説明

同期制御装置

【課題】 複数のモータで同一方向の座標軸を駆動する機械に対して、汎用的な電機品を用いて各軸間相互に加わる無効反力を抑制すると共に、作業位置に対する同期制御を高精度に行なう同期制御装置を提供する。
【解決手段】 位置指令121を生成する位置指令生成部21と、2台の位置情報131,141に基づいてXY軸座標系である作業位置122を演算し、位置指令121と作業位置の一方の軸座標系位置122との差に基づいて新たな位置指令125を演算する第1の位置制御系を有する指令装置2と、新たな位置指令125と位置情報131,141との差に基づいてモータを駆動する指令を演算する第2の位置制御系をそれぞれ有する2台のモータ制御装置3,4と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械的に結合された複数のモータを同期して駆動する同期制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
第1の従来技術の同期制御装置は、スピンドルモータに対する上位制御装置からの指令及びスピンドルモータに設けられた検出器からフィードバックされたスピンドルモータの検出値の差である位置偏差と、送り側モータの上位制御装置からの指令及び送り側モータに設けられた検出器からフィードバックされた送り側モータの検出値の差である位置偏差との差分である同期誤差に基づいて送り側モータの位置偏差を補正する補正データを算出する補正データ算出手段を備え、補正データを送り側モータの位置偏差に加算し、同期誤差をゼロに近づける制御をすることが記載されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
第2の従来技術の同期制御装置は、位置指令と位置検出器からの位置フィードバックとの位置偏差に基づいて所定周期毎に速度指令を出力する位置制御部と、速度指令と速度検出器からの速度フィードバックとに基づいて所定周期毎にトルク指令を出力する速度制御部によりサーボモータを駆動制御する制御装置であって、同じ制御対象を駆動する2つのサーボモータを同期制御し、この2つのサーボモータ間に働く力に基づいて2つのサーボモータ間に働く力を減少させる同期補正処理部を備えることが記載されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
第3の従来技術の同期制御装置は、マスタ軸およびスレーブ軸の現在位置をそれぞれ検出し、検出されたマスタ軸の位置に基づいて、マスタ軸の位置に対応する理論的位置をスレーブ軸ごとに算出し、各スレーブ軸について、算出された理論的位置と検出された実際の位置との同期誤差を算出し、算出された同期誤差に基づいて、スレーブ軸の利得を変化させることが記載されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−042068号公報(第5−7頁、図1)
【特許文献2】特開2004−288164号公報(第5−11頁、図2)
【特許文献3】特開2003−131712号公報(第3−6頁、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第1乃至3の従来技術の同期制御装置が駆動する同期機構を用いて、その課題を説明する。図6は、同期制御装置が駆動する第1の同期機構(ガントリ構造)を示す図である。この第1の同期機構(ガントリ構造)は、基板に半導体部品をマウントするマウンタ、基板に半導体部品をはんだ付けするボンディングマシン、塗布装置などの産業機械、半導体または液晶製造装置に用いられる構成である。
第1乃至3の従来技術の同期制御装置は、このような第1の同期機構(ガントリ構造)を駆動する場合、同一の位置制御構成であるサーボアンプ15,16に対して指令器14から同一の位置指令を位置情報伝送路126を介して送信して2軸(X1軸、X2軸)を同期制御する。
【0007】
しかしながら、互いの軸を機械結合部9で締結するような第1の同期機構(ガントリ構造)では、この機械結合部9の剛性が高いほど、一方の軸が他方の軸へ、他方の軸から一方の軸へ、互いに加えるねじり反力(以下、無効反力という)が大きくなる。
この無効反力は、リニアスケール12の製造のばらつきや機構への取り付け誤差、機構自体の組み付け精度等に起因するものであって、サーボアンプ15,16に対する外乱として双方の位置制御系に影響を与えるものである。すなわち、この無効反力は、サーボアンプ15,16の推力指令値に対して逆符号の推力となり、サーボアンプ15,16ではこの無効反力を打ち消すために、更に推力指令値を増加させる必要があるため(負荷率の増加のため)、エネルギー効率が著しく悪化するという問題があった。また、この無効反力が大きい場合、サーボアンプ15,16が出力できる推力上限値を超える恐れがあり、越えた場合は正常な位置制御動作および同期制御も出来ないという問題もあった。
【0008】
また、第1乃至3の従来技術の同期制御装置は、サーボアンプ軸間に位置情報伝送路以外の伝送路が必要である。すなわち、第1の従来技術の同期制御装置は位置偏差伝送路、第2,3の従来技術の同期制御装置はトルク指令伝送路が、サーボアンプ軸間に必要である。これら新たな伝送路は、通常、サーボアンプの汎用製品には存在しないものであるため、第1乃至3の従来技術の同期制御装置は専用品で構成せざるを得ず、コスト面や保守性、納期等の問題もあった。
【0009】
更に、N軸同期制御(Nは軸数であり、N>1の自然数)において、1つの検出位置をマスタ位置とし残りの(N−1)軸の位置はスレーブ位置とする場合がある。例えば、図6においては、X1軸の検出位置がマスタ位置、X2軸の検出位置がスレーブ位置となる。図6のような同期機構(ガントリ構造)の場合、X1およびX2軸と直交するY軸が存在し、これらXY軸座標系上に作業位置(作業中心)が存在することが多い。Y軸座標は、X1軸とX2軸との軸間を移動する座標であるため、作業位置は必ずしもマスタ位置上(X1軸上)に存在するとは限らず、作業位置に対する同期制御ができないという問題もあった。
【0010】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、複数のモータで同一方向の座標軸を駆動する機械に対して、汎用的な電機品(モータ、サーボアンプ、指令器など)を用いて各軸間相互に加わる無効反力を抑制すると共に、作業位置に対する同期制御を高精度に行なう同期制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記問題を解決するため、本願の代表的な発明は、次のように構成したのである。
同期制御装置は、2台のモータと、2台のモータの位置情報をそれぞれ検出する2台の位置検出器と、2台のモータの可動軸を互いに締結する機械結合部と、から構成されるガントリ機構である制御対象に対して2台のモータを同期制御する同期制御装置であって、位置指令を生成する位置指令生成部と、位置情報に基づいてXY軸座標系である作業位置を演算して位置指令と作業位置の一方の軸座標系位置との差に基づいて新たな位置指令を演算する第1の位置制御系と、を有する指令装置と、新たな位置指令と位置情報との差に基づいてモータを駆動する指令を演算する第2の位置制御系をそれぞれ有する2台のモータ制御装置と、を備えることを特徴とするものである。
