説明

噴流発生装置及び電子機器

【課題】気体の吐出量を低下させることなく、あるいは冷却能力を低下させることなく、振動が噴流発生装置の外部に伝わることを抑制できる噴流発生装置及びこれを搭載した電子機器を提供すること。
【解決手段】振動板3aが下方向に移動するタイミングで、振動板3bが上方向に移動する。また、振動板3aが上方向に移動するタイミングで、振動板3bが下方向に移動する。このように振動板3a及び3bが互いに加振力が弱め合うように振動するため、各振動板3a及び3bの振動が筐体1や噴流発生装置10の外部へ伝わることを抑制することができる。一方で、振動板は複数用いられ、また、振幅を大きくしても加振力が弱め合うので、空気の吐出量を低下させることはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体の噴流を発生させる噴流発生装置及びこの噴流発生装置を搭載した電子機器に関する。
【0002】
従来から、PC(Personal Computer)の高性能化に伴うIC(Integrated Circuit)等の発熱体からの発熱量の増大が問題となっており、様々な放熱の技術が提案され、あるいは製品化されている。その放熱方法として、例えばICにアルミなどの金属でなる放熱用のフィンを接触させて、ICからの熱をフィンに伝導させて放熱する方法がある。また、ファンを用いることにより、例えばPCの筐体内の温まった空気を強制的に排除し、周囲の低温の空気を発熱体周辺に導入することで放熱する方法もある。あるいは放熱フィンとファンとを併用することにより、放熱フィンで発熱体と空気の接触面積を大きくしつつ、ファンにより放熱フィンの周囲の暖まった空気を強制的に排除する方法もある。
【0003】
しかしながら、このようなファンによる空気の強制対流では、放熱フィンの下流側でフィン表面の温度境界層が生起され、放熱フィンからの熱を効率的に奪えないという問題がある。このような問題を解決するためには、例えばファンの風速を上げて温度境界層を薄くすることが挙げられる。しかし、風速を上げるためにファンの回転数を増加させることにより、ファンの軸受け部分からの騒音や、ファンからの風が引き起こす風切り音などによる騒音が発生するという問題がある。
【0004】
一方、送風手段としてファンを用いずに、上記温度境界層を破壊し、放熱フィンからの熱を効率よく外気に逃がす方法として、周期的に往復運動する振動板を用いる方法がある(例えば特許文献1、2、3、4参照)。これらの装置のうち、特に特許文献3及び4の装置は、チャンバ内を空間的に概略二分する振動板と、振動板を支持しチャンバに設けられた弾性体と、振動板を振動させる手段とを備えている。これらの装置では、例えば振動板が上方向に変位したときには、チャンバの上部空間の体積が減少するため、上部空間の圧力が上昇する。上部空間は吸排気口を通じて外気と連通しているため、上部空間の圧力上昇によって、その内部の空気の一部が外気中に放出される。一方このとき、振動板を挟んで上部空間と反対側にある下部空間の体積は逆に増加するため、下部空間の圧力が下降する。下部空間は吸排気口を通じて外気と連通しているため、下部空間の圧力減少によって、吸排気口近傍にある外気の一部が下部空間内部に引き込まれる。これとは逆に、振動板が下方向に変位したときには、チャンバの上部空間の体積が増加するため、上部空間の圧力が下降する。上部空間は吸排気口を通じて外気と連通しているため、上部空間の圧力下降によって、吸排気口近傍にある外気の一部が上部空間内部に引き込まれる。一方このとき、振動板を挟んで上部空間と反対側にある下部空間の体積は逆に減少するため、下部空間の圧力は上昇する。下部空間の圧力上昇によって、その内部の空気の一部が外気中に放出される。振動板の駆動は例えば電磁駆動方式が用いられる。このように、振動板を往復運動させることによって、チャンバ内の空気が外気に排出される動作と、外気がチャンバ内に吸気される動作が周期的に繰り返される。このような、振動板の周期的な往復運動によって誘起される空気の脈流が放熱フィン(ヒートシンク)等の発熱体に吹き付けられることにより、放熱フィンの表面にある温度境界層が効率よく破壊され、結果的に放熱フィンが効率良く冷却される。
【特許文献1】特開2000−223871号公報(図2)
【特許文献2】特開2000−114760号公報(図1)
【特許文献3】特開平2−213200号公報(第1図)
【特許文献4】特開平3−116961号公報(第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年のICの高クロック化によって発生する熱量は増加の一途をたどっている。したがって、例えばその発熱によって放熱フィン付近に形成される温度境界層を破壊するためには、そのICや放熱フィンに向けてこれまでより多量の空気を送り込まなければならない。上記特許文献1〜4に記載されているような、周期的に往復運動する振動板を用いる空気吐出方法では、振動板の振幅を大きくすることによって空気の吐出量を大きくすることができる。しかしながら、振動板の振幅を大きくすると、振動板の振幅方向の振動が大きくなり、この振動が、噴流発生装置の筐体やこの冷却装置を搭載する電子機器の筐体等に伝わるという問題がある。
【0006】
この振動の原因は、重さを持つ振動板及びこの振動板の駆動部の往復運動によって発生する加振力である。この加振力を低減するには、質量を小さくすること、振幅を小さくすること、あるいは周波数を下げること等が考えられる。しかしながら質量を小さくすることは、振動板の強度維持と相反し、振幅及び周波数を下げることは、冷却効率をあげるために噴流発生装置の空気吐出量をあげることと相反する(空気吐出量は振動板の振幅と有効断面積と周波数の積に比例する)。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、気体の吐出量を低下させることなく、あるいは冷却能力を低下させることなく、振動が噴流発生装置の外部に伝わることを抑制できる噴流発生装置及びこれを搭載した電子機器を提供することにある。
【0008】
本発明のさらなる目的は、振動が噴流発生装置の外部に伝わることを抑制することができ、噴流発生装置の小型化または薄型化を実現することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る噴流発生装置は、開口を有し、内部に気体が含まれた筐体と、前記筐体に振動可能に装着され、合成の加振力が減衰するように振動しながら前記気体に振動を与えることで、前記開口を介して前記気体を脈流として吐出させるための複数の振動体と、前記各振動体を駆動する駆動部とを具備する。
【0010】
本発明では、複数の振動体の合成加振力が減衰するように振動するため、筐体や噴流発生装置の外部へ伝わる振動を抑制することができる。一方で、振動体は複数用いられ、また、振幅を大きくしても合成加振力が減衰するので、気体の吐出量を低下させることはなく、それどころか吐出量を増やすことができる。
【0011】
例えば、振動体の質量、構造、振幅及び位相のうち少なくとも1つが調整されることにより、加振力が互いに弱められる。あるいは後述するように、各振動体の配置によって加振力が弱め合うようにしてもよい。
【0012】
各振動体の配置は、合成加振力が減衰するように配置されていれば、どのような配置であってもよい。例えば、各振動体が振動方向に配列されたり、振動方向に垂直方向に配列されていればよい。あるいは、例えば3つの振動体が、互いに振動方向を120度ずつ傾けて(当該3つの振動体で三角柱等が形成されるように)、または4つの振動体が互いに振動方向を90度ずつ傾けて(当該4つの振動体で直方体が形成されるように)、立体的に配置することも可能である。ここでいう振動方向とは、振動の往復の方向であり、位相とは無関係である。これ以降の「振動方向」についても同様である。
【0013】
気体は、例えば空気が挙げられるが、これに限らず、窒素、ヘリウムガス、あるいはアルゴンガス、その他の気体であってもよい。
【0014】
駆動部の駆動方式としては、例えば電磁作用、圧電作用または静電作用を利用することができる。
【0015】
振動体の形状は、平板状でなくてもよく立体的な構造であってもよい。例えば振動板に側板やリブ等が取り付けられていて剛性が高められるような構造がある。しかし、そのような目的に限られず、どのような形状であってもよい。また、振動体の振動方向に垂直な面の形状は、円、楕円、四角等の形状が挙げられる。
【0016】
本発明において、前記各振動体のうち2つの振動体が対向して配置され、前記駆動部は、前記2つの振動体が互いに近づくように、かつ、互いに遠ざかるように駆動する。これにより、互いの加振力が弱められる。この場合、振動体の大きさ、形状及び材質等は必ずしも同じでなくてよく、異なっていてもよい。
【0017】
本発明において、前記振動体の数がn、前記各振動体の大きさ、形状及び材質が同じであって、前記各振動体の振動数が同じである場合、前記駆動部は、ほぼ360/nの位相差で前記各振動体を駆動する。これにより、互いの加振力が弱められる。各振動体の大きさ、形状及び材質が同じとは、振動体の量産過程において製造される場合の「同じ」であって、本発明が実現できる程度に実質的に同じであればよく、物理的に全く同じでなくてもよい。
