説明

回路モジュール

【課題】外部の温度が変化しても樹脂封止体と回路パターン部とが剥がれることを防止できる回路モジュールを提供する。
【解決手段】回路モジュールとしての制御回路パッケージ6は互いの間隔をあけて設けられた導電性の二つの回路パターン部22a,22bと二つの回路パターン部22a,22b同士を接続した抵抗30と二つの回路パターン部22a,22bと抵抗30を埋設した樹脂封止体19を備えている。パターン部22a,22bは圧接端子に接続する直線状に延在した接続部40と抵抗30が取り付けられる部品取付部42と接続部40の幅方向の一方の縁に連なりかつ接続部40と部品取付部42との双方に連なっている幅狭連結部43を備えている。幅狭連結部43は部品取付部42と接続部40との双方よりも幅が狭い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性の回路パターン部を絶縁性の合成樹脂内に埋設して構成される回路モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車には、エアコンやワイパー、パワーウィンドウなどを構成するモータなどの多種多様な電気機器が搭載される。前記電気機器に電力や制御信号などを伝えるために、ワイヤハーネスを配索している。ワイヤハーネスは、複数の電線と、電線の端末に接続される端子金具を収容するコネクタとを備えている。電線は、導電性の芯線と、該芯線を被覆する絶縁性の被覆部と、を備えた所謂被覆電線である。
【0003】
前述したワイヤハーネスのコネクタとして、本件発明の出願人は、アウタハウジングと、このアウタハウジング内に収容される回路モジュールとを備えたコネクタを提案している。アウタハウジングは、絶縁性の合成樹脂で構成されかつ扁平な箱状に形成されて、相手方のコネクタと嵌合する。
【0004】
回路モジュールは、導電性の金属板に打ち抜き加工を施されて得られるリードフレームと、複数の端子と、樹脂封止体とを備えている。リードフレームは、幾何学状に形成された複数の回路パターン部を備えている。回路パターン部の一部は一端部に相手方のコネクタの端子と接続する雄タブが設けられ、回路パターン部の他の一部は一端部に前記端子と接続する。また、回路パターン部同士は、ボンディングワイヤにより予め定められたパターンにしたがって電気的に接続している。また、前記複数の回路パターンのうちの少なくとも二つの回路パターン部は、抵抗などの電気部品により互いに接続している。
【0005】
前記端子は、前記回路パターンと接続するパターン接続部と、電線と接続する電線接続部とを備えている。樹脂封止体は、絶縁性の合成樹脂で構成され、前記雄タブと前記電線接続部を露出させた状態で、リードフレーム及び電気部品を埋設している。
【0006】
前述したコネクタは、アウタハウジング内に回路モジュールを収容して組み立てられる。そして、コネクタは、アウタハウジングが相手方のコネクタに嵌合すると、この相手方のコネクタの端子に雄タブが接続して、当該相手方のコネクタの端子と複数の端子の電線接続部に取り付けられる電線とを予め定められたパターンにしたがって電気的に接続する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した本件発明人が提案しているコネクタでは、リードフレームと樹脂封止体は異なる材料で構成されているために、これらの線膨張係数が互いに異なる。このため、前述したコネクタでは、リードフレームを樹脂封止体内に埋設しているので、周りの温度が上昇したり降下すると、前記リードフレームの膨張又は収縮する量と前記樹脂封止体の膨張又は収縮する量とが互いに異なる。このため、前述したコネクタは、自動車などに配索されるワイヤハーネスに用いられた場合に、外部環境の温度の上昇又は降下により、繰り返しリードフレームの回路パターン部と樹脂封止体との間に歪が生じ、これらが互いに剥がれてしまうことがあった。
【0008】
