説明

可変圧縮比エンジンの圧縮比を調節するためのボールリフト装置

上室(121)および下室(122)と制御ラック(7)に接続された少なくとも一つのアクチュエータピストン(13)とを具備する油圧式複動制御アクチュエータ(8)を具備する、可変圧縮比エンジンの圧縮比を調節するための装置は、各々がシート(403,404)に当接するとともに制御アクチュエータ(8)の上室(121)と下室(122)とを接続する移動ポート(405)の一端部を各々が個別に閉鎖する少なくとも二つのボール(401,402)またはシャッタであって、油圧流体を一方向のみに通過させるようにスプリング(408,409)によりシート(403,404)に保持された時に逆止バルブとして作用するボール(401,402)と、ボールが油圧流体を両方向に通過させるようにボール(401,402)をシート(403,404)から持ち上げるリフト手段(410)とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、制御アクチュエータの上下の室を接続する少なくとも一つの管を閉鎖するためシートに当接する少なくとも一つのボールまたはバルブ要素を具備する可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置であり、ボールまたはバルブ要素は、油圧流体を一方向のみに通過させるためスプリングによりシートに保持された時に逆止バルブ要素として機能し、油圧流体を両方向に通過させるためリフト手段によりシートから持ち上げられることができる。
【背景技術】
【0002】
出願人の所有するWO98/51911、WO00/31377、WO03/008783によれば、可変排気量エンジンのための様々な機械的装置が知られている。
【0003】
出願人の名によるWO98/51911には、有効排気量および/または体積比を維持したまま適応により可変の負荷および速度で使用される内燃ピストンエンジンの効率を向上させるのに使用される装置が記載されていることに注意してほしい。このタイプのエンジンは「可変圧縮比エンジン」として当該技術分野の当業者に知られており、以下の文章ではこの名称が使用される。
【0004】
出願人の名によるWO00/31377によれば、可変圧縮比エンジンのための機械的伝動装置は、一方では転動案内装置と、他方では接続ロッドに固定されたギヤホイールと相互作用を行ってピストンと接続ロッドとの間で動作を伝達することを可能にする伝動部材と下部で固定された燃焼ピストンを具備することが知られている。
【0005】
出願人の名によるWO03/008783によれば、可変圧縮比エンジンのための機械的伝動装置は、一方では小型ラックにより転動案内装置と、他方では別の大型ラックにより接続ロッドに固定されたギヤホイールと相互作用を行う「ピストンラック」とも呼ばれる伝動部材と下部で固定された燃焼ピストンが中で移動する少なくとも一つのシリンダを具備することに注意してほしい。可変圧縮比エンジンのための機械的伝動装置は、ギヤホイールと相互作用を行う少なくとも一つの制御ラックと、把持圧縮応力を付与する、燃焼ピストンを伝動部材に装着するための手段と、ラックの歯を強化することを可能にする接続手段と、ギヤホイールの構造を補強および軽量化するための手段もまた具備する。
【0006】
大型ラックの歯とギヤホイールの歯との間の最小動作間隙が、大型ラックとギヤホイールとに形成されるベアリング面の箇所により確定されることに注意してほしい。
【0007】
FR2896544によれば、一方では燃焼室においてエンジンの少なくとも一つのシリンダの端部を、他方ではアクチュエータの上室においてエンジンの制御アクチュエータの少なくとも一つのシリンダの端部を閉じるため、クランクケースと相互作用を行う共通シリンダヘッドを可変圧縮比エンジンが具備し、可変圧縮比エンジンの可動連結部の部品すべてをクランクケースが収容することに注意してほしい。
【0008】
FR2896539またはWO2007/085739によれば、可変圧縮比エンジンは、エンジンの音響放出を制御してクランクケースの製造公差を増大させるため転動面を相互に常時接触したままにする少なくとも一つのリフタアクチュエータを有し、可変圧縮比エンジンは、それが有するシリンダと同数のリフタアクチュエータおよび制御アクチュエータを有することに注意してほしい。
【0009】
WO98/51911とFR2896539によれば、起こり得る制御アクチュエータからの漏出を補正するためと、オイルの圧縮性の影響を軽減することにより制御アクチュエータの垂直位置設定点の維持精度を上昇させるように設計されるとともに、アクチュエータの室の内部の空洞現象を防止するように設計された予供給圧力を提供するために設けられた圧縮油圧流体の入口を具備する制御アクチュエータにより、可変圧縮比エンジンの制御ラックの垂直位置が制御されることにも注意してほしい。
【0010】
WO98/51911において、制御アクチュエータは、下室と、「上部アクチュエータロッド」とも呼ばれるアクチュエータスピンドル延出部により下室の排気量と同一の排気量が維持される上室とを具備することに注意してほしい。またWO98/51911によれば、制御アクチュエータはまた、アクチュエータピストンと、スプリングにより定位置に保持されたバルブと、制御ロッドとを具備し、一方ではシリンダヘッドと上部アクチュエータロッドとの間、他方ではシリンダヘッドと制御ロッドとの間の密封手段を具備するシリンダヘッドにより、アクチュエータの上端部が閉じられる。
【0011】
出願人の名によるFR2896539およびFR07/05237のクレームに記載されているように、可変圧縮比エンジンは、一方ではリフタアクチュエータを作動させるのに必要な油圧をリフタアクチュエータに供給するとともに、他方では起こり得る油圧漏出を補正してその精度を高めるのに必要な油圧を制御アクチュエータに提供するように設けられた油圧パワーユニットを具備する。可変圧縮比エンジンのカムシャフトのいずれか一つにより駆動される高圧ポンプを介して、可変圧縮比エンジンの潤滑回路によりユニットにオイルが供給され、ユニットは次にエンジンの制御アクチュエータおよびリフタアクチュエータに供給を行うことに注意してほしい。
【0012】
出願人の名によるFR2896539またはWO2007/085739によれば、制御アクチュエータに提供される油圧が、可変圧縮比エンジンの体積比を増加させるように設計された作業中に制御アクチュエータの移動速度を上昇させるのにも使用されてよいことに注意してほしい。後者の変形例によれば、アクチュエータのシリンダヘッドに形成された室により制御アクチュエータの上部ロッドの上面に油圧が印加される。
【0013】
出願人の名による特許出願および特許では、可変圧縮比エンジンの圧縮比を制御するためのシステムの製造を単純にするように、少なくとも一つのセンサと相互作用を行うソレノイドバルブにより制御ロッドが置き換えられると好都合であることに注意してほしい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明によるボールまたはバルブ要素のリフトにより圧縮比を調節するための装置は、
すぐ上で言及した出願人の名による様々な特許出願および特許に記載されているような圧縮比を制御することに関連する以下のような一連の問題を解決するように設計されるものである。
‐制御アクチュエータの下室の排気量と同一の排気量を上室に与える上部アクチュエータロッドは、上室と可変圧縮比エンジンのシリンダヘッドとの間に少なくとも一つの密封ガスケットを設けることを必要とする。このガスケットは、シリンダヘッドに形成された溝に収容されるため、可変圧縮比エンジンの製造をより複雑にし、溝は上部アクチュエータロッドと同軸に製造されなければならない。この溝を製造するのに必要とされる機械加工精度と関連する問題に加えて、溝に対する上部アクチュエータロッドのオフセンタリングの可能性のため、ガスケットにおいて良好なシールを保証することが困難である。この困難は、一方では可変圧縮比エンジンが回転している時にロッドが行う動作から生じ、他方では可変圧縮比エンジンのクランクケースに対してシリンダヘッドを移動させるシリンダヘッドの膨張から生じるもので、この二つの作用が組み合わさると、溝をロッドに対してオフセンタリングする傾向があるのは明らかである。
‐上の段落で説明したように、上部制御アクチュエータロッドは様々な製造上の問題を抱えている。しかし、可変圧縮比エンジンの体積比を上昇させることをねらいとする作業中にこのエンジンの制御アクチュエータの移動速度を上昇させることは有益で、不可欠ですらあり、アクチュエータのシリンダヘッドに形成される室により、制御アクチュエータの上部ロッドの上面に油圧が印加される。先行技術では、ロッドを取り除くことはこの機能を取り除くことに実質的に等しく、これは不可能である。
‐大量のエネルギーを消費することなく、または原価をあまりに高くせずにわずかな圧力損失を保証するとともに、可変圧縮比エンジンの潤滑回路が含有する不純物および様々な汚染物質に対処するソレノイドバルブを、制御ロッドの代替物として設計することは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
参考として引用された出願人の名による特許出願および特許に記載された圧縮比についての命令および制御に関連する様々な問題、そして特に製造の難しさおよび上部アクチュエータロッドのコストおよびシリンダヘッドとのシールに関連する様々な問題、またコスト効果の高い方法で制御ロッドに代わる制御ソレノイドバルブの機能的仕様を満たすことの難しさに関連する様々な問題を解決するために、本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置が、
‐可変圧縮比エンジンのシリンダヘッドの製造を著しく単純にするために上部アクチュエータロッドの省略が可能であること、
‐出願人の名によるFR2896539に記載されているような上部制御アクチュエータロッドおよびシリンダヘッドに形成される室を省略するにも関わらず、エンジンの体積比を上昇させることをねらいとする作業中にアクチュエータの移動速度を上昇させる必要がある可変圧縮比エンジンの制御アクチュエータを補助する機能を維持すること、
‐可変圧縮比エンジンの潤滑オイルに存在する不純物および様々な汚染物質に対する適合性を持つ強健で耐久性を持ち妥当な価格の調節装置によって、従来のソレノイドバルブを置き換えること、
を提案する。
【0016】
本発明による、上室および下室と制御ラックに接続された少なくとも一つのアクチュエータピストンとを具備する油圧式複動制御アクチュエータを具備する可変圧縮比エンジンの圧縮比を調節するための装置は、
‐各々がシートに当接するとともに、制御アクチュエータの上室と下室とを接続する移動通路の一端部および他端部を個別に閉鎖する少なくとも二つのボールまたはバルブ要素であって、油圧流体を一方向のみに通過させるため、スプリングによりシートに保持された時に逆止バルブ要素として作用するボールと、
‐ボールが油圧流体を両方向に通過させるように、ボールをシートから持ち上げることを可能にするリフト手段と、
を具備する。
【0017】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、
‐ロックスクリュにより制御ラックに装着されたアクチュエータピストンを持つ制御アクチュエータと、
‐油圧流体の加圧容器を含む可変圧縮比エンジンの油圧パワーユニットへ戻すため流体を移動通路から流出させるが、流体が移動通路へ戻ることは防止する少なくとも一つの補正用逆止バルブ要素と、
を具備する。
【0018】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、移動通路に収容された円筒形リフタで構成されるリフト手段と、端部がボールと接触してからボールを押圧してシートから持ち上げるように円筒形リフタを長手方向に平行移動させることを可能にする電気機械式アクチュエータとを具備する。
【0019】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、ボールから離間させようとするスプリングにより戻される円筒形リフタを具備する。
【0020】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、リフタ支承部により平行移動が停止される円筒形リフタを具備し、この支承部は、円筒形リフタにボールを持ち上げさせる方向と反対の方向に配置されている。
【0021】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、円筒形リフタがリフタ支承部と接触した時に円筒形リフタとボールとの間の間隙を調節することを可能にするようにボール間隙調節装置により調節することのできる距離を、リフタ支承部とボールとの間に具備する。
【0022】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、可変圧縮比エンジンのクランクケースに直接的または間接的に形成されてボールのシートの位置に対してリフタ支承部の位置を調節することを可能にするねじ山で構成される、ボール間隙を調節するための装置を具備し、ロック手段によりねじ山の回転を停止させることができる。
