説明

吸音性能に優れた車両用内装材

【課題】通気度と杞吸音の関係を考究し、フィルムに所望の通気度を付与して短繊維フィルムと吸音機能を共有せしめ、適度の通気度と吸音性能を具備する車両用内装材を提供する。
【解決手段】ニットからなる表皮層1と短繊維不織布2が積層されてなる不織布積層体であって、該ニットと短繊維不織布層間が熱融着性シート3で接着されてなり、通気度が0.1〜30.0cc/cm2/secの範囲で、剛軟度特性が200mm以下、初期伸張弾性率が150〜2500N/50mm/100%の範囲にある特性を有している吸音性能に優れた車両用内装材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車の天井等に使用する車両用内装材に係り、特に所望の通気度を有し、吸音性能に優れた車両用内装材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車用内装材には従来より種々の構成のものが知られており、例えばクッション付き表皮材/多層フィルム/基材よりなる構造を有し、多層フィルムの高融点樹脂層を透気遮断層とするもの(例えば特許文献1参照),表皮材/基材/裏面材(ホットメルト+非通気性フィルム)よりなる構成の内装材(例えば特許文献2参照)、更に接着剤として作用すると共に通気遮断層として機能するホットメルトフィルムと見掛け密度が通常の不織布より高く、成形加工性に優れた特定の不織布と組み合わせ構成したもの(例えば特許文献3参照)などが提案されている。
【0003】
一方、吸音材については表面層に孔を開けたシートを配設して低周波数帯域の音の吸音率を高める構成のものがある。(例えば特許文献4参照)
【特許文献1】特開平7−117571号公報
【特許文献2】実開平5−65532号公報
【特許文献3】特開2001−322193号公報
【特許文献4】特開平4−9899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記車両用内装材に係る前2者は室内側からの音が透気遮断層で反射して内装材としての吸音機能を損なったり、車両の振動によって摩擦による異音が発生し乗員に不快感を与えるなどの問題があり、また、ホットメルトフィルムと不織布の組み合わせたものではホットメルトフィルムが通気遮断層としての役割を果たすため遮音性に近く、吸音性能にはやや不足とする感があり、通気度と吸音性能の問題については考慮されていない。 一方、従来の前記吸音材では吸音性能についてはある程度の効用を有するが、主としてオイル,軽油,ガソリン等のフェルトへの水,油の浸透防止であり、自動車の天井等の内装材への利用については考えていない。
【0005】
本発明は上述の如き実状に対処し、特に通気度と吸音の関係について考究し、接着性フィルムとして通気性のないフィルムを使用し、加工時に通気度とフィルムの開孔面積の関係より所望の通気度を付与して短繊維不織布と吸音機能を共有せしめ、自動車内装材として適度の通気度と吸音性能を具備する車両用内装材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、上記目的に適合するため本発明は内装材を構成する表皮層,短繊維不織布層,接着性フィルム層の夫々の適正な組み合わせについて検討を重ね、通気度と吸音性能に優れた内装材を形成するものであり、ニットからなる表皮層と、短繊維不織布層が熱融着性シートで接着された不織布積層体であって、該積層体の通気度が0.1〜30.0cc/cm2/secの範囲で、剛軟度特性が200mm以下、初期伸張弾性率が150〜2500N/50mm/100%の範囲にある吸音性能に優れた車両用内装材を特徴とする。
【0007】
ここで、表皮層を構成するニットはトリコットが好ましく、その目付質量が50〜300g/m2の範囲であるものが好ましい。
【0008】
