説明

回線端末装置

【課題】回線端末装置本体に電話機が接続されていないことを検出でき、電話機が接続されていない場合には警告音を鳴動させることができる回線端末装置を提供する。
【解決手段】NCU 101が電話回線112の接続を電話機103に切り替えた場合に電話機103を鳴動させるための擬似CI信号を送出する擬似CI回路104と、トーナル信号を送出し、トーナル信号を送出したときの電気的状態変化を検出するモデム106とを備え、擬似CI回路104は、モデム106により電気的状態変化を検出した場合には擬似CI信号を送出し、モデム106により電気的状態変化を検出しなかった場合には擬似CI信号を送出しない構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回線端末装置に関するものである。詳しくは、電話回線等の通信回線を、回線端末装置に接続された電話機か回線端末装置本体に切り替える機能(Fax/Tel自動切り替え機能)を有する回線切替制御装置及びファクシミリ装置等の回線端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今のファクシミリ装置は、特許文献1のように、1本の電話回線に対して、ファクシミリ装置(以下単に、ファクシミリ(又はFax)とする)と電話機(以下単に、電話機(又はTel)とする)とを切り替えて接続している。そのため、その切り替えを自動で行う機能が必要であった。その機能(以下、Fax/Tel(又はF/T)自動切り替え機能とする)とは、次のようなものである。ファクシミリが加入者交換機からの呼出信号(ベル鳴動信号)を検出すると、相手側(発呼側)がファクシミリであると予想する。そして、回線をファクシミリ側へ切り替え、ファクシミリからの着信であれば当然に受信するはずである特定信号(CNG(CALLING)信号;発呼トーン)を一定期間検出する動作を行う。その時に、CNG信号を検出すれば、ファクシミリ受信の動作をそのまま継続する。一方、CNG信号を検出しない場合は、相手側が電話であると判断する。そして、回線を電話機側へ切り替え、接続された電話機を鳴動させて電話に出る人を呼び出すために、ファクシミリから呼出信号(ベル鳴動信号)を電話機に送出する。Fax/Tel自動切り替え機能による、この呼出信号(ベル鳴動信号)を疑似CI信号(擬似コーリングインジケータ信号)と呼んでいる。
【0003】
さらに、特許文献2のように、加入者交換機からの呼出信号(ベル鳴動信号)を検出する場合に、次のような構成を備える回線切替制御装置が提案されている。この回線切替制御装置は、まず、電話回線の直流電圧の極性反転を検知する極性反転検知手段を備える。さらに、ファクシミリ装置本体が受信準備の整ったレディ状態にない場合に、極性反転検知手段が極性反転を検知したとき、接続された電話機を電話回線から切断する切断手段と、を備える。さらに、ファクシミリ装置本体にレディ状態への復帰を要求する復帰要求手段と、を備える構成である。
【0004】
ここで、図4に従来例の回線切り替え制御機能を有する回線端末装置の全体構成を示す。1101は、回線切替制御装置における回線制御ユニット(NCU:Network Control Unit)(切り替え制御手段)で、電話回線1112の切り替え制御や接続される後述する電話機1103を制御する。なお、制御部1105が電話回線1112の着信を検知する。1102は通信コントローラ部で、NCU 1101を制御し、電話回線1112と接続したときに発呼局と通信動作を行う。1103は電話機で、制御部1109により制御されるが、ケーブル及びコネクタを介してNCU 1101と物理的に着脱可能な構成であり、NCU 1101からも制御され、NCU1101よりベル鳴動信号が入力されると鳴動する。1104は電話機1103に直流電圧を印加し、さらにその直流の極性を反転させる機能を持ち、同時に交流信号であるベル鳴動信号(呼出信号)を送出し、電話機1103を制御する擬似CI回路である。また、擬似CI回路1104は、接続された電話回線1112がNCU 1101に切り替えられたときに、電話機1103に対して、装置電源(擬似CIを含む)か電話回線をその接続を切り替えて出力する。
【0005】