【0012】
また、本願の他の代表的な発明は、次のように構成したのである。
同期制御装置は、2台のモータと、2台のモータの位置情報をそれぞれ検出する2台の位置検出器と、2台のモータの可動軸を互いに締結する機械結合部と、から構成されるガントリ機構である制御対象に対して2台のモータを同期制御する同期制御装置であって、XY軸座標系である作業位置を計測する位置計測装置と、位置指令を生成する位置指令生成部と、位置指令と作業位置の一方の軸座標系位置との差に基づいて新たな位置指令を演算する第1の位置制御系を有する指令装置と、新たな位置指令と位置情報との差に基づいてモータを駆動する給指令を演算する第2の位置制御系を有する第1および第2のモータ制御装置と、作業位置の一方の軸座標系位置を入力して指令装置に出力する第3のモータ制御装置と、を備え、第3のモータ制御装置が、第2の位置制御系を有する第1および第2のモータ制御装置と同一機能を備えるものであることを特徴とするものである。
【0013】
また、本願の他の代表的な発明は、次のように構成したのである。
同期制御装置は、複数台のモータと、複数台のモータの位置情報をそれぞれ検出する複数台の位置検出器と、複数台のモータの可動軸を互いに締結する機械結合部と、から構成される円弧軌道機構である制御対象に対して複数台のモータを同期制御する同期制御装置であって、位置指令を生成する位置指令生成部と、複数の位置情報に基づいて機械結合部の角度である作業位置を演算して位置指令と作業位置との差に基づいて新たな位置指令を演算する第1の位置制御系と、を有する指令装置と、新たな位置指令と位置情報との差に基づいてモータを駆動する指令を演算する第2の位置制御系をそれぞれ有する複数のモータ制御装置と、を備え、複数の電力供給指令に応じて複数のモータを同期制御することを特徴とするものである。
【0014】
また、本願の他の代表的な発明は、次のように構成したのである。
同期制御装置は、複数台のモータと、複数台のモータの位置情報をそれぞれ検出する複数台の位置検出器と、複数台のモータの可動軸を互いに締結する機械結合部と、から構成される制御対象を駆動する第1軸と、単数台のモータと、単数台のモータの位置情報を検出する単数台の位置検出器と、単数台のモータの可動軸を締結する機械締結部と、から構成される制御対象を駆動する第2軸と、位置指令を生成して位置指令に基づいて、第1軸と第2軸とをXY軸座標系の円弧補間動作させる指令装置と、を備えた同期制御装置であって、第1軸が位置積分比例・速度比例制御系を、第2軸が位置比例・速度積分比例制御系を構成し、第1軸における位置比例ゲイン(Kp1)を、第2軸のおける速度積分時間(Ti)の逆数に一致するように設定すると共に、第1軸における位置積分時間(Tir)を、第2軸のおける位置比例ゲイン(Kp)の逆数に一致するように設定することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本願の代表的な発明によると、複数のモータで同一方向の座標軸を駆動する機械に対して、汎用的な電機品(モータ、サーボアンプ、指令器など)を用いて各軸間相互に加わる無効反力を抑制すると共に、作業位置に対する同期制御を高精度に行なうことができる。すなわち、同期すべき複数のモータの推力(トルク)がほぼ同程度とすることができ、位置データの授受を行う位置情報伝送路(汎用のシリアル通信等を利用する)だけで、位置決め動作時や位置決め完了後の無効反力が少ない同期動作を実現することができる。
また、機械結合部の剛性や粘性摩擦の影響によるずれを小さくすることができ、指令器内の作業位置情報を位置決め完了時点で位置指令に厳密に一致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る同期制御装置のブロック図
【図2】第1の実施形態における速度およびトルクのシミュレーション波形を示す図
【図3】本発明の第2の実施形態に係る同期制御装置のブロック図
【図4】本発明の第3の実施形態に係る同期制御装置のブロック図
【図5】第2の実施形態における速度およびトルクのシミュレーション波形を示す図
【図6】同期制御装置が駆動する第1の同期機構(ガントリ構造)を示す図
【図7】同期制御装置が駆動する第2の同期機構(他のガントリ構造)を示す図
【図8】同期制御装置が駆動する第3の同期機構(円弧リニア)を示す図
【図9】本発明の第4の実施形態に係る同期制御装置における速度制御部(比例+不完全積分)のブロック図
【図10】第1の従来技術の同期制御装置のブロック図
【図11】第1の従来技術の同期制御装置における速度およびトルクのシミュレーション波形を示す図
【図12】第2の従来技術の同期制御装置のブロック図
【図13】第2の従来技術の同期制御装置における速度およびトルクのシミュレーション波形を示す図
【図14】第3の従来技術の同期制御装置のブロック図
【図15】第3の従来技術の同期制御装置における速度およびトルクのシミュレーション波形を示す図
【図16】図6における第1の同期機構(ガントリ構造)を模式的に表した図
【図17】本発明の第5の実施の形態における通常ゲイン設定時の円弧補間動作波形図
【図18】本発明の第5の実施の形態に係るゲイン設定時の円弧補間動作波形図
【図19】本発明の第6の実施の形態における通常ゲイン設定時の円弧補間動作波形図
【図20】本発明の第6の実施の形態に係るゲイン設定時の円弧補間動作波形図
【図21】遅れが大きい場合の本発明の第5の実施の形態に係るゲイン設定時の円弧補間動作波形図
【図22】本発明の第7の実施の形態に係るゲイン設定時の円弧補間動作波形図
【図23】本発明の第7の実施形態に係る同期制御装置のブロック図
【図24】本発明の第7の実施形態に係る位置オブザーバの制御ブロック図
【図25】本発明の第7の実施形態に係る位置オブザーバの他の制御ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【実施例1】
【0018】
先ず、本発明の第1の実施形態について図を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る同期制御装置のブロック図である。図において、同期制御装置1は、指令器2、サーボアンプ3,4を備える。
指令器2は、位置指令生成部21、位置制御部22、位置情報演算部23で構成しており、位置指令生成部21は、モータ5,6を駆動するための内部位置指令121を生成して位置制御部22へ出力する。位置情報演算部23は、サーボアンプ3,4から位置情報伝送路126を介して、エンコーダ7,8で検出された検出位置情報131,141を入力し、後述する演算により作業位置情報122を出力する。位置制御部22は、内部位置指令121と作業位置情報122との偏差を入力して比例積分制御演算し、新たな位置指令信号125を位置情報伝送路126を介してサーボアンプ3,4に出力する。なお、位置情報伝送路126は、例えば高速のシリアル通信路等であればよく、各サーボアンプ3,4へ同期して位置情報を双方向で通信ができるものである。