また、短繊維不織布は目付質量が100〜300g/m2の範囲であることが望ましく、また熱融着性シートとしては接着性フィルムであって、その融点が90℃〜180℃の範囲で、厚さが20〜100μmの範囲にあるものが好ましい。
【0009】
なお、上記特性を具備する車両用内装材は、ニットからなる表皮層と短繊維不織布層をその間に通気性のない、即ち、非通気性接着性フィルムを挟み、接着処理を施すと同時に通気性が発現するように接着加工することによって得られる。
【0010】
詳しくはニットからなる目付質量50〜300g/m2、厚さ0.2〜1.0mmの表皮層と、構成繊維の平均繊度が0.5〜10デシテックス(dT)で、目付質量が100〜300g/m2、厚さ3.0から20.0mmの短繊維不織布層を融点90〜180℃、目付質量が20〜100g/m2、厚さ20.0〜100.0μmの接着性フィルムを介して重合し、熱圧着して接着一体化すると共に、接着性フィルムに接着時、所望の小孔を開孔して製品の通気度を0.1〜30.0cc/cm2/secの範囲に維持せしめることによって得ることができる。
【発明の効果】
【0011】
上記本発明内装材によれば、音源から伝わってきた音を吸音材が吸収して消音するにあたり、その吸音材の構成が表皮層と通気抵抗を有するフィルムと、嵩高性を有する繊維層からなり、音が表皮層から進入し、先ずフィルムを振動させ、その振動が繊維層に伝播する適度な通気度を有することにより振動を容易にさせ、繊維層がフィルムの振動で圧縮されたときに、適度の空気抜けすることによりクッション材の役目をし、一部の音が通気層を通って内部に進入し、繊維が音に共鳴して振動し、音を熱量に変える繊維層により音を消音し吸音機能を達成することができる。なお、接着層として使用するフィルムに替えて、接着性樹脂等を使用することも可能であるが、フィルムにしたため通気度のコントロールが容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図1に基づいて説明する。
【0013】
図1は本発明に係る車両用内装材の1例を示す概要図であり、図において1は表皮層、2は短繊維不織布層、3は上記表皮層1と短繊維不織布層2を接着し一体化するための接着性フィルム層で、これら表皮層1,短繊維不織布層2及び上記接着性フィルム層3によって本発明車両用内装材の基礎となる構成が形成されており、本発明内装材はかかる構成において所定の通気度,剛軟度特性,初期伸張弾性率を具備するものである。
【0014】
ここで表面の表皮層1は直接、音に関係しない層であり、中間の接着性フィルム層3は通気度を制御する層で、一部の音を吸収し、一部の音の通過量を決める重要な機能を有している。また、短繊維層は上記フィルムの共振のクッション材、一部通過した音に共鳴して音を熱に替えて消音する機能を有している。
【0015】
そして、本発明は上記構成において夫々を具体的に特定することによって最終的に車両用内装材として良好な通気度と吸音効果を達成している。特に使用する接着性フィルムとして通気性のないものを使用し、熱圧着加工時に所望の通気度を付与することは本発明の大きな特徴である。以下、順次、詳細について説明する。
【0016】
表皮層1は車両用内装材として美観,高級感など表面装飾を主目的とし、通気性、吸音性には寄与しないもので、素材としてニットが用いられ、特にトリコット,起毛したトリコット生地は好適であり、これらは50〜300g/m2の目付質量を有し、厚さ範囲が0.2〜1.0mm、好ましくは0.25〜0.9mm、更に好ましくは0.3〜0.8mmで、0.1〜0.8cc/gの密度範囲を有するものが用いられる。
【0017】
ここで目付質量が50g/m2未満では表皮として薄く、内装面が現われてくるので好ましくなく、一方、300g/m2を越えると、表皮として十分であるが接着時の熱処理安定性が悪く、従って熱の伝わりが悪く接着に時間がかかるので好ましくない。なお、表皮を形成する繊維としてはポリアミド,ポリエステル等の合成繊維の使用が好適である。
【0018】