【0023】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、移動通路の外側に収容される電気機械式アクチュエータを具備する。
【0024】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、可変圧縮比エンジンのクランクケースに直接的または間接的に装着された巻線およびケージを具備する少なくとも一つの電磁吸引カップで構成される電気機械式アクチュエータを具備し、巻線に電流が流れた時に金属リフタアーマチュアを誘引して円筒形リフタを押圧することを可能にする磁界を発生させるのに、巻線が使用される。
【0025】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、ボールをわずかな高さまで持ち上げることを可能にする第1電磁吸引カップと、ボールをかなりの高さまで持ち上げることを可能にする第2電磁吸引カップとを具備する電気機械式アクチュエータを具備する。
【0026】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、金属支持アーマチュアに装着された巻線および金属ケージで構成される電気機械式アクチュエータの第1電磁吸引カップを具備し、可変圧縮比エンジンのクランクケースに直接的または間接的に固定された第2吸引カップ調節装置により、金属支持アーマチュアはボールの方へ移動できるが反対方向には停止する。
【0027】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、可変圧縮比エンジンのクランクケースに直接的または間接的に装着された巻線および金属ケージで構成される電気機械式アクチュエータの第2電磁吸引カップを具備し、第2電磁吸引カップの巻線に電流が流れた時に第1電磁吸引カップの金属支持アーマチュアを誘引するように磁界を発生させるのに、巻線が使用される。
【0028】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、一方の円筒形リフタに固定されるかこれと接触する金属リフタアーマチュアと他方の第1電磁吸引カップの金属ケージとの間に、ボールの低リフト高さを調節するように第1吸引カップ調節装置により調節することのできる最大距離を包含する。
【0029】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、可変圧縮比エンジンのクランクケースに直接的または間接的に固定されて金属リフタアーマチュアが当接する支承部の位置を金属ケージの位置に対して調節することを可能にするねじ山で構成される第1電磁吸引カップ調節装置を具備し、ロック手段によりねじ山の回転を停止させることができる。
【0030】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、ボールの高リフト高さを調節するように第2吸引カップ調節装置により調節することのできる最大距離を、第1電磁吸引カップの金属支持アーマチュアと第2電磁吸引カップの金属ケージとの間に包含する。
【0031】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、第2電磁吸引カップの金属ケージの位置に対して金属支持アーマチュアの支承部の位置を調節することを可能にするねじ山で構成される第2吸引カップ調節装置を具備し、ロック手段によりねじ山の回転を停止させることができる。
【0032】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、増分的にリフタ逆止装置を介した連続的な細かい動作で円筒形リフタを移動させる金属リフトアーマチュアを移動させることを可能にする少なくとも一つのリフト用電磁吸引カップで構成される電気機械式アクチュエータを具備し、逆止装置は、円筒形リフタをボールの方にのみ移動させる。
【0033】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、リフタ逆止装置をロック解除してスプリングおよび/または移動通路に生じる圧力の作用により円筒形リフタを初期位置へ戻すためのシステムを具備する電気機械式アクチュエータを具備し、初期位置はボールをシートに当接させる。
【0034】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、円筒形リフタを移動させる金属リフトアーマチュアに固定された第1金属ストリップで少なくとも構成される電気機械式アクチュエータのリフタ逆止装置を具備し、金属ストリップは円筒形リフタの本体を把持し、可変圧縮比エンジンのクランクケースに固定されてやはり第2金属ストリップと少なくとも相互作用を行うとともに円筒形リフタの本体も把持し、第1および第2金属ストリップはともに、円筒形リフタをボールの方へ移動させるが、反対方向には移動させない。
【0035】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、円筒形リフタを解除するように第1および第2金属ストリップを同時に持ち上げることを可能にするストリップリフト手段を具備するリフタ逆止装置をロック解除するためのシステムを具備する。
【0036】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、リフタがボールをシートから持ち上げるように電流の作用による膨張によって円筒形リフタを押圧できる圧電層の積層体で構成される電気機械式アクチュエータを具備する。
【0037】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、二つの水平壁の間でクリープする「H」字形の圧電モータで構成される電気機械式アクチュエータを具備し、「H」の2本の縦棒は長さを変えることにより壁の間にモータを挟持するのに対して、「H」の横棒はやはり長さを変えることにより、そして「H」の2本の縦棒の長さ変化と同時的に相互作用を行うことによりモータを移動させ、モータは、それが装着された円筒形リフタを移動させる。
【0038】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、円筒形リフタと、円筒形リフタを長手方向に平行移動させることを可能にするピストン主体の油圧アクチュエータとで構成されるリフト手段を具備し、ピストン主体の油圧アクチュエータは、ボールをシートから持ち上げるため、制御ソレノイドバルブにより可変圧縮比エンジンの油圧パワーユニットに生じる圧力を利用することができる。
【0039】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、ピストンの最大行程を決定する二つの弾性行程端支承部を具備する油圧式複動制御アクチュエータのアクチュエータピストンを具備し、第1弾性支承部は、可変圧縮比エンジンのクランクケースと接触した時にエンジンの最大圧縮比を制限することを可能にし、第2弾性支承部は、可変圧縮比エンジンの制御アクチュエータのシリンダヘッドと接触した時にエンジンの最小圧縮比を制限することを可能にする。
【0040】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、二つの弾性行程端支承部の一方または他方が、第1支承部としてエンジンのクランクケースと、または第2支承部としてエンジンの制御アクチュエータのシリンダヘッドと接触する時に、可変圧縮比エンジンの圧縮比を調節できるように、ラックに対するピストンの位置を調節することを可能にする調節ワッシャを、ピストンの下面と制御ラックの下部アクチュエータロッドとの間に具備する、制御ラックに装着された油圧式複動制御アクチュエータのアクチュエータピストンを具備する。
【0041】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、油圧式複動制御アクチュエータの下室と上室とを接続するピストン減圧管を具備するアクチュエータピストンを具備し、管は、下室にポケットを形成することのある空気を上室へ通過させる。
【0042】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、油圧式複動制御アクチュエータの下室と上室との間における油圧流体の流量を制限する圧力損失を発生させるように計算されたアクチュエータピストンとロックスクリュとの間に残された空間で構成されるピストン減圧管を具備する。
【0043】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、アクチュエータピストンとロックスクリュとの間に残されたかなりの空間を包含するアクチュエータピストンのピストン減圧管を具備し、この空間は、ロックスクリュとアクチュエータピストンとの間に把持された減圧ワッシャの下面に形成された溝を介して、油圧式複動制御アクチュエータの下室から上室へ油圧流体を通過させる。
【0044】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、かなりの長さを有するように螺旋形である、減圧ワッシャが具備する溝を具備し、螺旋の始端はワッシャの中央孔に通じているのに対して、螺旋の端部はワッシャの周縁部に通じている。
【0045】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、アクチュエータピストンを制御ラックに装着することを可能にする、ロックスクリュの本体に形成または嵌着された減圧毛細管で構成されるピストン減圧管を具備し、毛細管の輪郭と断面積と長さとは、制御アクチュエータの下室と上室との間での油圧流体の通過を制限する圧力損失を発生させるように計算される。
【0046】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、上室の最高点に位置する入口を有するとともに可変圧縮比エンジンのいずれかの点に開口する出口を有するアクチュエータ減圧管を具備する油圧式複動制御アクチュエータを具備し、アクチュエータ減圧管は、減圧ソレノイドバルブにより閉鎖または開放される。
【0047】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、可変圧縮比エンジンの制御ラックの垂直位置を測定することを可能にする位置センサを具備する。
【0048】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、可変圧縮比エンジンのピストンラックの通過の瞬間を測定することを可能にする通過検出センサを具備する。
【0049】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、可変圧縮比エンジンの制御アクチュエータの上室に生じる圧力を測定することを可能にする圧力センサを具備する。
【0050】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、可変圧縮比エンジンが具備する燃焼室に生じる圧力を測定することを可能にする圧力センサを具備する。
【0051】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、可変圧縮比エンジンが具備するクランクシャフトの角度位置を測定することを可能にする角度センサを具備する。
【0052】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、補給用逆止バルブ要素を具備する制御アクチュエータの上室を具備し、バルブ要素は、可変圧縮比エンジンの油圧パワーユニットからの圧縮油圧流体を上室へ流入させるが、ここから流出させることはない。
【0053】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、補給用逆止バルブ要素を具備する制御アクチュエータの下室を具備し、バルブ要素は、可変圧縮比エンジンの油圧パワーユニットからの圧縮油圧流体を下室へ流入させるが、ここから流出させることはない。
【0054】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、移動通路が形成されており可変圧縮比エンジンのクランクケースに嵌着するプレートを具備し、プレートは、ボールを持ち上げるための手段と、移動通路とクランクケースに組み込まれた管との間にシールを設ける密封手段とを具備する。
【0055】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、可変圧縮比エンジンのクランクケースに固定装着された第1電磁吸引カップと第2電磁吸引カップとを具備し、第1吸引カップは円筒形リフタと接触する浮動低リフトアーマチュアを誘引することを可能にするのに対して、第2電磁吸引カップはリフタに固定された高リフトアーマチュアを誘引することを可能にする。
