説明

可溶性結合剤を含む結腸下剤組成物

本発明は、固体剤形の新規の結腸下剤組成物に関しており、この下剤組成物は、少なくとも1つの下剤および少なくとも1つの可溶性または可溶性の非発酵性の結合剤、例えば、ポリエチレングリコールを含む。さらに、本発明は、この結腸の下剤組成物を用いる方法に関する。本発明の組成物および方法は、患者の耐容性およびコンプライアンスを改善しながら、同時に腸洗浄の質を改善することを意図している。本発明の処方物および方法は診断および外科的手順の前に腸を洗浄するために特に有用であり、そしてまた排出を促進するため、および/または便秘を軽減するために緩下薬として低用量で使用されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年11月19日に出願された米国仮特許出願第60/523,142号に対する優先権の利益を主張する。米国仮特許出願第60/523,142号は、本明細書中にその全体が参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、固体剤形での結腸下剤処方物およびそれらの使用に関している。本発明の特定の実施形態では、この処方物は、少なくとも1つの下剤および少なくとも1つの可溶性結合剤を含み、これが結腸の可視化および患者の耐容性を有意に改善する。本発明の他の実施形態では、この処方物は不溶性の結合剤を含まないか、または結腸の可視化を邪魔しないレベルの不溶性の結合剤のみを含む。この結合剤は、本発明の特定の実施形態において非発酵性であり得る。
【背景技術】
【0003】
結腸を十分に洗浄するが、有害な副作用を生じない化合物を同定することが所望される。便秘を処置して糞便排泄を促進するために用いられるが、例えば、ガスのような不快なまたは迷惑な副作用を生じない化合物を同定することも所望される。さらに、腸の糞便の砕片を完全に洗浄することは、種々の診断および外科の手順の前に必要な条件である。洗浄は例えば、結腸鏡検査の間の結腸の全体的なまたは微視的な外観を十分に見るために重要である。しかし、洗浄手順はまた、それらが洗浄プロセスと完全に適合するように、患者に耐容可能でもなければならない。患者のコンプライアンスの欠如または不十分な洗浄に起因する不十分な腸の準備は、特にこれらの手順が繰り返さなければならない場合、それらの手順の能率および費用に影響を与える(非特許文献1)。さらに、患者は、不快な診断手順を受けることは選ばないであろうし、これは障害の早期の検出を有意に減少して、医学的な費用を増大する(非特許文献2)。
【0004】
結腸洗浄は通常、ポリエチレングリコール−電解質溶液での洗浄液を用いて達成される。この方法の主な不利な点は、瀉下のために短時間内にかなりの量の液体容積を取り込むことが患者に必要であるということである。例えば、患者は2〜3時間の期間内に4リットルの溶液を取り込まなければならないかもしれない(非特許文献3)。多数の患者が有意な容積関連の不快感および有害な副作用、例えば、悪心、筋けいれんおよび嘔吐を経験する(非特許文献4)。これらの調製物の別の欠点は、その塩味であり、これがまた患者のノンコンプライアンスおよび有害な影響をもたらし得る。例えば、風味付けまたは塩含量の減少によって、味をさらに口当たりよくさせる試みが行なわれている。しかし、これらの変化は、患者に対してさらに受け入れ可能なレジメンとはならず、結腸洗浄の質の改善もなかった(非特許文献5)。このような調製物が患者を結腸癌スクリーニングから遠ざける(非特許文献6)。
【0005】
高容積タイプの調製物に関連する問題を回避する試みでは、リン酸塩からなる小容積の水性調製物が市販されている。リン酸塩溶液は、浸透圧効果を生じ、これによって大量の水が腸に引き込まれて、これによって腸の排出が促進される。容積が少ないほどこれらのリン酸ナトリウム調製物にわずかに有利に働くが、有害な副作用、例えば、悪心、嘔吐(主に不快な味の結果)、腹部膨満、疼痛および眩暈は、ポリエチレングリコール−電解質洗浄液に比較して同様の頻度であった(非特許文献7)。
【0006】
準備コンプライアンスを向上し、容積の不快感を減少して、患者の耐容性を増大するためにリン酸塩を含む経口錠剤が処方されている(特許文献1および特許文献2を参照のこと)。経口錠剤処方物は胃腸の有害な事象、例えば、悪心、嘔吐および膨満の頻度を有意に減少した(非特許文献8)。さらに、これらの錠剤処方物は患者に有意に良好に受容され、かつ好ましい。しかし、出願人らは、これらの処方物について、結腸における、特に盲腸および上行結腸における、視認可能な微結晶性セルロース(MCC)の存在により(図1)、医師によるその許容度が制限されるということを発見した。セルロースの精製型であるMCCは、錠剤処方物における結合剤として用いられ、そして消化液中では可溶性ではない。保持されたMCCは、吸引または洗浄によって除去され得、その結果結腸は、十分に可視化され得る。しかし、これらのプロセスは、結腸鏡検査手順の時間を延長し得(非特許文献8;非特許文献9)、それによって患者が麻酔下にある時間が長くなり、医師の生産性が低下する(非特許文献1)。しかし、これらの錠剤はまた、大きくて、嚥下するにはいくらか困難であった。
【0007】
従って、患者によって耐容され得る一方で結腸の質の調製も得られる結腸下剤組成物が必要である。さらに、この組成物によって、さらなる除去工程の必要性なしに、結腸および構造の十分な可視化が得られることが所望される。
【0008】
容易に生成可能であり、そして投与される用量に依存して、完全な下剤として、または軽い瀉下のための緩下薬として用いられ得る調製物を同定することも所望される。このような二重の機能の組成物は極めて有益である。
【特許文献1】米国特許第5,616,346号明細書
【特許文献2】米国特許第6,162,464号明細書
【非特許文献1】Rexら、Am.J.Gastroenterol.、2002年、97:p.1696−1700
【非特許文献2】Harewoodら、Am.J.Gastroenterol.、2002年、97:p.3186−3194
【非特許文献3】Afridiら、Gastrointest.Endosc.、1995年、41:p.485−489
【非特許文献4】Dipalmaら、Am.J.Gastroenterol.、2003年、98:p.2187−2191
【非特許文献5】Church、Dis.Colon Rectum、1998年、41:p.1223−1225
【非特許文献6】Harewoodら、Am.J.Gastroenterol.、2002年、97:p.3186−3194
【非特許文献7】Koltsら、Am.J.Gastroenterol.、1993年、88:1218−1223
【非特許文献8】Rexら、Aliment Pharmacol.Ther.、2002年、16:p.937−944
【非特許文献9】Balabanら、Am.J.Gastroenterol.、2003年、98:p.827−832
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、固体剤形の結腸下剤処方物およびその使用の方法に関する。本発明の1実施形態では、固体剤形の結腸下剤処方物は、少なくとも1つの可溶性の結合剤および少なくとも1つの下剤を含む。本発明の1実施形態では、この結合剤は非発酵性である。本発明の他の実施形態では、この処方物は、不溶性の結合剤を含まないかまたは、結腸の可視化を妨げないレベルの不溶性の結合剤のみを含む。
【0010】
少なくとも1つの下剤は、浸透圧性、非浸透圧性またはバルク形成下剤であり得る。本発明の1実施形態では、この少なくとも1つの下剤は、リン酸ナトリウム、リン酸マグネシウムまたはそれらの塩から選択された浸透圧性の下剤である。リン酸ナトリウム塩は、例えば、一塩基性リン酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、または三塩基性リン酸ナトリウムであってもよい。本発明のさらなる実施形態では、この少なくとも1つの下剤は、例えば、ビサコジル、またはピコスルファートから選択される非浸透圧性下剤である。
【0011】
本発明のさらなる実施形態では、この結腸下剤処方物は、少なくとも1つの非浸透圧性下剤および少なくとも1つの浸透圧性下剤を含む。
【0012】
本発明の1実施形態では、この固体剤形は、可溶性の非発酵性結合剤としてポリエチエングリコールを含む。
