説明

吸着式酸素濃縮器

【課題】高圧力異常時には確実に運転停止するとともに、安全性を害さない異常発生時には運転を継続する酸素濃縮器を提供する。
【解決手段】モータ系異常が生じた場合(ステップS1)、まずモータの運転を停止する事によりコンプレッサの運転を停止する(ステップS2)。次に圧力センサによって配管内に圧力異常が生じていないかを確認し(ステップS3)、所定以上の高圧がかかっていた場合は安全上の問題が生じかねないため酸素濃縮器を停止(ステップS12)させるとともに異常を報知(ステップS13)し、異常履歴をデータ記憶用メモリに記録する(ステップS14)。一方、配管内に圧力異常が生じていない(ステップS3)場合であって他の要件を満たせばコンプレッサを再起動させ、酸素濃縮器の運転を継続させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着式酸素濃縮器に関する。より特定的には、安全性に影響する異常発生時には運転を停止し、それ以外の異常発生時には可能な限り運転を継続できる吸着式酸素濃縮器に関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸器疾患などの患者が自宅で酸素を吸入する在宅酸素療法のために使われる酸素濃縮器として、吸着式(PSA式)のものが主に用いられている。この吸着式(PSA式)酸素濃縮器は次のような方法で酸素濃縮空気をユーザに供給する。まず外気をコンプレッサにより圧縮し、窒素を吸着する吸着材を充填した吸着筒に送る。この圧縮空気中の窒素を吸着筒内の吸着材により吸着して、相対的に酸素濃度の上昇した酸素濃縮空気をユーザに供給する。このときの酸素濃縮空気の酸素濃度や供給量および圧力をセンサで測定し、その結果に応じて制御手段がモータ駆動用ドライバ回路(以下単にドライバとする)を通じてコンプレッサを駆動するモータを制御する。
【0003】
かかる吸着式酸素濃縮器に使用するモータには、効率が高く、ノイズの発生しにくいDCブラシレスモータが一般的に用いられる。このDCブラシレスモータを駆動する際にはモータの回転部分(ロータ)の位置をドライバが認識する必要があるが、ロータ位置の検出のために特別のセンサを持たないセンサレスタイプのDCブラシレスモータも多く用いられる。このセンサレスタイプのDCブラシレスモータにおいては、ドライバは同モータへの供給電圧を測定し、その変化よりロータ位置を検出する。したがって、ロータ位置検出用のセンサが不用になり、その結果センサから配線を出す必要もなく、小型化や設計の容易化にも資する。しかし、検出する供給電圧の変化は微小なため、ロータ位置の検出精度はノイズにより大きく影響をうけ、ノイズが大きすぎると検出不能となる。すなわち、センサレスタイプのDCブラシレスモータは特にノイズに弱く、ノイズによりロータ位置検出不能などの異常が偶発的に生じることがある。
【0004】
ここで、モータまたはドライバの異常を制御手段が検出すると、同制御手段は即座に酸素濃縮器の運転を停止させ、ブザーやLED等によりユーザに異常を報知し、メーカへの連絡をユーザに促す。かかる異常処理をすることで、モータまたはドライバの故障あるいは故障に繋がる重大な異常が生じた場合にも、異常又は故障レベルを最小化でき、また、異常又は故障が他の箇所へ波及することを回避することができる。
【0005】
ところが、上記のような異常処理が行なわれると、ユーザの連絡を受けたメーカによる対応がなされるまで、酸素濃縮器の運転が停止される。医療機器である酸素濃縮器がメーカ対応までの長時間運転停止することは、ユーザにとって大きな問題である。一方、メーカにとっても頻繁にクレームが発生することとなると、その対応コストが大きな負担となる。特に、センサレスタイプのDCブラシレスモータを使った酸素濃縮器においては、ノイズによる異常停止が上述のように容易に起こりうるため、特に問題となる。また、酸素濃縮器は持ち運びするものであり、小型化の要請が強い。そのため酸素濃縮器の各構成部分が近接して設計されており、互いに輻射ノイズの影響を受けやすいため、運転停止が頻繁に起きる蓋然性が強い。
【0006】
そこで、モータまたはドライバの異常が、故障または故障に繋がる重大な異常によるものであるのか、ノイズ等が原因で発生する偶発的な異常、例えば上述のロータ位置検出不良等であるのか区別し、後者であれば短時間の停止の後、自動的に再起動することが望ましい。そのため、例えば、特許文献1には次のような処理をするコンプレッサ制御装置が紹介されている。すなわち、コンプレッサの異常を検出した場合には、制御手段はコンプレッサを異常停止させ、異常が解除された後に自動的に再起動させる。このとき、制御手段は異常検出回数をカウントしておく。この異常検出回数が所定回数に到達した場合、制御手段はコンプレッサを異常停止させた後、異常が解除されても再起動させない。故障または故障に繋がる重大な異常が起こっている可能性があるためである。更にある異常発生から次に生じた異常発生までの時間を計時し、当該時間が所定時間以上経過すれば異常検出回数をクリアするという方法も示されている。
【特許文献1】特開平10−169569号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、PSA式酸素濃縮器はコンプレッサにより圧縮空気を発生させているため、機器内で異常な高圧力が生じることがある。異常な高圧力の生じた場合に無条件に再起動させることは、特に吸着式酸素濃縮器が主に屋内で使われることを考慮すると、問題となる。