【0056】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、収容された円筒形シースによりクランクケースに固定される低リフトおよび高リフトの電磁吸引カップを具備し、シースはクランクケースにねじ止めされる。
【0057】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、リターンスプリングを具備する浮動低リフトアーマチュアを具備する。
【0058】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、リターンスプリングを具備する円筒形リフタに固定された高リフトアーマチュアを具備する。
【0059】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、円筒形リフタの低リフトの高さを調節することを可能にする調節手段を具備する低リフト電磁吸引カップを具備する。
【0060】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、円筒形リフタの高リフトの高さを調節することを可能にする調節手段を具備する高リフト電磁吸引カップを具備する。
【0061】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、いずれの電磁吸引カップにも電流が供給されない時に円筒形リフタとボールとの間の距離を調節することを可能にする調節手段を具備する円筒形シースを具備する。
【0062】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、ボールの各々について、
‐シートに当接できるニードルで構成される補助的閉鎖手段であって、油圧式複動制御アクチュエータの上室と下室とを接続する移動通路に通じる室の一方または他方、つまり上室または下室を始端とする接続通路をニードルが閉鎖できる、補助的閉鎖手段と、
‐油圧流体を両方向に通過させるためニードルをシートから引っ張ることを可能にする引張手段と、
を具備する。
【0063】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、ここを通過するオイルの流量を制御することと流量の良好な制御を保証することとを可能にする較正孔を具備する接続通路を具備する。
【0064】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、油圧流体を両方向に通過させるため端部の一方がシートから離間するようにニードルを長手方向に平行移動させることを可能にする電気機械式アクチュエータで構成される引張手段を具備する。
【0065】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、円筒形本体の内側において、円筒形本体の内側に装着された巻線およびケージを具備する電磁吸引カップで構成される電気機械式アクチュエータを具備し、吸引カップの巻線は、巻線に電流が流れた時に、ニードルに固定された金属アーマチュアを誘引することを可能にするとともにニードルを引っ張ることを可能にする磁界を発生させるのに使用される。
【0066】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、円筒形本体の内側において、単一のリフト高さまでボールを持ち上げるため巻線に電流が流れた時にリフト用金属リフタアーマチュアを誘引して円筒形リフタを押圧することを可能にする磁界を発生させる巻線を具備する電磁吸引カップで構成される電気機械式アクチュエータを具備する。
【0067】
本発明による可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置は、可変圧縮比エンジンの油圧パワーユニットに生じる圧力が油圧アクチュエータによりボールを持ち上げるかニードルを引っ張るのに使用されるように段が形成された、ボールまたはニードルを持ち上げるか引っ張るための電気機械的手段を具備する。
【0068】
非限定的な例として挙げられた添付図面に関する以下の説明は、本発明、それが提案する特徴、それが提供できる長所の理解を容易にするだろう。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明による圧縮比を調節するためのボールリフトまたはバルブ要素リフト装置の可変圧縮比エンジンにおける主要部品およびその位置を図示する概略断面図である。
【図2】本発明による圧縮比を調節するためのボールリフトまたはバルブ要素リフト装置の電気機械式アクチュエータを示す断面図である。
【図3】本発明による圧縮比を調節するためのボールリフトまたはバルブ要素リフト装置の電気機械式アクチュエータを表す分解斜視図である。
【図4】本発明による圧縮比を調節するためのボールリフトまたはバルブ要素リフト装置の電気機械式アクチュエータの動作原理を図示する概略図である。
【図5】本発明による圧縮比を調節するためのボールリフトまたはバルブ要素リフト装置の電気機械式アクチュエータの動作原理を図示する概略図である。
【図6】本発明による圧縮比を調節するためのボールリフトまたはバルブ要素リフト装置の電気機械式アクチュエータの動作原理を図示する概略図である。
【図7】本発明による圧縮比を調節するためのボールリフトまたはバルブ要素リフト装置の電気機械式アクチュエータの第1変形例の動作原理を図示する概略図である。
【図8】本発明による圧縮比を調節するためのボールリフトまたはバルブ要素リフト装置の電気機械式アクチュエータの第1変形例の動作原理を図示する概略図である。
【図9】本発明による圧縮比を調節するためのボールリフトまたはバルブ要素リフト装置の電気機械式アクチュエータの第1変形例の動作原理を図示する概略図である。
【図10】増分的に連続的な細かい動作により円筒形リフタを移動させてボールまたはバルブ要素を持ち上げることを可能にする、圧縮比を調節するための装置の電気機械式アクチュエータの第2変形例を表す概略図である。
【図11】増分的に連続的な細かい動作により円筒形リフタを移動させてボールまたはバルブ要素を持ち上げることを可能にする、圧縮比を調節するための装置の電気機械式アクチュエータの第2変形例を表す概略図である。
【図12】増分的に連続的な細かい動作により円筒形リフタを移動させてボールまたはバルブ要素を持ち上げることを可能にする、圧縮比を調節するための装置の電気機械式アクチュエータの第2変形例を表す概略図である。
【図13】本発明による圧縮比を調節するためのボールリフト装置の変形例を図示する図である。
【図14】本発明による圧縮比を調節するためのボールリフト装置の変形例を図示する図である。
【図15】本発明による圧縮比を調節するためのボールリフト装置の変形例を図示する図である。
【図16】本発明による圧縮比を調節するためのボールリフト装置の変形例を図示する図である。
【図17】本発明による圧縮比を調節するためのボールリフト装置の変形例を図示する図である。
【図18】本発明による圧縮比を調節するためのボールリフト装置の変形例を図示する図である。
【図19】本発明による圧縮比を調節するためのボールリフト装置の変形例を図示する図である。
【図20】本発明による圧縮比を調節するためのボールリフト装置の変形例を図示する図である。
【図21】可変圧縮比エンジンのエンジンブロックと、本発明による圧縮比を調節するためのボールリフトまたはバルブ要素リフト装置のエンジンブロックでの位置とを示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
図1は、油圧式複動制御アクチュエータ8の上室121と下室122とを接続する少なくとも一つの管を閉鎖するための手段と、油圧流体を両方向に通過させるため閉鎖手段をシートから持ち上げることを可能にするリフト手段410とを具備する、可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するための装置400を示す。
【0071】
出願人の所有する特許出願および特許によれば、可変圧縮比エンジンは、ピストンに固定されて、一方では転動案内装置4と、他方ではギヤホイール5と相互作用を行う、「ピストンラック」と呼ばれる伝動部材3を燃焼ピストン2の下部に具備する機械的伝動装置1を具備する。
【0072】
燃焼ピストン2に固定された伝動部材またはピストンラック3は、ギヤホイール5の歯51と相互作用を行う歯34を有する第1大型ラック35をその面の一つに備える。
【0073】
伝動部材またはピストンラック3は、転動案内装置4のローラ40の歯と相互作用を行う小型の歯38を有する第2ラック37を、第1ラック35と反対の側に具備する。
【0074】
クランクケース100は、転動案内装置4のローラ40の動作を燃焼ピストン2の動作と同期化させるラック46を具備する支持体41に固定されている。
【0075】
燃焼ピストン2とクランクシャフト9との間で動作を伝達するため、ギヤホイール5は、クランクシャフト9に接続された接続ロッド6と相互作用を行う。
【0076】
ギヤホイール5は、伝動部材またはピストンラック3と反対の側において、制御アクチュエータ8を具備する制御装置12と、クランクケース100に形成されたアクチュエータシリンダ112の中で案内されるアクチュエータピストン13とにより駆動されるクランクケース100に対する垂直位置を有する制御ラック7と、相互作用を行う。
【0077】
制御アクチュエータ8は、アクチュエータピストン13の上下に上室121と下室122とを具備し、これらの室は、アクチュエータピストン13の同一行程について相互に異なる排気量を有する。
【0078】
制御アクチュエータ8は、制御ラック7に固定された下部アクチュエータロッド16と、アクチュエータピストン13を制御ラック7の下部アクチュエータロッド16に装着することを可能にするロックスクリュ132とで構成される。
【0079】
ロックスクリュ132は、制御アクチュエータ8の上室121に収容されるロックヘッド139を具備する。
【0080】
油圧式複動制御アクチュエータ8のアクチュエータピストン13は、アクチュエータピストンの最大行程を決定する二つの弾性行程端支承部130,131を具備してよい。
【0081】
第1支承部131は、可変圧縮比エンジンのクランクケース100と接触した時にエンジンの最大圧縮比を制限することを可能にするのに対して、第2支承部130は、可変圧縮比エンジンの制御アクチュエータ8のシリンダヘッド300と接触した時にエンジンの最小圧縮比を制限することを可能にする。
【0082】
油圧式複動制御アクチュエータ8のアクチュエータピストン13は、制御ラック7に対するピストン13の位置を調節することを可能にする調節ワッシャ135を、ピストン13の下面と制御ラック7の下部アクチュエータロッド16との間に具備する。
【0083】
二つの弾性行程端支承部130,131の一方または他方が、第1支承部131としてエンジンのクランクケース100と、または第2支承部130としてエンジンの制御アクチュエータ8のシリンダヘッド300と接触した時に、この調節ワッシャ135は、可変圧縮比エンジンの圧縮比を調節することを可能にする。
【0084】
アクチュエータピストン13は、油圧式複動制御アクチュエータ8の下室122と上室121とを接続するピストン減圧管133を具備する。ピストン減圧管133は、下室122にポケットを形成する空気を上室121に通過させる。
【0085】
ピストン減圧管133は、油圧式複動制御アクチュエータ8の下室122と上室121との間における油圧流体の流量を制限する圧力損失を発生させるように計算された、アクチュエータピストン13とロックスクリュ132との間に残された空間で構成されてよい。
【0086】
アクチュエータピストン13のピストン減圧管133は、アクチュエータピストン13とロックスクリュ132との間に残されたかなりの空間を包含してよく、この空間は、ロックスクリュ132とアクチュエータピストン13との間に把持された減圧ワッシャ136の下面に形成された溝を介して、油圧式複動制御アクチュエータ8の下室122から上室121へ油圧流体を通過させる。
【0087】
溝の輪郭と断面積と長さとは、油圧式複動制御アクチュエータ8のロックスクリュ132とアクチュエータピストン13との間における流体の通過を制限する圧力損失を発生させるように計算される。
【0088】
減圧ワッシャ136に形成された溝は、かなりの長さを有するように螺旋形であってよく、螺旋の始端はワッシャの中央孔に通じているのに対して、螺旋の端部はワッシャの周縁部に通じている。
【0089】
アクチュエータピストン13のピストン減圧管133は、ロックスクリュ132の本体に形成または嵌着された減圧毛細管134と連通している。減圧毛細管134の輪郭と断面積と長さとは、油圧式複動制御アクチュエータ8の下室122と上室121との間における油圧流体の通過を制限する圧力損失を発生させるように計算される。
【0090】
油圧式複動制御アクチュエータ8は、上室121の最高点に位置する入口を有するとともに、可変圧縮比エンジンのいずれかの点に開口する出口を有するアクチュエータ減圧管137を具備してよい。