したがって、本発明の目的は、外部の温度が変化しても樹脂封止体と回路パターン部とが剥がれることを防止できる回路モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の回路モジュールは、互いの間隔をあけて設けられた導電性の二つの回路パターン部と、前記二つの回路パターン部同士を接続した電気部品と、前記二つの回路パターン部と前記電気部品を埋設した絶縁部と、を備えた回路モジュールにおいて、前記回路パターン部は、外部と接続する接続端子に接続する直線状に延在した接続部と、前記電気部品が取り付けられる部品取付部と、前記接続部の幅方向の一方の縁に連なりかつ当該接続部と前記部品取付部との双方に連なっているとともに前記部品取付部と前記接続部との双方よりも幅が狭い幅狭連結部と、を備えたことを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の本発明の電子部品内蔵コネクタは、請求項1に記載の回路モジュールにおいて、前記二つの回路パターン部のうちの少なくとも一方の幅狭連結部が、当該幅狭連結部の長手方向を屈曲させる屈曲部を少なくとも一つ備えていることを特徴としている。
【0011】
請求項1に記載の本発明の回路モジュールによれば、回路パターン部の部品取付部に連なった幅狭連結部が接続端子に接続する接続部の幅方向の一方の縁に連なっているので、回路パターン部が接続部と幅狭連結部との間で屈曲することとなる。
【0012】
また、幅狭連結部の幅が接続部と部品取付部との双方よりも狭く形成されているので、接続部と部品取付部との間に絶縁部が食い込んだ状態となる。
【0013】
請求項2に記載の本発明の回路モジュールによれば、幅狭連結部に少なくとも一つの屈曲部が設けられているので、当該幅狭連結部が少なくとも一つの屈曲部で屈曲した格好となっている。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、請求項1記載の本発明は、回路パターン部が接続部と幅狭連結部との間で屈曲することとなるので、回路パターン部の各々の直線状をなす部分の長さが短くなる。このため、回路パターン部の線膨張係数が絶縁部の線膨張係数よりも大きくても、これらの膨張又は収縮する量の差が小さくなる。このために、外部の温度が変化した際に、回路パターン部と絶縁部との間に生じる歪が小さくなり、これらが互いに剥がれることを防止できる。
【0015】
また、接続部と部品取付部との間に絶縁部が食い込んだ状態となるので、接続部と部品取付部との双方が膨張又は収縮する際に、これらをこれらの間に食い込んだ絶縁部が支えることとなり、外部の温度が変化しても、回路パターン部と絶縁部とが互いに剥がれることを防止できる。
【0016】
請求項2に記載の本発明は、幅狭連結部が少なくとも一つの屈曲部で屈曲した格好となっているので、当該幅狭連結部の各々の直線状をなす部分の長さが短くなる。このため、温度変化による幅狭連結部が膨張又は収縮する量が小さくなり、回路パターン部と絶縁部とが互いに剥がれることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態にかかる制御回路パッケージを備えた電子部品内蔵コネクタと相手方のコネクタとを示す斜視図である。
【図2】図1に示されたコネクタ同士を嵌合した状態を示す斜視図である。
【図3】図1に示された電子部品内蔵コネクタの分解斜視図である。
【図4】図3に示された電子部品内蔵コネクタの制御回路パッケージの透視図である。
【図5】図4に示された制御回路パッケージの要部を目的に示す平面を示す透視図である。
【図6】図5中のVI部を拡大して示す透視図である。
【図7】図6中のVII−VII線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態にかかる回路モジュールとしての制御回路パッケージ6を、図1乃至図7を参照して説明する。本実施形態の制御回路パッケージ6は、図1及び図2に示す電子部品内蔵コネクタ(以下、単にコネクタと記す)1を構成する。
【0019】
コネクタ1は、図1及び図2に示すように、相手方のコネクタ2と嵌合する。相手方のコネクタ2は、コネクタハウジング3と、図示しない外部端子としての端子金具とを備えている。コネクタハウジング3は、絶縁性の合成樹脂で構成され、扁平な箱状に形成されている。コネクタハウジング3は、端子金具を収容する。
【0020】
端子金具は、複数設けられ、それぞれが芯線と該芯線を被覆した被覆部とを有した電線4が取り付けられる。端子金具は、取り付けられた電線4の芯線と電気的に接続する。相手方のコネクタ2の端子金具に取り付けられる電線4は、後述するように、自動車などに搭載される各種の電子機器としてのスイッチなどが接続されている。
【0021】
コネクタ1は、図3に示すように、ハウジングとしてのアウタハウジング5と、制御回路パッケージ6とを備えている。アウタハウジング5は、扁平な箱状に形成されるとともに、ハウジング本体7と、カバー部8とを備えている。