【0008】
また、酸素濃縮器は医療機器としての性質上、無停止であることが強く求められ、異常検出回数が所定値になると無条件に再起動できなくなることも問題となる。
【0009】
本発明は、異常な高圧力発生時には確実に運転停止するとともに、安全性を害さない異常発生時には運転を継続する酸素濃縮器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかる吸着式酸素濃縮器は、DCブラシレスモータにより駆動されるコンプレッサと、前記DCブラシレスモータの運転を制御するモータ駆動用ドライバ回路と、窒素を選択的に吸着する吸着剤を充填した吸着筒とを有し、前記コンプレッサにより、外気を吸引圧縮し、外気中の窒素を前記吸着筒中の前記吸着剤で除去する事により、相対的に酸素濃度を高めた酸素濃縮空気を供給する吸着式酸素濃縮器である。そして、少なくとも前記モータ駆動用ドライバ回路の異常と、前記DCブラシレスモータの異常と、前記コンプレッサのその他の異常と、該吸着式酸素濃縮器内の圧力とを検出する異常検出手段と、異常が発生したことを知らせる異常報知手段と、前記異常検出手段により検出された結果に基づく判断により該吸着式酸素濃縮器の運転を制御する制御手段とを備える。更に、前記異常検出手段が前記モータ駆動用ドライバ回路の異常または前記DCブラシレスモータの異常または前記コンプレッサのその他の異常のいずれかを検出したときには、前記制御手段がコンプレッサの運転を停止し、前記圧力が敷居値以上の場合には、該吸着式酸素濃縮器の運転を停止させるともに前記異常報知手段を作動させ、前記圧力が敷居値未満の場合には、前記コンプレッサを再起動させることを特徴とする。
【0011】
この構成によると吸着式酸素濃縮器内の圧力が敷居値を超え、故障波及の危険や安全上の問題が生じかねない場合には異常が報知され、かつ吸着式酸素濃縮器が運転停止する。したがって、この吸着式酸素濃縮器は重大故障や安全上の問題の発生を有効に抑制している。また、圧力が敷居値を超えない場合には故障波及の危険や安全上の問題が生じないと判断し、コンプレッサを再起動する事により、酸素濃縮器の運転を継続する。これによって、偶発的または軽微な故障の際には酸素濃縮器の運転を停止させることがない。
【0012】
ここで、上記敷居値は故障波及の危険や安全上の問題が生じない範囲内で合目的に定められる。具体的には圧力による故障、例えば、配管やチューブのはずれや破損、各種弁の破損などが生じない範囲内で、必要な安全率を見込んで定められる。また、前記モータ駆動用ドライバ回路の異常、前記DCブラシレスモータの異常、前記コンプレッサのその他の異常、にはそれぞれの周辺機器の異常も含まれる。例えばDCブラシレスモータやコンプレッサやモータ駆動用ドライバ回路に接続されている電源からの配線および信号配線等の異常も含まれる。更に、当然のことながら、ここでいう再起動とは制御手段により行なわれる再起動を指し、酸素濃縮器停止後における手動の再起動は含まない。
【0013】
また、本発明にかかる吸着式酸素濃縮器は、前記制御手段が、運転開始からコンプレッサが再起動された回数を測定する再起動回数計測装置を備え、前記再起動回数計測装置に記録された再起動回数が所定回数以上である場合には、前記制御手段が、前記異常報知手段を作動させることを特徴とすることが好ましい。
【0014】
この構成によると、再起動回数が、酸素濃縮器を所定値に至ると、制御手段が、運転を継続したまま異常報知手段のみ作動させる。これによって酸素濃縮器が停止する前になんらかの異常が生じていることをユーザが知ることができる。このとき運転は停止しないので、ユーザの不利益は最小限に留まる。なお、上記所定値は偶発的原因による異常発生が連続して起こる回数を算術的・実験的又は経験的に算定し、必要な安全率を見込んで定められる。
【0015】
また、本発明にかかる吸着式酸素濃縮器は、前記再起動回数計測装置に記録された再起動回数が、前記所定回数より大きい第2の所定回数を超えた場合、前記制御手段が、該吸着式酸素濃縮器の運転を停止させるともに前記異常報知手段を作動させることが好ましい。
【0016】
上述のように、再起動が何度も起きる場合、すなわち異常が何度も起きる場合にはかかる異常は偶発的なものではなく、根本的異常発生理由があると考えられる。異常報知手段を作動した後もその状況が継続する場合は、ユーザにより対応が取れないか、ユーザが異常報知を認識していない可能性が高い。かかる場合に異常が連続して起きることを放置すれば、やがて、故障の波及や、重大故障の発生、安全上の問題等が起きる蓋然性がある。上記構成によると再起動回数が所定値を超えた場合にも吸着式酸素濃縮器の運転を停止させるともに前記異常報知手段を作動させるので、異常報知手段が作動した後も異常発生が連続することを防止することができる。
【0017】
なお、上記第2の所定値は故障波及の危険や安全上の問題が生じない範囲内で合目的に定められる。具体的には軽微な故障が生じたまま再起動を続け運転を継続した場合に故障の波及などの問題が生じうる再起動回数を実験的または経験的に算定し、必要な安全率を見込んで定められる。
【0018】