【0091】
アクチュエータ減圧管137の出口は、エンジンのオイル溜め500に直接的または間接的に通じている。アクチュエータ減圧管137は、減圧ソレノイドバルブ138により閉鎖または開口されてよい。
【0092】
可変圧縮比エンジンは、制御ラック7の垂直位置を測定することを可能にする少なくとも一つの位置センサ95を具備してよい。
【0093】
可変圧縮比エンジンは、ピストンラック3の通過が検出されたクランクシャフト9の角度位置を考慮してエンジンの圧縮比を導出できるようにピストンラック3の通過を検出する少なくとも一つのセンサを具備してよい。
【0094】
可変圧縮比エンジンは、油圧式複動制御アクチュエータ8の上室121に生じる圧力を測定することを可能にする不図示の少なくとも一つの圧力センサを具備してよい。
【0095】
可変圧縮比エンジンは、可変圧縮比エンジンが具備する燃焼室に生じる圧力を測定することを可能にする不図示の少なくとも一つの圧力センサを具備してよい。
【0096】
可変圧縮比エンジンは、少なくとも一つのクランクシャフト角度位置センサ93と少なくとも一つのコンピュータ94とを具備してよい。
【0097】
本発明による圧縮比を調節するための装置400は、各々がシート403,404に当接して、クランクケース100に組み込まれた管406,407により油圧式複動制御アクチュエータ8の上室121と下室122とを接続する移動通路405の一端部および他端部をそれぞれ閉鎖する少なくとも二つのボール401,402またはバルブ要素で構成される閉鎖手段を具備する。
【0098】
ボール401,402は、油圧流体を一方向のみに通過させるようにスプリング408,409によりシート403,404に保持された時に逆止バルブ要素として作用する。
【0099】
本発明による圧縮比を調節するための装置400は、油圧流体を両方向に通過させるためボール401,402をそのシート403,404から持ち上げることを可能にするリフト手段410を具備する。
【0100】
圧縮比を調節するための装置400は、流体の加圧容器251を含む可変圧縮比エンジンの油圧パワーユニット200へ戻るように油圧流体を移動通路405から流出させるが、流体が移動通路405へ戻ることは防止する少なくとも一つの補正用逆止バルブ要素411を具備する。
【0101】
圧縮比を調節するための装置400のリフト手段410は、各ボール401,402について、移動通路405に収容された円筒形リフタ412で構成される。
【0102】
リフト手段410は、端部の一方が対応のボール401,402と接触してこれを押圧し、シート403,404から持ち上げるように、円筒形リフタ412を長手方向に平行移動させることを可能にする電気機械式アクチュエータ413で構成される。
【0103】
図2および3は、圧縮比を調節するための装置400のリフト手段410を形成する電気機械式アクチュエータ413の非限定的な例示的実施形態を示す。
【0104】
他のボール402をシート404から持ち上げる他の電気機械式アクチュエータ413も同一であるという条件で、ボール401をシート403から動かす単一の電気機械式アクチュエータ413が示されている。
【0105】
そのため、各電気機械式アクチュエータ413は、可変圧縮比エンジンのクランクケース100の内側に直接、または可変圧縮比エンジンのクランクケース100に固定された円筒形本体450の内側に収容される。
【0106】
各電気機械式アクチュエータ413は、巻線416,417とケージ418,419とを具備する少なくとも一つの電磁吸引カップ414,415で構成される。
【0107】
第1電磁吸引カップ414の巻線416は、巻線416に電流が流れた時に金属リフタアーマチュア420を誘引して円筒形リフタ412を押圧することを可能にする磁界を発生させるのに使用される。
【0108】
移動通路405に収容された円筒形リフタ412の平行移動は、円筒形リフタ412にボール401,402を持ち上げさせる方向と反対の方向に配置されたリフタ支承部423によって停止される。
【0109】
円筒形リフタ412および/または金属リフタアーマチュア420がリフタ支承部423と接触した時に円筒形リフタ412とボール401,402との間の間隙を調節することを可能にするため、リフタ支承部423とボール401,402との間の距離がボール間隙を調節するための装置426,427により調節される。
【0110】
ボール間隙調節装置は、可変圧縮比エンジンのクランクケース100に直接的または間接的に形成されて、ボール401,402のシート403,404の位置に対してリフタ支承部423の位置を調節することを可能にするねじ山426で構成される。
【0111】
ボール間隙調節装置を形成するねじ山426の回転は、ロック手段427により停止できる。
【0112】
円筒形リフタ412をボール401,402から離間させようとするスプリング(不図示)により、移動通路405に収容された円筒形リフタ412を戻すこととされている。
【0113】
各電気機械式アクチュエータ413は、一方ではわずかな高さまでボール401,402を持ち上げることを可能にする第1電磁吸引カップ414と、他方ではかなりの高さまでボール401,402を持ち上げることを可能にする第2電磁吸引カップ415とを具備する。
【0114】
第1電磁吸引カップ414は、金属支持アーマチュア421に装着される巻線416と金属ケージ418とで構成される。
【0115】
一方の円筒形リフタ412に固定されるかこれと接触する金属リフタアーマチュア420と、他方の第1電磁吸引カップ414の金属ケージ418との間の最大距離は、ボール401,402の低リフト高さを調節するように第1吸引カップ調節装置423,430により調節することができる。
【0116】
第1電磁吸引カップ調節装置は、可変圧縮比エンジンのクランクケース100に直接的または間接的に固定されて金属リフタアーマチュア420が当接する支承部423の位置を金属ケージ418の位置に対して調節することを可能にするねじ山430で構成され、ねじ山430の回転は、ロック手段431により停止できる。
【0117】
第1電磁吸引カップ414の金属支持アーマチュア421は、ボール401,402の方へ移動できる。
【0118】
第1電磁吸引カップ414の金属支持アーマチュア421と第2電磁吸引カップ415の金属ケージ419との間の最大距離は、ボール401,402の高リフト高さを調節するように第2吸引カップ調節装置422,424により調節することができる。
【0119】
第2吸引カップ調節装置は、金属支持アーマチュア421の支承部422の位置を第2電磁吸引カップ415の金属ケージ419の位置に対して調節することを可能にするねじ山424で構成され、ねじ山424の回転はロック手段425により停止できる。
【0120】
第1吸引カップ414の巻線416は、巻線416に電流が流れた時に円筒形リフタ412を押圧するように金属リフタアーマチュア420を誘引することを可能にする磁界を発生させるのに使用される。
【0121】
第2吸引カップ415は、可変圧縮比エンジンのクランクケース100に直接的または間接的に装着された巻線417と金属ケージ419とで構成される。
【0122】
第2吸引カップ415の巻線417は、第2吸引カップ415の巻線417に電流が流れた時に第1電磁吸引カップ414の金属支持アーマチュア421を誘引するように磁界を発生させるのに使用される。
【0123】
図7乃至9に図示された第1変形例によれば、圧縮比を調節するための装置400のリフト手段410を形成する電気機械式アクチュエータ413は、可変圧縮比エンジンのクランクケース100に固定装着された第1電磁吸引カップ432と第2電磁吸引カップ433とで構成され、第1吸引カップ432は、浮動低リフトアーマチュア438を誘引して円筒形リフタ412と接触させることを可能にするのに対して、第2電磁吸引カップ433は、リフタに固定された高リフトアーマチュア434を誘引することを可能にする。
【0124】
低リフトおよび高リフト電磁吸引カップ432,433は、収容された円筒形シース435によりクランクケース100に固定され、シース435はクランクケース100にねじ止めされている。
【0125】
浮動低リフトアーマチュア438は、リターンスプリング436を具備する。
【0126】
円筒形リフタ412に固定された高リフトアーマチュア434は、リターンスプリング437を具備する。
【0127】
低リフト電磁吸引カップ432は、円筒形リフタ412の低リフトの高さを調節することを可能にする不図示の調節手段を具備する。
【0128】
高リフト電磁吸引カップ433は、円筒形リフタ412の高リフトの高さを調節することを可能にする不図示の調節手段を具備する。
【0129】
円筒形シース435は、電磁吸引カップ432,433のいずれにも電流が供給されない時に、円筒形リフタ412とボール401,402との間の距離を調節することを可能にする不図示の調節手段を具備する。
【0130】
図10乃至12に図示された第2変形例によれば、圧縮比を調節するための装置400のリフト手段410を形成する電気機械式アクチュエータ413は、円筒形リフタ412を駆動する金属リフトアーマチュア478を、増分的にリフタ逆止装置470を介した連続的な細かい動作により移動させることを可能にする少なくとも一つのリフト用電磁吸引カップ476で構成される。
【0131】
リフタ逆止装置470は、ボール401,402の方にのみ円筒形リフタ412を移動させる。
【0132】
電気機械式アクチュエータ413は、リフタ逆止装置470をロック解除して、スプリング472および/または移動通路405に生じる圧力の作用により円筒形リフタ412を初期位置へ戻すためのシステム471を具備し、この初期位置は、ボール401,402をそのシート403,404に当接させる。
【0133】
電気機械式アクチュエータ413のリフタ逆止装置470は、円筒形リフタ412を動かす金属リフトアーマチュア478に固定された第1金属ストリップ473で少なくとも構成される。
【0134】
金属ストリップ473は円筒形リフタ412の本体を把持し、可変圧縮比エンジンのクランクケース100に固定された第2金属ストリップ474と少なくとも相互作用を行うとともに、リフタの本体も把持する。
【0135】
第1および第2金属ストリップ473,474はともに、ボール401,402の方へ円筒形リフタ412を移動させるが、逆方向には移動させない。
【0136】
リフタ逆止装置470をロック解除するためのシステム471は、円筒形リフタ412を解除するように第1および第2金属ストリップ473,474を同時に持ち上げることを可能にするストリップリフト手段475を具備する。
【0137】
リフト手段に固定された金属ロック解除アーマチュア479を誘引する少なくとも一つの電磁ロック解除吸引カップ477によってストリップリフト手段475が作動することができることに注意してほしい。
【0138】
第三変形例によれば、圧縮比を調節するための装置400のリフト手段410を形成する電気機械式アクチュエータ413は、電流の作用による膨張によって、円筒形リフタ412がボール401,402またはバルブ要素をそのシート403,404から持ち上げるようにリフタ412を押圧できる圧電層の積層体で構成される。
【0139】
第四変形例によれば、圧縮比を調節するための装置400のリフト手段410を形成する電気機械式アクチュエータ413は、二つの水平壁の間でクリープする「H」字形の圧電モータで構成され、「H」の2本の縦棒は、長さを変えることにより壁の間にモータを挟持するのに対して、「H」の横棒は、やはり長さを変えることにより、また「H」の2本の縦棒の長さ変化と同時的に相互作用を行うことによりモータを移動させ、モータは、それが装着された円筒形リフタ412を移動させる。
【0140】
第五変形例によれば、圧縮比を調節するための装置400のリフト手段410は、不図示のピストン主体の油圧アクチュエータにより長手方向に平行移動できる円筒形リフタ412で構成され、アクチュエータは、ボール401,402をシート403,404から持ち上げるため制御ソレノイドバルブにより可変圧縮比エンジンの油圧パワーユニット200に生じる圧力を利用できる。
【0141】
同様に、本発明による圧縮比を調節するための装置400は、油圧式複動制御アクチュエータ8の上室121に補給することを可能にする逆止バルブ要素428を具備する。補給用逆止バルブ要素428は、可変圧縮比エンジンの油圧パワーユニット200を始点とする圧縮油圧流体を上室121へ流入させるが、流出させることはない。
【0142】
本発明による圧縮比を調節するためのボールリフト装置400は、油圧式複動制御アクチュエータ8の下室122の補給を可能にする逆止バルブ要素429を具備する。補給用逆止バルブ要素429は、可変圧縮比エンジンの油圧パワーユニット200を始点とする圧縮油圧流体を下室122へ流入させるが、流出させることはない。
【0143】