【0022】
ハウジング本体7は、絶縁性の合成樹脂で構成され、嵌合部としての筒状のフード部10と、該フード部10に連なった収容室11とを一体に備えている。フード部10は、内側に相手方のコネクタ2のコネクタハウジング3が進入して、当該相手方のコネクタ2と嵌合する。
【0023】
収容室11は、フード部10の一つの壁面10aに連なった底壁11aと、当該底壁11aの両縁から立設し且つ互いに間隔をあけて相対しているとともにフード部10の他の壁面10aに連なった一対の側壁11bとを備えて、断面コ字形に形成されている。また、収容室11の図3中の上方には、開口12が設けられている。開口12は、勿論、収容室11の内外を連通している。
【0024】
カバー部8は、絶縁性の合成樹脂で構成され、図3に示すように、平板状に形成されている。カバー部8は、前述した開口12を塞ぐようにハウジング本体7に取り付けられる。また、カバー部8は、制御回路パッケージ6の後述する圧接端子16に圧接される電線15を複数(図示例では、圧接端子16と同数の7つ)保持する。図示例では、これら複数の電線15のうちの図3中の手前から3つ目の一つの電線15は、自動車に搭載される図示しないアース回路と接続している。他の電線15は、自動車に搭載される電源やスイッチなどの各種の電子機器に接続している。
【0025】
また、ハウジング本体7とカバー部8とには、互いに係合する係合部13a,13bが設けられている。
【0026】
制御回路パッケージ6は、図4に示すように、リードフレーム14と、複数の接続端子としての圧接端子16と、回路素子としてのICチップ17と、複数の保護素子としてのツェナーダイオード(以下、ZDと記す)18と、絶縁部としての樹脂封止体19とを備えている。
【0027】
リードフレーム14は、導電性の金属板が打ち抜かれるなどして構成されるとともに、図5に示すように、一つのアース部20と、複数の導電性のパターン部21と、二つの導電性の回路パターン部22と、を備えている。アース部20は、図5に示すように、素子載置部23と、複数の外縁接続部24と、一つの端子接続部25とを一体に備えている。素子載置部23は、平面形状が四角形状に形成されかつその表面上にICチップ17が重ねられる。素子載置部23は、半田26によりICチップ17が取り付けられる(固定される)。
【0028】
外縁接続部24は、素子載置部23の外縁に連なり当該外縁から突出した格好に形成されている。外縁接続部24は、図示例では、素子載置部23の各辺に間隔をあけて二つずつ設けられている。端子接続部25は、素子載置部23の一つの辺即ち外縁に連なり当該外縁から前述したアース回路に接続された電線15が圧接される圧接端子16に向かって延在した帯状に形成されている。
【0029】
複数のパターン部21は、前記アース部20の素子載置部23の周りに当該アース部20を中心とした周方向に互いに間隔をあけて設けられている。図示例では、パターン部21は、16本設けられている。即ち、パターン部21は、アース部20の素子載置部23の各辺当たり4つずつ当該素子載置部23と間隔をあけて設けられている。
【0030】
パターン部21は、図5に示すように、素子載置部23から離れる方向に帯状に延在した帯状部27と、この帯状部27の素子載置部23寄りの一端部27aに設けられた素子取付部28とを一体に備えている。なお、一端部27aは、パターン部21の一端部もなしている。前述した素子載置部23の端子接続部25が連なった一つの辺に間隔をあけて設けられた四つのパターン部21の帯状部27の他端部は、圧接端子16と1対1で対応しており、当該対応する圧接端子16の近傍まで延在して、樹脂封止体19内に埋設されている。
【0031】
また、素子載置部23の残りの辺に間隔をあけて設けられた12つのパターン部21の帯状部27の他端部は、圧接端子16の逆側即ち相手方のコネクタ2に向かって延在して、樹脂封止体19外に突出してフード部10内に位置付けられて、当該相手方のコネクタ2の端子金具と接続する棒状の雄タブ29をなしている。これら複数の雄タブ29は、互いに平行に等間隔に設けられている。
【0032】
素子取付部28は、帯状部27の前述した一端部27aの幅方向の一方の縁に連なって当該縁から突出した格好に形成されている。互いに隣り合う二つのパターン部21の素子取付部28のうち一方は、帯状部27の先端に連なっているとともに、他方は、先端よりも帯状部27の他端部寄りの位置に連なっている。こうして、互いに隣り合う二つのパターン部21の素子取付部28は、帯状部27の長手方向に互いに位置がずれた位置に配置されている。