1106は電話回線1112と接続したときに発呼局と通信動作をするための通信信号の圧縮・伸長をするためのモデムで、他にダイヤル信号であるDTMF信号やトーナル信号の送出や検出も行う。1110は、制御部1107から制御され、通信コントローラ部1102が有する不図示の音源を鳴動させるスピーカーである。1108はNCU 1101からのベル鳴動信号を受けてベルを鳴動させる鳴動回路である。1111は、接続された電話回線1112を通信コントローラ部1102とNCU 1101で切り替えて接続する回線切り替え手段としてのリレー(RLと図示)であり、通常はNCU 1101側に接続されている。また、リレー1111は、NCU 1101側に切り替わったときのみ電話機1103に電話回線1112が接続される場合があり、具体的には擬似CI回路1104で制御される。1123は、電話機1103がベル鳴動信号を受信中に、図中白抜き矢印で示されるループ(擬似CI回路1104と鳴動回路1108とからなるループ)に流れる電流を検知する電流検出部である。
【特許文献1】特開平06−350777号公報
【特許文献2】特開2005−86755号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来例では、ファクシミリ機能を備えた回線端末装置において、電話機を接続して使用するように設置した場合に、電話機を接続し忘れると問題がある。
【0007】
例えば、発呼側が電話目的で、Fax/Tel自動切り替え機能を使って、着呼側の電話が呼び出された回線端末装置が擬似CI信号(ベル鳴動信号)を送出して電話機を鳴動しようとしたときに生じる。このような場合には、電話機が鳴動しないため、着呼側のユーザは着呼に気が付かず電話に出ることができない。また、ユーザは電話機を接続し忘れたことにいつまでたっても気づかない。
【0008】
本発明は、このような点に着目して成されたもので、回線端末装置本体に電話機が接続されていないことを検出でき、電話機が接続されていない場合には警告音を鳴動させることができる回線端末装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明は以下の構成を備える。
【0010】
(1)通信回線の接続を、回線端末装置本体と、前記回線端末装置本体に接続された電話機と、に切り替える切り替え制御手段を備える回線端末装置において、前記切り替え制御手段が前記通信回線の接続を前記電話機に切り替えた場合に、前記電話機を鳴動させるための呼出信号を送出する信号送出手段と、前記呼出信号の電圧に比べて低い電圧を前記電話機に印加する電圧印加手段と、前記電圧印加手段により前記電話機に前記低い電圧を印加したときの電気的状態変化を検出する検出手段と、を備え、前記信号送出手段は、前記検出手段により前記電気的状態変化を検出した場合には前記呼出信号を送出し、前記検出手段により前記電気的状態変化を検出しない場合には前記呼出信号を送出しないことを特徴とする回線端末装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、回線端末装置本体に電話機が接続されていないことを検出でき、電話機を接続し忘れても、鳴動手段を使って、電話機が接続されていない旨の警告音を鳴動させることができ、ユーザに注意を喚起することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下本発明を実施するための最良の形態を、実施例により詳しく説明する。
【実施例】
【0013】
<回線端末装置の全体構成>
図1は本発明の特徴を最もよく表す回線切り替え制御機能を有する回線端末装置としての構成を示す全体構成図である。同図において、101は、回線端末装置における回線制御ユニット(NCU:Network Control Unit)であり、通信回線である電話回線112の切り替え制御や接続される後述する電話機103を制御する(以下、NCU 101とする)。102は、通信コントローラ部で、NCU 101を制御する。他に電話回線112と接続したときに発呼局と通信動作を行う。103は、電話機で、NCU 101と接続して制御される。また、電話機103は、ケーブル及びコネクタを介してNCU 101と物理的に着脱可能である。電話機103は、ベル鳴動信号を入力されると鳴動する。なお、電話機103のベル鳴動信号受信中のインピーダンスをZとする。
【0014】
104は、NCU 101において、電話機103に直流電圧を印加し、さらにその直流の極性を反転させる機能を持つ擬似CI回路(直流電圧印加手段、極性反転手段)である。擬似CI回路104は、同時に交流信号であるベル鳴動信号、すなわち擬似CI信号(呼出信号)を送出し(信号送出手段)、電話機103を制御する。擬似CI回路104は、他に、接続された電話回線112がNCU 101に切り替えられたときに、電話機103に対して、装置電源(擬似CI信号を含む)か電話回線をその接続を切り替えて出力する。