【0013】
本発明の処方物はまた、この剤形の特徴を改善するために任意の選択要素を含んでもよい。本発明の1実施形態では、この処方物は、製造プロセスを改善するために、潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムを含む。
【0014】
本発明の処方物は、二重機能の組成物である。従って、本発明は、本発明の結腸下剤組成物の低い用量を緩下剤として提供することによって、胃腸の障害、例えば、便秘を処置する方法を包含する。本発明はまた、完全な下剤として、より高用量の本発明の組成物を提供することによって、結腸内視鏡または外科的手順のために結腸を準備するための完全な瀉下の方法を包含する。さらに、本発明は、本発明の結腸下剤組成物を提供することによって腸からの糞便の排出を維持するかまたは排出を促進する方法を包含する。
【0015】
本発明のさらなる目的および利点は、以下の詳細な説明に部分的に説明されており、そして一部はその説明から明白であるか、または本発明の実施によって学ばれ得る。本発明の目的および利点は、添付の特許請求の範囲に特に挙げられる要素および組み合わせによって実現および獲得される。
【0016】
前述の一般的説明および以下の詳細な説明は、例示かつ説明のみであり、そして特許請求される本発明を限定するものではないことが理解されるべきである。
【0017】
添付の図面は、この説明と一緒に本明細書に組み入れられ、そして本明細書の一部を構成しており、本発明の原理を説明することを補助する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(発明の詳細な説明)
(A.定義)
本発明をさらに容易に理解するために、特定の用語を最初に規定する。さらなる定義は詳細な説明全体を通じて示される。
【0019】
「下剤(purgative)」という用語は、排便を促進する任意の物質をいう。従って、下剤という用語は、ある範囲の瀉下効果を包含する。例えば、下剤という用語は、軽度の瀉下、緩下の発生(「部分的瀉下(partial purgation)」、ならびに完全またはほぼ完全に大腸を空にする強力な瀉下(「完全瀉下(complete purgation)」)を包含する。本発明の1実施形態では、この用語は下痢をいう。本発明の別の実施形態では、この用語は、糞便の軟化または弛緩または緩下(laxation)をいう。「部分的(partial)」または「完全な(complete)」によって修飾されない限り、下剤(purgative)または瀉下(purgation)とは、完全な範囲の瀉下プロセスを包含し、これには完全な瀉下および緩下(「部分的瀉下(partial purgation)」)の両方を包含する。
【0020】
「浸透圧性(osmotic)」という用語は、2つの溶液が溶質分子の通過を選択的に妨げるが溶媒に対して透過性である膜によって隔てられる場合、少ない溶質濃度の溶液から大きい溶質濃度の方への溶媒の通過を促進する任意の物体をいう。本発明においては、この「浸透圧性」という用語は、物質が水を腸へ汲み出す能力を指してもよい。
【0021】
「発酵性(fermentable)」という用語は、通常は細菌および/または酵母によって、より簡単な化合物に嫌気的に異化され得る任意の物質をいう。多くのタイプの発酵があり、これは形成される廃棄物および発酵性の物質が異なる。発酵性物質としては、限定はしないが、糖、糖アルコール、多糖類、ラクトース、ソルビトールおよびマンニトールが挙げられる。発酵性物質は、発酵の際に爆発性のガスを放出する。例えば、マンニトール化合物は、代表的にはほとんどのヒトおよび他の哺乳動物の結腸に存在する細菌によって発酵され得、この間水素ガスが放出される。「非発酵性(nonfermentable)」という用語は、発酵性でない物質をいう。
【0022】
「可溶性(soluble)」または「水溶性(water soluble)」という用語は、1/10,000(mg/ml)より高い水溶性をいう。物質または溶質の溶解度とは、水のような溶媒の特定の量に完全に溶解し得るその物質の最大量である。他方では、「実際上不溶性(practically insoluble)」または「不溶性(insoluble)」とは、1/10,000(mg/ml)以下の水溶性をいう。水溶性または可溶性の物質としては、例えば、ポリエチレングリコールが挙げられる。
【0023】
「結合剤(binder)」という用語は、分子間の物理化学的引力を発揮し、従ってある剤形の処方物において用いられ得る任意の物質をいう。本発明の1実施形態では、この結合剤は、剤形全体にわたって均一に分布されるように、この組成物の他の成分と混合されてもよい。この結合剤はまた、任意のさらなる成分が結合し得るマトリックスを提供し得る。本発明の1実施形態では、この結合剤は、可溶性であり非発酵性である。本発明における使用に適切な可溶性および非発酵性の結合剤としては、限定はしないが、ポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。
【0024】
本明細書において用いる場合、「塩(salt)」または「薬学的に受容可能な塩(phrmaceutically acceptable salt)」という用語は、無機の酸および/または有機の酸で形成された酸性の塩、ならびに無機の塩基および/または有機の塩基で形成された塩基性の塩をいう。これらの酸および塩基の例は、当業者に周知である。本発明による塩は、種々の形態で、例えば、無水または水和した結晶性形態で用いられ得る。この塩はまた、患者によって生理学的に耐容される塩である。
【0025】
(B.本発明の説明)
固体投薬処方物において用いられる多くの結合剤は不溶性である。出願人らは、不溶性の結合剤、例えば微結晶性セルロース(MCC)が結腸に保持されて、結腸の可視化を妨げて、結腸内視鏡手順の時間を長くさせるということを発見した(図1)。しかし、糖、糖アルコール、およびポリサッカライドを含む、通常用いられる可溶性結合剤は、腸管内菌叢によって発酵され得る。発酵過程の間の爆発性ガスの形成は、結腸に関与する特定の手術および診断手順の間、例えば火花を発生し得る装置を用いる結腸内視鏡検査の間の所望されない特性である。いくつかの証明された例では、結腸の電気外科の間のこれらのガスの存在は、爆発を生じている(DeWiltら(1996)J.R.Coll.Surg.Edinb.41:419)。緩下薬の使用の間に生じるガスはまた、不快であり、かつ当惑するものであり得る。本発明の1実施形態では、結腸内視鏡のための結腸の準備などのために、固体剤形の結腸下剤処方物は、少なくとも1つの可溶性の非発酵性の結合剤および少なくとも1つの下剤を含む。別の実施形態では、結腸において火花を生じ得ない診断手順のための結腸の準備、例えば、X線画像化、仮想結腸内視鏡検査(ヘリカル(helical)CT)およびカプセル内視鏡のためなどに、任意の可溶性結合剤をこの組成物中で用い得る。これらの場合に、結合剤または他の構成要素は非発酵性である必要はない。しかし、可溶性の非発酵性結合剤は、火花を生じ得ない手順のために結腸を調製するように組成物に用いられ得る。
【0026】
(1.結合剤および下剤)
可溶性または可溶性でかつ非発酵性である任意の結合剤が、本発明において用いられ得る。しかし、発酵性である結合剤は、任意の他の発酵性成分と同様に、火花が結腸で生じない実施形態でのみ用いられるべきである。本発明の処方物において用いられ得る可溶性の非発酵性の結合剤としては、限定はしないが、ポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。出願人らは、可溶性の非発酵性の結合剤PEGを含有する下剤組成物が腸の準備のための使用後に残滓をほとんどまたは全く残さず、そのため結腸の可視化を向上させるということを発見した(図2)。PEGは、構造式:HOCH(CHOCHCHOHによって示され、ここでmは、オキシエチレン基の平均数である。
【0027】
任意のPEGポリマーが、本明細書で意図される組成物において使用され得る。1実施形態では、PEGポリマーは、室温(すなわち25℃)で固体であるか、および/または室温で水溶性(または水と混和性)である。本発明の1実施形態では、PEGポリマーの平均分子量は、少なくとも200、少なくとも400、少なくとも600、少なくとも1,000、少なくとも1540、少なくとも3000、少なくとも4,000または少なくとも8,000である。本発明の1実施形態では、PEGポリマーの平均分子量は、7,000〜9,000である。