また、作業位置情報122は、例えば、同期制御装置1が駆動する機構系がXY軸座標系であって、内部位置指令121がXY軸座標系での位置指令の場合、そのXY軸座標系上に存在する作業位置(作業中心)の座標である。
【0019】
サーボアンプ3は、位置制御部31、速度制御部32、速度演算部33、電流制御部34で構成しており、サーボアンプ4も同一の構成(位置制御部41、速度制御部42、速度演算部43、電流制御部44)のものである。
位置制御部31,41は、新たな位置指令信号125と検出位置情報131,141との偏差を入力して比例制御演算し、速度指令を出力する。速度演算部33,34は、検出位置情報131,141を入力して微分演算し、速度フィードバック信号を出力する。速度制御部32,42は、速度指令と速度フィードバック信号との偏差を入力して比例制御演算し、モータを駆動する指令を出力する。モータ巻き線に電圧を加え、電流を流すことでモータへ電力を供給するので、モータを駆動する指令としては、電圧または電流指令となる。通常は電流指令とすることが多い。すなわち、電流制御部34,44は、電流指令相当の電流を制御演算してモータ5,6に供給する。モータは、供給された電流に比例した力を発生する。例えば、同期回転型モータならばトルク、リニアモータならば推力を発生する。
【0020】
なお、モータ5,6、エンコーダ7,8、機械結合部9の構成は、図6で説明した第1の同期機構(ガントリ構造)の構成を簡単に表したものである。また、外乱トルク(反力)191は無効反力を意味するものであり、この無効反力は、例えばサーボアンプ3に対しては負の推力相当、サーボアンプ4に対しては正の推力相当となるものである。更に、図6における指令器14、サーボアンプ15,16は、図1における指令器2、サーボアンプ3,4に相当するものである。
このように、本発明の第1の実施形態に係る同期制御装置は、サーボアンプ3,4内に構成した位置制御系とは別に、指令器2で他の位置制御系を備えるものである。指令器2内の位置制御部22は積分演算を含むため、位置指令生成部21が出力する内部位置指令121に対して作業位置情報122が位置ずれなく追従または位置決め動作を行うことができる。
なお、位置制御22は積分制御のみでも同様の動作を行うことができる。
【0021】
次に、位置情報演算部23が、検出位置情報131,141から作業位置情報122を演算する方法を説明する。
位置情報演算部23は、式(1)で作業位置情報122のX座標を演算する。なお、mは0≦m≦1であり、予め任意に指定される作業位置から決定されるものである(mの計算方法は後述の通りである)。
(作業位置情報122のX座標)
= m×(検出位置情報131)+(1−m)×(検出位置情報141) ・・・ (1)
【0022】
図6(図1同様)に示す第1の同期機構(ガントリ構造)の構成であって、X1軸とX2軸との軸間の任意の位置に作業位置がある場合、式(1)により、X1軸の位置(検出位置情報131)とX2軸の位置(検出位置情報141)との間の任意の位置の作業位置情報122をX座標として算出することができ、エンコーダを取付けていない位置を位置指令に対して追従または位置決めすることができる。
例えば、式(1)におけるmを0.5とすれば、X1軸とX2軸との軸間の中央位置を作業位置情報122のX座標として算出することができる。
このように、X1軸とX2軸との軸間距離をLとした場合、mLのX軸方向の作業位置情報が算出できる。
【0023】
また、図6(図1同様)に示す第1の同期機構(ガントリ構造)の構成の場合、X1軸とX2軸に直交するY軸を構成し、X1軸、X2軸、Y軸の各座標で決定される位置、すなわち作業位置で物の加工等の作業が行なわれる産業機械、半導体または液晶製造装置が多い。
なお、Y軸もX1軸とX2軸と同様に他の(Y軸用の)サーボアンプを備えて位置制御系を構成し、指令器2からの他の(Y軸用の)位置指令に基づいて、他の(Y軸用の)モータを駆動するように構成するものである。この場合、後述するようにX1軸、X2軸の座標に対し、これらに直交するY軸の座標にもとづいてmの値が計算できる。すなわち、Y軸の位置が作業位置情報122のY座標となり、mを用いた(1)式で計算した位置が作業位置情報122のX座標となる。
【0024】
以下、mの計算式を説明する。
図16は、図6における第1の同期機構(ガントリ構造)を模式的に表した図である。図において、X1軸とX2軸はともにリニアスケールの位置であり、リニアスケールヘッドは検出位置131と141に位置している。Y軸は、ストロークLyである。Y軸のストロークエンドからX1軸エンコーダヘッドまでのオフセット距離をdY1とし、Y軸の原点(0位置)からX2軸までのオフセット距離をdY2とする。
Y軸の原点(0位置)をY座標(作業座標)の原点(0位置)にとり、X1軸、X2軸の原点(0位置)をX座標(作業座標)の原点(0位置)にとり、作業位置を(Px、Py)とする。
この場合、mは式(2)で計算できる。
m=(Py+dY2)/(dY1+Ly+dY2) ・・・ (2)
なお、図16ではY軸の傾きを誇張しているが、実際の機械では、1m前後のY軸ストロークに対して検出位置131と検出位置141の差は数十μm程度であるため、Y軸の傾きはごくわずかな量である。Y軸方向はY座標(作業座標)とほぼ平行と考えても計算上問題ないため、(2)式のmを上述の(1)式に適用して検出位置122のX座標(Px)を計算できる。
【0025】
このように、Y軸の位置からX軸方向の作業位置情報を算出することができる。また、図6に示す機械結合部9にY軸を移動する作業用ヘッド13を取り付けた場合、X1軸とX2軸間の機械結合部9に歪みがあると、Y軸の作業用ヘッド13の位置によっては作業用ヘッド13のX座標位置が、位置指令に対して機械的誤差が生じる問題があったが、前述した位置情報演算部23の演算によれば、Y軸が移動しても作業用ヘッド13のX軸方向の位置を位置指令通りに位置決めすることができる。
【0026】
図2は、第1の実施形態における速度およびトルクのシミュレーション波形を示す図である。図において、図1における作業位置情報122=検出位置情報131とした場合であり、上段は速度波形、下段はトルク波形、縦軸は各振幅、横軸は時間軸である。
この場合、位置決め動作後の停止時(時間軸16以降)の無効反力に相当する推力は約0.05[p−p]程度であり、加減速時(時間軸0から3)の最大推力振幅(0.5程度)の約10%程度である。
【0027】
ここで、第1乃至3の従来技術の同期制御装置における無効反力について説明する。
図10は第1の従来技術の同期制御装置のブロック図、図12は第2の従来技術の同期制御装置のブロック図、図14は第3の従来技術の同期制御装置のブロック図である。また、図11は第1の従来技術の同期制御装置における速度およびトルクのシミュレーション波形を示す図、図13は第2の従来技術の同期制御装置における速度およびトルクのシミュレーション波形を示す図、図15は第3の従来技術の同期制御装置における速度およびトルクのシミュレーション波形を示す図である。図11,13,15において、図シミュレーション条件は図2と同様であり、上段は速度波形、下段はトルク波形、縦軸は各振幅、横軸は時間軸である。
【0028】