【0015】
105は、NCU 101において、NCU 101全体を制御する制御部で、電話回線112からの着信を検知する。また、制御部105は、通信コントローラ部102や電話機103と接続し制御のやりとりをする。
【0016】
106は、通信コントローラ部102において、電話回線112と接続したときに発呼局と通信動作をするための通信信号の圧縮・伸長をするためのモデムである。モデム106は、他にダイヤル信号であるDTMF信号やトーナル信号の送出や、電気的状態変化となるリターンバックの検出、すなわちトーナル信号に対応した信号の検出も行う(電圧印加手段、検出手段)。
【0017】
107は、通信コントローラ部102において、通信コントローラ部102全体を制御する制御部であり、他に、NCU 101の制御部105と接続し、制御のやりとりをする。
【0018】
108は、電話機103において、NCU 101からのベル鳴動信号を受けてベルを鳴動させる鳴動回路である。109は、電話機103において、電話機103全体を制御する制御部で、他に、NCU 101の制御部105と接続し、制御のやりとりをする。
【0019】
110は、通信コントローラ部102において、制御部107から制御され、通信コントローラ部102が有する不図示の音源を鳴動させるスピーカー(鳴動手段)である。
【0020】
112は、電話回線で、NCU 101に接続される。111は、NCU 101において、接続された電話回線112を、通信コントローラ部102とNCU 101で切り替えて接続する回線切り替え手段としてのリレー(RLと図示)である。リレー111は、通常はNCU 101側に接続されている。また、リレー111は、NCU 101側に切り替わったときのみ、電話機103に電話回線112が接続される場合がある。具体的には、擬似CI回路104で制御される。
【0021】
121は、NCU 101において、電話機103に直接に挿入(直列に接続)され、擬似CI回路104から電話機103に送出するベル鳴動信号を遮断する遮断手段であるリレー(RLと図示)である。122は、電話機103に並列に(並列に接続)挿入され、電話機103のベル鳴動信号受信中の交流インピーダンスと等価な擬似負荷(インピーダンス素子)である(すなわち、擬似負荷のインピーダンスはZ(所定のインピーダンス)である)。123は、電話機103がベル鳴動信号を受信中に図中白抜き矢印で示されるループ(擬似CI回路1104と鳴動回路1108とからなるループ)に流れる電流を検知する電流検出部(信号電流検知手段)である。
【0022】
<本実施例と従来例との対比>
先に説明した図4は、従来の構成の特徴を最もよく表す回線端末装置としての構成を示す全体構成図である。図1と図4とを比較すると、本実施例は、まず、電話機103に送出するベル鳴動信号を遮断する手段であるリレー121を備える構成である。そして、電話機103に並列に挿入され、電話機103のベル鳴動信号受信中の交流インピーダンスと等価な擬似負荷122を備える構成である。
【0023】
<実施例1 電話機接続判定動作について(その1)>
次に、図1に示す構成において、基本の動作としての電話機接続判定動作(その1)を図2に示すフローチャートにより順に説明する。
【0024】
電話機接続判定動作の処理がスタートすると、ステップ301(以下、S301のように記す)において、電話回線112から着信があるまで待機し、着信があり、Fax/Tel自動切り替え(「F/T切替」と図示)があった場合は、S302の処理に進む。ここで、具体的に着信とは、コーリングインジケータ信号(以下、CI信号とする)を受信したことをいい、CI信号は、通常、16Hzの呼出信号である。また、本実施例における回線端末装置は、Fax/Tel自動切り替え機能を有しており、着信後のFax/Tel自動切り替え機能による切り替え時に、相手側(発呼側)が電話であると判断した場合に、S302以降の処理を行う。
【0025】
S302では、通信コントローラ部102のモデム106から、複数の周波数からなる特定のトーナル信号をNCU 101を介して、電話機103に送出する。またこの時、送出する信号は、例えば2つの周波数からなるDTMF信号でも良い。この時、モデム106は、トーナル信号(又はDTMF信号)を送出しながら、同時に、電話機103を介してループバックして戻って来るその特定信号の周波数を検出する。
【0026】
そこでS303では、モデム106が、電話機103を介してループバックして戻って来るその特定信号の周波数を検出したか否かを判断する。ここで、モデム106が送出した信号がDTMF信号である場合は、同様にモデム106にてそのDTMF信号のダイヤル番号を特定する。