【0018】
本発明において、前記振動体の数が3以上であって、前記各振動体の大きさ、形状及び材質が同じであり、前記各振動体の振動数が同じである場合、前記駆動部は、前記各振動体のうち2つ以上の第1の振動体群が同じ第1の位相で、当該第1の振動体群の振幅の和が第1の振幅となるように、かつ、前記第1の振動体群以外の振動体のうち1つ以上の振動体が前記第1の位相とは逆の第2の位相で、当該1つ以上の振動体の振幅の和である第2の振幅が、前記第1の振幅と同じになるように、前記各振動体を駆動する。このように振幅を制御することによっても合成加振力を弱めることができる。
【0019】
本発明において、前記各振動体は、大きさ、形状及び材質のうち少なくとも1つが異なる少なくとも2種類がある。2種類以上の振動体であっても、振幅または位相等が制御されることにより合成加振力を弱めることができる。
【0020】
本発明において、前記筐体は、前記開口として、前記各振動体の駆動により、交互に前記気体を吐出する第1及び第2の開口を有する。第1及び第2の開口での気体の吐出のタイミングが逆であるので、第1及び第2の開口付近から発生する音波が弱め合い、騒音を低減できる。第1の開口は、複数あってもよく、また、第2の開口も複数あってもよい。
【0021】
本発明において、各振動体は、第1の振動板と、前記第1の振動板の外周側に環状に配置された第2の振動板とによりそれぞれ構成される。これにより、第1の振動板と第2の振動板の、それぞれの主面(振動方向に垂直な面)をほぼ同じ平面に配置することが可能となり、噴流発生装置の薄型化を実現することができる。
【0022】
本発明において、前記駆動部は、前記第1及び第2の振動板の間に配置された環状のマグネットと、前記第1の振動板の外周側に接続され、前記マグネットの内周側に配置された第1のコイルと、前記第2の振動板の内周側に接続され、前記マグネットの外周側に配置された第2のコイルとを有する。本発明では、環状のマグネットと、第1のコイルと、第2のコイルとを、例えば同心状に配置することができるので、噴流発生装置の薄型化を実現することができる。なお、マグネットと、第1のコイルと、第2のコイルとは必ずしも同心状に配置されなくてもよく、噴流発生装置の薄型化を達成できるように、上記振動方向に垂直な面内で平面的に並ぶように配置すればよい。
【0023】
本発明において、噴流発生装置は、前記第1の振動板の外周側に接続され、前記第1の振動板を支持する第1の弾性支持部材と、前記第2の振動板の内周側に接続され、前記第2の振動板を支持する第2の弾性支持部材とをさらに具備する。本発明では、第1及び第2の弾性支持部材についても、上記振動方向に垂直な面内で平面的に並ぶように配置させることができるので、噴流発生装置の薄型化に寄与する。
【0024】
本発明において、噴流発生装置は、前記第2の振動板に対面するように、前記筐体内に前記第2の振動板の振動方向で配列された一対の板材をさらに具備する。これにより、一対の板材で挟まれた領域において第2の振動板の駆動による気流を発生させることができ、一対の板材の外側の領域においては第1の振動板の振動による気流を発生させることができる。すなわち、本発明では、第1及び第2の振動板のそれぞれの駆動による気流発生のための独立させた領域を形成することができる。
【0025】
本発明において、前記一対の板材は、前記筐体内における、前記開口に近い側に設けられている。これにより、筐体内のうち開口付近で最も大きな圧力変化を起こすことができ、気体の吐出量を極力増やすことが可能となる。
【0026】
本発明において、前記筐体は、前記第1の振動板の駆動により圧力変化を発生する第1の領域と、前記開口として、前記第1の領域における前記圧力変化により交互に前記気体を吐出する第1及び第2の開口と、前記一対の板材で挟まれ、前記第2の振動板の駆動により圧力変化を発生する第2の領域と、前記開口として、前記第2の領域における前記圧力変化により交互に前記気体を吐出する第3及び第4の開口とを有する。第1及び第2の開口での気体の吐出のタイミングが逆であるので、第1及び第2の開口付近から発生する音波が弱め合い、騒音を低減できる。また、第3及び第4の開口での気体の吐出のタイミングが逆であるので、第3及び第4の開口付近から発生する音波が弱め合い、騒音を低減できる。第1の開口は、複数あってもよく、また、第2の開口も複数あってもよい。第3の開口または第4の開口も同様に複数あってもよい。
【0027】
本発明の他の観点に係る噴流発生装置は、開口を有し、内部に気体が含まれた筐体と、前記気体に振動を与えることで、前記開口を介して前記気体を脈流として吐出させるための第1の振動体と、前記第1の振動体の外周側に環状に設けられ、前記気体に振動を与えることで、前記開口を介して前記気体を脈流として吐出させるための第2の振動体と、前記第1及び第2の振動体の位相が逆になるように、該第1及び第2の振動体を駆動する駆動部とを具備する。
【0028】
本発明では、第1の振動板と第2の振動板の、それぞれの主面(振動方向に垂直な面)をほぼ同じ平面に配置することが可能となり、噴流発生装置の薄型化を実現することができる。
【0029】
本発明のさらに別の観点に係る噴流発生装置は、開口を有し、内部に気体が含まれた筐体と、前記筐体に振動可能に装着され、前記気体に振動を与えることで、前記開口を介して前記気体を脈流として吐出させるための気体吐出用振動体と、前記気体吐出用振動体を駆動する第1の駆動部と、前記気体吐出用振動体の加振力が減衰するように振動する減衰用振動体とを具備する。
【0030】
本発明では、減衰用振動体が気体吐出用振動体の加振力が減衰するように振動するので、筐体や噴流発生装置の外部へ伝わる振動を抑制することができる。
【0031】
本発明において、前記第1の駆動部は、マグネットと、前記気体吐出用振動体に弾性的に接続され、前記減衰用振動体を構成するコイルとを有する。本発明では、第1の駆動部の一部であるコイルが減衰用振動体を構成するので、気体吐出用振動体の加振力減衰のために、別途の振動体を設ける必要がなく、噴流発生装置を小型化または薄型化することができる。本発明の場合、気体吐出用振動体の固有振動数が、第1の駆動部による駆動周波数と実質的に同一周波数及び実質的に同じ振動エネルギーとなるように、かつ、逆位相になるように、噴流発生装置の設計段階で、振動系の構造、または上記駆動周波数等が調整されればよい。上記「構造」には、質量、形状、大きさ、材質、または空気抵抗等の概念が含まれる。
【0032】
本発明において、前記減衰用振動体は、前記筐体の外部に装着されている。これにより、減衰用振動体が振動しても、気体吐出用振動体の駆動により筐体内に発生する気流に影響がない。ここでいう「筐体の外部」とは、減衰用振動体が振動しても、気体を吐出させるための筐体内部の圧力変化に寄与しない領域であり、また、外観上見える部分であるとは限らない。
【0033】
この場合、噴流発生装置は、前記減衰用振動体を駆動する第2の駆動部をさらに具備することが好ましい。このように、第1の駆動部とは別の第2の駆動部が設けられることにより、第1の駆動部による気体吐出用振動体の駆動に応じて、該気体吐出用振動体の加振力が減衰するように第2の駆動部の駆動が制御されればよい。
【0034】
本発明のさらに別の観点に係る噴流発生装置は、開口をそれぞれ有し、内部に気体が含まれた複数の筐体と、前記各筐体に振動可能にそれぞれ装着され、合成の加振力が減衰するように振動しながら前記気体に振動を与えることで、前記開口を介して前記気体を脈流として吐出させるための複数の振動体と、前記筐体ごとに設けられ、前記各振動体を駆動する複数の駆動部とを具備する。
【0035】
本発明では、筐体が複数ある場合でも、上記同様に複数の振動体の合成加振力が減衰するように振動するため、筐体や噴流発生装置の外部へ伝わる振動を抑制することができる。各筐体は、開口を1つずつ有していてもよいし、それぞれ複数有していてもよい。
【0036】
本発明において、前記振動体の数が3以上ある場合、前記各駆動部は、前記各振動体のうち2つ以上の第1の振動体群の振動方向が同じ第1の方向であって、同じ第1の位相である場合、前記第1の振動体群以外の1つ以上の振動体の振動方向が前記第1の方向であって、前記第1の位相とは逆の第2の位相となるように、前記各振動体をそれぞれ駆動する。振動体の大きさ、形状及び材質等は必ずしも同じでなくてよく、互いの加振力が弱め合うように、各振動体が配置され、かつ、駆動部が各振動体を駆動すればよい。
【0037】
本発明において、前記各振動体の振動方向が同じである場合、前記筐体は、前記振動方向に配列されている。すべての振動体の振動方向が同じでも、少なくとも2つの振動体の位相は異なることは言うまでもない。これにより、振動方向を含む面内で1次元的または2次元的に配置された発熱体等の対象物に向けて、効果的に気体を吐出することができる。あるいは、前記各振動体の振動方向が同じである場合、前記筐体は、前記振動方向にほぼ垂直な面内で配列されていれば、その垂直な面内で1次元的または2次元的に配置された発熱体等の対象物に向けて、気体を吐出することができる。