図13乃至20に示されているのは、油圧式複動制御アクチュエータ8の上室121と下室122とを接続する少なくとも一つの管を閉鎖するための手段と、油圧流体を両方向に通過させるため閉鎖手段をシートから持ち上げることを可能にするリフト手段410とを具備する、可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するための装置400の変形例である。
【0144】
本発明による圧縮比を調節するための装置400は、シート403,404に各々が当接するとともに、クランクケース100に組み込まれた管406,407により油圧式複動制御アクチュエータ8の上室121と下室122とを接続する移動通路405の一端部または他端部をそれぞれ閉鎖する少なくとも二つのボール401,402またはバルブ要素で構成される閉鎖手段を具備する。
【0145】
油圧流体を一方向のみに通過させるように、スプリング408,409によりシート403,404に保持された時、ボール401,402は逆止バルブ要素として作用する。
【0146】
本発明による圧縮比を調節するための装置400は、油圧流体を両方向に通過させるためボール401,402をそのシート403,404から持ち上げることを可能にするリフト手段410を具備する。
【0147】
各ボール401,402について、移動通路405に収容された円筒形リフタ412でリフト手段410が構成される。
【0148】
リフト手段410は、端部の一方が対応のボール401,402と接触してこれを押圧し、シート403,404から持ち上げるように、円筒形リフタ412を長手方向に平行移動させることを可能にする電気機械式アクチュエータ413で構成される。
【0149】
他のボール402をそのシート404から持ち上げる他の電気機械式アクチュエータ413が同一であるという条件で、ボール401をそのシート403から動かす一つの電気機械式アクチュエータ413のみが示されている。
【0150】
そのため、可変圧縮比エンジンのクランクケース100の内側に直接、あるいは、可変圧縮比エンジンのクランクケース100またはクランクケース100に嵌着されたプレート460に固定されて油圧パワーユニット200からの入口通路210を具備する円筒形本体450の内側に、各電気機械式アクチュエータ413が収容されることができる。
【0151】
この特定の場合には、例えば円筒形本体450の内側において各電気機械式アクチュエータ413は、巻線492に電流が流れた時にリフト用金属リフタアーマチュア493を誘引して円筒形リフタ412を押圧することを可能にする磁界を発生させる巻線492を具備する電磁吸引カップ490で構成される。
【0152】
円筒形リフタ412の動作は、ボールをそのシート403,404から持ち上げて油圧流体を両方向に通過させるため、対応のボール401,402を移動させることを可能にする。
【0153】
対応のボール401,402がそのシート403,404に当接するようにコイル492にもはや電流が流れない時に円筒形リフタ412を原位置に戻すことを可能にするリターンスプリング494が周囲に位置する円筒形リフタ412に、リフト用金属リフタアーマチュア493が固定される。
【0154】
圧縮比を調節するための装置400は、シート602に当接できるニードル601で構成される補助的閉鎖手段600を各ボール401,402について具備し、ニードルは、油圧式複動制御アクチュエータ8の上室121と下室122とを接続する移動通路405に通じる上室121または下室122の一方または他方を始端とする接続通路604を閉鎖することができ、接続通路604は較正孔603を具備してもよい。
【0155】
較正孔603は、ここを通過するオイルの流量を制御することと流量の良好な制御を保証することとを可能にする。
【0156】
本発明による圧縮比を調節するための装置400は、各ボール401,402に設けられた各ニードル601について、油圧流体を両方向に通過させるためニードル601をそのシート602から引っ張ることを可能にする引張手段610を具備する。
【0157】
引張手段610は、油圧流体を両方向に通過させるため端部の一方がシート602から離間するようにニードル601を長手方向に平行移動させることを可能にする電気機械式アクチュエータ613で構成される。
【0158】
他のボール402に対応しており他のニードル601をそのシート602から動かす他の電気機械式アクチュエータ613が同一であるという条件で、例えばボール401に対応するニードル601をそのシート602から移動させることを可能にする一つの電気機械式アクチュエータ613のみが示されている。
【0159】
そのため、可変圧縮比エンジンのクランクケース100の内側に直接、あるいは可変圧縮比エンジンのクランクケース100に固定されるかクランクケース100に嵌着されたプレート460に固定された円筒形本体650の内側に、各電気機械式アクチュエータ613が収容されることができる。
【0160】
この特定の場合には、例えば円筒形本体650の内側において各電気機械式アクチュエータ613は、円筒形本体650の内側に装着された巻線615とケージ616とを具備する電磁吸引カップ614で構成される。
【0161】
吸引カップ614の巻線615は、巻線615に電流が流れた時にニードル601に固定された金属アーマチュア617を誘引することを可能にするとともに、このニードル601を引っ張ることを可能にする磁界を発生させるのに使用される。
【0162】
ニードル601をシート602から持ち上げると、油圧流体を接続通路604を通過させることを可能にする。
【0163】
この特定の構成において、本発明による圧縮比を調節するための装置400は、少なくとも二つのボール401,402で構成される閉鎖手段と、各ボール401,402についてニードル601で構成される第2補助的閉鎖手段600とを具備し、閉鎖手段は平行に配置される。
【0164】
そのため、補助的閉鎖手段600は、ニードル601がシート602から離間した時に、対応のボール401,402の上流と下流との間の圧力を低下させる少ない流量のオイルを通過させることの保証を可能にして、ボールをそのシート403,404から持ち上げるのに必要な力を低下させること、すなわち低出力の電磁吸引カップ490を設けることを可能にする。
【0165】
そのうえ、可変圧縮比エンジンの制御ラック7がその設定点位置に近い時には特に、補助的閉鎖手段600はこの制御ラックを正確に制御することを可能にする。
【0166】
前もってニードル601がシート602から移動していても、対応のボール401,402の高さまたはリフトレベルを一つのみ実行することが可能であり、ボール401,402はこの時、移動通路405においてかなりの流量のオイルを獲得することのみに使用される。
【0167】
図21は、圧縮比を調節するための装置400を図示しており、ボール401,402またはバルブ要素を備え、移動通路405が形成された可変圧縮比エンジンのクランクケース100に嵌着されるプレート460を具備する。
【0168】
同様に、プレート460は、圧縮比を調節するための装置400のボール401,402を持ち上げるための手段410、そして場合によってはニードル601を引っ張るための手段610を支持する。プレート460は、移動通路405と、クランクケース100に組み込まれて移動通路405と連通する管406,407との間のシールを保証する手段を具備する。
【0169】
特定の実施形態によれば、単数または複数の電磁吸引カップが周期的開口率またはPWM(パルス幅変調)で駆動されてもよく、この駆動方法により、吸引カップのアーマチュアが吸引カップのコイルから最も離間した位置とこのコイルに最も接近した位置との間の中間位置を発見できることに注意してほしい。
【0170】
動作:
特定の実施形態によれば、可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置400の動作は、以下の通りである。
【0171】
可変圧縮比エンジンが、圧縮比の変化を伴わずに所与の圧縮比で使用される時には、制御アクチュエータ8のアクチュエータ122の上室121から下室へ油圧流体を通過させること、またはその逆を個別に可能にする二つのボール401,402が、シート403,404に当接する。
【0172】
この場合、上室121から下室122にもその逆方向にも流体が移動せず、これはエンジンの制御アクチュエータ8の位置を決定された値に維持するとともに、このエンジンの圧縮比を一定に保持する作用を持つ。
【0173】
可変圧縮比エンジンの動作条件を考慮すると、その圧縮比を適応させることが常に必要である。場合によっては、エンジンの性能または効率を最高にする、またあるいはその3方向触媒コンバータの動作を向上させるのに、エンジンの圧縮比の変化が使用される。
【0174】
これらの様々な必要性を考慮して、可変圧縮比エンジンのコンピュータ94(ECU)がエンジンの圧縮比を上昇させなければならない場合には、ボールをシート404から持ち上げることがまさにその作用である制御アクチュエータ8の下室122のボール402を持ち上げる役割を持つ電気機械式アクチュエータ413に、コンピュータが電流を送り、アクチュエータ413は、円筒形リフタ412によりボール402を持ち上げる。
【0175】
そのため、ボール402をシート404から持ち上げると、油圧流体を制御アクチュエータ8の下室122から流出させ、移動通路405を介して上室121へ流入させ、制御アクチュエータ8の上室121のボール401の方は、油圧流体を上室121へ流入させるが、その逆止作用のため再び流出させることはない。
【0176】
図1に見られるように、制御アクチュエータ8のアクチュエータピストン13を移動させるのに油圧ポンプは必要ない。
【0177】
この移動は、実際には、ピストンが装着された可変圧縮比エンジンの制御ラック7によりアクチュエータピストン13に印加される交互の力によって行われ、ラック7そのものは、エンジンの燃焼室に含有されるガスの圧力から生じる力、および/またはギヤホイール5と燃焼ピストン2とピストンラック3とその転動案内装置4とであるエンジンの主要可動部品の慣性から生じる力を受ける。
【0178】
図1を見れば容易に導き出せるように、制御アクチュエータ8のアクチュエータピストン13の下室122の方への移動は、下室122の容量減少より大きな上室121の容量増加を発生させ、これは、ロックスクリュ132に置き換えられて上方アクチュエータロッドが存在しないことによる。
【0179】
このため、アクチュエータピストン13が下室122の方へ移動すると上室121の圧力が低下し、上室121の補給用逆止バルブ要素428は、可変圧縮比エンジンの油圧パワーユニット200を始点とする圧縮油圧流体を上室121へ流入させる。
【0180】
逆に、可変圧縮比エンジンのコンピュータ94(ECU)がエンジンの圧縮比を低下させなければならない時には、ボール401をそのシート403から持ち上げる作用を有する制御アクチュエータ8の上室121のボール401を上昇させる役割を持つ電気機械式アクチュエータ413に電流を送り、アクチュエータ413は円筒形リフタ412によりボールを持ち上げる。
【0181】
こうして、ボール401をそのシート403から持ち上げると、油圧流体を制御アクチュエータ8の上室121から流出させ、移動通路405を介して制御アクチュエータ8の下室122へ流入させるのに対して、制御アクチュエータ8の下室122のボール402の方は、油圧流体を下室122へ流入させるが、ボールの逆止作用のため再び流出させることはない。
【0182】
図1を見れば容易に導き出せるように、制御アクチュエータ8のアクチュエータピストン13の上室121の方への移動は、ロックスクリュ132で置き換えられることで上部アクチュエータロッドが存在しないため、上室121の容量減少より小さな下室122の容量増加を発生させる。
【0183】
このため、アクチュエータピストン13が上室121の方へ移動する時には、室121,122および移動通路405の圧力は、油圧パワーユニット200に生じるものより高い。結果的に、管480を介して油圧パワーユニット200に通じる出口を有する補正用逆止バルブ要素411は、上室121を始点とする圧縮油圧流体を、移動通路405を介して油圧パワーユニットへ流出させる。
【0184】
この場合には、制御アクチュエータ8により補正用逆止バルブ要素411を介して油圧パワーユニット200へ排出される油圧流体の量は、ピストンにより実行される移動動作の間にアクチュエータピストン13により掃引される上室121の容量とピストン13により同時に掃引される下室122の容量との差にほぼ等しく、この動作が可変圧縮比エンジンの圧縮比を低下させるように設計されることに注意してほしい。
【0185】
見て分かるように、ボール401,402と、可変圧縮比エンジンの他の可動部品によりアクチュエータピストン13に印加される交互の力とが組み合わさった作用は、逆止ラチェットのものと類似した動作を画定し、電気機械式アクチュエータ413によりボール401,402が開いた状態である場合に、ピストン13は室121または122の方向に移動できるが、逆方向には移動できない。
【0186】