また、本発明にかかる吸着式酸素濃縮器は、前記異常検出手段が、酸素濃縮空気の酸素濃度および酸素濃縮空気流量を更に検出し、前記コンプレッサの前記停止直前の前記酸素濃縮空気の酸素濃度または前記酸素濃縮空気の流量が敷居値以下である場合にも、前記制御手段が該吸着式酸素濃縮器の運転を停止させるともに前記異常報知手段を作動させることが好ましい。
【0019】
酸素濃縮器として機能する最低限の敷居値を、供給する酸素濃縮空気の酸素濃度および酸素濃縮空気流量が超えなければ、運転を続けても実益がない。またかえって故障の波及や、重大故障の発生、安全上の問題等が起きる蓋然性が生じうる。上記構成によれば、かかる場合には吸着式酸素濃縮器の運転を停止させるともに前記異常報知手段を作動させるため、無意味な運転を続けることによる2次的故障を防止し、かつユーザに異常を知らせることができる。
【0020】
なお、実質的に酸素濃縮空気を供給しているということができる酸素濃度および酸素濃縮空気流量を医学的見地又は経験的見地より算出し、かかる値に基づき上記敷居値を定めることができる。
【0021】
また、本発明にかかる吸着式酸素濃縮器は、前記制御手段が、異常発生の時間間隔を測定する異常発生間隔計測装置を更に備え、前記時間間隔が所定値以下で異常が発生し、かつその異常が所定回数以上連続して発生している場合にも、前記制御手段が、前記該吸着式酸素濃縮器の運転を停止させるともに前記異常報知手段を作動させることが好ましい。
【0022】
異常が短い時間間隔で続けて発生し、かつそれが繰り返される場合には、かかる異常は偶発的なものではなく、根本的異常発生理由があると考えられる。上記構成によると時間間隔が所定値以下で異常が発生し、かつその異常が所定回数以上連続して発生している場合にも、吸着式酸素濃縮器の運転を停止させるともに前記異常報知手段を作動させるので、根本的異常発生理由があると考えられる場合に運転を続ける事により故障を波及することを防止することができる。
【0023】
なお、上記時間間隔の所定値および異常発生の所定回数は故障波及の危険や安全上の問題が生じない範囲内で合目的に定められる。具体的には軽微な故障が生じたまま再起動を続けることにより運転を継続した場合に、故障が波及するなどの問題が生じうる時間間隔の所定値および所定回数を、実験的または経験的に算定し、必要な安全率を見込んで定められる。
【0024】
また本発明にかかる吸着式酸素濃縮器は、前記酸素濃縮空気の前記酸素濃度が所定値以下であれば、酸素濃度異常が生じたと判断し、前記制御手段が前記コンプレッサの運転を停止させる構成とし、かつ再起動後の一定期間内においては、前記酸素濃縮空気の前記酸素濃度にかかわらず、前記制御手段が前記コンプレッサの運転を継続させる構成とすることもできる。
【0025】
吸着式酸素濃縮器は、一旦コンプレッサを停止すると再起動後の一定期間において、酸素濃縮空気の酸素濃度が通常運転時より低くなる。これは吸着式酸素濃縮器の構造上当然に生じる現象であり、運転を継続する事により酸素濃度は回復する。しかし、酸素濃度が回復する前に酸素濃度異常としてコンプレッサを停止すれば、再起動時には再び酸素濃度が低くなるため、コンプレッサの再起動と停止を頻繁に繰り返す事になり、酸素濃度も回復しない。上記構成によれば、再起動後の一定期間においては、酸素濃縮空気の前記酸素濃度にかかわらず、前記制御手段が、該吸着式酸素濃縮器の運転を継続させるので、コンプレッサの再起動と停止を繰り返すことがない。
【0026】
ここで酸素濃縮空気の酸素濃度にかかる所定値は以下のように定められる値である。当該酸素濃縮器が問題となるような故障を生じていない状態で運転されているときであっても、発生する酸素濃縮空気の酸素濃度は吸着剤の正常な劣化や測定誤差により変化する。かかる正常な変化によって生じる酸素濃度の下限値を実験的または経験的に算出し、必要な安全率を見込んで上記所定値は決定される。また同所定値は上述した「酸素濃縮器として機能する最低限の敷居値」と同じでも良いが、通常は同所定値がより大きな値となる。また、上記一定期間については通常の運転状態においてコンプレッサの運転を一旦停止させた後に再度駆動させた場合において、酸素濃縮空気の酸素濃度が同所定値以上になる時間を実験的または経験的に算定し、必要な安全率を見込んで定められる。
【0027】
また、本発明にかかる吸着式酸素濃縮器は、異常発生時に異常の種別を記録する記録手段を更に備え、前記制御手段が、前記一定期間内に前記酸素濃度異常が生じたと判断したときは、前記一定期間外に前記酸素濃度異常が生じたと判断したときとは異なる種別に区別して前記記録手段に記録する構成とすることができる。
【0028】
この構成によると通常運転時の酸素濃縮空気の酸素濃度異常と区別して、再起動後の一定期間内に生じた酸素濃縮空気の酸素濃度の異常を記録できるので、異常履歴調査の際の利便性が向上する。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、高圧力異常時には確実に運転停止するとともに、安全性を害さない異常発生時には運転を継続する酸素濃縮器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
(第1の実施形態)
【0031】
以下、本発明を具体化した吸着式酸素濃縮器の一実施形態を図1〜図3にしたがって説明する。