【0027】
S303で、モデム106がS302で送出した特定のトーナル信号の周波数もDTMF信号のダイヤル番号も特定できない場合は、S304の処理に進む。この場合、電話機103が接続されていないと判断して、擬似CI信号を送出しない。S304では、通信コントローラ部102のスピーカー110から、電話機のベル音相当の効果音を鳴動させるか、又は、電話機103が接続されていないことをユーザに知らせる警告音を鳴動させ、処理を終了する。
【0028】
S303においてモデム106により信号が検出された場合は、電話機103が接続されていると判断し、S305でNCU 101の擬似CI回路104から、擬似CI信号を電話機103に対して送出する。
【0029】
S306では、NCU 101の電流検出部123にて、流れる電流から、その時の負荷、すなわち擬似CI回路104から擬似CI信号を送出中の交流インピーダンスZを特定する。ここで、電話機103が接続されているときは、擬似負荷122と電話機103は並列に接続されており、このときの合成のインピーダンス=Z/2に流れる電流Iは、擬似負荷(又は鳴動回路108)にかかる電圧をVとすると、I=2V/Zとなる。一方、電話機103が接続されていないときは、擬似負荷122(インピーダンスZ)のみになるので、この場合に流れる電流Iは、I=V/Zとなる。このため、電話機103が接続されていないときには、電話機103が接続されているときの約半分の電流しか流れない。
【0030】
以上のことから、S306において、電流検出部123によって検出された電流が想定(電話機が接続されている場合のI=2V/Z)された値の約半分しかない場合は(インピーダンスはZとなる)、電話機103が接続されていないと判断する。そして、S307でNCU 101のリレー121を切断(オフ)して、擬似CI回路104からの擬似CI信号の送出を強制的に切断する。その後、S304で、通信コントローラ部102のスピーカー110から、電話機のベル音相当の効果音を鳴動させるか、又は、電話機103が接続されていないことをユーザに知らせる警告音を鳴動させ、処理を終了する。一方、S306において、検出された電流が想定(電話機が接続)されたとおりである場合は(インピーダンスはZ/2となる)、電話機103が接続されているので、S308ではNCU 101のリレー121はオンのまま継続させる。
【0031】
したがって、S309においては、そのまま擬似CI信号が電話機103に送出される。以上で処理を終了する。
【0032】
このように、擬似CI信号を送出する前に、電話機103が接続されているか否かを確認することができ、電話機103が接続されていない場合には回線端末装置のスピーカー110を鳴動させて、ユーザに電話機103が接続されていないことを報知できる。
【0033】
<実施例2 電話機接続判定動作について(その2)>
次に、図1に示す構成において、別の実施例についての動作である電話機接続判定動作(その2)を図3に示すフローチャートにより順に説明する。
【0034】
電話機接続判定動作の処理がスタートすると、S401で、電話回線112から着信(コーリングインジケータ:CI、通常は16Hzの呼出信号)があり、F/T自動切り替え機能が動作し、相手側(発呼側)が電話であると判断すると、S402の処理に進む。
【0035】
S402では、NCU 101の擬似CI回路104から、電話機103に印加している直流電流の極性を繰り返し反転、具体的には、ベル鳴動信号の周波数である16Hzの周波数で、反転させる。ここで、擬似CI回路104は、通常は直流電圧(24v〜48v)に交流成分(約75Vrms)を重畳しており、交流である擬似CI信号の送出前に、この直流電圧の極性を、16Hzの周波数で繰り返し反転させる。
【0036】
S403において、NCU 101は、直流(DC)の断続信号を繰り返しながら、電流検出部123(電流検知手段)にて、流れる電流から、その時の負荷を特定する。つまり、電流の変化が検出できる場合は、負荷が小さいので電話機103は接続されていると判断し、電流の変化が検出できない場合は負荷が大きいので電話機103は接続されていないと判断する。
【0037】
S403で電流変化を検出できなかった場合は、S404で電話機103が接続されていないと判断され、擬似CI信号を送出しない。ここでは、通信コントローラ部102のスピーカー110から、電話機のベル音相当の効果音を鳴動させるか、又は、電話機103が接続されていないことをユーザに知らせる警告音を鳴動させる。