次に短繊維不織布層2は、フィルム層のクッションの役目と、音に共鳴して音を熱量に変えて消音する役目を有しており、短繊維ウエブをニードル加工により交絡処理した不織布,短繊維ウエブをニードル加工による交絡処理後、バインダー又はバッキング処理により固定した不織布あるいは短繊維のレギュラーに一部熱融着性繊維を使用し、交絡処理後、熱融着固定した不織布などが何れも使用可能であるが、特にニードル加工による交絡不織布は最も好適である。
【0019】
短繊維不織布に用いられる繊維の種類は特に限定されないが、一般的にはポリエステル系繊維,ポリアミド系繊維,ポリオレフィン系繊維など、既知の繊維が使用されるが、なかでも取り扱い性,性能面,リサイクル性,価格面と汎用性のあるポリエステル系繊維やポリオレフィン系繊維は好適である。例えばポリエステル系繊維としてはポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリメチレンテレフタレートなどからなる繊維が挙げられ、ポリオレフィン系繊維としては低密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,ポリプロピレンなどからなる繊維が挙げられる。勿論、これら繊維を構成するポリマーには各種安定剤,紫外線吸収剤,増粘剤,艶消し剤,着色剤、その他各種改良剤等が必要に応じて配合されていてもよい。
【0020】
短繊維不織布を構成する繊維の平均繊度は0.5〜10デシテックス(dT)範囲が好ましく、平均繊度0.5dT以下では繊維が細すぎて製造時のカーディング工程でのウエブ化が困難で、生産性が低下したり、取り扱い性が劣る恐れがあるので好ましくない。
【0021】
一方、平均繊度10dTを越えると短繊維間の隙間が大きく、吸音性能が劣る恐れがあるので好ましくない。また、短繊維不織布は目付質量が100〜300g/m2であることが好適であり、最も一般的なニードルパンチ不織布も同様で、特に内装材のクッション性と吸音性能の点からは目付質量100g/m2以上、好ましくは110g/m2以上、更に好ましくは120g/m2以上である。更に軽量化の点からは300g/m2、なかんずく280g/m2以下が好ましい。そして、厚さ範囲は3.0〜20.0mmが好ましく、より好ましくは4.0〜15.0mmであり、更に好ましくは5.0〜10.0mmである。
【0022】
厚さ範囲が3.0mm未満ではクッションあるいは吸音材として薄く、目付質量と同様に効果が乏しくなる。また20mmを越えると短繊維不織布層として十分であるが、接着時の熱処理安定性が悪く、熱の伝わりも悪く、接着に時間がかかるので好ましくない。また、製品として厚すぎて変形が大きくなる場合があり好ましくない。密度範囲は0.01〜0.1cc/gが好ましく、0.01cc/g未満では接着加工時に変形し易く、厚さ維持が困難であると共に、クッション性あるいは吸音性能に乏しくなり好ましくない。一方、密度範囲が0.1cc/gを越えると短繊維不織布層として十分であるが、接着時の熱処理安定性が悪く好ましくない。
【0023】
なお、短繊維不織布は前述の如く短繊維をニードル加工による交絡処理、また交絡処理後、バインダー処理接着、更にレギュラーと熱融着性繊維の交絡処理後、熱接着処理することによって形成されるが、ここで用いられる繊維の成分としては単繊維成分でも複数繊維成分でもよく、また、これら繊維成分に熱融着性繊維を混繊し、ニードル加工、引き続き熱処理による繊維間接着を行うようにしてもよい。更にこれらに加え、接着成分としてバインダーを使用することも可能である。
【0024】
混繊される熱融着性繊維としては、同種あるいは異種の高融点樹脂と低融点樹脂からなるサイドバイサイドあるいは芯鞘の構造を有する何れかである複合繊維であり、例えばポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂の何れかの熱可塑性樹脂の高融点成分と低融点成分からなる芯鞘型、サイドバイサイド型構造の複合繊維が挙げられる。