【0038】
本発明において、前記各筐体は、互いに係合し合う係合部をそれぞれ有する。これにより、発熱体等の対象物の形状や配置によって適宜筐体を積層したり、ある平面内に並べたりすることができ、効果的に放熱等することができる。
【0039】
本発明に係る電子機器は、発熱体と、開口を有し、内部に気体が含まれた噴流発生用筐体と、前記噴流発生用筐体に振動可能に装着され、合成の加振力が減衰するように振動しながら前記気体に振動を与えることで、前記開口を介して前記気体を前記発熱体に向けて脈流として吐出させるための複数の振動体と、前記各振動体を駆動する駆動部とを具備する。
【0040】
噴流発生用筐体が複数ある場合、本発明に係る電子機器は、発熱体と、開口をそれぞれ有し、内部に気体が含まれた複数の噴流発生用筐体と、前記各噴流発生用筐体に振動可能にそれぞれ装着され、合成の加振力が減衰するように振動しながら前記気体に振動を与えることで、前記開口を介して前記気体を前記発熱体に向けて脈流として吐出させるための複数の振動体と、前記噴流発生用筐体ごとに設けられ、前記各振動体を駆動する複数の駆動部とを具備する。
【0041】
上記電子機器としては、コンピュータ(パーソナルコンピュータの場合、ラップトップ型であっても、デスクトップ型であってもよい。)、PDA(Personal Digital Assistance)、電子辞書、カメラ、ディスプレイ装置、オーディオ/ビジュアル機器、携帯電話、ゲーム機器、その他の電化製品等が挙げられる。発熱体としては、例えばICや抵抗等の電子部品、あるいは放熱フィン(ヒートシンク)等が挙げられるが、これらに限られず発熱するものなら何でもよい。
【発明の効果】
【0042】
以上のように、本発明によれば、気体の吐出量を低下させることなく、あるいは冷却能力を低下させることなく、振動が噴流発生装置の外部に伝わることを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0044】
図1は、本発明の一実施の形態に係る噴流発生装置を示す斜視図である。図2は、その断面図である。
【0045】
噴流発生装置10は、内部に空気が含まれた筐体1を備えている。筐体1は例えば直方体形状を有している。筐体1内には、例えば互いに対向する2つの振動板3a及び3b、これら振動板3a及び3bを駆動するアクチュエータ5a及び5bが設けられている。アクチュエータ5a及び5bは、例えば筐体1の上部及び下部にそれぞれ配置され、振動板3a及び3bを駆動する。各振動板3a及び3bの周縁部には弾性支持部材6a及び6bがそれぞれ装着され、各弾性支持部材6a及び6bは、筐体1の内壁から突出する突出部7にそれぞれ装着されている。すなわち、振動板3a及び3bは、弾性支持部材6a及び6bによって筐体1に対して振動可能となっている。振動板3a、弾性支持部材6a、振動板3b及び弾性支持部材6bにより、筐体1の内部が3つのチャンバ11a、11b及び11cに分離されている。
【0046】
チャンバ11bは、チャンバ11a及び11cより容積が大きくなっている。しかし、必ずしもこのように構成しなくてもよく、すべてのチャンバが同じ容積であってもよいし、すべてのチャンバが異なる容積であってもよい。
【0047】
筐体1の側面12には、開口1a、1b、1c及び1dがそれぞれ1列ずつ複数設けられている。開口1aはチャンバ11aに連通している。開口1b及び1cはチャンバ11bに連通し、開口1dは、チャンバ11cに連通している。開口1a〜1dが設けられることにより、後述するように各チャンバ11a〜11cから当該開口1a及び1bを介して、図示しないヒートシンク等の発熱体に向けて空気が吐出される。
【0048】
上下2つのアクチュエータ5a及び5bは同様の構成となっている。例えば円筒状のヨーク8の内側に、振動板3a及び3bの振動方向Rに着磁されたマグネット14が内蔵され、マグネット14には、例えば円板状のヨーク18が取り付けられている。このマグネット14、ヨーク8及び18により磁気回路が構成される。マグネット14とヨーク8との間の空間には、コイル17が巻回されたコイルボビン9が出入りするようになっている。すなわち、アクチュエータ5a及び5bはボイスコイルモータでなる。アクチュエータ5a及び5bのコイル17には図示しない給電線が接続され、この給電線は図示しない駆動用のICに接続されている。この駆動用ICから、当該給電線を介してアクチュエータ5a及び5bに電気信号が供給され、振動板3a及び3bを矢印Rの方向にそれぞれ振動させることができる。
【0049】
筐体1は、例えば、樹脂、ゴム、金属、またはセラミックスでなる。樹脂やゴムは成形で作製しやすく量産向きである。また、筐体1が樹脂やゴムの場合、アクチュエータ5a及び5bの駆動により発生する音、あるいは振動板3aが振動することにより発生する空気の気流音等を抑制することができる。つまり、筐体1が樹脂やゴムの場合、それらの音の減衰率も高くなり、騒音を抑制することができる。さらに、軽量化に対応でき、低コストとなる。金属としては、筐体1の放熱を考慮すると、熱伝導性のよい銅やアルミがよい。弾性支持部材6は、例えば樹脂、ゴム等でなる。
【0050】
振動板3a及び3bは、例えば、樹脂、紙、ゴム、または金属等でなる。振動板3a及び3bの形状は、図示するような平板状に限らず、スピーカに搭載される振動板のようなコーン状であってもよい。あるいは立体的な形状であってもよい。振動板3a及び3bの平面形状(振動方向Rにほぼ垂直な面の形状)は、図1に示した矩形に限らず、円、楕円、あるいは矩形と円を組み合わせたような、すなわち角が丸い矩形とすることもできる。
【0051】
以上のように構成された噴流発生装置10の動作について説明する。
【0052】
各アクチュエータ5a及び5bに例えば正弦波の交流電圧がそれぞれ印加されると、振動板3a及び3bは正弦波振動を行う。具体的には、振動板3aと3bとは、互いに近づき合い、かつ、遠ざかるように、アクチュエータ5a及び5bにより駆動される。これにより、チャンバ11a〜11c内の容積が増減する。チャンバ11a〜11cの容積変化に伴い、チャンバ11a〜11cの圧力が変化することで開口1a〜1dから空気の流れが脈流として発生する。例えば、振動板3a及び3bがチャンバ11a及び11cの容積を増加させる方向に変位すると、チャンバ11a及び11cの圧力は減少する。このとき、チャンバ11bの圧力は増加する。これにより開口1a及び1dを介して筐体1の外部の空気がチャンバ11a及び11c内に流れ込み、チャンバ11b内の空気が開口1b及び1cを介して筐体1の外部へ吐出される。逆に、振動板3a及び3bがチャンバ11bの容積を減少させる方向に変位すると、チャンバ11a及び11cの圧力は増加する。これにより、チャンバ11a内及び11cの空気が開口1a及び1bを介して外部に吐出される。
【0053】
開口1a〜1dから空気が噴出されるときに、筐体1の外部における開口1a〜1dの周囲の気圧が低下することにより、当該周囲の空気が各開口1a〜1dから吐出される空気に巻き込まれる。すなわち、これが合成噴流である。このような合成噴流が、ヒートシンク等の発熱体に吹き付けられることにより、発熱体を冷却することができる。
【0054】
また、開口1a〜1dから空気が噴出されるときに、それぞれの開口1a〜1dから独立して、風切り音が発生する。これが主な騒音の原因となる。しかし、本実施の形態では、開口1a及び1dから空気が吐出されるタイミングと、開口1b及び1cから空気が吐出されるタイミングが交互である、つまり位相が180度異なるので、音波が弱め合い、騒音が低減される。
【0055】
図3は、振動板3a及び3bが振動することによって、合成の加振力が減衰する様子を表すグラフである。図3において、実線が振動板3aの振幅変化で、破線が振動板3bの振幅変化を示す。このグラフは、図2で示した振動板3a及び3bの配置における各振幅の変化をそのまま示したグラフである。そして2波の重ね合わせが、太線で示したように振幅が理想的にはゼロになる。ここで、振動の式(Y=Asinωt(Aは振幅、ωは角速度、tは時間))の二階の時間微分により、加速度の式になるため、振幅変化と同相であり、振幅変化と加振力とは比例関係にある。したがって、互いの振動が逆位相であることにより、合成加振力が減衰する。
【0056】
また、開口1a〜1dを介して空気が外部へ吐出されるタイミングで、それらの開口1a〜1d付近から音波が発生する。しかしながら、振動板3a及び3bは逆位相であり、開口1b及び1cから空気が外部へ吐出されるタイミングと、開口1a及び1dから空気が外部へ吐出されるタイミングは逆位相である。したがって、互いに音は弱め合うことになり、騒音も抑制することができる。
【0057】
なお、図3における縦軸の単位は、例えば[mm]が挙げられる。しかし、図3は2つの振動板3a及び3bの相対的な振幅変化を説明するための図であり、縦軸の単位は何でもよい。後述する図8、9についても同様である。