【0032】
図1は第1の実施形態にかかる吸着式酸素濃縮器のブロック図である。この酸素濃縮器は、基本的には以下のように動作する。まず、コンプレッサ1により取り込まれ一定圧力に加圧された空気は、吸気弁21,22を介して第1吸着筒3、第2吸着筒4にそれぞれ送られる。なお、第1吸着筒3、第2吸着筒4にはそれぞれゼオライト等の空気中の窒素を吸着する吸着剤が充填されている。第1吸着筒3、第2吸着筒4において窒素が吸着される事により、相対的に酸素濃度の上昇した酸素濃縮空気はアキュムレータタンク5に貯蔵される。なお、コンプレッサ1はDCブラシレスモータ2により駆動される。もた、吸着筒3,4からアキュムレータタンク5への配管中に圧力センサ10を設け、吸着筒3,4の出口圧力を測定し、異常があれば、排気弁23,24が開放され、圧縮空気が排出される。
【0033】
アキュムレータタンク5に貯蔵された酸素濃縮空気が減圧弁6により所定の圧力に調整され、流量調整器7により設定された流量に調整された上で供給先(医療現場)に放出される。減圧弁6と流量調整器7との間の配管中には酸素濃度センサ11と酸素濃縮空気流量センサ12が備えられ、供給される酸素濃縮空気の酸素濃度と流量を監視している。
【0034】
図2はこの吸着式酸素濃縮器の制御手段およびその周辺装置の構成を説明するブロック図である。なお、図1と同一部分については同一符号を付した。
【0035】
制御手段であるマイクロコントローラ31はCPU32、演算用RAM33、プログラム格納用ROM34、異常発生間隔計測カウンタ35、再起動後運転時間カウンタ36および再起動回数カウンタ37を内蔵する。
【0036】
CPU32はプログラム格納用ROM34に格納された実行用プログラムにしたがって、演算用RAM33を用いて、この吸着式酸素濃縮器を制御する。後述の各種センサにより異常を検知した場合には発生時には異常発生間隔計測カウンタ35を作動させ、異常の発生間隔を計時する。コンプレッサ1の再起動を行なった場合には、再起動回数カウンタ37に記録された再起動回数を1増加させるとともに、再起動後運転時間カウンタ36の再起動後の運転時間を計時する。
【0037】
上記異常発生を始めとする各種信号をマイクロコントローラ31に送信する装置としては圧力センサ10、酸素濃度センサ11、酸素濃縮空気流量センサ12、設定操作部39、モータドライバ回路41がある。圧力センサ10は、第1第2吸着筒3,4とアキュムレータタンク5とを結ぶ配管中の圧力を測定し、マイクロコントローラ31に送信する。酸素濃度センサ11および酸素濃縮空気流量センサ12はユーザに供給される酸素濃縮空気の酸素濃度と流量を測定し、マイクロコントローラ31に送信する。設定操作部39は主電源スイッチや流量設定つまみ等を含み、ユーザやメーカなどが必要に応じて設定した信号をマイクロコントローラ31に送信する。モータドライバ回路41はDCブラシレスモータ2の運転および停止の状況や異常発生を示す信号などをマイクロコントローラ31に送信する。
【0038】
上記各種装置からの送信を受けて、マイクロコントローラ31はモータドライバ回路41を介してコンプレッサ1、異常報知手段38、各種表示部40、電磁弁6,21,22,23,24を制御する。なお、データ記憶用メモリ(EEPROM;データの消去と書き込みを行うことができるROM)42は異常の種類や回数、その後の処理方法などの履歴を保存する。
【0039】
異常が発生したことをユーザに伝え、メーカに連絡することを促す異常報知手段38としては例えばブザーやLED(発光ダイオード)が挙げられる。各種表示部40としては例えば各種設定内容や正常または異常であるとの表示、空気の流れの状態などを表示するパネル、LED、ディスプレイなどが挙げられる。
【0040】
コンプレッサ1はDCブラシレスモータ2によって駆動されており、DCブラシレスモータ2は直接的にはモータドライバ回路41により制御される。前述したようにDCブラシレスモータ2を駆動するためにはロータの位置を検出する必要があるが、そのための特段のセンサを設置せず、モータドライバ回路41がDCブラシレスモータ2への供給電圧を測定し、その変化よりロータ位置を検出するセンサレス方式を採用している。そのため、供給電圧にノイズが入るとロータ位置を検出できないためDCブラシレスモータ2を駆動できず、異常が発生することがある。
【0041】
上記ノイズの発生源としては外部的なものと内部的なものが挙げられる。外部的なノイズとしては、例えばドライヤ、テレビ、蛍光灯などの輻射ノイズが上げられる。これらについては個々に対策を採るのは困難である。内部的なものとしてはモータドライバ回路41自身が発生するノイズや商用電源から直流電圧を生成するための電源回路(図示せず)、DCブラシレスモータ2などが挙げられる。携帯性を求められるため、酸素濃縮器の小型化が進む中、これらノイズの発生源となる各構成部分が互いに近接して配設される傾向が強まっており、内部的なノイズ発生源に対する対策も困難になっている。
【0042】
しかしノイズの発生による異常は偶発的なものであり、故障の波及や周辺故障を招くものではない。一方、酸素濃縮気は医療機器であり、連続運転が強く望まれるものである。よって、かかる異常により酸素濃縮器を運転停止するとすれば、かえってユーザに不利益が生じる。また、メーカにとっても、運転停止のたびに生じるユーザからのクレーム対応が過大なものとなる。そこで、第一の実施形態にかかる吸着式酸素濃縮器は異常発生時において以下に述べるような制御を行なう。