可変圧縮比エンジンの圧縮比を上昇させるように設計された移動を伴うにしろ、これを低下させるように設計された別の移動を伴うにしろ、アクチュエータ413により持ち上げられた状態の対応のボール401,402が再びそのシート403,404上に位置する瞬間は、可変圧縮比エンジンのコンピュータ94(ECU)により決定される。
【0187】
この瞬間は、制御ラック7の位置に基づいてコンピュータ94(ECU)により導出され、その位置の方は、これが相互作用する位置センサ95によって報告され、センサはラック7の垂直位置を常時測定する。
【0188】
このような情報によってコンピュータ94(ECU)は、求められている圧縮比に対応する位置に制御ラック7が到達すると、ボール401,402をそのシート403,404に再び位置させることができる。
【0189】
コンピュータ94(ECU)と制御ラック7の位置センサ95との間の相互作用は、アクチュエータピストン13のガスケットの不充分な密封による制御アクチュエータ8の上室121と下室122との間の漏出に関係するものであれ、室121,122のいずれか一方と制御アクチュエータ8の外側との間の漏出に関係するものであれ、様々な漏出の結果である制御ラック7の位置のずれを補正することも可能にする。
【0190】
この場合にコンピュータ94(ECU)は、アクチュエータピストン13が要求された位置へ戻るまで、ピストンのずれの方向と反対に室のボール401,402を一時的に持ち上げることを指示することができる。
【0191】
室のいずれか一方、つまり上室121および/または下室122と、制御アクチュエータ8の外側との間に漏出が発生すると、直接的に上室121を通って、または上室121のボール401が開いているか若干開いている時には上室および移動通路405を介して間接的に下室122を通って、上室121の補給用逆止バルブ要素428により油圧流体がアクチュエータに補給される。
【0192】
本発明による圧縮比を調節するための装置400についての特定の実施形態によれば、位置センサ95によりコンピュータ94(ECU)に常時伝達される制御ラック7の位置に加えて、このコンピュータは、それ自体公知のエンジンのクランクシャフト角度センサ93により、可変圧縮比エンジンのクランクシャフト9の角度位置についての情報も受け取ることができる。
【0193】
この実施形態によれば、上室121のボール401および下室122のボール402の上流と下流との間における、これらボール401,402がそのシート403,404と当接する時の圧力差は、可変圧縮比エンジンの様々な速度点および負荷点に対応するクランクシャフト9の様々な角度位置について、コンピュータ94(ECU)のメモリに予め記録されている。
【0194】
これらの予め記録された値により、コンピュータ94(ECU)は、エンジンのあらゆる速度点および負荷点において、またクランクシャフト9のあらゆる角度位置について、制御アクチュエータ8の上室121および下室122のボール401,402の上流と下流との間の圧力差を導出することができる。
【0195】
この実施形態によれば、アクチュエータが円筒形リフタ412に高い押圧力を発生させる必要なく電気機械式アクチュエータ413によりボール401,402をそのシート403,404から持ち上げるために、ボールの上流と下流との間の若干の圧力差に対応するクランクシャフト9の角度において、制御アクチュエータ8の上室121または下室122のボール401,402の持ち上げをコンピュータ94(ECU)が開始させることができる。
【0196】
そのうえ、この実施形態によれば、コンピュータ94(ECU)は制御アクチュエータ8の動作を高い精度で予想できるが、それは、アクチュエータピストン13を新たな位置設定点に到達させる量の油圧流体を、制御アクチュエータ8の上室121または下室122のボール401,402とそのシート403,404との間で通過させるのに必要なクランクシャフト9の回転度数を予測するのに必要な情報を、この時にコンピュータ94(ECU)が持っているからである。
【0197】
そのためコンピュータ94(ECU)は、アクチュエータピストン13が新しい位置設定点に達するのに必要な、シート403,404におけるボール401,402のリフトの高さおよび時間を、これから導出できる。
【0198】
アクチュエータピストン13の位置決め精度を高めるため、ボール401,402の高さおよびリフトをコンピュータ94(ECU)により油圧流体の粘度の関数として補正してもよいことに注意してほしい。この粘度は特に、油圧流体の温度に基づいてコンピュータ94(ECU)により導出され、この温度の方は不図示のセンサにより伝達される。
【0199】
特定の実施形態によれば、制御アクチュエータ8の上室121または下室122のボール401,402をそのシート403,404から持ち上げる各電気機械式アクチュエータ413は、二種類のボールリフト高さ、つまり低リフト高さ(図5,8)と高リフト高さ(図6および9)を可能にすることに注意してほしい。
【0200】
制御ラック7により制御アクチュエータ8のアクチュエータピストン13に印加される所与の力について、高リフトは高いピストン移動速度の達成を可能にするのに対して、低リフトは低いピストン移動速度の達成を可能にする。
【0201】
高い速度は、設定点位置から離間したアクチュエータピストン13の位置から設定点位置に隣接した別の位置への高速での移動を可能にするのに対して、低い速度は、設定点位置に隣接した位置から設定点位置への移動を可能にする。
【0202】
低い速度は、起こり得る漏出により誘発されるアクチュエータピストン13の低速ドリフトの補正、または一つの設定点位置と別の設定点位置とが相互に近接している時に一つの設定点位置から別の設定点位置への移動にも利用される。
【0203】
本発明による圧縮比を調節するための装置400の特定の実施形態によれば、電気機械式アクチュエータ413に二つの電磁吸引カップ414,415を設けることでこの結果が得られる。第1電磁吸引カップ414は、制御アクチュエータ8の上室121または下室122のボール401,402に低リフトを付与するのに対して、第2電磁吸引カップ415は高リフトを付与する。
【0204】
低リフトを達成するため、可変圧縮比エンジンのコンピュータ94(ECU)は、金属リフタアーマチュア420を第1吸引カップ414のケージ418に誘引してから磁気により固着させる作用を有する電流を、電気機械式アクチュエータ413の第1電磁吸引カップ414に供給する。金属リフタアーマチュア420の移動は、ボール401,402を低リフトまで持ち上げるため円筒形リフタ412をボールの方へ押圧することを可能にする(図5)。
【0205】
高リフトを達成するため、可変圧縮比エンジンのコンピュータ94(ECU)は、電気機械式アクチュエータ413の第1電磁吸引カップ414に電流を供給することでボール401,402の低リフトを達成する一方で、同時に、または直後にコンピュータ94(ECU)は、電気機械式アクチュエータ413の第2電磁吸引カップ415に電流を供給する(図6)。
【0206】
この作用は、第1電磁吸引カップ414のケージ418が装着された金属支持アーマチュア421を第2電磁吸引カップ415のケージ419に誘引して磁気により固着させることである。円筒形リフタ412を押圧する第1電磁吸引カップ414のケージ418への金属リフタアーマチュア420の移動と、第2電磁吸引カップ415のケージ419への第1電磁吸引カップ414の金属支持アーマチュア421の移動とを合計すると、ボール401,402の高リフトの達成を可能にする(図6)。
【0207】
可変圧縮比エンジンが所定時間停止した時に、油圧流体に溶解するかこれと混合した空気が流体から分離する傾向があることに注意してほしい。
【0208】
密度の低さゆえに、この空気が集まって流体の上に空気ポケットを形成する傾向があるが、制御アクチュエータ8の下室122が含有する流体の表面と、上室121が含有する流体の表面の両方でこれが行われる。
【0209】
高い圧縮性のため、空気ポケットはアクチュエータピストン13の位置決めを不安定にし、制御アクチュエータ8が具備する減圧装置133,134,137によりこれを排出する必要がある。
【0210】
アクチュエータピストン13に形成されて制御アクチュエータ8の下室122と上室121とを接続するピストン減圧管133および毛細管134を介して、制御アクチュエータ8の下室122に含有される油圧流体の表面から上室121へ放出される空気が、減圧装置で運ばれる。
【0211】
制御アクチュエータ8に含有される空気すべてが、上室121に含有される油圧流体の表面のポケットで集まると、この空気は、可変圧縮比エンジンが始動した時に減圧ソレノイドバルブ138によって排出される。
【0212】
この結果を得るため、上室121の最高点に位置する入口と、エンジンのオイル溜め500に直接的または間接的に接続された点であるエンジンのいずれかの点に開口する出口とを有する制御アクチュエータ8の減圧管137を、ソレノイドバルブ138が開く。
【0213】
減圧ソレノイドバルブ138は、制御アクチュエータ8の上室121に形成された空気ポケットを完全に排出するのに必要な時間だけ、減圧管137を開く。
【0214】
アクチュエータピストン13に形成されて制御アクチュエータ8の下室122と上室121とを接続する減圧管133、特に毛細管134は、かなりの圧力損失を発生させる狭い通過区分を有する。この圧力損失は、上室121と下室122との間のオイルの通過を制限するが、下室122に含有される空気を上室121へ短時間で通過させる。
【0215】
しかし、アクチュエータピストン13に形成された減圧管133および毛細管134はピストンのドリフトを発生させ、場合に応じて制御アクチュエータ8の上室121および/または下室122のボール401,402を持ち上げることにより、常にピストンの位置変更を行うコンピュータ94(ECU)によって、このドリフトが補正される。
【0216】
可変圧縮比エンジンが始動すると、制御アクチュエータ8が含有する油圧流体の温度とともに、エンジンの温度が上昇する。温度の作用による流体の膨張のため、この温度上昇は、アクチュエータの内壁に流体が印加する圧力を上昇させる傾向がある。
【0217】
この圧力を制御するため、補正用逆止バルブ要素411を介して余分な量の流体がエンジンの油圧パワーユニット200へ戻ることができるように、可変圧縮比エンジンのコンピュータ94(ECU)はアクチュエータピストン13の位置設定点を周期的に若干変更させ、バルブ要素は、パワーユニット200へ戻るように流体を移動通路405から流出させるが、流体が移動通路405へ戻ることは防止する。
【0218】
特定の実施形態によれば、ボール401,402またはニードル601を持ち上げるか引っ張るための電気機械的手段には、段が形成されるとよい。
【0219】
この場合、可変圧縮比エンジンの油圧パワーユニット200に生じる圧力は、油圧アクチュエータによりボール401,402を持ち上げるかニードル601を引っ張るのに使用される。
【0220】
この変形例によれば、一方では油圧パワーユニット200に含有される圧縮オイルを油圧アクチュエータと接触させるとともに、他方では油圧アクチュエータをエンジンのオイル溜めと接触させるのに、電気機械的手段が使用される。
【0221】
上記説明は単なる例として挙げられたものであることと、説明した実施の詳細を他の均等物と置き換えることによって逸脱することのない発明の範囲をいかなる点でも制限しないこととを、さらに理解すべきである。
【符号の説明】
【0222】
1 伝動装置
2 燃焼ピストン
3 伝動部材(ピストンラック)
4 転動案内装置
5 ギヤホイール
6 接続ロッド
7 制御ラック
8 油圧式複動制御アクチュエータ
9 クランクシャフト
12 制御装置
13 アクチュエータピストン
16 下部アクチュエータロッド
34 第1大型ラックの歯
35 第1大型ラック
37 第2ラック
38 小型の歯
40 ローラ
41 支持体
46 ラック
51 ギヤホイールの歯
93 クランクシャフト角度位置センサ
94 コンピュータ(ECU)
95 位置センサ
100 クランクケース
112 アクチュエータシリンダ
121 上室
122 下室
130,131 弾性行程端支承部
132 ロックスクリュ
133 ピストン減圧管
134 減圧毛細管
135 調節ワッシャ
136 減圧ワッシャ
137 アクチュエータ減圧管
138 減圧ソレノイドバルブ
139 ロックヘッド
200 油圧パワーユニット
210 入口通路
251 加圧容器
300 シリンダヘッド
400 装置
401,402 ボール
403,404 シート
405 移動通路
406,407 管
408,409 スプリング
410 リフト手段
411 逆止バルブ要素
412 円筒形リフタ
413 電気機械式アクチュエータ
414 第1電磁吸引カップ
415 第2電磁吸引カップ
416,417 巻線
418,419 金属ケージ
420 金属リフタアーマチュア
421 金属支持アーマチュア
422,424 第2吸引カップ調節装置
423 支承部
425,427 ロック手段
426,430 ねじ山
428,429 補給用逆止バルブ要素