【0028】
可溶性および/または非発酵性の結合剤の量は、固体剤形の所望の特徴に依存して変化し得、そして当業者によって決定され得る。本発明の1実施形態では、PEG結合剤は、5〜20重量%、別の実施形態では7.5〜15重量%、そしてさらなる実施形態では10重量%を含む。
【0029】
本発明の1実施形態では、本発明の組成物は、不溶性結合剤を含まないか、または結腸の可視化を妨害しないレベルの不溶性結合剤しか含まない。
【0030】
種々の下剤が市販されており、そして任意の利用可能な形態のこの物質が本発明の実施において用いられ得る。本発明において用いられ得る下剤としては、限定はしないが、非浸透圧性、浸透圧性およびバルク形成性の下剤が挙げられる。本発明は、1つの下剤を含んでも、同じカテゴリーの2つ以上の下剤を含んでもよく、または異なるカテゴリー由来の2つ以上の下剤が用いられてもよい。多くの下剤は、2つ以上の役割または機能を有してもよく、または2つ以上の群に分類されてもよい。このような分類は、説明のみであり、特定の下剤の使用に限定することは意図していない。
【0031】
本発明の1実施形態では、少なくとも1つの浸透圧性下剤が本発明の処方物中で用いられる。浸透圧性下剤は、腸の浸透圧を増大し、それによって腸内の液体の保持を促進することによって作用する。この組成物中に含まれ得る浸透圧性下剤としては、塩、例えば、クエン酸マグネシウム、塩化マグネシウム、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酒石酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、酒石酸カリウム、酸化マグネシウム、硫酸ナトリウム、またはそれらの塩が挙げられる。浸透圧性下剤の他の例としては、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、アルコール糖、L−糖、ポリエチレングリコール、およびラクツロースが挙げられる。しかし、発酵性である下剤は、火花が結腸で生じない実施形態でのみ用いられるべきである。
【0032】
本発明の1実施形態では、この少なくとも1つの下剤はリン酸ナトリウムまたはその塩である。本発明のさらなる実施形態では、この少なくとも1つの下剤は、一塩基性リン酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、または三塩基性リン酸ナトリウムである。
【0033】
本発明に従う塩は、種々の形態で、例えば、無水物または水和物の形態で用いられ得る。塩の形態での変化は、その分子量を増大または減少させ得ることも考えられる。分子量における任意の変化を行なうために、下剤処方物の成分および/または下剤塩の量は、当業者の知識に従って調節され得る。本発明の1実施形態では、一塩基性リン酸ナトリウムが一水和物型で用いられる。本発明の別の実施形態では、二塩基性リン酸ナトリウムは、無水物型で用いられる。
【0034】
本発明の1実施形態では、本発明の処方物は、少なくとも1つの非浸透圧性下剤を含む。非浸透圧性下剤としては、胃腸管の運動を刺激する運動促進性緩下薬、および結腸粘膜における神経末端を直接刺激することによって作用する刺激性緩下薬が挙げられる。便軟化剤および粘膜保護剤も本発明において用いられ得る。本発明において用いられ得る非浸透圧性下剤の例としては、限定はしないが、鉱油、アロエ、ビサコジル、ピコスルファートナトリウム、カサンスラノール、カスカラ、ヒマシ油(castor oil)、ダントロン、デヒドロコール酸、フェノールフタレイン、センノシド、ドキュセート、ベタネコール、コルヒチン、ミソプロストール、シサプリド、ノルシサプリド、パラフィン、レインおよびテガセロドが挙げられる。
【0035】
本発明の1実施形態では、結腸下剤組成物は、少なくとも1つの浸透圧性下剤および少なくとも1つの非浸透圧性下剤を含む。
【0036】
少なくとも1つの浸透圧性下剤および/または少なくとも1つの非浸透圧性下剤に加えて、本発明の結腸下剤処方物はまた、少なくとも1つのバルク形成下剤を含んでもよい。バルク形成下剤は、液体の保持および糞便量の増大を生じ、その結果、蠕動運動の刺激を生じる。バルク形成緩下薬としては、種々天然および半合成の多糖類、セルロース誘導体、または、水中で溶解するかもしくは膨張して、糞便をやわらかくかつ水和して維持するように働く軟化ゲルもしくは粘性の溶液を形成する他の物質が挙げられ得る。本発明において用いられ得るバルク形成下剤の例としては、限定はしないが、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ぬか(bran)、オオバコ、ステルクリア(sterculia)およびイスパキュラ種皮が挙げられる。
【0037】
(2.さらなる必要に応じた成分)
さらなる必要に応じた成分が、例えば、固体剤形の特徴を増強するため、処方プロセスの間の活性成分の粒子の完全性を維持するため、および/または処方物の安全性を増強するために本発明の処方物に含まれてもよい。任意のさらなる成分は、本発明の処方物中で他の成分と、特に活性成分と適合され得、そしてこの処方物の浸透圧に有害には影響し得ない。本発明の処方物において用いられ得るさらなる任意の成分としては、例えば、コーティング、希釈剤、結合剤、流動促進剤、潤滑剤、色、崩壊剤、香料、甘味料、ポリマーまたはワックスが挙げられる。
【0038】
例えば、潤滑剤が、本発明の処方物に含まれてもよい。このような潤滑剤としては、限定はしないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カリウム、滑石、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウムおよびパラフィンが挙げられる。本発明の1実施形態では、結腸下剤処方物はさらに、ステアリン酸マグネシウムを含む。潤滑剤は、固体剤形の製造を促進するように働く。
【0039】
さらなる適切な成分としてはまた、限定はしないが、キャリア、例えば、クエン酸ナトリウムおよびリン酸二カルシウム;充填剤または増量剤、例えば、ステアリン酸塩、シリカ、石膏、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、滑石およびケイ酸;結合剤、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよびアカシア;保湿剤、例えば、グリセロール;崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモおよびタピオカのデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、コロイド性二酸化ケイ素、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドンおよび炭酸ナトリウム;溶液凝結遅延剤、例えば、パラフィン;吸収促進物質、例えば、四級アンモニウム化合物;保湿剤、例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール;吸収剤、例えば、カオリンおよびベントナイト粘土;安定化剤、例えば、フマル酸;着色剤;緩衝化剤;分散剤;防腐剤;有機酸;および有機塩基が挙げられる。
【0040】
本発明の1実施形態では、本発明の処方物におけるさらなる成分は、患者における電解質バランスを維持するように機能し得る。例えば、本発明の処方物は、下痢の液体中に通常失われ得るカルシウム、リン酸塩、カリウム、マグネシウム、他の陰イオンまたはそれらの塩をさらに含んでもよい。
【0041】
酸性または塩基性の化合物がまた必要に応じて、この化合物のpHを調節するために、または崩壊の特徴を変更するために、この組成物に添加されてもよい。本発明の処方物に含まれ得る酸性または塩基性の化合物としては、限定はしないが、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、炭酸マグネシウムおよび水酸化アルミニウムが挙げられる。