それぞれの位置決め動作後の停止時(時間軸16以降)の無効反力に相当する推力は、第1の従来技術の同期制御装置が約0.1[p−p](図11)、第2の従来技術の同期制御装置が約0.15[p−p](図13)、第3の従来技術の同期制御装置が約0.3[p−p](図15)である。これらは、加減速時(時間軸0から3)の最大推力振幅(0.5程度)の約20%、約30%、約60%に相当するものである。
【0029】
このように、第1乃至3の従来技術の同期制御装置は、同一の位置指令に対して、各サーボアンプが位置指令に検出位置を完全に追従させようとするが、エンコーダ自身の誤差や取り付け誤差や機械の誤差(軸間でのズレ)により、特に位置決め停止後では各サーボアンプに無効反力が生じてしまう。この軸間でのズレを位置偏差やトルク指令等で検出して軸間で補正処理を行なっているが、本発明の実施形態と比べ無効反力を低減させるに至っていない。
【0030】
本発明の実施形態(第1の実施形態および後述する第2,3,4の実施形態)に係る同期制御装置は、N軸同期制御(Nは軸数であり、N>1の自然数)において、軸数分のエンコーダ位置と実際の同期機構における機械位置は厳密には一致しないこと、軸数分のモータの可動軸を互いに締結する結合部材の剛性により無効反力が発生すること、軸数分のエンコーダ位置の軸間でのズレと無効反力は相反すること、に着眼したものである。
すなわち、本発明の実施形態(第1の実施形態および後述する第2,3,4の実施形態)に係る同期制御装置は、N軸同期制御(Nは軸数であり、N>1の自然数)において、位置指令に一致させる検出位置は複数ではなく1つに限定すること、各サーボアンプでの位置制御系を備えると共に位置指令に対して1つの検出位置を用いた位置制御系が必要であること、に基づき構成したものである。
【0031】
本願の代表的な発明は、N軸同期制御(Nは軸数であり、N>1の自然数)において、複数のエンコーダ位置から作業位置を算出してこの作業位置を位置指令に追従させる構成、各サーボアンプ内の積分演算をなくす構成(積分演算は動きが低周波になる程にゲインが大きくなるため、位置決め完了の停止時点で無効反力が増大する。この積分演算をなくすことで無効反力の増加を抑える)、サーボアンプのさらに外側に新たに位置制御系を1つ追加し、この位置制御系だけに積分演算を備える構成、とするものである。
このように、本願の代表的な発明は、制御対象の機械の精度なども総合的・本質的に考察したものである。
【0032】
なお、検出位置情報が各請求項記載の位置情報に、内部位置指令が位置指令に、作業位置情報が作業位置に、指令器が指令装置に、サーボアンプがモータ制御装置に相当する。
【実施例2】
【0033】
以下、様々な同期機構に対して、本発明の実施形態に係る同期制御装置の適用例を順に説明する。
次に、本発明の第2の実施形態について図を参照して説明する。
図7は、同期制御装置が駆動する第2の同期機構(他のガントリ構造)を示す図である。図において、作業位置近傍のX方向位置を正確に計測するために、レーザ干渉計101を用いた位置計測装置を取付けている。
レーザ干渉計101は、反射ミラーを機械結合部9上に設置し、レーザ干渉計からのレーザ光線の干渉により非接触で位置を計測する。このため、リニアスケール12を設置できない場所で、機械結合部9の作業位置がX軸方向に直接計測できる。
【0034】
図3は、本発明の第2の実施形態に係る同期制御装置のブロック図である。図において、同期制御装置10は、指令器2、サーボアンプ3,4、17を備える。
第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、同期制御装置10が、レーザ干渉計101の検出位置情報をサーボアンプ17に入力し、検出位置情報171として位置情報伝送路126を介して指令器2内の位置情報演算部23に入力する点、位置情報演算部23は、レーザ干渉計101だけの検出位置情報171を用い、サーボアンプ3,4からの検出位置情報131と検出位置情報141は用いない点である。このため、同期制御装置10は、サーボアンプ17にはモータは接続せず、レーザ干渉計101の検出位置情報171のみを位置情報伝送路126に伝送するデータ変換器としてサーボアンプ17使用している。このように構成することで汎用製品のみで構成できる。
なお、エンコーダ(リニアスケール)7とエンコーダ8の検出分解能(1パルスあたりの長さ:例0.1μm/1パルスなど)と、レーザ干渉計101の検出位置分解能が異なる場合は、位置情報演算部23内で電子ギア演算を行い、分解能をあわせておけばよい。
【0035】
第2の実施形態では、作業位置近傍の位置をレーザ干渉計101で検出し、指令器2内の作業位置情報122として指令器2内の位置制御系へフィードバックしているため、X方向の作業位置を指令位置に対して第1の実施形態よりも正確に追従させることができる。
【0036】
なお、レーザ干渉計が各請求項記載の位置計測装置に相当する。
【実施例3】
【0037】
次に、本発明の第3の実施形態について図を参照して説明する。
図8は、同期制御装置が駆動する第3の同期機構(円弧リニア)を示す図である。図4は、本発明の第3の実施形態に係る同期制御装置のブロック図である。図4において、同期制御装置11は、指令器2、サーボアンプ3,4、17を備える。なお、サーボアンプ4,17の制御構成は、サーボアンプ3と同一のため詳細な記載を省略している。
本発明の第3の実施形態に係る同期制御装置は、図8における円弧形状のリニアモータ5,6,18に電力を供給して複数のリニアモータ可動子(例えば、リニアモータ可動子53)を同期制御するものである。各リニアモータ可動子にリニアスケールの位置読み取りヘッドを取付けており、テープ式のリニアスケールなどを用いることで円弧状にスケールを貼り付けることができ、1本のリニアスケールを3個のヘッドで位置検出もしくは各ヘッドに対してそれぞれにリニアスケールを取付けてもよい。
第3の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、同期制御装置11が、3軸で構成される同期機構(例えば、図8)を同期制御する点である。なお、第1の実施形態の代表図である図1と同一の符号を付した構成要素は、その作用効果が同一のため詳細な説明を省略する。
【0038】
図4におけるモータ5,6,18、エンコーダ7,8、19、機械結合部9,105,106の構成は、図8で説明した第3の同期機構(円弧リニア)の構成を簡単に表したものである。なお、図8におけるターンテーブル(9,105,106)は、モータ5,6,18がこのターンテーブル(9,105,106)を介して機械的に結合されているため、図4では機械結合部9,105,106で表記している。また、第1の実施例同様、各軸は機械結合部9,105,106により機械的に結合されているため、無効反力(外乱トルク191)が各軸に加わることになる。
指令器2における位置情報演算部23は、サーボアンプ3,4、17からの検出位置情報131,141,171に基づいて作業位置情報122を算出する。例えば、第1の実施例で説明した式(1)を用いた2軸の算出方法を3軸に展開すればよい(式(3),(4)参照)。
【0039】