【0043】
図3はモータ2、コンプレッサ1およびモータドライバ回路41にかかる異常(以下単にモータ系異常とする)発生時にマイクロコントローラ31が行なう制御をフローチャートにしたものである。以下図3もあわせて参照し、異常発生時の前後の動作について説明する。
【0044】
当該酸素濃縮器の通常の運転時間が所定時間以上続いた場合(ステップS1)、マイクロコントローラ31は、これまでの再起動発生にかかる履歴を消去する。具体的には再起動回数カウンタ37と再起動後運転時間カウンタ36とをリセットする(ステップS2、ステップS3)。異常発生による再起動が長時間行なわれなければ、それまでに発生した異常は根本的理由を有するものであったとは考えられず、故障などが生じていると判断する蓋然性が低いからである。
【0045】
モータ系異常が生じた場合(ステップS4)、まずモータ2の運転を停止する事によりコンプレッサ1の運転を停止する(ステップS5)。次に圧力センサ10によって配管内の圧力が上限値(敷居値)以上でないかを確認し(ステップS6)、上限値以上の高圧がかかっていた場合は安全上の問題が生じかねないため酸素濃縮器を停止(ステップS15)させるとともに異常を報知(ステップS16)し、異常履歴をデータ記憶用メモリ42に記録する(ステップS17)。
【0046】
一方、配管内の圧力が上限値未満(ステップS6)であっても、前回までの再起動回数が所定値(A)以上であれば(ステップS7)、異常報知手段38を作動させて異常と再起動が続いていることをユーザに知らせる(ステップS8)。根本的な異常原因があると考えられるためである。更に、再起動回数が所定値(B)以上であれば(ステップS9)、酸素濃縮器を停止させる(ステップS15)とともに異常を報知し(ステップS16)、異常履歴をデータ記憶用メモリ42に記録する(ステップS17)。根本的な異常原因が解決されていないと考えられ、運転を継続すると故障の波及などの危険があると考えられるためである。ここで、所定値(A)は、異常発生が偶発的原因によるものではなく、根本的原因を有するため連続して起きていると判断しうる回数を算術的・実験的又は経験的に算定し、必要な安全率を見込んで定める。所定値(B)は所定値(A)より大きい値であり、軽微な故障が生じたまま再起動を続け運転を継続した場合に故障の波及などの問題が生じうる再起動回数を実験的または経験的に算定し、必要な安全率を見込んで定められる。
【0047】
再起動回数が所定値(A)未満である場合(ステップS7)、および所定値(B)未満である場合(ステップS9)は、前回の異常発生から今回の異常発生までの時間間隔を異常発生間隔計測カウンタ35にて確認する(ステップS10)。当該時間間隔が所定値以下である場合は、更に時間間隔が所定値以下の異常発生が、所定回数以上連続しているかを確認する(ステップS11)。時間間隔が所定値以下で発生した異常が所定回数以上連続して起きていた場合は、酸素濃縮器を停止(ステップS15)させるとともに異常を報知(ステップS16)し、異常履歴をデータ記憶用メモリ42に記録する(ステップS17)。
【0048】
前回の異常発生から今回の異常発生までの時間間隔が所定値を超えている場合、又は当該異常の連続発生回数が所定回数未満である場合、モータ2の運転を再開する事によりコンプレッサ1を再起動する(ステップS12)。かかる場合にはノイズ等による偶発的異常である可能性が高いためである。その後再起動回数カウンタ37に記憶されている再起動回数を1加算し(ステップS13)、再起動後運転時間カウンタ36を作動(ステップS14)させ通常運転に戻る。
【0049】
上記実施形態の吸着式酸素濃縮器によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0050】
(1)上記実施形態では、異常が生じたときはマイクロコントローラ31がコンプレッサ1を停止した後、配管圧力が敷居値以上である場合は酸素濃縮器の運転を停止し、異常を報知するので、安全上問題がある故障が生じた場合には確実に運転を停止でき、異常を知らせることができる。
【0051】
(2)更に、上記配管圧力が敷居値未満であっても、再起動回数が所定値(A)以上であればマイクロコントローラ31が異常報知手段を作動させる。そのため、ユーザが何らかの偶発的でない異常が発生している可能性につき認識することができ、対応策をとり得る。また、酸素濃縮器の運転は継続しているので、ユーザが即座に不利益を受けることがない。
【0052】
(3)更に、再起動回数が所定値(B)以上であればマイクロコントローラ31が酸素濃縮器の運転を停止し、異常を報知する。したがって、偶発的でない異常を放置する事により故障の波及が起きることや、安全上問題が生じることを有効に抑制できる。
【0053】
(4)更に、時間間隔が所定値以下で異常が発生し、かつその異常が所定回数以上連続して発生している場合にも、マイクロコントローラ31が吸着式酸素濃縮器の運転を停止させるともに前記異常報知手段を作動させる。したがって、偶発的でない異常を放置する事により故障の波及が起きることや、安全上問題が生じることを有効に抑制できる。