【0058】
以上のように、複数の振動板3a及び3bが互いの加振力が弱め合うように振動するため、各振動板3a及び3bの振動が筐体1や噴流発生装置10の外部へ伝わることを抑制することができる。一方で、振動板は複数用いられ、また、振幅を大きくしても互いの加振力が弱め合うので、空気の吐出量を低下させることはなく、それどころか吐出量を増やすことができる。
【0059】
図4は、本発明の他の実施の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。これ以降の説明では、上記の実施の形態に係る噴流発生装置10の部材や機能等について同様のものは説明を簡略または省略し、異なる点を中心に説明する。
【0060】
この噴流発生装置20は、第1の噴流発生器120と第2の噴流発生器220とが積層されて構成されている。第1の噴流発生器120では、振動板3及び弾性支持部材6により仕切られるように第1のチャンバ131a及び第2のチャンバ131bが筐体121内形成されている。第2の噴流発生器220も筐体221を備え、第1の噴流発生器120と同様の構成となっている。第2の噴流発生器220は、第1の噴流発生器120を上下逆にしたように配置され、互いの振動板3を対向させるように配置されている。
【0061】
各アクチュエータ5は、チャンバ131b及び231aの容積を互いに減少させるように、かつ、チャンバ131a及び231bの容積を互いに増加させるように各振動板3を駆動する。また、各アクチュエータ5は、チャンバ131b及び231aの容積を互いに増加させるように、かつ、チャンバ131a及び231bの容積を互いに減少させるように各振動板3を駆動する。このような動作により、各開口121a、121b、221a及び221bを介して脈流として空気が吐出される。
【0062】
このように、2つの噴流発生器120及び220を用いて、振動板3による加振力を互いに弱め合うようにすることができ、上記図1及び図2に示した噴流発生装置10と同様の効果を得ることができる。
【0063】
図5は、本発明のさらに別の実施の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。この噴流発生装置30は、同様の構成を有する2つの噴流発生器130及び230が、振動方向Rを同じにして互いに逆向きに配置されている。噴流発生器130は、筐体131を備え、筐体131内にアクチュエータ5が配置され、1つのチャンバを有する。このような構成によっても、例えば振動板3が互いに近づき合い、かつ、遠ざかるように振動すれば互いの加振力が弱め合う。
【0064】
図6は、さらに別の実施の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。この噴流発生装置40は、2つの噴流発生器140及び240が積層されて構成されている。噴流発生装置40と、図4に示した噴流発生装置20とでは、噴流発生器240の振動板33bの形状が異なる。図6に示すように、例えば振動板33bは、噴流発生器140の振動板33aより厚さが厚くなっている。
【0065】
このように振動板33a及び33bの大きさ、形状、あるいは材質等が異なっていても、互いに近づき合うように、かつ、互いに遠ざかるように振動すれば、合成加振力を減衰させることができる。この場合、合成された後の加振力が残っていても、減衰しさえすればよい。あるいは、例えば振動板33aより振動板33bの質量が大きい場合、振動板33aの振幅を振動板33bのそれより大きくする等して、合成加振力をほぼなくすようにしてもよい。
【0066】
図7は、さらに別の実施の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。噴流発生装置50は、図4に示した噴流発生器120や220と同様の構成の噴流発生器150、250及び350が積層されて構成されている。噴流発生器150及び250は同じ向きに配置され、噴流発生器350はそれらと逆向きに配置されている。図8は、噴流発生器150、250及び350がそれぞれ有する振動板3a、3b及び3cの振幅変化を示すグラフである。これら3つの振動は、位相が120°ずつずれている。このように、振動板の数がnの場合には、360/nの位相差で振動すれば、重ね合わせの波はなくなる。したがって加振力もなくなる。
【0067】
3つの振動板3a、3b及び3cの場合、図9に示すように駆動してもよい。例えば1つの振動の振幅が1.0の大きさとすると、それと逆位相の2つの振動の振幅がグラフ上の0.5の大きさとすればよい。
【0068】
なお、図7及び図8のグラフに示すような波形を実現するためには、振動板3a〜3cの形状、大きさ及び材質等が同じであることが望ましい。
【0069】
図10は、さらに別の実施の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。この噴流発生装置110は、図4で示した噴流発生器120または220を、振動板3a及び3bの振動方向Rとは垂直な面内で2つ配列させた構成を有している。なお、開口121a及び121bは、図中、紙面に垂直方向に向けて空気が流通するように設けられている。振動板3aが振動する際に下方向に移動するタイミングで、振動板3bは上方向に移動する。その逆も同じである。この場合、噴流発生装置全体に矢印Tで示す方向にモーメントが発生する。このように振動板3a及び3bの合成加振力がモーメントに変換されることにより、この流発生装置が搭載される電子機器に与える悪影響を少なくすることができる。また、騒音も低減できる。本実施の形態のように、合成加振力がモーメントに変換される場合も、合成加振力、つまり結果的に装置全体に働く「振動」の力は少なくなるので、この場合も、合成加振力が「減衰」される場合に含めるものとする。
【0070】
上記モーメントの発生を抑えたい場合、図11(A)、図11(B)に示すように、3つ以上の噴流発生器120を横並びで配列させればよい。例えば、図11(A)では、振動板3a及び3cが図中、上方向に移動するタイミングで、振動板3bが下方向に移動する。これらの振動板3a〜3cの形状、大きさ、材質等が同じである場合であって、加振力を極力小さくしたい場合は、振動板3a及び3cの合成の加振力(または振幅)が、振動板3bの加振力(または振幅)とほぼ同じになるようにすればよい。図11(B)では、例えば振動板3a及び3dが上方向に移動するタイミングで、振動板3b及び3cが下方向に移動するように振動すれば、合成加振力を減衰させることができる。
【0071】
図12は、噴流発生器120を複数配列させた形態を示す模式図である。図12(A)は、噴流発生器120を縦に積層させた形態を示す。つまり、図4で示すような形態である。図12(B)は、図10に示すような形態である。図12(C)は、噴流発生器120が縦横に2個ずつ配列された形態である。図12(D)は、縦にN個積層された形態である。図12(E)は、横にM個配列された形態である。図12(F)は、縦横にN個、横にM個配列された形態である。これらのような形態であっても、振動板の振幅、位相、または配置等を調整することで、合成加振力を減衰させることができる。また、本実施の形態では、発熱体の大きさや形状に合わせて、同じ構造の噴流発生器120を適宜組み合わせて配列されることができ、汎用性が高くなる。
【0072】
図13は、図12に示す形態と類似しているが、図13では1つの筐体の中に、複数の振動板がある形態を示している。例えば図13(A)は、図2に示すような形態である。つまり、1つの筐体の中で仕切られた数だけ振動板があることを意味している。これらのような構成によっても、合成加振力を減衰させることができる。特に、図13で示す形態は、予め噴流発生装置の設計段階で、冷却対象となる発熱体の大きさがわかっている場合に有利となる。また、その結果、材料の削減、噴流発生装置全体の外形寸法を小さくできる等の利点がある。
【0073】
図14は、噴流発生装置が電子機器に搭載された状態を示す模式図である。図14(A)は、例えば電子機器としてPCの筐体100に、噴流発生器60及び70が搭載された状態を示している。噴流発生器60と噴流発生器70は、図では筐体の大きさ等が異なっているが、基本的な構造や原理は、上記で説明したものと同様である。噴流発生器60等は、例えば図4で示した噴流発生器120と同様の構成である。これら図14に示すように、各種の配置が可能である。
【0074】
図14(A)〜図14(C)では、噴流発生器60と70とが接しているが(他にも噴流発生器80や90にも接している)、図14(D)〜(F)では、噴流発生器同士が離れている。図14(D)〜図14(F)の場合、噴流発生器60と70等とが、筐体100を介して加振力が弱め合うようになっている。
【0075】