【0038】
一方、S403において電流変化が検出された場合は、電話機103が接続されていると判断し、S405でNCU 101の擬似CI回路104から、擬似CI信号を送出する。
【0039】
S406では、NCU 101の電流検出部123にて、流れる電流から、その時の負荷(擬似CI信号送出中の交流インピーダンス)を特定する。この時に、電話機103が接続されると、擬似負荷122と電話機103が並列に接続された合成のインピーダンス=Z/2に流れる電流Iは、I=2V/Zとなる。一方、電話機103が接続されないと、流れる電流は、インピーダンスが擬似負荷122のZのみになるので、その時に流れる電流Iは、I=V/Zとなり、電話機103が接続された場合の約半分の電流しか流れない。
【0040】
そこでS406において、検出された電流が想定(電話機が接続)されたときの約半分しかない場合は(インピーダンスがZの場合)、電話機103が接続されていないと判断する。そして、S407でNCU 101のリレー121を切断して(リレー・オフ)、擬似CI信号の送出を強制的に遮断する。その後S404では、通信コントローラ部102のスピーカー110から、電話機のベル音相当の効果音を鳴動させるか、又は、電話機103が接続されていないことをユーザに知らせる警告音を鳴動させる。
【0041】
一方、S406において、検出された電流が想定(電話機が接続)されたとおりの場合(インピーダンスがZ/2)は、電話機103が接続されているので、S408ではNCU 101のリレー121はそのままオンのまま継続させる。そして、S409では、S408においてリレー121のオンが継続されるので、そのまま擬似CI信号が電話機103に送出され、処理を終了する。
【0042】
このように、擬似CI信号を送出する前に、電話機103が接続されているか否かを確認することができ、電話機103が接続されていない場合には回線端末装置のスピーカー110を鳴動させて、ユーザに電話機103が接続されていないことを報知できる。
【0043】
以上、本実施の形態を整理して要約すれば以下のように集約できる。
まず、電話機が付属装置として接続される場合、Fax/Tel自動切り替え機能を備えた回線端末装置において、回線端末装置から電話機に、ベル鳴動信号(擬似CI信号)を送出する必要があるときに、電話機が接続されていることを事前に確認する。そして、もし、電話機が未接続の場合は、電話機にベル鳴動信号(擬似CI信号)を送出せず、回線端末装置のスピーカーやブザー等の鳴動手段を使って、電話機が接続されていない旨の警告音を鳴動させる手段を備えていることを特徴とする。
具体的な手段は、着信後のFax/Tel自動切り替え時に、相手側(発呼側)が電話と判断された場合に、
第一の方法としては、
先の擬似CI信号を送出する前に、擬似CI信号よりも低い電圧を電話機のコネクタ部に印加し、そのループバックで電話機の接続を判断する。詳細には、
1.回線端末装置本体のモデムを使って、電話機(ハンドセット)に固有のトーナル信号を送出して、そのリターンバックを周波数検出する。固有の周波数を検知しないときは、電話機(ハンドセット)が未接続と判断し、擬似CI信号を送出せず、さらに、回線端末装置本体のスピーカーやブザーから電話機が接続されていない旨の警告音を鳴動させる。
2.電話機に直列にリレー(擬似CI信号を断)を挿入し、さらに、電話機接続をハード的に検出して、未接続の場合は、リレーを強制的に切断し擬似CI信号の送出をしないようにする。同様に、回線端末装置本体のスピーカーやブザーから電話機が接続されていない旨の警告音を鳴動させる。
第二の方法としては、
1.ベル鳴動信号(擬似CI信号)送出回路は、通常は直流電圧(24v〜48v)に交流成分(約75Vrms)を重畳しているが、交流である擬似CI信号送出前に、この直流電圧の極性を、ベル鳴動信号相当の周波数で繰り返し反転させる。そして、その時に電話機に流れる電流値から電話機の接続を判定する。そして、電話機が接続されている場合は、続けて、電話機に擬似CI信号を送出する。電話機が接続されていない場合には、先と同様に擬似CI信号を送出せずに回線端末装置本体のスピーカーやブザーから電話機が接続されていない旨の警告音を鳴動させる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、電話回線を、回線端末装置に接続された電話機か回線端末装置本体に切り替える機能(Fax/Tel自動切り替え機能)を有する回線切り替え制御装置及びファクシミリ装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実施例に係る回線端末装置を表す全体構成図