【0054】
(5)上記実施形態では、上記(1)(3)(4)のいずれでもない場合は、マイクロコントローラ31がモータ2を再運転することによりコンプレッサ1を再起動するため、酸素濃縮器の運転を継続することができる。したがって、偶発的または故障の波及や安全性に影響のない軽微な故障の際には酸素濃縮器の運転を停止することがない。したがって医療器具たる酸素濃縮器が長時間使えなくなるユーザの不利益を抑制し、故障波及や安全性の問題を生じさせない偶発的異常によるクレームを減少させる事によりメーカのクレーム対応負荷を減少させることができる。
【0055】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0056】
(変形例1)再起動回数カウンタ37により再起動回数を測定すること、また、異常発生間隔計測カウンタ35により異常発生の時間間隔を測定することは必須ではなく、いずれか、又は両者とも省略しても良い。要は、高圧力異常時には確実に酸素濃縮器の運転を停止するとともに、安全性を害さない異常発生時には酸素濃縮器の運転を継続できれば良いのであり、配管圧力が上限値未満であれば、コンプレッサ1を再起動し、上限以上であれば酸素濃縮器の運転を停止する構成とすればよい。かかる構成であれば構造的にもシンプルとなり、酸素濃縮期の開発期間および生産コスト低減に資する。
【0057】
(変形例2)第1の実施形態においては異常報知手段としてブザーとLEDを採用したが、他の報知手段を用いてもよい。例えば、異常の発生をディスプレイ上に表示しても良いし、通信回線を通じて別の場所(メーカ等)で異常の発生を報知する構成を採用することもできる。
【0058】
(変形例3)第1の実施形態においてはデータ記憶用メモリ42としてEEPROM(データの消去と書き込みを行うことができるROM)を使用したが、フラッシュメモリ等の他の不揮発メモリでも良く、また、ハードディスクや、ICカード等のメディア媒体でも良い。特にICカード等を用いれは、取り外し容易であるため、外部のコンピュータ等で異常履歴の解析が可能であり好ましい。
【0059】
(変形例4)また第1の実施形態において、酸素濃縮空気の酸素濃度が所定値以下であれば、酸素濃度異常が生じたと判断し、マイクロコントローラ31がコンプレッサ1の運転を停止させる構成とし、かつコンプレッサ1の再起動後の一定期間内においては、酸素濃縮空気の酸素濃度にかかわらず、マイクロコントローラ31がコンプレッサ1の運転を継続させる構成とすることもできる。
【0060】
上記変形例によれば、酸素濃度異常が生じた場合にコンプレッサを止める構成の酸素濃縮器であっても、再起動後の一定期間に当然に発生する酸素濃度異常によって、コンプレッサの再起動と停止を繰り返すことがない。
【0061】
(変形例5)また上記変形例に加えて、コンプレッサ1の再起動後の一定期間内に酸素濃度異常が生じたと判断したときは、コンプレッサ1の再起動後の一定期間外に前記酸素濃度異常が生じたと判断したときとは異なる種別に区別してデータ記憶用メモリ42に記録する構成とすることができる。同構成によると通常運転時の酸素濃縮空気の酸素濃度異常と区別して、再起動後の一定期間内に生じた酸素濃縮空気の酸素濃度の異常を記録できるので、異常履歴調査の際の利便性が向上する。
【0062】
(第2の実施形態)
【0063】
次に、本発明を具体化した吸着式酸素濃縮器の第2の実施形態を図4にしたがって説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態の異常発生時の処理方法を変更したのみの構成であり、機器構成は図1および図2と同じであるため、その説明は省略する。図4についても図3と同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0064】
図4はモータ系異常発生時にマイクロコントローラ31が行なう制御をフローチャートにより示した図である。以下図4もあわせて参照し、異常発生時の前後の動作について説明する。
【0065】
当該酸素濃縮器の通常の運転時間が所定時間以上続いた場合(ステップS21)、マイクロコントローラ31は、再起動回数カウンタ37と再起動後運転時間カウンタ36とをリセットする(ステップS22、ステップS23)。異常発生による再起動が長時間行なわれなければ、それまでに発生した異常は根本的理由を有するものであったとは考えられず、故障などが生じていると判断する蓋然性が低いからである。
【0066】
モータ系異常が生じた場合(ステップS24)、まずモータ2の運転を停止する事によりコンプレッサ1の運転を停止する(ステップS25)。次に圧力センサ10によって配管内の圧力が上限値(敷居値)以上でないかを確認し(ステップS26)、上限値以上の高圧がかかっていた場合は安全上の問題が生じかねないため酸素濃縮器を停止(ステップS35)させるとともに異常を報知(ステップS36)し、異常履歴をデータ記憶用メモリ42に記録する(ステップS37)。
【0067】
一方、配管内の圧力が上限値未満(ステップS26)であっても、コンプレッサ1の運転を停止直前の酸素濃縮空気の酸素濃度および流量が敷居値未満であれば、酸素濃縮器を停止(ステップS35)させるとともに異常を報知(ステップS36)し、異常履歴をデータ記憶用メモリ42に記録する(ステップS37)。供給する酸素濃縮空気の酸素濃度や流量が著しく低い状態のまま運転を継続しても、酸素濃縮器の機能が発揮されず、運転を継続する実益がないためである。またかえって故障の波及や、重大故障の発生、安全上の問題等が起きる蓋然性が生じるためである。