【0025】
具体例としては、ポリエステル繊維(融点250℃〜270℃程度)と低融点ポリエステル繊維(融点100℃〜190℃程度)の複合繊維、エステル/ナイロン複合繊維、ポリエステル/ポリエチレン複合繊維、ポリプロピレン/ポリエチレン複合繊維などが挙げられ、特に高融点ポリエステルと、低融点ポリエステルとの複合繊維は最も実用的である。
【0026】
一方、接着成分として用いられる前記バインダーとしては、アクリル酸エステル系又は酢酸ビニル系の何れでもよく、付与量は5重量%から20重量%の範囲が適当である。5重量%未満であると熱融着性繊維との併用の効果がなく、厚さのコントロールが難しく、熱融着性繊維の柔らかく厚いものとなり好ましくない。逆に20重量%を超えると熱融着性繊維との併用の効果がなく、厚さのコントロールが難しく、バインダーの効果が強くなり、好ましくない。
【0027】
次に接着層の熱融着性シートは表皮層1と短繊維不織布2の吸音層とを一体化するため、接着性能を有し、吸音性能も共有する材料として好適な接着性フィルムが用いられる。なかでも使用するフィルムとしては通気性のないものを使用し、加工時に所望の通気度を付与する接着性と吸音性能を有する接着性フィルムが好適である。
【0028】
接着性フィルムの樹脂の種類は特に限定されないが、変性ポリエステル系樹脂,変性ポリアミド系樹脂,ポリオレフィン系あるいは変性ポリオレフィン系樹脂などの公知の樹脂が使用可能であり、なかでも取り扱い性,性能面,価格面と汎用性のある変性ポリオレフィン系樹脂は好適である。
【0029】
例えばポリオレフィン系樹脂としては低密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,変性低密度ポリエチレン,変性高密度ポリエチレン,ポリプロピレン,変性ポリプロピレン等からなる樹脂が挙げられる。勿論、これらポリマーには各種安定剤,紫外線吸収剤,増粘剤,艶消し剤,着色剤その他、各種改良剤が必要に応じて配合されていてもよい。
【0030】
上記接着性フィルムは融着範囲が90℃〜180℃が好ましく、目付質量としては20〜100g/m2が好ましい。また、厚さ範囲としては20.0〜100.0μmが好ましく、より好ましくは25.0〜90μm、更に好ましくは30.0〜80.0μmである。
【0031】
融点が90℃以下ではニット表皮層と、短繊維不織布を一体化するための熱圧着加工時の接着と、通気度の制御が難しくなる。一方、融点が180℃を越えるとニット表皮層と短繊維不織布とを一体化するための加工時の処理温度が高くなるために接着と通気度制御が難しく好ましくない。
【0032】
また、目付質量が20g/m2以下ではニット表皮層と短繊維不織布を一体化するための接着量として不十分となり、層間剥離を生じることがあるので好ましくない。一方、目付質量が100g/m2を越えると、ニット表皮と短繊維不織布を一体化するためには十分であるが、通気度を調整するのが難かしくなり、出来上がった製品が硬く仕上がってしまって望ましくない。
【0033】
更に、接着性フィルムの厚さ範囲が20.0μm未満では接着性はあるが、接着性フィルムの通気度が高く所望の通気度を得難いので好ましくなく、一方、100.0μmを越えるとニット表皮層と短繊維不織布との接着は十分であるが、接着時の熱処理安定性が悪く、所望の通気度を得ることが難しく、製品面より好ましくない。また、製品として硬いものとなり好ましくない。
【0034】