また、図8において、リニアスケールの取り付け誤差により1回転でN周期の誤差が発生(Nは自然数)する場合がある。例えば、図8中では、薄い厚みの円筒形状の部材にリニアスケールを貼っているが、直径が2m程にもなる大型の円弧形状のターンテーブルの場合、円筒形状の部材が加工誤差や取り付け時の誤差により直径方向に歪む場合がある。この場合、機械結合部であるターンテーブル1回転でN周期の誤差が発生(Nは自然数)する。この誤差は、ターンテーブルが1回転すると元に戻るのでN周期の誤差となる。
【0040】
例えば、1本のリニアスケールに3個のリニアスケールヘッドを取り付けて位置を検出する場合、サーボアンプ3経由でリニアスケールから検出する検出位置情報X1の真値をθ[rad]、誤差に相当する微小値をδとし、リニアスケールに1周期の誤差が出るとすると、X1=θ+δsin(θ)となる。
また、このリニアスケール円周上に120度(2π/3)毎にそれぞれリニアスケールヘッドを配置すれば、サーボアンプ4の検出位置情報X2、サーボアンプ17の検出位置情報X3は、X2=θ+δsin(θ―2π/3)、X3=θ+δsin(θ―4π/3)となる。ここで、3個のリニアスケールヘッドは120度ずつ配置がずれているが、3つのモータで原点位置を共通の1つにすれば、真値θの値は同じにできるため、1周期の誤差は物理的な位置に依存し、θから120度、240度ずれた値となる。
【0041】
本発明の第3の実施形態に係る同期制御装置における位置情報演算部23は、式(3)で作業位置情報122を平均化演算する。
(作業位置情報122)
=((検出位置情報131)+(検出位置情報141)+(検出位置情報171))/3 ・・・ (3)
また、式(3)は式(4)で表される。
(作業位置情報122)
=θ+δ(sin(θ)+sin(θ―2π/3)+sin(θ―4π/3)) ・・・ (4)
ここで、sin(θ)+sin(θ―2π/3)+sin(θ―4π/3)=0であるから、(作業位置情報122)=θとなり、作業位置情報122は誤差のない真値として求められる。
円弧状のリニアモータの個数がm個の場合は、360/m度=2π/m毎にリニアスケールヘッドを配置すればよく、位置情報演算部23ではm個の平均化演算を行えばよい。
【0042】
このように、本発明の第3の実施形態に係る同期制御装置は、サーボアンプ3,4,17内に構成した位置制御系とは別に、指令器2で他の位置制御系を備えるものである。指令器2内の位置制御部22は積分演算を含むため、位置指令生成部21が出力する内部位置指令121に対して作業位置情報122が位置ずれなく追従または位置決め動作を行うことができる。また、位置情報演算部23の平均化演算により、リニアスケールの取付け誤差により発生する1回転でN周期(Nは自然数)の誤差を低減することができる。
【0043】
図5は、第3の実施形態における速度およびトルクのシミュレーション波形を示す図である。図において、上段は速度波形、下段はトルク波形、縦軸は各振幅、横軸は時間軸である。この場合、位置決め動作後の停止時(時間軸16以降)の無効反力に相当する推力は約0.1[p−p]程度であり、加減速時(時間軸0から3)の最大推力振幅(0.5程度)の約20%程度である。3軸の場合においても無効反力が少ないことが分かる。
【0044】
このように、第3の実施形態によれば、同期制御する軸を容易に増やすことができ、各軸の無効反力も少なく抑えることができる。第1乃至3の従来の同期制御装置では、同期制御する軸数が増えるにつれて、軸間の制御構成が複雑となり、制御ゲイン等の調整も複雑であった。一方、第3の実施形態によれば、N軸(NはN>1の自然数)に対する同期制御系を構成する際、N軸分の同一制御系のサーボアンプ(例えば、汎用のサーボアンプ)を準備すればよい。
【0045】
N軸を同期制御する本発明の第3の実施形態に係る同期制御装置(2軸の場合は本発明の第1の実施形態に係る同期制御装置)は、例えば、プレス機械や射出成型機等の産業機械に適用可能である。
2台のモータと1枚の駆動歯車とをカップリング結合させた機構のプレス機械や射出成型機等の産業機械の場合、このカップリングが剛体の場合、一方の軸のモータのみを位置制御して他方のモータを連れ回しても、双方のモータのエンコーダ回転角度は一致するため、本発明の第1または3の実施形態に係る同期制御装置を適用できる。
一方、このカップリングの剛性が低い場合、駆動歯車の回転角度と2軸のモータ回転角度と必ずしも一致しないため、指令器内の位置情報演算部で式(5)の演算を行なう。
駆動歯車の回転角度=1軸目モータ回転角度+(ねじりモーメント÷ねじり剛性×1軸目エンコーダから駆動歯車までの距離) ・・・ (5)
このようにして駆動歯車の回転角度を作業位置情報とすれば、駆動歯車の回転角度を指令位置に追従させることができるため、本発明の第1または3の実施形態に係る同期制御装置を適用できる。
なお、ねじりモーメントは1軸目モータのトルクによって与えられ、ねじり剛性はカップリングの材質や形状によって与えられる。また、1軸目エンコーダから駆動歯車までの距離はモータを機械に組み付けた時点で幾何的に決定される。
【0046】
また、N軸を同期制御する本発明の第3の実施形態に係る同期制御装置(2軸の場合は本発明の第1の実施形態に係る同期制御装置)は、例えば、ワイヤソー送り出し軸とワイヤソー巻き取り軸の同期制御(ワイヤソーの基準位置からの送り出し量を外部センサによって計測し、この計測値を指令器へのフィードバック位置とする)、フィルム送り出し軸とフィルム巻き取り軸の同期制御(フィルムの基準位置からの送り出し量を外部センサによって計測し、この計測値を指令器へのフィードバック位置とする)にも適用可能である。
【実施例4】
【0047】
次に、本発明の第4の実施形態について図を参照して説明する。
本発明の第1の実施形態に係る同期制御装置は、サーボアンプ3,4における速度制御部32,42が比例制御のみであるため、サーボアンプ3、4の検出位置情報131,132は、位置決め完了時点で新たな位置指令125との差が出る場合がある。
本発明第1の実施形態では、作業位置情報122を位置決めする、すなわち内部位置指令121と作業位置情報122とを一致させることが目的のため、サーボアンプ3、4の検出位置情報131,132と位置決め完了時点の新たな位置指令125との差は問題ない。しかしながら、機械結合部9の剛性が低い場合や粘性摩擦が大きい場合等には、この差が大きくなる。この場合、サーボアンプ3,4における速度制御部32,42の制御系を不完全積分に変更することで、この差を少なくすることができる。
【0048】
図9は、本発明の第4の実施形態に係る同期制御装置における速度制御部(比例+不完全積分)のブロック図である。本発明の第4の実施形態に係る同期制御装置は、本発明の第1の実施形態に係る同期制御装置における各サーボアンプ3,4内の速度制御部32,42を、図9の速度制御部に置き換えるものである。
不完全積分の場合、不完全積分率を大きくすると比例制御に近づき、小さくすると積分制御に近づく。そのため、機械剛性が低い場合などは、モータトルクや推力での無効反力成分が小さいので、許容範囲内で不完全積分率を小さく調整すればよい(不完全積分率を小さくすると、この差は小さくなるが、無効反力が大きくなる。不完全積分率を大きくすると逆の動作となる)。