図15は、発熱体と噴流発生器との位置関係を示す模式図である。PC等の電子機器の筐体100の中にあるヒートシンク等の発熱源95は、図15(A)〜(C)に示すように1箇所の場合が考えられる。あるいは、図15(D)〜(F)に示すように、複数の発熱源95a、95b等がある場合も考えられ、1つの発熱源に対して1つの噴流発生器が対応するようにしてもよい。電子機器の大きさ、発熱源の容量と配置、噴流発生器60等の大きさと能力を考慮し、最適に配置されるべきであり、いずれの場合にも加振力を減衰することは可能である。
【0076】
図16は、電子機器の筐体と噴流発生器の筐体が一体となった電子機器を示す断面図である。図16(A)に示すように、電子機器の筐体200の底面から壁板200a、200b、200cが立設されている。筐体200と、壁板200a等とは一体成形することができる。図16(B)に示すように、これらの壁板200a、200b、200cに噴流発生器130や135が固定されている。この噴流発生器130は、図5に示した噴流発生器130や230と同様の構成である。このような構成によれば、例えば、図10で示した噴流発生装置をそのまま筐体200に取り付ける場合に比べ、噴流発生装置の筐体の厚さ分だけ、電子機器を薄型化することができる。なお、本実施の形態では、振動板3aが図中下方向に移動するタイミングで、振動板3bは上方向に移動すれば、合成加振力はモーメントに変換される。
【0077】
図17は、例えば図4に示した筐体121を有する噴流発生器120を多段に積層する場合の当該筐体121の構造を示す。図17(A)に示す破線で囲まれた部分X、Y及びZを、図17(B)で拡大して示している。筐体121の上面には、凸部121cが設けられ、その下面には、凹部121dが設けられている。凸部121cや凹部121dは、例えば図18に示すように、4つの角付近にそれぞれ設けられている。このような構成によれば、凸部121c及び凹部121dを係合させることにより、筐体121を多段に積層して容易に位置決めをすることができる。
【0078】
凸部121cや凹部121dの数は、図18に示したように筐体121の1つの面に4つでなくてもよく、3つ以下でもよいし、5つ以上でもよい。また、筐体121の上面や下面だけでなく、例えば6面すべてに凸部や凹部があれば、縦横すべての範囲で筐体121を拡張することができる。これにより、発熱体等の対象物の形状や配置によって適宜筐体121を積層したり、ある平面内に容易に並べたりすることができ、効果的に放熱等することができる。
【0079】
また、凸部121cや凹部121dの形状や大きさも、図17(B)及び図18で示した形態に限られない。例えば図18では円形だが、矩形や他の形状であってもよい。あるいは、長いレール状の凸部及び凹部であってもよい。
【0080】
図19は、図17(B)で示した筐体121の変形例を示す断面図である。この例では、凸部121cに窪み121eが形成され、この窪み121eに例えば接合材123が設けられていてもよい。接合材は例えば接着剤等である。この窪み121eは、凸部121cや凹部121d以外の筐体121の表面に配置されていてもよい。
【0081】
図20は、図10で示した噴流発生装置110が電子機器に搭載された状態を示す断面図である。この例では、噴流発生装置110は、制振材15を介してPC等の電子機器の筐体200の底面に取り付けられている。これにより噴流発生装置110から筐体200に振動が伝わることを抑制することができる。制振材15としては、樹脂、ゴム、低反発素材等、振動や衝撃を吸収しやすいものがよい。
【0082】
あるいは、図21に示すように、電子機器の筐体200に対して、バネやゴム等の弾性体13によって弾性的に支持される浮遊構造としてもよい。
【0083】
浮遊構造としては、図22に示すような構造も一形態として挙げられる。図23は、図22に示す噴流発生装置160の平面図であり、図23におけるA−A線断面図が図22になる。例えば、噴流発生装置160が備えている2つの噴流発生器120の間には、これら2つの噴流発生器120の筐体121同士を連結する連結部材165が設けられている。電子機器の筐体200の底面には、柱部材19が例えば2本立設されている。そして可動部材16が柱部材19に対して上下動可能に、かつ、傾動可能(図24(B)参照)に支持されている。すなわち、可動部材16は、図24(B)で示すように、矢印の上下方向と傾動方向(回転方向)に弾性力を持つ構造を有している。可動部材16は、噴流発生装置160が筐体200に接触しないように、つまり噴流発生装置160が筐体200内で浮遊するように上記連結部材165に固定されている。連結部材165は、各筐体121と一体成形されていてもよい。
【0084】
例えば図24(A)では、2つの筐体121(図22及び図23)が水平状態にある。各噴流発生器120の振動板3がそれぞれ駆動すると、図10の形態で説明したように噴流発生装置160全体にモーメントが発生して図24(B)に示すように、噴流発生装置160が両回転方向に傾動する。しかしながら、噴流発生装置160は浮遊しているので、その振動は伝わりにくい。
【0085】
かかる可動部材16の構造の一例を図25に示す。例えば可動部材16は、2つの板部材16a及び16bの間に複数のバネ16cを挟むような構造でなっている。連結部材165は、上部の板部材16aに固定されている。これにより、噴流発生装置160は、上下方向及び回転方向に動くことができる。
【0086】
図20、図21、または図22のうちいずれの方法が、電子機器の振動の減衰の効果が大きいかは、電子機器の形状、大きさ、重量、噴流発生装置110や160の形状、大きさ、重さ、振動板の往復運動方向、駆動周波数等、様々な要因により変化する。
【0087】
本発明は以上説明した実施の形態には限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0088】
図1及び図2では、筐体1に単に開口1a、1b等が設けられる構成としたが、それらの開口にノズルがそれぞれ取り付けられる構成であってもよい。その場合ノズルは筐体1と一体成形されてもよい。
【0089】
上記各図に示した形態の特徴部分のうち少なくとも2つを適宜組み合わせることも可能である。
【0090】
上記各噴流発生装置は、燃料電池の燃料を供給する手段として用いることもできる。具体的には、燃料電池本体の酸素(空気)吸入口と、上記各実施の形態に係る噴流発生装置のノズル(あるいは開口)とを対向させるように配置すればよい。このようにすれば、噴流発生装置から吐出された噴流の空気が当該吸入口から酸素燃料として吸入される。
【0091】
図26は、本発明のさらに別の実施の形態に係る噴流発生装置を示す斜視図である。図27は、図26に示す噴流発生装置であって、上部カバーが外れた状態を示す図である。図28は、噴流発生装置の各部品の分解斜視図である。さらに、図29はこの噴流発生装置の平面図である。
【0092】
図26及び図27に示すように、噴流発生装置170は、筐体35と、この筐体の前側の開口35a(図27参照)に装着され筐体35内の空気を吐出するノズル体48とを備えている。ノズル体48が筐体35とは別体であることにより、ノズル体48を一体成型することができ、製造が容易になる。
【0093】
筐体35は、図28に示すように、上部ケース36、この上部ケース36に取り付けられる上部カバー36a、下部ケース37、この下部ケース37に取り付けられる下部カバー37aとで構成されている。また、後述する第2の振動板構造体58のガスケット54が筐体35の一部を構成しているが、このガスケット54は、外観上見えないように、筐体内に配置されていてもよい。上部ケース36と下部ケース37とは同じ構成を有している。図28に示すように、筐体35内には、第1の振動板構造体45、第2の振動板構造体55、駆動部の一部となる環状のマグネット46が設けられている。上部ケース36及び下部ケース37は、その水平面内(X−Y平面内)の形状がほぼ矩形でなるが、矩形に限らずどのような形状でもよい。上部ケース36及び下部ケース37の、ノズル体48が装着される側である前側と、反対側である後ろ側は、その内壁に曲面36e及び37eをそれぞれ有している。これにより、筐体35内の気流の渦の発生を抑え、騒音を低減することができる。
【0094】
第1の振動板構造体45は、第1の振動板42と、この第1の振動板42の外周側に接続された環状の第1のコイル41と、第1の振動板42の内周側に接続された第1の弾性支持部材43とで構成される。第2の振動板構造体55は、環状の第2の振動板52と、第2の振動板52の内周側に接続された環状の第2のコイル51と、第2の振動板52の外周側に接続された環状の第2の弾性支持部材53と、この第2の弾性支持部材53を支持する環状のガスケット38とで構成される。ガスケット38は、図26及び図30に示すように上部ケース36及び下部ケース37に挟持されており、上記したように筐体35の一部を構成している。第1の振動板42及び第2の振動板52の各主面(Z方向に垂直な面)の形状は、それぞれほぼ矩形でなるが、この形状も、筐体35の平面形状に合わせて適宜変更可能である。第1の弾性支持部材43は、ベローズ状をなしている。第2の弾性支持部材53も同様にベローズ状をなす。
【0095】
なお、「環状」とは、円に限られず、図28のような矩形状であってもよく、その他の形状であってもよい。