【0042】
前述の成分は、例としてのみ示されるものであり、全ての可能性のある選択肢を含むということは意味しない。さらに、多くは、2つ以上の役割または機能を有し得るか、または2つ以上の群に分類され得る。このような分類は、単に記述的であり、特定の成分の任意の用途を限定するものではない。
【0043】
固体投薬処方物を最適化するために、本発明の結腸下剤処方物の成分および量は、当業者の知識に従って調整され得る。結腸下剤処方物の例についてのサンプル成分の範囲は表1に示す。この成分の全てが必要なのではないが、例示のためにのみ示している。例えば、2つの別個の下剤を有することが必須ではなく、またステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤を有することも必須ではないかもしれない。
【0044】
【表1】

(3.投与および投薬)
本発明はまた、結腸下剤処方物を用いる方法を包含する。本発明の結腸下剤処方物は、投与される用量に依存して、広範な活性を生じる。本発明は、結腸を瀉下する方法を包含し、この方法は、少なくとも1例の患者に結腸下剤処方物を投与する工程と、この処方物に結腸を瀉下させる工程とを包含する。本発明の処方物はまた、便を調節、軟化または緩くさせるために低用量で用いられ得る。
【0045】
従って、本発明はまた、腸の糞便の排出を維持するかまたは排出を増大する方法を包含し、この方法は、少なくとも1例の患者に対して、結腸下剤処方物を投与する工程、および腸内の糞便の排出を促進する工程を包含する。本発明の結腸下剤処方物はまた、便秘の患者を処置するために用いられ得る。便秘は、限定はしないが、旅行;日課の変更;運動の欠如;傷害、病気または加齢によって生じる不動性;脱水;過敏性腸症候群;妊娠;糖尿病;甲状腺機能低下症;高カルシウム血症;結腸または直腸の癌;子宮脱;膣円蓋脱;直腸脱;手術による瘢痕;結腸または直腸の損傷;パーキンソン病;多発性硬化症;脳卒中;痔核または裂肛;便通遅延;不安;抑うつ;摂食障害;および強迫性障害のうちの少なくとも1つを含む種々の要因によって生じ得る。便秘はまた、特発性、すなわち、原因未知でもあり得る。
【0046】
本発明の別の実施形態では、本発明の組成物は、便秘を生じる医薬の投与に起因する便秘に罹患しているか、または便秘にかかり易い患者を処置するために用いられる。便秘を生じ得る医薬としては、限定はしないが、アルミニウムを含む制酸剤;抗うつ薬;血圧医薬;カルシウムチャネル遮断薬;カルシウム補助剤;化学療法医薬;風邪薬;抗ヒスタミン剤;利尿薬;鉄補助剤;パーキンソン病薬;高脂血症治療薬;鎮痛剤;オピエート;コデイン;および精神安定剤が挙げられる。
【0047】
当業者は、適切な投薬量の結腸下剤組成物が、処置されている個体および目的に依存して変化し得ることを理解する。例えば、個体患者の年齢、体重および医学的既往歴は、治療の治療効率に影響し得る。さらに、軽い瀉下を生じるのに必要なこの組成物の用量は低いかもしれないが、完全な瀉下には高用量が必要であり得る。適格な医師はこれらの要因を考慮して、過度の実験なしに所望の治療転帰を達成する用量を確実にするために投与レジメンを調節することができる。臨床家および/または処置医師は、個々の患者の応答と連動してどのようにそして何時、治療を中断、調節および/または停止するかを承知していることが知られている。投薬はまた、処方について選択される特定の下剤(単数または複数)の強度に依存する。
【0048】
本発明の1実施形態では、総投薬量が少なくとも1つの適用期間に投与される。本発明のさらなる実施形態では、総投薬量は、2つ以上の別の適用期間で、または別の用量で投与される。
【0049】
結腸下剤処方物の用量は、変化し得る。例えば、軽い瀉下を生じるのに必要であり得る本発明の結腸下剤処方物の用量は低いかもしれないが、完全な瀉下には高用量が必要であり得る。例えば、軽い瀉下のために用いられる一日の総用量は、1g〜30gの下剤におよんでもよい。例えば、一般には、本発明の処方物中の下剤、例えば、リン酸ナトリウムの総一日用量は、1〜30g、2〜25g、3〜20g、4〜18g、5〜16g、6〜14gまたは8〜12gの範囲である。総一日用量は、リン酸ナトリウムのような下剤の1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28または30gを含むように処方され得る。所望の治療効果を生じるために、結腸下剤処方物のさらなる用量が必要であるかもしれない。本発明の1実施形態では、1日総用量は、所望の治療効果が達成されるまで24時間ごとに投与される。
【0050】
結腸の完全な瀉下を生じるのに必要であり得る本発明の結腸下剤処方物の用量は、より高い。例えば、完全な瀉下のために用いられる総用量は、必要に応じて、最大24時間までの期間にわたって提供される、20g〜100gの下剤におよび得る。例えば、一般には、本発明の処方物中の下剤、例えば、リン酸ナトリウムの総一日用量は、20〜100g、30〜90g、40〜80g、または50〜70gの範囲であり得る。用量は、リン酸ナトリウムのような下剤の20、30、40、50、60、70、80、90または100gを含むように処方され得る。
【0051】
必要に応じて、緩下および完全瀉下の両方の実施形態では、総1日用量は、分割された用量に分けられてもよい。本発明の1実施形態では、総1日用量は、2つの用量に分けられ、最大24時間の期間まで分けられる。例えば、リン酸ナトリウムのような下剤の60gの総1日用量は、各々30gの2つの用量に分けられ得る。1用量30gが結腸の処置の前夜に投与され得るが、30gの2回目の用量が朝に、結腸の処置の3〜5時間前に投与されてもよい。本発明の別の実施形態では、総1日用量は、3、4またはそれ以上の用量に分けられる。
【0052】
本発明の1実施形態では、リン酸ナトリウムおよびビサコジルを含む、組成物、例えば結腸下剤組成物への1つ以上の下剤の添加によって、各々の用量の活性成分の量、用量の数、投与時間、および/または1用量中で投与される錠剤の数が少なくなり得る。
【0053】
本発明の1実施形態では、結腸下剤処方物は、容易に投与される固体剤形である。固体剤形としては、例えば、錠剤、カプセル、またはカプレット(カプセル型錠剤)が挙げられる。この剤形は、コーティングされてもよいし、またはカプセル化されてもよい。本発明の1実施形態では、結腸下剤処方物は、錠剤の形態である。1用量で投与される錠剤の数は、所望の効果に依存して、そして各々の剤形における活性成分の量に依存して変化し得る。清澄な液体が各々の用量とともにとられてもよい。
【0054】
本発明の結腸下剤組成物は、キットの一部であり得る。本発明の1実施形態では、このキットはさらに組成物の投与を補助するための物質、例えば、カップを備える。本発明の別の実施形態では、このキットはさらに、緩下または完全な瀉下を補助する組成物を備える。本発明の結腸下剤組成物とともにキットに含まれてもよいさらなる組成物としては、限定はしないが、少なくとも1つの非浸透圧性下剤、浸透圧性下剤、および/またはバルク形成緩下薬が挙げられる。本発明の1実施形態では、このキットは、本発明の結腸下剤組成物およびビサコジルを含む組成物を含む。
【0055】
本発明の結腸下剤組成物は、種々の経路によって投与され得る。本発明の1実施形態では、この下剤組成物は、経口的に投与される。本発明のさらなる実施形態では、この下剤組成物は、チューブ、例えば、栄養管または経鼻胃管を通じて投与される。
【0056】
本発明の結腸下剤処方物は、種々の方法で製造され得る。本発明の1実施形態では、この処方物は、直接圧縮または熱溶解プロセスを用いて生成され得る。本発明のさらなる実施形態では、結腸下剤処方物を生成するプロセスは、成分を混合する工程と、この混合物をポリエチレングリコールの融点まで温める工程と、この混合物を錠剤に圧縮する工程とを包含する。例えば、熱溶解プロセスでは、成分は、ジャケット付き混合ボールを装備した高剪断ミキサー中で混合され得る。この混合物は、混合中にPEGの融点まで温められてもよく、終点に達したときは冷却される。この混合物は、一晩冷却されて、粉に挽かれ、潤滑にされて、錠剤に圧縮され得る。当業者は、剤形を最適化するために、または大規模な製造のために生成量を増大するために、製造プロセスを変更する方法を認識する。
【実施例】
【0057】
(C.実施例)