上述の如き夫々好ましい範囲を有する表皮層1と短繊維不織布層2を中間に接着性フィルム3を介し、熱圧着することによって一体化されて内装材製品として形成されるが、この製品は通気度が0.1〜30.0cc/cm2/secの範囲にあることが吸音機能上、肝要である。通気度は吸音性能に大きく関係し、通気度が0.1cc/cm2/sec未満であると遮音効果を示し吸音性能を発揮しない。一方、通気度が30.0cc/cm2/secを越えると、吸音効果が劣るので0.1〜30.0cc/cm2/secの範囲が効果的である。また、剛軟度特性が200mm以下で初期伸張弾性率が150〜2500N/50mm/100%の範囲とするのが効果的である。なお、通気度は接着性フィルムの穿孔の制御の割合を示し、表皮と短繊維不織布を通気性のない接着性フィルムを介し熱圧着し接着一体化するときに穿設され吸音性能を決定づける。
【0035】
先ず通気度は吸音性能に大きく関係し、通気度が0.1cc/cm2/sec未満であると遮音効果を示し、吸音性能を発揮しないので好ましくないし、通気度が30.0cc/cm2/secを超えると吸音の効果が劣るので好ましくない。そして、剛軟度特性はカンチレバー法により200mm以下が好ましく、200mmを超えると硬く、製品として好ましくない。また、初期伸張弾性率が150N/50mm/100%未満であると腰がなく、外力に対して容易に変形するので内装材として好ましくない。
【0036】
一方、初期伸張弾性率が2500N/50mm/100%を超えると硬く、プラスチックライクになるので内装材としては好ましくなく、また成形加工時の凹凸部の変形追従性が悪く加工性に劣るので好ましくない。
【0037】
かくして本発明内装材の製品特性としては、以上を総合して通気度が0.1〜30.0cc/cm2/secの範囲であって、接着性フィルムの厚さが20〜100μm、剛軟度特性が200mm以下、初期伸張弾性率が150〜2500N/50mm/100%であることが全体として有用である。
【0038】
以下、本発明の実施例について比較例と共に説明する。
【実施例】
【0039】
実施例1
繊度2.2デシテックス、繊維長51mmのポリエステル繊維(融点:260℃)をカーディングして目付質量200g/m2のウエブを得て、引き続き、表面に深さ5mm、打ち込み本数67本/cm2、裏面に同様に深さ7.5mm、打ち込み本数95本/cm2、更に表面に深さ5mm、打ち込み本数95本/cm2のニードルパンチ処理を施し短繊維層を得た。得られた短繊維層の上に熱融着性フィルム(目付質量:21.5g/m2、厚さ:37μm、融点:95℃)を載せて更にその上にトリコット編地目付92.1g/m2、厚さ400μmを載せて熱接着装置(フェルトカレンダー)で接着温度180℃、処理速度5m/min、処理圧2.0Kg/cm2の接着処理を施し本発明の内装材を得た。
実施例2
繊度2.2デシテックス、繊維長51mmのポリエステル繊維(融点:260℃)をカーディングして目付質量122g/m2のウエブを得て、引き続き、表面に深さ5mm、打ち込み本数67本/cm2、裏面に同様に深さ7.5mm、打ち込み本数95本/cm2、更に表面に深さ5mm、打ち込み本数95/cm2のニードルパンチ処理を施し短繊維層を得た。得られた短繊維層の上に熱融着性フィルム(目付質量:21.5g/m2、厚さ:37μm、融点:95℃)を載せて更にその上にトリコット編地目付92.1g/m2、厚さ400μmを載せて熱接着装置(フェルトカレンダー)で接着温度180℃、処理速度5m/min、処理圧2.0Kg/cm2の接着処理を施し本発明の内装材を得た。
実施例3
繊度6.6デシテックス、繊維長64mmのポリエステル繊維(融点:260℃)60質量%と繊度3.3デシテックス、繊維長51mmのポリエステル繊維(融点:260℃)20質量%と繊度2.2デシテックス、繊維長51mmのポリエステル繊維(融点:260℃)20質量%とを均一混繊し、カーディングして目付質量%145g/m2のウエブを得て、引き続き、表面に深さ13.8mm、打ち込み本数22本/cm2のニードルパンチ処理を施し、更にアクリル酸エステルのバインダー溶液(濃度18.3質量%)を148g/m2付与して連続乾燥機(温度150℃、速度7m/min)で乾燥させて目付質量:172g/m2の短繊維層を得た。得られた短繊維層の上に熱融着性フィルム(目付質量:36.8g/m2、厚さ:62μm、融点:120℃)を載せて更にその上にトリコット編地目付146g/m2、厚さ500μmを載せて熱接着装置(フェルトカレンダー)で接着温度175℃、処理速度5m/min、処理圧2.0Kg/cm2の接着処理を施し本発明の内装材を得た。