【0049】
更に、本発明の第1乃至3の実施形態に係る同期制御装置は、前述した構成にすることにより、N軸同期制御(Nは軸数であり、N>1の自然数)において、加減速時における各軸のトルク(推力)をバランスさせることができる。このことは、図2,5(第1,3の実施形態における速度およびトルクのシミュレーション波形)と、図10、12,14(第1乃至3の従来技術の同期制御装置における速度およびトルクのシミュレーション波形)とを比較すれば分かる。
また、本発明の第1乃至3の実施形態に係る同期制御装置は、前述した構成にすることにより、機械の実際の作業位置を位置指令に追従させることができる。
【0050】
なお、本発明の第1乃至4の実施形態に係る同期制御装置は、指令器、サーボアンプそれぞれに位置制御系を有する構成を例として挙げたが、指令器およびサーボアンプが一体となる装置であっても、同様な作用効果を奏するものである。
また、外部からの位置指令を入力する装置であって、同様な2つの位置制御系を有する装置であってもよい。
【実施例5】
【0051】
次に、本発明の第5の実施形態について図を参照して説明する。
図6のようなガントリ機構を備えた工作機械などでは、X, Y方向への単独の位置決め動作だけではなく、X軸とY軸を円弧補間動作して軌跡を制御することもできる。例えば、X軸を正弦波形でY軸を余弦波形とすることで円弧補間動作ができる。
工作機械用途における同期制御装置の制御系は、位置比例・速度積分比例制御系とすることが多い。ここで、図6のY軸は単軸駆動であるから、この制御系(位置比例・速度積分比例制御)とし、X軸はツイン駆動であるから、本発明の第1の実施形態と同様に図1のブロック図に示す同期制御装置を適用すればよい。ただし、制御系のバランスをとる意味で、ツイン駆動のX軸において図1における位置制御部22は、内部位置指令121と作業位置情報122との偏差を入力して積分制御演算し、新たな位置指令信号125を位置情報伝送路126を介してサーボアンプ3,4に出力する構成とすることで位置積分比例・速度比例制御系とする。
【0052】
図17は本発明の第5の実施の形態における通常ゲイン設定時の円弧補間動作波形図、図18は本発明の第5の実施の形態に係るゲイン設定時の円弧補間動作波形図である。図において、X軸方向にsin関数の位置指令を入力し、Y軸方向にcos関数の位置指令を入力したときの位置指令と検出位置情報をプロットしたものであって、横軸がX軸、縦軸がY軸、実線が検出位置情報、一点鎖線が位置指令である。
円弧補間動作を行う場合、通常通りにX軸とY軸の制御系の対応するゲイン設定を同じにした場合、図17に示すように軌跡が歪み、X軸方向に長い楕円となる問題がある。すなわち、位置指令に対して検出位置情報が追従しない。
【0053】
この問題を解決するために、ゲイン設定式を導く必要がある。
ツイン駆動のX軸において、位置積分比例・速度比例制御系の位置指令から検出位置情報までの伝達関数をまとめると式(6)で表される。
【0054】
【数1】

【0055】
一方、単軸駆動のY軸において、位置比例・速度積分比例制御系の位置指令から検出位置情報までの伝達関数をまとめると式(7)で表される。
【0056】
【数2】

【0057】
ここで、式(6)と式(7)が一致すれば、円弧補間動作における位置指令に対して検出位置情報は一致する。特に、伝達関数の応答特性を決定するのは特性多項式と呼ばれる伝達関数の分母であるので、式(6)と式(7)の分母における各係数が一致するようにゲイン設定値を決定すればよく、式(8)および(9)を満足すればよい。
Kp1Kv=Kv/Ti ・・・ (8)
Kp1Kv/Tir=KpKv/Ti ・・・ (9)
【0058】
すなわち、式(8)より
Kp1=1/Ti ・・・ (10)
であり、式(10)を式(9)に代入して、
Tir=1/Kp ・・・ (11)
である。このとき、式(6)と式(7)の分子も一致する。
【0059】
このように式(10)と式(11)から求められるゲイン設定値を使用した場合、図18を見れば、図17に示した軌跡の歪みは改善されて位置指令に対して検出位置情報が追従していることがわかる。
【実施例6】
【0060】
次に、本発明の第6の実施形態について図を参照して説明する。
第5の実施形態では、ツイン駆動のX軸において図1における位置制御部22は位置積分比例・速度比例制御系としたが、位置比例積分・速度比例制御系であっても同様の効果を得ることは可能である。その場合、式(10)および式(11)とは異なるゲイン設定式を使用する必要がある。
【0061】
ツイン駆動のX軸において、位置比例積分・速度比例制御系の位置指令から検出位置情報までの伝達関数をまとめると式(12)で表される。
【0062】
【数3】

【0063】
一方、単軸駆動のY軸において、位置比例・速度比例積分制御系の位置指令から検出位置情報までの伝達関数をまとめると式(13)で表される。
【0064】
【数4】

【0065】
ここで、式(12)と式(13)が一致すれば、円弧補間動作における位置指令に対して検出位置情報は一致する。特に、伝達関数の応答特性を決定するのは特性多項式と呼ばれる伝達関数の分母であるので、式(12)と式(13)の分母における各係数が一致するようにゲイン設定値を決定すればよく、式(14)および(15)を満足すればよい。
2Kp1Kv=Kv/Ti+KpKv ・・・ (14)
Kp1Kv/Tir=KpKv/Ti ・・・ (15)
【0066】
すなわち、式(14)より
Kp1=1/(2Ti)+Kp/2 ・・・ (16)
であり、式(16)を式(15)に代入して、
Tir=1/(2Kp)+Ti/2 ・・・ (17)
である。
【0067】
しかし、第5の実施形態とは異なり、式(16)および式(17)を満足するだけでは、式(12)と式(13)の分子は一致せず、若干ではあるがX, Y軸の位置指令に対する検出位置情報も一致しない。分子も含めて伝達関数を一致させるためには、式(16)および式(17)に加えて次式(18)を満足する必要がある。
Ti=1/Kp ・・・ (18)
【0068】
図19は本発明の第6の実施の形態における通常ゲイン設定時の円弧補間動作波形図、図20は本発明の第6の実施の形態に係るゲイン設定時の円弧補間動作波形図である。図において、X軸方向にsin関数の位置指令を入力し、Y軸方向にcos関数の位置指令を入力したときの位置指令と検出位置情報をプロットしたものであって、横軸がX軸、縦軸がY軸、実線が検出位置情報、一点鎖線が位置指令である。
このように式(10)と式(11)から求められるゲイン設定値を使用した場合、図18を見れば、図17に示した軌跡の歪みは改善されて位置指令に対して検出位置情報が追従していることがわかる。
このように式(16)〜式(18)から求められるゲイン設定値を使用した場合、図20を見れば、図19に示した軌跡の歪み(X軸方向へ長い楕円)は改善されて位置指令に対して検出位置情報が追従していることがわかる。
【実施例7】
【0069】
次に、本発明の第7の実施形態について図を参照して説明する。