以下の実施例は、例示の目的でのみ提供される。
【0058】
(実施例1:不溶性結合剤を含有する結腸下剤処方物の調製および使用)
表2に示される成分を含む、2つの結腸下剤処方物を、粉砕および混合、その後の直接圧縮によって生成した。
【0059】
【表2】

各々のDiacol(登録商標)錠剤(InKine PharmaceuticalCompany,Blue Bell,PA)の標的重量は2000.0mgであって、これは製造プロセスによって一貫して達成された。各々のVisicol(登録商標)錠剤(InKine Pharmaceutical Company,Blue Bell,PA)の標的重量は1764.8.0mgであって、これは製造プロセスによって一貫して達成された。両方の処方物の物理的な試験によって、この錠剤は、適切な強度、硬度および崩壊時間を示したことが明らかになった。
【0060】
Visicol(登録商標)錠剤は、2つの20の錠剤の用量でヒトに投与された。結腸内視鏡検査手順の前夜に1用量を投与して、第二の用量をその手順の3〜5時間前に朝に投与した。結腸内視鏡検査によって、患者の結腸における結合剤MCCの存在が明らかになった。図1に示されるとおり、MCCは、腸の準備のための使用後に、結腸の可視化に有意に妨げる、結腸における白色粉末物質を残す。
【0061】
(実施例2:可溶性の非発酵性結合剤を含む結腸下剤処方物の調製)
表3に示される成分を含む結腸下剤処方物は、高剪断造粒(high−shear granulation)を介した熱溶解プロセスを用いて、その後の製粉、潤滑および圧縮によって生成した。
【0062】
【表3】

詳細には、一塩基性リン酸ナトリウム一水和物(295.9kg)を、10メッシュのステンレス鋼スクリーンを装備したふるいを通過させた。リン酸二水素ナトリウム無水物(106.9kg)およびポリエチレングリコール8000(45.0kg)を各々、20メッシュのステンレス鋼スクリーンを装備したふるいを通過させた。このふるい分けした一塩基性リン酸ナトリウム一水和物、二塩基性リン酸ナトリウム無水物およびポリエチレングリコール8000を250Lのビンに充填して、ビンのブレンダー中において12rpmで23分±60秒間混和させた。次いで、この混和された混合物を適切な二重ポリライニング(poly−lined)容器中に移して、ステンレス鋼のスクリーンを装備したコーンミルを通して、1400〜1500rpmのインペラの速度で粉砕した。次いで、この粉砕された混合物をビンのブレンダーに戻して、さらに45分±60秒間、12rpmで混合した。
【0063】
混合が終了した後、この物質を二重ポリライニング容器に放出して、3つの区分に分けた。ミキサーでの下部のジャケット温度を59℃に設定し、上部のジャケットを作動させ、加熱水をこのジャケット混合ボールを通して循環させ始めた。下部ジャケット温度が59℃〜60℃に達したとき、混合された物質の第一の部分をミキサーの混合ボールにロードして、インペラの速度を30rpmに設定した(作動していない造粒機で)。次いで、下部のジャケット温度を66℃に、インペラ速度を50rpmに設定した。生成物の温度が40℃〜41℃に達したとき、インペラ速度は100rmに上昇した。生成物の温度が52℃に達したとき、造粒機をスピード1(スロー)に設定し、下部ジャケット温度を58℃に設定した。生成物の温度が54℃〜55℃に達したとき、造粒プロセスを停止した。下部ジャケット温度は、20℃に低下し、上部ジャケットを止めて、インペラの速度は10rpmまで低下させた。この混合物を生成物の温度が52℃になるまで冷却した。次いでこの顆粒を二重ポリライニング容器に放出して、閉じた容器中において室温で一晩保管した。上記に詳細なプロセスを、分けたセクション2つおよび3つの混合した物質について繰り返した。
【0064】
翌日、顆粒の温度をチエックして、それが30℃未満であることを確認した。次いで、この顆粒を、ステンレス鋼のスクリーンを装備したコーンミルを通して、1400〜1500rpmのインペラの速度で粉砕した。この粉砕された顆粒を1200Lのビンに充填して、ビンのブレンダー中で23分±30秒間、12rpmで混合した。ステアリン酸マグネシウム(2.26kg)を、30メッシュのステンレス鋼ハンドスクリーンを通過させ、次いで1200Lのビン中の、この粉砕した顆粒に添加した。ステアリン酸マグネシウムを、この粉砕した顆粒とともに、ビンのブレンダー中で10分±30秒間、12rpmで混合した。次いで、この混合した混合物を、錠剤プレスを用いて錠剤に圧縮して、錠剤除じん機(deduster)を用いて除じんした。
【0065】
各々の錠剤の標的重量は1676.0mgであって、これは、製造プロセスによって一定に達成された。錠剤の物理的試験によって、錠剤処方は、適切な強度、硬度および崩壊時間を示したことが明らかになった。驚くべきことに、INKP−102錠剤は、同じ量の活性成分(1102mgの一塩基性リン酸ナトリウム一水和物および398mgの二塩基性リン酸ナトリウム無水物)を3つの組成物の各々において用いた場合でさえ(表4)、先行技術の組成物、Diacol(登録商標)およびVisicol(登録商標)よりも小さい錠剤として首尾よく処方され得る。この驚くべき結果は、極めて有益である。なぜなら改善された処方物は患者にとってより耐容性であり、それによって活性成分をさらに容易に投与することが可能になるからである。さらに、INKP−102錠剤の崩壊時間は減少し、その結果、結腸下剤組成物に対するさらに急速の応答が生じる。さらに、この崩壊時間の減少は、単なる錠剤のサイズの減少によっては説明できない。なぜなら錠剤のサイズに比較して崩壊時間には急激な減少があるからである。このさらに急速な応答は、患者が本発明の組成物を、便秘を処置するために投与されようと、結腸を完全に瀉下させるために投与されようと、特に有益である。
【0066】
【表4】

(実施例3:可溶性の非発酵性結合剤を含む結腸下剤処方物の調製)
表5に示される成分を含む、結腸下剤処方物は、高剪断造粒を介した熱溶解プロセスを用いて、その後の製粉、潤滑および圧縮によって生成する。
【0067】
【表5】

錠剤処方物の物理的試験は、重量の変化、強度、硬度および崩壊時間を含む。上記のパラメーターによって処方された錠剤は適切な物理的特性を有すると期待される。
【0068】
(実施例4:結腸を瀉下するための結腸下剤組成物)
結腸に関与する外科的または診断的手順を受けている患者は、実施例2または3に記載される組成物のような、40個の錠剤の結腸下剤組成物を投与される。外科的または診断的手順の前夜、全部で20の錠剤について15分間ごとに少なくとも8オンスの清澄な液体とともに3つの錠剤をとる(最終用量は2錠剤である)。必要に応じて、結腸内視鏡の日、(この処置の3〜5時間前に開始)、3つの錠剤を、全部で20の錠剤について15分ごとに少なくとも8オンスの清澄な液体とともにとる(最終用量は2錠剤である)。このような処置の結果、腸が十分に洗浄され、結腸の視覚検査を妨害する残滓はほとんどまたは全く示されず、そしてその嗜好性および副作用プロフィールの両方において患者に耐容性であることが期待される。
【0069】
(実施例5:結腸を瀉下するための浸透圧性および非浸透圧性下剤を含有する結腸下剤組成物)
本発明の結腸下剤処方物はまた、単回の適用または用量で投与されてもよい。結腸に関与する外科的手順または診断手順を受けている患者は、実施例3に記載される組成物のような、20錠剤の結腸下剤組成物を投与される。外科的または診断的手順の前夜、全部で20の錠剤について15分ごとに少なくとも8オンスの清澄な液体とともに3つの錠剤をとる(最終用量は2錠剤である)。このような処置の結果、腸が十分に洗浄され、結腸の視覚検査を妨害する残滓はほとんどまたは全く示されず、そしてその嗜好性および副作用プロフィールの両方において患者に耐容性であることが期待される。さらに、腸の質のよい洗浄を得るために朝の服用は必要ないと期待される。
【0070】
(実施例6:便秘を処置する結腸下剤組成物)
便秘を有する患者を結腸下剤組成物、例えば、実施例2または3に記載される組成物を用いて処置する。この組成物は、30分間の期間にわたって与えられる3〜18gの総一日用量で投与される。この用量は、毎日繰り返されてもよい。このような処置の結果、結腸での水の量の増大に起因して、糞便を緩くすることもしくは軟化させること、および/または蠕動の促進によって、糞便の通過が促進され、排出が促進されることが期待される。完全な瀉下および緩下のために同じ二重の機能の組成物を用いることが可能であることが有利である。