【0096】
図31は、図29におけるB−B線断面図であり、図32は、図29におけるC−C線断面図である。マグネット46は、下部ケース37の中央に設けられたマグネット嵌合部36b及び37bに嵌め込まれて、マグネット載置部36c及び37cに挟まれて載置されている。図31に示すように、マグネット嵌合部36b及び37bに嵌め込まれたマグネット46の内周側に上記第1のコイル41が配置されるように、また、マグネット46の外周側に上記第2のコイル51が配置されるように、第1及び第2の振動板構造体45及び55がそれぞれ配置される。つまり、内側から順に、第1の振動板構造体45、マグネット46、第2の振動板構造体55が配置され、これらは実質的に同心状に配置されている。なお、第1の振動板構造体45、マグネット46及び第2の振動板構造体55は、同心状に配置されていなくてもよく、中心がずれていてもよい。
【0097】
上部ケース36及び下部ケース37のそれぞれのほぼ中央には、筐体35内で突出する柱材36d及び37dがそれぞれ設けられている。これら両柱材36d及び37dに、上記第1の弾性支持部材43の中央に設けられた平面部43aが挟まれて支持されることにより、第1の振動板構造体45は支持されている。また、上記したようにガスケット54が、上部ケース36及び下部ケース37に挟持され、かつ、前側でノズル体48にZ方向で中央に形成された溝48eに嵌め込まれることにより、第2の振動板構造体55が支持される。
【0098】
このように、この噴流発生装置170では、第1の振動板42と第2の振動板52の、それぞれの主面を、ほぼ同じ水平面に配置することが可能となり、噴流発生装置170の薄型化を実現することができる。
【0099】
マグネット嵌合部36b及び37bの内側では、Z方向で空気を流通させる空気流通部36f及び37fが開口されている。また、マグネット嵌合部36bの内側であって、後ろ側には2つの穴36gが設けられている。同様に、マグネット嵌合部37bの内側であって、後ろ側には2つの穴37gが設けられている。これらの穴36g及び37gは、上部カバー36a及び下部カバー37aによりそれぞれ塞がれる。なお、必ずしもこれらの穴36g及び37gが設けられていなくてもよい。
【0100】
マグネット46は、例えばスペーサ46cを挟んで2つのマグネット46a及び46bを有する。これらのマグネット46a及び46bはそれぞれ垂直方向に着磁され、互いに反発する方向に着磁されている。このように2つのマグネット46a及び46bが対向して反発磁界が形成されることにより、スペーサ46cから水平方向に周囲に広がるように流れる方向の磁束密度を増やすことができ、各振動板42及び52を効率良く振動させることができるので、消費電力を抑えることができる。スペーサ46cは、磁性材料でもよいし非磁性材料でもよい。非磁性材料としては、例えば樹脂、ゴム、セラミックス、または、アルミニウム等の非磁性材料の金属等で構成される。スペーサ46cは必ずしもなくてもよい。
【0101】
下部ケース37には、後ろ側半分に床面37hが設けられ、前側半分はその床面37hよりZ方向で高さが高い位置に配置された板材37iが設けられている。上部ケース36も同様に、後ろ側半分に天井面36hが設けられ、前側半分は、その天井面36hよりZ方向で高さが低い位置に配置された板材36iが設けられている。上記空気流通部36f及び37fは、この一対の板材36i及び37iに開口されて形成されている。第2の振動板52の前側は、この一対の板材36i及び37iに挟まれた領域56内に配置され、この領域56内で振動するとともに、後ろ側は、床面37h及び天井面36hの間でZ方向に振動する。一方、第1の振動板42は、マグネット46の内周側の領域でZ方向に振動する。第1の振動板構造体45により、第1の振動板42の上側の領域及び板材36iの上側の領域を含む第1の上部チャンバ61と、板材36iの下側の領域を含む第1の下部チャンバ62とが形成される。また、マグネット46の前側の側面46d、一対の板材36i及び37i及び第2の振動板構造体55により、第2の上部チャンバ63と、第2の下部チャンバ64とが形成される。
【0102】
ノズル体48は、Z方向に例えば4段に空気の流路48a、48b、48c、48dが設けられ、これらの流路48a〜48dは、X方向にそれぞれ複数設けられている。ノズル体48は、このように筐体35とは別体としたが、上記各実施の形態のように、複数の開口が筐体に設けられていていもよい。つまり、ノズル体48がなく、ノズル体48の流路48a〜48dの代わりとして、筐体35に複数の開口が形成されていてもよい。この場合、ノズル体48は、「筐体」の概念に含まれ、「流路」は、「開口」の概念に含まれる。上記第1の上部チャンバ61は、流路48aを介して筐体35外部に連通し、第1の下部チャンバ62は、流路48dを介して筐体35外部に連通している。上記第2の上部チャンバ63は、流路48bを介して筐体35外部に連通し、第2の下部チャンバ64は、流路48cを介して筐体外部に連通している。
【0103】
なお、マグネット46とコイル41との間及びマグネット46とコイル41との間には、隙間が空いているが、この隙間を介して上下のチャンバ61及び62等で空気が流通してしまう。しかし、この隙間における空気の流通量は、ノズル体48の各流路48a〜48dを介しての空気の流通量に比べ極めて少なく設計可能であるので問題ない。場合によっては、この隙間に、気密性を確保するための部材、例えば第1の弾性支持部材43等と類似の部材が設けられていてもよい。
【0104】
このように構成された噴流発生装置170では、第1の振動板42と第2の振動板52とが逆位相で駆動される。すなわち、第1の振動板42が下方向に移動するタイミングで、第2の振動板52が上方向に移動するように、第1のコイル41及び第2のコイル51にそれぞれ電流が流れる。これにより、第1の振動板42の移動による加振力が、第2の振動板52の移動によって弱められる。当該加振力がほぼゼロとなるように、第1及び第2の振動板42及び52の各振幅が制御されることが望ましい。
【0105】
図31に示すように、例えば、第1の振動板42が下方向に移動し、またそのタイミングで、第2の振動板52が上方向に移動すると、第1の下部チャンバ62内及び第2の上部チャンバ63内の空気が圧縮され、これにより、流路48d及び流路48bから空気が吐出する。また、これと同じタイミングで、第1の上部チャンバ61内及び第2の下部チャンバ64内の空気が拡張するので、これにより、流路48a及び流路48cから空気が流入する。逆に、第1の振動板42が上方向に移動し、また、第2の振動板52が下方向に移動すると、流路48d及び流路48bから空気が流入し、これと同じタイミングで流路48a及び流路48cから空気が吐出する。
【0106】
流路48a及び48cから空気が吐出されるタイミングと、流路48b及び48dから空気が吐出されるタイミングは交互であり、つまり逆位相であるので、騒音が低減される。また、第1及び第2の振動板42及び52は互いに逆方向に振動するので、つまり、逆位相で振動するので噴流発生装置170の重心移動が少なくなり、あるいは重心移動はなくなる。これにより、噴流発生装置170に発生する振動を抑制することができる。
【0107】
また、一対の板材36i及び37iは、筐体35内でノズル体48に近い側に設けられているので、第1及び第2の振動板42及び52の駆動によって、筐体35内のうちノズル体48付近で初期に最も大きな圧力変化を起こすことができ、気体の吐出量を極力増やすことが可能となる。
【0108】
図33は、本発明のさらに別に実施の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。この噴流発生装置180では、振動板72とコイル71との間に環状の弾性部材73が接続されている。符号76はマグネットを示し、このマグネット76は、図31に示したマグネット46のように、スペーサを介して上下の2つのマグネットが一体となったマグネットであり、形状は例えば円柱形状でなる。弾性部材73は、弾性支持部材74と同じ材料(例えばゴムまたは樹脂)でもよいし、異なる材料であってもよい。振動板72のバネマス系(振動板72、弾性部材73及び弾性支持部材74を含む振動系)の固有振動数が、駆動周波数(コイル71に加えられる電気信号の周波数)と、実質的に、同一周波数、逆位相及び同じ振動エネルギーとなるように、振動系(バネマス系)の構造、または上記駆動周波数等が調整されればよい。上記「構造」には、質量、形状、大きさ、材質、または空気抵抗、その他抵抗のバランス等の概念が含まれる。
【0109】
このように構成された噴流発生装置180は、図34(A)及び図34(B)に示すように動作する。図34(A)では、ある所定の駆動周波数において、コイル71が下方向へ移動するタイミングで振動板72が上方向へ移動する。図34(B)ではその駆動周波数において、コイル71が上方向へ移動するタイミングで振動板72が下方向へ移動する。噴流発生装置180は、このような動作を繰り返す。すなわち、コイル71が、振動板72の振動により発生する加振力を減衰させる機能を有する。これにより、筐体75や噴流発生装置180の外部へ伝わる振動を抑制することができる。しかも、振動板72の加振力を減衰させるための別途の減衰用振動体を設ける必要がなく、噴流発生装置180を小型化または薄型化することができる。