図1における新たな位置指令125に対する検出位置情報131,141の検出遅れが数ms程度の小さい場合、第5の実施形態の図18に示したように、式(10)と式(11)から求められるゲイン設定値を使用すれば、図17に示した軌跡の歪みは改善されて位置指令に対して検出位置情報が追従する。
【0070】
しかし、図1における新たな位置指令125に対する検出位置情報131,141の検出遅れが十数ms程度に大きい場合、検出位置情報は大きく歪む。第5の実施形態の単軸駆動のY軸における位置比例・速度積分比例制御系の場合、この検出位置情報の検出遅れが位置指令のみに入るのに対して、ツイン駆動のX軸における位置積分比例・速度比例制御系の場合、位置指令125および検出位置情報131,141に入ることになるため、この検出位置情報の検出遅れが大きくなり、制御ループ中の伝達関数の誤差が顕著になってくるためである。
【0071】
図21は遅れが大きい場合の本発明の第5の実施の形態に係るゲイン設定時の円弧補間動作波形図、図22は本発明の第7の実施の形態に係る円弧補間動作波形図である。
また、図23は本発明の第7の実施形態に係る同期制御装置のブロック図、図24は本発明の第7の実施形態に係る位置オブザーバの制御ブロック図、図25は本発明の第7の実施形態に係る位置オブザーバの他の制御ブロック図である。
図23における同期制御装置12の構成において、図1における同期制御装置1と異なる部分は、ツイン駆動のX軸のサーボアンプ3,4に対して更に単軸駆動のY軸のサーボアンプ200およびモータ211、エンコーダ212の構成を追加した部分、指令器2内における位置オブザーバ24の構成を追加した部分である。なお、図1と同一の符号を付した構成要素は、その作用効果が同一のため詳細な説明を省略する。
【0072】
上記した検出位置情報の検出遅れが大きくなる問題は、位置偏差124と作業位置情報122を入力し、遅れを補償した新たな検出位置情報123を出力する位置オブザーバ24を作成することで回避でき、この位置オブザーバ24は、例えば図24や図25のように構成できる。この場合の円弧補間動作波形図が図22であり、第5の実施の形態と同様、図21に示した軌跡の歪みは改善されて位置指令に対して検出位置情報が追従していることがわかる。
【0073】
なお、位置オブザーバ24は、第6の実施の形態であっても同様に作用効果を発揮する。
また、第5乃至7の実施の形態では、X軸をツイン駆動とするガントリ機構を備えた工作機械として説明しているが、可動テーブルが幅広な超大型機械のようにX軸を3軸以上の複数軸駆動としても、同様に作用効果を発揮する。
特に、第7の実施の形態における位置オブザーバ24は、位置情報演算部23で複数軸の検出位置情報を演算した作業位置情報122と位置偏差124とを位置オブザーバ24に入力して作業位置情報122を演算して出力しているため、ツイン軸から複数軸となっても設計変更が不要という効果もある。さらに、本発明の第2の実施形態(図3)に示したレーザ干渉計を使用してフィードバックを行なう場合も同様に作用効果を発揮する。
【符号の説明】
【0074】
・ 10,11,12 同期制御装置
2,14 指令器
21 位置指令生成部
22 位置制御部
23 位置情報演算部
24 位置オブザーバ
3,4,15,16,17,200 サーボアンプ
31,41,201 位置制御部
32,42,202 速度制御部
33,43,203 速度演算部
34,44,204 電流制御部
5,6,18,211 モータ
7,8,19,212 エンコーダ
9,105,106 機械結合部
121 内部位置指令
122 作業位置情報
123 新たな作業位置情報
124 位置偏差
125 新たな位置指令
126 位置情報伝送路
131,141,171,251 検出位置情報
191 外乱トルク(反力)
10,11 ガイド
12 リニアスケール
13 ヘッド
51,52 モータ固定子(磁石)
53,54 モータ可動子
101 レーザ干渉計
102 シリアル変換器
103 SIN/COS信号
104 シリアル通信


【特許請求の範囲】
【請求項1】
2台のモータと、前記2台のモータの位置情報をそれぞれ検出する2台の位置検出器と、前記2台のモータの可動軸を互いに締結する機械結合部と、から構成されるガントリ機構である制御対象に対して前記2台のモータを同期制御する同期制御装置であって、
位置指令を生成する位置指令生成部と、前記位置情報に基づいてXY軸座標系である作業位置を演算して前記位置指令と前記作業位置の一方の軸座標系位置との差に基づいて新たな位置指令を演算する第1の位置制御系と、を有する指令装置と、
前記新たな位置指令と前記位置情報との差に基づいてモータを駆動する指令を演算する第2の位置制御系をそれぞれ有する2台のモータ制御装置と、を備えることを特徴とする同期制御装置。
【請求項2】
前記指令装置が、前記位置指令と前記作業位置の一方の軸座標系位置との差を比例積分制御する位置制御部と、前記2台のモータの軸間距離を1とした際、前記軸間距離中のある割合mに一方の前記位置情報を乗じた値と、残りの割合(1−m)に他方の前記位置情報を乗じた値とを加算して前記作業位置の一方の軸座標系位置を演算する位置情報演算部と、を構成する前記第1の位置制御系を有することを特徴とする請求項1に記載の同期制御装置。
【請求項3】
前記モータ制御装置が、前記新たな位置指令と前記位置情報との差を比例制御して速度指令を演算する位置制御部と、前記位置情報を入力して速度情報を演算する速度演算部と、前記速度指令と前記速度情報との差を比例制御する速度制御部と、を備える前記第2の位置制御系を有することを特徴とする請求項1または2に記載の同期制御装置。
【請求項4】
前記モータ制御装置が、前記新たな位置指令と前記位置情報との差を比例制御して速度指令を演算する位置制御部と、前記位置情報を入力して速度情報を演算する速度演算部と、前記速度指令と前記速度情報との差を比例および不完全積分制御する速度制御部と、を備える前記第2の位置制御系を有することを特徴とする請求項1または2に記載の同期制御装置。
【請求項5】
2台のモータと、前記2台のモータの位置情報をそれぞれ検出する2台の位置検出器と、前記モータの可動軸を互いに締結する機械結合部と、から構成されるガントリ機構である制御対象に対して前記2台のモータを同期制御する同期制御装置であって、
XY軸座標系である作業位置を計測する位置計測装置と、
位置指令を生成する位置指令生成部と、前記位置指令と前記作業位置の一方の軸座標系位置との差に基づいて新たな位置指令を演算する第1の位置制御系を有する指令装置と、
前記新たな位置指令と前記位置情報との差に基づいてモータを駆動する指令を演算する第2の位置制御系を有する第1および第2のモータ制御装置と、
前記作業位置の一方の軸座標系位置を入力して前記指令装置に出力する第3のモータ制御装置と、を備え、
前記第3のモータ制御装置が、前記第2の位置制御系を有する前記第1および第2のモータ制御装置と同一機能を備えるものであることを特徴とする同期制御装置。
【請求項6】
前記指令装置が、前記位置指令と前記作業位置の一方の軸座標系位置との差を比例積分制御する位置制御部と、前記作業位置の一方の軸座標系位置を介する位置情報演算部と、を備える前記第1の位置制御系を有することを特徴とする請求項5に記載の同期制御装置。
【請求項7】