【図2】実施例に係る回線端末装置の動作例(その1)を示したフローチャート
【図3】実施例に係る回線端末装置の動作例(その2)を示したフローチャート
【図4】従来例に係る回線端末装置を表す全体構成図
【符号の説明】
【0046】
101 NCU(回線切り替え制御手段)
102 通信コントローラ部
103 電話機
104 擬似CI回路(信号送出手段、直流電圧印加手段、極性反転手段)
106 モデム(電圧印加手段、検出手段)
110 スピーカー(鳴動手段)
121 リレー(遮断手段)
122 擬似負荷(インピーダンス素子)
123 電流検出部(電流検知手段、信号電流検知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信回線の接続を、回線端末装置本体と、前記回線端末装置本体に接続された電話機と、に切り替える切り替え制御手段を備える回線端末装置において、
前記切り替え制御手段が前記通信回線の接続を前記電話機に切り替えた場合に、前記電話機を鳴動させるための呼出信号を送出する信号送出手段と、
前記呼出信号の電圧に比べて低い電圧を前記電話機に印加する電圧印加手段と、
前記電圧印加手段により前記電話機に前記低い電圧を印加したときの電気的状態変化を検出する検出手段と、
を備え、
前記信号送出手段は、前記検出手段により前記電気的状態変化を検出した場合には前記呼出信号を送出し、前記検出手段により前記電気的状態変化を検出しなかった場合には前記呼出信号を送出しないことを特徴とする回線端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の回線端末装置において、
音源と、
前記音源を鳴動させる鳴動手段と、
を備え、
前記鳴動手段は、前記検出手段により前記電気的状態変化を検出しなかった場合に、前記音源を鳴動させることを特徴とする回線端末装置。
【請求項3】
請求項1に記載の回線端末装置において、
前記電圧印加手段は、トーナル信号を出力することにより前記電話機に前記低い電圧を印加するものであり、
前記検出手段は、前記電圧印加手段により出力された前記トーナル信号が前記電話機からループバックされた前記トーナル信号に対応した信号を検出するものであり、
前記信号送出手段は、前記検出手段により前記トーナル信号に対応した信号を検出した場合に、前記呼出信号を前記電話機に対して送出することを特徴とする回線端末装置。
【請求項4】
請求項3に記載の回線端末装置において、
前記電圧印加手段により出力される前記トーナル信号は、複数の周波数からなる信号であることを特徴とする回線端末装置。
【請求項5】
請求項1に記載の回線端末装置において、
前記電話機に極性を持った直流電圧を印加する直流電圧印加手段と、
前記直流電圧印加手段により前記電話機に印加する前記直流電圧の極性を繰り返し反転させる極性反転手段と、
前記極性反転手段により前記直流電圧の極性を繰り返し反転させたときに流れる電流を検知する電流検知手段と、
を備え、
前記信号送出手段は、前記電流検知手段により電流を検知した場合には前記呼出信号を送出し、前記電流検知手段により電流を検知しなかった場合には前記呼出信号を送出しないことを特徴とする回線端末装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の回線端末装置において、
前記電話機と直列に接続され、前記電話機と前記信号送出手段との接続を遮断する遮断手段と、
前記電話機と並列に接続され、所定のインピーダンスを有するインピーダンス素子と、
前記信号送出手段により前記呼出信号を送出したときに流れる電流を検知する信号電流検知手段と、
を備え、
前記遮断手段は、前記信号電流検知手段が前記所定のインピーダンスに対応する電流を検知した場合には前記電話機と前記信号送出手段との接続を遮断し、前記信号電流検知手段が前記所定のインピーダンスよりも低いインピーダンスに対応する電流を検知した場合には前記電話機と前記信号送出手段との接続を遮断しないことを特徴とする回線端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−68307(P2010−68307A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−233354(P2008−233354)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】