【0071】
(実施例7:INKP−102の結腸洗浄有効性)
本研究の主な目的は、本発明の1実施形態の組成物(表3を参照のこと;本明細書において以降では「INKP−102」)対市販のVisicol(登録商標)錠剤(表2を参照のこと;InKine Pharmaceutical Company,Blue Bell,PA)の結腸洗浄有効性を、結腸内視鏡検査を受けている患者で、直接の可視化によって比較することであった。さらに、INKP−102組成物の安全性を評価した。INKP−102の組成物(1676mgの錠剤)は、上記の表3に示した。Visicol(登録商標)錠剤は、INKP−102と同じ量の活性成分から構成された(1102mgの一塩基性リン酸ナトリウム一水和物および398mgの二塩基性リン酸ナトリウム無水物)。しかし、Visicol(登録商標)錠剤の不活性成分は、上記の表2に示されるように、MCC、コロイド状二酸化シリコンおよびステアリン酸マグネシウムを含んだ。
処置
7つの処置アーム(アームA〜G)のうちの1つに患者を無作為に割り当てた(1群あたり約30例の患者)。各々のアームは、表6に記載されるとおり、固有の投与レジメンを有した。患者は、Visicol(登録商標)錠剤(アームA;60gのリン酸ナトリウム用量、表示の推奨どおり)または6つの投薬レジメンのINKP−102(アームB〜G;リン酸ナトリウム42〜60g)のうち1つのいずれかを投与された。2つの計画された来診があった:スクリーニングの来診(来診0)および結腸内視鏡検査の来診(来診1)。スクリーニングの来診は、来診1の14日前までに行なった。患者は、トライアルの医薬を自己投与した。
【0072】
【表6】

(有効性)
214例の患者が少なくとも1用量の試験薬物をとり、そして彼らの内視鏡検査を終了した。他に注記しない限り、この集団(「全評価(All−Assessed)」集団)を、処置の有効性について評価した。指定された研究レジメンのうち少なくとも90%を終了し、推奨された時間枠の2時間よりも外れて投与されていることはないと承知され、そして結腸内視鏡検査を受けた患者は、「プロトコールどおりの(Per Protocol)」集団として指定され、192例に達した。
【0073】
本研究の主な目的は、結腸内視鏡検査を受けている患者におけるVisicol(登録商標)錠剤と比較したINKP−102の結腸洗浄有効性を評価することであった。結腸洗浄の全体的な質は、(1)この手順の間に観察された糞便(液体、半固体または固体)の量と、(2)単なる「糞便(stool)」ではなく、この手順の間に観察された「結腸内容物(colonic contents)」(結腸の管腔における全ての液体、半固体および固体の物質を含む)の量に基づいて評価した。「糞便(stool)」および「結腸内容物」の両方のエンドポイントは、以下の4ポイントスケールを用いる内視鏡検査者の評価に基づいた。
【0074】
1=優(Excellent):みられた粘膜が90%より多い、ほとんど液体の結腸内容物(または糞便)、十分な可視化に必要なのは最小の吸引;
2=良(Good):みられた粘膜が90%より多い、ほとんど液体の結腸内容物(または糞便)、十分な可視化に必要なのは有意な吸引;
3=可(Fair):みられた粘膜が90%より多い、液体および半固体の結腸内容物(または糞便)の混合物が、吸引および/または洗浄され得る;
4=不可(Inadequate):みられた粘膜が90%未満、固体および半固体の結腸内容物(または糞便)の混合物であって、吸引および/または洗浄され得ない。
【0075】
この4ポイントスケールを用いて、内視鏡検査者は、患者の結腸全体を評価し、またMCC残滓が結腸の可視化を特に妨げる、患者の上行結腸を特異的に評価した。
【0076】
表7aおよび7bは、「全評価」集団における、それぞれ「結腸内容物(colonic contens)」全体および上行結腸における内視鏡検査者の評価の結果を示す。Visicol(登録商標)対INKP−102の処置の比較によって、平均の全体的結腸含量スコアが、Visicol(登録商標)(P<0.05;アームA)よりもINKP−102投薬(アームB、CおよびE)で有意によかったことが明らかになった。同様に、上行結腸における結腸含量の評価によって、アームB、CおよびEでのINKP−102処置は、Visicol(登録商標)処置よりも平均結腸内容物スコアが有意によかったことが明らかになった(P<0.05;アームA)。
【0077】
驚くべきことに、アームEでの処置によって、リン酸ナトリウムの量(48g)が市販のVisicol(登録商標)のリン酸ナトリウムの含量(60g)よりも低い場合でさえ、これらの有意に良好な平均結腸内容物スコアが得られた。さらに、処置アームD、FおよびGは、リン酸ナトリウムの量(それぞれ、48g、42gおよび42g)が市販のVisicol(登録商標)のリン酸ナトリウムの含量(60g)よりも低い場合でさえ、市販のVisicol(登録商標)と同様に機能した(統計学的有意差なし)。この驚くべき結果は、極めて有益である。なぜなら改善された処方物によって、患者は同じ結果を得ることが、さらに低用量の活性成分の使用で可能になるからである。同じことがこの組成物の緩下用途についても成り立つと期待される。処置アームDおよびFの投薬レジメンは夜の投与にのみ関わっているので、投薬レジメンを完了するために処置の前に早起きしたくない患者には、それらはさらに好適であり得、そしてこの処置の朝に患者が何も口にしないことを要求する麻酔科医にはさらに好適であり得る。
【0078】
より小さい「プロトコールどおりの(Per Protocol)」集団の分析によって同様の結果が得られた。さらに、このプロトコールどおりの群では、INKP−102アームG処置対アームAのVisicol(登録商標)処置の際の、「結腸内容物」全体および上行結腸における改善は有意差に達した(P<0.0346)。驚くべきことに、アームGでの処置では、リン酸ナトリウムの量(42g)が市販のVisicol(登録商標)のリン酸ナトリウムの含量(60g)よりも低い場合でさえ、これらの有意に良好な平均結腸内容物スコアが得られた。
【0079】
【表7A】

P値は、INKP−102群とVisicol(登録商標)群との間の平均を比較するために用いた因子処理でANOVAを用いて得た。
統計学的に有意(0.05レベルで)。
【0080】
【表7B】

P値は、INKP−102群とVisicol(登録商標)群との間の平均を比較するために用いた因子処理でANOVAを用いて得た。
統計学的に有意(0.05レベルで)。
【0081】
表8aおよび8bは、「全評価」集団における、それぞれ「糞便(stool)」全体および上行結腸における内視鏡検査者の評価の結果を示す。平均の「糞便」エンドポイントスコア全体および上行結腸におけるスコアは一般に、Visicol(登録商標)群よりもINKP−102用量群で好ましかった。しかし、INKP−102のアームEのみがVisicol(登録商標)を上回り、そして上行結腸においてのみ、統計学的に有意な改善を示した。対照的に、Visicol(登録商標)での処置は、全体的な「糞便」スコアおよび上行結腸糞便スコアの両方について平均のANOVA比較においてINKP−102のアームFに対して統計学的に優れていた。これらの結果は、プロトコールどおりの(Per Protocol)集団の分析と匹敵していた。
【0082】
驚くべきことに、アームEでの処置によって、リン酸ナトリウムの量(48g)がアームAのVisicol(登録商標)のリン酸ナトリウムの含量(60g)よりも低い場合でさえ、有意に良好な、上行結腸における平均糞便スコア(P<0.05)および全体的な結腸における類似の平均糞便スコア(統計学的に有意な差なし)が得られた。さらに、処置アームDおよびGでの処理は、リン酸ナトリウムの量(それぞれ、48gおよび42g)がアームAのVisicol(登録商標)のリン酸ナトリウムの含量(60g)よりも低い場合でさえ、この市販のVisicol(登録商標)と同様に機能した。この驚くべき結果は、極めて有益である。なぜなら改善された処方物によって、患者は同じ効果を得ることがより低用量の活性成分の使用で可能になるからである。同じことがこの組成物の緩下用途についても成り立つと期待される。処置アームDの投薬レジメンは夜の投与にのみ関わっているので、投薬レジメンを完了するために処置の前に早起きしたくない患者には、それらはさらに好適であり得、そしてこの処置の朝に患者が何も口にしないことを要する麻酔科医にはさらに好適であり得る。