【0110】
図35は、この噴流発生装置180の上記バネマス系の振動を模式的に表す図である。M1は振動板72を示し、M2はコイル71を示している。K1は弾性支持部材74を示し、K2は弾性部材73を示している。このバネマス系では、M1に働く力がf=[1/(2π)](k/m)1/2、M2に働く力がf=Asinωtと表すことができる。
【0111】
図36は、本発明のさらに別の実施の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。この噴流発生装置190では、気体吐出用の振動板82の振動により発生する加振力を減衰される減衰用振動板92が、筐体85の外部に装着されている。ここでいう「筐体85の外部」とは減衰用振動板92が振動した場合であっても、気体を吐出させるための筐体85内部の圧力変化に寄与しない領域である。また、この噴流発生装置190は、減衰用振動板92を収容するハウジング93を備えている。このように、「筐体85の外部」といっても、必ずしも外観上見える部分に減衰用振動板92が配置されていなくてもよい。また、このハウジング93内に、気体吐出用振動板82を駆動するためのアクチュエータ86とは別のアクチュエータ96が配置されている。このアクチュエータ96は、マグネット76と、減衰用振動板92の内周側に接続されたコイル98とを有し、このアクチュエータ96により減衰用振動板92が駆動される。減衰用振動板92の構造(形状、大きさ、または材質)は、気体吐出用振動板82と同じでもよいし、異なっていてもよい。マグネット76は、図34で示したマグネット76と同じ構造とすることができるが、他の構造であってもよい。なお、筐体85には、気体吐出用振動板82と減衰用振動板92を駆動する駆動用回路基板89が取り付けられている。駆動用回路基板89からは、それぞれのコイル97及び98に接続される給電線が延びている。駆動用回路基板89でなくても、単なる端子台であってもよい。
【0112】
このように構成された噴流発生装置190では、アクチュエータ96は、振動板82の駆動とは逆位相で減衰用振動板92が振動するように駆動する。これにより、気体吐出用の振動により発生する加振力が弱められ、または、打ち消される。
【0113】
なお、この噴流発生装置190のノズル体78は縦方向(Z方向)に4段の流路78a、78b、78c及び78dを有し、図示しないがもちろん横方向(X方向)にも複数の流路を有する。流路78b及び78cの間には、仕切り板78eが設けられている。噴流発生装置190が動作するとき、上段の流路78a及び78bと、下段の流路78c及び78dにおいて、常に風向きが逆になる。仕切り板78eが設けられることにより、例えば上段の流路78a及び78bから吐出された空気が、下段の流路78c及び78dから吸い込まれにくくなり、効率良く空気が吐出されるようになる。仕切り板78eは、X方向に延設された1枚の板で構成されていてもよいし、または、X方向で複数並ぶように設けられていてもよい。仕切り板78eがX方向に複数分割して設けられていることにより、図示しないヒートシンクを構成する各放熱フィンの間に各仕切り板78eを嵌め込むことができる。これにより、噴流発生装置とヒートシンクとを容易かつ正確に位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の一実施の形態に係る噴流発生装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示す噴流発生装置の断面図である。
【図3】振動板が振動することによって、加振力が弱め合う概念を表すグラフである。
【図4】本発明の他の実施の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。
【図5】本発明のさらに別の実施の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。
【図6】さらに別の実施の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。
【図7】さらに別の実施の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。
【図8】複数の噴流発生器がそれぞれ有する振動板の振幅変化を示すグラフである。
【図9】複数の噴流発生器がそれぞれ有する振動板の振幅変化を示す別のグラフである。
【図10】さらに別の実施の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。
【図11】図10の形態で発生するモーメントの発生を抑える場合の実施の形態をそれぞれ示す断面図である。
【図12】噴流発生器を複数配列させた形態を示す模式図である。
【図13】1つの筐体中に複数の振動板がある形態を示す模式図である。
【図14】噴流発生装置が電子機器に搭載された状態を示す模式図である。
【図15】発熱体と噴流発生器との位置関係を示す模式図である。
【図16】電子機器の筐体と噴流発生器の筐体が一体となった電子機器を示す断面図である。
【図17】図4に示した1つの筐体を有する1つの噴流発生器120を多段に積層する場合の当該筐体の構造を示す。
【図18】図17(A)の噴流発生装置の筐体の平面図または底面図である。
【図19】図17(B)で示した筐体の変形例を示す断面図である。
【図20】図10で示した噴流発生装置が電子機器に搭載された形態を示す断面図である。
【図21】図10で示した噴流発生装置が電子機器に搭載された別の状態を示す断面図である。
【図22】図10で示した噴流発生装置が電子機器に搭載されたさらに別の状態を示す断面図である。
【図23】図22に示す噴流発生装置を示す平面図である。
【図24】図21に示す噴流発生装置及び電子機器の要部をそれぞれ示す側面図である。
【図25】可動部材の構造の一例を示す側面図である。
【図26】本発明のさらに別の実施の形態に係る噴流発生装置を示す斜視図である。
【図27】図26に示す噴流発生装置であって、上部カバーが外れた状態を示す斜視図である。
【図28】図26に示す噴流発生装置の各部品の分解斜視図である。
【図29】図26に示す噴流発生装置の平面図である。
【図30】図26に示す噴流発生装置であって、上部ケース及びノズル体が外れた状態を示す斜視図である。
【図31】図29におけるB−B線断面図であり
【図32】図29におけるC−C線断面図である。
【図33】本発明のさらに別に実施の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。
【図34】図33に示す噴流発生装置の動作をそれぞれ示す図である。
【図35】図33に示す噴流発生装置の上記バネマス系の振動を模式的に表す図である。
【図36】本発明のさらに別の実施の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0115】
1、121、131、221…筐体(噴流発生用筐体)
1a、1b、1c、1d、121a、121b…開口
3a、3b、3c…振動板
5、5a、5b…アクチュエータ
6、6a、6b…弾性支持部材
10、20、30、40、50、110、160、170、180、190…噴流発生装置
15…制振材
60、70、120、130、140、150、220、240、250、350…噴流発生器
95、95a、95a…発熱源
100…筐体
121c…凸部
121d…凹部
130…噴流発生器
100、200…筐体(電子機器用筐体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有し、内部に気体が含まれた筐体と、
前記筐体に振動可能に装着され、合成の加振力が減衰するように振動しながら前記気体に振動を与えることで、前記開口を介して前記気体を脈流として吐出させるための複数の振動体と、
前記各振動体を駆動する駆動部と
を具備することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の噴流発生装置であって、
前記振動体の数がn、前記各振動体の大きさ、形状及び材質が同じであって、前記各振動体の振動数が同じである場合、
前記駆動部は、ほぼ360/nの位相差で前記各振動体を駆動することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項3】
請求項1に記載の噴流発生装置であって、
前記各振動体のうち2つの振動体が対向して配置され、
前記駆動部は、前記2つの振動体が互いに近づくように、かつ、互いに遠ざかるように駆動することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項4】
請求項1に記載の噴流発生装置であって、