431 ロック手段
432 低リフト電磁吸引カップ
433 高リフト電磁吸引カップ
434 高リフトアーマチュア
435 円筒形シース
436,437 リターンスプリング
438 浮動低リフトアーマチュア
450 円筒形本体
460 プレート
470 リフタ逆止装置
471 ロック解除システム
472 スプリング
473 第1金属ストリップ
474 第2金属ストリップ
475 ストリップリフト手段
476 リフト用電磁吸引カップ
477 電磁ロック解除吸引カップ
478 金属リフトアーマチュア
479 金属ロック解除アーマチュア
480 管
490 電磁吸引カップ
492 巻線
493 金属リフタアーマチュア
494 リターンスプリング
500 オイル溜め
600 補助的閉鎖手段
601 ニードル
602 シート
603 較正孔
604 接続通路
610 引張手段
613 電気機械式アクチュエータ
614 吸引カップ
615 巻線
616 ケージ
617 金属アーマチュア
650 円筒形本体




【特許請求の範囲】
【請求項1】
上室(121)および下室(122)と制御ラック(7)に接続された少なくとも一つのアクチュエータピストン(13)とを具備する油圧式複動制御アクチュエータ(8)を具備する、可変圧縮比エンジンの圧縮比を調節するための装置であって、
各々がシート(403,404)に当接するとともに、制御アクチュエータ(8)の上室(121)と下室(122)とを接続する移動通路(405)の一端部および他端部を個別に閉鎖する少なくとも二つのボール(401,402)またはバルブ要素であって、油圧流体を一方向のみに通過させるため、スプリング(408,409)によりシート(403,404)に保持された時に逆止バルブ要素として作用するボール(401,402)と、
油圧流体を両方向に通過させるように、ボール(401,402)をシート(403,404)から上昇させることを可能にするリフト手段(410)と、
を具備することを特徴とする、装置。
【請求項2】
ロックスクリュ(132)により制御ラック(7)に装着されたアクチュエータピストン(13)を有する制御アクチュエータ(8)と、
油圧流体の加圧容器(251)を包含する可変圧縮比エンジンの油圧パワーユニット(200)に戻すため、油圧流体を移動通路(405)から流出させるが、流体が移動通路へ戻ることは防止する、少なくとも一つの補正用逆止バルブ要素(411)と、
を具備することを特徴とする、請求項1に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項3】
リフト手段(410)が、移動通路(405)に収容された円筒形リフタ(412)と、円筒形リフタの端部がボール(401,402)と接触してから押圧してシート(403,404)から持ち上げるように、円筒形リフタ(412)を長手方向に平行移動させることを可能にする電気機械式アクチュエータ(413)とで構成されることを特徴とする、請求項1に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項4】
円筒形リフタ(412)をボール(401,402)から離間させようとするスプリングにより円筒形リフタ(412)が戻されることを特徴とする、請求項3に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項5】
リフタ支承部により円筒形リフタ(412)の平行移動が停止され、円筒形リフタ(412)にボール(401,402)を持ち上げさせる方向と反対の方向に支承部が配置されることを特徴とする、請求項3に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項6】
円筒形リフタ(412)がリフタ支承部と接触した時の円筒形リフタ(412)とボール(401,402)との間の間隙を調節することを可能にするようにリフタ支承部とボール(401,402)との間の距離がボール間隙調節装置により調節されることを特徴とする、請求項5に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項7】
ボール間隙を調節するための装置が、可変圧縮比エンジンのクランクケース(100)に直接的または間接的に形成されてボール(401,402)のシート(403,404)の位置に対するリフタ支承部の位置の調節を可能にするねじ山で構成されて、ねじ山の回転をロック手段により停止できることを特徴とする、請求項6に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項8】
電気機械式アクチュエータ(413)が、移動通路(405)の外側に収容されることを特徴とする、請求項3に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項9】
電気機械式アクチュエータ(413)が、可変圧縮比エンジンのクランクケース(100)に直接的または間接的に装着された巻線とケージとを具備する少なくとも一つの電磁吸引カップで構成されて、巻線に電流が流れた時に金属リフタアーマチュアを誘引して円筒形リフタ(412)を押圧することを可能にする磁界を発生させるのに、巻線が使用されることを特徴とする、請求項3に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項10】
電気機械式アクチュエータ(413)が、ボール(401,402)をわずかな高さまで持ち上げることを可能にする第1電磁吸引カップ(414,432)と、ボール(401,402)をかなりの高さまで持ち上げることを可能にする第2電磁吸引カップ(415,433)とを具備することを特徴とする、請求項9に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項11】
電気機械式アクチュエータ(413)の第1電磁吸引カップ(414)が、金属支持アーマチュア(421)に装着可能な巻線(416)と金属ケージ(418)とで構成され、可変圧縮比エンジンのクランクケース(100)に直接的または間接的に固定された第2吸引カップ調節装置(422,424)により、金属支持アーマチュア(421)がボール(401,402)の方へ移動可能であるが反対方向には停止されることを特徴とする、請求項10に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項12】
電気機械式アクチュエータ(413)の第2電磁吸引カップ(415)が、可変圧縮比エンジンのクランクケース(100)に直接的または間接的に装着された巻線(417)と金属ケージ(419)とで構成され、第2電磁吸引カップ(415)の巻線(417)に電流が流れた時に第1電磁吸引カップ(414)の金属支持アーマチュア(421)を誘引するように磁界を発生させるのに巻線(417)が使用されることを特徴とする、請求項10に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項13】
ボール(401,402)の低リフト高さを調節するように、一方の円筒形リフタ(412)に固定されるか円筒形リフタと接触する金属リフタアーマチュア(420)と、他方の第1電磁吸引カップ(414)の金属ケージ(418)との間の最大距離が第1吸引カップ調節装置(423,430)により調節されることを特徴とする、請求項10に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項14】
第1電磁吸引カップ調節装置が、可変圧縮比エンジンのクランクケース(100)に直接的または間接的に固定されて金属リフタアーマチュア(420)が当接する支承部(423)の位置を、金属ケージ(418)の位置に対して調節することを可能にするねじ山(430)で構成され、ねじ山(430)の回転をロック手段(431)により停止できることを特徴とする、請求項13に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項15】
ボール(401,402)の高リフト高さを調節するように、第1電磁吸引カップ(414)の金属支持アーマチュア(421)と第2電磁吸引カップ(415)の金属ケージ(419)との間の最大距離が、第2吸引カップ調節装置(422,424)により調節可能であることを特徴とする、請求項12に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項16】
第2吸引カップ調節装置が、金属支持アーマチュア(421)の支承部(422)の位置を第2電磁吸引カップ(415)の金属ケージ(419)の位置に対して調節することを可能にするねじ山(424)で構成され、ねじ山(424)の回転をロック手段(425)により停止できることを特徴とする、請求項15に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項17】
増分的に、リフタ逆止装置(470)を介した連続的な細かい動作により円筒形リフタ(412)を移動させる金属リフトアーマチュア(478)を移動させることを可能にする少なくとも一つのリフト用電磁吸引カップ(476)で電気機械式アクチュエータ(413)が構成され、逆止装置が、円筒形リフタ(412)をボール(401,402)の方にのみ移動させることを特徴とする、請求項3に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項18】
リフタ逆止装置(470)をロック解除して、スプリング(472)および/または移動通路(405)に生じる圧力の作用により円筒形リフタ(412)を初期位置へ戻すためのシステム(471)を電気機械式アクチュエータ(413)が具備し、初期位置がボール(401,402)をシート(403,404)に当接させることを特徴とする、請求項17に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項19】
電気機械式アクチュエータ(413)のリフタ逆止装置(470)が、円筒形リフタ(412)を移動させる金属リフトアーマチュア(478)に固定された第1金属ストリップ(473)で少なくとも構成され、金属ストリップ(473)が、円筒形リフタ(412)の本体を把持し、可変圧縮比エンジンのクランクケース(100)に固定されてやはり円筒形リフタ(412)の本体を把持する第2金属ストリップ(474)と少なくとも相互作用を行い、第1および第2金属ストリップ(473,474)の両方が、円筒形リフタ(412)をボール(401,402)の方へ移動させるが、反対方向には移動させないことを特徴とする、請求項18に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項20】
リフタ逆止装置(470)をロック解除するためのシステム(471)が、円筒形リフタ(412)を解除するように、第1および第2金属ストリップ(473,474)を同時に持ち上げることを可能にするストリップリフト手段(475)を具備することを特徴とする、請求項18に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項21】
電気機械式アクチュエータ(413)が、円筒形リフタ(412)がボール(401,402)をシート(403,404)から持ち上げるように、電流の作用による膨張によって円筒形リフタ(412)を押圧できる圧電層の積層体で構成されることを特徴とする、請求項3に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項22】
電気機械式アクチュエータ(413)が、二つの水平壁の間でクリープする「H」字形の圧電モータで構成され、「H」の2本の縦棒が長さを変化させることにより壁の間にモータを挟持するのに対して、「H」の横棒が、やはり長さを変化させることにより、そして「H」の2本の縦棒の長さの変化と同時的に相互作用を行うことにより、モータを移動させ、モータが装着される円筒形リフタ(412)をモータが移動させることを特徴とする、請求項3に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項23】
リフト手段(410)が、円筒形リフタ(412)と、円筒形リフタ(412)を長手方向に平行移動させることのできるピストン主体の油圧アクチュエータとで構成され、ピストン主体の油圧アクチュエータが、ボール(401,402)をシート(403,404)から持ち上げるため、制御ソレノイドバルブにより可変圧縮比エンジンの油圧パワーユニット(200)に生じる圧力を利用できることを特徴とする、請求項1に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項24】