【0068】
酸素濃縮空気の酸素濃度および流量が敷居値異常の場合であって、前回までの再起動回数が所定値(A)以上であれば(ステップS27)、異常報知手段38を作動させて異常と再起動が続いていることをユーザに知らせる(ステップS29)。根本的な異常原因があると考えられるためである。第1の実施形態と異なり、所定値(B)の設定はなされておらず、再起動回数が多いのみでは、酸素濃縮器を停止させる(ステップS35)とともに異常を報知し(ステップS36)することはない。根本的な異常原因が解決されていないとしても、酸素濃縮空気の酸素濃度および流量が敷居値以上であれば、運転を継続する事による利益が大きいからである。ここで、所定値(A)は、異常発生が偶発的原因によるものではなく、根本的原因を有するため連続して起きていると判断しうる回数を算術的・実験的又は経験的に算定し、必要な安全率を見込んで定める。
【0069】
更に、前回の異常発生から今回の異常発生までの時間間隔を異常発生間隔計測カウンタ35にて確認する(ステップS30)。当該時間間隔が所定値以下である場合は、更に時間間隔が所定値以下の異常発生が、所定回数以上連続しているかを確認する(ステップS31)。時間間隔が所定値以下で発生した異常が所定回数以上連続して起きていた場合は、酸素濃縮器を停止(ステップS35)させるとともに異常を報知(ステップS36)し、異常履歴をデータ記憶用メモリ(EEPROM)42に記録する(ステップS37)。
【0070】
前回の異常発生から今回の異常発生までの時間間隔が所定値を超えている場合、又は当該異常の連続発生回数が所定回数未満である場合、モータ2の運転を再開する事によりコンプレッサ1を再起動する(ステップS32)。かかる場合にはノイズ等による偶発的異常である可能性が高いためである。その後再起動回数カウンタ37に記憶されている再起動回数を1加算し、再起動後運転時間カウンタ36を作動させ通常運転に戻る。
【0071】
上記第2の実施形態の吸着式酸素濃縮器によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0072】
(1)上記実施形態では、異常が生じたときはマイクロコントローラ31がコンプレッサ1を停止した後、配管圧力が敷居値以上である場合は酸素濃縮器の運転を停止し、異常を報知するので、安全上問題がある故障が生じた場合には確実に運転を停止でき、異常を知らせることができる。
【0073】
(2)コンプレッサ1の運転を停止直前の酸素濃縮空気の酸素濃度および流量が敷居値未満であれば、酸素濃縮器を停止させるとともに異常を報知する。そのため実質的に実益がない運転を酸素濃縮器が続け、かえって故障の波及や、重大故障の発生、安全上の問題等が生じることを防止できる。
【0074】
(3)更に、再起動回数が所定値(A)以上であればマイクロコントローラ31が異常報知手段を作動させる。そのため、ユーザが何らかの根本的理由を有する異常が発生している可能性につき認識することができ、対応策をとり得る。また、酸素濃縮器の運転は継続しているので、ユーザが即座に不利益を受けることがない。
【0075】
(4)更に、時間間隔が所定値以下で異常が発生し、かつその異常が所定回数以上連続して発生している場合にも、マイクロコントローラ31が吸着式酸素濃縮器の運転を停止させるともに前記異常報知手段を作動させる。したがって、偶発的でない異常を放置する事により故障の波及が起きることや、安全上問題が生じることを有効に抑制できる。
【0076】
(5)上記実施形態では、上記(1)(2)(4)のいずれでもない場合は、マイクロコントローラ31がモータ2を再運転することによりコンプレッサ1を再起動するため、酸素濃縮器の運転を継続することができる。したがって、偶発的または故障の波及や安全性に影響のない軽微な故障の際には酸素濃縮器の運転を停止することがない。したがって医療器具たる酸素濃縮器が長時間使えなくなるユーザの不利益を抑制し、故障波及や安全性の問題を生じさせない偶発的異常によるクレームを減少させる事によりメーカのクレーム対応負荷を減少させ、当該酸素濃縮器の信頼性を大きくすることができる。
【0077】
なお、上記実施形態においても第1の実施形態に示した(変形例1)〜(変形例5)と同様の変更が可能である。更に以下の(変形例6)に示す変更も可能である。
【0078】
(変形例6)第2の実施形態においては、再起動回数の所定値(B)を設定しなかったが、第1の実施形態と同様に、再起動回数が所定値(B)を超えた場合、酸素濃縮器を停止させるとともに異常を報知する構成してもよい。かかる場合、酸素濃縮空気の酸素濃度や流量が敷居値異常であっても酸素濃縮器が停止することがあり、ユーザの利便性は低下するが、故障の波及の抑制効果や、安全性の向上に利する。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明に係る吸着式酸素濃縮器についてその第1の実施形態の全体構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態のモータ制御回路に採用されるマイクロコントローラの構成を説明するブロック図。