【0033】
回路パターン部22は、互いに間隔をあけて設けられ、互いの間に電気部品としての抵抗30が掛け渡されている。即ち、制御回路パッケージ6は、電気部品としての抵抗30を備えている。これら二つの回路パターン部22は、複数の圧接端子16のうちの図3中奥側に位置する二つの圧接端子16と1対1で対応しており、当該対応する圧接端子16の近傍に配置されている。
【0034】
回路パターン部22は、図6に示すように、対応する圧接端子16の後述する平板部31と平行に直線状に延在しかつ当該平板部31の近傍に設けられた接続部40と、前述した抵抗30が半田41(図7に示す)により取り付けられる部品取付部42と、前記接続部40と部品取付部42との双方に連なった幅狭連結部43とを備えている。接続部40は、圧接端子16の平板部31に電気的及び機械的に接続される。
【0035】
幅狭連結部43は、接続部40の平板部31から離れた側の先端でかつ当該接続部40の幅方向の一方の縁に連なって、当該接続部40の先端から直交する方向に延在している。また、幅狭連結部43は、接続部40と部品取付部42との双方に連なり、かつ接続部40と部品取付部42との双方よりも幅が狭く形成されている。また、図4中手前側の回路パターン部22(以下、符号22aで示す)は、図6に示すように、幅狭連結部43と部品取付部42とが同一直線状に配置されているとともにこれらの一方の縁が互いに同一線上に配置されかつ他方の縁に切欠き44が形成された格好となっている。
【0036】
また、図4中奥側の回路パターン部22(以下、符号22bで示す)の幅狭連結部43は、図6に示すように、前記接続部40の先端に連なりかつ当該接続部40に対して直交する方向に延在した第1直交部45と、この第1直交部45の接続部40から離れた側の先端に連なりかつ回路パターン部22aに向かって前記接続部40と平行に延在した平行部46と、この平行部46の第1直交部45から離れた側の先端に連なりかつ接続部40に向かって前記接続部40と直交する方向に延在しているとともに部品取付部42に連なった第2直交部47と、を備えて、屈曲されて構成されている。
【0037】
即ち、回路パターン22bの幅狭連結部43は、当該幅狭連結部43の長手方向を屈曲させる屈曲部48を二つ備えている。なお、屈曲部48は、第1直交部45と平行部46との間と、平行部46と第1直交部47との間とに設けられている。また、回路パターン部22bは、図6に示すように、幅狭連結部43の第1直交部47と部品取付部42とが同一直線状に配置されているとともにこれらの一方の縁が互いに同一線上に配置されかつ他方の縁に切欠き49が形成された格好となっている。こうして、二つの回路パターン22a,22bの部品取付部42は、図6及び図7に示すように、互いに間隔をあけて平行に設けられている。
【0038】
抵抗30は、図7に示すように、回路パターン部22a,22bの部品取付部42に半田41などにより取り付けられて、勿論これら二つの回路パターン部22a,22b同士を電気的に接続している。また、回路パターン部22a,22b及び抵抗30は、図7に示すように、その全長に亘って樹脂封止体19内に埋設されている。
【0039】
複数の圧接端子16は、導電性の板金が打ち抜かれるなどして得られ、平板部31と、この平板部31の先端から立設して電線15が圧接される圧接刃32とを一体に備えている。複数の圧接端子16は、平板部31が前述した素子載置部23の一つの辺と間隔をあけて相対しているとともに、当該平板部31と圧接刃32とが互いに間隔をあけて平行な状態で設けられている。圧接端子16は、回路パターン部22、端子接続部25及び素子載置部23の一つの辺と間隔をあけて相対する四つのパターン部21と1対1で対応している。
【0040】
このため、図示例では、圧接端子16は、7つ設けられている。また、平板部31が樹脂封止体19内に埋設されかつ圧接刃32が樹脂封止体19外に突出した状態に設けられている。平板部31は、対応する回路パターン部22a,22b、端子接続部25及びパターン部21と機械的及び電気的に接続される。圧接刃20は、その中央にスリット33が設けられ、当該スリット33内に電線15が圧入されることで、当該電線15の被覆部を切り込んで、該電線15の芯線と接触する。このように、圧接刃20即ち圧接端子16は、電線15と圧接する。圧接端子16は、電線15を介して、コネクタ1の外部の電子機器と接続する。
