被験者は、歯みがきを使わずに2分間歯をみがく。
2.呼気を採取する。
3.悪臭源を食べる。
4.呼気を採取する(ブランク)。
5.各カプセルを飲み、その直後(0分)、15分、30分、60分、180分、翌朝(18h後)の呼気を採取する。
6.採取した呼気を、以下の評価基準に従って評価する。評価は3人のパネラーそれぞれが、すべての被験者の評価を行い、結果は平均として表2に示した。
(4)評価基準
0: 無臭
1: ほとんど感知できない程の臭い
2: 何の臭いかわかる弱い臭い
3: 楽に感知できる臭い
4: 強い臭い
5: 強烈な臭い
【0045】
(5)上記5の各カプセルの飲み方は、
実施例:実施例のカプセル2粒を、水5mLで飲み込む。
比較例1:市販カプセル2粒を水5mLで飲み込む。
比較例2:ソフトカプセル2粒を水5mLでみ込む。
【0046】
(試験結果)
【表2】

【0047】
上記表2、およびその結果を図示した図3から明らかなように、腸溶性の第2ソフトカプセルの内容物中にパセリシードオイルを含有する本発明の実施例の多重ソフトカプセルは、パセリシードオイルが腸まで運ばれない比較例1および2の従来品に比べて、口臭除去効果が非常に優れる結果となった。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の多重ソフトカプセルは、1つのカプセルの服用(経口投与)によって、第1ソフトカプセルに内封された成分が胃内で溶出して戻り臭を押さえる効果を発揮し、かつ胃内で溶解されずに腸へ到達した第2ソフトカプセルに内封された成分が、希釈されたり、損なわれたりすることなく、腸内で溶出して、腸からの臭いを押さえる効果を発揮して口臭を完全に除去するエチケット商品や美容健康食品等に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の口臭除去用多重ソフトカプセルの概略断面図である。
【図2】本発明の口臭除去用多重ソフトカプセルを製造するのに好適な製造装置のノズル部の一態様を示す模式的な縦断面図を表す。
【図3】パネラー試験による口臭除去効果の評価結果を表すグラフである。
【符号の説明】
【0050】
1 … 第1ソフトカプセル、
2 … 第2ソフトカプセル、
3、13’ … 第1ソフトカプセル内容物、
4、11’ … 第2ソフトカプセル内容物、
10、20 … 本発明の口臭除去用多重ソフトカプセル、
11 … 第1ノズル、
12 … 第2ノズル、
12' … 第2ソフトカプセル皮膜液、
13 … 第3ノズル、
14 … 第4ノズル、
14’ … 第1ソフトカプセル皮膜液、
15 … 冷却液。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ソフトカプセルの内部に少なくとも1つの第2ソフトカプセルを内包した多重ソフトカプセルであって、該第2ソフトカプセルが内容物としてパセリシードオイルを含有し、かつ該第2ソフトカプセルが腸溶性であることを特徴とする口臭除去用多重ソフトカプセル。
【請求項2】
前記第2ソフトカプセルが、シャンピニオンエキス、ルイボス、コーヒー抽出物、ゴボウ抽出物、ローズオイル、ファルネソール、ラクトフェリン、緑茶ポリフェノール、アップルポリフェノールおよびユッカエキスから成る群から選択される薬剤を内容物として更に含有する請求項1記載の口臭除去用多重ソフトカプセル。
【請求項3】
前記第1ソフトカプセルが、内容物としてパセリシードオイル、シャンピニオンエキス、レモンオイル、ペパーミントオイル、コーヒー抽出物、ゴボウ抽出物、ローズオイル、緑茶ポリフェノール、ウーロン茶抽出物、ヨモギ焙煎抽出物、アップルポリフェノール、柿抽出物、ジンジャーエキス、ハッカ、タイム、ショウキョウ、アマチャ、チョウジからなる群から選択される物質を含有し、かつ該第1ソフトカプセルが胃溶性である請求項1記載の口臭除去用多重ソフトカプセル。
【請求項4】
順次増大する半径を有して同心円状に配置された第1ノズル、第2ノズル、第3ノズルおよび第4ノズルからそれぞれ、第2ソフトカプセル用充填液、第2ソフトカプセル用皮膜液、第1ソフトカプセル用充填液および第1ソフトカプセル用皮膜液を同時に押出し、この複合ジェットを冷却液中に放出することを特徴とする口臭除去用多重ソフトカプセルの製造方法であって、該第2ソフトカプセルが内容物としてパセリシードオイルを含有し、かつ該第2ソフトカプセルが腸溶性である口臭除去用多重ソフトカプセルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−24696(P2008−24696A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−157148(P2007−157148)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(000191755)森下仁丹株式会社 (30)
【Fターム(参考)】