実施例4
繊度6.6デシテックス、繊維長64mmのポリエステル繊維(融点:260℃)60質量%と、繊度3.3デシテックス、繊維長51mmのポリエステル繊維(融点:260℃)20質量%と繊度2.2デシテックス、繊維長51mmまポリエステル繊維(融点:260℃)20質量%とを均一混繊して、カーディングして目付質量145g/m2のウエブを得て、引き続き、表面に深さ13.8mm、打ち込み本数22本/cm2のニードルパンチ処理を施し、更にアクリル酸エステルのバインダー溶液(濃度18.3質量%)を148g/m2付与して連続乾燥機(温度150℃、速度7m/min)で乾燥させて目付質量:172g/m2の短繊維層を得た。得られた短繊維層の上に熱融着性フィルム(目付質量:36.8g/m2、厚さ62μm、融点:120℃)を載せ、更にトリコット編地目付146g/m2、厚さ500μmを載せて熱接着装置(フェルトカレンダー)で接着温度175℃、処理速度5m/min、処理圧2.0Kg/cm2の接着処理を施し本発明の内装材を得た。
比較例1
トリコット編地目付146g/m2、厚さ500μmの裏地面に粒度分布が20メッシュを通過したポリエチレン粉末(宇部興産株式会社製ポリエチレン UM8510、融点103℃)を30g/m2を均一に散布して熱接着装置(フェルトカレンダー)で接着温度110℃、処理速度5m/min、処理圧2.0Kg/cm2の仮接着処理を施し、引き続きポリエチレン粉末が仮接着されたトリコット面を実施例3で得られたと同じ構成の短繊維層の上に載せて熱接着装置(フェルトカレンダー)で接着温度180℃、処理速度5m/min、処理圧2.0Kg/cm2の本接着処理を施し比較内装材を得た。
比較例2
繊度6.6デシテックス、繊維長64mmのポリエステル繊維(融点:260℃)60質量%と、繊度3.3デシテックス、繊維長51mmのポリエステル繊維(融点:260℃)20質量%と、繊度2.2デシテックス、繊維長51mmのポリエステル繊維(融点:260℃)20質量%とを均一混繊しカーディングして目付質量145g/m2のウエブを得て、引き続き、表面に深さ13.8mm、打ち込み本数22本/cm2のニードルパンチ処理を施し、更にアクリル酸エステルのバインダー溶液(濃度18.3質量%)を148g/m2付与して連続乾燥機(温度150℃、速度7m/min)で乾燥させて目付質量172g/m2の短繊維層を得た。得られた短繊維層の上に熱融着性フィルム(目付質量:74g/m2、厚さ:122μm、融点:120℃)を載せて更にその上にトリコット編地目付146g/m2、厚さ500μmを載せて熱接着装置(フェルトカレンダー)で接着温度175℃、処理速度5m/min、処理圧2.0Kg/cm2の接着処理を施し比較内装材を得た。
比較例3
繊度6.6デシテックス、繊維長64mmのポリエステル繊維(融点:260℃)を均一開繊して、カーディングして目付質量100g/m2のウエブを得て、引き続き、表面に深さ0mm、打ち込み本数19本/cm2のニードルパンチ処理を施し、更にアクリル酸エステルのバインダー溶液(濃度18.3質量%)を連続付与乾燥の工程でトータル273g/m2付与して(乾燥条件:温度150℃、速度7m/min)乾燥させて目付質量150g/m2の短繊維層を得た。得られた短繊維層の上に熱融着性フィルム(目付質量:36.8g/m2、厚さ:62μm、融点:120℃)を載せて更にその上にトリコット編地目付146g/m2、厚さ500μmを載せて熱接着装置(フェルトカレンダー)で接着温度175℃、処理速度5m/min、処理圧2.0Kg/cm2の接着処理を施し比較内装材を得た。
【0040】