【0041】
ICチップ17は、素子載置部23上に配置されて、半田26などにより当該素子載置部23に取り付けられている。なお、ICチップ17は、素子載置部23とは電気的に接続していない。また、ICチップ17は、周知のボンディングワイヤ34によって、その表面に設けられた電極がパターン部21の帯状部27に電気的及び機械的に接続されている。ICチップ17は、当該ボンディングワイヤ34及びパターン部21の帯状部27を介して、圧接端子16と雄タブ29とを予め定められたパターンにしたがって電気的に接続している。このように、ICチップ17は、リードフレーム14に実装されている。
【0042】
ZD18は、パターン部21と1対1で対応している。即ち、ZD18は、16個設けられている。ZD18は、対応するパターン部21の素子取付部28上に配置されて、半田などにより当該素子取付部28に取り付けられている。なお、ZD18は、勿論、対応するパターン部21と電気的に接続されている。また、ZD18は、周知のボンディングワイヤ35によって、アース部20の外縁接続部24に電気的及び機械的に接続されている。
【0043】
ZD18は、制御回路パッケージ6自体を組み立てる際やコネクタ1及び当該コネクタ1を備えたワイヤハーネスを組み立てる際に、各雄タブ29及び圧接端子16などに生じた静電気をアース部20の素子載置部23及び電線15などを介してアース回路に導いて、当該静電気によりICチップ17が破損することを防止する。
【0044】
樹脂封止体19は、絶縁性の合成樹脂で構成され且つ扁平な箱状に形成されている。樹脂封止体19は、リードフレーム14及び圧接端子16を成形金型内に収容してモールド成型することで、前述した素子載置部23の一つの辺と間隔をあけて相対する四つのパターン部21、回路パターン部22a,22b及びアース部20を全長に亘って埋設し、かつ残りのパターン部21の前記一端部27aを埋設し、ICチップ17、ZD18及び抵抗30の全体を埋設している。即ち、樹脂封止体19は、ICチップ17とアース部20と複数のパターン部21のうちの少なくとも一端部27aを埋設している。
【0045】
前述した構成の制御回路パッケージ6は、以下のように組み立てられる。リードフレーム14を構成する板金に打ち抜き加工を施して、枠部と、この枠部の内側に設けられた素子載置部23、パターン部21及び回路パターン部22a,22bと、前記枠部、素子載置部23、パターン部21及び回路パターン部22a,22bを相互に連結した連結片とを備えた状態に成型する。
【0046】
そして、素子載置部23にICチップ17を取り付け、部品取付部42に抵抗30を取り付け、素子取付部28にZD18を取り付け、ボンディングワイヤ34により帯状部27とICチップ17の電極を接続し、ボンディングワイヤ35によりZD18と素子載置部23とを接続する。そして、リードフレーム14に再度打ち抜き加工を施して、前記枠部と連結片とを除去し、リードフレーム14及び圧接端子16を成形金型内に収容してモールド成型を施して、樹脂封止体19を形成して、前述した構成の制御回路パッケージ6を得る。
【0047】
そして、前述した構成のコネクタ1は、以下のように組み立てられる。まず、作業員がカバー部8に電線15を保持する。次に、開口12を通して、制御回路パッケージ6をハウジング本体7内に挿入する。このとき、勿論、雄タブ29をフード部10内に位置付け、圧接刃32を収容室11の底壁11aから立設した位置に位置付ける。
【0048】
続いて、カバー部8を開口12に徐々に近づけて、電線15を圧接端子16の圧接刃32に圧接する。そして、係合部13a,13b同士を係合して、カバー部8で開口12を完全に塞いで、ハウジング本体7に取り付けられる。
【0049】
こうして、前述した構成のコネクタ1が組み立てられる。こうして組み立てられたコネクタ1は、相手方のコネクタ2と嵌合して、自動車に配索されるワイヤハーネスを構成する。
【0050】