油圧式複動制御アクチュエータ(8)のアクチュエータピストン(13)が、ピストンの最大行程を決定する二つの弾性行程端支承部(130,131)を具備し、第1弾性支承部(131)は、可変圧縮比エンジンのクランクケース(100)と接触した時にエンジンの最大圧縮比の制限を可能にし、第2弾性支承部(130)は、可変圧縮比エンジンの制御アクチュエータ(8)のシリンダヘッド(300)と接触した時にエンジンの最小圧縮比の制限を可能にすることを特徴とする、請求項1に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項25】
制御ラック(7)に装着された油圧式複動制御アクチュエータ(8)のアクチュエータピストン(13)が、二つの弾性行程端支承部(130,131)の一方または他方が、第1支承部(131)としてエンジンのクランクケース(100)と、または第2支承部(130)としてエンジンの制御アクチュエータ(8)のシリンダヘッド(300)と接触する時に、可変圧縮比エンジンの圧縮比を調節できるように、ピストンの位置をラック(7)に対して調節することを可能にする調節ワッシャ(135)を、ピストン(13)の下面と制御ラック(7)の下部アクチュエータロッド(16)との間に具備することを特徴とする、請求項24に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項26】
油圧式複動制御アクチュエータ(8)の下室(122)と上室(121)とを接続するピストン減圧管(133)をアクチュエータピストン(13)が具備し、下室(122)にポケットを形成することのある空気を管が上室(121)へ通過させることを特徴とする、請求項1に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項27】
ピストン減圧管(133)が、油圧式複動制御アクチュエータ(8)の下室(122)と上室(121)との間における油圧流体の流量を制限する圧力損失を発生させるように計算された、アクチュエータピストン(13)とロックスクリュ(132)との間に残された空間で構成されることを特徴とする、請求項26に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項28】
アクチュエータピストン(13)のピストン減圧管(133)が、アクチュエータピストン(13)とロックスクリュ(132)との間に残されたかなりの空間を包含し、空間が、ロックスクリュ(132)とアクチュエータピストン(13)との間に把持された減圧ワッシャ(136)の下面に形成された溝を介して、油圧式複動制御アクチュエータ(8)の下室(122)から上室(121)へ油圧流体を通過させることを特徴とする、請求項26に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項29】
減圧ワッシャ(136)が具備する溝が、かなりの長さを有するように螺旋形であり、螺旋の始端がワッシャの中央孔に通じているのに対して、螺旋の端部がワッシャの周縁部に通じることを特徴とする、請求項28に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項30】
ピストン減圧管(133)が、アクチュエータピストン(13)を制御ラック(7)に装着することを可能にするロックスクリュ(132)の本体に形成または嵌着された減圧毛細管(134)で構成され、毛細管(134)の輪郭と断面積と長さとが、制御アクチュエータ(8)の下室(122)と上室(121)との間における油圧流体の通過を制限する圧力損失を発生させるように計算されることを特徴とする、請求項26に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項31】
上室(121)の最高点に位置する入口を有するとともに可変圧縮比エンジンのいずれかの点に開口する出口を有するアクチュエータ減圧管(137)を油圧式複動制御アクチュエータ(8)が具備し、アクチュエータ減圧管(137)が、減圧ソレノイドバルブ(138)により閉鎖または開放されることを特徴とする、請求項1に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項32】
可変圧縮比エンジンの制御ラック(7)の垂直位置を測定することを可能にする位置センサ(95)を具備することを特徴とする、請求項1に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項33】
可変圧縮比エンジンのピストンラック(3)の通過の瞬間を測定することを可能にする通過検出センサを具備することを特徴とする、請求項1に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項34】
可変圧縮比エンジンの制御アクチュエータ(8)の上室(121)に生じる圧力を測定することを可能にする圧力センサを具備することを特徴とする、請求項1に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項35】
可変圧縮比エンジンが具備する燃焼室に生じる圧力を測定することを可能にする圧力センサを具備することを特徴とする、請求項1に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項36】
可変圧縮比エンジンが具備するクランクシャフト(9)の角度位置を測定することを可能にする角度センサ(93)を具備することを特徴とする、請求項1に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項37】
制御アクチュエータ(8)の上室(121)が補給用逆止バルブ要素(428)を具備し、バルブ要素が、可変圧縮比エンジンの油圧パワーユニット(200)からの圧縮油圧流体を上室(121)へ流入させるが流出はさせないことを特徴とする、請求項1に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項38】
制御アクチュエータ(8)の下室(122)が補給用逆止バルブ要素(429)を具備し、バルブ要素が、可変圧縮比エンジンの油圧パワーユニット(200)からの圧縮油圧流体を下室(122)へ流入させるが流出はさせないことを特徴とする、請求項1に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項39】
移動通路(405)が形成された、可変圧縮比エンジンのクランクケース(100)に嵌着するプレート(460)を具備し、プレートが、ボール(401,402)を持ち上げるための手段(410)と、移動通路(405)とクランクケース(100)に組み込まれた管(406,407)との間にシールを設ける密封手段とを具備することを特徴とする、請求項1に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項40】
第1電磁吸引カップ(432)と第2電磁吸引カップ(433)とが可変圧縮比エンジンのクランクケース(100)に固定装着され、第1吸引カップ(432)が、円筒形リフタ(412)と接触する浮動低リフトアーマチュア(438)を誘引することが可能であるのに対して、第2電磁吸引カップ(433)がリフタに固定された高リフトアーマチュア(434)を誘引することを可能にすることを特徴とする、請求項10に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項41】
低リフト電磁吸引カップ(432)と高リフト電磁吸引カップ(433)とが、カップが収容された円筒形シース(435)によりクランクケース(100)に固定され、シース(435)がクランクケース(100)にねじ止めされることを特徴とする、請求項40に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項42】
浮動低リフトアーマチュア(438)が、リターンスプリング(436)を具備することを特徴とする、請求項40に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項43】
円筒形リフタ(412)に固定された高リフトアーマチュア(434)が、リターンスプリング(437)を具備することを特徴とする、請求項40に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項44】
低リフト電磁吸引カップ(432)が、円筒形リフタ(412)の低リフトの高さを調節することを可能にする調節手段を具備することを特徴とする、請求項40に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項45】
高リフト電磁吸引カップ(433)が、円筒形リフタ(412)の高リフトの高さを調節することを可能にする調節手段を具備することを特徴とする、請求項40に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項46】
電磁吸引カップ(432,433)のいずれにも電流が供給されない時に円筒形リフタ(412)とボール(401,402)との間の距離を調節することを可能にする調節手段を円筒形シース(435)が具備することを特徴とする、請求項41に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項47】
ボール(401,402)の各々について、
シート(602)に当接できるニードル(601)で構成される補助的閉鎖手段(600)であって、ニードル(601)が、油圧式複動制御アクチュエータ(8)の上室(121)と下室(122)とを接続する移動通路(405)に通じる室の一方または他方、つまり上室(121)または下室(122)を始端とする接続通路(604)を閉鎖できる、補助的閉鎖手段と、
油圧流体を両方向に通過させるため、ニードル(601)をシート(602)から引っ張ることを可能にする引張手段(610)と、
を具備することを特徴とする、請求項1に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項48】
通過するオイルの流量を制御することと流量の良好な制御を保証することを可能にする較正孔(603)を接続通路(604)が具備することを特徴とする、請求項47に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項49】
油圧流体を両方向に通過させるため端部の一方がシート(602)から離間するようにニードル(601)を長手方向に平行移動させることを可能にする電気機械式アクチュエータ(613)で引張手段(610)が構成されることを特徴とする、請求項47に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項50】
円筒形本体(650)の内側において、円筒形本体(650)の内側に装着された巻線(615)とケージ(616)とを具備する電磁吸引カップ(614)で電気機械式アクチュエータ(613)が構成され、吸引カップ(614)の巻線(615)が、巻線(615)に電流が流れた時にニードル(601)に固定された金属アーマチュア(617)を誘引することを可能にするとともにニードル(601)を引っ張ることを可能にする磁界を発生させるのに使用されることを特徴とする、請求項50に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項51】
円筒形本体(450)の内側において、ボール(401,402)を単一のリフト高さだけ持ち上げるため巻線(492)に電流が流れた時にリフト用金属リフタアーマチュア(493)を誘引して円筒形リフタ(412)を押圧することを可能にする磁界を発生させる巻線(492)を具備する電磁吸引カップ(490)で電気機械式アクチュエータ(413)が構成されることを特徴とする、請求項3に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。
【請求項52】
可変圧縮比エンジンの油圧パワーユニット(200)に生じる圧力が油圧アクチュエータによりボール(401,402)を持ち上げるかニードル(601)を引っ張るのに使用されるように、ボール(401,402)またはニードル(601)を持ち上げるか引っ張るための電気機械的手段に段が形成されることを特徴とする、請求項1に記載の可変圧縮比エンジンのための圧縮比を調節するためのボールリフト装置。




【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公表番号】特表2011−525956(P2011−525956A)
【公表日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515528(P2011−515528)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【国際出願番号】PCT/FR2009/000795
【国際公開番号】WO2010/004123
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(501211925)
【氏名又は名称原語表記】RABHI Vianney
【Fターム(参考)】