前記第1および第2のモータ制御装置が、前記新たな位置指令と前記位置情報との差を比例制御して速度指令を演算する位置制御部と、前記位置情報を入力して速度情報を演算する速度演算部と、前記速度指令と前記速度情報との差を比例制御する速度制御部と、を備える前記第2の位置制御系を有することを特徴とする請求項5または6に記載の同期制御装置。
【請求項8】
前記第1および第2のモータ制御装置が、前記新たな位置指令と前記位置情報との差を比例制御して速度指令を演算する位置制御部と、前記位置情報を入力して速度情報を演算する速度演算部と、前記速度指令と前記速度情報との差を比例および不完全積分制御する速度制御部と、を備える前記第2の位置制御系を有することを特徴とする請求項5または6に記載の同期制御装置。
【請求項9】
複数台のモータと、前記複数台のモータの位置情報をそれぞれ検出する複数台の位置検出器と、前記複数台のモータの可動軸を互いに締結する機械結合部と、から構成される円弧軌道機構である制御対象に対して複数の前記モータを同期制御する同期制御装置であって、
位置指令を生成する位置指令生成部と、複数の前記位置情報に基づいて前記機械結合部の角度である作業位置を演算して前記位置指令と前記作業位置との差に基づいて新たな位置指令を演算する第1の位置制御系と、を有する指令装置と、
前記新たな位置指令と前記位置情報との差に基づいてモータを駆動する指令を演算する第2の位置制御系をそれぞれ有する複数のモータ制御装置と、を備え、
複数の前記モータを駆動する指令に応じて前記複数のモータを同期制御することを特徴とする同期制御装置。
【請求項10】
前記指令装置が、前記位置指令と前記作業位置との差を比例積分制御する位置制御部と、全ての前記位置情報を平均化演算して前記作業位置を演算する位置情報演算部と、を備える前記第1の位置制御系を有することを特徴とする請求項9に記載の同期制御装置。
【請求項11】
前記モータ制御装置が、前記新たな位置指令と前記位置情報との差を比例制御して速度指令を演算する位置制御部と、前記位置情報を入力して速度情報を演算する速度演算部と、前記速度指令と前記速度情報との差を比例制御する速度制御部と、を備える前記第2の位置制御系を有することを特徴とする請求項9または10に記載の同期制御装置。
【請求項12】
前記モータ制御装置が、前記新たな位置指令と前記位置情報との差を比例制御して速度指令を演算する位置制御部と、前記位置情報を入力して速度情報を演算する速度演算部と、前記速度指令と前記速度情報との差を比例および不完全積分制御する速度制御部と、を備える前記第2の位置制御系を有することを特徴とする請求項9または10に記載の同期制御装置。
【請求項13】
2台のモータと、前記2台のモータの位置情報をそれぞれ検出する2台の位置検出器と、前記2台のモータの可動軸を互いに締結する機械結合部と、から構成されるガントリ機構である制御対象に対して前記2台のモータを同期制御する同期制御装置であって、
前記位置情報に基づいてXY軸座標系である作業位置を演算し、外部から入力される位置指令と前記作業位置の一方の軸座標系位置との差に基づいて新たな位置指令を演算する第1の位置制御系と、
前記新たな位置指令と前記位置情報との差に基づいてモータを駆動する指令をそれぞれ演算する第2の位置制御系と、を備えることを特徴とする同期制御装置。
【請求項14】
前記第1の位置制御系が、前記位置指令と前記作業位置の一方の軸座標系位置との差を比例積分制御すると共に、
前記2台のモータの軸間距離を1とした際、前記軸間距離中のある割合mに一方の前記位置情報を乗じた値と、残りの割合(1−m)に他方の前記位置情報を乗じた値とを加算して前記作業位置の一方の軸座標系位置を演算するものであることを特徴とする請求項13に記載の同期制御装置。
【請求項15】
前記第2の位置制御系が、前記新たな位置指令と前記位置情報との差を比例制御して速度指令を演算する位置制御部と、前記位置情報を入力して速度情報を演算する速度演算部と、前記速度指令と前記速度情報との差を比例制御する速度制御部と、を備えるものであることを特徴とする請求項13または14に記載の同期制御装置。
【請求項16】
前記第2の位置制御系が、前記新たな位置指令と前記位置情報との差を比例制御して速度指令を演算する位置制御部と、前記位置情報を入力して速度情報を演算する速度演算部と、前記速度指令と前記速度情報との差を比例および不完全積分制御する速度制御部と、を備えるものであることを特徴とする請求項13または14に記載の同期制御装置。
【請求項17】
複数台のモータと、前記複数台のモータの位置情報をそれぞれ検出する複数台の位置検出器と、前記複数台のモータの可動軸を互いに締結する機械結合部と、から構成される制御対象を駆動する第1軸と、
単数台のモータと、前記単数台のモータの位置情報を検出する単数台の位置検出器と、前記単数台のモータの可動軸を締結する機械締結部と、から構成される制御対象を駆動する第2軸と、
位置指令を生成して前記位置指令に基づいて、前記第1軸と前記第2軸とをXY軸座標系の円弧補間動作させる指令装置と、を備えた同期制御装置であって、
前記第1軸が位置積分比例・速度比例制御系を、前記第2軸が位置比例・速度積分比例制御系を構成し、
前記第1軸における位置比例ゲイン(Kp1)を、前記第2軸のおける速度積分時間(Ti)の逆数に一致するように設定すると共に、
前記第1軸における位置積分時間(Tir)を、前記第2軸のおける位置比例ゲイン(Kp)の逆数に一致するように設定することを特徴とする同期制御装置。
【請求項18】
前記第1軸が位置比例積分・速度比例制御系を、前記第2軸が位置比例・速度比例積分制御系を構成し、
前記第1軸における位置比例ゲイン(Kp1)を、前記第2軸のおける速度積分時間(Ti)の逆数の1/2と前記第2軸のおける位置比例ゲイン(Kp)の1/2との和に一致するように設定すると共に、
前記第1軸における位置積分時間(Tir)を、前記第2軸のおける位置比例ゲイン(Kp)の逆数の1/2と前記第2軸のおける速度積分時間(Ti)の1/2との和に一致するように設定し、
更に、前記第2軸のおける速度積分時間(Ti)を、前記第2軸のおける位置比例ゲイン(Kp)の逆数に一致するように設定することを特徴とする請求項17に記載の同期制御装置。
【請求項19】
前記指令装置が、前記複数台の位置検出器がそれぞれ検出した検出位置情報を入力し作業位置情報を演算して出力する位置情報演算部と、
前記作業位置情報と位置偏差とを入力し新たな作業位置情報を演算して出力する位置オブザーバと、
前記位置指令から前記新たな作業位置情報を減算して前記位置偏差を出力する減算器と、を有し、
前記位置偏差に基づいて、前記第1軸と前記第2軸とをXY軸座標系の円弧補間動作させることを特徴とする請求項17または18に記載の同期制御装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−165163(P2011−165163A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−167089(P2010−167089)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】