本実施形態によれば、回路パターン部22a,22bの部品取付部42に連なった幅狭連結部43が圧接端子16に接続する接続部40の幅方向の一方の縁に連なっているので、回路パターン部22a,22bが接続部40と幅狭連結部43との間で屈曲することとなる。このために、回路パターン部22a,22bの各々の直線状をなす部分の長さが短くなる。このため、回路パターン部22a,22bの線膨張係数が樹脂封止体19の線膨張係数よりも大きくても、これらの膨張又は収縮する量の差が小さくなる。このために、外部の温度が変化した際に、回路パターン部22a,22b即ちリードフレーム14と樹脂封止体19との間に生じる歪が小さくなり、これらが互いに剥がれることを防止できる。
【0051】
また、幅狭連結部43の幅が接続部40と部品取付部42との双方よりも狭く形成されているので、接続部40と部品取付部42との間の切欠き44,49に樹脂封止体19を構成する合成樹脂が食い込んだ状態となる。このために、接続部40と部品取付部42との双方が膨張又は収縮する際に、これらをこれらの間に食い込んだ樹脂封止体19を構成する合成樹脂が支えることとなり、外部の温度が変化しても、回路パターン部22a,22b即ちリードフレーム14と樹脂封止体19とが互いに剥がれることを防止できる。
【0052】
さらに、幅狭連結部43に少なくとも一つの屈曲部48が設けられているので、当該幅狭連結部43が少なくとも一つの屈曲部48で屈曲した格好となっている。このために、幅狭連結部43の各々の直線状をなす部分の長さが短くなる。このため、温度変化による幅狭連結部43が膨張又は収縮する量が小さくなり、回路パターン部22a,22b即ちリードフレーム14と樹脂封止体19とが互いに剥がれることを防止できる。
【0053】
特に、金属からなるリードフレーム14のみにICチップ17やZD18を取り付けるためにリフロー炉内に出し入れする際や、金属からなるリードフレーム14の周りに樹脂封止体19を成型する際に、リードフレーム14及び当該リードフレーム14の周りの樹脂封止体19の温度が急激に変化する際にも、接続部40と部品取付部42との間に樹脂封止体19を構成する合成樹脂が食い込んでいるので、回路パターン部22a,22b即ちリードフレーム14と樹脂封止体19とが互いに剥がれることを防止できる。
【0054】
前述した実施形態では、電気部品として抵抗30を用いたが、本発明では、抵抗30以外の種々の電気部品を用いてもよいことは勿論である。また、前述した実施形態では、回路パターン部22a,22bを二つのみ示してが、本発明では、勿論、回路パターン部22a,22bを二つ以上即ち複数備えてもよい。さらに、前述した実施形態では、一方の回路パターン部22bの幅狭連結部43のみが屈曲部48を二つ備えていたが、本発明では、少なくとも一方の回路パターン部22の幅狭連結部43が屈曲部48を一つ以上備えていればよい。また、本発明では、接続端子として圧接端子の他に圧着端子などを用いてもよい。
【0055】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0056】
6 制御回路パッケージ(回路モジュール)
16 圧接端子(接続端子)
19 樹脂封止体(絶縁部)
22,22a,22b 回路パターン部
30 抵抗(電気部品)
40 接続部
42 部品取付部
43 幅狭連結部
48 屈曲部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いの間隔をあけて設けられた導電性の二つの回路パターン部と、
前記二つの回路パターン部同士を接続した電気部品と、
前記二つの回路パターン部と前記電気部品を埋設した絶縁部と、を備えた回路モジュールにおいて、
前記回路パターン部は、外部と接続する接続端子に接続する直線状に延在した接続部と、前記電気部品が取り付けられる部品取付部と、前記接続部の幅方向の一方の縁に連なりかつ当該接続部と前記部品取付部との双方に連なっているとともに前記部品取付部と前記接続部との双方よりも幅が狭い幅狭連結部と、を備えたことを特徴とする回路モジュール。
【請求項2】
前記二つの回路パターン部のうちの少なくとも一方の幅狭連結部が、当該幅狭連結部の長手方向を屈曲させる屈曲部を少なくとも一つ備えていることを特徴とする請求項1記載の回路モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−129645(P2011−129645A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285551(P2009−285551)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】