かくして、上記実施例、比較例によって得られた各内装材について、製品特性ならびに吸音率の対比を行った。結果を下記表1に示す。表中の目付量,厚さ,初期伸張弾性率,剛軟度,通気度,吸音性は夫々、下記に基づいて測定した。
(イ) 目付量
JIS L1096の8.4.2に記載の方法に準拠して求めた。
(ロ) 厚さ
JIS L1096の8.5.1に記載の方法に従って荷重2KPaで測定した。
(ハ) 初期伸張弾性率
引張り試験は東洋ボールドイン社製50Kgテンシロンを用い、試料巾50mmで試料長100mm、引張り速度100mm/minで試料の強伸度を測定し強伸度曲線の初期勾配から算出した。N=3の平均で示す。単位はN/50mm/100%
(ニ) 剛軟度
JIS L1096の8.19.1に記載の45℃カンチレバー法で測定した。但し、試料長は30cmを用いた。
(ホ) 通気度
JIS L1096−1999の827.1のA法により測定した。
(へ) 吸音性
JIS A 1405に基づき、管内法による建築材料の垂直入射吸音率を測定した。
【0041】
【表1】

上記表より通気度が本発明範囲を外れた比較例1,初期弾性率が本発明範囲を外れた比較例2は何れも本発明内装材に比し吸音率が低いことが分かる。また、剛軟度が本発明範囲を外れた比較例3は吸音率においては本発明と格別の差は認められなかったが、製品が硬く、実用にやや難が見られた。従って、全体を通じ本発明に係る内装材が車両用内装材として吸音性能を含め頗る好適であることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る車両用内装材の構成を示す断面概要図である。
【符号の説明】
【0043】
1:表皮層
2:短繊維不織布
3:熱融着性シート(接着性フィルム)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニットからなる表皮層と短繊維不織布層が積層されてなる不織布積層体であって、該ニットと短繊維不織布層間が熱融着性シートで接着されてなり、かつ該積層体は通気度が0.1〜30.0cc/cm2/secの範囲で、剛軟度特性が200mm以下、初期伸張弾性率が150〜2500N/50mm/100%の範囲にある特性を有していることを特徴とする吸音性能に優れた車両用内装材。
【請求項2】
ニットがトリコットであり、目付質量が50g/m2〜300g/m2の範囲である請求項1記載の吸音性能に優れた車両用内装材。
【請求項3】
短繊維不織布層の目付質量が100g/m2〜300g/m2の範囲である請求項1または2記載の吸音性能に優れた車両用内装材。
【請求項4】
熱融着性シートがフィルムであって、その融点が90℃〜180℃の範囲である、厚さが20〜100μmの範囲にある請求項1,2または3記載の吸音性能に優れた車両用内装材。
【請求項5】
ニットからなる目付質量50〜300g/m2、厚さ0.2〜1.0mmの表皮層と、構成繊維の平均繊度が0.5〜10.0デシテックス(dT)で、目付質量が100〜300g/m2、厚さ3.0〜20.0mmの短繊維不織布層を、中間に融点90〜180℃、目付質量が20〜150g/m2、厚さ20.0〜100.0μmの非通気性フィルムを介して重合し、熱圧着により一体化せしめると共に、上記接着時に所望の開孔を発現させ0.1〜30.0cc/cm2/secの通気度を付与せしめたことを特徴とする吸音性能に優れた車両用内装材。

【図1】
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【公開番号】特開2006−160197(P2006−160197A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−358620(P2004−358620)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(391021570)呉羽テック株式会社 (57)
【Fターム(参考)】