【0083】
【表8A】

P値は、INKP−102群とVisicol(登録商標)群との間の平均を比較するために用いた因子処理でANOVAを用いて得た。
統計学的に有意(0.05レベルで)。
【0084】
【表8B】

P値は、INKP−102群とVisicol(登録商標)群との間の平均を比較するために用いた因子処理でANOVAを用いて得た。
統計学的に有意(0.05レベルで)。
【0085】
2つの有効性エンドポイントの分析を一緒にして、INKP−102処置アームは一般に、「結腸内容物」有効性エンドポイント対「糞便」有効性エンドポイントにおいて、Viisicol(登録商標)処置アームよりも高くランク付けされたことが実証される。これらの結果によって、糞便以外の結腸の成分、例えば、微結晶性セルロース(MCC)は、INKP−102処置後の結腸の可視化を、Visicol(登録商標)処置が可視化を妨げるほどには妨げないことが示される。同時に、INKP−102は、液体、半固体または固体型で結腸の糞便を効率的に瀉下させることができる。
【0086】
「結腸内容物」および「糞便」の両方の有効性エンドポイントはまた、4ポイント評価スケールを「応答者(responder)」および「非応答者(non−responder)」のカテゴリーに分けることによって分析した。各々の評価について、患者は、結腸洗浄が「優」または「良」とランク付けされた場合「応答者」とみなされ、そして結腸洗浄が「可」または「不可」とランク付けされた場合「非応答者」とみなされた。表9aおよび9bは、「全評価」集団における、それぞれ「結腸内容物」および「糞便」のエンドポイントを用いた、種々の処置アームに対する「応答者」および「非応答者」の数を示す。
【0087】
【表9A】

P値は、処置アームAと他の処置アーム(B〜G)との間の応答の率を比較するためにフィッシャーの直接確率検定を用いて得た。
【0088】
【表9B】

P値は、処置アームAと他の処置アーム(B〜G)との間の応答の率を比較するためにフィッシャーの直接確率検定を用いて得た。
【0089】
この結果は、処置アームB、CおよびEが全ての処置群のなかでも高い応答者率を有し、低いかまたは無視できる非応答者率を有したことを示す。これらの率は、Visicol(登録商標)錠剤(アームA)の率よりも高いが、この相違は、統計学的に有意ではなかった。さらにアームE(INKP−102;48gの分割用量)は、高用量の処置(60gの用量;アームA、BおよびC)と比較した場合、匹敵するかまたはより良好な結腸洗浄有効性を示した。他方では、患者の結腸内視鏡検査の前夜にのみ与えた用量は、「分割用量(split dose)」として与えられた用量よりも劣った有効性を示した。アームFの低用量(42g)の夜のみのレジメンはわずか72%の応答者率を有し、これは、アームB、CおよびEよりも有意に低かった(P<0.05;フィッシャーの直接確率検定)。
【0090】
(安全性)
種々の投薬レジメンの安全性はまた、有害事象モニタリング、臨床検査評価の変化、理学的検査(健康診断)、およびバイタルサインの評価(心拍数、血圧、呼吸数、体温および起立性高血圧についての試験)によって評価した。研究の経過中に重篤な有害事象を経験した患者はいなかった。ほぼ全ての患者が、投薬量または処置にかかわらず、胃腸障害の体系的器官分類に関して軽度から中度の有害事象を経験した。このような有害事象としては、腹部膨張、悪心および腹痛が含まれた。しかし、処置の目的が腸の内容物を急速に排出させることであるので、このような事象が予想された。
【0091】
来診0(スクリーニング)〜来診1(結腸内視鏡)の臨床検査パラメーターにおける有意な変化が全ての患者群で観察された。詳細には、全ての患者群において無機リンの平均レベルに有意な増大があった(P<0.0001)。7例の患者群のうち6例でナトリウムの平均レベルの有意な増大(P<0.02)、そして1つ以上の患者群においてベースラインからのBUN、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよび重炭酸塩の有意な減少(P<0.05)があった。他方では、全ての患者群において塩化物およびクレアチンの平均レベルは、処置後のベースラインから有意に変化しなかった。
【0092】
試験した全ての臨床パラメーターのうち、無機リンのレベルのみがINKP−102とVisicol(登録商標)処置アームとの間で有意な処置後の相違を示した。無機リンにおけるベースラインからの増大が予想され、処置アームにかかわらず全ての患者において平均して88%超のベースラインレベルからの増大が生じた。無機リンのレベルにおけるこれらの増大は、処置アームD、E、FおよびGの患者(INKP−102;P<0.0170)よりもアームA(Visicol(登録商標)錠剤)の間で有意に高かった。循環する血漿における無機型のリンは、腎臓によってほぼ完全に排出され、従ってある患者、例えば、腎疾患を有する患者は、大量のリンの負荷を排出することが困難であり得る。従って、INKP−102の使用は、リン酸ナトリウム処置の間の腎臓に対する負荷を有利に減少させる。この効果は、アームD、E、FおよびGにおけるリン酸ナトリウム用量の減少に起因し得るであろう。しかし、上記のいくつかの有効性の分析に記載されるとおり、INKP−102はVisicol(登録商標)の大きいリン酸ナトリウム用量よりも結腸をさらに有効に洗浄し、一方、同時に、Visicol(登録商標)投与では無機リンの増大の減少が通常観察された。
【0093】
本明細書に引用される全ての引用文献は、各々の個々の刊行物または特許または特許出願が、全ての目的についてその全体が参照によって援用されると特別にかつ個々に示されるかのような程度まで、その全体が参照によって、そして全ての目的のために本明細書に援用されている。引用文献によって援用される刊行物および特許または特許出願が本明細書に含まれる開示と相反する程度までは、本明細書は、任意のこのような相反するものにとって代わるか、および/または優先することが意図される。
【0094】
本明細書および特許請求の範囲において用いられる構成要素の量、反応条件などを表す全ての数値は、全ての場合に「約、ほぼ、およそ(about)」という用語によって修飾されるものとして理解されるべきである。従って、逆に示さない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲に示される数値的なパラメーターは、本発明によって得られると考えられる所望の特性に依存して変化し得る近似値である。最低限であって、特許請求の範囲に対する等価物の原則の適用を限定するつもりはないが、各々の数値的なパラメーターは、有効数字の数および通常の四捨五入のアプローチに照らして解釈されるべきである。
【0095】
本発明の多くの改変および変動は、当業者に明白であるように、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなくなされ得る。本明細書に記載される特定の実施形態は、例示のためにのみ提供されており、決して限定することは意味しない。本明細書および実施例は例示としてのみ解釈され、本発明の真の範囲および趣旨は添付の特許請求の範囲によって示されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】図1は、不溶性の結合剤である微結晶性セルロース(MCC)を含む先行技術の組成物が、腸の準備のための使用後に、結腸の可視化を有意に妨げる白色粉末物質を放出することを示す。
【図2】図2は、可溶性の非発酵性結合剤を含む本発明の組成物が、腸の準備のための使用後に残滓をほとんど、または全く放出せず、そのため結腸の可視化が向上することを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体剤形の結腸下剤処方物であって、
(a)少なくとも1つの可溶性結合剤と;
(b)治療上有効な量の少なくとも1つの下剤と、
を含む、結腸下剤処方物。