【図3】同実施形態の吸着式酸素濃縮器に採用されるマイクロコントローラのモータ系異常発生時の処理手順例を示すフローチャート。
【図4】第2の実施形態の吸着式酸素濃縮器に採用されるマイクロコントローラのモータ系異常発生時の処理手順例を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0080】
1 コンプレッサ
2 モータ
3 第1吸着筒
4 第2吸着筒
5 アキュムレータタンク
6 減圧弁
7 流量調整器
10 圧力センサ
11 酸素濃度センサ
12 酸素濃縮空気流量センサ
21,22 吸気弁
23,24 排気弁
31 マイクロコントローラ
32 CPU
33 演算用RAM
34 プログラム格納用ROM
35 異常発生間隔計測カウンタ
36 再起動後運転時間カウンタ
37 再起動回数カウンタ
38 異常報知手段
39 設定操作部
40 各種表示部
41 モータドライバ回路
42 データ記憶用メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DCブラシレスモータにより駆動されるコンプレッサと、
前記DCブラシレスモータの運転を制御するモータ駆動用ドライバ回路と、
窒素を選択的に吸着する吸着剤を充填した吸着筒とを有し、
前記コンプレッサにより、外気を吸引圧縮し、外気中の窒素を前記吸着筒中の前記吸着剤で除去する事により、相対的に酸素濃度を高めた酸素濃縮空気を供給する吸着式酸素濃縮器において、
少なくとも前記モータ駆動用ドライバ回路の異常と、前記DCブラシレスモータの異常と、前記コンプレッサのその他の異常と、該吸着式酸素濃縮器内の圧力とを検出する異常検出手段と、
異常が発生したことを知らせる異常報知手段と、
前記異常検出手段により検出された結果に基づく判断により該吸着式酸素濃縮器の運転を制御する制御手段とを備え、
前記異常検出手段が前記モータ駆動用ドライバ回路の異常または前記DCブラシレスモータの異常または前記コンプレッサのその他の異常のいずれかを検出したときには、前記制御手段がコンプレッサの運転を停止し、
前記圧力が敷居値以上の場合には、該吸着式酸素濃縮器の運転を停止させるともに前記異常報知手段を作動させ、
前記圧力が敷居値未満の場合には、前記コンプレッサを再起動させることを特徴とする吸着式酸素濃縮器。
【請求項2】
請求項1に記載した吸着式酸素濃縮器において、
前記制御手段が、運転開始からコンプレッサが再起動された回数を測定する再起動回数計測装置を備え、
前記再起動回数計測装置に記録された再起動回数が所定回数以上である場合には、
前記制御手段が、前記異常報知手段を作動させることを特徴とする吸着式酸素濃縮器。
【請求項3】
請求項2に記載した吸着式酸素濃縮器において、
前記再起動回数計測装置に記録された再起動回数が、前記所定回数より大きい第2の所定回数を超えた場合、
前記制御手段が、該吸着式酸素濃縮器の運転を停止させるともに前記異常報知手段を作動させることを特徴とする吸着式酸素濃縮器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載した吸着式酸素濃縮器において、
前記異常検出手段が、酸素濃縮空気の酸素濃度および酸素濃縮空気流量を更に検出し、
前記コンプレッサの前記停止直前の前記酸素濃縮空気の酸素濃度または前記酸素濃縮空気の流量が敷居値以下である場合にも、
前記制御手段が該吸着式酸素濃縮器の運転を停止させるともに前記異常報知手段を作動させることを特徴とする吸着式酸素濃縮器。
【請求項5】
請求項1〜4に記載した、いずれかの吸着式酸素濃縮器において、
前記制御手段が、異常発生の時間間隔を測定する異常発生間隔計測装置を更に備え、
前記時間間隔が所定値以下で異常が発生し、かつその異常が所定回数以上連続して発生している場合にも、
前記制御手段が、前記該吸着式酸素濃縮器の運転を停止させるともに前記異常報知手段を作動させることを特徴とする吸着式酸素濃縮器。
【請求項6】
前記酸素濃縮空気の前記酸素濃度が所定値以下であれば、酸素濃度異常が生じたと判断し、前記制御手段が前記コンプレッサの運転を停止させる、請求項4または5に記載した吸着式酸素濃縮器において、
再起動後の一定期間内においては、前記酸素濃縮空気の前記酸素濃度にかかわらず、
前記制御手段が前記コンプレッサの運転を継続させることを特徴とする吸着式酸素濃縮器。
【請求項7】
請求項6に記載した吸着式酸素濃縮器において、
異常発生時に異常の種別を記録する記録手段を更に備え、
前記制御手段が、前記一定期間内に前記酸素濃度異常が生じたと判断したときは、前記一定期間外に前記酸素濃度異常が生じたと判断したときとは異なる種別に区別して前記記録手段に記録することを特徴とする吸着式酸素濃縮器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−200209(P2008−200209A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−38459(P2007−38459)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】