前記振動体の数が3以上であって、前記各振動体の大きさ、形状及び材質が同じであり、前記各振動体の振動数が同じである場合、
前記駆動部は、
前記各振動体のうち2つ以上の第1の振動体群が同じ第1の位相で、当該第1の振動体群の振幅の和が第1の振幅となるように、かつ、
前記第1の振動体群以外の振動体のうち1つ以上の振動体が前記第1の位相とは逆の第2の位相で、前記1つ以上の振動体の振幅の和である第2の振幅が、前記第1の振幅と同じになるように、前記各振動体を駆動することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項5】
請求項1に記載の噴流発生装置であって、
前記各振動体は、大きさ、形状及び材質のうち少なくとも1つが異なる少なくとも2種類があることを特徴とする噴流発生装置。
【請求項6】
請求項1に記載の噴流発生装置であって、
前記筐体は、前記開口として、
前記各振動体の駆動により、交互に前記気体を吐出する第1及び第2の開口を有することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項7】
請求項1に記載の噴流発生装置であって、
各振動体は、
第1の振動板と、
前記第1の振動板の外周側に環状に配置された第2の振動板と
によりそれぞれ構成されることを特徴とする噴流発生装置。
【請求項8】
請求項7に記載の噴流発生装置であって、
前記駆動部は、
前記第1及び第2の振動板の間に配置された環状のマグネットと、
前記第1の振動板の外周側に接続され、前記マグネットの内周側に配置された第1のコイルと、
前記第2の振動板の内周側に接続され、前記マグネットの外周側に配置された第2のコイルと
を有することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項9】
請求項7に記載の噴流発生装置であって、
前記第1の振動板の外周側に接続され、前記第1の振動板を支持する第1の弾性支持部材と、
前記第2の振動板の内周側に接続され、前記第2の振動板を支持する第2の弾性支持部材と
をさらに具備することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項10】
請求項7に記載の噴流発生装置であって、
前記第2の振動板に対面するように、前記筐体内に前記第2の振動板の振動方向で配列された一対の板材をさらに具備することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項11】
請求項10に記載の噴流発生装置であって、
前記一対の板材は、前記筐体内における、前記開口に近い側に設けられていることを特徴とする噴流発生装置。
【請求項12】
請求項10に記載の噴流発生装置であって、
前記筐体は、
前記第1の振動板の駆動により圧力変化を発生する第1の領域と、
前記開口として、前記第1の領域における前記圧力変化により交互に前記気体を吐出する第1及び第2の開口と、
前記一対の板材で挟まれ、前記第2の振動板の駆動により圧力変化を発生する第2の領域と、
前記開口として、前記第2の領域における前記圧力変化により交互に前記気体を吐出する第3及び第4の開口と
を有することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項13】
開口を有し、内部に気体が含まれた筐体と、
前記気体に振動を与えることで、前記開口を介して前記気体を脈流として吐出させるための第1の振動体と、
前記第1の振動体の外周側に環状に設けられ、前記気体に振動を与えることで、前記開口を介して前記気体を脈流として吐出させるための第2の振動体と、
前記第1及び第2の振動体の位相が逆になるように、該第1及び第2の振動体を駆動する駆動部と
を具備することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項14】
開口をそれぞれ有し、内部に気体が含まれた複数の筐体と、
前記各筐体に振動可能にそれぞれ装着され、合成の加振力が減衰するように振動しながら前記気体に振動を与えることで、前記開口を介して前記気体を脈流として吐出させるための複数の振動体と、
前記筐体ごとに設けられ、前記各振動体を駆動する複数の駆動部と
を具備することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項15】
請求項14に記載の噴流発生装置であって、
前記振動体の数が3以上ある場合、
前記各駆動部は、
前記各振動体のうち2つ以上の第1の振動体群の振動方向が同じ第1の方向であって、同じ第1の位相である場合、
前記第1の振動体群以外の1つ以上の振動体の振動方向が前記第1の方向であって、前記第1の位相とは逆の第2の位相となるように、前記各振動体をそれぞれ駆動することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項16】
請求項14に記載の噴流発生装置であって、
前記各振動体の振動方向が同じである場合、前記筐体は、前記振動方向に配列されていることを特徴とする噴流発生装置。
【請求項17】
請求項14に記載の噴流発生装置であって、
前記各振動体の振動方向が同じである場合、前記筐体は、前記振動方向にほぼ垂直な面内で配列されていることを特徴とする噴流発生装置。
【請求項18】
請求項14に記載の噴流発生装置であって、
前記各筐体は、互いに係合し合う係合部をそれぞれ有することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項19】
開口を有し、内部に気体が含まれた筐体と、
前記筐体に振動可能に装着され、前記気体に振動を与えることで、前記開口を介して前記気体を脈流として吐出させるための気体吐出用振動体と、
前記気体吐出用振動体を駆動する第1の駆動部と、
前記気体吐出用振動体の加振力が減衰するように振動する減衰用振動体と
を具備することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項20】
請求項19に記載の噴流発生装置であって、
前記第1の駆動部は、
マグネットと、
前記気体吐出用振動体に弾性的に接続され、前記減衰用振動体を構成するコイルと
を有することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項21】
請求項19に記載の噴流発生装置であって、
前記減衰用振動体は、前記筐体の外部に装着されていることを特徴とする噴流発生装置。
【請求項22】
発熱体と、
開口を有し、内部に気体が含まれた噴流発生用筐体と、
前記噴流発生用筐体に振動可能に装着され、合成の加振力が減衰するように振動しながら前記気体に振動を与えることで、前記開口を介して前記気体を前記発熱体に向けて脈流として吐出させるための複数の振動体と、
前記各振動体を駆動する駆動部と
を具備することを特徴とする電子機器。
【請求項23】
請求項22に記載の電子機器であって、
前記発熱体を収容する電子機器用筐体をさらに具備し、
前記電子機器用筐体の一部が、前記噴流発生用筐体の一部または全部で構成されていることを特徴とする電子機器。
【請求項24】
請求項22に記載の電子機器であって、
前記発熱体を収容する電子機器用筐体と、
前記噴流発生用筐体と前記電子機器用の筐体とに接続され、前記各振動体が振動することによる前記噴流発生用筐体の振動を吸収するための吸振機構と
をさらに具備することを特徴とする電子機器。
【請求項25】
発熱体と、
開口をそれぞれ有し、内部に気体が含まれた複数の噴流発生用筐体と、
前記各噴流発生用筐体に振動可能にそれぞれ装着され、合成の加振力が減衰するように振動しながら前記気体に振動を与えることで、前記開口を介して前記気体を前記発熱体に向けて脈流として吐出させるための複数の振動体と、
前記噴流発生用筐体ごとに設けられ、前記各振動体を駆動する複数の駆動部と
を具備することを特徴とする電子機器。
【請求項26】
請求項25に記載の電子機器であって、
前記発熱体を収容する電子機器用筐体と、
前記各噴流発生用筐体のうち少なくとも1つと前記電子機器用筐体とに接続され、前記各振動体が振動することによる前記各噴流発生用筐体の振動を吸収するための吸振機構と
をさらに具備することを特徴とする電子機器。
【請求項27】
請求項26に記載の電子機器であって、
前記吸振機構は、
前記各噴流発生用筐体同士を連結する連結部材と、
前記電子機器用筐体に設けられ、前記加振力の残力による前記各噴流発生用筐体の移動を吸収するように前記連結部材を弾性的に支持する支持機構と
を有することを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2006−336641(P2006−336641A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−127001(P2006−127001)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】