【請求項2】
前記少なくとも1つの可溶性結合剤が非発酵性である、請求項1に記載の処方物。
【請求項3】
前記少なくとも1つの下剤が浸透圧性下剤である、請求項1に記載の処方物。
【請求項4】
前記少なくとも1つの浸透圧性下剤が、エン酸マグネシウム、塩化マグネシウム、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酒石酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、酒石酸カリウム、酸化マグネシウム、硫酸ナトリウムおよびそれらの塩から選択される、請求項3の処方物。
【請求項5】
前記少なくとも1つの浸透圧性下剤が、リン酸ナトリウムまたはその塩である、請求項4に記載の処方物。
【請求項6】
前記リン酸ナトリウムの塩が、一塩基性リン酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウムおよび三塩基性リン酸ナトリウムから選択される、請求項5に記載の処方物。
【請求項7】
前記少なくとも1つの下剤が非浸透圧性下剤である、請求項1に記載の処方物。
【請求項8】
前記少なくとも1つの非浸透圧性下剤が、鉱油、アロエ、ビサコジル、ピコスルファートナトリウム、カサンスラノール、カスカラ、ヒマシ油、ダントロン、デヒドロコール酸、フェノールフタレイン、センノシド、ドキュセート、ベタネコール、コルヒチン、ミソプロストール、シサプリド、ノルシサプリド、パラフィン、レインおよびテガセロドから選択される、請求項7に記載の処方物。
【請求項9】
前記少なくとも1つの非浸透圧性下剤がビサコジルおよびピコスルファートから選択される、請求項8に記載の処方物。
【請求項10】
前記少なくとも1つの下剤が刺激性緩下薬である、請求項1に記載の処方物。
【請求項11】
少なくとも1つの非浸透圧性下剤をさらに含む、請求項3に記載の処方物。
【請求項12】
前記少なくとも1つの非浸透圧性下剤が、鉱油、アロエ、ビサコジル、ピコスルファートナトリウム、カサンスラノール、カスカラ、ヒマシ油、ダントロン、デヒドロコール酸、フェノールフタレイン、センノシド、ドキュセート、ベタネコール、コルヒチン、ミソプロストール、シサプリド、ノルシサプリド、パラフィン、レインおよびテガセロドから選択される、請求項11に記載の処方物。
【請求項13】
前記少なくとも1つの非浸透圧性下剤がビサコジルおよびピコスルファートから選択される、請求項12に記載の処方物。
【請求項14】
少なくとも1つの刺激性緩下薬をさらに含む、請求項3に記載の処方物。
【請求項15】
少なくとも1つのバルク形成下剤をさらに含む、請求項3に記載の処方物。
【請求項16】
前記少なくとも1つのバルク形成下剤が、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ぬか、オオバコ、ステルクリアおよびイスパキュラ種皮から選択される、請求項15に記載の処方物。
【請求項17】
前記少なくとも1つの可溶性結合剤がポリエチレングリコールである、請求項1に記載の処方物。
【請求項18】
前記ポリエチレングリコールが少なくとも1,000の平均分子量を有する、請求項17に記載の処方物。
【請求項19】
前記ポリエチレングリコールが7,000〜9,000の平均分子量を有する、請求項18に記載の処方物。
【請求項20】
潤滑剤をさらに含む、請求項1に記載の処方物。
【請求項21】
前記潤滑剤がステアリン酸マグネシウムである、請求項20に記載の処方物。
【請求項22】
固体剤形が錠剤、カプセルまたはカプセル型錠剤である、請求項1に記載の処方物。
【請求項23】
結腸下剤処方物であって、
(a)45重量%〜75重量%の一塩基性リン酸ナトリウムと;
(b)15重量%〜30重量%の二塩基性リン酸ナトリウムと;
(c)5重量%〜20重量%のポリエチレングリコール8,000と;
(d)0.10重量%〜1.50重量%のステアリン酸マグネシウムと;
を含む、結腸下剤処方物。
【請求項24】
結腸下剤処方物であって、
(a)15重量%〜95重量%の二塩基性リン酸ナトリウムと;
(b)5重量%〜20重量%のポリエチレングリコール8,000と;
(c)0.10重量%〜1.50重量%のステアリン酸マグネシウムと;
を含む、結腸下剤処方物。
【請求項25】
請求項1に記載の結腸下剤処方物を含むキット。
【請求項26】
患者の結腸を瀉下する方法であって、該方法は、該患者に、請求項1に記載の結腸下剤処方物を投与する工程と、該処方物で結腸を瀉下させる工程とを包含する、方法。
【請求項27】
前記結腸の前記瀉下が、緩下の目的のための部分的瀉下を生じる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記結腸の前記瀉下が、手術または診断の目的のための完全瀉下を生じる、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
患者の結腸を瀉下する方法であって、
(a)該患者に、請求項1に記載の結腸下剤処方物を投与する工程と;
(b)腸における糞便の排泄を維持または促進する工程と、
を包含する、方法。
【請求項30】
胃腸障害を有するか、または胃腸障害にかかり易い患者を処置する方法であって
(a)該患者に、請求項1に記載の結腸下剤処方物を投与する工程と;
(b)腸における糞便の排泄を維持または促進する工程と、
を包含する、方法。
【請求項31】
前記胃腸障害が便秘である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
ある患者では副作用として便秘を生じる医薬の投与に起因して便秘を罹患しているかまたは便秘にかかり易い患者を処置するための方法であって、
(a)該患者に、請求項1に記載の結腸下剤処方物を投与する工程と;
(b)腸における糞便の排泄を維持または促進する工程と、
を包含する、方法。
【請求項33】
請求項32に記載の方法であって、前記医薬が、アルミニウムを含む制酸剤;抗うつ剤;血圧薬;カルシウムチャネル遮断薬;カルシウム補助剤;化学療法薬;風邪薬;抗ヒスタミン剤;利尿薬;鉄補助剤;パーキンソン病薬;脂質低下剤;鎮痛剤;オピエート;コデイン;および精神安定剤から選択される、方法。
【請求項34】
便秘に罹患しているか、または便秘にかかり易い患者を処置するための方法であって、
(a)該患者に対して請求項1に記載の結腸下剤処方物を投与する工程と;
(b)腸における糞便の排泄を維持
または促進する工程と、
を包含し、ここで便秘は、旅行;日課の変更;運動の欠如;傷害、疾病または加齢によって生じる不動性;脱水;過敏性腸症候群;妊娠;糖尿病;甲状腺機能低下症;高カルシウム血症;結腸または直腸の癌;子宮脱;膣円蓋脱;直腸脱;手術による瘢痕;結腸または直腸の損傷;パーキンソン病;多発性硬化症;脳卒中;痔核または裂肛;便通遅延;不安;抑うつ;摂食障害;および強迫性障害のうちの少なくとも1つに起因する、方法。
【請求項35】
前記患者が、少なくとも1つの適用において、前記結腸下剤処方物を投与される、請求項26、29、30、32または34に記載の方法。
【請求項36】
前記投与が、経口的に、摂食チューブを通じて、または経鼻胃管チューブを通じて行なわれる、請求項26、29、30、32または34に記載の方法。
【請求項37】
請求項17に記載の結腸下剤処方物を生成するためのプロセスであって、成分を混合する工程と、該混合物をポリエチレングリコールの融点まで温める工程と、該混合物を錠剤に圧縮する工程とを包含する、プロセス。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−512336(P2007−512336A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541302(P2006−541302)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/038220
【国際公開番号】WO2005/051361
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(506275586)サリックス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】